重合体中の磁性ナノ粒子の化学媒介分散液の生成および整列方法

【課題】 重合体マトリクス中で十分分散した磁性ナノ粒子を生成するための方法を提供する。
【解決手段】 ナノ粒子は、非強磁性または弱い強磁性である。分散液は、非強磁性ナノ粒子を強磁性ナノ粒子に転換させ、且つ弱い強磁性ナノ粒子中の強磁性を増進する温度TFMでアニールされる。磁場が分散液に加えられ、分散液が温度Tに加熱される間にナノ粒子を整列する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体マトリクス中の磁性ナノ粒子の化学媒介分散液の生成および整列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重合体薄膜中に分散した磁性ナノ粒子は、磁気テープ中で活性記録層を生成する。そのような複合薄膜において磁気的に保存することができるデータの密度を高めるために、高い荷重(>50重量%)で小さな(ナノスケール)粒子を用いて、重合体マトリクス中でこれらのナノ粒子を均一に分散させるのが望ましい。さらに、ナノ粒子は、データを保存するのに有用であるために、室温で大きな磁気双極子を有する強磁性体でなければならない。重合体マトリクス中にこのような強磁性体ナノ粒子を均一に分散することは、凝集および集塊(agglomeration)を引き起こし易い強い粒子間の磁気力のために問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
重合体マトリクス中で十分分散した磁性ナノ粒子を生成するための方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マトリクス中にナノ粒子を含む分散液を提供し、前記ナノ粒子は非強磁性ナノ粒子、弱い強磁性ナノ粒子またはこれらの組み合わせであり、第1温度TFMで前記分散液をアニールして、前記分散液中の任意の非強磁性ナノ粒子を強磁性ナノ粒子に転換し、且つ前記分散液中の任意の弱い強磁性ナノ粒子の強磁性を増進させ、前記アニール後、前記分散液に磁場を加えて前記ナノ粒子を整列する方法であって、前記分散液が第2温度Tに加熱される間に、前記強磁性ナノ粒子の磁化容易軸は実質的に同一方向に配向される方法を提供する。
【0005】
本発明は、非強磁性ナノ粒子を提供し、前記ナノ粒子がそれぞれ外表面を有しており、前記非強磁性ナノ粒子の前記表面を官能化し、重合体を提供し、前記重合体の化学構造が少なくとも1つの官能基を有しており、前記官能化後、前記重合体中に前記非強磁性ナノ粒子の分散液を生成し、前記重合体中に前記ナノ粒子中の強磁性を誘起して、前記非強磁性ナノ粒子を強磁性ナノ粒子に転換し、前記強磁性ナノ粒子を整列し、前記強磁性ナノ粒子の磁化容易軸をほぼ同じ方向に配向することを含む方法を提供する。
【0006】
本発明は、重合体マトリクス中で十分分散した磁性ナノ粒子の生成方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されているが、発明そのものは、添付の図面とともに、下記の具体例の詳細な説明を参照にして容易に理解されるだろう。
【0008】
本発明の特定の実施形態を詳述するが、添付の特許請求の範囲の範疇を逸脱することなく、各種の変化および変更があり得ることを理解すべきである。本発明の範疇は、構成成分の数、その物質、その形状、その相対的な配列などに制限されず、単に実施形態として開示される。本発明の特徴および利点は、添付の図面とともに詳しく説明され、図において、同一要素には、同一符号を付する。図面は本発明を容易に理解するためのものである。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に対して通常の方法のステップ10〜15を説明するフローチャートであり、この図1は、重合体マトリクス中で強磁性または弱い強磁性ナノ粒子の均一な分散のための方法を提供する。ナノ粒子は、固体成分を有し、約1nmないし約500nmの範囲の最小直径を有する粒子として定義される。ステップ10は、ナノ粒子を提供するステップであり、ナノ粒子は、非強磁性、弱い強磁性またはそれらを組み合わせたものであってもよい。ナノ粒子は、単一元素または化合物からなっていてもよく、または2以上の異なる元素または化合物のナノ粒子の混合物であってもよい。ステップ11は、ナノ粒子の分散のためのマトリクスを提供するステップである。マトリクスは、重合体のような高分子化合物であってもよい。
【0010】
