重合性アニオンを有するスルホニウム塩及び高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法
【課題】フォトリソグラフィーにおいて、高解像性かつ露光余裕度に優れたレジスト材料のベース樹脂用の単量体として有用な重合性アニオンを有するスルホニウム塩、そのスルホニウム塩から得られる高分子化合物、その高分子化合物を含有するレジスト材料及びそのレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示されるスルホニウム塩。
(AはC1〜20の二価の有機基。nは0又は1)
【解決手段】一般式(1)で示されるスルホニウム塩。
(AはC1〜20の二価の有機基。nは0又は1)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1)光酸発生剤及びスルホン酸ポリマーの原料として有用な重合性アニオンを有するスルホニウム塩、(2)そのスルホニウム塩を単量体として含み、高エネルギー線や熱などに感応し、スルホン酸を発生する高分子化合物、(3)その高分子化合物を含有するレジスト材料及び(4)そのレジスト材料を用いたパターン形成方法に関する。
なお、本発明において、高エネルギー線とは、紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線を含むものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィー及び真空紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは0.13μm以下の超微細加工に不可欠な技術である。
【0003】
ArFリソグラフィーは130nmノードのデバイス製作から部分的に使われ始め、90nmノードデバイスからはメインのリソグラフィー技術となった。次の45nmノードのリソグラフィー技術として、当初F2レーザーを用いた157nmリソグラフィーが有望視されたが、諸問題による開発遅延が指摘されたため、投影レンズとウエハーの間に水、エチレングリコール、グリセリン等の空気より屈折率の高い液体を挿入することによって、投影レンズの開口数(NA)を1.0以上に設計でき、高解像度を達成することができるArF液浸リソグラフィーが急浮上してきた(例えば、非特許文献1:Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587 (2004)参照)。
【0004】
ArFリソグラフィーでは、精密かつ高価な光学系材料の劣化を防ぐために、少ない露光量で十分な解像性を発揮できる感度の高いレジスト材料が求められており、実現する方策としては、その各成分として波長193nmにおいて高透明なものを選択するのが最も一般的である。例えばベース樹脂については、ポリアクリル酸及びその誘導体、ノルボルネン−無水マレイン酸交互重合体、ポリノルボルネン及び開環メタセシス重合体、開環メタセシス重合体水素添加物等が提案されており、樹脂単体の透明性を上げるという点ではある程度の成果を得ている。
【0005】
また、光酸発生剤も種々の検討がなされてきた。この場合、従来のKrFエキシマレーザー光を光源とした化学増幅型レジスト材料に用いられてきたようなアルカンあるいはアレーンスルホン酸を発生する光酸発生剤を上記のArF化学増幅型レジスト材料の成分として用いた場合には、樹脂の酸不安定基を切断するための酸強度が十分でなく、解像が全くできない、あるいは低感度でデバイス製造に適さないことがわかっている。
【0006】
このため、ArF化学増幅型レジスト材料の光酸発生剤としては、酸強度の高いパーフルオロアルカンスルホン酸を発生するものが一般的に使われている。これらのパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤は既にKrFレジスト材料として開発されてきたものであり、例えば、特許文献1:特開2000−122296号公報や特許文献2:特開平11−282168号公報には、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸を発生する光酸発生剤が記載されている。また新規な酸発生剤として、特許文献3〜5:特開2002−214774号公報、特開2003−140332号公報、米国特許出願公開第2002/0197558号明細書においてパーフルオロアルキルエーテルスルホン酸が発生する酸発生剤が提案されている。
【0007】
上記の内、パーフルオロオクタンスルホン酸誘導体(PFOS)は環境中での非分解性、濃縮性などの環境問題を抱えており、代替品として各社よりフッ素の置換率を下げた部分フッ素置換アルカンスルホン酸の開発が行われている。例えば、特許文献6:特表2004−531749号公報には、α,α−ジフルオロアルケンと硫黄化合物によりα,α−ジフルオロアルカンスルホン酸塩を開発し、露光によりこのスルホン酸を発生する光酸発生剤、具体的にはジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム=1,1−ジフルオロ−2−(1−ナフチル)エタンスルホネートを含有するレジスト材料が公開されており、更に、特許文献7:特開2004−2252号公報には、α,α,β,β−テトラフルオロ−α−ヨードアルカンと硫黄化合物によるα,α,β,β−テトラフルオロアルカンスルホン酸塩の開発とこのスルホン酸を発生する光酸発生剤及びレジスト材料が公開されている。また、上述の特許文献3には、合成方法の記載は無いものの本文中にはジフルオロスルホ酢酸アルキルエステル、ジフルオロスルホ酢酸アミドなどが開示され、更に、特許文献8:特開2005−266766号公報には、パーフルオロアルキレンジスルホニルジフルオリドから誘導されるスルホニルアミド構造を有する部分フッ素化アルカンスルホン酸を発生する化合物を含有する感光性組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、ピッチが200nmを下回るような微細なパターンを形成しようとする場合、光学コントラストの異なる疎なパターン、密なパターンでの寸法差(疎密依存性)の問題が大きくなってきた。疎密依存性の改善には低拡散性の酸を発生する光酸発生剤の使用などである程度目的は達せられるが、満足できるものはない。パターンルールのより一層の微細化が求められる中、感度、基板密着性、エッチング耐性において優れた性能を発揮することに加え、解像性の劣化を伴わない、根本的な疎密依存性の改善策が必要とされているのである。
【0009】
このような中で、感度向上を目的としてアクロイルオキシフェニルジフェニルスルホニウム塩を単量体として有する高分子化合物(特許文献9:特開平4−230645号公報)やポリヒドロキシスチレン系樹脂でのラインウィズスラフネスの改善を目的として上記単量体をベース樹脂に組み込むことが行われている(特許文献10:特開2005−84365号公報)。しかしながら、これらはカチオン側が高分子化合物に結合されているので高エネルギー線照射により生じたスルホン酸は従来の光酸発生剤から生じたスルホン酸と変わらず、上記の課題に対し満足できるものではない。また、感度向上、レジストパターン形状の改善を目的とし、ポリスチレンスルホン酸などアニオン側をポリマー主鎖に組み込んだスルホニウム塩が開示されている(特許文献11:特許第3613491号公報)が、発生酸はいずれもアレーンスルホン酸、アルキルスルホン酸誘導体であり、発生酸の酸強度が低いため、酸不安定基、特にArF化学増幅型レジストの酸不安定基を切断するには不充分である。特許文献12:特開2006−178317号公報には多数の部分フッ素化スルホン酸アニオンを重合性単位として有する高分子化合物とレジスト材料が開示されている。特許文献13:国際公開第06/121096号パンフレットには具体的に3種の部分フッ素化スルホン酸アニオンを有し、特定のラクトン化合物との組合せの高分子化合物が開示されている。また、特許文献14:特開2007−197718号公報には、具体的に3種のアニオンが記載されているが、これらは強酸のカルボン酸エステルのため、加水分解性が高く、安定性が低いことが予想される。また、でき上がったコポリマーのレジスト溶剤溶解性も十分でない。更に、特許文献15:特開2008−133448号公報にも部分フッ素化アルカンスルホン酸アニオンを重合性単位として有するスルホニウム塩が開示されているが、LWRのレジスト性能は不十分である。
【0010】
また、液浸露光においては、露光後のレジストウエハー上に微少な水滴が残ることによる欠陥に起因するレジストパターン形状の不良、現像後のレジストパターンの崩壊やT−top形状化といった問題点があり、液浸リソグラフィーにおいても現像後に良好なレジストパターンを得られるパターン形成方法が求められている。
【0011】
ArFリソグラフィー以降の露光技術としては、電子線(EB)リソグラフィー、F2リソグラフィー、EUV(極紫外光)リソグラフィー、X線リソグラフィーなどが有望視されているが、真空下(減圧下)での露光を行わなければならないことから露光中に発生したスルホン酸が揮発し、良好なパターン形状が得られないなどの問題や揮発したスルホン酸が露光装置へのダメージを与える可能性がある。また、近年更なるパターンの微細化に対応する為に、EB、EUVリソグラフィーにおいては、より酸拡散による影響を抑えることのできるレジスト材料の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−122296号公報
【特許文献2】特開平11−282168号公報
【特許文献3】特開2002−214774号公報
【特許文献4】特開2003−140332号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0197558号明細書
【特許文献6】特表2004−531749号公報
【特許文献7】特開2004−2252号公報
【特許文献8】特開2005−266766号公報
【特許文献9】特開平4−230645号公報
【特許文献10】特開2005−84365号公報
【特許文献11】特許第3613491号公報
【特許文献12】特開2006−178317号公報
【特許文献13】国際公開第06/121096号パンフレット
【特許文献14】特開2007−197718号公報
【特許文献15】特開2008−133448号公報
【特許文献16】特許第3796560号公報
【特許文献17】特許第3238465号公報
【特許文献18】特許第3865048号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線等の高エネルギー線を光源としたフォトリソグラフィーにおいて、高解像性かつ露光余裕度に優れたレジスト材料のベース樹脂用の単量体として有用な重合性アニオンを有するスルホニウム塩、そのスルホニウム塩から得られる高分子化合物、その高分子化合物を含有するレジスト材料及びそのレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩が容易に調製可能であり、この重合性アニオンを有するスルホニウム塩を繰り返し単位として導入した高分子化合物をベース樹脂として用いたレジスト材料が露光余裕度、疎密依存性、ラインウィズスラフネスといった諸特性に優れ、レジスト材料として精密な微細加工に極めて有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0016】
即ち、本発明は、下記の重合性アニオンを有するスルホニウム塩及び高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
[請求項1]
下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩。
【化1】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
[請求項2]
高エネルギー線又は熱に感応し、下記一般式(1a)で示される繰り返し単位のスルホン酸を発生する高分子化合物。
【化2】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
[請求項3]
下記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化3】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
[請求項4]
更に、下記一般式(2)〜(6)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3記載の高分子化合物。
【化4】
(式中、R1は上記と同様である。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。Xは酸不安定基を示す。Yはラクトン構造を有する置換基を示す。Zは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。Nは0〜2の整数を示す。R7は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Bは単結合あるいは酸素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10の二価の有機基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を示す。)
[請求項5]
更に、下記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3又は4記載の高分子化合物。
【化5】
(式中、R1、Xは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボニルオキシ基(−C(=O)O−)を示す。)
[請求項6]
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
[請求項7]
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物及び上記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含まない高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
[請求項8]
更に、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を含む請求項6又は7記載のレジスト材料。
[請求項9]
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
[請求項10]
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な保護膜を塗布する工程と、当該基板と投影レンズの間に水を挿入しフォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
[請求項11]
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後電子線で描画する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【0017】
なお、本発明のレジスト材料は、液浸リソグラフィーに適用することも可能である。液浸リソグラフィーは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に液浸媒体を挿入して露光する。ArF液浸リソグラフィーにおいては、液浸媒体として主に純水が用いられる。NAが1.0以上の投影レンズと組み合わせることによって、ArFリソグラフィーを65nmノード以降まで延命させるための重要な技術であり、開発が加速されている。
【0018】
また、本発明のレジスト材料は、種々のシュリンク方法によって現像後のパターン寸法を縮小することができる。例えば、サーマルフロー、RELACS、SAFIRE、WASOOMなど既知の方法によりホールサイズをシュリンクすることができる。特にポリマーTgが低い水素化ROMPポリマー(シクロオレフィン開環メタセシス重合体水素添加物)などをブレンドした場合、サーマルフローによりホールサイズを効果的に縮小することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩は、スルホン酸のα位及びγ位にフッ素原子を有するため、高エネルギー線照射により酸を発生した場合に非常に強いスルホン酸を生じるので、化学増幅型レジスト材料中の酸不安定基を効率よく切断することができ、感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための単量体として非常に有用である。また、本発明の高分子化合物を感放射線レジスト材料のベース樹脂として用いた場合、高解像性かつ疎密依存性及び露光マージンに優れ、この高分子化合物はレジスト材料として精密な微細加工に極めて有効である。更にはArF液浸露光の際の水への溶出も抑えることができるのみならず、ウエハー上に残る水の影響も少なく、欠陥も抑えることができる。デバイス作製後のレジスト廃液処理の際には、(メタ)アクリル酸エステル部位がアルカリ加水分解されるため、より低分子量の低蓄積性の化合物へと変換が可能であるし、燃焼による廃棄の際もフッ素置換率が低いため、燃焼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】合成例2−1の[モノマー1]の1H−NMRを示した図である。
【図2】合成例2−1の[モノマー1]の19F−NMRを示した図である。
【図3】合成例2−2の[モノマー2]の19F−NMRを示した図である。
【図4】合成例2−3の[モノマー3]の1H−NMRを示した図である。
【図5】合成例2−3の[モノマー3]の19F−NMRを示した図である。
【図6】合成例2−4の[モノマー4]の1H−NMRを示した図である。
【図7】合成例2−4の[モノマー4]の19F−NMRを示した図である。
【図8】合成例2−5の[モノマー5]の1H−NMRを示した図である。
【図9】合成例2−5の[モノマー5]の19F−NMRを示した図である。
【図10】合成例2−6の[モノマー6]の1H−NMRを示した図である。
【図11】合成例2−6の[モノマー6]の19F−NMRを示した図である。
【図12】合成例2−7の[モノマー7]の1H−NMRを示した図である。
【図13】合成例2−7の[モノマー7]の19F−NMRを示した図である。
【図14】合成例2−8の[モノマー8]の1H−NMRを示した図である。
【図15】合成例2−8の[モノマー8]の19F−NMRを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩は、下記一般式(1)で示されるものである。
【化6】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【0022】
上記式(1)中、R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。
具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、2−オキソエチル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等や、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−tert−ブトキシフェニル基、3−tert−ブトキシフェニル基等のヒドロキシフェニル基及びアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。また、R2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して硫黄原子と共に、環状構造を形成する場合には、下記式で示される基が挙げられる。
【0023】
【化7】
(式中、R4は上記と同様である。)
【0024】
より具体的にスルホニウムカチオンを示すと、トリフェニルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3,4−ジ−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−n−ヘキシルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ジメチル(2−ナフチル)スルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル−2−チエニルスルホニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、4−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくはトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0025】
上記式(1)中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、好ましくは水素原子、又はメチル基である。nは0又は1である。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基等の二価の有機基を示し、直鎖状あるいは分岐状でもよく、また脂環式炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基を含んでいてもよい。具体的に一般式(1)のアニオン部位として示される構造としては、下記のものを例示できるが、これらに限定するものではない。
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
なお、本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩は例示であり、本発明と同様な手法により重合性アニオンを有するヨードニウム塩、アンモニウム塩なども合成することができ、後述する高分子化合物やレジスト材料、パターン形成方法などにも適用が可能である。
【0029】
より具体的なヨードニウムカチオンとして、例えばジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル)ヨードニウム、(4−(1,1−ジメチルエトキシ)フェニル)フェニルヨードニウムなどが挙げられ、アンモニウム塩としては例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウムなどの3級アンモニウム塩や、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩などが挙げられる。上述の重合性アニオンを有するヨードニウム塩及びこれを繰り返し単位として有する高分子化合物は光酸発生効果や熱酸発生効果を有するとして用いることができ、重合性アニオンを有するアンモニウム塩及びこれを繰り返し単位として有する高分子化合物は熱酸発生剤として用いることができる。
【0030】
本発明の紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線の高エネルギー線や熱に感応し、スルホン酸を発生する高分子化合物は、下記一般式(1a)で示される繰り返し単位を発生するものである。
【化10】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【0031】
具体的にはR1、A、nは上記の通りである。通常、発生酸をポリマー単位に組み込んだ場合(以下、ポリマーバウンドPAGと記述する)、酸拡散が抑制されることから露光余裕度、マスクエラーファクターといったパラメーターを改善することができるが、ラインウィズスラフネスは劣化する。しかし、本発明のスルホニウム塩をポリマーに導入したレジスト材料を用いた場合では、上記一般式(1a)におけるAのリンカー単位を介することで、ポリマーバウンドPAGに適度な機動性を与え、ラインウィズスラフネスをも改善することができる。更に、本発明の酸発生剤は、スルホン酸のα位及びγ位にフッ素原子を有するため、高エネルギー線照射により酸を発生した場合に非常に強いスルホン酸を生じるので、化学増幅型レジスト材料中の酸不安定基を効率よく切断することができ、感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための単量体として非常に有用である。
【0032】
本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩の合成方法について述べる。
(メタ)アクリロイル基やビニル基等の重合性官能基を有するカルボン酸化合物を酸クロライドとし、これを本発明者らによって合成されたトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートと塩基性条件下反応させることにより、重合性アニオンを有する上記一般式(1)のスルホニウム塩を得ることができる。
【0033】
更に、本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩の合成は、以下に記述する処方で合成することもできる。
本発明者らによって合成されたトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを塩基性条件下でクロロアルキルカルボン酸クロライドと反応させることにより、トリフェニルスルホニウム 2−(クロロアルキルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを調製する。これを(メタ)アクリロイル基やビニル基等の重合性官能基を有するカルボン酸の金属塩と反応させるか、あるいは該カルボン酸と塩基性条件下反応させることにより、重合性アニオンを有する上記一般式(1)のスルホニウム塩を得ることができる。
前述の合成処方に関する説明はあくまで一例であり、本発明の内容はこれらに限定されない。
【0034】
なお、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートの合成を簡単に述べる。
中井らにより1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料として開発された1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イルベンゾエート(Tetrahedron Lett., Vol. 29, 4119 (1988))に代表される1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル脂肪族カルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステルを水中で反応させることにより、対応する1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルホン酸塩あるいは1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホン酸塩を得た後に、適宜スルホニウム塩とイオン交換することにより、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルホネートあるいはトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホネートを得ることができ、更にスルホネートのカルボン酸エステル部位を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを用いて加水分解又はアルコールと塩基を用いて加溶媒分解することで、目的のトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを得ることができる。トリフェニルスルホニウム以外のスルホニウム塩の合成も同様に行うことができる。
【0035】
重合性アニオンを合成する反応は、公知の方法により容易に進行するが、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートなどのスルホニウム塩を、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒中に溶解し、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基と、重合性官能基含有酸クロライド化合物を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
【0036】
本発明の高分子化合物は、一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩から得られる繰り返し単位を含有するものである。
一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩から得られる繰り返し単位として、具体的には下記一般式(1b)を挙げることができる。
【0037】
【化11】
(式中、R1〜R4、A、nは上記と同様である。)
【0038】
また、本発明の高分子化合物には、上記一般式(1b)で示される化合物の繰り返し単位に加え、下記一般式(2)〜(6)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することができる。
【0039】
【化12】
(式中、R1は上記と同様である。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。Xは酸不安定基を示す。Yはラクトン構造を有する置換基を示す。Zは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。Nは0〜2の整数を示す。R7は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Bは単結合あるいは酸素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10の二価の有機基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を示す。)
【0040】
上記一般式(2)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。Xは酸不安定基を示す。
酸不安定基Xとしては種々用いることができるが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)及び(L2−2)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0041】
【化13】
【0042】
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。
また、式(L1)において、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0043】
【化14】
【0044】
RL01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0045】
式(L2)において、RL04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
【0046】
式(L2−2)において、
【化15】
は下記の基であり、RL04は上記と同意である。
【化16】
(式中、破線は結合手を示す。Wは酸素原子あるいはCH2を示し、Mは1〜3の整数である。)
【0047】
式(L3)において、RL05は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、置換されていてもよいアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
【0048】
式(L4)において、RL06は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれらの2個が互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合にはその結合に関与するものは炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0049】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【化17】
【0050】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0051】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0052】
上記式(L2−2)の酸不安定基としては、具体的には、
9−(tert−ブチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(tert−アミルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−ブチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
2−(9−(tert−ブチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(tert−アミルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−ブチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
4−(9−(tert−ブチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(tert−アミルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−ブチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基
