説明

重合性化合物及びそれを含有する組成物

【課題】優れた硬化能を持つ重合性化合物、及びそれを含有する組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)等で表される特定構造を有する(メタ)アクリルアミド化合物、及びそれを含有する組成物。


(一般式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは互いに同じでも異なっていてもよい。n及びmは、それぞれ独立に2又は3を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性化合物に関する。また、本発明は、当該化合物を含有する組成物、特にインク用途に有用な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光や熱等のエネルギーを付与することで重合し硬化する化合物は、各種のポリマーや硬化性組成物の原料として、コーティング材、塗料、印刷インク、接着剤、レジスト材等の工業的用途に幅広く利用されている。例えば、紫外線によって硬化する重合性化合物をインクや塗料に配合し、画像形成後に紫外線照射により当該化合物を重合させ硬化膜を形成することで、画像の耐候性や耐久性を高めることが行われている。
このような硬化性(重合性)化合物として、例えば特許文献1には、特定構造のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドと、水酸基を2つ以上有する多価アルコールとを反応させて得られる多官能アクリルアミド化合物が開示されている。
【0003】
近年、大気・環境汚染の原因の1つとして、揮発性有機化学物質(VOC)が問題視されている。VOCは各種の溶剤や燃料として工業的に広く用いられており、その排出量抑制や飛散防止措置が求められている。上述のような硬化性組成物においても、水や親水性溶媒のような安全性に配慮した媒体の使用が望まれ、それに伴って水溶性の重合性化合物の需要が今後増してくると考えられる。
【0004】
印刷用インク組成物においても、媒体として水やアルコール等の親水性物質を用いる水性インクが注目されている。水性インクによって形成された画像を定着させる方法としては、例えば、水性インクに熱可塑性ラテックスを含有させ、形成した画像を加熱することにより定着させる方法、重合性化合物と重合開始剤とを含有する活性エネルギー線硬化型水性インクによって画像を形成し、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで画像を硬化させて定着させる方法等が知られている。後者の方法は、インクの粘度を低く抑えられることから、インクジェット記録方式に好適である。
このような活性エネルギー線硬化型インクでは、記録媒体上で硬化して被膜として定着する性能を向上させるため、配合する重合性化合物や重合開始剤の改良が行われている。特許文献2には、水溶性の重合性物質として多官能(メタ)アクリルアミド化合物を用いた活性エネルギー線硬化型水性インクが記載されている。しかし、当該インク組成物に用いられる多官能アクリルアミド化合物は、保存時に加水分解して(メタ)アクリルアミドを生成することがあり、また活性エネルギー線照射後の硬化性についても満足すべきとはいえないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−31372号公報
【特許文献2】特開2005−307198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた重合性を有し硬化剤等として有用な化合物、及び当該化合物を含有する組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題に鑑み、新規な重合性化合物について鋭意検討を行った。その結果、分子内に2つ又は3つのC−C二重結合を有し、優れた重合性及び硬化性を備えた新規化合物を見出した。当該化合物は良好な水溶性を有するものであった。さらに、当該化合物と重合開始剤とを含有する組成物は優れた硬化性を示すこと、当該組成物が硬化性インク用の組成物として好適に利用できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づき成されるに至った。
【0008】
すなわち、上記課題は下記の手段により解決された。
<1> 下記一般式(I)又は(II)で表される化合物。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
(一般式(I)及び(II)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは互いに同じでも異なっていてもよい。n及びmは、それぞれ独立に2又は3を表す。)
<2> 前記<1>項に記載の化合物からなる硬化剤。
<3> 前記<1>項に記載の化合物と重合開始剤とを含有する組成物。
<4> さらに溶剤を含んでなる前記<3>記載の組成物。
<5> さらに色材を含んでなる前記<3>又は<4>項記載の組成物。
<6> さらに単官能重合性化合物を含んでなる前記<3>〜<5>項のいずれか1項に記載の組成物。
<7> 前記溶剤として水を含む前記<4>〜<6>項のいずれか1項に記載の組成物。
<8> 硬化性インク組成物であるである前記<3>〜<7>項のいずれか1項に記載の組成物。
<9> インクジェット記録用インク組成物である前記<3>〜<8>項のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の前記一般式(I)又は(II)で表される化合物は、分子内に2つ又は3つのC−C二重結合を有し優れた重合能を備え、硬化剤として利用することができる。また、本発明の化合物は、良好な水溶性を示し、安全性への配慮から水や親水性媒体を使用する用途への適用が可能である。
本発明の組成物は、当該重合性化合物と重合開始剤とを含有し、優れた硬化性を示し、印刷インク、各種塗料、レジスト、接着剤、コーティング材等の用途に用いることができる。特に、本発明の組成物は硬化性インク用組成物、すなわち、画像形成後に光等の照射により硬化して定着するインク用の組成物として好適に利用できる。本発明の組成物を用いたインクは、硬化後の画像の耐擦性や耐ブロッキング性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1で合成された重合性化合物A1のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例1で合成された重合性化合物A1の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】実施例1で合成された重合性化合物A2のH−NMRスペクトルを示す図である。
【図4】実施例1で合成された重合性化合物A2の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において「〜」とは、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明において「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを、「(メタ)アクリル」は、アクリル及び/又はメタクリルを、それぞれ表す。
【0015】
本発明の化合物は、前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物である。
一般式(I)又は(II)において、Rは、水素原子であることが好ましい。
一般式(I)又は(II)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
【化3】

【0017】
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物は、例えば、下記スキームに従って製造することができる。なお、下記スキームにおいて、Rは水素原子又はメチル基を表す。
【0018】
【化4】

