説明

重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物及び該重合性液晶組成物の重合物を含有する光学異方性膜

【課題】有機溶剤に対する溶解性に優れ、重合後の液晶性及び透明性が良好であり、また耐熱性や配向制御に優れ、得られる光学異方体の薄膜化が可能な重合性液晶組成物を提供すること。
【解決手段】重合性液晶組成物として、例えば下式で示される反応式で得られる重合性液晶化合物の一種以上及び、例えば、アクリロイル基を有する安息香酸エステルとアクリロイル基を有するフェノールとのエステル化反応により製造することができる重合性液晶化合物の一種以上を併用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの縮合環を含む直鎖上に並んだ複数の環構造を有し、環上に置換基を有し、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物、及び該重合性液晶組成物の重合物を含有する光学異方性膜に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性官能基を有する液晶化合物(以下、「重合性液晶化合物」と称す)又は該重合性液晶化合物を少なくとも一種含有する液晶組成物(以下、「重合性液晶組成物」と称す)を、液晶状態で均一に配向させた後、液晶状態を保持したまま紫外線等の活性エネルギー線を照射すると、液晶分子の配向状態構造を半永久的に固定化した重合物を含有する光学異方性膜を作成することが出来る。このようにして得られた重合物は、屈折率、誘電率、磁化率、弾性率、熱膨張率等の物理的性質の異方性を有していることから、例えば、位相差板、偏光板、偏光プリズム、輝度向上フィルム、ローパス・フィルター、各種光フィルター、光ファイバーの被覆材、導波路、圧電素子、非線形光学素子等の光学異方性を有する成型体として応用可能である。重合によって得られる上記の光学異方体(重合物)においては、異方性以外の特性も重要である。該特性としては、重合速度、重合物の透明性、力学的強度、塗布性、溶解度、結晶化度、収縮性、透水度、吸水度、融点、ガラス転移点、透明点、耐薬品性、耐熱性等が挙げられる。
【0003】
上記重合性液晶組成物において、液晶相発現温度が高い場合、活性エネルギー線による光重合だけでなく、意図しない熱重合も誘起されて液晶分子の均一な配向状態が失われるため、所望する配向の固定が困難である。従って、硬化時の温度管理を容易にするために、室温付近で液晶相を示す重合性液晶組成物が求められている。
【0004】
また、上記光学異方性膜は、上記重合性液晶組成物を基板に塗布して重合することによって得られるが、非重合性化合物が含まれると得られる膜の強度が不足したり、膜内に応力歪みが残存したりする欠点がある。また非重合性化合物を溶媒等で取り除くと、膜の均質性が保てずムラが生じたりする問題がある。従って、膜厚が均一な光学異方性膜を得るためには、重合性液晶組成物を溶剤に溶かしたものを塗工する方法が好ましく用いられ、液晶性化合物又はそれを含む重合性液晶組成物の溶媒溶解性が良好であることが必要とされている。
【0005】
また、光学異方性膜のコントラスト比に関わるリタデーションRは、R=Δn・d(式中、Δnは光学(屈折率)異方性、dは膜厚を示す)によって表される。Rは用途に応じて特定の値に設定する必要があるので、Δnを大きくすればdを小さくすることができる。この光学異方性膜の薄膜化は、重合時の液晶の配向制御が容易となり、製造時の歩溜まりが改善されて製造効率が向上する等の効果を得ることが可能である。
【0006】
また、重合性官能基が(メタ)アクリル基である重合性液晶化合物又は該重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物は、重合反応性が高く、得られた重合物は高い透明性や機械的強度を有するので、光学異方体としての利用が盛んに検討されている(例えば特許文献1〜10参照)。しかしながら、これらの文献に開示されている重合性液晶組成物では、何れも膜厚を薄くした場合の製膜の制御が困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−116534号公報
【特許文献2】特表平11−130729号公報
【特許文献3】特表平11−513360号公報
【特許文献4】特許第3228348号公報
【特許文献5】特開2005−015473号公報
【特許文献6】特開2005−206579号公報
【特許文献7】特開2002−265421号公報
【特許文献8】特開2002−308831号公報
【特許文献9】特開2002−308832号公報
【特許文献10】特開2007−119415号公報
【0008】
一般に、光学異方性膜の膜厚が厚い場合、重合性液晶組成物中の液晶分子の配向制御が困難で膜の透過率が低下したり、着色が現れたりする等の問題がある。一方、膜厚の薄い重合膜を作製しようとすると、薄膜化により膜の全範囲にわたって良好な配向制御が得られるものの、膜厚制御が困難で表面が不均一になったり、結晶化しやすくなったりするという問題があった。また、製膜の際配向制御した液晶状態の安定性が乏しく、紫外線照射等の硬化前に配向が乱れる場合があり、従来既知の重合性液晶組成物では満足できる重合膜は得られなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、室温付近で液晶相を示して(液晶相を示す温度範囲が広くて)結晶が析出せず、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のハロゲンを含まない有機溶剤に対する溶解性に優れ、機械的強度、塗布性、配向性、収縮性、吸水度、耐薬品性等の特性に優れ、且つ重合後の透明性に優れる重合性液晶化合物を含有する重合性液晶組成物であって、かかる重合性液晶組成物を硬化して得られる重合膜に対して、重合膜を薄膜化しても、均一な膜状態を維持し、耐熱性や配向制御及び光学特性に優れる重合性液晶組成物、及び該重合性液晶組成物の重合物を用いて得られる光学異方性膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、種々の重合性液晶化合物について検討を重ねた結果、特定の化学構造を有する重合性液晶化合物を組み合わせることにより上記目的を達成できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される重合性液晶化合物の一種以上及び下記一般式(II)で表される重合性液晶化合物の一種以上を含有させてなる重合性液晶組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0012】
【化1】

