説明

重合性化合物および光学フィルム

【課題】透明性に優れる光学フィルムを与えるビスフェノール骨格を有する新規重合性化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で表される重合性化合物。


(式(1)中、Xはイソプロピリデン基などの基を表し、Y1及びY2は単結合またはカルボニル基を表し、n及びn’は2〜4のいずれかの整数を表す。B1及びB2は、環状炭化水素基等を表す。L1及びL2は、単結合、−CH−、−C≡C−、−CH=CH−等を表し、C1及びC2はアルキレン基を表し、D1及びD2は重合性基を表す。A1〜A8の少なくとも1つの基は式(2)で表される基である。
−L3−Z1 (2)
[式(2)中、L3は単結合等を表す。Z1は環状炭化水素基等を表す。])

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などのフラットパネル表示装置に用いられる偏光板等の光学フィルムに好適な重合性化合物等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(以下、「LCD」ともいう)や有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、「EL」ともいう)などのフラットパネル表示装置(以下、「FPD」ともいう)は、ブラウン管表示装置と比較して省スペースや低消費電力である。そのため、近年、FPDは、コンピュータ、テレビ、携帯電話、カーナビゲーション又は携帯情報端末の画面として、広く普及している。
FPDには、一般に、反射防止、視野角拡大などのために、偏光板、位相差板などのさまざまな光学フィルムが用いられる。該光学フィルムとして、例えば、重合性化合物を含む組成物を配向膜に被覆・重合させて得られる光学フィルムが、特許文献1〜3に提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−174724号公報
【特許文献2】特開2005−165239号公報
【特許文献3】特開2005−165240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビスフェノール骨格を有する重合性化合物は製造が容易なことから、光学フィルムへの適用が望まれている。本発明者らは、ビスフェノール骨格を有する重合性化合物として式(2−1)で示される化合物を製造し、光学フィルムへの適用を試みたところ、得られた光学フィルムは製造した直後から白濁し、透明性が十分ではないという問題が明らかになった。

本発明の課題は、透明性に優れる光学フィルムを与えるビスフェノール骨格を有する新規重合性化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[15]のいずれか記載の発明である。
[1] 式(1)で表される重合性化合物。

【0006】
(式(1)中、Xは−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−CH−CH−又は−CRR’−を表す。R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R及びR’は、互いに結合した炭素数4〜6のアルキレン基であってもよい。該アルキル基及びアルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
Y1及びY2は、それぞれ独立に、単結合又はカルボニル基を表す。
n及びn’は、それぞれ独立に、2〜4のいずれかの整数を表す。
B1及びB2は、それぞれ独立に、炭素数5〜6の2価の環状炭化水素基を表し、該環状炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基に置換されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよい。
L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、−CH−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−、−NR”−C(=O)−、−OCH−、−NR”−、−CHO−、−SCH−又は−CHS−を表す。R”は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。
C1及びC2は、それぞれ独立に、炭素数2〜25のアルキレン基を表す。C1及びC2に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフロオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
D1及びD2は水素原子又は重合性基を表し、D1及びD2の少なくとも一方は重合性基である。
A1〜A8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は下記式(2)で表される基を表し、A1〜A8の少なくとも1つの基は式(2)で表される基である。
−L3−Z1 (2)
[式(2)中、L3は単結合、−C≡C−、−CH=CH−、−C(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−又は−NR”−C(=O)−を表す。R”は、前記と同じ意味を表す。Z1は炭素数5〜6の1価の環状炭化水素基を表し、該環状炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、、(−OR)、−SR又はジメチルアミノ基に置換されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子、カルボニル基(−C(=O)−)又はスルホニル基(−S(=O)−)に置換されていてもよい。])
【0007】
[2] 式(1)中のD1及びD2として含まれる重合性基が、アクリロイル基又はメタクリロイル基である請求項1記載の重合性化合物。
【0008】
[3] [1]又は[2]記載の式(1)で表される重合性化合物と、該重合性化合物とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物とを含有する組成物。
【0009】
[4] 式(1)で表される重合性化合物とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物が、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(V)で表される化合物でである[3]記載の組成物。
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-B15-L16-C12-D12 (I)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-C12-D12 (II)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-C12-D12 (III)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-F11 (IV)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-F11 (V)
【0010】
(式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)において、
B11、B12、B13、B14及びB15は、それぞれ独立に、2価の環状炭化水素基、フルオレニル基又はチオフェニレン基を表し、該環状炭化水素基、フルオレニル基及びチオフェニレン基に含まれる水素原子はフッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数1〜7のアルコキシ基に置換基されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよい。
L11、L12、L13、L14、L15及びL16は、それぞれ独立に、−CRR’−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−、−NR”−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR”−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R及びR’は、互いに結合した炭素数4〜6のアルキレン基であってもよい。該アルキル基及びアルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。R”は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。
C11及びC12は、それぞれ独立に、炭素数2〜25のアルキレン基を表す。C11及びC12に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフロオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
D11及びD12は、それぞれ独立に、重合性基を表す。
F11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基又はハロゲン原子を表す。
【0011】
[5] 式(1)で表される重合性化合物と、該重合性化合物とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物との合計100重量部に対して、式(1)で表される重合性化合物を1〜50重量部含有する[3]又は[4]記載の組成物。
【0012】
[6] [1]又は[2]記載の式(1)で表される重合性化合物に由来する構造単位を含有する光学フィルム。
【0013】
[7] [3]〜[5]のいずれか記載の組成物を重合してなる光学フィルム。
【0014】
[8] [6]又は[7]記載の光学フィルムであって、該光学フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が80〜160nmであるλ/4板。
【0015】
[9] [6]又は[7]記載の光学フィルムであって、該光学フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであるλ/2板。
【0016】
[10] [6]〜[9]のいずれか記載の光学フィルムと偏光フィルムとを含む偏光板。
【0017】
[11] [10]記載の偏光板を備えるフラットパネル表示装置。
【0018】
[12] [10]記載の偏光板及び液晶パネルを備える液晶表示装置。
【0019】
[13] [10]記載の偏光板を含む有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【0020】
[14] 支持基材に、[3]〜[5]のいずれか記載の組成物を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
【0021】
[15] 支持基材上に形成された配向膜上に、[3]〜[5]のいずれか記載の組成物を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
【0022】
[16] [14]又は[15]記載の製造方法で得られた未重合フィルムを重合により硬化させる光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の重合性化合物は、透明性に優れた光学フィルムを与える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の重合性化合物は、前記式(1)で表される化合物(以下、重合性化合物(1)という場合がある)である。
式(1)中、Xは−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−CH−CH−又は−CRR’−を表す。R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R及びR’は、互いに結合した炭素数4〜6のアルキレン基であってもよい。該アルキル基及びアルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
Xとしては、−CRR’−である場合が好ましく、特に、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−又は−C(CH)(CHCH(CH)−のような基であると、重合性化合物(1)がケトン化合物とフェノールとから容易に調製できることから好ましい。
【0025】
Y1及びY2は、それぞれ独立に、単結合又はカルボニル基(−C(=O)-)を表す。
【0026】
n及びn’は、それぞれ独立に、2〜4のいずれかの整数、好ましくは2又は3を表す。n及びn’が2〜4のいずれかの整数であると、得られる光学フィルムの液晶性が向上する傾向、光学フィルム内に生じる結晶の発生を抑制する傾向があることから好ましい。
また、n及びn’は、同一であることがより好ましい。同一であれば、重合性化合物(1)の製造が容易になる傾向があることから好ましい。
【0027】
B1及びB2は、それぞれ独立に、炭素数5〜6の2価の環状炭化水素基を表し、該環状炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数1〜7のアルコキシ基に置換基されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよい。
B1及びB2の具体例としては、下記式が例示される

