説明

重合性液晶化合物

【課題】 本発明が解決しようとする課題は、液晶組成物に大きな屈折率異方性、広い液晶相温度範囲及び高い保存安定性をもたらし、当該液晶組成物を重合させることによりパターン解像度が高く、耐熱性が高く、さらにヘイズ・白ムラが少ない高分子膜をもたらす重合性化合物を提供することである。
【解決手段】 一般式(I)で表される重合性化合物を提供し、併せて当該重合性化合物を構成部材とする重合性液晶組成物を提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合性化合物、当該化合物を含有する重合性液晶組成物及び当該重合性組成物を用いた光学異方体に関する。
【背景技術】
【0002】
重合性化合物は種々の光学部材や印刷原版材料として用いられている。これらの用途において、重合性材料を基板上に塗布した後、レーザービーム照射やマスク露光等の方法で重合させることによりパターン化されたフィルムとすることができる。通常、フィルムの物性として要求される光学特性、パターン解像度、重合速度、溶解性、融点、ガラス転移温度、高分子膜の透明性、機械的強度、表面硬度、耐熱性及び耐光性を満たすために、2種類以上の重合性化合物を混合して所望の物性を有する組成物として使用される。その際、使用する重合性化合物には、他の特性に悪影響を及ぼすことなく、混合物に良好な物性をもたらすことが求められる。
【0003】
重合性の液晶組成物を用いて、液晶ディスプレイに使用される屈折率異方性差の大きなパターン化光学フィルムを作製する場合、重合性液晶組成物には、大きな屈折率異方性、広い液晶相温度範囲及び高い保存安定性が求められる。同時に、当該重合性液晶組成物を重合して得られるフィルムには、パターン解像度が高く、機械的強度・耐熱性が高く、ヘイズ・白ムラが少ないことが必要である。従来、パターン解像度が高い配向性液晶フィルムを得る方法が報告されているが、当該方法によると、組成物の液晶性を確保するために非重合性化合物を混合する必要があることから、得られたフィルムの機械的強度及び耐熱性が低下することが容易に想像できる。また、パターン解像度を高めるために重合遅延剤を添加する方法が報告されているが、重合遅延剤は液晶性を示さないため、組成物の液晶性を低下させてしまい、生産上の温度マージンを狭めてしまうことが予想される(特許文献1参照)。光異性化部位を有する重合性液晶化合物を用いて、リタデーションの異なる領域を有するパターン化位相差フィルムを作製する例が報告されているが、得られたフィルムの物性・外観に関する詳細な記述は無い(特許文献2)。また、本願発明化合物と類似のトラン構造を有する重合性化合物も報告されているが、得られたフィルムの物性・外観に関する記述は無い(特許文献3)。また、高品質なパターン化位相差フィルムの作製に関する報告があるが、得られたフィルムのヘイズ値、白ムラ等の記載がない(特許文献4及び特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−17003号公報
【特許文献2】特表2008−508543号公報
【特許文献3】米国特許第6514578号明細書
【特許文献4】特開2009−276664号公報
【特許文献5】特開2009−276665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、液晶組成物に大きな屈折率異方性、広い液晶相温度範囲及び高い保存安定性をもたらし、当該液晶組成物を重合させることによりパターン解像度が高く、耐熱性が高く、ヘイズ・白ムラが少ない高分子膜をもたらす重合性化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは重合性化合物における種々の検討を行った結果、特定の構造を有する重合性化合物が上記課題を解決できることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本願発明は一般式(I)
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Pは下記の式(P−1)から式(P−15)で表される反応性基
【0010】
【化2】

