説明

重合性オキセタン誘導体

【課題】大きなHTPを有し、他の液晶材料との相溶性に優れ、経済的な方法で合成することができる、重合可能な光学活性化合物の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物。


[式中、R1は、水素、メチルまたはエチルを示し、X1は、単結合、−O−または−OCO−を示し、A1およびA2は、それぞれ独立して二価の芳香族環または二価のシクロヘキサン環を示し、これらの環において、任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、Z1は、独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−,−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH2CH2−COO−、−OCO−CH2CH2−、−CON(R)−または−N(R)CO−を示し、Rは水素またはメチルを示し、Yは、テルペノイド残基またはステロイド残基を示し、mは0〜20の整数を示し、nは0〜3の整数を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なオキセタン誘導体に関する。より詳しくは、カイラル剤として用いることができる光学活性化合物である重合可能なオキセタン誘導体、該オキセタン誘導体を含む液晶組成物、該組成物から得られる重合体、およびこれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶分子は、その液晶状態で螺旋構造を有する。そのため、コレステリック液晶を重合させて螺旋構造を固定し、光を照射すると、液晶分子の螺旋の回転方向の向きとピッチの長さに対応した特定の波長領域の円偏光を反射する。たとえば、可視光を照射した場合、液晶のピッチの長さに対応した青、緑、黄、赤の波長の光を選択的に反射する。これらの色調は、光の吸収により色を呈する顔料や染料とは異なり、また、見る角度により色調が変わる視角依存性を有する。さらに、コレステリック液晶のピッチの長さは、温度や液晶の種類により制御することができるため、可視光だけではなく、近赤外線領域や紫外線領域の光も選択的に反射することができる。
【0003】
こうしたコレステリック液晶の特性を利用して、広い波長域内でさまざまな波長の光を選択的に反射する材料が使われている。この材料は、液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物および装飾品などに使用される。また、この材料は、液晶表示素子やホログラフィー素子などの光学素子における偏光板、補償板、カラーフィルタなどの光学フィルムなどにも使用されている。既存のコレステリック液晶顔料には、フレーク状のコレステリック液晶ポリマーや、マイクロカプセル化されたコレステリック液晶が使用されている。これらの用途としては自動車用塗料や化粧料などがある。
【0004】
コレステリック液晶は、通常、ネマチック液晶に光学活性化合物(カイラル剤)を添加することにより調製できる。紫外線領域から可視光領域までの円偏光を反射させるには、コレステリック液晶が非常にピッチの短い螺旋構造を有する必要がある。その際、添加剤として、螺旋誘起力(HTP)の大きな光学活性化合物が求められる。そのため、HTPの小さな光学活性化合物を使用すると、その添加量を増やさなければならない。しかしながら、通常の光学活性化合物は液晶性を示さないため、添加量を多くすると、コレステリック液晶との混合物の液晶性が消失し、目的とするコレステリック相を得ることができない。したがって、光学活性化合物のHTPが小さいと、特にコレステリック相の温度範囲や選択反射が可能な波長領域等の特性の調整が難しくなる。
【0005】
光学フィルムを製造する場合、重合性の液晶化合物に重合性のカイラル剤を添加し、重合体を形成させ、螺旋構造を固定化する。このようなカイラル剤は、大きなHTP、HTPの小さな温度依存性、液晶化合物との良好な相溶性、良好な長期安定性(結晶化し難い)等の特性を有することが求められている。HTPの大きなカイラル剤であっても、複雑な構造であると、合成が困難になるために高価となり、産業用途には不適切となる場合もある。重合体には、必要に応じて、機械的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水性、ガス透過性、融点、ガラス転移点、耐熱性、耐薬品性などの特性をバランス良く有することが求められる。
【0006】
特開平8−20641号公報(特許文献1)、特開2009−120522号公報(特許文献2)およびJournal of Materials Chemistry, 2002, 12, 2225-2230(非特許文献1)には、重合性のオキセタン誘導体が開示されているが、カイラル剤として用いること
ができる新規なオキセタン誘導体の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−20641号公報
【特許文献2】特開2009−120522号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Journal of Materials Chemistry, 2002, 12, 2225-2230
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、高い重合反応性を有し、HTPが大きく、このHTPの温度依存性が小さく、他の液晶材料との相溶性に優れ、コレステリック材料として要求される特性の調整が容易であり、かつ工業的なバルク仕様に適合した経済的な方法で合成することができる、重合性の光学活性化合物を提供することである。
なお、液晶材料は、液晶化合物等の液晶組成物に含まれる下記式(1)で表わされる液晶性化合物以外の成分の総称である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討を行った結果、上記課題を解決できる新規な化合物を見出した。
本発明の具体的な構成例を以下に示す。
[1] 下記式(1)で表される化合物。
【0011】
【化1】

