説明

酸誘発放出マイクロカプセル

【課題】生物学的に活性な物質および農芸化学物、好ましくは葉の処理のための殺有害生物剤の制御された放出に有用な、酸誘発されるまたは酸感受性であるマイクロカプセルを提供する。
【解決手段】下式(I)によって表される少なくとも1つのオリゴマーアセタール部分を含むポリウレア殻壁とこの殻壁内に封入されたカプセル化成分とから形成されるマイクロカプセル。


[式中、Rは、(a)置換されていてもよい炭素数5〜約40の炭素鎖、(b)1以上の内部結合された酸素原子等を有する炭素数4〜約40の炭素鎖、または(c)置換されていてもよいエチレン鎖またはプロピレン鎖を表し、Zは、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよいC1−C20アルキル等を表し、nは、Rが(a)または(b)である場合、1であり、またはRが(c)である場合、2〜20である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のマイクロカプセル化組成物(microcapusulated composition)に関し、この組成物は、ポリマー殻壁(shell wall)(特に、ポリウレア殻壁)内にカプセル化された活性成分(単数または複数)を含有し、ここで、この殻壁は、酸性条件に感受性である1以上のオリゴマーユニットを含む。ならびに本発明は、このようなマイクロカプセルを製造するプロセス、およびこれらの使用方法に関する。オリゴマーユニット(単数または複数)は、これらのカプセルを酸性条件に曝露すると、カプセル化された内容物の放出を誘発する。
【0002】
本発明のマイクロカプセルは、農業用および非農業用の使用の両方のための、殺有害生物剤(pesticide)のカプセル化処方物の製造における使用のために、特に適することがわかっている。これらはまた、植物成長調整剤、昆虫成長調整剤、肥料、および他の農業的に有用な物質のような、非殺虫剤系農業用化学物質のカプセル化処方物における使用のためにも、適切である。さらに、これらは、穏やかな酸性条件下でのペイントフィルム(paint film)への制御された放出のためのペイント殺生物剤のカプセル化のような、農業以外の分野の材料のカプセル化のために、有用である。
【背景技術】
【0003】
多くの場合において、特に農業において、マイクロカプセル化組成物を製造する目的は、カプセル化された活性成分の制御された放出を提供することであり、そして特に、長期にわたる効力のための放出を提供するためであり、その結果、その活性成分は、ある期間にわたって放出され、そしてその有効な期限にわたって利用可能である。このことは、殺有害生物剤、あるいは比較的短い期間にわたってまたは特定の環境条件下で減成する(degrade)または分解する(decompose)他の生物学的に活性な成分について、特に重要である。これらの状況で、マイクロカプセル化組成物を使用すると、カプセル化成分の長期間にわたって効果的な活性が提供される。なぜなら、この成分が、一度の多くの初期の用量でよりはむしろ、必要な量で連続的に、環境に放出されるためである。
【0004】
現在、マイクロカプセル化殺有害生物剤は、主として、覚醒前(preemergence)殺有害生物剤として使用される。すなわち、これらの殺有害生物剤は、植物成長の覚醒または昆虫の発生の前に、土壌に適用され、その結果、これらの殺有害生物剤は、覚醒したばかりの草種または幼虫段階の昆虫を、殺すかまたは制御するために、利用可能である。また、これらの適用において、殺有害生物剤がある期間にわたって(通常は、少なくとも数週間にわたって)環境に放出されるように、比較的遅い放出速度が所望される。
【0005】
迅速な放出のためのマイクロカプセル化処方物は、印刷および乾式複写技術の産業のような他の多数の応用において公知であり、ここでは、インク、顔料、トナー粒子などの物質がマイクロカプセル化され、そして物理的力または熱を付与すると、迅速に放出される。速くまたは迅速に放出されるマイクロカプセルは、制御された放出が所望されない状況では、農業において有用性を有し得るが、活性成分のマイクロカプセル化は、多くの理由のいずれかのために、所望される。例えば、マイクロカプセル化は、殺有害生物剤の取り扱い(例えば、製造、保存、または噴射設備への装填)の間の、その殺有害生物剤の皮膚への毒性影響に対する保護のために、所望され得る。しかし、カプセル化されていない処方物または放出が制御されていない処方物(例えば、溶液、エマルジョン、粉塵、粉末、顆粒など)を用いる場合に通常そうであるように、殺有害生物剤の迅速な放出が、その殺有害生物剤を有害生物の制御のために容易に利用可能とするために、所望され得る。殺有害生物剤のカプセル化は必要とされるが比較的迅速な放出は必要とされない別の例は、互いに反応し得るか、または他の様式で単一の系では相溶性でない2種類の活性成分を含有する、殺有害生物剤製品の製造において存在する。
【0006】
殺有害生物剤のマイクロカプセル化は、マイクロカプセルのポリマー壁が、取扱者と活性殺有害生物剤との接触を最小化させる程度まで、特に、その殺有害生物剤がマイクロカプセルの懸濁液の形態である場合に、殺有害生物剤の取り扱いの安全性の増大をしばしば提供し得る。マイクロカプセル化された殺有害生物剤の処方物の誘発放出を提供することは、取扱者と活性殺有害生物剤との接触を最小化し得、さらに、既に存在するかもしくは侵入しようとしている有害昆虫から植物を保護するために適用される場合には、活性成分の必要な迅速な放出を提供する。さらに、ピレスロイドを含有する誘発放出カプセル化製品は、産業的、商業的、または住宅用の有害生物制御において、有用であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、上述の目的を満たす、酸誘発されるまたは酸感受性であるマイクロカプセルを提供する。
【0008】
1局面において、本発明は、ポリウレア殻壁とこの壁に封入されたカプセル化成分(単数または複数)とから形成されるマイクロカプセルを含み、この壁は、少なくとも1種の酸感受性オリゴマーアセタール部分を含む。好ましい実施態様において、カプセル壁に存在するようなアセタール部分は、以下の式:
【0009】
【化8】

【0010】
を有し、ここで、Rは、(a)5から約40の必要に応じて置換されている炭素原子の鎖を含有する部分、(b)4〜約40の炭素原子および1以上の内部結合された酸素原子または硫黄原子または−NH−基の鎖を含む部分、あるいは(c)必要に応じて置換されているエチレンまたはプロピレン部分であり;
Zは、(a)必要に応じて置換されているフェニル基、(b)必要に応じて置換されているC1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C3−C8シクロアルキルまたはC5−C8シクロアルケニル基;あるいは(c)ベンゾイルであり;そしてnは、Rが(a)または(b)である場合、1であり、またはRが(c)である場合、2〜20である。
【0011】
別の局面において、本発明は、このようなマイクロカプセルを製造するためのプロセスを含み、このプロセスは、以下の工程を包含する:(a)オリゴマーアセタールと、式OCN−R1−NCOを有するジイソシアネートとを反応させ、プレポリマーを生成する工程(ここで、R1が、脂肪族または芳香族部分である)、および(b)ポリウレアマイクロカプセル化プロセスにおいて(a)の生成物をプレポリマーとして使用する工程。好ましい実施態様において、このプレポリマーは、以下の式:
【0012】
【化9】

【0013】
を有し、ここで、R、R1およびZは、上述の通りである。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) ポリウレア殻壁と該殻壁内に封入されたカプセル化成分(単数または複数)とから形成されるマイクロカプセルであって、該壁は、少なくとも1つのオリゴマーアセタール部分を含む、マイクロカプセル。
(項目2) 項目1に記載のマイクロカプセルであって、ここで、前記オリゴマーアセタール部分が、酸性条件への曝露下で加水分解されるものである、マイクロカプセル。
(項目3) 項目1に記載のマイクロカプセルであって、前記オリゴマーアセタール部分が、以下の式を有し;
【化1】