ステップ12は、マトリクス中でナノ粒子の分散液を生成するステップである。分散液は、例えば、溶液中で重合体とナノ粒子とを配合、または混合して生成してもよいが、重合体が溶融状態、または流体状態であるとき、または重合体が生成される重合反応中には、直接混合法が用いられても良い。分散を容易にするために、ナノ粒子の外表面は、マトリクス中での分散前に官能化された界面活性剤のような官能化剤との反応により、化学官能基で官能化されてもよい。
【0011】
マトリクス中におけるナノ粒子の組み合わせは、ステップ13でフィルムまたは他の固体形態に生成されて、固体マトリクス中に非強磁性ナノ粒子を含む分散液を提供することができ、ここで、複合フィルム(分散したナノ粒子のあるマトリクスを含む)の厚さは、約3nmないし約50ミクロンであってもよい。フィルムは、磁気記録媒体として用いるための磁気テープに生成されてもよい。フィルムの生成は、スピンコート、ドクターブレード、ディップコートなどの工程を含み、本発明の方法によって、個別またはこれらの組み合わせで用いられてもよい。
【0012】
図2は、マトリクス22中のナノ粒子21の分散液23に対する説明図であり、ここで分散液は、フィルムに生成される。
【0013】
分散液23は、図1のステップ14と、また図3で説明するように、分散した非強磁性ナノ粒子21中で強磁性が誘起される温度TFMに分散液23を加熱することでアニールされてもよい。強磁性の誘起は、1つの相から他の相への結晶構造の転換を伴うであろう。つまり、強磁性結晶相に転換することにより、非強磁性ナノ粒子21を強磁性粒子24に転換させる。ナノ粒子が弱い強磁性であれば、TFMへの分散液の加熱は、既に部分的に存在する強い強磁性相の部分を増加させ、それにより弱い強磁性ナノ粒子を、磁性が増進された、または強い強磁性粒子に転換することにより、弱い強磁性ナノ粒子の強磁性を増進することができる。これらの特定の相は、ナノ粒子を構成する物質に依存する。TFMは、分散液中のナノ粒子をアニールして、所望の相が生成されることが見られるように様々な温度でアニールした後、X線回折パターンを記録することにより、与えられたナノ粒子のタイプおよび大きさに対して実験的に決めてもよい。加熱は、オーブン、電熱面、放射発熱体、または分散液を加熱するための任意の他の手段などの加熱手段31を用いて行われてもよい。TFMは、約100℃ないし約500℃の範囲であってもよい。
【0014】
ナノ粒子21中における磁性の誘起または増進前に、重合体マトリクス22中におけるナノ粒子21を分散することにより、強い粒子間の強磁性の引力によって誘起される可能性のあるナノ粒子凝集を減少することができる。このような方法では、ナノ粒子が実質的に互いに分離された、均一、かつ一定の分散液を提供することができる。固体フィルムの状態で、重合体マトリクス中のナノ粒子の動きは、局部的な回転に制限されることがあり、ここでナノ粒子の移動および集塊が全般的に禁止される。固体相中で磁性誘起することで、重合体マトリクス中に既に均一に分散されたナノ粒子24を強磁性化することができる。
【0015】
強磁性ナノ粒子24は、ステップ15と、図4で説明するように、温度Tで加熱しながら分散液23に磁場41を加えることで整列されてもよい。ナノ粒子24が整列されると、その磁化容易軸は、実質的に同一方向に配向されてもよい。例えば、磁気テープの場合、ナノ粒子の磁化容易軸は、テープの平面に対し垂直に整列されてもよい。他の例において、整列されたナノ粒子の磁化容易軸は、テープの平面に平行の平面であってもよく、テープの長さに沿って配向されてもよい。ナノ粒子24は、整列する間に物理的に回転または動作することができ、これには、重合体マトリクス22との可逆結合(例えば水素結合)の解離および再生成が伴うであろう。また、Tにおける加熱によって回転が容易になるだろう。ナノ粒子24および重合体マトリクス22との間の化学的な相互作用は、均一な分散を容易にし、加えられた磁場41の影響下で、重合体マトリクス22中でナノ粒子24が回転するように許容するTで充分に不安定である。このような整列は、重合体マトリクス22が、例えば、粒子凝集、重合体マトリクス剛性、または立体障害などにより阻害されない範囲内において提供されたナノ粒子の回転を起こす。ナノ粒子24を整列するための磁場41の強さは、500Oeないし20kOeであってもよい。Tは、約50℃ないし約500℃の範囲であってもよい。
【0016】
温度TFMおよびTは、重合体組成、ナノ粒子組成、およびドーパント濃度とタイプによって変わる。TFMは、Tより高く、またはTより低く、またはナノ粒子を整列してナノ粒子中に強磁性を誘起することは、実質的に等温で行われ、TFMおよびTは、実質的に等温であってもよい。
【0017】
