説明

重合プロセス

【課題】反応器壁が劣化せず又は付着物を形成させずに重合が生じ、生成物を改善された形態(組織化構造、即ち、規則的な形状の粒子の割合)を有する乾燥粉末として得る重合プロセス。
【解決手段】少なくとも1つのフッ素化モノマーをラジカル開始剤と界面活性剤の存在下に二酸化炭素を含む重合媒体において重合して、ポリマー生成物を得ることを含む重合プロセスであって、界面活性剤が官能性(ペル)フルオロポリエーテルであり、前記官能性(ペル)フルオロポリエーテルが反復単位(R1)とフッ素以外のヘテロ原子を含む少なくとも1つの官能基を含むポリマーであり、前記反復単位が主鎖に少なくとも1つのエーテル結合と少なくとも1つのフッ素原子(フルオロポリオキシアルケン鎖)を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素においてフルオロポリマーを製造するための改善された重合プロセス、それから製造されたポリマー生成物及びその製品に関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界二酸化炭素におけるポリマーの合成は、フルオロアシルモノマーの均一なフリーラジカル重合を記載した北キャロライン大学からデシモーニの画期的な論文が発表されて以来重要な研究努力の対象であった[J.M. DeSimone et al. Science, 1992, 257, 945]。
このような反応媒体の利用に関連した考えられる利点は、次の通り簡単に纏めることができる。
- 溶媒のポリマーからの分離がより簡単である;
- 拡散制御された重合工程の速度論がより高速である;
- この圧縮性溶媒が連鎖移動反応に不活性であると考えられうるので生成物品質の制御がより良好である。
当該技術の現状では、合成が密度の高いCO2ベースの反応媒体の利用から有意な生成物、プロセス及び安全性の利点を享受することができる巨大分子物質の種類は、フッ素化重合体によって構成される。
【0003】
フルオロポリマーの合成のための従来の経路は、一般的には、水性又は有機連続相を使う不均一重合(乳濁液又は懸濁液)を含んでいる。しかしながら、最近、典型的には従来の重合プロセスの終結で放出される重合廃液の潜在的作用に関して環境的懸念が生じた。特に、重合媒体放出から残存する有機モノマー、界面活性剤及びその他の材料を除去することの難しさがより環境的に適合する代替物を研究するために産業を促進させた。例えば、DeSimone et al.にの米国特許第5,312,882号及び同第5,382,623号には、二酸化炭素を含む連続相の不均一な重合反応を行うことによって水不溶性ポリマーを調製するための方法が提案されている。
【0004】
あらゆる重合媒体において行われる不均一重合が、重合媒体においてモノマー及び/又は成長するポリマー粒子を安定化して不均一系の粒子凝固を阻止する界面活性剤の添加によって改善されることは既知である。DeSimone et al.の米国特許第5,312,882号、同第5,382,623号には、二酸化炭素における不均一重合を安定化するのに有用である一連の界面活性剤が開示されている。これらの界面活性剤は、両親媒性であり、二酸化炭素連続相に可溶性である1つのセグメントと二酸化炭素連続相に不溶性である1つのセグメントをもっている。不均一な重合系において重合される各モノマーのために、重合系の界面活性剤の効率を最適化するために新規の界面活性剤が設計された。
界面活性剤の役割は、ポリマー粒子の沈殿後の凝結を防止して、高界面積高分子ラテックスの形成を生じることでなければならない。
しかし、いままで、フッ素化モノマーの重合のために提唱された界面活性剤はこのような凝結を防止することに成功しなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、環境的に適合する重合系の当該技術においてこのような重合系を安定化することができる化合物が求められている。
ポリマー粒子内部でフリーラジカルのより良好な分散の結果、上述の改良により、ポリマーの形態のより良好な制御、反応器の劣化の減少、より高い生産性がもたらさなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、第1態様として、本発明は、ラジカル開始剤と界面活性剤の存在下に二酸化炭素を含む重合媒体において少なくとも1つのフッ素化モノマーを重合して、ポリマー生成物を得ることを含む重合プロセスであって、界面活性剤が官能性(ペル)フルオロポリエーテルであることを特徴とする、前記プロセスを提供する。
驚くべきことに、有利には、反応器壁が劣化せず又は付着物を形成させずに重合が生じ、生成物が改善された形態(組織化構造、即ち、規則的な形状の粒子の割合)を有する乾燥粉末として得られることが見出された。
有利には、重合媒体において前記フッ素化モノマーを重合すると、重合媒体においてポリマー生成物を含む不均一な反応混合物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書に用いられる用語“ポリマー”は分子量102〜108を有するオリゴマーやポリマーを包含する。また、使われるモノマーの数によっては、ホモポリマーやコポリマーを包含する。
本明細書に用いられる用語“不均一な反応混合物”とは、少なくとも2相を有する反応混合物を意味する。一方の相は、液体を含む“連続相”と呼ばれ、もう一方の相は、ポリマー生成物を含む“分散相”と呼ばれる。
用語“不均一な反応混合物”とは、重合が均一重合を開始する分散重合と重合が不均一な重合を開始する乳化重合双方の生成物を包含するものであり、重合開始剤は、連続相において優先して可溶化される。本明細書に用いられる化合物は、その相により可溶性である場合、1つの相が他の相より“優先して、可溶化”される。
【0008】
