説明

醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法、および容器入り飲料

【課題】醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた発泡性清酒を簡単に製造可能な製造方法を提案すること。
【解決手段】発泡性清酒の製造方法では、まず、醪3の入った醗酵容器4を清酒容器2内に挿入して清酒容器2を密閉すると共に、清酒容器2内における清酒1の液面の上方内部空間7と醗酵容器4内における醪3の上方内部空間8を、通気性の栓6を介して相互に連通した状態に保持する。この状態で、醪3を醗酵させると、発生した炭酸ガス9が清酒容器2内に入り込んで清酒1に溶け込む。清酒1の炭酸ガス含有濃度が所定の値以上になった段階で清酒容器2から醗酵容器4を取り出す。生成された発泡性清酒から醗酵後の滓をろ過あるいは除去する工程が不要になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた発泡性アルコール飲料、発泡性果実飲料、発泡性清涼飲料などの飲料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料としては、発泡性清酒(濁り酒を含む)、シャンパンなどのアルコール飲料が知られている。また、より商品価値を高めるために飲料内の滓を分離した発泡性のアルコール飲料、例えば発泡性清酒の製造方法には、耐圧密閉式の大型の醪タンク内で清酒を後醗酵させた後にろ過して得られる清浄ろ液を瓶詰めする方法、酵母等を含む濁り酒を瓶詰めした後に二次醗酵させ、しかる後に瓶内から滓を除去する方法などがある。特許文献1には後者の発泡性清酒の製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2009/048180号のパンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、醗酵によって生じた炭酸ガスを溶け込ませた従来の発泡性清酒の製造方法においては、醗酵後の滓を清酒からろ過して除去する作業工程が必要である。例えば、特許文献1に開示の製造方法では、醗酵後に容器を倒立させた状態で栓を開き、容器口部に溜まった滓を容器外に排出するようにしている。しかしながら、このような作業は煩雑で、時間も掛かり、生産性が低いという問題点がある。
【0005】
また、大型の醪タンク内で清酒を後醗酵させた後にろ過して得られる清浄ろ液を瓶詰めする方法では、清浄ろ液の工場内での移送や瓶詰め作業などの物理的刺激により、清浄ろ液に含まれる炭酸ガスが散逸しやすいという問題点がある。更に、醗酵に必要な糖分などの栄養分が製品自体に含まれる必要があり、製品の成分には自ずと制約がある。
【0006】
これに加えて、アルコール醗酵を利用する場合においては、醗酵により生じたアルコールも製品に溶け込む。このため、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた発泡性果実飲料、発泡性清涼飲料など、アルコールを含まない飲料の製造には利用できないという問題点がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、炭酸ガスを飲料に溶け込ませた後の醗酵性物質を飲料から分離除去する作業を省略できるようにした醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法を提案することにある。また、本発明の課題は、販売容器中の飲料に直接醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませることにより、炭酸ガスの散逸を最低限に防ぐことができるようにした醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法を提案することにある。さらに、本発明の課題は、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませる飲料の成分の自由度を飛躍的に高めることができるようにした醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法において、
前記炭酸ガスを溶け込ませる前の前記飲料と隔離した状態で、醗酵性物質を醗酵させて前記炭酸ガスを発生させる隔離醗酵工程と、
前記醗酵性物質の醗酵により生じた前記炭酸ガスを、前記飲料が貯留されている密閉状態の飲料容器内に注入して、前記炭酸ガスを前記飲料に溶け込ませる炭酸ガス注入工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
