説明

重ね板ばね用サイレンサおよび重ね板ばね

【課題】重ね板ばねの撓みに伴い発生する異音をより効果的に低減することができ、かつ耐久性の高い重ね板ばね用サイレンサの構造を提供する。
【解決手段】重ね板ばね用サイレンサ1は、第一、二の板状部材2、3を重ね合わせた積層構造を有する。第一の板状部材2は、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の摺動特性のよい熱可塑性合成樹脂で構成されている。また、第二の板状部材3は、ゴム、熱可塑性エラストマー等の、第一の板状部材2に比べて、弾性率が低く、かつ摩擦係数が高い材料で構成されている。また、この重ね板ばね用サイレンサ1の厚さdは、この重ね板ばね用サイレンサ1の配置位置における、重ね板ばね6の撓みによる板ばね60間の隙間の想定最大値よりも大きな厚さを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の重ね板ばねに関し、特に、この種の重ね板ばねに用いられるきしみ音防止のためのサイレンサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体と車軸とを繋ぐサスペンションとして、重ね板ばね(リーフ式サスペンション)が知られている。図4に示すように、重ね板ばね6は、複数の板ばね60a〜60c(以下、単に板ばね60とも称する)が重ねられ、両端部62a、62bにおいてクリップ63a、63bにより束ねられて構成されている。また、重ね板ばね6の中央部61は、Uボルト65により前輪あるいは後輪の車軸(アクスル)9に取り付けられる。
【0003】
複数の板ばね60のうち、最も長い板ばね60aは、親ばねと呼ばれている。親ばね60aの両端部62a、62bはカールされ、これにより軸挿入部64a、64bが形成されている。一方の軸挿入部64aには、ピボット(固定軸)71を摺動可能に保持したブッシュ72が収容され、このピボット71は、ブラケット7を介して、図示していない車体に固定される。また、他方の軸挿入部64bには、車体に連結されたシャックル8の軸81を摺動可能に保持したブッシュ82が収容される。これにより、重ね板ばね6の一方の端部62aはピボット71で車体に固定され、重ね板ばね6の他方の端部62bはシャックル8により車体に連結される。
【0004】
このような構成により、重ね板ばね6は、車軸9を路面に押さえ付けて、図示していない車輪のグリップ力を高めることにより、車両の走行を安定させるとともに、車両の走行中に路面から受ける振動(凹凸)が車軸9を介して車体に伝わるのを防止する。
【0005】
ところで、車軸9が上下に移動すると、重ね板ばね6は、中央部61が上下に移動してアーチ状に撓む。これにより、両端部62a、62bにおいて重なり方向に隣り合う板ばね60が相対的に滑り合い、金属同士が擦れ合う際の異音が発生する。このため、図4に示すように、両端部62a、62bにおいて重なり方向に隣り合う板ばね60間に、ゴム製のサイレンサ5を介在させて、金属同士が擦れ合う際の異音を防止している。
【0006】
例えば、特許文献1には、重なり方向に隣り合う板ばね間に配置される板状基部と、板状基部の一面から突出して板ばねに設けられた取付孔に圧入保持される円柱状の取付軸部とを備えた、ゴム成形品よりなるサイレンサが開示されている。このサイレンサにおいて、取付軸部の根本部分には、板状基部と取付軸部との両方に跨るようにして補強金具が埋設されている。また、取付軸部の外周面には、径方向外側へ突出して軸方向に延びる複数の山部と、径方向内側に凹んで軸方向に延びる複数の谷部とが、周方向において交互に配設されている。このような構成にすることにより、サイレンサの素材としてゴムを用いつつも、充分な耐久性と良好な組み付け性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−247754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ゴム製のサイレンサ5は、重ね板ばね6の撓みに伴い、このサイレンサ5を介して重なり方向に隣り合う板ばね60間で相対的な滑り合いが生じた場合に、このゴム製のサイレンサ5の弾性変形し易い性質を利用することにより、このサイレンサ5とこのサイレンサ5に接触する板ばね60とが摺動するのを抑制して、異音の発生を防止すると共に、摺動による摩耗を防止して耐久性を向上させている。
