説明

重合性単量体、その重合体を含む有機デバイス用材料、正孔注入輸送材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、並びに有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】重合性官能基を有する新規重合性単量体と、それを熱重合等で得られる塗布型の有機デバイス用材料、特に正孔注入輸送層を均一に形成できる正孔注入輸送材料として好適な重合体を提供する。
【解決手段】Zが下記式(2)で表わされる基であり、重合性官能基を含む基が、L、A、B、C、P及びQの少なくとも1つに結合する下記式(1)で表わされる重合性単量体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性単量体、その重合体を含む有機デバイス用材料、正孔注入輸送材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、並びに有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関する。さらに詳しくは、重合性官能基(1種類の単位化合物の分子が、2個以上結合して、単位化合物の整数倍の分子量をもつ化合物を生成する化学反応を引き起こす官能基)を有する新規重合性単量体、それを繰り返し単位に有する重合体、当該重合体を含有する有機デバイス用材料、正孔注入輸送材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、並びに有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、電界を印加することより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子である。
イーストマン・コダック社のC.W.Tangらによる積層型素子による低電圧駆動有機EL素子の報告(C.W.Tang,S.A.Vanslyke,アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters),51巻、913頁、1987年等)がなされて以来、有機材料を構成材料とする有機EL素子に関する研究が盛んに行われている。
【0003】
Tangらは、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを発光層に、トリフェニルジアミン誘導体を正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じ込めること等が挙げられる。
この例のように有機EL素子の素子構造としては、正孔輸送(注入)層及び電子輸送発光層の2層型、又は正孔輸送(注入)層、発光層及び電子輸送(注入)層の3層型等がよく知られている。こうした積層型構造素子では、注入された正孔と電子の再結合効率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
【0004】
近年、このような有機EL素子を用いたディスプレイ、照明デバイスの実用化検討が活発化しているが、特に低コスト化、大画面化が大きな課題として挙げられている。そのため、これまでの真空蒸着して製造する有機EL素子から(溶液)塗布して製造する有機EL素子への期待が高まっている。塗布型にすると、材料の利用効率が高く、大画面成膜が容易になるうえ、真空系が不要なため、装置コストが安価になることが期待されている。
ここで、塗布型の有機素子の有機EL材料としては、ディスプレイ、照明デバイスの共通層となりうる正孔輸送(注入)層の材料が望まれている。特に、正孔輸送(注入)層上に発光層を塗布する場合には、正孔輸送(注入)層は発光層の溶媒に不溶になる必要があるが、一方では、正孔輸送(注入)層を塗布するために正孔輸送(注入)材は、塗布溶媒に可溶である必要がある。従って、このようなトレードオフの関係を満足しつつ、ディスプレイや照明用途で高効率、長寿命化できる正孔輸送(注入)層の材料が望まれている。
【0005】
塗布型の正孔輸送(注入)層の材料としては、トリアリールアミンの正孔輸送材料にビニル基等を置換した重合性単量体を塗布し、加熱等の処理を行って重合体を得て、発光層の溶媒に不溶化できる正孔輸送(注入)層の材料が開示されている(特許文献1及び2)。しかしながら、上記の重合性単量体から得られる正孔輸送(注入)層を有する有機EL素子は、寿命(半減寿命)、発光効率等の素子特性が必ずしも十分ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−198989号公報
【特許文献2】特開2008−218983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、重合性官能基を有する新規重合性単量体と、それを熱重合等で得られる塗布型の有機デバイス用材料、特に正孔注入輸送層を均一に形成できる正孔注入輸送材料として好適な重合体を提供することである。
本発明の他の目的は、高温駆動可能、長寿命、高発光効率等の素子特性に優れ、実用に適した有機EL素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、以下の重合性単量体等が提供される。
1.下記式(1)で表わされる重合性単量体。
【化1】

(式中、Zは下記式(2)で表わされる基である。
Lは、n価の連結基である。
Lは、さらに1以上の置換基を有してもよい。
nは、2〜10の整数である。)
【化2】

(式中、Aは、単結合又は2価の連結基である。
Bは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の1+l価の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の1+l価の芳香族複素環基である。
Cは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の1+m価の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の1+m価の芳香族複素環基である。
Zは、Aを介して、Lと結合する。
P及びQは、それぞれ独立に、下記式(3)又は式(4)で表される基である。
l及びmは、それぞれ0又は1の整数であり、l+m≧1である。
重合性官能基を含む基が、L、A、B、C、P及びQの少なくとも1つに結合する。)
【化3】

(式(3)において、Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、基を構成するアルキル基が各々独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であるトリアルキルシリル基、基を構成するアリール基が各々独立に置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基であるトリアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5〜24のヘテロアリール基から選ばれる原子又は基である。
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜15の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、基を構成するアルキル基が各々独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であるトリアルキルシリル基、基を構成するアリール基が各々独立に置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基であるトリアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜24のヘテロアリール基、ハロゲン原子、及びシアノ基から選ばれる原子又は基であり、隣接する複数のR同士、隣接する複数のR同士、並びに隣接するR及びRは互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
a及びbは、それぞれ独立に0〜3の整数である。
及びQは、それぞれ独立に、飽和もしくは不飽和の環を形成する原子数5〜25の基である。
式(4)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の芳香族複素環基であり、Ar及びArの少なくとも1つは環形成炭素数18〜25の環集合基、又は環形成炭素数12〜25の縮合芳香族環基である。)
2.前記重合性官能基を含む基が、式(1)のLに結合した1に記載の重合性単量体。
3.2以上の前記重合性官能基を含む基が結合した1又は2に記載の重合性単量体。
4.前記重合性官能基を含む基が、
下記式(i)で表わされるビニル基、ビニリデン基、ビニレン基又はエチニレン基を含む基;
下記式(ii)で表わされるベンゾシクロブテン基を含む基;
下記式(iii)で表わされるN−マレイミド基を含む基;
下記式(iv)で表わされるノルボルネニル基を含む基;
下記式(v)で表わされるアセチレニル基を含む基;又は
(vi)前記式(iv)で表わされる基以外の置換もしくは無置換のノルボルネン骨格を有する基、置換もしくは無置換のエポキシ基又はオキセタン基を有する基、ラクトン構造もしくはラクタム構造を有する官能基、シクロオクタテトラエン基、1,5−シクロオクタジエン基、1,ω-ジエン基、O−ジビニルベンゼン基、及び1,ω-ジイン基からなる群から選択される環化重合又は開環重合可能な官能基を含む基である1〜3のいずれかに記載の重合性単量体。
【化4】

(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基である。
11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化5】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化6】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化7】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化8】

(式中、R14は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基である。
11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
5.L11の2価の連結基が、−L12−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR15−、−NR16C(=O)−、−NR17−、−S−、及び−C(=S)−で表わされる2価の連結基のいずれかを含む、又は2以上のこれら連結基が任意の順序で結合した連結基を含み、
12は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリーレン基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換のビニレン基、置換もしくは無置換のビニリデン基、及びエチニレン基からなる群から選択される連結基、又は前記群から選択される2以上の基が任意の順序で結合してなる連結基であり、
15〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基からなる群から選択される4に記載の重合性単量体。
6.前記L12が、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を含む連結基である5に記載の重合性単量体。
7.前記L及び/又はAが、下記のいずれかで表される基を含む連結基である1〜6のいずれかに記載の重合性単量体。
【化9】

【化10】

(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基である。
mは、2≦m≦20の整数であり、複数のR21はそれぞれ同じでも異なってもよく、複数のR22はそれぞれ同じでも異なってもよい。)
【化11】

