説明

重合性モノマーの供給装置及び該装置の作動方法

【課題】重合性モノマー液の供給装置において、一時停止期間中の洗浄後、供給再開前の真空引きの際に、気化室の温度が過度に上昇するのを防止する。
【解決手段】モノマー供給装置1の供給モード(供給工程)では、重合性モノマー液を供給部2から供給ライン10に送出し、気化室41にて気化させてモノマー利用部3に供給する。供給モードを一時停止したときは、洗浄液を供給部4から供給ライン10に流して気化室41にて気化させる洗浄モード(洗浄工程)を実行する。かつ、洗浄モードの後期における洗浄液の流量を洗浄モードの初期における前記洗浄液の流量より小さくする。供給モードを再開するときは、供給ライン10内の流体を吸引する真空引きモード(真空引き工程)を経て、供給工程に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性モノマーを気化室にて気化させて利用部に供給する供給装置及び該装置の作動方法に関し、特に上記供給を一時停止している期間における作動内容に関する。
【背景技術】
【0002】
液体原料を気化機にて気化させて、薄膜形成等に利用する装置は公知である(例えば特許文献1、2等参照)。特許文献1では、薄膜形成工程の停止時に、供給ラインにパージ用液体を流すことで、供給ラインに残留した液体原料を除去している。
【0003】
特許文献2では、気化機をメンテナンスする際に気化機に溶媒を流すことで、気化機内の付着物を溶解させて除去している。気化機は一定の温度(例えば250℃)に維持されている。溶媒が供給ラインから気化機に導入されて気化される。気化した溶媒が、ベント管から排出される。供給ラインに真空ポンプを接続した態様では、予め、供給ライン及び気化機内の液体原料を上記真空ポンプにて吸引して排出する。続いて、供給ラインに不活性ガスを流す。これによって、供給ライン及び気化機内の液体原料の残留量を充分に減らしたうえで、上記溶媒の供給を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−92939号公報
【特許文献2】特開2000−192243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体原料が重合性モノマーである場合、供給を一時停止すると、供給ライン上のマスフローコントローラや気化機等の各種機器や配管の内部で重合性モノマーの残留液が重合反応を起こし、供給ラインが閉塞されるおそれがある。そこで、一時停止の期間中、供給ラインに洗浄液を流すことが考えられる。その後、重合性モノマーの供給を再開するときは、供給ラインから洗浄液を真空吸引して除去すれば、洗浄工程の終了後、短時間で重合性モノマーを供給ラインに流すことができる。
【0006】
しかし、真空吸引のために洗浄液の供給を停止したとき、気化機の温調制御が追従できず、気化機の温度が過度に上昇するおそれがある。そうすると、気化機等の構成部材が熱で劣化したり、供給再開後の重合性モノマーが過熱されて重合反応が起き、供給ラインが閉塞されたりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明装置は、重合性モノマーの液を気化させてモノマー利用部に供給する供給モードを実行するモノマー供給装置であって、
前記モノマー利用部へ延びる供給ラインと、
前記重合性モノマーを液の状態で前記供給ラインに送出するモノマー液供給部と、
前記供給ライン上に設けられた気化室を有する気化機と、
前記気化室の温度を調節する温調手段と、
前記供給ラインに洗浄液を送出する洗浄液供給部と、
前記洗浄液の流量を調節する流量調節部と、
前記供給ラインの前記気化室よりも上流側の部分から流体を吸引する吸引手段と、
を備え、前記供給モードでは、前記洗浄液供給部及び前記吸引手段を閉止し、
前記供給モードを一時停止したときは、前記モノマー液供給部を閉止するとともに前記洗浄液供給部を前記供給ラインと連通させて、前記洗浄液を前記供給ラインに流す洗浄モードを実行し、かつ前記流量調節部が、前記洗浄モードの後期における前記洗浄液の流量を前記洗浄モードの初期における前記洗浄液の流量より小さくし、
前記供給モードを再開するときは、前記洗浄液供給部を閉止するとともに前記吸引手段を前記供給ラインと連通させる真空引きモードを経て、前記供給モードに切り替えることを特徴とする。
【0008】
本発明装置によれば、供給モードの一時停止時は、供給ライン内の重合性モノマーの残留液を洗浄液にて洗い流すことができ、供給ラインが閉塞されるのを防止できる。供給モードを再開するときは、供給ライン内の洗浄液を吸引して除去でき、短時間で重合性モノマーの供給を開始できる。更に、前記気化機によって、供給モードでは重合性モノマーを気化させることができ、洗浄モードでは洗浄液を気化させることができる。また、前記温調手段の供給熱量を前記重合性モノマー及び洗浄液の気化熱に供することができる。
