説明

重合性キラル化合物

【課題】 強いHTPと、低い融点を有する重合性キラル化合物を提供する。
【解決手段】 一般式(I)
【化1】


で表される重合性キラル化合物を提供する。本願発明の化合物は強いHTP及び低い融点を有し、低融点であることから他の液晶化合物との優れた溶解性を有することから液晶組成物の構成部材として有用である。又、本願発明の重合性キラル化合物を構成部材とする重合性液晶組成物は、重合性キラル化合物の含有量を多くできることから優れた光学特性を有する光学異方体を作製することができる。本願発明の光学異方体は、偏向板、位相差板等の用途に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性キラル化合物、及び当該化合物を含有する重合性液晶組成物、さらに当該重合性液晶組成物の硬化物である光学異方体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会の進展に伴い液晶ディスプレイに必須な偏向板、位相差板などに用いられる光学異方体の重要性は益々高まっている。光学異方体に必要な光学特性は目的により異なるので目的にあった特性を有する化合物が必要である。また、光学特性だけでなく化合物の重合速度、溶解性、融点、ガラス転移点、重合物の透明性、重合物の機械的強度なども重要な因子となる。
【0003】
近年、重合性コレステリック液晶を用いた円偏光分離機能素子が、輝度向上フィルムとして活用されている。コレステリック液晶は通常、ネマチック液晶に光学活性化合物(以下、キラル化合物)を添加することにより調製できる。液晶デバイスの光学補償フィルムとして、紫外線領域から可視光領域までの円偏光分離機能を得るためには、非常にピッチ(p)の短いらせん構造を必要とする。分子らせんのピッチpは、式(a)に従い、液晶組成物におけるキラル化合物の濃度cに反比例する。比例定数はキラル化合物のらせんねじれ力(HTP)である。短いピッチを得るためには、キラル化合物の濃度を増やすか、ねじれ力を強くすれば得られる。
【0004】
【数1】

【0005】
しかしながらキラル化合物を多く配合してしまうと液晶性、溶解性、重合物の透明性などの光学特性の低下や、高価なキラル化合物による高コスト化のため好ましくない。そこでHTP(らせんねじれ力)の強いキラル化合物を用いた液晶組成物が望ましい。このような強いHTPを示す化合物として環構造の光学活性部位を有するキラル化合物が提案されている(特許文献1及び2参照)。これらの特許文献には1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(イソマンニド)、ジアンヒドロ−D−グルシトール(イソソルビド)等の光学活性化合物に基づく強いHTPを有する重合性キラル化合物が開示されている。しかしながら、これらの光学活性化合物は何れも融点が高い、溶解性が悪い、一部の液晶化合物との相溶性が低い等の問題があった(特許文献1)。また、溶解性を向上させるために構造を非対称とした化合物は、溶解性の点ではある程度の改善が見られるものの、製造が煩雑であることから、光学異方性体の高価格化の要因となる問題があった(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平9−506088号公報
【特許文献2】特開2003−137887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、強いHTPと、低い融点を有する重合性キラル化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは重合性化合物における種々の置換基の検討を行った結果、特定の構造を有する重合性化合物が前述の課題を解決できることを見出し本願発明を完成するに至った。
【0009】
本願発明は、一般式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、R及びRはお互い独立して重合性基を表し、S及びSはお互い独立してスペーサー基を表し、Y及びYはお互い独立して―CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−OCOOSO−、−OSOCOO−、―CH=CH−COO−及び−OCO−CH=CH−を表し、Sは炭素数2〜6のアルキル基及びアルコキシル基を表し、A及びAは独立して1,4−フェニレン基及びナフタレン−2,6−ジイル基を表し、A及びAはお互い独立して、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A、A、A及びAはお互い独立してアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基により置換されていても良く、B及びBはお互い独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、―COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NR11−、−NR11−CO−、−SCH−、−CHS−、―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OOC−CHCH−、−NR11−CO−、−CO−NR11−、−CO−CH=CH−、−CH−、−C−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、又は単結合を表し、Xは、−CO−、−CH=CH−CO−、−CHCH−CO−、−CH−、−C−、−CF−、−NR11−CO−又は単結合を表し、Xは、−OC−、−OC−CH=CH−、−OC−CHCH−、−CH−、−C−、−CF−、−CO−NR11−又は単結合を表し(B、B、X及びXにおいて、R11はお互い独立して水素原子又は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。)、m及びnは0、1又は2を表す。)で表される重合性キラル化合物を提供し、当該化合物を構成部材とする液晶組成物、更に、当該液晶組成物を用いた光学異方体を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の重合性キラル化合物は、強いHTP及び低い融点を有し、低融点であることから他の液晶化合物との優れた溶解性を有し重合性液晶組成物の構成部材として有用である。又、製造方法も簡便なため安価に製造できるメリットもある。本願発明の重合性キラル化合物を構成部材とする重合性液晶組成物は、重合性キラル化合物の含有量を多くできることから優れた光学特性を有する光学異方体を作製することができる。本願発明の光学異方体は、偏向板、位相差板、選択反射板等の用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般式(I)において、R及びRはお互い独立して重合性基を表すが、重合性基の具体的な例としては、下記に示す構造が挙げられる。
【0014】
【化2】