【0009】
しかし、サイレンサ5を介して重なり方向に隣り合う板ばね60間に、ゴムの弾性変形の限界を超えるような比較的大きな相対的な滑りが発生した場合は、このゴム製のサイレンサ5とこのサイレンサ5に接触する板ばね60とが摺動することになる。ゴム素材は一般に摺動特性が良好ではないため、ゴム製のサイレンサ5と板ばね60とが摺動した場合には、スティックスリップ等による異音発生の可能性が高くなる。また、摺動によりゴムが摩耗・劣化し、サイレンサ5の耐久性の低下につながる。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の重ね板ばね用サイレンサーを用いた場合に比べて、重ね板ばねの撓みに伴い発生する異音をより効果的に低減することができ、かつ耐久性がより向上した重ね板ばね用サイレンサの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、重ね板ばね用サイレンサを、複数の部材を重ね合わせた積層構造とし、最上層および最下層のうちのいずれか一方の部材を、他方の部材に比べて、弾性率が低く、かつ摩擦係数が高い材料で構成した。
【0012】
例えば、本発明は、重ね板ばねを構成する複数の板ばねのうちの、隣り合う板ばね間に配置される重ね板ばね用サイレンサであって、
複数の部材を重ね合わせた積層構造を有し、
前記積層構造の最上層および最下層に位置する部材のうち、一方の部材は、他方の部材に比べて、弾性率が低く、かつ摩擦係数が高い材料で構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、複数の部材を板厚方向に重ね合わせた多層構造とし、最上層および最下層のうちのいずれか一方の部材を、他方の部材に比べて、弾性率が低く、かつ摩擦係数が高い材料で構成しているので、車両に搭載された重ね板ばねの撓みに伴い発生する、重ね板ばね用サイレンサを介して重なり方向に隣り合う板ばね間の一方の部材の許容弾性変形量により対応可能な比較的小さな相対的な滑り合いに対しては、この一方の部材が弾性変形し、重なり方向に隣り合う板ばね間の相対的な滑り量を許容すると共に板ばねと重ね板ばね用サイレンサとが摺動するのを抑制することができ、これにより、異音の発生を防止できる。
【0014】
また、重ね板ばね用サイレンサを介して重なり方向に隣り合う板ばね間の一方の部材の許容弾性変形量を超え、一方の部材の弾性変形では対応できないような大きな相対的な滑り合いに対しては、摩擦係数の低い他方の部材と板ばねとが優先的に摺動することにより、一方の部材と板ばねとの摺動を抑制できる。他方の部材は、一方の部材に比べて、摩擦係数が低いので、摺動時に発生する異音を極力防止することができる。このため、この一方の部材の許容弾性変形量を超えるような大きな相対的な滑り合いに対しても、他方の部材と板ばねとを一方の部材と板ばねとより優先的に摺動させて、一方の部材と板ばねとの摺動を抑制することにより、異音の発生を低減できる。また、摩擦係数が低く摺動特性の良好な他方の部材を摺動させることにより摩耗の発生も抑制できるので、重ね板ばね用サイレンサの耐久性が向上する。
【0015】
このように、本発明によれば、従来の重ね板ばね用サイレンサを用いた場合に比べて、重ね板ばねの撓みに伴い発生する異音をより効果的に低減することができ、かつ耐久性がより向上した重ね板ばね用サイレンサの構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)、(B)は、本発明の一実施の形態に係る重ね板ばね用サイレンサ1の正面図、側面図である。
【図2】図2(A)は、第一の板状部材2の正面図であり、図2(B)は、図2(A)のA−A断面図である。
【図3】図3(A)は、第二の板状部材3の正面図であり、図3(B)は、図3(A)のB−B断面図である。
【図4】図4は、重ね板ばね6の概略構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1(A)、(B)は、本実施の形態に係る重ね板ばね用サイレンサ1の正面図、側面図である。また、図2(A)は、第一の板状部材2の正面図であり、図2(B)は、図2(A)のA−A断面図である。また、図3(A)は、第二の板状部材3の正面図であり、図3(B)は、図3(A)のB−B断面図である。