【0019】
出発物質として(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、(2−ヒドロキシエチル)−1,3−プロパンジアミン、又は(3−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを用い、これとアクリル酸クロリド又はメタクリル酸クロリドとのアシル化反応により多官能アクリルアミド化合物が得られる。当該反応は、−10〜35℃で、0.5〜12時間行なうことが好ましい。なお、アシル化剤は、酸クロリドに換えてアクリル酸無水物又はメタクリル酸無水物を用いてもよい。なお、アシル化工程で、アクリル酸クロリドとメタクリル酸クロリドの両方を用いることで、最終生成物として同一分子内にアクリルアミド基とメタクリルアミド基とを有する化合物を得ることができる。
【0020】
上記反応により得られた化合物は、反応混合物から常法により精製できる。例えば、有機溶媒を用いた分液抽出、貧溶媒を用いた晶析、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーなどによって精製できる。
【0021】
前記一般式(I)又は(II)で表される化合物は、分子内に重合性基として2つ又は3つのアクリルアミド基又はメタクリルアミド基を有する多官能モノマーである。当該化合物は、例えば、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線等の活性エネルギー線や熱等のエネルギーを付与することにより、重合して硬化性を示す。そのため、前記一般式(I)又は(II)で表される化合物は硬化剤として用いることができる。当該硬化剤は各種の組成物に配合することができ、例えば、印刷インク、各種塗料、レジスト、接着剤、コーティング材等の用途に好適に用いられる。
また、前記一般式(I)又は(II)で表される化合物は水溶性を示し、水やアルコール等の水溶性有機溶剤に良好に溶解する。
【0022】
本発明の組成物は、(A)前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物と(B)重合開始剤とを含有するものである。上述のように、前記一般式(I)又は(II)で表される化合物は重合能を有しており、当該化合物と重合開始剤とを配合することで硬化性(重合性)に優れた組成物が得られる。
【0023】
(A)一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物
本発明の組成物には、前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物が少なくとも1種含有され、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。組成物中の前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物の含有量は特に限定されないが、1〜90質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましい。後述のように本発明の組成物をインク組成物として用いる場合は、耐擦性や耐ブロッキング性を付与する観点から、3〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜25質量%が特に好ましい。
【0024】
(B)重合開始剤
本発明の組成物に用いる重合開始剤は、前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物を重合させることができれば特に限定されず、通常のラジカル重合開始剤を使用することができる。ラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収してラジカル重合開始種を生成する化合物である。ラジカル重合開始剤は、重合を開始するための外部エネルギーが熱であるものと活性エネルギー線であるものとに大別されるが、本発明では活性エネルギー線によりラジカル重合開始種を生成する光重合開始剤が好ましく使用される。
重合開始剤と共に含有される前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物が水や水溶性有機溶剤に良好な溶解性を示すことを考慮すると、水溶性の光重合開始剤又は水不溶性の光重合開始剤の水分散物が好ましく使用され、水溶性の光重合開始剤がより好ましい。なお、光重合開始剤における水溶性とは、25℃において蒸留水に0.5質量%以上溶解することを意味する。前記水溶性の光重合開始剤は、25℃において蒸留水に1質量%以上溶解することが更に好ましく、3質量%以上溶解することが特に好ましい。
【0025】
本発明の組成物に使用され得る光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機化酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びにアルキルアミン化合物等が挙げられる。
【0026】
芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、及び、チオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」,J.P.FOUASSIER,J.F.RABEK(1993)、pp.77〜117記載のベンゾフェノン骨格又はチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。また、特開2008−105379号公報、特開2009−114290号公報に記載の重合開始剤も好ましい。また、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている重合開始剤などを挙げることができる。
【0027】
これらのなかでも、本発明の組成物に好適な光重合開始剤は、芳香族ケトン類又はアシルホスフィンオキサイド化合物である。特に、p−フェニルベンゾフェノン(和光純薬工業社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819、BASF・ジャパン社製)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(Darocur TPO、BASF・ジャパン社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure 369、BASF・ジャパン社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure 907、BASF・ジャパン社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(Irgacure 2959、BASF・ジャパン社製)が好ましく、水溶性と加水分解耐性の観点から、Irgacure 2959(BASF・ジャパン社製)が最も好ましい。
【0028】
本発明の組成物は、重合開始剤を1種単独で含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
本発明の組成物における重合開始剤の含有量は、固形分換算で0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1.0〜5質量%が特に好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、硬化性を要求される、例えば印刷インク、各種塗料、レジスト、接着剤、コーティング材等の各種の用途に適用できる。本発明の組成物の好ましい態様の1つとしては、インク組成物が挙げられる。
本発明の組成物は用いる用途に応じて、上記(A)一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物、及び(B)重合開始剤に加えて、更に任意成分を含有してもよい。任意成分としては(C)溶剤、(D)色材、(E)単官能重合性化合物などが挙げられる。以下、これらの成分について説明する。
【0030】
(C)溶剤
本発明の組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては水、有機溶剤及びそれらの混合物が挙げられ、組成物の用途に応じて適宜選択しうる。本発明の組成物では、溶剤として有機溶剤のみを使用してもよいが、環境負荷を低減し安全性を高める点からは、水及び/又は水溶性有機溶剤を用いることが好ましく、水を用いることが特に好ましい。本発明の組成物に用いられる前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物は、水や水溶性有機溶剤に良好な溶解性を示すため、このような環境負荷軽減の要求にも適うものである。
溶剤として水を用いる場合、イオン交換水や蒸留水などのイオン性不純物を含まない水がより好ましい。本発明の組成物における水の含有量は、10〜99質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましく、50〜80質量%であることが特に好ましい。
【0031】
本発明の組成物をインク用途に用いる場合、乾燥防止或いはインクの紙への浸透促進効果を付与するために有機溶剤を用いてもよく、その場合は水と併用することが好ましい。用いる有機溶剤の量は、安全性等の水の持つ特質を損なわない範囲であることが好ましい。また、水との併用性を考慮すると、水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。噴射ノズルのインク吐出口付近に付着したインク組成物が、乾燥固化してインク吐出口を目詰まりさせてしまうのを防ぐためには、蒸気圧が水よりも低い有機溶剤を用いることが好ましい。
【0032】
本発明で用いうる有機溶剤の具体例としては、例えば、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルカンジオール(多価アルコール類);糖アルコール類;エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素原子数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−イソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類等が挙げられる。
【0033】
乾燥防止の目的としては、多価アルコール類が有用である。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなどが挙げられる。
【0034】
浸透促進の目的としては、脂肪族ジオールが好適である。脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい例として挙げることができる。
【0035】
また、記録媒体におけるカール発生抑制の点から、有機溶剤として下記構造式(X)で表される化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0036】
【化5】

【0037】
構造式(X)において、l、m、およびnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、l+m+n=3〜15を満たし、l+m+nは3〜12の範囲が好ましく、3〜10の範囲がより好ましい。l+m+nの値は、3以上であると良好なカール抑制力を示し、15以下であると良好な吐出性が得られる。構造式(X)中、AOは、エチレンオキシ(EO)およびプロピレンオキシ(PO)の少なくとも一方を表し、中でもプロピレンオキシ基が好ましい。前記(AO)、(AO)、及び(AO)における各AOはそれぞれ同一でも異なってもよい。
【0038】
下記に構造式(X)で表される化合物の具体例を示す。なお、下記例示化合物中、「POP(3)グリセリルエーテル」との記載は、グリセリンにプロピレンオキシ基が合計で3つ結合したグリセリルエーテルであることを意味し、他の記載についても同様である。
【0039】
【化6】