等が例示できる。
【0053】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
【0054】
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
【化18】
【0055】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)中、破線は結合位置及び結合方向を示す。RL41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
【0056】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0057】
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)、(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化19】
【0058】
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化20】
【0059】
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
【0060】
なお、(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する3級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50モル%以上であることが好ましく、exo比率が80モル%以上であることが更に好ましい。
【化21】
【0061】
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
【化22】
【0062】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0063】
前記一般式(2)で表される繰り返し単位として具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。(メタ)アクリル酸エステルのみを示しているが上記式(L−2)又は(L−2−2)で示される二価の連結基を介したものを用いてもよい。
【0064】
【化23】
【0065】
【化24】
【0066】
【化25】
【0067】
【化26】
【0068】
【化27】
【0069】
【化28】
【0070】
前記一般式(3)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化29】
【0071】
前記一般式(4)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。なお、酸不安定基を有する繰り返し単位も存在する。具体的には上記酸不安定基として説明した式(L2−2)と重複するが、ラクトン単位として使用してもよいし、酸不安定基を有する単位として用いてもよい。
【0072】
【化30】
【0073】
【化31】
【0074】
【化32】
【0075】
また、下記一般式(5L−1)のものも好適に用いることができる。
【化33】
【0076】
ここで、上記一般式(5L−1)中のR1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。より好ましくはメチル基である。R5'は水素原子又はCO2R5''を示す。R5''は水素原子、ハロゲン原子又は酸素原子を有していてもよい炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示す。W’はCH2、O又はSを示す。M’は1〜3の整数である。
【0077】
R5''として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基、4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、及び下記の基等が例示できる。
【0078】
【化34】
(ここで、破線は結合手を示す。)
【0079】
この中でR5''として好ましくはメチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基等が挙げられる。W’として好ましくはCH2が挙げられる。
【0080】
上記一般式(5L−1)で示される繰り返し単位を構成するためのモノマーとして、具体的には下記のものを例示できる。
【0081】
【化35】
(式中、R1は上記と同様である。)
【0082】
【化36】
(式中、R1は上記と同様である。)
【0083】
【化37】
(式中、R1は上記と同様である。)
【0084】
なお、上記一般式(5L−1)で示される繰り返し単位を構成するためのモノマー類でM’=1の化合物に関しては特開2008−031298号公報に詳しい。また、M’=3の化合物に関してはM’=1の化合物における原料のクロロアセチルクロリドをクロロ酪酸クロリドとすることで同様に合成ができる。
【0085】
前記一般式(5)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化38】
【0086】
【化39】
【0087】
前記一般式(6)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化40】
【0088】
本発明の高分子化合物は、上記以外の炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン誘導体などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0089】
なお、本発明の高分子化合物は、ArF露光以外のリソグラフィー、例えばKrFリソグラフィー、電子線リソグラフィー、EUVリソグラフィーなどにも適用が可能である。
【0090】
即ち、本発明の高分子化合物には、上記一般式(1b)で示される繰り返し単位に加え、更に下記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することができ、更に上述した一般式(2)〜(6)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有していてもよい。
【0091】
【化41】
(式中、R1、Xは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボニルオキシ基(−C(=O)O−)を示す。)
【0092】
上記一般式(7)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してフェノール性水酸基及び/又はカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基Xとしては種々用いることができるが、具体的には上述した一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0093】
前記一般式(7)で表される繰り返し単位として具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化42】
【0094】
上記一般式(10)で示されるヒドロキシビニルナフタレンの置換位置は任意であるが、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン、4−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレンなどが挙げられ、中でも6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレンが好ましく用いられる。
【0095】
更に、上述したように、上記一般式(7)〜(11)で示される繰り返し単位のいずれか1種に加えて上記一般式(2)〜(6)で示される繰り返し単位の中で、特に上記一般式(2)で示される繰り返し単位を含有するものを好ましく用いることができる。
【0096】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩を繰り返し単位として含み、上記一般式(2)〜(6)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上、及び/又は上記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有する高分子化合物には、上記以外の炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン誘導体、ノルボルナジエン類などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、スチレン、アセナフチレン、ビニルナフタレン、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0097】
なお、本発明の高分子化合物の重量平均分子量は、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜100,000である。この範囲を外れると、エッチング耐性が極端に低下したり、露光前後の溶解速度差が確保できなくなって解像性が低下したりすることがある。分子量の測定方法はポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)や光散乱法などが挙げられる。
【0098】
本発明の高分子化合物において、各単量体から得られる各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲(モル%)とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0099】
(I)上記式(1)の単量体に基づく式(1b)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%を超え100モル%以下、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは5〜20モル%含有し、
(II)上記式(2)〜(6)、及び/又は(7)〜(11)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%以上100モル%未満、好ましくは70〜99モル%、より好ましくは80〜95モル%含有し、必要に応じ、
(III)その他の単量体に基づく構成単位の1種又は2種以上を0〜80モル%、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%含有することができる。
【0100】
本発明の高分子化合物の製造は、上記一般式(1)で示される化合物を第1の単量体に、重合性二重結合を含有する化合物を第2以降の単量体に用いた共重合反応により行う。
本発明の高分子化合物を製造する共重合反応は種々例示することができるが、好ましくはラジカル重合、アニオン重合又は配位重合である。
【0101】
ラジカル重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール等のアルコール類、又はメチルイソブチルケトン等のケトン類を用い、(イ)重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又は過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0102】
アニオン重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、又は液体アンモニアを用い、(イ)重合開始剤としてナトリウム、カリウム等の金属、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等のアルキル金属、ケチル、又はグリニャール反応剤を用い、(ウ)反応温度を−78〜0℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とし、(オ)停止剤としてメタノール等のプロトン供与性化合物、ヨウ化メチル等のハロゲン化物、その他求電子性物質を用いるのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0103】
配位重合の反応条件は、(ア)溶剤としてn−ヘプタン、トルエン等の炭化水素類を用い、(イ)触媒としてチタン等の遷移金属とアルキルアルミニウムからなるチーグラー−ナッタ触媒、クロム及びニッケル化合物を金属酸化物に担持したフィリップス触媒、タングステン及びレニウム混合触媒に代表されるオレフィン−メタセシス混合触媒等を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0104】
また、上記重合方法により製造した高分子化合物の酸不安定基の一部あるいは全部を脱保護し、後述するネガ型材料に用いることができる。更には酸不安定基を脱保護した高分子化合物に再び酸不安定基を導入し、重合時に導入した酸不安定基とは異なる置換基を導入することもできる。
【0105】
例えば4−エトキシエトキシスチレンと本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩を上述のラジカル重合により高分子化合物とし、次いで酢酸、ピリジニウムトシレートなどによりエトキシエトキシ基を外し、ポリヒドロキシスチレンとのコポリマーとすることができる。これはネガ型レジスト材料のベース樹脂として用いることができる。また、上記コポリマーのヒドロキシスチレン単位をジtert−ブチルジカーボネート、クロロ酢酸tert−ブチル、種々ビニルエーテルなどと反応させることにより重合時の酸不安定基(エトキシエトキシ基)とは異なる酸不安定基を導入することができる。
【0106】
前述の方法を利用して、本発明の上記一般式(1b)で示される高分子化合物を合成することも可能である。即ち、上記重合方法により製造した高分子化合物の酸不安定基の一部あるいは全部を脱保護し、脱保護体と反応し得るような官能基を有するスルホニウム塩と反応させることにより、本発明の上記一般式(1b)で示される高分子化合物を合成することができる。
【0107】
例えば、一部あるいは全部が脱保護された高分子化合物に対し、トリフェニルスルホニウム 2−(クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを塩基性条件下反応させることにより、本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩をポリマーに導入することができる。なお、トリフェニルスルホニウム 2−(クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートの合成法は、上述した通り、本発明者らによって合成されたトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートから合成することができる。
【0108】
クロロ酢酸エステルとフェノール系高分子化合物との反応は、特許文献16:特許第3796560号公報、特許文献17:特許第3238465号公報及び特許文献18:特許第3865048号公報等を参考に合成することができる。
【0109】
本発明の高分子化合物は、レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベースポリマーとして好適に用いられ、本発明は、上記高分子化合物を含有するレジスト材料、とりわけポジ型レジスト材料を提供する。
この場合、ポジ型レジスト材料としては、
(A)上記高分子化合物を含むベース樹脂、
(B)有機溶剤
必要により、更に
(C)酸発生剤、
(D)クエンチャー、
(E)界面活性剤
を含有するものが好ましい。
【0110】
また、本発明の高分子化合物は、化学増幅ネガ型レジスト材料のベースポリマーとしても用いることができる。
この場合、ネガ型レジスト材料としては、
(A)上記高分子化合物を含むベース樹脂、
(B)有機溶剤、
(F)酸によって架橋する架橋剤
必要により、更に
(C)酸発生剤、
(D)クエンチャー、
(E)界面活性剤
を含有するものが好ましい。
【0111】
上記ポジ型レジスト材料を構成する場合、上記(A)成分のベース樹脂として、本発明の高分子化合物以外に、必要に応じて他の、即ち上記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含まない酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂を加えてもよい。例としては、i)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ii)ノルボルネン誘導体−無水マレイン酸の共重合体、iii)開環メタセシス重合体の水素添加物、iv)ビニルエーテル−無水マレイン酸−(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、v)ポリヒドロキシスチレン誘導体などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0112】
i)のポリ(メタ)アクリル酸誘導体は上記一般式(2)〜(6)などの組み合わせによる高分子化合物であり、v)のポリヒドロキシスチレン誘導体は上記一般式(7)〜(11)の組み合わせ、及び(2)〜(11)の組み合わせによる高分子化合物である。これら高分子化合物の酸不安定基にかかわる単位、例えば上記一般式(2)及び/又は(7)の1種又は2種以上の単量体単位の含有割合は0モル%を超え80モル%である。好ましくは1〜50モル%、より好ましくは10〜40モル%である。
【0113】
このうち、開環メタセシス重合体の水素添加物の合成法は特開2003−66612号公報の実施例に具体的な記載がある。また、具体例としては以下の繰り返し単位を有するものを挙げることができるが、これに限定されない。
【0114】
【化43】
【0115】
【化44】
【0116】
本発明の高分子化合物と別の高分子化合物との配合比率は、100:0〜10:90、特に100:0〜20:80の質量比の範囲内にあることが好ましい。本発明の高分子化合物の配合比がこれより少ないと、レジスト材料として好ましい性能が得られないことがある。上記の配合比率を適宜変えることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
なお、上記高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0117】
本発明で使用される(B)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0118】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100質量部に対して200〜1,000質量部、特に400〜800質量部が好適である。
【0119】
本発明で必要に応じて使用される(C)成分の酸発生剤として光酸発生剤を添加する場合は、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでもかまわない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0120】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3,4−ジ−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−メチルフェニル)フェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、トリス(フェニルメチル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル(2−ナフチル)スルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソプロピルチアシクロペンタニウム、2−オキソブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−3,3−ジメチルブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド、パーフルオロ(1,3−プロピレンビススルホニル)イミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドが挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0121】
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、ヨードニウムカチオンとしてはジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられ、スルホネートとしてはトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド、パーフルオロ(1,3−プロピレンビススルホニル)イミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドが挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0122】
N−スルホニルオキシジカルボキシイミド型光酸発生剤としては、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボキシイミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシイミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等の組み合わせの化合物が挙げられる。
【0123】
O−アリールスルホニルオキシム化合物あるいはO−アルキルスルホニルオキシム化合物(オキシムスルホネート)型光酸発生剤としては、トリフルオロメチル基のような電子吸引基で化合物の安定性を増した下記式(Ox−1)で示されるオキシムスルホネートが挙げられる。
【化45】
(上記式中、R401は置換又は非置換の炭素数1〜10のハロアルキルスルホニル又はハロベンゼンスルホニル基を表す。R402は炭素数1〜11のハロアルキル基を表す。Ar401は置換又は非置換の芳香族基又はヘテロ芳香族基を表す。)
【0124】
具体的には、2−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)−4−ビフェニル、2−(2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)−4−ビフェニル、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)−4−ビフェニル等が挙げられ、更に上記骨格に2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0125】
中でもより好ましく用いられるのは下記一般式(C)−1で示される酸発生剤である。
【化46】
【0126】
ここで、式中、R405、R406、R407はそれぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の一価の炭化水素基、特にアルキル基又はアルコキシ基を示し、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基として具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチルシクロペンチル基、ブチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基、及びこれらの基の任意の炭素−炭素結合間に−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−等のヘテロ原子団が挿入された基や、任意の水素原子が−OH、−NH2、−CHO、−CO2H等の官能基に置換された基を例示することができる。R408はヘテロ原子を含んでもよい炭素数7〜30の直鎖状、分岐状又は環状の一価の炭化水素基を示し、具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
【化47】
【0128】
より具体的には、以下のものが例示できる。
【化48】
【0129】
【化49】
【0130】
本発明の化学増幅型レジスト材料における(C)成分として添加する光酸発生剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲であればいずれでもよいが、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。(C)成分の光酸発生剤の割合が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。上記(C)成分の光酸発生剤は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に、露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0131】
なお、光酸発生剤を2種以上混合して用い、一方の光酸発生剤がいわゆる弱酸を発生するオニウム塩である場合、酸拡散制御の機能を持たせることもできる。即ち、強酸(例えばフッ素置換されたスルホン酸)を発生する光酸発生剤と弱酸(例えばフッ素置換されていないスルホン酸もしくはカルボン酸)を発生するオニウム塩を混合して用いた場合、高エネルギー線照射により光酸発生剤から生じた強酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると塩交換により弱酸を放出し強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
ここで強酸を発生する光酸発生剤がオニウム塩である場合には上記のように高エネルギー線照射により生じた強酸が弱酸に交換することはできるが、高エネルギー線照射により生じた弱酸は未反応の強酸を発生するオニウム塩と衝突して塩交換を行うことはできない。これらはオニウムカチオンがより強酸のアニオンとイオン対を形成し易いとの現象に起因する。
【0132】
また、本発明のレジスト材料に、酸により分解し酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物については、J. Photopolym. Sci. and Tech., 8. 43−44, 45−46 (1995)、J. Photopolym. Sci. and Tech., 9.29−30 (1996)において記載されている。
【0133】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル−2−メチル−2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル−2−(2−トシロキシエチル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0134】
本発明のレジスト材料における酸増殖化合物の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく、解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0135】
更に、本発明のレジスト材料には、(D)成分のクエンチャーを1種又は2種以上配合することができる。
【0136】
クエンチャーとは、本技術分野において広く一般的に用いられる用語であり、酸発生剤より発生する酸などがレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物を言う。クエンチャーの配合により、レジスト感度の調整が容易となることに加え、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0137】
このようなクエンチャーとしては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類、アンモニウム塩類等が好適に用いられる。
【0138】
更に、下記一般式(D)−1で示されるアミン化合物が例示される。
N(X)n(Y)3-n (D)−1
【化50】
(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、上記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の水素原子、又は直鎖状、分岐状又は環状の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。)
【0139】
更に、下記一般式(D)−2に示される環状構造を持つアミン化合物が例示される。
【化51】
(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよいアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0140】
更に、下記一般式(D)−3〜(D)−6で表されるシアノ基を含むアミン化合物が例示される。
【化52】
(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0141】
更に、下記一般式(D)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有するアミン化合物が例示される。
【化53】
(上記式中、R310は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0142】
更に、下記一般式(D)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有するアミン化合物が例示される。
【化54】
(上記式中、R314は水素原子、炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。R315は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。)
【0143】
更に、下記一般式(D)−9及び(D)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化55】
(上記式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜50の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R321とR323は結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0144】
更に、下記一般式(D)−11〜(D)−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有するアミン化合物が例示される。
【化56】
(上記式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2R326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0145】
更に、下記一般式(D)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有するアミン化合物が例示される。
【化57】
(上記式中、R333は水素又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であって水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0146】
以下、本発明に好適に用いられるクエンチャーを具体的に例示するが、これらに限定されるものではない。
第一級の脂肪族アミン類として、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N’−ジメチルメチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0147】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0148】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
【0149】
アンモニウム塩類としては、ピリジニウム=p−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、トリオクチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、トリオクチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、トリエチルアンモニウム=カンファースルホナート、トリオクチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラブチルアンモニウム=カンファースルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラメチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、酢酸=テトラメチルアンモニウム、酢酸=テトラブチルアンモニウム、酢酸=ベンジルトリメチルアンモニウム、安息香酸=テトラメチルアンモニウム、安息香酸=テトラブチルアンモニウム、安息香酸=ベンジルトリメチルアンモニウム等が例示される。
