説明

酸素運搬界面活性剤を用いてペルフルオロカーボンを乳化する組成物及び方法

連続水相において安定な乳化物を形成するペルフルオロデカリン及び酸素運搬フッ素化界面活性剤を含む生理学的に許容可能なペルフルオロカーボン乳化組成物。酸素運搬フッ素化界面活性剤は分画されてその生理学的相溶性が増強されていてもよく、またその酸素運搬能を高めるために過フッ素化された脂肪酸ラジカルをさらに含んでもよい。したがって、本発明のペルフルオロカーボン乳化組成物は改善された安定性及び効率を示し、人工酸素運搬体としての広い用途及び有効性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペルフルオロカーボン乳化物に関し、より詳細には、生理学的に許容可能な血管内酸素運搬体を製造するための、ペルフルオロカーボンを酸素運搬界面活性剤を用いて乳化するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーブーム世代が引退する年齢に近づき、また、外国での戦争が避けられない犠牲者を出すにつれ、血液の需要は、世界中でそうであるように、アメリカにおいて常に増加し続けている。事故や火事の犠牲者、癌患者、そして手術や薬物治療を受けている他の患者も、莫大な量の血液と血液製剤を日常的に必要としている。実際、アメリカ人の20人に1人は、その生涯のある時点で輸血を必要とするだろう。
【0003】
特に近年において、血液への信じられないほどの、そして、終わりのない需要は、血液を供給するドナーの欠如の深刻さと相まって、生理学的に許容可能な合成血液製剤の達成を生物医療研究の価値ある目的としている。ペルフルオロカーボンは化学的に不活性な合成分子で、主に炭素原子とフッ素原子からなり、無色の液体を形成する。酸素や二酸化炭素を含む有意量のガスを物理的にに溶解するその能力のため、ペルフルオロカーボンは血液の論理上の代替物のようである。しかしながらそのような良い性質に関わらず、ペルフルオロカーボンは疎水的であり、したがって水と相溶性でない。従って、ペルフルオロカーボンを血管内での使用の前に乳化させなければならない。
【0004】
ベトナム戦争の間、軍隊は、戦場での使用のために、ヘモグロビン系血液代替物の開発を熱心に進めた。これと同じ期間の間、Cincinnati Children's HospitalのLeland Clark博士は、初めて、代替合成血液製剤としてペルフルオロカーボンを用いて実験を始めた。軍隊が臨床的に許容可能なヘモグロビン系血液代替物の開発にすぐには成功しなかったうちに、Clark博士、Robert Geyer、Henry Sloviter等による初期の研究は、日本のGreen Cross CorporationによるFluosol DAの製造に至った。これは、最初に生成された純粋な合成酸素運搬体であり、人への使用にかなりの見込みを示した。
【0005】
しかし、Fluosol DAは、水相中のペルフルオロカーボンの乳化物が熱力学的にも動力学的にも本質的に不安定であるという点で問題があった。この不安定さにより、乳化物の貯蔵を凍結状態で行なう必要があり、さらに、この乳化物を使用の直前に他の補助溶液とブレンドするという面倒で時間のかかるプロセスが必要であった。さらに、十分な酸素供給及び交換のために、Fluosol DAでの処理の間に患者を70〜100%酸素に維持することが必要だった。
【0006】
より効果的にペルフルオロカーボンを乳化するためにより小さい鎖のペルフルオロカーボン分子を用いて、より高濃度の活性剤を乳化物中に存在させ、それによりより高い酸素運搬能力を得させることにより、Fluosol DAに対して、次世代の合成酸素運搬体の改良がされている。次世代乳化物はFluosol DAより安定でもあり、活性の顕著な低下を伴うことなく数ヶ月の間4℃で貯蔵することができる。
【0007】
これらの改良にも関わらず、合成酸素運搬体の製造及び安定化には、およそ0.16μmかそれ未満の直径しかない液滴が生理学的システム内で十分に耐えるようにするという技術的な大きな難問が存在する。さらに、ペルフルオロカーボン系乳化物は不混和性(immiscible)であり、よって水中では本質的に不安定である。卵黄リン脂質やレシチンのような公知の乳化剤も、静脈内酸素運搬体として有用な最終製品の安定性を脅かす外因性の成分を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、生理学的に許容可能な人工酸素運搬体を製造するために、ペルフルオロカーボンを酸素含有界面活性剤で乳化するための組成物と方法の必要性が存在する。有利には、そのような組成物及び方法は、小粒径であり、乳化物における水相及びペルフルオロカーボン相の両者とペルフルオロカーボンとが高い親和性を有し、高い酸素運搬能を有する優れたペルフルオロカーボン乳化物を製造するだろう。そのような組成物及び方法を開示し、ここに特許請求する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の概要