(式中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
23とR24及び/又はR25とR26は、それぞれ互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
x及びyは、それぞれ1≦x≦3の整数、1≦y≦3の整数であり、xが2又は3の場合、複数のR25は同じでも異なってもよく、yが2又は3の場合、複数のR26は同じでも異なってもよい。)
【化12】

(式中、R27は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
zは、1≦z≦4の整数であり、zが2、3又は4の場合、複数のR27は同じでも異なってもよい。)
【化13】

(式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
複数のR28同士及び/又はR29同士は、互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
cは、1≦c≦3の整数であり、cが2又は3の場合、複数のR29は同じでも異なってもよい。)
8.前記L及び/又はAが、N原子間の共役を遮断する基を含む連結基である1〜7のいずれかに記載の重合性単量体。
9.前記N原子間の共役を遮断する基を含む連結基が、下記のいずれかで表される基を含む連結基である8に記載の重合性単量体。
【化14】

【化15】

(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基である。
mは、2≦m≦20の整数であり、複数のR21はそれぞれ同じでも異なってもよく、複数のR22はそれぞれ同じでも異なってもよい。)
【化16】

(式中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
23とR24及び/又はR25とR26は、それぞれ互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
x及びyは、それぞれ1≦x≦3の整数、1≦y≦3の整数であり、xが2又は3の場合、複数のR25は同じでも異なってもよく、yが2又は3の場合、複数のR26は同じでも異なってもよい。)
【化17】

(式中、R27は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
zは、1≦z≦4の整数であり、zが2、3又は4の場合、複数のR27は同じでも異なってもよい)
【化18】

(式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
複数のR28同士及び/又はR29同士は、互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
cは、1≦c≦3の整数であり、cが2又は3の場合、複数のR29は同じでも異なってもよい。)
10.P及び/又はQが、それぞれ下記式(5)又は(6)で表される基である1〜9のいずれかに記載の重合性単量体。
【化19】

(式中、R、R、a、b、Q、及びQは、前記式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、前記式(3)と同様である。)
11.P及び/又はQが、それぞれ下記式(7)で表される基である1〜10のいずれかに記載の重合性単量体。
【化20】

(式中、R、R、a及びbは、前記式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、前記式(3)と同様である。)
12.P及び/又はQが、それぞれ下記式(7−1)又は(7−2)で表される基である1〜11のいずれかに記載の重合性単量体。
【化21】

(式中、R、R、a及びbは、前記式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、前記式(3)と同様である。)
13.複数のZが互いに異なる1〜12のいずれかに記載の重合性単量体。
14.1〜13のいずれかに記載の重合性単量体に由来する繰り返し単位を1種以上有する重合体。
15.14に記載の重合体を含んでなる有機デバイス用材料。
16.14に記載の重合体を含んでなる正孔注入輸送用材料。
17.14に記載の重合体を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
18.1〜13のいずれかに記載の重合性単量体を溶媒に溶解してなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料溶液。
19.陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む1以上の有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機薄膜層の少なくとも1層が、14に記載の重合体を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
20.記有機薄膜層が正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層を有し、
前記正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層が、14に記載の重合体を含有する19に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
21.14に記載の重合体を含有する有機薄膜層が、18に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料溶液を塗布し、加熱して製膜してなる層である19又は20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
22.青色系発光する19〜21のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、重合性官能基を有する新規重合性単量体と、それを熱重合等で得られる塗布型の有機デバイス用材料、特に正孔注入輸送材料として好適な重合体が提供できる。
本発明によれば、寿命、発光効率等の素子特性に優れ、実用に適した有機EL素子が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の重合性単量体は、下記式(1)で表わされる。
【化22】

(式中、Zは下記式(2)で表わされる基である。
Lは、n価の連結基であり、好ましくは4価の炭素原子、4価のケイ素原子、3価の窒素原子、4価のゲルマニウム原子、3価のリン原子、3価のホウ素原子、酸素原子、炭素数1〜20のn価のアルカン残基、環形成炭素数3〜20のn価のシクロアルカン残基、基を構成するアルキル基が各々独立に炭素数1〜20のアルキル基であるn価のトリアルキルアミン残基、基を構成するアリール基が各々独立に炭素数6〜24のアリール基であるn価のトリアリールアミン残基、炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数6〜24のアリール基を有するn価のアルキルアリールアミン残基、環形成炭素数6〜24のn価の芳香族炭化水素基、及び環形成原子数3〜24のn価の芳香族複素環基から選ばれる原子又は基を含む連結基であり;さらには4価の炭素原子、4価のケイ素原子、3価の窒素原子、4価のゲルマニウム原子、3価のリン原子、3価のホウ素原子、酸素原子、炭素数1〜20のn価のアルカン残基、環形成炭素数3〜20のn価のシクロアルカン残基、基を構成するアルキル基が各々独立に炭素数1〜20のアルキル基であるn価のトリアルキルアミン残基、基を構成するアリール基が各々独立に炭素数6〜24のアリール基であるn価のトリアリールアミン残基、炭素数1〜20のアルキル基及び炭素数6〜24のアリール基を有するn価のアルキルアリールアミン残基、環形成炭素数6〜24のn価の芳香族炭化水素基、及び環形成原子数3〜24のn価の芳香族複素環基から選ばれる連結基である。
Lは、さらに1以上の置換基を有してもよい。
nは、2〜10の整数である。)
【化23】

(式中、Aは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、好ましくは置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の2価の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の2価の芳香族複素環基である。
Bは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の1+l価の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の1+l価の芳香族複素環基である。
Cは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の1+m価の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の1+m価の芳香族複素環基である。
Zは、Aを介して、Lと結合する。
P及びQは、それぞれ独立に、下記式(3)又は式(4)で表される基である。
l及びmは、それぞれ0又は1の整数であり、l+m≧1である。
重合性官能基を含む基が、L、A、B、C、P及びQの少なくとも1つに結合する。)
【化24】