【0028】
重合性化合物(1)のB1及びB2で示した部位に環状炭化水素基が存在することにより、光学フィルムとした際に重合性化合物(1)に由来する構造単位の配向性が優れる傾向にあることから好ましい。
B1及びB2としては、中でも、1、4−フェニレン基又は1、4−シクロヘキシレン基であると、得られる光学フィルムの液晶性が一層向上する傾向及び重合性化合物(1)の製造がより容易になる傾向があることから好ましい。
【0029】
L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、−CH−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−、−NR”−C(=O)−、−OCH−、−NR”−、−CHO−、−SCH−又は−CHS−を表す。R”は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。
中でも、L1及びL2が、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−又は−O−C(=O)−O−であると、得られる光学フィルムの液晶性がより向上する傾向や、重合性化合物の合成がより容易になる傾向があることから好ましい。
【0030】
C1及びC2は、それぞれ独立に、炭素数2〜25のアルキレン基を表す。C1及びC2に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフロオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
C1及びC2は、中でも、アルキレン基は製造がより容易なことから好ましい。
【0031】
D1及びD2は水素原子又は重合性基を表し、D1及びD2の少なくとも一方は重合性基である。
ここで、重合性基とは、重合性化合物(1)を重合させることのできる置換基であり、具体的には、ビニル基、p−スチルベン基、アクリロイル基、メタクロイル基、カルボキシル基、メチルカルボニル基、水酸基、アミド基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基、アミノ基、エポキシ基、オキセタニル基、アルデヒド基、イソシアネート基、チオイソシアネート基などが例示される。
また、重合性基には、上記例示の基とC1及びC2を連結するために、L1及びL2として示される基が含まれていてもよい。
中でも、光重合させる際の取扱いが容易な上、製造も容易であることからアクリロイル基又はメタクロイル基が好ましく、特に、アクリロイル基が好ましい。
さらに、D1及びD2が同一の重合性基であれば、製造がより容易になることから好ましい。
これらの重合性基を有することで、重合性化合物(1)が光学フィルム表面にブリードする現象を抑制する傾向があり、さらに、得られた光学フィルムは耐久性に優れる傾向を有する。
【0032】
A1〜A8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は下記式(2)で表される基を表し、A1〜A8の少なくとも1つの基は式(2)で表される基である。式(2)で表される基を有することで、重合性化合物(1)が溶媒への溶解性がより向上し、結果として、重合性化合物(1)を含む溶液から結晶の析出がより抑制する傾向を示す。
−L3−Z1 (2)
【0033】
式(2)中、L3は単結合、−C≡C−、−CH=CH−、−C(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−又は−NR”−C(=O)−を表す。R”は、前記と同じ意味を表す。
L3が単結合であれば、対応する臭素置換誘導体を原料としたカップリング反応などにより容易に製造可能であることから好ましい。
【0034】
式(2)中、Z1は炭素数5〜6の1価の環状炭化水素基を表し、該環状炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はジメチルアミノ基に置換されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子、カルボニル基(−C(=O)−)又はスルホニル基(−S(=O)−)に置換されていてもよい。
【0035】
Z1の具体例として、下記式などが挙げられ、中でも、フェニル基はカップリング反応等により重合性化合物(1)の製造がより容易な傾向があることから好ましい。

【0036】
A1〜A4から選ばれる1つの基とA5〜A8から選ばれる1つの基とが同一の式(2)で表される基であると、重合性化合物(1)の製造がより容易な傾向があることから好ましい。
【0037】
重合性化合物(1)の製造方法としては、例えば、あらかじめA1〜A8を含む下記式のような化合物に、B1(B2)、L1(L2)、C1(C2)及びD1(D2)を含む化合物を反応させて得る方法などが挙げられる。

(式中、A1〜A8及びXは前記と同じ意味を表す。)
【0038】
B1(B2)、L1(L2)、C1(C2)及びD1(D2)を含む化合物は、B1(B2)、L1(L2)、C1(C2)及びD1(D2)の各構造単位を含む化合物を縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、ウィッティッヒ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応又はアルドール反応などで結合することにより製造することができる。
【0039】
重合性化合物(1)の異なる製造方法としては、重合性化合物(1)のA1〜A8がいずれも水素原子である化合物を上記と同様に製造した後、式(2)で表される基を導入する方法が挙げられる。例えば、A1〜A8が置換される位置に、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子を導入した後、−L1−Z1で表される構造単位を含む化合物を縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、ウィッティッヒ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応又はアルドール反応などで結合することにより製造することができる。
【0040】
本発明の重合性化合物(1)は、ビスフェノール骨格を有する重合性化合物であることから、通常、ビスフェノールを原料として、安価にかつ容易に製造することができる。
また、重合性化合物(1)は、通常、汎用的な有機溶媒にも溶解しやすく、後述する液晶化合物との相溶性にも優れる。
【0041】
本発明の光学フィルムは、重合性化合物(1)に由来する構造単位を含有する光学フィルムである。重合性化合物(1)に由来する構造単位のみを含有する光学フィルムであってもよいが、重合性化合物(1)とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物(以下、液晶化合物という場合がある)に由来する構造単位をさらに含有してもよい。液晶化合物に由来する構造単位を含むと配向性がより増加し、位相差値がより増加する傾向があることから、好ましい。光学フィルムは、通常、光学フィルムを構成する全ての構造単位100重量%に対して重合性化合物(1)に由来する構造単位を5重量%程度以上である。
この際、重合性化合物(1)と液晶化合物とが共重合するように、重合性化合物(1)に含まれるD1及びD2の重合性基と、液晶化合物の重合性基とは互いに反応し得る重合性基であることが好ましく、互いに、アクリロイル基であると、より容易に光重合させることができることから、特に好ましい。
【0042】
液晶化合物の具体例としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性の、3.2 ノンキラル棒状液晶分子、3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物が挙げられる。
液晶化合物として、異なる複数の液晶化合物を併用してもよい。
【0043】
上記液晶化合物としては、例えば、下記式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(V)で表される化合物などが挙げられる。
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-B15-L16-C12-D12 (I)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-C12-D12 (II)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-C12-D12 (III)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-F11 (IV)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-F11 (V)
【0044】
式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)において、B11、B12、B13、B14及びB15は、それぞれ独立に、2価の環状炭化水素基、フルオレニル基又はチオフェニレン基を表し、該環状炭化水素基、フルオレニル基及びチオフェニレン基に含まれる水素原子はフッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数1〜7のアルコキシ基に置換基されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよい。
具体的には、前記B1として例示された基が挙げられる。
【0045】
L11、L12、L13、L14、L15及びL16は、それぞれ独立に、−CRR’−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−、−NR”−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR”−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R及びR’は、互いに結合した炭素数4〜6のアルキレン基であってもよい。該アルキル基及びアルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。R”は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。
具体的には、前記L1として例示された基が挙げられる。
【0046】
C11及びC12は、それぞれ独立に、炭素数2〜25のアルキレン基を表す。C11及びC12に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフロオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
具体的には、前記C1として例示された基が挙げられる。
【0047】
D11及びD12は、それぞれ独立に、重合性基を表す。具体的には、前記D1として例示された基が挙げられる。
F11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基又はハロゲン原子を表す。
【0048】
液晶化合物の具体例としては、例えば、以下の式(I−1)〜(I−5)、(II−1)〜(II−6)、(III−1)〜(III−19)、(IV−1)〜(IV−14)、(V−1)〜(V−5)で表される化合物などが挙げられる。ただし、式中kは、それぞれ独立に、1〜11のいずれかの整数を表す。
これらの化合物は、合成が容易であったり、市販されているなど、入手が容易であることから好ましい。

