説明

重合体または重合体溶液の製造方法、重合体、重合体溶液

【課題】製造工程での汚染による金属不純物量の増加を2ppb以下に抑制できる重合体または重合体溶液の製造方法の提供。
【解決手段】下記(1a)〜(1b)の工程を含む、重合体または重合体溶液の製造方法。(1a)重合体または重合体溶液の製造に使用される原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜に移送し、該重合釜にて単量体を重合し、重合体または重合体溶液を得る工程。(1b)前記(1a)で得た重合体または重合体溶液を、クラス8を超える外気に接触させることなくクラス8以下の雰囲気下へ移送し、該雰囲気下にて容器に充填する工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単量体を重合する工程と、得られた重合体または重合体溶液を容器に充填する工程とを含む、重合体または重合体溶液の製造方法、および該製造方法により得られる重合体または重合体溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶素子等の製造工程においては、基板上にレジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像してパターニングすることによりレジストパターンを形成することが行われている。近年、リソグラフィー技術の進歩により急速にレジストパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、照射光の短波長化がある。具体的には、照射光がg線(波長:438nm)やi線(波長:365nm)から波長300nm以下のDUV(Deep Ultra Violet)へと短波長化してきており、現在では、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)リソグラフィー技術やArFエキシマレーザー(波長:193nm)リソグラフィー技術が導入されている。また、より短波長のEUV(波長:13.5nm)リソグラフィー技術についても研究されている。その他、電子線リソグラフィー技術や、露光を水等の液中で行う液浸リソグラフィー技術についても精力的に研究されている。
前記短波長の照射光または電子線を用いたリソグラフィーにてレジスト膜の形成に用いられるレジスト材料には、高い感度が要求される。かかる要求に対し、光酸発生剤を含有する化学増幅型レジストが提唱され、現在、該化学増幅型レジストの改良および開発が進められている。
【0003】
リソグラフィー工程では、前記レジスト膜のほか、反射防止膜、ギャップフィル膜、トップコート膜等、種々の膜が使用されている。これらの膜の形成には一般的に重合体を含むものが用いられ、該重合体には、用途に応じた機能を発揮させるために、種々の特性基が導入されている。例えば、化学増幅型レジスト用重合体の例として、極性基、酸脱離性基等を有するものが挙げられる。また、反射防止膜用重合体の例として、露光光を吸収する吸光性基、硬化剤などと反応可能な反応性官能基等を有するものが挙げられる。
これらリソグラフィー工程に用いられる重合体(リソグラフィー用重合体)の製造方法としては、単量体を重合溶媒に溶解し、重合開始剤の存在下で重合させる方法が一般的である。重合後の重合反応液は、目的の重合体のほか、原料(単量体、重合溶媒、重合開始剤等)を含んでいる。そのため、重合後、重合反応液から重合体を分離、回収するために、貧溶媒を加えて重合体を析出させる再沈工程、重合体が析出した反応液をろ過して重合体を回収するろ過工程等が行われる。また、必要に応じて、リンス、洗浄、乾燥、溶解、溶剤置換等が行われる(たとえば特許文献1〜2)。このようにして得られたリソグラフィー用重合体またはその溶液は、貯蔵、輸送等のために容器に充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−132974号公報
【特許文献2】特開2009−029874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重合体の製造に用いられる単量体や重合開始剤には、それらの合成時に使用する触媒等に由来する金属が含まれており、得られる重合体にも、これら原料に由来する金属が不純物として含まれる。金属不純物は、重合体の純度を低下させるほか、リソグラフィー性能に影響する。そのため、リソグラフィー用重合体の製造に用いられる原料としては、なるべく金属量が少ないものが用いられる。
しかし、本発明者らの検討によれば、従来の重合体は、金属不純物量が、その製造に用いた原料中に含有する金属量から予測される量(理論値)よりも5ppb以上多くなる問題がある。これは、製造工程中(原料の取り扱い時から充填までの間)に外部からの汚染(コンタミネーション)により金属が混入することを充分に防止できないためと考えられる。そのため、製造工程で混入する金属不純物の量(コンタミ量)をできるだけ、好ましくは2ppb以下にまで低減できる技術が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、製造工程での汚染による金属不純物量の増加を2ppb以下に抑制できる重合体または重合体溶液の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、重合体または重合体溶液の製造に使用される原料を取り扱う雰囲気、充填を行う雰囲気をそれぞれ、一定以上の空気清浄度(1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個以下、ISO 14644−1に規定される清浄度クラスとしてクラス8以下に相当)が確保されたクリーン管理環境にし、各設備間の移送の際に、クラス8を超える外気に接触させない事で、金属不純物のコンタミ量を2ppb以下にできることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明は以下の態様を有する。
[1]下記工程(1a)〜(1b)を含む、重合体または重合体溶液の製造方法。
(1a)重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜に移送し、該重合釜にて単量体を重合し、重合体または重合体溶液を得る工程。
(1b)前記(1a)で得た重合体または重合体溶液を、クラス8を超える外気に接触させることなくクラス8以下の雰囲気下へ移送し、該雰囲気下にて容器に充填する工程。
【0008】
[2]下記工程(2a)〜(2c)を含む、重合体溶液の製造方法。
(2a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(2b):前記(2a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(2c):前記(2b)で得た重合反応液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【0009】
[3]下記工程(3a)〜(3f)を含む、重合体の製造方法。
(3a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(3b):前記(3a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(3c):前記(3b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程。
(3d):前記(3c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程。
(3e):前記(3d)でろ別された重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程。
(3f):前記(3e)で乾燥した重合体を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【0010】
[4]下記工程(4a)〜(4g)を含む、重合体溶液の製造方法。
(4a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(4b):前記(4a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(4c):前記(4b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく、貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程。
(4d):前記(4c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程。
(4e):前記(4d)でろ別した重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程。
(4f):前記(4e)で乾燥した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る工程。
(4g):前記(4f)で得た重合体溶液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【0011】
[5]下記(5a)〜(5h)を含む、重合体溶液の製造方法。
(5a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(5b):前記(5a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(5c):前記(5b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程。
