説明

重合性光酸発生剤

【課題】フォトレジストポリマーに重合可能な新規光酸発生剤化合物、およびこの重合性光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】式(I)を有する化合物:


式中、Qはハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されていないC2−30オレフィン含有基であり、Aはフッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、もしくはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基であり、Zはスルホナート、スルホンアミドもしくはスルホンイミドを含むアニオン性基であり、並びにGは特定のカチオンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2010年12月31日に出願された米国仮出願第61/429,009号のノンプロビジョナル出願であり、その仮出願の内容はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書においては、フォトレジストポリマーに重合可能な新規光酸発生剤化合物、およびこの重合性光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物が開示される。
【背景技術】
【0003】
紫外領域のスペクトル(すなわち、<300nm)において放射線に露光されたときに分解して酸を生じさせる化合物(「光酸発生剤」とも称される)は、マイクロエレクトロニクス用途のための化学増幅型フォトレジストにおいてポリマーの「化学的に増幅された」脱保護もしくは架橋のためのベースである。しかし、この材料の分解生成物のガス放出は、このようなフォトレジストのための露光ツールの光学素子(optics)を覆い、腐蝕する場合があり、そこではこの光学部品は露光されるフォトレジストから数ミリメートル離れているだけである場合がある。
【0004】
前世代のリソグラフィツール(248nmおよび193nmでの操作)については、例えば、光学部品を清浄化することおよび/または犠牲的バリアもしくはフィルタを含ませかつ屈折性光学素子を使用することによる、ガス放出の損害発生効果を制限するための対策が使用されてきたが、45nm未満のますます小さくなるライン幅において増大した解像度に向かう産業界のトレンド、並びに改良された反射光学素子を使用し、有意により短い波長(13.5nmでの極端紫外線(EUV)領域におけるような)で操作する新たなツールの開発はこのような戦略に適合しない場合がある。よって、ガス放出の制御がフォトレジスト中の組成物レベルで起こるべきであるという目的が存在する。さらに、EUV波長での使用のための改良されたフォトレジストにおいて、ライン幅ラフネスの制御が必要とされ、これはフォトレジストの成分の拡散能力に相関する。
【0005】
欧州特許出願公開第2026616A2号は、ビニルエーテル由来の保護基を有するフェノール系ポリマーと共に使用される場合に、有用なガス放出特性を有する光酸発生剤を開示する。この光酸発生剤はスルホニウム中心に結合したアリール基(好ましくは少なくとも1つのヒドロキシ基を組み込んでいる)、およびビスアリール基(各アリールがスルホニウム中心に等しく結合している)を有するスルホニウムカチオンをベースにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2026616A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記文献に開示された光酸発生剤は、例えば、トリフェニルスルホニウムカチオンベースの光酸発生剤と比べて改良されたガス放出を示すが、実施例(特に実施例1および9)はこれら光酸発生剤を用いて得られたガス発生における改良が、ライン幅ラフネスを悪化させる場合もあることを示す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
先行技術の上記および他の欠点は、式(I)を有する化合物によって克服されうる:
【化1】

式中、Qはハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されていないC2−30オレフィン含有基であり、Aはフッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、もしくはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基であり、Zはスルホナート、スルホンアミドもしくはスルホンイミドを含むアニオン性基であり、並びにGは式(II)を有し:
【化2】

式中、XはSもしくはIであり、各Rはハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されておらず、かつ独立してC1−30アルキル基;多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基;多環式もしくは単環式C4−30アリール基;または前述の少なくとも1種を含む組み合わせである;XがSの場合には、R基の1つは場合によっては、隣の1つのR基に単結合によって結合されており、かつaは2もしくは3である;XがIの場合にはaは2であり、もしくはXがSの場合にはaは3である。
【0009】
コポリマーは上記化合物を含む。
フォトレジスト組成物は前記コポリマーを含む。
コーティングされた基体は、基体表面上のパターン形成される1以上の層を有する基体、およびパターン形成される前記1以上の層上の前記フォトレジスト組成物の層を含む。
また、電子デバイスを形成する方法は、前記フォトレジスト組成物の層を基体上に適用し;フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様に(patternwise)露光し;および露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において開示されるのは、活性化放射線に露光される場合に、特に、改良されたリソグラフィのための放射線、例えば、eビーム、x線および13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射線に露光されるフォトレジスト組成物に使用される場合に、低いガス放出特性を有する新規の重合性光酸発生剤(本明細書においてはPAG)である。この光酸発生剤はこれら化学線に対して高い感度を有し、かつ付加重合したフォトレジストポリマーの骨格に、オレフィンエステル重合性基によって結合されるオニウムカチオンの塩である。これらPAGの分解生成物は、フォトレジスト組成物、露光および処理の類似の条件下で、例えば、ジフェニルヨードニウムもしくはトリフェニルスルホニウムカチオンを有する従来のPAGと比べて低減される。
【0011】
本明細書において使用される場合、「オニウム」とは、ヨードニウムもしくはスルホニウムカチオンをいう。また、本明細書において使用される場合、「置換」とはハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ、アミノ、チオール、カルボキシル、カルボキシラート、アミド、ニトリル、チオール、スルフィド、ジスルフィド、ニトロ、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、C6−10アリール、C6−10アリールオキシ、C7−10アルキルアリール、C7−10アルキルアリールオキシ、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせのような置換基を含むことを意味する。本明細書において式に関して開示された基もしくは構造は、他に特定されない限りは、または得られた構造の所望の特性にその置換が有意に悪影響を及ぼさない限りは、そのように置換されることができると理解される。また、本明細書において使用される場合、「(メタ)アクリラート」とはアクリラートもしくはメタクリラートを意味し、他に特定されない限りはこれらのいずれかに限定されない。
【0012】
このPAGは、アニオンがフッ素化スルホン酸、スルホンアミドもしくはスルホンイミドの共役塩基であってさらに重合性基を含む、カチオン−アニオン構造を有する。カチオンはアリール置換オニウム(すなわち、二置換ヨードニウムもしくは三置換スルホニウム)カチオンであり、置換基であるアリール基は、例えばオニウムを含む複素環構造において、もしくは縮合芳香環システムの部分として、1以上の隣のアリール基に結合しているか、または別々で結合していない。
【0013】
ポリマー結合光酸発生剤は式(I)を有する:
【化3】

式(I)中、Qはハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されていないC2−30オレフィン含有基である。好ましくは、Qは重合性オレフィンを含み、またはヒドロキシ基と反応してアセタールもしくはケタール構造を形成できる基を含む。また、式(I)中、Aは連結基、例えば、フッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、もしくはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基である。Gは光分解性カチオンである。
【0014】
連結基Aはポリマー結合PAGに好適なプラットフォームおよび機能性をもたらすあらゆる連結基であり得る。好ましくは、Aはo−、m−もしくはp−置換−C−基、o−、m−もしくはp−置換−C−基、o−、m−もしくはp−置換−(O(CH−C−基(ここで、kは1〜10の整数である)、o−、m−もしくはp−置換−C−基、または−[(C(R−C(=O)O]−C((R(CF−基(ここで、RおよびRはそれぞれ独立してH、F、C1−6フルオロアルキル、もしくはC1−6アルキルであり、bは0もしくは1であり、xは1〜10の整数であり、yおよびzは独立して0〜10の整数であり、合計y+zは少なくとも1である)である。
【0015】
また、ポリマー結合PAGにおいて、Zはアニオン性基であり、例えば、スルホナート(−SO)、スルホンアミドのアニオン(−SO(N)R’、ここでR’はC1−10アルキルもしくはC6−20アリールである)、またはスルホンイミドのアニオンである。Zがスルホンイミドである場合には、このスルホンイミドは一般構造A−SO−(N)−SO−Y(ここで、Aは上述の通りであり、Yは直鎖もしくは分岐C1−10フルオロアルキル基である)を有する非対称スルホンイミドであり得る。好ましくは、Y基はC1−4ペルフルオロアルキル基であり、かつトリフルオロメタンスルホン酸もしくはペルフルオロブタンスルホン酸のような対応する過フッ素化アルカンスルホン酸から得られる。
【0016】
Qはラジカル重合性基、例えば、ビニルカルボニルもしくはビニル芳香族基であり得る。ポリマー結合PAGは式(III)もしくは(IV)のものでありうる:
【化4】