本発明の重合媒体は、典型的にまず最初に均一である。即ち、それは1つ又は複数のフッ素化モノマー、開始剤、官能性(ペル)フルオロポリエーテルが可溶化される媒体である。それは、一般的には、重合が進行するにつれて不均一になり、ポリマーが形成される。新たに得られたポリマーは、有利には反応の分散相を形成する。ポリマーは、相間の表面張力を減少させる官能性(ペル)フルオロポリエーテルの存在によって分散相において特に安定化する。
従って、本発明は、好ましくは分散重合によって行われる。分散重合は、1つの相、モノマーと開始剤双方が重合媒体に可溶性であるが得られたポリマーは可溶性でない均一系として開始する。分散重合は、一般的には、Barrett, K.E.J. Dispersion Polymerization in Organic Media; Wiley: London, 1975; and Napper, D.H. Polymer Stabilization of Colloidal Dispersions; Academic Press: London, 1983に記載されている。
結果として、本発明の重合プロセスは、好ましくは均一に開始し、得られた重合体相は、好ましくは一次粒子に分離する。これらの一次粒子は、有利には、粒子のフロキュレーションと凝集を防止することが有利である系に存在する官能性(ペル)フルオロポリエーテルによって安定化される。分散重合によって得られるポリマーコロイドは、通常、水性環境におけるコロイド安定化に共通である静電メカニズムと比較して“立体の”メカニズムによって安定化される。コロイド分散液の立体の安定化は、通常、分散相の表面に吸収される1つ又は複数の界面活性剤によって与えられる。
【0009】
本発明のプロセスにおいて、界面活性剤として用いられる官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、有利には、物理的又は化学的吸着によって粒子に付着する固定セグメントと、連続相に可溶性である安定化部分を含有する両性分子として作用する。
本発明の文脈の中で用いられる用語“フッ素化モノマー”は、少なくとも1つのフッ素原子を含むエチレン系不飽和モノマーであることが理解される。
フッ素化モノマーは、1以上の他のハロゲン原子(Cl、Br、I)を更に含むことができる。フッ素化モノマーが水素原子を含まなければ、ペル(ハロ)フルオロモノマーとして示される。フッ素化モノマーが少なくとも1つの水素原子を含むと、水素含有フッ素化モノマーとして示される。
【0010】
適切なフッ素化モノマーは、特に下記より選ばれる:
- C2-C8ペルフルオロオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP);
- C2-C8水素添加フルオロオレフィン、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、1,2-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン;
- C2-C8ペルハロフルオロモノマー、例えば、クロロトリフルオロエチレン;
- 式CH2=CH-Rf0(Rf0はC1-C6ペルフルオロアルキルである)に対応するペルフルオロアルキルエチレン;
- クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C2-C6フルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン;
- 式CF2=CFORf1 (Rf1はC1-C6フルオロ-又はペルフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7である。)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- CF2=CFOX0(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(X0はC1-C12アルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキル、例えば、ペルフルオロ-2-プロポキシプロピル);
- 式CF2=CFOCF2ORf2 (Rf2はC1-C6フルオロ又はペルフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7、又は1以上のエーテル基を有するC1-C6(ペル)フルオロオキシアルキル、例えば、-C2F5-O-CF3)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF2=CFOY0に対応する官能性(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(Y0は、C1-C12アルキル又は(ペル)フルオロアルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキルであって、Y0はカルボン酸基又はスルホン酸基をその酸、酸ハイライド又は塩の形態で含む);
- フルオロジオキソール、特にペルフルオロジオキソール;
- 及びその混合物。
【0011】
好ましいフッ素化モノマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)及びその混合物からなる群より選ばれるものである。
フッ素化モノマーは、フッ素化モノマーと共重合することができる1以上のコモノマーと組合わせて本発明のプロセスに用いることができる。
コモノマーは、水素添加(即ち、フッ素原子を含まない)又はフッ素化(即ち、少なくとも1つのフッ素原子を含有する)されうる。
適切な水素添加されたコモノマーの限定されない例は、特に、エチレン、プロピレン、ビニルモノマー、例えば、酢酸ビニル、アクリルモノマー、例えば、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、スチレンモノマー、例えば、スチレン、p-メチルスチレンである。
