重合可能な歯科材料の重合装置及び重合度を決定するための方法
【課題】重合可能な歯科材料の重合装置並びにその重合方法を提供することにより追加費用をかけずに最適な重合結果を提供する。
【解決手段】重合可能歯科材料(14)の重合用装置(10)は、光源および/または熱源(18あるいは20)を備え、これにより歯科材料(14)は衝突される。この装置は更に制御装置(26)及び制御装置(26)に接続されるセンサ(24)を備え、これによりセンサ(24)は所定の波長を有する歯科材料(14)から放射された放射線(自然放射線)を検出する。
【解決手段】重合可能歯科材料(14)の重合用装置(10)は、光源および/または熱源(18あるいは20)を備え、これにより歯科材料(14)は衝突される。この装置は更に制御装置(26)及び制御装置(26)に接続されるセンサ(24)を備え、これによりセンサ(24)は所定の波長を有する歯科材料(14)から放射された放射線(自然放射線)を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合可能な歯科材料の重合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料に適切な放射線、例えば熱放射で直接衝突させ、更にセンサにより個々の材料から反射した光量を検出することは長く知られてきた。この一例として、ドイツ国実用新案第9204621号明細書(特許文献1)に記載される解決法が挙げられる。この方法の欠点は、光の検出において材料の表面特性に非常に影響されることである。この方法は歯科材料への照射には不適切であり、それは歯科材料に存在する水分量が反射量に対して影響が非常に大きく且つ測定値に誤差を引き起こすためである。
【0003】
あらゆる場合においてエネルギー衝突、すなわち、光源および/または熱源による衝突の信頼できる検出値を提供するために、ドイツ国特許出願公開第19618542号明細書(特許文献2)は光センサとしてセンサを使用することが記載される。センサは実際の放射線区域外に配置され更に歯科材料の外側領域における輝度および/または温度を測定するため、前述した解決法における欠点を避けることができる。
【0004】
一方、使用される歯科材料の重合化は多数の因子に大きく依存する。例えば、典型的な表面層における重合化は歯科材料における中心により近い層よりも速く重合化が進み、これは例えば歯科補綴材に使用される。
【0005】
好ましい重合時間を決定する際に、重合材料の質量を予め決定し更にそれに従って重合時間を適合させることが既に提案されている。また、不完全な重合によって生じた、フリーラジカルを有するモノマーの放出、及び過剰な重合時間により生じた歯科補綴材の端部のギャップの形成を避けるために、多くの更なる特徴事項が提案されている。
【0006】
歯科材料の差異だけでなく、例えば、個々の場合におけるパラメータは重合方法に影響を及ぼし、例えば塗布する前の歯科材料の保存期間などに影響がある。最適な重合結果を達成させるためには、同量で投入された重合材料から正確に同一形状を有する重合アッセイを実際に当業者は実現する必要がある。そのため、重合時間をどのように調整すべきかを試験し決定することになる。この方法は、当然のことながら実用的ではない。
【0007】
【特許文献1】ドイツ国実用新案第9204621号明細書
【特許文献2】ドイツ国特許出願公開第19618542号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は重合可能な歯科材料の重合装置並びにその重合方法を提供することにより追加費用をかけずに最適な重合結果を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に関し、歯科材料自体から放出された放射線を検出することが特に好適である。従って、反射等により生じる誤差は最初から除外されるため、当然のことながら、検出放射線及び衝突放射線の光軸を適切に選択することによって、測定結果における誤差が他の放射線の影響、例えば干渉作用等から生じないことを保証する。
【0010】
本発明に関し、検出放射線及び衝突放射線の波長及び波長の範囲は必要条件に対して広範囲に選択可能である。例えば、衝突放射線は紫外線の範囲を包含し、その一方でセンサにより検出された放射線の波長範囲は、例えば3000nm以上に存在し、波長及び周波数の間に明確な差が存在する。
【0011】
本発明に関し、重合材料の光による熱を検出することにより、重合度が正確に決定でき、更に実際には、実際の衝突した歯の質量の関数としてパターン特異性が決定できる。従って、重合アッセイを排除するにもかかわらず、重合度を決定することが可能であり、更にそれに伴って、電源を切る時点及び/または重合サイクル、すなわち重合のためのエネルギー衝突の時間的進行を正確に決定することが可能となる。
【0012】
重合放射によるエネルギー衝突は必要条件あるいは要求される重合結果に対して広範囲に適合可能である。例えば、光源あるいは熱源は矩形波パルス信号で時間的進行において変調でき、これはLEDあるいはレーザーダイオードにより容易に実現できる。
【0013】
本発明に関し、特に好適には、異なる重合結果が生成される干渉効果は補正され:例えば湿った表面における、歯科材料の表面は衝突放射線を大量に反射する場合、歯科材料に接触する重合放射線の強度がより弱くなり、従って歯科材料から放出された検出放射線は同様に対応する方法でより弱くなるため、重合される実際量はその場で決定できる。
【0014】
検出放射線はセンサに対して適切な方法で伝導される。手持ち式装置を使用する場合、衝突放射線及び検出放射線は光導電ロッドにより伝導され、その後、鏡などの適切な分離装置、この装置はおよそ45°の角度で傾斜されるとともに衝突放射線により貫通され、検出放射線として反射され分割ビームを形成する。固定装置に関しては、一つ以上のセンサに対して空間的に相殺される位置に光源および/または熱源を配置させることが好ましい。例えば、センサは表面に対して垂直に配向させ、一方で2つの放射線源は歯科材料の表面を例えば30°の角度で衝突させる。
【0015】
当然のことながら、センサは干渉効果から保護されるかあるいは干渉効果が相殺されることが都合がよい。感圧センサに関し、例えば、基準センサが提供され、これは検出放射線により衝突されず、且つ能動的センサと共に測定ブリッジで配置されることにより測定値の誤差を防ぐ。また厳密な結果を要求される場合には当然センサは適切な方法で修正できる。
【0016】
本発明に関し、重合化は発熱反応として正確に測定可能であり、且つこの効果は重合度を決定する際に顕著に単純な方法で使用可能であることが特に好適である。
【0017】
別の好適な実施態様において、センサに関し、光は800nm乃至10,000nmの波長範囲、特に800乃至6,000nmの波長範囲、好適には3,000乃至5,000nmの波長範囲で検出可能であり、あるいはこの波長の範囲よりも低い範囲で検出可能である。
【0018】
更に別の好適な実施態様において、重合放射線及び歯科材料から放出された検出放射線の波長範囲はそれぞれ少なくとも少し異なる。
【0019】
更に別の好適な実施態様において、歯科材料上で光源及び/または熱源から放出された重合放射線は少なくとも350nmおよび550nmの間の波長の範囲内に少なくとも部分的に存在し、更に一重合サイクルの間のセンサ放射線が検出可能である。