【0015】
これらの重合基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−15)が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)又は式(R−13)がより好ましい。
【0016】
及びSはお互い独立してスペーサー基又は単結合を表すが、スペーサー基としては、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基は酸素原子同士が直接結合しないものとして炭素原子が酸素原子に置き換えられても良く、液晶性及び他の液晶化合物との相溶性の観点から炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましい。
【0017】
及びYはお互い独立して―CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−OCOOSO−、−OSOCOO−、―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−が好ましく、Sは炭素数2〜6のアルキル基及びアルコキシル基を表し、―CHCHCOO−、−OCOCHCH−、―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−がより好ましい。HTPの増大及び不飽和結合の利用の観点で―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−が特に好ましい。
【0018】
〜Aは環構造を有する二価基であり、A及びAは1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基が好ましく、A及びAは、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。B及びBは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、―CCOO−又は―COOC−、―OCO−、又は―OC−、―CO−が好ましく、安価に製造、液晶配向性の観点から、―COO−、−OCO−、又は−OCH−、−CHO−がより好ましい。
【0019】
は結合基を表し、−CO−、−CH=CH−CO−、−CHCH−CO−、−CH−が好ましく、Xは、−OC−、−OC−CH=CH−、−OC−CHCH−、−CH−、が好ましい。特にXが−CO−、Xが−OC−の場合がねじれ力が強くより好ましい。m及びnは0、1又は2を表すが、m及びnが0又は1が好ましい。
【0020】
一般式(I)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(I-1)〜一般式(I-15)で表される化合物が好ましい。
【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
(式中、p及びqはお互い独立して2〜8の整数を表す。)
本発明の化合物は以下に記載する合成方法で合成することができる。
(製法1) 一般式(I-1)で表される化合物の製造
p-ブロモ安息香酸とイソソルビドをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いてエステル化反応させ、更に生成物とヒドロキシエチルアクリレートとをパラジウム触媒を用いたヘック反応により、イソソルビド誘導体(S-2)を得る。
【0027】
【化8】

【0028】
次いでイソソルビド誘導体(S-2)とアクリル酸クロリドをトリエチルアミン存在下でエステル化反応させ、p=2の目的物化合物(I-1)を得ることができる。
【0029】
【化9】

【0030】
(製法2) 一般式(I-7)で表される化合物の製造
6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸とトリフルオロメタンスルホニルクロリドとを反応させた後、更にイソソルビドをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いてエステル化反応させイソソルビド誘導体(S-3)を得る。
【0031】
【化10】

【0032】
更にイソソルビド誘導体(S-3)とヒドロキシエチルアクリレートとをパラジウム触媒を用いたヘック反応により、イソソルビド誘導体(S-4)を得え、パラジウムカーボンによる水添反応を行いイソソルビド誘導体(S-5)を得る。
【0033】
【化11】

【0034】
次いでイソソルビド誘導体(S-5)とアクリル酸クロリドをトリエチルアミン存在下でエステル化反応させ、p=2の目的物化合物(I-7)を得ることができる。
【0035】
【化12】

【0036】
(製法3) 一般式(I-9)で表される化合物の製造
p-ヒドロキシ安息香酸とベンジルクロリドとを水酸化ナトリウムなど適当な塩基の存在下でエーテル化反応させてフェノールに保護基を結合させた後、ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いてエステル化応させ、更に生成物をパラジウム触媒を用いた水素添加による還元反応によりフェノール保護基を脱離させイソソルビド誘導体(S-7)を得る。
【0037】
【化13】

【0038】
更にイソソルビド誘導体(S-7)とジエチレングリコールモノターシャリーブチルエーテルとをトリフェニルホスフィン、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートを用いた光延反応によりエーテル化させ、更にトリフルオロ酢酸によりターシャリーブチル基を脱保護させて、水酸基含有のイソソルビド誘導体(S-8)を得る。
【0039】
【化14】

【0040】
次いで水酸基含有のイソソルビド誘導体(S-8)とアクリロイルエチルクロロホルメートをピリジン存在下でエステル化反応させ、p=2の目的物化合物(I-9)を得ることができる。

