説明

酸素濃縮器

【課題】喫煙やマッチの使用等の火気の発生状態を精度良く確実に検出して、火災等の発生を事前に防止することができる酸素濃縮器を提供すること。
【解決手段】空気中から酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成し、この酸素濃縮ガスを使用者に対して供給する圧力変動吸着型の酸素濃縮器1は、酸素濃縮器本体2に接続され、この酸素濃縮器本体2側から使用者に酸素濃縮ガスを供給するカニューラ9と、酸素濃縮器本体2に接続されるとともに、カニューラ9に沿って配置され、使用者の近傍から酸素濃縮器本体2側にガスを導入するガス導入管13と、酸素濃縮器本体2に配置されるとともに、ガス導入管13に接続され、ガスを酸素濃縮器本体2側に吸引する吸引ポンプ107と、吸引ポンプ107によって酸素濃縮器本体2側に吸引された空気から、使用者の喫煙を検知する喫煙検知センサ109を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、酸素より窒素を優先的に吸着する吸着剤を用いて生成した高濃度の酸素(酸素濃縮ガス)を患者等に供給する酸素濃縮器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、呼吸器系疾患の最も効果的な治療法の一つとして、酸素吸入療法が知られている。この酸素吸入療法とは、酸素ガス或いは酸素濃縮ガスを患者に供給する方法であり、その供給源として、最近では、空気中から酸素濃縮ガスを直接分離できる酸素濃縮器が開発されている。
【0003】
かかる酸素濃縮器としては、例えば窒素又は酸素を選択吸着して得られる吸着剤を用いた吸着型酸素濃縮器が知られており、この吸着型酸素濃縮器としては、例えばコンプレッサを用いた圧力変動吸着型酸素濃縮器が使用されている。
【0004】
この種の酸素濃縮器においては、例えば装置本体に接続されたカニューラを、患者の鼻等に取り付けることにより、患者に酸素濃縮ガスを供給しているが、カニューラによって供給する酸素濃縮ガスの酸素濃度が高いので(例えば95体積%)、患者や同居人の喫煙や火気の使用によって、火災や火傷等の事故が発生している。
【0005】
この対策として、下記特許文献1、2の様に、カニューラを難燃性や耐熱性の繊維で被覆したり、カニューラを不燃材の継ぎ手で中継する技術が提案されている。また、下記特許文献3の様に、装置本体に喫煙検知センサを取り付けた技術が提案されている。
【0006】
また、これとは別に、下記特許文献4には、使用者が装置本体と電線で接続されたリモコンを携帯する場合には、リモコンに(炎を検知する)紫外線センサ等を備え、炎を検知した場合に、異常の発生や装置を停止する制御が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第02598126号公報
【特許文献2】特許第04401997号公報
【特許文献3】特開2001−314507号公報
【特許文献4】実登03147312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1、2では、(酸素濃縮ガスの)着火後の延焼を防止できるが、火災等の発生を事前に防止する技術としては十分ではない。
また、前記特許文献3では、喫煙検知センサを装置本体に設けるので、例えば使用者がカニューラを長く伸ばし、装置本体から離れた場所で喫煙した場合には、使用者の喫煙を確実に検知できないという問題があった。
【0009】
更に、前記特許文献4では、装置本体からリモコンまで長い電線を配置するので、ノイズが乗り易く、精度良く炎等の検知ができないという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、喫煙やマッチの使用等の火気の発生状態を精度良く確実に検出して、火災等の発生を事前に防止することができる酸素濃縮器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、第1態様として、空気中から酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成し、この酸素濃縮ガスを使用者に対して供給する圧力変動吸着型の酸素濃縮器において、前記酸素濃縮器の本体に接続され、該本体側から前記使用者に酸素濃縮ガスを供給するカニューラと、前記酸素濃縮器の本体に接続されるとともに、前記カニューラに沿って配置され、前記使用者の近傍から前記本体側にガスを導入するガス導入管と、前記酸素濃縮器の本体に配置されるとともに、前記ガス導入管に接続され、前記ガスを前記本体側に吸引する検知用吸引機構と、前記検知用吸引機構によって前記本体側に吸引されたガスから、前記使用者の近傍のガスの状態を検知するガス状態検知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明では、カニューラに沿ってガス導入管を配置し、検知用吸引機構を作動させることによって、ガス導入管を介して使用者の近傍から本体側に使用者の近傍のガス(空気)を導入することができる。