説明

酸素濃度計測装置

【課題】 高速撮影カメラの絞り値Fや露光時間Tや励起光の強度I等を容易に調整することができる酸素濃度計測装置を提供する。
【解決手段】 酸素消光性を有する蛍光塗料が塗布された測定対象領域に、励起光を照射する光源15を有する光照射部10と、測定対象領域に塗布された蛍光塗料面の蛍光強度分布を撮影する撮像装置21を有する撮像部20と、蛍光強度分布に基づいて、測定対象領域の酸素濃度分布を計測する制御部40とを備え、撮像装置21の絞り値F及び撮像装置21の露光時間Tを調整することが可能な酸素濃度計測装置1であって、入力操作が行われる入力装置43と、制御部40は、入力装置43で入力された焦点深度d及び測定時間間隔tに基づいて、撮像装置21の絞り値Fと撮像装置21の露光時間Tの設定に加え励起光の強度Iも設定するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素濃度計測装置に関し、特に測定対象領域に蛍光塗料を塗布し、この蛍光塗料面に励起光を照射することにより蛍光を発生させ、この蛍光強度分布を撮影することにより、測定対象領域の酸素濃度分布を計測する酸素濃度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題が大きくクローズアップされてきている。燃料電池は、高いエネルギー変換効率を有する上に、COの排出削減に寄与するだけでなく、酸性雨の原因や大気汚染の原因となるNOx、SOx、塵埃等の排出がほとんどないクリーンな電池である。さらに、静粛性も高いという利点がある。そのため、燃料電池は、21世紀に最適なエネルギー変換装置として一部実用化されつつある。特に、燃料電池の中でも固体高分子形燃料電池(PEFC)は、作動温度が低くかつ出力密度が高いため、小型化が可能であるという長所を持っている。
【0003】
図4は、固体高分子形燃料電池の一例を示す断面図である。
固体高分子形燃料電池は、高分子固体電解質膜101を中心として酸素極102と水素極103とで挟んだ構成を有する。高分子固体電解質膜101は、例えば、炭素繊維性の多孔性クロス基材上に、高分子固体電解質を含むスラリーを塗布し、次いで焼成することにより得られたイオン交換膜である。そして、酸素極102の外側は、集電体106に担持されるとともに、水素極103の外側は、集電体107に担持されている。
【0004】
酸素極102の外側の周縁部には、枠形状のガスケット104の内側が接触し、さらにガスケット104の外側には、複数の凹部を内側に有するセパレータ板108の内側の突出周縁部が接触している。これにより、セパレータ板108の内側と酸素極102の外側との間に、複数の凹部に対応するように複数の酸素極室109が形成されている。また、セパレータ板108は、内側と外側とを貫通するように酸素極室109に連結する酸素ガス供給口112と、内側と外側とを貫通するように酸素極室109に連結する未反応酸素ガス及び生成水取出口113とを有する。
【0005】
一方、水素極103の外側の周縁部には、枠形状のガスケット105の内側が接触し、さらにガスケット105の外側には、複数の凹部を内側に有するセパレータ板110の内側の突出周縁部が接触している。これにより、セパレータ板110の内側と水素極103の外側との間に、複数の凹部に対応するように複数の水素極室111が形成されている。また、セパレータ板110は、内側と外側とを貫通するように水素極室111に連結する水素ガス供給口114と、内側と外側とを貫通するように水素極室111に連結する未反応水素ガス取出口115とを有する。
【0006】
次に、固体高分子形燃料電池の動作について説明する。水素が水素ガス供給口114から複数の水素極室111を順番に流通するとともに、酸素が酸素ガス供給口112から複数の酸素極室109を順番に流通すると、水素は水素極103により水素イオンと電子とに分離する。水素極103で発生した水素イオンは、高分子固体電解質膜101を選択的に透過する。そして、透過した水素イオンは、酸素極102で酸素と反応し、水となる。このとき、水素極103で発生した電子は、水素極103から外部負荷(図示せず)を通って酸素極102に向かうように流れる。つまり、外部負荷に電流が流れることになる。
【0007】
