説明

重合体及び重合体の製造方法

【課題】酸素透過膜に有用な新規な重合体を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表される繰り返し単位を含有する重合体。
【化1】


[式(1)中、Rは水素、分岐状アルキル基、又はトリアルキルシリル基であり、Rは下記式(2)で示され、式(2)中、Rは水素原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、または置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を示す。]
【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体及び重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子の応用範囲の拡大に伴い、酸素透過能など、様々な機能を備えた機能性高分子が検討されている。特許文献1には、酸素透過膜に用いる重合体として、ポリ[1−(トリメチルシリル)−1−プロピン]が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−195678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、酸素透過膜の応用範囲が広がっており、従来にない新たな酸素透過膜用の重合体が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、酸素透過膜に有用な新規な重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の重合体は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含有する。
【化1】

【0007】
式(1)中、Rは水素、分岐状アルキル基、又はトリアルキルシリル基であり、Rは下記式(2)で示され、式(2)中、Rは水素原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、または置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を示す。
【0008】
【化2】

【0009】
本発明に係る重合体は、上述の繰り返し単位を含有することにより、酸素を透過させることができる。また、この重合体は、窒素の透過性よりも酸素の透過性が高く、酸素/窒素選択透過性を有する。
【0010】
ここで、Rは直鎖又は分岐状の炭素数1〜12の置換されたアルキル基または炭素数6〜10の置換された芳香族炭化水素基であり、置換されたアルキル基又は置換された芳香族炭化水素基は1以上の置換基を有し、置換基は―COOH、−OH、−SH、−NH、―COH、−F、−Cl、−Br、−I、―COOR、−OR、−SR、−N(R)および―NHR(ただし、Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基である)からなる群より選択されることが好ましい。2つ以上の置換基が存在する場合、それらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0011】
また、置換基が、−F、−Cl、−Brまたは−Iからなる群より選択されることが好ましい。
【0012】
また、置換基の少なくとも1つが−Fであることがより好ましい。
【0013】
本発明の重合体の製造方法は、式(3)で表される繰り返し単位を含有する重合体と、N―R(ただし、Rは水素原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、または置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を示す。)と、を接触させる工程を含む。
【化3】

【0014】
式(3)中、Rは水素、分岐状アルキル基、又はトリアルキルシリル基である。
【0015】
本発明に係る重合体の製造方法によれば、酸素透過性を有する、上記の新規な重合体を得ることができる。
【0016】
ここで、式(3)で表される繰り返し単位を含有する重合体が膜状であり、この重合体が不溶の溶媒中で、重合体とN―Rとを接触させることが好ましい。
【0017】
式(3)で表される繰り返し単位を含有する重合体が膜状であり、重合体が不溶の溶媒中で、重合体とN―Rとを接触させることにより、酸素透過性を有する上記の重合体膜を容易に得ることができる。また、得られた重合体膜は、酸素/窒素選択透過性も有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、酸素透過膜として有用な新規な重合体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1〜4におけるクリック反応に供する原料重合体のIRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られた重合体のIRスペクトルである。
【図3】実施例2で得られた重合体のIRスペクトルである。
【図4】実施例3で得られた重合体のIRスペクトルである。
【図5】実施例4で得られた重合体のIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0021】
[重合体]
本実施形態に係る重合体は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含有する。
【化4】

【0022】
式(1)中、Rは水素、分岐状アルキル基、又はトリアルキルシリル基であり、Rは下記式(2)で示され、式(2)中、Rは水素原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、または置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を示す。
【0023】
【化5】