特定の粒子−マトリクスの相互作用は、例えば50重量%のナノ粒子濃度より大きな高い荷重であっても、磁場誘起ナノ粒子の整列を容易にするために、マトリクス中で粒子回転を許容しながら粒子凝集を妨げることもある。ナノ粒子の荷重は、本発明の範疇内で約5重量%ないし99重量%の濃度の範囲であってもよい。好ましい条件は、例えば、ナノ粒子の官能化された表面と重合体との間の化学的に好ましい相互作用などの、ナノ粒子と重合体マトリクスとの間で熱可逆性相互作用を通じて達成することができる。このような相互作用は、双極子−双極子力、水素結合、イオン結合、これらの組み合わせなどの分子間力、および粒子の凝集を妨げることができる任意の他の分子間力を通じて達成される、重合体の化学構造内の官能基に対するナノ粒子の選択的親和性(preferential affinity)を含む。
【0018】
官能化されたナノ粒子の表面上の官能基は、重合体マトリクス中に官能基との結合(例えば、水素結合など)を選択的に生成することができる。重合体およびナノ粒子上の官能基は、重合体官能基どうしまたはナノ粒子官能基どうしの自己相互作用(self−interactions)が重合体およびナノ粒子官能基の間の相補的な相互作用のために最小化するように選択されてもよい。自己相互作用に対する相補的な相互作用の強さは、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光学によって、実験的に求められるであろう。相互作用の強さを示す、会合定数(association constant)Kは、それぞれの水素結合の相互作用に対するこれらの実験から決められてもよい。大きい値のKは、官能基間のさらに強い相互作用を示す。重合体とナノ粒子官能基との間の選択的結合は、溶液および固体フィルム中でナノ粒子の集塊を防止することができるが、これはナノ粒子に附随する官能基が、重合体の官能基に対して、他のナノ粒子の表面の官能基よりもさらに大きい親和力を有するためであろう。そうではなく、選択的結合が存在しない場合には、ナノ粒子は、互いに結合され、溶液中または固体フィルムマトリクス中に大きいクラスタが生成されるだろう。重合体の官能基に対する選択的親和力により、重合体中でのナノ粒子の増可溶性を増加させ、さらに高い荷重のフィルムを提供することができる。選択的親和力は、例えば、グアニジン、ウラシリル、ウレア、イミン、アミド、またはアミン基のような含窒素基などを重合体の化学構造内に含むことにより達成されてもよい。このような含窒素官能基は、このように官能化されたナノ粒子の表面上でカルボン酸、水酸基、またはその他の類似した酸素含有基と水素結合を選択的に生成することができる。水素結合をすることができる他の官能基でも類似の選択的結合を観測できるだろう。
【0019】
ナノ粒子が整列する間に必要とされる温度Tは、ナノ粒子上の官能基だけでなく、マトリクス中にある官能基の選択により決められてもよい。ナノ粒子およびマトリクスの間の結合の強さは、必要とされる温度に直接に影響を与えることがある。必要とされる温度、または熱エネルギーは、相互作用(水素結合など)の強さ、およびナノ粒子および重合体マトリクスの間に存在する相互作用の数の両方に関連するだろう。例えば、より強い水素結合は、整列の際にナノ粒子の動きを許容し、ナノ粒子−マトリクス親和力を圧倒するためにより高い温度を必要とするであろう。最小限の熱エネルギーが水素結合の相互作用を解くために必要とされるだろう。例えば、相互作用の強さに基づき水素結合の相互作用を適当に選択することにより、必要とされるTを調節することができる。
【0020】
ナノ粒子中のドーパントの濃度およびタイプ(例えば、アンチモンドープされた鉄−白金と金ドープされた鉄−白金との比較)は、ナノ粒子の強磁性の誘起に必要とされるTFMの値に影響を与えることができる。強磁性の誘起は、例えば、六方最密相(hexagonal close packed phase,hcp)への変化のようなナノ粒子の結晶構造の変化を伴う。ナノ粒子の構造内のドーパントの濃度および組成は、結晶性構造の変化に必要とされるエネルギーに影響を与える場合がある。ナノ粒子中のドーパントの存在は、ナノ粒子中の強磁性の誘起に必要な温度を低下させることができ、低い温度により、誘起の工程中に重合体の熱分解の可能性をさらに減少することができる。
【0021】
本発明は、少なくともTFMおよびTより高い温度まで安定した、熱的に安定した重合体マトリクス物質を利用しても良い。重合体マトリクスの高い熱安全性は、非強磁性ナノ粒子中で強磁性を誘起したり、弱い強磁性ナノ粒子中で強磁性を増進するために加熱する間に、マトリクスに対し安定した構造を提供することができる。低い熱安定性の重合体マトリクスは、アニールまたは整列工程に耐えられるTFMまたはTに充分に安定しないこともあり、分解されることもある。
【0022】
本発明の一実施形態において、重合体マトリクスは、次の代表的な反応によって合成されてもよい。
【化1】

