酸素発生のための装置、原料および方法
【課題】 過炭酸ナトリウム粉末を適量の過酸化水素分解触媒とともに水と接触させると所望の速さで酸素を発生させることができる。この原理に基づいて、第1の水槽で酸素を発生させると、発生した酸素気泡は水面に達して壊れ、汚れた飛沫や霧が発生する。そこで、酸素気流を第2の水槽に導き、浄水で洗浄する。このように、酸素を得るには、2基の水槽を気密に連結した高価で重い酸素発生装置が必要であった。
【解決手段】 底面と、上方に向かって横断面積が増加する壁部を有する側壁と、開口を有する上面および、該上方に向かって横断面積が増加する壁部の上部に接して設けられた弾性多孔質隔壁を含む酸素発生装置を提案する。横断面積の増加により酸素気流は減速するので汚れた飛沫は失速、落下し、分離される。汚れた霧は弾性多孔質隔壁通過時に捕捉される。この酸素発生装置は、安価で、使い捨て可能で、軽く、片手で持って違和感なく使用できる。
【解決手段】 底面と、上方に向かって横断面積が増加する壁部を有する側壁と、開口を有する上面および、該上方に向かって横断面積が増加する壁部の上部に接して設けられた弾性多孔質隔壁を含む酸素発生装置を提案する。横断面積の増加により酸素気流は減速するので汚れた飛沫は失速、落下し、分離される。汚れた霧は弾性多孔質隔壁通過時に捕捉される。この酸素発生装置は、安価で、使い捨て可能で、軽く、片手で持って違和感なく使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安価、軽量、簡便な酸素発生装置、それに適した酸素発生原料および酸素発生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基物質と過酸化水素の付加化合物、すなわち、基物質・過酸化水素付加化合物を適量の過酸化水素分解触媒の存在下で水と接触させると所望の速さで酸素を発生させることができることは広く知られている。代表的な基物質としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび尿素が挙げられる。例えば基物質が炭酸ナトリウムの場合、基物質・過酸化水素付加化合物は過炭酸ナトリウムと称され、2Na2CO3・3H2O2で表記され、理論的には3/2O2の酸素を発生する。この酸素量は重量で基物質・過酸化水素付加化合物の約15%に相当する。酸素発生に伴って2Na2CO3が副生し、水溶液、液中分散粒子あるいは沈殿物となる。この反応は発熱を伴うので反応の進行に伴って水温が上昇する。
【0003】
このような知見に基づいて2槽からなる酸素発生装置が提案されている。すなわち、第1の水槽で酸素を発生させる。水中で発生した酸素気泡は水面に達して壊れ、基物質の水溶液を含む、汚れた飛沫や霧が発生し、酸素気流に混入する。そこで、洗浄が必要となる。この酸素気流を第2の水槽の底部に設置されたポーラスストーンを通じて水中に放出する。酸素気流は小面積のポーラスストーンに向かって加速され高速でここを通過するので、飛沫はポーラスストーン内へ引き込まれ、そこで微細化し、汚れた霧となって第2の水槽へ供給される。ここで清浄な水により洗浄される。こうして清浄な霧を含む、湿った酸素が得られる。特許文献1は、このような2槽からなる酸素発生装置を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平5−317061号公報
【0005】
過炭酸ナトリウム粉末は、水槽に投下されると、ただちに沈降し、底面に蓄積するので、水との接触は蓄積層の上面に限られている。このため、反応速度は初期に最大値に達しその後は漸減する傾向がある。
【0006】
酸素発生速度は均一に維持されることが好ましい。そこで、特許文献2はこの観点から2槽からなる酸素発生装置の改良に関わる。すなわち、第1の水槽内の底面上方部に網状の棚部を設ける。棚部で受け止められた過炭酸ナトリウム粉末層は上下両面で水と接触する。これにより反応を長時間にわたって均一に維持させることができ、酸素発生を一定時間安定的に持続させることができるというものである。
【0007】
【特許文献2】実用第2593585号公報
【0008】
特許文献3は、第1の槽の上に第2の槽を配置した筒状の酸素発生装置を提案している。これにより小型、軽量化が図られ、収納、携帯が容易になる。
【0009】
【特許文献3】特開2001−139306号公報
【0010】
しかしながら、水を入れると、2槽からなる容器は重い。これを両手で抱えて使用するのは、苦痛を伴う。
【0011】
一方、1槽からなる酸素発生装置も開示されている。特許文献4は、容器内に酸素発生剤と水を収納し、発生した酸素を外部に取り出すために、新規な酸素発生剤を提案する。これは、水面付近に高粘性あるいはゲル状の低流動性部を形成する作用のある低流動化剤をあらかじめ酸素発生成分に加える。形成された低流動性部が液の飛散を防止するというものである。好ましい低流動化剤として増粘剤と高吸水性樹脂が挙げられている。実施態様によれば、低流動性部を通過した酸素気流は容器頂部に取り付けられた通気性撥水性パッキンを通じて取り出される。液の漏洩防止には、低流動性部を形成する新規な酸素発生剤の適用に加えて、装置面では、通気性撥水性パッキンの適用が効果を発揮する。
【0012】
【特許文献4】特開平6−90640号公報
【0013】
特許文献1に記載の2槽からなる酸素発生装置では、第1の水槽で発生した酸素は、第2の槽の底部のポーラスストーンを通過して第2の水槽の水中に押し込まれる。これを実現するには、酸素は、第1の槽で十分加圧されねばならない。このため、酸素発生装置には、容器の十分な耐圧とポーラスストーンに至る酸素通路の十分な気密性が要求される。
【0014】
特許文献4に記載の1槽からなる酸素発生装置では、容器頂部に設置された通気性撥水性パッキンを介して外部配管と繋がっている。通気性撥水性パッキンの下面はその下方にある水面に比べて極めて小さいので、酸素気流はここを通過するために大きな圧損を伴う。このため、水面上の酸素は十分加圧される必要があり、1槽からなるこの酸素発生装置においても、前述の2槽からなる酸素発生装置と同様に、十分な耐圧と気密性が要求される。
【0015】
酸素発生反応に供される水の量はかなり多い。特許文献1によれば、過炭酸ナトリウム68g、顆粒状触媒7gに対して、第1の槽で900cc、第2の槽で250cc、合計で1150ccであり、過炭酸ナトリウムの重量の、約17倍の水が使用されている。このため、使用時の装置重量は極めて大きい。軽量化された携帯仕様の製品であってもこれを抱えて使用するのは苦痛を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述のように、従来の酸素発生装置では、1槽式か2槽式かに拘わらず、発生酸素の圧力を十分高めなければならない。このため、この圧力に見合った耐圧と気密性が要求される。また、2槽からなる酸素発生装置は構造が複雑である。このため、従来の酸素発生装置は高価である。また、酸素発生装置は酸素発生に大量の水を必要とする。このため、装置は大きく、重く、収納、移動、携帯、使用に不便である。
【0017】
本発明は従来の酸素発生装置の問題を解決しようとするものであり、軽量、安価で簡便な酸素発生装置を実現することを目的とする。さらに、このような酸素発生装置に適した酸素発生原料および酸素発生方法を併せで提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の酸素発生装置は、底面と、上方に向かって横断面積が増加する壁部を有する側壁と、開口を有する上面および、該上方に向かって横断面積が増加する壁部の上部に接して設けられた弾性多孔質隔壁を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の酸素発生原料は、請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の酸素発生原料は、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の酸素発生原料は、請求項2または3に記載の酸素発生原料に、さらに、高吸水性粉末を含むことを特徴とする
【0022】
請求項5に記載の酸素発生原料は、請求項2から4に記載の酸素発生原料であって、過酸化水素分解触媒があらかじめ水源に溶解または分散されていることを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の酸素発生原料は、請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の酸素発生原料は、請求項4に記載の酸素発生原料であって、高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の酸素発生原料は、請求項3に記載の酸素発生原料であって、軽量粉末がポリウレタンフォーム破砕粉末、発泡ポリスチレン破砕粉末、セルローススポンジ破砕粉末、メラミン樹脂フォーム破砕粉末、パルプスポンジ破砕粉末およびコルク破砕粉末からなる群から選ばれた多孔質粉末であることを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の酸素発生原料は、請求項2から8に記載の酸素発生原料であって、過酸化水素分解触媒がカタラーゼであることを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の酸素発生原料は、請求項2から9に記載の酸素発生原料であって、基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする。
【0028】
請求項11に記載の酸素発生原料は、請求項2から10に記載の酸素発生原料であって、水源が水と氷を含むことを特徴とする。
【0029】
請求項12に記載の酸素発生装置は、請求項1に記載の酸素発生装置であって、上方に向かって横断面積が増加する壁部の傾斜が、垂直線に対して2から30度の範囲にあることを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の酸素発生装置は、請求項1および12に記載の酸素発生装置であって、少なくとも底面および側壁が、ポリスチレン製、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製および紙製からなる群から選択されることを特徴とする。
【0031】
請求項14に記載の酸素発生装置は、請求項13に記載の酸素発生装置であって、側壁の厚さが、50から800μmであることを特徴とする。
【0032】
請求項15に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から14に記載の酸素発生装置であって、複数の弾性多孔質隔壁が、間隙を挟んで配置されることを特徴とする。
【0033】
請求項16に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から15に記載の酸素発生装置であって、弾性多孔質隔壁が、セルローススポンジ製、ポリビニルアルコールスポンジ製、ポリウレタンフォーム製、メラミン樹脂フォーム製、ナイロン不織布製およびポリエステル不織布製からなる群から選択されることを特徴とする。