【0040】
さらに、記録媒体におけるカール発生抑制の点から、有機溶剤として下記に例示する化合物(a)〜(g)を含有することも好ましい。なお、AOは、エチレンオキシ(EO)およびプロピレンオキシ(PO)の少なくとも一方を表す。

(a) n−CO(AO)−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)(日油社製)
(b) n−CO(AO)10−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:1)(日油社製)
(c) HO(AO)40−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=1:3)(日油社製)
(d) HO(AO)55−H(AO=EO又はPOで、比率はEO:PO=5:6)(日油社製)
(e) HO(PO)−H(PP−200、三洋化成工業(株)製)
(f) HO(PO)−H(PP−400、三洋化成工業(株)製)
(g) 1,2−ヘキサンジオール(宇部興産社製)
【0041】
上記有機溶剤は、1種単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。有機溶剤の含有量は、組成物全量に対して0〜40質量%が好ましく、0〜20質量%が更に好ましく、0〜10質量%が特に好ましい。
また、全水溶性有機溶剤中に占める前記構造式(X)で表される化合物及び上記例示化合物(a)〜(g)の含有割合は、3質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。当該範囲内とすることにより、インクの安定性や吐出性を悪化させずにカールを抑制することができる。
【0042】
(D)色材
本発明の組成物に色材を含有させれば、インクや塗料等の着色性組成物とすることができる。
含有する色材としては、通常の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。中でも、インク着色性の観点から、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材を用いることが好ましい。具体的には、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げられるが、これらの中でも耐光性の観点から顔料であることが好ましい。顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれも使用することができる。
【0043】
有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などが好ましい。アゾ顔料としては、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。多環式顔料としては、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、などが挙げられる。染料キレートとしては、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などを用いることができる。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、を用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましく、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを用いることができる。
より具体的には、特開2007−100071号公報の段落番号[0142]〜[0145]に記載の顔料等が挙げられ、これらは本発明の組成物において好ましく使用される。
【0044】
本発明の組成物は、色材を1種単独で使用してもよく、また、上記の各群内もしくは各群間より複数種の色材を選択して組み合わせて使用してもよい。
本発明の組成物中における色材の含有量は、色濃度、粒状性、インク安定性、吐出信頼性の観点から、組成物に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
【0045】
(顔料分散物)
本発明の組成物が顔料を含有する場合、顔料が分散剤によって水系媒体に分散された分散物(以下、着色粒子分散物ともいう)を用いることが好ましい。顔料は上述のものを使用できる。分散剤としては、ポリマー分散剤、低分子の界面活性剤型分散剤などを使用でき、ポリマー分散剤が好ましい。
着色粒子分散物は、顔料粒子の分散安定性とインクジェット法に適用した場合の吐出性との観点から、顔料をポリマー分散剤によって水系媒体に分散させた後、架橋剤を添加してポリマー分散剤同士を架橋させ、架橋ポリマーにより顔料表面の少なくとも一部が被覆された着色粒子分散物であることが好ましい。
【0046】
ポリマー分散剤としては、水溶性ポリマー分散剤及び水不溶性ポリマー分散剤を使用できるが、顔料粒子の分散安定性とインクジェット法に適用した場合の吐出性との観点から、水不溶性ポリマー分散剤が好ましい。
【0047】
(水不溶性ポリマー分散剤)
本発明に用いうる水不溶性ポリマー分散剤は、顔料を分散可能であれば特に制限はなく、通常のものを使用できる。例えば、疎水性の構成単位と親水性の構成単位とからなるポリマーを水不溶性ポリマー分散剤として用いることができる。
前記疎水性の構成単位となるモノマーとしては、スチレン系モノマー、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記親水性構成単位となるモノマーは、親水性基を含むモノマーであれば特に制限はなく、親水性基としてはノニオン性基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等を挙げることができる。なお、ノニオン性基としては、水酸基、(窒素原子が無置換の)アミド基、アルキレンオキシド重合体(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等)に由来する基、糖アルコールに由来する基等が挙げられる。親水性構成単位は、分散安定性の観点から、少なくともカルボキシル基を含むことが好ましく、ノニオン性基とカルボキシル基とを共に含むこともまた好ましい。
【0048】
水不溶性ポリマー分散剤として具体的には、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
なお、本発明において(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0049】
水不溶性ポリマー分散剤は、顔料の分散安定性の観点から、カルボキシル基を含むビニルポリマーであることが好ましく、疎水性の構成単位として少なくとも芳香族基含有モノマーに由来する構成単位を有し、親水性の構成単位としてカルボキシル基を含む構成単位を有するビニルポリマーであることがより好ましい。
【0050】
水不溶性ポリマー分散剤の重量平均分子量は、顔料の分散安定性の観点から、3,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましく、5,000〜80,000が更に好ましく、10,000〜60,000が特に好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソ−(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソ−(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。
【0051】
本発明の組成物に含まれる色材は、前記顔料および前記水不溶性ポリマー分散剤を含んで構成されていることが好ましく、顔料の表面の少なくとも一部が水不溶性ポリマー分散剤で被覆されて構成されている着色粒子であることが好ましい。
このような着色粒子は、例えば、顔料、分散剤、必要に応じて溶媒(好ましくは有機溶剤)等を含む混合物を、分散機により分散することで、着色粒子分散物として得ることができる。具体的には、例えば、前記顔料と前記水不溶性ポリマー分散剤と該分散剤を溶解または分散する有機溶剤との混合物に、塩基性物質を含む水溶液を加える工程(混合・水和工程)の後、前記有機溶剤を除く工程(溶剤除去工程)を設けて着色粒子分散物を製造することができる。この方法によれば、顔料が微細に分散され、保存安定性に優れた着色粒子分散物を得ることができる。
【0052】
着色粒子分散物の体積平均粒径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmが更に好ましく、10〜100nmが特に好ましい。体積平均粒径が200nm以下であることで色再現性が良好になり、さらにインクジェット法の場合には打滴特性が良好になる。また、体積平均粒径が10nm以上であることで、耐光性が良好になる。
着色粒子(色材)の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を、2種以上混合して使用してもよい。なお、体積平均粒径および粒径分布は、例えば、光散乱法を用いて測定することができる。
本発明の組成物においては、このような着色粒子分散物を1種単独で、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
着色粒子分散物において、分散剤は、顔料に対して10〜100質量%使用することが好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。顔料に対する分散剤の含有量を上記範囲とすることで、顔料粒子が適量の分散剤で被覆され、分散性、分散安定性、着色性に優れた着色粒子を得ることができる。
着色粒子分散物は、水不溶性ポリマー分散剤に加えて、その他の分散剤を含んでいてもよい。例えば、通常用いられる水溶性低分子分散剤や、水溶性ポリマー等を用いることができる。水不溶性ポリマー分散剤以外の分散剤は、上述の分散剤の含有量の範囲内で用いることができる。
【0054】
(E)単官能重合性化合物
本発明の組成物は、(A)前記一般式(I)又は(II)で表される多官能重合性化合物に加えて、単官能重合性化合物を含有することが好ましい。本発明で用いうる単官能重合性化合物としては、特開2008−208190号公報や特開2008−266561号公報に記載の(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル化合物、N−ビニル化合物(アミド結合を有する重合性モノマー)等が挙げられる。中でも、保存安定性向上の観点からは、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル化合物、N−ビニル化合物(アミド結合を有する重合性モノマー)を用いることが好ましく、(メタ)アクリルアミド化合物を用いることが特に好ましい。また、硬化性の観点からは、(メタ)アクリルアミド化合物を用いることが好ましい。
特に、保存安定性と硬化性の両方を兼ね備える点から、本発明においては単官能重合性化合物として(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物を用いることが好ましい。
【0055】
本発明で用いる(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物として、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
【0056】
【化7】

