説明

重合体、高分子組成物、紫外線吸収剤、塗料及び樹脂成形物

【課題】優れた耐光性と、樹脂との高い相溶性を有し、樹脂に添加した場合に長期の光曝露による樹脂の劣化と、それ自体のブリードアウトを効果的に抑制することができる紫外線吸収剤として有用な重合体を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を有することを特徴とする重合体。


[R1a〜R1pの少なくとも1つは、重合性基を有する。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアジン系化合物を構造単位として有する新規な重合体、それを用いた高分子組成物、紫外線吸収剤、塗料及び樹脂成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から紫外線吸収剤を種々の樹脂などと共用して紫外線吸収性を付与することが行われている。紫外線吸収剤として無機系紫外線吸収剤と有機系紫外線吸収剤を用いる場合がある。無機系紫外線吸収剤(例えば、特許文献1〜3等を参照。)では、耐候性や耐熱性などの耐久性に優れている反面、吸収波長が化合物のバンドギャップによって決定されるため選択の自由度が少なく、400nm付近の長波紫外線(UV−A)領域まで吸収できるものはなく、長波紫外線を吸収するものは可視域まで吸収を有するため着色を伴ってしまう。
これに対して、有機紫外線吸収剤は、吸収剤の構造設計の自由度が高いために、吸収剤の構造を工夫することによって様々な吸収波長のものを得ることができる。
【0003】
これまでにも様々な有機系紫外線吸収剤を用いた系が検討されており、特許文献4にはトリアゾール系の紫外線吸収剤が開示されている。特許文献5には特定の位置にアルコキシ基及びヒドロキシ基を有するトリスアリール−s−トリアジンが記載されている。しかし、極大吸収波長が長波紫外線領域にあるものは耐光性が悪く、紫外線遮蔽効果が時間とともに減少していってしまう。
また、これらの有機系紫外線吸収剤は、低分子化合物であることから、樹脂などの高分子化合物との相溶性には限界があるため、例えば高い紫外線遮蔽効果を得るために高濃度に添加した場合には、紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じるという問題があった。
特許文献6にはポリマー状ネットワークの架橋剤として、トリアジンUV吸収剤が記載されている。特許文献7にはヒドロキシフェニルトリアジン化合物を含むUV吸収剤組成物が記載されている。
【0004】
更に近年開発の進む太陽電池等に適用される材料は、屋外で長時間太陽光の下に曝すことが必要であり、長期経時での紫外線の暴露により、その性質が劣化することは避けられなかった。このため、UV−A領域まで遮蔽効果を示し、かつこれまで以上の耐光性に優れた紫外線吸収剤として使用し得る化合物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−339033号公報
【特許文献2】特開平5−345639号公報
【特許文献3】特開平6−56466号公報
【特許文献4】特表2002−524452号公報
【特許文献5】特許第3965631号公報
【特許文献6】特表2005−510611号公報
【特許文献7】特表2005−532273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた耐光性と、樹脂との高い相溶性を有し、樹脂に添加した場合に長期の光曝露による樹脂の劣化と、それ自体のブリードアウトを効果的に抑制することができる紫外線吸収剤として有用な重合体を提供することにある。また、該重合体を用いた高分子組成物、紫外線吸収剤、塗料、樹脂成形物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するトリアジン系化合物を、単量体として用いた重合体が、優れた耐光性と、樹脂との高い相溶性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
〔1〕
一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を有することを特徴とする重合体。
【化1】

[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1f、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1a〜R1pの少なくとも1つは、重合性基を有する。]
〔2〕
1a、R1b、R1c、R1d及びR1eのいずれか少なくとも1つがCOOR1qであることを特徴とする〔1〕に記載の重合体[R1qは、重合性基を有する置換基を表す。]。
〔3〕
1cがCOOR1qであることを特徴とする〔2〕に記載の重合体。
〔4〕
1qの重合性基が、アクリル基又はメタクリル基であることを特徴とする〔2〕又は〔3〕に記載の重合体。
〔5〕
1fがOHであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の重合体。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の重合体を含むことを特徴とする高分子組成物。
〔7〕
〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の重合体を含むことを特徴とする紫外線吸収剤。
〔8〕
〔7〕に記載の紫外線吸収剤を含むことを特徴とする塗料。
〔9〕
〔7〕に記載の紫外線吸収剤を含むことを特徴とする樹脂成形物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた耐光性と、樹脂との高い相溶性を有し、樹脂に添加した場合に長期の光曝露による樹脂の劣化と、それ自体のブリードアウトを効果的に抑制することができる紫外線吸収剤として有用な重合体を提供することができる。また、該重合体を用いることによって、高い光安定性を有する高分子組成物、紫外線吸収剤、塗料、及び樹脂成形物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値、及び重合性基について説明する。
【0011】
(ハメットの置換基定数σp値)
ハメット則はベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。本発明にかかる化合物はベンゼン誘導体ではないが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明においては今後、σp値をこのような意味で使用する。
【0012】
(重合性基)
本発明において、重合性基とは、光照射、放射線照射、加熱、ラジカル開始剤の使用等により重合性成分を重合させ得る置換基をいうものとする。ラジカル重合を用いる場合は、その重合性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、スチリル基、ビニル基などの不飽和結合を有する官能基が挙げられる。カチオン重合を用いる場合は、その重合性基としては、オキシラン基、オキセタン基などが挙げられる。暗反応が進行しないという点で、ラジカル重合性基が好ましい。
【0013】
〔一般式(1)で表される単量体〕
本発明は下記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を有することを特徴とする重合体である。
【0014】
【化2】