(式(3)において、Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、基を構成するアルキル基が各々独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であるトリアルキルシリル基、基を構成するアリール基が各々独立に置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基であるトリアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5〜24のヘテロアリール基から選ばれる原子又は基である。
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜15の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、基を構成するアルキル基が各々独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であるトリアルキルシリル基、基を構成するアリール基が各々独立に置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基であるトリアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜24のヘテロアリール基、ハロゲン原子、及びシアノ基から選ばれる原子又は基であり、隣接する複数のR同士、隣接する複数のR同士、並びに隣接するR及びRは互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
a及びbは、それぞれ独立に0〜3の整数である。
及びQは、それぞれ独立に、飽和もしくは不飽和の環を形成する原子数5〜25の基である。
式(4)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の芳香族複素環基であり、Ar及びArの少なくとも1つは環形成炭素数18〜25の環集合基、又は環形成炭素数12〜25の縮合芳香族環基である。)
【0011】
尚、本発明の「環集合」とは、2個以上の環(単環又は縮合環)が単結合又は二重結合で直接結合し、当該直接結合の数が、環の数より1だけ少ない系をいう。当該環集合基の具体例としては、ビフェニル基、ターフェニル基、フェニルナフチル基等が挙げられる。
また、本発明の「縮合芳香族環」とは、少なくとも2つの環が2個の共通原子で結合し、少なくとも1つの環が芳香族環であるものをいう。当該縮合芳香族環基の具体例としては、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基等が挙げられる。
【0012】
本発明の単量体は、式(3)の構造を有することによって、電子を遮断して発光層に効率よく正孔と電子を再結合させるための広いバンドギャップを有し、発光層への正孔注入に適したイオン化ポテンシャルの調整が容易になり、低電圧化のための高い正孔移動度等を有する。
また、本発明の単量体は、式(4)の構造を有することによって、高耐熱性(高Tg:高ガラス転移温度)が得られる。塗布溶媒は一般に高沸点溶媒であり、塗布後に残留溶媒を除去する必要があるが、その際に高温処理が必要となる。その場合、重合体膜になったとしても、処理温度がTgを超えると膜界面が乱れたり、分子配列が乱れたりするが、本発明の構造では、それが緩和される。その結果、寿命、発光効率等の素子特性に優れ、ディスプレイや照明用途で特に実用的な高温駆動を施しても、劣化の小さい、実用に適した有機EL素子が得られる。
【0013】
本発明の単量体は、Zを1分子内に複数有することによって分子の平面性が失われ、塗布溶媒への溶解性及び非結晶性が得られる。また、高分子量化しているため、高耐熱性(高Tg:高ガラス転移温度)を有し、高温処理され重合体膜となったとしても、当該塗布膜は結晶化しづらく、均一な膜の形成が可能である。その結果、寿命、発光効率等の素子特性に優れ、ディスプレイや照明用途で特に実用的な高温駆動を施しても、劣化の小さい、実用に適した有機EL素子が得られる。さらに、正孔注入輸送層が均一に形成できるため、ディスプレイや照明用途の低コスト化又は大画面化に適している。
【0014】
本発明の「重合性官能基を含む基」とは、1種類の単位化合物の分子が2以上結合して、単位化合物の整数倍の分子量をもつ化合物を生成する化学反応を引き起こしうる官能基を有する基である。
【0015】
式(1)において、好ましくは重合性官能基を含む基がLに結合している。
重合性官能基を含む基がLに置換するとことにより、当該重合性官能基を含む基は、Zの正孔注入輸送性ユニットと距離を置くことができ、重合の反応種であるラジカル及び/又はカチオンのよる正孔注入輸送性ユニットへの悪影響を低減することができる。また、単量体が重合体となった場合において、Zの正孔注入輸送性ユニットの自由度が確保され、低分子に近い状態でホール移動を分子間で行うことができ、重合体であっても正孔移動度は維持されやすい。
【0016】
本発明の単量体は、好ましくは2以上の重合性官能基を含む基を有する。
式(1)が2以上の重合性官能基を含む基を有することによって、重合性単量体の塗布溶媒への溶解性を高めることができる。また、単量体が重合体となった場合には、当該重合体は架橋構造を有するので、積層する発光材の塗布溶媒に不溶となり、正孔注入輸送層と発光層の界面を乱すことなく、発光素子の積層構造が得られる。
【0017】
上記重合性官能基を含む基は、好ましくは下記式(i)で表わされるビニル基、ビニリデン基、ビニレン基又はエチニレン基を含む基;下記式(ii)で表わされるベンゾシクロブテン基を含む基;下記式(iii)で表わされるN−マレイミド基を含む基;下記式(iv)で表わされるノルボルネニル基を含む基;下記式(v)で表わされるアセチレニル基を含む基;又は(vi)前記式(iv)で表わされる基以外の置換もしくは無置換のノルボルネン骨格を有する基、置換もしくは無置換のエポキシ基又はオキセタン基を有する基、ラクトン構造もしくはラクタム構造を有する官能基、シクロオクタテトラエン基、1,5−シクロオクタジエン基、1,ω-ジエン基、O−ジビニルベンゼン基、及び1,ω-ジイン基からなる群から選択される環化重合又は開環重合可能な官能基を含む基である。
【化25】

(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基である。
11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化26】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化27】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化28】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化29】

(式中、R14は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基である。
11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【0018】
式(i)〜(v)において、L11の2価の連結基は、好ましくは−L12−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR15−、−NR16C(=O)−、−NR17−、−S−、及び−C(=S)−で表わされる2価の連結基のいずれかを含む、又は2以上のこれら連結基が任意の順序で結合した連結基を含む。
12は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリーレン基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換のビニレン基、置換もしくは無置換のビニリデン基、及びエチニレン基からなる群から選択される連結基、又は前記群から選択される2以上の基が任意の順序で結合してなる連結基であり、R15〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基からなる群から選択される
11が上記のような連結基であることにより、単量体の塗布溶媒への溶解性が向上し、重合反応率が高く、未反応単量体が減り、有機デバイス、特に有機EL素子の耐久性及び寿命を向上させることができる。
【0019】
上記L12は、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数3〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を含む連結基である。
12が炭素数3〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を含むことで、単量体の塗布溶媒への溶解性が向上できるとともに、Zの正孔注入輸送性ユニットと重合性官能基の重合反応を行う部分とが離れるので、重合の反応種であるラジカル、カチオンによる悪影響を低減することができる。また、重合性官能基の自由度が増すので、重合反応率が高く、未反応単量体が減り、有機デバイス、特に有機EL素子の駆動時に悪影響を及ぼすような未反応単量体起因のラジカル及び/又はカチオンが低減されるので、有機デバイス、特に有機EL素子の耐久性、寿命を向上させることができる。また、単量体が重合して重合体となった場合において、Zの正孔注入輸送性ユニットの自由度があるので、低分子に近い状態でホール移動を分子間で行うことができ、重合体であっても、正孔移動度は維持されやすい。
尚、アルキレン基は、アルキル基から水素原子を引き抜いた2価の基であり、アルキレン基の炭素数3未満の場合には、上記効果が薄い場合があり、炭素数12を超える場合には、絶縁成分が増えるので、正孔輸送機能が低下し、有機デバイス、特に有機EL素子の効率低下(電圧上昇)が生じやすかったり、耐熱性が低下(ガラス転移温度低下)するおそれがある。
【0020】
(vi)の基としては、置換もしくは無置換のエポキシ基又はオキセタン基を有する基が好ましい。
重合性官能基を含む基が(vi)の基である場合、重合反応を低温で行うことができ、正孔注入輸送性ユニットへの熱による悪影響を少なくすることができる。
【0021】
式(1)及び(2)において、L又はAは前記のとおりであるが、さらに、L及び/又はAは、好ましくは下記のいずれかで表される基を含む連結基である。Aについては、以下の基のうち2価の基を含む連結基が好ましい。
下記の基を含む連結基は、複数の正孔注入輸送ユニットを結合させ、塗布溶媒への溶解性を向上し、本発明の単量体からなる重合体を非結晶性とすることができる。これにより、たとえ単量体が高温処理されて重合体膜となったとしても、塗布膜は結晶化しづらく、均一な膜が形成できる。その結果、寿命、発光効率等の素子特性に優れ、ディスプレイや照明用途で特に実用的な高温駆動を施しても、劣化の小さい、実用に適した有機EL素子が得られる。
さらに、正孔注入輸送層が均一に形成できるため、ディスプレイや照明用途の低コスト化及び大画面化に適している。
尚、L及びAは、下記の基のいずれかをその構造の一部に含めばよく、複数の同一の下記の基の繰り返しからなる基を含んでもよく、複数の異なる基の組み合わせからなる下記の基を含んでもよい。
【化30】

【化31】

(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基である。
mは、2≦m≦20の整数である。)
【化32】

(式中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
23とR24及び/又はR25とR26は、それぞれ互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
x及びyは、それぞれ1≦x≦3の整数、1≦y≦3の整数である。)
【化33】

(式中、R27は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
zは、1≦z≦4の整数である。)
【化34】