【0034】
請求項17に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から16に記載の酸素発生装置であって、上面の開口が酸素発生装置の外縁から35mmの範囲に設けられていることを特徴とする。
【0035】
請求項18に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から17に記載の酸素発生装置であって、側壁に満水線および満氷線が記載されることを特徴とする。
【0036】
請求項19に記載の酸素発生方法は、請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および水源を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする。
【0037】
請求項20に記載の酸素発生方法は、請求項19に記載の酸素発生方法であって、請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、軽量粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする。
【0038】
請求項21に記載の酸素発生方法は、請求項19および20に記載の酸素発生方法であって、請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、高吸水性粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする。
【0039】
請求項22に記載の酸素発生方法は、請求項21に記載の酸素発生方法であって、高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とする。
【0040】
請求項23に記載の酸素発生方法は、請求項19から22に記載の酸素発生方法であって、水源が水と氷を含むことを特徴とする。
【0041】
請求項24に記載の酸素発生方法は、請求項19から23に記載の酸素発生方法であって、基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする。
【0042】
請求項25に記載の酸素発生方法は、請求項24に記載の酸素発生方法であって、水源が水と氷からなり、水源の量が基物質・過酸化水素付加化合物の量に対して重量で1.5倍から5倍の範囲にあって、反応開始直前の水の量が氷の量に対しで重量で0.05倍から10倍の範囲にあることを特徴とする。
【0043】
請求項1に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。上方に向かって横断面積が増加する壁部は、その下方に酸素発生原料を仕込むと、内容物表面から弾性多孔質隔壁の間に上に向かって横断面積が増加する空間が形成される。内容物表面から酸素気流とともに、基物質の水溶液を含む、汚れた飛沫と霧が発生する。酸素気流は横断面積増加の効果により減速する。このため、飛沫は失速、落下し易くなる。多孔質隔壁に達することなく落下するか、あるいは多孔質隔壁に衝突してから落下して、内容物に戻る。あるいは、側壁に付着する。酸素気流は低速で多孔質隔壁を通過する。飛沫の一部は霧とともにその多孔質隔壁の下面近傍で捕捉され、上面からは浄化された酸素気流が放出される。
【0044】
弾性多孔質隔壁の下面は内容物表面に比べて十分に大きいので、酸素気流通過時の圧損は極めてわずかである。このため、伸縮性を有する弾性多孔質隔壁を傾斜する壁部に接触させて、軽く押し込む程度で気密が達成できる。これによる内圧の上昇は極めてわずかなので、容器は薄肉で内圧に耐え、軽量化が可能となる。
【0045】
請求項2に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。基物質・過酸化水素付加化合物粉末は水に溶解すると基物質と過酸化水素に分解する。水に溶解した過酸化水素は徐々に分解して酸素と水になるが、その速度は遅い。そこで、過酸化水素分解触媒を加えて所望の速度にするのである。ここでいう水源は、水の供給源であり、水のほか、氷および結晶水を含む。すなわち、水としては、水道水、天然水、蒸留水および各種の水溶液が挙げられる。このような各種の水を氷結させた氷も含まれる。結晶水としては、例えば、硫酸ナトリウム+水和物が挙げられる。この水溶液は30℃以上で水和物が分解することにより水を放出する。これらすべてが水源として適用できる。
【0046】
また、過酸化水素分解触媒としては、白金などの貴金属や二酸化マンガン等を水中に分散させたものが適用できる。硫酸マンガンなどの硫酸塩、塩化マンガンなどの塩化物、およびカタラーゼのような酵素を水中に溶解させたものも適用できる。これらのうち、カタラーゼは、低濃度の過酸化水素の分解にも効果があり、その粉末は水への溶解が速いので、特に好ましい。
【0047】
請求項3に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。軽量粉末は水に浮き水面を挟んで層を形成する多孔質粉末である。これを、水源、基物質・過酸化水素付加化合物粉末および過酸化水素分解触媒を供給してから最後に加えると、ただちに、水面に粉末層が形成される。これが消泡作用を発現し、飛沫発生を阻止する。すなわち、弾性多孔質隔壁の負担を軽減し、浄化をより確実にすることができる。
【0048】
また、軽量粉末を基物質・過酸化水素付加化合物粉末に先立って供給するか、あるいは両者を混合物として供給してもよい。供給直後、水面直下で、軽量粉末は浮上しようとし、基物質・過酸化水素付加化合物粉末は沈降しようとする。このため、基物質・過酸化水素付加化合物粉末は水中へ徐々に供給されることとなり、酸素の発生速度が均一化される。一方、浮上した軽量粉末は、水中を上昇してくる酸素気泡を潰し、飛沫発生を阻止する。
【0049】
請求項4に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。高吸水性粉末は水を吸収してゲル化させるので、内容物を固形物として廃棄することが可能となり便利である。また、基物質・過酸化水素付加化合物粉末と混合使用すると、基物質・過酸化水素付加化合物粉末の沈降が抑制され、ゲル中に分散して、水との接触が良くなり反応が促進される効果がある。
【0050】
高吸水性粉末として、高吸水性樹脂粉末および綿状パルプが使用できる。各種の高吸水性樹脂粉末、例えば、カルボキシメチルセルロース架橘体、ポリオキシエチレン架橋体、澱粉アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリアクリル酸塩架橋体の粉末、を特に限定なしに用いることができる。ポリアクリル酸塩部分架橋体粉末のなかでポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末は安価で入手が容易であり特に好ましい。
【0051】
請求項5に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。過酸化水素分解触媒をあらかじめ水源に溶解あるいは分散させておくと、水源のどこでも触媒作用発現の準備が整っているので、反応の再現性が向上する効果がある。
【0052】
請求項10に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。酸素発生源として過炭酸ナトリウムを使用する。その有効酸素発生量は、多い方が反応効率が良いので、望ましく、過炭酸ナトリウムの重量に対して10%以上であることが好ましい。
【0053】
請求項11に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。水源が水のみの場合、例えば、夏季に水温が高くなると、初期に激しく反応し、ただちに停滞する現象が起き易い。この好ましくない現象は、水源に水と氷を並存させると、防止できる。利点はこのほかにもある。すなわち、浮遊する氷塊の上に基物質・過酸化水素付加化合物粉末の一部が載ると、融解する氷から徐々に水が供給されて反応がゆっくり立ち上がり、次第に加速される。水のみの場合、初期に反応が早く、次第に減速する。二つの異なる挙動が重なって、全体的には、酸素発生速度の均一化が発現するのである。
【0054】
請求項12に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。壁部の傾斜が2度未満では、前述の横断面積増加による効果が明確ではなくなる。また、容器容積を一定に保とうとすると、30度を越えると弾性多孔質隔壁と内容物の距離が極端に縮まるので、飛沫が弾性多孔質隔壁に接触し易くなる欠点が顕著となるのである。したがって、2から30度の範囲が好ましい。
【0055】
請求項13に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。前述のように、本発明になる酸素発生装置の使用時の内圧上昇は極めてわずかなので、底面および側壁に、薄肉容器材料が適用できる。すなわち、底面および側壁を、ポリスチレン製、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製および紙製とすることができる。
【0056】
その肉厚は請求項14に記載されているように、肉厚を50μm以上とすることが望ましい。これは、50μm未満では内容物収納時に容器の撓みが大きく手で保持するのに困難を伴うからである。また、肉厚800μm以下とすることが望ましい。これは、800μmを越えると、保持した手の指で側壁を弾性変形させるのに困難を伴うからである。この弾性変形操作は内容物の攪拌を促進するので好ましい。
【0057】
請求項15に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。複数の弾性多孔質隔壁を、間隙を挟んで配置することにより、汚れた酸素気流をより確実に浄化できる。すなわち、過剰に発生した飛沫の接触、あるいは手で保持した容器が限度を越えて傾けられたことによる内容物の直接接触が、第1の弾性多孔質隔壁に対して生じても、隔壁間の間隙が、捕捉された液の第2の弾性多孔質隔壁への伝播を防止するのである。隔壁の枚数をさらに増やすことも効果的である。
【0058】
請求項17に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。上面の開口は全面開口であっても部分開口であってもよいが、鼻直下の口直上部を酸素発生装置の外縁に接触させて酸素を吸引するには、少なくとも外縁から35mmの範囲に開口を設けることが好ましい。
【0059】
請求項18に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。1個20g以下の氷塊は日常生活で容易に入手できる。このような氷塊の供給量の目安としての満氷線と、次いで供給する水の量の目安としての満水線を容器側壁の外面あるいは内面に表記する。これに従うことによって、水と氷の供給量のばらつきを低減できる。この手段は氷塊を水に浮遊させる場合により効果的である。この場合、両線は重なっても構わない。