[式中、nは約8ないし約200であり、ここでRは、
【化2】

であってもよい。]
【0023】
前記反応において、化合物Iが、化合物IIIの存在下で化合物IIと反応して化合物IVが得られることが分かる。下記の式は、Rは
【化3】

である前記式1の反応を示す。
【化4】

[式中、nは8ないし200である。]
【実施例1】
【0024】
窒素流入口、オーバヘッド攪拌器、およびディーン・スターク・トラップが設けられた50mlの3口の丸底フラスコに、1当量(1g、4.4mmol)のIII(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)および1当量のI(4,4’−ジフルオロベンゾフェノン)(0.8728g、4.0mmol)(90%)と、5−アミノウラシルケチミンV(0.144g、0.44mmol)(10%)との混合物を加えた。12mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を添加し、次いで、微粉砕された炭酸カリウム(5.0g)およびトルエン(20ml)を添加した。反応物は、攪拌し、24時間、140℃で加熱し、その後、ディーン・スターク・トラップでトルエンを集め、温度を約24時間に160℃に上げた。極端に粘性が高くなった混合物は、テトラヒドロフラン中で溶解させ、メタノール(500ml)で沈澱して淡褐色の脆性の固体(1.28g)が得られた。
【0025】
ジフルオロケチミンIIは、下記の通常の反応によって合成されてもよい。
【化5】