【0024】
なお、上記重合体において複数含まれる式(1)で表される繰り返し単位は、互いにRを有するフェニル基とRを有するフェニル基との位置が左右反転していてもよい。また、上記重合体において複数含まれる式(1)で表される繰り返し単位は、それぞれ独立にシス型であってもトランス型であってもよい。シス型、トランス型については、重合体膜のラマン分光測定などにより、同定することができる。
【0025】
式(1)中、Rの分岐状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。炭素数は、好ましくは3〜12、より好ましくは3〜6である。
また、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、オクチルジエチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基などが挙げられ、好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基が挙げられ、より好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基が挙げられる。
【0026】
式(2)中、Rの置換されていてもよい直鎖又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基とは、直鎖又は分岐状の非置換の炭素数1〜12のアルキル基、又は、直鎖又は分岐状の非置換の炭素数1〜12のアルキル基の炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子が、水素原子以外の原子又は置換基で置換されたものを意味する。直鎖又は分岐状の非置換の炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノナニル基、デカシル基、ウンデカシル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0027】
式(2)中、Rの置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基とは、非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、又は、非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基の、芳香環を構成する炭素原子に結合した少なくとも一つの水素原子が、水素原子以外の原子又は置換基で置換されたものを意味する。
なお、芳香族炭化水素基とは、芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。また、芳香族炭化水素基には、縮合環を持つもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基で結合したものも含まれる。非置換の炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、トリアルキルシリルフェニル基、トリアルキルゲルミルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。中でもフェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基が好ましい。
【0028】
ここで、Rは、直鎖又は分岐状の炭素数1〜12の置換されたアルキル基または炭素数6〜10の置換された芳香族炭化水素基であり、置換されたアルキル基又は置換された芳香族炭化水素基は1以上の置換基を有し、置換基は―COOH、−OH、−SH、−NH、―COH、−F、−Cl、−Br、−I、―COOR、−OR、−SR、−N(R)および―NHR(ただし、Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基である)からなる群より選択されることが好ましい。2つ以上の置換基が存在する場合、それらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0029】
また、置換基が、−F、−Cl、−Brまたは−Iからなる群より選択されることが好ましい。
【0030】
また、置換基の少なくとも1つが−Fであることがより好ましい。このような直鎖又は分岐状の炭素数1〜12の置換アルキル基としては、例えば、2-(パーフルオロブチル)エチル、2-(パーフルオロペンチル)エチル、2-(パーフルオロヘキシル)エチル、2-(パーフルオロヘプチル)エチル、2-(パーフルオロオクチル)エチル、2-(パーフルオロノナニル)エチル、2-(パーフルオロデシル)エチル等が挙げられる。
【0031】
本実施形態に係る重合体は、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有することもできるが、酸素透過性の観点からは、式(1)及び式(2)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位に対して、1重量%以上であることが好ましく、10重量%以上100重量%以下であることがより好ましく、50重量%以上100重量%以下であることが更に好ましい。
【0032】
また、製膜性の観点から、上記重合体の重量平均分子量(M)は、1×10以上5×10以下であることが好ましく、1×10以上2×10以下であることがより好ましく、1×10以上1×10以下であることが更に好ましい。また、同様の観点から、上記重合体の数平均分子量(M)は、1×10以上2×10以下であることが好ましく、1×10以上1×10以下であることがより好ましく、1×10以上1×10以下であることが更に好ましい。また、上記重合体の分子量分布の程度を表す分散比(M/M)は、1.0以上10.0以下であることが好ましく、1.1以上8.0以下であることがより好ましく、1.1以上5.0以下であることが更に好ましい。本発明において、重合体の重量平均分子量(M)、数平均分子量(M)及び分散比(M/M)は、溶媒としてテトラヒドロフランを用いたクロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で求める。カラムとしては、Shodex製KF−800シリーズの「GPC KF−807L」を用いればよい。
【0033】
さらに、熱安定性の観点から、上記重合体の5%重量減少温度(Td5)は、380℃以上550℃以下であることが好ましく、390℃以上500℃以下であることがより好ましく、400℃以上490℃以下であることが更に好ましい。ここで、重合体の5%重量減少温度は、熱重量測定(装置としては、示差熱・熱重量測定装置、島津製作所製、型式:DTG−60/60H)によって測定された値をいう。測定時の昇温速度は10℃/分とし、窒素雰囲気下で昇温する。
【0034】
本実施形態に係る重合体を酸素透過膜として用いる際、膜の形状に特に制限はなく、使用目的、用途に応じて適宜な形状とすることができる。酸素透過膜の形状としては、例えば、板状や中空糸繊維状(管状)が挙げられる。また、酸素透過膜は、多孔質膜や非対称膜であってもよいが、水分の透過を抑制する観点からは、均質膜であることが好ましい。
【0035】
酸素透過膜の膜厚に特に制限はないが、酸素透過性を確保する観点からは、0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、0.1μm以上50μm以下であることがより好ましい。なお、膜厚は、マイクロメータなどにより測定することができる。
【0036】
本実施形態に係る重合体は、上述の繰り返し単位を含有することにより、酸素を透過させることができる。また、当該重合体は、酸素/窒素選択透過性を有する。したがって、例えば、酸素供給用など、種々の酸素透過膜として用いることができる。ただし、本実施形態に係る重合体の用途は、これに限定されない。本実施形態に係る重合体は、二酸化炭素を選択的に透過し、窒素の透過を抑制する能力にも優れるため、二酸化炭素を選択的に透過させる膜として用いることもできる。
【0037】
続いて、本実施形態に係る重合体の製造方法について説明する。
【0038】
[重合体の製造方法]
本実施形態に係る重合体の製造方法は、下記式(3)で表される繰り返し単位を含有する重合体と、N―R(ただし、Rは、上述したRと同様である。)と、を接触させる工程を含む。なお、式(3)中、Rは、上述したRと同様である。
【0039】
【化6】