【0012】
式(1)中、
1は、水素、メチルまたはエチルを示し、
1は、単結合、−O−または−OCO−を示し、
2は、単結合、−O−、−COO−または−OCO−を示し、
1およびA2は、それぞれ独立して二価の芳香族環または二価のシクロヘキサン環を示し、これらの環において、任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
1は、独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH2CH2−COO−、−OCO−CH2CH2−、−CON(R)−または−N(R)CO−を示し、Rは水素またはメチルを示し、
Yは、テルペノイド残基またはステロイド残基を示し、
mは0〜20の整数を示し、nは0〜3の整数を示す。
【0013】
[2] 前記テルペノイド残基が、メントール、ネオメントール、イソメントール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、テルピネン−4−オール、ベルベノール、ノポール、ペリラアルコール、セドロール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロールまたはイソピノカンフェオールの残基であり、
前記ステロイド残基が、ステロール残基であることを特徴とする[1]に記載の化合物。
[3] 前記ステロール残基が、スタノール、コレステロール、フィトステロールまたはフィトスタノールの残基であることを特徴とする[2]に記載の化合物。
[4] 前記式(1)において、Yがメントール残基またはコレステロール残基であることを特徴とする[1]に記載の化合物。
【0014】
[5] 前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(2−1)または(2−2)で表される二価基であることを特徴とする[1]に記載の化合物。
【0015】
【化2】

【0016】
[6] 前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(3−1)〜(3−7)で表される二価基のいずれかであることを特徴とする[1]に記載の化合物。
【0017】
【化3】

【0018】
[7] 前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(4−1)〜(4−8)で表される二価基のいずれかであることを特徴とする[1]に記載の化合物。
【0019】
【化4】

【0020】
[8] 前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(3−1)であり、かつ、X1が−O−であることを特徴とする[1]に記載の化合物。
【0021】
【化5】