【0020】
更に別の好適な実施例において、センサにおいて検出放射線の温度が決定され、また制御装置において、その時間的進行が決定され;特に温度の上昇および/または温度低下が評価される。
【0021】
更に別の好適な実施態様において、光源の光軸及びセンサは歯科材料に対してゼロから偏位する角度で延在し、更に特に口腔内領域で感度がよく且つ歯科材料上に配向される。
【0022】
更に別の好適な実施態様において、センサ及び/または制御装置が装置内で一体化され且つその装置は多重の重合領域を備え、ここで歯科材料は重合化され、更に1つのセンサ、特に多重センサは各重合領域に配向される。
【0023】
更に別の好適な実施態様において、重合領域どうしは互いに空間的に離れており且つ各重合領域において、少なくとも一つの光源および/または熱源が配置される。
【0024】
更に別の好適な実施態様において、少なくとも一つのセンサと歯科材料との間に、少なくとも一つの光導電要素が配置され、ここで歯科材料領域からの検出放射線がセンサに伝導されおよび/またはここで衝突放射線が光源および/または熱源から歯科材料に伝導される。
【0025】
更に別の実施態様において、少なくとも一つの光ファイバーが光導電要素の全長の一部に延在し、また特に、側部に光の出口を有し、この出口はセンサに対向する。
【0026】
更に別の実施態様において、一方で歯科材料およびその重合領域と、他方側にセンサ及び/または光源および/または熱源との間に配置された光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを備え、このファイバーは光導電要素の全長にわたり延在する。
【0027】
更に別の実施態様において、光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、ここで検出放射線は伝導され、更に検出−光ファイバーが光導電要素の中央領域かあるいは周辺領域に配置される。更に光導電要素は多重光ファイバーを有し、且つ少なくとも一つの光ファイバーにおいて、検出放射線は伝導される。検出−光ファイバーは、特に光導電要素の周辺領域に配置される。
【0028】
更に別の実施態様において、光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、これは衝突放射線の波長範囲において、特に350nm乃至550nmの波長範囲で貫通可能であり、更に光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、これは800nm乃至10,000nmの範囲、特に3000nm乃至5000nmの範囲における検出放射線の波長範囲において貫通される。
【0029】
更に別の好適な実施態様において、光導電要素は光導電ロッドとして形成され、これは光源と歯科材料との間に延在し、更にこの装置は手持ち式装置として形成される。この装置は外部の電流供給源に接続され及び/またはこの装置は交換可能な電流供給源を有する。
【0030】
更に別の好適な実施態様において、光源及び/または熱源は少なくとも一つの半導体エネルギー源により形成される。
【0031】
加熱曲線の勾配の決定はセンサにおいて認識できる。これが急勾配の場合、その信号もまた、重合サイクルの間にその光力を減少させるために使用できる。もしこの勾配が平坦である場合、そのセンサに対応する信号により光力を上昇させる。
【0032】
更に別の好適な実施態様において、歯科材料の実パラメータの勾配が変化すると、特に加熱作用が増加すると、センサが制御装置に対して信号を出し、更に制御装置はセンサの出力信号を処理することにより装置、特に光源及び/または熱源を制御する。
【0033】
更に別の好適な実施態様において、制御装置から発信される制御信号は停止信号であり、これに伴って装置は電源を切り、更に重合処理が完了する。センサが800nmから10,000nm、特に3000nm乃至5000nmの波長を有する歯科材料から放射された放射線を検出する。
【0034】
更に別の好適な実施態様において、歯科材料から放射された放射線を検出するために光源および/または熱源は一回の重合サイクルの間に少なくとも一度制御装置により一時的に電源を切られる。
【0035】
更なる利点、詳細な点及び特徴事項については、添付の図面を参照して後述するいくつかの実施例に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1に示される装置はケース12を備え、これは支持台16の上に設置される歯科材料14を収容するためのものである。
【0037】
開放され且つ放射線が衝突される重合領域において、歯科材料14を重合するために、複数の光源18および/または熱源20を備え、これは図示される形態において相当する周波数範囲の電磁波を重合領域に照射する。光源18並びに熱源20は図示される形態においてケース12の側壁上の内側に設置される。すなわち、これらの源から放射される放射線は歯科材料の表面を垂直に当てるのではなく、上から斜め横方向に当てる。この角度衝突により、反射による放射線の重合効果度の大幅削減を避ける。
【0038】
多くの場合、歯科材料の重合領域の表面は平坦、すなわち水平ではなく、例えば波状であるか、あるいは別の形状を有する。多重電源の配置により、反射により生じる重合効果の著しい弊害は防がれる。また、図1の主要部に示されるように熱源20及び光源18はケースの両側、すなわち左右にのみ示される場合、当然のことながら、実際には複数の源が周囲に分布して配置可能であり、且つ実際に適切な分布で配置される。このような分布についてはドイツ国特許出願公開第19618542号明細書に説明されており、参考としてここに組み入れられる。
【0039】
図示される形態において、センサ24は歯科材料14の上に吊り下げられる。このセンサ24は制御装置26に接続され、この装置26は装置10を制御し、特に源18、20がスイッチオフされる時点あるいはそれらの出力を減少させる時点を制御する。
【0040】
センサ24は歯科材料14から放射された検出放射線28を検出する。源18及び20による影響を抑制するために、センサはエプロンの様式のシールド30により包囲され、当然のことながら、これによってシールド30は重合領域に対して衝突放射線が入射することを防ぐことはない。装置10は公知の電流供給端子32を介して接続され且つ図示される形態は固定装置12を形成する。あるいは、装置12において蓄熱媒体、例えば蓄電池を備え、電流供給端子32を介して再充電することもできる。
【0041】
図2は本発明の装置10の変形例を示す。ここで、別の図面に使用されたものと同じ符号は同一あるいは相当する部分を示し、更なる説明を必要としない。図2の解決方法として、複数の支持台16とそれに対応する歯科材料及び重合領域14が互いに隣接して配置され、その上部にそれぞれ一つのセンサ24が配置される。
【0042】
各センサ24のそれぞれの上部に一つの光源18が配置される。この配置においては、図1に示されるような仕切りあるいはエプロンは必要なく、しかしながら、個々の重合領域24が中間壁部40を介して互いに仕切られる。
【0043】
3つの中間壁部を備える直線的配置の代わりに、また実際面では二次元配置が可能であり、これにより、例えば、4×4で、合計16の歯科補綴材が同時に重合できる。
【0044】