【0041】
(製法4) 一般式(I-16)で表される化合物の製造 p-ニトロ安息香酸とイソソルビドをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いてエステル化反応させ、更にパラジウムカーボン等によりニトロ基を還元し、アミノ基を有するイソソルビド誘導体(S-9)を得る。
【0042】
【化15】

【0043】
更に、イソソルビド誘導体(S-9)とブロモ安息酸クロリドをトリエチルアミン存在下でエステル化反応させ、アミド化合物(S-10)を得て、次いで生成物とヒドロキシブチルアクリレートとをパラジウム触媒を用いたヘック反応、更にアクリル酸クロリドをトリエチルアミン存在下でエステル化反応させ、p=4の目的物化合物(I-16)を得ることができる。
【0044】
【化16】

【0045】
(製法5) 一般式(I-17)で表される化合物の製造
製法(3)により合成したイソソルビド誘導体(S-7)1モルと6−ブロモ−2ナフトエ酸1モルとをジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤を用いてエステル化反応させイソソルビド誘導体得て、更に無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させて非対称のイソソルビド誘導体(S-12)を得る。
【0046】
【化17】

【0047】
次いでイソソルビド誘導体(S-12)とヒドロキシエチルアクリレートとをパラジウム触媒を用いたヘック反応、更にアクリル酸クロリドをトリエチルアミン存在下でエステル化反応させ、p=2の目的物化合物(I-17)を得ることができる。
【0048】
【化18】

【0049】
本願発明の化合物は、キラルネマチック、キラルスメクチック、及びコレステリック液晶組成物に好適に使用できる。本願発明の化合物を構成部材とする液晶組成物において、重合性キラル化合物の添加量は、0.1〜40質量%が好ましく3〜25%がより好ましい。
【0050】
本願発明の重合性キラル化合物を含有する液晶組成物の構成としては、一般式(I)で表される化合物を含有する以外に制限はないが、組み合わせて使用する重合性液晶化合物としては、化合物中にアクリロイルオキシ基(R-1)又はメタアクリロイルオキシ基(R-2)を有するものが好ましく、重合性官能基を分子内に2つ以上持つものがより好ましい。
【0051】
組み合わせて使用する2官能性重合性液晶化合物として具体的には一般式(II)
【0052】
【化19】

【0053】
(式中、W1及びW2はお互い独立して単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Y3及びY4はお互い独立して−COO−又は−OCO−を表し、r及びsはお互い独立して2〜18の整数を表し、式中に存在する1,4−フェニレン基は炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数1〜7のアルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物が好ましい。
【0054】
一般式(II)で表される化合物は、具体的には、一般式(II-1)〜一般式(II-8)で表される化合物が好ましい。
【0055】
【化20】

【0056】
(式中、r及びsは一般式(II)と意味と同じ意味を表す。)
一般式(II-1)〜一般式(II-8)において、r及びsはお互い独立して3〜6の整数が好ましい。
【0057】
組み合わせて使用する2官能性重合性液晶化合物として具体的には、一般式(III)
【0058】
【化21】

【0059】
(式中、W及びWはお互い独立して単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Y5は−COO−又は−OCO−を表し、p及びqはお互い独立して2〜18の整数を表し、式中に存在する3種の1,4−フェニレン基の水素原子はお互い独立して炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物も好ましい。
【0060】
一般式(III)で表される化合物は、具体的には、一般式(III-1)〜一般式(III-8)で表される化合物が好ましい。
【0061】
【化22】

【0062】
(式中、p及びqは一般式(III)と意味と同じ意味を表す。)
このような化合物の中でも耐熱性や耐久性の点から、一般式(III-2)、一般式(III-5)、一般式(III-6)、一般式(III-9)、一般式(III-10)の化合物が好ましく、一般式(III-2)の化合物がより好ましい。
【0063】
ホスト液晶となる重合性官能基を分子内に2つ以上持つ化合物としては、一般式(a−1)〜一般式(a―10)で表される化合物を含有させることができる。
【0064】
【化23】

【0065】
(式中、u及びvはお互い独立して2〜18の整数を表す。)
これらの中でも、一般式(a-2)又は一般式(a-3)で表される化合物を添加が好ましい。u及びvは3〜18が好ましく、4〜16がより好ましく、6〜12が特に好ましい。
【0066】
本願発明の液晶組成物に使用する重合性液晶化合物としては、液晶温度範囲や複屈折率の調節、粘度低減を目的として一般式(IV)
【0067】
【化24】