【0022】
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の化合物と、液晶化合物とを含有することを特徴とする液晶組成物。
[10] 前記液晶化合物として、少なくとも1つの重合性液晶化合物を含むことを特徴とする[9]に記載の液晶組成物。
【0023】
[11] [10]に記載の液晶組成物を重合させて得られる重合体。
[12] コレステリック相を呈することを特徴とする[11]に記載の重合体。
【0024】
[13] 液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、[9]または[10]に記載の液晶組成物の使用。
[14] 液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、[11]または[12]に記載の重合体の使用。
【発明の効果】
【0025】
本発明の化合物は、高い重合反応性を有し、HTPが大きく、該HTPの温度依存性が小さく、他の液晶材料との相溶性に優れ、コレステリック材料として要求される特性の調整が容易であり、かつ工業的なバルク仕様に適合した経済的な方法で合成することができるため、カイラル剤として好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る化合物およびその用途について詳細に説明する。
なお、以下においては、上記式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と称することがある。また、式(1)において、nが2または3であるとき、この化合物は複数のA1を有する。この場合、任意の2つのA1は同一の置換基であってもよいし、異なった置換基であってもよい。この規則は、Z1にも適用される。この規則は、他の式においても適用される。
【0027】
〔化合物〕
本発明の化合物(1)は、上記式(1)に示すような構造を有するため、高い重合反応性を有し、HTPが大きく、該HTPの温度依存性が小さく、他の液晶材料との相溶性に優れ、コレステリック材料として要求される特性の調整が容易であるカイラル剤として好適に用いることができる。
【0028】
化合物(1)は、一方の末端に重合性であるオキセタン部位を有し、他方の末端にテルペノイド残基またはステロイド残基を有することから、高い重合反応性、適切な光学活性および良好な相溶性等の特性を示す。ここで、「化合物(1)が適切な光学活性を示す」とは、化合物(1)が所望の目的に応じた適切な範囲のHTPを有することを意味する。
【0029】
上記式(1)において、R1は水素、メチルまたはエチルを示す。これらの中では、エチルが好ましい。
1は単結合、−O−または−OCO−を示す。これらの中では、−O−が好ましい。
2は単結合、−O−、−COO−または−OCO−を示す。これらの中では、−O−が好ましい。
【0030】
上記式(1)において、A1およびA2は、それぞれ独立して二価の芳香族環または二価のシクロヘキサン環を示し、これらの環において、任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。
【0031】
ここで、芳香族環とは、ベンゼンのような単環であってもよく、ナフタレンやアントラセンのような縮合芳香族環であってもよく、さらには、フランやピリミジンのような、酸素や窒素などのヘテロ原子を含む複素芳香族環であってもよい。
【0032】
上記A1およびA2としては、1,4−シクロへキシレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイルなどが挙げられる。これらの中では、1,4−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。
【0033】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれであってもよい。好ましくは、フッ素である。ハロゲン化アルキルは、任意の水素がハロゲンで置き換えられたアルキルであり、これらの中では、フルオロメチルおよびトリフルオロメチルが好ましい。
【0034】
上記式(1)において、Z1は、単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH2O―、―OCH2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH2CH2−COO−、−OCO−CH2CH2−、−CON(R)−または−N(R)CO−を示し、Rは水素またはメチルを示す。これらの中では、単結合、−COO−、−OCO−が好ましく、さらに−COO−が好ましい。
【0035】
上記式(1)において、Yは、テルペノイド残基またはステロイド残基を示す。
ここで、上記テルペノイド残基としては、特に制限されないが、メントール、ネオメントール、イソメントール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、テルピネン−4−オール、ベルベノール、ノポール、ペリラアルコール、セドロール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロールまたはイソピノカンフェオールなどのテルペノイドアルコールの残基が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、量産性、経済性などの観点からメントール残基が好ましい。
【0036】
また、上記ステロイド残基としては、特に制限されないが、ステロール残基等が挙げられる。ステロール残基としては、スタノール、コレステロール、フィトステロールおよびフィトスタノールの残基などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性、量産性などの観点からコレステロール残基が好ましい。
【0037】
上記式(1)において、mは0〜20の整数を示す。これらの中では、2〜6の整数が好ましい。
なお、m=0の場合、X1およびX2の少なくとも一方は単結合である。
【0038】
上記式(1)において、nは0〜3の整数を示す。これらの中では、0〜2の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
【0039】
上記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−で表される部位の好ましい例としては、
(i)n=0の場合、上記式(2−1)または(2−2)で表される二価基であり、
(ii)n=1の場合、上記式(3−1)〜(3−7)で表される二価基のいずれかであり、
(iii)n=2の場合、上記式(4−1)〜(4−8)で表される二価基のいずれかである。
−(A1−Z1n−A2−で表される部位が、上記(i)〜(iii)の二価基であることにより、HTPがより大きく、他の液晶材料との相溶性により優れた化合物を提供することができる。
【0040】
上記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−で表される二価基およびX1は、上記の置換基であればいずれの組み合わせでもよいが、−(A1−Z1n−A2−で表される二価基が上記式(3−1)であり、かつ、X1が−O−であることがより好ましい。この組み合わせにより、他の液晶材料との相溶性に極めて優れた化合物を提供することができる。
【0041】
本発明の化合物(1)の合成方法の例を以下に説明する。
化合物(1)は、たとえば、以下の合成スキーム((I)〜(IV))に従って合成することができる。なお、下記それぞれのスキーム中のR1,A1,Z1,A2,Y,mおよびnは、それぞれ上記式(1)中のR1,A1,Z1,A2,Y,mおよびnと同義である。
【0042】
(I) 式(1)においてX1が−O−であり、X2が−O−であり、オキセタン部位に最も近いZ1が−COO−である化合物は、以下の合成スキームに従って合成する。
【0043】
【化6】