【0019】
本実施の形態に係る重ね板ばね用サイレンサ1は、上述した従来のサイレンサ5と同様、重ね板ばね6の両端部62a、62bにおいて重なり方向に互いに隣り合う板ばね60が相対的に滑り合うことによる異音の発生を防止するためのものであり、重ね板ばね6の両端部62a、62bにおいて重なり方向に互いに隣り合う板ばね60間のそれぞれに配置される(図4参照)。
【0020】
図示するように、本実施の形態に係る重ね板ばね用サイレンサ1は、第一の板状部材2と第二の板状部材3とを板厚方向に重ね合わせた二層構造を有している。
【0021】
第一の板状部材2は、円板形状を有しており、その一方の面(上面22)側の中央部には、上面22の円板形状よりも細径の円柱状の嵌合部21が形成されている。
【0022】
第一の板状部材2の素材には、ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂材料を含んだ、摺動特性の良好な熱可塑性合成樹脂が好適である。
【0023】
第二の板状部材3は、第一の板状部材2と略同じ外径の円板形状を有しており、その中央部には、一方の面(上面)32から他方の面(下面)33に貫通した嵌合穴31が形成されている。この嵌合穴31には、第一の板状部材3の嵌合部21が嵌め込まれる。
【0024】
第二の板状部材3の素材には、熱可塑性合成樹脂に比べて弾性の高いゴムあるいは熱可塑性エラストマーが好適である。特に、熱可塑性ポリエステル系エラストマーに所定量の脂肪酸と金属石けんとリン酸塩と潤滑油とが配合された素材、および、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとを共重合した熱可塑性ポリエステルエラストマーにシリコン系潤滑剤あるいはテフロン(登録商標)系潤滑剤が添加された素材は、第二の板状部材3の素材として特に好適である。
【0025】
第一の板状部材2の嵌合部21の高さ(上面22から嵌合部21の頂面24までの長さ)hは、この嵌合部21を第二の板状部材3の嵌合穴31に嵌合させて、第一の板状部材2の上面22と第二の板状部材3の下面33とを接触させた場合(第一の板状部材2と第二の板状部材3とを重ね合わせた場合)に、第二の板状部材3の上面32から嵌合部21の頂面24が突出する長さ、つまり第二の板状部材3の板厚d2より大きい長さに設定される。ここで、第一板状部材2の上面22と第二の板状部材3の下面33との接触面は、接着等により固定されてもよい。また、後述する第一の板状部材2との滑り状態および第二の板状部材3と板ばね60との間で生じる第二の板部材3の弾性変形等に支障がない場合には、単に重ね合わせて、両部材2、3の接触面が固定された状態でなくてもよい。第二の板状部材3の上面32から突出した嵌合部21の突出部分25は、板ばね60b、60cの上面67b、67cに形成されている、図示していない穴もしくは溝と嵌合する。これにより、重ね板ばね用サイレンサ1は、板ばね60b、60cに取り付けられる。
【0026】
また、第一の板状部材2の嵌合部21と第二の板状部材3の嵌合穴31とを嵌合させて、第一の板状部材2の上面22と第二の板状部材3の下面33とを接触させた場合(第一の板状部材2と第二の板状部材3とを重ね合わせた場合)において、第一の板状部材2の下面23から第二の板状部材3の上面32までの厚さd、つまり第一の板状部材2の板厚d1と第二の板状部材3の板厚d2との合計は、重ね板ばね6の搭載車両に関して、重ね板ばね用サイレンサ1の配置位置において想定される、重ね板ばね6の撓みによる重なり方向に隣り合う板ばね60間の隙間の最大値より大きな厚さとなるように、第一の板状部材2および第二の板状部材3の厚さをそれぞれ決定している。
【0027】
以上、本発明の実施の形態を説明した。
【0028】
ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性合成樹脂は、ゴムまたは熱可塑性エラストマに比べて良好な摺動特性を有する(摩擦係数が低い)。また、剛性が高い(弾性率が高い)ため、繰り返される弾性変形による劣化が少ない。一方、ゴムおよび熱可塑性エラストマーは、ポリエステル樹脂等の熱可塑性合成樹脂に比べ、弾性率が低く(剛性が低く)、かつ摩擦係数が高い。このため、弾性変形しやすい。
【0029】