【0060】
請求項25に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。水源に水と氷を並存させることによる際立った効果は、水量の劇的な削減である。氷の融解に伴う吸熱が酸素発生に伴う発熱を奪うので、水源量が少なくても水温の上昇を抑制できるのである。氷のみの場合、自然融解により水が生成して反応が立ち上がるのを待つ必要があり、立ち上がりが遅く実用的とは言えない。反応が早期に立ち上がるためには氷に対して少量の水が不可欠である。また出発水温の季節変動を避けるために、水温を0℃に調整することは酸素の安定的な発生に極めて効果がある。このためには水に対して少量の氷が不可欠である。以上の条件を考慮して水と氷の重量比を0.05から10とする。これにより、水源の量を過炭酸ナトリウムの重量の1.5倍から5倍の範囲にまで劇的に抑制しても、比較的均一な酸素発生速度を所定時間、維持することができるのである。
【発明の効果】
【0061】
本発明の酸素発生装置は、構造が単純であり、使用時の内圧の上昇が極めてわずかなので、装置重量を従来の酸素発生装置の10分の1以下にすることができる。
【0062】
本発明の酸素発生原料は、軽量粉末の適用によって、酸素発生速度の均一化と発生酸素の汚染防止を図ることができる。
【0063】
本発明の酸素発生方法は、水と氷の適用によって、水源量を従来法に比べて大幅に低減できる。
【0064】
本発明の酸素発生装置、酸素発生原料および酸素発生方法は、使い捨て可能な安価な装置および片手で持って違和感なく使用できる軽さという効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図8に基づいて説明する。
【0066】
図1は酸素発生装置の断面を示したものである。容器1は底面2と側面3で構成され上面4は全面開放の開口4aとなっている。側面3はその下部が垂直壁部であり、その上部が上方に向かって横断面積が増加する壁部3aとなっている。上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上部に弾性多孔質隔壁5がこれに接して下方へ押し込まれ配置されている。
【0067】
底面2と側壁3と弾性多孔質隔壁5が構成する閉空間の下方に酸素を発生すべき内容物が収納される。内容物表面に比べて弾性多孔質隔壁5の下面は広いことが本発明の特徴である。これにより、酸素発生時の内圧の上昇は軽微となる。このため、安価な装置材料が適用できる。すなわち、容器1は薄肉の使い捨て容器で、弾性多孔質隔壁5は安価な洗浄用スポンジで構成することができる。弾性多孔質隔壁5を通過した清浄な酸素は全面開放の開口4aから放散され、吸気に供される。
【0068】
図2は、酸素発生装置の、別の実施の形態を示している。図1と同等の容器1を使用し、上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上部に弾性多孔質隔壁5aと弾性多孔質隔壁5bを、間隙を設けて上下に配置している。
【0069】
飛沫が過剰に飛散したり、手で保持した容器が限度を越えて傾けられたことにより、内容物が弾性多孔質隔壁5bに直接、接触したりして液がこれに大量に染み込んでも、間隙が弾性多孔質隔壁5bへの液の伝播を防止する効果を発揮する。弾性多孔質隔壁5bを通過した清浄な酸素は全面開放の開口4aから放散され、吸気に供される。
【0070】
図3は酸素発生装置の、さらに別の実施の形態を示している。側面3は上方に向かって樌断面積が増加する壁部3aで構成され、上端外周にリブ3bが付随している。上面4は蓋構造となっており、外周部4bがリブ3bと接触して容器1に嵌合される。上面4には開口4aが蓋外縁から35mmの範囲に跨るように配置されている。弾性多孔質隔壁5は上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上方に配置されている。
【0071】
内容物から発生した酸素気流は弾性多孔質隔壁5を通過する間に浄化され開口4aに集められ、ここから放散され、吸気に供される。開口4aを蓋外縁から35mmの範囲に跨るように配置したことにより、発生酸素は効率よく吸気に利用できる。
【0072】
図4は酸素発生装置の、さらに別の実施の形態を示している。上方に向かって横断面積が増加する壁部3aは、補強あるいは外観に変化を持たせるために、上端外周にリブ3b、上部に水平部3c、下端に水平部3dを有している。それに続く側壁3の下部は下へ広がる逆勾配部3eとなっている。底面2は内側へ反る曲面を構成する。上面4は蓋構造となっており、外周部4bがリブ3bと接触して容器1に嵌合される。上面1には開口4aが蓋外縁から35mmの範囲内に配置されている。弾性多孔質隔壁5は上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上方に配置されている。
【0073】
このような各種補強により、容器のいっそうの薄肉化が可能となり、材料の節約と軽量化が図られている。また、開口4aを蓋外縁から35mmの範囲内に配置したことにより発生酸素は効率よく吸気に利用できる。
【0074】
図5は酸素発生時の酸素発生装置内の状況を模式的に示したものである。上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を取り外して、水源を含む酸素発生原料を仕込み、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を取り付ける。ただちに反応が始まり、図示したように内容物10が形成される。これは白濁層10aと気泡層10bからなる。白濁層10aでは酸素が発生し、酸素気泡となって上昇している。水面に到達した酸素気泡は蓄積して気泡層10bを形成する。気泡層10bは下面から気泡が供給される一方、上面で破泡が起きる。気泡を形成する膜が飛び散り、粒径の大きい飛沫11と粒径の小さい霧になる。酸素気流は上方に向かって横断面積が増加する壁部3aで減速するので、飛沫の一部は失速、落下する。また一部は弾性多孔質隔壁5の下面に衝突してから落下する。さらにまた一部は、霧とともに弾性多孔質隔壁5に捕捉される。弾性多孔質隔壁5を通過して浄化された酸素気流は上面4の蓋内で開口4aに向かって方向付けられ、そこから放散され、吸気に供される。
【0075】
弾性多孔質隔壁5は濾過面積が大きいので、効率よく汚れた飛沫および霧を除去できる。弾性多孔質隔壁5には、セルローススポンジ製、ポリビニルアルコールスポンジ製、ポリウレタンフォーム製、メラミン樹脂フォーム製、ナイロン不織布製およびポリエステル不織布製等の多孔体が適している。濾過性能を良好に確保するために、厚さは5mm以上とすることが好ましい。
【0076】
図6は酸素発生時の酸素発生装置内の状況を模式的に示したものであるが、この装置では、弾性多孔質隔壁5aと5bが間隙を挟んで上下に配置されている。内容物10は、白濁層10aと気泡層10bからなり、気泡層10bから発生する飛沫11の一部は霧とともに弾性多孔質隔壁5bに至り、その下面近傍で捕捉される。浄化された酸素気流は、さらに弾性多孔質隔壁5aを通過して開口4aから放散され、吸気に供される。手で保持した装置が限度を越えて傾けられて内容物が直接、弾性多孔質隔壁5bと接触した場合には、大量の液が弾性多孔質隔壁5bに吸収されるが、両隔壁の間隙が弾性多孔質隔壁5aに及ぶのを阻止し、汚れた酸素の放出を防止する。
【0077】
図7は酸素発生時の酸素発生装置内の状況を模式的に示したものであるが、酸素発生原料に軽量粉末が含まれていることが特徴的である。この場合、内容物10は、下から白濁層10a、気泡層10bおよび消泡層10cの3層からなり、軽量粉末が消泡層10cの主構成要素となる。消泡層10cは破泡を促し泡膜片を吸収して飛沫や霧の発生を防止する。消泡層10cで浄化された酸素気流は弾性多孔質隔壁5を通過して開口4aから放散され吸気に供される。
【0078】
軽量粉末として、ポリウレタンフォーム破砕粉末、発泡ポリスチレン破砕粉末、セルローススポンジ破砕粉末、メラミン樹脂フォーム破砕粉末、パルプスポンジ破砕粉末およびコルク破砕粉末等が適用できる。ポリウレタンフォーム破砕粉末は軟質発泡ポリウレタンと硬質発泡ポリウレタンのいずれも消泡作用が優れており好ましい。このうち、硬質発泡ポリウレタンは破砕が容易でありより好ましい。コルク破砕粉末も優れた消泡作用を示すので好ましい。軽量粉末の量は基物質・過酸化水素付加化合物100重量部に対して1から20重量部が好適である。1重量部未満では内容物の表面を完全に覆うことは困難であり、また、20重量部以下で十分消泡が可能なので20重量部を越えると無駄になる。
【0079】
図8は水源として水と氷塊を適用した場合に、その上に供給された基物質・過酸化水素付加化合物粉の挙動を模式的に示したものである。水面12を挟んで浮遊する氷塊13の上に少量の過酸化水素分解触媒とともに投下された基物質・過酸化水素付加化合物粉末14は、まず氷塊の上に乗り、複数の氷塊の隙間を通って水底へ向かって少しずつ落下していく。この結果、酸素発生速度は、初期に定速に達し、一定時間、定速を保つので好ましい。
【実施例1】
【0080】
図7に記載の酸素発生装置および方法の構成に従って酸素を発生させる。容器1は底面2、側壁3、上面4により構成され、材質はポリエチレンテレフタレートで、透明の使い捨て容器である。側壁3は全面、上方に向かって横断面積が増加する壁部3aである。壁部3aの下端の内径は55mm、上端の内径は75mm、高さ125mmであり、垂直線に対する傾斜は4.6度である。弾性多孔質隔壁5は壁部3aの上端に上面が一致するように配置されている。厚さは10mmである。材料はポリウレタンフォームである。
【0081】
この実施例の特徴は、酸素発生原料にコルク破砕粉末および氷を加えて、少量の水源で酸素を発生させることにある。すなわち、過炭酸ナトリウム粉末30g、カタラーゼ粉末0.15gおよびコルク破砕粉末1.2gを混合して、粉末原料を調製する。一方、家庭用冷蔵庫で製造した氷塊と水道水を用意する。
【0082】
酸素発生装置を電子天秤に載せ、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を外して、氷塊2個、重量25gを容器1に入れ、水道水65gを注ぐ。次いで、粉末原料を投下し、ただちに弾性多孔質隔壁5と上面4の蓋を装着する。この時点を基準にして重量減少の経時変化を測定する。
【0083】
図9に結果を示す。横軸に経過時間、縦軸に過炭酸ナトリウム1g当りの重量減少を採ってある。重量減少は減量開始から約15分間、比較的均一である。その後減速し、30分後重量減少はほぼ停止している。総重量減少は0.115g/g(過炭酸ナトリウム)である。この間の弾性多孔質隔壁5の重量増加は0.03g、過炭酸ナトリウム1g当り0.001gである。
【0084】
コルク破砕粉末は浮上運動により過炭酸ナトリウム粉末の沈降を緩和する。氷塊は上に載った過炭酸ナトリウム粉末を支えることにより沈降を緩和させるとともに、初期温度を低く抑える。また、酸素発生に伴う発熱を氷の融解に伴う吸熱で吸収する。これらの相乗効果により、水源量が重量で過炭酸ナトリウムの3倍に抑えられているにも拘わらず、酸素発生速度の均一化が可能となった。また、コルク破砕粉末の消泡作用が顕著に働くので、弾性多孔質隔壁5の重量増加は僅少であり、両者の組み合わせは、汚れた酸素の浄化能力を高める効果を発揮する。また、極めて少ない水源量は、装置の片手保持を容易にし、快適さをもたらす。