(式中、環A1、A2及びA3は、それぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環又はナフタレン環を表し、
1は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数2〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基は少なくとも酸素原子で1回中断されており、
1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、
1及びZ2は、それぞれ独立に、直接結合、−L1−、−O−CO−、−CO−O−、−L1O−、−OL1−、−L1O−CO−、−L1CO−O−、−L1O−CO−O−、−O−COL1−、−CO−OL1−又は−O−CO−OL1−を表し、
1は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基は酸素原子で1〜3回中断されていてもよく、
1、Y2及びY3は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子若しくは−CO−で中断されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、a、b及びcはそれぞれ独立に0か1であり、a+b+cは1以上3以下である。)
【0013】
【化2】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、
環A4、環A5及び環A6は、それぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環又はフェナントレン環を表し、これらの環中の−CH=は−N=で、−CH2−は−S−又は−O−で中断されていてもよく、
4、Y5及びY6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子若しくはシアノ基で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、該アルキル基中のメチレン基は−O−、−CO−、−O−CO−又は−CO−O−で中断されていてもよく、
2及びL3は、それぞれ独立に、直接結合、−COO−、−(CE2p−、−CE=CE−、−(CE2pO−、−CE=CECE2O−、−C≡C−、−(CE2pCOO−、−(CE2pOCO−O−又は−(CE2qO(CE2rO−を表し、
4及びL5は、それぞれ独立に、直接結合、−OCO−、−(CE2p−、−CE=CE−、−O(CE2p−、−OCE2CE=CE−、−C≡C−、−OCO(CE2p−、−OCO−O(CE2p−、−(CE2qO(CE2rO−又は−O(CE2qO(CE2r−を表し、L2及びL5におけるEは、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、L3及びL4におけるEは、水素原子を表し、複数あるEは同一でも異なっていてもよく、
d、e及びfは、それぞれ環A4、環A5及び環A6における置換基の数であって、それぞれの置換される単環又は縮合環に含まれる6員環の数をtとすると、d、e及びfは、それぞれ独立に、2t+2以下の整数で、且つeは1以上の整数を表し、
pはそれぞれ独立に1〜8の整数を表し、q及びrは、それぞれ独立に、1〜3の整数を表す。)
【0014】
また、本発明は、上記重合性液晶組成物を光重合して得られる重合物を含有する光学異方性膜を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の重合性液晶組成物は、有機溶剤に対する溶解性に優れ、重合後の液晶性及び透明性が良好であり、更に、光学(屈折率)異方性(Δn)が高いため、得られる光学異方体の薄膜化が可能となり、コレステリック液晶の選択反射波長帯域幅が広くなるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、その好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0017】
上記一般式(I)中のS1で表されるハロゲン原子で置換されていてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数2〜8のアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ブタン−1,3−ジイル、2−メチルプロパン−1,3−ジイル、2−メチルブタン−1,3−ジイル、ペンタン−2,4−ジイル、ペンタン−1,4−ジイル、3−メチルブタン−1,4−ジイル、2−メチルペンタン−1,4−ジイル、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン等の直鎖又は分岐のアルキレン基等が挙げられ、L1で表わされるハロゲン原子で置換されていてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基としては、前記のS1で表わされる炭素原子数2〜8のアルキレン基として例示した基の他、メチレン、ノナメチレン、デカメチレン等が挙げられる。
【0018】
上記一般式(I)中のY1、Y2及びY3で表される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、シアノメチル、エチル、ジクロロエチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル等が挙げられ、炭素原子数1〜8のアルコキシ基としては、メチルオキシ、クロロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、シアノメチルオキシ、エチルオキシ、ジクロロエチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0019】
上記一般式(II)において、R1、R2、Y4、Y5及びY6で表されるハロゲン原子としては、Y1、Y2及びY3で表されるハロゲン原子として例示した基が挙げられ、Y4、Y5及びY6で表される炭素原子数1〜6のアルキル基としては、Y1、Y2及びY3で表される炭素原子数1〜6のアルキル基として例示した基が挙げられる。
【0020】
上記一般式(I)又は(II)で表わされる重合性液晶化合物の中でも、上記一般式(I)において、環A1、環A2及び環A3が1,4−フェニレンであるもの;上記一般式(II)において、環A4、環A5及び環A6が1,4−フェニレン又は2,6−ナフチレンであるもの;上記一般式(II)において、L2が、−(CE2pOCO−O−又は−(CE2pO−であり、且つL5が、−OCO−O(CE2p−又は−O(CE2p−であるもの、特に上記一般式(II)において、L2が、−(CH2pOCO−O−又は−(CH2pO−であり、且つL5が、−OCO−O(CH2p−又は−O(CH2p−であるもの(Eが全て水素原子であるもの);上記一般式(II)において、L2及びL5の何れかが直接結合であるものが、上記重合性液晶組成物への溶解性が良いため好ましい。
【0021】
上記一般式(I)で表される重合性液晶化合物の具体例としては、以下に示す構造の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物により制限を受けるものではない。
【0022】
【化3】

【0023】
【化3A】

【0024】
上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物の具体例としては、以下に示す構造の化合物が挙げられる。但し、本発明は以下の化合物により制限を受けるものではない。
【0025】
【化4】