式中、RおよびRはそれぞれ独立して、H、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである。また、式(III)および(IV)においては、Aはフッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、もしくはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基であり、Gは式(II)のカチオンである。
【0017】
式(I)の典型的なポリマー結合PAGには:
【化5】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、H、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルであり、kは0〜4の整数であり、lは0〜3の整数であり、Gは式(II)のカチオンである)または上述の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0018】
は式(II)のアリール置換オニウムカチオンであり得る:
【化6】

式(II)中、Xはオニウムへテロ原子であり、好ましくはSもしくはIである。各Rはハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されておらず、かつ等しく(commonly)Xに結合しており、かつ独立してC1−30アルキル基、多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基、多環式もしくは単環式C6−30アリール基、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせである。
【0019】
場合によっては、XがSである場合には、式(II)におけるGのR基の1つは隣の1つのR基に単結合によって結合されている。例えば、例えば、スルホニウムへテロ原子中心に等しく結合した2つの隣り合うフェニル基は、フェニル基とスルホニウムへテロ原子との間の結合位置に対してオルトで(もしくはメタ、もしくはパラ、または1つのアリールがフェニルであり隣のアリールが異なっている、例えば、ナフチル、アントラシルなどである場合に独立して異なる結合位置で)単結合によって互いにさらに結合されうる。この例におけるこの方法においては、オルト−二置換ビフェニル縮合5員環が得られることができ、この場合ビフェニルが等しくスルホニウムへテロ原子に結合している。
【0020】
また、式(II)においては、aは2もしくは3であり、XがIの場合にはaは2であり、もしくはXがSの場合にはaは3である。上述の場合、R基の数は独立したR基を言及することができ、または2つのR基が互いに結合しかつXに結合されている場合のXに結合したR基の1/2を言及することができることがさらに認識される。
【0021】
好ましくは、Gは下記式(V)、(VI)もしくは(VII)を有する:
【化7】

式中、XはIもしくはSであり、各R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトリル、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C1−10アルコキシ、C1−10フルオロアルコキシ、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C6−20アリールオキシ、またはC6−20フルオロアリールオキシであり、ArおよびArは独立してC10−30縮合もしくは単結合(singly bonded)多環式アリール基であり;R13はXがIの場合には孤立電子対であり、またはXがSの場合にはC6−20アリール基である;並びに、pは2または3の整数であり、XがIの場合にはpは2であり、XがSの場合にはpは3であり、qおよびrはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、sおよびtはそれぞれ独立して0〜4の整数である。
【0022】
一般式(I)の典型的なポリマー結合PAGには、以下のものが挙げられる:
【化8】

式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである。
【0023】
本明細書において開示されるPAGは好ましくはEUVリソグラフィのためのフォトレジストにおいて有用であり、EUV放射線に露光される場合に、他の波長の放射線を超えて、特異的な吸収および分解特性を望ましく有することができる。例えば、EUV放射線源は、EUV領域の放射スペクトル(約12〜14nm、使用される典型的な放射は13.4〜13.5nmである)に加えて、光酸発生剤が感受性であり得るより長い波長、例えば、248nmおよび/または193nm(これらはDUVおよび193nmリソグラフィに使用されるKrFおよびArFエキシマレーザーについての放射バンドでもある)で放射することができる。本明細書に開示されたPAGの感度は、当該技術分野において「帯域外(Out−of−Band)」(OOB)放射波長と称される他の輝線に対するよりもEUVに対して高く、すなわち、EUV波長でのPAGのフォトスピードは、トリフェニルスルホニウム(TPS)PAGもしくはジ−(t−ブチルフェニル)ヨードニウムPAGのようなより長い波長(248もしくは193nm)で典型的に使用されるPAGのフォトスピードよりも低い(すなわち、「より速い」)。本明細書において開示されたPAGは、248もしくは193nm露光条件に対する、EUV露光条件でのこのPAGを使用して調製されたフォトレジストについてのクリアのための線量(ドース−ツー−クリア:dose−to−clear)(E、mJ/cm単位で報告される)の比率(E0−EUV/E0−248もしくはE0−EUV/E0−193)2.0以下、具体的には1.5以下、具体的には1.3以下、より具体的には1.1以下、およびさらにより具体的には1.0以下として報告される、248もしくは193nm放射線に対するOOB感度を好ましくは有することができる。
【0024】
このPAGはヨードニウムもしくはスルホニウムPAGを製造するのに使用される好適な一般的方法によって製造されうる。本明細書に開示されるヨードニウム光酸発生剤は一般的にいくつかの様々な方法のいずれかによって製造されうる。例えば、ビス−アリールヨードニウム塩は、強酸性/脱水条件(例えば、硫酸および無水酢酸)下で、電子供与基、例えば、アルキル基、オレフィン基、ヒドロキシ基、エーテル基、他の芳香族基、例えば、電子供与基で置換されたフェニル基(例えば、フェノキシ基)など、および他の類似の基で置換されたC30アリール基と、ヨウ素酸カリウム(KIO)のようなヨウ素酸塩との単純な縮合によって、ビス−アリール置換ヨードニウム塩前駆体を提供することにより製造されうる。より高い収率で、対称置換および非対称置換双方のヨードニウム塩前駆体を製造するのに有用な他の方法には、過ホウ酸ナトリウム(NaBO)および酢酸の存在下でのヨウ化アリールの酸化、そして電子供与基を有する第2のヨウ化アリールとの縮合、またはKoser’s試薬(アリールヒドロキシヨードニウムトシラート、すなわち、Ar−I(OH)(OTs))との縮合が挙げられる。
【0025】
スルホニウム光酸発生剤は概して、例えば、スルフィニル基とアリールもしくはアルキル化合物との縮合を促進させるのに好適な脱水剤もしくはルイス酸(例えば、硫酸もしくはEaton’s試薬)の存在下で、スルフィニルジアリール化合物(すなわち、上述のようなC6−30アリール基、好ましくは電子供与基で置換されたC6−30アリール基から製造されたジアリールスルホキシド)を別の基、例えば、C6−30アリール化合物もしくはC1−30アルキル基、好ましくは電子供与基を有するものと化合させて、カチオンを生じさせることにより製造されうる。スルフィニルジアリール化合物の縮合は置換基との分子内縮合でもあり得ることが認識される。
【0026】
これらの方法のいずれかによって製造されるヨードニウムもしくはスルホニウム塩はさらに、好適な酸もしくは酸の塩、イミド、もしくはアミドを使用するメタセシスアニオン交換にかけられて、所望のアニオン(例えば、式(I)について記載されるような、一般式Q−O−(A)−Zのアニオン)を伴う対応するヨードニウムもしくはスルホニウム塩を提供することができる。好ましくは、メタセシスに使用されるアニオンはスルホン酸もしくはその塩、またはスルホンアミドもしくはスルホンイミドの塩である。
【0027】
本明細書において上述のPAG化合物はフォトレジストを製造するのに有用である。ある実施形態においては、フォトレジストはPAG化合物と、酸感受性官能基を含むポリマーとを含む。
【0028】
本明細書において上述されるポリマー結合PAG化合物はコポリマーを製造するのに有用である。このコポリマーは好ましくはフォトレジストにおいて有用ないかなるコポリマーであってもよく、限定されないが、例えば、DUV(248nm)および198nm露光のための化学増幅型ポジティブもしくはネガティブトーンフォトレジストに使用されうるフォトレジストを製造するのに有用なポリマーが考えられる。しかし、より好ましくは、コポリマーは改良されたマイクロリソグラフィのための化学線、例えば、本明細書において上述のようなx線、eビームもしくはEUVで像形成するためのフォトレジストを製造するのに有用なものである。この文脈で使用される「コポリマー」は1種のコポリマー、1種より多いコポリマー、もしくは1種以上のコポリマーとフォトレジストにおいて有用な別の1種以上のポリマーとの組み合わせを意味しうると理解される。
【0029】
好ましいコポリマーは、それぞれがコポリマーに異なる特性を付与する2種以上の重合単位の組み合わせを含むことができる。好ましくは、コポリマーは、ポリマー結合PAG化合物から形成される第1重合単位、酸感受性官能基を含む第2重合単位を含み、および場合によっては、塩基可溶性官能基である極性基含有第3重合単位を含む。
【0030】
上述のポリマー結合PAG化合物を含む第1単位に加えて、第2重合単位は酸感受性官能基を有するC10−30酸感受性オレフィンエステルモノマーから形成されうる。酸感受性基はオレフィンエステルが結合される第三級アルキル中心を有する環式アルキル基、多環式アルキル基、もしくは芳香族基でありうる。
【0031】
第2重合単位は下記式:
【化9】