(5d):前記(5c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程。
(5e):前記(5d)でろ別した重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程。
(5f):前記(5e)で乾燥した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る工程。
(5g):前記(5f)で得た重合体溶液を、前記ろ過乾燥機から、クラス8を超える外気に接触させることなく濃度調整釜へ移送した後、濃縮するか、または該濃度調整釜へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送して前記重合体溶液に添加して希釈することにより重合体濃度を調整する工程。
(5h):前記(5g)で濃度調整した重合体溶液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【0012】
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載の製造方法で得られた重合体または重合体溶液。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、製造工程での汚染による金属不純物量の増加を2ppb以下に抑制できる。
そのため、得られる重合体または重合体溶液は、同じ原料を用いた従来の製造方法により得られるものよりも金属不純物量が少なく高純度である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の製造方法は、単量体を重合する工程(以下、重合工程)と、得られた重合体または重合体溶液を容器に充填する工程(以下、充填工程)とを含む重合体または重合体溶液の製造方法に関し、詳しくは、下記工程(1a)〜(1b)を含む重合体または重合体溶液の製造方法である。
(1a)重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜に移送し、該重合釜にて単量体を重合し、重合体または重合体溶液を得る工程。
(1b)前記(1a)で得た重合体または重合体溶液を、クラス8を超える外気に接触させることなくクラス8以下の雰囲気下へ移送し、該雰囲気下にて容器に充填する工程。
本明細書および特許請求の範囲において、「重合体」は、粉体を意味し、「重合体溶液」とは、重合体を溶解させた溶液または重合体反応液を意味する。
また、「クラス」は、空気清浄度を示す指標であり、クラスの後に付された数値(クラス数)が小さいほど空気清浄度が高い。該クラス数はISO 14644−1に規定される清浄度クラス数に対応しており、たとえば1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個以下352,000個超の場合はクラス8であり、352,000個以下35,200個超の場合はクラス7であり、35,200個以下3,520個超の場合はクラス6である。該粒子の数は、パーティクルカウンターを用いて、ISO 14644−1に準拠して測定される。
金属不純物の混入を防止し、より高純度な重合体または重合体溶液を得る観点から、原料を取り扱う雰囲気、重合体または重合体溶液を充填する雰囲気はそれぞれ、クラス7以下(1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が352,000個以下)であることがより好ましく、クラス6以下が特に好ましい。
【0015】
重合体または重合体溶液の製造に使用される「原料」としては、重合釜に移送される重合原料、つまり重合工程に用いる原料と、重合工程よりも後に用いる原料とがある。重合原料としては、少なくとも単量体が必須であり、必要に応じて、溶媒、重合開始剤等が含まれる。重合工程よりも後に用いる原料としては、得られた重合体に溶剤を添加し、溶液として容器に充填する場合に用いられる溶剤等が挙げられる。
単量体としては、製造しようとする重合体に応じて公知の単量体が使用できる。重合体については後で詳細に説明する。
重合体または重合体溶液の製造に使用される原料のうち、少なくとも重合原料は、クラス8以下の雰囲気下で取り扱う。重合原料以外の他の原料を使用する場合は、該他の原料も、クラス8以下の雰囲気下で取り扱う。
【0016】
「外気」は、重合体または重合体溶液の製造工程(重合、再沈、ろ過、乾燥、溶解、濃度調整、充填等)で使用される装置の外側の空気を示す。製造に使用される装置としては、たとえば重合釜、重合釜の前段で用いられる調合釜、重合反応液中の重合体の析出に用いられる再沈釜、重合体溶液の濃度調整に用いられる濃度調整釜等の釜、ろ過機、乾燥機、ろ過乾燥機、等が挙げられる。
【0017】
原料を重合釜に移送する工程(以下、原料仕込み工程)において、原料(重合原料)を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送する方法としては、たとえば、原料を取り扱う雰囲気から移送対象へインラインで移送する方法、クラス8以下の雰囲気下で移送する方法、等が挙げられる。なお、「インライン」とは、外気に触れさせない事を示す。
重合原料を複数使用する場合、各重合原料は、別々に移送してもよく、一部または全部を混合して移送してもよい。
重合原料は、クラス8を超える外気と接触しない限り、他の装置を経由して重合釜に移送してもよい。たとえば原料を取り扱うクラス8以下の雰囲気から、複数の重合原料をあらかじめインラインで調合釜へ移送して混合した後、インラインで重合釜に移送してもよい。
調合釜を使用する場合、全ての重合原料をあらかじめ調合釜に移送する必要はなく、一部の重合原料を直接重合釜に移送してもよい。たとえば重合原料として単量体、重合開始剤、重合溶媒を用いる場合、原料を取り扱うクリーンブースと調合釜との間、原料を取り扱うクリーンブースと重合釜との間、調合釜と重合釜との間をそれぞれインラインで接続し、重合溶媒をインラインで重合釜に移送して加温し、単量体および重合開始剤を調合釜に移送し、混合物として重合釜に移送し、重合溶媒中に滴下すると、単量体の重合反応が進行する。このようにして得られた重合反応液には重合体が含まれている。
【0018】
充填工程において容器に充填する重合体溶液は、重合工程で溶液重合等により得られた重合反応液であってもよく、重合反応液から回収した重合体に溶媒を加えて溶解させたものであってもよい。
充填工程において容器に充填する重合体は、乾燥された重合体である方が好ましい。
重合体または重合体溶液を充填する容器としては、重合体の種類、性状等に応じて公知のものが利用できるが、金属等の不純物混入防止の観点から、クリーンな容器が好ましい。「クリーンな容器」とは、容器からの不純物の溶出や、パーティクルの増加が小さい容器を意味する。
重合体または重合体溶液の充填方法としては、クラス8以下の雰囲気下で行う以外は特に限定されず、公知の充填方法が利用できる。
【0019】
本発明の製造方法において、原料仕込み工程と充填工程との間のプロセスは、少なくとも単量体を重合する重合工程を含み、かつクラス8を超える外気に接触させない以外は、重合体または重合体溶液の製造プロセスとして公知のプロセスと同様であってよい。
【0020】
[重合工程]
単量体の重合法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等の公知の重合方法が挙げられる。重合体がリソグラフィー用重合体である場合、溶液重合法が好ましく用いられる。
溶液重合法では、重合溶媒の存在下に重合開始剤を使用して単量体を重合させて重合反応溶液を得る。このとき、連鎖移動剤を併用してもよい。連鎖移動剤を用いることにより、低分子量で分子量分布の小さい重合体を製造できる。
溶液重合法としては、滴下重合法、一括重合法等が挙げられる。なかでも、製造ロットの違いによる平均分子量、分子量分布等のばらつきが小さく、再現性のある重合体が簡便に得られる点から、滴下重合法が好ましい。
【0021】
滴下重合法では、重合釜内を所定の重合温度まで加熱した後、単量体および重合開始剤を、それぞれ独立に、または任意の組み合わせで、重合釜内に滴下する。
重合釜としては、重合体の製造に用いられる通常の製造設備に備えられたものであってよく、特に限定されない。
単量体は、単量体のみで滴下してもよく、単量体を重合溶媒に溶解させた単量体溶液として滴下してもよい。
重合溶媒および/又は単量体をあらかじめ重合釜に仕込んでもよい。
重合開始剤は、単量体に直接に溶解させてもよく、単量体溶液に溶解させてもよく、重合溶媒のみに溶解させてもよい。
単量体および重合開始剤は、あらかじめ調合釜内で混合した後、重合釜中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合釜中に滴下してもよく;それぞれ独立した貯槽から重合釜に供給する直前で混合し、重合釜中に滴下してもよい。
あらかじめ調合釜内で混合した後、重合釜中に滴下する場合について具体例を挙げると、まず、攪拌機を有する調合釜に原料(単量体、重合開始剤、重合溶媒等)を注入し、攪拌機で撹拌して単量体溶液を調製する。別途、攪拌機、ジャケットおよびコンデンサを有する重合釜に重合溶媒を注入し、一定温度に保持する。その後、調合釜の単量体溶液を重合釜に供給し、一定温度に保持された重合溶媒中に滴下して単量体を重合させる。これにより目的の重合体を含む重合反応溶液が得られる。