適切なフッ素化コモノマーは、特に、上で記載されたフッ素化モノマーより選ばれる。
更に、架橋及び分枝するコモノマー、例えば、ジビニルベンゼン、ジアクリレート、トリアクリレート、アクリル酸も含めることができる。
フッ素化モノマーは、典型的には、重合媒体の全質量に基づいて1〜70質量パーセントの量で存在する。
【0012】
本発明のプロセスは、以下のポリマーを製造するのに特に適している。
- TFEホモポリマー及びそのコポリマー;
- TFEと、PFA(ペルフルオロプロピルビニルエーテル)、PMVE(ペルフルオロメチルビニルエーテル)、HFP及びエチレンより選ばれた少なくとも1つの他のコモノマーから得られる反復単位を含む溶融処理可能なフルオロポリマー;
- VDFホモポリマー及びそのコポリマー;
- CTFEホモポリマー及びそのコポリマー;
- VDF/HFP、VDF/TFE/HFP、VDF/TFE/PMVE、VDF/TFE/HFP/PMVE、TFE/PMVEに基づくフルオロエラストマー;
- 環状過フッ素化単位を含むアモルファス過フッ素化コポリマー(例えば、米国特許第2002/0177667号に記載されるもの);
-スルホニル基-SO2Fを含むフッ素化単量体単位から得られる反復単位を含む官能基化フルオロポリマー、例えば、米国特許第6,576,100号、米国特許第6,025,092号に記載されるもの。
【0013】
本発明の文脈の中の用語官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、反復単位(R1)とフッ素以外のヘテロ原子を含む少なくとも1つの官能基を含むポリマーであり、前記反復単位が主鎖に少なくとも1つのエーテル結合と少なくとも1つのフッ素原子(フルオロポリオキシアルケン鎖)を含んでいることを意味する。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルの質量平均分子量は、一般的には少なくとも400、好ましくは少なくとも600である。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルの質量平均分子量は、一般的には多くても100 000、好ましくは多くても20 000である。
質量平均分子量は、標準GPC技術に従って測定される。
平均分子量が400〜100 000の官能性(ペル)フルオロポリエーテルによって良好な結果が得られた。
平均分子量が500〜2500の官能性(ペル)フルオロポリエーテルによって優れた結果が得られた。
【0014】
本明細書に用いられる語“官能基”は、有機化学において意図されるその全般的な意味を有し、フルオロポリオキシアルケン鎖の炭素骨格に結合した原子又は原子の組合せを包含し、(ペル)フルオロポリエーテルに比反応性と化学的性質を与える。
好ましくは、官能性(ペル)フルオロポリエーテルの反復単位R1は、
(I) -CFX-O-、ここで、Xは-F又は-CF3である;
(II) -CF2-CFX-O-、ここで、Xは-F又は-CF3である;
(III) -CF2-CF2-CF2-O-;
(IV) -CF2-CF2-CF2-CF2-O-;
(V) -(CF2)j-CFZ-O-、ここで、jは0〜3の整数であり、Zは上記の種類(I)〜(IV)より選ばれた1〜20の反復単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である; 及び
それらの混合物からなる群より選ばれる。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルが異なるタイプの反復単位R1を含むならば、有利には、前記反復単位はフルオロポリオキシアルケン鎖に沿ってランダムに分配される。
【0015】
好ましくは、官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、下記式(I)に対応する化合物である。
T1(CFX)p-O-Rf-(CFX)p'-T2 (I)
(式中、Xは、各々独立してF又はCF3であり;
p、p'は、同じでも異なってもよく、0〜3の整数であり;
Rfは、反復単位R°を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、
前記反復単位は、
(i) -CFXO-、ここでXはF又はCF3である、
(ii) -CF2CFXO-、ここで、XはF又はCF3である、
(iii) -CF2CF2CF2O-、
(iv) -CF2CF2CF2CF2O-、
(v) -(CF2)j-CFZ-O-、ここで、jは0〜3の整数であり、Zは一般式-ORf'T3を有する基であり、
ここで、Rf'は0〜10の反復単位の数を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、前記反復単位は以下: -CFXO-、-CF2CFXO-、-CF2CF2CF2O-、-CF2CF2CF2CF2O-、Xは各々独立してF又はCF3である、より選ばれる; 及び、T3はC1-C3ペルフルオロアルキル基である、及び
それらの混合物からなる群より選ばれ;
同じでも異なってもよいT1、T2の少なくとも1つは、O、S、N、P及びそれらの混合物より選ばれるヘテロ原子を含む官能基であり; 残りのT1又はT2は、もしあれば、H、ハロゲン原子、C1-C30末端基より選ばれる。)
O、S、N、Pヘテロ原子より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含むT1、T2基の適切な例は下記式(II)に対応する基である。
-Aq-E (II)
(式中、AはC1-C20結合基であり; qは0又は1であり; Eは、O、S、N、P及びそれらの混合物より選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含むイオン性基である。)
【0016】
二価のC1-C20結合基Aは、好ましくは以下の種類より選ばれる。