光源18及びセンサ24に対しては、単一の中央制御装置26を介して既存の重合度に従ってスイッチングオフされる。
【0045】
本発明に関して、重合される歯科材料の重合度は重合の間連続的に監視される。重合領域に供給される放射線の減衰あるいはスイッチングオフは重合化の進み具合に基づいて制御される。重合度の測定に関し、驚くほど非常に簡単な方法で、重合の間歯科材料の自然放射が使用される。
【0046】
例えば、ポリ−メチル−メタ−アクリレート(PMMA)が重合用歯科材料の主要成分として使用される場合、重合の間高い発熱反応が生じ、このために容易に監視可能である。この歯科材料に伴って加熱が生じ、すなわち赤外領域における熱放射が産出され、これは本発明のセンサにより検出される。
【0047】
図3において、使用される波長の典型的ダイアグラムの図が示される。光源18から生じる光は図示される実施形態において、UV範囲内である、およそ400nmの発光極大36を有する。対照的に、熱源20から放射される熱放射は800nmの発光極大38を有し、例えば赤外領域に存在する。使用されるセンサの最大スペクトル感度は図示される形態においておよそ3000nmで存在し、実質的に遠赤外放射範囲に存在する。使用する波長を選択することに伴い、周波数等化を実施することで熱源20の放射曲線及びセンサ24の感度曲線との間の重なりがほんの僅かでしか存在しないようにする。
【0048】
図4において、センサの出力信号40が制御装置26を制御するためにどのくらい使用されるかが示される。長期にわたり、光衝突は記録され、同様に出力信号40を生成する、センサから検出された放射線も記録される。
【0049】
光源18のスイッチングオンに伴って、センサ信号はt1時点まで増加する。この時点まで、重合化は均一に進行し、従って自然放射が均一に増加する。しかしながら、自然放射線の最大値及びセンサの最大出力信号40まで使用される歯科材料の質量に従って、より早くあるいはより遅く、t2時点までわずかな増加が生じる。その後、センサ信号40は再度上昇し、更にt3時点においてこれが決定されるとすぐに光源18のスイッチングオフが生じる。
【0050】
制御装置26により修正された制御が図5に示される。この解決方法において、スイッチ−オフはセンサ信号40の最大値で既に生じ、すなわちt2時点で生じ、その直後に、センサ信号の勾配が増加する。
【0051】
図6は本発明の装置10の更に別の変更した実施形態を示す。この解決法において、光源18は歯科材料14の上部中央に配置され、一方でセンサ24は歯科材料14の上から斜めに傾斜され横方向に配置される。センサと光源の光軸の間の角度42は必要条件に対して別の領域に適合できる。
【0052】
図7及び8は本発明の装置の変更した実施形態を示し、追加の光導電要素を有する。図7の実施形態において、光導電要素44を備え、これは少なくとも一つの光ファイバーを備える。凸レンズ(図7に図示しない)もまた光導電要素に含まれ、これは光源18から放射された放射線を収集し且つ光導電ロッド46に対してその放射線を伝導する。ここでもまた、公知の方法において、エッジフィルターが長波放射を遮蔽するために配置される。
【0053】
光導電ロッド46は複数の隣接して配置された光ファイバーを有する(図10及び図11参照)。衝突−光ファイバー50は光導電ロッド46を通過して軸上に延在し更に歯科材料14を光放射で衝突させ、検出−光ファイバー52は側部に湾曲し、更に具体的には光導電ロッド46の中心で湾曲する。そこで、光排出口54が形成され、これを通して検出放射線はセンサ24に伝導される。
【0054】
図7の実施形態と比較して、図8の実施形態において検出−光ファイバー52は光導電ロッドを完全に貫通する。この形態における検出放射線56は重合領域14から光導電ロッド46に沿って貫通し更にセンサ24と接触し、これらのセンサは光導電ロッド46の外側周囲に且つ光源18の上部に隣接して配置される。
【0055】
図9は衝突−光ファイバー50及び検出−光ファイバー52が光導電ロッドにおいて互いに平行に走行する方法が示される。複数の対応する光ファイバーが適切な分布にて配置され、図10及び11において衝突−光ファイバー50及び検出光ファイバー52の配置が模式的に示される。当然のことながら、これらの光ファイバーは共通の一つの光導電ロッドにおいて配置されることが好ましく、しかしながら、基本的には、2つの光導電ロッドを構成することも可能である。
【0056】
図12は本発明の装置10もまた手持ち式装置の形状で実現可能であることを示す。またこの解決法において、センサ24は光源18の上部に配置され、これにより、光導電ロッド46は検出−及び衝突−光ファイバーを有する。手持ち式装置10がスイッチ−オンボタン60を介してスイッチオンされるとすぐに光導電ロッドのオフセット端部を介して歯科材料14は衝突される。手持ち式装置20のハンドル62に収容されるアキュムレータ64は公知の方法でエネルギーを光源18に供給し、更にセンサ24の出力信号に基づいて、重合が完了することが判定されるとすぐに、スイッチング−オフが実施される。
【0057】
本明細書はドイツ国優先権明細書第102005019386.2号の記載を参考に取り入れる。
【0058】
本発明は当然、明細書および図面の特徴事項になんら限定されず、別添する特許請求の範囲内におけるあらゆる変更が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る、重合可能な歯科材料の重合装置の第一の実施形態の概略図である。
【図2】図1の装置の別の実施形態を示す。
【図3】衝突放射線の発光極大及びセンサの感度曲線の説明図を示す。
【図4】本発明の制御の時間的進行のダイアグラムを示す。
【図5】本発明の修正された制御を表すダイアグラムを示す。
【図6】本発明に係る装置の別の実施形態を示す。
【図7】本発明に係る装置の更に別の実施形態を示す。
【図8】本発明に係る装置の更に別の実施形態を示す。
【図9】本発明の光導電要素の一部の説明図を示す。
【図10】本発明の光導電ロッドにおける衝突−光ファイバーの配置を示す。
【図11】本発明の光導電ロッドにおける検出−光ファイバーの配置を示す。
【図12】手持ち式装置としての、本発明の装置の略図を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は重合可能な歯科材料の重合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料に適切な放射線、例えば熱放射で直接衝突させ、更にセンサにより個々の材料から反射した光量を検出することは長く知られてきた。この一例として、ドイツ国実用新案第9204621号明細書(特許文献1)に記載される解決法が挙げられる。この方法の欠点は、光の検出において材料の表面特性に非常に影響されることである。この方法は歯科材料への照射には不適切であり、それは歯科材料に存在する水分量が反射量に対して影響が非常に大きく且つ測定値に誤差を引き起こすためである。
【0003】
あらゆる場合においてエネルギー衝突、すなわち、光源および/または熱源による衝突の信頼できる検出値を提供するために、ドイツ国特許出願公開第19618542号明細書(特許文献2)は光センサとしてセンサを使用することが記載される。センサは実際の放射線区域外に配置され更に歯科材料の外側領域における輝度および/または温度を測定するため、前述した解決法における欠点を避けることができる。