そして、洗浄モードの後期には、洗浄液流量を小さくすることによって前記供給熱量を小さくできるから、洗浄モードから真空引きモードへの切り替え時に、前記供給熱量が洗浄液の気化熱として消費されなくなっても、気化室の温度が過度に上昇するのを防止できる。したがって、気化機等の構成部材が熱で劣化するのを防止できる。また、気化室の温度が一時的に上昇したとしても短時間で設定温度に戻すことができる。したがって、供給再開後の重合性モノマーが気化室内で重合反応を起こすのを防止でき、気化室の内壁に汚れが付着したり供給ラインが閉塞したりするのを抑制又は防止できる。
【0009】
また、本発明方法は、重合性モノマーを液の状態で供給ラインに送出し、前記供給ライン上の温調された気化室にて前記重合性モノマーを気化させてモノマー利用部に供給する供給工程を実行するモノマー供給装置の作動方法であって、
前記供給工程を一時停止したときは、洗浄液を前記供給ラインに流して前記気化室にて気化させる洗浄工程を実行し、かつ前記洗浄工程の後期における前記洗浄液の流量を前記洗浄工程の初期における前記洗浄液の流量より小さくし、
前記供給工程を再開するときは、前記供給ライン内の流体を吸引する真空引き工程を経て、前記供給工程に切り替えることを特徴とする。
【0010】
本発明方法によれば、供給工程の一時停止時は、供給ライン内の重合性モノマーの残留液を洗浄液にて洗い流すことができ、供給ラインが閉塞されるのを防止できる。供給工程を再開するときは、供給ライン内の洗浄液を吸引して除去でき、短時間で重合性モノマーの供給を開始できる。
そして、洗浄工程の後期には、洗浄液流量を小さくすることによって、前記気化及び温調のための供給熱量を小さくできるから、洗浄工程から真空引き工程への切り替え時に、前記供給熱量が洗浄液の気化熱として消費されなくなっても、気化室の温度が過度に上昇するのを防止できる。したがって、気化機等の構成部材が熱で劣化するのを防止できる。また、気化室の温度が一時的に上昇したとしても短時間で設定温度に戻すことができる。したがって、供給再開後の重合性モノマーが気化室内で重合反応を起こすのを防止でき、気化室の内壁に汚れが付着したり供給ラインが閉塞したりするのを抑制又は防止できる。
【0011】
前記流量調節部が、前記洗浄モードの初期は前記洗浄液の流量を第1流量に保ち、前記初期から後期への移行時に前記洗浄液の流量を前記第1流量より小さい第2流量にし、前記後期は、前記洗浄液の流量を前記第2流量に保つことが好ましい。また、前記洗浄工程において、初期は、前記洗浄液の流量を第1流量に保ち、初期から後期への移行時に前記洗浄液の流量を前記第1流量より小さい第2流量にし、後期は、前記洗浄液の流量を前記第2流量に保つことが好ましい。洗浄モード(洗浄工程)における初期の洗浄液流量を第1流量に保つことによって、流通液を重合性モノマーから洗浄液に変えたことに伴う気化室の温度変動を短時間で収束させて定常状態にすることができる。さらに、後期への移行後は、洗浄液流量を第2流量に保つことによって、洗浄液流量を小さくしたことに伴う気化室の温度変動を短時間で収束させて定常状態にすることができる。
【0012】
前記温調手段が、前記供給モードの実行中であるか一時停止中であるかに拘わらず、前記気化室の温度を一定になるように調節することが好ましい。前記気化室の温度を、前記供給工程、前記洗浄工程、及び真空引き工程を通じて一定になるように調節することが好ましい。これによって、洗浄モード(洗浄工程)の後期において、洗浄液流量を小さくすることで前記供給熱量を確実に小さくできる。したがって、その後、真空引き時における気化室の過昇温を確実に抑制できる。また、供給モードの再開時に気化室の設定温度を再調節しなくて済み、供給モードをすみやかに再開できる。
【0013】
前記流量調節部が、前記供給ラインの前記上流側の部分に設けられ、前記供給モードでは前記重合性モノマーの流量を調節し、前記洗浄モードでは前記洗浄液の流量を調節することが好ましい。これによって、1つの流量調節部によって、供給モードにおける重合性モノマー液だけでなく、洗浄モードにおける洗浄液をも流量調節することができる。洗浄モードでは、洗浄液を流量調節部に流すことによって流量調節部を洗浄でき、重合性モノマーが流量調節部の内部で重合するのを防止できる。
【0014】
前記重合性モノマーとしては、不飽和結合及び所定の官能基を有するモノマーが挙げられる。所定の官能基は、水酸基、カルボキシル基、アセチル基、グリシジル基、エポキシ基、炭素数1〜10のエステル基、スルホン基、アルデヒド基から選択されることが好ましく、特に、カルボキシル基や水酸基等の親水基が好ましい。
【0015】
不飽和結合及び水酸基を有するモノマーとしては、メタクリル酸エチレングリコール、アリルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル等が挙げられる。