【実施例2】
【0085】
図7に記載の酸素発生装置および方法の構成に従って酸素を発生させる。
【0086】
この実施例の特徴は、酸素発生原料に、ポリウレタンフォーム破砕粉末、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および氷を加えたことにある。すなわち、過炭酸ナトリウム粉末45g、カタラーゼ粉末0.23g、ポリウレタンフォーム破砕粉末0.9gおよびポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末5.4gを混合して、粉末原料を調製する。一方、家庭用冷蔵庫で製造した氷塊と水道水を用意する。
【0087】
酸素発生装置を電子天秤に載せ、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を外して、氷塊4個、重量53gを容器1に入れ、水道水82gを注ぐ。次いで、粉末原料を投下し、ただちに弾性多孔質隔壁5と上面4の蓋を装着する。この時点を基準にして重量減少の経時変化を測定する。
【0088】
図10に結果を示す。横軸に経過時間、縦軸に過炭酸ナトリウム1g当りの重量減少を採ってある。重量減少は減少開始から約8分間、比較的均一である。その後減速し、10分後には、重量減少はほぼ停止している。総重量減少は0.113g/g(過炭酸ナトリウム)である。この間の弾性多孔質隔壁5の重量増加はなかった。
【0089】
ポリウレタンフォーム破砕粉末は、コルク破砕粉末と同様に、その浮上運動により過炭酸ナトリウム粉末の沈降を緩和する。氷塊はその上に載った過炭酸ナトリウム粉末を支えることにより沈降を緩和させるとともに、初期温度を低く抑える。酸素発生に伴う発熱を氷の融解に伴う吸熱で吸収する。さらに、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末は、吸水、膨潤してゲル粒子となり、過炭酸ナトリウム粉末を分散させて水との接触を改善することにより酸素発生を加速する。これらの相乗効果により、水源量が重量で過炭酸ナトリウムの3倍に抑えられているにも拘わらず、高い反応速度で酸素発生の均一化が可能となった。また、ポリウレタンフォーム破砕粉末の消泡作用は顕著であり、弾性多孔質隔壁5の重量増加は認められなかった。極めて少ない水源量は、装置の片手保持を容易にし、快適さをもたらす。また、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末は内容物をゲル化するので、使用後、内容物は固形物として廃棄が可能となる。
【実施例3】
【0090】
図5に記載の酸素発生装置および方法の構成に従って酸素を発生させる。すなわち、この実施例では、軽量粉末は使用しない。
【0091】
この実施例の特徴は、軽量粉末の消泡作用に頼ることなく、弾性多孔質隔壁5の浄化作用に依存することにある。すなわち、過炭酸ナトリウム粉末30g、カタラーゼ粉末0.15gおよびポリアクリル酸ナトリウム粉末3.6gを混合して、粉末原料を調製する。一方、家庭用冷蔵庫で製造した氷塊と水道水を用意する。
【0092】
酸素発生装置を電子天秤に載せ、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を外して、氷塊2個、重量25gを容器1に入れ、水道水65gを注ぐ。次いで、粉末原料を投下し、ただちに弾性多孔質隔壁5と上面4の蓋を装着する。この時点を基準にして重量減少の経時変化を測定する。
【0093】
図11に結果を示す。横軸に経過時間、縦軸に過炭酸ナトリウム1g当りの重量減少を採ってある。重量減少は酸素発生から約8分間、比較的均一である。その後減速し、15分後重量減少はほぼ停止している。総重量減少は0.117g/g(過炭酸ナトリウム)である。この間の弾性多孔質隔壁5の重量増加は0.3g、過炭酸ナトリウム1g当り0.01gである。下面は湿潤していたが、上面は乾いており、湿分が到達した痕跡は認められなかった。
【0094】
図中、比較例1を併記したが、これは、水源を90gの水としたことを除いて、実施例3と同一条件で実施し、氷の影響を示したものである。すなわち、酸素発生開始から1分後、酸素発生は暴走し、2分後には停滞したことがわかる。25分後の容器底部の内容物温度は50.4℃に達していた。弾性多孔質隔壁5の下面にはゲル化したポリアクリル酸ナトリウム架橋体が付着し、重量増加は1.88gもあった。これは、酸素発生の暴走により、内容物が膨張し、弾性多孔質隔壁5の下面に一時的に達したことを示す。しかし、その上面に変化は認められず、弾性多孔質隔壁5の浄化作用は十分に機能していた。
【0095】
弾性多孔質隔壁5は極めて優れた浄化作用を示し、内容物から酸素が異常発生しても問題ない。水と氷の併用については、氷の融解に伴う吸熱が酸素発生に伴う発熱を吸収するので、少量の水源で酸素の安定発生を可能にする効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
。
【0096】
【図1】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図2】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図3】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図4】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図5】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図6】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図7】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図8】 本発明の実施形態を示す模式図
【図9】 本発明の実施例1を補足説明する酸素発生に伴う重量減少の経時変化
【図10】 本発明の実施例2を補足説明する酸素発生に伴う重量減少の経時変化
【図11】 本発明の実施例3を補足説明する酸素発生に伴う重量減少の経時変化
【符号の説明】
【0097】
1 容器
2 底面
3 側壁
3a 上方に向かって横断面積が増加する壁部
4 上面
4a 開口
5 弾性多孔質隔壁
10 内容物
10a 白濁層
10b 気泡層
10c 消泡層
11 飛沫
12 水面
13 氷塊
14 基物質・過酸化水素付加化合物粉末
【技術分野】
【0001】
本発明は、安価、軽量、簡便な酸素発生装置、それに適した酸素発生原料および酸素発生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基物質と過酸化水素の付加化合物、すなわち、基物質・過酸化水素付加化合物を適量の過酸化水素分解触媒の存在下で水と接触させると所望の速さで酸素を発生させることができることは広く知られている。代表的な基物質としては炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび尿素が挙げられる。例えば基物質が炭酸ナトリウムの場合、基物質・過酸化水素付加化合物は過炭酸ナトリウムと称され、2Na2CO3・3H2O2で表記され、理論的には3/2O2の酸素を発生する。この酸素量は重量で基物質・過酸化水素付加化合物の約15%に相当する。酸素発生に伴って2Na2CO3が副生し、水溶液、液中分散粒子あるいは沈殿物となる。この反応は発熱を伴うので反応の進行に伴って水温が上昇する。
【0003】
このような知見に基づいて2槽からなる酸素発生装置が提案されている。すなわち、第1の水槽で酸素を発生させる。水中で発生した酸素気泡は水面に達して壊れ、基物質の水溶液を含む、汚れた飛沫や霧が発生し、酸素気流に混入する。そこで、洗浄が必要となる。この酸素気流を第2の水槽の底部に設置されたポーラスストーンを通じて水中に放出する。酸素気流は小面積のポーラスストーンに向かって加速され高速でここを通過するので、飛沫はポーラスストーン内へ引き込まれ、そこで微細化し、汚れた霧となって第2の水槽へ供給される。ここで清浄な水により洗浄される。こうして清浄な霧を含む、湿った酸素が得られる。特許文献1は、このような2槽からなる酸素発生装置を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開平5−317061号公報
【0005】
過炭酸ナトリウム粉末は、水槽に投下されると、ただちに沈降し、底面に蓄積するので、水との接触は蓄積層の上面に限られている。このため、反応速度は初期に最大値に達しその後は漸減する傾向がある。
【0006】
酸素発生速度は均一に維持されることが好ましい。そこで、特許文献2はこの観点から2槽からなる酸素発生装置の改良に関わる。すなわち、第1の水槽内の底面上方部に網状の棚部を設ける。棚部で受け止められた過炭酸ナトリウム粉末層は上下両面で水と接触する。これにより反応を長時間にわたって均一に維持させることができ、酸素発生を一定時間安定的に持続させることができるというものである。
【0007】
【特許文献2】実用第2593585号公報
【0008】
特許文献3は、第1の槽の上に第2の槽を配置した筒状の酸素発生装置を提案している。これにより小型、軽量化が図られ、収納、携帯が容易になる。
【0009】
【特許文献3】特開2001−139306号公報
【0010】
しかしながら、水を入れると、2槽からなる容器は重い。これを両手で抱えて使用するのは、苦痛を伴う。
【0011】
一方、1槽からなる酸素発生装置も開示されている。特許文献4は、容器内に酸素発生剤と水を収納し、発生した酸素を外部に取り出すために、新規な酸素発生剤を提案する。これは、水面付近に高粘性あるいはゲル状の低流動性部を形成する作用のある低流動化剤をあらかじめ酸素発生成分に加える。形成された低流動性部が液の飛散を防止するというものである。好ましい低流動化剤として増粘剤と高吸水性樹脂が挙げられている。実施態様によれば、低流動性部を通過した酸素気流は容器頂部に取り付けられた通気性撥水性パッキンを通じて取り出される。液の漏洩防止には、低流動性部を形成する新規な酸素発生剤の適用に加えて、装置面では、通気性撥水性パッキンの適用が効果を発揮する。
【0012】
【特許文献4】特開平6−90640号公報
【0013】
特許文献1に記載の2槽からなる酸素発生装置では、第1の水槽で発生した酸素は、第2の槽の底部のポーラスストーンを通過して第2の水槽の水中に押し込まれる。これを実現するには、酸素は、第1の槽で十分加圧されねばならない。このため、酸素発生装置には、容器の十分な耐圧とポーラスストーンに至る酸素通路の十分な気密性が要求される。
【0014】