ここで、Rは、(a)5から約40の必要に応じて置換されている炭素原子の鎖を含有する部分、(b)4〜約40の炭素原子および1以上の内部結合された酸素原子または硫黄原子または−NH−基の鎖を含む部分、あるいは(c)必要に応じて置換されているエチレンまたはプロピレン部分であり;Zは、(a)必要に応じて置換されているフェニル基、(b)必要に応じて置換されているC1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C3−C8シクロアルキルまたはC5−C8シクロアルケニル基;あるいはベンゾイルであり;そしてnは、Rが(a)または(b)である場合、1であり、またはRが(c)である場合、2〜20である、マイクロカプセル。
(項目4) 塩基性条件下で安定である、項目2に記載のマイクロカプセル。
(項目5) 塩基性条件下で安定である、項目3に記載のマイクロカプセル。
(項目6) 項目3に記載のマイクロカプセルであって、ここで、Rが、C5−C40アルキルまたは式−CH2−R2−CH2を有する基であり、ここで、R2が、必要に応じて置換されているフェニルあるいはC5−C15シクロアルキルまたはシクロアルケニル環であり、そしてメチレン基は、該環上の1,3位より近くはなく配置される、マイクロカプセル。
(項目7) 項目3に記載のマイクロカプセルであって、ここで、前記オリゴマーアセタール部分が以下の式:
【化2】


を有し、ここで、R1が脂肪族または芳香族部分である、マイクロカプセル。
(項目8) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、Rが5〜約40個の炭素原子を有する必要に応じて置換されているアルキル基であり、そしてnが1である、マイクロカプセル。
(項目9) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、Rが5〜約30個の炭素原子を有する必要に応じて置換されているアルキル基であり、そしてnが1である、マイクロカプセル。
(項目10) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、Rが8〜約20個の炭素原子を有する必要に応じて置換されているアルキル基であり、そしてnが1である、マイクロカプセル。
(項目11) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、RがC2−C3アルキルであり、そしてnが2〜約20の値である、マイクロカプセル。
(項目12) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、RがC2−C3アルキルであり、そしてnが2〜約4の値である、マイクロカプセル。
(項目13) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、Zが必要に応じて置換されているフェニル基である、マイクロカプセル。
(項目14) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、Rが、式−CH2−R2−CH2−を有する基である、マイクロカプセル。
(項目15) 項目14に記載のマイクロカプセルであって、ここで、R2が、C5−C40アルキル基である、マイクロカプセル。
(項目16) 項目14に記載のマイクロカプセルであって、ここで、R2が、必要に応じて置換されているフェニルあるいはC5−C15シクロアルキルまたはシクロアルケニル環である、マイクロカプセル。
(項目17) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、Zが、置換されていないフェニルである、マイクロカプセル。
(項目18) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、前記カプセル化成分が、農業用化学物質を含む、マイクロカプセル。
(項目19) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、前記カプセル化成分が、殺有害生物剤を含む、マイクロカプセル。
(項目20) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、前記カプセル化成分が、1以上の除草剤を含む、マイクロカプセル。
(項目21) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、前記カプセル化成分が、1以上の殺虫剤を含む、マイクロカプセル。
(項目22) 項目3または7に記載のマイクロカプセルであって、ここで、前記殻壁が、光に暴露されると酸を生じる部分をさらに含む、マイクロカプセル。
(項目23) マイクロカプセルの水性懸濁液であって、ここで、該マイクロカプセルが項目3または7に定義の通りである、マイクロカプセルの水性懸濁液。
(項目24) 項目23に記載のマイクロカプセルの水性懸濁液であって、ここで、前記カプセル化成分が、第1の殺有害生物剤を含み、そして前記水相が、第2の殺有害生物剤を含む、マイクロカプセルの水性懸濁液。
(項目25) 項目24に記載のマイクロカプセルの水性懸濁液であって、ここで、前記カプセル化された殺有害生物剤が、前記第2の殺有害生物剤と実質的に非相溶性である、マイクロカプセルの水性懸濁液。
(項目26) 項目3または7に記載のマイクロカプセルおよび酸性物質を含む、組成物。
(項目27) 項目26に記載の組成物であって、ここで、前記酸性物質が、有機酸および無機酸から選択される、組成物。
(項目28) 項目3または7に記載のマイクロカプセルを含む第1の隔室、および酸性物質を含む第2の隔室を含む、組み合わせパッケージ。
(項目29) 項目28に記載の組み合わせパッケージであって、ここで、前記第1の隔室が、マイクロカプセルの水性懸濁液を含む、組み合わせパッケージ。
(項目30) 項目28に記載の組み合わせパッケージであって、前記酸性物質が、有機酸および無機酸から選択される、組み合わせパッケージ。
(項目31) 項目29に記載の組み合わせパッケージであって、前記マイクロカプセルが、第1活性物質を含有し、そして前記水相が、第2活性物質を含有する、組み合わせパッケージ。
(項目32) 項目31に記載の組み合わせパッケージであって、ここで、前記第1活性物質および前記第2活性物質が、実質的に化学的に非相溶性である、組み合わせパッケージ。
(項目33) 項目29に記載の組み合わせパッケージであって、ここで、前記マイクロカプセルおよび前記水相の両方が、実質的に同一の活性成分を含有する、組み合わせパッケージ。
(項目34) 項目23に記載のマイクロカプセルの水性懸濁液であって、ここで、殺有害生物剤が、前記マイクロカプセルおよび/または前記水相中に含まれる、マイクロカプセルの水性懸濁液。
(項目35) 項目34に記載のマイクロカプセルの水性懸濁液であって、農業的に有効な量の湿潤剤をさらに含む、マイクロカプセルの水性懸濁液。
(項目36) 有害生物を制御する方法であって、該方法が、該有害生物、該有害生物の位置、または該有害生物が存在し得る場所へ、項目3または7に記載のマイクロカプセルを含む組成物を適用する工程であって、ここで、前記カプセル化成分が、殺有害生物剤を含み、該組成物が、殺有害生物的に有効な量で適用される、工程、を包含する方法。
(項目37) 項目36に記載の方法であって、ここで、前記有害生物が、所望されない植物、昆虫、コナダニ、ダニおよび齧歯類から選択される、方法。
(項目38) 項目36に記載の方法であって、ここで、前記組成物がまた、前記オリゴマーアセタールの加水分解を生じるに十分な酸性物質を含む、方法。
(項目39) ポリウレア殻壁から形成され、そしてカプセル化成分(単数または複数)を含むマイクロカプセルの製造のためのプロセスであって、該プロセスが、以下の部分:
【化3】


を有するオリゴマーアセタールを該殻壁へ組み込む工程を包含し、
ここで、Rは、(a)5から約40の必要に応じて置換されている炭素原子の鎖を含有する部分、(b)4〜約40の炭素原子および1以上の内部結合された酸素原子または硫黄原子または−NH−基の鎖を含む部分、あるいは(c)必要に応じて置換されているエチレンまたはプロピレン部分であり;Zは、(a)必要に応じて置換されているフェニル基、(b)必要に応じて置換されているC1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C3−C8シクロアルキルまたはC5−C8シクロアルケニル基;あるいは(c)ベンゾイルであり;そしてnは、Rが(a)または(b)である場合、1であり、またはRが(c)である場合、2〜20である、
プロセス。
(項目40) 項目39に記載のプロセスであって、ここで、前記ポリウレア殻壁が、式OCN−R1−NCOを有する1以上のジイソシアネートを含む開始物質から形成され、ここで、R1が、芳香族または脂肪族部分である、プロセス。
(項目41) 項目39に記載のプロセスであって、ここで、前記ポリウレア殻壁が、式OCN−R1−NCOを有するジイソシアネートと二官能性アミンとの反応によって形成され、ここで、R1が、脂肪族または芳香族部分である、プロセス。
(項目42) 項目39に記載のプロセスであって、ここで、前記マイクロカプセル殻壁が、以下の部分:
【化4】


を含み、ここで、R1が、脂肪族または芳香族部分である、プロセス。
(項目43) 項目40または41に記載のプロセスによって、ここで、3以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートがまた、前記ポリウレア殻壁を形成する工程において、使用される、プロセス。
(項目44) ポリウレア殻壁と該壁内に封入されたカプセル化成分(単数または複数)とから形成されるマイクロカプセルを調製するためのプロセスであって、該壁が、以下の部分:
【化5】