【0011】
から選ばれる置換基を表し、S及びSは各々独立して、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表し、X及びXは各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表し(式中、Y及びYは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)、n1及びn2は各々独立して0、1、2、3又は4を表し、A及びAは各々独立して1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、A及び/又はAが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z及びZは各々独立して−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表し(式中、Y及びYは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)、Z及び/又はZが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、m1及びm2は各々独立して0、1又は2を表し、lは0又は1を表し、A及びAは各々独立して1個の−CH=又は隣接していない2個の−CH=が−N=に置き換えられても良い1,4−フェニレン基を表し、該1,4−フェニレン基中の一つ又は複数の水素原子は各々独立して、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素原子数1から8のアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基で置換されていても良いが、該アルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は、フッ素原子又は塩素原子により更に置換されても良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から12のアルキル基を表すが、該アルキル基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基により置換されても良く、また該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−によって置き換えられても良い。)で表される重合性化合物及び当該化合物を用いた重合性液晶組成物を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の重合性化合物は、大きな屈折率異方性、広い液晶相温度範囲、高い保存安定性を示すことから重合性組成物の構成部材として有用である。又、本願発明の重合性化合物を含有する組成物を重合させることにより、パターン解像度が高く、耐熱性が高く、ヘイズ・白ムラが少ない高分子膜が得られることから、光学フィルム等の用途に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般式(1)において、Pは式(P−1)から式(P−15)で表される重合性基を表し、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)又は式(P−15)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
【0014】
及びSは各々独立して、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表すが、液晶性及び他の成分との相溶性の観点から炭素原子数1から8のアルキレン基が特に好ましい。
【0015】
及びXは各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表すが(式中、Y及びYは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)、−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−又は単結合が好ましく、−O−が特に好ましい。
【0016】
n1及びn2は各々独立して0、1、2、3又は4を表すが、1又は2が好ましく、1が特に好ましい。
【0017】
及びAは各々独立して1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、A及び/又はAが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良いが、無置換であるか或いはフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から4のアルキル基又は炭素原子数1から4のアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基、無置換であるか或いはフッ素原子又は塩素原子によって置換されたナフタレン−2,6−ジイル基、又は1個の−CH−若しくは隣接していない2個の−CH−が−O−に置き換えられても良い無置換の1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、無置換の或いはフッ素原子、塩素原子、CH基若しくはCHO基によって置換された1,4−フェニレン基、無置換のナフタレン−2,6−ジイル基、又は無置換の1,4−シクロヘキシレン基が特に好ましい。
【0018】
及びZは各々独立して−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表し(式中、Y及びYは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)、Z及び/又はZが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良いが、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−又は単結合が好ましく、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−又は単結合が特に好ましい。
【0019】
m1及びm2は各々独立して0、1又は2を表すが、m1が0又は1、m2が0又は1の組み合わせが好ましく、m1が1、m2が0の組み合わせが特に好ましい。
lは0又は1を表すが、1が好ましい。
【0020】
及びAは各々独立して1個の−CH=又は隣接していない2個の−CH=が−N=に置き換えられても良い1,4−フェニレン基を表し、該1,4−フェニレン基中の一つ又は複数の水素原子は各々独立して、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素原子数1から8のアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基で置換されていても良く、該アルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は、フッ素原子又は塩素原子により置換されても良いが、A及びAが1,4−フェニレン基を表し、該二つの1,4−フェニレン基中の少なくとも一つの水素原子が炭素原子数1から8のアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基で置換されており、該アルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基はフッ素原子又は塩素原子により置換されても良い場合が好ましく、A及びAが1,4−フェニレン基を表し、該二つの1,4−フェニレン基中の少なくとも一つの水素原子が炭素原子数1から8のアルコキシ基を表し、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基又はニトロ基により置換されている場合が好ましく、−A−≡−A−が下記の式(A23−1)から式(A23−20)
【0021】
【化3】

【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
(式中、Lは各々独立して、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又はニトロ基を表す。)で表される組み合わせが好ましく、式(A23−1)又は(A23−5)の組み合わせが特に好ましい。
【0027】
Rは水素原子又は炭素原子数1から12のアルキル基を表すが、該アルキル基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基により置換されても良いが、水素原子又は炭素原子数1から12の無置換の直鎖アルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0028】
一般式(I)で表される化合物としては、下記の式(Ia)
【0029】
【化8】

【0030】
(式中、pは1から10までの自然数を表し、qは0から7までの整数を表す。)で表される化合物が特に好ましい。
【0031】
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、下記の式(I−1)から式(I−25)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化9】