【0004】
一方、使用される歯科材料の重合化は多数の因子に大きく依存する。例えば、典型的な表面層における重合化は歯科材料における中心により近い層よりも速く重合化が進み、これは例えば歯科補綴材に使用される。
【0005】
好ましい重合時間を決定する際に、重合材料の質量を予め決定し更にそれに従って重合時間を適合させることが既に提案されている。また、不完全な重合によって生じた、フリーラジカルを有するモノマーの放出、及び過剰な重合時間により生じた歯科補綴材の端部のギャップの形成を避けるために、多くの更なる特徴事項が提案されている。
【0006】
歯科材料の差異だけでなく、例えば、個々の場合におけるパラメータは重合方法に影響を及ぼし、例えば塗布する前の歯科材料の保存期間などに影響がある。最適な重合結果を達成させるためには、同量で投入された重合材料から正確に同一形状を有する重合アッセイを実際に当業者は実現する必要がある。そのため、重合時間をどのように調整すべきかを試験し決定することになる。この方法は、当然のことながら実用的ではない。
【0007】
【特許文献1】ドイツ国実用新案第9204621号明細書
【特許文献2】ドイツ国特許出願公開第19618542号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は重合可能な歯科材料の重合装置並びにその重合方法を提供することにより追加費用をかけずに最適な重合結果を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に関し、歯科材料自体から放出された放射線を検出することが特に好適である。従って、反射等により生じる誤差は最初から除外されるため、当然のことながら、検出放射線及び衝突放射線の光軸を適切に選択することによって、測定結果における誤差が他の放射線の影響、例えば干渉作用等から生じないことを保証する。
【0010】
本発明に関し、検出放射線及び衝突放射線の波長及び波長の範囲は必要条件に対して広範囲に選択可能である。例えば、衝突放射線は紫外線の範囲を包含し、その一方でセンサにより検出された放射線の波長範囲は、例えば3000nm以上に存在し、波長及び周波数の間に明確な差が存在する。
【0011】
本発明に関し、重合材料の光による熱を検出することにより、重合度が正確に決定でき、更に実際には、実際の衝突した歯の質量の関数としてパターン特異性が決定できる。従って、重合アッセイを排除するにもかかわらず、重合度を決定することが可能であり、更にそれに伴って、電源を切る時点及び/または重合サイクル、すなわち重合のためのエネルギー衝突の時間的進行を正確に決定することが可能となる。
【0012】
重合放射によるエネルギー衝突は必要条件あるいは要求される重合結果に対して広範囲に適合可能である。例えば、光源あるいは熱源は矩形波パルス信号で時間的進行において変調でき、これはLEDあるいはレーザーダイオードにより容易に実現できる。
【0013】
本発明に関し、特に好適には、異なる重合結果が生成される干渉効果は補正され:例えば湿った表面における、歯科材料の表面は衝突放射線を大量に反射する場合、歯科材料に接触する重合放射線の強度がより弱くなり、従って歯科材料から放出された検出放射線は同様に対応する方法でより弱くなるため、重合される実際量はその場で決定できる。
【0014】
検出放射線はセンサに対して適切な方法で伝導される。手持ち式装置を使用する場合、衝突放射線及び検出放射線は光導電ロッドにより伝導され、その後、鏡などの適切な分離装置、この装置はおよそ45°の角度で傾斜されるとともに衝突放射線により貫通され、検出放射線として反射され分割ビームを形成する。固定装置に関しては、一つ以上のセンサに対して空間的に相殺される位置に光源および/または熱源を配置させることが好ましい。例えば、センサは表面に対して垂直に配向させ、一方で2つの放射線源は歯科材料の表面を例えば30°の角度で衝突させる。
【0015】
当然のことながら、センサは干渉効果から保護されるかあるいは干渉効果が相殺されることが都合がよい。感圧センサに関し、例えば、基準センサが提供され、これは検出放射線により衝突されず、且つ能動的センサと共に測定ブリッジで配置されることにより測定値の誤差を防ぐ。また厳密な結果を要求される場合には当然センサは適切な方法で修正できる。
【0016】
本発明に関し、重合化は発熱反応として正確に測定可能であり、且つこの効果は重合度を決定する際に顕著に単純な方法で使用可能であることが特に好適である。
【0017】
別の好適な実施態様において、センサに関し、光は800nm乃至10,000nmの波長範囲、特に800乃至6,000nmの波長範囲、好適には3,000乃至5,000nmの波長範囲で検出可能であり、あるいはこの波長の範囲よりも低い範囲で検出可能である。
【0018】
更に別の好適な実施態様において、重合放射線及び歯科材料から放出された検出放射線の波長範囲はそれぞれ少なくとも少し異なる。
【0019】
更に別の好適な実施態様において、歯科材料上で光源及び/または熱源から放出された重合放射線は少なくとも350nmおよび550nmの間の波長の範囲内に少なくとも部分的に存在し、更に一重合サイクルの間のセンサ放射線が検出可能である。
【0020】
更に別の好適な実施例において、センサにおいて検出放射線の温度が決定され、また制御装置において、その時間的進行が決定され;特に温度の上昇および/または温度低下が評価される。
【0021】
更に別の好適な実施態様において、光源の光軸及びセンサは歯科材料に対してゼロから偏位する角度で延在し、更に特に口腔内領域で感度がよく且つ歯科材料上に配向される。
【0022】
更に別の好適な実施態様において、センサ及び/または制御装置が装置内で一体化され且つその装置は多重の重合領域を備え、ここで歯科材料は重合化され、更に1つのセンサ、特に多重センサは各重合領域に配向される。
【0023】
更に別の好適な実施態様において、重合領域どうしは互いに空間的に離れており且つ各重合領域において、少なくとも一つの光源および/または熱源が配置される。
【0024】
更に別の好適な実施態様において、少なくとも一つのセンサと歯科材料との間に、少なくとも一つの光導電要素が配置され、ここで歯科材料領域からの検出放射線がセンサに伝導されおよび/またはここで衝突放射線が光源および/または熱源から歯科材料に伝導される。
【0025】
更に別の実施態様において、少なくとも一つの光ファイバーが光導電要素の全長の一部に延在し、また特に、側部に光の出口を有し、この出口はセンサに対向する。
【0026】
更に別の実施態様において、一方で歯科材料およびその重合領域と、他方側にセンサ及び/または光源および/または熱源との間に配置された光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを備え、このファイバーは光導電要素の全長にわたり延在する。
【0027】
更に別の実施態様において、光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、ここで検出放射線は伝導され、更に検出−光ファイバーが光導電要素の中央領域かあるいは周辺領域に配置される。更に光導電要素は多重光ファイバーを有し、且つ少なくとも一つの光ファイバーにおいて、検出放射線は伝導される。検出−光ファイバーは、特に光導電要素の周辺領域に配置される。