を有する化合物、または、前述の少なくとも1種を含む組み合わせから形成されることができ、式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである。好ましい典型的なモノマーには、上記構造におけるRがHもしくは−CH基であるもの(すなわち、(メタ)アクリラート基)が挙げられる。
【0032】
第3重合単位は塩基可溶性官能基を有するC10−30塩基可溶性オレフィンエステルモノマーから形成されうる。塩基可溶性官能基は、ヘキサフルオロイソプロパノール基および場合によってはヒドロキシのような第2の極性基を有する環式アルキル基もしくは多環式アルキル基のオレフィンエステル、または塩基可溶性官能基としてヘキサフルオロイソプロパノール基もしくはフェノール性ヒドロキシ基を有する芳香族基のオレフィンエステルもしくはビニル芳香族であることができる。
【0033】
好ましくは、第3重合単位は下記式:
【化10】

の塩基可溶性モノマー、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせから形成されることができ、式中、R10はH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである。好ましい典型的なモノマーには、上記構造におけるR10がHもしくは−CH基であるもの(すなわち、(メタ)アクリラート基)が挙げられる。
【0034】
上で特定されたモノマーの第1および第2の重合単位を含む全てのコポリマーは、本明細書に開示された光酸発生剤を伴うことが意図されると認識される。ポリマー中に、例えば、C8−20ビニル芳香族基、例えば、スチレン、4−ヒドロキシスチレンなど;C7−20環式オレフィン、例えば、ノルボルネンおよび置換ノルボルネン;C4−20オレフィン無水物、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸など;他のC10−30(メタ)アクリラートモノマー、例えば、ラクトン官能基を有するもの、例えば、アルファ−(ガンマブチロラクトン)(メタ)アクリラートなど、並びに前述の少なくとも1種を含む組み合わせなどに由来するものをはじめとする追加のモノマー単位がさらに含まれうることが認識される。
【0035】
フォトレジスト組成物は上述のポリマー結合PAGを有するコポリマーを含む。フォトレジストはこのPAG化合物およびポリマーに加えて、添加剤、例えば、光分解性塩基、および界面活性剤などを含むこともできる。他の添加剤、例えば、溶解速度抑制剤、増感剤、追加のPAGなども含まれうる。フォトレジスト成分は分配およびコーティングのために溶媒中に溶解される。
【0036】
フォトレジストは光分解性塩基を含むことができる。塩基材料、好ましくは光分解可能カチオンのカルボキシラート塩の包含は酸分解性基からの酸の中和のためのメカニズムを提供し、そして光発生酸の拡散を制限し、それによりフォトレジストにおける向上したコントラストを提供する。
【0037】
光分解性塩基には、弱酸(pKa>2)、例えば、C1−20カルボン酸などのアニオンと対になった、光分解性カチオンおよび好ましくはPAGを製造するのにも有用なものが挙げられる。典型的なこのカルボン酸には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、および他のこのようなカルボン酸が挙げられる。光分解性塩基には、カチオンがトリフェニルスルホニウムもしくは下記のいずれかである、以下の構造のカチオン/アニオンペアが挙げられる:
【化11】