【0049】

【0050】

【0051】

【0052】

【0053】
光学フィルムを製造する方法の一例を以下に説明する。
まず、重合性化合物(1)及び有機溶媒に、必要に応じて、液晶化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光増感剤、架橋剤、レベリング剤などの添加剤を加えて、混合溶液を調製する。特に、有機溶媒は、成膜時に含んでいる方が、成膜が容易となることから好ましく、重合開始剤は、得られた光学フィルムを硬化する働きをもつことから好ましい。
混合溶液における重合性化合物(1)及び液晶化合物の重量比率としては、重合性化合物(1)及び液晶化合物の合計100重量部に対して、通常、重合性化合物(1) 1〜50重量部、好ましくは、5〜30重量部である。5重量部以上であると均一チルト配向することから好ましく、50重量部以下であると、安価に光学フィルムが調製できることから好ましい。
【0054】
〔重合開始剤〕
本発明の光学フィルムを調製する際には、通常、重合性化合物(1)や液晶化合物を重合させるための重合開始剤が使用される。本発明の光学フィルムの好ましい一実施形態として、重合性化合物(1)や液晶化合物を光重合させる方法が挙げられる。そのため、重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシケトン類、α−アミノケトン類、ヨードニウム塩、スルホニウム塩等が挙げられ、より具体的には、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア819、イルガキュア651、イルガキュア250及びイルガキュア369(以上、全てチバスペシャルティケミカルズ社製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学社製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬社製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152又はアデカオプトマーSP−170(以上、全て旭電化)などを挙げることができる。
また、重合開始剤の使用量は、通常、重合性化合物(1)と液晶化合物との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。
【0055】
〔重合禁止剤〕
本発明の光学フィルムを調製する際に、重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、アルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6、−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類又はβ−ナフトール類等を挙げることができる。
重合禁止剤を用いることにより、重合性化合物(1)や液晶化合物の重合をより制御することができ、得られる光学フィルムの安定性をより向上させることができる。また、重合禁止剤の使用量は、通常、液晶化合物と重合性化合物(1)との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。
【0056】
〔光増感剤〕
また、本発明の光学フィルムを調製する際に、光増感剤を使用してもよい。光増感剤としては、例えば、キサントン、チオキサントン等のキサントン類、アントラセン、アルキルエーテルなどの置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン又はルブレンなどを挙げることができる。
光増感剤を用いることにより、上記液晶化合物や重合性化合物(1)の重合をより高感度化することができる。また、光増感剤の使用量としては、重合性化合物(1)と液晶化合物との合計100重量部に対して、通常、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは0.5重量部〜10重量部である。
【0057】
〔レベリング剤〕
さらに、本発明の光学フィルムを調製する際に、レベリング剤を使用してもよい。レベリング剤としては、例えば、放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング社製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越シリコーン社製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(大日本インキ化学工業製:F−445、F−470、F−479)などを挙げることができる。
レベリング剤を用いることにより、光学フィルムをより平滑化させることができる。さらに、光学フィルムの製造過程で、重合性化合物(1)を含有する混合溶液の流動性を制御したり、重合性化合物(1)や液晶化合物を重合して得られる光学フィルムの架橋密度を調整することができる。また、レベリング剤の使用量の具体的な数値は、通常、液晶化合物と重合性化合物(1)との合計100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部であり、好ましくは、0.5重量部〜10重量部である。
【0058】
〔有機溶媒〕
重合性化合物(1)を含有する混合溶液の調製に用いる有機溶媒としては、重合性化合物(1)、液晶化合物などを溶解し得る有機溶媒であり、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル、クロロホルム又はフェノールなどが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。中でも、本発明の組成物は相溶性に優れ、アルコール、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、非塩素系脂肪族炭化水素溶媒又は非塩素系芳香族炭化水素溶媒などにも溶解し得ることから、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素を用いなくとも、溶解して塗工させることができる。
【0059】
重合性化合物(1)を含有する混合溶液の粘度は、塗布しやすいように、通常、10Pa・s以下、好ましくは0.1〜7Pa・s程度に調整される。
また、上記混合溶液における固形分の濃度は、通常、5〜50重量%である。
【0060】
続いて、支持基材に、混合溶液を塗布し、乾燥、重合させて、支持基材上に目的の光学フィルムを得ることができる。
重合は、重合性化合物(1)に含まれる重合性基D1及び/又はD2が光重合性であれば、可視光、紫外光、レーザー光などの光を照射して硬化させ、該重合性基が熱重合性であれば、加熱によって重合させる。
成膜性の観点から、光重合が好ましく、取り扱い性の観点から、紫外光による重合がより好ましい。
【0061】
溶媒の乾燥は、光重合の場合には、成膜性を向上させるために、光重合前にほとんど溶媒を乾燥させて、未重合フィルムを得ることが好ましい。また、熱重合の場合には、通常、乾燥とともに重合を進行させてもよいが、重合前にほとんどの溶媒を乾燥させて、未重合フィルムを得る方法が、成膜性により優れる傾向があることから好ましい。
溶媒の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、通風乾燥又は減圧乾燥などの方法が挙げられる。具体的な加熱温度としては、10〜120℃であることが好ましく、25〜80℃であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、通常、10秒間〜60分間であり、30秒間〜30分間であることがより好ましい。加熱温度及び加熱時間が上記範囲内であると、耐熱性の低い支持基材でも使用可能である。
【0062】
支持基材への塗布方法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法又はダイコーティング法などが挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター又はスピンコーターなどのコーターを用いて塗布する方法などが挙げられる。
【0063】
上記支持基材は、当該支持基材上に配向膜を形成できるものであればよい。例えば、ガラス、プラスチックシート、プラスチックフィルム又は透光性フィルムを挙げることができる。なお、上記透光性フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム、ポリアクリル酸エステルフィルム、セルロースエステルフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム又はポリフェニレンオキシドフィルムなどが挙げられる。
一般に、重合性化合物(1)に由来する構造単位を含有する光学フィルムは、薄膜であり、例えば、光学フィルムを貼合、運搬、保管などを行う場合、支持基材を用いることにより、破れなどなく、より容易に取り扱うことができる。
【0064】
本発明の光学フィルムの製造方法としては、通常、支持基材上に配向膜を形成させ、この配向膜上に混合溶液を塗工する。配向膜は、重合性化合物(1)などを含有する混合溶液の塗工等により溶解しない溶剤耐性を持つこと、溶媒の除去や液晶の配向の加熱処理による耐熱性をもつこと、ラビングによる摩擦などによる剥がれなどが起きないこと等が必要であり、通常、以下に示すポリマー又はポリマーを含有する組成物を用いることが好ましい。
上記ポリマーとしては、例えば、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上混ぜたり、共重合体したりしてもよい。これらのポリマーは、脱水や脱アミンなどによる重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等で容易に得ることができる。
【0065】
また、これらの配向膜用のポリマーは、溶媒に溶解して、塗布することができる。溶媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、ガンマーブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、乳酸エチル又はクロロホルムなどが挙げられる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
上記支持基材上に配向膜を形成する方法としては、例えば、上記支持基材上に、配向膜用の材料を塗布し、その後、アニールすることにより、上記支持基材上に配向膜を形成することができる。
このようにして得られる配向膜の厚さは、通常、10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。上記範囲とすれば、重合性化合物(1)に由来する構造単位を含有する層を当該配向膜上で所望の角度に配向させることができる。
【0067】
また、これら配向膜は、必要に応じてラビング又は偏光UV照射を行なうことができる。これらにより、重合性化合物(1)及び液晶化合物等をより容易に所望の方向に配向させることができる。
配向膜をラビングする方法としては、例えば、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールをステージに載せ、搬送されている配向膜に接触させる方法を用いることができる。
【0068】
前記のような支持基材に配向膜用のポリマーから形成する方法の他に、市販の配向膜をそのまま使用してもよい。市販の配向膜としては、感光性ポリイミドに偏光UV処理を施したものとして、サンエバー(登録商標、日産化学社製)、オプトマー(登録商標、JSR製)などが挙げられ、変性ポリビニルアルコールとして、ポバール(登録商標、クラレ製)などが挙げられる。
このような配向膜を用いれば、延伸による屈折率制御を行う必要がないため、複屈折の面内ばらつきが小さくなることから好ましい。それゆえ、支持基材上にFPDの大型化にも対応可能な大きな光学フィルムを提供できるという効果を奏する。
【0069】
支持基材の上に配向膜を形成した後、重合性化合物(1)を含有する溶液を配向膜上に塗工し、乾燥すると、未重合フィルムが得られる。この未重合フィルムにネマチック相などの液晶相を示した場合、モノドメイン配向による複屈折性を有する。この未重合フィルムは0〜120℃程度、好ましくは、25〜80℃の低温で配向する場合があり、この場合は配向膜として上記に例示したような耐熱性の低い支持基材を用いることができ、配向後、さらに30〜10℃程度に冷却しても結晶化することがないことから好ましい。