それぞれ独立した貯槽から重合釜中に滴下する場合、単量体および重合開始剤は、一方を先に滴下した後、遅れて他方を滴下してもよく、両方を同じタイミングで滴下してもよい。
滴下速度は、滴下終了まで一定であってもよく、単量体または重合開始剤の消費速度に応じて、多段階に変化させてもよい。
滴下は、連続的に行ってもよく、間欠的に行ってもよい。
重合温度は、50〜150℃が好ましい。
所定の重合温度で所定時間、重合反応させた後、重合反応を停止させ、重合反応溶液を得る。重合反応を停止させる手法は反応液を冷却させる工程が一般的に用いられるが、ラジカル捕捉剤を投入することによって停止させることもできる。
【0022】
重合溶媒としては、例えば、下記のものが挙げられる。
エーテル類:鎖状エーテル(ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等。)、環状エーテル(テトラヒドロフラン(以下、「THF」と記す。)、1,4−ジオキサン等。)等。
エステル類:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と記す。)、γ−ブチロラクトン等。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と記す。)、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と記す。)、シクロヘキサノン等。
アミド類:N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシド等。
芳香族炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等。
脂肪族炭化水素:ヘキサン等。
脂環式炭化水素:シクロヘキサン等。
重合溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合溶媒としては、単量体、重合開始剤、得られる重合体、連鎖移動剤を併用する場合はその連鎖移動剤、のいずれをも溶解できる溶媒が好ましい。
【0023】
重合開始剤としては、熱により効率的にラジカルを発生するものが好ましい。例えば、アゾ化合物(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等。
)、有機過酸化物(2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等。)等が挙げられる。
連鎖移動剤としては、例えば、1−ブタンチオール、2−ブタンチオール、1−オクタンチオール、1−デカンチオール、1−テトラデカンチオール、シクロヘキサンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、1−チオグリセロール等が挙げられる。
【0024】
[再沈工程]
重合工程後、重合工程で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して重合体を析出させる再沈工程を行ってもよい。再沈は、再沈殿とも呼ばれる方法で、重合反応液中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等を取り除くために有効である。
未反応単量体は、そのまま残存していると重合体の性能を低下させることがある。たとえばレジスト用重合体の場合、これを適用したレジスト組成物の感度等を低下させてしまう。そのため、未反応単量体はできるだけ取り除くことが好ましい。レジスト用重合体の場合、重合体中の不純物としての単量体含有量は2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましく、0.29質量%以下が特に好ましく、0.25質量%以下が最も好ましい。
【0025】
貧溶媒は、目的の重合体を溶解させる能力が小さく、該重合体を析出させ得る溶媒であり、重合体によって異なる。貧溶媒は、目的の重合体の組成に応じて、公知のものを適宜選択して使用できる。
たとえば重合体がリソグラフィー用重合体の場合、用いられる未反応の単量体、重合開始剤等を効率的に取り除くことができる点で、メタノール、イソプロピルアルコール、ジイソプロピルエーテル、ヘプタン、または水が好ましい。
貧溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
重合反応液を、クラス8を超える外気と接触させずに再沈釜へ移送する方法としては、たとえばインラインで移送する方法、クラス8以下の雰囲気下で移送する方法等が挙げられる。
重合反応液を貧溶媒中に滴下する前に、必要に応じて、重合反応液を希釈溶媒で適当な溶液粘度に希釈してもよい。ただしこの場合、希釈溶媒は、クラス8以下の雰囲気から、クラス8を超える外気に接触させないように、たとえばインラインまたはクラス8以下の雰囲気下で移送して重合反応液に添加する。
希釈溶媒としては、重合溶媒と同様のものが挙げられる。希釈溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
希釈を行う場合、希釈後の重合反応液中の溶媒(重合溶媒と希釈溶媒の混合物)の溶解度パラメーター(以下、SP値とも記す。)と、再沈に用いられる貧溶媒のSP値の差は、重合体の良好な分散性が得られ、効率的に単量体を除去できる点で、小さい方が好ましい。溶媒のSP値は、例えば、「ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)」、第4版、VII−675頁〜VII−711頁に記載の方法により求めることができ、具体的には、表1(VII−683頁)、表7〜8(VII−688頁〜VII−711頁)に記載されている。また、複数の溶媒の混合溶媒におけるSP値は、公知の方法により求めることができる。例えば、混合溶媒のSP値は、加成性が成立するとして、各溶媒のSP値と体積分率との積の総和として求めることができる。
【0027】
再沈釜としては、重合体の製造に用いられる通常の製造設備に備えられたものであってよく、特に限定されない。
再沈釜内に入れる貧溶媒の量は、特に限定されないが、未反応単量体をより低減しやすい点で、混合する重合反応液またはその希釈後溶液と同質量以上が好ましく、質量基準で3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましく、6倍以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、多すぎると後のろ過工程における作業効率が悪くなるため、質量基準で10倍以下が好ましい。
【0028】
[ろ過工程]
再沈工程後、通常、該再沈工程で析出させた重合体を含むスラリー(貧溶媒中に析出物が分散した分散液)を、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過機へ移送し、前記重合体をろ別するろ過工程を行う。これにより、目的の重合体が湿粉の状態で得られる。
スラリーを、クラス8を超える外気と接触させずにろ過機へ移送する方法としては、たとえばインラインで移送する方法、クラス8以下の雰囲気下で移送する方法等が挙げられる。
ろ過機としては、公知のものが使用でき、たとえば、ろ過乾燥機、真空式ろ過機、加圧式ろ過機、重力式ろ過機、圧搾式ろ過機、遠心分離機等を用いる方法が挙げられる。これらのなかでも、ろ過乾燥機を用いる方法が好ましい。
ろ過乾燥機は、機器内でろ過、洗浄、乾燥、混合、溶解等の処理を行うことができる装置である。ろ過乾燥機を用いた場合、ろ過工程後に任意に乾燥工程や溶解工程を行う際に、それらの工程を単一の機器内で実施でき、負担が少ない。ろ過乾燥機以外のろ過機の場合、乾燥工程や溶解工程を行う際に、乾燥機や溶解槽への移送を、クラス8を超える外気に接触させないように行う必要がある。
なお、ろ過工程では、前記スラリーからろ別した湿粉を再び貧溶媒に分散させた後にろ別する操作を繰り返してもよい。この操作は、リスラリと呼ばれ、湿粉中に残存する未反応の単量体、重合開始剤等の不純物をより低減させるために有効である。重合体を高い生産性を維持したまま取得できる点では、リスラリを行わず、再沈殿法のみで重合体の析出物を回収することが好ましい。
【0029】
[乾燥工程]
ろ過工程後、ろ別された固形物(重合体の湿粉)を乾燥させる乾燥工程を行ってもよい。
乾燥は、前記ろ過工程で、ろ過機としてろ過乾燥機を使用した場合は、そのまま該ろ過乾燥機内で実施できる。
また、前記ろ過工程でろ別された重合体を、ろ過機から、クラス8を超える外気に接触させることなく乾燥機に移送し、乾燥してもよい。
ろ別された重合体を、クラス8を超える外気と接触させずに乾燥機へ移送する方法としては、たとえばインラインで移送する方法、クラス8以下の雰囲気下で移送する方法等が挙げられる。
乾燥機としては、公知の乾燥機が利用でき、たとえば棚段乾燥機、回転式乾燥機、振盪式乾燥機等が挙げられる。
乾燥機として、乾燥を外気と接する状態で行うもの(たとえば棚段乾燥機等)を用いる場合は、該乾燥機は、クラス8以下の雰囲気下に設置する。乾燥機として、乾燥を外気と接しない状態で行うものを用いる場合、該乾燥機を設置する雰囲気は特に限定されない。
ろ過機と乾燥機とを併用する場合、ろ過機および乾燥機をクラス8以下の雰囲気下に併置し、該雰囲気下でろ過機内の固形物を乾燥機へ移送する方法が、簡便性、空気中からの金属不純物の混入防止等の点で好ましい。
【0030】
乾燥条件は、ろ別した固形物を所定の固形分含有量になるように乾燥できればよく、たとえば減圧乾燥、加圧乾燥、加熱乾燥、風乾等のいずれであってもよい。
より短い時間で乾燥できる点で、乾燥雰囲気下で減圧する減圧乾燥、乾燥雰囲気下で加熱する加熱乾燥、または乾燥雰囲気下で減圧および加熱を行う減圧加熱乾燥が好ましく、特に減圧加熱乾燥が好ましい。
