説明

酸素掃去材料及びかかる材料から形成した製品

酸素掃去成分と、前記酸素掃去成分の製造法を提供する。好ましい態様では包装用物品での使用に適しているこの酸素掃去成分は、好ましくは少なくとも一つの二重結合をもつ酸素掃去基を含む。この酸素掃去成分は、ポリマー及び/または酸化触媒と組み合わせて酸素掃去組成物を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年4月10日出願の仮特許出願第60/910,866号及び2007年12月5日出願の仮特許出願第60/992,626号の恩典を請求する。これらはそれぞれその全体が本明細書中、参照として含まれる。
【0002】
本発明は酸素掃去材料に関する。より具体的には、本発明は包装品に使用するのに適した酸素掃去材料(oxygen-scavenging material)に関する。
【背景技術】
【0003】
歴史的に、酸素感受性製品は、消費者に届けるためにガラスまたは金属容器に包装して輸送されてきた。これらの容器は本質的にガス透過性がゼロであるので、酸素感受性製品は新鮮さを長期間保つことができる。
【0004】
食品及び飲料製品などの特定の製品を種々のプラスチック(たとえばPET、HDPE、PPなど)容器、ラッピング及び他の包装品に包装することが非常に求められている。ガラスまたは金属包装と比較して、プラスチック包装は通常、より安価であり、より壊れにくく、(所望により)より柔軟である。しかしながら慣用のプラスチックは、ガラスまたは金属などの他の利用可能な材料と比較して酸素透過遮断の機能化が不十分であった。特に酸素に暴露されたときに劣化に対して感受性である製品に関しては、慣用のプラスチックの酸素透過性は、製品の貯蔵期間を短くしてしまうことがある。
【0005】
酸素掃去材料は、容器内の酸素レベルを低レベルに保持しようとする際にプラスチック容器内に包含されて製品の貯蔵期間を延長してきた。しかしながらこれらのプラスチック容器は通常、接着力の低下、剥離、容器内に包装された製品に異味や臭気がある、透明性が低い、コスト(たとえば材料、貯蔵、及び/または輸送コスト)、不十分な酸素掃去能及び/または貯蔵期間、及び酸素掃去の不十分または時期尚早な活性化などの一つ以上の欠陥がある。
【0006】
従って、包装品で使用するための優れた酸素掃去材料に対し継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0007】
一側面において、本発明は、たとえば包装用途で使用するのに適した酸素掃去成分である。酸素掃去成分はポリマー若しくは非ポリマー成分であっても、またはその混合物であってもよい。特定の態様において、酸素掃去成分はポリマー(好ましくは成形可能なポリマー(formable polymer))、たとえば本明細書中で記載する一つ以上の酸素掃去基を含むポリエステル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリアミド、またはポリオレフィンである。
【0008】
別の側面において、本発明は(i)少なくとも二つの共役二重結合をもつ共役ジエン成分と、(ii)不飽和成分の二重結合または三重結合との反応生成物である酸素掃去成分である。態様によっては、酸素掃去成分は、上記成分のディールス−アルダー反応生成物である。現在好ましい態様では、共役ジエン成分は、シクロペンタジエンなどの環式共役ジエン成分である。
【0009】
さらに別の側面では、本発明は、不飽和二環式基を含む酸素掃去基をもつ酸素掃去成分である。好ましくは、不飽和二環式基は、環原子の間に配置された少なくとも一つの二重結合を含む。
【0010】
さらに別の側面では、本発明は、ビシクロ[2.2.2]オクテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い、より好ましくはビシクロ[2.2.1]ヘプテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い水素化熱をもつ環式または非環式酸素掃去成分である。
【0011】
さらに別の側面では、本発明は、(i)二重結合(好ましくは炭素-炭素二重結合)をもつ少なくとも一つの環を含み、且つ(ii)好ましくはシクロヘキセンよりも大きい水素化熱をもつ、環式酸素掃去基をもつ酸素掃去成分である。特定の態様では、酸素掃去基は、ビシクロ[2.2.2]オクテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い、より好ましくはビシクロ[2.2.1]ヘプテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い水素化熱をもつ。
【0012】
さらに別の側面では、本発明は、本明細書中に記載の酸素掃去成分と酸化触媒とを含む酸素掃去組成物である。態様によっては、本組成物は、一種以上のポリマーを含むポリマー組成物である。酸素掃去成分は、ポリマー組成物中に独立した非ポリマー成分として存在することができ、及び/または(たとえばポリマーの主鎖またはペンダント基として)ポリマーに含まれていてもよい。態様によっては、ポリマー成分は一種以上の成形可能なポリマーを含む。
【0013】
さらに別の側面では、本発明は、酸素掃去成分及び/または組成物と、好適な溶媒とを含む溶液または分散液である。前記溶液または分散液は、包装品用のコーティングなどとして適用することができる。
【0014】
さらに別の側面では、本発明は酸素掃去成分及び/または組成物を含む包装材料である。前記包装材料は、瓶またはフィルムなどの単層パッケージに、酸素掃去成分及び/または組成物を単独で、または他のポリマーとのブレンドとして含めることができる。あるいは、酸素掃去成分及び/または組成物は、瓶またはフィルムなどの多層包装中の一つ以上の層で、単独でまたは他のポリマーとのブレンドとして使用することができる。
【0015】
さらに別の側面では、本発明は酸素掃去成分の形成法である。前記方法は好ましくは、共役ジエン成分と不飽和成分を準備すること;及び上記共役ジエン成分と不飽和成分との反応生成物である環式酸素掃去基を含む酸素掃去成分を形成することを含む。態様によっては共役ジエン成分または不飽和成分はポリマーであってもよい。好ましい態様では、環式酸素掃去基は、(i)少なくとも二つの共役二重結合をもつ共役ジエン成分の環と、(ii)不飽和成分の二重結合または三重結合とのディールス−アルダー反応生成物である。環式酸素掃去基は好ましくは、環原子の間に配置された二重結合(好ましくは炭素-炭素二重結合)をもつ少なくとも一つの環を含む。
【0016】
さらに別の側面では、本発明は、好ましくは(i)少なくとも二つの共役二重結合をもつ環式基を含む共役ジエン成分(より好ましくはシクロペンタジエン成分)と(ii)少なくとも一つの二重結合または三重結合をもつポリマーまたはポリマー前駆体とを反応させることを含む、酸素掃去成分の形成法である。不飽和ポリマー前駆体を使用して上記反応生成物を形成する態様によっては、反応生成物を含むポリマーを形成することができ、ここで少なくとも一つの縮合結合基(condensation linkage group)が反応生成物をポリマーの別の部位に結びつける。態様によっては、ポリマー前駆体は、少なくとも一つの二重結合または三重結合をもつ脂肪酸またはコハク酸無水物誘導体である。
【0017】
本発明の上記概要は、本発明の開示された態様もそのそれぞれの実施をも記載するものではない。以下の記載は、代表的な態様をより詳しく例示するものである。本出願の中で指針は実施例の一覧を通して提供され、これは種々の組み合わせで使用することができる。それぞれの場合において、列挙された一覧は代表的な基としてのみ機能を果たし、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【0018】
本発明の一つ以上の態様の詳細は以下に説明する。本発明の他の特徴、目的及び有利な点は、本記載及び請求の範囲から明らかになろう。
定義
他に記載しない限り、以下の用語は、本明細書中、以下の意味をもつ。
【0019】
「有機基」なる用語は、非環式基、環式基、または非環式基と環式基との組み合わせ(たとえばアルカリール基及びアラルキル基)として分類される炭化水素基(炭素及び水素以外の、たとえば酸素、窒素、硫黄及びケイ素の任意選択元素を含む)を意味する。「非環式基」なる用語は、飽和または不飽和の線状または分岐炭化水素基を意味する。この用語は、アルキル、アルケニル及びアルキニル基などを包含するために用いられる。「アルキル基」なる用語は、メチル、エチル、イソプロピル、t-ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2-エチルヘキシルなどの飽和の線状または分岐炭化水素基を意味する。「アルケニル基」なる用語は、ビニル基などの一つ以上の炭素-炭素二重結合をもつ、不飽和、線状または分岐炭化水素基を表す。「アルキニル基」なる用語は、一つ以上の炭素-炭素三重結合をもつ不飽和、線状または分岐の炭化水素基を意味する。「環式基」なる用語は、ヘテロ原子及び/または、環及び/または非環(たとえば非環式)ペンダント基などを含む一つ以上のペンダント基を含むことができる一つ以上の閉環炭化水素基を含む基を指す。この用語は、二環式基及び融合環基などを含む、任意の種類の置換または非置換の環炭化水素基を包含する。「二環式基」なる用語は、少なくとも二つの結合と三つの原子を共有する、ヘテロ原子を含むことができる少なくとも二つの閉環炭化水素基を包含する基を指す。ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプテンともいう)は二環式基の一例である。「融合環基」なる用語は、一つの結合と二つの原子を共有する少なくとも二つの環を含む、ヘテロ原子を含むことができる、閉鎖環炭化水素基を指す。ナフタレンは、融合環基の一例である。
【0020】
同一または異なっていてもよい基は、「独立して〜」という。置換は、本発明の化合物の有機基で予想される。本出願中で使用される議論及び特定の専門用語の列挙を簡便化する手段として、「基(group)」及び「部分(moiety)」なる用語は、置換を可能にするか、または置換されていてもよい化学種と、置換を可能にしないか、または置換されていなくてもよい化学種とを区別するために使用する。従って「基」なる用語を化学置換基を記載するために使用するとき、この記載した化学材料としては、非置換基と、たとえば鎖内にO、N、SiまたはS原子のついた基(アルコキシ基のように)、並びにカルボニル基または他の慣用の置換が挙げられる。「部分」なる用語を化学化合物または置換基を記載するために使用する場合、非置換の化学材料だけを含めようとするものである。たとえば、「アルキル基」なる成句は、メチル、エチル、プロピル、t-ブチルなどの純粋な開環飽和炭化水素アルキル置換基だけでなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルホニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシルなどの当業界で公知のさらなる置換基を保持するアルキル置換基も包含するものとする。従って、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、ニトロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキルなどを包含する。他方、「アルキル部分」なる成句は、メチル、エチル、プロピル、t-ブチルなどの純粋な開環飽和炭化水素アルキル置換基だけを含むものとして限定される。本明細書における特定の基の開示は、その基と対応する部分の両方の明白な開示を意図するものである。従って、「アルキル基」の開示は、本明細書中に含まれる「アルキル部分」の明白な開示でもある。
【0021】
「成分(component)」なる用語は、特定の特徴または構造を含む任意の化合物を指す。成分の例としては、化合物、モノマー、オリゴマー、ポリマー、及びこの中に含まれる有機基が挙げられる。
【0022】
「二重結合」なる用語は、非限定的であり、任意の好適な原子(たとえばC、O、Nなど)の間の任意の種類の二重結合を指す。
「三重結合」なる用語は、非限定的であり、任意の好適な原子間の任意の種類の三重結合を指す。