を有するオリゴマーアセタールを含み、
ここで、Rは、(a)5から約40の必要に応じて置換されている炭素原子の鎖を含有する部分、(b)4〜約40の炭素原子および1以上の内部結合された酸素原子または硫黄原子または−NH−基の鎖を含む部分、あるいは(c)必要に応じて置換されているエチレンまたはプロピレン部分であり;Zは、(a)必要に応じて置換されているフェニル基、(b)必要に応じて置換されているC1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C3−C8シクロアルキルまたはシクロアルケニル基;あるいは(c)フェニルグリオキサールであり;そしてnは、Rが(a)または(b)である場合、1であり、またはRが(c)である場合、2〜20であり、
該プロセスが、以下の工程:
(a)以下の式:
【化6】


を有するオリゴマーアセタールと式OCN−R1−NCO(ここで、R1が、脂肪族または芳香族部分である)を有するジイソシアネートとを反応させ、以下の一般式:
【化7】


を有する10までのアセタール含有ユニットを有するプレポリマーを生成する工程;(b)水と非相溶性である有機液体および水相を調製する工程であって、該有機液体は、工程(a)のプレポリマーおよびカプセル化される成分(単数または複数)を含有し、そして該水相は、水、保護コロイドおよび必要に応じて該水中に液滴として該有機液体を保持し得る界面活性剤を含有する、工程;(c)高剪断下で該水相中に該有機液体の懸濁液を混合し、水中油型エマルジョンを形成する工程;ならびに(d)必要である場合、該水中油型エマルジョンの温度および/またはpHを調節し、その結果、重合反応が、該有機液体/水の界面で起こり、該マイクロカプセルを形成する、工程、
を包含する、プロセス。
(項目45) 項目44に記載のプロセスであって、ここで、前記有機液体が、3以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートをさらに含む、プロセス。
(項目46) 項目44に記載のプロセスであって、ここで、工程(a)におけるオリゴマーアセタールと有機ジイソシアネートとのモル比が、約1:2〜約1:20である、プロセス。
(項目47) 項目46に記載のプロセスであって、ここで、工程(a)におけるオリゴマーアセタールと有機ジイソシアネートとのモル比が、約1:3〜約1:5である、プロセス。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カプセル化された材料を含み、そして酸の存在に感受性であり、そして酸性環境に曝露されると破壊し、そして/または多孔質になり、周囲環境にカプセル化された物質を放出するようになる、マイクロカプセルに関する。
【0015】
このマイクロカプセルは、ポリウレアから形成される殻を有し、そしてオリゴマーアセタール部分を含むことによって特徴付けられる。オリゴマーアセタール部分とは、1つ以上の鎖状アセタール結合を含み、そして官能基を(好ましくは鎖の末端に)有する部分を意味し、これはオリゴマーアセタールがマイクロカプセル壁に組み込まれ得るように、他の材料と反応され得る。オリゴマーアセタールは、当業者に公知の多数の方法によって、例えば、ジオールとアルデヒドとの共重合、ジオールとジビニルエーテルとの共重合、およびアルデヒドのホモ重合によって作製され得る。一般に、オリゴマーアセタールは、以下の一般式の基:
HO−[CHX−O]mH (III)
を有することによって特徴付けられる。ここで、Xの同一性(identity)は、反応物の性質、およびアセタールを生成するために利用される反応に依存する。
【0016】
本発明のマイクロカプセルにおける使用のための好ましいアセタールは、以下の式を有するアセタールである:
【0017】
【化10】

【0018】
ここで、Rは、(a)5〜約40個の必要に応じて置換される炭素原子を有する鎖を含む部分、(b)4〜約40個の炭素原子および1個以上の内部結合される酸素またはイオウ原子または−NH−基を有する鎖を含む部分、あるいは(c)必要に応じて置換されるエチレンまたはプロピレン部分であり;Zは、(a)必要に応じて置換されるフェニル基、(b)必要に応じて置換されるC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C3〜C8シクロアルキルまたはC5〜C8シクロアルケニル基、あるいは(c)ベンゾイルであり;そして
Rが(a)または(b)である場合、nは1であるか、あるいはRが(c)である場合、nは2〜20である。
【0019】
ジオールとジビニル/エーテルとの共重合によって生成されるアセタールは、以下の一般式:
−[O−CH(CH3)−O−Z1−O−CH(CH3)−O−R3p− (V)の部分を有し、ここで、Z1は、2つのビニルエーテル部分を架橋する基を示し、そしてR3は、ジオールの骨格を示す。
【0020】
アルデヒドのホモ重合によって生成されるアセタールは、以下の一般式:
−[CHOR4−O]q (VI)
の部分を有し、ここで、R4は、アルデヒドR4CHOから誘導される部分を示す。
【0021】
以下の記載されるように、このマイクロカプセルは、オリゴマーアセタール(以前に調製される)がジイソシアネートプレポリマーに組み込まれ、次いでこれはポリウレアに、典型的には界面重合プロセスによって変換される、プロセスによって調製される。好ましい実施態様において、アセタールは、以下の式:
【0022】
【化11】

【0023】
を有し、ここで、Rおよびnは上記され、そしてポリウレアカプセル壁に含まれるオリゴマーアセタールユニットは、対応する以下の式:
【0024】
【化12】

【0025】
を有する。
【0026】
このカプセルが酸性環境にないか、またはただ弱酸性の環境にある場合、これらは、典型的に制御された拡散放出のポリウレアマイクロカプセルとして機能し、カプセル化された物質を周囲領域に制御様式で放出することを可能にする。この制御様式は、厚み、カプセルサイズ、透過性などのようなポリウレア殻の壁特性によって主に決定される。他方で、このカプセルが、pHが約0.5と約5との間(好ましくは約1と約3との間)である酸性環境に置かれ、例えば、天然の酸性物質の存在下にあるか、または天然の酸性物質と接触し、そして/あるいは結果として環境のpHが約0.5と約5との間(好ましくは約1と約3との間)の値で、そして十分な水が存在する場合、このカプセル壁中のアセタール部分は、比較的迅速に加水分解し、その結果、ここでカプセル壁全体がこの構造において有意な結合をなくし、多孔質となり、カプセル化された材料の放出を引き起こす。壁の性質(加水分解可能なアセタール部分の性質および相対量を含む)、ならびに環境のpHに依存して、この放出は、比較的速くあり得る。カプセルと、酸性環境とが接触すると、必ず迅速な放出となるわけではないが、放出速度を実質的に増大させる。本発明のカプセルは、比較的迅速な放出が所望される場合、このようになるように設計され得る。
【0027】
カプセル化された材料は、このタイプのカプセルが適切である任意のタイプの材料であり得る。好ましくは、カプセル化された材料は、液体から構成され;すなわち、この材料は、液体自体の形態であるか、あるいは液体、一方が他方に溶解される液体混合物、または液体エマルジョンに懸濁または溶解される固体の形態であり得る。本発明の目的のために、生成物は、農業または非農業殺虫剤のカプセル化に関して記載される。しかし、本発明は、そのように限定されず、そして上記のように、多くの目的のための多くの適切な材料のカプセル化のために使用され得る。
【0028】
カプセル化された材料が生物学的に活性な物質(例えば、殺虫剤)である場合、これは、また、単一の液体活性成分、液体に溶解または懸濁される固体活性成分(この場合、液体は不活性材料であり得るか、もしくは液体形態である第2の活性成分であり得る)、一方が他方に溶解された液体混合物、あるいはエマルジョンである得る。このカプセル化された材料はまた、界面活性剤、分散剤などのような他の物質を含み得る。この材料のうちいずれか(特に、活性成分)が紫外光に感受性である場合、カプセル化液体材料はまた、保護剤、例えば、懸濁された固体の紫外光保護剤(例えば、チタンおよび/または酸化亜鉛)(PCT出願WO96/33611号に記載されるような)、あるいは別の公知の保護剤(例えば、カーボンブラックまたは活性炭)を含み得る。本明細書中で使用されるように、「生物学的に活性な成分」は、殺有害生物剤(例えば、殺虫薬、除草剤、殺菌剤、ダニ駆除剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、および有害生物に毒性または有毒な他の材料)、ならびに有害生物に対して生物学的活性を有する化学物質(例えば、植物および/または昆虫成長調節剤)および肥料、ホルモンなどのような有利な効果を有する化学物質を含む。
【0029】
このカプセル中に含まれる好ましいアセタール部分は、以下の一般式:
【0030】
【化13】