不飽和結合及びカルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マイレン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸等が挙げられる。
不飽和結合及びアセチル基を有するモノマーとしては、酢酸ビニル等が挙げられる。
不飽和結合及びグリシジル基を有するモノマーとしては、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
不飽和結合及びエステル基を有するモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−エチル等が挙げられる。
不飽和結合及びアルデヒド基を有するモノマーとしては、アクリルアルデヒド、クロトンアルデヒド等が挙げられる。
【0016】
好ましくは、前記重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を有するモノマーである。かかるモノマーとして、アクリル酸(CH=CHCOOH)、メタクリル酸(CH=C(CH)COOH)が挙げられる。前記重合性モノマーは、アクリル酸又はメタクリル酸であることが好ましい。これによって、難接着性樹脂フィルムの接着性を確実に高めることができる。前記重合性モノマーは、アクリル酸であることがより好ましい。
【0017】
洗浄液は、下記の条件(a)〜(d)を満たすことが好ましい。
(a)重合性モノマーに対し相溶性があること。
(b)気化し易く、又は粘性が低く、真空引きモード(真空引き工程)を行なったとき、気化機内及び供給ライン内に殆ど残留しないこと。
(c)安全であること(爆発したり燃焼したりしにくいこと)
(d)安価であること。
以上の観点から、洗浄液として、エタノール、IPA(イソプロピルアルコール)、水、n-ヘキサン、ジエチルエーテル、ポリエチレングリコール等を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、重合性モノマーの供給再開に先立つ真空引きの際に気化室の温度が過度に上昇するのを防止できる。したがって、気化機等の構成部材が熱で劣化するのを防止できる。かつ、供給再開後の重合性モノマーが気化室内で重合反応を起こすのを防止できる。更には、洗浄液を節約でき、費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るモノマー供給装置の構成図である。
【図2】図2は、上記モノマー供給装置の動作を解説するタイムチャートである。
【図3】図3(a)は、洗浄工程における洗浄液の流量変化の変形例を示すタイムチャートである。図3(b)は、洗浄工程における洗浄液の流量変化の他の変形例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るモノマー供給装置1を示したものである。モノマー供給装置1は、モノマー液供給部2と、供給ライン10を備えている。モノマー液供給部2には、重合性モノマーが液の状態で蓄えられている。供給ライン10が、モノマー液供給部2から引き出されてモノマー利用部3へ延びている。後述する供給モードにおいて、モノマー液供給部2が重合性モノマーを液の状態で供給ライン10に送出する。この重合性モノマーが、供給ライン10上で気化されたうえで、モノマー利用部3に供給される。
【0021】
この実施形態では、重合性モノマーとして、アクリル酸(AA)が用いられている。なお、重合性モノマーは、アクリル酸に限られず、メタクリル酸であってもよく、その他、イタコン酸、マイレン酸、2−メタクリロイルプロピオン酸、メタクリル酸エチレングリコール、アリルアルコール、メタクリル酸ヒドロキシエチル、酢酸ビニル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸2−エチル、アクリルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アセトアルデヒド、ビニルアルコール、スチレンスルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミド、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−シクロペンテン、1−シクロヘキセン、1−シクロヘプテン、1−シクロオクテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)等であってもよい。
【0022】
複数種の重合性モノマーの混合液を供給ライン10に送出してもよい。この場合、モノマー液供給部2が、複数種の重合性モノマーを混合液の状態で蓄えていてもよく、モノマー液供給部2が、複数種の重合性モノマー液を別々のタンクに蓄えており、各タンクから適量の重合性モノマー液を取り出して混合することにしてもよい。
【0023】