本発明は現在の技術水準に対する発展であり、特に、現在入手可能な組成物や、ペルフルオロカーボンを界面活性剤で乳化して生理学的に許容可能な人工酸素運搬体を製造する現在利用可能な方法によって完全には解決されていない当該分野の問題及び必要性に対する発展である。したがって、本発明が開発されたことにより当該分野における上記の欠点の多く又は全てを克服する組成物と、ペルフルオロカーボンを酸素運搬界面活性剤で乳化する方法が提供される。
【0010】
本発明の一定の態様に従うペルフルオロカーボン乳化組成物には、ペルフルオロデカリンと酸素運搬フッ素化界面活性剤とが含まれ、連続する水相中においてペルフルオロデカリンの安定な乳化物が形成されている。ペルフルオロデカリンは、組成物の約5〜約85重量%の量で提供されてもよく、酸素運搬フッ素化界面活性剤は組成物の約5〜約50重量%の量で提供されてもよい。酸素運搬フッ素化界面活性剤は、6〜12の炭素原子を有する脂肪酸を含んでもよく、ある態様では、酸素運搬能を高めるために過フッ素化されてもよい。
【0011】
一態様において、ペルフルオロカーボン乳化組成物は酸素運搬フッ素化界面活性剤として大豆レシチンを含む。他の態様において、酸素運搬フッ素化界面活性剤は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、及びホスファチジルエタノールアミンのうちの1つを含んでもよく、これらの各々は大豆レシチン由来である。
【0012】
ペルフルオロカーボン乳化組成物を製造する方法は、大豆レシチンを準備すること、大豆レシチン上に脂肪酸ラジカルを置換すること、及び脂肪酸ラジカルをフッ素化して酸素運搬フッ素化界面活性剤を製造することを含んでもよい。この方法は次いで、連続する水相中で酸素運搬フッ素化界面活性剤とペルフルオロデカリンとを乳化して生理学的に許容可能な人工酸素運搬体を製造することを含んでもよい。
【0013】
一態様において、大豆レシチン上に置換された脂肪酸ラジカルは、約12〜約22の炭素原子を有する炭素鎖を含んでもよい。ある態様では、脂肪酸ラジカルは、酸素運搬能を向上させるために、過フッ素化されてもよい。
【0014】
特徴、利点又は同様の言葉について本明細書を通じてなされる言及は、本発明に理解されうる特徴及び利点の全てが本発明のすべての一態様に含まれるべきである、ということを示すわけではない。むしろ、特徴や利点に言及する語は、態様に関連して記載される特定の特徴、利点又は性質が、本発明の少なくとも1つの態様に含まれることを意味すると理解される。かくして、特徴及び利点についての説明、ならびに同様の語は、必ずしもそうではないが、本明細書を通じて一部の態様について言及するといえる。
【0015】
さらに、本発明の上記の特徴、利益、及び性質は、1又は複数の態様において任意の適切な手法にて組み合わせることができる。当業者は、本発明が、特定の態様の具体的な特徴又は利点の1又は複数を用いずに実行され得ることを理解するだろう。他の例において、本発明のすべての態様には存在しないかもしれない追加の特徴及び利点が、一定の態様には認められ得る。
【0016】
これら本発明の特徴及び利点は以下の詳細な説明と添付する特許請求の範囲により完全に明らかになるだろう。あるいは以下に記載する本発明の実施例により理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書を通じて使用される「一態様」、「態様」、又は類似の語は、その態様に関連して記載される特定の特徴、構造、又は性質が、本発明の少なくとも1つの態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通じての「一態様において」というフレーズ及び類似の語の出現は、必ずしもそうではないが、同じ態様をすべて言及するといえる。
【0018】
その上、本発明の上記の特徴、構造、又は性質は、1又は複数の態様において任意に適切な手法で組み合わせることができる。以下の説明において、数値の具体的な詳細は、本発明の態様の完全な理解を提供するために開示される。しかし、当業者は、本発明が、特定の詳細の1又は複数を用いずに、あるいは、他の方法、成分、材料などによって実行できることを理解するだろう。他の例において、本発明の側面を曖昧にすることを回避するために、周知の構造、材料、又は操作は示していないし、詳細に説明していない。
【0019】