【0057】
一般式(III)中、R10は水素原子又はメチル基を表し、水素原子が好ましい。
11は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、水素原子、メチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
12は置換又は無置換のアルキル基を表す。R12のアルキル基としては、直鎖又は分岐の炭素原子数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)が好ましく、炭素原子数2〜4のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2又は3のアルキル基が特に好ましい。
【0058】
12のアルキル基はさらに置換されていることが好ましく、当該置換基としては、アシル基、水酸基、3級アミノ基、4級アンモニウム基又はスルホ基等が挙げられる。なかでも、R12は置換基としてアシル基、水酸基、又はジアルキルアミノ基を有することが好ましく、水酸基を有することがより好ましい。
【0059】
12が置換基としてアシル基を有する場合、当該アシル基は−CO−R'(R'はアルキル基)で表され、炭素原子数2〜4のアシル基が好ましく、炭素原子数2又は3のアシル基がより好ましく、炭素原子数2のアシル基が特に好ましい。当該アシル基の具体例としては、−COCHが挙げられる。
12が置換基として3級アミノ基を有する場合、当該3級アミノ基は、−NR''(R''は置換基)で表される。R''としては、直鎖又は分岐の炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基が特に好ましい。2つのR''は、互いに同じであっても異なっていてもよい。当該3級アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が挙げられる。
12が置換基として4級アンモニウム基を有する場合、当該4級アンモニウム基は、−NR'''(R'''は置換基)で表される。R'''としては、直鎖又は分岐の炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基が特に好ましい。3つのR'''は、互いに同じであっても異なっていてもよい。当該4級アンモニウム基の具体例としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基が挙げられる。また、当該4級アンモニウム基の対アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハライドイオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
12が置換基としてスルホ基を有する場合、当該スルホ基は、スルホ基(−SOH)及びその塩(−SO)を包含する。塩の場合、カチオン(X)としては、Li、Na、K、アンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
【0060】
一般式(III)において、R11とR12は互いに結合して5〜8員環を形成してもよく、当該5〜8員環はさらに環構成原子又は基として−O−、−S−、及び−NR−から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
11とR12が互いに結合して形成する環構造は、5〜6員環であることが好ましい。R11とR12が互いに結合して形成する環には、さらに−O−、−S−、及び−NR−から選ばれる少なくとも1種が含まれていることが好ましく、−O−を含むことがより好ましい。
は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0061】
前記一般式(III)で表される(メタ)アクリルアミド構造を有する単官能重合性化合物の具体例として、下記例示化合物(C−1)〜(C−13)が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
【化8】