【0026】
【化4A】

【0027】
【化4B】

【0028】
上記一般式(I)で表わされる重合性液晶化合物は、その製造方法については特に制限されず、公知の反応を応用して製造することができるが、例えば、4−アクリロイル安息香酸とフェノール化合物とのエステル化反応によりアクリロイル基を有するフェノール体を合成し、該フェノール体とアクリロイル基を有する安息香酸とのエステル化反応により製造することができる。また、上記一般式(II)で表わされる重合性液晶化合物についても、同様にその製造方法については特に制限されず、公知の反応を応用して製造することができるが、例えば、アクリロイル基を有する安息香酸エステルとアクリロイル基を有するフェノールとのエステル化反応により製造することができる。
【0029】
本発明の重合性液晶組成物において、上記一般式(I)で表される重合性液晶化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよく、また上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物も同様に単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明の重合性液晶組成物において、上記一般式(I)で表される重合性液晶化合物の合計量と上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物の合計量との質量比が、好ましくは10/90〜99.9/0.1(前者/後者)、より好ましくは25/75〜90/10、更に好ましくは30/70〜70/30である。上記一般式(I)で表わされる重合性液晶化合物の割合が10より小さいと十分な溶媒溶解性や液晶相の安定が得られず、上記一般式(I)で表わされる重合性液晶化合物の割合が99.9より大きいと液晶相を発現しなかったり光学物性が悪くなったりする恐れがある。
【0031】
本発明の重合性液晶組成物において、上記一般式(I)で表わされる重合性液晶化合物及び上記一般式(II)で表わされる重合性液晶化合物(以下、両者を併せて本発明に係る重合性液晶組成物とも称す)の含有量は、好ましくは5〜80質量%、好ましくは25〜60質量%である。5質量%より少ないと、十分な溶媒溶解性や液晶相の安定が得られず、80質量%より多いと、液晶相を発現しなかったり光学物性が悪くなったりする恐れがある。
【0032】
本発明に係る重合性液晶化合物を含む重合性液晶組成物は、重合することにより、液晶性重合物とすることができる。この重合性液晶組成物の重合物は、光学異方性膜を構成する場合には、少なくとも室温付近で液晶相を示し、25℃以下で液晶相を示すことが、塗工膜を作成する際の操作性が高いので好ましい。
【0033】
本発明の重合性液晶組成物には、該重合性液晶化合物以外の液晶化合物、例えば本発明に係る重合性液晶化合物以外のエチレン性不飽和結合を有する液晶性単量体、光学活性基を有する単量体、(メタ)アクリル酸エステル等のエチレン性不飽和結合を有する化合物を添加することができる。しかし、重合性液晶組成物を用いて作成する高分子の耐熱性を保持する意味で、該エチレン性不飽和結合を有する化合物の添加量は、本発明の重合性液晶組成物中、30質量%以下、特に10質量%以下が好ましい。
【0034】
上記他の液晶性単量体の具体例としては、特開2007−119415号公報の段落〔0049〕〜〔0062〕に記載の化合物等が挙げられる。
【0035】
上記の光学活性基を有する単量体としては、例えば、後に光学活性化合物として例示する化合物のうちのエチレン性不飽和結合を有するものが挙げられる他、エポキシ基、オキセタン基等のエポキシド基を1種以上有し且つ光学活性基を有する化合物等も挙げられる。
【0036】
上記の(メタ)アクリル酸エステル等のエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、第二ブチル(メタ)アクリレート、第三ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、アリルオキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−フェニルエチル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、ジフェニルメチル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ペンタクロルフェニル(メタ)アクリレート、2−クロルエチル(メタ)アクリレート、メチル−α−クロル(メタ)アクリレート、フェニル−α−ブロモ(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0037】
本発明の重合性液晶組成物には、その重合反応性を向上させることを目的として、熱重合開始剤、光重合開始剤等のラジカル重合開始剤を添加することもできる。これらを添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下が更に好ましく、0.5〜4質量%の範囲が最も好ましい。
【0038】
上記熱重合開始剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができ、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチルバレレート、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物類;2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類;テトラメチルチラウムジスルフィド等が挙げられる。
【0039】
上記光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンジルジメチルケタール等のベンジルケタール類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4’−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4’−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4’−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のオキサイド類;3−(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−メチルカルバゾール等のカルバゾール類;ベンジル、ベンゾイル蟻酸メチル等のα−ジカルボニル類;特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特開2005−97141号公報、特表2006−516246号公報、特許第3860170号公報、特許第3798008号公報、WO2006/018973号公報に記載の化合物等のα−アシルオキシムエステル類;p−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−s−トリアジン等のトリアジン類;過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、エチルアントラキノン、1,7−ビス(9’−アクリジニル)ヘプタン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、2−(p−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、チオキサントン/アミン等が挙げられる。光重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
【0040】
本発明の重合性液晶組成物には、液晶骨格のらせん構造を内部に有する高分子を得ることを目的として、光学活性化合物を添加することもできる。その添加量は、本発明の重合性液晶組成物中、0.1〜10質量%の範囲内が好ましく、0.2〜7.0質量%の範囲内がより好ましい。該光学活性化合物としては、例えば〔化5〕、〔化5A〕に示す化合物を挙げることができる。
【0041】
【化5】