【0068】
(式中、eは0〜18の整数を表し、eが0又は1のときfは0を表し、eが2〜18のとき、fは0又は1の整数を表し、iは0〜2の整数を表し、C、D及びEはお互い独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表すが、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基又はフルオレン-2,7-ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF、OCF又はCHを有することができ、Y及びYはお互い独立して、単結合、−COO−-、−OCO−、−CH=N−、−N=CH−、−C≡C−、−CHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、-−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−CH=CH−、−CHCHCH=CH−、−CH=CHCH−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CHCHOCO−又は−COOCHCH−を表し、Yは単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH−、−OCH−、−CHO−、−CONH−、−NHCO−、−CHCOO−又は−CHOCO−を表し、Zは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、シアノ基又はNCSを表し、該アルキル基又はアルケニル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、シアノ、CH又はCFを有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよい。)で表される単官能の重合性液晶化合物を添加することもできる。
【0069】
一般式(IV)で表される化合物の添加量は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。一般式(IV)で表される化合物は具体的には、一般式(IV-1)〜一般式(IV-11)で表される化合物が好ましい。
【0070】
【化25】

【0071】
(式中、e及びfは一般式(IV)と同じ意味を表し、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数2〜12のアルケニル基を表す。)
さらに本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、その添加量は組成物として液晶性を呈するように調整する必要がある。
【0072】
本発明の重合性液晶組成物中における本発明の光開始剤の濃度は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がさらに好ましく、0.4〜3質量%が特に好ましい。また、本発明の光開始剤の他に、他の光開始剤を添加することができる。光開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0073】
また、本発明の重合性液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
【0074】
また、本発明の重合性液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0075】
次に本発明の光学異方体について説明する。本発明の重合性液晶組成物を重合させることによって製造される光学異方体は種々の用途に利用できる。例えば、本発明の重合性液晶組成物を、配向させない状態で重合させた場合、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、本発明の重合性液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造された光学異方体は、物理的性質に光学異方性を有しており、有用である。このような光学異方体は、例えば、本発明の重合性液晶組成物表面を、布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiOを斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させることによって製造することができる。
【0076】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、セロソルブ、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン、アセトキシ−2−エトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルアセタート類を挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。また、その添加量は90重量%以下が好ましい。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加するのも有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けるのは、重合性液晶材料を重合させて得られる光学異方体と基板の密着性が良くない場合に、密着性を向上させる手段としても有効である。
【0077】
重合性液晶組成物を基板間に挟持させる方法としては、毛細管現象を利用した注入法が挙げられる。基板間に形成された空間を減圧し、その後、重合性液晶材料を注入する手段も有効である。
【0078】
ラビング処理、あるいはSiOの斜方蒸着以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。この方法は、例えば、ポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜、光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜を形成するものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、光学異方体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
【0079】
基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0080】
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。また、通常のツイステッド・ネマチック(TN)素子又はスーパー・ツイステッド・ネマチック(STN)素子で使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜は、光学異方体内部の分子配向構造を更に精密に制御することができることから、特に好ましい。
【0081】
また、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
【0082】
本発明の重合性キラル化合物を添加した組成物はらせん構造を示すので、これを配向させ液晶状態で重合することでらせん構造を有する位相差板を製造できる。らせんのピッチが光の波長の1/2程度〜同程度であれば、その波長を有する光をブラッグの法則に従い選択的に反射することができる。これは例えば、円偏光分離機能素子として使用できる。
【0083】
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm〜2W/cmが好ましい。強度が0.1mW/cm以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0084】
重合によって得られた本発明の光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、また熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
【0085】
このような方法によって製造される本発明の光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0086】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に3-(p-ヒドロキシフェニル)安息香酸 33.2g(240ミリモル)、ヨウ化カリウム 4g、テトラブチルアンモニウムブロミド 1g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 24gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、ベンジルブロミド 50g(288ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(1)に示す化合物を38g合成した。
【0087】
【化26】

【0088】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(1)に示す化合物28g(123ミリモル)、イソソルビド 7.7g(55ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 1.8g、ジクロロメタン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 19g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液に塩化メチレン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(2)に示す化合物23gを得た。
【0089】
【化27】

【0090】
次いで、撹拌装置備えたオートクレーブ容器に、上記で合成した式(2)に示す化合物11g(17.7ミリモル)、パラジウムカーボン 1g、エタノール150mlを仕込み、0.1MPaの水素にて還元反応(反応温度50℃、3時間)を行った。反応液をろ過した後、反応溶媒を留去して式(3)に示す化合物7.5gを得た。
【0091】
【化28】

【0092】
次いで撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器にエチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル 4.5g(38ミリモル)、上記の式(3)に示す化合物6.2g(16ミリモル)、トリフェニルホスフィン 9.6g(37ミリモル)、THF 200mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでジイソプロピルアゾジカルボン酸 7g(35ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で4時間反応させた。反応終了後、THF 100mlを留去し濃縮した反応液を5℃以下に冷却させたメタノール/純水=300/60ml溶液に滴下後し、再沈殿させた。沈殿物をろ過した後、乾燥させ式(4)に示す化合物を8g合成した。
【0093】
【化29】