【0063】
上記例示化合物(C−1)〜(C−13)としては、例えば下記のものを入手可能である。
(C-1):ジアセトンアクリルアミド(協和発酵ケミカル社製)
(C-2):ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)
(C-3):ヒドロキシプロピルアクリルアミド(Fluka社製)
(C-4):N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロペンアミド(aldrich社製)
(C-5):N-(2-ジメチルアミノエチル)アクリルアミド(aldrich社製)
(C-6):ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(興人社製)
(C-7):2-(アクリロイルオキシ)-N,N,N-トリメチルエタンアミニウムクロリド(興人社製)
(C-8):(3-アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(興人社製)
(C-9):2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(東亜合成社製)
(C-10):N-[1,1-ジメチル-2-(ソジオオキシスルホニル)エチル]アクリルアミド(aldrich社製)
(C-11):N,N-ジメチルアクリルアミド(興人社製)
(C-12):N,N-ジエチルアクリルアミド(興人社製)
(C-13):4-アクリロイルモルホリン(興人社製)
【0064】
本発明の組成物中における(E)単官能重合性化合物の含有量は、0.1〜90質量%が好ましく、1〜45質量%がより好ましく、3〜30質量%がさらに好ましく、5〜20質量%が特に好ましい。
特に、本発明の組成物をインク組成物として用いる場合、インク組成物中における(A)前記一般式(I)又は(II)で表される多官能重合性化合物と(E)単官能重合性化合物との含有比率が、質量比で、(A):(E)=1:99〜90:10であることが好ましく、(A):(E)=10:90〜70:30であることがより好ましく、(A):(E)=15:85〜60:40であることがさらに好ましく、(A):(E)=20:80〜50:50であることが特に好ましい。(A)に対する(E)の含有比率が上記範囲内であると、画像の密着性において優れる。
【0065】
(増感剤)
本発明の組成物は、増感色素等の増感剤を含有してもよく、好ましい。増感色素は、通常のものを用いることができ特に限定されないが、本発明の組成物の特性を考慮すると、水や水溶性有機溶媒に対する溶解性のよいものが好ましい。具体的には、蒸留水に対して室温において0.5質量%以上溶解するものが好ましく、1質量%以上溶解するものがより好ましく、3質量%以上溶解するものが特に好ましい。また、増感色素としては、非水溶性の重合開始剤を水溶性媒体等に分散した重合開始剤も用いることができる。
本発明の組成物に併用しうる増感色素の例としては、N−[2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアルミウムクロリド、ベンゾフェノン、チオキサントン、アントラキノン誘導体及び3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン及び3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン及びエリスロシンや、これらを水溶化した変性体及び分散体などが挙げられる。また、特開2010−24276号広報に記載の増感色素や、特開平6−107718号広報に記載の増感色素も、本発明において好適に使用できる。
【0066】
(樹脂粒子)
本発明の組成物は、必要に応じて樹脂粒子を含有してもよい。樹脂粒子としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素系樹脂等あるいはそのラテックスを用いることができる。なかでも、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン系樹脂が好ましい。
【0067】
樹脂粒子の重量平均分子量は、1万〜20万であることが好ましく、10万〜20万が更に好ましい。重量平均分子量は、上述の水不溶性ポリマー分散剤の場合と同様に測定することができる。
樹脂粒子の体積平均粒径は、10nm〜1μmであることが好ましく、15〜200nmが更に好ましく、20〜50nmが特に好ましい。樹脂粒子の粒径分布は、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ樹脂粒子を、2種以上混合して使用してもよい。体積平均粒径および粒径分布は、上述の着色粒子分散物の場合と同様に測定することができる。
また、樹脂粒子のガラス転移温度は、30℃以上であることが好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましい。なお、本発明においてガラス転移温度は、実測によって得られる測定Tgを適用する。具体的には、測定Tgは、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製の示差走査熱量計(DSC)EXSTAR6220を用いて通常の測定条件で測定された値を意味する。
【0068】
前記樹脂粒子の含有量は、組成物に対して0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、0〜5質量%が特に好ましい。
【0069】
(界面活性剤)
本発明の組成物は、必要に応じて、表面張力調整剤として界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。また、上述した分散剤(ポリマー分散剤)を界面活性剤として用いてもよい。なかでも、本発明の組成物においては、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、特にアセチレングリコール誘導体が好ましい。
【0070】
界面活性剤は、本発明の組成物をインク組成物として用いる場合、好ましく含有される。この場合、組成物中の界面活性剤の含有量は特に制限されないが、インクの用途等を考慮して、適切な表面張力が得られるよう含有量を適宜調整することが好ましい。例えば、本発明の組成物をインクジェット記録用インクとして用いる場合、インクの吐出を良好に行う観点からは、インク組成物の表面張力を20〜60mN/mとすることが好ましく、20〜45mN/mとすることがより好ましく、25〜40mN/mとすることが特に好ましい。この場合、表面張力が上記範囲内となるようインク組成物中の界面活性剤の含有量を調整することが好ましい。具体的には、インク組成物に対して1質量%以上が好ましく、1〜10質量%が更に好ましく、1〜3質量%が特に好ましい。
【0071】
(その他の成分)
上記の各成分に加え、本発明の組成物は他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤、固体湿潤剤等の公知の各種添加剤が挙げられる。
【0072】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
【0073】
褪色防止剤としては、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などが挙げられる。金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体などが挙げられる。
【0074】
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、ソルビン酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。前記防黴剤は、組成物中に0.02〜1.00質量%の範囲で含有するのが好ましい。
【0075】
pH調整剤としては、調合される組成物に悪影響を及ぼさずにpHを所望の値に調整できる化合物であれば特に制限はない。例えば、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物など)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
【0076】
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
【0077】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0078】
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0079】
[インク組成物]
次に、本発明の組成物の好ましい態様であるインク組成物について説明する。
前述のように、本発明の組成物の必須成分である前記一般式(I)又は(II)で表される重合性化合物は優れた重合性と水溶性とを有するため、その硬化性を活かした硬化型インク、その水溶性を活かし媒体として水や水溶性有機溶剤を用いた水性インクとすることができる。本発明の組成物をインク組成物として用いた場合、当該インクで画像形成後に、例えば活性エネルギー線や熱等のエネルギーを付与することで、形成された画像が速やかに硬化して定着する。その結果、印刷時の裏写り等を防止し、印刷スピードの向上を図ることができる。
また、水溶性の重合性化合物を含有するインクは、粘度調節が容易に行えるため、吐出性を要求されるインクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。そのため、本発明の組成物はインクジェット記録用のインク組成物として好ましく用いられる。
【0080】
本発明のインク組成物の粘度や表面張力は、インクの用途や画像形成方法に応じて適宜選択・調整できる。例えば、本発明の組成物をインクジェット記録用インクとして用いる場合、インク組成物の粘度は1.2〜15.0mPa・sであることが好ましく、2〜13mPa・sであることがより好ましく、2.5〜10mPa・sであることが特に好ましい。表面張力は、20〜60mN/mとすることが好ましく、20〜45mN/mとすることがより好ましく、25〜40mN/mとすることが特に好ましい。
【0081】
[画像形成方法]
次に、本発明のインク組成物を用いた画像形成方法について説明する。
画像形成は、インク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、付与したインク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含むことが好ましい。これらの工程に加え、インク組成物の成分と接触して凝集体を形成し得る凝集剤を含む処理液を、記録媒体上に付与する処理液付与工程を含んでいることがより好ましい。
【0082】
(記録媒体)
用いる記録媒体は、特に制限はなく、一般のオフセット印刷に用いられるセルロースを主体とする一般印刷用紙、インクジェット専用紙、写真専用紙、電子写真共用紙、フィルム(樹脂フィルム等)、布帛、ガラス、金属、陶磁器等を用いることができる。
【0083】
記録媒体としては、中でも、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる塗工紙が好ましい。塗工紙は、セルロースを主体とした一般に表面処理されていない上質紙や中性紙等の表面にコート材を塗布してコート層を設けたものである。塗工紙は、通常の水性インクを用いたインクジェット記録においては、比較的インクの吸収と乾燥が遅く、色濃度、画像の光沢、擦過耐性など、品質上の問題を生じやすいが、本発明の組成物を用いた画像形成では、色濃度、光沢性、耐擦過性の良好な画像を得ることができる。特に、原紙と無機顔料を含むコート層とを有する塗工紙を用いるのが好ましく、原紙とカオリン及び/又は重炭酸カルシウムを含むコート層とを有する塗工紙を用いるのがより好ましい。具体的には、アート紙、コート紙、軽量コート紙、又は微塗工紙がより好ましい。
【0084】
前記塗工紙としては、市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製「特菱アート」等のアート紙(A1)、王子製紙(株)製「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、日本製紙(株)製「ユーライト」等のマットコート紙、王子製紙(株)製「OKコートL」及び日本製紙(株)製「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製「オーロラS」等の微塗工紙、等が挙げられる。
【0085】
(処理液付与工程)
処理液付与工程は、インク付与工程の前又は後のいずれに設けてもよく、処理液付与工程の後にインク付与工程を設けた態様が好ましい。具体的には、インク組成物を付与する前に、記録媒体上に予め、インク組成物中の色材(顔料等)及び/又はポリマー粒子を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与する態様が好ましい。当該工程を行うことにより、画像記録を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
【0086】
処理液の例としては、インク組成物のpHを変化させることにより凝集物を生じさせることができる液体組成物が挙げられる。このとき、処理液のpH(25℃)は、インク組成物の凝集速度の観点から、0〜6であることが好ましく、0.3〜3であることがより好ましく、0.5〜2であることが更に好ましい。一方、インク組成物のpH(25℃)は、7.5〜9.5であることが好ましく、8.0〜9.0であることがより好ましい。本発明においては特に、画像濃度、解像度、及びインクジェット記録の高速化の観点から、インク組成物のpH(25℃)が7.5以上であって、処理液のpH(25℃)が0.5〜2である場合が好ましい。
【0087】
本発明で用いることができる処理液は、本発明のインク組成物と接触したときに凝集体を形成できる組成物であり、具体的には、インク組成物と混合されたときに、インク組成物中の色材(前述の顔料、着色粒子等)などの分散粒子を凝集させて凝集体を形成可能な凝集成分を少なくとも1種含み、必要に応じて、他の成分を含んで構成することができる。インク組成物と接触して凝集体を形成可能な凝集成分を含有する処理液とインク組成物とが混合することにより、インク組成物中で安定的に分散している顔料等の凝集が促進される。
【0088】
処理液は、凝集成分として、酸性化合物を少なくとも1種含有することが好ましい。酸性化合物としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、又はカルボキシル基を有する化合物、あるいはその塩(例えば多価金属塩)を使用することができる。中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基又はカルボキシル基を有する化合物がより好ましく、カルボキシル基を有する化合物であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する化合物としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
【0089】
前記凝集成分は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。処理液中の酸性化合物の含有量としては、凝集効果の観点から、処理液の全質量に対して、5〜95質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい
【0090】
処理液は、上記酸性化合物に加えて、水系溶媒(例えば、水、水溶性有機溶媒など)を更に含んで構成することができる。また、界面活性剤等の各種添加剤を適宜含んで構成されてもよい。
【0091】
また、高速凝集性を向上させる処理液の好ましい一例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液も挙げることができる。多価金属塩としては、周期表の第2属のアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、周期表の第3属の遷移金属(例えば、ランタン)、周期表の第13属からのカチオン(例えば、アルミニウム)、ランタニド類(例えば、ネオジム)の塩、及びポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体を挙げることができる。金属の塩としては、カルボン酸塩(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)、硝酸塩、塩化物、及びチオシアン酸塩が好適である。中でも、好ましくは、カルボン酸(蟻酸、酢酸、安息香酸塩など)のカルシウム塩又はマグネシウム塩、硝酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びチオシアン酸のカルシウム塩又はマグネシウム塩である。
【0092】
処理液中における金属塩の含有量としては、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1.5〜7質量%であり、更に好ましくは2〜6質量%の範囲である。
【0093】
処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、1〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、1〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER
TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて20℃の条件下で測定されるものである。
また、処理液の表面張力としては、インク組成物の凝集速度の観点から、20〜60mN/mの範囲が好ましく、20〜45mN/mの範囲がより好ましく、25〜40mN/mの範囲がさらに好ましい。なお、表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学(株)製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
【0094】
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。インクジェット法の詳細については、既述の通りである。
【0095】
処理液の付与量としては、インク組成物を凝集可能であれば特に制限はないが、好ましくは、凝集剤の付与量が0.5〜4.0g/m以上となる量とすることができる。中でも、凝集剤の付与量が0.9〜3.75g/mとなる量が好ましい。凝集剤は、付与量が0.5g/m以上であるとインク組成物の種々の使用形態に応じ良好な高速凝集性が保てる。また、凝集剤の付与量が4.0g/m以下であることは、付与した記録媒体の表面性に悪影響(光沢の変化等)を与えない点で好ましい。
【0096】
(加熱乾燥工程)
本発明のインク組成物を用いた画像形成においては、処理液付与工程後にインク付与工程を設け、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、滲み防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
【0097】
加熱乾燥は、ヒータ等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒータ等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒータを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
【0098】
(インク付与工程)
本発明のインク組成物を記録媒体上に付与する方法としては、所望の画像様にインク組成物を付与できれば特に制限はなく、通常用いられる種々のインク付与方法を用いることができる。例えば、凸版法、平版法、凹版法、孔版法、インクジェット法等を挙げることができる。なかでも、本発明のインク組成物が特にインクジェット記録用インクとして好適であること、及び記録装置のコンパクト化と高速記録性との観点から、前記インク付与工程が、インクジェット方式によってインク組成物を記録媒体上に付与することにより行われることが好ましい。
【0099】
(インクジェット法)
インクジェット法では、インク組成物にエネルギーを供与することにより、ヘッドからインク組成物を吐出し、記録媒体上に着色画像を形成する。
【0100】
本発明のインク組成物に用いられるインクジェット法は、特に制限はなく公知の方式、例えば、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響方式等のいずれであっても適用することができる。
また、インクジェット法は、オンデマンド方式とコンティニュアス方式のいずれでもよい。さらに、使用するインクノズル等についても特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
なお、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0101】
またインクジェット法として、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行うシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行うことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
より具体的には、特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105に記載のインクジェット法を好ましく適用することができる。
【0102】
(インク乾燥工程)
上記各工程に加え、必要に応じて、記録媒体上に付与されたインク組成物中のインク溶媒(例えば、水、有機溶剤等)を乾燥除去するインク乾燥工程を設けてもよい。
インク乾燥工程は、インク付与工程の後に行われればよく、活性エネルギー線照射工程の前であっても後であってもよいが、活性エネルギー線照射工程の前に行われることが好ましい。
インク乾燥方法は、インク溶媒の少なくとも一部を除去できればよく、通常用いられる方法を適用することができる。例えば、ヒータ等による加熱やドライヤ等による送風、あるいはこれらを組み合わせた方法で行うことができる。
【0103】
(活性エネルギー線照射工程)
上記インク付与工程の後、記録媒体上に付与されたインク組成物に活性エネルギー線を照射する。活性エネルギー線の照射により、インク組成物中の重合性化合物が硬化して色材を含む硬化膜を形成し、画像を定着させることができる。
【0104】
活性エネルギー線として、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光、赤外光などを用いることができる。これらの活性エネルギー線のうち、安全性等の観点から好ましいのは紫外線、可視光線、赤外線であり、より好ましいのは紫外線である。活性エネルギー線の波長としては、例えば、200〜600nmであることが好ましく、250〜450nmが更に好ましく、250〜400nmが特に好ましい。
活性エネルギー線の出力は、5000mJ/cm以下であることが好ましく、10〜4000mJ/cmが更に好ましく、20〜3000mJ/cmが特に好ましい。
【0105】
活性エネルギー線を照射できる装置としては、LEDランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、DeepUVランプ、低圧UVランプなどの水銀ランプ、ハライドランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマランプ、KrFエキシマランプなどのエキシマランプ、極端紫外光ランプ、電子ビーム、X線ランプを光源とする露光装置がある。紫外線照射は、通常の紫外線照射装置、例えば、市販の硬化/接着/露光用の紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社SP9-250UB等)を用いて行うことができる。
また、発光ダイオード(LED)およびレーザーダイオード(LD)を活性エネルギー線源として用いることもできる。LED(UV−LED)、LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。特に、紫外線源を要する場合、紫外LEDおよび紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。
なかでも、本発明のインク組成物を用いた画像形成には、活性エネルギー線源として水銀ランプ又はメタルハライドランプを用いることが好ましい。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0107】
実施例1 前記一般式(I)又は(II)で表される化合物の合成
1.重合性化合物A1及びA2の合成
下記スキームにしたがって、一般式(I)又は(II)で表される化合物として、上記で例示した重合性化合物A1及びA2を合成した。
【0108】
【化9】