【0031】
を有し、ここで、Rは、(a)5〜約40個の必要に応じて置換される炭素原子を有する鎖を含む部分、(b)4〜約40個の炭素原子および1個以上の内部結合される酸素またはイオウ原子または−NH−基を有する鎖を含む部分、あるいは(c)必要に応じて置換されるエチレンまたはプロピレン部分であり;
Zは、(a)必要に応じて置換されるフェニル基、(b)必要に応じて置換されるC1〜C20アルキル、C2〜C20アルケニル、C3〜C8シクロアルキルまたはC5〜C8シクロアルケニル基、あるいは(c)ベンゾイルであり;そしてRが(a)または(b)である場合、nは1であるか、あるいはRが(c)である場合、2〜20である。
【0032】
好ましくは、Rは、C5〜C40アルキル基または式−CH2−R2−CH2−を有する基である。R2は、必要に応じて置換されるフェニルまたはC5〜C15シクロアルキルまたはシクロアルケニル(そしてR2がシクロアルケニルである場合、この基は1個以上の二重結合を有し得る)であり、ここで、メチレン基は、環において少なくとも3個の炭素だけ離れて置換される。Rが−CH2−R2−CH2−である場合、このメチレン基は、環上の1位および3位よりも近くなく、その結果、2個のメチレン基は基R2の環原子と一緒になって、少なくとも1つの5炭素原子鎖を形成する。
【0033】
第2の実施態様において、Rは、4〜約40個の炭素原子および1個以上の内部結合される酸素またはイオウ原子または−NH−基を有する鎖を含む基または部分である。第3の実施態様において、Rは、必要に応じて置換されるエチレンまたはプロピレン部分であり、そしてnは、2〜20の値である。
【0034】
Rが(a)または少なくとも1つの4炭素鎖および内部結合される原子である場合、Rが(b)または少なくとも2のnの値である場合、Rが(c)である場合に、少なくとも1つの5炭素鎖を有することの必要性は、文献において知られているように、形成されるアセタールの内部環化を防止する必要性によって生じる。上述のような最小鎖結合は、このような所望されない環化を防止するか、または少なくともかなり最小化するために十分である。
【0035】
本発明の好ましいオリゴマーは、種々のサイズを有する。好ましくは、数平均モル質量(Mn)は、少なくとも約200、好ましくは約200〜約4000、最も好ましくは約1000〜約2000である。
【0036】
基Zは好ましくは、必要に応じて置換されるフェニル基、または必要に応じて置換されるC1〜C20アルキル基(例えば、トリデシルまたはt−ブチル)、必要に応じて置換されるC2〜C20アルケニル基(例えば、クロチル)、あるいは必要に応じて置換されるC3〜C8シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル)である。基Zはモノ−またはポリ−アルデヒドから誘導され得ることに留意され得る。
【0037】
一般に、本発明の生成物のための成分は、反応が所望される場合を除いては、互いに向かって反応性である組み合わせを除外するように(可能な成分物の中で)選択される。従って、オリゴマーアセタール、ジオール、アルデヒド、およびカプセル化されるべき材料の選択は、所望でない反応を防止するようになされる。いくつかの場合において、カプセル化されるべき材料は、反応を防止するように中和または他の改変を必要とし得る。
【0038】
アセタール基は、公知の技術によって調製される。好ましいアセタールは、例えばPetrovら、Kauchukei Rezina、No.12、4頁(1983)、Pchelintsevら、Polymer Degradation and Stability、第21巻、285頁(1988)およびXuら、J.Appl.Polymer Science,第31巻、123頁(1986)に記載されるように、ジオールとアルデヒドとの縮合によって調製される。本発明のオリゴマーアセタールを調製するために使用されるジオールは、数種のタイプがある。第1のタイプは、5〜40個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の必要に応じて置換される、α,ω−アルカンジオールである。炭素原子上の任意の置換基には、アルキルおよびアルコキシ基が挙げられる。このような化合物の例には、1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、および1,12−ドデカンジオールが挙げられる。第2のタイプのジオールは、一般式HO−CH2−R2−CH2−OHを有するジオールであり、ここで、R2は、必要に応じて置換されるC3〜C8シクロアルキルまたはC5〜C8シクロアルケニル基またはフェニル基であり、そしてここで、このメチロール基は、シクロアルキルまたはフェニル環上に離れて存在する少なくとも3個の炭素原子において置換され得る。このような化合物の例は、1,4−シクロヘキサンジメタノール、および5−t−ブチル−1,3−シクロヘキサンジメタノールである。
【0039】
第3のタイプのジオールは、4〜約40個の炭素原子および1個以上の内部結合されるカルコゲン(chalkogen)、好ましくは酸素またはイオウ原子または−NH−基を有する、少なくとも1つの鎖を含むα,ωアルカンジオールである。このようなジオールの例は、ポリテトラヒドロフランおよびポリウレタンジオール、H[O−CH2CH2O−CONH−(CH26NHCO]n−OCH2CH2−OHである。本明細書中で有用である別のタイプのジオールは、2〜3個の炭素のアルキレン基を有するポリアルキレングリコールである。このようなグリコールの例としては、ジエチレン、トリエチレン、テトラエチレン、ジプロピレンおよびペンタエチレングリコールが挙げられる。
【0040】
本発明の実施において有用であるアルデヒドは、必要に応じて置換される芳香族および脂肪族アルデヒドが挙げられる。任意の置換基としては、ハロゲン、ニトロ、およびハロアルキルが挙げられる。不飽和部分を提供する不飽和アルデヒドが利用され得、これは、不飽和部分は、カプセル化されるべき材料または最終カプセル化組成物の他の成分とは反応しない。好ましいアルデヒドは、必要に応じて置換されるベンズアルデヒドおよびC1〜C12アルキルアルデヒドである。本発明のアセタールを生成するための好ましい反応物は、ジオールに関して、C8〜C12アルカンジオール、およびアルデヒドに関して、必要に応じて置換されるベンズアルデヒドである。
【0041】
一般に、ジオールおよびアルデヒドからのオリゴマーアセタールの生成は、約50℃と約140℃との間の温度で、還流下、一般にトルエンまたはキシレンのような溶媒中で、そして触媒(特に、p−トルエンスルホン酸)の存在下で行われる。反応のための他の好適な触媒は、硫酸およびトリクロロ酢酸である。ジオールのアルデヒドに対する比は、約1:1〜約5:1、好ましくは約1.1:1〜約1.3:1である。反応は、水の適切なまたは計算された量の水が共沸蒸留によって除去されるまで、続けられる。反応生成物のワークアップ手順およびオリゴマーアセタールの回収は、一般に、試薬の性質に依存するが、通常、得られた溶液を希釈塩基(例えば、炭酸ナトリウム)で洗浄し、酸触媒を除去し、続いて水で洗浄し、乾燥し、濾過し、そして溶媒をエバポレートする工程を包含する。未反応のアルデヒドは、粉末化のような慣用の技術によってオリゴマーから除去され得る。
【0042】
本発明において使用され得るアセタールの他のタイプは、以下のように調製される:
ジオールとジビニルエーテルとの共重合は、以下の反応によって示され得る:
【0043】
【化14】