【0044】
上記スキームに示すように、まず、アルコール[a]とハロゲン化物[b]とを塩基の存在下、エーテル化反応させることでハロゲン化物[c]を得る。塩基の例は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなどである。次に、ハロゲン化物[c]とアルコール[d]とを塩基の存在下、エーテル化反応させることでエステル[e]を得る。さらに、このエステル[e]を加水分解することでカルボン酸[f]を得た後、このカルボン酸[f]とアルコール[g]とを反応させることにより目的のオキセタン誘導体[h]を合成する。なお、上記スキーム中Etとは、エチルを示す。
【0045】
(II) 式(1)において、X1が−O−であり、X2が−O−であり、オキセタン部位に最も近いZ1が−OCH2−である化合物は、以下のスキームに従って合成する。
【0046】
【化7】

【0047】
アルコール[i]は、例えば、Macromolecules、28巻、1673〜1680ページ、1995年に記載の方法により合成することができる。次に、このアルコール[i]と臭素化物[j]とをエーテル化反応させることにより目的のオキセタン誘導体[k]を合成する。
【0048】
(III) 式(1)においてX1が−O−であり、X2が−O−であり、オキセタン部位に最も近いZ1が単結合である化合物は、以下のスキームに従って合成する。
【0049】
【化8】

【0050】
上記スキームに示すように、まず、ハロゲン化物[l]とアルコール[m]とをエーテル化反応させることにより臭素化物[n]を得る。この臭素化物[n]とボロン酸[o]とをクロスカップリング反応させることにより目的のオキセタン誘導体[p]を合成する。なお、上記スキーム中、Xは、BrまたはClを示し、Phは、ベンゼンを示す。
【0051】
(IV) 式(1)においてX1が−O−であり、m=0であり、X2が単結合であり、オキセタン部位に最も近いZ1が−COO−である化合物は、以下のスキームに従って合成する。
【0052】
【化9】

【0053】
上記スキームに示すように、まず、アルコール[q]と塩化パラトルエンスルホニル[r]とをピリジンなどの塩基の存在下、反応させることでトシレート[s]を得る。次に、トシレート[s]とアルコール[t]とを塩基の存在下、エーテル化反応させ、さらに、加水分解することでカルボン酸[u]を得る。カルボン酸[u]とアルコール[v]とを脱水反応させることにより目的のオキセタン誘導体[w]を合成する。なお、上記スキーム中Etとは、エチルを示す。
【0054】
上記スキーム((I)〜(IV))に示すような一般的な製法により、化合物(1−1)〜(1−160)を合成することができる。
なお、上記のようにして合成された化合物の構造は、たとえば、プロトンNMRスペクトル法により確認することができる。
【0055】
【化10】

【0056】
【化11】

【0057】
【化12】

【0058】
【化13】

【0059】
【化14】

【0060】
【化15】

【0061】
【化16】

【0062】
【化17】

【0063】
【化18】

【0064】
【化19】

【0065】
【化20】

【0066】
【化21】

【0067】
【化22】

【0068】
【化23】

【0069】
【化24】

【0070】
【化25】

【0071】
【化26】

【0072】
【化27】

【0073】
【化28】

【0074】
【化29】

【0075】
〔液晶組成物〕
本発明の液晶組成物は、上述した本発明の化合物(1)と液晶化合物とを含有する。化
合物(1)は、1つで用いてもよいし、2つ以上を用いてもよい。液晶化合物も同様に、1つで用いてもよいし、2つ以上を用いてもよい。液晶化合物は非重合性であっても、重合性であってもよいが、液晶化合物の少なくとも1つは重合性であることが好ましい。
【0076】
上記非重合性の液晶化合物としては、たとえば、液晶化合物のデータベースであるリク
リスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)に記載されている。
上記重合性の液晶化合物としては、たとえば、下記式(M1a)、(M1b)、(M1
c)、(M2a)、(M2b)および(M2c)で表される化合物が挙げられる。
【0077】
【化30】