【0042】
【化5A】

【0043】
本発明の重合性液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合、その目的に応じて、上記重合性液晶組成物には、金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物、重合禁止剤、保存安定剤、光増感剤、架橋剤、液晶配向助剤、無機物及び有機物等の微粒子化物、ポリマー等の機能性化合物等を添加することもできる。
【0044】
本発明の重合性液晶組成物は、重合させることにより、該重合性液晶組成物の重合物を含有する光学異方性膜とすることができる。該光学異方性膜は、例えば、本発明に係る重合性液晶化合物及び必要に応じてそれ以外の液晶化合物等の上述の各種添加成分を含み、更に必要に応じて溶媒を加えてそれらを溶解させた重合性液晶組成物を、支持体上に塗布し、乾燥後、熱を供与又は紫外線等を照射して重合させて重合性液晶化合物を配向、固定化することにより製造することができる。該光学異方性膜は、支持体上に形成されていてもよいし、支持体上に形成した後、転写したものであってもよい。
【0045】
上記支持体としては、特に限定されないが、その好ましい例としては、ガラス板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリカーボネート板、ポリイミド板、ポリアミド板、ポリメタクリル酸メチル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニル板、シクロオレフィンポリマー板、ポリテトラフルオロエチレン板、セルロース板、シリコン板、反射板、方解石板等が挙げられる。
【0046】
本発明の重合性液晶組成物を上記支持体に塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、ブレードコーティング法、グラビアコーティング法、印刷コーティング法等を用いることができる。
【0047】
本発明の重合性液晶組成物の重合物を製造する際に用いることができる上記溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸メトキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルセルソルブ等のセルソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチレン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、メシチレン、テトラリン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、中でも、ケトン類又はセロソルブ系溶媒が、安全で溶解性に優れるため好ましい。これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することもできる。
【0048】
本発明の重合性液晶組成物の重合物を含有する光学異方性膜を作成する際に、該重合性液晶組成物中の重合性液晶化合物を配向させる方法としては、例えば、上述の支持体に事前に配向処理を施す方法が挙げられる。上記支持体に配向処理を施す好ましい方法としては、各種ポリイミド系配向膜、ポリアミド系配向膜、ポリビニルアルコール系配向膜等からなる液晶配向層を支持体の上に設け、ラビング等の処理を行う方法が挙げられる。また、上記重合性液晶化合物を配向させる方法としては、上記支持体上の重合性液晶化合物に磁場や電場等を印加する方法等も挙げられる。尚、上記光学異方性膜の膜厚は、光学異方性を有する成型体の用途等に応じて適宜選択されるが、好ましくは0.01〜100μmの範囲から選択する。また、上記光学異方性膜を複数重ねて用いる場合にも、膜厚は上記の範囲内とすることが好ましい。
【0049】
本発明の重合性液晶組成物は、熱、光又は電磁波を用いる公知の方法により重合させることができる。光又は電磁波による重合反応としては、前記光重合開始剤を用いて紫外光を照射するラジカル重合が好ましい。また、磁場や電場を印加しながら重合させることも好ましい。支持体上に形成した液晶重合物は、そのまま使用しても良いが、必要に応じて、支持体から剥離したり、他の支持体に転写して使用しても良い。
【0050】
上記光の好ましい種類は、紫外線、可視光線、赤外線等である。電子線、X線等の電磁波を用いてもよい。通常は、紫外線又は可視光線が好ましい。好ましい波長の範囲は150〜500nmである。更に好ましい範囲は250〜450nmであり、最も好ましい範囲は300〜400nmである。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等が挙げられるが、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプが好ましく使用することができる。光源からの光はそのまま重合性液晶組成物に照射してもよく、フィルターによって選択した特定の波長(又は特定の波長領域)を重合性液晶組成物に照射してもよい。好ましい照射エネルギー密度は、10〜50000mJ/cm2であり、更に好ましい範囲は10〜20000mJ/cm2である。好ましい照度は0.1〜5000mW/cm2であり、更に好ましい照度は1〜2000mW/cm2である。露光量が少ないと重合が不十分であり、露光量が多いと急硬化のため、黄変や劣化が起こる恐れがある。
【0051】
本発明の重合性液晶組成物の重合物は、光学異方性膜に成形され、液晶ディスプレイの位相差フィルム、液晶ディスプレイの光学補償板(位相差板)、液晶ディスプレイの配向膜、偏光板、視野角拡大板、反射フィルム、カラーフィルター、ホログラフィー素子、光偏光プリズム、光ヘッド等の光学素子、ローパス・フィルター、輝度向上フィルム、偏光ビームスプリッター等の光学異方性を有する成型体として使用できる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例等を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
【0053】
下記合成例1〜3では、本発明に係る重合性液晶化合物を合成した。
下記実施例1及び比較例1では、本発明に係る重合性液晶化合物又は比較用重合性液晶化合物を用いて、これらの化合物の含有量の異なる重合性液晶組成物を調製し、該重合性液晶組成物の塗工膜液晶相安定性を比較評価した。
下記実施例2及び比較例2では、本発明に係る重合性液晶化合物又は比較用重合性液晶化合物を用いて該化合物を含有する重合性液晶組成物を調製し、該重合性液晶組成物の溶媒溶解性を比較評価した。
下記実施例3では、組成の異なる複数の本発明に係る重合性液晶化合物及び光学活性化合物を用いてコレステリック液晶相を発現する本発明の重合性液晶組成物をそれぞれ調製して光学異方性膜を作製し、下記実施例4では、本発明に係る重合性液晶化合物又は比較用重合性液晶化合物を用いて該化合物を含有する重合性液晶組成物を調製して光学異方性膜を作製した。
【0054】
[合成例1]化合物No.1の合成
以下に示すステップ1〜3の手法に従い、化合物No.1を合成した。
【0055】
<ステップ1>
下記〔化6〕に示す反応式に従い、以下の手順で中間体安息香酸1を合成した。
【0056】
【化6】

4−ヒドロキシ安息香酸メチル100g(657.3mmol)、水酸化カリウム329.2g(3.0mol)、沃化カリウム10.9g(65.7mmol)、メタノール446g、及び水446gを冷却管付反応フラスコに量りとり60℃まで加熱した後、2−クロロエトキシエタノール343.3g(2.8mol)を滴下し、還流下迄加熱し、そのまま40時間反応を行なった。反応終了後、冷却し水酸化カリウム38.8g(657mmol)と水80gをゆっくり加えた後、昇温し、更に還流下にて4時間反応を継続した。室温迄冷却後、塩酸55mL及び水100gを滴下し、酸性になっていることを確認(pH=1)後、5℃まで冷却しそのまま30分間攪拌し、析出物を濾取した。濾過物を水500gに加え、15分間攪拌、濾取する操作を2回繰り返し、得られた濾過物を乾燥させ目的物である中間体安息香酸1の114.2g(収率76.8%)を得た。
【0057】
<ステップ2>
下記〔化7〕に示す反応式に従い、ステップ1で得られた中間体安息香酸1を用いて、以下の手順で中間体安息香酸2を合成した。
【0058】
【化7】