減圧を行う場合の減圧度は、50kPa以下が好ましく、40kPa以下がより好ましく、30kPa以下がさらに好ましい。該減圧度の下限値は特に限定されないが、現実的には0.01kPa以上である。
加熱を行う場合の加熱温度としては30℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。加熱温度の上限は、重合体の熱劣化を防ぐ点で100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
乾燥時間は、乾燥温度および目的の固形分含有量によって異なるが、通常、2〜200時間程度である。
【0031】
[溶解工程]
ろ過工程後、または乾燥工程後、得られた固形物(ろ別された固形分または乾燥した固形分)に溶剤を添加して重合体溶液を得る溶解工程を行ってもよい。
溶解工程で用いる溶剤は、目的の重合体を溶解し得るものであればよく、当該重合体の種類、用途等を考慮して適宜設定できる。たとえば目的の重合体がレジスト組成物の製造に用いるものである場合、該レジスト組成物におけるレジスト溶剤と同じ溶媒を、溶解工程における良溶媒として使用することが好ましい。溶剤は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶剤としては、特に、目的の重合体を室温で溶解し得るものが好ましい。室温で溶解し得るとは、所定の室温(雰囲気温度)中で恒温に達している良溶媒に、積極的な冷却または加熱を行わずに溶解させることを意味する。室温(雰囲気温度)は0〜40℃であり、16〜30℃が好ましい。
溶剤は、クラス8以下の雰囲気から、クラス8を超える外気に接触させないように、たとえばインラインまたはクラス8以下の雰囲気下で移送して、固形物に添加する。
固形物への溶剤の添加および溶解は、ろ過工程でろ過乾燥機を使用した場合は、そのまま該ろ過乾燥機内で実施できる。具体的には、前記ろ過工程でろ別された重合体または乾燥工程で乾燥した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る。
前記ろ過工程でろ別された重合体または乾燥工程で乾燥した重合体と、溶剤とを、撹拌機を備えた溶解槽へ移送し、撹拌して溶解させてもよい。ただし溶解槽への移送は、クラス8を超える外気に接触させないように、たとえばインラインまたはクラス8以下の雰囲気下で行う。
【0032】
[濃度調整工程]
溶解工程後、得られた重合体溶液の重合体濃度を調整する濃度調整工程を行ってもよい。濃度調整工程は、具体的には、溶解工程で得られた重合体溶液を、クラス8を超える外気に接触させることなく濃度調整釜へ移送した後、濃縮するか、または該濃度調整釜へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送して前記重合体溶液に添加して希釈することにより実施できる。
【0033】
濃縮は、重合体溶液中に残留する溶剤等の低沸点化合物の除去等を目的として行われる。
濃縮方法は、公知の濃縮方法を用いることができる。短い時間で濃縮できる点で減圧濃縮することが好ましい。減圧濃縮を行う場合の減圧度は、50kPa以下が好ましく、40kPa以下がより好ましく、30kPa以下がさらに好ましい。該減圧度の下限値は特に限定されないが、現実的には0.05kPa以上である。
減圧濃縮中に加熱することも、短い時間で濃縮できる点で好ましい。加熱温度としては20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がさらに好ましい。また、重合体の熱劣化を防ぐ点で、加熱温度は100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。
【0034】
重合体溶液への溶剤の添加(希釈)は、重合体溶液の粘度の低減、再沈殿溶媒への分散性の向上等を目的として行われる。
希釈に用いる溶剤としては、目的の重合体を溶解し得るものであればよく、前記溶解工程で用いる溶剤と同様のものが挙げられる。
【0035】
濃度調整工程では、濃縮および希釈のいずれか一方のみを行ってもよく、両方を行ってもよい。たとえば濃縮後、溶剤を添加して希釈すると、重合体溶液の溶媒の一部または全部を他の溶媒に置換することができる。
濃度調整後の重合体溶液の重合体濃度は、当該重合体の種類、用途等を考慮して適宜設定できる。たとえば目的の重合体がレジスト組成物の製造に用いるものである場合、5〜70質量%が好ましく、8〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が特に好ましい。
【0036】
本発明の製造方法の好ましい実施形態例としては、以下の実施形態2〜7等が挙げられる。
【0037】
<実施形態2>
実施形態2の製造方法は、下記工程(2a)〜(2c)を含む。
(2a):重合原料を、クラス8以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程[原料仕込み工程]。
(2b):前記(2a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程[重合工程]。
(2c):前記(2b)で得た重合反応液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程[充填工程]。
【0038】
工程(2a)〜(2c)は、それぞれ、前述した原料仕込み工程、重合工程、充填工程と同様に実施できる。
工程(2c)において、重合反応液のクラス8以下の雰囲気下への移送は、クラス8を超える外気と接触させないように行うことが好ましい。
【0039】
<実施形態3>
実施形態3の製造方法は、下記工程(3a)〜(3f)を含む。
(3a):重合原料を、クラス8以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程[原料仕込み工程]。
(3b):前記(3a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程[重合工程]。
(3c):前記(3b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程[再沈工程]。
(3d):前記(3c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程[ろ過工程]。
(3e):前記(3d)でろ別された重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程[乾燥工程]。
(3f):前記(3e)で乾燥した重合体を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程[充填工程]。
【0040】
本実施形態は、重合工程と充填工程との間に、再沈工程、ろ過乾燥機でのろ過工程および乾燥工程を含み、充填工程にて、重合反応液ではなく、ろ別、乾燥した重合体を充填する以外は、実施形態2と同様である。
工程(3a)〜(3c)は、それぞれ、前述した原料仕込み工程、重合工程、再沈工程と同様に実施できる。
工程(3d)は、ろ過乾燥機を用いることを必須とする以外は、前述したろ過工程と同様に実施できる。
工程(3e)は、ろ過乾燥機を用いることを必須とする以外は、前述した乾燥工程と同様に実施できる。
工程(3f)は、前述した充填工程と同様に実施できる。工程(3f)において、乾燥した重合体のクラス8以下の雰囲気下への移送は、クラス8を超える外気と接触させないように行うことが好ましい。
【0041】
<実施形態4>
実施形態4の製造方法は、下記工程(4a)〜(4g)を含む。
(4a):重合原料を、クラス8以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程[原料仕込み工程]。
(4b):前記(4a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程[重合工程]。
(4c):前記(4b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく、貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程[再沈工程]。
(4d):前記(4c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程[ろ過工程]。
(4e):前記(4d)でろ別した重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程[乾燥工程]。
(4f):前記(4e)で乾燥した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る工程[溶解工程]。
(4g):前記(4f)で得た重合体溶液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程[充填工程]。
【0042】
本実施形態は、乾燥工程と充填工程との間に、前記ろ過工程および乾燥工程を行ったろ過乾燥機内での溶解工程を含み、充填工程にて、乾燥した重合体ではなく重合体溶液を充填する以外は、実施形態3と同様である。
工程(4a)〜(4e)はそれぞれ前記工程(3a)〜(3e)と同様である。
工程(4f)は、ろ過乾燥機を用いることを必須とする以外は、前述した溶解工程と同様に実施できる。
工程(4g)は、前述した充填工程と同様に実施できる。工程(4g)において、重合体溶液のクラス8以下の雰囲気下への移送は、クラス8を超える外気と接触させないように行うことが好ましい。