【実施例2】
【0026】
本発明の一実施形態において、Rが
【化6】

であるジフルオロケチミン単量体は、前記式によって合成されてもよい。250mlの3口の丸底フラスコに、4.36g(0.02モル(mol)の4,4’−ジフルオロベンゾフェノンおよび5当量の1,4−フェニレンジアミン(10.81g、0.1mmol)を加えた。反応物は、p−キシレン(120ml)中で撹拌し、触媒量のp−トルエンスルホン酸(0.20g、5%重量/重量)を溶液に添加した。フラスコには、窒素流入口およびディーン・スターク装置が設けれており、反応混合物は、約24時間140℃で撹拌した。その後、濃い褐色の溶液を室温まで冷却し、溶媒は真空で除去した。生成物は、酢酸エチル/ヘクサンを使用したシリカゲルカラムを通じて粗反応混合物を流出することにより、過量の1,4−フェニレンジアミン出発物質から分離した。純粋なジフルオロケチミン生成物を含む分画を真空乾燥して鮮かな黄色固体(3.58g、58%の収率)が得られた。
【実施例3】
【0027】
本発明の一実施形態において、単量体N−(5−ウラシル−イル)−4,4’−ジフルオロベンゾフェノンイミンIXを下記の反応によって合成した。
【化7】

オーバヘッド攪拌器付きの丸底フラスコに、1.16g(0.009mol)の5−アミノウラシルを6g(0.027mol)の4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとともに加え、50/50(体積/体積)n−メチルピロリドン/n−シクロヘキシルピロリドン溶媒混合物で洗浄し、約3日間180℃で加熱した。混合物は、ヘキサンで単離し、イソプロパノールから2回再結晶化した。生成物は、イソプロパノールでリンスし、吸引乾燥してオーブンにて一晩真空乾燥した。
【実施例4】
【0028】
本発明の一実施形態において、ジフルオロ−ウレア単量体VIIを下記反応によって合成した。
【化8】

【0029】
1,4−フェニレンジアミンケチミン(0.308g、1mmol)をトルエン(35ml)に溶解した。1−イソシアナトブタン(0.115g、1mmol)を添加し、反応物は100℃で24時間撹拌した。その後、黄色溶液は室温まで冷却し、溶媒は真空で除去して黄色固体(0.32g、78%の収率)が得られた。
【実施例5】
【0030】
本発明の一実施形態において、ジフルオロ−グアニジン単量体VIIIを下記の反応によって合成した。
【化9】

【0031】
1,4−フェニレンジアミンケチミン(1.233g、4mmol)、1−H−ピラゾール−1−カルボキシアミド(0.586g、4mmol)およびニトロベンゼン(1.0ml)の混合物を160℃で5時間還流した。室温まで冷却後、ジエチルエーテル(10ml)を添加し、約1時間の冷却により、褐色の油状物質として粗生成物が分離された。上澄液は、デカンテーションで除去し、残渣は、真空乾燥した。
【0032】
本発明の一実施形態において、重合体マトリクスは、下記の代表的な反応によって合成されてもよい。
【化10】

[式中、nは、約8ないし約200であってもよく、Rは、
【化11】

およびその他の類似した構造であってもよい。]
【0033】
前記ジフルオル化された単量体Xは、下記の実施例によって合成されてもよい。
【実施例6】
【0034】
本発明の一実施形態において、単量体XI(1,3−ビス(4−フルオロベンゾイルアミノ)ベンゼン)は、下記反応によって合成される。
【化12】

【0035】
1,3−フェニレンジアミン(10.8g、0.1mol)を500mlのジクロロメタンに溶解し、さらにトリエチルアミン(28.0ml、20.2g、0.2mol)を添加した。溶液は、約30分にかけて4−フルオロベンゾイル塩化物(24.0ml、31.7g、0.2mol)を滴下する前に、0℃に冷却した。0℃で2時間撹拌した後、溶液は室温(約25℃)まで加温し、18時間撹拌した。得られた沈殿物は、ろ過で単離し、吸引乾燥した。沈殿物は、300mlの還流エタノール中で30分間再懸濁させた後、冷却し、ろ過で単離し、エタノールでリンスし、吸引乾燥して、一晩真空乾燥した。収率32.0gの白色粉体であった。
【実施例7】
【0036】
本発明の一実施形態において、単量体2,6−ビス(4−フルオロベンゾイルアミノ)ピリジンXIIは、下記反応によって合成される。
【化13】