【0015】
[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1f、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1a〜R1pの少なくとも1つは、重合性基を有する。]
【0016】
1a、R1b、R1c、R1d、R1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。
1a、R1b、R1c、R1d、R1eが表す置換基のうち1〜3個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことが好ましく、1〜2個がハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
また、R1a、R1c、R1eのうち少なくとも1つが、ハメット則のσp値が正である置換基を表すことが好ましく、R1cがハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましい。
1cがハメット則のσp値が正である置換基であり、R1a、R1b、R1d、R1eは水素原子を表すことがより好ましい。
1cがハメット則のσp値が正である置換基を表す場合、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、耐光性が向上するため好ましい。
【0017】
前記一般式(1)における1価の置換基(以下Aとする)としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、置換スルホアミノ基)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換又は無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、チオシアネート基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、炭素数6〜20のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。
また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。その際、置換基の例としては、上述の1価の置換基Aを挙げることができる。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
【0018】
置換基同士で結合して形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、シロール環、ゲルモール環、ホスホール環等が挙げられる。
【0019】
前記一般式(1)における1価の置換基としては、ハロゲン原子、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、カルボキシル基、置換又は無置換のアルコキシカルボニル基、置換又は無置換のカルバモイル基、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基、ヒドロキシ基、OR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、置換又は無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換又は無置換のアリールオキシ基、置換又は無置換のスルファモイル基、チオシアネート基、又は置換又は無置換のアルキルスルホニル基が好ましく、OR、アルキル基、アミド基がより好ましく、OR、アルキル基が更に好ましい。
は、水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基を表すことが好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基が更に好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、t−ヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、i−オクチルを挙げることができ、メチル又はエチルが好ましく、メチルが特に好ましい。
【0020】
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、好ましくは、σ値が0.1〜1.2の電子求引性基である。σ値が0.1以上の電子求引性基の具体例としては、COOR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、CONR(Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。)、CN、ハロゲン原子、NO、SOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、アシル基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルボキシ基(又はその塩)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基(例えばCF)、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σ値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基などが挙げられる。ハメットのσp値については、Hansch,C.;Leo,A.;Taft,R.W.Chem.Rev.1991,91,165−195に詳しく記載されている。
【0021】
前記一般式(1)におけるハメット則のσp値が正である置換基として、より好ましくは、COOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、SOMである[R、Rは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す]。この中でもCOOR又はCNがより好ましく、COOR、であることが更に好ましい。優れた耐光性と溶解性を有するためである。
としては水素原子又は1価の置換基を表し、1価の置換基としては前記置換基Aを挙げることができる。中でも炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基がより好ましい。炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−ヘキシル基、t−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、i−オクチル基を挙げることができ、メチル基はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0022】
前記一般式(1)で表される化合物において、R1cがCOOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、SOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)のいずれかであることが好ましく、COOR又はCNよりが好ましく、CNが更に好ましい。
【0023】
また、R1a、R1b、R1c、R1d、R1eが重合性基を有する場合、重合性基の数は特に限定されないが、1つであることが好ましく、R1a、R1b、R1c、R1d又はR1eがCOOR1q(R1qは、重合性基を有する置換基を表す。)であることが好ましい。なかでも、R1cがCOOR1qであることがより好ましい。電子吸引性基により耐光性が向上するとともに、樹脂への相溶性が向上するためである。
1qの重合性基は特に限定されないが、ラジカル重合反応性基であることが好ましい。
【0024】
ラジカル重合性反応性基としては、下記一般式(a4−1)で表される構造が好ましい。
【0025】
【化3】

【0026】
一般式(a4−1)中、R41〜R43は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。一般式(a4−1)中、Yは、単結合、又は、−CO−、−O−、−NH−、二価の脂肪族基、二価の芳香族基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。組み合わせからなるYの具体例を以下に挙げる。なお、下記例において左側が主鎖に結合し、右側がエチレン性不飽和結合に結合する。
【0027】
L19:−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
L20:−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L23:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L24:−二価の脂肪族基−O−CO−
L25:−CO−NH−二価の芳香族基−O−CO−
L26:−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L27:−二価の芳香族基−O−CO−
L28:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L29:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L30:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−
L31:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の脂肪族基−O−CO−
L32:−CO−O−二価の脂肪族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L33:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L34:−CO−O−二価の芳香族基−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−
L35:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−二価の芳香族基−O−CO−
L36:−CO−O−二価の芳香族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
L37:−CO−O−二価の脂肪族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
L38:−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−NH−二価の脂肪族基−O−CO−
上記の二価の脂肪族基は炭素数1〜6の脂肪族基が好ましく、炭素数1〜4の脂肪族基がより好ましい。二価の芳香族基としてはフェニレン、ナフチレンが好ましく、フェニレンが好ましい。 ラジカル重合性反応性基としては、上述した中でも、アクリル基、メタクリル基、又はアクリルアミド基が好ましく、アクリル基又はメタクリル基であることがより好ましい。
【0028】
本発明において、R1f、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが1価の置換基を表す場合は、R1f、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことがより好ましく、R1g、R1h、R1i及びR1jのうち少なくとも1つが、前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことがより好ましく、R1hが前記ハメット則のσp値が正である置換基を表すことが更に好ましい。R1c及びR1hが前記ハメット則のσp値が正(好ましくは0.1〜1.2)である置換基を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を有するためである。
本発明において、長波長領域まで吸収領域を広げ、かつεを大きくすることで紫外線の遮蔽効果を大きくするため、R1fがOHであることが好ましい。また、R1h又はR1nがそれぞれ独立に水素原子、COOR、CONR、CN、CF、ハロゲン原子、NO、SOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)のいずれかであることが好ましく、R1h又はR1nが水素原子であることがより好ましく、R1h及びR1nが水素原子であることが更に好ましく、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pが水素原子を表すことが特に好ましい。優れた耐光性を示すためである。
【0029】
本発明において、R1a〜R1pの少なくとも1つは重合性基を有する。
前記一般式(1)で表される単量体が有する重合性基の数は特に限定されないが、1〜3つであることが好ましく、1つであることがより好ましい。
また、R1c又はR1hが、重合性基であるか重合性基を含むことが好ましく、なかでもR1cが、重合性基であるか重合性基を含むことがより好ましい。
【0030】
前記一般式(1)で表される単量体の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定され
ない。
【0031】
【化4】