【0043】
<実施形態5>
実施形態5の製造方法は、下記(5a)〜(5h)を含む。
(5a):重合原料を、クラス8以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程[原料仕込み工程]。
(5b):前記(5a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程[重合工程]。
(5c):前記(5b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程[再沈工程]。
(5d):前記(5c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程[ろ過工程]。
(5e):前記(5d)でろ別した重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程[乾燥工程]。
(5f):前記(5e)で乾燥した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る工程[溶解工程]。
(5g):前記(5f)で得た重合体溶液を、前記ろ過乾燥機から、クラス8を超える外気に接触させることなく濃度調整釜へ移送した後、濃縮するか、または該濃度調整釜へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送して前記重合体溶液に添加して希釈することにより重合体濃度を調整する工程[濃度調整工程]。
(5h):前記(5g)で濃度調整した重合体溶液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程[充填工程]。
【0044】
本実施形態は、溶解工程と充填工程との間に、溶解工程で得た重合体溶液の濃度調整工程を行う以外は、実施形態4と同様である。
工程(5a)〜(5f)はそれぞれ前記工程(4a)〜(4f)と同様である。
工程(5g)は、前述した濃度調整工程と同様に実施できる。
工程(5h)は、前述した充填工程と同様に実施できる。工程(5h)において、重合体溶液のクラス8以下の雰囲気下への移送は、クラス8を超える外気と接触させないように行うことが好ましい。
【0045】
<実施形態6>
実施形態6の製造方法は、下記(6a)〜(6g)を含む。
(6a):重合原料を、クラス8以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程[原料仕込み工程]。
(6b):前記(6a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程[重合工程]。
(6c):前記(6b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程[再沈工程]。
(6d):前記(6c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程[ろ過工程]。
(6e):前記(6d)でろ別した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る工程[溶解工程]。
(6f):前記(6e)で得た重合体溶液を、前記ろ過乾燥機から、クラス8を超える外気に接触させることなく濃度調整釜へ移送した後、濃縮するか、または該濃度調整釜へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送して前記重合体溶液に添加して希釈することにより重合体濃度を調整する工程[濃度調整工程]。
(6g):前記(6f)で濃度調整した重合体溶液を、前記ろ過乾燥機から、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程[充填工程]。
【0046】
本実施形態は、ろ過工程後に乾燥工程(工程(5e))を行わない以外は、実施形態5と同様である。
工程(6a)〜(6g)はそれぞれ、前記工程(5a)〜(5d)、(5f)、(5g)と同様である。
重合反応後の重合反応液を貧溶媒に添加して重合体を析出させ、回収した重合体湿粉を乾燥させると、重合体粒子の表面が硬くなり重合体粒子同士が融着して、溶剤に溶解しにくくなることがある。このような場合、ろ別した重合体を乾燥させることなく溶剤を添加することで、短時間で溶解させることができる。また、乾燥に要する時間やコストも低減できる。
【0047】
<実施形態7>
実施形態7の製造方法は、下記工程(7a)〜(7f)を含む。
(7a):重合原料を、クラス8以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程[原料仕込み工程]。
(7b):前記(7a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程[重合工程]。
(7c):前記(7b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程[再沈工程]。
(7d):前記(7c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくクラス8以下の雰囲気下に設置されたろ過機へ移送し、前記重合体をろ別する工程[ろ過工程]。
(7e):前記(7d)でろ別された重合体を、前記ろ過機から、該ろ過機が設置されたクラス8以下の雰囲気下に併置された乾燥機へ移送し、該乾燥機内で乾燥する工程[乾燥工程]。
(7f):前記(7e)で乾燥した重合体を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程[充填工程]。
【0048】
本実施形態は、ろ過工程および乾燥工程を、ろ過乾燥機を使用する代わりに、クラス8以下のクリーンブース内に設置されたろ過機および乾燥機を使用する以外は、実施形態3と同様である。
工程(7a)〜(7c)はそれぞれ、前記工程(3a)〜(3c)と同様である。
工程(7d)は、クラス8以下の雰囲気下に設置されたろ過機を用いることを必須とする以外は、前述したろ過工程と同様に実施できる。
工程(7e)は、前記ろ過機が設置されたクラス8以下の雰囲気下に併置された乾燥機を用いることを必須とする以外は、前述した乾燥工程と同様に実施できる。
工程(7f)は、前述した充填工程と同様に実施できる。工程(7f)において、乾燥機から、乾燥した重合体のクラス8以下の雰囲気下への移送は、クラス8を超える外気と接触させないように行うことが好ましい。
【0049】
本発明の実施形態例として実施形態2〜7を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で変形可能である。
【0050】
[重合体]
本発明の製造方法は製造プロセス中の原料取り扱いブースおよび充填ブースのクラス8以下のクリーン環境とし、設備間の移送を、クラス8を超える外気に接触させずに行うものであるため、多様な重合体の製造プロセスに適用できる。そのため、本発明の製造方法において合成し、容器に充填する重合体としては、特に限定されず、公知のどのような重合体であってもよい。
重合体として具体的には、構造別では、アクリル系重合体、スチレン系重合体(ポリスチレン等。)、塩化ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、シクロオレフィン系重合体、ビニルエーテル系重合体、フッ素系重合体等が挙げられ、用途別では、リソグラフィー用重合体、塗料用重合体、トナー用重合体、成形用重合体等が挙げられる。これらのなかでも、金属不純物量の低減が厳しく要求される点で、リソグラフィー用重合体が好適である。
リソグラフィー用重合体としては、リソグラフィー工程に用いられる重合体であれば、特に限定されない。例えば、レジスト膜の形成に用いられるレジスト用重合体、反射防止膜の形成に用いられる反射防止膜用重合体、ギャップフィル膜の形成に用いられるギャップフィル膜用重合体、トップコート膜の形成に用いられるトップコート膜用重合体が挙げられる。反射防止膜としては、レジスト膜の上層に形成される反射防止膜(TARC)であっても、レジスト膜の下層に形成される反射防止膜(BARC)であってもよい。
【0051】
レジスト用重合体としては、極性基を有する構成単位を含むものが挙げられる。
「極性基」とは、極性を持つ官能基または極性を持つ原子団を有する基であり、具体例としては、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、カルボキシ基、アミノ基、カルボニル基、フッ素原子を含む基、硫黄原子を含む基、ラクトン骨格を含む基、アセタール構造を含む基、エーテル結合を含む基などが挙げられる。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、極性基を有する構成単位として、ラクトン骨格を有する構成単位を有することが好ましく、さらに親水性基を有する構成単位を有することが好ましい。
【0052】
(ラクトン骨格を有する構成単位)
ラクトン骨格としては、例えば、4〜20員環程度のラクトン骨格が挙げられる。ラクトン骨格は、ラクトン環のみの単環であってもよく、ラクトン環に脂肪族または芳香族の炭素環または複素環が縮合していてもよい。
重合体がラクトン骨格を有する構成単位を含む場合、その含有量は、基板等への密着性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、感度および解像度の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0053】