【0044】
この反応は、文献、例えば、Hellerら、J.Polymer Science,Polym.Lett.Edn.18,193(1980)(これは、33,000と200,000との間の分子量を有するポリマーを記載する)において公知である。
【0045】
アルデヒドのホモ重合は、以下の反応に従って進行する:
nR−CHO → HO−[CHR−O]qH 。
この反応は、文献、例えば、Kubicaら;Polymer,21,1433(1980)において公知である。
【0046】
しかし、生成されたオリゴマーアセタールは、次いで、ポリウレアマイクロカプセルの生成において材料の1つとして利用され、この結果、得られたカプセルの壁は、オリゴマーアセタールユニットまたは部分を含む。1つの実施態様において、カプセル壁は、異なる加水分解速度を有する、2個以上の異なるタイプのオリゴマーアセタールを含む。本発明に従うマイクロカプセルに含ませるためのオリゴマーアセタールの適合性は、以下の2つの特性を評価することによって容易に決定され得る−塩基の存在下でのそれらの安定性、および酸性材料(すなわち、約0.5〜約5、好ましくは約1〜約3のpH)の存在下でのそれらの加水分解可能性。
【0047】
酸の存在下での加水分解可能性は、以下の実施例8に記載されるような手順を用いることによって容易に決定される。塩基に対する安定性は、同様の手順の利用によって、酸ではなく塩基を使用して容易に決定される。加水分解の速度は一般に、オリゴマーの性質および使用される酸に依存する。
【0048】
ポリウレアマイクロカプセルを生成するための多数の公知の技術が存在し、これは、ポリマー殻壁内に封入されるカプセル化成分(通常、溶液形態で)を含む。主な技術は、1つ以上のモノマーまたはプレポリマーを含む水中油型エマルジョンを生成し、次いで界面重合を引き起こし、油相の液滴の(他の)内容物を封入するポリマーのマイクロカプセルを形成することである。このような界面重合の2つの主なタイプは、Zenecaプロセスであり(ここで、モノマーは、有機(油)相中にのみ存在する)および別のプロセス(種々の国の特許、例えば、MonsantoおよびNovartisにおいて記載される)(ここで、モノマーは有機相および水相の両方において含まれる)である。
【0049】
米国特許第4,285,720号(ここで、この特許の開示は本明細書中に参考として援用される)に記載される、Zenecaのプロセスにおて、2つの液相が生成される−水相(水、1つ以上の界面活性剤、および保護コロイドを含む)ならびに有機相(カプセル化される物質、1つ以上の任意の溶媒および1つ以上の有機ポリイソシアネートを含む)。また、カプセル化される物質あるいは溶媒のどちらか、ポリイソシアネート(単数または複数)に対する溶媒として役立ち得る。
【0050】
2の相の水中油型エマルジョンは、次いで、高せん断ひずみで調製される。次いで、このエマルジョンを低せん断ひずみで攪拌し、そして約20℃〜約90℃の範囲の温度で維持し、その間に、有機イソシアネート(単数または複数)に関する加水分解および反応が生じ、有機相と水相の液滴間の相互作用によってポリウレアを形成する。生じる混合物のpHおよびこの工程の間の温度範囲の調整はこの縮合反応を促進する。
【0051】
水相は、水、保護コロイド、および好ましくは界面活性剤から調製される。一般に、この相における界面活性剤(単数または複数)は、約12〜約16の範囲のHLBを有するアニオン性または非イオン性の界面活性剤であり得る。1つ以上の界面活性剤が使用される場合、各界面活性剤は、組み合せた界面活性剤の全HLB値が約12〜16の範囲内である限り、12よりも低いか、または16よりも高いHLB値を有してもよい。適切な界面活性剤には以下が挙げられる:直鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、エトキシル化ノニルフェノール、ナフタレンスルホネート、長鎖アルキルベンゼンスルホネートの塩、プロピレンとエチレンオキシドとのブロック共重合体、アニオン性/非イオン性のブレンド、など。好ましくは、界面活性剤の疎水性部分は、水−非混和性相に似た化学的特徴を有する。従って、後者が芳香族の溶媒を有する場合、適切な界面活性剤の1つはエトキシル化ノニルフェノールである。特に好ましい界面活性剤には、ポリプロピレンとエチレンオキシドのブロック共重合体、およびカチオン性/非イオン性のブレンドが挙げれる。
【0052】
水相(または連続相)に存在する保護コロイドは、液滴の表面に強く吸着される必要があり、そして以下に挙げる広範な物質から選択され得る:ポリアクリレート、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(メチルビニルエーテル/無水マアレイン酸)、ポリビニルアルコールとメチルビニルエーテル/マレイン酸とのグラフト共重合体(加水分解されたメチルビニルエーテル/無水マレイン)(米国特許第4,448,929号を参照、この特許による開示は本明細書中に参考として援用される)ならびにアルカリ金属またはアルカリ土類金属のリグノスルホネート。しかし、好ましくは、保護コロイドは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のリグノスルホネートから選択され、最も好ましくはナトリウムリグノスルホネートである。
【0053】
本プロセスにおける界面活性剤の濃度の範囲(界面活性剤を使用する場合)は、約0.01〜約3.0重量%(水相に基く)であるが、より高い界面活性剤の濃度が使用されても良い。保護コロイドは一般に、水相中に約1.0〜約5.0重量%(水相に基づく)の量で存在する。使用される保護コロイドの量は分子量、混和性などの種々の因子に依存し、十分に存在する限り、全ての液滴の表面を完全に覆う。保護コロイドは、有機相の添加の前に水相に添加され得るか、あるいは有機層の添加後の系全体またはその分散液に添加され得る。液滴表面から保護コロイドが外れないように界面活性剤を選択するべきである。
【0054】
有機層は、水非混和性の生物学的活性成分(例えば、殺有害生物剤および/またはカプセル化される他の物質)、必要に応じて1つ以上の溶媒ならびに1つ以上の(芳香族)ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート含む。好ましくは、これには、芳香族ジイソシアネート、そして最も好ましくは、3つ以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートも挙られる。適切な溶媒には以下が挙げられる:芳香族炭化水素(例えば、キシレン、ナフタレン)または芳香族化合物の混合物;脂肪族または環式脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよびシクロヘキサン);アルキルエステル(アルキルアセテートおよびアルキルフタレート)、ケトン(例えば、シクロヘキサノンまたはアセトフェノン)、塩素化された炭化水素、植物油、あるいは2つ以上のこのような溶媒の混合物。
【0055】
このプロセスに使用されるジイソシアネートには以下が挙げられる:m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート;1−クロロ−2,4−フェニレンジイソシアネート;4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート);3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート;4,4’−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアネート);3,3’ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの異性体混合物ならびに2,2’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート。また、脂肪族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネートおよびヘキサン−1,6−ジイソシアネート)がこのプロセスにおいて有用である。
【0056】
3つ以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートには、以下が挙げられる:ポリメチレンポリフェニルイソシアナート(ICIまたはBayerから入手可能)、トリフェニルメタントリイソシアネート(「DesmodurR」)および1molのトリメチロールプロパンと3molのトリレンジイソシアネート(「DesmodurTH」)(Desmodure製品は、BayerA.G.から入手可能である)との間で形成される付加体。
【0057】
第二のタイプのプロセスにおいて、水相および有機相を同様に調製する。しかし、Zenecaのプロセスにおいは、イソシアネート(単数または複数)の加水分解が生じ、対応するアミン(これは次いでイソシアネートと反応する)を形成するのに対して、本発明のプロセスにおいては、水相がさらに水溶性アミンを含み、この水溶性アミンはイソシアネートの加水分解で生成するアミンとは異なり、この水溶性アミンがイソシアネート(単数または複数)と反応してポリウレア殻壁を形成する。このプロセスにおいて特に好ましいアミンは、ヘキサメチレンジアミンである。このタイプのプロセスは、例えば、米国特許第4,208,833号および4,938,797号に記載されている(ここで、この特許の開示は本明細書中に援用される)。
【0058】
ポリウレアマイクロカプセルを生成するために利用されるプロセスはいずれも、アセタールをプロセスに導入し、まずアセタールと(芳香族)ジイソシアネートとを反応させることによってアセタール含有プレポリマーを形成する。好ましくは、このプレポリマーは、以下の式を有する分子から主に構成され:
【0059】
【化15】