【0094】
次いで、撹拌装置を備えた反応容器に、トリフルオロ酢酸 40ml加えて窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。更に上記で合成した式(4)に示す化合物8gを少しずつ加えた。加え終わった後、そのままの温度で30分攪拌し反応させた。反応終了後、ジクロロメタン/純水で抽出し、更に純水、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、有機層を濃縮乾燥させてターシャリーブトキシ基が水酸基に変わったアルコールを6gを得た。 次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、前記アルコールの全量6g、ピリン 6g(77ミリモル)、THF 150mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでアクリロイルオキシエチルクロロホルメート 5.5g(31ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温で4時間反応させた。反応終了後、酢酸エチルを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(5)に示すオイル状の目的の化合物6gを得た。
【0095】
【化30】

【0096】
(物性値)
H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:4.26−4.10(m,4H), 4.40(m,2H),4.42(s,8H),4.54(m,4H),4.66(m,1H),5.03(m,1H),5.45(m,2H),5.84(d,2H),5.86(m,2H),6.14(m,2H),6.45(d,2H),6.93(m,4H),7.98(d,2H),8.04(d,2H)13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:62.0,65.7,66.0,70.7,74.3,78.3,81.1,86.1,114.1,122.3,127.7,131.4,131.7,154.6,162.1,165.5赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
式(5)で表される化合物は粘調液体であり、他の液晶性化合物との溶解性に優れる。
下記に示すネマチック液晶組成物に1.0%添加して光学顕微鏡より求めるピッチよりHTPを算出した結果、HTP=30と高い値を示した。
【0097】
【化31】

【0098】
(実施例2)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器にブロモ安息香酸25g(124ミリモル)、イソソルビド 9g(62ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 1.8g、ジクロロメタン 200mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち、窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 18.8g(149ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液に塩化メチレン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、メタノールで目的物を洗浄後、塩化メチレン/メタノールによる再結晶により式(6)に示す化合物25gを得た。
【0099】
【化32】

【0100】
次いで撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の式(6)に示す化合物25g(48.8ミリモル)、ヒドロキシブチルアクリレート 18g(126ミリモル)、トリエチルアミン 14g(146ミリモル)、テトラブチルアンモニウムブロミド31g(97ミリモル)、酢酸パラジウム 1g、ジメチルホルムアミド 300mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を90℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(7)に示す化合物20gを得た。
【0101】
【化33】

【0102】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(7)に示す化合物10g(15.6ミリモル)、アクリル酸クロリド 3g(33.8ミリモル)、ジクロロメタン200mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでトリエチルアミン 3.4g(33.8ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、10℃以下で1時間反応させた。反応終了後、塩化メチレンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(8)に示す目的の化合物 5gを得た。
【0103】
【化34】

【0104】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.83(s,8H),4.08(m,4H),4.27(m,8H),4.71(d,1H),5.09(m,1H),5.44(m,2H),5.84(d,2H),6.17(m,2H),6.43(d,2H),6.55(dd,2H),7.60(m,4H),7.72(m,2H),8.04(d,2H),8.10(d,2H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:25.2,63.7,64.0,70.5,73.1,74.5,78.4,80.9,85.8,120.3,120.4,127.6,128.0,129.8,130.2,130.3,138.5,138.6,142.7,142.8,162.7,164.4,164.7,165.6,165.8
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)82℃
式(8)で表される化合物は、融点が82℃と低く、他の液晶性化合物との溶解性に優れる。
実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=41と高い値を示した。
(実施例3)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に実施例2で合成した式(6)に示す化合物26.5g(48.8ミリモル)、ヒドロキシブチルアクリレート 14.6g(126ミリモル)、トリエチルアミン 14g(146ミリモル)、テトラブチルアンモニウムブロミド31g(97ミリモル)、酢酸パラジウム 1g、ジメチルホルムアミド 300mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を90℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(9)に示す化合物16gを得た。
【0105】
【化35】

【0106】
次いで撹拌装置備えたオートクレーブ容器に、上記の式(9)に示す化合物10g(16.3ミリモル)、パラジウムカーボン 1g、酢酸エチル100ml エタノール100mlを仕込み、0.1MPaの水素にて還元反応(反応温度50℃、3時間)を行った。反応液をろ過した後、反応溶媒を留去して式(10)に示す化合物8.0gを得た。
【0107】
【化36】

【0108】
更に撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(10)に示す化合物8g(13ミリモル)、アクリル酸クロリド 2.8g(31ミリモル)、ジクロロメタン200mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでトリエチルアミン 3.1g(31ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、10℃以下で1時間反応させた。反応終了後、塩化メチレンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(11)に示す目的の化合物 6gを得た。
【0109】
【化37】