【0032】
前記一般式(1)で表される単量体は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本発明においては代表的な形の一つで記述しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
【0033】
前記一般式(1)で表される単量体は、同位元素(例えば、H、H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
【0034】
前記一般式(1)で表される単量体は、任意の方法で合成することができる。
例えば、公知の特許文献や非特許文献、例えば、特開平7−188190号公報、特開平11−315072号公報、特開2001−220385号公報、「染料と薬品」第40巻12号(1995)の325〜339ページなどを参考にして合成できる。
【0035】
〔重合体〕
本発明の重合体は、前記一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を有する。また、前記一般式(1)で表される単量体以外の他の重合性モノマーや、重合性オリゴマー、重合性ポリマーを共重合成分として含むことができる。なお、前記一般式(1)で表される単量体は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
本発明の重合体の質量平均分子量は、好ましくは10000〜500000であり、より好ましくは20000〜300000であり、更に好ましくは50000〜200000である。また共重合成分を含む場合、含まれる共重合成分に応じて、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等、任意の配列とすることができ、線状高分子であってもよく、架橋点を有する3次元架橋構造を形成してもよい。
【0037】
使用される前記一般式(1)で表される単量体と、それ以外の共重合成分との質量割合は、共重合成分の種類や、紫外線吸収剤として該重合体を添加する樹脂の種類に応じて適宜選択される。通常、紫外線吸収剤としての効果と、添加する樹脂への相溶性の観点から他の共重合成分の使用量は、一般式(1)で表される単量体100質量部に対して、5〜2000質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましい。
【0038】
前記共重合成分としての重合性モノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、含フッ素ビニルエーテル類、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル等を挙げることができる。
【0039】
また本発明においては、ベンゾフェノン基、ベンゾトリアゾール基、シアノアクリレート基等の紫外線吸収性残基を有する重合性モノマーを好適に使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール基を有するアクリルモノマーとして、RUVA−93(商品名)(2−(2′−ヒドロキシ−5′メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、大塚化学社製)等を挙げることができる。
【0040】
前記共重合成分としての重合性オリゴマー又は重合性ポリマーには特に限定はなく、一般的には、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びブタジエンから選択された少なくとも一種のモノマーから形成された単独重合体又は共重合体等を挙げることができ、具体的には、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート及びこれらの共重合体等を挙げることができる。
【0041】
本発明の重合体の重合においては、添加剤として、例えば、重合開始剤を用いてもよい。
重合開始剤としては、重合方式(アニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合等)に合わせて適切な重合開始剤が使用される。なかでも、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、いわゆる熱重合開始剤、光重合開始剤であってもよい。具体的には、ベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類、ベンゾイン等のアシロイン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ミヒラーケトン類、アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α'−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン類、アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類、フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物、アシルホスフィンオキシド類、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられ、特に熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルであることが好ましい。また、Irgacure−184、同261、同369、同500、同651、同907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Darocur−1173、同1116、同2959、同1664、同4043(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等の市販品を用いることもできる。
【0042】
〔高分子組成物〕
本発明の高分子組成物は、本発明の重合体を含有し、有機材料を光・酸素又は熱による損傷に対して安定化させるのに特に適している。中でも本発明の高分子組成物は、光安定剤、とりわけ紫外線吸収剤として好適に用いることができる。
【0043】
〔紫外線吸収剤〕
以下、本発明の重合体を含む紫外線吸収剤について説明する。
【0044】
本発明の紫外線吸収剤は、一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を有する。一般式(1)で表される単量体は特定の位置にハメット則のσp値が正である置換基を有するため、電子求引性基によりLUMOが安定化されるため、励起寿命が短くなり、優れた耐光性を有するという特徴を有する。既知のトリアジン系化合物を、紫外線吸収剤として用いた場合は、長時間の使用で分解して黄変するなど悪影響を及ぼす。
それに対して、本発明の一般式(1)で表される単量体は優れた耐光性を有するため、該単量体に由来する構造単位を有する本発明の紫外線吸収剤は、長時間使用した場合でも分解せず黄変することがないという効果が得られる。
【0045】
本発明の紫外線吸収剤は、一種のみ用いてもよく、二種以上を併用することもできる。
本発明の紫外線吸収剤の使用形態は、いずれでも良い。例えば、液体分散物、溶液、樹脂組成物などが挙げられる。
本発明の紫外線吸収剤の極大吸収波長は、特に限定されないが、好ましくは250〜400nmであり、より好ましくは280〜380nmである。半値幅は好ましくは20〜100nmであり、より好ましくは40〜80nmである。
【0046】
本発明において規定される極大吸収波長及び半値幅は、当業者が容易に測定することができる。測定方法に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座 7 分光II」(丸善,1992年)180〜186ページなどに記載されている。具体的には、適当な溶媒に試料を溶解し、石英製又はガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。用いる溶媒は、試料の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと、溶質分子との相互作用が小さいこと、揮発性があまり著しくないこと等が要求される。上記条件を満たす溶媒であれば、任意のものを選択することができる。本発明においては、酢酸エチル(EtOAc)を溶媒に用いて測定を行うこととする。
【0047】
本発明における化合物の極大吸収波長及び半値幅は、酢酸エチルを溶媒として、濃度約5×10−5mol・dm−3の溶液を調製し、光路長10mmの石英セルを使用して測定した値を使用する。
【0048】
スペクトルの半値幅に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座3 基本操作III」(丸善、1991年)154ページなどに記載がある。なお、上記成書では波数目盛りで横軸を取った例で半値幅の説明がなされているが、本発明における半値幅は波長目盛りで軸を取った場合の値を用いることとし、半値幅の単位はnmである。具体的には、極大吸収波長における吸光度の1/2の吸収帯の幅を表し、吸収スペクトルの形を表す値として用いられる。半値幅が小さいスペクトルはシャープなスペクトルであり、半値幅が大きいスペクトルはブロードなスペクトルである。ブロードなスペクトルを与える紫外線吸収化合物は、極大吸収波長から長波側の幅広い領域にも吸収を有するので、黄色味着色がなく長波紫外線領域を効果的に遮蔽するためには、半値幅が小さいスペクトルを有する紫外線吸収化合物の方が好ましい。
【0049】