ステップ1で得られた中間体安息香酸1の50g(221mmol)、アクリル酸156.3g(2.21mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物16.8g(88.4mmol)、ハイドロキノン2.4g(22.1mmol)、及び1,2−ジクロロエタン310gを冷却管付き反応フラスコに量りとり、還流下まで加温し、そのまま3時間還流した。減圧下溶媒を留去し、残渣に水620gに加え、5℃に冷却後、析出物を濾取した。濾物を水で洗浄した後に、アセトンで洗浄、乾燥することで目的物である中間体安息香酸2の54.6g(収率88.1%)を得た。
【0059】
<ステップ3>
下記〔化8〕に示す反応式に従い、ステップ2で得られた中間体安息香酸2を用いて、以下の手順で重合性液晶化合物No.1を合成した。
即ち、先ず4−アクリロイル安息香酸とオルソ位に置換基を有する4−ベンジルオキシフェノールとのエステル体(1)を合成し、脱ベンジル化によりフェノール体(2)を得、得られたフェノール体(2)とステップ2で得られた中間体安息香酸2(3)とのエステル化によって目的物である化合物No.1(4)を得た。
【0060】
【化8】

メタンスルホニルクロリド19.7g(171.7mmol)、及びテトラヒドロフラン(THF)19gを反応フラスコに仕込み撹拌しながら−40℃以下まで冷却し、4−アクリロイルオキシ安息香酸30g(156.1mmol)、及びトリエチルアミン19.0g(187.3mmol)をTHF76gに溶解した混合液を−20℃以下で滴下しそのまま1時間反応を継続した。反応終了後、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)181mg(1.6mmol)、及びトリエチルアミン19.0g(187.3mmol)を追加し、4−ベンジルオキシ−2−プロピルフェノール39.7g(163.9mmol)をTHF38gに溶解した混合液を−40℃以下で滴下し、そのまま更に1時間反応を継続した。反応終了後室温に戻し、反応液を水洗、有機層を脱溶媒し、残渣をトルエン/メタノール混合溶媒で再結晶することによってエステル体(1)の48.2g(収率74.1%)を得た。
塩化アルミニウム3.8g(28.8mmol)をアニソール94gに溶解させ、氷水冷下で先に合成したエステル体(1)40g(96.0mmol)をアニソール94gに溶解させた混合液を15℃以下で滴下し、そのまま1時間反応させた。反応終了後、塩酸、及び酢酸エチルを追加し水洗、脱溶媒した後、残渣をヘキサンに滴下し、析出物を濾取、乾燥させ、フェノール体(2)の29.6g(収率94.5%)を得た。
メタンスルホニルクロリド3.6g(31.4mmol)、及びTHF17gを反応フラスコに仕込み−40℃以下まで冷却後、ステップ2で得られた中間体安息香酸2(3)8.0g(28.5mmol)、トリエチルアミン3.5g(34.3mmol)、及びTHF70g混合液を−30℃以下で滴下し、そのまま1時間反応を行なった。反応終了後、DMAP35mg(0.29mmol)、及びトリエチルアミン3.5g(34.3mmol)を追加し、フェノール体(2)9.8g(30.0mmol)をTHF34gに溶解させた溶液を−30℃以下で滴下し、更に1時間反応を継続した。反応終了後、反応液を水洗し有機層を脱溶媒した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/トルエン=1/9)で処理し、更にアセトン/メタノール混合溶媒で再結晶することによって無色不定形結晶12.31g(収率73.2%)を得た。1H−NMR(重クロロホルム溶媒)測定を行い、目的の化合物No.1(4)であることを確認した。
また、得られた化合物No.1について、相転移挙動を観察した。相転移温度(℃)は、DSC測定(走査速度5℃/分)と偏光顕微鏡観察による光学組織の確認によって決定した。結果を下記〔化9〕に示す。尚、Crは結晶相を、Nはネマチック相を、Iは等方性液体相をそれぞれ表す。
【0061】
(測定結果)
1H−NMR [CDCl3] (ppm)
0.9 (t ; 3H), 1.7 (q ; 2H), 2.6 (t; 2H), 3.8−3.9 (m ; 4H), 4.2−4.4 (m ; 4H), 5.9 (d ; 1H), 6.1−6.2 (m ; 2H), 6.3−6.5 (m ; 2H), 6.7 (d ; 1H), 7.0 (d ; 2H), 7.1−7.2 (m ; 3H), 7.3 (d ; 2H), 8.2−8.3 (q ; 4H)
IR [ATR] (cm-1
402, 522, 556, 607, 631, 650, 659, 675, 694, 759, 782, 796, 808, 833, 852, 882, 907, 974, 991, 1018, 1036, 1074, 1115, 1147, 1187, 1216, 1255, 1294, 1340, 1377, 1404, 1442, 1471, 1493, 1513, 1605, 1635, 1720, 2882, 2959, 3071
【化9】

【0062】
[合成例2]化合物No.2の合成
以下に示すステップ1及び2の手法に従い、化合物No.2を合成した。
【0063】
<ステップ1>
下記〔化10〕に示す反応式に従い、以下の手順で中間体フェノールを合成した。
【0064】
【化10】