【0150】
第3級アミン類としては、更に、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−ベンゾイルオキシエチル)アミン、トリス[2−(4−メトキシベンゾイルオキシ)エチル]アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトン等が例示される。
【0151】
更に、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]イミダゾール、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、4−[2−{2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル、2−メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−メトキシ酢酸2−ピペリジノエチル、2−メトキシ酢酸2−モルホリノエチル、2−メトキシ酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−メトキシ酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−メトキシ酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−ピペリジノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−モルホリノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−ピペリジノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、酪酸2−モルホリノエチル、ヘキサン酸2−モルホリノエチル、オクタン酸2−モルホリノエチル、デカン酸2−モルホリノエチル、ラウリン酸2−モルホリノエチル、ミリスチン酸2−モルホリノエチル、パルミチン酸2−モルホリノエチル、ステアリン酸2−モルホリノエチル、ベヘン酸2−モルホリノエチル、コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−アセチル)コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−ホルミル)コール酸2−モルホリノエチル、デヒドロコール酸2−モルホリノエチル、シクロペンタンカルボン酸2−モルホリノエチル、シクロヘキサンカルボン酸2−モルホリノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−ピペリジノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−モルホリノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、アダマンタンカルボン酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、安息香酸2−ピペリジノエチル、安息香酸2−モルホリノエチル、安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−ピペリジノエチル、4−メトキシ安息香酸2−モルホリノエチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−フェニル安息香酸2−ピペリジノエチル、4−フェニル安息香酸2−モルホリノエチル、4−フェニル安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−ピペリジノエチル、1−ナフタレンカルボン酸2−モルホリノエチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−ピペリジノエチル、2−ナフタレンカルボン酸2−モルホリノエチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル等が例示される。
【0152】
更に、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)等が例示される。
【0153】
なお、クエンチャーの配合量は全ベース樹脂100質量部に対して0.001〜5質量部、特に0.01〜3質量部が好適である。配合量が0.001質量部より少ないと配合効果がなく、5質量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0154】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤(E)を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0155】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352((株)ジェムコ製)、メガファックF171,F172,F173,R08,R30,R90,R94(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430,FC−431,FC−4430,FC−4432(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−381,S−382,S−386,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106,KH−10,KH−20,KH−30,KH−40(旭硝子(株)製)、サーフィノールE1004(日信化学工業(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X−70−092,X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、また、下記構造式(surf−1)の部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤も好ましく用いられる。
【0156】
【化58】
ここで、R、Rf、A、B、C、m’、n’は、上述の界面活性剤以外の記載に拘わらず、上記式(surf−1)のみに適用される。Rは2〜4価の炭素数2〜5の脂肪族基を示し、具体的には二価のものとしてエチレン、1,4−ブチレン、1,2−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,5−ペンチレンが挙げられ、3又は4価のものとしては下記のものが挙げられる。
【化59】
(式中、破線は結合手を示し、それぞれグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから派生した部分構造である。)
これらの中で好ましく用いられるのは、1,4−ブチレン又は2,2−ジメチル−1,3−プロピレンである。
【0157】
Rfはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。m’は0〜3の整数、n’は1〜4の整数であり、m’とn’の和はRの価数を示し2〜4の整数である。Aは1、Bは2〜25の整数、Cは0〜10の整数を示す。好ましくはBは4〜20の整数を示し、Cは0又は1である。また、上記構造の各構成単位はその並びを規定したものではなくブロック的でもランダム的に結合してもよい。部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤の製造に関しては米国特許第5,650,483号明細書などに詳しい。
【0158】
上記界面活性剤の中でもFC−4430,サーフロンS−381,サーフィノールE1004,KH−20,KH−30、及び上記構造式(surf−1)にて示したオキセタン開環重合物が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0159】
本発明の化学増幅型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し2質量部以下、好ましくは1質量部以下であり、配合する場合は0.01質量部以上とすることが好ましい。
【0160】
本発明のレジスト材料には、水を用いた液浸露光において特にはレジスト保護膜を用いない場合、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって水のしみ込みやリーチングを低減させる機能を有する界面活性剤を添加することができる。この界面活性剤は高分子型の界面活性剤であり、水に溶解せずアルカリ現像液に溶解する性質であり、特に撥水性が高く滑水性を向上させるものが好ましい。このような高分子型の界面活性剤は下記に示すことができる。
【0161】
【化60】
(式中、R114はそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基、R115はそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を示し、同一単量体内のR115はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、その場合、合計して炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R116はフッ素原子又は水素原子、又はR117と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数の和が3〜10の非芳香環を形成してもよい。R117は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。R118は1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R117とR118が結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成していてもよく、その場合、R117、R118及びこれらが結合する炭素原子とで炭素数の総和が2〜12の三価の有機基を表す。R119は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、R120は同一でも異なってもよく、単結合、−O−、又は−CR114R114−である。R121は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、同一単量体内のR115と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜6の非芳香環を形成してもよい。R122は1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、又は1,4−ブチレン基を示し、Rfは炭素数3〜6の直鎖状のパーフルオロアルキル基、又は3H−パーフルオロプロピル基、4H−パーフルオロブチル基、5H−パーフルオロペンチル基、又は6H−パーフルオロヘキシル基を示す。X2はそれぞれ同一でも異なってもよく、−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−R123−C(=O)−O−であり、R123は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。また、0≦(a’−1)<1、0≦(a’−2)<1、0≦(a’−3)<1、0<(a’−1)+(a’−2)+(a’−3)<1、0≦b’<1、0≦c’<1であり、0<(a’−1)+(a’−2)+(a’−3)+b’+c’≦1である。)
【0162】
上記高分子型の界面活性剤の添加量は、レジスト材料のベース樹脂100質量部に対して0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部の範囲である。これらは特開2007−297590号公報に詳しい。
【0163】
本発明の高分子化合物を化学増幅ネガ型レジストに用いる場合には、上記一般式(2)で示される繰り返し単位以外に、酸架橋剤により架橋構造可能な置換基を有する繰り返し単位を有することが必要である。より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシスチレン(置換位置は任意である)、ヒドロキシビニルナフタレン(置換位置は任意である)に由来する繰り返し単位などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0164】
また、上記高分子化合物以外にもアルカリ可溶性樹脂を添加してもよい。
例えば、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−2−メチルスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)、ポリ(α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)、部分水素加(p−ヒドロキシスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−α−メチルスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−m−ヒドロキシスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、(アクリル酸−メチルアクリレート)コポリマー、(メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、(アクリル酸−マレイミド)コポリマー、(メタクリル酸−マレイミド)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−マレイミド)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−マレイミド)コポリマー等が挙げられるがこれらの組み合わせに限定されるものではない。
【0165】
本発明の高分子化合物とそれ以外のアルカリ可溶性樹脂との配合比率は、100:0〜10:90、特に100:0〜20:80の質量比の範囲内にあることが好ましい。本発明の高分子化合物の配合比がこれより少ないと、レジスト材料として好ましい性能が得られないことがある。上記の配合比率を適宜変えることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0166】
なお、上記アルカリ可溶性樹脂は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0167】
また、(F)成分の酸の作用により架橋構造を形成する酸架橋剤としては、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物が挙げられ、置換グリコウリル誘導体、尿素誘導体、ヘキサ(メトキシメチル)メラミン等が本発明の化学増幅ネガ型レジスト材料の酸架橋剤として好適に用いられる。例えばN,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン、テトラヒドロキシメチル置換グリコールウリル類及びテトラメトキシメチルグリコールウリルのようなテトラアルコキシメチル置換グリコールウリル類、置換及び未置換ビス−ヒドロキシメチルフェノール類、ビスフェノールA等のフェノール性化合物とエピクロロヒドリン等の縮合物が挙げられる。特に好適な架橋剤は、1,3,5,7−テトラメトキシメチルグリコールウリルなどの1,3,5,7−テトラアルコキシメチルグリコールウリル又は1,3,5,7−テトラヒドロキシメチルグリコールウリル、2,6−ジヒドロキシメチルp−クレゾール、2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,2’,6,6’−テトラヒドロキシメチル−ビスフェノールA及び1,4−ビス−[2−(2−ヒドロキシプロピル)]−ベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0168】
本発明の化学増幅型レジスト材料中の(F)成分の酸架橋剤の添加量は任意であるが、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。これら架橋剤は単独でも2種以上を併用してもよい。
【0169】
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は、上記の高分子化合物(ベース樹脂)、酸発生剤、有機溶剤及びクエンチャーであるが、上記成分以外に任意成分として必要に応じて界面活性剤、架橋剤、更に溶解阻止剤、酸性化合物、安定剤、色素などの他の成分を添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0170】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば、集積回路製造用の基板(Si,SiO2,SiN,SiON,TiN,WSi,BPSG,SOG,有機反射防止膜等)、あるいはマスク回路製造用の基板(Cr,CrO,CrON,MoSi等)にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.05〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射する。あるいは、パターン形成のためのマスクを介さずに電子線を直接描画する。露光は通常の露光法の他、場合によってはマスクとレジストの間を液浸するImmersion法を用いることも可能である。その場合には水に不溶な保護膜を用いることも可能である。次いで、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜140℃、1〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも250〜190nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターニングに最適である。また、上記範囲が上限又は下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【0171】
上述した水に不溶な保護膜はレジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために用いられ、大きく分けて2種類ある。1種類はレジスト膜を溶解しない有機溶剤によってアルカリ現像前に剥離が必要な有機溶剤剥離型ともう1種はアルカリ現像液に可溶でレジスト膜可溶部の除去と共に保護膜を除去するアルカリ可溶型である。
後者は特に水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。
上述した水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶媒に溶解させた材料とすることもできる。
また、パターン形成方法の手段として、フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【実施例】
【0172】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0173】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩を以下に示す処方で合成した。
[合成例1−1]トリフェニルスルホニウムクロリドの合成
ジフェニルスルホキシド40g(0.2モル)をジクロロメタン400gに溶解させ、氷冷下撹拌した。トリメチルシリルクロリド65g(0.6モル)を、20℃を超えない温度で滴下し、更にこの温度で30分間熟成を行った。次いで、金属マグネシウム14.6g(0.6モル)とクロロベンゼン67.5g(0.6モル)、テトラヒドロフラン(THF)168gから別途調製したGrignard試薬を、20℃を超えない温度で滴下した。反応の熟成を1時間行った後、20℃を超えない温度で水50gを加えて反応を停止し、更に水150gと12規定塩酸10gとジエチルエーテル200gを加えた。
水層を分取し、ジエチルエーテル100gで洗浄し、トリフェニルスルホニウムクロリド水溶液を得た。これは、これ以上の単離操作をせず、水溶液のまま次の反応に用いた。
【0174】
[合成例1−2]4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム臭化物の合成
合成例1−1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0175】
[合成例1−3]4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム塩化物の合成
合成例1−1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブトキシクロロベンゼンを、溶剤にトリエチルアミンを5質量%含むジクロロメタン溶剤を用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0176】
[合成例1−4]トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム塩化物の合成
合成例1−1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−メチルフェニル)スルホキシドを用い、クロロベンゼンの代わりに4−クロロトルエンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0177】
[合成例1−5]トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム臭化物の合成
合成例1−1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−tert−ブチルフェニル)スルホキシドを、クロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0178】
[合成例1−6]ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロジェンスルフェートの合成
tert−ブチルベンゼン84g(0.5モル)、ヨウ素酸カリウム53g(0.25モル)、無水酢酸50gの混合物を氷冷下撹拌し、無水酢酸35gと濃硫酸95gの混合物を30℃を超えない温度で滴下した。次いで室温で3時間熟成を行い、再度氷冷して水250gを滴下し、反応を停止した。この反応液をジクロロメタン400gを用いて抽出し、有機層に亜硫酸水素ナトリウム6gを加えて脱色した。更にこの有機層を水250gで洗浄することを3回繰り返した。洗浄した有機層を減圧濃縮することで、目的の粗生成物を得た。これ以上の精製はせずこのまま次の反応に用いた。
【0179】
[合成例1−7]フェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミドの合成
フェナシルブロミド88.2g(0.44モル)、テトラヒドロチオフェン39.1g(0.44モル)をニトロメタン220gに溶解し、室温で4時間撹拌を行った。反応液に水800gとジエチルエーテル400gを加え、分離した水層を分取し、目的のフェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミド水溶液を得た。
【0180】
[合成例1−8]ジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩の合成
チオアニソール6.2g(0.05モル)とジメチル硫酸6.9g(0.055モル)を室温で12時間撹拌した。反応液に水100gとジエチルエーテル50mlを加えて水層を分取し、目的のジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩水溶液を得た。
【0181】
[合成例1−9]2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの合成
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロパン−2−イル ベンゾエート10.0gを水72gに分散させ、亜硫酸水素ナトリウム12.0gと過酸化ベンゾイル1.24gを加えて85℃で65時間反応を行った。反応液を放冷後、トルエンを加えて分液操作を行い、分取した水層に飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて析出した白色結晶を濾別した。この結晶を少量の飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧乾燥を行うことで、目的の2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを得た[白色結晶5.85g(収率43%)]。
【0182】
[合成例1−10]トリフェニルスルホニウム 2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成
合成例1−1のトリフェニルスルホニウムクロリド水溶液0.011モル相当の水溶液と合成例1−9で合成した2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウム3.6g(0.01モル)をジクロロメタン50g中で撹拌した。有機層を分取し、水50gで3回有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル25gを加えて結晶化させた。結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶4.5g(収率75%)]。
【0183】
[合成例1−11]トリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成(PAG1)
合成例1−10のトリフェニルスルホニウム 2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート34.4gをメタノール72gに溶解させ、氷冷下撹拌した。そこへ5%水酸化ナトリウム水溶液54.0gを10℃を超えない温度で滴下した。この温度で4時間熟成した後、10℃を超えない温度で12規定塩酸6.8gを加えて反応停止し、メタノールを減圧除去した。ジクロロメタン270gを加え、水40gで3回有機層を洗浄した後、有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル60gを加えて結晶化させた。その結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶24.3g(収率85%)]。
【0184】
【化61】
【0185】
[合成例1−12〜1−18]
合成例1−2〜8で調製したオニウム塩を用いる以外は合成例1−10及び1−11と同様にして目的物を合成した。これらのオニウム塩(PAG2〜8)を下記に示す。
【0186】
【化62】
【0187】
[合成例1−19]トリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG9]
合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート148g(0.30モル)、クロロアセチルクロリド37.3g(0.33モル)、アセトニトリル600gの混合溶液に、ピリジン28.5g(0.36モル)を滴下し、室温で3時間撹拌した。その後、反応溶液を濃縮し、5%希塩酸水溶液300g及びジクロロメタン600gを加え有機層を分取し、次いでこの有機層を水300gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン600gを加え、水300g、次いで希アンモニア水300g、更に水300gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にエーテルを加えることで再結晶精製を行い、濾過乾燥して目的物を得た[白色結晶158g(収率92%)]。
【0188】
[合成例1−20]トリフェニルスルホニウム 2−(4−クロロブチリルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG10]
トリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート7.39g(0.015モル)、クロロ酪酸クロリド2.33g(0.017モル)、アセトニトリル37gの混合溶液に、ピリジン1.42g(0.018モル)を滴下し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液18gを加え、系中のアセトニトリルを減圧留去した。その後ジクロロメタン40gを加え有機層を分取し、次いでこの有機層を水30gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン40gを加え、水30g、次いで希アンモニア水30g、更に水30gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にエーテルを加えることでデカンテーションを行い、真空乾燥して目的物を得た[褐色オイル7.94g(収率87%)]。
【0189】
[合成例1−21]フェノキサチイン−S−オキシドの合成
フェノキサチイン100g(0.5モル)を酢酸1,600gに溶解し、室温で35%過酸化水素水48.5g(0.5モル)を滴下した。このまま室温で7日間撹拌し、反応液に水3,000gを加えて、析出した白色結晶を炉別し、減圧乾燥することで目的の化合物を合成した。白色結晶は90g、収率は83%であった。
【0190】
[合成例1−22]10−フェニルフェノキサチイニウムクロリドの合成
合成例1−1で用いたジフェニルスルホキシドの代わりに合成例1−21記載のフェノキサチイン−S−オキシドを用いる以外は合成例1−1と同様にして10−フェニルフェノキサチイニウムクロリドを合成した。これは合成例1−1と同様に水溶液のまま次工程に用いた。
【0191】
[合成例2−1]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−アセトキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー1]
合成例1−19で得られたトリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート50.0g(0.09モル)、メタクリル酸ナトリウム11.4g(0.11モル)、ヨウ化ナトリウム2.6g(0.02モル)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)50mg、ジメチルホルムアミド250gを加え、80℃で13時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、水500gとジクロロメタン1kgを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、次いでジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン300gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製し、更にその後ジイソプロピルエーテルを加えてデカンテーションを行うことで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−アセトキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[褐色オイル39.3g(収率66%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0192】
【化63】
【0193】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図1及び図2に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の溶媒(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、水)が観測されている。
飛行時間型質量分析スペクトル(TOF−MS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-355(CF3CH(OCO−C5H7O2)CF2SO3-相当)
【0194】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−19、次いで合成例2−1と同様の操作を行うことで、モノマー1のカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかにかわった化合物を合成することができる。
【0195】
[合成例2−2]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ブチリルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー2]