【0078】
式(M1a)〜(M2c)において、
1は、独立して下記式(P1)〜(P8)のいずれかで表される一価基であり;
0は、独立して水素、フッ素、塩素、−CNまたは炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルにおいて、任意の−CH2−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A3は、独立して1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり;
1は、独立して水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルであり;
1は、独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、該アルキレン中の任意の−CH2−は、−O−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく;
0は独立して−COO−、−OCO−、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2COO−、−OCOCH2CH2−、−CH=CHCOO−または−OCOCH=CH−であり;
pおよびqはそれぞれ独立して0または1であり、nは0〜10の整数である。
【0079】
式(M1a)〜(M2c)において、1つの化合物が複数のP1を有するとき、任意の2つのP1は同一の置換基であってもよいし、異なった置換基であってもよい。この規則は、Q1、Z0、A3およびW1にも適用される。
【0080】
【化31】

【0081】
式(P1)〜(P8)中、Wは、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルである。
【0082】
本発明の液晶組成物は、室温付近(10〜40℃程度)でコレステリック相の広い温度範囲を有する。組成物の組成比や組成物の重合温度を変えることで、コレステリック相が反射する光の波長領域を制御することができるので、所望の色や目的に応じた波長の光を反射する重合体の生成が可能である。本発明の液晶組成物は、相溶性に優れ、HTPが大きく、HTPの温度依存性が小さいカイラル剤である化合物(1)と液晶化合物とを含有するため、コレステリック相の温度範囲や選択反射の波長領域の調整が特に容易である。
【0083】
本発明の液晶組成物において、上記化合物(1)と上記液晶化合物との合計100重量%に対して、上記化合物(1)は、好ましくは0.05〜40重量%、より好ましくは0.5〜35重量%、さらに好ましくは1.0〜30重量%の量で含まれる。化合物(1)の含有量が前記範囲であることにより、特定の選択反射の波長領域を有するコレステリック液晶材料およびその重合体を得ることができる。
【0084】
本発明の液晶組成物は、上記化合物(1)および液晶化合物以外にも、非液晶性の重合性化合物、溶媒、重合開始剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フィラー、増感剤などを、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに含有してもよい。また、重合体の特性を最適化するために、本発明の液晶組成物に化合物(1)以外の光学活性化合物を添加してもよい。
【0085】
〔重合体〕
本発明の重合体は、上述した本発明の液晶組成物を重合させることによって得られる。重合により組成物のコレステリック相(螺旋構造)が固定化されるので、この重合体は所望の色や目的に応じた波長の光を反射する。組成物の重合反応は、加熱による熱重合でもよく、光照射による光重合でもよく、両者を組み合わせた方法で行ってもよい。
【0086】
光重合に用いられる好ましい光の種類は、紫外線、可視光線、赤外線などであり、電子線、X線などの電磁波を用いてもよい。通常は、紫外線または可視光線が用いられる。波長の範囲は、好ましくは150〜500nm、より好ましくは250〜450nm、特に好ましくは300〜400nmである。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが挙げられ、超高圧水銀ランプが好ましい。
【0087】
光源からの光はそのまま組成物に照射してもよく、フィルターによって選択した特定の波長(または特定の波長領域)を組成物に照射してもよい。照射エネルギー密度は好ましくは2〜5000mJ/cm2、より好ましくは10〜3000mJ/cm2、特に好ましくは100〜2000mJ/cm2の範囲である。放射照度は、好ましくは0.1〜5000mW/cm2、より好ましくは1〜2000mW/cm2の範囲である。
【0088】
重合体の形状は、特に限定されず、膜状(フィルム状)であっても、板状などであってもよく、また、重合体はこれら以外の形状に成形されてもよい。フィルムは、液晶組成物を基板に塗布し、重合させる方法などによって得られる。
【0089】
化合物(1)は相溶性に優れ、HTPが大きく、このHTPの温度依存性が小さい。本発明の重合体は、化合物(1)と液晶化合物を含有する液晶組成物を重合することで得られ、所望の目的に応じた波長の光(近赤外線、可視光、近紫外線等)を選択的に反射し、透明である。そのため、このような重合体は、ディスプレイ装置や日射熱反射シート等の反射シート(反射フィルム)や、顔料に好適に用いることができる。
【0090】
〔用途〕
本発明の液晶組成物および重合体の用途としては、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムなどが挙げられる。また、色材一般、たとえば、液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インクに使用することもできる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0092】
<合成例1>
下記化合物(D)を下記に示す方法(第1〜第6段階)で合成した。
【0093】
【化32】