【0070】
未重合フィルムを重合させる方法は、重合性化合物(1)や液晶化合物の種類に応じて、決定されるものである。例えば、光重合や熱重合により、上記未重合フィルムを重合させることができる。本発明では、特に、光重合により未重合フィルムを重合させることが好ましい。これによれば、低温で、未重合フィルムを重合させることができるので、支持基材の耐熱性の選択幅が広がる。また、工業的にも製造がより容易となる。
未重合フィルムを光重合させる方法は、例えば、未重合フィルムに紫外線を照射することにより、未重合フィルムを重合させる方法などが挙げられる。
【0071】
未重合フィルムを重合する際に、重合性化合物(1)等を光重合により架橋することが好ましい。この場合、熱による複屈折の変化の影響を受けにくいという効果を奏する。
また、得られる光学フィルムに、界面活性剤などの表面処理剤を用いなくてよい。つまり、本発明の光学フィルムに用いる配向膜は、支持基材と配向膜との密着性及び配向膜と光学フィルムとの密着性が良好であるから、光学フィルムの製造がより容易である。
さらに、本発明の光学フィルムは、0.1〜100μm、好ましくは0.1〜10μm程度であり、延伸フィルムで同等の位相差値を有するフィルムと比較して、通常、薄膜である。
【0072】
本発明の光学フィルムは、重合した後に、支持基材を剥離してもよい。この光学フィルムは、重合性化合物(1)に由来する構造単位を含むフィルムのみからなる層(以下、液晶層という場合がある)/配向膜からなる構成のフィルムとなる。また、上記支持基材を剥離する工程に加えて、配向膜を剥離する工程をさらに含んでいてもよい。このような構成とすることにより、得られる光学フィルムは、液晶層のみからなるフィルムとなる。
【0073】
尚、重合性化合物(1)を含む溶液の塗布液の量や塗布液の濃度を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調製することができる。重合性化合物(1)が一定である溶液の場合、得られる光学フィルムの位相差値(リタデーション値、Re(λ))は、式(3)のように決定されることから、所望のRe(λ)を得るためには、膜厚dを調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) (3)
(式中、Re(λ)は、波長 λ nmにおける位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長 λ nmにおける屈折率異方性を表す。)
【0074】
光学フィルムの厚みは、上記のとおり、得られる光学フィルムの位相差値によって、異なるものである。本発明では、上記厚みは、0.1〜10μmであることが好ましく、光弾性を小さくする点で0.5〜3μmであることがさらに好ましい。
上記の通り、未重合フィルムを調製する際には、任意の支持基材の上に積層した配向膜上に未重合フィルム(液晶層)を積層する。それゆえ、セルを作製し、当該セルに重合性化合物(1)を注入する方法に比べて、生産コストを低減することができる。さらに、ロールフィルムでのフィルムの生産が可能である。
配向膜を用いて複屈折性を有する場合には、通常、液晶層の位相差値は、通常、50〜500nm程度であり、好ましくは100〜300nmである。
【0075】
かくして得られた光学フィルムは、製造直後はもちろん、長期保存しても透明性に優れる。
また、本発明の光学フィルムは、通常、配向欠陥がなく、均一なチルト配向を示す。
【0076】
本発明の光学フィルムを広帯域のλ/4板又はλ/2板として使用するためには、重合性化合物(1)に由来する構造単位の含有量を適宜、選択したのち、式(3)に従い調整する。具体的には、位相差値が、λ/4板の場合には、得られる光学フィルムのRe(550)を113〜163nm、好ましくは、135〜140nm、特に好ましくは、約137.5nm程度に膜厚を調整すればよく、λ/2板の場合には得られる光学フィルムのRe(550)を250〜300nm、好ましくは、273〜277nm、特に好ましくは、約275nm程度となるように、膜厚を調整すればよい。
【0077】
本発明の光学フィルムをVA(Vertical Alingment)モード用光学フィルムとして使用するためには、重合性化合物(1)に由来する構造単位の含有量を適宜、選択することにより、式(3)に従い、得られる光学フィルムの位相差値が、Re(550)を好ましくは40〜100nm、特に好ましくは60〜80nm程度となるように膜厚を調整すればよい。
【0078】
本発明の光学フィルムは、優れた波長分散特性を有する光学フィルムとして広く用いることができる。上記光学フィルムとしては、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光板、位相差板、楕円偏光板、視野角拡大フィルム及び透過型液晶ディスプレイの視野角補償用光学補償フィルムなどを挙げることができる。また、発明の光学フィルムは1枚でも優れた光学特性を示すが、複数枚を積層させてもよい。
また、他のフィルムと組み合わせてもよい。具体的には、偏光フィルムに本発明の光学フィルムを貼合させた楕円偏光板、該楕円偏光板にさらに本発明の光学フィルム中でもλ/4板として貼合させた広帯域円偏光板などが挙げられる。
さらに、本発明の光学フィルムは、LCD、ELなどのFPDに用いられることができる。
【0079】
このように、本発明に係るフィルムは、広範囲な用途が考えられる。例えば、このうち、本発明の光学フィルムと偏光フィルムとを含む偏光板及び該偏光板を備えるFPDについて、以下説明する
本発明に係る偏光板は、前記光学フィルムと偏光フィルムとを含む偏光板であり、具体的には、偏光フィルムの片面又は両面に又は接着剤もしくは粘着剤介して又は直接、前記光学フィルムを張り合わせることにより得られるものである。なお、以下の図1及び図2の説明では、接着剤及び粘着剤を総称して接着剤と呼ぶ場合がある。
例えば、図1(a)〜図1(e)に示すように、(i)光学フィルム1と、偏光フィルム2とが、直接貼り合わされた実施形態(図1(a))、(ii)光学フィルム1と偏光フィルム2とが、接着剤3を介して貼り合わされた実施形態(図1(b))、(iii)光学フィルム1と光学フィルム1’と直接貼り合せ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム2とを直接貼り合わせた実施形態(図1(c))、(iv)光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’上に偏光フィルム2を直接貼り合わせた実施形態(図1(d))及び(v)光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム2とを接着剤3’を介して貼り合せた実施形態(図1(e))などが挙げられる。
【0080】
本発明の偏光板に用いられる光学フィルムの構成としては、液晶層のみからなるフィルムであってもよいし、支持基材、配向膜及び液晶層からなる積層フィルム並びに配向膜及び液晶層からなる積層フィルムなどであってもよい。
また、本発明の偏光板の構成として、光学フィルムを複数積層したものを用いてもよく、その複数の光学フィルムは、全て同一であっても、異なるものを組み合わせて用いてもよい。より具体的に説明すると、本発明にかかる偏光板としては、図2(a)〜(k)に示す構成が例示される。
図2(a)〜(e)では、光学フィルム1及び光学フィルム1’として、液晶層11又は液晶層11’と配向膜12又は配向膜12’とからなるフィルムが用いられている。図2(a)〜(e)は、それぞれ、光学フィルム1と偏光フィルム2とが直接貼り合わされた構成(図2(a))、光学フィルム1と偏光フィルム2とが接着剤3を介して貼り合わされた構成(図2(b))、光学フィルム1と光学フィルム1’と直接貼り合せ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム2とを直接貼り合わせた構成(図2(c))、光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’上に偏光フィルム2を直接貼り合わせた構成(図2(d))及び光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤3を介して貼り合わせ、さらに、光学フィルム1’と偏光フィルム2とを接着剤3’を介して貼り合せた構成(図2(e))を示す。
【0081】
また、図2(f)及び(g)では、光学フィルム1及び光学フィルム1’として、液晶層11又は液晶層11’からなるフィルムが用いられており、光学フィルム1には、配向膜12又は配向膜12’は含まれていない。また、図2(f)では、光学フィルム1と偏光フィルム2とが、一対の接着剤3を介して貼り合わされている。一方、図2(g)では、光学フィルム1と光学フィルム1’とを接着剤3を介して貼り合わせ、さらに、その外側に、接着剤3’を介して偏光フィルム2を貼り合わせている。
図2(h)は、図2(f)と同様の構造を示す。ただし、図2(f)とは異なって、フィルム1として、支持基材13と、支持基材13の表面上に形成された配向膜12と、配向膜12の表面上に形成された液晶層11とからなる積層体(フィルム)が用いられている。
図2(i)は、図2(g)と同様の構造を示す。ただし、図2(g)とは異なって、光学フィルム1及び光学フィルム1’として、支持基材13又は支持基材13’と、支持基材13又は支持基材13’の表面上に形成された配向膜12又は配向膜12’と、配向膜12又は配向膜12’の表面上に形成された液晶層11又は液晶膜11’とを含む積層体(フィルム)が用いられている。
図2(j)及び(k)は、図2(g)と同様の構造を示す。ただし、2枚あるフィルムのうち、図1(j)では、光学フィルム1’として液晶層11’からなるフィルムを用い、光学フィルム1として液晶層11、配向膜12及び支持基材13からなるフィルムを用いている。また、図2(k)では、光学フィルム1’として液晶層11’、配向膜12及び支持基材13からなるフィルムを用い、光学フィルム1として液晶層11からなるフィルムを用いている。
【0082】
偏光フィルムは、偏光機能を有するフィルムであればよく、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに沃素や二色性色素を吸着させて延伸したフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムを延伸して沃素や二色性色素を吸着させたフィルムなどが挙げられる。
接着剤3及び接着剤3’に用いられる接着剤は、透明性が高く耐熱性に優れた接着剤であることが好ましい。そのような接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系あるいはウレタン系接着剤などが用いられる。
また、偏光フィルムにおいて、図1(c)〜図1(e)に示すように、光学フィルムは、必要に応じて、1層〜3層張り合わせてもよい。
【0083】
本発明のフラットパネル表示装置(FPD)は、本発明の光学フィルムを備えるものであり、さらに具体的な実施態様としては、例えば、本発明の偏光板が貼り合わされた液晶パネルを備える液晶表示装置(LCD)、本発明の偏光板と発光層とが貼り合わされた有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)を挙げることができる。
本発明にかかるFPDの実施形態として、LCD及びELについて、以下詳細に述べる。
【0084】
〔液晶表示装置(LCD)〕
LCDには、図3のように、本発明の偏光板4と液晶パネル6とを接着剤5を介してなる貼合品が用いられる。上記構成によれば、図示しない電極を用いて、液晶パネル6に電圧を印加することにより、液晶パネル6中の液晶分子が駆動する。本発明の光学フィルムは広帯域で一様な偏光機能を有することから、光シャッター効果に優れる。
【0085】
〔有機エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)〕
ELには、図4のように、本発明の偏光板4と発光層7とを接着層5を介して貼り合わせてなる有機エレクトロルミネッセンスパネルが用いられる。
上記有機エレクトロルミネッセンスパネルにおいて、偏光板4は、広帯域円偏光板として機能する。また、上記発光層7は、導電性有機化合物からなる少なくとも1層の層である。
【実施例】
【0086】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
<重合性化合物(1−1)の製造例>
重合性化合物(1−1)は以下の構造である。以下にその合成例を示す。