ラクトン骨格を有する構成単位を含む重合体は、ラクトン骨格を有する単量体を重合させることにより得られる。
ラクトン骨格を有する単量体は、ラクトン骨格および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
ラクトン骨格を有する単量体としては、基板等への密着性に優れる点から、置換あるいは無置換のδ−バレロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステル、置換あるいは無置換のγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、無置換のγ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル酸エステルが特に好ましい。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシを意味する。
ラクトン骨格を有する単量体の具体例としては、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、4,4−ジメチル−2−メチレン−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、2−(1−(メタ)アクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、(メタ)アクリル酸パントイルラクトン、5−(メタ)アクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、8−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン、9−メタクリロキシ−4−オキサトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−3−オン等が挙げられる。また、類似構造を持つ単量体として、メタクリロイルオキシこはく酸無水物等も挙げられる。
ラクトン骨格を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
(親水性基を有する構成単位)
本明細書における「親水性基」とは、−C(CF−OH、ヒドロキシ基、シアノ基、メトキシ基、カルボキシ基およびアミノ基の少なくとも1種である。
これらのうちで、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト用重合体は、親水性基としてヒドロキシ基またはシアノ基を有することが好ましい。
重合体における親水性基を有する構成単位の含有量は、レジストパターン矩形性の点から、全構成単位(100モル%)のうち、5〜30モル%が好ましく、10〜25モル%がより好ましい。
【0055】
親水性基を有する構成単位を含む重合体は、親水性基を有する単量体を重合させることにより得られる。
親水性基を有する単量体は、親水性基および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
親水性基を有する単量体としては、例えば、末端ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリ酸エステル;単量体の親水性基上にアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する誘導体;環式炭化水素基を有する単量体(例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸1−イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル等。)が置換基としてヒドロキシ基、カルボキシ基等の親水性基を有するもの;が挙げられる。
親水性基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。基板等に対する密着性の点から、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシアダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシアダマンチル、2−または3−シアノ−5−ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
親水性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
レジスト用重合体が、化学増幅型レジスト用重合体であって、アルカリ現像液により現像した際に露光部が溶解、除去されてポジ型のレジストパターンが形成されるポジ型レジスト組成物用である場合、該レジスト用重合体は、上述した極性基を有する構成単位の他に、酸脱離性基を有する構成単位を有することが好ましい。
「酸脱離性基」とは、酸により開裂する結合を有する基であり、該結合の開裂により酸脱離性基の一部または全部が重合体の主鎖から脱離する基である。化学増幅型レジストにおいて、酸脱離性基を有する構成単位を含む重合体は、光酸発生剤成分から露光により発生する酸と反応して極性が増大する。そのため、該重合体を含有するレジスト膜を選択的に露光すると、レジスト膜の露光部のアルカリ現像液に可溶となり、レジストパターン形成が可能となる。
酸脱離性基を有する構成単位の割合は、感度および解像度の点から、重合体を構成する全構成単位(100モル%)のうち、20モル%以上が好ましく、25モル%以上がより好ましい。また、基板等への密着性の点から、60モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましく、50モル%以下がさらに好ましい。
【0057】
酸脱離性基を有する構成単位を含む重合体は、酸脱離性基を有する単量体を重合させることにより、または親水性基を有する単量体を重合させた後、該親水性基を酸脱離性基で保護することにより得られる。
酸脱離性基を有する単量体は、酸脱離性基および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
酸脱離性基を有する単量体の具体例として、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有し、かつ酸脱離性基を有している(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。該脂環式炭化水素基は、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子と直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して結合していてもよい。
該(メタ)アクリル酸エステルには、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、(メタ)アクリル酸エステルのエステル結合を構成する酸素原子との結合部位に第3級炭素原子を有する(メタ)アクリル酸エステル、または、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基を有するとともに、該脂環式炭化水素基に−COOR基(Rは置換基を有していてもよい第3級炭化水素基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、またはオキセパニル基を表す。)が直接または連結基を介して結合している(メタ)アクリル酸エステルが含まれる。
特に、波長250nm以下の光で露光するパターン形成方法に適用されるレジスト組成物を製造する場合には、酸脱離性基を有する単量体の好ましい例として、例えば、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、1−(1’−アダマンチル)−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、イソプロピルアダマンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸脱離性基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
レジスト用重合体は、上述した極性基を有する構成単位および酸脱離性基を有する構成単位の他に、必要に応じて公知の構成単位をさらに有していてもよい。
【0059】
レジスト用重合体としては、前記極性基を有する構成単位の1種以上と、前記酸脱離性基を有する構成単位の1種以上とを含む共重合体が好ましく、前記ラクトン骨格を有する構成単位の1種以上と、前記酸脱離性基を有する構成単位の1種以上とを含む共重合体がより好ましく、前記ラクトン骨格を有する構成単位の1種以上と、前記酸脱離性基を有する構成単位の1種以上と、前記親水性基を有する構成単位の1種以上とを含む共重合体が好ましい。
【0060】
反射防止膜用重合体の例としては、吸光性基を有する構成単位と、レジスト膜と混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能なアミノ基、アミド基、ヒドロキシル基、エポキシ基等の反応性官能基を有する構成単位とを含む共重合体が挙げられる。
吸光性基とは、レジスト組成物中の感光成分が感度を有する波長領域の光に対して、高い吸収性能を有する基であり、具体例としては、アントラセン環、ナフタレン環、ベンゼン環、キノリン環、キノキサリン環、チアゾール環等の環構造(任意の置換基を有していてもよい。)を有する基が挙げられる。特に、照射光として、KrFレーザ光が用いられる場合には、アントラセン環又は任意の置換基を有するアントラセン環が好ましく、ArFレーザ光が用いられる場合には、ベンゼン環又は任意の置換基を有するベンゼン環が好ましい。