【0040】
<式(3)で表される重合体>
上記重合体において複数含まれる式(3)で表される繰り返し単位は、互いにRを有するフェニル基と、末端にアルキンを含む置換基を有するフェニル基との位置が左右反転していてもよい。また、上記重合体において複数含まれる式(3)で表される繰り返し単位は、それぞれ独立にシス型であってもトランス型であってもよい。シス型、トランス型については、重合体膜のラマン分光測定などにより、同定することができる。
【0041】
式(3)で表されるアルキンを有する重合体は、例えば以下のような方法で得ることができる。
【0042】
例えば、まず、置換するフェニル基の一方が、フェニル基の水素原子の一つをヒドロキシル基で置換した基である二置換ジフェニルアセチレンにおいて、ヒドロキシル基をアルキルハロシラン等によりアルキルシロキシ基で保護し、続いて三重結合を開裂させることにより重合体Aを得る。そして、重合体Aのアルキルシロキシ基を、パーフルオロ酢酸等の酸によりヒドロキシル基に戻すことにより、置換するフェニル基の一方が、フェニル基の水素原子の一つをヒドロキシル基で置換した基である二置換ジフェニルアセチレンの重合体Bが得られる。得られた重合体Bとプロパギル基を持つハロゲン化物とを接触させることにより、式(3)で表される、末端がアルキンである置換基を有する重合体を得ることができる。
なお、式(3)の重合体を膜状にする場合、例えば、重合体Aを重合体Bにする前に予め、重合体Aを溶媒に溶かして膜形成用塗布液を調製した後、当該塗布液を基板上に塗布し溶媒を蒸発させて、膜状の重合体Aを得ればよい。膜形成用塗布液の調製に用いる溶媒としては、重合体Aの溶解能を有するものが好ましい。このような溶媒としては、例えば、トルエン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、テトラヒドロフランなどの有機溶媒等が挙げられる。
【0043】
<N―R
―Rで表されるアジド化合物もまた、例えば以下のような方法で得ることができる。
【0044】
すなわち、NaNと、所望のR基を有するヨウ化物又は臭化物とを反応させることにより、所望のR基を有するアジド化合物を生成できる。
【0045】
式(3)で表される重合体と、N―Rで表わされるアジド化合物とを接触させると、式(3)で表される重合体の置換基の末端にあるアルキンと、N―Rで表わされるアジド化合物とが、式(4)に表されるように、1,2,3−トリアゾール基を形成して、式(1)及び式(2)で表される重合体を得ることができる。すなわち、下記式(4)に示す反応は、いわゆるクリック反応である。具体的には、N―Rを溶かした溶媒中に、式(3)の重合体を浸漬すればよい。なお、この反応は、銅イオンの存在下で反応速度が上がるため、CuI、CuBr、CuBr,CuSO、CuCl、CuCl等を触媒として用いることができる。
【0046】
【化7】