1) アルキレン鎖にヘテロ原子を任意に含有していてもよい、置換又は非置換の直鎖C1-C20アルキレン鎖; 好ましくは式-(CH2)m- (mは1〜20の整数である)の直鎖脂肪族基;
2) アルキレン鎖又は環にヘテロ原子を任意に含有していてもよい、(アルキレン)シクロ脂肪族C1-C20基又は(アルキレン)芳香族C1-C20基;
3) 特に-CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、-(CH2)3O-、-(CH2)4O-より選ばれる反復単位を含む、直鎖又は分枝鎖ポリアルキレンオキシ鎖;
4) カルボニル基-C(O)-; 及び
それらの混合物。
【0017】
イオン性基Eの制限されない例は、特に-OPO(OH)2、NR"4)X" (X"はヒドロキシル又はハロゲン原子であり、R"は各々独立して水素原子又はC1-C20アルキル基である。)、-SO3)wX'及び/又はCOO)wX' (ここで、X'は、式NR"4のアルカリ金属又はアルカリ金属土類金属又はアンモニア塩であり、R"は各々独立して水素原子又はC1-C20アルキル基であり、wは中性を満たす1又は2である。)である。
O、S、N、Pヘテロ原子を含まない、T1又はT2非官能基の適切な例は、特に-H、-F、-Cl、-CF3、-C2F5、-CF2Cl、-CF2CF2Clである。
より好ましくは、本発明に適している官能性(ペル)フルオロポリエーテルは下記からなる群より選ばれる。
(a) [X(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]M、Xはハロゲン、好ましくはCl又はFであり、Mは一価のカチオン、例えば、H+、Na+、Li+、K+、NH4+であり、nは2〜10、好ましくは2〜6の範囲にある整数である;
(b) [X-(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]2M"、Xはハロゲン、好ましくはCl又はFであり、M"は二価のカチオン、例えば、Ca++、Mg++、Zn++であり、nは2〜10、好ましくは2〜6の範囲にある整数である;
(c) (HO)2OPO-CH2CF2O-(CF2CF2O)m'(CF2O)n'-CF2CH2OPO(OH)2、m'、n'は整数であり、m'/n'比は、一般的には0.1〜10、好ましくは0.2〜5の範囲にあり、及び合計m'+n'は2〜10、好ましくは2〜6の範囲にある。
【0018】
上記式(a)(M = NH4+)の(ペル)フルオロポリエーテル、上記(b)(M"= Ca)によって良好な結果が得られた。
本発明の官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、特に、米国特許第3,665,041号に記載されているように、ペル(ハロ)フルオロモノマーの光開始酸化重合(光酸化反応)によって製造することができる。典型的には、(ペル)フルオロポリエーテル構造は、ヘキサフルオロプロピレン及び/又はテトラフルオロエチレンと酸素とを低温、一般的には40℃未満でU.V.照射下3 000オングストローム未満の波長(λ)で合わせることによって得ることができる。米国特許第3,847,978号、同第3,810,874号に記載されているように、続いての末端基の変換は、特に、光酸化反応からの粗生成物に行われる。
上記のように種類(a)、(b)、(c)の官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、特にFLUOROLINK(登録商標)としてSolvay Solexis S.p.A.から利用できる。
【0019】
驚くべきことに、界面活性剤としての官能性(ペル)フルオロポリエーテルの使用は、有利には、反応器壁をほとんど劣化せずにCO2を含む媒体において1つ又は複数のフッ素化モノマーを重合することを可能にすることが見いだされた。洗浄並びにオンライン時間の維持及び増加による圧力容器の運転停止を短縮させるので、劣化の回避は大きな利点である。
更に、1つ又は複数のフッ素化モノマーを含むCO2を含んでいる媒体において得られた1つ又は複数のフッ素化モノマーのポリマー生成物は、有利には、改善された形態を有する。規則的な形状粒子の部分がかなり増加し、その取り扱いがより簡単になることを可能にする。従って、球形のポリマー粒子が得られたが、海綿状ポリマー部分はかなり減少し、抑制さえもした。
本発明によるプロセスに適しているラジカル開始剤は、重合を開始及び/又は加速することができる化合物である。
開始剤は、有利には、重合媒体の0.001〜20質量パーセントの範囲にある濃度で含まれる。
【0020】
当業者は、重合媒体に可溶である多くの開始剤に明るい。有機フリーラジカル開始剤が好ましく、以下を含んでいるが、これらに限定されない。アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド; ジアセチルペルオキシジカーボネート; ジアルキルペルオキシジカーボネート、例えば、ジエチルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート; tert-ブチルペルネオデカノエート; 2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4ジメチルバレロニトリル; tert-ブチルペルピバレート; ジオクタノイルペルオキシド; ジラウロイルペルオキシド; 2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル); tert-ブチルアゾ-2-シアノブタン; ジベンゾイルペルオキシド; tert-ブチル-ペル-2エチルヘキサノエート; tert-ブチルペルマレエート; 2,2'-アゾビス(イソブチロニトリル); ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン; tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート; tert-ブチルペルアセテート; 2,2'-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン; ジクミルペルオキシド; ジ-tert-アミルペルオキシド; ジ-tert-ブチルペルオキシド; p-メタンヒドロペルオキシド; ピナンヒドロペルオキシド; クメンヒドロペルオキシド; tert-ブチルヒドロペルオキシド。