時田澄男著「化学セミナー9 カラーケミストリー」(丸善、1982年)154〜155ページに記載されているように、光の吸収の強さすなわち振動子強度はモル吸光係数の積分に比例し、吸収スペクトルの対称性がよいときは、振動子強度は極大吸収波長における吸光度と半値幅の積に比例する(但しこの場合の半値幅は波長目盛りで軸を取った値である)。このことは遷移モーメントの値が同じとした場合、半値幅が小さいスペクトルを有する化合物は極大吸収波長における吸光度が大きくなることを意味している。このような紫外線吸収化合物は少量使用するだけで極大吸収波長周辺の領域を効果的に遮蔽できるメリットがあるが、波長が極大吸収波長から少し離れると急激に吸光度が減少するために、幅広い領域を遮蔽することができない。
【0050】
紫外線吸収剤は、極大吸収波長におけるモル吸光係数が20000以上であることが好ましく、30000以上であることがより好ましく、50000以上であることが特に好ましい。20000以上であれば、紫外線吸収剤の質量当たりの吸収効率が十分得られるため、紫外線領域を完全に吸収するための紫外線吸収剤の使用量を低減できる。これは皮膚刺激性や生体内への蓄積を防ぐ観点、及びブリードアウトが生じにくい点から好ましい。なお、モル吸光係数については、例えば日本化学会編「新版実験化学講座9 分析化学[II]」(丸善、1977年)244ページなどに記載されている定義を用いたものであり、上述した極大吸収波長及び半値幅を求める際に合わせて求めることができる。
【0051】
本発明の紫外線吸収剤(以下単に「紫外線吸収剤」と称する場合がある)は、紫外線吸収剤が分散媒体に分散された分散物の状態でも使用できる。以下、本発明の紫外線吸収剤を含む紫外線吸収剤分散物について説明する。
本発明の紫外線吸収剤を分散する媒体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0052】
本発明に用いられる分散媒体の有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、メチルエチルケトンなどのケトン系、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン系、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸系、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ環系、などが挙げられる。これらを任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
【0053】
本発明に用いられる分散媒体の樹脂としては、従来公知の各種成形体、シート、フィルム等の製造に従来から使用されている熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が挙げられ、これらは一種又は二種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして使用される。また、これらの樹脂は、ナチュラル樹脂にガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤等を含有させた熱可塑性成形材料としても使用される。また、必要に応じて従来使用されている樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸等を単独であるいは組み合わせて使用することもできる。
【0054】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらはナチュラル樹脂のほかガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤を含有させた熱硬化性成形材料としても使用することができる。
【0055】
紫外線吸収剤を含む分散物には、分散剤、泡防止剤、保存剤、凍結防止剤、界面活性剤などを合わせて用いることもできる。その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。
【0056】
本発明の紫外線吸収剤を含む分散物を得るための装置として、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機などを使用できる。具体的には、コロイドミル、ホモジナイザー、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置などがある。本発明で使用するのに好ましい高速攪拌型分散機は、ディゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケデイーミル、ジェットアジターなど、分散作用する要部が液中で高速回転(500〜15,000rpm。好ましくは2,000〜4,000rpm)するタイプの分散機である。本発明で使用する高速攪拌型分散機は、ディゾルバーないしは高速インペラー分散機とも呼ばれ、特開昭55−129136号公報にも記載されているように、高速で回転する軸に鋸歯状のプレートを交互に上下方向に折り曲げたインペラーを着装して成るものも好ましい一例である。
【0057】
疎水性化合物を含む乳化分散物を調製する際には、種々のプロセスに従うことができる。例えば、疎水性化合物を有機溶媒に溶解するときは、高沸点有機物質、水非混和性低沸点有機溶媒又は水混和性有機溶媒の中から任意に選択された一種、又は二種以上の任意の複数成分混和物に溶解し、次いで界面活性化合物の存在化で、水中あるいは親水性コロイド水溶液中に分散せしめる。疎水性化合物を含む水不溶性相と水性相との混合方法としては、攪拌下に水性相中に水不溶性相を加えるいわゆる順混合法でも、その逆の逆混合法でもよい。
【0058】
また、本発明の紫外線吸収剤は、液体状の媒体に溶解された溶液の状態でも使用できる。以下、本発明の紫外線吸収剤を含む紫外線吸収剤溶液について説明する。
本発明の紫外線吸収剤を溶解する液体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液の例としては、上述の分散媒体として記載したものが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
【0059】
本発明の紫外線吸収剤の溶液は、その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。本発明の紫外線吸収剤以外は必ずしも溶解していなくてもよい。
【0060】
本発明の紫外線吸収剤を含む溶液における前記紫外線吸収剤の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは溶液の全量に対して0.001〜30質量%であり、より好ましくは0.01〜10質量%である。あらかじめ高濃度で溶液を作製しておき、所望の時に希釈して使用することもできる。希釈溶媒としては上述の溶媒から任意に選択できる。
【0061】
本発明の紫外線吸収剤によって安定化されるものは、染料、顔料、食品、飲料、身体ケア製品、ビタミン剤、医薬品、インク、油、脂肪、ロウ、表面コーティング、化粧品、写真材料、織物及びその色素、プラスチック材料、ゴム、塗料、樹脂組成物、高分子添加剤などが挙げられる。
本発明の紫外線吸収剤を用いる場合、その態様はいずれの方法であってもよい。本発明の紫外線吸収剤を単独で用いても、組成物として用いても良いが、組成物として用いることが好ましい。中でも、本発明の紫外線吸収剤を含む塗料又は樹脂成形物等の樹脂組成物であることが好ましい。
以下、本発明の紫外線吸収剤を含む樹脂組成物について説明する。
【0062】
〔樹脂組成物〕
本発明の紫外線吸収剤を含む樹脂組成物は樹脂を含有する。本発明の紫外線吸収剤を含
む樹脂組成物は、樹脂を任意の溶媒に溶解して形成されたものでもよい。
【0063】
本発明の紫外線吸収剤は、様々な方法で樹脂組成物に含有させることができる。本発明の紫外線吸収剤が樹脂組成物との相溶性を有する場合は、本発明の紫外線吸収剤を樹脂組成物に直接添加することができる。樹脂組成物との相溶性を有する補助溶媒に、本発明の紫外線吸収剤を溶解し、その溶液を樹脂組成物に添加してもよい。本発明の紫外線吸収剤を高沸点有機溶媒やポリマー中に分散し、その分散物を樹脂組成物に添加してもよい。
【0064】
(高沸点有機溶媒)
高沸点有機溶媒の沸点は、180℃以上であることが好ましく、200℃以上であることが更に好ましい。高沸点有機溶媒の融点は、150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることが更に好ましい。高沸点有機溶媒の例には、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、炭酸エステル、アミド、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコール及びパラフィンが含まれる。リン酸エステル、ホスホン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル及び脂肪酸エステルが好ましい。
本発明の紫外線吸収剤の添加方法については、特開昭58−209735号、同63−264748号、特開平4−191851号、同8−272058号の各公報及び英国特許第2016017A号明細書を参考にできる。
【0065】
(樹脂)