特許文献4に記載の1槽からなる酸素発生装置では、容器頂部に設置された通気性撥水性パッキンを介して外部配管と繋がっている。通気性撥水性パッキンの下面はその下方にある水面に比べて極めて小さいので、酸素気流はここを通過するために大きな圧損を伴う。このため、水面上の酸素は十分加圧される必要があり、1槽からなるこの酸素発生装置においても、前述の2槽からなる酸素発生装置と同様に、十分な耐圧と気密性が要求される。
【0015】
酸素発生反応に供される水の量はかなり多い。特許文献1によれば、過炭酸ナトリウム68g、顆粒状触媒7gに対して、第1の槽で900cc、第2の槽で250cc、合計で1150ccであり、過炭酸ナトリウムの重量の、約17倍の水が使用されている。このため、使用時の装置重量は極めて大きい。軽量化された携帯仕様の製品であってもこれを抱えて使用するのは苦痛を伴う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述のように、従来の酸素発生装置では、1槽式か2槽式かに拘わらず、発生酸素の圧力を十分高めなければならない。このため、この圧力に見合った耐圧と気密性が要求される。また、2槽からなる酸素発生装置は構造が複雑である。このため、従来の酸素発生装置は高価である。また、酸素発生装置は酸素発生に大量の水を必要とする。このため、装置は大きく、重く、収納、移動、携帯、使用に不便である。
【0017】
本発明は従来の酸素発生装置の問題を解決しようとするものであり、軽量、安価で簡便な酸素発生装置を実現することを目的とする。さらに、このような酸素発生装置に適した酸素発生原料および酸素発生方法を併せで提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に記載の酸素発生装置は、底面と、上方に向かって横断面積が増加する壁部を有する側壁と、開口を有する上面および、該上方に向かって横断面積が増加する壁部の上部に接して設けられた弾性多孔質隔壁を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載の酸素発生原料は、請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載の酸素発生原料は、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載の酸素発生原料は、請求項2または3に記載の酸素発生原料に、さらに、高吸水性粉末を含むことを特徴とする
【0022】
請求項5に記載の酸素発生原料は、請求項2から4に記載の酸素発生原料であって、過酸化水素分解触媒があらかじめ水源に溶解または分散されていることを特徴とする。
【0023】
請求項6に記載の酸素発生原料は、請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含むことを特徴とする。
【0024】
請求項7に記載の酸素発生原料は、請求項4に記載の酸素発生原料であって、高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の酸素発生原料は、請求項3に記載の酸素発生原料であって、軽量粉末がポリウレタンフォーム破砕粉末、発泡ポリスチレン破砕粉末、セルローススポンジ破砕粉末、メラミン樹脂フォーム破砕粉末、パルプスポンジ破砕粉末およびコルク破砕粉末からなる群から選ばれた多孔質粉末であることを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の酸素発生原料は、請求項2から8に記載の酸素発生原料であって、過酸化水素分解触媒がカタラーゼであることを特徴とする。
【0027】
請求項10に記載の酸素発生原料は、請求項2から9に記載の酸素発生原料であって、基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする。
【0028】
請求項11に記載の酸素発生原料は、請求項2から10に記載の酸素発生原料であって、水源が水と氷を含むことを特徴とする。
【0029】
請求項12に記載の酸素発生装置は、請求項1に記載の酸素発生装置であって、上方に向かって横断面積が増加する壁部の傾斜が、垂直線に対して2から30度の範囲にあることを特徴とする。
【0030】
請求項13に記載の酸素発生装置は、請求項1および12に記載の酸素発生装置であって、少なくとも底面および側壁が、ポリスチレン製、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製および紙製からなる群から選択されることを特徴とする。
【0031】
請求項14に記載の酸素発生装置は、請求項13に記載の酸素発生装置であって、側壁の厚さが、50から800μmであることを特徴とする。
【0032】
請求項15に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から14に記載の酸素発生装置であって、複数の弾性多孔質隔壁が、間隙を挟んで配置されることを特徴とする。
【0033】
請求項16に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から15に記載の酸素発生装置であって、弾性多孔質隔壁が、セルローススポンジ製、ポリビニルアルコールスポンジ製、ポリウレタンフォーム製、メラミン樹脂フォーム製、ナイロン不織布製およびポリエステル不織布製からなる群から選択されることを特徴とする。
【0034】
請求項17に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から16に記載の酸素発生装置であって、上面の開口が酸素発生装置の外縁から35mmの範囲に設けられていることを特徴とする。
【0035】
請求項18に記載の酸素発生装置は、請求項1、12から17に記載の酸素発生装置であって、側壁に満水線および満氷線が記載されることを特徴とする。
【0036】
請求項19に記載の酸素発生方法は、請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および水源を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする。
【0037】
請求項20に記載の酸素発生方法は、請求項19に記載の酸素発生方法であって、請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、軽量粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする。
【0038】
請求項21に記載の酸素発生方法は、請求項19および20に記載の酸素発生方法であって、請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、高吸水性粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする。
【0039】
請求項22に記載の酸素発生方法は、請求項21に記載の酸素発生方法であって、高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とする。
【0040】
請求項23に記載の酸素発生方法は、請求項19から22に記載の酸素発生方法であって、水源が水と氷を含むことを特徴とする。
【0041】
請求項24に記載の酸素発生方法は、請求項19から23に記載の酸素発生方法であって、基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする。
【0042】
請求項25に記載の酸素発生方法は、請求項24に記載の酸素発生方法であって、水源が水と氷からなり、水源の量が基物質・過酸化水素付加化合物の量に対して重量で1.5倍から5倍の範囲にあって、反応開始直前の水の量が氷の量に対しで重量で0.05倍から10倍の範囲にあることを特徴とする。
【0043】
請求項1に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。上方に向かって横断面積が増加する壁部は、その下方に酸素発生原料を仕込むと、内容物表面から弾性多孔質隔壁の間に上に向かって横断面積が増加する空間が形成される。内容物表面から酸素気流とともに、基物質の水溶液を含む、汚れた飛沫と霧が発生する。酸素気流は横断面積増加の効果により減速する。このため、飛沫は失速、落下し易くなる。多孔質隔壁に達することなく落下するか、あるいは多孔質隔壁に衝突してから落下して、内容物に戻る。あるいは、側壁に付着する。酸素気流は低速で多孔質隔壁を通過する。飛沫の一部は霧とともにその多孔質隔壁の下面近傍で捕捉され、上面からは浄化された酸素気流が放出される。
【0044】
弾性多孔質隔壁の下面は内容物表面に比べて十分に大きいので、酸素気流通過時の圧損は極めてわずかである。このため、伸縮性を有する弾性多孔質隔壁を傾斜する壁部に接触させて、軽く押し込む程度で気密が達成できる。これによる内圧の上昇は極めてわずかなので、容器は薄肉で内圧に耐え、軽量化が可能となる。
【0045】
請求項2に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。基物質・過酸化水素付加化合物粉末は水に溶解すると基物質と過酸化水素に分解する。水に溶解した過酸化水素は徐々に分解して酸素と水になるが、その速度は遅い。そこで、過酸化水素分解触媒を加えて所望の速度にするのである。ここでいう水源は、水の供給源であり、水のほか、氷および結晶水を含む。すなわち、水としては、水道水、天然水、蒸留水および各種の水溶液が挙げられる。このような各種の水を氷結させた氷も含まれる。結晶水としては、例えば、硫酸ナトリウム+水和物が挙げられる。この水溶液は30℃以上で水和物が分解することにより水を放出する。これらすべてが水源として適用できる。
【0046】
また、過酸化水素分解触媒としては、白金などの貴金属や二酸化マンガン等を水中に分散させたものが適用できる。硫酸マンガンなどの硫酸塩、塩化マンガンなどの塩化物、およびカタラーゼのような酵素を水中に溶解させたものも適用できる。これらのうち、カタラーゼは、低濃度の過酸化水素の分解にも効果があり、その粉末は水への溶解が速いので、特に好ましい。
【0047】
請求項3に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。軽量粉末は水に浮き水面を挟んで層を形成する多孔質粉末である。これを、水源、基物質・過酸化水素付加化合物粉末および過酸化水素分解触媒を供給してから最後に加えると、ただちに、水面に粉末層が形成される。これが消泡作用を発現し、飛沫発生を阻止する。すなわち、弾性多孔質隔壁の負担を軽減し、浄化をより確実にすることができる。
【0048】
また、軽量粉末を基物質・過酸化水素付加化合物粉末に先立って供給するか、あるいは両者を混合物として供給してもよい。供給直後、水面直下で、軽量粉末は浮上しようとし、基物質・過酸化水素付加化合物粉末は沈降しようとする。このため、基物質・過酸化水素付加化合物粉末は水中へ徐々に供給されることとなり、酸素の発生速度が均一化される。一方、浮上した軽量粉末は、水中を上昇してくる酸素気泡を潰し、飛沫発生を阻止する。
【0049】