【0047】
所望のR及びRの組み合わせを有する式(1)及び式(2)で表される重合体を得るには、原料となる式(3)で表わされる重合体と、N―Rで表わされるアジド化合物との組み合わせをそれぞれ適宜選択すればよい。
【0048】
ここで、式(3)で表される繰り返し単位を含有する重合体が膜状であり、重合体が不溶の溶媒中で、重合体とN―Rとを接触させることが好ましい。
【0049】
式(3)で表される重合体を予め膜状にし、式(3)で表される重合体が不溶の溶媒中で、膜状の上記重合体とN―Rとを接触させることにより、式(1)及び式(2)で表される、酸素透過性を有する重合体膜を容易に得ることができる。なお、最終的に得られる式(1)及び式(2)で表される重合体が溶媒に溶けにくい場合、重合体膜を容易に得られる効果は高い。
【0050】
式(3)で表される重合体及び式(1),(2)で表される重合体が不溶である溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」ということがある。)、DMFとHOとの混合溶液(体積比1:1)、テトラヒドロフラン(以下、「THF」ということがある)、tert−ブチルアルコール、エタノール、メタノール、アセニトリル及びこれらの混合液が挙げられる。ただし、アジド化合物は、この溶媒に溶解することが好ましい。
【0051】
式(4)の反応において、式(3)の重合体との反応性の観点から、溶媒中に含まれるアジド化合物の含有量は、0.1〜0.5mol/Lとすることが好ましい。
【0052】
反応させる雰囲気は、窒素等の不活性雰囲気であることが好ましい。また、20〜100℃に4〜24時間保持し、攪拌しながら反応を進行させることが好ましい。
【0053】
反応後、必要に応じて、重合体又は重合体膜を、DMF等の反応時に用いた溶媒と同じ種類の液体に1〜12時間浸漬し、さらにエタノールに1〜12時間浸漬すること等により洗浄し、乾燥させることにより、式(1)及び式(2)の重合体又は重合体膜を得ることができる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を示し、本発明について具体的に説明する。
【0055】
[原料モノマーA(1−フェニル−2−(3−ヒドロキシ)フェニルアセチレン)の合成]
ジムロート及び三方コックをつけた300mlの三つ口フラスコに、3−ヨードフェノールを22.0g(100mmol)、Pd(PPhClを0.70g(1.0mmol)、PPhを1.05g(4.0mmol)、CuIを1.14g(6.0mmol)秤取り、三つ口フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたEtN21ml(150mmol)と、乾燥させたTHF60mlと、フェニルアセチレン11.0ml(100mmol)とを加え、混合液を得た。この混合液をスターラーにより撹拌した。80℃で3時間加熱しながら撹拌した後、室温まで放冷し、EtOを用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を減圧乾燥した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン:酢酸エチル=4:1(体積比)、Rf=0.45)を行い、原料モノマーAを単離した。収量は16.4gであり、収率は、84.4%であった。原料モノマーAの得られる反応式を下記式(5)に示す。
得られた原料モノマーAの1H−NMRの結果は以下の通りであった。
1H−NMR(270MHz、CDCl);
(δ/ppm):4.74(−OH,1H),7.28(Ar−H,5H),7.53(Ar−H,4H)
【0056】
【化8】

【0057】
[原料モノマーB(1−フェニル−2−(3−tertブチルジメチルシロキシ)フェニルアセチレン)の合成]
ジムロート及び三方コックをつけた300ml三つ口フラスコに、原料モノマーA(1−フェニル−2−(3−ヒドロキシ)フェニルアセチレン)を8.50g(43.8mmol)、クロロ−tert−ブチルジメチルシリル8.57g(56.9mmol)を秤取り、三つ口フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたEtN18.2mlと、乾燥させたTHF76mlとを加え、混合液を得た。この混合液をスターラーにより撹拌した。80℃で一晩加熱しながら撹拌した後、室温まで放冷し、EtOを用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を減圧乾燥した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン、Rf=0.20)を行い、原料モノマーBを単離した。収量は、10.4gであり、収率は、81.3%であった。 原料モノマーBの得られる反応式を下記式(6)に示す。
得られた原料モノマーBの1H−NMR及び13C−NMRの結果は以下の通りであった。
H−NMR (270MHz、CDCl);
(δ/ ppm):4.74(−OH,1H),7.28(Ar−H,5H),7.53(Ar−H, 4H)
13C−NMR(270MHz,CDCl
(δ/ ppm): 155.33,131.50,129.29,128.22,128.14,124.77,124.17, 123.14,122.98,120.48,89.20,89.10,77.47,76.53,25.85,25.78,25.69,25.62,18.27
【0058】
【化9】