このため、本実施の形態に係る重ね板ばね用サイレンサ1のように、熱可塑性合成樹脂で形成された第一の板状部材2と、ゴムあるいは熱可塑性エラストマーで形成された第二の板状部材3とを板厚方向に重ね合わせた二層構造とすることにより、嵌合部21の撓みおよび第二の板状部材3の弾性変形により許容可能な重なり方向に隣り合う板ばね60間の相対的な滑りに対しては、細径の嵌合部21が撓むとともに、第二の板状部材3の弾性変形が第一の板状部材2と板ばね60との摺動より優先的に発生するので、板ばね6と重ね板ばね用サイレンサ1との摺動自体を抑制することができる。これにより、板ばね6と重ね板ばね用サイレンサ1とが摺動する際における異音の発生が抑制される。
【0030】
また、嵌合部21の撓みおよび第二の板状部材3の弾性変形により許容できる範囲を超えるような、重なり方向に隣り合う板ばね60間の比較的大きな相対的な滑り合いに対しては、板ばね60と第一の板状部材2とが第二の板状部材3と板ばね60とが滑り出すより優先的に摺動することにより、第二の板状部材3と板ばね60との摺動が抑制される。熱可塑性合成樹脂は、ゴムあるいは熱可塑性エラストマーに比べて、摺動特性が良好である。このため、この比較的大きな相対的な滑り合いに対しても、熱可塑性合成樹脂を用いた第一の板状部材2と板ばね60とを第二の板状部材3と板ばね60とより優先的に摺動させて、ゴムあるいは熱可塑性エラストマーを用いた第二の板状部材3と板ばね60との摺動を抑制することにより、異音の発生を低減できる。また、熱可塑性合成樹脂は、摺動特性が良好であため、摺動時の摩耗を低減させることができるので、重ね板ばね用サイレンサ1の耐久性が向上する。
【0031】
なお、第二の板状部材3と板ばね60との間で生じる弾性変形との関係で、板ばね60と第一の板状部材2との滑り開始点を調整するため、板ばね6の穴または溝内に、嵌合部21が板ばね6の長手方向に移動可能な余裕を設け、嵌合部21の外周面と嵌合穴31の内周面との間に隙間を設けてもよい。この隙間により第二の板状部材3の弾性変形量を所望の大きさに調整可能となる。
【0032】
また、本実施の形態では、第一、第二の板状部材2、3の厚さd1、d2の合計dが、重ね板ばね6を構成する複数の板ばね60a〜60cのうちの、重なり方向に隣り合う板ばね60間の隙間の最大値よりも大きな厚さとなるように第一、第二の板状部材2、3を成型している。このため、重ね板ばね用サイレンサ1を構成する第二の板状部材3は、車両に搭載された重ね板ばね6の撓みに応じて間隔が変化する、重なり方向に隣り合う板ばね60間の隙間を埋めるように弾性変形する。したがって、車両の走行中に土砂や泥が板ばね60と重ね板ばね用サイレンサ1との間に侵入するのを防止し、板ばね60と重ね板ばね用サイレンサ1との表面が損傷するのを防止でき、これにより、板ばね6と重ね板ばね用サイレンサ1との摺動の際に発生する異音をさらに低減できる。
【0033】
また、本実施の形態では、二枚の板状部材2、3のうち、嵌合部21が形成されている第一の板状部材2に、剛性の高い熱可塑性合成樹脂を用い、第二の板状部材3に、弾性の高いゴムあるいは熱可塑性絵ラストマーを用いるようにしているので、嵌合部21の変形を小さく抑えることができる。このため、隣り合う板ばね60間の相対的な滑りに伴い重ね板ばね用サイレンサ1に応力が加わった場合でも、第一の板状部材2と第二の板状部材3との位置ずれを小さくすることができ、第一の板状部材2と第二の板状部材3との摺動による異音の発生をさらに低減できる。
【0034】
このように、本発明によれば、従来の重ね板ばね用サイレンサを用いた場合に比べて、重ね板ばねの撓みに伴い発生する異音をより効果的に低減することができ、かつ耐久性がより向上した重ね板ばね用サイレンサの構造を提供できる。
【0035】
なお、本実施の形態では、第一、第二の板状部材2、3を円板状にしているが、矩形板状、多角形板状等、その他の形の板状であってもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、第一の板状部材2の上面22に、円柱状の嵌合部21を設けているが、嵌合部21は、第二の板状部材3の嵌合穴31と嵌合することにより、第一の板状部材2と第二の板状部材3とを重ね合わせることができ、かつ第二の板状部材3の上面32から突出部分25が板ばね6と嵌合できるものであれば、どのような形状であってもよい。例えば、楕円柱状であってもよいし、角柱状であってもよい。