【0110】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:2.67(m,4H),3.02(m,4H),4.04(m,4H),4.34(s,8H),4.66(m,1H),5.04(m,1H),5.40(m,2H),5.84(d,2H),6.15(m,2H),6.44(dd,2H),7.28(m,4H),7.94(d,2H),7.99(d,2H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:25.2,63.7,64.0,70.5,73.1,74.5,78.4,80.9,85.8,120.3,120.4,127.6,128.0,129.8,130.2,130.3,138.5,138.6,142.7,142.8,162.7,164.4,164.7,165.6,165.8
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
式(11)で表される化合物は粘調液体であり、他の液晶性化合物との溶解性に優れる。
実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=34と高い値を示した。
(実施例4)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4-ブロモ-2-フルオロビフェニル30g(120ミリモル)、ジクロロメタン120を加え0℃に冷却する。次いで塩化アルミニム17.6gを加えた後、シュウ酸クロリド16.7gを発熱に気をつけながらゆっくり滴下し、滴下終了後20℃で1時間反応させた。反応終了後、水でシュウ酸クロリドを分解させた後に有機相を飽和食塩水で洗浄、溶媒を留去することにより、式(12)に示す化合物を得た。
【0111】
【化38】

【0112】
次いで撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に上記の式(12)に示す化合物 35g(111ミリモル)、イソソルビド 8.1g(56ミリモル)、ジクロロメタン200mlを仕込み、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ちながら、トリエチルアミン13.4g(133ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液に塩化メチレン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、メタノールで目的物を洗浄後、塩化メチレン/メタノールによる再結晶により式(13)に示す化合物34gを得た。
【0113】
【化39】

【0114】
更に撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に上記の式(13)に示す化合物34g(47.5ミリモル)、ヒドロキシブチルアクリレート 16.5g(115ミリモル)、トリエチルアミン 14g(146ミリモル)、テトラブチルアンモニウムブロミド31g(97ミリモル)、酢酸パラジウム 1g、ジメチルホルムアミド 300mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を90℃に加熱し反応させた。反応終了後、酢酸エチル、THFを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(14)に示す化合物30.5gを得た。
【0115】
【化40】

【0116】
撹拌装置備えたオートクレーブ容器に、上記の式(14)に示す化合物30.5g(40.5ミリモル)、パラジウムカーボン 1g、酢酸エチル300ml エタノール100mlを仕込み、0.1MPaの水素にて還元反応(反応温度50℃、3時間)を行った。反応液をろ過した後、反応溶媒を留去して式(15)に示す化合物30gを得た。
【0117】
【化41】

【0118】
更に撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記の式(15)に示す化合物30g(40ミリモル)、アクリル酸クロリド 7.9g(88ミリモル)、ジクロロメタン200mlを仕込み、窒素ガス雰囲気下で反応器を5℃以下に冷却した。次いでトリエチルアミン 8.8g(88ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、10℃以下で1時間反応させた。反応終了後、塩化メチレンを加え、10%塩酸水溶液、純水、飽和食塩水で有機層を洗浄した。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(16)に示す目的の化合物 28gを得た。
【0119】
【化42】

【0120】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.71(m,8H)2.68(m,4H),2.99(m,4H),4.09−4.18(m,12H),4.70(d,1H),5.09(t,1H),5.46(t,1H),5.52(m,1H),5.84(dd,2H),6.11(m,2H),6.37(dd,2H),7.01−7.10(m,4H),7.35−7.41(m,2H),7.59−7.64(m,4H)8.078.15(d,213C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:25.2,30.3,35.2,63.9,64.1,70.7,74.5,78.5,81.2,115.9,116.2,124.5,128.4,128.9,129.8,129.9,130.5,130.8,166.1,172.5
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)64℃
式(16)で表される化合物は、融点が64℃と低く、他の液晶性化合物との溶解性に優れる。
【0121】
実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=51と高い値を示した。
(比較例1)
撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4-(4-ヒドロキシフェニル)安息香酸 21.4g(100ミリモル)、ヨウ化カリウム 2.5g、テトラブチルアンモニウムブロミド 0.7g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 12gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、6-クロロプロパノール 20g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(17)に示す化合物4を22g合成した。
【0122】
【化43】

【0123】
次いで、撹拌装置、冷却器及びディーンスタークを備えた反応容器に、上記で合成した式(17)に示す化合物を22g(71ミリモル)、アクリル酸 10g(140ミリモル)、p−トルエンスルホン酸 1g、トルエン100mlを仕込んだ。反応容器を加熱してトルエン還流させそのまま4時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した後、10%塩酸水溶液で中和、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して、式(18)に示す化合物19gを得た。
【0124】
【化44】