【0109】
(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン10.42g(0.10モル)、ジイソプロピルエチルアミン52mL(0.30モル)、アセトニトリル300mLの混合溶液を氷浴下で攪拌した。次に、アクリル酸クロリド22.6g(0.25モル)を、内温10℃以下に保ちながら30分かけて滴下した後、そのまま1時間攪拌をした。その後、反応液をエバポレーターで減圧濃縮して、重合性化合物A1、重合性化合物A2、およびジイソプロピルエチルアミン塩酸塩の混合物を得た。
得られた混合物を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製(展開液=酢酸エチル:メタノール=8:2)して、重合性化合物A1(透明液体、Rf=0.63)と、重合性化合物A2(透明液体、Rf=0.46)を、それぞれ7.7g(収率29%)、11.7g(収率55%)得た。
【0110】
得られた重合性化合物A1と重合性化合物A2とを、それぞれ下記の測定条件にて、H−NMR、13C−NMRにより同定した。同定データを図1〜4に示す。
[測定条件]
H−NMR 溶媒:重クロロホルム、内部標準:TMS
13C−NMR 溶媒:重クロロホルム、内部標準:TMS
【0111】
図1に示すH−NMRのデータから、重合性化合物A1とプロトン比が合致することが、図2に示す13C−NMRのデータより、重合性化合物A1と炭素原子数が合致することがそれぞれわかった。
図3に示すH−NMRのデータから、重合性化合物A2とプロトン比が合致することが、図4に示す13C−NMRのデータより、重合性化合物A2と炭素原子数が合致することがそれぞれわかった。
これらの結果より、得られた化合物が、上記で例示した重合性化合物A1及び重合性化合物A2で示される構造を有することが確認された。
【0112】
2.重合性化合物A3〜A12の合成
上記1の重合性化合物A1及びA2の合成において、ジアミン及び酸クロリドの組合せを下記表1のように変更した以外は同様の手法で、重合性化合物A3〜A12を合成した。
得られた重合性化合物A3〜A12について、重合性化合物A1及びA2と同様にH−NMR、13C−NMRにより同定し、構造を確認した。
【0113】
【表1】