【0087】
(4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチル(PG−a)の合成例)
4−ヒドロキシ安息香酸エチル169g(1.02mol)、炭酸カリウム211g(1.53mol)、N,N−ジメチルアセトアミド847gを加え、80℃に昇温した。続いて、6−ブロモヘキサノール277g(1.53mol)を2時間かけて滴下し、その後80℃で2時間攪拌した。冷却後、反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層を水洗したのち、溶媒を留去することにより4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸エチル(PG−a)を主成分とする無色透明な液体377gを得た。
【0088】
(4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸(PG−b)の合成例)
前項で得られた(PG−a)を主成分とする無色透明な液体377gにメタノール905gと水181gを添加し攪拌した。次いで、水酸化カリウムを飽和状態で含有するメタノール溶液2092g(溶液中水酸化カリウム397g(7.08mol))を滴下し、約70℃で5時間攪拌した。冷却後、35%塩酸を718gゆっくりと加えた。析出した白色固体を水洗しながら濾別し、50℃の減圧下で、乾燥させることにより4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)安息香酸(PG−b)の白色固体228gを得た。収率は4−ヒドロキシ安息香酸エチル基準で94%であった。
【0089】
(4−(6−アクリルオキシヘキシルオキシ)安息香酸(PG−c)の合成例)
前項で得られた(PG−b)の白色固体 228g(0.96mol)とN,N−ジメチルアニリン244g(2.01mol)を格納した容器内を窒素置換した後、1,4−ジオキサン2282gで溶解させた。反応溶液を70℃に昇温し、アクリル酸クロリド173g(1.92mol)を30分かけて滴下し、さらに2時間攪拌させた。冷却後、反応溶液を氷水に注いだ後、酢酸エチルを加えて分液抽出して有機層をとりだした。得られた有機層を水洗した後、減圧下、溶媒を留去させることにより4−(6−アクリロイルヘキシルオキシ)安息香酸(PG−c)の白色固体109g(0.37mol)を得た。収率は(PG−b)基準で39%であった。
【0090】
(4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)の合成例)
4−ヒドロキシ安息香酸 166g(1.2mol)とトリエチルアミン121g(1.2mol)とクロロホルム1193gを容器内に入れ攪拌した。室温で、クロロメチルエチルエーテル113g(1.2mol)とクロロホルム298gの混合溶液を30分かけて滴下し、さらに2時間攪拌させた。冷却後、反応溶液を水、塩酸水溶液、炭酸ナトリウム水溶液の順に分液洗浄し、有機層を取り出した。有機層を減圧下、溶媒を留去させることにより4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体を251g得た。
【0091】
(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)の合成例)
前項で得られた4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体124gに、前項で得られた(PG−c)の白色固体 147g(0.50mol)、4−ジメチルアミノピリジン7.7(63mmol)、クロロホルム824gを加えた。続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)123g(0.60mol)をクロロホルム165gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、濾過して固形物を取り除いて得られた有機層を2N塩酸989gで2回分液洗浄した。洗浄した有機層は、溶媒を留去し、237gの淡黄色液体を得た。
得られた液体にエタノール474gとパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩12.7g(50mmol)を加え、60℃で3時間攪拌した。その反応溶液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出するため、濾過をして、固形物を取り出した、得られた固形物をエタノールで入念に洗浄した後、乾燥すると、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)が180g得られた。収率は(PG−c)基準で86%であった。
【0092】
((1−1)の合成例)
容器に、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−ビフェニルイル)プロパン5.7g(15mmol)、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−e)12.8g(30mmol)4−ジメチルアミノピリジン0.4g(3mmol)及びクロロホルム205gを混合し、続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)6.2g(30mmol)をクロロホルム51gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、濾過して固形物を取り除いて得られた有機層を2N塩酸256gで2回分液洗浄した。洗浄した有機層は、溶媒を留去した後、メタノールに添加した。すると、固形物が析出するため、濾過により固形物を取り出し、メタノールで入念に洗浄した後、乾燥した。得られた白色固体は、重合性化合物(1−1)16.7gであった。収率は2,2−ビス(2−ヒドロキシ−5−ビフェニルイル)プロパン基準で95%であった。
【0093】
<重合性化合物(1−2)の製造例>
重合性化合物(1−2)は以下の構造である。以下にその合成例を示す。