メタンスルホニルクロリド4.50g(37.5mmol)、及び(N,N‘−ジメチルホルムアミド)DMF30gを反応フラスコに仕込み、−40℃以下まで冷却後、原料安息香酸10g(35.7mmol)、ジイソプロピルエチルアミン5.53g(42.8mmol)、及びDMF30gの混合液を−40℃以下で滴下し、そのまま攪拌した。続けてDMF60gに溶解させた2,5−ジヒドロキシアセトフェノン5.70g(37.5mmol)を−40℃以下で滴下し10分間撹拌した後、ジイソプロピルエチルアミン10.14g(78.5mmol)を−25℃以下で滴下し、そのままの温度で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を分液ロートに移し、水洗後、有機層を脱溶媒し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で処理した。更に酢酸エチル/ヘキサン混合溶媒で再結晶することによって目的物である中間体フェノール5.71g(収率38.5%)を得た。
【0065】
<ステップ2>
下記〔化11〕に示す反応式に従い、以下の手順で化合物No.2を合成した。
【0066】
【化11】

メタンスルホニルクロリド1.31g(11.5mmol)、及びTHF12gを反応フラスコに仕込み、−40℃以下まで冷却、4−アクリロイルオキシ安息香酸2g(10.4mmol)、トリエチルアミン1.26g(12.5mmol)、及びTHF24gの混合液を−40℃以下で滴下しそのまま1時間攪拌した。反応終了後、DMAP1mg(0.10mmol)、及びトリエチルアミン1.26g(12.5mmol)を追加し、ステップ1で得られた中間体フェノール4.53g(10.9mmol)のTHF12g溶液を−45℃以下で滴下し、そのまま4時間攪拌した反応終了後、反応液を分液ロートに移し、水洗、有機層を脱溶媒し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/トルエン=1/9)で処理した。更に残渣をアセトン/メタノール混合溶媒で再結晶することによって無色結晶2.68g(収率43.7%)を得た。1H−NMR(重クロロホルム溶媒)測定を行い、目的の化合物No.2であることを確認した。また、得られた化合物No.2について、化合物No.1と同様にして、相転移挙動を観察した。結果を下記〔化12〕に示す。
【0067】
(測定結果)
1H−NMR [CDCl3] (ppm)
2.6 (s ; 3H), 3.8−4.0 (m ; 4H), 4.2−4.4 (m ; 4H), 5.9 (d ; 1H), 6.1−6.2 (m ; 2H), 6.3−6.5 (m ; 2H), 6.7 (d ; 1H), 7.0 (d ; 2H), 7.3 (m ; 3H), 7.5 (d ; 1H), 7.7 (d ; 1H) 8.2−8.3 (q ; 4H)
IR [ATR] (cm-1
421, 505, 532, 563, 616, 629, 660, 672, 689, 724, 757, 810, 843, 859, 958, 1017, 1070, 1137, 1159, 1171, 1193, 1248, 1271, 1300, 1404, 1455, 1484, 1506, 1576, 1604, 1636, 1689, 1725, 2945, 3074
【化12】

【0068】
[合成例3]化合物No.3の合成
以下に示すステップ1及び2の手法に従い、化合物No.3を合成した。
【0069】
<ステップ1>
下記〔化13〕に示す反応式に従い、以下の手順で中間体フェノールを合成した。
【0070】
【化13】

反応フラスコにメタンスルホニルクロリド4.50g(0.0393mol)、及びDMF10gを仕込み、−30℃まで冷却した。その反応溶液に安息香酸10g(0.0357mol)、及びジイソプロピルエチルアミン5.53g(0.0428mol)のDMF20g溶液を滴下し、1.5時間撹拌した。その後ジイソプロピルエチルアミン5.53g(0.0428mol)を加え、更に1−(2,5−ジヒドロキシフェニル)プロパン−1−オン5.93g(0.0357mol)のDMF5g溶液を滴下し、そのまま3時間反応させた。室温に戻した後、酢酸エチルを加え、塩酸で酸性化した後、水洗し、有機層を脱溶媒した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製し安息香誘導体酸(中間体フェノール)1.9g(収率12.4%)を得た。
【0071】
<ステップ2>
下記〔化14〕に示す反応式に従い、以下の手順で化合物No.3を合成した。
【0072】
【化14】

反応フラスコにメタンスルホニルクロリド0.66g(0.00576mol)、及びTHF6gを仕込み、−30℃まで冷却した。4−アクリロイルオキシ安息香酸1g(0.0516mol)、及びトリエチルアミン0.65g(0.00638mol)のTHF7g溶液を滴下し、そのまま1.5時間攪拌した。トリエチルアミン0.65g(0.00638mol)を加えた後に、ステップ1で得られた中間体フェノール1.9g(0.00443mol)のTHF10g溶液を滴下し、3時間反応させた。室温に戻した後、酢酸エチルを加え、塩酸で酸性化後、水洗し有機層を脱溶媒した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で処理後、アセトン/メタノール混合溶媒で再結晶することによって無色結晶2.0g(収率74.9%)を得た。1H−NMR(重クロロホルム溶媒)測定を行い、目的の化合物No.3であることを確認した。また、得られた化合物No.3について、化合物No.1と同様にして、相転移挙動を観察した。結果を〔化15〕に示す。
【0073】
(測定結果)
1H−NMR [CDCl3] (ppm)
1.1 (t ; 3H), 2.9 (q ; 2H), 3.8−4.0 (m ; 4H), 4.2−4.4 (m ; 4H), 5.9 (d ; 1H), 6.1−6.2 (m ; 2H), 6.3−6.5 (m ; 2H), 6.7 (d ; 1H), 7.0 (d ; 2H), 7.3 (m ; 3H), 7.5 (d ; 1H), 7.7 (d ; 1H) 8.2−8.3 (q ; 4H)
IR [ATR] (cm-1
417, 509, 599, 628, 655, 665, 692, 755, 761, 800, 852, 887, 905, 974, 986, 1019, 1075, 1123, 1162, 1184, 1196, 1123, 1251, 1294, 1346, 1379, 1405, 1454, 1486, 1512, 1578, 1606, 1635, 1694, 1720, 2941, 3072
【化15】