【0023】
「共役ジエン成分」なる用語は、そのそれぞれが任意の種類の二重結合であり得る、少なくとも二つの共役二重結合を含む成分を指す。従って、たとえば-CH=CH-CH=CH-CH=CH-構造を含む成分は、3つ以上の二重結合をもつが、共役ジエン成分を構築する。
【0024】
「環式共役ジエン成分」なる用語は、その中に配置された少なくとも一つの共役二重結合を含む少なくとも一つの環をもつ共役ジエン成分を指す。たとえば一つ以上の他の共役二重結合は、環の中に配置されていてもよいし、及び/または環に結合した基に配置されていてもよい。
【0025】
「不飽和成分」なる用語は、少なくとも一つの二重結合または三重結合を包含する成分を指す。
「シクロペンタジエン」なる用語は、シクロペンタジエン及びジシクロペンタジエンの両方を包含する。
【0026】
「シクロペンタジエン成分」なる用語は、置換または非置換シクロペンタジエン基を含む成分を指し、シクロペンタジエンとジシクロペンタジエンのいずれをも包含する。
「熱可塑性」なる用語は、十分に加熱したときに融解し、その形状を変化させ、且つ十分に冷却したときに固化する材料を指す。そのような材料は通常、かなりの化学変化を示すことなく繰り返しの融解及び固化を受けることができる。対照的に「熱硬化性」は、架橋しており、「融解」しない材料を指す。
【0027】
「食品と接触する面(food-contact surface)」なる用語は、食品または飲料品と接触または接触するのに適した製品(たとえば食品または飲料容器)表面をさす。
「含む(comprise)」なる用語及びその変形は、これらの用語が明細書及び請求の範囲に表される場合に、限定する意味を持たない。
【0028】
「酸素掃去(oxygen scavenging)」なる用語は、所定の環境由来の一定量の酸素を吸収、消費または減少させることを意味する。
本明細書中で使用される「包装品(packaging article)」なる用語は、その最終商業形態、並びに任意の中間段階における包装品のいずれをも包含する。プラスチック容器及び他の包装品に頻繁に形成されるプレフォーム(preform)は、そのような中間段階の一例である。本用語としては、少なくともフィルム、容器、クロージャー、クロージャー・ライナーなどが挙げられる。
【0029】
「好ましい(preferred)」及び「好ましくは(preferably)」なる用語は、特定の条件下で特定の利益を提供し得る本発明の態様を指す。しかしながら、同一または他の条件下で他の態様も好ましい場合がある。さらに一つ以上の好ましい態様の列挙は、他の態様が有用ではないと暗示するものではなく、本発明の範囲から他の態様を除外するものではない。
【0030】
本明細書中で使用する「a」、「an」、「the」、「少なくとも一つ」及び「一つ以上」は交換可能に使用される。従って、「ある一つの」添加剤を含むコーティング組成物は、前記コーティング組成物が「一つ以上の」添加剤を含むことを意味するものと解釈することができる。
【0031】
また本明細書において、終点によって数字範囲を列挙する場合には、その範囲内に含まれる全ての数字を包含する(たとえば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。さらに、範囲の開示は、より広い範囲内に含まれる全ての部分的な範囲の開示を包含する(たとえば、1〜5は、1〜4、1.5〜4.5、1〜2などを含む)。
【0032】
詳細な説明
一側面において、本発明は、好ましくは酸素を掃去し得る少なくとも一つの基を含む、酸素掃去成分を提供する。酸素掃去基は好ましくは、その中に少なくとも一つの二重結合を含む、少なくとも一つの置換または非置換の炭化水素またはヘテロ原子環をもつ環式酸素掃去基(環式OS基)である。前記酸素掃去成分は、ポリマーまたは非ポリマー成分であってもよい。現在好ましい態様では、酸素掃去成分は酸素掃去ポリマー(OSポリマー)であり、より好ましくは成形可能なOSポリマーである。
【0033】
別の側面では、本発明は少なくとも一つの環式OS基をもつOS成分を形成するための方法を提供する。好ましい態様では、共役ジエン成分(好ましくは環式共役ジエン成分)と不飽和成分は反応して、環式OS基を形成する。この反応は好ましくはディールス−アルダー反応を使用して実施する。
【0034】
別の側面では、本発明は、本明細書に記載されたOS成分と、好ましくは任意選択のポリマーを包含する酸素掃去成分(OS組成物)を提供する。OS成分は、任意選択のポリマーに(たとえばポリマーの主鎖またはペンダント基として)共有結合することができるか、独立の成分として存在することができる。好ましい態様では、OS組成物は一種以上の酸化触媒、一種以上の追加のポリマー、または一種以上の酸化触媒と一種以上の追加のポリマーとの組み合わせを含む。
【0035】
別の側面では、本発明は本発明のOS成分及び/または組成物を含む製品を提供する。好ましい態様では、OS組成物は、(たとえば酸素感受性製品の包装に使用するために)包装品に組み込むのに適している。
【0036】
本発明のOS成分は種々の所望の特性を示すことができる。たとえば、好ましいOS成分は、一つ以上の高い酸素掃去動力学及び/または能力、改良されたコスト、他のポリマーとの改良された相容性、移動性の酸化性開裂副生成物(mobile oxidative cleavage byproduct)の形成の非存在(absence)または低減を示すことができる。
【0037】
OS成分がポリマーに含まれる態様では、OSポリマーは熱可塑性、非熱可塑性(たとえば熱硬化性)またはこの両方の混合物などの任意の好適な種類のポリマーであり得、成形可能なポリマーは特定の態様で好ましい。同様に、OSポリマーは、付加ポリマー、縮合ポリマーまたは、縮合及び付加結合若しくはセグメントの両方を含むポリマーであり得る。OSポリマーは任意の好適な種類の主鎖をもつことができる。主鎖の構造は、OSポリマーを含む組成物の所望の特性、OSポリマーの予想される使用、OSポリマーを混合若しくは接触させる他の材料、または所望のOSポリマーの種類などの種々の検討事項により変動し得る。
【0038】
好適なOSポリマーの例としては、ポリエステル及びコポリエステル類、たとえばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)及び酸とジオールとの任意の他の好適なエステル類;ポリカプロラクトンなどのポリラクトン類;ポリメチルメタクリレート(PMMA);スチレン/無水マレイン酸(SMA);ポリオキシメチレン(POM);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリアリールエーテルケトン(PAEK)などのケトン類;熱可塑性フルオロポリマー;ポリカーボネート(PC);ポリウレタン;ポリアリレート(PAR);ポリフェニレンオキシド(PPO);ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン6,12及びナイロン12などのポリアミド;ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)及びポリアミドイミド(PAI)などのイミド;ポリフタルアミド;ポリスルホン(PSul)などのスルホン類;ポリアリールスルホン(PAS)及びポリエーテルスルホン(PES);ポリアミノ酸;ポリジメチルシロキサン;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)及びポリブタジエン(PBD)などのポリオレフィン類;ポリスチレン(PS)、ポリα-メチルスチレン及びスチレン/アクリロニトリル(SAN)などのスチレン類;ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリビニルナフタレン(PVN)などのビニル;その混合物;並びに酸素掃去を不都合に妨害しないのが好ましいそのコポリマー及び誘導体が挙げられる。
【0039】
好ましい態様では、OSポリマーは食品または飲料品と接触するのに適している。現在好ましい態様では、OSポリマーはポリエステルであり、さらにより好ましくはPETである。
本発明のOSポリマーは任意の好適なサイズであり得る。好ましい態様では、OSポリマーは少なくとも約1,000、より好ましくは少なくとも約2,600、さらにより好ましくは少なくとも約5,000、より好ましくは少なくとも約25,000の数平均分子量(Mn)を有する。好ましくはOSポリマーは、約100,000未満、より好ましくは約50,000未満、さらにより好ましくは約35,000未満のMnを有する。
【0040】
成形可能なポリマーの例としては、射出成形、押出、圧縮、キャスト、圧延または成型(molding)などのプロセスによって機械的に(たとえば三次元製品に)成形できるポリマーが挙げられる。
【0041】
既に記載したように、OS成分は、非ポリマー成分、たとえばオリゴマー、ポリマー前駆体、及び/または低分子量化合物であってもよい。非ポリマー性OS成分の数例としては、共役ジエン成分(たとえばシクロペンタジエン)と、不飽和油(たとえばアマニ油)、たとえばDILULIN製品(Cargill製)とのディールス−アルダー反応生成物、本明細書中に記載の一つ以上のOS基を含むコハク酸無水物誘導体(たとえば以下に記載の式IIIの材料)、及び本明細書中に記載の一つ以上のOS基を含む脂肪酸誘導体(たとえば不飽和脂肪酸とシクロペンタジエンとのディールス−アルダー反応生成物)が挙げられる。そのような態様において、OS成分は上記Mnの範囲外の数平均分子量を示してもよい。たとえば態様によっては、OS成分は、約2,600未満または約1,000未満のMnを有していてもよい。
【0042】
上記のごとく、OS成分は好ましくは、任意の好適な種類の一つ以上の環を含み得る、一つ以上の環式OS基を含む。好適な環の例としては、非置換炭化水素環、置換炭化水素環、ヘテロ原子環及びその組み合わせが挙げられる。態様によっては、環式OS基は複数の環を含むことができる。環式OS基は好ましくは、環の中に少なくとも一つの二重結合をもつ少なくとも一つの環を包含する。理論により束縛されることは意図しないが、環構造に二重結合を配置すると、酸素掃去でできた移動性(または揮発性)副生成物の生成を軽減または排除できると考えられる。開環(即ち非環式)セグメントに配置されている二重結合をもつOSポリマーを酸素に暴露すると、一つ以上の二重結合の酸化的開裂によってフラグメント開裂が起きることがある。この開裂により、慣用のポリマーを含むコーティングまたは層から移動し得、潜在的に移出(migrate out)し得る低分子量フラグメントが生成することがある。包装済み食品または飲料製品に関しては、酸化的開裂フラグメントが存在すると、特に開裂フラグメントが包装品から移出し、包装製品中に移入する場合には、包装品の器官感覚受容特性(たとえば味、臭いなど)に悪影響を与えるかもしれない。同様に、開裂フラグメントが存在すると、薬品または他の医薬品を包装するのに使用する物品などの特定の非食品包装品で不都合になるかもしれない。
【0043】
本発明の好ましいOSポリマーは、開鎖(open-chain)不飽和(即ち環原子の間に配置されていない二重結合)をもつ酸素掃去ポリマーと比較して実質的に移動可能な掃去副生成物の生成が低い。たとえば、ガスクロマトグラフィー法を使用して分析すると、(ディールス−アルダー反応により)シクロペタジエンで官能基的に変性したリノール酸を有する本発明の特定のポリエステルポリマーは、ポリエステルの非変性形(即ち、シクロペンタジエンで官能基的に変性していないリノール酸を有するベースポリエステル)と比較して実質的に少量の潜在的に移動性の低分子量化合物を溶出する。
【0044】
本発明の環式OS基は、任意の好適な種類の原子間に一つ以上の二重結合を含むことができる。好適な二重結合の例としては、炭素-炭素(C=C)、炭素-酸素(C=O)、炭素-窒素(C=N)、窒素-窒素(N=N)、及び窒素-酸素(N=O)二重結合が挙げられるが、C=Cが好ましい。
【0045】