合成例1−20で得られたトリフェニルスルホニウム 2−(4−クロロブチリルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート5.4g(9.0ミリモル)、メタクリル酸ナトリウム1.2g(11ミリモル)、ヨウ化ナトリウム0.20g(1.4ミリモル)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)1mg、ジメチルホルムアミド20gを加え、90℃で12時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、水50gとジクロロメタン80gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、次いでジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加えて水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ブチリルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[褐色オイル4.2g(収率72%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0196】
【化64】
【0197】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル19F−NMR/CDCl3の結果を図3に示す。
飛行時間型質量分析スペクトル(TOF−MS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-383(CF3CH(OCO−C7H11O2)CF2SO3-相当)
【0198】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−20、次いで合成例2−2と同様の操作を行うことで、モノマー2のカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかにかわった化合物を合成することができる。
【0199】
[合成例2−3]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(3−メタクリロイルオキシ−アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー3]
3−メタクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸を、トルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した3−メタクリロイルオキシアダマンタンカルボンニルクロライド28.4g(0.10モル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート44.9g(0.09モル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン45gに溶解したトリエチルアミン10.1g(0.10モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン2.2g(0.02モル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で7時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液105gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン250gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加えてデカンテーションを行うことで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(3−メタクリロイルオキシ−アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[褐色オイル61.7g(収率92%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0200】
【化65】
【0201】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図4及び図5に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1)
3446、3064、2917、2863、1756、1710、1635、1477、1448、1375、1330、1251、1214、1182、1091、993、927、898、750、684、640、574、551、518、501cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-475(CF3CH(OCO−C14H19O2)CF2SO3-相当)
【0202】
[合成例2−4]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー4]
2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボン酸を、トルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボンニルクロライド2.8g(0.01モル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(0.01モル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン5gに溶解したトリエチルアミン1.0g(0.01モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.2g(0.002モル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液10gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色固体5.0g(収率69%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0203】
【化66】
【0204】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図6及び図7に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1)
1785、1720、1477、1448、1373、1322、1253、1216、1174、1112、1074、1016、995、750、684、642、503cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-477(CF3CH(OCO−C12H13O4)CF2SO3-相当)
【0205】
[合成例2−5]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−ビニル−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー5]
4−ビニル安息香酸をトルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(10ミリモル)、トリエチルアミン1.21g(12ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.24g(2ミリモル)、塩化メチレン20gの混合溶液に、上述した4−ビニルベンゾイルクロライド2.0g(12ミリモル)の塩化メチレン溶液を氷冷下で滴下し、室温で2時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液11gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加えてデカンテーションを行うことで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−ビニル−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色オイル5.3g(収率85%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0206】
【化67】
【0207】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図8及び図9に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1739、1606、1476、1447、1371、1326、1244、1216、1179、1162、1100、1070、1013、992、901、860、839、777、745、711、681、638、603、562cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-359(CF3CH(OCO−C8H7)CF2SO3-相当)
【0208】
[合成例2−6]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー6]
4−メタクリロイルオキシ安息香酸をトルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した4−メタクリロイルオキシ安息香酸クロライド2.4g(11ミリモル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(10ミリモル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン5gに溶解させたトリエチルアミン1.1g(11ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.2g(2ミリモル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液11gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄し、更にシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色オイル6.0g(収率88%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0209】
【化68】
【0210】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図10及び図11に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1737、1601、1504、1476、1447、1372、1321、1245、1208、1184、1160、1094、1071、1013、993、945、902、836、746、682、637、619、572、563cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-417(CF3CH(OCO−C10H9O2)CF2SO3-相当)
【0211】
[合成例2−7]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー7]
6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボン酸をトルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボン酸クロライド3.0g(11ミリモル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(10ミリモル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン5gに溶解させたトリエチルアミン1.1g(11ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.2g(2ミリモル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液11gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄し、更にシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色固体6.5g(収率89%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0212】
【化69】
【0213】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図12及び図13に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1732、1630、1475、1447、1373、1320、1247、1216、1183、1148、1134、1097、1071、992、947、925、894、827、807、743、682、637、606cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-467(CF3CH(OCO−C14H11O2)CF2SO3-相当)
【0214】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例2−3〜2−7と同様の操作を行うことで、モノマー3〜7のカチオン種がそれぞれ4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかにかわった化合物を合成することができる。
【0215】
[合成例2−8]10−フェニルフェノキサチイニウム 2−(4−ビニルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[モノマー8]
上述の方法と同様に10−フェニルフェノキサチイニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートを合成し、合成例2−5と同様にアシル化を行い、ジイソプロピルエーテルから再結晶を行うことで目的物を得た[白色結晶(収率89%)]。得られた目的物の構造及を下記に示す。
【化70】
【0216】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図14及び図15に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の溶媒(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1742、1460、1441、1255、1216、1179、1166、1122、1101、1072、991、762、708、639cm-1
飛行時間型質量分析スペクトル(TOF−MS;MALDI)
POSITIVE M+277(C18H13OS+相当)
NEGATIVE M-359(CF3CH(OCO−C8H7)CF2SO3-相当)
【0217】
本発明の高分子化合物を以下に示す処方で合成した。
[合成例3−1]ポリマー1の合成
窒素雰囲気としたフラスコに2.34gのトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−アセトキシ)−プロパン−1−スルホネート、3.13gのメタクリル酸3−エチル−3−exo−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル、2.18gのメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル、2.54gのメタクリル酸4,8−ジオキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン−2−イル、2.68gのメタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、0.31gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、17.5gのMEK(メチルエチルケトン)をとり、単量体溶液を調製した。窒素雰囲気とした別のフラスコに5.8gのMEKをとり、撹拌しながら80℃まで加熱した後、上記単量体溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液の温度を80℃に保ったまま2時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を、10gのMEKと90gのヘキサンの混合溶媒に滴下し、析出した共重合体を濾別した。共重合体をMEK18.5gとヘキサン41.5gとの混合溶媒で2回洗浄した後、50℃で20時間真空乾燥して、下記式のポリマー1で示される白色粉末固体状の高分子化合物が得られた。収量は8.96g、収率は90%であった。
【0218】
【化71】
【0219】
[合成例3−2〜31,3−40〜42、比較合成例1−1,2]ポリマー2〜31,44〜46、比較ポリマー40,41の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、合成例3−1と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表1中、各単位の構造を表2〜6に示す。なお、表1において、導入比はモル比を示す。
【0220】
[合成例3−32〜36、比較合成例1−3]ポリマー32〜36、比較ポリマー42の合成
上述した処方により得られたポリマー26〜31をメタノール、テトラヒドロフラン混合溶剤に溶解し、蓚酸を加えて40℃で脱保護反応を行った。ピリジンにて中和処理した後に通常の再沈精製を行うことによりヒドロキシスチレン単位を有する高分子化合物を得た。
【0221】
[合成例3−37,38、比較合成例1−4]ポリマー37,38、比較ポリマー43の合成
ポリマー33,35,36に1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパンを塩基性条件下反応させて目的のポリマー37,38、比較ポリマー43を得た。
【0222】
合成例3−32〜38及び比較合成例1−3,4におけるポリヒドロキシスチレン誘導体の脱保護と保護に関しては特開2004−115630号公報、特開2005−8766号公報などに詳しい。
【0223】
[合成例3−39]ポリマー39の合成
特許第3796560号公報、特許第3238465号公報、特許第3865048号公報を参考に、ポリマー32(4−ヒドロキシスチレン・4−tert−アミルオキシスチレン共重合体)にPAG9で示されるトリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートを塩基性条件下反応させ、目的のポリマー39を得た。
【0224】
【表1】
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
【表4】
【0228】
【表5】
【0229】
【表6】
【0230】
[実施例1−1〜32、比較例1−1〜4]
レジスト材料の調製
上記で調製した本発明の樹脂[ポリマー1〜25,34,37〜39、44〜46(P−01〜25,34,37〜39、44〜46)]及び比較例用の樹脂[比較ポリマー40〜43(P−40〜43)]をベース樹脂として用い、酸発生剤、クエンチャー(塩基)、及び溶剤を表7に示す組成で添加し、混合溶解後にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、レジスト材料(R−01〜29,34〜36)及び比較例用のレジスト材料(R−30〜33)を得た。なお、溶剤はすべて、界面活性剤として後述のオムノバ社製界面活性剤(界面活性剤−1)を0.01質量%含むものを用いた。
【0231】
【表7】
【0232】
表7中、略号で示した酸発生剤、クエンチャー(塩基)及び溶剤は、それぞれ下記の通りである。
PAG−1 :トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネート
Base−1:トリ(2−メトキシメトキシエチル)アミン
PGMEA :酢酸1−メトキシイソプロピル
CyHO :シクロヘキサノン
EL :乳酸エチル
界面活性剤−1:3−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)オキセタン・テトラヒドロフラン・2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール共重合物(オムノバ社製)
【0233】
[実施例2−1〜19、比較例2−1,2]
解像性、露光余裕度及びラインウィズスラフネス(LWR)の評価:ArF露光
シリコン基板上に反射防止膜溶液(日産化学工業(株)製、ARC−29A)を塗布し、200℃で60秒間ベークして作製した反射防止膜(78nm膜厚)基板上に、本発明のレジスト材料(R−01〜08,15〜25)及び比較用のレジスト材料(R−30,31)をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、100nm膜厚のレジスト膜を作製した。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S307E、NA=0.85、4/5輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行った。
【0234】
レジストの評価は、80nmのグループのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop、mJ/cm2)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅(nm)を評価レジストの解像度とした。露光余裕度の評価は、上記最適露光量を変化させた際にパターンサイズが80nm±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って百分率表示した。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく、露光余裕度が良好である。また、(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(S−9380)を用いて、80nmラインアンドスペースのラインウィズスラフネス(LWR)を測定した。
【0235】
【表8】
【0236】
表8中の実施例の結果より、本発明のレジスト材料が、ArFエキシマレーザー露光において、解像性能に優れると同時に、露光余裕度に優れ、またラインウィズスラフネスも低い値であることが確認された。
【0237】
[実施例3−1〜5、比較例3−1,2]
解像性の評価:EB露光
本発明のレジスト材料(R−26〜29,36)、及び比較用のレジスト材料(R−32,33)を、有機反射防止膜(ブリューワーサイエンス社製、DUV−42)を610Åに塗布した8インチシリコンウエハー上へスピンコーティングし、100℃,60秒間の熱処理を施して、厚さ2,000Åのレジスト膜を形成した。更に、電子線露光装置((株)日立ハイテクノロジーズ製、HL−800D、加速電圧50keV)を用いて露光し、120℃,60秒間の熱処理(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。
【0238】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
120nmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。また、解像したレジストパターンの形状は、走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面を観察した。
真空中のPED(post exposure delay)を評価するには、電子線露光装置により露光した後、24時間真空に引かれた装置内に放置し、その後にPEB及び現像を行った。得られた120nmのラインアンドスペースパターンのライン部の寸法変化率を示す。例えば12nm増加した場合には+10%と記す。この変化が少ないほど安定性に優れる。評価結果を表9に示す。
【0239】
【表9】
【0240】
表9中の結果から、本発明のレジスト材料が、EB露光においても、解像性能、真空中のPEDに優れることが確認された。
【0241】
感度、解像性の評価:EUV露光
[実施例4−1〜10、比較例4−1,2]
本発明のレジスト材料(R−01〜05,09〜11,34,35)、及び比較用のレジスト材料(R−30,31)を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理したシリコンウエハー上へスピンコーティングし、110℃,60秒間の熱処理を施して、厚さ50nmのレジスト膜を形成した。更に、EUVマイクロステッパー(NA0.3、モノポール照明)を用いて露光し、95℃,60秒間の熱処理(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。
【0242】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
32nmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。結果を表10に示す。
【0243】
【表10】
【0244】
表10中の結果から、本発明のレジスト材料が、EUV露光においても、高感度で解像性能に優れることが確認された。
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1)光酸発生剤及びスルホン酸ポリマーの原料として有用な重合性アニオンを有するスルホニウム塩、(2)そのスルホニウム塩を単量体として含み、高エネルギー線や熱などに感応し、スルホン酸を発生する高分子化合物、(3)その高分子化合物を含有するレジスト材料及び(4)そのレジスト材料を用いたパターン形成方法に関する。
なお、本発明において、高エネルギー線とは、紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線を含むものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィー及び真空紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは0.13μm以下の超微細加工に不可欠な技術である。
【0003】
ArFリソグラフィーは130nmノードのデバイス製作から部分的に使われ始め、90nmノードデバイスからはメインのリソグラフィー技術となった。次の45nmノードのリソグラフィー技術として、当初F2レーザーを用いた157nmリソグラフィーが有望視されたが、諸問題による開発遅延が指摘されたため、投影レンズとウエハーの間に水、エチレングリコール、グリセリン等の空気より屈折率の高い液体を挿入することによって、投影レンズの開口数(NA)を1.0以上に設計でき、高解像度を達成することができるArF液浸リソグラフィーが急浮上してきた(例えば、非特許文献1:Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587 (2004)参照)。
【0004】
ArFリソグラフィーでは、精密かつ高価な光学系材料の劣化を防ぐために、少ない露光量で十分な解像性を発揮できる感度の高いレジスト材料が求められており、実現する方策としては、その各成分として波長193nmにおいて高透明なものを選択するのが最も一般的である。例えばベース樹脂については、ポリアクリル酸及びその誘導体、ノルボルネン−無水マレイン酸交互重合体、ポリノルボルネン及び開環メタセシス重合体、開環メタセシス重合体水素添加物等が提案されており、樹脂単体の透明性を上げるという点ではある程度の成果を得ている。
【0005】
また、光酸発生剤も種々の検討がなされてきた。この場合、従来のKrFエキシマレーザー光を光源とした化学増幅型レジスト材料に用いられてきたようなアルカンあるいはアレーンスルホン酸を発生する光酸発生剤を上記のArF化学増幅型レジスト材料の成分として用いた場合には、樹脂の酸不安定基を切断するための酸強度が十分でなく、解像が全くできない、あるいは低感度でデバイス製造に適さないことがわかっている。
【0006】
このため、ArF化学増幅型レジスト材料の光酸発生剤としては、酸強度の高いパーフルオロアルカンスルホン酸を発生するものが一般的に使われている。これらのパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する光酸発生剤は既にKrFレジスト材料として開発されてきたものであり、例えば、特許文献1:特開2000−122296号公報や特許文献2:特開平11−282168号公報には、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸を発生する光酸発生剤が記載されている。また新規な酸発生剤として、特許文献3〜5:特開2002−214774号公報、特開2003−140332号公報、米国特許出願公開第2002/0197558号明細書においてパーフルオロアルキルエーテルスルホン酸が発生する酸発生剤が提案されている。
【0007】
上記の内、パーフルオロオクタンスルホン酸誘導体(PFOS)は環境中での非分解性、濃縮性などの環境問題を抱えており、代替品として各社よりフッ素の置換率を下げた部分フッ素置換アルカンスルホン酸の開発が行われている。例えば、特許文献6:特表2004−531749号公報には、α,α−ジフルオロアルケンと硫黄化合物によりα,α−ジフルオロアルカンスルホン酸塩を開発し、露光によりこのスルホン酸を発生する光酸発生剤、具体的にはジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム=1,1−ジフルオロ−2−(1−ナフチル)エタンスルホネートを含有するレジスト材料が公開されており、更に、特許文献7:特開2004−2252号公報には、α,α,β,β−テトラフルオロ−α−ヨードアルカンと硫黄化合物によるα,α,β,β−テトラフルオロアルカンスルホン酸塩の開発とこのスルホン酸を発生する光酸発生剤及びレジスト材料が公開されている。また、上述の特許文献3には、合成方法の記載は無いものの本文中にはジフルオロスルホ酢酸アルキルエステル、ジフルオロスルホ酢酸アミドなどが開示され、更に、特許文献8:特開2005−266766号公報には、パーフルオロアルキレンジスルホニルジフルオリドから誘導されるスルホニルアミド構造を有する部分フッ素化アルカンスルホン酸を発生する化合物を含有する感光性組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、ピッチが200nmを下回るような微細なパターンを形成しようとする場合、光学コントラストの異なる疎なパターン、密なパターンでの寸法差(疎密依存性)の問題が大きくなってきた。疎密依存性の改善には低拡散性の酸を発生する光酸発生剤の使用などである程度目的は達せられるが、満足できるものはない。パターンルールのより一層の微細化が求められる中、感度、基板密着性、エッチング耐性において優れた性能を発揮することに加え、解像性の劣化を伴わない、根本的な疎密依存性の改善策が必要とされているのである。
【0009】
このような中で、感度向上を目的としてアクロイルオキシフェニルジフェニルスルホニウム塩を単量体として有する高分子化合物(特許文献9:特開平4−230645号公報)やポリヒドロキシスチレン系樹脂でのラインウィズスラフネスの改善を目的として上記単量体をベース樹脂に組み込むことが行われている(特許文献10:特開2005−84365号公報)。しかしながら、これらはカチオン側が高分子化合物に結合されているので高エネルギー線照射により生じたスルホン酸は従来の光酸発生剤から生じたスルホン酸と変わらず、上記の課題に対し満足できるものではない。また、感度向上、レジストパターン形状の改善を目的とし、ポリスチレンスルホン酸などアニオン側をポリマー主鎖に組み込んだスルホニウム塩が開示されている(特許文献11:特許第3613491号公報)が、発生酸はいずれもアレーンスルホン酸、アルキルスルホン酸誘導体であり、発生酸の酸強度が低いため、酸不安定基、特にArF化学増幅型レジストの酸不安定基を切断するには不充分である。特許文献12:特開2006−178317号公報には多数の部分フッ素化スルホン酸アニオンを重合性単位として有する高分子化合物とレジスト材料が開示されている。特許文献13:国際公開第06/121096号パンフレットには具体的に3種の部分フッ素化スルホン酸アニオンを有し、特定のラクトン化合物との組合せの高分子化合物が開示されている。また、特許文献14:特開2007−197718号公報には、具体的に3種のアニオンが記載されているが、これらは強酸のカルボン酸エステルのため、加水分解性が高く、安定性が低いことが予想される。また、でき上がったコポリマーのレジスト溶剤溶解性も十分でない。更に、特許文献15:特開2008−133448号公報にも部分フッ素化アルカンスルホン酸アニオンを重合性単位として有するスルホニウム塩が開示されているが、LWRのレジスト性能は不十分である。
【0010】
また、液浸露光においては、露光後のレジストウエハー上に微少な水滴が残ることによる欠陥に起因するレジストパターン形状の不良、現像後のレジストパターンの崩壊やT−top形状化といった問題点があり、液浸リソグラフィーにおいても現像後に良好なレジストパターンを得られるパターン形成方法が求められている。
【0011】
ArFリソグラフィー以降の露光技術としては、電子線(EB)リソグラフィー、F2リソグラフィー、EUV(極紫外光)リソグラフィー、X線リソグラフィーなどが有望視されているが、真空下(減圧下)での露光を行わなければならないことから露光中に発生したスルホン酸が揮発し、良好なパターン形状が得られないなどの問題や揮発したスルホン酸が露光装置へのダメージを与える可能性がある。また、近年更なるパターンの微細化に対応する為に、EB、EUVリソグラフィーにおいては、より酸拡散による影響を抑えることのできるレジスト材料の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−122296号公報