【0037】
2,6−ジアミノピリジン(10.9g、0.1mol)を500mlのジクロロメタンに溶解し、トリエチルアミン(28.0ml、20.2g、0.2mol)を添加した。溶液は、約30分にかけて4−フルオロベンゾイル塩化物(24.0ml、31.7g、0.2mol)を滴下する前に、0℃に冷却した。0℃で2時間撹拌した後、溶液は室温(約25℃)まで加温し、18時間撹拌した。得られた沈殿物は、ろ過で単離し、吸引乾燥した。沈殿物は、300mlの還流エタノールから再結晶化し、ろ過で単離し、エタノールでリンスし、吸引乾燥して、一晩真空乾燥した。収率34.0gの白色結晶であった。
【0038】
非強磁性または弱い強磁性ナノ粒子は特に制限されないが、1)Co、Fe、Ni、2)PdまたはPtのあるCo、FeおよびNi化合物、および3)すべてのこれらの物質および化合物のAuまたはSbドープされた変種から生成してもよい。FePtナノ粒子は、Au、Sb、Ag、Pd、Cr、またはCuでドープされてもよい。AlMnのナノ粒子は、AuおよびSbドープされた同一の変種を含み、本発明の範疇内で用いられてもよい。NiおよびMnは、本発明の範疇内でドーパントとして提供されてもよい。異なる物質のナノ粒子は、本発明により組み合わせで用いられてもよい。非強磁性または弱い強磁性ナノ粒子は、下記実施例によって合成されてもよい。
【実施例8】
【0039】
本発明の一実施形態において、非強磁性または弱い強磁性コバルト(Co)ナノ粒子はジコバルトオクタカルボニル(Co(CO))から合成される。Co(CO)(0.54g)を激しく振とうすることで3mlのo−ジクロロベンゼンに溶解させて前駆体溶液を生成する。o−ジクロロベンゼンに溶解された200μlのオレイン酸および100mgのトリ(n−オクチル)フォスフィンオキシドを含むフラスコを窒素下に182℃で還流した。前駆体溶液をフラスコに注入し、反応物は15分間還流を維持し、その後、熱源を除去することにより冷却することができる。ナノ粒子は、エタノールで沈殿し遠心分離することにより、溶液から分離することができる。
【0040】
重合体マトリクスとの相互作用を容易にするために、ナノ粒子は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中の化学量論的の量のスベリン酸無水物と5−アミノウラシルの反応から生成された7−(5−ウラシル−イルカルバモイル)ヘプタン酸
【化14】