【0028】
更に別の実施態様において、光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、これは衝突放射線の波長範囲において、特に350nm乃至550nmの波長範囲で貫通可能であり、更に光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、これは800nm乃至10,000nmの範囲、特に3000nm乃至5000nmの範囲における検出放射線の波長範囲において貫通される。
【0029】
更に別の好適な実施態様において、光導電要素は光導電ロッドとして形成され、これは光源と歯科材料との間に延在し、更にこの装置は手持ち式装置として形成される。この装置は外部の電流供給源に接続され及び/またはこの装置は交換可能な電流供給源を有する。
【0030】
更に別の好適な実施態様において、光源及び/または熱源は少なくとも一つの半導体エネルギー源により形成される。
【0031】
加熱曲線の勾配の決定はセンサにおいて認識できる。これが急勾配の場合、その信号もまた、重合サイクルの間にその光力を減少させるために使用できる。もしこの勾配が平坦である場合、そのセンサに対応する信号により光力を上昇させる。
【0032】
更に別の好適な実施態様において、歯科材料の実パラメータの勾配が変化すると、特に加熱作用が増加すると、センサが制御装置に対して信号を出し、更に制御装置はセンサの出力信号を処理することにより装置、特に光源及び/または熱源を制御する。
【0033】
更に別の好適な実施態様において、制御装置から発信される制御信号は停止信号であり、これに伴って装置は電源を切り、更に重合処理が完了する。センサが800nmから10,000nm、特に3000nm乃至5000nmの波長を有する歯科材料から放射された放射線を検出する。
【0034】
更に別の好適な実施態様において、歯科材料から放射された放射線を検出するために光源および/または熱源は一回の重合サイクルの間に少なくとも一度制御装置により一時的に電源を切られる。
【0035】
更なる利点、詳細な点及び特徴事項については、添付の図面を参照して後述するいくつかの実施例に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1に示される装置はケース12を備え、これは支持台16の上に設置される歯科材料14を収容するためのものである。
【0037】
開放され且つ放射線が衝突される重合領域において、歯科材料14を重合するために、複数の光源18および/または熱源20を備え、これは図示される形態において相当する周波数範囲の電磁波を重合領域に照射する。光源18並びに熱源20は図示される形態においてケース12の側壁上の内側に設置される。すなわち、これらの源から放射される放射線は歯科材料の表面を垂直に当てるのではなく、上から斜め横方向に当てる。この角度衝突により、反射による放射線の重合効果度の大幅削減を避ける。
【0038】
多くの場合、歯科材料の重合領域の表面は平坦、すなわち水平ではなく、例えば波状であるか、あるいは別の形状を有する。多重電源の配置により、反射により生じる重合効果の著しい弊害は防がれる。また、図1の主要部に示されるように熱源20及び光源18はケースの両側、すなわち左右にのみ示される場合、当然のことながら、実際には複数の源が周囲に分布して配置可能であり、且つ実際に適切な分布で配置される。このような分布についてはドイツ国特許出願公開第19618542号明細書に説明されており、参考としてここに組み入れられる。
【0039】
図示される形態において、センサ24は歯科材料14の上に吊り下げられる。このセンサ24は制御装置26に接続され、この装置26は装置10を制御し、特に源18、20がスイッチオフされる時点あるいはそれらの出力を減少させる時点を制御する。
【0040】
センサ24は歯科材料14から放射された検出放射線28を検出する。源18及び20による影響を抑制するために、センサはエプロンの様式のシールド30により包囲され、当然のことながら、これによってシールド30は重合領域に対して衝突放射線が入射することを防ぐことはない。装置10は公知の電流供給端子32を介して接続され且つ図示される形態は固定装置12を形成する。あるいは、装置12において蓄熱媒体、例えば蓄電池を備え、電流供給端子32を介して再充電することもできる。
【0041】
図2は本発明の装置10の変形例を示す。ここで、別の図面に使用されたものと同じ符号は同一あるいは相当する部分を示し、更なる説明を必要としない。図2の解決方法として、複数の支持台16とそれに対応する歯科材料及び重合領域14が互いに隣接して配置され、その上部にそれぞれ一つのセンサ24が配置される。
【0042】
各センサ24のそれぞれの上部に一つの光源18が配置される。この配置においては、図1に示されるような仕切りあるいはエプロンは必要なく、しかしながら、個々の重合領域24が中間壁部40を介して互いに仕切られる。
【0043】
3つの中間壁部を備える直線的配置の代わりに、また実際面では二次元配置が可能であり、これにより、例えば、4×4で、合計16の歯科補綴材が同時に重合できる。
【0044】
光源18及びセンサ24に対しては、単一の中央制御装置26を介して既存の重合度に従ってスイッチングオフされる。
【0045】
本発明に関して、重合される歯科材料の重合度は重合の間連続的に監視される。重合領域に供給される放射線の減衰あるいはスイッチングオフは重合化の進み具合に基づいて制御される。重合度の測定に関し、驚くほど非常に簡単な方法で、重合の間歯科材料の自然放射が使用される。
【0046】
例えば、ポリ−メチル−メタ−アクリレート(PMMA)が重合用歯科材料の主要成分として使用される場合、重合の間高い発熱反応が生じ、このために容易に監視可能である。この歯科材料に伴って加熱が生じ、すなわち赤外領域における熱放射が産出され、これは本発明のセンサにより検出される。
【0047】
図3において、使用される波長の典型的ダイアグラムの図が示される。光源18から生じる光は図示される実施形態において、UV範囲内である、およそ400nmの発光極大36を有する。対照的に、熱源20から放射される熱放射は800nmの発光極大38を有し、例えば赤外領域に存在する。使用されるセンサの最大スペクトル感度は図示される形態においておよそ3000nmで存在し、実質的に遠赤外放射範囲に存在する。使用する波長を選択することに伴い、周波数等化を実施することで熱源20の放射曲線及びセンサ24の感度曲線との間の重なりがほんの僅かでしか存在しないようにする。
【0048】
図4において、センサの出力信号40が制御装置26を制御するためにどのくらい使用されるかが示される。長期にわたり、光衝突は記録され、同様に出力信号40を生成する、センサから検出された放射線も記録される。
【0049】
光源18のスイッチングオンに伴って、センサ信号はt1時点まで増加する。この時点まで、重合化は均一に進行し、従って自然放射が均一に増加する。しかしながら、自然放射線の最大値及びセンサの最大出力信号40まで使用される歯科材料の質量に従って、より早くあるいはより遅く、t2時点までわずかな増加が生じる。その後、センサ信号40は再度上昇し、更にt3時点においてこれが決定されるとすぐに光源18のスイッチングオフが生じる。
【0050】