本発明のOSポリマーは、任意の好適な数の環式OS基を含むことができる。理論により束縛されることは意図しないが、環式OS基の酸素掃去能力は、少なくとも一つの二重結合の存在に基づくと考えられる。従って、OSポリマーに存在する環式OS基の数は、その酸素掃去能力を決定する重要な因子であると考えられる。好適な酸素掃去特性を提供するために、十分な数の環式OS基をOSポリマーに含めるのが好ましい。OSポリマーに含まれる環式OS基の数は、たとえば対象とする用途(たとえば、望まれる酸素掃去能力のレベル及び/または速度、OSポリマーを使用すべき物品または層の厚さ、物品または組成物中のOSポリマーの所望の濃度など)、及び他の種類の酸素掃去基がOSポリマーまたはOSポリマーを含む組成物に存在するかなどの種々の検討事項に依存して変動し得る。
【0046】
ヨウ素価は、材料中に存在する二重結合の平均数を特徴付ける有用な尺度である。本発明のOSポリマーは、所望の結果を達成するために任意の好適なヨウ素価をもつことができる。OSポリマーのヨウ素価は、上記のような種々の検討事項に依存して変動し得る。たとえば物品中で1重量パーセント(wt%)の濃度で使用するOSポリマーが望ましい態様では、OSポリマーは好ましくは約5〜約1,000、より好ましくは約10〜約500、さらにより好ましくは約50〜約300のヨウ素価をもつ。同様にOSポリマーが様々な濃度で使用するのに望ましい他の態様では、OSポリマーは上記ヨウ素価の割合のヨウ素価を有していてもよい。従って物品中100重量%濃度で使用されているOSポリマーが望ましい態様(即ち物品はニートOSポリマーから形成されている)では、OSポリマーは1重量%濃度で使用すべき上記OSポリマーの約1/100のヨウ素価をもつのが好ましい。即ちニートで使用すべきOSポリマーは好ましくは、約0.05〜約10、より好ましくは約0.1〜約5、さらにより好ましくは約0.5〜約3のヨウ素価をもつ。上記ヨウ素価は、試験した材料100グラムに存在する二重結合と反応するヨウ素のグラム数に対応する。ヨウ素価は、IUPAC法2.205(ISO 3961)を使用して決定することができる。
【0047】
特定の好ましい態様において、OS基としては、一つ以上の二重結合をもつ不飽和二環式基が挙げられる。理論により束縛されることは意図しないが、不飽和二環式基を含むOS基は、以下の有利な点:酸素に対する高い活性、OS基を含むポリマーと他の材料との高い相容性(compatibilization)、及び/または移動性酸化的開裂フラグメント生成が低い、をもつと考えられる。理論により束縛されることは意図しないが、ノルボルネンなどの不飽和二環式基に存在する炭素-炭素二重結合は、慣用の非環式酸素掃去基に存在する炭素-炭素二重結合と比較して高い酸素掃去動力学(kinetics)を示すと考えられる。不飽和二環式基に通常存在する環の歪みは、高い酸素掃去動力学に寄与すると考えられる。二環式化合物の反応性に関する詳細な考察に関しては、たとえば、D.E.Van Sickel、F.R.Mayo、R.M.Arluck、JACS(23)1967、3680頁、“Bridging of the cyclohexane ring has thoroughly deactivated the allylic bridgehead hydrogen atoms and increased the reactivity of the double bond by 8 to ninehold.”を参照されたい。たとえばディールス−アルダー反応によりシクロペンタジエンで官能基化された不飽和モノマーは、実施例と同様のバイアル試験酸素掃去方法を使用して試験したときに優れた酸素掃去性能を示したが、非変性不飽和モノマーは示さなかった。
【0048】
一態様において、OS基は、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)命名表記(I):
ビシクロ[x.y.z]アルケン
により表される二環式構造を包含する。
【0049】
命名表記(I)において、
xは2以上の値をもつ整数であり、
y及びzはそれぞれ1以上の値をもつ整数であり、及び
アルケンなる用語は、所定の二環式分子に関するIUPAC命名表示(たとえばヘキセン、ヘプテン、ヘプタジエン、オクテンなど)を指す。
【0050】
好ましい態様では、xは2または3(より好ましくは2)の値であり、y及びzはそれぞれ独立して1または2の値をもつ。
表記(I)により表される好適なOS基の幾つかの例としては、ビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン(即ちノルボルネン)、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン及びビシクロ[2.2.2]オクタジエンが挙げられる。ビシクロ[2.2.1]ヘプテンが現在好ましいOS基である。
【0051】
表記(I)により表されるOS基は、一つ以上のヘテロ原子(たとえば窒素、酸素、硫黄など)を含むことができ、置換されて一つ以上の追加の置換基を含むことができると考えられる。たとえば一つ以上の環式基(たとえば二環式OS基の環に誘導したペンダント環式基及び環基などを含む)または非環式基は、表記(I)により表される二環式基に結合することができる。
【0052】
OS成分の相対適合性(relative suitability)の有用な尺度が水素化熱であることは予想外の発見であった。理論により束縛されることは意図しないが、不飽和基の二重結合の水素化熱は、不飽和基が酸素を掃去する傾向に対応すると考えられ、水素化熱が高ければ酸素を掃去する傾向が高いことを示している。水素化熱の詳細な考察に関しては、V.V.Voronenkov、Russian Chemical Reviews、44(4)、1975年を参照されたい。
【0053】
態様によっては、本発明は(i)一つ以上の二重結合(好ましくは一つ以上の炭素-炭素二重結合)と、(ii)シクロヘキセンの水素化熱よりも高い水素化熱とをもつ環式または非環式OS基を提供する。現在好ましい態様では、OS基は(i)一つ以上の環を含み、その少なくとも一つは、環原子の間に配置された一つ以上の二重結合(好ましくは炭素-炭素)をもつ不飽和環である、及び(ii)シクロヘキセンの水素化熱よりも高い水素化熱をもつ環式OS基である。シクロヘキセンの水素化熱よりも高い水素化熱をもつ環式OS基の例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、メチレンシクロブタン、エチリデンシクロプロパン、ビシクロ[2.2.2]オクタジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン、及び1,2-ジメチルシクロプロペンが挙げられる。特定の態様において、OS基(及び好ましくはOS基の炭素-炭素二重結合)は、ビシクロ[2.2.2]オクテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い水素化熱を有し、より好ましくはビシクロ[2.2.1]ヘプテンの水素化熱とほぼ同程度に高い水素化熱を有する。本明細書中で使用するように、水素化熱がたとえば「少なくともX」、「Xを超える、Xより高い」などと記載されるとき、水素化熱の絶対値について述べるべきである。というのも水素化熱は通常、負の値で報告されるからである。負の値が大きければ大きいほど、水素化熱は高いことを示している(たとえば、−40kcal/モルは−10kcal/モルよりも高い水素化熱である)。
【0054】
表1は、種々の不飽和分子の水素化熱値を提供する。表1に報告された水素化熱値は、以下の刊行された文献から得られた:R.B.Turner、W.R.Meador、R.E.Winkler、J.Am.Chem.Soc.,(79)、4116頁(1957年);R.B.Turner、A.D.Jarrett、P.Goebel、B.J.Mallon、J.Am.Chem.Soc.,(95)、790頁(1973年);及びR.B.Turner、W.R.Meador、J.Am.Chem.Soc.,(79)、4133頁(1957年);並びにWilliam H.Brown、Cristopher S.Foote、Brent L.Iverson、Organic Chemistry、784頁(2005年)。
【0055】
【表1】

【0056】
表1のデータから明らかなように、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン及びビシクロ[2.2.2]オクテンなどの二環式構造は、シクロヘキセンよりも高い水素化熱を示す。理論により束縛されることは意図しないが、シクロヘキセンに対してビシクロ[2.2.1]ヘプテン及びビシクロ[2.2.2]オクテンの水素化熱がより高いのは、二環式構造に存在する高い環の歪みに起因すると考えられている。表1に列記されたような分子の水素化熱は、ポリマーに共有結合した基を配合したときに、分子の酸素を掃去する傾向の強い指標であると考えられる。たとえば以下の実施例部分で記載されるように、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン基を含むポリマーは、費用のかかる熟成期間(特定の慣用の酸素掃去材料には必要である)がなくても、(好適量の酸化触媒と組み合わせたときに)強い酸素掃去能力を示す。
【0057】
特定の好ましい態様では、本発明のOS成分は、27.1kcal/モルより高い水素化熱をもつ二重結合(好ましくは炭素-炭素二重結合)をもつ一つ以上の不飽和非環式または環式OS基(好ましくは環式)を含む。特に好ましい態様では、OS成分は、好ましくは少なくとも約−28kcal/モル、より好ましくは約−30kcal/モル、さらにより好ましくは少なくとも約−33kcal/モルの水素化熱をもつ二重結合(好ましくは炭素-炭素二重結合)をもつ一つ以上の不飽和非環式または環式OS基(好ましくは環式)を包含する。そのような水素化熱をもつOS基の幾つかの例を上記表1に提供する。OS基の水素化熱の上限は特に限定されていないが、所定の用途に関して任意の好適な水素化熱であってよい。
【0058】
OS基の水素化熱は、表1の文献に記載の方法を使用して決定することができる。ポリマーに存在する他の部分は当該基の水素化熱値の決定を妨害するかもしれないとはいえ、通常、分子の水素化熱は、ポリマーの基として存在するときの分子の水素化熱値と実質的に同じである。従って、ポリマーの酸素掃去基の水素化熱値を決定する有用なアプローチは、酸素掃去基の構造をもつ分子の水素化熱を(公知方法により実験的に、または報告された文献値を考慮することにより)測定することである。酸素掃去基に二つ以上の二重結合が存在する場合、存在する二重結合毎に水素化熱を標準化する好適な段階を取るのが好ましい。
【0059】
環式OS基は、OSポリマーの主鎖、OSポリマーのペンダント基、または主鎖とペンダント部位の両方などの任意の好適な位置に配置することができる。環式OS基に加えて、OSポリマーは一つ以上の追加の酸素掃去基も含むことができ、これは任意の好適な種類の酸素掃去基であってもよい。追加の酸素掃去基の例としては、非環式酸素掃去基(たとえば、ポリブタジエン基のようなC=C二重結合を含む非環式炭化水素基)、ポリアミド基(たとえばアジピン酸とメタキシレンジアミンとの重合により形成した基)、及び任意の他の好適な酸素掃去基が挙げられる。
【0060】
現在好ましい態様では、環式OS基は、不飽和成分(ディールス−アルダー反応との関連で「求ジエン性(dienophile)」とも称されることが多い)とのディールス−アルダー反応に関与し得る共役ジエン成分を使用して形成される。ディールス−アルダー反応([4+2]付加環化とも称されることが多い)は通常、共役ジエン成分の1,4位置に張り出して不飽和成分を付加して、通常、事実上は環式または二環式である付加環化反応生成物を形成することを含む。場合によっては一つまたは両方の成分が「失活性(deactivating)」の単数または複数の置換基を含むことができるが、通常、共役ジエン及び不飽和成分の少なくとも一つは、成分を反応に対して「活性化」する一つ以上の置換基を含む。ディールス−アルダー反応は通常、協奏反応であると考えられているので、成分に結合している置換基に依存して、成分は「電子供与体」であるか「電子受容体」のいずれかであり得る。
【0061】