ここで、隔離醗酵工程および炭酸ガス注入工程を行うためには次のようにすればよい。まず、醗酵性物質の入った醗酵容器を飲料容器内に挿入して飲料容器を密閉すると共に、飲料容器内における飲料液面の上方内部空間と醗酵容器内における醗酵性物質の上方内部空間を相互に連通した状態に保持する。この状態で、醗酵性物質を醗酵させると、発生した炭酸ガスが飲料容器内に入り込んで飲料に溶け込む。飲料の炭酸ガスの含有濃度が所定の値以上になった段階で飲料容器から醗酵容器を取り出せばよい。
【0010】
よって、飲料から醗酵後の滓をろ過あるいは除去する工程が不要になり、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の生産効率を高めることができる。また、醗酵性物質の滓が飲料内に残り、飲料の清浄度あるいは透明性が低下してしまうという弊害も発生しない。さらに、醗酵に必要な糖分などの栄養分は醗酵容器内における醗酵性物質に含まれているため、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の成分には何ら制約がないという利点がある。これに加えて、アルコール醗酵を利用する場合には、醗酵により生じたアルコールが製品に溶け込むため、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた発泡性果実飲料、発泡性清涼飲料など、アルコールを含まない飲料の製造には利用できない、という弊害があるが、本発明によればこのような弊害を解消できるという利点がある。
【0011】
一方、醗酵性物質の醗酵を飲料と隔離した状態で行うために、醗酵性物質の入った醗酵容器を密閉し、飲料の入った飲料容器を1本あるいは複数本用意し、醗酵容器と各飲料容器の間をそれぞれ連通管を介して連通した状態に保持し、この状態で醗酵性物質を醗酵させるようにしてもよい。この場合においても、飲料の炭酸ガスの含有濃度が所定の値以上になった段階で各飲料容器から連通管を外せば良く、飲料から醗酵後の滓をろ過あるいは除去する工程が不要になり、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の生産効率を高めることができる。また、醗酵性物質の滓が飲料内に残り、飲料の清浄度あるいは透明性が低下してしまうという弊害も発生しない。さらに、醗酵に必要な糖分などの栄養分は醗酵容器内における醗酵性物質に含まれているため、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の成分には何ら制約がない。これに加えて、アルコール醗酵を利用する場合における、醗酵により生じたアルコールが製品に溶け込むため、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた発泡性果実飲料、発泡性清涼飲料など、アルコールを含まない飲料の製造には利用できない、という弊害も発生しない。
【0012】
ここで、醗酵性物質の醗酵を飲料と隔離した状態で行うために、醗酵性物質の入った醗酵容器と、飲料の入った飲料容器を1本あるいは複数本用意し、醗酵容器と各飲料容器を同一の密閉容器の中に保持し、この状態で醗酵性物質を醗酵させるようにしてもよい。この場合においても、飲料の炭酸ガスの含有濃度が所定の値以上になった段階で密閉容器から取り出せば良く、飲料から醗酵後の滓をろ過あるいは除去する工程が不要になり、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の生産効率を高めることができる。また、醗酵性物質の滓が飲料内に残り、飲料の清浄度あるいは透明性が低下してしまうという弊害も発生しない。さらに、醗酵に必要な糖分などの栄養分は醗酵容器内における醗酵性物質に含まれているため、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の成分には何ら制約がない。これに加えて、アルコール醗酵を利用する場合における、醗酵により生じたアルコールが製品に溶け込むため、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた発泡性果実飲料、発泡性清涼飲料など、アルコールを含まない飲料の製造には利用できない、という弊害も発生しない。
【0013】
ここで、飲料容器として販売用飲料容器を用いれば、炭酸ガスを溶け込ませた飲料を販売用飲料容器に小分けして詰める作業が不要となるので便利である。
【0014】