本明細書に用いる通り、「ペルフルオロカーボン」は、高いガス溶解性、低い粘度、化学的不安定性、及び生物学的不安定性により特徴付けられる炭素−フッ素化合物をいう。「過フッ素化」という語は、炭素原子に付随する水素原子の各々がフッ素で置換されている有機構造をいう。
【0020】
本発明は、ペルフルオロカーボンを酸素運搬界面活性剤で乳化して生理学的システムに用いられる基準に叶う合成酸素運搬体を製造する組成物及び方法を含む。詳細には、本発明の一定の態様にしたがって製造される合成酸素運搬体は、安定で微細な乳化物を形成することができ、この乳化物は非毒性で非変異原性で、かつ血液及び内皮細胞と適合性であり、薬学的活性、生理学的活性、及び生物化学的活性をほとんど有さず、生理学的システムにおいて不変状態で排泄されるか無害の代謝物を形成する。
【0021】
本発明に従う組成物及び方法についての症状には、手術急性失血、ハイリスク血管形成(high-risk angioplasty)、膵臓保存(pancreas preservation)、島細胞(islet cell)を含む移植組織の輸送、糖尿病のための島細胞生存(viability)/島細胞前駆体移植、腫瘍の放射線感受性の増強、網膜手術、急性心筋梗塞、急性虚血性脳卒中、多様なショック症候群、及び/又は当該分野で知られる他の症状が含まれうる。
【0022】
実際、本発明の組成物は、生理学的システムにおける血液代替物としての使用に加えて、輸送中の移植組織の保存に特に有利であることができる。例えば、島細胞移植片は、血糖値レベルを標準化させる能力を有し、糖尿病に付随する合併症を予防する。しかしながら、島細胞の壊れやすい性質は、島細胞のかなりの量が培養、貯蔵、輸送、及び続く移植中に死ぬ傾向があることを意味する。したがって、島細胞の高い収率を有する島細胞の保存及び回収の方法は、島細胞移植手順の最終的な成功にとって重要である。
【0023】
本発明に従う組成物は、活性薬学成分を含むペルフルオロカーボンを含むことができる。ある態様では、例えば、ペルフルオロカーボンは過フッ素化環状炭化水素を含むことができる。一態様において、ペルフルオロカーボンは、C1018の実験式を有し462.08の分子量を有するよく特徴づけられた無機分子であるペルフルオロデカリンのシス及びトランス異性の少なくとも1を含む。オクタデカフルオロデカハイドロナフタレン、ペルフルナフェン、及び/又はペルフルオロデカハイドロナフタレンとしても知られるペルフルオロデカリンは、142℃の沸点、−10〜142℃の融点、40℃の引火点、及び25℃で1.917kg/Lの嵩密度を有する。ペルフルオロデカリンは水に溶解性ではないが、ペルフルオロデカリンを活性薬学成分として用いる本発明の態様は、低密度と小粒径とを実現でき、それにより、微細で安定な乳化物を促進し、これは、裸眼により物理的に均一な溶液であるように見える。ペルフルオロデカリン又は他のペルフルオロカーボンは薬学用途のために精製されてもよい。
【0024】
ある態様において、ペルフルオロデカリンは、組成物重量に対して約5〜85%の乳化物を含むことができる。他の態様において、組成物は、例えば第二の過フッ素化環状炭化水素のような第二の活性薬学成分をさらに含んでもよく、第二の過フッ素化環状炭化水素もまた組成物重量に対して約5〜85%の量で存在する。さらに他の態様では、ペルフルオロデカリン又は他の主要な活性薬学成分は、以下により詳細に説明する過フッ素化酸素運搬界面活性剤又は高度にフッ素化された酸素運搬界面活性剤に、完全に又は部分的に置き換えられてもよい。
【0025】
実際、一定の態様において、組成物は、有意量のフッ素と水分散性能とを有する界面活性剤を含むことができ、これは医薬用途のために精製されてもよい。ある態様において、界面活性剤は、その界面活性剤としての機能並びに活性薬学成分としての機能の2つの機能を十分に実現できる高い酸素運搬容量を示すことができる。界面活性剤は、レシチン由来材料の合成対応物から又は当該分野で知られる他の材料から自然に生じる、レシチンのような前駆体材料から調製することができる。一態様において、界面活性剤は、Phospholipon 90R Gのような大豆レシチンを含む。大豆レシチンは、リン脂質、糖脂質、トリグリセリド、ステロール、並びに少量の脂肪酸、炭水化物、及びスフィンゴ脂質の複合混合物である。大豆レシチンの主要なリン脂質成分には、ホスファチジルコリン(13〜18%)、ホスファチジルエタノールアミン(10〜15%)、ホスファチジルイノシトール(10〜15%)、ホスファチジン酸(5〜12%)が含まれる。
【0026】