【0059】
[原料重合体Aの合成]
200ml三口フラスコに三方コックをつけて、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、トルエンを60.9ml、TaClを512mg(1.43mmol)含むトルエン溶液9.6mlと、n−BuSn939μl(2.86mmol)とを加え、混合液A1を得た。この混合液をスターラーにより80℃で15分加熱しながら撹拌した。その後、この混合液A1に、原料モノマーB:1−フェニル−2−(3−tertブチルジメチルシロキシ)フェニルアセチレン6.62g(21.45mmol)を含むトルエン溶液10.0mlを加え、混合液A2を得た。この混合液A2を80℃で12時間加熱しながら撹拌すると、重合体(原料重合体A)が得られた。上記加熱攪拌後の混合溶液A2を、クロロホルム1.0Lを入れた2Lの三口フラスコに入れ、重合体が溶液に目視で完全に溶解するまで室温で撹拌し、これを多量のメタノールに滴下することで重合体を沈殿させた。沈殿した重合体を、濾紙を用いて吸引ろ過し、デシケーター内で真空乾燥を1日行った。
乾燥後の原料重合体Aの形状は、黄色固体であり、収量は、4.72gであり、収率は、71.3%であった。
原料重合体Aの得られる反応式を下記式(7)に示す。
得られた原料重合体AのIRスペクトルの結果は以下の通りであった。
IR(cm−1)[KBrペレット];
2955(−C−H),1475(−C−H),1420(−C−H),1361(−Si−CH),1254(−O−Si),966(−O−Si),834(−C−H)
【0060】
【化10】

【0061】
[原料重合体Bの合成:原料重合体Aの脱シリル化反応]
得られた原料重合体Aについてトルエン溶液を調整し(1.0wt%)、ガラスシャーレにキャストし、室温でゆっくり蒸発させた。溶媒を蒸発させ乾燥した後、膜を剥がすことにより製膜した。
300mlビーカーに100mlのCFCOOHと、25mlのHOとを入れ、そこに、製膜した原料重合体A:ポリ[1−フェニル−2−(3−tertブチルジメチルシロキシ)フェニルアセチレン]を39.1mg加え、室温で24時間撹拌した。膜をピンセットで回収し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に24時間浸漬した。再び膜をピンセットで回収し、12時間メタノール溶液に浸漬し、デシケーター内で12時間室温乾燥を行った。脱シリル化後の重合体の収量は、24.5mgであり、収率は、100%であった。
原料重合体Aの脱シリル化反応を下記式(8)に示す。
得られた膜状の原料重合体B:ポリ[1−フェニル−2−(3−ヒドロキシ)フェニルアセチレン]のIRスペクトルの結果は以下の通りであった。
IR(cm−1)[KBrペレット];
3385(−OH)
【0062】
【化11】

【0063】
[原料重合体C(クリック反応の原料重合体)の合成]
三方コックをつけた50ml三つ口フラスコに、18−クラウン−6−エーテルを1.60g(12.0mmol)、KCOを1.55g(12.0mmol)秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMF23.0mlを加え、混合液B1を得た。この混合液をスターラーにより撹拌した。更に窒素を循環させながら三つ口フラスコの密栓をはずし、原料重合体B:ポリ[1−フェニル−2−(3−ヒドロキシ)フェニルアセチレン]膜23.6mg(0.12mmol)、3−ブロモプロピン924μl(12.0mmol)を加え、混合物B2を得た。混合物B2を、250℃で24時間加熱しながら撹拌した後、室温まで放冷し、膜をピンセットで回収した。得られた重合体(原料重合体C)から形成された膜を、12時間メタノール溶液に浸漬しデシケーター内で12時間室温乾燥を行った。
原料重合体C(クリック反応の原料となる重合体)の収量は、27.8gであり、収率は90.8%であった。
原料重合体Cの得られる反応式を下記式(9)に示す。
得られた重合体CのIRスペクトルの結果は以下の通りであった。IRスペクトルを図1に示す。
IR(cm−1)[KBrペレット];
32968(−C≡C−H),2955(−C−H),2120(−C≡C−H),1482(−C−H),1373(−C≡C−H),1245 (Ar−O−CH),638(−C≡CH)
【0064】
【化12】