よって、ガス状態検知手段によって、この本体側に導入したガスから使用者の近傍の(火気の使用状態等に対応する)ガスの状態を検知することができる。
【0012】
つまり、本発明によれば、例えば喫煙等の火気の使用に起因するようなガスの状態を検知できるので、酸素濃縮ガスに着火するような火災の発生を事前に防止することができる。また、ガス導入管を使用者の近傍まで延ばすので、例えば使用者がカニューラを長く伸ばし、装置本体から離れた場所で喫煙した場合でも、使用者の喫煙を確実に検知することができる。更に、従来の様に、装置本体からリモコンまで長い電線を配置する必要が無いので、電線にノイズが乗るという恐れがなく、精度良く火気の使用を検知することができる。
【0013】
この様に、本発明では、喫煙やマッチの使用等の火気の発生状態を精度良く確実に検出して、火災等の発生を事前に防止することができるという顕著な効果を奏する。
ここで、ガス状態検知手段としては、吸引したガスから例えば火気の発生と思われる現象(ガスの状態)を検知できる手段であれば限定はない。例えば喫煙をした場合には、CO濃度が上昇すると考えられるので、CO濃度を検出するCO濃度センサを用いることができる。また、例えば喫煙をした場合には、煙が発生すると考えられるので、煙の発生を光学的に検出する光学センサ(例えばLED+フォトセンサ)を用いることができる。
【0014】
(2)本発明では、第2態様として、前記酸素濃縮器の本体には、前記酸素濃縮を行うための前記空気を本体側に吸引する濃縮用吸引機構を備えるとともに、該濃縮用吸引機構とは別に、前記検知用吸引機構を備えたことを特徴とする。
【0015】
一般に、酸素濃縮に使用する濃縮用吸引機構(例えばコンプレッサ)は、酸素濃縮ガスを供給する流量によって変動する。従って、濃縮用吸引機構とは別の検知用吸引機構(例えば吸引ポンプ)を使用することにより、濃縮用吸引機構の動作状態にかかわらず、常に一定量の流量のガスを吸引することができる。よって、喫煙等による火気の使用などの検出を、常に精度良く行うことができる。
【0016】
(3)本発明では、第3態様として、前記ガス導入管のガス導入側が、先端ほど広がった開口部を有することを特徴とする。
このように、ガス導入管の先端側(先端の開口部)が、先端ほど広がっていることにより、(例えばCOなどの存在する可能性の高い)顔等の周辺からガス導入管へ効率よくガスを導入することができる。よって、喫煙等による火気の使用などの検出を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1の酸素濃縮器の外観を示す説明図である。
【図2】実施例1の酸素濃縮器の操作パネルを示す説明図である。
【図3】実施例1の酸素濃縮器の基本構成を示す説明図である。
【図4】カニューラ等が接続された酸素濃縮器の構成を示す説明図である。
【図5】実施例1の酸素濃縮器の電子制御装置の電気的構成を示す説明図である。
【図6】実施例1の電子制御装置にて行われる処理を示すフローチャートである。
【図7】酸素濃縮器に用いられる他のガス導入管を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の例(実施例)について説明する。
【実施例1】
【0019】
本実施例では、空気中から窒素吸着剤(以下吸着剤と記す)を用いて窒素を吸着して除去することにより酸素を濃縮し、この高濃度の酸素を含む酸素濃縮ガスを患者に対して供給する圧力変動吸着型の医療用酸素濃縮器(以下酸素濃縮器と記す)を例に挙げる。
【0020】
a)まず、本実施例の酸素濃縮器の装置本体の外観について説明する。
図1に示す様に、酸素濃縮器1の装置本体(以下単に酸素濃縮器本体2と記す)は、略直方体形状の筐体3の正面の上部に、酸素濃縮器本体2の操作やその動作の表示を行う操作パネル5が設けられ、その下方には、酸素濃縮ガスの加湿を行う加湿器7が配置されている。