ところで、固体高分子形燃料電池を普及させるには、コストをはじめ、いろいろな技術課題を解決する必要がある。例えば、固体高分子形燃料電池は、運転時間の経過とともに電池性能が劣化するため、劣化に伴う電池寿命が重要な課題となっている。このような技術課題を解決するためには、酸素が酸素ガス供給口112から複数の酸素極室109にどのように流通したり、複数の酸素極室109でどのように反応したりするのかを解析する必要がある。
【0008】
そこで、複数の酸素極室109の酸素濃度分布を計測する酸素濃度計測方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような酸素濃度計測方法では、測定対象領域となる複数の酸素極室109のセパレータ板108を透明な材料で構成するとともに、セパレータ板108にルテニウム錯体塗料(蛍光塗料)をスプレーや刷毛等を用いて塗布した模擬燃料電池を作製している。そして、蛍光塗料面に励起光(波長470nm)を照射することにより蛍光(約600nm)を発生させ、この蛍光強度分布を撮影している。このとき、蛍光塗料面は、励起光により蛍光を発生させるが、酸素濃度が高い箇所では酸素により蛍光が消光される。これにより、撮影した蛍光強度分布に基づいて、複数の酸素極室109の酸素濃度分布を計測することができる。
【0009】
さらに、このような酸素濃度計測方法を用いるための酸素濃度計測装置も開発されている。図3は、従来の酸素濃度計測装置の一例を示す概略構成図である。
酸素濃度計測装置51は、光照射部10と、撮像部20と、蛍光塗料が塗布された検査体Sが配置される配置部30と、酸素濃度計測装置51全体の制御を行うコンピュータ90とを備える。なお、地面に水平な一方向をX方向とし、地面に水平でX方向と垂直な方向をY方向とし、X方向とY方向とに垂直な方向をZ方向とする。
【0010】
光照射部10は、励起光(波長470nm)を出射するレーザ光源15と、電子シャッタ12と、拡散フィルタ13と、レンズ14と、励起光の強度Iを検知するパワーメータ11と、励起光を2方向へ分割するハーフミラー16とを有する。
このような光照射部10の構成において、レーザ光源15で出射された励起光は、ハーフミラー16で2方向へ分割される。ハーフミラー16で分割された励起光が進行する2方向のうちの1方向の励起光は、電子シャッタ12と拡散フィルタ13とレンズ14とをこの順で通過して、配置部30の測定対象領域に照射されるようになっている。一方、ハーフミラー16で分割された励起光が進行する2方向のうちの残りのもう1つの方向の励起光は、パワーメータ11で強度Iが検出されるようになっている。
なお、レーザ光源15は、出射する励起光の強度Iを調整することが可能となっており、コンピュータ90からの制御信号によって制御されるようになっている。
【0011】
撮像部20は、レンズ21aを有する高速撮影カメラ(撮像装置)21を有する。高速撮影カメラ21は、複数の光検出素子が行方向と列方向とに並べられたものであり、各光検出素子にはそれぞれの位置に応じた輝度値の蛍光が入射するようにしてある。したがって、各光検出素子の出力信号は、配置部30の測定対象領域の各位置ごとの蛍光の輝度値を表すことになる。
なお、高速撮影カメラ21は、絞り値Fと露光時間Tとを調整することが可能となっており、コンピュータ90からの制御信号によって制御されるようになっている。
【0012】
また、検査体SにX方向から励起光を照射するとともに、−X方向に進行する蛍光を検出するために、励起光を透過させるとともに蛍光を反射する平板形状のミラー31が配置されている。これにより、X方向に進行する励起光は、ミラー31を透過することにより、配置部30の測定対象領域に照射され、配置部30の測定対象領域で発生した蛍光は、−X方向に進行して、ミラー31によって進行方向を変え、さらにミラー32によって進行方向を変え、高速撮影カメラ21に入射するようになっている。
【0013】
コンピュータ90は、CPU(制御部)91とメモリ(記憶部)94とを備え、さらにモニタ(表示装置)42と操作部(入力装置)43とが連結されている。また、CPU91が処理する機能をブロック化して説明すると、レーザ光源15を制御する光源制御部91aと、高速撮影カメラ21を制御する撮像装置制御部91bとを有する。
【0014】
撮像装置制御部91bは、操作部43で所望の絞り値Fと所望の露光時間Tとが入力されると、入力された絞り値Fと露光時間Tとなるように、高速撮影カメラ21を制御し、その後、高速撮影カメラ21から蛍光強度分布画像を取得する制御を行う。