請求項4に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。高吸水性粉末は水を吸収してゲル化させるので、内容物を固形物として廃棄することが可能となり便利である。また、基物質・過酸化水素付加化合物粉末と混合使用すると、基物質・過酸化水素付加化合物粉末の沈降が抑制され、ゲル中に分散して、水との接触が良くなり反応が促進される効果がある。
【0050】
高吸水性粉末として、高吸水性樹脂粉末および綿状パルプが使用できる。各種の高吸水性樹脂粉末、例えば、カルボキシメチルセルロース架橘体、ポリオキシエチレン架橋体、澱粉アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリアクリル酸塩架橋体の粉末、を特に限定なしに用いることができる。ポリアクリル酸塩部分架橋体粉末のなかでポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末は安価で入手が容易であり特に好ましい。
【0051】
請求項5に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。過酸化水素分解触媒をあらかじめ水源に溶解あるいは分散させておくと、水源のどこでも触媒作用発現の準備が整っているので、反応の再現性が向上する効果がある。
【0052】
請求項10に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。酸素発生源として過炭酸ナトリウムを使用する。その有効酸素発生量は、多い方が反応効率が良いので、望ましく、過炭酸ナトリウムの重量に対して10%以上であることが好ましい。
【0053】
請求項11に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。水源が水のみの場合、例えば、夏季に水温が高くなると、初期に激しく反応し、ただちに停滞する現象が起き易い。この好ましくない現象は、水源に水と氷を並存させると、防止できる。利点はこのほかにもある。すなわち、浮遊する氷塊の上に基物質・過酸化水素付加化合物粉末の一部が載ると、融解する氷から徐々に水が供給されて反応がゆっくり立ち上がり、次第に加速される。水のみの場合、初期に反応が早く、次第に減速する。二つの異なる挙動が重なって、全体的には、酸素発生速度の均一化が発現するのである。
【0054】
請求項12に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。壁部の傾斜が2度未満では、前述の横断面積増加による効果が明確ではなくなる。また、容器容積を一定に保とうとすると、30度を越えると弾性多孔質隔壁と内容物の距離が極端に縮まるので、飛沫が弾性多孔質隔壁に接触し易くなる欠点が顕著となるのである。したがって、2から30度の範囲が好ましい。
【0055】
請求項13に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。前述のように、本発明になる酸素発生装置の使用時の内圧上昇は極めてわずかなので、底面および側壁に、薄肉容器材料が適用できる。すなわち、底面および側壁を、ポリスチレン製、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製および紙製とすることができる。
【0056】
その肉厚は請求項14に記載されているように、肉厚を50μm以上とすることが望ましい。これは、50μm未満では内容物収納時に容器の撓みが大きく手で保持するのに困難を伴うからである。また、肉厚800μm以下とすることが望ましい。これは、800μmを越えると、保持した手の指で側壁を弾性変形させるのに困難を伴うからである。この弾性変形操作は内容物の攪拌を促進するので好ましい。
【0057】
請求項15に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。複数の弾性多孔質隔壁を、間隙を挟んで配置することにより、汚れた酸素気流をより確実に浄化できる。すなわち、過剰に発生した飛沫の接触、あるいは手で保持した容器が限度を越えて傾けられたことによる内容物の直接接触が、第1の弾性多孔質隔壁に対して生じても、隔壁間の間隙が、捕捉された液の第2の弾性多孔質隔壁への伝播を防止するのである。隔壁の枚数をさらに増やすことも効果的である。
【0058】
請求項17に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。上面の開口は全面開口であっても部分開口であってもよいが、鼻直下の口直上部を酸素発生装置の外縁に接触させて酸素を吸引するには、少なくとも外縁から35mmの範囲に開口を設けることが好ましい。
【0059】
請求項18に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。1個20g以下の氷塊は日常生活で容易に入手できる。このような氷塊の供給量の目安としての満氷線と、次いで供給する水の量の目安としての満水線を容器側壁の外面あるいは内面に表記する。これに従うことによって、水と氷の供給量のばらつきを低減できる。この手段は氷塊を水に浮遊させる場合により効果的である。この場合、両線は重なっても構わない。
【0060】
請求項25に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。水源に水と氷を並存させることによる際立った効果は、水量の劇的な削減である。氷の融解に伴う吸熱が酸素発生に伴う発熱を奪うので、水源量が少なくても水温の上昇を抑制できるのである。氷のみの場合、自然融解により水が生成して反応が立ち上がるのを待つ必要があり、立ち上がりが遅く実用的とは言えない。反応が早期に立ち上がるためには氷に対して少量の水が不可欠である。また出発水温の季節変動を避けるために、水温を0℃に調整することは酸素の安定的な発生に極めて効果がある。このためには水に対して少量の氷が不可欠である。以上の条件を考慮して水と氷の重量比を0.05から10とする。これにより、水源の量を過炭酸ナトリウムの重量の1.5倍から5倍の範囲にまで劇的に抑制しても、比較的均一な酸素発生速度を所定時間、維持することができるのである。
【発明の効果】
【0061】
本発明の酸素発生装置は、構造が単純であり、使用時の内圧の上昇が極めてわずかなので、装置重量を従来の酸素発生装置の10分の1以下にすることができる。
【0062】
本発明の酸素発生原料は、軽量粉末の適用によって、酸素発生速度の均一化と発生酸素の汚染防止を図ることができる。
【0063】
本発明の酸素発生方法は、水と氷の適用によって、水源量を従来法に比べて大幅に低減できる。
【0064】
本発明の酸素発生装置、酸素発生原料および酸素発生方法は、使い捨て可能な安価な装置および片手で持って違和感なく使用できる軽さという効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図8に基づいて説明する。
【0066】
図1は酸素発生装置の断面を示したものである。容器1は底面2と側面3で構成され上面4は全面開放の開口4aとなっている。側面3はその下部が垂直壁部であり、その上部が上方に向かって横断面積が増加する壁部3aとなっている。上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上部に弾性多孔質隔壁5がこれに接して下方へ押し込まれ配置されている。
【0067】
底面2と側壁3と弾性多孔質隔壁5が構成する閉空間の下方に酸素を発生すべき内容物が収納される。内容物表面に比べて弾性多孔質隔壁5の下面は広いことが本発明の特徴である。これにより、酸素発生時の内圧の上昇は軽微となる。このため、安価な装置材料が適用できる。すなわち、容器1は薄肉の使い捨て容器で、弾性多孔質隔壁5は安価な洗浄用スポンジで構成することができる。弾性多孔質隔壁5を通過した清浄な酸素は全面開放の開口4aから放散され、吸気に供される。
【0068】
図2は、酸素発生装置の、別の実施の形態を示している。図1と同等の容器1を使用し、上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上部に弾性多孔質隔壁5aと弾性多孔質隔壁5bを、間隙を設けて上下に配置している。
【0069】
飛沫が過剰に飛散したり、手で保持した容器が限度を越えて傾けられたことにより、内容物が弾性多孔質隔壁5bに直接、接触したりして液がこれに大量に染み込んでも、間隙が弾性多孔質隔壁5bへの液の伝播を防止する効果を発揮する。弾性多孔質隔壁5bを通過した清浄な酸素は全面開放の開口4aから放散され、吸気に供される。
【0070】
図3は酸素発生装置の、さらに別の実施の形態を示している。側面3は上方に向かって樌断面積が増加する壁部3aで構成され、上端外周にリブ3bが付随している。上面4は蓋構造となっており、外周部4bがリブ3bと接触して容器1に嵌合される。上面4には開口4aが蓋外縁から35mmの範囲に跨るように配置されている。弾性多孔質隔壁5は上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上方に配置されている。
【0071】
内容物から発生した酸素気流は弾性多孔質隔壁5を通過する間に浄化され開口4aに集められ、ここから放散され、吸気に供される。開口4aを蓋外縁から35mmの範囲に跨るように配置したことにより、発生酸素は効率よく吸気に利用できる。
【0072】
図4は酸素発生装置の、さらに別の実施の形態を示している。上方に向かって横断面積が増加する壁部3aは、補強あるいは外観に変化を持たせるために、上端外周にリブ3b、上部に水平部3c、下端に水平部3dを有している。それに続く側壁3の下部は下へ広がる逆勾配部3eとなっている。底面2は内側へ反る曲面を構成する。上面4は蓋構造となっており、外周部4bがリブ3bと接触して容器1に嵌合される。上面1には開口4aが蓋外縁から35mmの範囲内に配置されている。弾性多孔質隔壁5は上方に向かって横断面積が増加する壁部3aの上方に配置されている。
【0073】
このような各種補強により、容器のいっそうの薄肉化が可能となり、材料の節約と軽量化が図られている。また、開口4aを蓋外縁から35mmの範囲内に配置したことにより発生酸素は効率よく吸気に利用できる。
【0074】
図5は酸素発生時の酸素発生装置内の状況を模式的に示したものである。上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を取り外して、水源を含む酸素発生原料を仕込み、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を取り付ける。ただちに反応が始まり、図示したように内容物10が形成される。これは白濁層10aと気泡層10bからなる。白濁層10aでは酸素が発生し、酸素気泡となって上昇している。水面に到達した酸素気泡は蓄積して気泡層10bを形成する。気泡層10bは下面から気泡が供給される一方、上面で破泡が起きる。気泡を形成する膜が飛び散り、粒径の大きい飛沫11と粒径の小さい霧になる。酸素気流は上方に向かって横断面積が増加する壁部3aで減速するので、飛沫の一部は失速、落下する。また一部は弾性多孔質隔壁5の下面に衝突してから落下する。さらにまた一部は、霧とともに弾性多孔質隔壁5に捕捉される。弾性多孔質隔壁5を通過して浄化された酸素気流は上面4の蓋内で開口4aに向かって方向付けられ、そこから放散され、吸気に供される。