【0021】
また、加湿器7の近傍には、後に詳述する様に、酸素濃縮ガスを酸素濃縮器本体2側からに患者に供給するために、カニューラ(例えば鼻カニューラ)9(図4参照)が接続されるカニューラ接続部11と、患者の顔(特に口や鼻)の近傍のガス(空気)を酸素濃縮器本体2側に吸引するために、ガス導入管13(図4参照)が接続されるガス導入管接続部15が設けられている。
【0022】
なお、ここでは、(加湿器7を備えた)酸素濃縮器本体2とそれに接続されたカニューラ9及びガス導入管13を、酸素濃縮器1と称する。
図2に示す様に、操作パネル5には、酸素濃縮器本体2の運転/停止を行うための電源スイッチ17と、正常運転時に点灯する運転ランプ19と、異常発生時に点灯/点滅する異常ランプ21と、酸素濃縮ガスの流量の設定値をマニュアルにて切り換える流量設定つまみ23と、設定された流量値を示す流量表示器25と、酸素濃縮器本体2の使用開始からの積算時間を表示する外部積算時間表示器27と、酸素濃縮ガスの濃度の状態を点灯/点滅により表示する酸素濃度ランプ29と、加湿器7の異常を点灯して表示する加湿器漏れランプ31と、カニューラ9の折れの異常を点灯して表示するカニューラ折れランプ33と、酸素濃縮ガスの流れの状態を表示する流れ表示ランプ35とが設けられている。
【0023】
b)次に、本実施例の酸素濃縮器本体2の内部構成について説明する。
図3に示す様に、筐体3内には、空気取入口41及び防塵フィルタ43を介して周囲の空気が導入され、導入された空気は、吸気フィルタ45及び吸気マフラ47を介してコンプレッサ49に吸入される。
【0024】
コンプレッサ49は、モータ51の回転により、吸入空気を圧縮して高圧空気を生成し、生成された高圧空気は、チェック弁53、55、供給弁(第1供給弁57、第2供給弁59)を介して、一対の吸着筒(第1吸着筒61、第2吸着筒63)に供給される。
【0025】
供給弁57、59から吸着筒61、63に至る高圧空気の供給経路には、それぞれ排気弁(第1排気弁65、第2排気弁67)が接続されており、排気弁65、67の開弁時には、各吸着筒61、63を大気に開放できる。
【0026】
吸着筒61、63には、空気中の窒素を優先的に吸着して酸素を分離するゼオライト系の吸着剤が充填されている。そして、排気弁65、67が閉弁状態にあるとき、チェック弁53、55及び供給弁57、59を介して、コンプレッサ49から高圧空気が供給されると、その空気中から窒素を吸着して酸素濃縮ガスを生成し、酸素濃縮ガスをチェック弁79、81を介して製品タンク83側に送出する。
【0027】
なお、吸着筒61、63からチェック弁79、81に至る酸素濃縮ガスの吐出経路には、両吸着筒61、63の吐出側を連通する連通路85が設けられ、その連通路85には、オリフィス87、89を介して電磁弁からなるパージ弁91が設けられている。
【0028】
また、製品タンク83の下流側には、酸素濃縮ガスの圧力を調節する圧力調節器93が設けられ、圧力調整器93で調圧された酸素濃縮ガスは、流量設定器95によって流量が設定された後に、加湿器7まで送られ、加湿器7にて加湿された後、カニューラ接続部11に供給される。
【0029】
更に、酸素濃縮ガスの排出経路には、酸素濃縮ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ99と、酸素濃縮ガスの流量を検出する流量センサ101が設けられている。
特に本実施例では、カニューラ接続部11に隣接してガス導入管接続部15が設けられており、このガス導入管接続部15は、内部ガス流路103によって、(ガスを酸素濃縮器本体2外に排出する)ガス排気部105に接続されている。
【0030】
また、前記内部ガス流路103には、顔の周囲の空気をガス導入管13からガス導入管接続部15を介して酸素濃縮器本体2内に導入(吸引)するために、検知用吸引機構として吸引ポンプ107が配置されるとともに、吸引ポンプ107の上流側に(下流側でもよい)、吸引ポンプ107によって酸素濃縮器本体2内に吸引された空気から喫煙状態を検出する喫煙検知センサ109が配置されている。ここで、喫煙検知センサ109は、ガス状態検知手段に該当する。
【0031】
この喫煙検知センサ109としては、例えば空気中のCO濃度を検出するCO濃度センサを用いることができる。つまり、CO濃度が所定の判定値より上昇した場合には、喫煙が行われていると判断するのである。