【0094】
【化33】

【0095】
水2Lに水酸化ナトリウム860gを溶解させた後、トルエン2.5L、3−エチル−3−オキセタンメタノール500gおよび1,6−ジブロモヘキサン1500gを攪拌しながら順次加えた。得られた混合液に、テトラブチルアンモニウムブロミド161gを水500mlに溶かした溶液を滴下した後、4時間還流した。反応後、水層を分取し、トルエン層を食塩水で洗浄し、溶媒を減圧下で留去した。残留物を減圧蒸留により精製し、目的物であるエーテルを収量480g、収率40%で得た。
【0096】
【化34】

【0097】
2−ブタノン3L、4−ヒドロキシ安息香酸エチル500gおよび水酸化ナトリウム144gの混合物を30〜40℃の温度範囲で攪拌した。得られた混合液に、ヨウ化ナトリウム536gおよび3−[(6−ブロモヘキシルオキシ)メチル]−3−エチルオキセタン1000gを加え、還流した。反応後、反応液をろ過し、ろ液を水、食塩水で洗浄後、有機溶媒を減圧下で留去した。残留物を減圧蒸留により精製し、目的物であるエステルを収量737g、収率67%で得た。
【0098】
【化35】

【0099】
水1Lに水酸化ナトリウム112gを溶解させた後、エタノール1Lを加え、次に第2段階で得られたエステル514gを加え、還流した。反応後、エタノールを減圧留去した。残留物に、希塩酸を加え、析出した固形物を水で洗浄し、目的物であるカルボン酸を収量461g、収率97%で得た。
【0100】
【化36】

【0101】
4−アセトキシ安息香酸3.6g、L−メントール3.2g、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)5.0g、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)0.24gおよび塩化メチレン50mLを混合し、室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾別除去し、濾液に水50mLを加え、塩化メチレン溶液を分液した。その後、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウムおよび水を順次用いて、塩化メチレン溶液を十分に洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液から減圧下で溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=50/1(V/V))によって精製して黄褐色固形物4.2gを得た。
【0102】
【化37】

【0103】
第4段階で得られた固形物4.2gにメタノール20mLを加えた後、室温で30%アンモニア水2mLを滴下した。室温で2時間撹拌した後、6N塩酸30mLを加えて反応液を中和し、酢酸エチル200mLで抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この抽出液から減圧下で溶媒を除去し、残留物を得た。
【0104】
【化38】

【0105】
第5段階で得られた残留物3.1g、第3段階で得られたカルボン酸3.6g、DCC2.7g、DMAP0.14gおよび塩化メチレン100mLを混合し、室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾別除去し、濾液に水50mLを加え、塩化メチレン溶液を分液した。この溶液を、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウムおよび水を順次用いて十分に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液から減圧下で溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=50/1(V/V))によって精製して透明な液体3.7gを得た。得られた化合物のNMR分析値を以下に示す。
【0106】
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm);0.81−2.17(m,31H)、3.48(t,2H)、3.53(s,2H)、4.05(t,2H)、4.38(d,2H)、4.45(d,2H)、4.90(m,1H)、6.97(d,2H)、7.27(d,2H)、8.11.(d,2H)、8.14(d,2H)
上記NMR分析値より、合成例1で最終的に得られた化合物は、上記構造(D)を有することを確認した。
【0107】
<合成例2>
下記化合物(E)を下記に示す方法(第1〜第3段階)で合成した。
【0108】
【化39】