モノマー利用部3は、重合性モノマーを用いて、表面処理、調合、製造、加工等の種々の操作を行なう。この実施形態におけるモノマー利用部3は、表面処理装置にて構成されている。処理対象は、例えば液晶パネルディスプレイ用偏光板の保護フィルム9である。保護フィルム9は、トリアセテートセルロース(TAC)を主成分とするTACフィルムにて構成されている。なお、処理対象のフィルムは、TACに限られず、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、シクロオレフィン重合体(COP)、シクロオレフィン共重合体(COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリイミド(PI)等の種々の樹脂フィルムにて構成されていてもよい。
【0024】
モノマー利用部すなわちフィルム表面処理装置3は、一対のロール電極3a,3aを含む。連続シート状の被処理フィルム9が、各ロール電極3aの上側の周面に掛け回されている。ロール電極3a,3aが回転することによって、被処理フィルム9が搬送される。一対の電極3a,3aの間に電界が印加され、電極間空間3cで大気圧近傍のプラズマが生成される。電極間空間3cには放電ガスノズル3dが臨んでいる。窒素(N)等の放電生成用のガスがノズル3dから電極間空間3cに供給される。 ここで、大気圧近傍とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
【0025】
搬送方向の上流側(図1において左側)の電極3aの上部にモノマーノズル3eが設けられている。上記のプラズマ生成と併行して、重合性モノマーが供給ライン10からモノマーノズル3eに導入される。この重合性モノマーが、モノマーノズル3eから被処理フィルム9に吹き付けられて、被処理フィルム9の表面上で凝縮するとともに放電空間3a内においてプラズマ重合反応を起こす。これによって、被処理フィルム9の表面に重合性モノマーの重合膜からなる接着性促進層を形成できる。
【0026】
表面処理後のフィルム9をPVAフィルムからなる偏光フィルムと貼り合わせる。接着剤としては、PVA水溶液等の水系接着剤を用いる。フィルム9を予め表面処理しておくことで、良好な接着性を発現できる。
【0027】
モノマー供給装置1の構成を更に詳述する。
供給ライン10には、流量調節部30と気化機40が設けられている。供給ライン10は、モノマー液供給部2から気化機40までの間の液体路11と、気化機40からフィルム処理部3までの間の気体路13とを含む。
【0028】
流量調節部30は、液体路11(供給ライン10の気化室41より上流側の部分)に配置されている。流量調節部30は、液体マスフローコントローラ(MFC)にて構成され、液体路11を流れる液体の質量流量を所定になるように調節する。
流量調節部30として、マスフローコントローラに代えて、流体の体積流量を調節する流量制御弁を用いてもよい。
【0029】
気化機40は、気化室41と、吐出部42を有している。吐出部42は、例えばエジェクタノズルにて構成され、気化室41内に臨んでいる。液体路11の下流端が吐出部42に接続されている。さらに、吐出部42には、キャリア供給路61を介してキャリア供給部60が接続されている。供給部40は、キャリアガスとして窒素(N)を供給路61に圧送する。キャリア供給路61には、電磁開閉弁からなるキャリア供給路開閉弁62及びキャリア流量調節部63が設けられている。流量調節部63は、マスフローコントローラにて構成されているが、流量制御弁にて構成されていてもよい。吐出部42は、液体路11からの液体をミスト状にして、キャリア供給路61からのキャリアガスと一緒に気化室41内に吐出する。この吐出液が気化室41内で気化される。図示は省略するが、キャリア供給部60は、別途、直通路によって気化室41を介さずに気体路13に直接的に接続されている。上記供給路41を通るキャリアガスと上記直通路を通るキャリアガスとの流量比を調節することによって、気化液の濃度を調節できる。
なお、キャリアガスとして、窒素に代えて、アルゴン、ヘリウム等の希ガス又は他の不活性ガスであってもよい。
【0030】
気化機40には温調手段50が組み込まれている。温調手段50は、コントローラ51と、ヒータ52と、温度センサ53を含む。ヒータ52は、気化室41を加熱する。温度センサ53は、気化室41の温度を検知する。コントローラ51は、入出力信号処理部、マイクロコンピュータ、ヒータ駆動部等を含む。温度センサ53の検知温度に基づいて、コントローラ51が、ヒータ52の出力をオンオフ操作又は増減操作することによって、気化室41の温度を一定になるように調節する。気化室41の設定温度は、重合性モノマー及び後記洗浄液が共に気化可能な温度であることが好ましい。例えば、重合性モノマーがアクリル酸であり、かつ洗浄液がエタノールである場合、気化室41の設定温度は、140℃〜200℃が好ましく、170℃程度がより好ましい。
【0031】
更に、モノマー供給装置1は、洗浄液供給部4と、吸引手段5を備えている。洗浄液供給部4には、洗浄液が蓄えられている。洗浄液として、エタノールが用いられている。エタノールは、アクリル酸(重合性モノマー)に対し相溶性があり、かつ気化し易く、さらに安全かつ安価であるとの利点を有している。