【0094】
(4−シアノフェニル置換テトラブロモビスフェノールの合成例)
テトラブロモビスフェノール3g(5.5mmol)、炭酸カリウム10.66g(77.2mmol)を60mlのジオキサン、25mlの純水に溶解させた。窒素雰囲気下、室温で攪拌して完全に脱酸素後、テトラキス−トリフェニルポスフィノ−パラジウム(0)2.55g(2.2mmol)、4−シアノフェニルボロン酸6.08g(41.4mmol)を加えた後、80℃に昇温して24時間攪拌した。室温まで冷却して、反応溶液にトルエン200ml、飽和食塩水100mlを加えた。油層を回収して無水硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過後エバポレータで乾固させた。残渣をクロロホルム100mlに溶解させて、不溶成分を除去した。茶褐色のクロロホルム溶液にヘプタン30ml、中性シリカゲル50gを加えて、一時間攪拌後、これを濾過した。濾液を回収し、エバポレータにて溶媒を去留させ、4−シアノフェニル置換ブロモビスフェノールを2.52g得た。LC−MS分析より、4−シアノフェニル置換ブロモビスフェノール粗精製物は、テトラ(4−シアノフェニル)ビスフェノール6%、トリ(4−シアノフェニル)−モノブロモ−ビスフェノール1%、ビス(4−シアノフェニル)−ビスブロモ−ビスフェノール21%、モノ(4−シアノフェニル)−トリブロモ−ビスフェノールA55%、テトラブロモビスフェノールA18%からなる混合物であることが明らかとなった。
【0095】
(1−2の合成例)
上記4−シアノフェニル置換テトラブロモビスフェノール1.2g、4−ジメチルアミノピリジン0.54g(4.4mmol)、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)安息香酸(PG−e)1.82g(4.42mmol)、エチル3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.02g(5.3mmol)を脱水クロロホルム30gに溶解させた。得られた溶液を室温、窒素雰囲気下で6時間攪拌した。反応終了を確認後、反応溶液をエバポレーションにて4倍まで濃縮し、400gのイソプロパノールに再沈殿させた。得られた白色粉末を濾過、真空乾燥させることにより、重合性化合物(E157)1.55gを得た。LC−MS分析より、テトラ(4−シアノフェニル)ビスフェノール、トリ(4−シアノフェニル)−モノブロモ−ビスフェノール、ビス(4−シアノフェニル)−ビスブロモ−ビスフェノール、モノ(4−シアノフェニル)−トリブロモ−ビスフェノール、テトラブロモビスフェノール誘導体の組成比は前駆体の組成比と同等であった。
【0096】
<重合性化合物(2−1)の製造例>
重合性化合物(2−1)は以下の構造である。以下にその合成例を示す。