のような官能化された界面活性化剤で官能化されることができる。
【0041】
ナノ粒子を、48時間、DMF中の0.1M酸の溶液中で振とうし、その後、遠心分離によって過量の7−(5−ウラシル−イルカルバモイル)ヘプタン酸から分離した。7−(5−ウラシル−イルカルバモイル)ヘプタン酸のウラシル官能基は、例えば、グアニジン、ウラシル、ウレア、イミン、アミド、またはアミン基などの重合体マトリクス中の含窒素部分の水素結合を選択的に生成することができる。このようなナノ粒子および重合体マトリクスの間の熱可逆性の相互作用は、粒子凝集を妨げることがあり、よって、マトリクス中のナノ粒子の均一な分散を促進することができる。ナノ粒子は、水素結合の可逆性によって粒子整列中にマトリクス中で回転することができる。
【0042】
官能化されたナノ粒子は、60℃で24時間12mg/mlのナノ粒子および3mg/mlの重合体のシクロヘキサノン溶液を振とうし、その後、この複合溶液を60秒間、2000回転/分(rpm)で薄膜にスピンキャスティングし、溶媒を蒸発させることで、重合体マトリクス中で均一に分散させることができる。得られたフィルムは、約30nm厚さおよび80重量%のナノ粒子濃度を有する。
【0043】
強磁性は、真空下で3時間、約300℃の温度TFMでフィルム分散液を加熱することいにより、ナノ粒子中で誘起または向上することができる。これにより、ナノ粒子が強磁性の六方最密(hcp)相に転換されるであろう。強磁性ナノ粒子は、約3時間、約180℃の温度Tで分散液に10kOeの磁場を加えることにより、重合体マトリクス中で整列される。そのフィルムは、磁場を提供するために、振動型試料磁力計のポール(pole)の間に位置する温度制御試料ステージを用いて加熱されてもよい。テープ上のフィルムは、例えば、磁場を提供する直列磁石または磁石のポール間にある放射ヒータ上で通過することができる。
【実施例9】
【0044】
本発明の一実施形態において、非強磁性または弱い強磁性の金−ドーブされた鉄−白金(FePtAu)ナノ粒子が、98mgの白金(II)アセチルアセテート(Pt(acac))、5mgの塩化金(III)(Au(Cl))、240mgの1−アダマンタンカルボン酸、2.4gのヘキサデシルアミン、および10mlのフェニルエーテルを含むフラスコを窒素存在下で160℃に加熱することで合成される。66μlのペンタカルボニル鉄(Fe(CO))を注射器にて添加し、溶液は、約220℃まで約3℃/分の速度で加熱することができる。この温度は、約1時間維持し、その後、溶液は、約3時間(約260℃)で還流される。冷却時、ナノ粒子は、エタノールを使用した沈澱化および遠心分離によって溶液から分離することができる。
【0045】
重合体マトリクスとの相互作用を容易にするために、ナノ粒子は、シリケート前駆体で官能化される。図5は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)およびテトラエトキシシラン(TEOS)と前記合成されたFePtナノ粒子の官能化反応に対する説明図である。図5は、前記合成ステップによって生成されたように、FePtコア55を被覆するアミン官能化された基のシェル53を有する反応物のナノ粒子を示す。一部を切り取った断面51は、FePtコア55を示すために除去された。生成物のナノ粒子は、シリケート前駆体シェル54の一部を切り取った断面52で見られるように造られたFePtコア58とともに示し、ここで表面層は、−SiOH官能化された基(57)からなる。
【0046】
ナノ粒子は、0.1mg/ml濃度でヘキサンに分散した10mlのナノ粒子とエタノール中の3−アミノプロピルトリエトキシシランの1mM(millimolar)溶液400mlを配合することによりシリカシェルで被覆されてもよい。この溶液を2時間振とうし、その後、ナノ粒子は、強い磁石で単離され、溶液は除去される。ナノ粒子は、ジベンジルエーテル中の280μlのTEOSの2リットル溶液に添加されてもよい。溶液は、200mlの脱イオン水を添加しながら撹拌した後、さらに3時間撹拌してもよい。ナノ粒子は、強い磁石で収集され、一方、溶液は除去され、エタノールで洗浄されてもよい。
【0047】
官能化されたナノ粒子は、60℃で24時間、12mg/mlのナノ粒子および3mg/mlの重合体のシクロヘキサノン溶液を振とうし、次いで、この複合溶液を2000rpmで60秒間薄膜にスピンキャスティングし、溶媒を蒸発させることで、重合体マトリクス中に均一に分散することができる。得られたフィルムは、約30nm厚さであってもよく、80重量%のナノ粒子濃度を有してもよい。
【0048】
強磁性は、アルゴン中の5%水素(体積/体積)下で3時間、TFM=400℃で分散液を加熱することにより、ナノ粒子中で誘起または増加させることができる。強磁性ナノ粒子は、3時間、200℃の温度Tで加熱しながら分散液に10kOeの磁場を加えることにより、整列される。そのフィルムは、磁場を提供するために、振動型試料磁力計のポール間に位置する温度制御試料ステージを用いて加熱されてもよい。テープ状のフィルムは、例えば、磁場を提供する直列磁石または磁石のポール間にある放射ヒータ上で通過することができる。
【0049】
本発明の上述した実施形態は、説明および技術の目的のために存在するものである。本発明を開示された正確な形態で究明しまたは制限しようとするのではなく、各種の変形および変更が可能である。当業者に明白なこのような変形および変更は、添付の特許請求の範囲によって限定されるように、本発明の範疇内に含ませる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る、通常の方法のステップ10〜15を説明するフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に係る、マトリクス中のナノ粒子の分散液に対する説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る、マトリクス中のナノ粒子の、分散液がアニールされてもよい分散液に対する説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、マトリクス中の強磁性ナノ粒子の、強磁性ナノ粒子が整列されてもよい分散液に対する説明図である。