【0074】
[実施例1]
<重合性液晶組成物の調製>
下記[表1]に示す配合で重合性液晶化合物の20%シクロペンタノン溶液を調製した。尚、〔化16〕に示す化合物A及びB並びに比較化合物1及び2は、上記化合物No.1についての手法又は公知の手法に準拠して合成した。得られた重合性液晶組成物の塗工膜液晶相安定性を、以下の方法で評価・測定した。尚、[表1]において、配合量の単位は質量%である。
【0075】
<塗工膜液晶相安定性評価>
上記で得られた20%シクロペンタノン溶液を、スピンコーター(ミカサ製Opticoat MS−A−150)でラビング処理を施したガラス基板(サイズ:50×50mm)に乾燥後の膜厚が1.0μmとなるように塗工した。100℃ホットステージで3分乾燥後、すぐに室温に戻し、5分間放置した。偏光顕微鏡観察によって一軸に均一な配向が得られていること、及び結晶析出の有無の確認を実施した後、室温でそのまま放置し、はじめの8時間は30分毎、その後は開始から12時間毎に偏光顕微鏡観察によって光学組織を観察し、変化有無の確認を行ない、結晶析出等の変化が確認された最初の時間を比較した。
【0076】
【表1】

【化16】

【0077】
以上の結果より、次のことが明らかである。即ち、上記一般式(I)で表される重合性液晶化合物である化合物No.1、及び上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物である化合物A又は化合物Bを含む重合性液晶組成物では、室温における液晶相の安定性が良好であるが、上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物である化合物A又は化合物B、及び比較化合物を含む重合性液晶組成物では、室温における液晶相は安定性に劣る。またこの化合物No.1を含む組成物溶液に光重合開始剤N−1919(ADEKA社製)を重合性液晶化合物に対し3%添加した溶液を使用し、前記の方法で塗工、紫外線を照射(高圧水銀ランプ300mJ/cm)して作成した硬化膜は何れもタックが無く、硬化性も良好であることを確認した。
【0078】
[実施例2]
下記[表2]に示す配合で重合性液晶化合物20部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80部を量りとり、撹拌しながら50℃に加温して完全に溶解していることを確認した。室温に戻した後、0.45μmフィルターでろ過し、室温で静置した。目視で結晶析出の有無を確認した。室温でそのまま放置し、始めの3時間は10分毎、その後は開始から12時間迄は30分毎、その後は12時間毎に変化有無の確認を行なった。尚、[表2]において、配合量の単位は質量%である。
【0079】
【表2】

【0080】
以上の結果より、次のことが明らかである。即ち、上記一般式(I)で表される重合性液晶化合物である化合物No.1、及び上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物である化合物Aを含む重合性液晶組成物では、溶媒溶解性を著しく向上させることが可能であるが、上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物である化合物A及び比較化合物を含む重合性液晶組成物では、十分な溶媒溶解性が得られなかった。
【0081】
[実施例3−1]光学異方性膜の作成1
【化17】

化合物No.1/化合物A/上記光学活性化合物=47.5/47.5/5(質量比)の割合で重合性液晶化合物1.0gをシクロペンタノン4.0gに溶解させ、光重合開始剤N−1919(ADEKA社製)を0.03g添加し、完全に溶解させた。スピンコーター(ミカサ社製OPTICOAT MS−A−150)を使用し、ラビング処理を施したポリイミド配向膜付ガラス基板に調製した重合性液晶組成物溶液を塗布した。100℃で3分乾燥後、室温に戻し3分放置後、高圧水銀灯(120W/cm)で20秒間照射し硬化させた(膜厚が約1.0mmになるようスピンコーターの回転数および時間を調整した)。得られた硬化膜は、均一な黄緑色の選択反射を呈した光学異方性膜であった。更に、5°正反射付属装置を取り付けた分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製;U−3010形)を使用して、25℃、波長800〜400nmの範囲で反射率測定を実施し、選択反射中心波長(λ)を測定した。波長幅127nm、波長中心は586nmであった。
【0082】
[実施例3−1]光学異方性膜の作成2
化合物No.1/化合物No.4/上記光学活性化合物=45/45/10(質量比)の割合で重合性液晶化合物1.0gをシクロペンタノン4.0gに溶解させ、光重合開始剤N−1919(ADEKA社製)を0.03g添加し、完全に溶解させた。スピンコーター(ミカサ社製OPTICOAT MS−A−150)を使用し、ラビング処理を施したポリイミド配向膜付ガラス基板に調製した重合性液晶組成物溶液を塗布した。100℃で3分乾燥後、室温に戻し3分放置後、高圧水銀灯(120W/cm)で20秒間照射し硬化させた(膜厚が約1.0mmになるようスピンコーターの回転数および時間を調整した)。得られた硬化膜は透明であり、5°正反射付属装置を取り付けた分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製;U−3010形)を使用して、25℃、波長800〜300nmの範囲で反射率測定を実施したところ、360nm以上に選択反射は確認されなかった。
また、ニコン社製偏光顕微鏡OPTIPHOT2−POLを用いて、波長546nmの単色光でセナルモン法により、リタデーション測定を行った。この際、傾斜角度を変えられる台座に基板を設置し、角度を変えて測定することで、各傾斜角度におけるリタデーションを測定した。正面のリタデーション(角度0°)は0nmであり、傾斜角+40°,−40°では何れも−20.3nmであった。このことから、光学異方性膜の一種であるネガティブCプレートを形成していることが確認出来、液晶ディスプレイ用位相差補償材料として有用であることが明らかである。
【0083】
[実施例4]光学異方性膜の作成3
化合物No.1/化合物A=70/30(質量比)の割合で重合性液晶化合物1.0gをシクロペンタノン4.0gに溶解させ、光重合開始剤N−1919(ADEKA社製)を0.03g添加し、完全に溶解させた。スピンコーター(ミカサ社製OPTICOAT MS−A−150)を使用し、ラビング処理を施したポリイミド配向膜付ガラス基板に調製した重合性液晶組成物溶液を塗布した。100℃で3分乾燥後、室温に戻し3分放置後、高圧水銀灯(120W/cm)で20秒間照射し硬化させた。得られた硬化膜は透明であり、均質性を偏光顕微鏡観察によって評価した。クロスニコル下で硬化膜試料を設置したステージを回転させることによって、配向状態を観察し、均質性について評価したところ、配向欠陥が確認されず、均一なホモジニアス配向状態であることを確認出来た。また触針式表面形状測定器(DEKTAK6M;アルバック社製)を用いて25℃で測定した膜厚は0.985mmであった。更に、ニコン社製偏光顕微鏡OPTIPHOT2−POLを用いて、波長546nmの単色光でセナルモン法により、リタデーション測定を行った。正面のリタデーションは203nmであり、均一な光学異方性膜が形成されていることを確認出来た。
【0084】
以上より、次のことが明らかである。本発明の重合性液晶組成物は、光重合して得られる重合膜の液晶相が安定で溶媒溶解性がよいため、プロセスマージンが広い、即ち室温で放置しておいても結晶が析出せず取り扱いが容易である。更に、上記重合膜は均質な配向を示し、均一な膜状態を維持するため、光学異方性膜として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される重合性液晶化合物の一種以上及び下記一般式(II)で表される重合性液晶化合物の一種以上を含有させてなる重合性液晶組成物。
【化1】