【特許文献2】特開平11−282168号公報
【特許文献3】特開2002−214774号公報
【特許文献4】特開2003−140332号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0197558号明細書
【特許文献6】特表2004−531749号公報
【特許文献7】特開2004−2252号公報
【特許文献8】特開2005−266766号公報
【特許文献9】特開平4−230645号公報
【特許文献10】特開2005−84365号公報
【特許文献11】特許第3613491号公報
【特許文献12】特開2006−178317号公報
【特許文献13】国際公開第06/121096号パンフレット
【特許文献14】特開2007−197718号公報
【特許文献15】特開2008−133448号公報
【特許文献16】特許第3796560号公報
【特許文献17】特許第3238465号公報
【特許文献18】特許第3865048号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ArFエキシマレーザー、EUV光、電子線等の高エネルギー線を光源としたフォトリソグラフィーにおいて、高解像性かつ露光余裕度に優れたレジスト材料のベース樹脂用の単量体として有用な重合性アニオンを有するスルホニウム塩、そのスルホニウム塩から得られる高分子化合物、その高分子化合物を含有するレジスト材料及びそのレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩が容易に調製可能であり、この重合性アニオンを有するスルホニウム塩を繰り返し単位として導入した高分子化合物をベース樹脂として用いたレジスト材料が露光余裕度、疎密依存性、ラインウィズスラフネスといった諸特性に優れ、レジスト材料として精密な微細加工に極めて有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0016】
即ち、本発明は、下記の重合性アニオンを有するスルホニウム塩及び高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
[請求項1]
下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩。
【化1】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
[請求項2]
高エネルギー線又は熱に感応し、下記一般式(1a)で示される繰り返し単位のスルホン酸を発生する高分子化合物。
【化2】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
[請求項3]
下記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化3】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
[請求項4]
更に、下記一般式(2)〜(6)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3記載の高分子化合物。
【化4】
(式中、R1は上記と同様である。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。Xは酸不安定基を示す。Yはラクトン構造を有する置換基を示す。Zは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。Nは0〜2の整数を示す。R7は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Bは単結合あるいは酸素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10の二価の有機基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を示す。)
[請求項5]
更に、下記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3又は4記載の高分子化合物。
【化5】
(式中、R1、Xは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボニルオキシ基(−C(=O)O−)を示す。)
[請求項6]
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
[請求項7]
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物及び上記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含まない高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
[請求項8]
更に、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を含む請求項6又は7記載のレジスト材料。
[請求項9]
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
[請求項10]
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な保護膜を塗布する工程と、当該基板と投影レンズの間に水を挿入しフォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
[請求項11]
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後電子線で描画する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【0017】
なお、本発明のレジスト材料は、液浸リソグラフィーに適用することも可能である。液浸リソグラフィーは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に液浸媒体を挿入して露光する。ArF液浸リソグラフィーにおいては、液浸媒体として主に純水が用いられる。NAが1.0以上の投影レンズと組み合わせることによって、ArFリソグラフィーを65nmノード以降まで延命させるための重要な技術であり、開発が加速されている。
【0018】
また、本発明のレジスト材料は、種々のシュリンク方法によって現像後のパターン寸法を縮小することができる。例えば、サーマルフロー、RELACS、SAFIRE、WASOOMなど既知の方法によりホールサイズをシュリンクすることができる。特にポリマーTgが低い水素化ROMPポリマー(シクロオレフィン開環メタセシス重合体水素添加物)などをブレンドした場合、サーマルフローによりホールサイズを効果的に縮小することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩は、スルホン酸のα位及びγ位にフッ素原子を有するため、高エネルギー線照射により酸を発生した場合に非常に強いスルホン酸を生じるので、化学増幅型レジスト材料中の酸不安定基を効率よく切断することができ、感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための単量体として非常に有用である。また、本発明の高分子化合物を感放射線レジスト材料のベース樹脂として用いた場合、高解像性かつ疎密依存性及び露光マージンに優れ、この高分子化合物はレジスト材料として精密な微細加工に極めて有効である。更にはArF液浸露光の際の水への溶出も抑えることができるのみならず、ウエハー上に残る水の影響も少なく、欠陥も抑えることができる。デバイス作製後のレジスト廃液処理の際には、(メタ)アクリル酸エステル部位がアルカリ加水分解されるため、より低分子量の低蓄積性の化合物へと変換が可能であるし、燃焼による廃棄の際もフッ素置換率が低いため、燃焼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】合成例2−1の[モノマー1]の1H−NMRを示した図である。
【図2】合成例2−1の[モノマー1]の19F−NMRを示した図である。
【図3】合成例2−2の[モノマー2]の19F−NMRを示した図である。
【図4】合成例2−3の[モノマー3]の1H−NMRを示した図である。
【図5】合成例2−3の[モノマー3]の19F−NMRを示した図である。
【図6】合成例2−4の[モノマー4]の1H−NMRを示した図である。
【図7】合成例2−4の[モノマー4]の19F−NMRを示した図である。
【図8】合成例2−5の[モノマー5]の1H−NMRを示した図である。
【図9】合成例2−5の[モノマー5]の19F−NMRを示した図である。
【図10】合成例2−6の[モノマー6]の1H−NMRを示した図である。
【図11】合成例2−6の[モノマー6]の19F−NMRを示した図である。
【図12】合成例2−7の[モノマー7]の1H−NMRを示した図である。
【図13】合成例2−7の[モノマー7]の19F−NMRを示した図である。
【図14】合成例2−8の[モノマー8]の1H−NMRを示した図である。
【図15】合成例2−8の[モノマー8]の19F−NMRを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩は、下記一般式(1)で示されるものである。
【化6】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【0022】
上記式(1)中、R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。
具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、2−オキソエチル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等や、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−tert−ブトキシフェニル基、3−tert−ブトキシフェニル基等のヒドロキシフェニル基及びアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。また、R2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して硫黄原子と共に、環状構造を形成する場合には、下記式で示される基が挙げられる。
【0023】
【化7】
(式中、R4は上記と同様である。)
【0024】
より具体的にスルホニウムカチオンを示すと、トリフェニルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3,4−ジ−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−n−ヘキシルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、ジメチル(2−ナフチル)スルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル−2−チエニルスルホニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、4−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくはトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0025】
上記式(1)中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示し、好ましくは水素原子、又はメチル基である。nは0又は1である。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基等の二価の有機基を示し、直鎖状あるいは分岐状でもよく、また脂環式炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基を含んでいてもよい。具体的に一般式(1)のアニオン部位として示される構造としては、下記のものを例示できるが、これらに限定するものではない。
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
なお、本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩は例示であり、本発明と同様な手法により重合性アニオンを有するヨードニウム塩、アンモニウム塩なども合成することができ、後述する高分子化合物やレジスト材料、パターン形成方法などにも適用が可能である。
【0029】
より具体的なヨードニウムカチオンとして、例えばジフェニルヨードニウム、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル)ヨードニウム、(4−(1,1−ジメチルエトキシ)フェニル)フェニルヨードニウムなどが挙げられ、アンモニウム塩としては例えばトリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウムなどの3級アンモニウム塩や、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩などが挙げられる。上述の重合性アニオンを有するヨードニウム塩及びこれを繰り返し単位として有する高分子化合物は光酸発生効果や熱酸発生効果を有するとして用いることができ、重合性アニオンを有するアンモニウム塩及びこれを繰り返し単位として有する高分子化合物は熱酸発生剤として用いることができる。
【0030】
本発明の紫外線、遠紫外線、電子線、EUV、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線の高エネルギー線や熱に感応し、スルホン酸を発生する高分子化合物は、下記一般式(1a)で示される繰り返し単位を発生するものである。
【化10】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【0031】
具体的にはR1、A、nは上記の通りである。通常、発生酸をポリマー単位に組み込んだ場合(以下、ポリマーバウンドPAGと記述する)、酸拡散が抑制されることから露光余裕度、マスクエラーファクターといったパラメーターを改善することができるが、ラインウィズスラフネスは劣化する。しかし、本発明のスルホニウム塩をポリマーに導入したレジスト材料を用いた場合では、上記一般式(1a)におけるAのリンカー単位を介することで、ポリマーバウンドPAGに適度な機動性を与え、ラインウィズスラフネスをも改善することができる。更に、本発明の酸発生剤は、スルホン酸のα位及びγ位にフッ素原子を有するため、高エネルギー線照射により酸を発生した場合に非常に強いスルホン酸を生じるので、化学増幅型レジスト材料中の酸不安定基を効率よく切断することができ、感放射線レジスト材料のベース樹脂を製造するための単量体として非常に有用である。
【0032】
本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩の合成方法について述べる。
(メタ)アクリロイル基やビニル基等の重合性官能基を有するカルボン酸化合物を酸クロライドとし、これを本発明者らによって合成されたトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートと塩基性条件下反応させることにより、重合性アニオンを有する上記一般式(1)のスルホニウム塩を得ることができる。
【0033】
更に、本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩の合成は、以下に記述する処方で合成することもできる。
本発明者らによって合成されたトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを塩基性条件下でクロロアルキルカルボン酸クロライドと反応させることにより、トリフェニルスルホニウム 2−(クロロアルキルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを調製する。これを(メタ)アクリロイル基やビニル基等の重合性官能基を有するカルボン酸の金属塩と反応させるか、あるいは該カルボン酸と塩基性条件下反応させることにより、重合性アニオンを有する上記一般式(1)のスルホニウム塩を得ることができる。
前述の合成処方に関する説明はあくまで一例であり、本発明の内容はこれらに限定されない。
【0034】
なお、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートの合成を簡単に述べる。
中井らにより1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料として開発された1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イルベンゾエート(Tetrahedron Lett., Vol. 29, 4119 (1988))に代表される1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル脂肪族カルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステルを水中で反応させることにより、対応する1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルホン酸塩あるいは1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホン酸塩を得た後に、適宜スルホニウム塩とイオン交換することにより、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパンスルホネートあるいはトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アレーンカルボニルオキシプロパンスルホネートを得ることができ、更にスルホネートのカルボン酸エステル部位を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを用いて加水分解又はアルコールと塩基を用いて加溶媒分解することで、目的のトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを得ることができる。トリフェニルスルホニウム以外のスルホニウム塩の合成も同様に行うことができる。
【0035】
重合性アニオンを合成する反応は、公知の方法により容易に進行するが、トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートなどのスルホニウム塩を、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒中に溶解し、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基と、重合性官能基含有酸クロライド化合物を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
【0036】
本発明の高分子化合物は、一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩から得られる繰り返し単位を含有するものである。
一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩から得られる繰り返し単位として、具体的には下記一般式(1b)を挙げることができる。
【0037】
【化11】
(式中、R1〜R4、A、nは上記と同様である。)
【0038】
また、本発明の高分子化合物には、上記一般式(1b)で示される化合物の繰り返し単位に加え、下記一般式(2)〜(6)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することができる。
【0039】
【化12】
(式中、R1は上記と同様である。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。Xは酸不安定基を示す。Yはラクトン構造を有する置換基を示す。Zは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。Nは0〜2の整数を示す。R7は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Bは単結合あるいは酸素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10の二価の有機基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を示す。)
【0040】
上記一般式(2)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。Xは酸不安定基を示す。
酸不安定基Xとしては種々用いることができるが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)及び(L2−2)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0041】
【化13】
【0042】
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。
また、式(L1)において、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0043】
【化14】
【0044】
RL01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
【0045】
式(L2)において、RL04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
【0046】
式(L2−2)において、
【化15】
は下記の基であり、RL04は上記と同意である。
【化16】
(式中、破線は結合手を示す。Wは酸素原子あるいはCH2を示し、Mは1〜3の整数である。)
【0047】
式(L3)において、RL05は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、置換されていてもよいアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
【0048】
式(L4)において、RL06は炭素数1〜8の置換されていてもよい直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれらの2個が互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合にはその結合に関与するものは炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
【0049】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
【化17】
【0050】
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
【0051】
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0052】
上記式(L2−2)の酸不安定基としては、具体的には、
9−(tert−ブチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(tert−アミルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−ブチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(1−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
9−(4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル基、
2−(9−(tert−ブチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(tert−アミルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−ブチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(1−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
2−(9−(4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチル基、
4−(9−(tert−ブチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(tert−アミルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−ブチルシクロペンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(1−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(2−エチル−2−アダマンチルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基、
4−(9−(4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イルオキシカルボニル)−5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−4−オキソブチル基
等が例示できる。
【0053】
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
【0054】
上記式(L4)の酸不安定基としては、下記式(L4−1)〜(L4−4)で示される基が特に好ましい。
【化18】
【0055】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)中、破線は結合位置及び結合方向を示す。RL41はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の一価炭化水素基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を例示できる。
【0056】
前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るが、前記一般式(L4−1)〜(L4−4)は、これらの立体異性体の全てを代表して表す。これらの立体異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0057】
例えば、前記一般式(L4−3)は下記一般式(L4−3−1)、(L4−3−2)で示される基から選ばれる1種又は2種の混合物を代表して表すものとする。
【化19】
【0058】
また、上記一般式(L4−4)は下記一般式(L4−4−1)〜(L4−4−4)で示される基から選ばれる1種又は2種以上の混合物を代表して表すものとする。
【化20】
【0059】
上記一般式(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)は、それらのエナンチオ異性体及びエナンチオ異性体混合物をも代表して示すものとする。
【0060】
なお、(L4−1)〜(L4−4)、(L4−3−1)、(L4−3−2)及び(L4−4−1)〜(L4−4−4)の結合方向がそれぞれビシクロ[2.2.1]ヘプタン環に対してexo側であることによって、酸触媒脱離反応における高反応性が実現される(特開2000−336121号公報参照)。これらビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格を有する3級exo−アルキル基を置換基とする単量体の製造において、下記一般式(L4−1−endo)〜(L4−4−endo)で示されるendo−アルキル基で置換された単量体を含む場合があるが、良好な反応性の実現のためにはexo比率が50モル%以上であることが好ましく、exo比率が80モル%以上であることが更に好ましい。
【化21】
【0061】
上記式(L4)の酸不安定基としては、具体的には下記の基が例示できる。
【化22】
【0062】
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
【0063】
前記一般式(2)で表される繰り返し単位として具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。(メタ)アクリル酸エステルのみを示しているが上記式(L−2)又は(L−2−2)で示される二価の連結基を介したものを用いてもよい。
【0064】
【化23】
【0065】
【化24】
【0066】
【化25】
【0067】
【化26】
【0068】
【化27】
【0069】
【化28】
【0070】
前記一般式(3)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化29】
【0071】
前記一般式(4)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。なお、酸不安定基を有する繰り返し単位も存在する。具体的には上記酸不安定基として説明した式(L2−2)と重複するが、ラクトン単位として使用してもよいし、酸不安定基を有する単位として用いてもよい。
【0072】
【化30】
【0073】
【化31】
【0074】
【化32】
【0075】
また、下記一般式(5L−1)のものも好適に用いることができる。
【化33】
【0076】
ここで、上記一般式(5L−1)中のR1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。より好ましくはメチル基である。R5'は水素原子又はCO2R5''を示す。R5''は水素原子、ハロゲン原子又は酸素原子を有していてもよい炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価炭化水素基を示す。W’はCH2、O又はSを示す。M’は1〜3の整数である。
【0077】
R5''として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基、4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、及び下記の基等が例示できる。
【0078】
【化34】
(ここで、破線は結合手を示す。)
【0079】
この中でR5''として好ましくはメチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、2−メチルアダマンタン−2−イル基、2−エチルアダマンタン−2−イル基、8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基、4−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン−4−イル基等が挙げられる。W’として好ましくはCH2が挙げられる。
【0080】
上記一般式(5L−1)で示される繰り返し単位を構成するためのモノマーとして、具体的には下記のものを例示できる。
【0081】
【化35】
(式中、R1は上記と同様である。)
【0082】
【化36】
(式中、R1は上記と同様である。)
【0083】
【化37】
(式中、R1は上記と同様である。)
【0084】
なお、上記一般式(5L−1)で示される繰り返し単位を構成するためのモノマー類でM’=1の化合物に関しては特開2008−031298号公報に詳しい。また、M’=3の化合物に関してはM’=1の化合物における原料のクロロアセチルクロリドをクロロ酪酸クロリドとすることで同様に合成ができる。
【0085】
前記一般式(5)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化38】
【0086】
【化39】
【0087】
前記一般式(6)で表される繰り返し単位として具体的には以下のものである。
【化40】
【0088】
本発明の高分子化合物は、上記以外の炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン誘導体などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0089】
なお、本発明の高分子化合物は、ArF露光以外のリソグラフィー、例えばKrFリソグラフィー、電子線リソグラフィー、EUVリソグラフィーなどにも適用が可能である。
【0090】
即ち、本発明の高分子化合物には、上記一般式(1b)で示される繰り返し単位に加え、更に下記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することができ、更に上述した一般式(2)〜(6)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有していてもよい。
【0091】
【化41】
(式中、R1、Xは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボニルオキシ基(−C(=O)O−)を示す。)
【0092】