本発明の方法で使用される共役ジエン成分は、共役二重結合の任意の好適な種類と組み合わせを含む、任意の好適な種類の化合物であり得る。好適な二重結合の例としては、C=C、C=O、C=N、N=N及びN=O二重結合が挙げられるが、C=Cが好ましい。共役二重結合は非環式基(たとえばブタジエン)、環式基(たとえば環式、二環式及び縮合環など)またはこの両者の組み合わせに存在することができる。態様によっては、共役ジエン成分はポリマーまたはポリマー前駆体に存在する。態様によっては、共役ジエン成分としては、好ましくはディールス−アルダー反応に関与し得る芳香族基が挙げられる。ディールス−アルダー反応に関与し得る共役ジエンの例としては、アントラセン、ブタジエン(たとえばジメチルブタジエン)、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン(たとえば1-アルキルシクロペンタジエンまたは2-アルキルシクロペンタジエン)、フラン、イソプレン、メチルビニルケトン、チオフェン、これらの任意のものを含むポリマー及びポリマー前駆体、その誘導体並びにその組み合わせが挙げられる。
【0062】
現在好ましい共役ジエン成分としては、好ましくは環に約5〜約8個の原子、より好ましくは環に5または6個の原子をもつ少なくとも一つの環が挙げられる。特に好ましい態様では、共役ジエン成分は、少なくとも一つの5-員環を包含し、シクロペンタジエンは現在好ましい5-員環である。
【0063】
好ましい態様において、シクロペンタジエンは不飽和成分のC=Cと反応して、ノルボルネン基を形成する。
本発明の好適な不飽和成分としては、ディールス−アルダー反応に関与して環式OS基を形成し得る任意の成分が挙げられる。不飽和成分は、一つ以上の二重結合または三重結合を含む任意の好適な種類の化合物であり得る。好適な二重結合及び三重結合の例としては、C=C、C=O、C=N、N=N、N=O、炭素-炭素三重結合(C≡C)及び炭素-窒素三重結合(C≡N)が挙げられるが、C=C結合が現在好ましい。態様によっては、不飽和成分はポリマーまたはポリマー前駆体に存在する。
【0064】
既に記載のように、共役ジエン成分及び/または不飽和成分は、任意の好適な電子供与基、電子吸引基、またはその両方の組み合わせを含むことができる。ディールス−アルダー反応は通常、共役ジエンまたは不飽和成分の一方をより電子欠損性(electron-deficient)に、他方を富電子性(electron-rich)にすることによって(たとえば、一方の反応体上の電子吸引基と、他方の反応体上の電子供与基を使用することによって)、反応体対(reactant pair)を活性化する基を使用して促進することができる。共役ジエンまたは不飽和成分上の所定の基の電子吸引効果または電子供与効果は通常、反応性の二重結合または三重結合の1個の原子(即ち、アルファ)に配置された基によって発揮される。即ち、電子供与基または電子吸引基は通常、二重結合または三重結合の原子を含まず、二重結合または三重結合の原子に直接結合する。電子吸引基の例としては、カルボニル(たとえばアルデヒド、ケトン、酸、エステルまたはアミド基)、ニトリル、ニトロ、ハロ、置換若しくは非置換アリール、ヒドロキシ-メチル、アミノ-若しくは置換アミノメチル、シアノメチル、ハロメチル及びビニル基が挙げられる。電子供与基の例としては、直鎖、分岐鎖及び環式アルキル、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシル及びエーテル基が挙げられる。本発明の特定の態様において、共役ジエンまたは不飽和成分の一方は一つ以上の電子供与基を含むが、他方は一つ以上の電子吸引基を含む。
【0065】
本発明のOSポリマーは、たとえば反応器重合(reactor polymerization)及び反応押出などの広範なプロセスを使用して形成することができる。反応押出において、成分は押出機の混合領域に供給することができる。成分は押出機に供給する前に混合してもよいし、個別に供給してもよい。好ましくは、成分は個別に供給する。押出プロセスの一部として、成分が押出機の中を移動するにつれて、成分は高温、圧力及び剪断に付される。このプロセスは成分を混合し、また成分を反応させて、ポリマー組成物を形成する。
【0066】
一つ以上の環式OS基は、たとえば(i)予備成形した環式OS基を含むポリマー前駆体(たとえばモノマーまたはオリゴマー)からOSポリマーを形成する;(ii)予備成形した(preformed)ポリマーを提供し、次いで前記ポリマーを変性して環式OS基を含ませる、または(iii)環式OS基を形成するための反応体と、ポリマーを形成するための反応体(たとえばモノマー及び/またはオリゴマー)とを混合(combine)し、混合した反応体を反応させて一つ以上の環式OS基を含むOSポリマーを形成する、などの任意の好適な反応法を使用してOSポリマーに組み込むことができる。
【0067】
環式OS基を形成するための方法の一例としては、共役ジエン成分と不飽和成分とを反応させて、少なくとも一つの環式OS基を含むポリマー前駆体(たとえばモノマーまたはオリゴマー)を製造することが挙げられる。たとえば共役ジエン成分または不飽和成分の一方を含む付加または縮合モノマーを共役ジエン成分または不飽和成分の他方と反応させて、環式OS基を含むモノマーを形成し、これによりこのモノマーは重合してポリマーになることができる。好適なポリマー前駆体の例としては、不飽和モノ-酸(mono-acid)またはポリ-酸(poly-acid)(または無水物若しくはそのエステル)、アルコール、アミン、イソシアナート、チオール、ビニル及びその組み合わせが挙げられる。特定の態様では、不飽和成分は、不飽和脂肪酸または不飽和コハク酸無水物誘導体の形のポリマー前駆体である。
【0068】
態様によっては、少なくとも一つの環式OS基を含むポリマー前駆体は、少なくとも一つの縮合結合基がポリマー前駆体をOSポリマーのもう一つの部位に結合させるように、OSポリマーに取り込まれる。たとえばそのような一態様において、縮合結合基の対がポリマー前駆体を主鎖に結合するように、ポリマー前駆体はOSポリマーの主鎖に取り込まれることができる。
【0069】
本発明の方法の別の態様において、少なくとも一つの不飽和または共役ジエン成分を含む予備成形ポリマーを提供する。たとえば、ディールス−アルダー反応に関与し得る一つ以上の二重結合または三重結合(即ち不飽和成分)をもつポリマーは、共役ジエン成分と反応して、一つ以上の環式OS基を含むOSポリマーを形成することができ、それによって環式OS基は反応に関与した不飽和成分の先の部位に配置される。たとえば、不飽和ポリエステルはシクロペンタジエンと反応して、一つ以上のノルボルネン基をもつポリエステルを生成することができる。
【0070】
態様によっては、シクロペンタジエン成分は、好ましくは置換または非置換アルケンの形状で不飽和成分と反応して、不飽和二環式構造を含むモノマーを形成する。好適な置換または非置換アルケンの例としては、単不飽和または多価不飽和(polyunsaturated)酸、アルコール、アミン、イソシアナート、チオール、ビニル、またはその組み合わせが挙げられる。単不飽和または多価不飽和脂肪酸及びコハク酸無水物誘導体が現在好ましい。
【0071】
好適な不飽和コハク酸無水物誘導体としては、たとえば無水マレイン酸と置換アルケンとの反応生成物が挙げられる。アルケンの好適な置換基としては、たとえば(i)線状または分岐で且つ、置換または非置換、並びに(ii)置換または非置換フェニル基であってもよい、飽和または不飽和炭化水素鎖が挙げられる。アルケニル基上の置換基の幾つかは、環構造の一部として一緒に結合していてもよい。好ましいコハク酸無水物誘導体としては、オクテニルコハク酸無水物(octenyl succnic anhydride:OSA)、ノネニルコハク酸無水物(NSA)、ヘプテニルコハク酸無水物(HSA)などが挙げられる。式(II)に示されるOSAが特に好ましい。
【0072】
【化1】

【0073】
不飽和コハク酸無水物誘導体を使用する利点としては、加工が容易であること、低コストで一般的に入手できること、共重合する能力、反応用の多くのポリマー及びモノマーとの相容性、貯蔵時の安定性、並びに低毒性を挙げることができる。不飽和コハク酸無水物誘導体は、所望のポリマー主鎖の種類に依存して、広範な種類の材料と反応することができる。たとえばコハク酸無水物誘導体はアルコールまたはグリコールと反応してポリエステルを形成することができる。別の例としては、コハク酸無水物誘導体はアミンと反応してポリアミドを形成することができる。
【0074】
ポリマー形成における不飽和コハク酸無水物誘導体及びその使用に関する詳細な情報については、本明細書中、その全体が参照として含まれるShareらの米国特許公開第2006/0202161号を参照されたい。
【0075】
理論により束縛されることは意図しないが、以下の式(III)は、OSAとシクロペンタジエンとの反応から得られると考えられる好ましいディールス−アルダー反応生成物を示す。
【0076】
【化2】

【0077】
式(III)の構造は、立体化学に関して非限定的であり、全ての可能な立体異性体を包含するものである。式(III)に示されているように、OSAとシクロペンタジエンとの反応生成物は、ノルボルネン二環式基を包含すると考えられる。
【0078】
態様によっては、不飽和脂肪酸は共役ジエン成分と反応して、一つ以上の不飽和環式OS基を含む脂肪酸を形成する。好適な脂肪酸の例としては、モノ-若しくはポリ−不飽和脂肪酸、たとえばアラキドン(arichidonic)酸、エレオステアリン酸、エルカ酸、リカン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、パルミトイル酸、リシノール酸及びその混合物が挙げられる。他の有用な脂肪酸としては、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物、たとえば天然若しくは変性油由来の脂肪酸、たとえばアマニ油、大豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ヒマシ油及びその混合物が挙げられる。現在好ましい態様では、リノール酸はディールス−アルダー反応中でシクロペンタジエンと反応して、少なくとも一つの環式OS基(ノルボルネン基と考えられている)をもつ反応生成物を形成する。
【0079】
任意の好適なディールス−アルダー反応手法または条件を使用して本発明の環式OS基を製造することができる。たとえば、環式OS基を生成するためにシクロペンタジエンを使用するディールス−アルダー反応は、たとえば(i)反応容器中でジシクロペンタジエンと不飽和成分とを化合させる(combine)か、または(ii)個別にジシクロペンタジエンを分解(crack)してシクロペンタジエンを生成し、次いでこのシクロペンタジエンと不飽和成分とを反応容器中で混合することを含む、多くの方法で実施することができる。
【0080】
たとえばジシクロペンタジエンと不飽和成分との好適な反応生成物は、以下のようにディールス−アルダー反応プロセスを使用して製造することができる:すなわち、不飽和成分を、窒素などの不活性気体をパージした閉鎖容器に充填する。不飽和成分を絶えず攪拌しながら約260℃に加熱し、加熱した不飽和成分に一定速度でジシクロペンタジエンを添加する。理論により束縛されることは意図しないが、ジシクロペンタジエンは反応容器中でシクロペンタジエン2分子に二量体分離(dedimerize)して、これが不飽和成分の二重結合と反応すると考えられる。ジシクロペンタジエン添加完了後、反応混合物の加熱は、好ましくは約300℃以下の温度、より好ましくは約275℃以下の温度で、約0.25時間〜約5時間継続する。反応は通常、実質的に全てのシクロペンタジエンが不飽和成分と反応するまで進行させる。その後、反応生成物を冷却し、反応容器から取り出す。ジシクロペンタジエンと共に使用するのに好適なディールス−アルダー反応条件の詳細な考察については、本明細書中、その全体が参照として含まれる米国特許公開第2003/0036486号、米国特許第5,693,715号、及び同第5,288,805号を参照されたい。
【0081】
本発明のOS組成物は好ましくは、本明細書中に記載のOS成分と、一種以上の任意選択の酸化触媒を含む。態様によっては、OS組成物はさらに一種以上の任意選択の追加のポリマーまたは添加剤を含む。
【0082】