なお、洗浄液として、エタノールに代えて、IPA(イソプロピルアルコール)、水、n-ヘキサン、ジエチルエーテル、ポリエチレングリコール等を用いてもよい。
【0032】
洗浄液供給部4から洗浄液供給路14が供給ライン10へ延びている。洗浄液供給路14には電磁開閉弁からなる洗浄液供給路開閉弁24が設けられている。マスフローコントローラ30より上流(モノマー液供給部2側)の液体路11には、合流部11aが設けられている。この合流部11aに洗浄液供給路14が合流している。合流部11aより上流(モノマー液供給部2側)の液体路11には電磁開閉弁からなるライン上流端開閉弁21が設けられている。
【0033】
マスフローコントローラ30と気化機40との間の液体路11には、分岐部11bが設けられている。この分岐部11bから吸引路15が分岐している。吸引路15には、電磁開閉弁からなる吸引路開閉弁25、及び吸引手段5が分岐部11bの側から順次設けられている。吸引手段5は、真空ポンプにて構成されている。分岐部11bと気化機40との間の液体路11には電磁開閉弁からなる気化機導入側開閉弁22が設けられている。
【0034】
気体路13には分岐部13cが設けられている。この分岐部13cからパージ路16が分岐している。分岐部13cより下流(モノマー利用部3側)の気体路13には、電磁開閉弁からなるライン下流端開閉弁23が設けられている。パージ路16には電磁開閉弁からなるパージ路開閉弁26が設けられている。吸引路15とパージ路16の下流端どうしが合流して排出路17になっている。
【0035】
上記のように構成されたモノマー供給装置1の作動方法を、図2のフローチャートにしたがって説明する。
[供給モード(供給工程)]
モノマー供給装置1は、通常の処理時には供給モード(供給工程)を実行する。供給モードでは、供給ライン10上の開閉弁21,22,23を開いて、供給ライン10の全体を開通させるとともに、開閉弁24,25,26を閉じて、洗浄液供給部4及び吸引手段5を閉止する。また、開閉弁62を開き、キャリア供給路61を開通させる。そして、モノマー液供給部2から重合性モノマーを液体の状態で供給ライン10に送出する。この重合性モノマー液の流量をマスフローコントローラ30によって所定流量になるように調節する。流量調節後の重合性モノマー液を気化機40に導入して、キャリア供給部60からのキャリアガスと混合しながら吐出部42から気化室41内に吐出し、気化させる。気化を促すためにヒータ52を稼働する。ヒータ52の供給熱量の一部又は多くは、重合性モノマーの気化熱として供される。さらに、温調手段50によってヒータ52の出力を操作し、気化室41内の温度を一定に維持する。これによって、重合性モノマーの気化量を安定させることができる。
【0036】
上記気化した重合性モノマー及びキャリアガスを含むモノマー含有ガスを、気体路13を経て、フィルム表面処理装置からなるモノマー利用部3に供給する。そして、モノマー含有ガスを保護フィルム9に吹き付けて、フィルム9の表面に重合性モノマーの凝縮層を形成し、更に、放電空間3c内で上記凝縮層のプラズマ重合反応を起こさせて重合膜を形成する。これによって、保護フィルム9を偏光フィルムと貼り合わせる際の接着性を向上できる。
【0037】
フィルム表面処理装置3又はその下流側の偏光板生産設備に何らかの不具合が生じたり、生産を定期的又は臨時的に一時休止したりするときは、モノマー供給装置1のモードを、供給モードから洗浄モードに切り替える。すなわち、供給モードを一時停止し、洗浄モードを開始する。偏光板の生産を再開するときは、モノマー供給装置1のモードを、洗浄モードから真空引きモードを経て、供給モードに切り替える。
【0038】
供給モードの一時停止期間中の動作を更に詳述する。
[洗浄モード(洗浄工程)]
洗浄モード(洗浄工程)では、開閉弁21,23,25を閉じ、開閉弁24,22,26を開く。これによって、モノマー液供給部2を閉止するとともにモノマー利用部3を供給ライン10から遮断する一方、洗浄液供給部4を液体路11に連通させ、かつパージ路16を気体路13に連通させる。また、開閉弁62は開状態に維持する。そして、洗浄液を洗浄液供給部4から送出して、洗浄液供給路14を介して液体路11に導入する。この洗浄液の導入によって、液体路11内の重合性モノマーの残留液を気化室41に押し出して気化させることができる。又は、上記残留液を洗浄液に溶解できる。これによって、液体路11を洗浄でき、液体路11の閉塞を防止できる。特に、液体路11上のマスフローコントローラ30を洗浄でき、マスフローコントローラ30内の狭隘な流量検知路等で上記残留液が重合するのを防止でき、マスフローコントローラ30が閉塞されるのを防止できる。
【0039】