樹脂組成物に用いられる樹脂について説明する。樹脂としては、天然あるいは合成ポリマーのいずれであってもよい。例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリシクロペンテン、ポリノルボルネンなど)、ビニルモノマーのコポリマー(例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、エチレン/ノルボルネンのようなシクロオレフィンコポリマー(COC:Cyclo−Olefin Copolymer))、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマーなど)、アクリル系ポリマー(例えば、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなど)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、ポリエーテル(例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、ポリアセタール(例えば、ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリスルホンポリエーテルケトン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、セルロースエステル(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリシロキサン、天然ポリマー(例えば、セルロース、ゴム、ゼラチンなど)、などが挙げられる。
【0066】
本発明に用いられる樹脂は、合成ポリマーである場合が好ましく、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロースエステルがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが特に好ましい。
本発明に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0067】
本発明の紫外線吸収剤は、所望の性能を付与するために必要な任意の量を含有させることができる。これらは用いる化合物や樹脂によって異なるが、適宜含有量を決定することができる。含有量としては樹脂組成物中0質量%より大きく20質量%以下であることが好ましく、0質量%より大きく10質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上5%質量以下であることが更に好ましい。含有量が上記の範囲であれば十分な紫外線遮蔽効果が得られ、ブリードアウトを抑制することができるため好ましい。
【0068】
樹脂組成物は、上記の高分子物質及び紫外線安定剤に加えて、必要に応じて酸化防止剤光安定剤、加工安定剤、老化防止剤、相溶化剤等の任意の添加剤を適宜含有してもよい。
【0069】
本発明の紫外線吸収剤を含む樹脂組成物は、合成樹脂が使用される全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。具体例としては、例えばガラス代替品とその表面コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング材、住居、施設、輸送機器等のウインドウフィルム、住居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗料及び該塗料によって形成させる塗膜、アルキド樹脂ラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、アクリルラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精密機械、電子電気機器用部材、各種ディスプレイから発生する電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容器又は包装材、ボトル、ボックス、ブリスター、カップ、特殊包装用、コンパクトディスクコート、農工業用シート又はフィルム材、印刷物、染色物、染顔料等の退色防止剤、ポリマー支持体用(例えば、機械及び自動車部品のようなプラスチック製部品用)の保護膜、印刷物オーバーコート、インクジェット媒体被膜、積層艶消し、オプティカルライトフィルム、安全ガラス/フロントガラス中間層、エレクトロクロミック/フォトクロミック用途、オーバーラミネートフィルム、太陽熱制御膜、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツウェア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊維、カーテン、絨毯、壁紙等の家庭用内装品、プラスチックレンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光学フィルタ、バックライトディスプレーフィルム、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品
、金型膜、転写式ステッカー、落書き防止膜、テープ、インク等の文房具、標示板、標示器等とその表面コーティング材等を挙げることができる。
【0070】
前記樹脂組成物より形成した高分子成型品の形状としては、平膜状、粉状、球状粒子、破砕粒子、塊状連続体、繊維状、管状、中空糸状、粒状、板状、多孔質状などのいずれの形状であってもよい。
【0071】
前記樹脂組成物は、本発明の紫外線吸収剤を含有しているため、優れた耐光性(紫外光堅牢性)を有しており、紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じることがない。また、該樹脂組成物は、優れた長波紫外線吸収能を有するので、紫外線吸収フィルタや容器として用いることができ、紫外線に弱い化合物などを保護することもできる。例えば、該樹脂組成物を押出成形又は射出成形などの任意の方法により成形することで、本発明の紫外線吸収剤を含む成形品(容器等)を得ることができる。また、別途作製した成形品に前記樹脂組成物の溶液を塗布・乾燥することで、本発明の紫外線吸収剤を含む紫外線吸収膜がコーティングされた成形品を得ることもできる。
【0072】
前記樹脂組成物を紫外線吸収フィルタや紫外線吸収膜として用いる場合、樹脂組成物は透明であることが好ましい。透明樹脂の例としては、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド及びポリオキシエチレンなどが挙げられる。好ましくはセルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂であり、より好ましくはポリカーボネート、ポリエステルである。更に好ましくはポリエステルであり、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートである。前記樹脂組成物より得られた高分子成型品は透明支持体として用いることもでき、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることが更に好ましい。
【0073】
本発明において、異なる構造を有する二種類以上の紫外線吸収剤を併用してもよい。また、本発明の紫外線吸収剤とそれ以外の構造を有する一種類以上の紫外線吸収剤とを併用してもよい。基本骨格構造の異なる二種類(好ましくは三種類)の紫外線吸収剤を併用すると、広い波長領域の紫外線を吸収することができる。また、二種類以上の紫外線吸収剤を併用すると、紫外線吸収剤の分散状態が安定化する作用もある。本発明の紫外線吸収剤を構成する前記一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤としては、いずれのものでも使用でき、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、メロシアニン系、シアニン系、ジベンゾイルメタン系、桂皮酸系、シアノアクリレート系、安息香酸エステル系などの化合物が挙げられる。例えば、ファインケミカル、2004年5月号、28〜38ページ、東レリサーチセンター調査研究部門発行「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)96〜140ページ、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)54〜64ページなどに記載されている紫外線吸収剤が挙げられる。
【0074】
前記一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤として好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、メロシアニン系化合物、トリアジン系化合物である。より好ましくはベンゾオキサジノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物である。特に好ましくはベンゾオキサジノン系化合物である。上記一般式(1)以外の構造を有する紫外線吸収剤は、特開2008−273950号公報の段落番号〔0117〕〜〔0121〕に詳述されており、該公報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
【0075】
前述したように、本発明においては、本発明の紫外線吸収剤とベンゾオキサジノン系化合物を組み合わせて用いることが好ましい。一般式(1)で表される化合物は長波長領域においても優れた耐光性を有するため、より長波長領域まで遮蔽可能なベンゾオキサジノンの劣化を防ぐという効果を奏し、ベンゾオキサジノン系化合物と共に用いることで、より長波長領域まで長時間において遮蔽効果が持続できるため好ましい。
【0076】
本発明においては、本発明の紫外線吸収剤のみで実用的には十分な紫外線遮蔽効果が得られるものの、更に厳密を要求する場合には隠蔽力の強い白色顔料、例えば酸化チタンなどを併用してもよい。また、外観、色調が問題となる時、あるいは好みによって微量(0.05質量%以下)の着色剤を併用することができる。また、透明あるいは白色であることが重要である用途に対しては蛍光増白剤を併用してもよい。蛍光増白剤としては市販のものや特開2002−53824号公報記載の一般式[1]や具体的化合物例1〜35などが挙げられる。
【実施例】
【0077】
本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0078】
実施例及び比較例で使用した単量体の構造を以下に示す。
【0079】
【化5】