光源制御部91aは、操作部43で励起光の所望の強度Iが入力されると、入力された励起光の強度Iとなるように、パワーメータ11で検出された強度Iに基づいてレーザ光源15を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−331733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上述したような酸素濃度計測装置51で蛍光強度分布画像を取得するには、高速撮影カメラ21の絞り値Fや露光時間Tや励起光の強度I等を適切に調整する必要がある。
例えば、高速撮影カメラ21の絞り値Fの調整に関しては、必要な焦点深度dを確保した上で、絞り値Fをできるだけ開放して取得画像を明るくなるようにしたい。
【0017】
また、高速撮影カメラ21の露光時間Tの調整に関しては、蛍光塗料面が酸素により消光されないときに得られる最大輝度値が、例えば撮影可能最大輝度値の半分の輝度値程度になるようにしたい。
さらに、励起光の強度Iの調整に関しては、蛍光塗料に強い強度Iの励起光を照射すると、蛍光の輝度値が大きくなるが、蛍光塗料そのものが励起光によって劣化することがあり、できるだけ弱い強度Iの励起光を照射したい。
【0018】
しかしながら、高速撮影カメラ21の絞り値Fや露光時間Tや励起光の強度I等を適切に調整するには、時間がかかり、使用者によって調整した値が異なることがあった。
そこで、本発明は、高速撮影カメラの絞り値Fや露光時間Tや励起光の強度I等を容易に調整することができる酸素濃度計測装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するためになされた本発明の酸素濃度計測装置は、酸素消光性を有する蛍光塗料が塗布された測定対象領域に、励起光を照射する光源を有する光照射部と、前記測定対象領域に塗布された蛍光塗料面の蛍光強度分布を撮影する撮像装置を有する撮像部と、前記蛍光強度分布に基づいて、前記測定対象領域の酸素濃度分布を計測する制御部とを備え、前記撮像装置の絞り値F及び前記撮像装置の露光時間Tを調整することが可能な酸素濃度計測装置であって、入力操作が行われる入力装置をさらに有し、前記制御部は、前記入力装置で入力された焦点深度d及び測定時間間隔tに基づいて、前記撮像装置の絞り値F及び前記撮像装置の露光時間Tを設定するようにしている。
【0020】
ここで、「酸素消光性を有する蛍光塗料」としては、例えば、バインダにポリスチレン等の酸素透過性のある高分子材料が用いられ、色素に白金ポルフィリンやルテニウム等の紫外から青色の励起光に反応して発光し、かつ、酸素消光性を有する材料が用いられたもの等が挙げられる。
また、「測定時間間隔」とは、計測しようとする酸素濃度分布の測定時間間隔(時間分解能)のことをいう。
【0021】
本発明の酸素濃度計測装置によれば、入力装置で焦点深度d及び測定時間間隔tを入力すると、例えば、焦点深度dと絞り値Fとの関係式を用いて、関係式に焦点深度dが代入されることにより、絞り値Fが自動的に設定される。また、入力装置で入力された測定時間間隔tを撮像装置の初期露光時間間隔Tとすることにより撮影された蛍光強度分布画像の輝度値に基づいて、撮像装置の露光時間Tが自動的に設定される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の酸素濃度計測装置によれば、高速撮影カメラの絞り値Fや露光時間Tを容易に調整することができる。
【0023】
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、上記の発明において、下記式(1)を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、式(1)に前記入力装置で入力された焦点深度dを代入することにより、前記撮像装置の絞り値Fを設定するとともに、前記入力装置で入力された測定時間間隔tを前記撮像装置の初期露光時間Tとすることにより撮影された蛍光強度分布画像の輝度値に基づいて、前記撮像装置の露光時間Tを設定するようにしてもよい。
d=±(ε×F) ・・・(1)
ここで、εは許容散乱角円である。
【0024】
また、上記の発明において、前記光源から出射される励起光の強度Iを調整することが可能となっており、前記光源から出射される励起光の初期強度Iを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記初期強度Iの励起光を照射することにより撮影された蛍光強度分布画像の輝度値に基づいて、前記光源から出射される励起光の強度Iを設定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態である酸素濃度計測装置の一例を示す概略構成図。