【図5】FePtナノ粒子の官能化反応の説明図である。
【符号の説明】
【0051】
21 ナノ粒子
22 マトリクス
23 分散液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス中にナノ粒子を含む分散液を提供し、前記ナノ粒子は非強磁性ナノ粒子、弱い強磁性ナノ粒子またはこれらの組み合わせであり、
第1温度TFMで前記分散液をアニールして、前記分散液中の任意の非強磁性ナノ粒子を強磁性ナノ粒子に転換し、且つ前記分散液中の任意の弱い強磁性ナノ粒子の強磁性を増進させ、
前記アニール後、前記分散液に磁場を加えて前記ナノ粒子を整列する方法であって、前記分散液が第2温度Tに加熱される間に、前記強磁性ナノ粒子の磁化容易軸は実質的に同一方向に配向される、方法。
【請求項2】
前記マトリクスが重合体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散液がフィルムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散液の前記アニール前に、前記フィルムから磁気テープを生成することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルムが3ナノメートル(nm)から50ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
FMおよびTが、それぞれ50℃から500℃の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マトリクス中の前記ナノ粒子が前記マトリクス中の非強磁性ナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マトリクス中の前記ナノ粒子が前記マトリクス中の弱い強磁性ナノ粒子である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノ粒子が前記分散液中に5重量%と99重量%との間の濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記磁場が500エルステッド(Oe)と20,000Oeとの間の磁場強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
FMがTより高く、またはTより低い、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
FMおよびTがほぼ同じ温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
非強磁性ナノ粒子を提供し、前記ナノ粒子はそれぞれ外表面を有しており、
前記非強磁性ナノ粒子の前記表面を官能化し、
重合体を提供し、前記重合体の化学構造は少なくとも1つの官能基を有しており、
前記官能化後、前記重合体中に前記非強磁性ナノ粒子の分散液を生成し、
前記重合体中に前記ナノ粒子中の強磁性を誘起して、前記非強磁性ナノ粒子を強磁性ナノ粒子に転換し、
前記強磁性ナノ粒子を整列し、前記強磁性ナノ粒子の磁化容易軸をほぼ同じ方向に配向することを含む方法。
【請求項14】
前記非強磁性ナノ粒子の前記表面の前記官能化が、官能化された界面活性剤、シリカ、またはこれらの組み合わせで前記表面を官能化することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記官能化された界面活性剤が7−(5−ウラシル−イルカルバモイル)ヘプタン酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記の少なくとも1つの官能基が窒素含有基を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記重合体が一般式
【化1】

[式中、nは8と200との間にあり、Rは、
【化2】

からなる群から選択される]
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記重合体が一般式
【化3】

[式中、nは8と200との間にあり、Rは、
【化4】

からなる群から選択される]
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ナノ粒子がFe、Co、Ni、AlMnおよびこれらの組み合わせからなる群から選択された物質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記物質がAu、Sbまたはこれらの組み合わせでドープされる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ナノ粒子がPd化合物、Pt化合物、またはFe、Co、Niとこれら化合物との組み合わせ、またはこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物がAu、Sbまたはこれらの組み合わせでドープされる、請求項21の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−192283(P2008−192283A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12323(P2008−12323)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】