(式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
複数のR28同士及び/又はR29同士は、互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
cは、1≦c≦3の整数である。)
【0022】
式(1)及び(2)において、L及び/又はAは、好ましくはN原子間の共役を遮断する基を含む連結基である。ここで、「共役を遮断する」とは、N原子が有する非共有電子対の電子雲が、複数のN原子間で重ならないことを意味する。
L及びAが、N原子の共役を遮断することによって、複数のZの正孔注入輸送性ユニット間の共役が遮断され、得られる重合体膜が、電子を遮断して発光層に効率よく正孔と電子を再結合させる広いバンドギャップ、及び発光層への正孔注入に適したイオン化ポテンシャルを発現することができる。
【0023】
上記N原子間の共役を遮断する基を含む連結基は、好ましくは下記のいずれかで表される基を含む連結基である。AがN原子間の共役を遮断する基を含む連結基である場合、当該連結基は、好ましくは下記の2価の基を含む連結基である。
尚、N原子間の共役を遮断する基を含む連結基は、下記の基のいずれかをその構造の一部に含めばよく、複数の同一の下記の基の繰り返しからなる基を含んでもよく、複数の異なる基の組み合わせからなる下記の基を含んでもよい。
【化35】

【化36】

(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基である。
mは、2≦m≦20の整数である。)
【化37】

(式中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
23とR24及び/又はR25とR26は、それぞれ互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
x及びyは、それぞれ1≦x≦3の整数、1≦y≦3の整数である。)
【化38】

(式中、R27は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
zは、1≦z≦4の整数である。)
【化39】

(式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
複数のR28同士及び/又はR29同士は、互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
cは、1≦c≦3の整数である。)
【0024】
式(2)において、P及び/又はQは、好ましくはそれぞれ下記式(5)又は(6)で表される基である。
P及びQを、式(5)又は(6)で表される1価の基にすることによって、得られる重合体膜の耐電子性、正孔移動度及び非結晶性を高めることができる。
【化40】

(式中、R、R、a、b、Q、及びQは、式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、式(3)と同様である。)
【0025】
式(2)において、P及び/又はQは、好ましくはそれぞれ下記式(7)で表される基である。
【化41】

(式中、R、R、a及びbは、式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、式(3)と同様である。)
【0026】
式(2)において、P及び/又はQは、好ましくはそれぞれ下記式(7−1)又は(7−2)で表される基である。
【化42】

