説明

重なった平らな面のプレートを備えたコンベヤベルト

本発明は、部分的に重なった複数のプレートを個々に支持する索引要素である金属製ネットを備え、極端な機械的応力が存在しても信頼できる作業面として働く平らな面の連続したベルトを形成した革新的な金属製のコンベヤベルトに関する。異なる性質の材料のための一つあるいはそれ以上のそらせ板および/またはチャンネルによって分離したり、また金型部品のような高温の材料を振動させずに搬送したり、荷重支持部が平らな面であることと振動のないことによりその搬送面が様々な用途に適したものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重なった平らな面のプレートを備えた金属製のコンベヤベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、扱いにくい材料を、とくに高速で搬送する際、複数の部分的に重なったスチール製プレートを支持した金属製の牽引ネット要素を備え、ほとんどシールされた荷重支持チャンネルを形成した金属製のベルトコンベヤを用いるのが普通である。各プレートは対応する孔のあいた板に挿入された複数のボルトやねじやリベットにより個別に固定されており、板の各々はコンベヤベルトの牽引ネットのメッシュ内に挿入されている。このような構成のコンベヤベルトは牽引ドラムによって駆動され、送りドラムによって必要な張力を付与され、複数の独立した横ローラによって支持され、荷重支持部ではコンベヤベルトを支持し、そのもどり部ではホィールによってベルトを支持している。この種のコンベヤベルトはアメリカ特許第3633737号と第3749228号に開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術のコンベヤベルトにおいては、移動の方向にプレートが部分的に瓦状に重なっているために平らでない面が形成される問題がある。そのためプレートの厚みを増す上で限界があり、それが装置の頑丈さに限界を生じ、プレートの厚みに問題があるためにもどりホィール上でのすべりに問題が生ずる。小さな段が形成されるため、もどりホィール上の小さい段を通過する度にコンベヤベルトを上げるのにエネルギーが吸収され、そのためにパワーがロスすることになる。このエネルギーのロスによりさらに振動や騒音が生ずる。
【0004】
コンベヤベルトの荷重支持部に平らでない面があると、実際には搬送される材料を横方向に排出するためにコンベヤベルト上に位置決め用の整流板を配置する上で支障が生じ、プレートの重なりによって生じた小さい段と整流板との間に材料がつまってしまうことになる。
【0005】
同様の理由で、搬送される材料を選別し分離するためにコンベヤベルト上にチャンネルを形成することもできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題は本発明のコンベヤベルトによって解決される。その面が平らなのでそらせ板や分離装置を用いる際に障害とならず、平らな面を可動の作業面として運転することもでき、極端な機械的応力があっても操作上の信頼性が得られる。
【0007】
縦型の型入れラインの日常の運転において、金型部品の鋳込みの冷却は振動のない状態で行う必要があるため、ゴム製のコンベヤベルトが用いられ、鋳鉄の鋳込み地点のすぐ下流に置かれる。金型部品の搬送時、ゴム製ベルトは金型部品が損傷した場合にこぼれる鋳鉄の漏れによってひどい早期劣化をこうむり、その結果生産の休止時間が生ずる。これらの問題は本発明のコンベヤベルトによって完全になくなる。すなわち搬送面が平らで高温に対する抵抗力があり、振動がないため金型部品を損傷することなく安全に搬送することができる。
【0008】
さらに、面の頑丈さ、振動のないこと、面が完全に平らなことから、本発明によるコンベヤベルトを動く歩道として、さらにコンベヤベルトにより運ばれる人が作業できる状態で、使用することができる。
【0009】
本発明の特徴、目的、利点は以下の説明と添付の図面と実施例からより明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
各図において同じ参照番号は同一あるいは均等な部品を示す。
本発明のコンベヤベルト1は、従来構造のコンベヤベルトに比較してプレート2が特別な構造をしており、連続した二つのプレートの間の相対位置により搬送面が平らで連続しており、それを頑丈で信頼性のある移動面としている。このことは特に添付の図1から明らかである。
【0011】