【0080】
(例示化合物(1)の合成)
サリチル酸300gをトルエン600mLに懸濁させ、塩化チオニル258gとDMF7mLを加え、50℃で2時間攪拌した(溶液A)。サリチルアミド299.0gにアセトニトリル900mLとDBU(ジアザビシクロウンデセン(1,8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene))660gを添加し溶解させた溶液に、調製した溶液Aを5℃条件下で滴下し、その後、室温下で24時間攪拌した。この反応液に35%塩酸300mLを添加し、室温で2時間攪拌した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Aを504g得た(収率90%)。
【0081】
【化6】

【0082】
合成中間体A140gにトルエン1400mLとp−トルエンスルホン酸一水和物10.5gを添加し、150℃で6時間攪拌した。60℃まで冷却後、この反応液にトリエチルアミン14mLを添加し、室温まで冷却した。得られた固体を濾過、水洗浄して合成中間体Bを122g得た(収率94%)。
【0083】
【化7】

【0084】
テレフタロニトリル401gにメタノール8000mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液309gを加え、室温で3時間攪拌した。この反応液に塩化アンモニウム428gを加え、室温で24時間攪拌した。この反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた固体をメタノールと酢酸エチルで洗浄して、水で再結晶することにより合成中間体Cを310g得た(収率55%)。
【0085】
【化8】

【0086】
合成中間体C42gにメタノール1000mLと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液44gを加えた。この懸濁液に室温下で合成中間体Bを50g添加し、室温で2時間、60℃で2時間攪拌した。この反応液に35%塩酸2mLを加え、得られた固体をメタノールと水で洗浄することにより合成中間体Dを74g得た(収率96%)。
【0087】
【化9】

【0088】
合成中間体D25gに3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール200gと硫酸13gを添加し、還流条件下で16時間攪拌した。室温まで冷却後、得られた固体をメタノールと水で洗浄して合成中間体Eを32g得た(収率91%)。
【0089】
【化10】

【0090】
合成中間体E10.0gにエタノール500mL、10%水酸化カリウムエタノール溶液を400mLと水100mLを加え、室温で24時間攪拌した。35%塩酸を60mL添加し、得られた固体をメタノールと水で洗浄して合成中間体Fを7.1g得た(収率94%)。
【0091】
【化11】