【0109】
(第1段階)
合成例1の第5段階で得られた残留物5.0g、4−アセトキシ安息香酸3.1g、DCC4.4g、DMAP0.2gおよび塩化メチレン100mLを混合し、室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾別除去し、濾液に水50mLを加え、塩化メチレン溶液を分液した。この溶液を、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウムおよび水を順次用いて十分に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液から減圧下で溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=10/1(V/V))によって精製して黄褐色固形物5.5gを得た。
【0110】
(第2段階)
第1段階で得られた固形物5.5gにメタノール20mLを加えた後、室温で30%アンモニア水2mLを滴下した。室温で2時間撹拌した後、6N塩酸30mLを加えて反応液を中和し、酢酸エチル200mLで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この抽出液から減圧下で溶媒を除去し、残留物を得た。
【0111】
(第3段階)
第2段階で得られた残留物4.0g、合成例1の第3段階で得られたカルボン酸3.2g、DCC2.7g、DMAP0.1gおよび塩化メチレン100mLを混合し、室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾別除去し、濾液に水50mLを加え、塩化メチレン溶液を分液した。その後、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウムおよび水を順次用いて十分に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液から減圧下で溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=50/1(V/V))によって精製して透明な液体3.3gを得た。得られた化合物のNMR分析値を以下に示す。
【0112】
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm);0.81−2.17(m,31H)、3.48(t,2H)、3.53(s,2H)、4.05(t,2H)、4.38(d,2H)、4.45(d,2H)、4.90(m,1H)、6.98(m,2H)、7.26−7.39(m,4H)、8.12−8.30(m,6H)
上記NMR分析値より、合成例2で最終的に得られた化合物は、上記構造(E)を有することを確認した。
【0113】
<合成例3>
下記化合物(F)を下記に示す方法(1段階)で合成した。
【0114】
【化40】

【0115】
合成例1の第3段階で得られたカルボン酸6.4g、コレステロール7.8g、DCC6.4g、DMAP0.3gおよび塩化メチレン200mLを混合し、室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾別除去し、濾液に水50mLを加え、塩化メチレン溶液を分液した。この溶液を、希塩酸、飽和炭酸水素ナトリウムおよび水を順次用いて、十分に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液から減圧下で溶媒を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=10/1(V/V))によって精製して黄褐色固形物9.0gを得た。得られた化合物のNMR分析値を以下に示す。
【0116】
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm);0.68−2.10(m,54H)、3.47(t,2H)3.52(s,2H)、4.02(t,2H)、4.38(d,2H)、4.45(d,2H)、4.82(m,1H)、5.40(s,1H)、6.88(d,2H)、7.98(d,2H)
上記NMR分析値より、合成例3で得られた化合物は、上記構造(F)を有することを確認した。
【0117】
<選択反射フィルム>
(1)支持基材の配向処理
支持基板として、厚み50μmのPETフィルム(ルミラーT60、東レ製)を用い、ラビング処理はレーヨン布で行った。
(2)重合条件
液晶組成物を塗布したPETフィルムに、空気中、室温で250Wの超高圧水銀灯を用いて30mW/cm2(365nm)の放射照度の光を30秒間照射して、硬化膜を得た。
【0118】
(3)選択反射の測定
上記(2)重合条件で得られた硬化膜(PETフィルム付)の透過スペクトルは、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製 V−670)を用いて評価した。選択反射は、最大透過率と最小透過率の中間に位置する透過率の波長幅で示した。選択反射の中心波長は、帯域幅の中央の値とした。
【0119】
下記実施例で使用した化合物を以下に示す。
【0120】
【化41】