式中、Rは独立して、H、C1−20アルキル、C6−20アリールもしくはC6−20アルキルアリールであり、アニオンは
【化12】

であり、式中、Rは独立してH、C1−20アルキル、C1−20アルコキシ、C6−20アリールもしくはC6−20アルキルアリールである。他の光分解性塩基には、非イオン性光分解性発色団、例えば、2−ニトロベンジル基およびベンゾイン基などをベースにしたものが挙げられる。典型的な光塩基発生剤はオルト−ニトロベンジルカルバマートである。
【0038】
代替的にもしくは追加的に、他の添加剤には、光分解性でない塩基であるクエンチャー(quencher)、例えば、ヒドロキシド、カルボキシラート、アミン、イミンおよびアミドをベースにしたものが挙げられうる。好ましくは、このクエンチャーには、C1−30有機アミン、イミンもしくはアミドが挙げられ、または強塩基(例えば、ヒドロキシドもしくはアルコキシド)または弱塩基(例えば、カルボキシラート)のC1−30第四級アンモニウム塩であり得る。典型的なクエンチャーには、アミン、例えば、Troger’s塩基、ヒンダードアミン、例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)もしくはジアザビシクロノネン(DBM)、またはイオン性クエンチャー、例えば、第四級アルキルアンモニウム塩、例えば、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)もしくは乳酸テトラブチルアンモニウムが挙げられる。
【0039】
界面活性剤には、フッ素化および非フッ素化界面活性剤が挙げられ、好ましくは非イオン性である。典型的なフッ素化非イオン性界面活性剤には、ペルフルオロC界面活性剤、例えば、FC−4430およびFC−4432界面活性剤(3Mコーポレーションから入手可能);並びに、フルオロジオール、例えば、POLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656およびPF−6520フルオロ界面活性剤(Omnovaから)が挙げられる。
【0040】
フォトレジストは、フォトレジストに使用される成分を溶解し、分配し、そしてコーティングするのに概して好適な溶媒をさらに含む。典型的な溶媒には、アニソール、アルコール、例えば、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノールおよび1−エトキシ−2プロパノール、エステル、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸1−メトキシ−2−プロピル、メトキシエトキシプロピオナート、エトキシエトキシプロピオナート、ケトン、例えば、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン、並びに上記溶媒の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0041】
本明細書に開示されるフォトレジスト組成物は、固形分の全重量を基準にして50〜99重量%、具体的には55〜95重量%、より具体的には60〜90重量%、およびさらにより具体的には65〜90の量でコポリマーを含むことができる。フォトレジストにおける成分のこの文脈において使用される「コポリマー」は、本明細書に開示されるコポリマーのみ、またはこのコポリマーとフォトレジストにおいて有用な別のポリマーとの組み合わせを意味しうることが理解されるであろう。光分解性塩基は、固形分の全重量を基準にして0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、さらにより具体的には0.2〜3重量%の量でフォトレジスト中に存在しうる。界面活性剤は、固形分の全重量を基準にして0.01〜5重量%、具体的には0.1〜4重量%、およびさらにより具体的には0.2〜3重量%の量で含まれることができる。クエンチャーは、固形分の全重量を基準にして、例えば、0.03〜5重量%の比較的少量で含まれることができる。他の添加剤は、固形分の全重量を基準にして30重量%以下、具体的には20%以下、もしくはより具体的には10%以下の量で含まれうる。フォトレジスト組成物の全固形分量は固形分および溶媒の合計重量を基準にして0.5〜50重量%、具体的には1〜45重量%、より具体的には2〜40重量%、およびさらにより具体的には5〜35重量%でありうる。固形分は、溶媒を除く、コポリマー、光分解性塩基、クエンチャー、界面活性剤、添加されるPAG、および任意成分の添加剤を含むと理解される。
【0042】
本明細書において開示されたポリマー結合PAGを含むフォトレジストはフォトレジストを含む層を提供するために使用されることができ、この層は比較のフォトレジスト(ポリマー結合PAGを含まないが他のことは同じであるポリマーを含み、およびポリマー結合でない光酸発生剤、例えば、トリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホナートを含む)を含む層について得られる濃度よりも低い濃度で揮発性分解生成物を生じさせる。同じ条件下でEUV放射線に露光された場合には、残留ガス分析(RGA)もしくは膜収縮のような方法によって決定されると、ポリマー結合PAGフォトレジストについての揮発性分解生成物の量はこの比較のよりも少ない。
【0043】
コーティングされた基体はポリマー結合PAGを含むフォトレジストから形成されうる。このコーティングされた基体は(a)基体表面上のパターン形成される1以上の層を有する基体、および(b)パターン形成される1以上の層上の、ポリマー結合PAGを含むフォトレジスト組成物の層を含む。
【0044】
基体は任意の寸法および形状であることができ、好ましくはフォトリソグラフィに有用なもの、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素、シリコンオンインシュレータ(silicon−on−insulator;SOI)、ストレインドシリコン(strained silicon)、ガリウムヒ素、コーティングされた基体、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタルでコーティングされた基体、超薄型ゲート(ultrathin gate)酸化物、例えば、酸化ハフニウム、金属もしくは金属コーティングされた基体、例えば、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、これらの合金およびこれらの組み合わせでコーティングされた基体である。好ましくは、本明細書においては、基体の表面はパターン形成される臨界寸法層、例えば、1以上のゲートレベル層もしくは半導体製造のための基体上の他の臨界寸法層を含む。このような基体には、例えば、直径が20cm、30cmもしくはより大きい寸法、またはウェハ製造に有用な他の寸法を有する円形ウェハとして形成されるケイ素、SOI、ストレインドシリコンおよび他のこのような基体材料が好ましくは挙げられうる。
【0045】
さらに、電子デバイスを形成する方法は(a)ポリマー結合PAGを含むフォトレジスト組成物の層を基体の表面上に適用し、(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様に露光し、および(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供することを含む。
【0046】
適用はスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、ドクターブレーディングなどをはじめとするあらゆる好適な方法によって達成されうる。フォトレジストの層の適用は好ましくは、回転するウェハ上にフォトレジストが分配されるコーティングトラックを使用して、溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることにより達成される。分配中に、ウェハは4,000rpm以下、好ましくは約500〜3,000rpm、およびより好ましくは1,000〜2,500rpmの速度で回転させられうる。コーティングされたウェハは回転させられて溶媒を除去し、そしてホットプレート上でベークされて、残留する溶媒を除去し、そして膜から自由体積を除いて膜を均一な高密度にする。
【0047】
次いで、ステッパのような露光ツールを用いてパターン様露光が行われ、露光ツールにおいてはパターンマスクを通して膜が照射され、それによりパターン様に露光される。この方法は好ましくは、極端紫外線(EUV)もしくはeビーム放射線をはじめとする高解像が可能な波長で活性化放射線を発生させる改良型の露光ツールを使用する。活性化放射線を使用する露光は露光領域でPAGを分解して、酸および分解副生成物を発生させ、次いでその酸はポリマーの化学変化をもたらす(酸感受性基をデブロッキング(deblocking)して塩基可溶性基を生じさせるか、あるいは露光領域において架橋反応を触媒する)ことが認識される。この露光ツールの解像度は30nm未満であり得る。
【0048】
次いで、露光された層を、その膜の露光部分を選択的に除去できる(この場合、フォトレジストはポジティブトーンである)、またはその膜の未露光部分を選択的に除去できる(この場合、フォトレジストは露光領域で架橋可能となり、すなわちネガティブトーンである)好適な現像剤で処理することにより、露光されたフォトレジスト層の現像が達成される。好ましくは、フォトレジストは、酸感受性(脱保護可能な)基を有するポリマーをベースにしたポジティブトーンであり、そして現像剤は好ましくは金属イオンを含まない、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、水性の0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。パターンは現像によって形成される。
【0049】
1以上のこのパターン形成プロセスに使用される場合には、フォトレジストは電子および光電子デバイス、例えば、メモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックチップおよび他のこのようなデバイスを製造するために使用されることができる。
【実施例】
【0050】
本発明は以下の実施例によってさらに例示される。本明細書において使用される全ての化合物および試薬は、手順が以下に示されているもの以外は市販されている。比較PAG1はセントラルガラス(Central Glass)から商業的に得られた。
【0051】
構造的な特徴付けはOMNI−PROBEを用いるINOVA 500NMRスペクトロメータ(プロトンについて500MHzで操作する)、またはGEMINI300NMRスペクトロメータ(フッ素について282MHzで操作する)(それぞれ、Varianから)における核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析によって行われた。ポリマー組成はNOE抑制技術(すなわち、Cr(アセチルアセトナート)およびパルスディレイ>5秒)を使用する125MHzでの定量的13C NMRによって決定された。分子量(Mw)および多分散度(PD)は、1mg/mlのサンプル濃度、および0.02重量%のLiNOを含むテトラヒドロフランで、流速1ml/分で溶離させた、ポリスチレン標準物質を使用して較正された普遍的較正曲線を用いる、架橋スチレン−ジビニルベンゼンカラムを使用するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定された。