【0092】
合成中間体F5.0g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5.1gと4−ジメチルアミノピリジン0.5gを塩化メチレン20mLに添加し、0℃下で1−エチルー3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩3.2gを添加した。この溶液を室温で24時間攪拌した。反応液にメタノールを添加し、得られた固体をメタノールと水で洗浄して例示化合物(1)を6.2g得た(収率96%)。
【0093】
(例示化合物(2)の合成)
合成中間体F5.0g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル5.0gと4−ジメチルアミノピリジン0.5gを塩化メチレン20mLに添加し、0℃下で1−エチルー3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩3.2gを添加した。この溶液を室温で24時間攪拌した。反応液にメタノールを添加し、得られた固体をメタノールと水で洗浄して例示化合物(2)を6.1g得た(収率97%)。
【0094】
(例示化合物(3)の合成)
合成中間体F5.0g、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド5.0gと4−ジメチルアミノピリジン0.5gを塩化メチレン20mLに添加し、0℃下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩3.2gを添加した。この溶液を室温で24時間攪拌した。反応液にメタノールを添加し、得られた固体をメタノールと水で洗浄して例示化合物(3)を6.0g得た(収率95%)。
【0095】
(例示化合物(4)の合成)
テレフタロニトリルの代わりに、イソフタロニトリルを使用したこと以外は、例示化合物(1)の合成と同様にして、例示化合物(4)を合成した。
【0096】
(例示化合物(5)の合成)
合成中間体D5.0g、メタクリル酸2−ブロモエチル2.6g、炭酸カリウム1.9gをジメチルアセトアミド20mLに添加し、80℃で7時間攪拌した。反応液を冷却後、メタノールを添加して得られた固体をメタノールと水で洗浄して例示化合物(5)を5.8g得た(収率89%)。
【0097】
(重合体(1)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、例示化合物(1)30g、メタクリル酸メチル70g及びアゾビスイソブチロニトリル2.8gよりなる混合物を、120℃に加熱したジメチルホルムアミド100g中に徐々に滴下した後、更に4時間同温度に保持した。得られた反応液を大過剰のメタノールに投入し、析出した固体を濾取し、40℃で15時間真空乾燥後、微黄色粉状重合体98gを得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が31,000であった。またH−NMR分析及び極大吸収波長における吸光度から、該重合体は例示化合物(1)とメタクリル酸メチルの共重合体であり、例示化合物(1)が共重合組成で30質量%含まれていた。
【0098】
(重合体(2)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、例示化合物(2)30g、アクリル酸メチル70g及びアゾビスイソブチロニトリル2.8gよりなる混合物を、120℃に加熱したジメチルホルムアミド100g中に徐々に滴下した後、更に4時間同温度に保持した。得られた反応液を大過剰のメタノールに投入し、析出した固体を濾取し、40℃で15時間真空乾燥後、微黄色粉状重合体69gを得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が86,000であった。またH−NMR分析及び極大吸収波長における吸光度から、該重合体は例示化合物(2)とアクリル酸メチルの共重合体であり、例示化合物(2)が共重合組成で30質量%含まれていた。
【0099】
(重合体(3)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、例示化合物(3)30g、アクリルアミド70g及びアゾビスイソブチロニトリル2.8gよりなる混合物を、120℃に加熱したジメチルホルムアミド100g中に徐々に滴下した後、更に4時間同温度に保持した。得られた反応液を大過剰のメタノールに投入し、析出した固体を濾取し、40℃で15時間真空乾燥後、微黄色粉状重合体72gを得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が124,000であった。またH−NMR分析及び極大吸収波長における吸光度から、該重合体は例示化合物(3)とアクリルアミドの共重合体であり、例示化合物(3)が共重合組成で30質量%含まれていた。
【0100】
(重合体(4)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、例示化合物(3)30g、RUVA−93を70g及びアゾビスイソブチロニトリル2.8gよりなる混合物を、120℃に加熱したジメチルホルムアミド100g中に徐々に滴下した後、更に4時間同温度に保持した。得られた反応液を大過剰のメタノールに投入し、析出した固体を濾取し、40℃で15時間真空乾燥後、微黄色粉状重合体61gを得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が47,000であった。またH−NMR分析及び極大吸収波長における吸光度から、該重合体は例示化合物(3)とRUVA−93の共重合体であり、例示化合物(3)が共重合組成で30質量%含まれていた。
【0101】
(重合体(5)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、例示化合物(1)30g、過酸化ベンゾイル2.8gをポリブタジエン70gを溶解させたベンゼン溶液に添加し、60℃で重合させた。この反応液から得られた固体を乾燥した後、ホモポリブタジエンと例示化合物(1)のホモポリマーを抽出により除去し、ポリブタジエンと例示化合物(1)のグラフト共重合体を得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が36,000であった。
【0102】
(重合体(6)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、例示化合物(4)30g、メタクリル酸メチル70g及びアゾビスイソブチロニトリル2.8gよりなる混合物を、120℃に加熱したジメチルホルムアミド100g中に徐々に滴下した後、更に4時間同温度に保持した。得られた反応液を大過剰のメタノールに投入し、析出した固体を濾取し、40℃で15時間真空乾燥後、微黄色粉状重合体77gを得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が159,000であった。またH−NMR分析及び極大吸収波長における吸光度から、該重合体は例示化合物(4)とメタクリル酸メチルの共重合体であり、例示化合物(4)が共重合組成で30質量%含まれていた。
【0103】
(重合体(7)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、例示化合物(5)30g、メタクリル酸メチル70g及びアゾビスイソブチロニトリル2.8gよりなる混合物を、120℃に加熱したジメチルホルムアミド100g中に徐々に滴下した後、更に4時間同温度に保持した。得られた反応液を大過剰のメタノールに投入し、析出した固体を濾取し、40℃で15時間真空乾燥後、微黄色粉状重合体85gを得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が253,000であった。またH−NMR分析及び極大吸収波長における吸光度から、該重合体は例示化合物(5)とメタクリル酸メチルの共重合体であり、例示化合物(5)が共重合組成で30質量%含まれていた。
【0104】
(重合体(8)の合成)
冷却器、窒素導入管、温度計、滴下ロート及び撹拌機を備えたガラス製フラスコに、RUVA−93(大塚化学製)30g、メタクリル酸メチル70g及びアゾビスイソブチロニトリル2.8gよりなる混合物を、120℃に加熱したジメチルホルムアミド100g中に徐々に滴下した後、更に4時間同温度に保持した。得られた反応液を大過剰のメタノールに投入し、析出した固体を濾取し、40℃で15時間真空乾燥後、微黄色粉状重合体64gを得た。このものは、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析により、質量平均分子量が91,000であった。またH−NMR分析及び極大吸収波長における吸光度から、該重合体はRUVA−93とメタクリル酸メチルの共重合体であり、RUVA−93が共重合組成で30質量%含まれていた。
【0105】
実施例1:(塗布フィルム(1)の作製)
上記で得られた重合体(1)30部とメタクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR80、三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0106】
実施例2:(塗布フィルム(2)の作製)
上記で得られた重合体(2)30部とアクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0107】
実施例3:(塗布フィルム(3)の作製)
上記で得られた重合体(3)30部とアクリルアミド樹脂(三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0108】
実施例4:(塗布フィルム(4)の作製)
上記で得られた重合体(4)30部とポリスチレンの塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0109】
実施例5:(塗布フィルム(5)の作製)
上記で得られた重合体(1)30部とポリエチレンの塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0110】
実施例6:(塗布フィルム(6)の作製)
上記で得られた重合体(5)1部を塩化メチレン100部に溶解させ、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0111】
実施例7:(塗布フィルム(7)の作製)
上記で得られた重合体(6)30部とメタクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR80、三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0112】
実施例8:(塗布フィルム(8)の作製)
上記で得られた重合体(7)30部とメタクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR80、三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0113】
比較例1:(塗布フィルム(9)の作製)
上記で得られた重合体(8)30部とメタクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR80、三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0114】
比較例2:(塗布フィルム(10)の作製)
比較化合物(2)1部とメタクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR80、三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部とを良く混合した後、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0115】
比較例3:(塗布フィルム(11)の作製)
素ポリマー(メタクリル樹脂)のみを溶剤に溶解させて塗布(比較例)
メタクリル樹脂(商品名:ダイヤナールBR80、三菱レイヨン(株)製)の塩化メチレン20%溶液100部のみを100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに乾燥膜厚が10μmになるようにバ−コ−タにより塗工し、100℃で10分間乾燥した。
【0116】
<評価試験>
作製した各フィルムについて、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気製)で照度90mW/cm、相対温度63℃、湿度50%の条件で1000時間光照射した。
照射前と照射後の、フィルムを目視で観察し、フィルム表面の汚れ(ブリードアウト)及び色相変化を評価した。
表面汚れ:○は色相変化なし、△はわずかに着色、×は大きく着色を表す。
色相変化:○は色相変化なし、△はわずかに着色、×は大きく着色を表す。
結果を表1に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
実施例9:(樹脂成形物(1)の作製)
上記で得られた重合体(1)10部とメタクリル樹脂10部(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)とを260℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、メタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、260℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0119】
実施例10:(樹脂成形物(2)の作製)
上記で得られた重合体(2)10部とメタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)10部とを260℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、メタクリル樹脂10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、260℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0120】
実施例11:(樹脂成形物(3)の作製)
上記で得られた重合体(3)10部とポリエチレンテレフタレート樹脂(商品名:ユニペットRT543、日本ユニペット製)10部とを280℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、ポリエチレンテレフタレート樹脂10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、280℃で押し出し加工して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0121】
実施例12:(樹脂成形物(4)の作製)
上記で得られた重合体(4)10部とポリカーボネート樹脂(商品名:パンライトL−1250Y、帝人化成製)10部とを300℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、ポリカーボネート樹脂10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、300℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0122】
実施例13:(樹脂成形物(5)の作製)
上記で得られた重合体(1)10部とポリエチレンナフタレート樹脂(商品名:テオネックスTN8065S、帝人製)10部とを260℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、ポリエチレンナフタレート樹脂10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、260℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0123】
実施例14:(樹脂成形物(6)の作製)
上記で得られた重合体(7)10部とメタクリル樹脂10部(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)とを260℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、メタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、260℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0124】
比較例4:(樹脂成形物(7)の作製)
上記で得られた重合体(8)10部とメタクリル樹脂10部(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)とを260℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、メタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、260℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0125】
比較例5:(樹脂成形物(8)の作製)
比較化合物(2)1部とメタクリル樹脂30部(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)とを260℃で押し出し加工してペレットを作製した。
次いで、メタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)10部に、上記で得られたペレット1部を添加、混練し、260℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0126】
比較例6:(樹脂成形物(9)の作製)
メタクリル樹脂(商品名:アクリペットVH−001、三菱レイヨン(株)製)を260℃で射出成型して、厚さ2mmのフィルムを作製した。
【0127】
<評価試験>
作製した各フィルムについて、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気製)で照度90mW/cm、相対温度63℃、湿度50%の条件で1000時間光照射した。
【0128】
〔フィルム目視〕
照射前と照射後の、フィルムを目視で観察し、フィルム表面の汚れ(ブリードアウト)を評価した。
表面汚れ:○は色相変化なし、△はわずかに着色、×は大きく着色を表す。
【0129】
〔破断強度変化〕
照射後、ストログラフVE10D(東洋精機製)を使用して、引っ張り試験を行い破断強度を測定し、照射前の破断強度との差を下記の基準で評価し、破断強度変化として表2に記載した。
○: 照射後破断強度値/照射前破断強度値X100≧80 … 極めて良好
△:80>照射後破断強度値/照射前破断強度値X100≧50 … 良好
×:50>照射後破断強度値/照射前破断強度値X100 … 不良
【0130】
〔耐光性〕
成形した各フィルムを、メタルハライドランプ(約290nm以下カットフィルター存在下)(商品名:アイスーパーUVテスター、岩崎電気製)で照度90mW/cm、温度63℃、相対湿度50%の条件で光照射した。各化合物の残存量をそれぞれ測定した。
評価は以下のように判断し下表2に示した。
各フィルムシートにおいて光照射前の遮蔽率が1%である波長で、光照射後に遮蔽率が5%になるまでにかかった時間を評価した。樹脂成形物(6)のフィルムを試験した際にかかった時間を1としたとき、下記の基準で評価し、耐光性として表2に記載した。
◎:4以上の場合
○:2以上4未満の場合
△:1以上2未満の場合
×:0.1以上1未満の場合
【0131】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される単量体に由来する構造単位を有することを特徴とする重合体。
【化1】