任意選択の酸化触媒は、本発明の組成物に含まれるのが好ましい。態様によっては、酸化触媒は、環式OS基及び/またはOS成分の任意選択の追加の酸素掃去基を含む酸素掃去反応に触媒作用を及ぼすことによってOS成分の酸素掃去特性を高めることができる。
【0083】
非常に広範囲の金属及び有機化合物が特定の酸素掃去基の酸素掃去作用に触媒作用を及ぼすことができ、好適な化合物は、コスト、OS成分との相容性、ブレンド中の他のポリマーまたは成分との相容性及び、多層製品における他の層との相容性のいずれかをベースとして選択することができる。好適な酸化触媒の例としては、遷移金属、遷移金属の錯体、光開始剤など、及びその混合物が挙げられる。
【0084】
好適な酸化触媒の例としては、金属、たとえばコバルト、鉄、ニッケル、アルミニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、アンチモン、オスミウム、イリジウム、プラチナ、銅、マンガン及び亜鉛、並びにこれらの金属の酸化物、塩または錯体、並びにその混合物が挙げられる。たとえば酢酸またはテレフタル酸などの短鎖酸の、またはネオデカン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸若しくはオクテニルコハク酸などの長鎖酸のコバルトII塩を使用することができる。無機酸の塩も使用することができる。たとえば塩化アンチモンIII、塩化アンチモンV及び塩化コバルトを使用することができる。好ましい触媒としては、コバルトと長鎖酸との塩、たとえば酢酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、オクタン酸コバルト、及びその混合物が挙げられる。
【0085】
混合金属ナノ粒子も酸化触媒として好適である。好適なナノ粒子は通常、約200nm未満、好ましくは約100nm未満、より好ましくは5〜50nmの平均粒径を有する。
配合するとき、酸化触媒は好ましくは、最終用途におけるOS成分の酸素掃去能に触媒作用を及ぼすのに足る量で配合する。使用量は選択した触媒に一部依存する。しかしながら通常、遷移金属触媒または錯体を使用するとき、最終用途(たとえば単層製品または多層製品の層)の中の遷移金属触媒または錯体の量は、組成物の総重量に対して触媒または錯体中の遷移金属の総量をベースとして、好適には約10ppmを超え、好ましくは約25ppmを超え、より好ましくは約35ppmを超える。最終用途に存在する遷移金属触媒または錯体の量は、組成物の総重量に対して触媒または錯体中の遷移金属の総量をベースとして、好適には約10,000ppm未満、好ましくは約1,000ppm未満、より好ましくは約600ppm未満である。通常、光開始剤または光開始剤のブレンドを使用するとき、存在する光開始剤の量は、全組成物の約0.01重量%を超えるのが好適であり、好ましくは約0.1重量%を超える。存在する光開始剤の量は好適には、全組成物の約10重量%未満であり、好ましくは約5重量%未満である。
【0086】
OS組成物に存在する酸化触媒の量は、たとえば製品に含めるべきOS組成物の量に依存して広範囲を変動し得る。たとえばニートOS組成物(即ち100重量%OS組成物)から単層製品または多層製品の(単数または複数の)層を製造し、かつ遷移金属触媒または錯体を使用すべき場合、OS組成物中に存在する遷移金属触媒または錯体量は好ましくは所望の最終用途に関し上記のようであるのが好ましい。しかしながら単層製品または(単数または複数の)層に形成する際に、OS組成物を追加の材料で希釈すべき場合、OS組成物は好ましくは、希釈量を計上するためにより高濃度の触媒を配合する。従ってたとえば、OS組成物を最終用途で二十倍に希釈すべき態様では、OS組成物は、最終用途で望まれる触媒濃度の約20倍の触媒濃度であるのが望ましい。さらに、そのような態様で使用されるアプローチに依存して、OS組成物の一部は、ブレンド全体の濃度よりもさらに高い触媒濃度であってもよい。たとえば、OS組成物が二種以上の異なる種類の粒子のブレンドである態様では、全てまたは実質的に全ての触媒は、触媒濃縮粒子をブレンドに配合することによって、ブレンドに導入することができる。
【0087】
態様によっては、酸化触媒の導入方法は、得られる組成物の性能または特性に影響を与えることがある。たとえば一部の例では、組成物への酸化触媒の導入によって、組成物の分子量を減少させるか、または組成物の変色を引き起こすかもしれない組成物内での不都合な副反応を起こすことがある。組成物の劣化傾向に影響を与えることがある他の因子としては、ポリマーの溶融処理の間に大量の水が存在すること;ポリマーの溶融処理の間に外来反応性官能基(たとえばヒドロキシル、アミノ、メルカプト、カルボキシルなど)が存在すること;ポリマーの溶融処理の間に大量の分子酸素が存在すること;及び/またはポリマーの溶融処理の間に大量の強酸(たとえばHCl、H2SO4)または強塩基(たとえばKOHなど)が存在することが挙げられる。典型的には、ポリマーの溶融処理の間に上記水の濃度、外来反応性官能基、分子酸素、または酸性若しくは塩基性材料の濃度を減少させることによって、そのような不都合な結果を避けるように注意を払う必要がある。
【0088】
この点において一つ考慮すべき事項としては、酸化触媒の選択がある。特定の触媒は、上記の不都合な副反応に触媒作用を及ぼす傾向が少ない。その結果、場合によっては組成物の不都合な量の劣化を引き起こさない好適な酸化触媒(すなわち、所望のレベルの酸素掃去を提供する触媒)を選択することができる。たとえば、酸化コバルトは通常、殆ど観察可能な劣化なしに組成物に導入することができる。
【0089】
別の考慮すべき事項は、酸化触媒を組成物に添加する条件である。たとえば、酸化触媒を含む特定の組成物を高温に長時間暴露すると、劣化が増大し得ることが観察された。結果として、組成物内で酸化触媒を長時間高温に暴露しないプロセスは特定の態様で有利なことがある。これはたとえば、混合及び/または輸送の間に溶融ポリマーを過剰レベルの剪断に暴露するのを減らすことによって実施することができる。あるいは、酸化触媒をBuss混練機などの穏和な溶融混合法を使用してプレフォーム化ポリマーに添加することができる。あるいは、組成物は、バッチ反応器で製造することができ、触媒は、射出及び冷却前に溶融ポリマー/触媒ブレンドの滞留時間を最小化する方法で定量的に添加することができる。押出反応器では、触媒は、触媒と共に溶融ポリマーの滞留時間を最小化するために射出ポート付近で添加することができる。あるいは、酸化触媒は、製品を射出成形または押し出す時点で添加することができる。
【0090】
上記のごとく、本発明の組成物は、OSポリマーに加えて一種以上の他のポリマーを包含するのが好ましい。これらの追加のポリマーは、熱可塑性、非熱可塑性(たとえば熱硬化性)またはこれらの混合物であってもよいが、熱可塑性ポリマーが好ましい。OSポリマーに加えて使用し得る好適なポリマーの例としては、OSポリマーに関して上述したポリマーの種類のいずれもが挙げられる。一種以上の追加のポリマーは、好ましくは包装品の形成に有用な成形可能なポリマーであり、好ましくは食品または飲料製品を含むのに適している。一種以上の追加のポリマーは好ましくはOSポリマーと好適レベルの相容性を示す。
【0091】
本発明の態様によっては、OS組成物は、OSポリマーと一種以上の追加のポリマー(好ましくは成形可能なポリマー)とのブレンドを含み、ここで組成物はOSポリマー約99〜約1重量%と一種以上の追加のポリマー約1〜約99重量%、OSポリマー約95〜約5重量%と一種以上の追加のポリマー約5〜約95重量%、OSポリマー約90〜約10重量%と一種以上の追加のポリマー約10〜約90重量%または、OSポリマー約80〜約20重量%と一種以上の追加のポリマー約20〜約80重量%を含む。現在好ましい態様では、OSポリマーと一種以上の追加のポリマーはポリエステル類であり、好ましくはPETである。
【0092】
通常、任意の好適な材料は、所望の結果を与える本発明のOS組成物に添加することができる。たとえば、充填剤、加工助剤、可塑剤、難燃剤、防曇剤、結晶化助剤、衝撃改質剤、離型剤、嵌め外し剤(denesting agent)、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、触媒失活剤、着色剤、核形成剤、アセトアルデヒド還元剤、再加熱促進助剤(reheat enhancing aid)、充填剤、耐摩耗剤など、及びその組み合わせを配合することができる。一態様において、本発明のOS組成物は、本明細書に記載のOS成分(上記のごとく、ポリマー成分、非ポリマー成分またはその組み合わせであってもよい)、酸化触媒、成形可能なポリマー(好ましくは熱可塑性)及び着色剤を包含する。
【0093】
幾らか分子量低下が発生するかもしれない場合、分子量を再構築するために劣化した組成物を固体状態のプロセス(solid-stating process)にかけることは本発明の範囲内である。さらにひどく劣化した材料に関しては、組成物を精製して、不都合な変色した材料を除去したり、減らしたりすることができる。
【0094】
所望により、OS組成物(態様によってはOS組成物単独である)を好適な溶媒に溶解してコーティング溶液を形成するか、または水及び/または好適な有機溶媒とブレンドしてコーティング分散液を形成することができる。このコーティング溶液または分散液は、たとえばコーティング溶液若しくは分散液を物品表面に噴霧し、コーティングを乾燥して酸素掃去コーティングを形成することによるなど、任意の好適な方法により適用することができる。所望により、コーティング溶液または分散液は、別の好適なポリマーの層間に適用して、酸素掃去フィルムを形成することができる。
【0095】
本発明の別の側面は、本発明の方法を使用して製造したOS組成物を含む物品である。好ましい態様では、本発明のOS組成物は特に、包装品の酸素掃去層(「酸素バリヤ層」とも称される)で有用である。包装品の例としては、工業用、市販、医薬または住居用のボトル(ボトルクラウン、キャップ及び他のクロージャを含む)、カップ、ボウル、カートン(板紙またはファイバーボードカートンなどを含む)、コンテナ、フィルム、ラップ(たとえば肉用ラップ)、ライナー(たとえばクラウン、キャップまたはクロージャライナー)、コーティング、トレイ及びフレキシブルバッグが挙げられる。包装品は、層の数及び(単数または複数の)種類、包装品の形成方法並びに他の関連するパラメーターをベースとして硬質または軟質であってもよい。
【0096】
本発明のOS組成物を含む包装品は、貯蔵の間に酸素に暴露しないようにするのが望ましいどの製品でも包装するのに使用することができる。そのような製品の例としては、特定の食品または飲料製品(たとえばフルーツジュース、ワイン、ビール、肉など)、薬剤、医薬品、腐食しやすい金属及び電子デバイスが挙げられる。
【0097】
本発明のOS組成物を含む包装品は、任意の望ましい構造をとることができる。包装品は、多層材料(「多層(multilayer)」物品という)または単層材料(「単層」物品という)から成形することができる。包装品は、単一の構造層または構造層と一つ以上の追加の層とを含むことができる。一つ以上の追加の層は、たとえばガスバリヤ層(たとえば、エチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)などの受動バリヤ材料を配合する層)、酸素掃去層、食品接触層、構造層、接着層、またはこれらを単独で、または一つ以上を組み合わせて含む任意の層であってもよい。多層包装品は通常、他の方法の中でも、同時押出、射出成形、射出吹き込み成形、延伸吹き込み成形、コーティングまたはラミネートを使用して製造する。単層包装製品は通常、他の方法の中でも、溶媒キャスト、射出成形、吹き込み成形により、または押出によって製造する。
【0098】
本発明の物品は、本発明のOS組成物を単独で、OS組成物と一種以上の他のポリマー若しくは材料とのブレンド、またはOS組成物を含む一層以上の層を含む多層構築物を使用して形成することができる。さらにOS組成物は、コーティングとして、ライニングとして、または別の物品のコーティング若しくはライニング用ブレンドの一部として使用することができる。態様によっては、OS組成物は、金属、プラスチック、繊維板または板紙支持体のような支持体に適用することができる。