【0021】
他の適切な開始剤としては、クロロカーボンをベースにした、また、フルオロカーボンをベースにしたアシルペルオキシド、例えば、トリクロロアセチルペルオキシド、ビス(ペルフルオロ-2-プロポキシプロピオニル)ペルオキシド、[CF3CF2CF2OCF(CF3)COO]2、ペルフルオロプロピオニルペルオキシド、(CF3CF2CF2COO)2、(CF3CF2COO)2、{(CF3CF2CF2)-[CF(CF3)CF2O]m-CF(CF3)-COO}2 (m= 0-8)、[ClCF2(CF2)nCOO]2、[HCF2(CF2)nCOO]2 (n= 0-8); ペルフルオロアルキルアゾ化合物、例えば、ペルフルオロアゾイソプロパン、[(CF3)2CFN=]2、R*N=NR*、ここで、R*は、炭素原子1-8個を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロカーボン基である; 安定な又はヒンダードペルフルオロアルカンラジカル、例えば、ヘキサフルオロプロピレントリマーラジカル、[(CF3)2CF]2(CF2CF2)Cラジカル、ペルフルオロアルカンのようなハロゲン化フリーラジカル開始剤が含まれる。
レドックス対を形成する少なくとも2つの成分を含むレドックス系、例えば、ジメチルアニリン-ベンゾイルペルオキシド、ジエチルアニリン-ベンゾイルペルオキシド、ジフェニルアミン-ベンゾイルペルオキシドもまた、重合を開始するために用いることができる。
【0022】
本発明のプロセスにおいて、フッ素化モノマーがTFEを含むならば、重合開始剤として、米国特許第6,822,060号に記載されているようにハロゲン酸塩と亜硫酸塩の組合せ又は米国特許第4,654,406号に記載されているようにCe(IV)塩/シュウ酸の組合せ又は米国特許第4,766,188号に記載されているようにジコハク酸ペルオキシド(DSAP)と亜硫酸アンモニウム(AMS)の組合せを含むレドックス重合開始剤が特に使用されうる。
上述したハロゲン酸塩は、一般式YXO3 (式中、Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、Yは水素原子、アンモニウム基、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。)で表される。上述した亜硫酸塩は、一般式Z'2SO3 (式中、Zはアンモニウム基、アルカリ金属である。)又はZ"SO3(式中、Z"はアルカリ土類金属である。)で表される。TFEのためのこのようなレドックスラジカル開始剤の中で、臭素酸塩と亜硫酸塩の組合せを含むレドックス重合開始剤が好ましく、臭素酸カリウムと亜硫酸アンモニウムの組合せを含むレドックス重合開始剤が最も好ましい。
【0023】
前記レドックス重合開始剤が使われる場合、双方の成分は、同時に又は連続して反応容器に添加することができる。いずれか一方を反応容器に前もって充填し、その後、もう一方を重合の間に断続して又は連続して添加することも好ましい。
フッ素化モノマーがフッ化ビニリデンを含むならば、好ましい開始剤は、上記のジアルキルペルオキシジカーボネートである。ジエチルペルオキシジカーボネートによって優れた結果が得られた。
重合は、また、鎖レギュレータ又は他の重合添加剤、例えば、懸濁剤、防汚剤等の存在下に行うことができる。
鎖レギュレータが用いられる場合、これは通常の量で使われる。更に具体的には、鎖レギュレータは、使われる1つ又は複数のフッ素化モノマーに対して、一般的には約0.5〜5質量%の量で用いられる。鎖レギュレータは、重合の開始時に全て、そうでなければ、重合の間に少しづつ又は連続して使うことができる。
本発明の重合媒体は、二酸化炭素を含んでいる。二酸化炭素は、液体、蒸気又は超臨界相で使うことができる。
【0024】
好ましくは、二酸化炭素は、液体又は超臨界相である。本明細書に用いられ“超臨界”とは、液状媒体が圧力によって液化されることができない充分に高い温度であることを意味する。二酸化炭素の熱力学的性質は、Hyatt, J. Ors. Chem. 49:50975101 (1984)に報告され、その中に、二酸化炭素の臨界温度が約31℃であることが述べられている。
反応温度は、有利には、重合を開始し成長させるのに充分な熱エネルギーを与えるように選ばれなければならない。重合温度は、一般的には-50℃、好ましくは-20℃、特に好ましくは0℃を超える。温度は、通常200℃未満、好ましくは175℃未満、特に好ましくは150℃未満、最も好ましくは100℃未満である。
超臨界二酸化炭素によって重合を行う利点は、特に、液体の圧力を変えることによって簡単に操作される超臨界相の溶媒強度の傾向から生じる。
重合圧は、一般的には5バール、好ましくは35バール、特に好ましくは40バールを超える。重合圧は、通常は3000バール未満、好ましくは1000バール未満、特に好ましくは700バール未満、最も好ましくは500バール未満である。
超臨界二酸化炭素の使用は、特に、溶媒温度又は組成(即ち、共溶媒を含む)を変えずに、単に圧力を変化させることによって、最終生成物の粒径、分布、他の態様にかなり影響するように重合を行うことを可能にする。
【0025】
本発明の重合プロセスは、当業者に知られている装置や条件を用いて行うことができる。