上記一般式(7)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してフェノール性水酸基及び/又はカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基Xとしては種々用いることができるが、具体的には上述した一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
【0093】
前記一般式(7)で表される繰り返し単位として具体的には下記のものを例示できるが、これらに限定されない。
【化42】
【0094】
上記一般式(10)で示されるヒドロキシビニルナフタレンの置換位置は任意であるが、6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン、4−ヒドロキシ−1−ビニルナフタレンなどが挙げられ、中でも6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレンが好ましく用いられる。
【0095】
更に、上述したように、上記一般式(7)〜(11)で示される繰り返し単位のいずれか1種に加えて上記一般式(2)〜(6)で示される繰り返し単位の中で、特に上記一般式(2)で示される繰り返し単位を含有するものを好ましく用いることができる。
【0096】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩を繰り返し単位として含み、上記一般式(2)〜(6)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上、及び/又は上記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有する高分子化合物には、上記以外の炭素−炭素二重結合を含有する単量体から得られる繰り返し単位、例えば、メタクリル酸メチル、クロトン酸メチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等の置換アクリル酸エステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデセン誘導体、ノルボルナジエン類などの環状オレフィン類、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物、スチレン、アセナフチレン、ビニルナフタレン、その他の単量体から得られる繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0097】
なお、本発明の高分子化合物の重量平均分子量は、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜100,000である。この範囲を外れると、エッチング耐性が極端に低下したり、露光前後の溶解速度差が確保できなくなって解像性が低下したりすることがある。分子量の測定方法はポリスチレン換算でのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)や光散乱法などが挙げられる。
【0098】
本発明の高分子化合物において、各単量体から得られる各繰り返し単位の好ましい含有割合は、例えば以下に示す範囲(モル%)とすることができるが、これに限定されるものではない。
【0099】
(I)上記式(1)の単量体に基づく式(1b)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%を超え100モル%以下、好ましくは1〜30モル%、より好ましくは5〜20モル%含有し、
(II)上記式(2)〜(6)、及び/又は(7)〜(11)で示される構成単位の1種又は2種以上を0モル%以上100モル%未満、好ましくは70〜99モル%、より好ましくは80〜95モル%含有し、必要に応じ、
(III)その他の単量体に基づく構成単位の1種又は2種以上を0〜80モル%、好ましくは0〜70モル%、より好ましくは0〜50モル%含有することができる。
【0100】
本発明の高分子化合物の製造は、上記一般式(1)で示される化合物を第1の単量体に、重合性二重結合を含有する化合物を第2以降の単量体に用いた共重合反応により行う。
本発明の高分子化合物を製造する共重合反応は種々例示することができるが、好ましくはラジカル重合、アニオン重合又は配位重合である。
【0101】
ラジカル重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール等のアルコール類、又はメチルイソブチルケトン等のケトン類を用い、(イ)重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、又は過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0102】
アニオン重合反応の反応条件は、(ア)溶剤としてベンゼン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、又は液体アンモニアを用い、(イ)重合開始剤としてナトリウム、カリウム等の金属、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等のアルキル金属、ケチル、又はグリニャール反応剤を用い、(ウ)反応温度を−78〜0℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とし、(オ)停止剤としてメタノール等のプロトン供与性化合物、ヨウ化メチル等のハロゲン化物、その他求電子性物質を用いるのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0103】
配位重合の反応条件は、(ア)溶剤としてn−ヘプタン、トルエン等の炭化水素類を用い、(イ)触媒としてチタン等の遷移金属とアルキルアルミニウムからなるチーグラー−ナッタ触媒、クロム及びニッケル化合物を金属酸化物に担持したフィリップス触媒、タングステン及びレニウム混合触媒に代表されるオレフィン−メタセシス混合触媒等を用い、(ウ)反応温度を0〜100℃程度に保ち、(エ)反応時間を0.5〜48時間程度とするのが好ましいが、この範囲を外れる場合を排除するものではない。
【0104】
また、上記重合方法により製造した高分子化合物の酸不安定基の一部あるいは全部を脱保護し、後述するネガ型材料に用いることができる。更には酸不安定基を脱保護した高分子化合物に再び酸不安定基を導入し、重合時に導入した酸不安定基とは異なる置換基を導入することもできる。
【0105】
例えば4−エトキシエトキシスチレンと本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩を上述のラジカル重合により高分子化合物とし、次いで酢酸、ピリジニウムトシレートなどによりエトキシエトキシ基を外し、ポリヒドロキシスチレンとのコポリマーとすることができる。これはネガ型レジスト材料のベース樹脂として用いることができる。また、上記コポリマーのヒドロキシスチレン単位をジtert−ブチルジカーボネート、クロロ酢酸tert−ブチル、種々ビニルエーテルなどと反応させることにより重合時の酸不安定基(エトキシエトキシ基)とは異なる酸不安定基を導入することができる。
【0106】
前述の方法を利用して、本発明の上記一般式(1b)で示される高分子化合物を合成することも可能である。即ち、上記重合方法により製造した高分子化合物の酸不安定基の一部あるいは全部を脱保護し、脱保護体と反応し得るような官能基を有するスルホニウム塩と反応させることにより、本発明の上記一般式(1b)で示される高分子化合物を合成することができる。
【0107】
例えば、一部あるいは全部が脱保護された高分子化合物に対し、トリフェニルスルホニウム 2−(クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートを塩基性条件下反応させることにより、本発明の上記一般式(1)で示される重合性アニオンを有するスルホニウム塩をポリマーに導入することができる。なお、トリフェニルスルホニウム 2−(クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートの合成法は、上述した通り、本発明者らによって合成されたトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネートから合成することができる。
【0108】
クロロ酢酸エステルとフェノール系高分子化合物との反応は、特許文献16:特許第3796560号公報、特許文献17:特許第3238465号公報及び特許文献18:特許第3865048号公報等を参考に合成することができる。
【0109】
本発明の高分子化合物は、レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベースポリマーとして好適に用いられ、本発明は、上記高分子化合物を含有するレジスト材料、とりわけポジ型レジスト材料を提供する。
この場合、ポジ型レジスト材料としては、
(A)上記高分子化合物を含むベース樹脂、
(B)有機溶剤
必要により、更に
(C)酸発生剤、
(D)クエンチャー、
(E)界面活性剤
を含有するものが好ましい。
【0110】
また、本発明の高分子化合物は、化学増幅ネガ型レジスト材料のベースポリマーとしても用いることができる。
この場合、ネガ型レジスト材料としては、
(A)上記高分子化合物を含むベース樹脂、
(B)有機溶剤、
(F)酸によって架橋する架橋剤
必要により、更に
(C)酸発生剤、
(D)クエンチャー、
(E)界面活性剤
を含有するものが好ましい。
【0111】
上記ポジ型レジスト材料を構成する場合、上記(A)成分のベース樹脂として、本発明の高分子化合物以外に、必要に応じて他の、即ち上記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含まない酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解速度が増加する樹脂を加えてもよい。例としては、i)ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ii)ノルボルネン誘導体−無水マレイン酸の共重合体、iii)開環メタセシス重合体の水素添加物、iv)ビニルエーテル−無水マレイン酸−(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、v)ポリヒドロキシスチレン誘導体などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0112】
i)のポリ(メタ)アクリル酸誘導体は上記一般式(2)〜(6)などの組み合わせによる高分子化合物であり、v)のポリヒドロキシスチレン誘導体は上記一般式(7)〜(11)の組み合わせ、及び(2)〜(11)の組み合わせによる高分子化合物である。これら高分子化合物の酸不安定基にかかわる単位、例えば上記一般式(2)及び/又は(7)の1種又は2種以上の単量体単位の含有割合は0モル%を超え80モル%である。好ましくは1〜50モル%、より好ましくは10〜40モル%である。
【0113】
このうち、開環メタセシス重合体の水素添加物の合成法は特開2003−66612号公報の実施例に具体的な記載がある。また、具体例としては以下の繰り返し単位を有するものを挙げることができるが、これに限定されない。
【0114】
【化43】
【0115】
【化44】
【0116】
本発明の高分子化合物と別の高分子化合物との配合比率は、100:0〜10:90、特に100:0〜20:80の質量比の範囲内にあることが好ましい。本発明の高分子化合物の配合比がこれより少ないと、レジスト材料として好ましい性能が得られないことがある。上記の配合比率を適宜変えることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
なお、上記高分子化合物は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0117】
本発明で使用される(B)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0118】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100質量部に対して200〜1,000質量部、特に400〜800質量部が好適である。
【0119】
本発明で必要に応じて使用される(C)成分の酸発生剤として光酸発生剤を添加する場合は、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでもかまわない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0120】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、3,4−ジ−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジ−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−メチルフェニル)フェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、トリス(フェニルメチル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル(2−ナフチル)スルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソプロピルチアシクロペンタニウム、2−オキソブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−3,3−ジメチルブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド、パーフルオロ(1,3−プロピレンビススルホニル)イミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドが挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0121】
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、ヨードニウムカチオンとしてはジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられ、スルホネートとしてはトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしてはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロピルスルホニル)イミド、パーフルオロ(1,3−プロピレンビススルホニル)イミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドが挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0122】
N−スルホニルオキシジカルボキシイミド型光酸発生剤としては、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボキシイミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシイミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、トリデカフルオロヘキサンスルホネート、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチルエタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート、2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート等の組み合わせの化合物が挙げられる。
【0123】
O−アリールスルホニルオキシム化合物あるいはO−アルキルスルホニルオキシム化合物(オキシムスルホネート)型光酸発生剤としては、トリフルオロメチル基のような電子吸引基で化合物の安定性を増した下記式(Ox−1)で示されるオキシムスルホネートが挙げられる。
【化45】
(上記式中、R401は置換又は非置換の炭素数1〜10のハロアルキルスルホニル又はハロベンゼンスルホニル基を表す。R402は炭素数1〜11のハロアルキル基を表す。Ar401は置換又は非置換の芳香族基又はヘテロ芳香族基を表す。)
【0124】
具体的には、2−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)フルオレン、2−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ペンチル)−4−ビフェニル、2−(2,2,3,3,4,4−ペンタフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ブチル)−4−ビフェニル、2−(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1−(ノナフルオロブチルスルホニルオキシイミノ)ヘキシル)−4−ビフェニル等が挙げられ、更に上記骨格に2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパンスルホネート、2−シクロヘキサンカルボニルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−フロイルオキシプロパンスルホネート、2−ナフトイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−(1−アダンマンタンカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、2−アセチルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トシルオキシプロパンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−トシルオキシエタンスルホネート、アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート、1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート、4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネートを置換した化合物が挙げられる。
【0125】
中でもより好ましく用いられるのは下記一般式(C)−1で示される酸発生剤である。
【化46】
【0126】
ここで、式中、R405、R406、R407はそれぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の一価の炭化水素基、特にアルキル基又はアルコキシ基を示し、ヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基として具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、エチルシクロペンチル基、ブチルシクロペンチル基、エチルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基、アダマンチル基、エチルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基、及びこれらの基の任意の炭素−炭素結合間に−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NH−等のヘテロ原子団が挿入された基や、任意の水素原子が−OH、−NH2、−CHO、−CO2H等の官能基に置換された基を例示することができる。R408はヘテロ原子を含んでもよい炭素数7〜30の直鎖状、分岐状又は環状の一価の炭化水素基を示し、具体的には以下のものが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0127】
【化47】
【0128】
より具体的には、以下のものが例示できる。
【化48】
【0129】
【化49】
【0130】
本発明の化学増幅型レジスト材料における(C)成分として添加する光酸発生剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲であればいずれでもよいが、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。(C)成分の光酸発生剤の割合が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。上記(C)成分の光酸発生剤は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に、露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0131】
なお、光酸発生剤を2種以上混合して用い、一方の光酸発生剤がいわゆる弱酸を発生するオニウム塩である場合、酸拡散制御の機能を持たせることもできる。即ち、強酸(例えばフッ素置換されたスルホン酸)を発生する光酸発生剤と弱酸(例えばフッ素置換されていないスルホン酸もしくはカルボン酸)を発生するオニウム塩を混合して用いた場合、高エネルギー線照射により光酸発生剤から生じた強酸が未反応の弱酸アニオンを有するオニウム塩と衝突すると塩交換により弱酸を放出し強酸アニオンを有するオニウム塩を生じる。この過程で強酸がより触媒能の低い弱酸に交換されるため見かけ上、酸が失活して酸拡散の制御を行うことができる。
ここで強酸を発生する光酸発生剤がオニウム塩である場合には上記のように高エネルギー線照射により生じた強酸が弱酸に交換することはできるが、高エネルギー線照射により生じた弱酸は未反応の強酸を発生するオニウム塩と衝突して塩交換を行うことはできない。これらはオニウムカチオンがより強酸のアニオンとイオン対を形成し易いとの現象に起因する。
【0132】
また、本発明のレジスト材料に、酸により分解し酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物については、J. Photopolym. Sci. and Tech., 8. 43−44, 45−46 (1995)、J. Photopolym. Sci. and Tech., 9.29−30 (1996)において記載されている。
【0133】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル−2−メチル−2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル−2−(2−トシロキシエチル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0134】
本発明のレジスト材料における酸増殖化合物の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく、解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0135】
更に、本発明のレジスト材料には、(D)成分のクエンチャーを1種又は2種以上配合することができる。
【0136】
クエンチャーとは、本技術分野において広く一般的に用いられる用語であり、酸発生剤より発生する酸などがレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物を言う。クエンチャーの配合により、レジスト感度の調整が容易となることに加え、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0137】
このようなクエンチャーとしては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類、アンモニウム塩類等が好適に用いられる。
【0138】
更に、下記一般式(D)−1で示されるアミン化合物が例示される。
N(X)n(Y)3-n (D)−1
【化50】
(上記式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、上記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の水素原子、又は直鎖状、分岐状又は環状の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。)
【0139】
更に、下記一般式(D)−2に示される環状構造を持つアミン化合物が例示される。
【化51】
(上記式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよいアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0140】
更に、下記一般式(D)−3〜(D)−6で表されるシアノ基を含むアミン化合物が例示される。
【化52】
(上記式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0141】
更に、下記一般式(D)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有するアミン化合物が例示される。
【化53】
(上記式中、R310は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。R311、R312、R313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
【0142】
更に、下記一般式(D)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有するアミン化合物が例示される。
【化54】
(上記式中、R314は水素原子、炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。R315は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜50の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。)
【0143】
更に、下記一般式(D)−9及び(D)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
【化55】
(上記式中、Aは窒素原子又は≡C−R322である。Bは窒素原子又は≡C−R323である。R316は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数2〜50の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、エステル基、アセタール基、シアノ基、水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基などの極性官能基を一つ以上含んでいてもよい。R317、R318、R319、R320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基であるか、又はR317とR318、R319とR320はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R322、R323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R321とR323は結合してこれらが結合する炭素原子と共にベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
【0144】
更に、下記一般式(D)−11〜(D)−14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有するアミン化合物が例示される。
【化56】
(上記式中、R324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R325はCO2R326、OR327又はシアノ基である。R326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH2CH2O)n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR330である。Yは窒素原子又はCR331である。Zは窒素原子又はCR332である。R330、R331、R332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR330とR331又はR331とR332が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0145】
更に、下記一般式(D)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有するアミン化合物が例示される。
【化57】
(上記式中、R333は水素又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R334及びR335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミドなどの極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基であって水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R334とR335は互いに結合してこれらが結合する窒素原子と共に炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
【0146】
以下、本発明に好適に用いられるクエンチャーを具体的に例示するが、これらに限定されるものではない。
第一級の脂肪族アミン類として、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N’−ジメチルメチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0147】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0148】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
【0149】
アンモニウム塩類としては、ピリジニウム=p−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、トリオクチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、トリエチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、トリオクチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、トリエチルアンモニウム=カンファースルホナート、トリオクチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、テトラメチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラブチルアンモニウム=カンファースルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=カンファースルホナート、テトラメチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、テトラブチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、ベンジルトリメチルアンモニウム=2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホナート、酢酸=テトラメチルアンモニウム、酢酸=テトラブチルアンモニウム、酢酸=ベンジルトリメチルアンモニウム、安息香酸=テトラメチルアンモニウム、安息香酸=テトラブチルアンモニウム、安息香酸=ベンジルトリメチルアンモニウム等が例示される。
【0150】
第3級アミン類としては、更に、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−ベンゾイルオキシエチル)アミン、トリス[2−(4−メトキシベンゾイルオキシ)エチル]アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトン等が例示される。
【0151】