【0060】
そして/またはその小さなオリゴマーを含み、オリゴマーは約10単位までの以下の式を有する:
【0061】
【化16】

【0062】
ここで、R、R1およびZは上記で定義された通りである。
【0063】
このプレポリマーの生成は、一般に約45〜約60、好ましくは約50〜約55℃の温度で実施される。反応時間は一般に、20〜70分、好ましくは50〜60分の範囲である。オリゴマーアセタールが、芳香族ジイソシアネートとのモル比で、約1:2〜約1:20、好ましくは約1:3〜約1:5で使用される。アセタール含有プレポリマーのさらなるオリゴマー化を防止するために、過剰のイソシアネートが必要である。
【0064】
このように形成されたアセタール含有プレポリマーは、マイクロカプセル化工程において直接使用され得る。
【0065】
Zenecaプロセスの改変(これは、芳香族ジイソシアネートおよび3個以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイイソシアネートの両方を含むことに関する)が使用される場合、オリゴマーアセタールをまずジイソシアネートと反応させてプレポリマーを形成し、次いでポリイソシアネートを有機相に添加する。アセタール−ジイソシアネートプレポリマーの形成中にポリイソシアネートが存在することは望ましくない。なぜなら、ポリイソシアネートは、カプセル壁形成工程の前に、望ましくない架橋および結合を生じ得るからである。
【0066】
Zenecaまたは他のプロセスが使用されても、されなくても、得られる生成物はマイクロカプセルの水性懸濁液であり、ここで、有機相内の非−壁形成物質は、マイクロカプセル中に含まれる。懸濁液の水相は、エマルジョンの水相に存在した他の物質およびアジュバントを含む(元々存在するモノマー以外)。
【0067】
このように生成されるマイクロカプセル懸濁液は、このような生成物の通常の様式で利用され得る(すなわち、懸濁液をパッケージングし、そして最終的にはこの懸濁液をスプレータンクまたは他のスプレー装置に移し、ここで懸濁液を水と混合し、スプレー可能懸濁液を形成する)。あるいは、マイクロカプセルの水性懸濁液は、スプレー乾燥または他の公知の技術によって乾燥マイクロカプセル生成物へと変換され得、そして得られた物質は乾燥形態でパッケージングされる。
【0068】
オリゴマーアセタール部分が存在することに起因するマイクロカプセルの酸感受性の利点を利用し、使用のために、カプセルを酸性物質と接触させる。最も一般的には、これは、酸性物質を、マイクロカプセルおよび水を含むスプレータンクまたはスプレー装置に添加することによって達成され、その結果、カプセル化された物質の放出がこのスプレータンク内で開始し得る。本発明の簡便な1局面において、マイクロカプセル(懸濁液または乾燥形態)は、「ツインパック」として一般的に知られた任意の多数の形態の適切な酸性物質と別個の形態でパッケージングされ、その結果、この方法で使用するために適切な量の酸性物質を簡便に持ち合わせる。
【0069】
ペイントフィルムとして使用するために、殺虫剤または殺真菌剤が本発明のマイクロカプセル中にカプセル化され得、使用する直前に、カルボン酸含有ペイントラテックス(これは、アンモニアで約pH8に調整される)と、適切な用量で混合され得る濃縮物として供給される。キャスティングおよびフィルム形成の際に水およびアンモニアが蒸発する。カルボン酸含有量ならびに、ラテックスを製造するために使用される開始剤の種類に依存して、ペイントフィルムのpHは約5に下がり得る。このpHにおけるアセタールの緩やかな加水分解によって、殺虫剤または殺真菌剤がこのフィルムに放出される。
【0070】
酸性物質は、多数の任意の酸または酸性物質であり得、そして、酸感受性マイクロカプセルの存在下で結果として生じる約0.5〜約5、好ましくは約1〜約3のpHを提供するような量で使用される。好ましい酸は、p−トルエンスルホン酸、硫酸、および他の有機または無機酸(例えば、塩化水素、トリクロロ酢酸、シュウ酸、ピクリン酸、蟻酸、および硝酸)である。
【0071】
pHが約0.5〜約5、好ましくは約1〜約3である環境(カプセルの存在下)を間接的にまたは直接的に提供するように酸が導入され得る。直接的な方法では、(例えば、スプレータンクでの)酸の添加時に、または添加に近い時間で、上記pHの範囲内に環境を提供するような量で酸が添加される。しかしこのような生成物をスプレーした後、スプレーされた液滴のpHは、水の蒸発に伴う酸の濃度増加に起因して自然と減少する。従って、間接的な方法では、本発明に使用される酸の量は、0.5〜約5(好ましくは約1〜約3)に隣接したか、ほぼ隣接したpHを提供する量よりも低くてもよいが、これは、スプレー後、スプレーした水が蒸発しても、このようなpHを提供するに十分な量である。一般に、スプレータンクにおけるpHを約4〜6程度の高さに確立することによって、水が蒸発するにつれて環境(例えば、植物の表面における水滴)のpHを約1〜約3の値に減少させる。従って、本発明の概念は、最初の環境が約6程度の高さのpH値であるようなスプレータンクまたは同様の装置において、最初にマイクロカプセルと酸性基質を接触せる工程、次いで、得られた分散液を群葉または他の表面に、スプレーさもなくば塗布する工程を含む。このような用途において、pHは水が蒸発するにつれて、約1〜約3の好ましい標的値に低下する。
【0072】
あるいは、マイクロカプセルは酸を使用せずにスプレーされ得、その場合、これらのマイクロカプセルは、含有成分を周囲の環境に徐放する拡散制御放出カプセルとして機能する。これらの条件下で、放出速度は、粒子サイズ、壁の厚さ、および壁の浸透率によって制御される。
【0073】
酸を導入する別の方法は、マスクされた酸(例えば、カチオン性光重合開始剤(photo−initiator))とマイクロカプセルの内容物を共にカプセル化することである。この酸は、別の条件(例えば、紫外光)に曝すことによって生成される。この放出された酸は、次いで、壁に組み込まれた酸官能性部分、例えば、米国特許第4,766,037号において開示されるようなシリルエーテルまたはシリルウレイド結合、を開裂し得る。
【0074】
カプセル化生成物の生物学的効果は、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールまたはポリビニルアルコールなどの潤滑剤を最終生成物ともに使用することによって高められ得る。
【0075】
本発明のマイクロカプセルの利点の1つは、すなわち、それらが、標準的な液体または固体生成物と比較して、同等に安全な殺有害生物剤生成物の製造の可能性を提供し、さらに、放徐のためのカプセル化材料の迅速な利用能を提供することである。
【0076】
例えば、ピレスロイド殺虫剤は、ある場合において有害な皮膚反応を誘発することが公知である。この反応は、燃えるような、刺すような、麻痺した、または疼く感覚として説明されており、これは取扱者の顔面の領域に最も現れる。感覚異常として公知である、この反応は一般に、汚染された手による不注意な接触による、取扱者の顔への微小量のピレスロイドの移動に関する。農業の現状では、植物の群葉に適用するためのピレスロイド含有組成物は、非カプセル化形態(例えば、エマルジョン化可能濃縮物、水和剤およびダスト)で提供される。
【0077】
本発明を使用した殺有害生物剤のカプセル化によって殺有害生物剤の取扱いの安全性がある程度まで(マイクロカプセルのポリマー壁によって使用者と活性な殺有害生物剤との接触が最小となる)増加し得る。本発明の組成物が有する迅速な放出の特性によって、活性成分が、典型的な非カプセル化組成物と相対的に同一の濃度で、かつ相対的に同一の効果で環境中に散布される。これによって、カプセル化された成分の比較的完全かつ迅速な放出が必要とされる場合に、十分でない分散制御放出マイクロカプセルの典型的な欠点が回避される。
【0078】
本発明は、2つの物質(例えば、2つの除草剤、これらは互いに対して非混和性であり)を含むカプセル懸濁液(一方の物質はカプセル化され、そして他方は水相に含まれてりる)を生成するために使用され得る。これらの組成物は保存安定性であるが、酸性物質が添加されるとスプレータンク内で、組み合せ除草剤生成物を提供し、その結果、両方の除草剤が共に提供され得る。
【実施例】
【0079】
本発明は、さらに以下の実施態様によって例示される:
(オリゴマーアセタールの調製:実施例1〜7)
以下の方法を、以下の表1に列挙した材料からアセタールを調製するために使用した。示される量のジオール、アルデヒドおよびp−トルエンスルホン酸触媒の混合物(トルエンまたはキシレン中)を、還流下で加熱した。この反応を、適切なまたは計算された量の水が共沸蒸留によって除去されるまで、続けた。ワークアップを試薬の性質に従って(例えば、p−トルエンスルホン酸を除去するために、この反応したトルエンまたはキシレン溶液を、希釈した炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、続いて水で洗浄することによって)行った。乾燥および濾過後、溶媒を減圧下でエバポレートし、粗オリゴマーを得た。所望であれば、未反応アルデヒドを、ヘキサンで粉砕することにより除去した。
【0080】
【表1】

