説明

酸素濃縮マスク

【課題】従来の酸素濃縮装置は、構造上複雑で大きく重く高価であったため、必要なときにいつでもどこでも簡便に酸素を安価に濃縮して得ることが難しい点である。
【解決手段】マスクに永久磁石を支持体で設置手段により設けたことを最も主要な特徴とする。好ましくは設置手段が、通気性の非磁性支持体で、設置手段が接着、粘着、縫合、磁力、ねじ込み、缶合、挟持、固着、脱着、磁力吸引の中から選択される少なくとも一により設置したものであること。また支持体は、接着剤、不織布、ガーゼ、パンチ加工網、金属メッシュ、プラスチックメッシュ、マスクフィルター、マスクフィルターケース、クリップ、面ファスナー、引っ掛け鉤、止具からなる群より選択された少なくとも一であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中から酸素を濃縮する酸素濃縮マスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気中の主な組成は、窒素、酸素で、それぞれ78.08%、20.93%であり、残りがアルゴン、水蒸気、二酸化炭素などである。
【0003】
また、窒素は反磁性体で、酸素は常磁性体である。更に磁化率は窒素、酸素それぞれ−0.4×10-6〔cm3 /g〕、104×10-6〔cm3 /g〕であり、酸素は空気中の気体では最大の磁化率である。従って、空気のような窒素、酸素などが混在した気体中に永久磁石を置いた場合、反磁性体である窒素は永久磁石に反発して遠ざかるが、磁化率が高く常磁性体である酸素は永久磁石に吸い寄せられ酸素濃度が高くなることが知られている。
【0004】
酸素は、各産業・医療において非常に重要な気体であることから、従来、空気中から酸素を濃縮する方法・装置が研究開発されてきており、次のようなものがある。
【0005】
酸素選択透過膜(酸素富化膜)を用いた膜分離型は、その濃縮性能が酸素28%から40%程度である。また、窒素を選択的に吸着する吸着剤を使用した吸着型は、医療用酸素濃縮器に使用されており、酸素濃度は最大97%程度まで濃縮が可能である。これらのほか、酸素イオンを選択的に透過する固体電解質膜を利用して電気化学的に酸素を生成する型などがある。更に、工業的に大規模に酸素濃縮する方法としては、深冷分離法があり、空気の圧縮と減圧によって空気を液化させ、得た液化空気を分留することによってほぼ100%近い酸素を得ることが出来る。
【0006】
上述のように、空気中の酸素を分離する方法・装置は多くあるが、それぞれに欠点があった。例えば、酸素富化膜による気体分離の場合には、家庭用にも使用されているが、定価は大変高額となっているうえ、経年劣化するという欠点がある。また、医療用酸素濃縮器の主流は吸着型であるが、日本国内では安価なものでも10数万円で流通しており、個人が購入する際もこの程度の価格で、かなりの負担を強いられる。しかも、装置は重く、移動は困難であった。更に、電気化学的に酸素を生成する型、あるいは深冷分離法は、装置が非常に大きいことから医療現場、家庭用には適さない。
【0007】
このような理由から、空気中の酸素を簡単な装置で濃縮可能となれば、産業界、医療界にとって極めて大きな力となるのは間違いのないところである。そのため、より簡便に酸素を濃縮出来るもの、例えば、マスクを装着する簡便さが求められていた。
【0008】
そのマスクには、簡易マスク、防塵マスク、毒ガスマスク、感染防止用マスク、保温・保湿用マスク、防菌マスク、花粉症対策マスク、酸素マスクなど数え上げたらきりが無いほど多くの種類がある。しかし、どのマスクであろうと、従来、空気中の酸素のみを濃縮する機能を持ったマスクは存在しなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、従来の酸素濃縮装置は、構造上複雑で大きく重く高価であったため、必要なときに簡便に酸素を安価に濃縮して得ることが難しい点である。そこで、本発明は、いつでもどこでも簡便に酸素を濃縮するマスクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、請求項1の発明は、マスクを永久磁石に支持体で設置手段により設けたことを最も主要な特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の酸素濃縮マスクにおいて、前記設置手段が、接着、粘着、縫合、ねじ込み、はめ込み、挟持、固着、磁力吸着からなる群より選択された少なくとも一の手段であることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮マスクにおいて、前記支持体が、非磁性体であることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の酸素濃縮マスクにおいて、前記支持体が通気性を有することを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の酸素濃縮マスクにおいて、前記支持体が、接着剤、不織布、ガーゼ、パンチ加工網、金属メッシュ、プラスチックメッシュ、マスクフィルター、マスクフィルターケース、クリップ、面ファスナー、引っ掛け鉤、止具からなる群より選択された少なくとも一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の酸素濃縮マスクは、空気中の主な気体である窒素、酸素などの混合気体の中から永久磁石の働きにより安価かつ簡便に酸素を効率的により分けて濃縮するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の酸素濃縮マスクの一実施例の概略図である。(実施例1)