醗酵性物質としては酒造に用いられている酵母菌を含む醪や濁り酒などを用いることができる。飲料として清酒を使用すれば、清浄度あるいは透明度の高い発泡性清酒を得ることができる。
【0015】
次に、飲料が充填された飲料容器に、醗酵性物質が充填された醗酵容器を挿入した状態で出荷あるいは販売してもよい。この場合における本発明の容器入り飲料は、飲料が充填された飲料容器と、醗酵性物質が充填された醗酵容器とを備え、前記醗酵容器が取り出し可能な状態で前記飲料容器内に挿入されて、前記飲料容器が密閉されており、前記飲料容器内における飲料液面の上方内部空間と前記醗酵容器内における醗酵性物質の上方内部空間が相互に連通した状態に保持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、醗酵性物質の醗酵を飲料と隔離した状態で行っているので、飲料から醗酵後の滓をろ過あるいは除去する工程が不要になり、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の生産効率を高めることができる。また、醗酵性物質の滓が飲料内に残ってしまうことが無いので、清浄度あるいは透明性の高い炭酸ガスを溶け込ませた飲料を製造することができる。さらに、醗酵に必要な糖分などの栄養分は醗酵容器内における醗酵性物質に含まれているため、炭酸ガスを溶け込ませた飲料の成分には何ら制約がないという利点がある。これに加えて、アルコール醗酵を利用する場合における、醗酵により生じたアルコールが製品に溶け込むため、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた発泡性果実飲料、発泡性清涼飲料など、アルコールを含まない飲料の製造には利用できない、という弊害も発生しないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した発泡性清酒の製造方法を示す概略フローチャートである。
【図2】(a)は清酒容器に醗酵容器を挿入する前の状態を示す説明図であり、(b)は清酒容器に醗酵容器を挿入して清酒容器を密閉した状態を示す説明図である。
【図3】醪を清酒から隔離した状態で醗酵させるための別の方法を示す説明図である。
【図4】醪を清酒から隔離した状態で醗酵させるための更に別の方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法の実施の形態を説明する。
【0019】
図1および図2には本発明を適用した発泡性清酒の製造方法の一例を示してある。これらの図を参照して説明すると、発泡性清酒の製造に当っては、まず、通常の方法によって清酒1を製造し(図1のステップST1)、これを清酒容器2(飲料容器)に充填する(図1のステップST2)。また、醗酵活性のある醪3を用意し(図1のステップST3)、これを醗酵容器4に入れる(図1のステップST4)。ここで、醪の代わりに、醪を荒く漉した醗酵活性のある濁り酒を用いても一向に構わない。
【0020】
清酒容器2としては、図2(a)に示すように、出荷販売用の瓶を用いることができる。この清酒容器2は底付きの円筒状胴部2aの上端部分が上方に向かって徐々に小径となっている首部2bとなっている。首部2bの上端部分が外周面に雄ねじ2cが形成された口部2dとなっており、口部2dにおける雄ねじ2cの下側にはサポートリング2eが形成されている。口部2dにおけるサポートリング2eが形成されている部分の内周面部分は、内方に僅かに隆起して内径が絞られている膨れ部分2fとなっている。なお、図2においては、分かり易くするために、膨れ部分2fを誇張して描いてある。清酒容器2の口部2dには蓋5がねじ込まれて封鎖される。なお、上記形態を有する容器であれば、口部2dは王冠式のようなねじ込式でなくても良いし、サポートリング2eは必ずしも必要ではなく、また、瓶以外の容器を用いても良いことは勿論である。
【0021】
醗酵容器4としては、図2(a)に示すように、市販の試験管と同様な細長いガラス製などの容器を用いることができる。醗酵容器4の底付きの円筒状胴部4aの底側部分が醪収納用円筒部4bであり、円筒状胴部4aの上端開口縁は、僅かに大径のリップル4cが形成されている。醗酵容器4は清酒容器2の口部2dからその内部に挿入可能な細長い容器である。醗酵容器4の上端開口は必ずしも封鎖する必要は無いが、必要に応じて通気性を持つ発泡シリコンなどの通気性素材からなる栓6によって封鎖可能である。また、醗酵容器4は適宜の長さのものを用いることができる。例えば、膨れ部分2fがない清酒容器2を用いる場合には、清酒容器2の底に達するような長いものを用いればよい。