また、マスフローコントローラ30によって洗浄液の流量を調節する。したがって、マスフローコントローラ30は、供給モードでは重合性モノマーの流量を調節し、洗浄モードでは洗浄液の流量を調節する。洗浄液の流量調節の詳細については後述する。流量調節後の洗浄液を気化機40に導入して、キャリア供給部60からのキャリアガスと混合しながら吐出部42から気化室41内に吐出し、気化させる。この洗浄液の吐出流によって、吐出部42内の重合性モノマーの残留液を確実に押し出すことができ、吐出部42の内部が上記残留液の重合により閉塞されるのを確実に防止できる。また、洗浄液を気化させることによって、気化室41内に洗浄液が液体の状態で溜まるのを防止できる。洗浄液の気化を促すためにヒータ52を稼働する。ヒータ52の供給熱量の一部又は多くは、洗浄液の気化熱として供される。さらに、温調手段50によってヒータ52の出力を操作し、気化室41内の温度が一定に維持されるようにフィードバック制御を行なう。洗浄モードにおける気化室41の設定温度は、供給モードにおける気化室41の設定温度と等しいことが好ましい。更には、温調手段50は、供給モードの実行中であるか一時停止中であるかに拘わらず、気化室41の温度を一定温度になるように調節することが好ましい。
【0040】
気化した洗浄液及びキャリアガスを含む洗浄ガスを、気化室41から気体路13、パージ路16、排出路17の順に流して排出する。これによって、気化室41及び気体路13の内部に残留していたモノマー含有ガスをパージできる。したがって、上記残留ガス中の重合性モノマー蒸気が気化室41又は気体路13内で凝縮、重合するのを防止でき、気化室41の内壁に汚れが付着したり気体路13が閉塞したりするのを防止できる。
【0041】
[洗浄モード(洗浄工程)の流量調節]
マスフローコントローラ30による洗浄液の流量調節の詳細を説明する。
洗浄モード(洗浄工程)の初期においては、洗浄液の気化に要する熱量が、供給モードにおける重合性モノマーの気化に要する熱量と同程度になるように、洗浄液の流量(第1流量Q)を設定することが好ましい。これによって、図2に示すように、供給モードから洗浄モードに切り替えた時、気化室41の温度変動を抑制できる。図2では、気化室41の温度が低温側に変動しているが、高温側に変動することもある。この温度変動は、温度センサ53によって検知される。この検知温度に基づいて、コントローラ51がヒータ52の出力を調節することによって、気化室41の温度がやがて設定温度に収束する。洗浄モード初期における洗浄液流量を一定値Qに保つことによって、モード切り替えに伴う気化室41の温度変動を短時間で収束させて定常状態にすることができる。
【0042】
図2に示すように、マスフローコントローラ30は、洗浄液の流量を洗浄モード(洗浄工程)の進行に伴なって小さくする。ここでは、洗浄モード(洗浄工程)の開始からある時間tが経過する迄の期間を洗浄モード初期(洗浄工程初期)とし、時間t以降を洗浄モード後期(洗浄工程後期)として、洗浄モード後期における洗浄液の流量を洗浄モード初期における洗浄液の流量よりも小さくする。好ましくは、洗浄モードの初期は洗浄液の流量を第1流量Qに保ち、初期から後期への移行時に洗浄液の流量を第1流量Qより小さい第2流量Q(Q<Q)にし、後期は、洗浄液の流量を第2流量Qに保つ。洗浄モード初期の継続時間tは、t=10min〜40minが好ましく、t=20min程度がより好ましい。この実施形態では、初期から後期への移行時に洗浄液の流量をステップ状に第1流量Qから第2流量Qに低下させているが、徐々に低下させてもよい(図3(b)参照)。第2流量Qは、第1流量Qに対して20%〜60%(Q=Q×0.2〜0.6)であることが好ましく、50%(Q=Q×0.5)程度であることがより好ましい。
【0043】
洗浄モード後期において洗浄液の気化に要する熱量は、流量を小さくした分だけ小さくなる。そのため、洗浄モード後期への移行直後は、ヒータ52の供給熱量が過剰になり、気化室41の温度が一時的に上昇する。この温度上昇を温度センサ53にて検知し、コントローラ51が上記検知温度に基づいてヒータ52の出力を調節する。これによって、気化室41の温度は、上記の上昇後、時間の経過とともに低下して設定温度に収束する。後期への移行後、洗浄液流量を一定値Qに保つことによって、洗浄液流量を小さくしたことに伴う気化室41の温度変動を短時間で収束させて定常状態にすることができる。後期の定常状態におけるヒータ52の出力(供給熱量)は、洗浄液の流量低下分だけ初期におけるヒータ52の出力(供給熱量)よりも小さい。
【0044】
1つのマスフローコントローラ30(流量調節部)によって、供給モード(供給工程)における重合性モノマー液だけでなく、洗浄モードにおける洗浄液をも流量調節できるから、装置構成を簡素化できる。
また、洗浄液の流量を初期流量のままに保持する場合と比べて、洗浄液を節約でき、洗浄に要する費用を軽減できる。
【0045】
[真空引きモード(真空引き工程)]