大豆レシチンを含む天然に生じるレシチンは、生理学的システムにおける合成酸素運搬体としての使用に拮抗すると思われる乳化物への不要添加物の存在を減少させるために、その自然の状態から修飾されてもよい。多くの場合では組成物中に含まれる界面活性剤は組成物重量に基づいて約5〜85%含まれるが、界面活性剤の量は活性薬学成分の濃度に応じて、また標的となる乳化物の具体的な特性に依存して、変動させることができる。
【0027】
ある態様において、界面活性剤は、乳化物の水相及びペルフルオロカーボン相とより強い相溶性を示す誘導体を形成させるために、反応させてもよい。一態様において、界面活性剤は、乳化物のペルフルオロカーボン相及び/又は水相との親和性が高められるように修飾されたレシチン画分を含む。特に大豆レシチンについて上述したように、レシチン画分には、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、イノシトール、コリン、セファリン、及び/又は当該分野で知られる他のレシチン画分が含まれる。レシチン画分は、フッ素化により、又は高い水分散性を有するエステルラジカルを基材分子に添加することにより、修飾されてもよい。ある態様において、レシチン画分は、フッ素化ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンエステル、及び/又はこれらの混合物を含むことができる。
【0028】
一態様において、界面活性剤は、レシチン画分ホスファチジルコリンをフッ素化脂肪酸グリセロールでエステル化することにより調製される。具体的には、フッ素化脂肪酸ラジカルはグリセロール水酸基においてコリン上に置換され、ホスファチジルラジカルが残る。あるいは、ホスファチジルコリン上に自然に生じる脂肪酸成分を、フッ素化脂肪アルコールでエステル化して同じエステルとしてもよい。いずれの場合でも、エステル化に用いられる脂肪酸又はアルコールは、約6〜8の炭素原子を含むことができる。
【0029】
本発明の一定の態様に従うエステル化反応は、約10wt%のC10フッ素化酸又は過フッ素化酸を含み、前記酸についての約90wt%のC20過フッ素化溶媒を含み、そして約0.1wt%の塩酸又は硫酸のようなミネラル酸を含む、第一溶液を調製することにより行うことができる。第一溶液は、約50〜60℃の穏やかな熱を与えることにより調製できる。第二溶液は、ホスファチジルコリンをグリセロールホスファチジルコリンへと鹸化することにより調製できる。次いで第二溶液を第一溶液へと約50℃〜60℃でゆっくりと添加してエステル化を引き起こすことにより、エステル化反応を開始させることができる。他の態様では、フッ素化脂肪アルコールとの反応の前に必要とされるコリンの酸性基の除去の工程を省略してもよい以外は同様にして、アルコールエステル化方法を行うことができる。
【0030】
上で調製されたフッ素化脂肪酸エステル化グリセリルホスファチジルコリンを含む乳化物は、適当量の水を加えて乳化物を形成することにより形成することができる。水の量は、例えば、組成物重量に基づいて約50〜70%で変動させることができる。
【0031】
本発明に従う組成物の一定の態様は、抗凝集剤、防腐剤、抗酸化剤、及び/又は組成物の経時劣化を防ぐための又は生理学的システムにおける組成物の効率的な使用を促進するための当業者に知られる任意の他の不活性成分のような不活性成分をさらに含んでもよい。一態様において、例えば、組成物は次の活性成分及び不活性成分を含む。
【0032】
【表1】

【0033】
本発明は、その精神又は本質的特徴から逸脱しない他の具体的な形態で体現されてもよい。上記の態様は、すべてに関して例示の目的のみであり限定的ではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は、上記の説明ではなくむしろ付随の特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲の均等の意義及び範囲内で行われるすべての変更は、本発明の範囲内に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容可能な連続水相中のペルフルオロカーボン乳化組成物であって:
ペルフルオロデカリン;及び
該連続水相においてペルフルオロデカリンの安定な乳化物を形成する酸素運搬フッ素化界面活性剤
を含む組成物。
【請求項2】
ペルフルオロデカリンが該組成物の重量に基づいて約5〜約85%の量で存在する、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項3】
酸素運搬フッ素化界面活性剤が該組成物の重量に基づいて約50〜約70%の量で存在する、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項4】