本発明のコンベヤベルト1は、たとえばベルトに重い重量がかかったり、ベルト上で行われる作業によるものなど極端な機械的応力がかかっている状態でも作動できる。
【0012】
コンベヤベルト1は主要な牽引要素となる金属製のネットベルト8(図1A、2B)から成り、それにプレート2がねじ7や、ボルトあるいはリベットと、対応する孔のあいた板9により固定されており、板9の各々は牽引ネット8のメッシュ内に挿入されている。次のプレートに部分的にオーバーラップしている各プレート2の形状は、平らな連続した搬送面を形成できるような形状であり、牽引ドラム5と戻りドラム12上で回転している時でも支持ベルト8を保護するために搬送面を閉じた状態に保つようになっている。
【0013】
このように組み立てられたコンベヤベルト1は、牽引ドラム5によって駆動され、戻りドラム12によって張力を付与されている。戻りドラム12は必要な一定の張力を加える役目をしており、複数の独立した横ローラ13によって支持され、その上部でベルトを支持しており、またホィール(図示せず)によってベルトをもどり部上で支持している。
【0014】
輸送面が平らなため一つあるいはそれ以上のそらせ板11および/または分離整流板16を用いて搬送される材料を生産上の要求に応じて分別することができ、材料がベルトとそらせ板11の間につまってコンベヤベルトが急に停止するのを避けることができる。
【0015】
搬送面が平らなことと振動がないことから生じる一つの利点は、鋳鉄の冷却段階において垂直成形ラインにおける金型部品のような部品を、搬送中に鋳鉄がこぼれて金型部品やコンベヤベルトが損傷することなく搬送することができることである。
【0016】
さらに、面の頑丈さ、振動のないこと、面に凹凸がなく完全に平らなことから、本発明によるコンベヤベルトを動く歩道として、さらにベルトによって運ばれる人が作業できる状態で、使用することができる。
【0017】
コンベヤベルト1の実施例は形状の異なる2つのプレート3と4を連結し、ボルト、ねじあるいはリベット7で、金属ネット8内に挿入された対応する孔あき板9に固定することによって得られる。上側のプレート3は下のベースプレート4に部分的にオーバーラップしている。このように連結されたプレート3,4はドラム5の周りをまわる時でも一体のままで単一のボディを形成している。下側のプレート4にあいている孔は溝状になっており温度条件の差から生ずるプレート3,4の間の熱膨張の差を吸収できるようになっている。
【0018】
プレート2を実施する場合、要素3,4は互いに厚みや素材を異なるものとしてもよく、それにより搬送される物品と接触する材料の選択や、搬送の必要に応じてコンベヤベルトに頑丈さを与えるのに必要な全体の厚みの選択をベストにすることを可能にする。
【0019】
このため、本発明のコンベヤベルトは、従来技術のものより相当頑丈に作ることができる。なぜならプレート3,4を連結してネット状牽引ベルト8に固定するこの構造は、もどりホィール14上でのスライドに問題を生じることなく相当な厚みをもたすことができるからである。荷重を支持するローラ13のピッチが細かいためコンベヤベルト1に頑丈さと信頼性を与え、たとえばコンベヤベルト1に重いものが当たることによる衝撃を吸収することができる。
【0020】
十分な厚みでオーバーラップするプレート3,4の機械的応力に対する抵抗力は、ピッチの細かい荷重支持ローラ13と相まって、抵抗力が調整された崩壊点14を備えた荷重支持ローラの支持部15を採用することによりさらに増している。これらの支持部15は、許容される応力をオーバーした場合、所定の時点で破断することにより、ベルト1を機械的応力から保護する。
【0021】
荷重支持ローラ13のピッチが細かいため、一つあるいはそれ以上の支持部15が破断しても,コンベヤベルト1の正常な運転になんの影響も与えないし、支持部15とローラ13の交換はコンベヤベルト1を停止させる必要なしに行うことができる。
【0022】
コンベヤベルト1の別の実施例としては、機械加工あるいは成型によってプレート2を一体物で製造するもので、また摩擦係数を低くしたい場合や、搬送される材料が冷たく、それほど研磨性のものでない場合、それをプラスチック材料、たとえば高密度ポリエチレンで作ることもできる。
【0023】
搬送目的や材料の種類によっては、コンベヤベルト1にプレート2の延長部となる上向き(図4参照)あるいは下向き(図1参照)のタブ10を設けてもよい。詳しくいえば、上向きのタブ10(図4)の機能は、搬送される材料がばら材料やサイズの小さいものの場合に適している。下向きのタブ10(図1)を用いた構成は、適当なそらせ板11をあてることによって、あるいはオペレータの操作によって、物品を横方向に排出する必要がある場合に適しており、物品を持ち上げる必要なしにそれを排出地点に向かって押してやるだけで排出できる。