【図2】本発明の調整方法について説明するためのフローチャート。
【図3】従来の酸素濃度計測装置の一例を示す概略構成図。
【図4】固体高分子形燃料電池の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態である酸素濃度計測装置の一例を示す概略構成図である。なお、上述した従来の酸素濃度計測装置51と同様のものについては、同じ符号を付している。
酸素濃度計測装置1は、光照射部10と、撮像部20と、蛍光塗料が塗布された検査体Sが配置される配置部30と、酸素濃度計測装置1全体の制御を行うコンピュータ40とを備える。なお、地面に水平な一方向をX方向とし、地面に水平でX方向と垂直な方向をY方向とし、X方向とY方向とに垂直な方向をZ方向とする。
【0028】
コンピュータ40は、CPU(制御部)41とメモリ(記憶部)44とを備え、さらにモニタ(表示装置)42と操作部(入力装置)43とが連結されている。また、CPU41が処理する機能をブロック化して説明すると、レーザ光源15を制御する光源制御部41aと、高速撮影カメラ21を制御する撮像装置制御部41bと、光源制御部41aと撮像装置制御部41bとに指示信号を出力する算出部41cとを有する。
また、メモリ44は、焦点深度dと絞り値Fとの関係を示す式(1)を記憶する関係式記憶領域44aと、レーザ光源15から出射される励起光の初期強度I(例えば、出射可能最大強度の10%の強度等)を記憶する初期データ記憶領域44bと、最適範囲輝度値(例えば、高速撮影カメラ21の最大撮影可能輝度値の40%〜60%の輝度値等)を記憶する最適範囲輝度値記憶領域44cとを有する。
d=±(ε×F) ・・・(1)
ここで、εは許容散乱角円である。
【0029】
算出部41cは、操作部43で焦点深度dと測定時間間隔tとが入力されると、式(1)に操作部43で入力された焦点深度dを代入することにより、高速撮影カメラ21の絞り値Fを算出して設定し、操作部43で入力された測定時間間隔tを高速撮影カメラ21の初期露光時間Tとするとともに励起光の強度Iを初期強度Iにする指示信号を、光源制御部41aと撮像装置制御部41bとに出力する制御をまず行う。その後、撮影された蛍光強度分布画像の輝度値に基づいて、高速撮影カメラ21の露光時間Tと励起光の強度Iとを算出して設定する指示信号を、光源制御部41aと撮像装置制御部41bとに出力する制御を次に行う。
【0030】
撮像装置制御部41bは、算出部41cからの指示信号が入力されると、指示信号に基づいて高速撮影カメラ21を制御し、その後、高速撮影カメラ21から蛍光強度分布画像を取得する制御を行う。
光源制御部41aは、算出部41cからの指示信号が入力されると、指示信号とパワーメータ11で検出された強度Iとに基づいてレーザ光源15を制御する。
【0031】
ここで、酸素濃度計測装置1で高速撮影カメラ21の絞り値Fや露光時間Tや励起光の強度I等を調整する調整方法について説明する。図2は、調整方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、測定者は、蛍光塗料が塗布された検査体Sを配置部30に配置する。
次に、ステップS102の処理において、測定者は、操作部43で焦点深度dと測定時間間隔tとを入力する。つまり、酸素濃度計測装置1では、所望の絞り値Fと所望の露光時間Tと励起光の所望の強度Iとは入力されない。
【0032】
次に、ステップS103の処理において、算出部41cは、式(1)に操作部43で入力された焦点深度dを代入することにより、高速撮影カメラ21の絞り値Fを算出して設定する。
次に、ステップS104の処理において、算出部41cは、操作部43で入力された測定時間間隔tを高速撮影カメラ21の初期露光時間Tとするように設定する。
次に、ステップS105の処理において、算出部41cは、励起光の強度Iを初期強度Iにするように設定する。
【0033】
次に、ステップS106の処理において、撮像装置制御部41bは、高速撮影カメラ21から蛍光強度分布画像を取得する。
次に、ステップS107の処理において、算出部41cは、撮影された蛍光強度分布画像における最大輝度値が最適範囲輝度値(例えば高速撮影カメラ21の最大撮影可能輝度値の40%〜60%の輝度値)に対してどのようになっているかを判定する。撮影された蛍光強度分布画像における最大輝度値が最適範囲(例えば40%〜60%の輝度値)内に入っている場合には、調整完了として本フローチャートを終了させることになる。