【0081】
略語一覧:
OD=1,8−オクタンジオール;DD=1,10−デカンジオール;CHD=シクロヘキサン−1,4−ジメタノール;DEG=ジエチレングリコール;TEG=トリエチレングリコール;BA=ベンズアルデヒド;CIN=ケイ皮アルデヒド;PGLY=フェニルグリオキサール。
【0082】
(実施例8:オリゴマーアセタールの加水分解)
上記のように調製したオリゴマーアセタールを、以下の方法により酸加水分解に供した:水中の酸溶液を、このオリゴマーに添加する。得られる2相の系を、振動機を使用して完全に混合する。所定の時間後、連続する相としてこのオリゴマーを含む濁ったエマルジョンが、通常得られる。顕著な加水分解および/または濁りの消滅は、この混合物の粘性の減少によって示される。サンプルを、所定の時間にこの混合物から取り出し、そしてIRまたはNMR分光器によって分析し得る。次の表2は、異なる酸および異なるpKaの値を使用する、オリゴマーアセタールの加水分解の要約である。
【0083】
【表2】

【0084】
略語一覧:
PA=ピクリン酸;TCA=トリクロロ酢酸;THBA=トリヒドロキシ安息香酸;OA=シュウ酸;AA=酢酸;TPS=トリフェニルシラノール;TSOH=P−トルエンスルホン酸;DDOD−BA=BA、DDおよびODの混合物から作製したオリゴアセタール。
【0085】
(マイクロカプセルの調製)
以下の実施例9〜16は、代表的な芳香族ジイソシアネートとしてトルエンジイソシアネートとオリゴマーアセタールとの間の反応により、プレポリマーを生成し、続いてマイクロカプセルを形成することを示す。カプセル化される活性成分は、示されるように、2種の除草剤(ブチレート[BUT]、(S−エチルジイソブチルチオカルバメート)またはフルアジフォップ(fluazifop)−P−ブチル[FPB]、((R)−2−[4([5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]オキシ)フェノキシ]プロパノエート))のうち1つであった。
【0086】
除草剤(表3に示した半分の量)中の乾燥または脱水したオリゴマーアセタールおよびジブチルチンジラウレート(10mg)の溶液を、残りの除草剤中のトルエンジイソシアネート(TDI)の溶液に滴下した。オリゴマーアセタールの溶液を、反応混合物の温度を20〜25℃の間に保つような速度で添加した。いくつかの実験において、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPI)もまた、利用して、マイクロカプセル壁中に架橋を提供した。これらの実験において、オリゴマーアセタールとTDIとの間でのプレポリマーの形成後にのみ、PMPIをこの有機相に添加することで、未成熟の架橋化および可能なゲル化を防いだ。
【0087】
次いで、プレポリマーを、次の手順によって、除草剤を含むマイクロカプセルを調製するために使用した。
【0088】
油相を水相(乳化剤とコロイド安定剤とを組合せたもの)に、典型的に約2000rpmで攪拌しながら25℃以下で添加した。所望の液滴サイズの乳化を、適切な時間の間、典型的に約6000rpmまで攪拌速度を上げることによって達成した。次いで、得られたエマルジョンを約3〜5時間、約50℃まで加熱し、マイクロカプセルを形成した。
【0089】
この実施例を、以下の表3に要約する。
【0090】
【表3】

【0091】
以下の手順を、実施例17〜30で使用した。
【0092】
窒素で覆われた容器中で、乾燥/脱水したオリゴマーアセタールの除草剤(示されるようなブチレートまたはフルアジフォップ−p−ブチル)溶液を、この反応混合物の温度を20〜25℃の間に維持するような速度で、TDIの異性体の除草剤溶液に滴下した。この添加が完了すると、この反応混合物を10〜15分の間にわたって約50℃まで加熱し、そしてさらに20〜70分間(典型的に、50〜60分間)、45℃〜60℃に維持した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、氷浴中で室温まで冷却した。
【0093】
除草剤を含むマイクロカプセルのエマルジョンを、プレポリマー(上記のように調製される)とポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMPI)の異性体との混合物を界面重合および縮合させる、Zenecaマイクロカプセル化プロセスを使用して調製した。有機相は、除草剤、プレポリマー、およびPMPIから構成される。水相は、水に溶解されたReax 100M(保護コロイド)および界面活性剤(Tergital)から構成された。次いで、エマルジョンを所望の粒径が達成されるまで高剪断攪拌機を使用して、水相中で油相を分散させることによって調製した。次いで、得られた水中油型エマルジョンを、3〜6時間、50℃±5℃まで加熱した。いくつかの場合に、得られた処方物を緩衝し、そしてpHを10に調整した。
【0094】
(実施例17〜18:(TDI:アセタール=2.99:1))
組成物を、前述の手順に従って調製した:5.01gのDEG−BAを15.00gのブチレートに溶解し、そして3.18gのTDIを10.03gのブチレートに溶解した。このDEG−BA溶液を、10分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を50℃±5℃で30分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、以下の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:
実施例: 17 18
重量(g) 重量(g)
プレポリマー溶液 4.33 6.80
PMPI 0.93 0.46
ブチレート 19.60 17.11
Reax 100M(40%溶液) 1.31 1.31
Tergital 15−S−7 0.41 0.41
(20%溶液)
水 24.27 24.21
中央粒径(μ) 10.5 10.5
(PMPI:プレポリマー) (1:1) (1:3)。

(実施例19:(TDI:アセタール=3.18:1;PMPI:プレポリマー=1:8))
組成物を、上記手順に従って調製した:5.00gのDEG−BAを15.04gのブチレートに溶解し、そして3.38gのTDIを9.99gのブチレートに溶解した。このDEG−BA溶液を、15分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を50℃±5℃まで60分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、次の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:4.66gのプレポリマー溶液、0.21gのPMPI、19.83gのブチレート、1.33gのReax 100M(40%溶液)、0.43gのTergitol 15−S−7(20%溶液)および24.26gの水。中央粒径は、7.4μであった。
【0095】
(実施例20:(TDI:アセタール=2.99:1))
組成物を、上記手順に従って調製した:8.02gのDEG−BAを23.99gのブチレートに溶解し、そして5.09gのTDIを16.00gのブチレートに溶解した。このDEG−BA溶液を、17分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を50℃±5℃まで50分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、以下の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:
20
重量(g)
プレポリマー溶液 7.16
PMPI 0.32
ブチレート 17.38
Reax 100M(40%溶液) 1.34
Tergital 15−S−7 0.43
(20%溶液)
水 24.44
中央粒径(μ) 2.9
(PMPI:プレポリマー) (1:5)。

(実施例21(TDI:アセタール=2.99:1))
組成物を、上記手順に従って調製した:8.02gのDEG−BAを23.99gのブチレートに溶解し、そして5.09gのTDIを16.00gのブチレートに溶解した。このDEG−BA溶液を、17分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を50℃±5℃まで50分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、以下の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:
実施例:
重量(g)
プレポリマー溶液 6.42
PMPI 0.45
ブチレート 17.96
Reax 100M(40%溶液) 1.34
Tergital 15−S−7 0.43
(20%溶液)
水 24.50
中央粒径(μ) 2.9
(PMPI:プレポリマー) (1:3)。