【0075】
弾性多孔質隔壁5は濾過面積が大きいので、効率よく汚れた飛沫および霧を除去できる。弾性多孔質隔壁5には、セルローススポンジ製、ポリビニルアルコールスポンジ製、ポリウレタンフォーム製、メラミン樹脂フォーム製、ナイロン不織布製およびポリエステル不織布製等の多孔体が適している。濾過性能を良好に確保するために、厚さは5mm以上とすることが好ましい。
【0076】
図6は酸素発生時の酸素発生装置内の状況を模式的に示したものであるが、この装置では、弾性多孔質隔壁5aと5bが間隙を挟んで上下に配置されている。内容物10は、白濁層10aと気泡層10bからなり、気泡層10bから発生する飛沫11の一部は霧とともに弾性多孔質隔壁5bに至り、その下面近傍で捕捉される。浄化された酸素気流は、さらに弾性多孔質隔壁5aを通過して開口4aから放散され、吸気に供される。手で保持した装置が限度を越えて傾けられて内容物が直接、弾性多孔質隔壁5bと接触した場合には、大量の液が弾性多孔質隔壁5bに吸収されるが、両隔壁の間隙が弾性多孔質隔壁5aに及ぶのを阻止し、汚れた酸素の放出を防止する。
【0077】
図7は酸素発生時の酸素発生装置内の状況を模式的に示したものであるが、酸素発生原料に軽量粉末が含まれていることが特徴的である。この場合、内容物10は、下から白濁層10a、気泡層10bおよび消泡層10cの3層からなり、軽量粉末が消泡層10cの主構成要素となる。消泡層10cは破泡を促し泡膜片を吸収して飛沫や霧の発生を防止する。消泡層10cで浄化された酸素気流は弾性多孔質隔壁5を通過して開口4aから放散され吸気に供される。
【0078】
軽量粉末として、ポリウレタンフォーム破砕粉末、発泡ポリスチレン破砕粉末、セルローススポンジ破砕粉末、メラミン樹脂フォーム破砕粉末、パルプスポンジ破砕粉末およびコルク破砕粉末等が適用できる。ポリウレタンフォーム破砕粉末は軟質発泡ポリウレタンと硬質発泡ポリウレタンのいずれも消泡作用が優れており好ましい。このうち、硬質発泡ポリウレタンは破砕が容易でありより好ましい。コルク破砕粉末も優れた消泡作用を示すので好ましい。軽量粉末の量は基物質・過酸化水素付加化合物100重量部に対して1から20重量部が好適である。1重量部未満では内容物の表面を完全に覆うことは困難であり、また、20重量部以下で十分消泡が可能なので20重量部を越えると無駄になる。
【0079】
図8は水源として水と氷塊を適用した場合に、その上に供給された基物質・過酸化水素付加化合物粉の挙動を模式的に示したものである。水面12を挟んで浮遊する氷塊13の上に少量の過酸化水素分解触媒とともに投下された基物質・過酸化水素付加化合物粉末14は、まず氷塊の上に乗り、複数の氷塊の隙間を通って水底へ向かって少しずつ落下していく。この結果、酸素発生速度は、初期に定速に達し、一定時間、定速を保つので好ましい。
【実施例1】
【0080】
図7に記載の酸素発生装置および方法の構成に従って酸素を発生させる。容器1は底面2、側壁3、上面4により構成され、材質はポリエチレンテレフタレートで、透明の使い捨て容器である。側壁3は全面、上方に向かって横断面積が増加する壁部3aである。壁部3aの下端の内径は55mm、上端の内径は75mm、高さ125mmであり、垂直線に対する傾斜は4.6度である。弾性多孔質隔壁5は壁部3aの上端に上面が一致するように配置されている。厚さは10mmである。材料はポリウレタンフォームである。
【0081】
この実施例の特徴は、酸素発生原料にコルク破砕粉末および氷を加えて、少量の水源で酸素を発生させることにある。すなわち、過炭酸ナトリウム粉末30g、カタラーゼ粉末0.15gおよびコルク破砕粉末1.2gを混合して、粉末原料を調製する。一方、家庭用冷蔵庫で製造した氷塊と水道水を用意する。
【0082】
酸素発生装置を電子天秤に載せ、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を外して、氷塊2個、重量25gを容器1に入れ、水道水65gを注ぐ。次いで、粉末原料を投下し、ただちに弾性多孔質隔壁5と上面4の蓋を装着する。この時点を基準にして重量減少の経時変化を測定する。
【0083】
図9に結果を示す。横軸に経過時間、縦軸に過炭酸ナトリウム1g当りの重量減少を採ってある。重量減少は減量開始から約15分間、比較的均一である。その後減速し、30分後重量減少はほぼ停止している。総重量減少は0.115g/g(過炭酸ナトリウム)である。この間の弾性多孔質隔壁5の重量増加は0.03g、過炭酸ナトリウム1g当り0.001gである。
【0084】
コルク破砕粉末は浮上運動により過炭酸ナトリウム粉末の沈降を緩和する。氷塊は上に載った過炭酸ナトリウム粉末を支えることにより沈降を緩和させるとともに、初期温度を低く抑える。また、酸素発生に伴う発熱を氷の融解に伴う吸熱で吸収する。これらの相乗効果により、水源量が重量で過炭酸ナトリウムの3倍に抑えられているにも拘わらず、酸素発生速度の均一化が可能となった。また、コルク破砕粉末の消泡作用が顕著に働くので、弾性多孔質隔壁5の重量増加は僅少であり、両者の組み合わせは、汚れた酸素の浄化能力を高める効果を発揮する。また、極めて少ない水源量は、装置の片手保持を容易にし、快適さをもたらす。
【実施例2】
【0085】
図7に記載の酸素発生装置および方法の構成に従って酸素を発生させる。
【0086】
この実施例の特徴は、酸素発生原料に、ポリウレタンフォーム破砕粉末、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および氷を加えたことにある。すなわち、過炭酸ナトリウム粉末45g、カタラーゼ粉末0.23g、ポリウレタンフォーム破砕粉末0.9gおよびポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末5.4gを混合して、粉末原料を調製する。一方、家庭用冷蔵庫で製造した氷塊と水道水を用意する。
【0087】
酸素発生装置を電子天秤に載せ、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を外して、氷塊4個、重量53gを容器1に入れ、水道水82gを注ぐ。次いで、粉末原料を投下し、ただちに弾性多孔質隔壁5と上面4の蓋を装着する。この時点を基準にして重量減少の経時変化を測定する。
【0088】
図10に結果を示す。横軸に経過時間、縦軸に過炭酸ナトリウム1g当りの重量減少を採ってある。重量減少は減少開始から約8分間、比較的均一である。その後減速し、10分後には、重量減少はほぼ停止している。総重量減少は0.113g/g(過炭酸ナトリウム)である。この間の弾性多孔質隔壁5の重量増加はなかった。
【0089】
ポリウレタンフォーム破砕粉末は、コルク破砕粉末と同様に、その浮上運動により過炭酸ナトリウム粉末の沈降を緩和する。氷塊はその上に載った過炭酸ナトリウム粉末を支えることにより沈降を緩和させるとともに、初期温度を低く抑える。酸素発生に伴う発熱を氷の融解に伴う吸熱で吸収する。さらに、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末は、吸水、膨潤してゲル粒子となり、過炭酸ナトリウム粉末を分散させて水との接触を改善することにより酸素発生を加速する。これらの相乗効果により、水源量が重量で過炭酸ナトリウムの3倍に抑えられているにも拘わらず、高い反応速度で酸素発生の均一化が可能となった。また、ポリウレタンフォーム破砕粉末の消泡作用は顕著であり、弾性多孔質隔壁5の重量増加は認められなかった。極めて少ない水源量は、装置の片手保持を容易にし、快適さをもたらす。また、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末は内容物をゲル化するので、使用後、内容物は固形物として廃棄が可能となる。
【実施例3】
【0090】
図5に記載の酸素発生装置および方法の構成に従って酸素を発生させる。すなわち、この実施例では、軽量粉末は使用しない。
【0091】
この実施例の特徴は、軽量粉末の消泡作用に頼ることなく、弾性多孔質隔壁5の浄化作用に依存することにある。すなわち、過炭酸ナトリウム粉末30g、カタラーゼ粉末0.15gおよびポリアクリル酸ナトリウム粉末3.6gを混合して、粉末原料を調製する。一方、家庭用冷蔵庫で製造した氷塊と水道水を用意する。
【0092】
酸素発生装置を電子天秤に載せ、上面4の蓋と弾性多孔質隔壁5を外して、氷塊2個、重量25gを容器1に入れ、水道水65gを注ぐ。次いで、粉末原料を投下し、ただちに弾性多孔質隔壁5と上面4の蓋を装着する。この時点を基準にして重量減少の経時変化を測定する。
【0093】
図11に結果を示す。横軸に経過時間、縦軸に過炭酸ナトリウム1g当りの重量減少を採ってある。重量減少は酸素発生から約8分間、比較的均一である。その後減速し、15分後重量減少はほぼ停止している。総重量減少は0.117g/g(過炭酸ナトリウム)である。この間の弾性多孔質隔壁5の重量増加は0.3g、過炭酸ナトリウム1g当り0.01gである。下面は湿潤していたが、上面は乾いており、湿分が到達した痕跡は認められなかった。
【0094】
図中、比較例1を併記したが、これは、水源を90gの水としたことを除いて、実施例3と同一条件で実施し、氷の影響を示したものである。すなわち、酸素発生開始から1分後、酸素発生は暴走し、2分後には停滞したことがわかる。25分後の容器底部の内容物温度は50.4℃に達していた。弾性多孔質隔壁5の下面にはゲル化したポリアクリル酸ナトリウム架橋体が付着し、重量増加は1.88gもあった。これは、酸素発生の暴走により、内容物が膨張し、弾性多孔質隔壁5の下面に一時的に達したことを示す。しかし、その上面に変化は認められず、弾性多孔質隔壁5の浄化作用は十分に機能していた。
【0095】
弾性多孔質隔壁5は極めて優れた浄化作用を示し、内容物から酸素が異常発生しても問題ない。水と氷の併用については、氷の融解に伴う吸熱が酸素発生に伴う発熱を吸収するので、少量の水源で酸素の安定発生を可能にする効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
。
【0096】
【図1】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図2】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図3】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図4】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図5】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図6】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図7】 本発明の実施形態を示す酸素発生装置の断面図
【図8】 本発明の実施形態を示す模式図
【図9】 本発明の実施例1を補足説明する酸素発生に伴う重量減少の経時変化