供給モード(供給工程)を再開するときは、それに先立って、洗浄モード(洗浄工程)を終了して真空引きモード(真空引き工程)を実行する。真空引きモードでは、開閉弁21,22,24,26を閉じ、開閉弁25を開く。これによって、モノマー液供給部2及び洗浄液供給部4を閉止し、かつ気化機40を液体路11から遮断する一方、吸引手段5を液体路11と連通させる。そして、吸引手段5によって、液体路11内の流体を吸引路15を介して吸引し、排出路17から排出する。これによって、洗浄工程の終了時に液体路11内に残留していた洗浄液を液体路11から除去できる。
【0046】
真空引きモードでは、洗浄液供給部4の閉止によって洗浄液の供給が停止され、気化室41内での洗浄液の気化が停止される。したがって、ヒータ52の供給熱量が気化熱として消費されなくなる。そのため、洗浄モードから真空引きモードへの切り替え時には、ヒータ52の供給熱量が過剰になり、気化室41の温度が一時的に上昇する。しかし、上記の供給熱量自体が小さいから、上記気化室41の温度上昇幅を小さく抑えることができる。したがって、気化機40の構成部材が熱損傷を来すのを防止できる。加えて、温調手段50によるフィードバック制御において、ヒータ52の操作量を追従させるのに要する時間を短くできる。よって、真空引きモード(真空引き工程)の終了時には、気化室41の温度を設定温度に収束させておくことができる。
【0047】
更に、真空引きモードでは、開閉弁62,23を開き、キャリアガスを気化室41、気体路13の順に流し、ノズル3eから吹き出す。したがって、キャリアガスは、全モードを通じて常時流通される。真空引きモードでもキャリアガスを気化室41に流すことによって、気化室41の過昇温を一層確実に防止でき、かつヒータ出力が追従するのに要する時間を確実に短くできる。
【0048】
真空引きモードにおける気化室41の設定温度は、供給モード及び洗浄モードにおける気化室41の設定温度と同じであることが好ましい。換言すれば、気化室41の設定温度は、供給モード(供給工程)、洗浄モード(洗浄工程)、及び真空引きモード(真空引き工程)を通じて一定であることが好ましい。これによって、洗浄液の流量低下及び流通停止に伴なってヒータ52の供給熱量を確実に小さくでき、真空引き時における気化室41の過昇温を確実に抑制できる。更には、後述する供給モードの再開時に、気化室41の設定温度を再調節する必要が無く、供給モードにすみやかに移行できる。
真空引きモードの継続時間tは、t=3min〜20minが好ましく、t=10min程度がより好ましい。
【0049】
なお、図2における二点鎖線は、洗浄モード(洗浄工程)の全期間を通じて洗浄液の流量を初期の大きさに維持したと仮定した場合に、真空引きモード(真空引き工程)への切り替えによって気化室41の温度がどのように変動するかを示したものである。この場合、ヒータ52が比較的大きい出力のままで真空引きモード(真空引き工程)に切り替えられるために、気化室41の昇温度合いが大きく、真空引きモード(真空引き工程)の終了時に至っても未だ気化室41が過熱状態にあるという事態になりやすい。
【0050】
[供給モード(供給工程)の再開]
真空引きモード(真空引き工程)の後、供給モード(供給工程)を再開する。具体的には、開閉弁21,22,23,62を開き、かつ開閉弁24,25,26を閉じて、重合性モノマーをモノマー液供給部2から供給ライン10に送出する。そして、マスフローコントローラ30における流量調節を経て、重合性モノマーを気化機40に導入して気化させ、更にモノマー利用部3へ供給する。この供給モードに先立って、予め、真空引きモードによって液体路11内の残留洗浄液を除去しておくことで、真空引きモードを行なわなかったと仮定した場合よりも、短時間で重合性モノマーの供給を開始できる。しかも、供給モードの再開時には、気化室41の温度が設定温度に収束しているから、重合性モノマーが過熱されることはない。したがって、気化室41内で重合性モノマーの重合反応が起きるのを防止でき、気化室41の内壁に汚れが付着したり気体路13が閉塞したりするのを防止できる。
なお、上述した図2の二点鎖線の比較態様の場合には、供給モード(供給工程)の再開時に気化室41が過熱状態にあるために、重合性モノマーが気化室41内で重合して、汚れの付着や閉塞等が起きるおそれがある。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変態様を採用できる。
例えば、図3(a)に示すように、洗浄モード(洗浄工程)において、洗浄液の流量を複数回(図では2回)にわたって段階的(不連続的)に減少させることで、後期における洗浄液の流量を初期における洗浄液の流量より小さくしてもよい。図3(b)に示すように、洗浄モード(洗浄工程)において、時間経過に従って洗浄液の流量をなだらかに(連続的)に減少させることで、後期における洗浄液の流量を初期における洗浄液の流量より小さくしてもよい。洗浄モード(洗浄工程)のほぼ全期間をかけて洗浄液の流量をなだらかに減少させることによって、後期における洗浄液の流量を初期における洗浄液の流量より小さくしてもよい。