【0052】
トリフェニルスルホニウム2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ベンゼンスルホナート(比較PAG2)の合成。
4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム(50g、0.1865mol)が400mLのトリフルオロ酢酸中に懸濁された。メタクリル酸(40g、0.4646mol)が添加され、この混合物が油浴中で70℃に加熱された。75mLのトリフルオロ酢酸無水物が全て一度に添加され、この混合物が70℃で2時間攪拌された。この反応混合物は冷却され、ヒドロキノンの結晶(約12.5mg)が重合を禁止するために添加され、減圧下で溶媒が除去された。このようにして得られた粗生成物のペーストが約125mLのアセトン中に溶解され、ヘプタン中にゆっくりと注がれた。濾別によって沈殿物が集められ、一晩空気乾燥させられ、そしてさらに精製することなく次の工程に使用された。H NMR(500MHz、アセトン−d、δppm):6.5(s,1H)、6.1(s,1H)、2.1(s,3H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d、δppm):−156(s,2F)、−140.5(s,2F)。
【0053】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(52.0g、0.1516mol)および臭化トリフェニルスルホニウム(42.50g、0.1238mol)の混合物に300mLの蒸留脱イオン水および300mLのCHClを添加した。この反応混合物を室温で週末にわたって攪拌した。攪拌が停止させられ、有機層が単離され、水酸化アンモニウム1%水溶液(175mL)で2回洗浄され、蒸留脱イオン水(250mL)で5回洗浄され、ろ過された。ヒドロキノンの結晶(約12.5mg)が添加され、減圧下で溶媒が完全に蒸留されて、淡黄色オイルとして生成物を得た。この生成物はさらなる使用のためにアセトニトリル中で50重量%に溶解された。H NMR(500MHz、アセトン−d、δppm):7.8(m,15H)、6.5(s,1H)、6.1(s,1H)、2.1(s,3H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d、δppm):−157(s,2F)、−140(s,2F)。
【0054】
(t−ブチルフェニル)(ジフェニル)スルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイル−オキシ)エタン−1−スルホナート(PAG1)の合成。
1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイル−オキシ)エタン−1−スルホン酸トリエチルアンモニウム(5.00g、15.1mmol)および臭化(t−ブチルフェニル)(ジフェニル)スルホニウム(6.00g、15.0mmol)が、30mLのジクロロメタンおよび30mLの脱イオン水と共に、100mL丸底フラスコに入れられた。この混合物は激しく一晩攪拌された。攪拌が停止させられ、この混合物は2つの透明な層に別れ、有機相は30mLの0.1%塩酸水溶液で1回洗浄され、そして30mLの脱イオン水で4回洗浄された。ヒドロキノン(1mg)が添加され、ロータリーエバポレーションによってジクロロメタンが除かれ、無色の粘稠オイルとして生成物を得た(7.2g、87%収率)。このオイルはさらなる使用のためにアセトニトリル中で40重量%に溶解された。H NMR(500MHz、アセトン−d)δ7.9(m,14H)、6.1(s,1H)、5.7(s,1H)、4.7(m,2H)、1.9(s,3H)、1.3(s,9H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d)δ−115.7(s,2F)。
【0055】
(t−ブチルフェニル)(フェニル)ヨードニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイル−オキシ)エタン−1−スルホナート(PAG2)の合成。
1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイル−オキシ)エタン−1−スルホン酸トリエチルアンモニウム(5.00g、15.1mmol)および酢酸(t−ブチルフェニル)(フェニル)ヨードニウム(5.98g、15.1mmol)が、30mLのジクロロメタンおよび30mLの蒸留脱イオン水と共に、100mL丸底フラスコに入れられた。この混合物は激しく一晩攪拌され、次いで停止させられ、そしてこの混合物は2つの透明な層に別れ、有機相は30mLの0.1%(w/w)塩酸水溶液で1回洗浄され、そして30mLの脱イオン水で4回洗浄された。ヒドロキノン(1mg)が添加され、ロータリーエバポレーションによってジクロロメタンが除かれ、無色の粘稠オイルとして生成物を得た(7.6g、89%収率)。このオイルはアセトニトリル中で50重量%に溶解された。H NMR(500MHz、アセトン−d)δ8.4(d,2H)、8.3(d,2H)、7.7(t,1H)、7.6(m,4H)、6.2(s,1H)、5.7(s,1H)、4.7(m,2H)、1.9(s,3H)、1.3(s,9H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d)δ−115.4(s,2F)。
【0056】
ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム2,3,5,6−テトラフルオロ−1−(メタクリロイル−オキシ)ベンゼン−4−スルホナート(PAG3)の合成。
4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム(50g、0.1865mol)が400mLのトリフルオロ酢酸中に懸濁された。メタクリル酸(40g、0.4646mol)が添加され、この混合物が油浴中で70℃に加熱された。75mLのトリフルオロ酢酸無水物が全て一度に添加され、この混合物が70℃で2時間攪拌された。この反応混合物は室温まで冷却された。、ヒドロキノンの結晶(約12.5mg)が添加され、減圧下で溶媒が完全に蒸留された。このようにして得られた粗生成物のペーストが約125mLのアセトン中に溶解され、ヘプタン中にゆっくりと注がれた。濾別によって沈殿生成物が集められ、一晩空気乾燥させられ、そしてさらに精製することなく使用された。19F NMR(300MHz、アセトン−d、δppm):−164.40(s,2F)、−142.4(s,2F)。H NMR(500MHz、アセトン−d、δppm):6.47(s,1H)、6.07(s,1H)、2.07(s,3H)。
【0057】
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(10.0g、0.0297mol)および酢酸ジ−(tert−ブチルフェニル)ヨードニウム(11.43g、0.0253mol)の混合物に60mLの蒸留脱イオン水および60mLのCHClを添加した。この反応混合物を室温で16時間攪拌した。有機層が脱イオン水で5回洗浄され、硫酸ナトリウムで乾燥させられ、ろ過された。ヒドロキノンの結晶(約12.5mg)が添加され、減圧下で溶媒が除去された、白色粉体として生成物を得た。H NMR(500MHz、アセトン−d、δppm):8.25(d,4H)、7.62(d,4H)、6.48(s,1H)、6.08(s,1H)、2.07(s,3H)、1.34(m,18H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d、δppm):−139.95(s,2F)、−156.32(s,2F)。
【0058】
フェニルジベンゾチオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタン−1−スルホナート(PAG4)の合成。
1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタン−1−スルホン酸トリエチルアンモニウム(4.00g、12.1mmol)および臭化フェニルジベンゾチオフェニウム(4.50g、31.2mmol)が、30mLのジクロロメタンおよび30mLの蒸留脱イオン水と共に、100mL丸底フラスコに入れられた。この混合物は激しく一晩攪拌された。攪拌が停止させられ、この混合物は2つの透明な層に別れ、有機相は30mLの1%塩酸水溶液で2回洗浄され、そして30mLの蒸留脱イオン水で5回洗浄された。ヒドロキノン(1mg)が添加され、ロータリーエバポレーションによってジクロロメタンが除かれ、固体として生成物を得た(3.9g、80%収率)。H NMR(500MHz、CDCl)δ8.2(m,4H)、7.8(t,2H)、7.7(d,2H)、7.6(m,3H)、7.5(t,2H)、6.2(s,1H)、5.6(s,1H)、4.9(m,2H)、1.9(s,3H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d)δ−115.8(s,2F)。
【0059】
トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホナート(PAG5)の合成。
4−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウムの合成。4−ブロモ3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブタノール(19.92g、88.54mmol)が、60mLのアセトニトリルおよび88mLの水中のNaHCO(22.31g、265.6mmol)およびNa(46.25g、265.6mmol)のスラリーに添加された。この混合物が約55℃で2日間ワックス浴中で攪拌することなく加熱された。温度が約80℃に上げられ、この混合物が攪拌された。追加の亜ジチオン酸ナトリウム(17g)および炭酸水素ナトリウム(15g)が添加された。この反応混合物は周囲温度まで冷却され、全ての固体材料が溶解するように追加の水(100mL)およびアセトニトリル(100mL)が添加された。層が分離した。水層が別にとっておかれ、追加の亜ジチオン酸ナトリウム(30g)および炭酸ナトリウム(38g)が約100mLの水と共にアセトニトリル層(200mL)に添加された。この反応混合物が約85℃で一晩加熱された。この溶液は冷却され、ろ過され、取っておかれた水層と一緒にされ、ロータリーエバポレータで揮発性物質が除かれた。固体が約200mLのエーテルで洗浄され、真空下で乾燥させられた。
【0060】
上述のように製造された固体は25mLの水に溶かされ、氷浴中で0℃に冷却され、50mLの50%Hが水蒸気の発生下で添加された。この反応混合物は一晩攪拌された。追加の(20mL)Hが添加され、攪拌が続けられた。過酸化物がなくなるまで亜硫酸水素ナトリウムが添加された。このスラリーはろ過され、ロータリーエバポレータで揮発性物質が除去されて、白色固体を得た。
【0061】
4−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸の合成。