【0125】
更に、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(18)に示す化合物19g(51ミリモル)、イソソルビド 3.8g(27ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 0.9g、塩化メチレン 200mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 9g(6.3ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液に塩化メチレン100mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、シリカゲルカラム及び再結晶により精製を行い式(19)に示す目的の化合物14gを得た。この化合物の融点は150℃以上であり測定できなかった。
【0126】
【化45】

【0127】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.55−1.45(m,8H),1.71(m,4H),1.83(m,4H),2.66(m,4H),2.96(m,4H),
3.93(m,2H),3.98(m,2H),4.03(s,4H),4.30(t,4H),4.50(t,4H),5.35(s,2H),5.65(dd,2H),5.85(d,2H),5.85(d,2H),6.15(q,2H),6.55(d,2H),7.10(d,4H),7.50(m,4H),8.12(d,4H),8.13(d,4H)
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)>150℃
比較例1記載の式(19)で表される化合物は、本願発明の化合物の特徴となるエステル結合を有するスペーサーを持たない。そのため、融点が高く他の化合物との溶解性にも問題があった。実施例1と同様の液晶組成物でHTPを算出した結果、HTP=33と高い値を示したが、溶解性が悪いために0.5%しか添加できなかった。
(比較例2)
撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に3−(p-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸 20g(120ミリモル)、ヨウ化カリウム 2g、テトラブチルアンモニウムブロミド 0.5g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 12gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、ベンジルブロミド 25g(144ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(20)に示す化合物を44g合成した。
【0128】
【化46】

【0129】
次いで、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(20)に示す化合物32g(123ミリモル)、イソソルビド 7.7g(55ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 1.8g、塩化メチレン 500mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 19g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液に塩化メチレン200mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、5倍量(重量比)のシリカゲルカラムにより精製を行い式(21)に示す化合物27gを得た。
【0130】
【化47】

【0131】
次いで、撹拌装置備えたオートクレーブ容器に、上記で合成した式(21)に示す化合物11g(17.7ミリモル)、パラジウムカーボン 1g、エタノール150mlを仕込み、1気圧の水素にて還元反応(反応温度50℃、3時間)を行った。反応液をろ過した後、反応溶媒を留去して式(22)に示す化合物7.8gを得た。
【0132】
【化48】

【0133】
また、撹拌装置、冷却器、及び温度計を備えた反応容器に4-ヒドロキシ安息香酸 13.8g(100ミリモル)、ヨウ化カリウム 2.5g、テトラブチルアンモニウムブロミド 0.7g、エタノール 400mlを仕込み室温で攪拌した。水酸化ナトリウム 12gの25%水溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を50℃に保ち、6-クロロヘキサノール 20g(150ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を更に70℃に加温して更に3時間反応させた。反応終了後、10%塩酸で中和して酢酸エチルで抽出を行い、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を濃縮して式(23)に示す化合物を17g合成した。
【0134】
【化49】

【0135】
次いで、撹拌装置、冷却器及びディーンスタックを備えた反応容器に、上記で合成した式(23)に示す化合物を17g(71ミリモル)、アクリル酸 10g(140ミリモル)、p−トルエンスルホン酸 1g、トルエン100mlを仕込んだ。反応容器を加熱してトルエン還流させそのまま4時間反応させた。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した後、10%塩酸水溶液で中和、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して、式(24)に示す化合物22gを得た。
【0136】
【化50】

【0137】
更に、撹拌装置、冷却器及び温度計を備えた反応容器に、上記で合成した式(24)に示す化合物7g(16ミリモル)、式(22)に示す化合物9.2g(32ミリモル)、ジメチルアミノピリジン 0.43g、塩化メチレン 100mlを仕込こみ、氷冷バスにて5℃以下に反応容器を保ち。窒素ガスの雰囲気下でジイソプロピルカルボジイミド 4.7g(38ミリモル)をゆっくり滴下した。滴下終了後、反応容器を室温に戻し5時間反応させた。反応液をろ過した後、ろ液に塩化メチレン100mlを加え、10%塩酸水溶液で洗浄し、更に飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、シリカゲルカラム及び再結晶により精製を行い式(25)に示す目的の化合物 13gを得た。
【0138】
【化51】

【0139】
(物性値)
1H−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:1.55−1.45(m,8H),1.71(m,4H),1.83(m,4H),2.66(m,4H),2.96(m,4H),3.76(m,2H),3.90(s,4H),4.03(t,4H),4.17(t,4H),4.29(t,1H),4.76(t,1H),5.18(d,2H),5.78(d,2H),6.15(q,2H),6.37(d,2H),6.96(d,4H)7.23(d,4H),7.25(m,4H),8.12(d,4H)
13C−NMR(溶媒:重クロロホルム):δ:25.6,28.4,28.8,30.1,30.2,35.3,35.5,64.3,67.9,73.0,73.8,80.6,85.7,114.0,121.3,121.5,128.3,129.0,130.2,131.9,137.1,137.4,149.2,163.0,164.5,165.9,171.3,171.6
赤外吸収スペクトル(IR)(KBr):2925,2855,1760,1652−1622,809
(融点)79℃
式(25)で表される化合物は、融点が79℃と低く、他の液晶性化合物との溶解性に優れるが、実施例1と同様にしてHTPを算出した結果、HTP=12と低い値であった。
(実施例5) 重合性液晶組成物の調製
以下に示す組成の重合性液晶組成物(組成物1)を調製した。
【0140】
【化52】