【0065】
[アジド化合物の合成]
(1) 1−アジドオクタンの合成
三方コックをつけた100ml二口フラスコに、NaNを3.3g(46.6mmol)秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMFを30.1mlと1−ヨードオクタンを3.0g(15.5mmol)加え、スターラーにより撹拌した。室温で24時間撹拌後、EtOを用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を減圧乾燥した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、ヘキサン,Rf=0.80)を行い、1−アジドオクタンを単離した。
1−アジドオクタンの収量は、2.16gであり、収率は、89.8%であった。1−アジドオクタンの得られる反応式を下記式(10)に示す。
また、得られた化合物の1H−NMR及びIRの結果は以下の通りであった。
H−NMR(270MHz,CDCl);
(δ/ppm):4.74(−OH,1H),7.28(Ar−H,5H),7.53(Ar−H,4H)
IR(cm−1)[KBrペレット];
2955(−C−H),1128(−N
【0066】
【化13】

【0067】
(2) 2−(パーフルオロヘキシル)エチルアジドの合成
三方コックをつけた100ml三口フラスコに、NaN を1.43g(22.0mmol)秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMF14.0mlと2−(パーフルオロヘキシル)エチルヨージド3.48g(7.34mmol)を加え、スターラーにより撹拌した。室温で24時間撹拌後、EtOを用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を減圧乾燥した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒、酢酸エチル)を行い、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアジドを単離した。
2−(パーフルオロヘキシル)エチルアジドの収量は、2.47gであり、収率は、86.3%であった。2−(パーフルオロヘキシル)エチルアジドの得られる反応式を下記式(10)に示す。
また、得られた化合物の1H−NMR及びIRの結果は以下の通りであった。
H−NMR(270MHz,CDCl);
(δ/ppm):2.42(m,−CH−,2H),3.60(m,−CH−,2H)IR(cm−1)[KBrペレット];
2955(−C−H),1128(−N),1208(−Cf
【0068】
【化14】


(3)2−(パーフルオロオクチル)エチルアジドの合成
三方コックをつけた100ml三口フラスコに、NaNを1.46g(20.9mmol)秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、2−(パーフルオロオクチル)エチルヨージド4.00g(6.97mmol)を含む乾燥させたDMF14.0mlを加え、スターラーにより撹拌した。室温で24時間撹拌後、EtOを用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を減圧乾燥した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 : 酢酸エチル)を行い単離した。
2−(パーフルオロオクチル)エチルアジドの収量は、2.89gであり、収率は、84.9%であった。2−(パーフルオロオクチル)エチルアジドの得られる反応式を下記式(12)に示す。
また、得られた化合物の1H−NMR及びIRの結果は以下の通りであった。
1H−NMR(270MHz, CDCl3);
(δ/ppm):2.42(m,−CH−,2H),3.60(m,−CH−,2H)IR(cm−1)[KBrペレット]
2955(−C−H),1128(−N),1208(−CF
【0069】
【化15】

【0070】
(4)2−(パーフルオロデシル)エチルアジドの合成
三方コックをつけた100ml三口フラスコに、NaN2.89g(44.4mmol)と2−(パーフルオロデシル)エチルヨージド10.0g(14.8mmol)を秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMF液28.8mlを加え、60℃でスターラーにより撹拌した。60℃で24時間撹拌後、EtOを用いて有機層の抽出を行った。得られた有機層を減圧乾燥した後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)を行い、2−(パーフルオロデシル)エチルアジドを単離した。
2−(パーフルオロデシル)エチルアジドの収量は、7.37gであり、収率は、84.5%であった。2−(パーフルオロデシル)エチルアジドの得られる反応式を下記式(13)に示す。
また、得られた化合物の1H−NMR及びIRの結果は以下の通りであった。
1H−NMR(270MHz, CDCl3);
(δ/ppm):2.42(m,−CH−,2H),3.60(m,−CH−,2H)IR(cm−1)[KBrペレット]
2955(−C−H),1128(−N),1208(−CF
【0071】
【化16】