【0034】
一方、撮影された蛍光強度分布画像における最大輝度値が最適範囲の最大輝度値(例えば高速撮影カメラ21の最大撮影可能輝度値の60%の輝度値)を上回る場合には、ステップS108の処理において、算出部41cは、現在の露光時間Tより短くなるように設定して、ステップS106の処理に戻る。このとき、例えば、算出部41cは、2分探索法等を用いて露光時間Tを算出したり、例えば10%短くなるように算出する。
【0035】
また、撮影された蛍光強度分布画像における最大輝度値が最適範囲の最小輝度値(例えば高速撮影カメラ21の最大撮影可能輝度値の40%の輝度値)を下回る場合には、ステップS109の処理において、算出部41cは、励起光の強度Iが出射可能最大強度であるか否かを判定する。励起光の強度Iが出射可能最大強度であると判定した場合には、調整不可として本フローチャートを終了させることになる。
一方、励起光の強度Iが出射可能最大強度でないと判定した場合には、ステップS110の処理において、算出部41cは、現在の励起光の強度Iより例えば10%強くなるように設定して、ステップS106の処理に戻る。
【0036】
以上のように、酸素濃度計測装置1によれば、高速撮影カメラ21の絞り値Fや露光時間Tや励起光の強度I等を容易に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、測定対象領域に蛍光塗料を塗布し、この蛍光塗料面に励起光を照射することにより蛍光を発生させ、この蛍光強度分布を撮影することにより、測定対象領域の酸素濃度分布を計測する酸素濃度計測装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 酸素濃度計測装置
10 光照射部
15 レーザ光源
20 撮像部
21 高速撮影カメラ(撮像装置)
40 制御部
43 入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素消光性を有する蛍光塗料が塗布された測定対象領域に、励起光を照射する光源を有する光照射部と、
前記測定対象領域に塗布された蛍光塗料面の蛍光強度分布を撮影する撮像装置を有する撮像部と、
前記蛍光強度分布に基づいて、前記測定対象領域の酸素濃度分布を計測する制御部とを備え、
前記撮像装置の絞り値(F)及び前記撮像装置の露光時間(T)を調整することが可能な酸素濃度計測装置であって、
入力操作が行われる入力装置をさらに有し、
前記制御部は、前記入力装置で入力された焦点深度(d)及び測定時間間隔(t)に基づいて、前記撮像装置の絞り値(F)及び前記撮像装置の露光時間(T)を設定することを特徴とする酸素濃度計測装置。
【請求項2】
下記式(1)を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、式(1)に前記入力装置で入力された焦点深度(d)を代入することにより前記撮像装置の絞り値(F)を設定するとともに、
前記入力装置で入力された測定時間間隔(t)を前記撮像装置の初期露光時間(TS)とすることにより撮影された蛍光強度分布画像の輝度値に基づいて、前記撮像装置の露光時間(T)を設定することを特徴とする請求項1に記載の酸素濃度計測装置。
d=±(ε×F) ・・・(1)
ここで、εは許容散乱角円である。
【請求項3】
前記光源から出射される励起光の強度(I)を調整することが可能となっており、
前記光源から出射される励起光の初期強度(Is)を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記初期強度(Is)の励起光を照射することにより撮影された蛍光強度分布画像の輝度値に基づいて、前記光源から出射される励起光の強度(I)を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素濃度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−247393(P2012−247393A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121782(P2011−121782)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】