上記任意の置換基としては、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、又はアミド基等が挙げられる。これらのうち、吸光性基として、保護された又は保護されていないフェノール性水酸基を有するものが、良好な現像性・高解像性の観点から好ましい。
吸光性基を有する構成単位を含む重合体は、吸光性基を有する単量体を重合させることにより得られる。吸光性基を有する単量体は、吸光性基および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
上記吸光性基を有する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0061】
反応性官能基を有する構成単位を含む重合体は、反応性官能基を有する単量体を重合させることにより得られる。反応性官能基を有する単量体は、反応性官能基および重合性多重結合を有する化合物であればよく、公知のものを使用できる。重合性多重結合とは重合反応時に開裂して共重合鎖を形成する多重結合であり、エチレン性二重結合が好ましい。
反応性官能基を有する単量体としては、例えば、前述した親水性基を有する単量体の親水性基を反応性官能基で置換したもの等が挙げられる。
反射防止膜用重合体は、上述した吸光性基を有する構成単位および反応性官能基を有する構成単位の他に、必要に応じて公知の構成単位をさらに有していてもよい。たとえば、前述した極性基を有する構成単位のうち、反応性官能基に該当しない極性基を有する構成単位を有していてもよい。
【0062】
ギャップフィル膜用重合体の例としては、狭いギャップに流れ込むための適度な粘度を有し、レジスト膜や反射防止膜との混合を避けるため、硬化剤などと反応して硬化可能な反応性官能基を有する構成単位を含む共重合体、具体的にはヒドロキシスチレンと、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の単量体との共重合体が挙げられる。
トップコート膜は、主に、液浸リソグラフィーにてレジスト膜の上層に形成される。トップコート膜用重合体の例としては、カルボキシル基を有する構成単位を含む共重合体、水酸基が置換したフッ素含有基を有する構成単位を含む共重合体等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明を説明する。ただしこれらの例は、本発明の範囲を如何様にも限定もしくは減縮することを意図したものではなく、本発明を実施するために排他的に利用しなければならない条件、パラメータまたは値を教示するものと解釈されるべきものではない。また、特に断りがない場合、全ての部および百分率は重量に基づく値である。
なお、下記実施例、比較例において、クラス8のクリーンブース(原料供給ブース、ろ過・乾燥ブース、充填ブース等)とは、ISO 14644−1規格におけるクラス8以下の空気清浄度を確保できるブースを示す。同様に、クラス7のクリーンブースはISO 14644−1規格におけるクラス7以下の空気清浄度を確保できるブースを示す。
ブース内およびクリーン管理していない環境の1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数(個/m)は、パーティクルカウンターを用いて、ISO 14644−1に準拠して測定した。
得られた重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel Permeation Chromatography:東ソー製HLC8220GPC)により、ポリスチレン換算で求めた(測定条件:乾粉20mg/溶離液5mL、溶離液:THF)。
また、各重合体の金属イオン濃度(固形分換算、単位:ppb)は、高周波誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS− Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer:Agilent Technologies製7500cs)により、Na、Ca、FeおよびZnを金属分析して求めた。
また、各重合体の金属イオン濃度のうち、製造工程での増加量(コンタミ量)は、各重合体の金属イオン濃度の分析値(実測値)から、理論値(原料からの混入のみで、製造工程での混入がなかった場合の金属イオン濃度)を減じることにより求めた。理論値は、使用した原料に含まれる金属不純物量の合計値であり、使用した原料それぞれの金属イオン濃度と使用量から算出した。
下記実施例、比較例における「インライン」は、外気に触れさせない事を示す。
「室温」は25℃であった。
【0064】
[実施例1]
下記合成手順にて、共重合体Aを合成した。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、および温度計を備えた重合釜に、窒素雰囲気下で、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMEと表記する。)を56.5部、クラス8のクリーンブースからインラインで供給した。重合釜内を攪拌しながら、重合釜の内温を80℃に上げた。
別途、クラス8のクリーンブースで、下記の単量体m−1を18.7部(24.4モル%)、単量体m−2を18.7部(23.5モル%)、単量体m−3を30.5部(52.1モル%)、溶媒としてのPGMEを101.7部、重合開始剤としてのジメチル−2,2’−アゾイソブチレートを3.7部混合して滴下溶液を調製した。
次いで、上記の単量体混合物、溶媒および重合開始剤を含む滴下溶液を、クラス8のクリーンブースから調合釜へインラインで供給し、これを4時間かけて一定の滴下速度で重合釜内にインラインで滴下し、さらに内温80℃の温度を3時間保持した。滴下溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
次いで、重合釜内の重合溶液をクラス8のクリーンブースへインラインで移送し、クリーン容器へ充填した。
その後、クリーン容器から重合溶液の一部を取出し、該重合溶液に含まれる共重合体AのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表1に示す。
【0065】
【化1】

【0066】
[比較例1]
実施例1と同原料で同様に重合した重合溶液を、クリーン管理していない環境にて、クリーン容器へ充填した。なお「クリーン管理していない環境」とは、クラス8より空気清浄度が低い環境を示す。
その後、クリーン容器から重合溶液の一部を取出し、該重合溶液に含まれる共重合体AのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表1に示す。
【0067】
[実施例2]
攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、および温度計を備えた再沈殿釜に、ジイソプロピルエーテル(以下、IPEと表記する。)を1047部、クラス8のクリーンブースからインラインで供給した。再沈釜内を攪拌しながら、再沈釜の内温を25℃に調整した。
実施例1と同原料で同様に重合した重合溶液を、重合釜から2時間かけて一定の滴下速度で再沈釜内にインラインで滴下し、再沈殿した。
重合溶液の滴下終了後、再沈釜内の再沈殿スラリーを、インラインでろ過乾燥機に供給し、ろ過し、ろ別した固形物(重合体湿粉)を乾燥した。
乾燥した重合体粉体をクラス8のクリーンブースへ、クリーン管理していない環境に接触させないように移送し、クリーン容器へ充填した。
その後、クリーン容器から重合体粉体の一部を取出し、該重合体粉体に含まれる共重合体AのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表1に示す。
【0068】
[比較例2]
実施例2と同原料で同様に再沈殿したスラリーを、クリーン管理していない環境にて吸引ろ過し、ろ別した固形分(重合体湿粉)を棚段乾燥機にて乾燥した。乾燥した重合体粉体を、クラス8のクリーンブースにてクリーン容器へ充填した。
その後、クリーン容器から重合体粉体の一部を取出し、該重合体粉体に含まれる共重合体AのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表1に示す。
【0069】
[実施例3]
実施例2と同原料で同様に再沈殿、ろ過、乾燥を行った後、乾燥した重合体粉体の入ったろ過乾燥機内に、PGMEを250部、クラス8のクリーンブースからインラインで供給して重合体粉体を溶解し、重合体溶液を得た。
次いで、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、および温度計を備えた濃度調整釜に、上記の重合体溶液を、ろ過乾燥機内からインラインで供給した。濃度調整釜内で濃縮し、PGMEをクラス8のクリーンブースからインラインで濃度調整釜内に供給して、濃度を調整した。
次いで、この重合体溶液を濃度調整釜からクラス8のクリーンブースへインラインで移送し、クリーン容器へ充填した。
その後、クリーン容器から重合体溶液の一部を取出し、該重合体溶液に含まれる共重合体AのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表1に示す。
【0070】
[比較例3]