4−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸ナトリウムを含んでいた上述の固体がメタノール(100mL)で抽出され、ろ過された。得られた淡黄色溶液は、7.5cmのアンバーライト120H酸イオン交換樹脂を充填した短いカラム(2.5cm直径)を通され、明褐色溶液を得た。追加のメタノールが使用されて、残りのスルホン酸をフラッシュした。減圧下で揮発性物質が除去されて、暗褐色オイルを得た。収率は15.453g、出発4−ブロモ3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブタノールを基準にして77%であった。
【0062】
3,3,4,4−テトラフルオロブタンスルトンの合成。
4−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホン酸(6.78g、30.0mmol)が、V−チューブを介してシュレンク管に繋がれた50mLの丸底フラスコに入れられた。このシステムは真空下に置かれ、シュレンク管は液体窒素中に沈められた。このスルホン酸を含むフラスコは加熱ワックス浴に沈められ、温度が徐々に約160℃まで上げられた。生成物であるスルトンおよび水は徐々に留出し、レシーバー容器内で凍結した。融解させた後で、2層が形成していた。下のスルトン層はピペットで取り出され、無水硫酸マグネシウムで乾燥させられ、ろ過されて、無色液体として生成物を得た(3.85g、62%)。H NMR(300MHz、CDCN)δ:4.7(t,2H)、2.7(m,2H)。19F NMR(300MHz、CDCN)δ:−113.3(m,2F)、−124.4(s,2F)。
【0063】
1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホン酸カリウムの合成。
メタクリル酸(1.708g、19.85mmol)が40mLのTHF中の水素化カリウム(1.150g、28.66mmol)にゆっくりと添加された。一晩攪拌後、反応混合物がろ過され、減圧下で揮発性物質が除去された。3,3,4,4−テトラフルオロブタンスルトン(3.260g、15.66mmol)、メタクリル酸(2.0mL)およびわずかなヒドロキノンの結晶がメタクリル酸カリウムに添加され、この混合物が一晩75℃で加熱された。アセトン(10mL)がこの混合物に添加された。固体が集められ、アセトンで洗浄され、減圧下で乾燥させられた。この固体は水で抽出され、ろ過され、減圧下で揮発性物質が除去されて、白色結晶固体を得た(4.10g、78.8%)。H NMR(300MHz、DO)δ:6.09(s,1H)、5.67(s,1H)、4.44(t,2H)、2.65(m,2H)。19F NMR(300MHz、DO)δ:−112.3(s,2F)、−117.1(s,2F)。
【0064】
トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホナートの合成。
1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホン酸カリウム(2.00g、6.02mmol)および臭化トリフェニルスルホニウム(2.25g、6.57mmol)が、15mLのジクロロメタンおよび15mLの蒸留脱イオン水と共に、100mL丸底フラスコに入れられた。この混合物は36時間にわたって激しく攪拌された。攪拌は停止させられ、この混合物は2つの透明な層に分かれ、有機層が30mLの1%水酸化アンモニウム水溶液で2回洗浄され、30mLの蒸留脱イオン水で5回洗浄された。ヒドロキノン(1mg)が添加され、ロータリーエバポレーションによってジクロロメタンが除去されて、無色粘稠オイルとして生成物を得た(2.65g、4.76mmol、80%収率)。このオイルはアセトニトリルに溶かされた(50重量%)(3.9g)。H NMR(500MHz、アセトン−d)δ8.0(m,15H)、6.1(s,1H)、5.6(s,1H)、4.4(t,2H)、3.8(m,2H)、1.9(s,3H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d)δ−112.7(s,2F)、−119.8(s,2F)。
【0065】
フェニルジベンゾチオフェニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホナート(PAG6)の合成。
上述のように合成された1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホン酸カリウム(1.91g、5.75mmol)および臭化フェニルジベンゾチオフェニウム(2.14g、6.27mmol)が、15mLのジクロロメタンおよび15mLの蒸留脱イオン水と共に、100mL丸底フラスコに入れられた。この混合物は週末にわたって激しく攪拌された。攪拌は停止させられ、この混合物は2つの透明な層に分かれ、有機層が30mLの1%水酸化アンモニウム水溶液で2回洗浄され、30mLの蒸留脱イオン水で5回洗浄された。ヒドロキノン(1mg)が添加され、ロータリーエバポレーションによってジクロロメタンが除去されて、白色固体として生成物を得た(2.41g、4.35mmol)。H NMR(500MHz、アセトン−d)δ8.0(m,15H)、6.1(s,1H)、5.6(s,1H)、4.4(t,2H)、3.8(m,2H)、1.9(s,3H)。19F NMR(300MHz、アセトン−d)δ−112.7(s,2F)、−119.8(s,2F)。
【0066】
トリス(4−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホナート(PAG7)の合成。
4,4’−スルフィニルジフェノールの合成。
エタノール(350mL)中の過酸化水素(HO中30重量%、50mL、0.382mol)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(32.4mL、0.191mmol、0.5当量)の溶液が、エタノール(1.25L)中の4,4’−チオジフェノール(125g、0.573mol、1.5当量)の溶液に4時間にわたって滴下添加された。完全に添加した後で、この反応混合物が室温で30分間攪拌され、真空濃縮され、酢酸エチル(1L)で希釈され、そして水(600mL)で洗浄された。水層は酢酸エチル(3×600mL)で逆抽出され、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、真空濃縮した。クルードの固体がメチルtert−ブチルエーテル(1L)で希釈され、一晩攪拌された。沈殿物はメチルtert−ブチルエーテル(3×500mL)で洗浄され、空気乾燥されて、標記化合物(100.50g)を白色固体として定量的収率で提供した。H NMR(500MHz、アセトン−d)δ8.85−9.05(brs,2H)、7.50(d,J8.5Hz,4H)、6.95(d,J8.5Hz,4H)。
【0067】
(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼンの合成。
フェノール(15.0g、0.159mol)、炭酸カリウム(26.4g、0.191mol、1.2当量)およびテトラメチルエチレンジアミン(0.92g、7.95mmol、0.05当量)がDMSO(100mL)に溶解され、室温で30分間攪拌された。次いで、1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン(30.56g、0.166mol、1.04当量)が添加され、この溶液は18時間90℃に加熱され、室温に冷却された。この反応混合物は酢酸エチル(600mL)で希釈され、1Mの水酸化カリウム(3×300mL)で洗浄され、乾燥させられ(NaSO)、そして真空で濃縮されて、標記化合物(16.50g、52%)を橙色オイルとして得た。H NMR(500MHz、(CDCO)δ:7.27(dt,J=8.5Hz,1Hz,2H)、6.94(dd,J=8Hz,1Hz,2H)、6.92(dt,J=8Hz,1Hz,4H)、4.12(t,J=5Hz,2H)、3.80(t,J=5Hz,2H)、3.64(t,J=5Hz,2H)、3.50(t,J=5Hz,2Hz)、3.29(s,3H)。
【0068】
4,4’−スルフィニルビス((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼン)の合成。
4,4’−スルフィニルジフェノール(20.0g、85.0mmol)、炭酸カリウム(26.6g、0.192mol、2.26当量)およびテトラメチルエチレンジアミン(0.495g、4.25mmol、0.05当量)がDMSO(100mL)中に溶解され、室温で30分間攪拌された。次いで、1−ブロモ−2−(2−メトキシエトキシ)エタン(32.67g、0.179mmol、2.1当量)が添加され、この溶液が90℃で18時間加熱され、室温に冷却された。この反応混合物は酢酸エチル(600mL)で希釈され、水(5×500mL)で洗浄され、乾燥させられ(NaSO)、そして真空で濃縮されて標記化合物(33.40g、90%)を橙色オイルとして得た。H NMR(500MHz、(CDCO)δ:7.59(d,J=8.5Hz,4H)、7.07(d,J=8.5Hz,4H)、4.17(t,J=4.5Hz,4H)、3.80(t,J=5Hz,4H)、3.63(t,J=4.5Hz,4H)、3.48(t,J=4.5Hz,4Hz)、3.28(s,6H)。
【0069】
ジクロロメタン(80mL)中の4,4’−スルフィニルビス((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼン)(16.09g、36.7mmol)および(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)ベンゼン(7.20g、36.7mmol、1当量)の溶液に、Eaton’s試薬(64mL)が2時間にわたって滴下添加され、室温で一晩攪拌された。この反応混合物は、水(500mL)の添加によってゆっくりとクエンチされ、酢酸エチル(5×500mL)で抽出された。トリエチルアンモニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホナート(14.59g、44.04mmol、1.2当量)がこの水層に添加され、ジクロロメタン(500mL)および生じた二相混合物が室温で一晩攪拌された。この混合物は水(200mL)で希釈され、層分離し、水性層がジクロロメタン(3×300mL)で抽出され、合わせた有機相が真空で濃縮された。クルードオイルがジクロロメタン(800mL)に溶かされ、水(5×500mL)で洗浄され、真空濃縮され、残留する水がアセトニトリルを用いて共沸で除かれ、標記化合物(26.39g、85%収率)を橙色オイルとして得た。H NMR(500MHz、アセトン−d)δ7.81(d,J=9Hz,4H)、7.35(d,J=9Hz,4H)、6.14−6.16(m,1H)、5.67−5.69(m,1H)、4.74(dd,J=15.5,15Hz,2H)、4.30(t,J=4.5Hz,4H)、3.85(t,J=5Hz,4H)、3.65(t,J=5Hz,4H)、3.49(t,J=4.5Hz,4Hz)、3.28(s,9H)、1.94(m,3H)。
【0070】
実施例に使用されたポリマー結合PAGは表1に示される通りである。
【表1】