【0121】
化合物(A)はMacromolecules, 26, 1244-1247 (1993)に記載の方法で合成した。
化合物(B)および(C)は特開2005−60373号公報に記載の方法で合成した。
化合物(D)は、上記合成例1に記載の方法で合成した。
【0122】
[実施例1]
<重合性液晶組成物(1)の調製>
化合物(A):化合物(B):化合物(C)=75:20:5の重量比でこれらの化合物を混合した。この組成物をMIX(1)とする。このMIX(1)99.889重量部に対し、化合物(D)を0.10重量部、フッ素系の非イオン性界面活性剤FTX−218((株)ネオス製)を0.001重量部、重合開始剤CPI−110P(サンアプロ製)を0.01重量部添加し、さらにシクロペンタノンを加えて、溶媒の濃度が30重量%である重合性液晶組成物(1)を得た。
【0123】
<選択反射フィルムの作製>
支持基板にはラビング処理したPETフィルムを用い、重合性液晶組成物(1)を、スピンコーターを用いて支持基板に塗布した。得られた基板を、80℃に設定したホットプレート上で2分間乾燥処理することにより、溶媒を除去して液晶相を配向させた。支持基板に、超高圧水銀灯(250W)を用いて、紫外線(30mW/cm2;365nm)を25℃で30秒間照射し、液晶フィルム付基板を作成した。このフィルムは近赤外線を選択的に反射し、選択反射の中心波長は1000nmであり、約180nmの帯域幅を有していた。また、このフィルムは透明であり均一に配向していた。
【0124】
[実施例2]
上記MIX(1)99.908重量部に対し、化合物(D)を0.08重量部、フッ素系の非イオン性界面活性剤FTX−218((株)ネオス製)を0.002重量部重合開始剤CPI−110P(サンアプロ製)を0.01重量部添加し、さらにシクロペンタノンを加えて、溶媒の濃度が30重量%である重合性液晶組成物(2)を得た。
【0125】
重合性液晶組成物(1)の代わりに、この重合性液晶組成物(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶フィルム付基板を作成した。このフィルムは近赤外線を選択反射し、選択反射の中心波長は1200nmであり、約250nmの帯域幅を有していた。このフィルムは透明であり均一に配向していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。
【化1】

[式(1)中、
1は、水素、メチルまたはエチルを示し、
1は、単結合、−O−または−OCO−を示し、
2は、単結合、−O−、−COO−または−OCO−を示し
1およびA2は、それぞれ独立して二価の芳香族環または二価のシクロヘキサン環を示し、これらの環において、任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたは炭素数1〜3のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよく、
1は、独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH2CH2−COO−、−OCO−CH2CH2−、−CON(R)−または−N(R)CO−を示し、Rは水素またはメチルを示し、
Yは、テルペノイド残基またはステロイド残基を示し、
mは0〜20の整数を示し、nは0〜3の整数を示す。]
【請求項2】
前記テルペノイド残基が、メントール、ネオメントール、イソメントール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、テルピネン−4−オール、ベルベノール、ノポール、ペリラアルコール、セドロール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロールまたはイソピノカンフェオールの残基であり、
前記ステロイド残基が、ステロール残基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記ステロール残基が、スタノール、コレステロール、フィトステロールまたはフィトスタノールの残基であることを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記式(1)において、Yがメントール残基またはコレステロール残基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(2−1)または(2−2)で表される二価基であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項6】
前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(3−1)〜(3−7)で表される二価基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化3】

【請求項7】
前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(4−1)〜(4−8)で表される二価基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化4】

【請求項8】
前記式(1)において、−(A1−Z1n−A2−が下記式(3−1)であり、かつ、X1が−O−であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【化5】

【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の化合物と、液晶化合物とを含有することを特徴とする液晶組成物。
【請求項10】
前記液晶化合物として、少なくとも1つの重合性液晶化合物を含むことを特徴とする請求項9に記載の液晶組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の液晶組成物を重合させて得られる重合体。
【請求項12】
コレステリック相を呈することを特徴とする請求項11に記載の重合体。
【請求項13】
液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、請求項9または10に記載の液晶組成物の使用。
【請求項14】
液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、請求項11または12に記載の重合体の使用。

【公開番号】特開2011−126863(P2011−126863A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226477(P2010−226477)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【上記1名の代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
【Fターム(参考)】