【0141】
重合性液晶組成物は、良好な相溶安定性を有し、コレステリック液晶相を示した。この組成物に光重合開始剤 ベンジルジメチルケタール(商品名イルガキュアー651チバスペシャリティーケミカル社製)を1%分添加して重合性液晶組成物(組成物2)を調製した。この組成物2を、真空注入法により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのポリイミド付きセルに注入した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm2の紫外線を120秒間照射したところ、組成物2が均一な配向状態を保ったまま重合し、光学異方体が得られた。この光学異方体は良好な円偏光特性を有していた。
(実施例6) 重合性液晶組成物の調製
以下に示す組成の重合性液晶組成物(組成物3)を調製した。
【0142】
【化53】

【0143】
重合性液晶組成物は、良好な相溶安定性を有し、コレステリック液晶相を示した。この組成物に光重合開始剤 ベンジルジメチルケタール(商品名イルガキュアー651チバスペシャリティーケミカル社製)を1%分添加して重合性液晶組成物(組成物4)を調製した。この組成物2を、真空注入法により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのポリイミド付きセルに注入した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm2の紫外線を120秒間照射したところ、組成物2が均一な配向状態を保ったまま重合し、光学異方体が得られた。この光学異方体は良好な円偏光特性を有していた。
(比較例3) 重合性液晶組成物の調製
以下に示す組成の重合性液晶組成物(組成物5)を調製した。
【0144】
【化54】

【0145】
重合性液晶組成物は、コレステリック液晶相を示したが、配向性が悪く不均一であった。この組成物に光重合開始剤 ベンジルジメチルケタール(商品名イルガキュアー651チバスペシャリティーケミカル社製)を1%分添加して重合性液晶組成物(組成物6)を調製した。この組成物2を、真空注入法により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのポリイミド付きセルに注入した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm2の紫外線を120秒間照射したところ、この光学異方体は円偏光特性を有していたが、白濁しており不均一な光学異方体であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、R及びRはお互い独立して重合性基を表し、S及びSはお互い独立してスペーサー基を表し、Y及びYはお互い独立して―CHCHCOO−、−OCOCHCH−、−OCOOSO−、−OSOCOO−、―CH=CH−COO−及び−OCO−CH=CH−を表し、Sは炭素数2〜6のアルキル基及びアルコキシル基を表し、A及びAは独立して1,4−フェニレン基及びナフタレン−2,6−ジイル基を表し、A及びAはお互い独立して、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A、A、A及びAはお互い独立してアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基により置換されていても良く、B及びBはお互い独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、―COO−、−OCO−、−OCOO−、−CO−NR11−、−NR11−CO−、−SCH−、−CHS−、―CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CHCH−COO−、−OOC−CHCH−、−NR11−CO−、−CO−NR11−、−CO−CH=CH−、−CH−、−C−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、又は単結合を表し、Xは、−CO−、−CH=CH−CO−、−CHCH−CO−、−CH−、−C−、−CF−、−NR11−CO−又は単結合を表し、Xは、−OC−、−OC−CH=CH−、−OC−CHCH−、−CH−、−C−、−CF−、−CO−NR11−又は単結合を表し(B、B、X及びXにおいて、R11はお互い独立して水素原子又は炭素原子1〜4のアルキル基を表す。)、m及びnは0、1又は2を表す。)で表される重合性キラル化合物。
【請求項2】
及びAはお互い独立して、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、を表し(A及びAはお互い独立してアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、シアノ基又はニトロ基により置換されていても良い)、B及びBはお互い独立して、−O−、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、−C−、−C≡C−、又は単結合を表し、Xは、−CO−、−CH=CH−CO−、−OC−CHCH−、を表し、Xは、−OC−、−OC−CH=CH−、−OC−CHCH−を表し、m及びnは0、1又は2を表す請求項1記載の重合性キラル化合物。
【請求項3】
m及びnの少なくとも一方が0を表す請求項1又は2記載の重合性キラル化合物。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載される重合性キラル化合物を含有する液晶組成物
【請求項5】
請求4記載の液晶組成物を用いた光学異方体。

【公開番号】特開2010−90108(P2010−90108A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164596(P2009−164596)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】