【0114】
実施例2
実施例1で合成した本発明の重合性化合物A1〜A12の溶解性及び硬化性を評価した。
1.サンプル液の調製
スターラーチップを入れた15mLのサンプル瓶に、重合性化合物A1 2.0g、イルガキュア2959(BASFジャパン)0.3g、水7.7gを加え、1時間攪拌してサンプル液1を調製した。
次に、重合性化合物A1を重合性化合物A2〜A12に替えた以外は上記と同様にして、サンプル液2〜9を調製した。
さらに、重合性化合物A1を比較用化合物1としてN,N’−メチレンビス(アクリルアミド)又は比較用化合物2としてN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドにそれぞれ替え、それ以外は上記と同様にして、比較用サンプル液10及び11を調製した。
【0115】
1.溶解性の評価
サンプル液1〜11の溶け残りを目視により、下記基準で評価した。結果を表2に示す。
−評価基準−
A:溶け残りが無い。
B:溶け残りが有る。
【0116】
2.硬化性の評価
親水化処理をした銅箔上に、上記で調製したサンプル液1〜11のいずれかを10μL滴下した後、自然乾燥させて本発明の重合性化合物とイルガキュア2959とからなる薄膜を作製した。薄膜に、UV光(UV光源:商品名EX250、HOYA−SCHOTT社製)を照射して、重合性基の消失をRT−IR(商品名FT−IR3100、VARIAN社製)で確認した。さらに、硬化膜を指で触って、下記基準により硬化性を評価した。結果を表2に示す。
−評価基準−
A:べたつきが無い。
B:べたつきが有る。
C:固まっていない。
【0117】
【表2】

【0118】
表2から明らかなように、本発明の重合性化合物A1〜A12を用いたサンプルはいずれも優れた溶解性と硬化性とを兼ね備えていた。これに対し、比較用化合物1、2を用いたサンプルでは、溶解性と硬化性とのいずれか或いは双方が劣る結果となった。
【0119】
実施例3
1.樹脂被覆顔料の分散物の調製
−ポリマー分散剤P−1の合成−
攪拌機、冷却管を備えた1000mL容の三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加えて窒素雰囲気下で72℃に加熱した。メチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、およびメチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後、メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温して4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥し、ポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は、H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44,600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)に記載の方法により酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
【0120】
−樹脂被覆シアン顔料分散物の調製−
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブルーA220、大日精化(株)製)10部と、上記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1mol/L NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、顔料濃度10質量%の樹脂被覆シアン顔料の分散物を得た。
【0121】
−樹脂被覆マゼンタ顔料分散物の調製−
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、フタロシアニンブルーA220の代わりに、Chromophthal Jet Magenta DMQ(ピグメント・レッド122、BASFジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして、顔料濃度10質量%の樹脂被覆マゼンタ顔料の分散物を得た。
【0122】
−樹脂被覆イエロー顔料分散物の調製−
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、フタロシアニンブルーA220の代わりに、Irgalite Yellow GS(ピグメント・イエロー74、BASFジャパン社製)を用いた以外は上記と同様にして、顔料濃度10質量%の樹脂被覆イエロー顔料の分散物を得た。
【0123】
−樹脂被覆ブラック顔料分散物の調製−
上記樹脂被覆シアン顔料分散物の調製において、フタロシアニンブルーA220の代わりに、カーボンブラックNIPEX170−IQ(Degussa社製)を用いた以外は上記と同様にして、顔料濃度10質量%の樹脂被覆ブラック顔料の分散物を得た。
【0124】
2.インクセットの調製
(1)インクセット1の調製
以下の手順で、シアンインク(C−1)、マゼンタインク(M−1)、イエローインク(Y−1)、ブラックインク(K−1)、及び処理液1をそれぞれ調製して、これらのインクと処理液1からなるインクセット1を得た。
【0125】
(C−1、M−1、Y−1、K−1の調製)
上記1.で調整した各樹脂被覆顔料の分散物、重合開始剤、実施例1で合成した重合性化合物、界面活性剤及びイオン交換水を、表3に示す組成にて混合した。その後、5μmメンブランフィルタでろ過して、C−1、M−1、Y−1、K−1を調製した。
【0126】
【表3】