更に、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]イミダゾール、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]モルホリン、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]イミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]ベンズイミダゾール、1−[2−[2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチル]−2−フェニルベンズイミダゾール、4−[2−{2−[2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチル、2−メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−メトキシ酢酸2−ピペリジノエチル、2−メトキシ酢酸2−モルホリノエチル、2−メトキシ酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−メトキシ酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−メトキシ酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−ピペリジノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−モルホリノエチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−ピペリジノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、酪酸2−モルホリノエチル、ヘキサン酸2−モルホリノエチル、オクタン酸2−モルホリノエチル、デカン酸2−モルホリノエチル、ラウリン酸2−モルホリノエチル、ミリスチン酸2−モルホリノエチル、パルミチン酸2−モルホリノエチル、ステアリン酸2−モルホリノエチル、ベヘン酸2−モルホリノエチル、コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−アセチル)コール酸2−モルホリノエチル、トリス(O−ホルミル)コール酸2−モルホリノエチル、デヒドロコール酸2−モルホリノエチル、シクロペンタンカルボン酸2−モルホリノエチル、シクロヘキサンカルボン酸2−モルホリノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−ピペリジノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−モルホリノエチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、アダマンタンカルボン酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、安息香酸2−ピペリジノエチル、安息香酸2−モルホリノエチル、安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−ピペリジノエチル、4−メトキシ安息香酸2−モルホリノエチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−メトキシ安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−フェニル安息香酸2−ピペリジノエチル、4−フェニル安息香酸2−モルホリノエチル、4−フェニル安息香酸2−(1−イミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−フェニル安息香酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−ピペリジノエチル、1−ナフタレンカルボン酸2−モルホリノエチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、1−ナフタレンカルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−ピロリジニル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−ピペリジノエチル、2−ナフタレンカルボン酸2−モルホリノエチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−イミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(1−ベンズイミダゾリル)エチル、2−ナフタレンカルボン酸2−(2−フェニル−1−ベンズイミダゾリル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル等が例示される。
【0152】
更に、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)等が例示される。
【0153】
なお、クエンチャーの配合量は全ベース樹脂100質量部に対して0.001〜5質量部、特に0.01〜3質量部が好適である。配合量が0.001質量部より少ないと配合効果がなく、5質量部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0154】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤(E)を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0155】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352((株)ジェムコ製)、メガファックF171,F172,F173,R08,R30,R90,R94(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430,FC−431,FC−4430,FC−4432(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−381,S−382,S−386,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106,KH−10,KH−20,KH−30,KH−40(旭硝子(株)製)、サーフィノールE1004(日信化学工業(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X−70−092,X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、また、下記構造式(surf−1)の部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤も好ましく用いられる。
【0156】
【化58】
ここで、R、Rf、A、B、C、m’、n’は、上述の界面活性剤以外の記載に拘わらず、上記式(surf−1)のみに適用される。Rは2〜4価の炭素数2〜5の脂肪族基を示し、具体的には二価のものとしてエチレン、1,4−ブチレン、1,2−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン、1,5−ペンチレンが挙げられ、3又は4価のものとしては下記のものが挙げられる。
【化59】
(式中、破線は結合手を示し、それぞれグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールから派生した部分構造である。)
これらの中で好ましく用いられるのは、1,4−ブチレン又は2,2−ジメチル−1,3−プロピレンである。
【0157】
Rfはトリフルオロメチル基又はペンタフルオロエチル基を示し、好ましくはトリフルオロメチル基である。m’は0〜3の整数、n’は1〜4の整数であり、m’とn’の和はRの価数を示し2〜4の整数である。Aは1、Bは2〜25の整数、Cは0〜10の整数を示す。好ましくはBは4〜20の整数を示し、Cは0又は1である。また、上記構造の各構成単位はその並びを規定したものではなくブロック的でもランダム的に結合してもよい。部分フッ素化オキセタン開環重合物系の界面活性剤の製造に関しては米国特許第5,650,483号明細書などに詳しい。
【0158】
上記界面活性剤の中でもFC−4430,サーフロンS−381,サーフィノールE1004,KH−20,KH−30、及び上記構造式(surf−1)にて示したオキセタン開環重合物が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0159】
本発明の化学増幅型レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し2質量部以下、好ましくは1質量部以下であり、配合する場合は0.01質量部以上とすることが好ましい。
【0160】
本発明のレジスト材料には、水を用いた液浸露光において特にはレジスト保護膜を用いない場合、スピンコート後のレジスト表面に配向することによって水のしみ込みやリーチングを低減させる機能を有する界面活性剤を添加することができる。この界面活性剤は高分子型の界面活性剤であり、水に溶解せずアルカリ現像液に溶解する性質であり、特に撥水性が高く滑水性を向上させるものが好ましい。このような高分子型の界面活性剤は下記に示すことができる。
【0161】
【化60】
(式中、R114はそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基、R115はそれぞれ同一でも異なってもよく、水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を示し、同一単量体内のR115はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、その場合、合計して炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基又はフッ素化アルキレン基を示す。R116はフッ素原子又は水素原子、又はR117と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数の和が3〜10の非芳香環を形成してもよい。R117は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基で、1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。R118は1つ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基で、R117とR118が結合してこれらが結合する炭素原子と共に非芳香環を形成していてもよく、その場合、R117、R118及びこれらが結合する炭素原子とで炭素数の総和が2〜12の三価の有機基を表す。R119は単結合又は炭素数1〜4のアルキレン基、R120は同一でも異なってもよく、単結合、−O−、又は−CR114R114−である。R121は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、同一単量体内のR115と結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜6の非芳香環を形成してもよい。R122は1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、又は1,4−ブチレン基を示し、Rfは炭素数3〜6の直鎖状のパーフルオロアルキル基、又は3H−パーフルオロプロピル基、4H−パーフルオロブチル基、5H−パーフルオロペンチル基、又は6H−パーフルオロヘキシル基を示す。X2はそれぞれ同一でも異なってもよく、−C(=O)−O−、−O−、又は−C(=O)−R123−C(=O)−O−であり、R123は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。また、0≦(a’−1)<1、0≦(a’−2)<1、0≦(a’−3)<1、0<(a’−1)+(a’−2)+(a’−3)<1、0≦b’<1、0≦c’<1であり、0<(a’−1)+(a’−2)+(a’−3)+b’+c’≦1である。)
【0162】
上記高分子型の界面活性剤の添加量は、レジスト材料のベース樹脂100質量部に対して0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜10質量部の範囲である。これらは特開2007−297590号公報に詳しい。
【0163】
本発明の高分子化合物を化学増幅ネガ型レジストに用いる場合には、上記一般式(2)で示される繰り返し単位以外に、酸架橋剤により架橋構造可能な置換基を有する繰り返し単位を有することが必要である。より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシスチレン(置換位置は任意である)、ヒドロキシビニルナフタレン(置換位置は任意である)に由来する繰り返し単位などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0164】
また、上記高分子化合物以外にもアルカリ可溶性樹脂を添加してもよい。
例えば、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−2−メチルスチレン)、ポリ(4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン)、ポリ(α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)、部分水素加(p−ヒドロキシスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−α−メチル−p−ヒドロキシスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−α−メチルスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−m−ヒドロキシスチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、(アクリル酸−メチルアクリレート)コポリマー、(メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、(アクリル酸−マレイミド)コポリマー、(メタクリル酸−マレイミド)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−マレイミド)コポリマー、(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−マレイミド)コポリマー等が挙げられるがこれらの組み合わせに限定されるものではない。
【0165】
本発明の高分子化合物とそれ以外のアルカリ可溶性樹脂との配合比率は、100:0〜10:90、特に100:0〜20:80の質量比の範囲内にあることが好ましい。本発明の高分子化合物の配合比がこれより少ないと、レジスト材料として好ましい性能が得られないことがある。上記の配合比率を適宜変えることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0166】
なお、上記アルカリ可溶性樹脂は1種に限らず2種以上を添加することができる。複数種の高分子化合物を用いることにより、レジスト材料の性能を調整することができる。
【0167】
また、(F)成分の酸の作用により架橋構造を形成する酸架橋剤としては、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物が挙げられ、置換グリコウリル誘導体、尿素誘導体、ヘキサ(メトキシメチル)メラミン等が本発明の化学増幅ネガ型レジスト材料の酸架橋剤として好適に用いられる。例えばN,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン、テトラヒドロキシメチル置換グリコールウリル類及びテトラメトキシメチルグリコールウリルのようなテトラアルコキシメチル置換グリコールウリル類、置換及び未置換ビス−ヒドロキシメチルフェノール類、ビスフェノールA等のフェノール性化合物とエピクロロヒドリン等の縮合物が挙げられる。特に好適な架橋剤は、1,3,5,7−テトラメトキシメチルグリコールウリルなどの1,3,5,7−テトラアルコキシメチルグリコールウリル又は1,3,5,7−テトラヒドロキシメチルグリコールウリル、2,6−ジヒドロキシメチルp−クレゾール、2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,2’,6,6’−テトラヒドロキシメチル−ビスフェノールA及び1,4−ビス−[2−(2−ヒドロキシプロピル)]−ベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0168】
本発明の化学増幅型レジスト材料中の(F)成分の酸架橋剤の添加量は任意であるが、レジスト材料中のベース樹脂100質量部に対し1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部である。これら架橋剤は単独でも2種以上を併用してもよい。
【0169】
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は、上記の高分子化合物(ベース樹脂)、酸発生剤、有機溶剤及びクエンチャーであるが、上記成分以外に任意成分として必要に応じて界面活性剤、架橋剤、更に溶解阻止剤、酸性化合物、安定剤、色素などの他の成分を添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0170】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば、集積回路製造用の基板(Si,SiO2,SiN,SiON,TiN,WSi,BPSG,SOG,有機反射防止膜等)、あるいはマスク回路製造用の基板(Cr,CrO,CrON,MoSi等)にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.05〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射する。あるいは、パターン形成のためのマスクを介さずに電子線を直接描画する。露光は通常の露光法の他、場合によってはマスクとレジストの間を液浸するImmersion法を用いることも可能である。その場合には水に不溶な保護膜を用いることも可能である。次いで、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜140℃、1〜3分間ポストエクスポージャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも250〜190nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターニングに最適である。また、上記範囲が上限又は下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【0171】
上述した水に不溶な保護膜はレジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために用いられ、大きく分けて2種類ある。1種類はレジスト膜を溶解しない有機溶剤によってアルカリ現像前に剥離が必要な有機溶剤剥離型ともう1種はアルカリ現像液に可溶でレジスト膜可溶部の除去と共に保護膜を除去するアルカリ可溶型である。
後者は特に水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、及びこれらの混合溶媒に溶解させた材料が好ましい。
上述した水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶媒に溶解させた材料とすることもできる。
また、パターン形成方法の手段として、フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによって膜表面からの酸発生剤などの抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。
【実施例】
【0172】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0173】
本発明の重合性アニオンを有するスルホニウム塩を以下に示す処方で合成した。
[合成例1−1]トリフェニルスルホニウムクロリドの合成
ジフェニルスルホキシド40g(0.2モル)をジクロロメタン400gに溶解させ、氷冷下撹拌した。トリメチルシリルクロリド65g(0.6モル)を、20℃を超えない温度で滴下し、更にこの温度で30分間熟成を行った。次いで、金属マグネシウム14.6g(0.6モル)とクロロベンゼン67.5g(0.6モル)、テトラヒドロフラン(THF)168gから別途調製したGrignard試薬を、20℃を超えない温度で滴下した。反応の熟成を1時間行った後、20℃を超えない温度で水50gを加えて反応を停止し、更に水150gと12規定塩酸10gとジエチルエーテル200gを加えた。
水層を分取し、ジエチルエーテル100gで洗浄し、トリフェニルスルホニウムクロリド水溶液を得た。これは、これ以上の単離操作をせず、水溶液のまま次の反応に用いた。
【0174】
[合成例1−2]4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム臭化物の合成
合成例1−1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0175】
[合成例1−3]4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム塩化物の合成
合成例1−1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブトキシクロロベンゼンを、溶剤にトリエチルアミンを5質量%含むジクロロメタン溶剤を用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0176】
[合成例1−4]トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム塩化物の合成
合成例1−1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−メチルフェニル)スルホキシドを用い、クロロベンゼンの代わりに4−クロロトルエンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0177】
[合成例1−5]トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム臭化物の合成
合成例1−1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−tert−ブチルフェニル)スルホキシドを、クロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1−1と同様にして目的物を得た。
【0178】
[合成例1−6]ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロジェンスルフェートの合成
tert−ブチルベンゼン84g(0.5モル)、ヨウ素酸カリウム53g(0.25モル)、無水酢酸50gの混合物を氷冷下撹拌し、無水酢酸35gと濃硫酸95gの混合物を30℃を超えない温度で滴下した。次いで室温で3時間熟成を行い、再度氷冷して水250gを滴下し、反応を停止した。この反応液をジクロロメタン400gを用いて抽出し、有機層に亜硫酸水素ナトリウム6gを加えて脱色した。更にこの有機層を水250gで洗浄することを3回繰り返した。洗浄した有機層を減圧濃縮することで、目的の粗生成物を得た。これ以上の精製はせずこのまま次の反応に用いた。
【0179】
[合成例1−7]フェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミドの合成
フェナシルブロミド88.2g(0.44モル)、テトラヒドロチオフェン39.1g(0.44モル)をニトロメタン220gに溶解し、室温で4時間撹拌を行った。反応液に水800gとジエチルエーテル400gを加え、分離した水層を分取し、目的のフェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミド水溶液を得た。
【0180】
[合成例1−8]ジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩の合成
チオアニソール6.2g(0.05モル)とジメチル硫酸6.9g(0.055モル)を室温で12時間撹拌した。反応液に水100gとジエチルエーテル50mlを加えて水層を分取し、目的のジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩水溶液を得た。
【0181】
[合成例1−9]2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの合成
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロパン−2−イル ベンゾエート10.0gを水72gに分散させ、亜硫酸水素ナトリウム12.0gと過酸化ベンゾイル1.24gを加えて85℃で65時間反応を行った。反応液を放冷後、トルエンを加えて分液操作を行い、分取した水層に飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて析出した白色結晶を濾別した。この結晶を少量の飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧乾燥を行うことで、目的の2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを得た[白色結晶5.85g(収率43%)]。
【0182】
[合成例1−10]トリフェニルスルホニウム 2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成
合成例1−1のトリフェニルスルホニウムクロリド水溶液0.011モル相当の水溶液と合成例1−9で合成した2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホン酸ナトリウム3.6g(0.01モル)をジクロロメタン50g中で撹拌した。有機層を分取し、水50gで3回有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル25gを加えて結晶化させた。結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶4.5g(収率75%)]。
【0183】
[合成例1−11]トリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成(PAG1)
合成例1−10のトリフェニルスルホニウム 2−ベンゾイルオキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート34.4gをメタノール72gに溶解させ、氷冷下撹拌した。そこへ5%水酸化ナトリウム水溶液54.0gを10℃を超えない温度で滴下した。この温度で4時間熟成した後、10℃を超えない温度で12規定塩酸6.8gを加えて反応停止し、メタノールを減圧除去した。ジクロロメタン270gを加え、水40gで3回有機層を洗浄した後、有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル60gを加えて結晶化させた。その結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶24.3g(収率85%)]。
【0184】
【化61】
【0185】
[合成例1−12〜1−18]
合成例1−2〜8で調製したオニウム塩を用いる以外は合成例1−10及び1−11と同様にして目的物を合成した。これらのオニウム塩(PAG2〜8)を下記に示す。
【0186】
【化62】
【0187】
[合成例1−19]トリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG9]
合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート148g(0.30モル)、クロロアセチルクロリド37.3g(0.33モル)、アセトニトリル600gの混合溶液に、ピリジン28.5g(0.36モル)を滴下し、室温で3時間撹拌した。その後、反応溶液を濃縮し、5%希塩酸水溶液300g及びジクロロメタン600gを加え有機層を分取し、次いでこの有機層を水300gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン600gを加え、水300g、次いで希アンモニア水300g、更に水300gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にエーテルを加えることで再結晶精製を行い、濾過乾燥して目的物を得た[白色結晶158g(収率92%)]。
【0188】
[合成例1−20]トリフェニルスルホニウム 2−(4−クロロブチリルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[PAG10]
トリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート7.39g(0.015モル)、クロロ酪酸クロリド2.33g(0.017モル)、アセトニトリル37gの混合溶液に、ピリジン1.42g(0.018モル)を滴下し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液18gを加え、系中のアセトニトリルを減圧留去した。その後ジクロロメタン40gを加え有機層を分取し、次いでこの有機層を水30gで洗浄し、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン40gを加え、水30g、次いで希アンモニア水30g、更に水30gで三回洗浄し、メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にエーテルを加えることでデカンテーションを行い、真空乾燥して目的物を得た[褐色オイル7.94g(収率87%)]。
【0189】
[合成例1−21]フェノキサチイン−S−オキシドの合成
フェノキサチイン100g(0.5モル)を酢酸1,600gに溶解し、室温で35%過酸化水素水48.5g(0.5モル)を滴下した。このまま室温で7日間撹拌し、反応液に水3,000gを加えて、析出した白色結晶を炉別し、減圧乾燥することで目的の化合物を合成した。白色結晶は90g、収率は83%であった。
【0190】
[合成例1−22]10−フェニルフェノキサチイニウムクロリドの合成
合成例1−1で用いたジフェニルスルホキシドの代わりに合成例1−21記載のフェノキサチイン−S−オキシドを用いる以外は合成例1−1と同様にして10−フェニルフェノキサチイニウムクロリドを合成した。これは合成例1−1と同様に水溶液のまま次工程に用いた。
【0191】
[合成例2−1]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−アセトキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー1]
合成例1−19で得られたトリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート50.0g(0.09モル)、メタクリル酸ナトリウム11.4g(0.11モル)、ヨウ化ナトリウム2.6g(0.02モル)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)50mg、ジメチルホルムアミド250gを加え、80℃で13時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、水500gとジクロロメタン1kgを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、次いでジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン300gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製し、更にその後ジイソプロピルエーテルを加えてデカンテーションを行うことで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−アセトキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[褐色オイル39.3g(収率66%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0192】
【化63】
【0193】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図1及び図2に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の溶媒(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、水)が観測されている。
飛行時間型質量分析スペクトル(TOF−MS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-355(CF3CH(OCO−C5H7O2)CF2SO3-相当)
【0194】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−19、次いで合成例2−1と同様の操作を行うことで、モノマー1のカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかにかわった化合物を合成することができる。
【0195】
[合成例2−2]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ブチリルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー2]