制御装置26により修正された制御が図5に示される。この解決方法において、スイッチ−オフはセンサ信号40の最大値で既に生じ、すなわちt2時点で生じ、その直後に、センサ信号の勾配が増加する。
【0051】
図6は本発明の装置10の更に別の変更した実施形態を示す。この解決法において、光源18は歯科材料14の上部中央に配置され、一方でセンサ24は歯科材料14の上から斜めに傾斜され横方向に配置される。センサと光源の光軸の間の角度42は必要条件に対して別の領域に適合できる。
【0052】
図7及び8は本発明の装置の変更した実施形態を示し、追加の光導電要素を有する。図7の実施形態において、光導電要素44を備え、これは少なくとも一つの光ファイバーを備える。凸レンズ(図7に図示しない)もまた光導電要素に含まれ、これは光源18から放射された放射線を収集し且つ光導電ロッド46に対してその放射線を伝導する。ここでもまた、公知の方法において、エッジフィルターが長波放射を遮蔽するために配置される。
【0053】
光導電ロッド46は複数の隣接して配置された光ファイバーを有する(図10及び図11参照)。衝突−光ファイバー50は光導電ロッド46を通過して軸上に延在し更に歯科材料14を光放射で衝突させ、検出−光ファイバー52は側部に湾曲し、更に具体的には光導電ロッド46の中心で湾曲する。そこで、光排出口54が形成され、これを通して検出放射線はセンサ24に伝導される。
【0054】
図7の実施形態と比較して、図8の実施形態において検出−光ファイバー52は光導電ロッドを完全に貫通する。この形態における検出放射線56は重合領域14から光導電ロッド46に沿って貫通し更にセンサ24と接触し、これらのセンサは光導電ロッド46の外側周囲に且つ光源18の上部に隣接して配置される。
【0055】
図9は衝突−光ファイバー50及び検出−光ファイバー52が光導電ロッドにおいて互いに平行に走行する方法が示される。複数の対応する光ファイバーが適切な分布にて配置され、図10及び11において衝突−光ファイバー50及び検出光ファイバー52の配置が模式的に示される。当然のことながら、これらの光ファイバーは共通の一つの光導電ロッドにおいて配置されることが好ましく、しかしながら、基本的には、2つの光導電ロッドを構成することも可能である。
【0056】
図12は本発明の装置10もまた手持ち式装置の形状で実現可能であることを示す。またこの解決法において、センサ24は光源18の上部に配置され、これにより、光導電ロッド46は検出−及び衝突−光ファイバーを有する。手持ち式装置10がスイッチ−オンボタン60を介してスイッチオンされるとすぐに光導電ロッドのオフセット端部を介して歯科材料14は衝突される。手持ち式装置20のハンドル62に収容されるアキュムレータ64は公知の方法でエネルギーを光源18に供給し、更にセンサ24の出力信号に基づいて、重合が完了することが判定されるとすぐに、スイッチング−オフが実施される。
【0057】
本明細書はドイツ国優先権明細書第102005019386.2号の記載を参考に取り入れる。
【0058】
本発明は当然、明細書および図面の特徴事項になんら限定されず、別添する特許請求の範囲内におけるあらゆる変更が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る、重合可能な歯科材料の重合装置の第一の実施形態の概略図である。
【図2】図1の装置の別の実施形態を示す。
【図3】衝突放射線の発光極大及びセンサの感度曲線の説明図を示す。
【図4】本発明の制御の時間的進行のダイアグラムを示す。
【図5】本発明の修正された制御を表すダイアグラムを示す。
【図6】本発明に係る装置の別の実施形態を示す。
【図7】本発明に係る装置の更に別の実施形態を示す。
【図8】本発明に係る装置の更に別の実施形態を示す。
【図9】本発明の光導電要素の一部の説明図を示す。
【図10】本発明の光導電ロッドにおける衝突−光ファイバーの配置を示す。
【図11】本発明の光導電ロッドにおける検出−光ファイバーの配置を示す。
【図12】手持ち式装置としての、本発明の装置の略図を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合可能な歯科材料(14)の重合用装置において:
光源および/または熱源(18;20)であって、これにより歯科材料(14)は衝突される光源および/または熱源と;
光源および/または熱源(18;20)用の制御装置(26)と;
制御装置(26)に接続されるセンサ(24)であって、センサ(26)は歯科材料により放射される自然放射線から得られる波長を検出するセンサとから構成されることを特徴とする重合可能な歯科材料(14)の重合用装置。
【請求項2】
800nmおよび10,000nmの間、特に800nmおよび6,000nmの間、好適には3,000nmおよび5,000nmの間の波長範囲、あるいは、この波長範囲より低い範囲にある光がセンサで検出可能であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
重合放射線と歯科材料から放射された検出放射線の波長範囲は互いに少なくとも少し異なることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
歯科材料上で光源および/または熱源(18,20)から放射された重合放射線は350nmおよび550nmの間の波長範囲内に少なくとも部分的に存在することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
センサ放射線(18、20)は一重合サイクルの間検出されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
検出放射線の温度はセンサ(24)で確認され且つ制御装置(26)からは、その時間的進行、特に温度の上昇および/または低下が評価されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
光源および/または熱源(18、20)およびセンサ(24)の光軸は歯科材料に対して互いにゼロから偏位する角度で延在することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
センサ(24)および/または制御装置(26)は装置に内蔵されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
歯科材料が重合される多重合領域を更に構成し、1つのセンサ(24)は各重合領域に設置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
重合領域は互いに空間的に分離され、且つ各重合領域において、少なくとも一つの光源および/または熱源(18,20)が配置されることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
少なくとも一つのセンサ(24)と歯科材料(14)との間に、少なくとも一つの光導電要素(44)が配置され、ここで歯科材料領域(14)からの検出放射線がセンサ(24)に伝導されおよび/またはここで光源および/または熱源(18,20)からの衝突放射線は歯科材料に伝導されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