一般に、本発明の重合プロセスは、ブレード又は軸スターラ又はインペラを備えた撹拌槽反応容器において又は循環手段(遠心ポンプ、アキシャルポンプ、インペラ等)を備えたループ反応器において行われる。
重合プロセスは、あらゆる適切な高圧容器においてバッチ式で又は連続して反応物(即ち、1つのモノマー又は複数のモノマー、官能性(ペル)フルオロポリエーテル、開始剤)を完全に混合して行うことができる。
特に、連続又は半バッチ式反応器を使うと、ポリマー組成物や組成物分布を制御するのに有用であることができ、また、異なる反応性をもつ2つのモノマーの共重合に有用であることができることが見いだされた。
【0026】
典型的には、重合は、反応容器に1つ又は複数のフッ素化モノマー、官能性(ペル)フルオロポリエーテル、開始剤、及び二酸化炭素を充填し、反応容器を密閉し、反応混合物を適切な温度と圧力にすることにより行うことができる。
1つ又は複数のフッ素化モノマー、開始剤、官能性(ペル)フルオロポリエーテルが使われる方法は、重要ではない。
1つ又は複数のフッ素化モノマーは、重合の開始時に全て使うことができ、そうでなければ、1つ又は複数のフッ素化モノマーの一部を重合の開始時に、残りを重合の間に添加することができる。同様に、官能性(ペル)フルオロポリエーテルを、重合の開始時に全て使うことができ、そうでなければ、官能性(ペル)フルオロポリエーテルの一部を重合の開始時に、残りを重合の間に添加することができる。
好ましくは、本発明によるプロセスにおいて、1つ又は複数のフッ素化モノマー及び官能性(ペル)フルオロポリエーテルの少なくとも一部は、重合の開始時に導入される。
重合の開始時に、また、重合の間に、導入される官能性(ペル)フルオロポリエーテルと1つ又は複数のフッ素化モノマーとの質量比は、有利には0.25〜25%、好ましくは0.5〜20%、特に好ましくは1〜15%の範囲にある。
重合開始時に、また、重合の間に導入される官能性(ペル)フルオロポリエーテルと1つ又は複数のフッ素化モノマーとの重量比2.5〜10%によって優れた結果が得られた。
【0027】
典型的には、混合物は約2〜24時間で重合することができ、好ましくは、反応が進行するにつれて撹拌される。重合の終了時に、ポリマーは、重合媒体のガス抜きのような方法によって又は分留によって集められることができる。分離後、ポリマーは従来の手段によって集めることができる。
本発明の実施態様によれば、本発明のプロセスは、ポリマー生成物を精製するための精製工程を更に含んでいる。この精製工程は、有利には、ポリマー生成物から官能性(ペル)フルオロポリエーテルを回収することを可能にする。
有利には、精製工程は、抽出媒体として二酸化炭素を用いた超臨界流体抽出法によって行うことができる。
抽出は、特に、バッチ、連続又は半連続条件で行うことができる。
好ましくは、抽出は、半連続条件で、適切な抽出デバイスに保持されたポリマー生成物と二酸化炭素の連続流とを接触させることによって行われる。
抽出は、有利には少なくとも20バール、好ましくは少なくとも30バール、より好ましくは少なくとも50バールの圧力で行われる。抽出は、有利には多くても350バール、好ましくは多くても300バール、より好ましくは多くても250バールの圧力で行われる。
抽出は、有利には少なくとも20℃、好ましくは少なくとも-15℃、より好ましくは少なくとも0℃の温度で行われる。抽出は、有利には最高でも100℃、好ましくは最高でも85℃、より好ましくは最高では75℃の温度で行われる。
抽出時間は、有利には少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間、また、有利には多くても300分間、好ましくは多くても240分間、より好ましくは多くても120分間である。
【0028】
更に、本発明の目的は、上記のプロセスから得られたポリマーである。
本発明から得られたポリマーは、パイプ、可撓性ケーブル被覆、バルブ、接合部、びん、フィルム、コーティング、繊維、複合材料のためのマトリックスのような成形品を形成するために使用しうる。
更に、本発明の目的は、上記のプロセスから得られたポリマーを含むパイプ、可撓性ケーブル被覆、バルブ、接合部、びん、フィルム、コーティング、繊維、複合材料のためのマトリックスのような成形品である。
本発明のいくつかの実施例を以下に示す。それは、単に例示するためであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0029】
材料
フッ化ビニリデンモノマー(VDF)は、Solvay Solexis S.p.Aから市販されている。
二酸化炭素は、Air Liquidから販売され、少なくとも99.998%の純度を有する。
ジエチルペルオキシジカーボネート(DEPDC)開始剤は、溶媒として水を用い、ペルオキシジカーボネートをFREON(登録商標)113に抽出する、F. Strain et al., J. Am. Chem. Soc., 1950, 72, 1254に記載される手順に従って合成した。溶液における活性ペルオキシドの濃度は、ASTM方法E 298-91によるヨウ素滴定法によって求めた。開始剤溶液の全ての操作は、0℃で行い、最終保存液は、-22℃の暗所で保存した。
官能性(ペル)フルオロポリエーテルは、Solvay Solexisから入手した。それらの構造と基本的な化学的性質を、以下の表1に纏める。
【0030】
【表1】

(*) Mwは、標準法に従ってGPCで測定された。
【0031】
重合
重合は、AISI 316所定容積(完全に組み立てられたセットアップでの27ml)のバッチ反応容器で行い、磁気棒によって撹拌し、自動温度制御システムに挿入した。