【0127】
調製したC−1、M−1、Y−1、K−1のpH(25℃)を、pHメーター(東亜DKK(株)製WM−50EG)を用いて測定したところ、いずれのインクもpH8.5〜8.8の範囲内であった。
【0128】
(処理液1の調製)
以下の材料を混合して処理液1を調製した。東亜DKK(株)製のpHメーターWM−50EGにて、処理液1のpH(25℃)を測定したところ、1.0であった。
−処理液組成−
・マロン酸 :25.0質量%
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル : 5.0質量%
(水溶性有機溶媒)
・イオン交換水 :70.0質量%
【0129】
(2)インクセット2の調製
インクセット1の調製において、重合性化合物A1の代わりに重合性化合物A2を用いた以外は同様にして、C−2、M−2、Y−2、およびK−2を調製し、処理液1とからなるインクセット2を得た。
【0130】
(3)比較用インクセットの調製
インクセット1の調製において、重合性化合物A1の代わりにヒドロキシエチルアクリルアミドを用いた以外は同様にして、RC、RM、RY、RKを調製し、処理液1とからなる比較用インクセットを得た。
【0131】
3.画像形成
得られた各インクセットを用いて、インクジェット記録方式により以下のようにして画像を形成し、評価した。記録媒体(塗工紙)として、特菱アート(坪量104.7g/m2)を用いた。
【0132】
インクセット1、2又は比較用インクセットを用い、4色シングルパス記録によりライン画像とベタ画像を形成した。このとき、ライン画像は、1200dpiの1ドット幅のライン、2ドット幅のライン、4ドット幅のラインをシングルパスで主走査方向に吐出することによりライン画像を形成した。またベタ画像は、記録媒体をA5サイズにカットしたサンプルの全面にインク組成物を吐出することによりベタ画像を形成した。なお、記録する際の諸条件は下記の通りである。
【0133】
(1)処理液付与工程
記録媒体の全面に、アニロックスローラー(線数100〜300/インチ)で塗布量が制御されたロールコーターにて付与量が、1.4g/m2となるように処理液を塗布した。
【0134】
(2)処理工程
次いで、下記条件にて処理液が塗布された記録媒体について乾燥処理および浸透処理を施した。
・風速:10m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒーターで加熱した。
【0135】
(3)インク付与工程
その後、処理液が塗布された記録媒体の塗布面に、下記条件にてインク組成物をインクジェット方式で吐出し、ライン画像、ベタ画像をそれぞれ形成した。
・ヘッド:1,200dpi/20inch幅のピエゾフルラインヘッドを4色分配置
・吐出液滴量:2.0pL
・駆動周波数:30kHz
【0136】
(4)インク乾燥工程
次いで、インク組成物が付与された記録媒体を下記条件で乾燥した。
・乾燥方法:送風乾燥
・風速:15m/s
・温度:記録媒体の記録面側の表面温度が60℃となるように、記録媒体の記録面の反対側(背面側)から接触型平面ヒータで加熱した。
【0137】
(5)活性エネルギー線照射工程
次に、高圧水銀ランプ(出力120W/cm2)を用いて、記録画像に1000mJ/cm2のエネルギーとなる条件で、活性エネルギー線としての紫外線を照射して、画像形成された評価用サンプルを得た。
【0138】
[評価]
上記で得られた評価用サンプルについて、以下のようにして耐擦性及び耐ブロッキング性試験を行った。結果を表4に示す。
【0139】
[耐擦性]
未印字の特菱アート両面N(三菱製紙製)を文鎮(重量470g、サイズ15mm×30mm×120mm)に巻きつけ(未印字の特菱アートと評価サンプルが接触する面積は150mm2)、上記ベタ画像が形成された評価用サンプルの印画面を3往復擦った(荷重260kg/m2に相当)。擦った後の印画面を目視により観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A … 印字面に画像のはがれが認められなかった。
B … 印字面に画像のはがれがわずかに認められた。
C … 印字面に画像のはがれが認められ、実用上問題になるレベルであった。
【0140】
[耐ブロッキング性]
ベタ画像が形成された評価用サンプルを印画直後に、2cm四方に裁断し、その印画面上に、記録していない記録媒体(記録に用いたものと同じ記録媒体(以下、本評価において未使用サンプルという。)を重ねて荷重350kg/m2をかけて、60℃、30%RHの環境条件下に、24時間放置した。未使用サンプルを評価用サンプルから剥がして、未使用サンプルの白地部分へのインクの転写度合いを目視で観察し、下記の評価基準にしたがって評価した。
〜評価基準〜
A : 転写が認められなかった。
B : 転写がわずかに認められた。
C : 転写が認められ、実用上問題になるレベルであった。
D : 転写が顕著であった。
【0141】
【表4】

【0142】
表4の結果から明らかなように、本発明の重合性化合物を用いたインクは、いずれも耐擦性と耐ブロッキング性の両方に優れるものであった。これに対し、比較用化合物を用いたインクでは、耐擦性と耐ブロッキング性のいずれか、或いは双方が劣る結果となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)又は(II)で表される化合物。
【化1】

【化2】

(一般式(I)及び(II)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは互いに同じでも異なっていてもよい。n及びmは、それぞれ独立に2又は3を表す。)
【請求項2】
請求項1記載の化合物からなる硬化剤。
【請求項3】
請求項1記載の化合物と重合開始剤とを含有する組成物。
【請求項4】
さらに溶剤を含んでなる請求項3記載の組成物。
【請求項5】
さらに色材を含んでなる請求項3又は4記載の組成物。
【請求項6】
さらに単官能重合性化合物を含んでなる請求項3〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記溶剤として水を含む請求項4〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
硬化性インク組成物である請求項3〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
インクジェット記録用インク組成物である請求項3〜8のいずれか1項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−53082(P2013−53082A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190870(P2011−190870)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】