【0099】
単層物品は、その全体にわたって実質的に同一組成物で形成された物品である。本発明の単層物品は、OS組成物単独、またはOS組成物と一種以上の追加のポリマー若しくは成分とのブレンドを使用して製造することができる。
【0100】
一つ以上の層にOS組成物を含む多層物品を製造することができる。態様によっては、多層物品は、(i)大気とOS組成物との間に一層以上の別の材料を設置する、及び/または(ii)包装した製品とOS組成物との間に一層以上の別の材料を設置することにより利益を受けることができる。一つ以上の層の外部層は、たとえは、物理的な損傷からOS組成物を保護し、物品の壁を通る酸素の移動の遮蔽または減少に役立つことができる。そのような構築物では、OS組成物は好ましくは、大気とOS組成物との間に配置された一つ以上の層を透過する酸素を全て掃去するのが好ましい。さらにOS組成物は、包装された製品内部または、(存在する場合には)包装用物品のヘッドスペースに存在するかもしれない酸素を掃去できるのが好ましい。
【0101】
使用される材料の相容性は、多層物品の場合には重要な検討事項である。材料が相容性でない場合、層は分離するかもしれないし、材料は曇ったり濁って見えるかもしれない。層分離によって物品が壊れたり、透明度がさらに低下したり、物品の強度や弾力が劣化したり、機能性が変化したり、OS組成物が早期に消耗してしまうかもしれない。物品の完全性を保持するために層間に適切な接着剤または他の材料を使用することができるが、これによりコストが上昇したり、製造が困難であったり、リサイクルに影響を及ぼすかもしれない。従って、多層構築物を使用する場合には、層は相容性であるのが好ましい。たとえば粘度及びガラス転移点(Tg)などの同様の物理的特性をもつポリマーをOSポリマーと併せて使用することができる。
【0102】
本発明のOS組成物は、単層または多層包装用物品の酸素掃去層を形成するのにニート(生のまま:neat)で配置することができる。あるいは、包装用物品の酸素掃去層を形成する前に、一つ以上の追加のポリマーまたは添加剤とブレンドすることができ、これによってたとえば、OS組成物の輸送及び貯蔵コストを軽減し及び/または酸素掃去能力を長持ちさせることができる。
【0103】
本発明の物品は任意の好適量のOS成分を含むことができる。そのような物品に含まれるOS成分量は、たとえば他の酸素掃去材料の存在、物品の所望の酸素掃去能力及び所望の物品特性などの種々の検討事項に依存して変動し得る。好ましい態様では、本発明の単層または多層物品は好ましくは、単層または多層物品の総重量をベースとして、本発明のOSポリマーを少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも約0.5重量%、より好ましくは少なくとも約1.0重量%含む。好ましくは単層または多層物品は、単層または多層物品の総重量をベースとして、本発明のOSポリマーを少なくとも約15重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、より好ましくは少なくとも約5重量%含む。
【0104】
本発明のOS成分及び/または組成物を含む物品は好ましくは、酸素掃去特性の不適切な劣化を示すことなく、通常の大気条件下で長期間(たとえば少なくとも数日、数週間または数ヶ月)安定に貯蔵して、特定の酸素掃去物品によくある費用のかかる貯蔵法を回避する。そのような貯蔵能力を得る方法の詳細な考察は、本明細書中、参照として含まれるShareらの米国特許公開第20050181155号を参照されたい。
【0105】
態様によっては、酸素掃去能力を保存するために、本発明のOS成分は、包装用物品の酸素掃去層の形成直前または形成している間に、酸化触媒と組み合わせる。そのような酸化触媒の添加のタイミングによっては、物品の形成前に本発明のOS成分及び/または組成物の貯蔵安定性が高くできる。たとえば、そのようなOS成分及び/または組成物は、酸素掃去能力に不都合な劣化を示すことなく、長期間(たとえば数日、数週間、数ヶ月など)、通常の大気条件(たとえば周囲温度、周囲湿度、及び/または大気)下で安定に貯蔵することができ、これにより特定の酸素掃去材料によくある費用のかかる貯蔵法(たとえば窒素ガス下での貯蔵、冷蔵、乾燥など)を回避できる。
【0106】
態様によっては、本発明のOS組成物は、一部分はOS成分を含み、別の部分は酸化触媒を含む、二つ以上の部分を含むことができる。そのような一態様では、組成物は二種以上の粒子(好ましくは熱可塑性ペレット、フレーク、粉末などの熱可塑性粒子)のブレンドであり、ここで(a)第一の粒子は、本発明のOSポリマーと任意選択の第一のポリマーとのブレンドを含み、(b)第二の粒子は酸化触媒と任意選択の第二のポリマーとのブレンドを含み、(c)これらの任意選択のポリマーは同一または異なる。前記第一の粒子は、任意の好適量の遷移金属触媒または錯体を含むことができ、たとえば第一の粒子の総重量に対して第一の粒子に存在する触媒または錯体中の遷移金属の総重量をベースとして、約1,000ppm〜約40,000ppm、約5,000ppm〜約30,000ppm、約10,000ppm〜約25,000ppmである。態様によっては、第二の粒子は、酸化触媒を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。上記第一及び第二の粒子は、任意の好適な時間で組み合わせてブレンドを形成することができる。たとえば上記第一及び第二の粒子を混合して、ブレンドを含む物品の形成前に、所定の時間(たとえば数日、数週間、数ヶ月など)貯蔵し得るブレンドを形成することができる。あるいは、上記第一及び第二の粒子を組み合わせて、射出成形機または押出機の供給口などで、ブレンドから物品を形成する直前にブレンドを形成することができる。従って、態様によっては、OS組成物は、上記第一及び第二の粒子を含む二部(またはそれ以上の)キットまたはシステムとして提供することができ、ここで前記第一及び第二の粒子は他と接触しない(か、または実質的に接触しない)。
【0107】
任意の好適な方法を使用して、本明細書に記載のOS成分及び/または組成物を含む物品を形成することができる。具体的な方法の非限定的な数例を以下に示す。
本発明の単層及び多層物品は、任意の好適な方法を使用して本発明の組成物から形成することができる。好適な方法の例としては、押出プロセス(同時押出などを含む)、射出プロセス(同時射出などを含む)、支持体の少なくとも一部への液体コーティング組成物の塗布、またはその組み合わせが挙げられる。プレフォームなどの一つ以上の前駆体または中間体物品は完成品への経路で形成することができる。
【0108】
特定の態様では、本明細書に記載の酸素掃去材料を物品に配合しやすくするために、本明細書に記載のOS成分を含む固体熱可塑性粒子(ペレット、フレーク、粉末など)を形成する。そのような熱可塑性粒子はたとえば、OS成分と熱可塑性ポリマー及び/または酸化触媒とを溶融ブレンドし、得られたブレンドをペレット化することにより形成することができる。態様によっては、熱可塑性粒子は、OSポリマーだけから形成することができる。
【0109】
一方法において、多層物品(たとえば容器)は、(i)本発明のOSポリマー及び/または組成物を含むバリヤ層ブレンドを提供する;(ii)好適な成形可能なポリマーの一つ以上の内部層材料と、好適な成形可能なポリマーの一つ以上の外部層材料とを提供する;(iii)前記バリヤ層ブレンド材料と、前記一つ以上の内部層材料と、前記一つ以上の外部層材料とを同時射出して、多層プレフォームを形成する;そして(iv)前記プレフォームを加熱及び膨張させて物品を形成する、各段階により製造する。
【0110】
別法では、多層物品(たとえば容器)は、(i)本発明のOSポリマー及び/または組成物を含むバリヤ層ブレンドを提供する;(ii)好適な成形可能なポリマーの一つ以上の内部層材料と、好適な成形可能なポリマーの一つ以上の外部層材料とを提供する;(iii)好適な成形可能なポリマーの一つ以上の内部層材料と、一つ以上の外部層材料と、前記バリヤ層ブレンド材料を有する多層パリソンチューブを押し出す;(iv)前記パリソンチューブを中空キャビティモールドに固定する;(v)前記キャビティに対してパリソンを吹き込む;そして(vi)前記成形品をトリミングする、各段階により製造する。
【0111】
別の方法(「オーバー-インジェクション・パリソン(over-injected parison)」法」では、多層物品(たとえば容器)は、(i)本発明のOSポリマー及び/または組成物を含むバリヤ層ブレンド材料を提供する;(ii)好適な成形可能なポリマーの一つ以上の内部層材料と一つ以上の外部層材料とを提供する;(iii)好適な成形可能なポリマーの一つ以上の内部層と一つ以上の外部層と前記バリヤ層ブレンド材料を有する多層パリソンチューブを押し出す;(iv)前記パリソン上に一つ以上の追加のポリマー層を射出する;(v)中空キャビティモールド内にオーバーインジェクション・パリソンチューブを固定する;(vi)前記オーバーインジェクション・パリソンをキャビティに対して吹き込む;そして(vii)場合により成形した容器をトリミングする、各段階により製造する。
【0112】
さらに別の方法(IOI法と称する)では、多層物品(たとえば容器)は、(i)本発明のブレンド材料を提供する;(ii)好適な成形可能なポリマーの材料を提供する;(iii)前記ブレンド材料を射出してプレフォームを成形する;(iv)前記プレフォームに対して(その外部表面上に)成形可能なポリマー層を射出する;そして(v)前記プレフォームを加熱及び膨張させて物品を成形する、各段階により製造する。
【0113】
本発明の追加の非限定的な態様を以下に提供する。
態様A:
少なくとも二つの共役二重結合をもつ、共役ジエン成分の環と、
不飽和成分の二重結合または三重結合とからなる
ディールス−アルダー反応生成物である環式酸素掃去基を含む成分と;
酸化触媒少なくとも約10ppmと
を含む組成物。
態様B:
ポリマー;
ビシクロ[2.2.2]オクテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い水素化熱をもつ少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含む環式または非環式酸素掃去基をもつ酸素掃去成分;及び
酸化触媒
を含む、酸素掃去組成物。
態様C:
ポリマー;
シクロヘキセンの水素化熱よりも高い水素化熱を持つ炭素-炭素二重結合をもつ少なくとも一つの環を含む酸素掃去基を有する酸素掃去成分;及び
酸化触媒
を含む、酸素掃去組成物。
態様D:
ポリマー;
不飽和二環式基を含む酸素掃去基を有する酸素掃去成分、ここで前記二環式基は環原子の間に配置された少なくとも一つの二重結合を含む;及び
酸化触媒
を含む、酸素掃去組成物。
態様E:
共役ジエン成分、及び
不飽和成分
を提供すること;そして
上記成分の反応生成物である環式酸素掃去基を含む成形可能なポリマーを形成すること、ここで前記環式基は環原子の間に配置された二重結合を有する少なくとも一つの環を含む、
各段階を含む、方法。
態様F:
少なくとも二つの共役二重結合を有する環式基を含む共役ジエン成分と
少なくとも一つの二重結合を有するポリマー前駆体と
を反応させること;そして
上記反応生成物を含むポリマーを形成すること、ここで少なくとも一つの縮合結合基は前記反応生成物をポリマーの別の部分に結合させる、
各段階を含む酸素掃去性ポリマーを形成する方法。
追加の非限定的態様1〜42
1.態様Aの組成物、ここで前記共役ジエン成分はシクロペンタジエン成分を含む。
2.さらに成形可能なポリマーを含む、態様Aの組成物。
3.成形可能なポリマーは、その共役結合したサブユニットとして前記成分を含む、態様Aの組成物。
4.さらにキャリヤ液体を含む、態様A、B、CまたはDの組成物。
5.態様A、B、CまたはDの組成物の層を含む包装品。
6.態様BまたはCの組成物であって、前記炭素-炭素二重結合の水素化熱がビシクロ[2.2.1]ヘプテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い、前記組成物。
7.態様B、CまたはDの組成物であって、前記ポリマーは成形可能なポリマーを含む、前記組成物。