【0052】
モノマー供給装置1の回路構成は適宜変更できる。例えば、重合性モノマーの流量を調節する流量調節部とは別途に、洗浄液の流量を調節する流量調節部を洗浄液供給路14又は洗浄液供給部4内に設けてもよい。
開閉弁21,24に代えて、合流部11aに三方弁を設けてもよい。開閉弁22,25に代えて、分岐部11bに三方弁を設けてもよい。開閉弁23,26に代えて、分岐部13cに三方弁を設けてもよい。
【0053】
利用部3は、樹脂フィルムを表面処理するものに限られず、基板や布等に重合性モノマーを塗布するものであってもよい。
本発明は、偏光板用保護フィルムの表面処理に限られず、種々の樹脂フィルムに重合性モノマーの重合膜を形成する処理に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えばフラットパネルディスプレイ(FPD)の偏光板の製造に適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 モノマー供給装置
2 モノマー液供給部
3 フィルム処理部(モノマー利用部)
3a 電極
3c 電極間空間
3d 放電ガスノズル
3e モノマーノズル
4 洗浄液供給部
5 吸引手段
9 被処理フィルム
10 供給ライン
11 液体路(上流側の部分)
11a 合流部
11b 分岐部
13 気体路
13c 分岐部
14 洗浄液供給路
15 吸引路
16 パージ路
17 排出路
21〜26 開閉弁
30 マスフローコントローラ(流量調節部)
40 気化機
41 気化室
42 吐出部
50 温調手段
51 コントローラ
52 ヒータ
53 温度センサ
60 キャリア供給部
61 キャリア供給路
62 開閉弁
63 キャリア流量調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性モノマーの液を気化させてモノマー利用部に供給する供給モードを実行するモノマー供給装置であって、
前記モノマー利用部へ延びる供給ラインと、
前記重合性モノマーを液の状態で前記供給ラインに送出するモノマー液供給部と、
前記供給ライン上に設けられた気化室を有する気化機と、
前記気化室の温度を調節する温調手段と、
前記供給ラインに洗浄液を送出する洗浄液供給部と、
前記洗浄液の流量を調節する流量調節部と、
前記供給ラインの前記気化室よりも上流側の部分から流体を吸引する吸引手段と、
を備え、前記供給モードでは、前記洗浄液供給部及び前記吸引手段を閉止し、
前記供給モードを一時停止したときは、前記モノマー液供給部を閉止するとともに前記洗浄液供給部を前記供給ラインと連通させて、前記洗浄液を前記供給ラインに流す洗浄モードを実行し、かつ前記流量調節部が、前記洗浄モードの後期における前記洗浄液の流量を前記洗浄モードの初期における前記洗浄液の流量より小さくし、
前記供給モードを再開するときは、前記洗浄液供給部を閉止するとともに前記吸引手段を前記供給ラインと連通させる真空引きモードを経て、前記供給モードに切り替えることを特徴とするモノマー供給装置。
【請求項2】
前記流量調節部が、前記洗浄モードの初期は前記洗浄液の流量を第1流量に保ち、前記初期から後期への移行時に前記洗浄液の流量を前記第1流量より小さい第2流量にし、前記後期は、前記洗浄液の流量を前記第2流量に保つことを特徴とする請求項1に記載のモノマー供給装置。
【請求項3】
前記流量調節部が、前記供給ラインの前記上流側の部分に設けられ、前記供給モードでは前記重合性モノマーの流量を調節し、前記洗浄モードでは前記洗浄液の流量を調節することを特徴とする請求項1又は2に記載のモノマー供給装置。
【請求項4】
重合性モノマーを液の状態で供給ラインに送出し、前記供給ライン上の温調された気化室にて前記重合性モノマーを気化させてモノマー利用部に供給する供給工程を実行するモノマー供給装置の作動方法であって、
前記供給工程を一時停止したときは、洗浄液を前記供給ラインに流して前記気化室にて気化させる洗浄工程を実行し、かつ前記洗浄工程の後期における前記洗浄液の流量を前記洗浄工程の初期における前記洗浄液の流量より小さくし、
前記供給工程を再開するときは、前記供給ライン内の流体を吸引する真空引き工程を経て、前記供給工程に切り替えることを特徴とするモノマー供給装置の作動方法。
【請求項5】
前記洗浄工程において、初期は、前記洗浄液の流量を第1流量に保ち、初期から後期への移行時に前記洗浄液の流量を前記第1流量より小さい第2流量にし、後期は、前記洗浄液の流量を前記第2流量に保つことを特徴とする請求項4に記載の作動方法。
【請求項6】
前記気化室の温度を、前記供給工程、前記洗浄工程、及び真空引き工程を通じて一定になるように調節することを特徴とする請求項4又は5に記載の作動方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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