【0024】
本願において、それに限定する意味でなく一例として実施例を挙げたが、それに多くの変更、改作、総合、変更、機能が同等の部品との取替えなどを、請求の範囲に定義された範囲から逸脱することなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるコンベヤベルトの部分断面図で、牽引ドラム、もどりドラム、荷重支持ローラも示されている。
【図1A】図1のコンベヤベルトのプレートの詳細を示す図。
【図2】コンベヤベルトがドラムに巻きついているところを示す概略図。
【図2B】図2の巻きつき部の細部を示す図。
【図3】本発明のコンベヤベルトの断面図。
【図4】コンベヤベルトを前方から見た断面図で、その支持部が調整されている。
【図5】ローラのピッチが細かいことを示す概略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも牽引ドラム(5)により作動され、少なくとももどりドラム(12)により張力を付与され、複数の独立した横ローラ(13)によって支持された金属製のネットベルト(8)から成るコンベヤベルト(1)において、ベルト(1)は互いに部分的に重なった複数のプレート(2)を個々に支持しており、極端な機械的応力が存在しても可動の信頼できる作業面として働く平らな面の連続したベルトを形成するようになっていることを特徴とするコンベヤベルト(1)。
【請求項2】
各プレート(2)が適当な形状の単一の要素あるいは2つの要素あるいはプレート(3,4)で作られており、そのうちの上側のプレート(3)がそれにつづくベースプレート(4)に部分的に重なっており、ドラム(5,12)上で回転する時でも連続した面を形成して支持ベルト(8)を保護するようになっている請求項1に記載のコンベヤベルト(1)。
【請求項3】
上記要素あるいはプレート(3,4)が複数のボルト、ねじあるいはリベット(7)で、金属ネット(8)内に挿入された複数の板(9)に固定されている請求項2に記載のコンベヤベルト(1)。
【請求項4】
プレート(2)が搬送目的や搬送される材料の種類に応じて上向きあるいは下向きの横タブ(10)を備えている請求項2に記載のコンベヤベルト(1)。
【請求項5】
搬送される材料からベルトに加わる衝撃による機械的応力が、コンベヤベルト(1)の動きの連続性に影響を与えることなく破断するように調整された荷重支持ローラ(13)の支持部(15)に伝わるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤベルト(1)。
【請求項6】
プレート(2)が金属材料、合成材料あるいは有機材料で形成でき、それらが互いに部分的に重なって平らな面を形成し、搬送される材料を横方向に排出するための一つあるいはそれ以上のそらせ板(11)および/または異なる性質の材料をコンベヤベルト(1)上で分離するためのチャンネルを備えるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤベルト(1)。
【請求項7】
振動がないことと、プレート(2)が部分的に重なって平らな面を形成していることにより、金型部品のような特定の部品を搬送中に破損することなく搬送できるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤベルト(1)。
【請求項8】
ベルト(1)を、コンベヤベルト(1)の移動中に作業できる状態で、人の搬送にも使用できるようにした請求項1乃至4のいずれかに記載のコンベヤベルト(1)。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−508785(P2009−508785A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531804(P2008−531804)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002589
【国際公開番号】WO2007/034289
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(307023409)マガルディ パワー ソシエタ ペル アチオニ (5)
【Fターム(参考)】