合成例1−20で得られたトリフェニルスルホニウム 2−(4−クロロブチリルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート5.4g(9.0ミリモル)、メタクリル酸ナトリウム1.2g(11ミリモル)、ヨウ化ナトリウム0.20g(1.4ミリモル)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)1mg、ジメチルホルムアミド20gを加え、90℃で12時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻した後、水50gとジクロロメタン80gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、次いでジクロロメタンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加えて水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ブチリルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[褐色オイル4.2g(収率72%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0196】
【化64】
【0197】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル19F−NMR/CDCl3の結果を図3に示す。
飛行時間型質量分析スペクトル(TOF−MS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-383(CF3CH(OCO−C7H11O2)CF2SO3-相当)
【0198】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例1−20、次いで合成例2−2と同様の操作を行うことで、モノマー2のカチオン種が4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかにかわった化合物を合成することができる。
【0199】
[合成例2−3]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(3−メタクリロイルオキシ−アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー3]
3−メタクリロイルオキシアダマンタンカルボン酸を、トルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した3−メタクリロイルオキシアダマンタンカルボンニルクロライド28.4g(0.10モル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート44.9g(0.09モル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン45gに溶解したトリエチルアミン10.1g(0.10モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン2.2g(0.02モル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で7時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液105gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン250gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加えてデカンテーションを行うことで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(3−メタクリロイルオキシ−アダマンタン−1−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[褐色オイル61.7g(収率92%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0200】
【化65】
【0201】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図4及び図5に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1)
3446、3064、2917、2863、1756、1710、1635、1477、1448、1375、1330、1251、1214、1182、1091、993、927、898、750、684、640、574、551、518、501cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-475(CF3CH(OCO−C14H19O2)CF2SO3-相当)
【0202】
[合成例2−4]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー4]
2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボン酸を、トルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボンニルクロライド2.8g(0.01モル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(0.01モル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン5gに溶解したトリエチルアミン1.0g(0.01モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.2g(0.002モル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液10gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03.7]ノナン−9−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色固体5.0g(収率69%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0203】
【化66】
【0204】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図6及び図7に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1)
1785、1720、1477、1448、1373、1322、1253、1216、1174、1112、1074、1016、995、750、684、642、503cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-477(CF3CH(OCO−C12H13O4)CF2SO3-相当)
【0205】
[合成例2−5]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−ビニル−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー5]
4−ビニル安息香酸をトルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(10ミリモル)、トリエチルアミン1.21g(12ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.24g(2ミリモル)、塩化メチレン20gの混合溶液に、上述した4−ビニルベンゾイルクロライド2.0g(12ミリモル)の塩化メチレン溶液を氷冷下で滴下し、室温で2時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液11gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣にジイソプロピルエーテルを加えてデカンテーションを行うことで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−ビニル−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色オイル5.3g(収率85%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0206】
【化67】
【0207】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図8及び図9に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1739、1606、1476、1447、1371、1326、1244、1216、1179、1162、1100、1070、1013、992、901、860、839、777、745、711、681、638、603、562cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-359(CF3CH(OCO−C8H7)CF2SO3-相当)
【0208】
[合成例2−6]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー6]
4−メタクリロイルオキシ安息香酸をトルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した4−メタクリロイルオキシ安息香酸クロライド2.4g(11ミリモル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(10ミリモル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン5gに溶解させたトリエチルアミン1.1g(11ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.2g(2ミリモル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液11gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄し、更にシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−メタクリロイルオキシ−ベンゾイルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色オイル6.0g(収率88%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0209】
【化68】
【0210】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図10及び図11に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1737、1601、1504、1476、1447、1372、1321、1245、1208、1184、1160、1094、1071、1013、993、945、902、836、746、682、637、619、572、563cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-417(CF3CH(OCO−C10H9O2)CF2SO3-相当)
【0211】
[合成例2−7]トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートの合成[モノマー7]
6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボン酸をトルエン溶媒中オキザリルクロリドと反応させることにより対応するカルボン酸クロリドとした。
上述した6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボン酸クロライド3.0g(11ミリモル)に合成例1−11のトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート4.9g(10ミリモル)、塩化メチレン20gを加え氷冷した。これに、塩化メチレン5gに溶解させたトリエチルアミン1.1g(11ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.2g(2ミリモル)を、5℃を超えない温度で添加し、室温で3時間撹拌した。その後、5%希塩酸水溶液11gを加えて有機層を分取し水洗浄を行い、塩化メチレンを減圧留去した。残渣にメチルイソブチルケトン30gを加え、希アンモニア水で洗浄、次いで水洗浄を行い、その後メチルイソブチルケトンを減圧留去した。得られた残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄し、更にシリカゲルクロマトグラフィー精製することで、目的物であるトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(6−メタクリロイルオキシ−ナフタレン−2−カルボニルオキシ)−プロパン−1−スルホネートを得た[無色固体6.5g(収率89%)]。得られた目的物の構造を下記に示す。
【0212】
【化69】
【0213】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図12及び図13に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の残溶剤(塩化メチレン、ジイソプロピルエーテル、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1732、1630、1475、1447、1373、1320、1247、1216、1183、1148、1134、1097、1071、992、947、925、894、827、807、743、682、637、606cm-1
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C6H5)3S+相当)
NEGATIVE M-467(CF3CH(OCO−C14H11O2)CF2SO3-相当)
【0214】
PAG1、即ちトリフェニルスルホニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの代わりに、PAG2〜8のいずれかを用い、それ以外は合成例2−3〜2−7と同様の操作を行うことで、モノマー3〜7のカチオン種がそれぞれ4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウムのいずれかにかわった化合物を合成することができる。
【0215】
[合成例2−8]10−フェニルフェノキサチイニウム 2−(4−ビニルベンゾイルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートの合成[モノマー8]
上述の方法と同様に10−フェニルフェノキサチイニウム 2−ヒドロキシ−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートを合成し、合成例2−5と同様にアシル化を行い、ジイソプロピルエーテルから再結晶を行うことで目的物を得た[白色結晶(収率89%)]。得られた目的物の構造及を下記に示す。
【化70】
【0216】
得られた目的物のスペクトルデータを下記に示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、19F−NMR/DMSO−d6)の結果を図14及び図15に示す。なお、1H−NMRにおいて微量の溶媒(ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケトン、水)が観測されている。
赤外吸収スペクトル(IR(D−ATR);cm-1)
1742、1460、1441、1255、1216、1179、1166、1122、1101、1072、991、762、708、639cm-1
飛行時間型質量分析スペクトル(TOF−MS;MALDI)
POSITIVE M+277(C18H13OS+相当)
NEGATIVE M-359(CF3CH(OCO−C8H7)CF2SO3-相当)
【0217】
本発明の高分子化合物を以下に示す処方で合成した。
[合成例3−1]ポリマー1の合成
窒素雰囲気としたフラスコに2.34gのトリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−メタクリロイルオキシ−アセトキシ)−プロパン−1−スルホネート、3.13gのメタクリル酸3−エチル−3−exo−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル、2.18gのメタクリル酸4−ヒドロキシフェニル、2.54gのメタクリル酸4,8−ジオキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン−2−イル、2.68gのメタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、0.31gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、17.5gのMEK(メチルエチルケトン)をとり、単量体溶液を調製した。窒素雰囲気とした別のフラスコに5.8gのMEKをとり、撹拌しながら80℃まで加熱した後、上記単量体溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、重合液の温度を80℃に保ったまま2時間撹拌を続け、次いで室温まで冷却した。得られた重合液を、10gのMEKと90gのヘキサンの混合溶媒に滴下し、析出した共重合体を濾別した。共重合体をMEK18.5gとヘキサン41.5gとの混合溶媒で2回洗浄した後、50℃で20時間真空乾燥して、下記式のポリマー1で示される白色粉末固体状の高分子化合物が得られた。収量は8.96g、収率は90%であった。
【0218】
【化71】
【0219】
[合成例3−2〜31,3−40〜42、比較合成例1−1,2]ポリマー2〜31,44〜46、比較ポリマー40,41の合成
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、合成例3−1と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表1中、各単位の構造を表2〜6に示す。なお、表1において、導入比はモル比を示す。
【0220】
[合成例3−32〜36、比較合成例1−3]ポリマー32〜36、比較ポリマー42の合成
上述した処方により得られたポリマー26〜31をメタノール、テトラヒドロフラン混合溶剤に溶解し、蓚酸を加えて40℃で脱保護反応を行った。ピリジンにて中和処理した後に通常の再沈精製を行うことによりヒドロキシスチレン単位を有する高分子化合物を得た。
【0221】
[合成例3−37,38、比較合成例1−4]ポリマー37,38、比較ポリマー43の合成
ポリマー33,35,36に1−クロロ−1−メトキシ−2−メチルプロパンを塩基性条件下反応させて目的のポリマー37,38、比較ポリマー43を得た。
【0222】
合成例3−32〜38及び比較合成例1−3,4におけるポリヒドロキシスチレン誘導体の脱保護と保護に関しては特開2004−115630号公報、特開2005−8766号公報などに詳しい。
【0223】
[合成例3−39]ポリマー39の合成
特許第3796560号公報、特許第3238465号公報、特許第3865048号公報を参考に、ポリマー32(4−ヒドロキシスチレン・4−tert−アミルオキシスチレン共重合体)にPAG9で示されるトリフェニルスルホニウム 2−(2−クロロアセトキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネートを塩基性条件下反応させ、目的のポリマー39を得た。
【0224】
【表1】
【0225】
【表2】
【0226】
【表3】
【0227】
【表4】
【0228】
【表5】
【0229】
【表6】
【0230】
[実施例1−1〜32、比較例1−1〜4]
レジスト材料の調製
上記で調製した本発明の樹脂[ポリマー1〜25,34,37〜39、44〜46(P−01〜25,34,37〜39、44〜46)]及び比較例用の樹脂[比較ポリマー40〜43(P−40〜43)]をベース樹脂として用い、酸発生剤、クエンチャー(塩基)、及び溶剤を表7に示す組成で添加し、混合溶解後にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、レジスト材料(R−01〜29,34〜36)及び比較例用のレジスト材料(R−30〜33)を得た。なお、溶剤はすべて、界面活性剤として後述のオムノバ社製界面活性剤(界面活性剤−1)を0.01質量%含むものを用いた。
【0231】
【表7】
【0232】
表7中、略号で示した酸発生剤、クエンチャー(塩基)及び溶剤は、それぞれ下記の通りである。
PAG−1 :トリフェニルスルホニウム ノナフルオロブタンスルホネート
Base−1:トリ(2−メトキシメトキシエチル)アミン
PGMEA :酢酸1−メトキシイソプロピル
CyHO :シクロヘキサノン
EL :乳酸エチル
界面活性剤−1:3−メチル−3−(2,2,2−トリフルオロエトキシメチル)オキセタン・テトラヒドロフラン・2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール共重合物(オムノバ社製)
【0233】
[実施例2−1〜19、比較例2−1,2]
解像性、露光余裕度及びラインウィズスラフネス(LWR)の評価:ArF露光
シリコン基板上に反射防止膜溶液(日産化学工業(株)製、ARC−29A)を塗布し、200℃で60秒間ベークして作製した反射防止膜(78nm膜厚)基板上に、本発明のレジスト材料(R−01〜08,15〜25)及び比較用のレジスト材料(R−30,31)をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、100nm膜厚のレジスト膜を作製した。これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−S307E、NA=0.85、4/5輪帯照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)を用いて露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行った。
【0234】
レジストの評価は、80nmのグループのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop、mJ/cm2)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅(nm)を評価レジストの解像度とした。露光余裕度の評価は、上記最適露光量を変化させた際にパターンサイズが80nm±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って百分率表示した。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく、露光余裕度が良好である。また、(株)日立ハイテクノロジーズ製測長SEM(S−9380)を用いて、80nmラインアンドスペースのラインウィズスラフネス(LWR)を測定した。
【0235】
【表8】
【0236】
表8中の実施例の結果より、本発明のレジスト材料が、ArFエキシマレーザー露光において、解像性能に優れると同時に、露光余裕度に優れ、またラインウィズスラフネスも低い値であることが確認された。
【0237】
[実施例3−1〜5、比較例3−1,2]
解像性の評価:EB露光
本発明のレジスト材料(R−26〜29,36)、及び比較用のレジスト材料(R−32,33)を、有機反射防止膜(ブリューワーサイエンス社製、DUV−42)を610Åに塗布した8インチシリコンウエハー上へスピンコーティングし、100℃,60秒間の熱処理を施して、厚さ2,000Åのレジスト膜を形成した。更に、電子線露光装置((株)日立ハイテクノロジーズ製、HL−800D、加速電圧50keV)を用いて露光し、120℃,60秒間の熱処理(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。
【0238】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
120nmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。また、解像したレジストパターンの形状は、走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面を観察した。
真空中のPED(post exposure delay)を評価するには、電子線露光装置により露光した後、24時間真空に引かれた装置内に放置し、その後にPEB及び現像を行った。得られた120nmのラインアンドスペースパターンのライン部の寸法変化率を示す。例えば12nm増加した場合には+10%と記す。この変化が少ないほど安定性に優れる。評価結果を表9に示す。
【0239】
【表9】
【0240】
表9中の結果から、本発明のレジスト材料が、EB露光においても、解像性能、真空中のPEDに優れることが確認された。
【0241】
感度、解像性の評価:EUV露光
[実施例4−1〜10、比較例4−1,2]
本発明のレジスト材料(R−01〜05,09〜11,34,35)、及び比較用のレジスト材料(R−30,31)を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理したシリコンウエハー上へスピンコーティングし、110℃,60秒間の熱処理を施して、厚さ50nmのレジスト膜を形成した。更に、EUVマイクロステッパー(NA0.3、モノポール照明)を用いて露光し、95℃,60秒間の熱処理(PEB:post exposure bake)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で30秒間現像を行うと、ポジ型のパターンを得ることができた。
【0242】
得られたレジストパターンを次のように評価した。
32nmのラインアンドスペースのトップとボトムを1:1で解像する露光量を最適露光量(感度:Eop)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅を評価レジストの解像度とした。結果を表10に示す。
【0243】
【表10】
【0244】
表10中の結果から、本発明のレジスト材料が、EUV露光においても、高感度で解像性能に優れることが確認された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩。
【化1】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項2】
高エネルギー線又は熱に感応し、下記一般式(1a)で示される繰り返し単位のスルホン酸を発生する高分子化合物。
【化2】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項3】
下記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化3】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項4】
更に、下記一般式(2)〜(6)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3記載の高分子化合物。
【化4】
(式中、R1は上記と同様である。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。Xは酸不安定基を示す。Yはラクトン構造を有する置換基を示す。Zは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。Nは0〜2の整数を示す。R7は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Bは単結合あるいは酸素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10の二価の有機基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を示す。)
【請求項5】
更に、下記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3又は4記載の高分子化合物。
【化5】
(式中、R1、Xは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボニルオキシ基(−C(=O)O−)を示す。)
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項7】
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物及び上記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含まない高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項8】
更に、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を含む請求項6又は7記載のレジスト材料。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な保護膜を塗布する工程と、当該基板と投影レンズの間に水を挿入しフォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後電子線で描画する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるスルホニウム塩。
【化1】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項2】
高エネルギー線又は熱に感応し、下記一般式(1a)で示される繰り返し単位のスルホン酸を発生する高分子化合物。
【化2】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項3】
下記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含有することを特徴とする高分子化合物。
【化3】
(式中、R1は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。R2、R3及びR4は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR2、R3及びR4のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Aはヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜20の二価の有機基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項4】
更に、下記一般式(2)〜(6)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3記載の高分子化合物。
【化4】
(式中、R1は上記と同様である。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示す。Xは酸不安定基を示す。Yはラクトン構造を有する置換基を示す。Zは水素原子、炭素数1〜15のフルオロアルキル基、又は炭素数1〜15のフルオロアルコール含有置換基を示す。Nは0〜2の整数を示す。R7は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Bは単結合あるいは酸素原子により置換されていてもよい炭素数1〜10の二価の有機基を示す。aは0〜3の整数、bは1〜3の整数を示す。)
【請求項5】
更に、下記一般式(7)〜(11)で表される繰り返し単位のいずれか1種以上を含有することを特徴とする請求項3又は4記載の高分子化合物。
【化5】
(式中、R1、Xは上記と同様である。Gは酸素原子又はカルボニルオキシ基(−C(=O)O−)を示す。)
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項7】
請求項3乃至5のいずれか1項記載の高分子化合物及び上記一般式(1b)で示される繰り返し単位を含まない高分子化合物をベース樹脂として含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項8】
更に、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な界面活性剤を含む請求項6又は7記載のレジスト材料。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、水に不溶でアルカリ現像液に可溶な保護膜を塗布する工程と、当該基板と投影レンズの間に水を挿入しフォトマスクを介して高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
請求項6乃至8のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後電子線で描画する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−77404(P2010−77404A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188232(P2009−188232)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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