【0032】
c)次に、酸素濃縮器本体2に接続されるカニューラ9及びガス導入管13について説明する。
図4に模式的に示す様に、カニューラ9は、酸素濃縮器本体2にて製造された酸素濃縮ガスを患者の鼻に供給するチューブ状の部材であり、カニューラ接続部11に着脱可能に接続される接続端部111と、鼻に酸素濃縮ガスを供給する供給部113と、接続端部111と供給部113とを接続する長尺のガス流路である中間流路115とから構成されている。
【0033】
また、ガス導入管13は、患者の顔(特に口や鼻)の周辺の空気を酸素濃縮器本体2側に吸引するチューブ状の部材であり、ガス導入管接続部15に着脱可能に接続される接続端部117と、顔の周辺から空気を吸引する開口部118を有する開口吸引部119と、接続端部117と開口吸引部119とを接続する長尺のガス流路である中間流路121とから構成されている。なお、ガス導入管13の材質はカニューラ9と同じか、カニューラ9の動きの妨げにならないように、カニューラ9より柔らかい材質を用いることがより好ましい。
【0034】
更に、カニューラ9の中間流路115とガス導入管13の中間流路121とは一体に束ねられている。つまり、ガス導入管13の中間流路121は、カニューラ9の中間流路115に沿って形成されて、1本の線状の部材として構成されている。なお、カニューラ9とガス導入管13とが分岐する部分(酸素濃縮器本体2側と患者側)には、カニューラ9とガス導入管13が貫挿して拘束される拘束部材123、125が配置されている。
【0035】
特に、本実施例では、ガス導入管13の開口吸引部119は、その先端側(即ち口に近い側)ほど開口面積が大きくなるように設定されている。
d)次に、酸素濃縮器本体2を制御する電子制御装置について説明する。
【0036】
図5に示す様に、本実施例では、電子制御装置131は、周知のマイクロコンピュータ(マイコン)133や、各種のデータを記録するメモリ(例えばEEPROM)135を備え、その入力部137には、電源スイッチ11、酸素センサ99、流量センサ101、喫煙検知センサ109などが接続されている。
【0037】
また、マイコン133の出力部139には、ブザー(又はスピーカ)141、運転ランプ19、異常ランプ21、流量表示器25、外部積算時間表示器27、酸素濃度ランプ29、加湿器漏れランプ31、カニューラ折れランプ33、流れ表示ランプ35が接続されている。更に、出力部139には、モータ51、供給弁57、59、排気弁65、67、パージ弁91、吸引ポンプ107等が接続されている。
【0038】
e)次に、電子制御装置131により行われる酸素濃縮器本体2の制御処理について説明する。
図6のフローチャートに示す様に、酸素濃縮器本体2の電源がONされると、ステップ100にて、吸引ポンプ107を作動させる。これにより、患者の顔の周辺の空気がガス導入管13に吸引され、酸素濃縮器本体2の内部ガス流路103に導入される。
【0039】
続くステップ110では、喫煙検知センサ109によって、ガス導入管13によって吸引された空気中のCO濃度を測定する。
続くステップ120では、CO濃度が所定の判定値(例えば5万ppm)以上の状態が、所定時間(例えば5秒)以上継続したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ130に進み、一方否定判断されると一旦本処理を終了する。
【0040】
ステップ130では、CO濃度が所定の判定値以上の状態が所定時間以上継続しているので、患者が喫煙している状態であると判定されたので、そのことを報知するために、例えばブザー141を鳴らしたり(或いは音声で「禁煙」を警告したり)、異常ランプ21を点滅させたりする。
【0041】
続くステップ140では、コンプレッサ49を駆動するモータ51の回転数を低下させて、酸素濃縮ガスの流量を低減し、一旦本処理を終了する。
f)この様に、本実施例では、カニューラ9に沿ってガス導入管13を配置し、吸引ポンプ107を作動させることによって、ガス導入管13を介して使用者の近傍から酸素濃縮器本体2側に使用者の近傍の空気を導入することができる。よって、喫煙検知センサ109によって、この酸素濃縮器本体2側に導入した空気から使用者の近傍のガスの状態(即ち火気の使用による喫煙状態)を検知することができる。
【0042】