[R1a、R1b、R1c、R1d及びR1eは、互いに独立して、水素原子又はOHを除く1価の置換基を表し、置換基のうち少なくとも1つは、ハメット則のσp値が正である置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1f、R1g、R1h、R1i、R1j、R1k、R1m、R1n及びR1pは、互いに独立して、水素原子又は1価の置換基を表す。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。R1a〜R1pの少なくとも1つは、重合性基を有する。]
【請求項2】
1a、R1b、R1c、R1d及びR1eのいずれか少なくとも1つがCOOR1qであることを特徴とする請求項1に記載の重合体[R1qは、重合性基を有する置換基を表す。]。
【請求項3】
1cがCOOR1qであることを特徴とする請求項2に記載の重合体。
【請求項4】
1qの重合性基が、アクリル基又はメタクリル基であることを特徴とする請求項2又は3に記載の重合体。
【請求項5】
1fがOHであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合体を含むことを特徴とする高分子組成物。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合体を含むことを特徴とする紫外線吸収剤。
【請求項8】
請求項7に記載の紫外線吸収剤を含むことを特徴とする塗料。
【請求項9】
請求項7に記載の紫外線吸収剤を含むことを特徴とする樹脂成形物。

【公開番号】特開2012−72333(P2012−72333A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220081(P2010−220081)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】