(式中、環A1、A2及びA3は、それぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環又はナフタレン環を表し、
1は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数2〜8のアルキレン基を表し、該アルキレン基は少なくとも酸素原子で1回中断されており、
1及びX2は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、
1及びZ2は、それぞれ独立に、直接結合、−L1−、−O−CO−、−CO−O−、−L1O−、−OL1−、−L1O−CO−、−L1CO−O−、−L1O−CO−O−、−O−COL1−、−CO−OL1−又は−O−CO−OL1−を表し、
1は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、分岐を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基は酸素原子で1〜3回中断されていてもよく、
1、Y2及びY3は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子若しくは−CO−で中断されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、a、b及びcはそれぞれ独立に0か1であり、a+b+cは1以上3以下である。)
【化2】

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はハロゲン原子を表し、
環A4、環A5及び環A6は、それぞれ独立に、ベンゼン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ナフタレン環、デカヒドロナフタレン環、テトラヒドロナフタレン環又はフェナントレン環を表し、これらの環中の−CH=は−N=で、−CH2−は−S−又は−O−で中断されていてもよく、
4、Y5及びY6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子若しくはシアノ基で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、該アルキル基中のメチレン基は−O−、−CO−、−O−CO−又は−CO−O−で中断されていてもよく、
2及びL3は、それぞれ独立に、直接結合、−COO−、−(CE2p−、−CE=CE−、−(CE2pO−、−CE=CECE2O−、−C≡C−、−(CE2pCOO−、−(CE2pOCO−O−又は−(CE2qO(CE2rO−を表し、
4及びL5は、それぞれ独立に、直接結合、−OCO−、−(CE2p−、−CE=CE−、−O(CE2p−、−OCE2CE=CE−、−C≡C−、−OCO(CE2p−、−OCO−O(CE2p−、−(CE2qO(CE2rO−又は−O(CE2qO(CE2r−を表し、L2及びL5におけるEは、水素原子、メチル基又はエチル基を表し、L3及びL4におけるEは、水素原子を表し、複数あるEは同一でも異なっていてもよく、
d、e及びfは、それぞれ環A4、環A5及び環A6における置換基の数であって、それぞれの置換される単環又は縮合環に含まれる6員環の数をtとすると、d、e及びfは、それぞれ独立に、2t+2以下の整数で、且つeは1以上の整数を表し、
pはそれぞれ独立に1〜8の整数を表し、q及びrは、それぞれ独立に、1〜3の整数を表す。)
【請求項2】
上記一般式(I)において、環A1、環A2及び環A3が1,4-フェニレンである請求項1記載の重合性液晶組成物。
【請求項3】
上記一般式(II)において、環A4、環A5及び環A6が1,4−フェニレン又は2,6−ナフチレンである請求項1又は2記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
上記一般式(II)において、L2が、−(CE2pOCO−O−又は−(CE2pO−であり、且つL5が、−OCO−O(CE2p−又は−O(CE2p−である請求項1〜3の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項5】
上記一般式(II)において、L2が、−(CH2pOCO−O−又は−(CH2pO−であり、且つL5が、−OCO−O(CH2p−又は−O(CH2p−である請求項1〜4の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項6】
上記一般式(II)において、L2及びL5の何れかが直接結合である請求項1〜5の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項7】
上記一般式(I)で表される重合性液晶化合物の合計量と上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物の合計量との質量比が、10/90〜99.9/0.1(前者/後者)である請求項1〜6の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項8】
上記一般式(I)で表される重合性液晶化合物の合計量と上記一般式(II)で表される重合性液晶化合物の合計量との質量比が、25/75〜90/10(前者/後者)である請求項1〜7の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項9】
25℃以下で液晶相を発現する請求項1〜8の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項10】
光学活性化合物を含有し、コレステリック液晶相を発現する請求項1〜9の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項11】
ラジカル重合開始剤を含有する請求項1〜10の何れかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかに記載の重合性液晶組成物を光重合して得られる重合物を含有する光学異方性膜。

【公開番号】特開2010−159324(P2010−159324A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1126(P2009−1126)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】