界面活性剤と開始剤の適当な量を、後者はフレオン113の液溶体の形で、反応容器に充填し、次に、前記容器を、空気と揮発性フレオン113を除去する少なくとも20分間維持されるCO2の制御された流速でパージした。反応器を密封した後に、液体VDFとCO2を、2台の異なるISCOシリンジポンプを用いて室温で添加した。導入された溶媒とモノマーの合計量を測定し、電子式上皿天秤(Sartorius、最大8kg、精度: 0.01g)で重合混合物の名目密度の目標値に達するまで(反応器の自由容積に対するCO2とVDFの全質量の比として簡単に計算される)容器の重さを計った。次に、容器を温度制御システムに挿入し、反応温度(50℃)まで加熱した。セットアップ温度に達する時間間隔は、各実験においておよそ30分であった。反応媒体のプレポリマー化処理に具体的な注意は払わなかった。
重合の終わりに、反応器を室温に冷却した。テトラヒドロフラン充填バルブにガスを吹き込むことによって未反応VDFとCO2を徐々に排出して流体ストリームによって伴出される固体重合体をトラップした。
集めたポリマーを、エタノールにより室温で2回洗浄し、更に処理せずに乾燥雰囲気で保存した。
【0032】
ポリマー評価
ポリマー収量を、質量測定的に求めた。
粒子形態を分析し、フィリップス走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮像した。試料を、200オングストロームの厚みに金でスパッタ被覆した。
ポリマー試料における組織化構造(ウォーム状粒子や球状粒子)の割合を、SEM顕微鏡観察と画像認識によって分析される少なくとも5つの検査材料の試料の総面積に関してこのような組織化構造の表面積を測定することによって求めた。可能な場合、顕微鏡写真の像解析のためのソフトウェアによって少なくとも100個の粒子の直径(Di)を測定することによって粒度分布を評価し、次に、数平均粒子サイズ(Dn)と粒度分布(Dw/Dn)を、A. Galia et al., J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 2004, 42, 173に記載される方法に従って求めた。
重合実験からの結果を、以下の表2に纏める。
【0033】
【表2】

DEPDC濃度:5.5mM;T = 50℃; 反応時間= 180分; (*1)VDFモノマーの質量に基づく; (*)初期濃度; (§)ポリマー試料における組織化構造(ウォーム状粒子や球状粒子)の割合; (*2)組織化構造の割合は、Dnの意味がある評価をもつには低すぎた。
【0034】
反応器壁上の劣化は、実験1〜6には認められなかった。
界面活性剤の抽出
抽出装置、制御装置、ポンプ、圧力デシケータ、トラップ、流速計からなる抽出システムを用いて上記のように実験2と5で得られたポリマー試料(官能性(ペル)フルオロポリエーテルの5%wtを含む)を超臨界流体抽出にかけた。試料(約1g)を、抽出装置内のステンレス鋼カートリッジ(内容積= 2.5ml)に入れ、超臨界二酸化炭素を、約50Ncm3/minの流速で20〜50℃の範囲にある温度で90〜250バールの圧力で少なくとも50分の抽出時間、前記抽出装置に通過させた。
抽出プロセスの効率を、有利には、以下の式に従って質量測定的に算出されうる。
効率(%)=(回収した界面活性剤/全界面活性剤含量)×100
結果を以下の表に纏める。
【0035】
表3
官能性(ペル)フルオロポリエーテルFLK 7004 Aを含有する試料からの抽出(超臨界二酸化炭素、流速= 50 Ncm3/min、抽出時間= 95分)
【表3】

【0036】
表4
官能性(ペル)フルオロポリエーテルFLK 7850 Aを含有する試料から抽出
(超臨界二酸化炭素、流速= 50 Ncm3/min、抽出時間= 120分)
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】官能性(ペル)フルオロエーテル界面活性剤の非存在下に超臨界二酸化炭素において合成したPVDFを示すSEM顕微鏡写真である。
【図2】官能性(ペル)フルオロエーテル界面活性剤としてFLK Caの存在下に、実験1に従って超臨界二酸化炭素において合成したPVDFを示すSEM顕微鏡写真である。
【図3】官能性(ペル)フルオロエーテル界面活性剤としてFLK 7004Aの存在下に、実験2に従って超臨界二酸化炭素において合成したPVDFを示すSEM顕微鏡写真である。
【図4】官能性(ペル)フルオロエーテル界面活性剤としてFLK 7004Aの存在下に実験3に従って超臨界二酸化炭素において合成したPVDFを示すSEM顕微鏡写真である。
【図5(a)】官能性(ペル)フルオロエーテル界面活性剤としてFLK 7850の存在下に実験5に従って超臨界二酸化炭素において合成したPVDFの2つの異なる検査材料のうち一方を示すSEM顕微鏡写真である。
【図5(b)】官能性(ペル)フルオロエーテル界面活性剤としてFLK 7850の存在下に実験5に従って超臨界二酸化炭素において合成したPVDFの2つの異なる検査材料のうち他方を示すSEM顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフッ素化モノマーをラジカル開始剤と界面活性剤の存在下に二酸化炭素を含む重合媒体において重合して、ポリマー生成物を得ることを含む重合プロセスであって、界面活性剤が官能性(ペル)フルオロポリエーテルであり、前記官能性(ペル)フルオロポリエーテルが反復単位(R1)とフッ素以外のヘテロ原子を含む少なくとも1つの官能基を含むポリマーであり、前記反復単位が主鎖に少なくとも1つのエーテル結合と少なくとも1つのフッ素原子(フルオロポリオキシアルケン鎖)を含むことを特徴とする、前記重合プロセス。
【請求項2】
重合媒体においてポリマー生成物を含む不均一な反応混合物を得ることを特徴とする、請求項1記載の重合プロセス。
【請求項3】
フッ素化モノマーが、
- C2-C8ペルフルオロオレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP);
- C2-C8水素添加フルオロオレフィン、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、1,2-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン;