実施例3と同原料で同様にろ過乾燥機内にて溶液化した重合体溶液を、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、および温度計を備えた濃度調整釜へ、クリーン管理していない環境にて供給した。濃度調整釜内で濃縮し、PGMEをクラス8のクリーンブースからインラインで濃度調整釜内に供給して、濃度を調整した。
次いで、この高分子化合物溶液をクラス8のクリーンブースへインラインで移送し、クリーン容器へ充填した。
その後、クリーン容器から重合体溶液の一部を取出し、該重合体溶液に含まれる共重合体AのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表1に示す。
【0071】
[実施例4]
下記合成手順にて、共重合体Bを合成した。
窒素導入口、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、および温度計を備えた重合釜に、窒素雰囲気下で、乳酸エチルを64.5部、クラス7のクリーンブースからインラインで供給した。重合釜内を攪拌しながら、重合釜の内温を80℃に上げた。
別途、クラス7のクリーンブースで、下記の単量体m−4を27.20部(240.0モル%)、単量体m−5を31.36部(40.0モル%)、単量体m−6を18.88部(20.0モル%)、溶媒としての乳酸エチルを112.6部、重合開始剤としてのジメチル−2,2’−アゾイソブチレートを2.576部混合して滴下溶液を調製した。
次いで、上記の単量体混合物、溶媒および重合開始剤を含む滴下溶液を、クラス7のクリーンブースから調合釜へインラインで供給し、これを4時間かけて一定の滴下速度で重合釜内にインラインで滴下し、さらに内温80℃の温度を3時間保持した。滴下溶液の滴下開始から7時間後に、室温まで冷却して反応を停止させた。
【0072】
次いで、攪拌機、コンデンサー、温度調整のできるジャケット、および温度計を備えた再沈釜に、重合溶液の約10倍量のメタノール及び水の混合溶媒(メタノール/水=80/20容量比)を、クラス7のクリーンブースからインラインで供給した。再沈釜内を攪拌しながら、再沈釜の内温を25℃に調整した。
前記重合溶液を、重合釜から2時間かけて一定の滴下速度で再沈殿釜内にインラインで滴下し、再沈殿した。
重合溶液の滴下終了後、再沈釜内の再沈殿スラリーを、インラインでクラス7のクリーンブース内にあるろ過機に供給し、ろ過した。
さらに、前記と同じ量の混合溶媒(メタノール/水=90/10容量比)を、クラス7のクリーンブースから前記クリーンブース中のろ過機にインラインで供給し、ろ別した固形物の洗浄を行い、ろ過した。さらに、このろ別した固形物(重合体湿粉)をクラス7のクリーンブース中で棚段乾燥機に移し変え、乾燥した。この乾燥した重合体粉体をクラス7のクリーンブース中で、クリーン容器へ充填した。
その後、クリーン容器から重合体粉体の一部を取出し、該重合体粉体に含まれる共重合体BのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表1に示す。
【0073】
【化2】

【0074】
[比較例4]
実施例4と同原料で同様に乾燥した重合体粉体を、クリーン管理していない環境にて、クリーン容器へ充填した。
その後、クリーン容器から重合体粉体の一部を取出し、該重合体粉体に含まれる共重合体BのMwおよび金属イオン濃度を分析し、金属イオン濃度の分析値(実測値)から、製造工程での金属イオン濃度の増加量(コンタミ量)を求めた。結果を表2に示す。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
上記結果に示すとおり、比較例1〜4では、金属イオン不純物が理論値から5ppb以上増加していたのに対し、実施例1〜4では、理論値からの金属イオン不純物の増加量が2ppb以下であり、比較例1〜4に比べて高純度の重合体が得られた。
また、実施例4では、精製工程により、金属イオン不純物が除去されていた。
したがって重合体または重合体溶液の製造環境のクリーン度を制御し、各設備間の移送をインラインにする本発明によって、重合体製造時の金属イオン不純物のコンタミ量を低減することが可能であり、得られる重合体は、フォトリソグラフィー用組成物等に配合した際に十分な性能を発現できると判断できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程(1a)〜(1b)を含む、重合体または重合体溶液の製造方法。
(1a)重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜に移送し、該重合釜にて単量体を重合し、重合体または重合体溶液を得る工程。
(1b)前記(1a)で得た重合体または重合体溶液を、クラス8を超える外気に接触させることなくクラス8以下の雰囲気下へ移送し、該雰囲気下にて容器に充填する工程。
【請求項2】
下記工程(2a)〜(2c)を含む、重合体溶液の製造方法。
(2a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(2b):前記(2a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(2c):前記(2b)で得た重合反応液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【請求項3】
下記工程(3a)〜(3f)を含む、重合体の製造方法。
(3a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(3b):前記(3a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(3c):前記(3b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程。
(3d):前記(3c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程。
(3e):前記(3d)でろ別された重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程。
(3f):前記(3e)で乾燥した重合体を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【請求項4】
下記工程(4a)〜(4g)を含む、重合体溶液の製造方法。
(4a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(4b):前記(4a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(4c):前記(4b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく、貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程。
(4d):前記(4c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程。
(4e):前記(4d)でろ別した重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程。
(4f):前記(4e)で乾燥した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る工程。
(4g):前記(4f)で得た重合体溶液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【請求項5】
下記(5a)〜(5h)を含む、重合体溶液の製造方法。
(5a):重合原料を、1立方メートル中に存在する粒径0.5μm以上の粒子の数が3,520,000個(以下、「クラス8」と表記)以下の雰囲気下で取り扱い、クラス8を超える外気に接触させることなく重合釜へ移送する工程。
(5b):前記(5a)で移送した重合原料に含まれる単量体を前記重合釜で重合する工程。
(5c):前記(5b)で得た重合反応液を、前記重合釜から、クラス8を超える外気に接触させることなく貧溶媒が入った再沈釜へ移送し、該貧溶媒中に滴下して前記重合反応液に含まれる重合体を析出させる工程。
(5d):前記(5c)で析出させた重合体を含むスラリーを、前記再沈釜から、クラス8を超える外気に接触させることなくろ過乾燥機へ移送し、前記重合体をろ別する工程。
(5e):前記(5d)でろ別した重合体を、前記ろ過乾燥機内で乾燥する工程。
(5f):前記(5e)で乾燥した重合体が入ったろ過乾燥機へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送し、前記重合体に添加して重合体溶液を得る工程。
(5g):前記(5f)で得た重合体溶液を、前記ろ過乾燥機から、クラス8を超える外気に接触させることなく濃度調整釜へ移送した後、濃縮するか、または該濃度調整釜へ、クラス8以下の雰囲気下で取り扱った溶剤を、クラス8を超える外気に接触させることなく移送して前記重合体溶液に添加して希釈することにより重合体濃度を調整する工程。
(5h):前記(5g)で濃度調整した重合体溶液を、クラス8以下の雰囲気下で容器に充填する工程。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法で得られた重合体または重合体溶液。

【公開番号】特開2013−103977(P2013−103977A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248018(P2011−248018)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】