【0037】
また、本実施の形態では、熱可塑性合成樹脂で形成された第一の板状部材2と、ゴムあるいは熱可塑性エラストマーで形成された第二の板状部材3とを板厚方向に重ね合わせた二層構造とした場合を例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明は、複数の部材を板厚方向に重ね合わせた積層構造とし、最上層および最下層のうちのいずれか一方の部材が、他方の部材に比べて、弾性率が低く、かつ板ばね60の表面に対する摩擦係数が高い材料で構成されたものであればよい。例えば、他方の部材を樹脂で構成し、一方の部材をエラストマーで構成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:重ね板ばね用サイレンサ、2:第一の板状部材、3:第二の板状部材、6:重ね板ばね、7:ブラケット、8:シャックル、9:車軸、21:嵌合部、22:第一の板状部材2の上面、23:第一の板状部材2の下面、24:嵌合部21の頂面、31:嵌合穴、32:第二の板状部材3の上面、33:第二の板状部材3の下面、60、60a〜60c:板ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね板ばねを構成する複数の板ばねのうちの、隣り合う板ばね間に配置される重ね板ばね用サイレンサであって、
複数の部材を重ね合わせた積層構造を有し、
前記積層構造の最上層および最下層に位置する部材のうち、一方の部材は、他方の部材に比べて、弾性率が低く、かつ摩擦係数が高い材料で構成されている
ことを特徴とする重ね板ばね用サイレンサ。
【請求項2】
請求項1に記載の重ね板ばね用サイレンサであって、
前記一方の部材は、エラストマーで構成され、
前記他方の部材は、樹脂で構成されている
ことを特徴とする重ね板ばね用サイレンサ。
【請求項3】
請求項2に記載の重ね板ばね用サイレンサであって、
前記エラストマーは、ゴムあるいは熱可塑性エラストマーであり、
前記樹脂は、熱可塑性合成樹脂である
ことを特徴とする重ね板ばね用サイレンサ。
【請求項4】
請求項3に記載の重ね板ばね用サイレンサであって、
前記熱可塑性エラストマーは、熱可塑性ポリエステル系エラストマーに脂肪酸と金属石けんとリン酸塩と潤滑油とが配合されたもの、または、熱可塑性ポリエステルエラストマーにシリコン系潤滑剤あるいはテフロン(登録商標)系潤滑剤が配合されたものであり、
前記熱可塑性合成樹脂は、
ポリエチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂のうち、少なくとも一つを含むものである
ことを特徴とする重ね板ばね用サイレンサ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の重ね板ばね用サイレンサであって、
前記複数の部材の厚さの合計が、前記板ばね間の配置位置における、前記重ね板ばねの撓みによる前記板ばね間の隙間の最大値より大きい
ことを特徴とする重ね板ばね用サイレンサ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の重ね板ばね用サイレンサであって、
前記一方の部材には、突起が形成されており、
前記一方の部材を除く前記複数の部材を構成する少なくとも一つの他方の部材には、前記突起と嵌合する嵌合穴が形成されている
ことを特徴とする重ね板ばね用サイレンサ。
【請求項7】
複数の板ばねが重ねて束ねられて構成された重ね板ばねであって、
少なくとも両端部において、前記複数の板ばねのうち、隣り合う板ばね間のそれぞれに、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の重ね板ばね用サイレンサが配置されている
ことを特徴とする重ね板ばね。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−113372(P2013−113372A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260046(P2011−260046)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】