少なくとも一つの光ファイバーが光導電要素(46)の全長の一部にわたって延在し且つ側部に対面して光排出口(54)を有し、且つセンサ(24)は光排出口と向き合うよう配置されることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
一方に歯科材料(14)およびその重合領域と、他方にセンサ(24)および/または光源および/または熱源(18,20)との間に配置された光導電要素(44)は少なくとも一つの光ファイバーを有し、且つ少なくとも一つの光ファイバーは光導電要素の全長にわたって延在することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
光導電要素(14)は少なくとも一つの光ファイバーを有し、検出放射線は光ファイバーで伝導され、且つ検出−光ファイバー(52)は光導電要素(44)の周辺領域あるいは中央領域に配列されることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
光導電要素は多重光ファイバー(50,52)を有し、少なくとも一つの光ファイバー(52)において、検出放射線は伝導され、且つ検出−光ファイバー(52)は光導電要素(44)の周辺領域に配列されることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項16】
光導電要素(44)は少なくとも一つの光ファイバー(50,52)を有し、これは衝突放射線の波長範囲において、特に350nm乃至550nmの波長範囲において貫通可能であることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項17】
光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、これは800nm乃至10000nm、特に3000nm乃至5000nmの検出放射線の波長範囲において貫通可能であることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項18】
光導電要素は光導電ロッドとして形成され、該光導電ロッドは光源および歯科材料間に延在することを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項19】
装置(10)は手持ち式装置として形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項20】
装置は外部電流供給源と接続可能であり、および/または装置は交換性電流供給源(64)を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項21】
光源および/または熱源は少なくとも一つの半導体−エネルギー源により形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項22】
重合可能な歯科材料の重合用装置において:
半導体エネルギー源の形状における光源および/または熱源と;
制御装置と;
制御装置に接続されるセンサであって、歯科材料の少なくとも一つの物理的および/または化学的および/または生物学的パラメータを検出し更にそれを電気計測信号に変換するセンサとから構成される重合可能な歯科材料の重合用装置。
【請求項23】
センサ(24)は歯科材料(14)上に直接指向されることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項24】
重合可能な歯科材料の重合度を決定する方法において、
光源および/または熱源を提供し;
制御装置を提供し;
センサを提供し;
装置(10)の重合領域において歯科材料を光源および/または熱源で重合させ;
センサの出力信号に基づき光源および/または熱源を制御装置で制御し、ここでセンサ(24)は重合領域に指令を受け且つ歯科材料(14)の実パラメータ、特にその温度を検出する工程から構成されることを特徴とする重合可能な歯科材料の重合度を決定する方法。
【請求項25】
歯科材料(14)の実パラメータの勾配が変化する際に、特に加熱作用が減少する際に、センサ(24)は制御装置に信号を出力することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
制御装置はセンサ(24)の出力信号を処理し更に装置(10)を制御するために、特に光源および/または熱源を制御するために処理することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項27】
制御装置から放射される制御信号は停止信号であり、装置は電源を切られ且つ重合処理は停止信号の発信に基づき終了することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項28】
センサ(24)は800nm乃至1000nmの波長範囲、特に300nm乃至5000nmの波長範囲で歯科材料(14)から放射された放射線を検出することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項29】
歯科材料(14)から放射された放射線を検出するために、光源および/または熱源は重合サイクルの間少なくとも一度制御装置により一時的に電源を切ることを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項1】
重合可能な歯科材料(14)の重合用装置において:
光源および/または熱源(18;20)であって、これにより歯科材料(14)は衝突される光源および/または熱源と;
光源および/または熱源(18;20)用の制御装置(26)と;
制御装置(26)に接続されるセンサ(24)であって、センサ(26)は歯科材料により放射される自然放射線から得られる波長を検出するセンサとから構成されることを特徴とする重合可能な歯科材料(14)の重合用装置。
【請求項2】
800nmおよび10,000nmの間、特に800nmおよび6,000nmの間、好適には3,000nmおよび5,000nmの間の波長範囲、あるいは、この波長範囲より低い範囲にある光がセンサで検出可能であることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
重合放射線と歯科材料から放射された検出放射線の波長範囲は互いに少なくとも少し異なることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
歯科材料上で光源および/または熱源(18,20)から放射された重合放射線は350nmおよび550nmの間の波長範囲内に少なくとも部分的に存在することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
センサ放射線(18、20)は一重合サイクルの間検出されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
検出放射線の温度はセンサ(24)で確認され且つ制御装置(26)からは、その時間的進行、特に温度の上昇および/または低下が評価されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項7】
光源および/または熱源(18、20)およびセンサ(24)の光軸は歯科材料に対して互いにゼロから偏位する角度で延在することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項8】