(式中、R、R、a及びbは、前記式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、前記式(3)と同様である。)
【0027】
P及びQが、式(7)、式(7−1)、及び(7−2)で表される1価の基のいずれかであることによって、得られる重合体膜の耐電子性、正孔移動度及び非結晶性を高めることができるだけでなく、単量体の合成及び精製が容易となって、純度を向上させることができ、得られる有機EL素子等のデバイスの長寿命化が可能となる。
【0028】
式(1)において、好ましくは複数のZは互いに異なる。
Zが互いに異なることにより、単量体の溶媒への溶解性を高め、得られる重合体膜の非結晶性を高めることができる。
【0029】
式(1)〜(7)を構成する基の具体例を以下説明する。
本発明において「アリール基」は、「芳香族炭化水素化合物から水素原子を除くことにより導かれる基」を意味する。1価の「アリール基」のみならず、2価である「アリーレン基」等も含む。式(1)〜(7)を構成する基が2価以上の基の場合は、以下に示すアリール基の具体例に対応する残基である。また、アリール基を「芳香族炭化水素基」又は「芳香族炭化水素残基」という場合もある。
「ヘテロアリール基」は「芳香族複素化合物から水素原子を除くことにより導かれる基」を意味する。1価のヘテロアリール基のみならず、2価である「ヘテロアリーレン基」等も含む。式(1)〜(7)を構成する基が2価以上の基の場合は、以下に示すヘテロアリール基の具体例に対応する残基である。また、ヘテロアリール基を「芳香族複素炭化水素基」、「芳香族複素炭化水素残基」又は「芳香族複素環基」という場合もある。
また、本発明において「水素原子」は、重水素原子及び三重水素原子も含む。
【0030】
アリール基(芳香族炭化水素基)としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニル−4−イル基、4”−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、フルオレン−1−イル基、フルオレン−2−イル基、フルオレン−3−イル基、フルオレン−4−イル基等が挙げられる。
中でも、好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、ビフェニル−2−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、フルオレン−2−イル基、フルオレン−3−イル基であり、より好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、m−トリル基、p−トリル基、フルオレン−2−イル基、フルオレン−3−イル基である。
【0031】
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル、n−ウンデカニル、n−ドデカニル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、が挙げられる。
【0032】
アルケニル基としては、上述したアルキル基の分子内に不飽和結合を有する置換基が挙げられる。
【0033】
シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、4−フルオロシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられ、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
【0034】
トリアルキルシリル基としては、トリメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘプチルシリル基、トリヘキシルシリル基等が挙げられ、好ましくはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基である。
尚、シリル基に置換しているアルキル基は、同一でも異なっていてもよい。
【0035】
トリアリールシリル基としては、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等が挙げられ、好ましくはトリフェニルシリル基である。
シリル基に置換しているアリール基は、同一でも異なっていてもよい。
【0036】
アルキルアリールシリル基としては、ジメチルフェニルシリル基、ジエチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、エチルジフェニルシリル基等が挙げられ、好ましくはジフェニルメチルシリル基、エチルジフェニルシリル基である。
シリル基に置換しているアルキル基及びアリール基は、同一でも異なっていてもよい。
【0037】
ヘテロアリール基(芳香族複素環基)としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基等が挙げられる。
好ましくは、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基である。
【0038】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
【0039】
Lのアルカン残基及びシクロアルカン残基としては、上述のアルキル基及びシクロアルキル基に対応する残基が挙げられる。また、Lのトリアルキルアミン残基、トリアリールアミン残基及びアルキルアリールアミン残基としては、アミンに上述のアリール基及びアルキル基が置換した残基が挙げられる。
【0040】
以下は、置換基について説明する。
「置換もしくは無置換」という場合の置換基は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、環形成原子数5〜24のヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基である。具体的には、上記のアリール基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、アルキルアリールシリル基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基から選ばれる。上記のアルキル基等の具体例については、前記に挙げた例が該当する。
Lが置換基を有する場合における「置換基」についても上記の通りである。
【0041】
本発明の重合性単量体の具体例を以下に示すが、本発明の重合性単量は下記具体例に限定されない。
【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【0042】
本発明の重合性単量体に由来する繰り返し単位を1種以上有する重合体(以下、本発明の重合体という場合がある)は、以下の有機デバイス用材料、正孔注入輸送用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料に好適に利用でき、得られる有機デバイス、特に有機EL素子において、寿命、発光効率等の素子特性に優れ、さらに、ディスプレイや照明用途で実用的な高温駆動を行っても、劣化が小さく、実用に適した有機EL素子を提供することができる。
また、塗布法で正孔注入輸送層が均一に形成できるため、ディスプレイや照明用途の低コスト化又は大画面化に適している。
【0043】
本発明の重合体は、以下のいずれかである:
(a)本発明の重合性単量体からなる群から選択された1種に由来する繰り返し単位を有する単独重合体
(b)本発明の重合性単量体からなる群から選択された2種以上の単量体に由来する繰り返し単位を有する共重合体
(c)本発明の重合性単量体からなる群から選択された1種以上の単量体に由来する繰り返し単位と他の単量体に由来する繰り返し単位を含む共重合体
【0044】
本発明の重合体が、上記(c)の共重合体である場合、本発明の重合性単量体由来の単位を、50モル%以上含有していることが好ましく、70モル%以上含有することがより好ましい。本発明の重合性単量体成分が50モル%未満の場合、本発明の重合性単量体を用いて得られる上記効果が十分に発揮されないおそれがある。
【0045】
本発明の重合体の分子量は特に制限はなく、2量体以上のオリゴマーから超高分子体まで含まれる。
重合体は数平均分子量(Mn)で、好ましくは10〜10、より好ましくは5×10〜10である。また、重量平均分子量(Mw)で、好ましくは10〜10、より好ましくは5×10〜10である。また、Mw/Mnで表される分子量分布は、特に制限はないが、10以下が好ましく、3以下がさらに好ましい。
重合体の分子量があまりに大きすぎると、ゲル化により素子作製において均質な製膜ができなくなり、また、分子量が小さすぎると溶解性制御が困難になるという問題がある。
尚、数平均分子量及び重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用い、標準ポリスチレンで検量して求めることができる。
【0046】
本発明の重合体は、本発明の重合性単量体を重合することにより得られる。
重合方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル重合法、イオン重合法、リビング重合法、ラジカルリビング重合法、配位重合等が挙げられ、ラジカル重合法又はカチオン重合が好ましい。
ラジカル重合法の開始剤としては、例えばアゾ化合物、過酸化物が挙げられ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化ジベンゾイル(BPO)が好ましい。
カチオン重合の開始剤としては、各種強酸(p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等)、ルイス酸が好ましい。
また、光照射及び/又は熱処理にて、重合することも可能である。
【0047】
ここで、有機デバイスの例としては、有機EL素子のほかに、有機TFT、有機太陽電池等の光電変換素子、イメージセンサー等が挙げられる。
有機EL素子の例としては、壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、一般又は特殊照明、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
【0048】
本発明の有機EL素子は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む1以上の有機薄膜層が挟持されており、上記有機薄膜層の少なくとも1層が、本発明の重合体を含有するものである。
本発明の有機EL素子においては、有機薄膜層が正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層を有し、本発明の重合体が正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層に含まれることが好ましい。
また、本発明の重合体が、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層の主成分として含有されていることがより好ましい。具体的には、正孔輸送層又は正孔注入層において、本発明の重合体の含有量は、好ましくは51〜100重量%である。
【0049】
また、正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層を有する場合、アクセプター材料を正孔注入層及び正孔輸送層の少なくとも1層が含有することが好ましい。特に、陽極に接する層が含有することが好ましい。
アクセプター材料を含有させることにより、正孔注入・輸送層中の正孔密度を増加したり、正孔移動度が高まるので、得られる有機EL素子の駆動電圧を低下させたり、キャリアバランスが向上して、長寿命化が可能になる。特に、陽極に接する層に含有させることが好ましい。
アクセプター材料は、好ましくは電子吸引性の置換基又は電子欠乏環を有する有機化合物である。
電子吸引性の置換基として、例えば、ハロゲン、CN−、カルボニル基、アリールホウ素基等が挙げられる。
【0050】
電子欠乏環として、例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、2−イミダゾール、4−イミダゾール、3−ピラゾール、4−ピラゾール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、3−(1,2,4−N)−トリアゾリル、5−(1,2,4−N)−トリアゾリル、5−テトラゾリル、4−(1−O,3−N)−オキサゾール、5−(1−O,3−N)−オキサゾール、4−(1−S,3−N)−チアゾール、5−(1−S,3−N)−チアゾール、2−ベンゾキサゾール、2−ベンゾチアゾール、4−(1,2,3−N)−ベンゾトリアゾール、及びベンズイミダゾールからなる群から選択される化合物等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0051】
本発明の有機EL素子の代表的な素子構成としては、
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
(8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
(9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(12)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(13)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
等の構造を挙げることができる。
これらの中で通常(8)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
本発明の有機EL素子の各層は、公知の材料からなる層であってよく、例えば発光層は、好ましくはスチリルアミン化合物、アリールアミン化合物又はフルオランテン系化合物を含有する。
【0053】
本発明の有機EL素子は、好ましくは青色発光する。これは、本発明の重合性単量体は、電子を遮断して発光層に効率よく正孔と電子を再結合させるための青色発光に適した広いバンドギャップを有し、青色発光層への正孔注入に適したイオン化ポテンシャルの調整が容易なためである。
また、重合性単量体は、広いバンドギャップを有するため、蛍光型有機EL素子のみならず、燐光型有機EL素子にも適用できる。
【0054】
本発明の有機EL素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法等の公知の方法を適用することができる。膜厚は特に限定されるものではないが、適切な膜厚に設定する必要がある。膜厚が厚すぎると、一定の光出力を得るために大きな印加電圧が必要になり効率が悪くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生して、電界を印加しても充分な発光輝度が得られない。通常の膜厚は5nm〜10μmの範囲が適しているが、10nm〜0.2μmの範囲がさらに好ましい。
【0055】
本発明の重合性単量体及び/又は重合体を含有する層(特に正孔注入・輸送層)を成膜する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、スリットコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、ノズルプリンティング法、等が挙げられ、パターン形成をする場合には、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法が好ましい。これらの方法による成膜は当業者に周知の条件により行うことができ、その詳細は省略する。
成膜後、真空、加熱乾燥して、溶媒を除去すればよく、光、高温(250℃)加熱による重合反応により、得られる膜を完全に不溶化することができる。
【0056】
成膜用溶液は、少なくとも1種類の本発明の重合性単量体を含有していればよく、また上記材料以外に他の正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、アクセプター材料、溶媒、安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。上記成膜用溶液中の重合性単量体の含有量は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して20〜100重量%が好ましく、51〜100重量%であり、溶媒を除いた組成物の主成分であることがより好ましい。溶媒の割合は、成膜用溶液の1〜99.9重量%が好ましく、80〜99重量%がより好ましい。
【0057】
成膜用溶液は、粘度及び/又は表面張力を調節するための添加剤、例えば、増粘剤(高分子量化合物、本発明の重合性単量体の貧溶媒等)、粘度降下剤(低分子量化合物等)、界面活性剤等を含有していてもよい。また、保存安定性を改善するために、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等、有機EL素子の性能に影響しない酸化防止剤を含有していてもよい。
【0058】
使用可能な高分子量化合物としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂が挙げられる。
【0059】
成膜用溶液の溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、アニソール等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロへキサン、メチルシクロへキサン、n−ペンタン、n−へキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、べンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−へキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロへキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。これらのうち、溶解性、成膜の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、5−ブチルベンゼン、n−へキシルベンゼン、シクロへキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、テトラリン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、アニソール、エトキシベンゼン、シクロへキサン、ビシクロへキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロへキサン、n−へキシルシクロヘキサン、デカリン、安息香酸メチル、シクロへキサノン、2−プロピルシクロへキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロへキシルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンがより好ましい。
【0060】
以上例示した各種材料及び層形成方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入・輸送層、及び必要に応じて電子注入・輸送層を形成し、さらに陰極を形成することにより有機EL素子を作製することができる。また陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0062】
[単量体の合成]
実施例1
下記合成スキームにより、単量体H−1を合成した。
【化52】