【0071】
比較ポリマー例1A(CPEx.1A)
比較PAG1(CP1)を含むポリマーの合成。
2−フェニル−2−プロピルメタクリラート(30.16g、0.1469mol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(36.54g、0.2147mol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(28.40g、56.5mmol)およびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタン−1−スルホナート(比較PAG1、16.69g、33.9mmol)が、184.14gの乳酸エチル/シクロヘキサノン(70/30 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(11.24g、45.2mmol)がモノマー溶液に溶かされた。75℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量の溶媒(9.6g)が入れられ、5分後、この容器にモノマー溶液が4時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに3.5時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、2760gの攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(95:5 w/w)中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、97g(%)のポリマーを白色粉体として得た。乾燥したポリマー(90g)が溶解させられ、そして再び攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(95:5 w/w)の混合物中で沈殿させられた。得られた再沈殿ポリマーは再び吸引ろ過および真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、79g(88%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成30/46/14/9モル%、Mw=5,648;Mw/Mn=1.58。
【0072】
比較ポリマー例1B(CPEx.1B)
比較PAG1を含むポリマーの合成。
2−フェニル−2−プロピルメタクリラート(8.01g、39.2mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(9.80g、57.2mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(7.54g、15.1mmol)およびトリフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタン−1−スルホナート(比較PAG1、4.45g、9.0mmol)が、94.0gのアセトニトリル/THF(2/1 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(1.5g、6.0mmol)がモノマー溶液に溶かされた。67℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量の溶媒(4.6g)が入れられ、5分後、この容器にモノマー溶液が2時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに2時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、959.5gの攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(90:10 w/w)中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、15.6g(53%)のポリマーを白色粉体として得た。乾燥したポリマー(11.8g)が溶解させられ、そして再び攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(90:10 w/w)の混合物中で沈殿させられた。得られた再沈殿ポリマーは再び吸引ろ過および真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、10.1g(86%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成31/47/13/9モル%、Mw=7,258;Mw/Mn=1.59。
【0073】
比較ポリマー例2(CPEx.2)
比較PAG2を含むポリマーの合成。
2−メチル−2−アダマンチルメタクリラート(27.54g、0.1175mol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(22.50g、0.1322mol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(14.70g、0.0294mol)およびトリフェニルスルホニウム2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ベンゼンスルホナート、アセトニトリル中50重量%(比較PAG2、16.95g、0.0147mol)が、211mLのアセトニトリル/THF(2/1 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(3.65g、0.0147mol)がモノマー溶液に溶かされた。67℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に約5〜10mLのモノマー溶液が入れられ、5分後、この容器に残りのモノマー溶液が2時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに2時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、2.5Lのメチル−t−ブチルエーテル中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、39.6g(54%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成37/45/10/8モル%、Mw=8,360;Mw/Mn=1.75。
【0074】
ポリマー実施例1(PEx.1)
PAG1を含むポリマーの合成。
2−メチル−2−アダマンチルメタクリラート(6.86g、29.3mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(5.60g、3.29mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(3.66g、7.3mmol)およびt−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタン−1−スルホナート(PAG1;アセトニトリル中40重量%溶液、5.02g、3.70mmol)が、54gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2:1 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.91g、3.70mmol)がモノマー溶液に溶かされた。80℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量(〜5mL)のモノマー溶液が入れられ、5分後、この容器に残りのモノマー溶液が2時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに2時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、0.65Lの攪拌されたメチルt−ブチルエーテル中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、10.3g(55%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成37/48/9/6モル%;Mw=8,365;Mw/Mn=1.55。
【0075】
ポリマー実施例2(PEx.2)
PAG2を含むポリマーの合成。
2−メチル−2−アダマンチルメタクリラート(6.86g、29.3mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(5.60g、3.29mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(3.66g、7.3mmol)およびt−ブチルフェニルフェニルヨードニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタン−1−スルホナート(PAG2;アセトニトリル中50重量%溶液、4.15g、3.70mmol)が、52gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2:1 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(0.91g、3.70mmol)がモノマー溶液に溶かされた。80℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量(〜5mL)のモノマー溶液が入れられ、5分後、この容器に残りのモノマー溶液が2時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに2時間加熱された。この反応液は冷却され、0.65Lの攪拌されたメチルt−ブチルエーテル中で沈殿させられた。得られたポリマーはろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、7.6g(42%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成37/47/10/9モル%;Mw=10,210;Mw/Mn=1.59。
【0076】
ポリマー実施例3(PEx.3)
PAG3を含むポリマーの合成。
エチルシクロヘキシルメタクリラート(6.0g、0.0306mol)、ガンマブチロラクトン(7.6g、0.0447mol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(6.07g、0.0118mol)およびジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム2,3,5,6−テトラフルオロ−1−(メタクリロイルオキシ)ベンゼン−4−スルホナート(PAG3、4.98g、0.0771mol)が、68gのTHF/アセトニトリル(1/2 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(1.17g、0.0047mol)がモノマー溶液に溶かされた。80℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量(〜5g)の重合溶媒が入れられ、5分後、この容器に残りのモノマー溶液が2時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに2時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、1Lの攪拌されたメチルt−ブチルエーテルおよびメタノール(95/5 v/v)中で沈殿させられた。生じた白色粉体ポリマーはろ過によって単離され、真空で45℃で48時間乾燥させられた(収率15.5g、70%)。Mw=15,100g/mol;Mw/Mn=1.56。
【0077】
ポリマー実施例4(PEx.4)
PAG4を含むポリマーの合成。
2−フェニル−2−プロピルメタクリラート(6.02g、29.40mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(7.34g、42.90mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(5.66g、11.30mmol)およびフェニルジベンゾチオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタン−1−スルホナート(PAG4、2.36g、6.80mmol)が、36.8gの乳酸エチル/シクロヘキサノン/テトラヒドロフラン(THF)(60:20:20 w/w)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(2.24g、9.00mmol)がモノマー溶液に溶かされた。75℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量(〜5mL)のモノマー溶液が入れられ、5分後、この容器に残りのモノマー溶液が4時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに3.5時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、560gの攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(95:5 w/w)中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、17g(76.3%)のポリマーを白色粉体として得た。乾燥したポリマー(14g)がTHF中に25重量%固形分で溶解させられ、そして再び攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(95:5 w/w)の混合物中で沈殿させられた。得られた再沈殿ポリマーは再び吸引ろ過および真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、12g(86%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成31/46/14/9モル%;Mw=4,381;Mw/Mn=1.55。
【0078】
ポリマー実施例5(PEx.5)
PAG5を含むポリマーの合成。
2−フェニル−2−プロピルメタクリラート(3.32g、16.25mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(4.40g、23.75mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(3.13g、6.25mmol)およびトリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホナート(PAG5;アセトニトリル中50重量%溶液;4.17g、3.75mmol)が、16.8gの乳酸エチル/シクロヘキサノン(70:30 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(1.24g、3.75mmol)がモノマー溶液に溶かされた。80℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量(〜5mL)のモノマー溶液が入れられ、5分後、この容器に残りのモノマー溶液が4時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに2時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、1Lの攪拌されたメチルt−ブチルエーテルおよび2−プロパノール(90:10 v/v)中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、7.3g(58%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成32/50/10/8モル%;Mw=6,430;Mw/Mn=1.52。
【0079】
ポリマー実施例6(PEx.6)
PAG6を含むポリマーの合成。
2−フェニル−2−プロピルメタクリラート(3.02g、14.63mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(3.69g、21.38mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(2.86g、5.63mmol)およびフェニルジベンゾチオフェニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−4−(メタクリロイルオキシ)ブタン−1−スルホナート(PAG6、1.88g、3.38mmol)が、16.8gの乳酸エチル/シクロヘキサノン(70:30 v/v)に溶解された。2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(1.16g、4.50mmol)がモノマー溶液に溶かされた。75℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に少量(〜5mL)のモノマー溶液が入れられ、5分後、この容器に残りのモノマー溶液が4時間にわたって供給された。この反応混合物はさらに3.5時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、70mLの攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(95:5 w/w)中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、6.1g(53%)のポリマーを白色粉体として得た。乾燥したポリマー(5g)がTHF中に25重量%固形分で溶解させられ、そして再び攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(95:5 w/w)の混合物中で沈殿させられた。生じたポリマーは吸引ろ過によって単離され、そして真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、3.6g(72%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成28/20/12.5/9.5モル%;Mw=4,044;Mw/Mn=1.74。
【0080】
ポリマー実施例7(PEx.7)
PAG7を含むポリマーの合成。
2−フェニル−2−プロピルメタクリラート(0.41g、mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(0.34g、mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(0.58g、mmol)およびトリス(4−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホナート(PAG8、0.65g、mmol)が、14.2gの乳酸エチル/シクロヘキサノン(70:30 v/v)に溶解され、75℃に設定された油浴中であらかじめ加熱された容器に入れられた。2−フェニル−2−プロピルメタクリラート(4.64g、24.5mmol)、アルファ−(ガンマブチロラクトン)メタクリラート(5.80g、35.8mmol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリラート(4.18g、9.4mmol)、トリス(4−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)フェニル)スルホニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホナート(アセトニトリル中に50重量%で溶解されたもの)(PAG7、9.90g、5.60mmol)および2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(1.86g、7.50mmol)が、14.8gの乳酸エチル/シクロヘキサノン(70:30 v/v)に溶解された。この溶液が4時間にわたって前記反応容器に供給された。この反応混合物はさらに3.5時間加熱された。この反応液は室温まで冷却され、370gの攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(90:10 w/w)中で沈殿させられた。得られたポリマーは吸引ろ過によって単離され、真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、8.0g(39%)のポリマーを白色粉体として得た。乾燥したポリマー(7.0g)がTHF中に40重量%固形分で溶解させられ、そして再び攪拌されたイソプロピルエーテルおよびメタノール(80:20 w/w)の混合物中で沈殿させられた。生じたポリマーは吸引ろ過によって単離され、そして真空オーブン内で45℃で48時間乾燥させられて、5.8g(83%)のポリマーを白色粉体として得た。13C NMR(500MHz,アセトン−d)組成38/49/8/5モル%。
【0081】
フォトレジスト製造および処理
リソグラフィ性能データを得るために、それぞれ、比較ポリマー例1A、1B、2およびポリマー実施例1〜7のポジティブトーンフォトレジスト組成物である、比較配合物例1A、1Bおよび2、並びに配合物実施例1〜7が準備された。
【0082】
比較配合物例1A(CFEx.1A)
比較ポリマー1A(1.000g)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2−ヒドロキシ安息香酸から形成されるクエンチャーの乳酸エチル(EL)中1重量%溶液1.000g、EL中のOmnova(オムノバ)PF656界面活性剤の0.5重量%溶液0.200g、EL溶媒26.100gおよびシクロヘキサン溶媒(CH)11.700gを混合することにより、ポジティブトーンフォトレジスト組成物が製造され、このフォトレジスト組成物はろ過された(0.2μm)。
【0083】
表2に特定された量に置き換えて、同様の方法で、比較配合物例1Bおよび2(CFEx.1Bおよび2)並びに配合物実施例1〜7(FEx.1〜7)を含むポジティブトーンフォトレジスト組成物が製造された。CFEx.2、FEx.1、およびFEx.3のフォトレジスト配合物はシクロヘキサノンの代わりに溶媒としてPGMEAを使用した。
【0084】
【表2】