【0097】
(2−1の合成例)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2.7g(11.8mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.72g(5.9mmol)、(4−(4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)安息香酸(PG−e)1.82g(4.42mmol)、エチル3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩1.02g(5.3mmol)を脱水クロロホルム30gに溶解させた。得られた溶液を室温、窒素雰囲気下で4時間攪拌した。反応終了を確認後、反応溶液をエバポレーションにて4倍まで濃縮し、400gのエタノールに再沈殿させた。得られた白色粉末を濾過、真空乾燥させることにより、重合性化合物(2−1)9.7gを得た。収率は 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン基準で92%であった。
【0098】
<非重合性化合物(2−2)の製造例>
非重合性化合物(2−2)は以下の構造である。以下にその合成例を示す。

【0099】
(4−(4−ヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−f)の合成例)
前項で得られた4−ヒドロキシ安息香酸エトキシメチルエステル(PG−d)を主成分とする黄色液体58.9gに、4−ヘキシルオキシ安息香酸の白色固体 63.4g(0.285mol)、4−ジメチルアミノピリジン3.7(30mmol)、クロロホルム392gを加えた。続いてN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)58.8g(0.285mol)をクロロホルム196gに溶解させ、室温で滴下し、24時間攪拌した。その後、濾過して固形物を取り除いて得られた有機層を2N塩酸294gで2回分液洗浄した。洗浄した有機層は、溶媒を留去し、114gの淡黄色液体を得た。
得られた液体にエタノール342gとパラトルエンスルホン酸ピリジニウム塩7.2g(29mmol)を加え、60℃で3時間攪拌した。その反応溶液を室温まで冷却すると、白色結晶が析出するため、濾過をして、固形物を取り出した。得られた固形物をエタノールで入念に洗浄した後、乾燥すると、4−(4−ヘキシルオキシ)ベンジルオキシ)安息香酸(PG−f)が56.9g得られた。収率は4−ヘキシルオキシ安息香酸基準で58%であった。
【0100】
(2−2の合成例)
2,2−ビス(1−フェニル−2−ヒドロキシ−5−フェニルイル)プロパン4.0g(10.5mmol)、4−ジメチルアミノピリジン0.64g(5.3mmol)、(4−(4−ヘキシルオキシベンゾイル)オキシ)安息香酸(PG−f)7.56g(22.1mmol)、エチル3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩4.66g(24.3mmol)を脱水クロロホルム75gに溶解させた。得られた溶液を室温、窒素雰囲気下で2時間攪拌した。反応終了を確認後、反応溶液をエバポレーションにて4倍まで濃縮し、500gのイソプロパノールに再沈殿させた。得られた白色粉末を濾過、真空乾燥させることにより、非重合性化合物(2−2)10.4gを得た。収率は2,2−ビス(1−フェニル−2−ヒドロキシ−5−フェニルイル)プロパン基準で91%であった。
【0101】
(実施例1)
<光学フィルムの製造例>
ガラス基板にポリビニルアルコール (ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製) の2重量%水溶液を塗布したのち、加熱乾燥後、厚さ89nm膜を得た。続いて、表面にラビング処理を施したのち、ラビング処理を施した面に、表1の実施例1記載の重合性化合物(1)を含む混合溶液をスピンコート法により塗布し、45℃で1分間乾燥した。続いて、室温で1分間放置後、1200mJ/cmの紫外線を照射して、膜厚0.98μmの光学フィルムを作成した。
表1中、LC242は、BASF社より入手した液晶化合物を含む溶液であり、光重合開始剤はイルガキュア907(チバスペシャリティーケミカルズ社製)、レベリング剤はBYK361N(ビックケミージャパン製)、溶剤はシクロペンタノンを用いた。また、表1において、溶剤以外の各成分の重量%は、塗布液を100重量%とした固形分の重量%を意味し、溶剤はシクロペンタノンとLC242の溶剤の合計の重量%を意味する。
【0102】
【表1】

光重合性開始剤:イルガキュア907(チバスペシャリティーケミカルズ製)
溶剤:シクロペンタノン
【0103】
<製造直後(耐久性試験前)における光学フィルムの物性(透明性、膜厚、位相差値、チルト角)測定>
作成した光学フィルムの正面位相差値及びチルト角を測定機(KOBRA−WR、王子計測機器社製)を用いて測定した。また、光学フィルムの重合性化合物に由来する膜厚をレーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス社製)を用いて測定した。さらに、光学フィルムのヘーズをヘーズメーター(HZ−2、スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。製造直後の光学フィルムについて上記測定を行ったところ、550nmにおける正面位相差値は95.7nmであり、チルト角は34度で傾斜配向を示した。ヘーズ値は0.16%の散乱を示すにとどまり、ほぼ透明であった。実施例1の光学フィルムは、製造直後において、透明で均一に配向した光学フィルムであることがわかった。結果を表2の耐久試験前の項に示す。
【0104】
<耐久性試験>
作成した光学フィルムを温度100℃、湿度0%の恒温恒湿機にて、500時間経過後の光学フィルムについて、前項と同様に、正面位相差値、チルト角、膜厚及びヘーズ値を測定した。実施例1の光学フィルムは500時間経過後もヘーズ値(0.22%)も変化せず、透明性について耐久性に優れていた。また、膜厚(0.98μm)、正面位相差値(93.7nm)及びチルト角(34度)についてもほとんど変化せず、他の物性についても耐久性に優れることがわかった。結果を表2の耐久性試験後の項に合わせて示す。
【0105】
【表2】