- C2-C8ペルハロフルオロモノマー、例えば、クロロトリフルオロエチレン;
- 式CH2=CH-Rf0(Rf0はC1-C6ペルフルオロアルキルである)に対応するペルフルオロアルキルエチレン;
- クロロ-及び/又はブロモ-及び/又はヨード-C2-C6フルオロオレフィン、例えば、クロロトリフルオロエチレン;
- 式CF2=CFORf1 (Rf1はC1-C6フルオロ-又はペルフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7である。)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- CF2=CFOX0(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(X0はC1-C12アルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキル、例えば、ペルフルオロ-2-プロポキシプロピル);
- 式CF2=CFOCF2ORf2 (Rf2はC1-C6フルオロ又はペルフルオロアルキル、例えば、CF3、C2F5、C3F7、又は1以上のエーテル基を有するC1-C6(ペル)フルオロオキシアルキル、例えば、-C2F5-O-CF3)に対応する(ペル)フルオロアルキルビニルエーテル;
- 式CF2=CFOY0に対応する官能性(ペル)フルオロオキシアルキルビニルエーテル(Y0は、C1-C12アルキル又は(ペル)フルオロアルキル、又はC1-C12オキシアルキル、又は1以上のエーテル基を有するC1-C12(ペル)フルオロオキシアルキルであって、Y0はカルボン酸基又はスルホン酸基をその酸、酸ハイライド又は塩の形態で含む);
- フルオロジオキソール、特にペルフルオロジオキソール;
- 及びその混合物
より選ばれることを特徴とする、請求項1又は2記載の重合プロセス。
【請求項4】
フッ素化モノマーが、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)及びそれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項3記載の重合プロセス。
【請求項5】
官能性(ペル)フルオロポリエーテルの質量平均分子量が400〜100000からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合プロセス。
【請求項6】
官能性(ペル)フルオロポリエーテルの反復単位R1が、
(I) CFX-O-、ここでXはF又はCF3である、
(II) -CF2-CFX-O-、ここで、XはF又はCF3である、
(III) -CF2-CF2-CF2-O-、
(IV) -CF2-CF2-CF2-CF2-O-、
(V) −(CF2)j-CFZ-O-、ここで、jは0〜3の整数であり、Zは上記種類(I)〜(IV)より選ばれる1〜20の反復単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖である、及び
それらの混合物
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合プロセス。
【請求項7】
官能性(ペル)フルオロポリエーテルが、
(a) [X(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]M、Xはハロゲン、Mは一価のカチオン、例えば、H+、Na+、Li+、K+、NH4+であり、nは2〜10の範囲にある整数である;
(b) [X-(CF2CF(CF3)O)nCF2COO-]2M"、Xはハロゲン、M"は二価のカチオン、例えば、Ca++、Mg++、Zn++であり、nは2〜10の範囲にある整数である;
(c) (HO)2OPO-CH2CF2O-(CF2CF2O)m'(CF2O)n'-CF2CH2OPO(OH)2、m'、n'は整数であり、m'/n'比は一般的には0.1〜10の範囲にあり、及び合計m'+n'は2〜10の範囲にある
からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項6記載の重合プロセス。
【請求項8】
フッ素化モノマーがフッ化ビニリデンを含み、ラジカル開始剤がジアルキルペルオキシジカーボネート、例えば、ジエチルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネートであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の重合プロセス。
【請求項9】
ポリマー生成物を精製するための精製工程を更に含んでいる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の重合プロセス。
【請求項10】
精製工程が、抽出媒体として二酸化炭素を用いた超臨界流体抽出によって行われることを特徴とする、請求項9記載の重合プロセス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロセスから得られたポリマーを含むパイプ、可撓性ケーブル被覆、バルブ、接合部、びん、フィルム、コーティング、繊維、複合材料のためのマトリックスのような成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【公開番号】特開2007−16242(P2007−16242A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−213846(P2006−213846)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(505015750)ソルヴェイ ソレクシス ソチエタ ペル アチオニ (4)
【Fターム(参考)】