【0063】
(1)中間体H−1−1の合成
アルゴン気流下、1000mLの三つ口フラスコに2−ブロモ−9,9’−フルオレンを55g(0.2mol)、ヨウ素を23g、過ヨウ素酸2水和物を9.4g、水を42mL、酢酸を360mL、硫酸を11mLを入れ65℃で30分撹拌後、90℃で6時間反応した。反応物を氷水に注入し、ろ過した。水で洗浄後、メタノールで洗浄することにより72g(収率90%)の白色粉末を得た。
得られた白色粉末についてフィールドディソープションマススペクトル(以下、FD−MS)分析した結果、中間体H−1−1と同定した。
【0064】
(2)中間体H−1−2の合成
アルゴン雰囲気下、中間体H−1−1を39.9g(0.1mol)、カルバゾール16.7g(0.1mol)、ヨウ化銅(CuI)0.2g及び燐酸三カリウム42.4gに、trans−1,2−シクロヘキサンジアミンを2mL及び1,4−ジオキサンを300mL入れ、100℃にて20時間撹拌した。反応終了後、水300mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末24.9g(収率57%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−1−2と同定した。
【0065】
(3)中間体H−1−3の合成
アルゴン雰囲気下、室温で、ヨウ化銅(CuI)0.9g、N,N−ジメチルエチレンジアミン1.2gをキシレン200mL中で攪拌した。次に、中間体H−1−2を20g(46mmol)、アセトアミド4g(68mmol)、炭酸カルシウム13gをキシレン100mLに分散して、投入し、140℃で16時間攪拌した。反応終了後、水300mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末14.1g(収率75%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−1−3と同定した。
【0066】
(4)中間体H−1−4の合成
アルゴン雰囲気下、室温でベンゾシクロブテン−4−ボロン酸10g(68mmol)、1,4−ジブロモナフタレン19.3g(等モル)及びPd(PPhを1.56gを、DME200mL中にて攪拌し、炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム20.5g、蒸留水100mL)を滴下して、77℃で16時間攪拌した。反応終了後、水300mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末18.5g(収率89%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−1−4と同定した。
【0067】
(5)中間体H−1−5の合成
アルゴン雰囲気下、室温でヨウ化銅(CuI)0.6g、N,N−ジメチルエチレンジアミン0.9gをキシレン300mL中で攪拌した。次に、中間体H−1−3を14g(34mmol)、中間体H−1−4を10g(34mmol)及び炭酸カルシウム9gをキシレン120mlに分散して投入し、140℃で2日攪拌した。反応終了後、水200mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末3.3g(収率15%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−1−5と同定した。
【0068】
(6)中間体H−1−6の合成
アルゴン雰囲気下、室温で中間体H−1−5を3.3g(5mmol)、28%NaOMe/MeOHを15mL、トルエン55mLを仕込み、60℃で16時間攪拌した。反応終了後、水150mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末2.7g(収率89%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−1−6と同定した。
【0069】
(7)単量体H−1の合成
アルゴン雰囲気下、室温で、酢酸パラジウム0.03g、tri−tert−butylphosphineを0.082gをトルエン30ml中で攪拌した。次に、中間体H−1−6を2.7g(4.5mmol)、1,3,5−トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼン0.7g、及びトルエン30mLを投入し、90℃まで加熱した。さらにt−BuONaを0.55gを添加し、105℃で4時間攪拌した。反応終了後、水100mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末0.9g(収率26%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を目的物である単量体H−1と同定した。
【0070】
実施例1
下記合成スキームにより、単量体H−2を合成した。
【化53】

【0071】
(1)中間体H−2−1の合成
アルゴン雰囲気下、室温で、4−ホルミルフェニルボロン酸 6.6g(44mmol)、1,4−ジブロモナフタレン12.5g(等モル)、Pd(PPhを1.0g、トルエン200mL中にて、攪拌し、次に、炭酸ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム13.9g、蒸留水100mL)を滴下し、70℃で16時間攪拌した。反応終了後、水300mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末6.8g(収率50%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−2−1と同定した。
【0072】
(2)中間体H−2−2の合成
アルゴン雰囲気下、室温で、中間体H−2−1を6.8g(22mmol)、エチレングリコール50mL、p−トルエンスルホン酸を2.5g、トルエン100mLを仕込み、70℃で12時間攪拌した。反応終了後、水300mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末7.0g(収率90%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−2−2と同定した。
【0073】
(3)中間体H−2−3の合成
アルゴン雰囲気下、室温で、ヨウ化銅(CuI)0.8g、N,N−ジメチルエチレンジアミン0.4gをキシレン300mL中で攪拌した。次に、中間体H−1−3を8.3g(20mmol)、中間体H−2−2を7g(20mmol)、炭酸カルシウム5.5gをキシレン120mLに分散して、投入し、140℃で2日攪拌した。反応終了後、水200mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末9.7g(収率70%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−2−3と同定した。
【0074】
(4)中間体H−2−4の合成
アルゴン雰囲気下、室温で、中間体H−2−3を9.5g(14mmol)、28%NaOMe/MeOHを14mL、トルエン55mLを仕込み、60℃で16時間攪拌した。
反応終了後、水150mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末7.3g(収率80%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−2−4と同定した。
【0075】
(5)中間体H−2−5の合成
アルゴン雰囲気下、室温で、酢酸パラジウム0.04g、tri−tert−butylphosphine0.2gをトルエン30mL中で攪拌した。次に、中間体H−2−4を6.5g(10mmol)、1,3,5−トリス(p−ブロモフェニル)ベンゼン1.8g(3.3mmol)、トルエン100mLを投入し、90℃まで加熱した。さらに、t−BuONa1.2gを添加し、105℃で4時間攪拌した。反応終了後、水200mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末4.4g(収率60%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−2−5と同定した。
【0076】
(6)単量体H−2の合成
大気中、室温で、中間体H−2−5を4.4g(2mmol)、p−トルエンスルホン酸2.0g、水50mL、トルエン100mLを仕込み、80℃にて5時間攪拌した。反応終了後、分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。アルゴン雰囲気下、室温で、得られた濃縮物、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド3.0g、脱水THF50mLを攪拌した。t−BuOKを1.2g、脱水THF50mLをさらに添加して攪拌し、室温にて10時間攪拌した。その後、水50mLを滴下して反応を終了させた。反応終了後、トルエン200mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末1.7g(収率40%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を目的物H−2と同定した。
【0077】
実施例3
下記合成スキームにより、単量体H−4を合成した。
【化54】