【0022】
清酒容器2に清酒1を充填し、醗酵容器4に醪3を充填した後は、醗酵容器4の上端開口はそのままでも良いし、必要に応じて栓6を用いて封鎖しても良い。しかる後に、醗酵容器4を清酒容器2の口部2dから当該清酒容器2の内部に挿入する。清酒容器2の口部2dの内周面部分には膨れ部分2fがあり、醗酵容器4の上端開口縁には僅かに大径のリップル4cが形成されている。したがって、清酒容器2に挿入した醗酵容器4のリップル4cが清酒容器2の膨れ部分2fに引掛り、清酒容器2の内部に醗酵容器4が吊り下げられた状態になる。この後は、蓋5を清酒容器2の口部2dに被せて当該口部2dを密閉する(図1のステップST5)。
【0023】
図2(b)はこの状態を示す縦断面図である。この図に示すように、清酒容器2における清酒1の液面上方の上方内部空間7は、醗酵容器4の開放された上端開口部もしくは通気性の栓6を介して、醗酵容器4における醪3の上方内部空間8に連通している。また、醪3は醗酵容器4によって清酒1から隔離された状態となっている。
【0024】
この後は、醪3の醗酵に適した雰囲気中に、醗酵容器4が挿入された清酒容器2を安置し、醪3を醗酵させる(図1のステップST6)。醗酵により炭酸ガス9が発生する。ここで、図2(b)に示すように、発生した炭酸ガス9は開放された醗酵容器4の上端開口部もしくは通気性の栓6を通って清酒容器2の上方内部空間7に流れ込み、清酒容器2の膨れ部分2fと醗酵容器4との微細な隙間を通じて清酒1に徐々に溶け込む。この結果、発泡性清酒が徐々に生成される。
【0025】
予め定めた所定の醗酵期間を経過した後に醪3が醗酵容器4から吹きこぼれないように注意して蓋5を清酒容器2から外し、醗酵容器4を清酒容器2から取り出す(図1のステップST7)。醗酵容器4を取り出し易くするためには、例えば、栓6にタグなどを取り付けておいてもよい。この後は、生成された発泡性清酒が充填されている清酒容器2に通常通り密栓をする(図1のステップST8)。また、必要に応じて火入れを行い、しかる後に、清酒容器2を冷却してもよい(図1のステップST8)。これにより、販売容器である瓶に充填された発泡性清酒が得られ、出荷されるまで貯蔵される。
【0026】
図3は、醪13を清酒11から隔離した状態で醗酵させるための別の方法を示す説明図である。図3に示す方法では、醗酵に適した雰囲気に管理されている収蔵庫10に、清酒11が充填された多数本の清酒容器12と、醪13を入れた醗酵容器14を配置する。醗酵容器14と各清酒容器12の間は、それぞれ、連通管15によって連通させておく。この状態で醪13を醗酵させて炭酸ガスを発生させると、炭酸ガスが各連通管15を通って各清酒容器12に供給される。各清酒容器12では清酒11に炭酸ガスが溶け込んで発泡性清酒が生成される。
【0027】
図4は、醪24を清酒22から隔離した状態で醗酵させるための別の方法を示す説明図である。図4に示す方法では、醗酵に適した雰囲気に管理されている圧力容器20に、清酒22が充填された多数本の清酒容器23と、醪24を入れた醗酵容器25を配置する。醗酵容器25と各清酒容器23を、それぞれ圧力容器20内に密閉静置する。この状態で醪24を醗酵させて炭酸ガスを発生させると、圧力容器20内に充満し、上部が開放された各清酒容器23に供給される。各清酒容器23では清酒22に炭酸ガスが溶け込んで発泡性清酒が生成される。
【0028】
予め定めた所定の醗酵期間を経過した後に、バルブ21を用いて圧力容器20内の圧力を開放し、圧力容器20の蓋26を開け、清酒容器23を取り出す。この後は、生成された発泡性清酒が充填されている清酒容器23に通常通り密栓をする。また必要に応じて火入れを行い(図1のステップST8参照)、しかる後に、清酒容器23を冷却してもよい(図1のステップST8参照)。
【0029】
(その他の実施の形態)
上記の例は、本発明の製造方法を発泡性清酒の製造方法に適用したものである。本発明の製造方法は発泡性清酒以外の発泡性飲料の製造方法にも同様に適用可能である。例えば、シャンパンなどの発泡性のアルコール飲料の製造に用いることができる。また、炭酸ガスを含む果実飲料、発泡性清涼飲料などの製造にも用いることができる。
【0030】
さらに、醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませる飲料は、必ずしも清浄である必要はない。例えば、火入れをして酵母を不活性とした濁り酒や、果肉の含まれた果実飲料であっても一向に構わない。
【0031】