つまり、本実施例によれば、喫煙等の火気の使用を検知できるので、酸素濃縮ガスに着火するような火災の発生を事前に防止することができる。また、ガス導入管13を使用者の近傍まで延ばすので、例えば使用者がカニューラ9を長く伸ばし、酸素濃縮器2本体から離れた場所で喫煙した場合でも、使用者の喫煙を確実に検知することができる。更に、従来の様に、酸素濃縮器本体2からリモコンまで長い電線を配置する必要が無いので、電線にノイズが乗るという恐れがなく、精度良く火気の使用を検知することができる。
【0043】
また、本実施例では、コンプレッサ49とは別に吸引ポンプ107を設けているので、酸素濃縮ガスを供給する流量が変動した場合でも、吸引ポンプ107によって常に一定量の流量の空気を吸引することができる。よって、喫煙等による火気の使用の検出を、常に精度良く行うことができる。
【0044】
しかも、本実施例では、ガス導入管13の先端の開口部119が、先端ほど広がっているので、(COが存在する可能性の高い)顔の周辺からガス導入管13へ効率よく空気を導入することができる。よって、この点からも、喫煙等による火気の使用の検出を精度良く行うことができる。
【実施例2】
【0045】
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例では、図7に示す様に、カニューラ141に沿って配置されたガス導入管143を用いる。
【0046】
また、カニューラ141とガス導入管143とが分岐する拘束部材145より先端側、即ちガス導入管143の先端の開口吸引部147には、多数の連通気孔を備えたスポンジ状部材149が取り付けられている。
【0047】
これにより、顔の周囲の空気を、スムーズにガス導入管143内に導入することができるという効果がある。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0048】
(1)例えば内部ガス流路に、顔の周辺からの空気を吸引するための専用の吸引ポンプを設けるのではなく、内部ガス流路をコンプレッサの吸引側に接続してもよい。これによって、コンプレッサを作動させることにより、顔の周辺の空気を吸引することができる。
【0049】
(2)また、喫煙検知センサとしては、CO濃度を検出するCO濃度センサ以外に、光学式の煙センサなどを用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…酸素濃縮器
2…酸素濃縮器本体
9、141…カニューラ
11…カニューラ接続部
13、143…ガス導入管
15…ガス導入管接続部
49…コンプレッサ
103…内部ガス流路
107…吸引ポンプ
109…喫煙検知センサ
119、147…開口吸引部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中から酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成し、この酸素濃縮ガスを使用者に対して供給する圧力変動吸着型の酸素濃縮器において、
前記酸素濃縮器の本体に接続され、該本体側から前記使用者に酸素濃縮ガスを供給するカニューラと、
前記酸素濃縮器の本体に接続されるとともに、前記カニューラに沿って配置され、前記使用者の近傍から前記本体側にガスを導入するガス導入管と、
前記酸素濃縮器の本体に配置されるとともに、前記ガス導入管に接続され、前記ガスを前記本体側に吸引する検知用吸引機構と、
前記検知用吸引機構によって前記本体側に吸引されたガスから、前記使用者の近傍のガスの状態を検知するガス状態検知手段と、
を備えたことを特徴とする酸素濃縮器。
【請求項2】
前記酸素濃縮器の本体には、前記酸素濃縮を行うための前記空気を本体側に吸引する濃縮用吸引機構を備えるとともに、該濃縮用吸引機構とは別に、前記検知用吸引機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の酸素濃縮器。
【請求項3】
前記ガス導入管のガス導入側が、先端ほど広がった開口部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素濃縮器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−200284(P2012−200284A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64803(P2011−64803)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)