【化55】

【0078】
(1)中間体H−4−1の合成
アルゴン雰囲気下、カルバゾール16.7g(0.1mol)、2−(4−ブロモフェニル)−1,3−ジオキソラン22.9g(0.1mol)、ヨウ化銅(CuI)0.2g及び燐酸三カリウム42.4gに、trans−1,2−シクロヘキサンジアミンを2mL及び1,4−ジオキサンを300mL入れ、100℃にて20時間撹拌した。反応終了後、水300mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末22.1g(収率71%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−4−1と同定した。
【0079】
(2)中間体H−4−2の合成
アルゴン雰囲気下、中間体H−4−1を15.7g(50mmol)、ヨウ素を6g、過ヨウ素酸2水和物を2.4g、水を20mL、酢酸を100mL、硫酸を3mLを入れ65℃で30分撹拌後、90℃で6時間反応した。反応物を氷水に注入し、ろ過した。水で洗浄後、メタノールで洗浄することにより19.8g(収率90%)の白色粉末を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−4−2と同定した。
【0080】
(3)中間体H−4−3の合成
アルゴン雰囲気下、中間体H−4−2を15.7gに脱水トルエン、脱水エーテルを加え、−45℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.58M)を25ミリリットル滴下して、攪拌しながら1時間かけて−5℃まで昇温した。再び−45℃まで冷却し、ボロン酸トリイソプロピルエステル25ミリリットルをゆっくり滴下してから2時間反応させた。室温に戻した後、10%希塩酸溶液を加えて攪拌し、有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、得られた固体をn−ヘキサンで洗浄し、減圧乾燥したところ、8.8g(収率68%)の固体を得た。
FD−MSの分析により、得られた固体を中間体H−4−3と同定した。
【0081】
(4)中間体H−4−4
アルゴン雰囲気下、4−ヨードブロモベンゼン5.7g、中間体H−4−3を7.2g(20mmol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)0.5gにトルエン100mL、2M濃度の炭酸ナトリウム水溶液30ミリリットルを加え、10時間還流させながら加熱した。反応終了後、直ちにろ過した後、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色固体4.7g(収率50%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色固体を中間体H−4−4と同定した。
【0082】
(5)中間体H−4−5
アルゴン雰囲気下、室温で、ヨウ化銅(CuI)0.4g、N,N-ジメチルエチレンジアミン0.2gをキシレン100mL中で攪拌した。次に、中間体H−4−4を4.7g(10mmol)、ビフェニルアセトアミド2.1g(10mmol)、炭酸カルシウム2.8gをキシレン60mLに分散して投入し、140℃で2日攪拌した。反応終了後、水100mLを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色粉末4.5g(収率75%)を得た。
FD−MSの分析により、得られた白色粉末を中間体H−4−5と同定した。
【0083】
(6)単量体H−4の合成
目的物である単量体H−4を、実施例2の(4)、(5)及び(6)と同様にして、中間体H−4−6及びH−4−7を経て合成した。
【0084】
実施例4
下記合成スキームにより、単量体H−6を合成した。
【化56】

【化57】

【化58】

【0085】
実施例5
下記合成スキームにより、単量体H−7を合成した。
【化59】

【0086】
実施例6
下記合成スキームにより、単量体H−10を合成した。
【化60】

【化61】

【化62】

【0087】
実施例7
下記合成スキームにより、単量体H−12を合成した。
【化63】

【0088】
実施例8
下記合成スキームにより、単量体H−13を合成した。
【化64】

【化65】

【0089】
実施例9
下記合成スキームにより、単量体H−15を合成した。
【化66】

【化67】

【0090】
実施例10
下記合成スキームにより、単量体H−23を合成した。
【化68】

【化69】

【化70】

【0091】
実施例11
下記合成スキームにより、単量体H−24を合成した。
【化71】

【0092】
実施例12
下記合成スキームにより、単量体H−29を合成した。
【化72】

【化73】

【0093】
実施例13(有機EL素子作製と評価)
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)を、イソプロピルアルコール中で5分間超音波洗浄した後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。洗浄後の透明電極付きガラス基板に、スピンコート法で正孔注入層に用いるポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)の混合物を10nmの膜厚で成膜して、正孔注入層を形成した(PSSはアクセプター)。ついで、重合性単量体として、実施例1で得られた単量体H−1のキシレン溶液(1.0重量%)を、スピンコート法で40nmの膜厚で成膜し、230℃で30分間乾燥及び熱硬し、正孔輸送層を形成した。次に、化合物EM1(ホスト)とスチリル基を有するアミン化合物D1(ドーパント)が固形分重量比95:5で混合しているキシレン溶液(1.0重量%)を、スピンコート法で40nmの膜厚で成膜し、150℃で30分間乾燥させ、発光層を形成した。この膜上にAlqを蒸着により、膜厚10nmに成膜した。この層は、電子注入層として機能する。この後、還元性ドーパントであるLi(Li源:サエスゲッター社製)とAlqを二元蒸着させ、電子注入層(陰極)としてAlq:Li膜(膜厚10nm)を形成した。このAlq:Li膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し、窒素中でガラス封止して、有機EL素子を作製した。
【0094】
上記化合物EM1、化合物D1及びAlqは、それぞれ下記構造を有する化合物である。
【化74】

【0095】
作製した有機EL素子に電流を流して性能を評価したところ、青色に発光し、発光効率5.4cd/A、室温での輝度半減寿命LT50=1,600hr@1,000cd/mであった。また、作製した有機EL素子を60℃のオーブン内で駆動させたところ、輝度半減寿命LT50=640hr@1,000cd/mであり、60℃輝度半減寿命/室温輝度半減寿命比は、0.40であった。結果を表1に示す。
【0096】
実施例14−24
正孔輸送材料として、単量体H−1の代わりに表1に示す実施例2−12で調製した単量体を用いた他は実施例13と同様にして有機EL素子を作製し評価した。結果を表1に示す。
【0097】
実施例25
発光層の材料として、スチリル基を有するアミン化合物D1の代わりに下記アリールアミン化合物D2を用いた他は実施例13と同様にして有機EL素子を作製し評価した。結果を表1に示す。
【化75】

【0098】
比較例1
実施例13において、正孔輸送材料として、単量体H−1のキシレン溶液(1.0重量%)の代わりに、下記単量体X1のキシレン溶液(1.0重量%)を用いてスピンコート法での成膜を試みたが、膜が結晶化して、均一な正孔輸送層を形成することができなかった。
【化76】

【0099】
比較例2
正孔輸送材料として、単量体H−1の代わりに、特開2008−218983公報に開示の下記単量体X−2を用いたこと他は実施例13と同様に有機EL素子を作製した。
作製した有機EL素子に電流を流して性能を評価したところ、青色に発光し、発光効率3.0cd/A、室温での輝度半減寿命LT50=600hr@1,000cd/mであった。また、作製した有機EL素子を60℃のオーブン内で駆動させたところ、輝度半減寿命LT50=150hr@1,000cd/mであり、60℃輝度半減寿命/室温輝度半減寿命比は、0.25であった。結果を表1に示す。
【化77】

【0100】
【表1】

【0101】
表1の結果から、本発明の単量体由来の重合体からなる正孔輸送層を備える実施例の有機EL素子は、発光効率及び寿命で優れ、且つ高温駆動しても、寿命低下の割合が小さいことが分かる。一方、比較例の素子は、実施例の素子に比べて、発光効率及び寿命で劣り、高温駆動すると、寿命低下が著しいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明によれば、有機デバイス、特に有機EL素子等の正孔注入輸送材料として有用な重合性単量体及びその重合体を提供でき、寿命、発光効率等の素子特性に優れ、ディスプレイや照明用途で特に実用的な高温駆動を施しても、劣化の小さい、実用に適した有機EL素子を提供することができる。
また、塗布法で正孔注入輸送層が均一に形成できるため、ディスプレイや照明用途の低コスト化又は大画面化に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表わされる重合性単量体。
【化78】

(式中、Zは下記式(2)で表わされる基である。
Lは、n価の連結基である。
Lは、さらに1以上の置換基を有してもよい。
nは、2〜10の整数である。)
【化79】

(式中、Aは、単結合又は2価の連結基である。
Bは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の1+l価の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の1+l価の芳香族複素環基である。
Cは、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の1+m価の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の1+m価の芳香族複素環基である。
Zは、Aを介して、Lと結合する。
P及びQは、それぞれ独立に、下記式(3)又は式(4)で表される基である。
l及びmは、それぞれ0又は1の整数であり、l+m≧1である。
重合性官能基を含む基が、L、A、B、C、P及びQの少なくとも1つに結合する。)
【化80】