一方、本発明は、より自然な食品を求める消費者意識の高まりに対応したものであり、食品添加物としての炭酸ガスを用いるのではなく、醗酵により生じた炭酸ガスを用いることによって、様々な液体に発泡性を持たせることができる。このため、単に飲料のみならず調味料や医薬品など、およそ人が摂取する液体に醗酵により生じた炭酸ガスによる発泡性を与えることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 清酒
2 清酒容器
2a 円筒状胴部
2b 首部
2c 雄ねじ
2d 口部
2e サポートリング
2f 膨れ部分
3 醪
4 醗酵容器
4a 円筒状胴部
4b 醪収納用円筒部
4c リップル
5 蓋
6 通気性の栓
7 上方内部空間
8 上方内部空間
9 炭酸ガス
11 清酒
12 清酒容器
13 醪
14 醗酵容器
15 連通管
20 圧力容器
21 バルブ
22 清酒
23 清酒容器
24 醪
25 醗酵容器
26 圧力容器の蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
醗酵により生じた炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法であって、
前記炭酸ガスを溶け込ませる前の前記飲料と隔離した状態で、醗酵性物質を醗酵させて前記炭酸ガスを発生させる隔離醗酵工程と、
前記醗酵性物質の醗酵により生じた前記炭酸ガスを、前記飲料が貯留されている密閉状態の飲料容器内に注入して、前記炭酸ガスを前記飲料に溶け込ませる炭酸ガス注入工程とを含むことを特徴とする炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記醗酵性物質の入った醗酵容器を前記飲料容器内に挿入して前記飲料容器を密閉すると共に、前記飲料容器内における飲料液面の上方内部空間と前記醗酵容器内における醗酵性物質の上方内部空間を相互に連通した状態に保持し、
この状態で、前記隔離醗酵工程および前記炭酸ガス注入工程を行い、
しかる後に、前記飲料容器から前記醗酵容器を取り出すことを特徴とする炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記醗酵性物質の入った醗酵容器を密閉し、前記飲料の入った前記飲料容器を複数本用意し、前記醗酵容器と各飲料容器の間をそれぞれ連通管を介して連通した状態に保持し、
この状態で、前記隔離醗酵工程および前記炭酸ガス注入工程を行い、
しかる後に、各連通管を各飲料容器から取り外すことを特徴とする炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法。
【請求項4】
請求項1において、
前記醗酵性物質の入った醗酵容器と、複数本の前記飲料の入った前記飲料容器とを用意し、
前記醗酵容器と各飲料容器の全てを、圧力容器内に保持した上で密封し、
この状態で、前記隔離醗酵工程および前記炭酸ガス注入工程を行い、
しかる後に、前記圧力容器から各飲料容器を取り出すことを特徴とする炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法。
【請求項5】
請求項2ないし4のうちのいずれかの項において、
前記飲料容器として販売用容器を用いることを特徴とする炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちのいずれかの項において、
前記醗酵性物質として、酵母菌を含む醗酵活性のある醪または濁り酒を用いることを特徴とする炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記飲料は清酒であり、
前記炭酸ガス注入工程を経て所定濃度の炭酸ガスを含む発泡性清酒を製造することを特徴とする炭酸ガスを溶け込ませた飲料の製造方法。
【請求項8】
飲料が充填された飲料容器と、
醗酵性物質が充填された醗酵容器とを備え、
前記醗酵容器が取り出し可能な状態で前記飲料容器内に挿入されて、前記飲料容器が密閉されており、
前記飲料容器内における飲料液面の上方内部空間と前記醗酵容器内における醗酵性物質の上方内部空間が相互に連通した状態に保持されていることを特徴とする容器入り飲料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−99258(P2013−99258A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243754(P2011−243754)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(511269772)