8.態様B、CまたはDの組成物であって、前記ポリマーは前記成分を含む成形可能なポリマーを含む、前記組成物。
9.態様B、CまたはDの組成物であって、前記成分は成形可能なポリマーの主鎖またはペンダント基を含む、前記組成物。
10.態様B、CまたはDの組成物であって、前記ポリマーは一種以上のポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(イプシロン-カプロラクタム)、熱可塑性フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリラクトン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリフェニレンオキシド、スチレン/マレイン酸無水物、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリオレフィン、ビニル、ポリケトン、その混合物またはその誘導体を含む、前記組成物。
11.態様B、CまたはDの組成物であって、前記ポリマーはポリエステル、コポリエステル、またはその組み合わせを含む、前記組成物。
12.態様11の組成物であって、前記ポリエステルポリマーはポリエチレンテレフタレートを含む、前記組成物。
13.態様A、B、CまたはDの組成物であって、前記酸化触媒は、少なくとも10ppmの量で存在する一種以上の遷移金属錯体を含む、前記組成物。
14.態様A、B、CまたはDの組成物であって、前記組成物は酸化触媒を約25、35または100ppm含む、前記組成物。
15.態様A、B、CまたはDの組成物であって、前記酸化触媒はコバルト触媒を含む、前記組成物。
16.態様A、B、CまたはDの組成物であって、前記組成物は、粒子と酸素掃去成分とのブレンドを含み、触媒は別の粒子中に存在するか、または実質的に存在する、前記組成物。
17.態様16の組成物であって、前記粒子の一つは酸素掃去成分と第一のポリマーとを含み、他方の粒子は触媒と第二のポリマーとを含み、ここで前記第一及び第二のポリマーは同一または異なる、前記組成物。
18.態様A〜Dまたは1〜17のいずれか一つの組成物を含む単層または多層包装品。
19.態様A〜Dまたは1〜17のいずれか一つの成分を混合して、酸素掃去組成物を形成することを含む方法。
20.態様A〜Dまたは1〜17のいずれか一つの組成物を含む包装品を形成することを含む方法。
21.態様Eの方法であって、さらに、
共役ジエンと不飽和成分とを反応させて、前記環式酸素掃去基を含むポリマー前駆体を生成する;及び
前記ポリマー前駆体から成形可能なポリマーを形成することを含む、前記方法。
22.態様Eの方法であって、予備成形された成形可能なポリマーは不飽和成分を含む、前記方法。
23.態様Eの方法であって、予備成形されたポリマーはジエン成分を含む、前記方法。
24.態様Eの方法であって、前記環式酸素掃去基はディールス−アルダー反応を使用して形成する、前記方法。
25.態様Eの方法であって、前記共役ジエン成分は、少なくとも二つの共役二重結合をもつ環式基を含む、前記方法。
26.態様EまたはFの方法であって、前記共役ジエン成分はシクロペンタジエン成分を含む、前記方法。
27.態様EまたはFの方法であって、前記共役ジエン成分はアントラセン、ブタジエン、シクロヘキサジエン、シクロペンタジエン、フラン、イソプレン、メチルビニルケトン、チオフェンまたはその混合物を含む、前記方法。
28.態様Eの方法であって、前記不飽和成分は脂肪酸、コハク酸無水物誘導体またはその混合物を含む、前記方法。
29.態様Fの方法であって、前記ポリマー前駆体はコハク酸無水物誘導体、脂肪酸またはその混合物を含む、前記方法。
30.態様28または29の方法であって、前記コハク酸無水物誘導体はオクテニルコハク酸無水物を含む、前記方法。
31.態様EまたはFの方法であって、前記ポリマーまたは成形可能なポリマーは熱可塑性ポリマーを含む、前記方法。
32.態様EまたはFの方法であって、前記ポリマーまたは成形可能なポリマーは、ポリエステル、コポリエステル、またはその混合物を含む、前記方法。
33.態様32の方法であって、前記ポリマーまたは成形可能なポリマーはポリエチレンテレフタレートを含む、前記方法。
33.態様EまたはFの方法であって、前記ポリマーまたは成形可能なポリマーは2,600を超える数平均分子量を示す、前記方法。
34.態様Eの方法であって、少なくとも一つの環の二重結合は炭素-炭素二重結合を含む、前記方法。
35.態様EまたはFの方法であって、前記ポリマーまたは成形可能なポリマーと、酸化触媒とを含む酸素掃去組成物を形成することをさらに含む、前記方法。
36.態様35の方法であって、前記酸化触媒は一種以上の遷移金属錯体を含む、前記方法。
37.態様35の方法であって、前記酸化触媒はコバルト触媒を含む、前記方法。
38.態様35〜37のいずれか一つの方法であって、前記酸化触媒は、少なくとも約10ppm(重量)、あるいは少なくとも約25または35ppm(重量)の濃度で存在する、前記方法。
39.態様E、Fまたは21〜34のいずれか一つの方法であって、前記ポリマーまたは成形可能なポリマーを含む包装品を形成する段階をさらに含む、前記方法。
40.態様39に記載の方法であって、前記包装品は単層または多層ボトル、カップ、ボウル、容器、クロージャ、フィルム、ラップ、ライナー、コーティング、トレー、カートン、バッグまたはその一部を含む、前記方法。
41.態様E、Fまたは21〜34の方法であって、前記ポリマーまたは成形可能なポリマーを含む固体熱可塑性粒子を形成する段階をさらに含む、前記方法。
42.態様Fの方法であって、前記少なくとも一つの縮合結合基はアミド、カーボネート、エステル、エーテル、イミド、尿素またはウレタン結合基を含む、前記方法。
【実施例】
【0114】
本発明を以下の実施例により説明する。特定の実施例、材料、量、及び手順は、本明細書に記載の本発明の趣旨及び範囲に従って広く解釈すべきものと理解されべきである。他に記載しない限り、全ての部及び百分率は重量であり、全ての分子量は重量平均分子量である。他に特記しない限り、使用した全ての薬品はSigma-Aldrich、セント・ルイス、ミズーリ州などの市販品である。
【0115】
実施例1〜3:ポリマー前駆体の製造
実施例1
ノルボルネン基の形状の環式OS基を含むポリマー前駆体は、トリメチロールプロパン(TMP)1.0モルとシクロペンタジエン-変性アマニ油脂肪酸1.1モルを使用して以下のように製造した。
【0116】
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、シクロペンタジエン-変性アマニ油脂肪酸(シクロペンタジエンとアマニ油脂肪酸とのディールス−アルダー反応生成物)405部、TMP 95部及びFASCAT 4201(Atofinaより市販のジブチルスズオキシド触媒)0.5部を加えた。この混合物を約70分間にわたって210℃に加熱した。混合物をさらに4時間加熱した後、混合物は酸価0.8とヒドロキシル価146であった。次いで混合物を冷却し、フラスコから出した。
【0117】
実施例2
ノルボルネン基の形状の環式OS基を含むポリマー前駆体は、ペンタエリスリトール1.0モルとシクロペンタジエン-変性アマニ油脂肪酸2.1モルを使用して以下のようにして製造した。
【0118】
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、ジシクロペンタジエン-変性アマニ油脂肪酸(ジシクロペンタジエンとアマニ油脂肪酸とのディールス−アルダー反応生成物)1981.8部、ペンタエリスリトール274.4部及びFASCAT 4201 2.2部を加えた。この混合物を約3時間にわたって210℃に加熱した。混合物をさらに2時間加熱した後、混合物は酸価2とヒドロキシル価90であった。次いで混合物を冷却し、フラスコから出した。
【0119】
実施例3
ノルボルネン基の形状の環式OS基を含むポリマー前駆体は、エチレングリコール2モルと、シクロペンタジエンとオクテニルコハク酸無水物とのディールス−アルダー反応生成物(以後、「OSAのシクロペンタジエン付加物」という)1モルを使用して以下のようにして製造した。
【0120】
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、OSAのシクロペンタジエン付加物372.5部、エチレングリコール127.5部及びFASCAT 4201 0.5グラムを加えた。この混合物を約2.5時間にわたって220℃に加熱した。全部で4時間220℃で加熱した後、混合物は酸価2.4とヒドロキシル価179であった。混合物を冷却し、150℃でフラスコから出した。
【0121】
実施例4〜8:ポリエステルOSポリマーの製造
実施例4
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、実施例1のポリマー前駆体435.5部とアジピン酸64.5部を加えた。この混合物を約2.5時間にわたって210℃に加熱した。全部で5時間210℃で加熱した後、混合物は酸価2.4とヒドロキシル価31.5であった。次いで混合物を冷却し、150℃でフラスコから出した。
【0122】
実施例5
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、実施例1のポリマー前駆体428部とアジピン酸72部を加えた。この混合物を約1.5時間にわたって210℃に加熱した。混合物の温度を220℃に上げ、約5.5時間保持した。この時点で混合物は酸価1.8とヒドロキシル価26.2であった。混合物を冷却し、150℃でフラスコから出した。
【0123】
実施例6
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、実施例2のポリマー前駆体460.5部とアジピン酸39.5部を加えた。この混合物を約1.5時間にわたって210℃に加熱した。混合物の温度を220℃に上げた。全部で約2時間220℃で加熱した後、混合物は酸価2.1とヒドロキシル価19.4であった。次いで混合物を冷却し、150℃でフラスコから出した。
【0124】
実施例7
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、実施例2のポリマー前駆体455.5部とイソフタル酸44.5部を加えた。この混合物を約1.5時間にわたって220℃に加熱した。全部で約6.5時間220℃で加熱した後、混合物は酸価2.9とヒドロキシル価23.2であった。次いで混合物を冷却し、150℃でフラスコから出した。
【0125】
実施例8
メカニカルスターラー、充填カラム、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、実施例3のポリマー前駆体400部とアジピン酸78.5部を加えた。この混合物を約2.5時間にわたって220℃に加熱した。全部で約3時間220℃で加熱した後、混合物は酸価4.0であった。次いで混合物を冷却し、150℃でフラスコから出した。
【0126】
実施例4〜8のポリエステルOSポリマーの酸素掃去能
実施例4〜8のポリマー組成物それぞれ150ミリグラム(mg)サンプルをコバルト触媒(6%w/wコバルトTen-Cex)1,000ppmと混合した。サンプルはそれぞれ、周囲大気(即ち酸素約21%)を含む6mlガラス気密バイアルにシールした。周囲温度で16時間後、バイアルに残存する酸素量をOcean Optics Foxy Oxygen Sensor System(Ocean Optics、Dunedin、フロリダ州)を使用して測定した。これは酸素含有量を測定するのに蛍光消光を使用する。センサに2分間暴露した後に結果を測定した。結果を以下の表2に示す。
【0127】
【表2】

【0128】
表2に示されているように、実施例4〜8の組成物に関して優れた酸素掃去性が観察された。これらはそれぞれノルボルネン基の形状の環式OS基を含んでいた。
実施例9
以下の実施例では、酸素掃去ポリマーは、最初に不飽和ポリエステルを製造し、次いでポリエステルの炭素-炭素二重結合とシクロペンタジエンとを反応させることにより製造する。
【0129】
実施例9.1