【0085】
上記フォトレジスト配合物CFEx.1A、1Bおよび2、並びにFEx1〜7は以下のようにリソグラフィ処理された。フォトレジストはTEL ACT−8(東京エレクトロン株式会社)コーティングトラックもしくは同様の装置を用いて、有機反射防止コーティング(248nm露光についてはAR(商標)9、ロームアンドハースエレクトニックマテリアルズLLC、または193nm露光についてはAR(商標)19、ロームアンドハースエレクトニックマテリアルズLLC、またはEUVについての有機下層)を有する200mmシリコンウェハ上にスピンコートされ、100〜140℃で60〜90秒間ベークされて、厚さ約60nmのレジスト膜を形成した。得られたフォトレジスト層はオープンフレームマスクを通してKrFエキシマレーザー放射線(248nm)、ArFエキシマレーザー放射線(193nm)、またはEUV放射線(eMET、13.5nm)で露光され、90℃〜120℃で60秒間露光後ベークされ、そして0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像剤水溶液で現像されて、ポジティブトーンフォトレジストパターンを形成した。
【0086】
表3は上記フォトレジスト配合物について得られたE値を記載する。
【表3】

【0087】
表4はポリマー結合PAGに含まれるカチオンの分子量および推定相対的サイズ(CambridgeSoft Inc.,から入手可能なケムドロー(ChemDraw)バージョン11での、Sの代わりにCH、またはIの代わりにCHを用いた、体積測定フィーチャに基づく)を記載する。
【0088】
【表4】

【0089】
フォトレジストサンプルのガス放出
配合物実施例3、4および7のフォトレジストサンプルが、EUV露光ドース−ツー−クリア(dose−to−clear)(E)値の2.3〜2.5倍の倍率での、残留ガス分析(RGA)によって分析された。ウェハ上のEUV照射は〜10mmのスポットサイズおよび〜4mW/cmの出力密度(power density)を使用する。このRGA試験は超高真空(〜1.5E−8mbar)下で行われる。RGA方法のさらなる詳細はポレンティエル(Pollentier)らによってProc.SPIE、2009、7271〜7246ページおよびProc.SPIE、2010、7636ページに記載されるのと同様である。
【0090】
データおよびRGA結果(分子/平方センチメートル;分子/cmで報告される)を含むデータは表5に示される。
【0091】
【表5】

【0092】
表4におけるデータに認められるように、ポリマー実施例4のPDBT PAG、およびポリマー実施例7のMEEPS PAG、およびポリマー実施例3のDTBPI PAGは、トリフェニルスルホニウムベースの比較PAG1および2よりも低いガス放出水準を示す。
【0093】
比較ポリマー1B(比較PAG1)に対応する比較配合例1B、並びにポリマー4(PAG4)およびポリマー6(PAG6)に対応する配合物実施例4および6についての帯域外放射線性能が決定され、その結果は表6に提供された。
【0094】
【表6】

【0095】
上記表6に認められるように、ポリマー実施例4および6(それぞれ、PAG4および6を有する)のそれぞれは、これら配合物実施例についての248nm(DUV)および193nm(193)波長の双方と比較したEUV波長について、より低い(すなわち、向上した)、全体で0.7未満のOOB値を提供した。比較ポリマー1B(比較PAG1B)に対応する比較配合例1BはE0−EUV/E0−193について3という有意に高いOOB比率を示した。
【0096】
本明細書に開示された全ての範囲は終点を含み、その終点は互いに独立して組み合わせ可能である。「場合によって」または「任意の」とはその後に記載された事象もしくは状況が起こってもよく、または起こらなくてもよく、そしてその記載はその事象が起こる例およびその事象が起こらない例を含む。本明細書において使用される場合、「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金もしくは反応生成物を包含する。全ての参考文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
さらに、用語「第1」、「第2」などは、本明細書においては、順序、品質もしくは重要性を示すものではなく、1つの要素を他のものから区別するために使用されることもさらに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物:
【化1】

式中、Qはハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されていないC2−30オレフィン含有基であり、Aはフッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、もしくはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基であり、Zはスルホナート、スルホンアミドもしくはスルホンイミドを含むアニオン性基であり、並びにGは式(II)を有し:
【化2】

式中、XはSもしくはIであり、各Rはハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されておらず、かつ独立してC1−30アルキル基、多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基、多環式もしくは単環式C4−30アリール基、または前述の少なくとも1種を含む組み合わせである;XがSの場合には、R基の1つは場合によっては、隣の1つのR基に単結合によって結合されており、かつaは2もしくは3である;XがIの場合にはaは2であり、もしくはXがSの場合にはaは3である。
【請求項2】
式(III)もしくは(IV)を有する請求項1に記載の化合物:
【化3】

式中、RおよびRはそれぞれ独立して、H、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルであり、Aはフッ素置換C1−30アルキレン基、フッ素置換C3−30シクロアルキレン基、フッ素置換C6−30アリーレン基、もしくはフッ素置換C7−30アルキレン−アリーレン基であり、Gは式(II)のカチオンである。
【請求項3】
Aが−[(C(R−C(=O)O]−C((R(CF−基または、o−、m−もしくはp−置換−C−基であり、
各RおよびRはそれぞれ独立してH、F、C1−6フルオロアルキル、もしくはC1−6アルキルであり、bは0もしくは1であり、xは1〜10の整数であり、yおよびzは独立して0〜10の整数であり、合計y+zは少なくとも1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(I)の化合物が:
【化4】

(式中、各Rは独立して、H、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルであり、Gは式(II)のカチオンである)または上記の少なくとも1種を含む組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が式(V)、(VI)もしくは(VII)を有する請求項1に記載の化合物:
【化5】

式中、XはIもしくはSであり、各R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトリル、ハロゲン、C1−10アルキル、C1−10フルオロアルキル、C1−10アルコキシ、C1−10フルオロアルコキシ、C6−20アリール、C6−20フルオロアリール、C6−20アリールオキシ、またはC6−20フルオロアリールオキシであり、ArおよびArは独立してC10−30縮合もしくは単結合多環式アリール基であり;R13はXがIの場合には孤立電子対であり、またはXがSの場合にはC6−20アリール基である;pは2または3の整数であり、XがIの場合にはpは2であり、XがSの場合にはpは3であり、qおよびrはそれぞれ独立して0〜5の整数であり、sおよびtはそれぞれ独立して0〜4の整数である。
【請求項6】
式(I)の化合物が下記式を有する化合物から選択される請求項1に記載の化合物:
【化6】

式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物から形成される第1重合単位、酸感受性官能基を含む第2重合単位、および場合によって、極性基含有第3重合単位を含むコポリマー。
【請求項8】
第2重合単位が下記:
【化7】

(式中、RはH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである)の酸感受性モノマー、または、前記の少なくとも1種を含む組み合わせから形成され、並びに
第3重合単位が下記:
【化8】

(式中、R10はH、F、C1−6アルキルもしくはC1−6フルオロアルキルである)
から選択される極性モノマー、または、前記の少なくとも1種を含む組み合わせから形成される請求項6に記載のコポリマー。
【請求項9】
請求項6に記載のコポリマーを含むフォトレジスト組成物。
【請求項10】
(a)基体表面上のパターン形成される1以上の層を有する基体、および
(b)パターン形成される前記1以上の層上の、請求項9に記載のフォトレジスト組成物の層
を含む、コーティングされた基体。
【請求項11】
(a)請求項9に記載のフォトレジスト組成物の層を基体上に適用し、
(b)フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様に露光し、および
(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像してレジストレリーフ像を提供する
ことを含む、電子デバイスを形成する方法。
【請求項12】
放射線が極端紫外線もしくはeビーム放射線である請求項11に記載の方法。

【公開番号】特開2012−140620(P2012−140620A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−287304(P2011−287304)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】