【0072】
(実施例1)
三方コックをつけた50ml三口フラスコに、CuIを1.26g(6.6mmol)とL−アスコルビン酸ナトリウム3.01g(155.2mmol))を秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMF9.0mlと蒸留水9.0mlとを加え、60℃でスターラーにより撹拌した。更に窒素を循環させながら三つ口フラスコの密栓をはずし、原料重合体C(ポリ[1−フェニル−2−(3−オキシプロピン)フェニルアセチレン])膜25.6mg(0.11mmol)と1−アジドオクタン512mg(3.3mmol)を加えた。上記化合物を混合した後、原料重合体Cは溶解せずに、膜状のままだった。60℃で12時間撹拌し、下記式(14)に示すクリック反応を進行させ、実施例1の重合体を得た。その後、室温まで放冷し、実施例1の重合体から形成された膜をピンセットで回収した。得られた膜(厚み54μm)を、DMF中に6時間浸漬し、再び膜をピンセットで回収し、メタノール中で6時間浸漬した。その後、デシケーター内で12時間室温乾燥を行った。得られた重合体の収量は、35.8mgであり、元素分析により得られた窒素原子含有量から算出した、クリック反応率は、82%であった。実施例1の重合体のIRスペクトルの結果は以下の通りであった。IRスペクトルを図2に示す。
IR(cm−1)[KBrペレット];
2955(−C−H),1475(−C−H),1420(−C−H),834(−C−H)
【0073】
【化17】

【0074】
(実施例2)
三方コックをつけた50ml三口フラスコに、CuIを1.26mg(6.6mmol)と2,2’−ビピリジンを2.37g(15.2mmol)秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMFを18.0ml加え、60℃でスターラーにより撹拌した。更に窒素を循環させながら三つ口フラスコの密栓をはずし、原料重合体C:ポリ[1−フェニル−2−(3−オキシプロピン)フェニルアセチレン]膜25.4mg(0.11mmol)と2−(パーフルオロヘキシル)エチルアジド1.28g(3.3mmol)を加えた。上記化合物を混合した後、原料重合体Cは溶解せずに、膜状のままだった。60℃で12時間撹拌し、下記式(15)に示すクリック反応を進行させ、実施例2の重合体を得た。その後、室温まで放冷し実施例2の重合体から形成された膜をピンセットで回収した。得られた膜(厚み84μm)を、DMF中に6時間浸漬し、再び膜をピンセットで回収し、メタノール中で6時間浸漬した。その後、デシケーター内で12時間室温乾燥を行った。
得られた重合体の収量は、56.6mgであり、元素分析により得られたフッ素原子含有量から算出したクリック反応率は、90%であった。実施例2の重合体のIRスペクトルの結果は以下の通りであった。IRスペクトルを図3に示す。
IR(cm−1)[KBrペレット];
2955(−C−H),1475(−C−H),1420(−C−H),1208(−CF),834(−C−H)
【0075】
【化18】

【0076】
(実施例3)
三方コックをつけた50ml三口フラスコに、CuIを1.26mg(6.6mmol)と2,2’−ビピリジン2.37g(15.2mmol)秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMF18.0mlを加え、60℃でスターラーにより撹拌した。更に窒素を循環させながら三つ口フラスコの密栓をはずし、原料重合体C:ポリ[1−フェニル−2−(3−オキシプロピン)フェニルアセチレン]膜25.5mg(0.11mmol)と2−(パーフルオロオクチル)エチルアジド1.61g(3.3mmol)を加えた。上記化合物を混合した後、原料重合体Cは溶解せずに、膜状のままだった。60℃で12時間撹拌し、下記式(16)に示すクリック反応を進行させ、実施例3の重合体を得た。その後、室温まで放冷し、実施例3の重合体から形成された膜をピンセットで回収した。得られた膜(厚み99μm)をDMF中に6時間浸漬し、再び膜をピンセットで回収し、メタノール中で6時間浸漬した。その後、デシケーター内で12時間室温乾燥を行った。
得られた重合体の収量は、70.6mgであり、元素分析により得られたフッ素原子含有量から算出した、クリック反応率は、96%であった。実施例3の重合体のIRスペクトルの結果は以下の通りであった。IRスペクトルを図4に示す。
IR(cm−1)[KBrペレット];
2955(−C−H),1475(−C−H),1420(−C−H),1208(−CF),834(−C−H)
【0077】
【化19】