(インビトロ放出速度の評価)
この組成物を、以下のように酸の存在下での放出速度をインビトロで試験した:5.0gの処方物を、25.0gの水に溶解した。1.5gの2つのアリコートを取り出し、0.22μmのろ紙で真空ろ過し、そして放出速度測定が実施されるまで、ジャーに配置した(ブチレートの蒸発を減らすため)。溶液の残りを、p−トルエンスルホン酸の濃縮溶液を用いてpH2.02に処理した。この酸で処理した溶液を10分間回転させ、この後、この酸で処理した溶液の1.5gのいくつかのアリコートを取り出し、0.22μmのろ紙で真空ろ過し、そして放出速度測定が実施されるまで、ジャーに配置した(ブチレートの蒸発を減らすため)。
【0096】
放出速度の研究を、真空下でマイクロカプセルからブチレート(高蒸気圧を有するモデル化合物)の蒸発による重量減少の速度をモニターするために、Cahn RH電子てんびんを使用して、行った。このサンプル(ろ紙上の)を、電子てんびんの試料皿に配置し、そして真空下に配置する前に、密閉系に40℃で10〜15分間平衡化させた。真空下で閉じ込められた電子てんびんで測定される重量減少を、チャート式記録計で記録した。
【0097】
(表4)
曝露時間(時間)* 放出速度(mg/分) 放出速度(mg/分)
試行1 試行2
1(未処理) 7.5 6.8
8(未処理) 9.6 10.7
1 12.3 12.0
2 10.7 13.3
3 14.2 15.6
4 −−− 12.1
6 17.1 16.4
7 16.0 −−−
8 20.3 14.9
24 16.0 −−−
*曝露時間は、酸の添加と放出速度測定との間の時間として定義される。
注記:非カプセル化ブチレートの放出速度は、約17〜19mg/分であると確定した。

(実施例22〜25:(TDI:アセタール=4.99:1))
組成物を、上記手順に従って調製した:8.03gのDEG−BAを24.02gのブチレートに溶解し、そして8.50gのTDIを16.00gのブチレートに溶解した。このDEG−BA溶液を、17分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を55℃±5℃まで70分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、以下の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:
【0098】
【表4】

【0099】
(実施例26〜27:(TDI:アセタール=2.98:1))
組成物を、上記手順に従って調製した:5.03gのDEG−BAを15.32gのフルアジフォップ−p−ブチルに溶解し、そして3.18gのTDIを10.03gのフルアジフォップ−p−ブチルに溶解した。このDEG−BA溶液を、10分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を50℃±5℃まで50分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、以下の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:
実施例: 26 27
重量(g) 重量(g)
プレポリマー溶液 8.53 17.06
PMPI 0.60 1.20
フルアジフォップ−p−ブチル 22.87 14.36
Reax 100M(40%溶液) 1.87 1.89
Tergital XD 3.74 3.95
(20%溶液)
水 24.00 23.67
NaCO32O 0.36 0.36
NaOH(25%溶液) pH10まで pH10まで
中央粒径(μ) 5.6 4.8
(PMPI:プレポリマー) (1:3) (1:3)。

(実施例28〜29:(TDI:アセタール=3.09:1))
組成物を、上記手順に従って調製した:5.04gのDEG−BAを15.03gのフルアジフォップ−p−ブチルに溶解し、そして3.30gのTDIを9.99gのフルアジフォップ−p−ブチルに溶解した。このDEG−BA溶液を、13分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を50℃±5℃まで50分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、以下の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:
実施例: 28 29
重量(g) 重量(g)
プレポリマー溶液 7.28 9.53
PMPI 0.91 1.23
フルアジフォップ−p−ブチル 23.94 21.28
Reax 100M(40%溶液) 1.89 1.87
Tergital XD 3.73 3.73
(20%溶液)
水 23.98 24.29
NaCO32O 0.33 0.33
NaOH(25%溶液) pH10まで pH10まで
中央粒径(μ) 9.4 12.9
(PMPI:プレポリマー) (1:1.68) (1:1.68)。

(実施例30〜31:(TDI:アセタール=4.49:1))
組成物を、上記手順に従って調製した:5.04gのDEG−BAを15.02gのフルアジフォップ−p−ブチルに溶解し、そして5.28gのTDIを10.02gのフルアジフォップ−p−ブチルに溶解した。このDEG−BA溶液を、17分間かけて滴下した。この添加が完了すると、反応容器を50℃±5℃まで50分間加熱した。次いで、得られたプレポリマー溶液を、以下の組成を有するマイクロカプセル処方物を調製するために使用した:
実施例: 30 31
重量(g) 重量(g)
プレポリマー溶液 7.50 10.01
PMPI 0.94 1.19
フルアジフォップ−p−ブチル 23.62 20.78
Reax 100M(40%溶液) 1.88 1.88
Tergital XD 3.76 3.75
(20%溶液)
水 24.18 24.11
NaCO32O 0.33 0.33
NaOH(25%溶液) pH10.1まで pH10まで
中央粒径(μ) 12.0 12.7
(PMPI:プレポリマー) (1:1.6) (1:1.7)。

(生物学的評価)
除草剤フルアジフォップ−p−ブチルを含む酸感受性のマイクロカプセルの生物学的評価を、酸で処理されていない類似のマイクロカプセル、および登録商標のFusilade(登録商標)DX(登録商標)下で市販のこの除草剤の非カプセル化処方物と比較して、実施した。これらのサンプルを、水で希釈し、散布液を形成することで評価し、そして4つの異なる速度:0.0156、0.0313、0.0625、および0.125ポンド/エーカー(0.0175、0.0351、0.0704、および0.140kg/ha)で適用した。これらの溶液を、以下の5種の雑草を含む平地に適用した:メヒシバ(crabgrass)(Echinochloa crusgalli)、巨大エノコログサ(giant foxtail)(Setaria faberi)、緑色エノコログサ(green foxtail)(Setaria viridis)、黄色エノコログサ(yellow foxtail)(Setaria lutescens)および広葉樹シグナル草(broadleaf signalgrass)(Brachiaria platyphylla)。実施例29に従って調製したマイクロカプセルの3種の試料は、これらの試験に含まれた。マイクロカプセルの全サンプルを同じ様式で調製し、そして同じ特性を有した、すなわち:
除草剤の重量% 42
PMPI/プレポリマーのモル比 1.74:1
粒径 12.9μm
壁の含有量(重量%) 10.1。
【0100】

クロップオイル濃縮物を、全スプレイ溶液に1%添加した。除草剤を含まない酸溶液のコントロールをまた実施することにより、酸自体が雑草の制御に寄与しないことを確認した。このことは、試験によって確認された。本発明のマイクロカプセルを以下の3種の方法で散布した:酸なし(試験A)、pH1.52のp−トルエンスルホン酸で処理(試験B)、およびpH1.02のp−トルエンスルホン酸で処理(試験C)。これらの試験の結果を、以下の表4で表に表した:
(表4)
試験サンプル 酸(pH) 平均の雑草
制御%(7日)
A −−− 29.75
B 1.02 47.5
C 1.52 51.0
Fusilade(登録商標) −−− 65.25
DX(登録商標) 。

酸溶液コントロールは、ほとんどまたは全く雑草制御を示さず、酸自体が実質的にこれらの試験結果に影響を与えないということを示した。約pH1.0の酸溶液を散布された雑草は、いくらかの葉の火傷(leaf burn)を有するようであった。
【0101】
類似の試験を、実施例31に従って調製したマイクロカプセルを使用して実施し、ここでTDI/ジオールの比は5:1であった。この酸を、より高いpH1.5〜2で使用した。いくらかの試験は、湿潤剤としてポリエチレングリコール(PEG400)の使用を含んだ。これらの試験の結果を、以下の表5に示す。
【0102】
(表5)
試験サンプル 酸(pH) PEG400 平均の雑草制御
(1%) %(14日)
D −−− なし 36
E −−− あり 63
F 2.07 なし 50
G 2.05 あり 67
H 1.52 あり 66
Fusilade −−− なし 82
(登録商標)
DX(登録商標) 。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2011−37864(P2011−37864A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212856(P2010−212856)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【分割の表示】特願2000−561819(P2000−561819)の分割
【原出願日】平成11年7月28日(1999.7.28)
【出願人】(500371307)シンジェンタ リミテッド (141)
【Fターム(参考)】