【図10】 本発明の実施例2を補足説明する酸素発生に伴う重量減少の経時変化
【図11】 本発明の実施例3を補足説明する酸素発生に伴う重量減少の経時変化
【符号の説明】
【0097】
1 容器
2 底面
3 側壁
3a 上方に向かって横断面積が増加する壁部
4 上面
4a 開口
5 弾性多孔質隔壁
10 内容物
10a 白濁層
10b 気泡層
10c 消泡層
11 飛沫
12 水面
13 氷塊
14 基物質・過酸化水素付加化合物粉末
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、上方に向かって横断面積が増加する壁部を有する側壁と、開口を有する上面および、該上方に向かって横断面積が増加する壁部の上部に接して設けられた弾性多孔質隔壁を含む酸素発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒を含む酸素発生原料。
【請求項3】
水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含む酸素発生原料。
【請求項4】
さらに、高吸水性粉末を含む請求項2または3に記載の酸素発生原料。
【請求項5】
過酸化水素分解触媒があらかじめ水源に溶解または分散されていることを特徴とする請求項2から4に記載の酸素発生原料。
【請求項6】
請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含む酸素発生原料。
【請求項7】
高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とする請求項4に記載の酸素発生原料。
【請求項8】
軽量粉末がポリウレタンフォーム破砕粉末、発泡ポリスチレン破砕粉末、セルローススポンジ破砕粉末、メラミン樹脂フォーム破砕粉末、パルプスポンジ破砕粉末およびコルク破砕粉末からなる群から選ばれた多孔質粉末であることを特徴とする請求項3に記載の酸素発生原料。
【請求項9】
過酸化水素分解触媒がカタラーゼであることを特徴とする請求項2から8に記載の酸素発生原料。
【請求項10】
基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2から9に記載の酸素発生原料。
【請求項11】
水源が水と氷を含むことを特徴とする請求項2から10に記載の酸素発生原料。
【請求項12】
上方に向かって横断面積が増加する壁部の傾斜が、垂直線に対して2から30度の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の酸素発生装置。
【請求項13】
少なくとも底面および側壁が、ポリスチレン製、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製および紙製からなる群から選択されることを特徴とする請求項1および12に記載の酸素発生装置。
【請求項14】
側壁の厚さが、50から800μmであることを特徴とする請求項13に記載の酸素発生装置。
【請求項15】
複数の弾性多孔質隔壁が、間隙を挟んで配置されることを特徴とする請求項1、12から14に記載の酸素発生装置。
【請求項16】
弾性多孔質隔壁が、セルローススポンジ製、ポリビニルアルコールスポンジ製、ポリウレタンフォーム製、メラミン樹脂フォーム製、ナイロン不織布製およびポリエステル不織布製からなる群から選択されることを特徴とする請求項1、12から15に記載の酸素発生装置。
【請求項17】
上面の開口が酸素発生装置の外縁から35mmの範囲に設けられていることを特徴とする請求項1、12から16に記載の酸素発生装置。
【請求項18】
側壁に満水線および満氷線が記載されることを特徴とする請求項1、12から17に記載の酸素発生装置。
【請求項19】
請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および水源を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする酸素発生方法。
【請求項20】
請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、軽量粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする請求項19に記載の酸素発生方法。
【請求項21】
請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、高吸水性粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする請求項19および20に記載の酸素発生方法。
【請求項22】
高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とすることを請求項21に記載の酸素発生方法。
【請求項23】
水源が水と氷を含むことを特徴とすることを請求項19から22に記載の酸素発生方法。
【請求項24】
基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とすることを請求項19から23に記載の酸素発生方法。
【請求項25】
水源が水と氷からなり、水源の量が基物質・過酸化水素付加化合物の量に対して重量で1.5倍から5倍の範囲にあって、反応開始直前の水の量が氷の量に対して重量で0.05倍から10倍の範囲にあることを特徴とする請求項24に記載の酸素発生方法。
【請求項1】
底面と、上方に向かって横断面積が増加する壁部を有する側壁と、開口を有する上面および、該上方に向かって横断面積が増加する壁部の上部に接して設けられた弾性多孔質隔壁を含む酸素発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒を含む酸素発生原料。
【請求項3】
水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含む酸素発生原料。
【請求項4】
さらに、高吸水性粉末を含む請求項2または3に記載の酸素発生原料。
【請求項5】
過酸化水素分解触媒があらかじめ水源に溶解または分散されていることを特徴とする請求項2から4に記載の酸素発生原料。
【請求項6】
請求項1に記載の酸素発生装置に供給し、水源とともに使用する、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および軽量粉末を含む酸素発生原料。
【請求項7】
高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とする請求項4に記載の酸素発生原料。
【請求項8】
軽量粉末がポリウレタンフォーム破砕粉末、発泡ポリスチレン破砕粉末、セルローススポンジ破砕粉末、メラミン樹脂フォーム破砕粉末、パルプスポンジ破砕粉末およびコルク破砕粉末からなる群から選ばれた多孔質粉末であることを特徴とする請求項3に記載の酸素発生原料。
【請求項9】
過酸化水素分解触媒がカタラーゼであることを特徴とする請求項2から8に記載の酸素発生原料。
【請求項10】
基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2から9に記載の酸素発生原料。
【請求項11】
水源が水と氷を含むことを特徴とする請求項2から10に記載の酸素発生原料。
【請求項12】
上方に向かって横断面積が増加する壁部の傾斜が、垂直線に対して2から30度の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の酸素発生装置。
【請求項13】
少なくとも底面および側壁が、ポリスチレン製、ポリエチレン製、ポリエチレンテレフタレート製および紙製からなる群から選択されることを特徴とする請求項1および12に記載の酸素発生装置。
【請求項14】
側壁の厚さが、50から800μmであることを特徴とする請求項13に記載の酸素発生装置。
【請求項15】
複数の弾性多孔質隔壁が、間隙を挟んで配置されることを特徴とする請求項1、12から14に記載の酸素発生装置。
【請求項16】
弾性多孔質隔壁が、セルローススポンジ製、ポリビニルアルコールスポンジ製、ポリウレタンフォーム製、メラミン樹脂フォーム製、ナイロン不織布製およびポリエステル不織布製からなる群から選択されることを特徴とする請求項1、12から15に記載の酸素発生装置。
【請求項17】
上面の開口が酸素発生装置の外縁から35mmの範囲に設けられていることを特徴とする請求項1、12から16に記載の酸素発生装置。
【請求項18】
側壁に満水線および満氷線が記載されることを特徴とする請求項1、12から17に記載の酸素発生装置。
【請求項19】
請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、基物質・過酸化水素付加化合物粉末、過酸化水素分解触媒および水源を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする酸素発生方法。
【請求項20】
請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、軽量粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする請求項19に記載の酸素発生方法。
【請求項21】
請求項1、12から18に記載の酸素発生装置に、さらに、高吸水性粉末を含む酸素発生原料を供給して酸素を発生させることを特徴とする請求項19および20に記載の酸素発生方法。
【請求項22】
高吸水性粉末がポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末および綿状パルプからなる群から選ばれることを特徴とすることを請求項21に記載の酸素発生方法。
【請求項23】
水源が水と氷を含むことを特徴とすることを請求項19から22に記載の酸素発生方法。
【請求項24】
基物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とすることを請求項19から23に記載の酸素発生方法。
【請求項25】
水源が水と氷からなり、水源の量が基物質・過酸化水素付加化合物の量に対して重量で1.5倍から5倍の範囲にあって、反応開始直前の水の量が氷の量に対して重量で0.05倍から10倍の範囲にあることを特徴とする請求項24に記載の酸素発生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−40671(P2009−40671A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232053(P2007−232053)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(506074923)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(506074923)
【Fターム(参考)】
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