酸素運搬フッ素化界面活性剤が6〜12の炭素原子を有する脂肪酸を含む、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項5】
酸素運搬フッ素化界面活性剤が過フッ素化されている、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項6】
酸素運搬フッ素化界面活性剤が大豆レシチンを含む、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項7】
酸素運搬フッ素化界面活性剤が大豆レシチン由来のホスファチジルコリンを含む、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項8】
酸素運搬フッ素化界面活性剤が大豆レシチン由来のホスファチジルイノシトールを含む、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項9】
酸素運搬フッ素化界面活性剤が大豆レシチン由来のホスファチジルエタノールアミンを含む、請求項1に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項10】
生理学的に許容可能な人工酸素運搬体としての使用に適合するペルフルオロカーボン乳化組成物であって:
ペルフルオロデカリン;及び
連続水相においてペルフルオロデカリンの安定な乳化物を形成するフッ素化大豆レシチン
を含む、組成物。
【請求項11】
ペルフルオロデカリンが該組成物の重量に基づいて約5〜約85%の量で存在する、請求項10に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項12】
フッ素化大豆レシチンが該組成物の重量に基づいて約50〜約70%の量で存在する、請求項10に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項13】
フッ素化大豆レシチンが大豆レシチン由来のホスファチジルコリンを含む、請求項10に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項14】
ホスファチジルコリンが過フッ素化されている、請求項13に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項15】
フッ素化大豆レシチンが脂肪酸を含む、請求項10に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項16】
脂肪酸が約12〜約22の炭素原子の長さを有する炭素鎖を含む、請求項15に記載のペルフルオロカーボン乳化組成物。
【請求項17】
生理学的に許容可能な人工酸素運搬体としての使用に適合するペルフルオロカーボン乳化組成物を製造する方法であって:
大豆レシチンを準備すること;
大豆レシチン上に脂肪酸ラジカルを置換すること;
脂肪酸ラジカルをフッ素化して酸素運搬フッ素化界面活性剤を製造すること;及び
酸素運搬フッ素化界面活性剤及びペルフルオロデカリンを連続水相中で乳化して、生理学的に許容可能な人工酸素運搬体を製造すること
を含む方法。
【請求項18】
大豆レシチンが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、及びホスファチジルエタノールアミンのうちの1を含み、該ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、及びホスファチジルエタノールアミンの各々は大豆レシチン由来である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
大豆レシチン上に脂肪酸ラジカルを置換することが、約12〜約22の炭素原子の炭素鎖を有する脂肪酸ラジカルを選択することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
脂肪酸ラジカルをフッ素化することが、脂肪酸ラジカルを過フッ素化することを含む、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2009−502956(P2009−502956A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524194(P2008−524194)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/029406
【国際公開番号】WO2007/014328
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508027707)
【Fターム(参考)】