(式(3)において、Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、水素原子、重水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、基を構成するアルキル基が各々独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であるトリアルキルシリル基、基を構成するアリール基が各々独立に置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基であるトリアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25のアリール基、及び置換もしくは無置換の環形成原子数5〜24のヘテロアリール基から選ばれる原子又は基である。
及びRは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜15の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20のシクロアルキル基、基を構成するアルキル基が各々独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であるトリアルキルシリル基、基を構成するアリール基が各々独立に置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基であるトリアリールシリル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜24のヘテロアリール基、ハロゲン原子、及びシアノ基から選ばれる原子又は基であり、隣接する複数のR同士、隣接する複数のR同士、並びに隣接するR及びRは互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
a及びbは、それぞれ独立に0〜3の整数である。
及びQは、それぞれ独立に、飽和もしくは不飽和の環を形成する原子数5〜25の基である。
式(4)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜25の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜25の芳香族複素環基であり、Ar及びArの少なくとも1つは環形成炭素数18〜25の環集合基、又は環形成炭素数12〜25の縮合芳香族環基である。)
【請求項2】
前記重合性官能基を含む基が、式(1)のLに結合した請求項1に記載の重合性単量体。
【請求項3】
2以上の前記重合性官能基を含む基が結合した請求項1又は2に記載の重合性単量体。
【請求項4】
前記重合性官能基を含む基が、
下記式(i)で表わされるビニル基、ビニリデン基、ビニレン基又はエチニレン基を含む基;
下記式(ii)で表わされるベンゾシクロブテン基を含む基;
下記式(iii)で表わされるN−マレイミド基を含む基;
下記式(iv)で表わされるノルボルネニル基を含む基;
下記式(v)で表わされるアセチレニル基を含む基;又は
(vi)前記式(iv)で表わされる基以外の置換もしくは無置換のノルボルネン骨格を有する基、置換もしくは無置換のエポキシ基又はオキセタン基を有する基、ラクトン構造もしくはラクタム構造を有する官能基、シクロオクタテトラエン基、1,5−シクロオクタジエン基、1,ω-ジエン基、O−ジビニルベンゼン基、及び1,ω-ジイン基からなる群から選択される環化重合又は開環重合可能な官能基を含む基である請求項1〜3のいずれかに記載の重合性単量体。
【化81】

(式中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基である。
11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化82】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化83】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化84】

(式中、L11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【化85】

(式中、R14は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基である。
11は2価の連結基である。
nは0又は1の整数であり、nが0の場合L11は単結合である)
【請求項5】
11の2価の連結基が、−L12−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−C(=O)NR15−、−NR16C(=O)−、−NR17−、−S−、及び−C(=S)−で表わされる2価の連結基のいずれかを含む、又は2以上のこれら連結基が任意の順序で結合した連結基を含み、
12は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリーレン基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜24の2価の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、置換もしくは無置換のビニレン基、置換もしくは無置換のビニリデン基、及びエチニレン基からなる群から選択される連結基、又は前記群から選択される2以上の基が任意の順序で結合してなる連結基であり、
15〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、及び置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜24のアリール基からなる群から選択される請求項4に記載の重合性単量体。
【請求項6】
前記L12が、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を含む連結基である請求項5に記載の重合性単量体。
【請求項7】
前記L及び/又はAが、下記のいずれかで表される基を含む連結基である請求項1〜6のいずれかに記載の重合性単量体。
【化86】

【化87】

(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基である。
mは、2≦m≦20の整数であり、複数のR21はそれぞれ同じでも異なってもよく、複数のR22はそれぞれ同じでも異なってもよい。)
【化88】

(式中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
23とR24及び/又はR25とR26は、それぞれ互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
x及びyは、それぞれ1≦x≦3の整数、1≦y≦3の整数であり、xが2又は3の場合、複数のR25は同じでも異なってもよく、yが2又は3の場合、複数のR26は同じでも異なってもよい。)
【化89】

(式中、R27は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
zは、1≦z≦4の整数であり、zが2、3又は4の場合、複数のR27は同じでも異なってもよい。)
【化90】

(式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
複数のR28同士及び/又はR29同士は、互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
cは、1≦c≦3の整数であり、cが2又は3の場合、複数のR29は同じでも異なってもよい。)
【請求項8】
前記L及び/又はAが、N原子間の共役を遮断する基を含む連結基である請求項1〜7のいずれかに記載の重合性単量体。
【請求項9】
前記N原子間の共役を遮断する基を含む連結基が、下記のいずれかで表される基を含む連結基である請求項8に記載の重合性単量体。
【化91】

【化92】

(式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基又はt−ブチル基である。
mは、2≦m≦20の整数であり、複数のR21はそれぞれ同じでも異なってもよく、複数のR22はそれぞれ同じでも異なってもよい。)
【化93】

(式中、R23、R24、R25及びR26は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
23とR24及び/又はR25とR26は、それぞれ互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
x及びyは、それぞれ1≦x≦3の整数、1≦y≦3の整数であり、xが2又は3の場合、複数のR25は同じでも異なってもよく、yが2又は3の場合、複数のR26は同じでも異なってもよい。)
【化94】

(式中、R27は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
zは、1≦z≦4の整数であり、zが2、3又は4の場合、複数のR27は同じでも異なってもよい)
【化95】

(式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数1〜20のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基を有するトリアリールシリル基、炭素数1〜20のアルキル基及び環形成炭素数6〜24のアリール基を有するアルキルアリールシリル基、環形成炭素数6〜24のアリール基、又は環形成原子数5〜24のヘテロアリール基である。
複数のR28同士及び/又はR29同士は、互いに結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
cは、1≦c≦3の整数であり、cが2又は3の場合、複数のR29は同じでも異なってもよい。)
【請求項10】
P及び/又はQが、それぞれ下記式(5)又は(6)で表される基である請求項1〜9のいずれかに記載の重合性単量体。
【化96】

(式中、R、R、a、b、Q、及びQは、前記式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、前記式(3)と同様である。)
【請求項11】
P及び/又はQが、それぞれ下記式(7)で表される基である請求項1〜10のいずれかに記載の重合性単量体。
【化97】

(式中、R、R、a及びbは、前記式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、前記式(3)と同様である。)
【請求項12】
P及び/又はQが、それぞれ下記式(7−1)又は(7−2)で表される基である請求項1〜11のいずれかに記載の重合性単量体。
【化98】

(式中、R、R、a及びbは、前記式(3)と同様である。
Xは、−O−、−S−、又は−N(R)−であり、Rは、前記式(3)と同様である。)
【請求項13】
複数のZが互いに異なる請求項1〜12のいずれかに記載の重合性単量体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の重合性単量体に由来する繰り返し単位を1種以上有する重合体。
【請求項15】
請求項14に記載の重合体を含んでなる有機デバイス用材料。
【請求項16】
請求項14に記載の重合体を含んでなる正孔注入輸送用材料。
【請求項17】
請求項14に記載の重合体を含んでなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれかに記載の重合性単量体を溶媒に溶解してなる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料溶液。
【請求項19】
陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む1以上の有機薄膜層が挟持されている有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記有機薄膜層の少なくとも1層が、請求項14に記載の重合体を含有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項20】
前記有機薄膜層が正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層を有し、
前記正孔輸送層及び正孔注入層の少なくとも1層が、請求項14に記載の重合体を含有する請求項19に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項21】
請求項14に記載の重合体を含有する有機薄膜層が、請求項18に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用材料溶液を塗布し、加熱して製膜してなる層である請求項19又は20に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項22】
青色系発光する請求項19〜21のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。


【公開番号】特開2012−111719(P2012−111719A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262397(P2010−262397)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】