メカニカルスターラー、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、アマニ油脂肪酸4839.6部、ペンタエリスリトール1160.4部と、FASCAT 4201触媒6.0部を加えた。この混合物を約3時間にわたって170℃に加熱した。ゆっくりと200℃に加熱し、2時間保持した後、混合物は酸価1.0とヒドロキシル価157であった。次いで混合物を冷却し、フラスコから出した。水287部を集めた。
【0130】
実施例9.2
メカニカルスターラー、ディーン-スタークトラップ、コンデンサ及び温度制御デバイスに接続した熱電対を備えた4つ口丸底フラスコに、実施例9.1の付加物2281.2部とアジピン酸317部を加えた。この混合物を約6時間にわたって210℃に加熱した。4時間保持した後、混合物は酸価2.4とヒドロキシル価47.9であった。次いで混合物を冷却し、25ミクロンバッグで濾過した。水65部を集めた。
【0131】
実施例9.3
実施例9.2で製造したポリマー73.3部をジシクロペンタジエン26.7部の入ったParr反応器に入れた。反応器を1時間にわたって240℃に加熱し、圧力は50psi(345kPa)に到達した。圧力が20psi(138kPa)で一定になったので、反応器を240℃で1時間保持した。次いで反応器を通気し、窒素で1時間パージし、続いて240℃で維持しながらHg29インチ(98.2kPa)で吸引した。次いでバッチを冷却し、取り出した。
【0132】
実施例9のOSポリエステルポリマーの酸素掃去能
実施例9のポリエステルポリマーの酸素掃去能を、ポリマー200+/−20mgサンプルを試験した以外には、実施例4〜8で記載したのと同一方法を使用して評価した。
【0133】
【表3】

【0134】
表3に示されているように、実施例9のポリエステルポリマー(ノルボルネン基の形状で環式OS基を含むと考えられる)を含む組成物に関して優れた酸素掃去能が観察された。
実施例10:物品
28mm仕上げと8〜10ミル(mil)側壁をもつ単層23グラム20-オンスボトルを以下のようにして製造した。コバルトネオデカノエート1,000ppm、DILULIN生成物(オイルコーティングを乾燥するための促進剤としてCargillより市販のアマニ油とシクロペンタジエンのディールス−アルダー反応生成物)1%と乾燥Kosa 1101 PET(Invista製、約6時間260℃のオーブン中で予備乾燥)99%を含むブレンドは、不浸透性ホイルで裏打ちしたバッグ中で材料をブレンドすることにより製造した。次いでブレンドを射出成型器の供給口に直接供給し、約270〜290℃でプレフォームに射出成形した。約1日のうちにプレフォームは約95〜105℃のプレフォーム温度で上記ボトルに吹き込み成形した。
【0135】
ボトルの酸素透過特性は、そのようなボトルで使用するのに適しているMocon Oxtran 2-61システム(Modern Controls製)を使用して分析した。分析前に、ボトルはキャリヤガス(窒素98%及び水素2%)の10cc/分(立方センチメートル/分)フロー中、48時間調整した。調整期間後、キャリヤガス中の酸素濃度を10分間隔で20サイクル測定して、一日当たり容器当たりの酸素立方センチメートルでの酸素透過速度(cc/包装/日)を測定した。試験は、周囲温度及び周囲湿度条件下で実施した。結果を以下の表4に示す。
【0136】
【表4】

【0137】
表4のデータは、DILULIN生成物1重量%を含むボトルは優れた酸素バリヤ特性を示すことを表している。これは、PET対照ボトルの約1/100の酸素透過速度であることを意味している。
【0138】
実施例11:物品
単層24グラムの300mlPETビールボトルを、種々のレベルの実施例6の酸素掃去ポリエステルポリマーを含むプレフォームから吹き込み成形した。窒素パージした水をボトルに充填し、エポキシ接着剤を使用してガラススライドでシールした。周囲条件下で貯蔵したボトル内部の酸素濃度は、OXYSENSE酸素試験装置を使用して経時測定した。PET対照ボトル(即ちPET100重量%)と、実施例6のポリエステルポリマー0.3重量%、0.45重量%及び0.6重量%と好適量の酸化触媒とを含むPETボトルに関するデータを表5に示す。
【0139】
【表5】

【0140】
表5のデータから、種々の濃度の実施例6のポリエステルポリマーを含むボトルは全て、優れた酸素バリヤ特性を示したことが明らかである。
実施例12及び13:物品
以下の組成:28.3重量%KOSA 1101 PET;28.3重量% Eastar 6753 PETコポリエステル;28.3重量% Dynapol P1500HVポリエステル(Degussa)及び15.0重量%実施例6の酸素掃去ポリエステルから、Werner and Pfleiderer二軸押出機中でコンパウンディングすることにより第一のブレンドを製造した。コバルトネオデカノエートブレンドは、KOSA 1101PETと同様にコバルトネオデカノエートをコンパウンディングして、99.25重量%KOSA 1101PET及び0.75重量%コバルトネオデカノエート(20.5重量%金属コバルト含有量)を含む組成物を製造した。酢酸コバルトブレンドも、酢酸コバルトとKOSA1101 PETとをコンパウンディングすることにより、99.35重量%KOSA1101 PETと0.65重量%酢酸コバルト(23.6重量%金属コバルト含有量)を含む組成物を製造した。
【0141】
これらの材料は、以下の割合で射出スクリューの供給口に添加することによって27.8グラムPETプレフォームに配合した:実施例12プレフォーム:92重量%KOSA1101 PET、4重量%第一ブレンド及び4重量%コバルトネオデカノエートブレンド;実施例13プレフォーム:92重量%KOSA1101 PET、4重量%第一のブレンド、4重量%酢酸コバルトブレンド。
【0142】
プレフォームを続いて550ml単層ジュースボトルに吹き込み成形した。実施例12及び13のプレフォームから製造したボトルの酸素バリヤ特性は、実施例11の上記方法を使用して評価した。得られたデータを以下の表6に示す。
【0143】
【表6】

【0144】
表6のデータから、種々の対イオンは、酸素との掃去反応に効果的に触媒作用を及ぼすためにコバルトイオンと共に使用できることが明らかである。
本明細書中に引用した全ての特許、特許出願及び刊行物並びにコンピューターを用いて利用可能な資料の完全な開示は、参照として含まれる。上記の詳細な説明及び実施例は、説明の明確さのだめだけに提供されたものである。不必要な限定をしたものと理解すべきではない。当業者にとって明らかな変形は、請求の範囲によって定義された本発明の範囲内に含まれるので、本発明は提示及び記載された詳細な説明に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素掃去組成物であって、
ポリマー;
不飽和二環式基を含む酸素掃去基をもつ酸素掃去成分;及び
酸化触媒
を含む前記酸素掃去組成物。
【請求項2】
前記二環式基が環原子の間に配置された少なくとも一つの二重結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二環式基が命名表記:
ビシクロ[x,y,z]アルケン
(式中、xは2以上であり、且つy及びzはそれぞれ少なくとも1である)によって表される構造を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
xは2または3であり、且つy及びzは独立して1または2である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記二環式基がビシクロ[2.1.1]ヘキセン、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン、ビシクロ[2.2.2]オクテン、ビシクロ[2.2.2]オクタジエンまたはその混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーが酸素掃去成分を含む成形可能なポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーが熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリマーが、一種以上のポリエステル、コポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(イプシロン-カプロラクタム)、熱可塑性フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリラクトン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリフェニレンオキシド、スチレン/無水マレイン酸、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリアミノ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリオレフィン、ビニル、ポリケトン、その誘導体またはその混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーがポリエステルポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリエステルポリマーがポリエチレンテレフタレートを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が酸化触媒を少なくとも約25ppm含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸化触媒が一種以上の遷移金属、遷移金属錯体、またはその混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記酸化触媒がコバルト触媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1の成分を組み合わせて酸素掃去組成物を形成することを含む、方法。
【請求項15】
請求項1の組成物から包装用物品を形成することを含む方法。
【請求項16】
共役ジエン成分と、
不飽和成分と
を提供すること;及び
上記成分の反応生成物である環式酸素掃去基を含む成形可能なポリマーを形成すること、ここで前記環式基は前記環原子の間に配置される二重結合をもつ少なくとも一つの環を含む、
各段階を含む方法。
【請求項17】
少なくとも二つの共役二重結合をもつ、共役ジエン成分の環、及び
不飽和成分の二重結合または三重結合と
からなるディールス−アルダー反応生成物である環式酸素掃去基を含む成分と;
少なくとも約10ppmの酸化触媒と
を含む組成物。
【請求項18】
酸素掃去ポリマーの製造法であって、
少なくとも二つの共役二重結合をもつ環式基を含む共役ジエン成分と
少なくとも一つの二重結合をもつポリマー前駆体とを反応させること;そして
前記反応生成物を含むポリマーを形成すること、ここで少なくとも一つの縮合結合基は前記反応生成物をポリマーの別の部分に結合させる、
各段階を含む前記酸素掃去ポリマーの製造法。
【請求項19】
酸素掃去組成物であって、
ポリマー;
ビシクロ[2.2.1]ヘプテンの水素化熱と少なくともほぼ同程度に高い水素化熱をもつ少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含む酸素掃去基をもつ酸素掃去成分;及び
酸化触媒
を含む、前記酸素掃去組成物。
【請求項20】
酸素掃去組成物であって、
ポリマー;
シクロヘキセンの水素化熱よりも高い水素化熱をもつ炭素-炭素二重結合をもつ少なくとも一つの環を含む酸素掃去基をもつ酸素掃去成分;及び
酸化触媒
を含む、前記酸素掃去組成物。

【公表番号】特表2010−523799(P2010−523799A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503138(P2010−503138)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/059562
【国際公開番号】WO2008/124682
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(503026211)ヴァルスパー・ソーシング・インコーポレーテッド (15)
【Fターム(参考)】