【0078】
(実施例4)
三方コックをつけた50ml三口フラスコに、CuIを1.26mg(6.6mmol)と2,2’−ビピリジンを2.37g(15.2mmol)秤取り、フラスコ内を窒素で置換した。これにラバーセプタムよりシリンジで、乾燥させたDMF18.0mlを加え、60℃でスターラーにより撹拌した。更に窒素を循環させながら三つ口フラスコの密栓をはずし、原料重合体C:ポリ[1−フェニル−2−(3−オキシプロピン)フェニルアセチレン]膜25.4mg(0.11mmol)と2−(パーフルオロデシル)エチルアジド 1.94g(3.3mmol)を加えた。上記化合物を混合した後、原料重合体Cは溶解せずに、膜状のままだった。60℃で12時間撹拌し、下記式(17)に示すクリック反応を進行させ、実施例4の重合体を得た。その後、室温まで放冷し、実施例4の重合体から形成された膜をピンセットで回収した。得られた膜(厚み127μm)をDMF中に6時間浸漬し、再び膜をピンセットで回収し、メタノール中で6時間浸漬した。その後、デシケーター内で12時間室温乾燥を行った。
得られた重合体の収量は、78.1mgであり、元素分析により得られたフッ素原子含有量から算出したクリック反応率は、96%であった。実施例4の重合体のIRスペクトルの結果は以下の通りであった。IRスペクトルを図5に示す。
IR(cm−1)[KBrペレット];
2955(−C−H),1475(−C−H),1420(−C−H),1208(−CF),834(−C−H)
【0079】
【化20】

【0080】
[重合体膜の評価(気体透過試験)]
実施例1〜4により得られた膜のそれぞれを、気体透過率測定装置(GTRテック、TR−30X)を用いて、23℃、湿度60%における酸素、窒素、二酸化炭素の気体透過係数(PO2、N2及びPCO2、単位はcm(STP)・cm/cm・sec・cmHgである。)を測定した。酸素の透過試験の結果を表1に、窒素及び二酸化炭素の透過試験の結果を表2に示す。
表1より、本発明の重合体が、酸素透過膜用として、有用であることがわかる。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
また、測定したPO2,PN2,PCO2より、酸素/窒素選択透過性を示すαO2/N2(PO2/PN2)、及び、二酸化炭素/窒素選択透過性を示すαCO2/N2(PCO2/PN2)を算出した。実施例1〜4の膜の評価結果を表3に示す。
【0084】
【表3】

【0085】
上記結果より、実施例1〜4の膜は、酸素/窒素選択透過性及び二酸化炭素/窒素選択透過性を有することが明らかとなった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰り返し単位を含有する重合体。
【化1】


[式(1)中、Rは水素、分岐状アルキル基、又はトリアルキルシリル基であり、Rは下記式(2)で示され、式(2)中、Rは水素原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、または置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を示す。]
【化2】

【請求項2】
は直鎖又は分岐状の炭素数1〜12の置換アルキル基または炭素数6〜10の置換芳香族炭化水素基であり、前記置換されたアルキル基又は置換された芳香族炭化水素基は1以上の置換基を有し、前記置換基は―COOH、−OH、−SH、−NH、―COH、−F、−Cl、−Br、−I、―COOR、−OR、−SR、−N(R)および―NHR(ただし、Rは炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基である)からなる群より選択され、2つ以上の置換基が存在する場合、それらの置換基は互いに同一でも異なっていてもよい、請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
前記置換基が、−F、−Cl、−Brまたは−Iからなる群より選択される請求項2に記載の重合体。
【請求項4】
前記置換基の少なくとも1つが−Fである請求項3に記載の重合体。
【請求項5】
下記式(3)で表される繰り返し単位を含有する重合体と、
―R(ただし、Rは水素原子、置換されていてもよい直鎖又は分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、または置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を示す。)と、を接触させる工程を含む、重合体の製造方法。
【化3】


[式(1)中、Rは水素、分岐状アルキル基、又はトリアルキルシリル基である。]
【請求項6】
上記式(3)で表される繰り返し単位を含有する重合体が膜状であり、前記重合体が不溶の溶媒中で、前記重合体とN―Rとを接触させる請求項5に記載の重合体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−235928(P2010−235928A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50924(P2010−50924)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(304027279)国立大学法人 新潟大学 (310)
【Fターム(参考)】