【図2】図1のA-A断面図である。
【図3】本発明の酸素濃縮マスクの一実施例を示した説明図である。(実施例2)
【図4】図3のB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
空気中から酸素のみを濃縮して得るという目的を、最小の部品点数により実現した。
【実施例】
【0018】
図1は、本発明の一実施例を示した説明図であって、図2は図1のA−A断面図である。図1において、1はマスク、2は耳掛け紐、3は永久磁石、4は止具である。図2において、1、3、4は図1と同様であり、5は通気性の非磁性支持体である。この実施例においては、永久磁石3を通気性の非磁性支持体5を使用して挟持させて止具4でマスク1に挟持し固定する。使用に当たっては、マスク1の耳掛け紐2を両耳に掛けるだけである。このようにマスク1を装着すると、マスク1の周囲にある空気中の窒素は反磁性体であるため通気性の非磁性支持体5に挟持された永久磁石3の磁極と同じ磁性に帯磁し、永久磁石3に反発して遠ざかる。一方、酸素は永久磁石3の磁極と反対の磁性に帯磁するために永久磁石3に引き寄せられるため永久磁石3の周囲は高濃度の酸素が集まる。このとき、永久磁石3の磁極の向きは図示していないが、より気体に近い磁極の極性に対して窒素は反磁性の性質を示すので、どちらの極性であっても永久磁石3から窒素が遠ざかる。一方、酸素の場合には、逆に永久磁石3の極性がどちらであっても永久磁石3に酸素が吸い寄せられる。これだけでは永久磁石3の周囲に集まった酸素は動くことはないが、人間の呼吸する力によって、永久磁石3の周囲に高濃縮された酸素が人の口から入ることになる。なお、この永久磁石3、止具4、通気性の非磁性支持体5は一体となっておりマスク1とは止具4で止めてあるだけなので脱着可能であり、マスク1から外して洗って別の新しいマスクに装着することが可能であることから、半永久的に使用可能である。
【0019】
図3は、本発明の一実施例を示した説明図であって、防塵マスクに設置する場合の実施例である。図4は図3のB−B断面図である。図3において、1、3、5は図1と同様であり、6はフィルター、7はフィルター格納ケース、8はマスク覆い部、9は透明窓、10は装着バンド、11は非磁性体である。永久磁石3を通気性の非磁性支持体5で挟持したものをマスク1のフィルター6部のフィルター格納ケース7にはめ込み、フィルター格納ケース7のねじにより固定する。なお、この場合、本来のフィルター6の前後どちらに設置することも可能である。この実施例においての窒素と酸素の挙動は、上記実施例1と同様であり、マスク1の周囲にある空気中の窒素は反磁性体であるため通気性の非磁性支持体5に挟持された永久磁石3の磁極と同じ磁性に帯磁するため、永久磁石3に反発して遠ざかる。一方、酸素は永久磁石3と反対の磁性に帯磁するために永久磁石3に引き寄せられるため、永久磁石3の周囲は高濃度の酸素が集まる。この高濃度酸素が、人間の呼吸する力によって、人の口から入ることになる。なお、この実施例の永久磁石3、通気性の非磁性支持体5は一体となっており、マスク1のフィルター格納ケース7とはねじ込みにより固定してあるだけのため、脱着可能であるので、外して洗ってフィルター格納ケース7に再設置して使用出来、実施例1と同様に半永久的に使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の酸素濃縮マスクは、産業用小規模燃焼装置、医療用、家庭用、スポーツ用の各濃縮酸素源という用途にも適用出来る。
【符号の説明】
【0021】
1 マスク
2 耳掛け紐
3 永久磁石
4 止具
5 通気性の非磁性支持体
6 フィルター
7 フィルター格納ケース
8 マスク覆い部
9 透明窓
10 装着バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを永久磁石に支持体で設置手段により設けたことを特徴とする酸素濃縮マスク。
【請求項2】
前記設置手段が、接着、粘着、縫合、ねじ込み、はめ込み、挟持、固着、脱着可能、磁力吸着からなる群より選択された少なくとも一の手段であることを特徴とした請求項1に記載の酸素濃縮マスク。
【請求項3】
前記支持体が、非磁性体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素濃縮マスク。
【請求項4】
前記支持体が通気性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の酸素濃縮マスク。
【請求項5】
前記支持体が、接着剤、不織布、ガーゼ、パンチ加工網、金属メッシュ、プラスチックメッシュ、マスクフィルター、マスクフィルターケース、クリップ、面ファスナー、引っ掛け鉤、止具からなる群より選択された一であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の酸素濃縮マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−55997(P2013−55997A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195273(P2011−195273)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(390008095)