センサ(24)および/または制御装置(26)は装置に内蔵されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
歯科材料が重合される多重合領域を更に構成し、1つのセンサ(24)は各重合領域に設置されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
重合領域は互いに空間的に分離され、且つ各重合領域において、少なくとも一つの光源および/または熱源(18,20)が配置されることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
少なくとも一つのセンサ(24)と歯科材料(14)との間に、少なくとも一つの光導電要素(44)が配置され、ここで歯科材料領域(14)からの検出放射線がセンサ(24)に伝導されおよび/またはここで光源および/または熱源(18,20)からの衝突放射線は歯科材料に伝導されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項12】
少なくとも一つの光ファイバーが光導電要素(46)の全長の一部にわたって延在し且つ側部に対面して光排出口(54)を有し、且つセンサ(24)は光排出口と向き合うよう配置されることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
一方に歯科材料(14)およびその重合領域と、他方にセンサ(24)および/または光源および/または熱源(18,20)との間に配置された光導電要素(44)は少なくとも一つの光ファイバーを有し、且つ少なくとも一つの光ファイバーは光導電要素の全長にわたって延在することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項14】
光導電要素(14)は少なくとも一つの光ファイバーを有し、検出放射線は光ファイバーで伝導され、且つ検出−光ファイバー(52)は光導電要素(44)の周辺領域あるいは中央領域に配列されることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項15】
光導電要素は多重光ファイバー(50,52)を有し、少なくとも一つの光ファイバー(52)において、検出放射線は伝導され、且つ検出−光ファイバー(52)は光導電要素(44)の周辺領域に配列されることを特徴とする請求項13記載の装置。
【請求項16】
光導電要素(44)は少なくとも一つの光ファイバー(50,52)を有し、これは衝突放射線の波長範囲において、特に350nm乃至550nmの波長範囲において貫通可能であることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項17】
光導電要素は少なくとも一つの光ファイバーを有し、これは800nm乃至10000nm、特に3000nm乃至5000nmの検出放射線の波長範囲において貫通可能であることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項18】
光導電要素は光導電ロッドとして形成され、該光導電ロッドは光源および歯科材料間に延在することを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項19】
装置(10)は手持ち式装置として形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項20】
装置は外部電流供給源と接続可能であり、および/または装置は交換性電流供給源(64)を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項21】
光源および/または熱源は少なくとも一つの半導体−エネルギー源により形成されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項22】
重合可能な歯科材料の重合用装置において:
半導体エネルギー源の形状における光源および/または熱源と;
制御装置と;
制御装置に接続されるセンサであって、歯科材料の少なくとも一つの物理的および/または化学的および/または生物学的パラメータを検出し更にそれを電気計測信号に変換するセンサとから構成される重合可能な歯科材料の重合用装置。
【請求項23】
センサ(24)は歯科材料(14)上に直接指向されることを特徴とする請求項22記載の装置。
【請求項24】
重合可能な歯科材料の重合度を決定する方法において、
光源および/または熱源を提供し;
制御装置を提供し;
センサを提供し;
装置(10)の重合領域において歯科材料を光源および/または熱源で重合させ;
センサの出力信号に基づき光源および/または熱源を制御装置で制御し、ここでセンサ(24)は重合領域に指令を受け且つ歯科材料(14)の実パラメータ、特にその温度を検出する工程から構成されることを特徴とする重合可能な歯科材料の重合度を決定する方法。
【請求項25】
歯科材料(14)の実パラメータの勾配が変化する際に、特に加熱作用が減少する際に、センサ(24)は制御装置に信号を出力することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
制御装置はセンサ(24)の出力信号を処理し更に装置(10)を制御するために、特に光源および/または熱源を制御するために処理することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項27】
制御装置から放射される制御信号は停止信号であり、装置は電源を切られ且つ重合処理は停止信号の発信に基づき終了することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項28】
センサ(24)は800nm乃至1000nmの波長範囲、特に300nm乃至5000nmの波長範囲で歯科材料(14)から放射された放射線を検出することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項29】
歯科材料(14)から放射された放射線を検出するために、光源および/または熱源は重合サイクルの間少なくとも一度制御装置により一時的に電源を切ることを特徴とする請求項24記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−305362(P2006−305362A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121377(P2006−121377)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(596032878)イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト (63)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(596032878)イボクラール ビバデント アクチェンゲゼルシャフト (63)
【Fターム(参考)】
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