【0106】
(実施例2)
表1の実施例2記載の重合性化合物(1)を含む混合溶液を用い、110℃で1分間乾燥に変えた以外は実施例1と同様にして、光学フィルムを製造し、膜厚0.99μmの光学フィルムを作成した。得られた光学フィルムについて実施例1と同様の光学特性を製造直後及び温度100℃、湿度0%、500時間後に測定した。結果を表2に示す。光学フィルムのヘーズ値、正面位相差値及びチルト角について、製造直後及び500時間後でほとんど変化が認められなかった。
【0107】
(比較例1)
表1の比較例1記載の重合性化合物(1)を含む混合溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを製造し、膜厚0.97μmの光学フィルムを作成した。得られた光学フィルムは、製造後10分程度で表面が白濁化した。得られた光学フィルムについて、白濁したため正面位相差値及びチルト角は製造直後から測定できず、ヘーズ値のみ、実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。光学フィルムのヘーズ値は、500時間後に7%を超え、一層、白濁化した。
【0108】
(比較例2)
表1の比較例2記載の重合性化合物(1)を含む混合溶液を用いる以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを製造し、膜厚1.02μmの光学フィルムを作成した。得られた光学フィルムについて実施例1と同様の光学特性を製造直後及び温度100℃、湿度0%、500時間後に測定した。結果を表2に示す。光学フィルムの製造直後は、ヘーズ値、正面位相差値及びチルト角について表2記載の値を得たが、500時間後では白濁化し、正面位相差値及びチルト角は測定できなかった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の重合性化合物(1)は、ビスフェノール骨格を有する重合性化合物であり、該化合物から得られる光学フィルムは、透明性に優れる。また、該光学フィルムは、配向欠陥がなく、均一なチルト配向を示す。
このような優れた特性から、該光学フィルムは、アンチリフレクション(AR)フィルムなどの反射防止フィルム、偏光板、位相差板、楕円偏光板、視野角拡大フィルム、視野角補償用光学補償フィルムなどに利用可能である。
また、該光学フィルムはLCD、ELなどのFPDに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】光学フィルムと偏光フィルムとが直接又は接着剤を介して貼りあわされた偏光板
【図2】複数の光学フィルムと偏光フィルムとが直接又は接着剤層を介して貼りあわされた偏光板
【図3】液晶表示装置に用いられる、偏光板と液晶パネルとの貼合品
【図4】有機エレクトロルミネッセンス表示装置に用いられる有機エレクトロルミネッセンスパネル
【符号の説明】
【0111】
1、1’ 光学フィルム
2 偏光フィルム
3、3’、3” 接着剤
11、11’ 液晶層(重合性化合物(1)に由来する構造単位を含むフィルム
のみからなる層)
12、12’ 配向膜
13、13” 支持基材
4 偏光板
5 接着剤
6 液晶パネル
7 発光層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される重合性化合物。

(式(1)中、Xは−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−CH−CH−又は−CRR’−を表す。R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R及びR’は、互いに結合した炭素数4〜6のアルキレン基であってもよい。該アルキル基及びアルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
Y1及びY2は、それぞれ独立に、単結合又はカルボニル基を表す。
n及びn’は、それぞれ独立に、2〜4のいずれかの整数を表す。
B1及びB2は、それぞれ独立に、炭素数5〜6の2価の環状炭化水素基を表し、該環状炭化水素基に含まれる水素原子はフッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基に置換基されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよい。
L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、−CH−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−、−NR”−C(=O)−、−OCH−、−NR”−、−CHO−、−SCH−又は−CHS−を表す。R”は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。
C1及びC2は、それぞれ独立に、炭素数2〜25のアルキレン基を表す。C1及びC2に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフロオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
D1及びD2は水素原子又は重合性基を表し、D1及びD2の少なくとも一方は重合性基である。
A1〜A8は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は下記式(2)で表される基を表し、A1〜A8の少なくとも1つの基は式(2)で表される基である。
−L3−Z1 (2)
[式(2)中、L3は単結合、−C≡C−、−CH=CH−、−C(=O)−、−S(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−又は−NR”−C(=O)−を表す。R”は、前記と同じ意味を表す。Z1は炭素数5〜6の1価の環状炭化水素基を表し、該環状炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、、(−OR)、−SR又はジメチルアミノ基に置換されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子、カルボニル基(−C(=O)−)又はスルホニル基(−S(=O)−)に置換されていてもよい。])
【請求項2】
式(1)中のD1及びD2として含まれる重合性基が、アクリロイル基又はメタクリロイル基である請求項1記載の重合性化合物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の式(1)で表される重合性化合物と、該重合性化合物とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物とを含有する組成物。
【請求項4】
式(1)で表される重合性化合物とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物が、式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)又は式(V)で表される化合物である請求項3記載の組成物。
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-B15-L16-C12-D12 (I)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-B14-L15-C12-D12 (II)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-C12-D12 (III)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-B13-L14-F11 (IV)
D11-C11-L11-B11-L12-B12-L13-F11 (V)
(式(I)、式(II)、式(III)、式(IV)及び式(V)において、
B11、B12、B13、B14及びB15は、それぞれ独立に、2価の環状炭化水素基、フルオレニル基又はチオフェニレン基を表し、該環状炭化水素基、フルオレニル基及びチオフェニレン基に含まれる水素原子はフッ素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数1〜7のアルコキシ基に置換基されていてもよく、該環状炭化水素基の炭素原子はヘテロ原子に置換されていてもよい。
L11、L12、L13、L14、L15及びL16は、それぞれ独立に、−CRR’−、−C≡C−、−CH=CH−、−CH−CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=S)−、−C(=S)−O−、−O−C(=S)−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−C(=O)−NR”−、−NR”−C(=O)−、−OCH−、−OCF−、−NR”−、−CHO−、−CFO−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−又は単結合を表す。R及びR’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。R及びR’は、互いに結合した炭素数4〜6のアルキレン基であってもよい。該アルキル基及びアルキレン基に含まれる水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。R”は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜7のアルキル基を表す。
C11及びC12は、それぞれ独立に、炭素数2〜25のアルキレン基を表す。C11及びC12に含まれる水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、トリフロオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基又はハロゲン原子に置換されていてもよい。
D11及びD12は、それぞれ独立に、重合性基を表す。
F11は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜13のアルキル基、炭素数1〜13のアルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基又はハロゲン原子を表す。
【請求項5】
式(1)で表される重合性化合物と、該重合性化合物とは異なる化合物であって液晶性を示す重合性化合物との合計100重量部に対して、式(1)で表される重合性化合物を1〜50重量部含有する請求項3又は4記載の組成物。
【請求項6】
請求項1又は2記載の式(1)で表される重合性化合物に由来する構造単位を含有する光学フィルム。
【請求項7】
請求項3〜5のいずれか記載の組成物を重合してなる光学フィルム。
【請求項8】
請求項6又は7記載の光学フィルムであって、該光学フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が80〜160nmであるλ/4板。
【請求項9】
請求項6又は7記載の光学フィルムであって、該光学フィルムを透過する光の波長550nmにおける位相差値(Re(550))が250〜300nmであるλ/2板。
【請求項10】
請求項6又は7記載の光学フィルムと偏光フィルムとを含む偏光板。
【請求項11】
請求項10記載の偏光板を備えるフラットパネル表示装置。
【請求項12】
請求項10記載の偏光板及び液晶パネルを備える液晶表示装置。
【請求項13】
請求項10記載の偏光板を含む有機エレクトロルミネッセンスパネルを備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項14】
支持基材に、請求項3〜5のいずれか記載の組成物を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
【請求項15】
支持基材上に形成された配向膜上に、請求項3〜5のいずれか記載の組成物を塗布し、乾燥させる未重合フィルムの製造方法。
【請求項16】
請求項14又は15記載の製造方法で得られた未重合フィルムを重合により硬化させる光学フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−108152(P2009−108152A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−280086(P2007−280086)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】