【0033】
【化10】

【0034】
【化11】

【0035】
【化12】

【0036】
【化13】

【0037】
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記化合物(S11)の製造
【0038】
【化14】

【0039】
ハロゲン又はハロゲン等価体により置換されたフェノール(S1)をアルコール(S2)と反応させ、エーテル(S3)を得る。エーテル化には、光延反応や、アルコール(S2)をメシラート或いはトシラート化することによりウィリアムソン反応が利用可能である。得られた(S3)を例えばトリメチルシリルアセチレンと薗頭カップリングさせることによりアセチレン(S4)とし、炭酸カリウム等を用いて脱保護させることにより末端アセチレン(S5)が得られる。アセチレン試薬として、トリメチルシリルアセチレンの代わりに2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチンを使用することも可能である。この場合、脱保護に水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が使用可能である。
【0040】
ハロゲン化フェノール(S6)に保護基PGを掛ける。保護基PGとしては、合成過程において安定に官能基を保護することができ、脱離が容易である基であれば特に制限はないが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIG SYNTHESIS(Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publicationに記載されている保護基が使用可能である。末端アセチレン(S5)と薗頭カップリングを行った後、例えば上記文献に記載の方法により保護基PGを脱離しフェノール(S9)を得る。続いて、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド系縮合剤を用いてカルボン酸(S10)と縮合させ、目的の化合物(S11)を合成することができる。
(製法2)下記化合物(S19)の製造
【0041】
【化15】

【0042】
ハロゲン化フェノール(S12)に保護基PGを掛け(S13)とした後、グリニャール試薬化、ホウ酸エステルとの反応、加水分解を行い、ホウ酸(S14)とする。グリニャール試薬化に代えて、ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等のリチオ化剤と反応させ、ホウ酸エステルと反応させることも可能である。また、ホウ酸エステルとして、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリイソプロピル等が使用可能である。
【0043】
フェノール(S9)を無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させ、トリフラート(S15)とする。鈴木−宮浦カップリング反応によりトリフラート(S15)をホウ酸(S14)とカップリングさせ、中間体(S16)を得る。保護基PGを脱離させた後、光延反応によりアルコール(S18)と反応させ、目的の化合物(S19)を製造することができる。
(製法3)下記化合物(S25)の製造
【0044】
【化16】

【0045】
薗頭カップリング反応により、ハロゲン化アリール(S20)をトリメチルシリルアセチレン、2−ヒドロキシ−2−メチル−3−ブチン等のアセチレン試薬と反応させ中間体(S21)とする。その後、脱保護し末端アセチレン(S22)を得る。得られた末端アセチレン(S22)をハロゲン化アリール(S7)と薗頭カップリングによりカップリングさせ、中間体(S23)とする。保護基PGを脱保護し、フェノール(S24)とした後、光延反応によりアルコール(S18)とエーテル化させ目的の化合物(S25)を製造することができる。
【0046】
本願発明の化合物は、ネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが好ましいが、ネマチック液晶組成物に使用することが特に好ましい。本願発明の重合性化合物を用いる液晶組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
【0047】
本願発明の重合性化合物と混合して使用される他の重合性化合物としては、具体的には一般式(II)
【0048】
【化17】

【0049】
(式中、R11及びR12は各々独立して一般式(I)におけるPと同じ意味を表し、S11及びS12は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜18個のアルキレン基を表すが、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は酸素原子、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、L11、L12及びL13はお互い独立して、単結合、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−OCOOCH−、−CHOCOO−、−CO−NR13−、−NR13−CO−、−SCH−、−CHS−、−CH=N−、−SCH−、−CHS−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CF−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CY11=CY12−又は−C≡C−を表し(式中、R13は炭素原子1〜4のアルキル基を表し、Y11及びY12は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)、M11及びM12は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、M11及びM12は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲノ基、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、l11は0、1、2又は3を表し、l11が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するL12及び/又はM12は同一であっても異なっていても良い化合物が好ましく、L11、L12及びL13が各々独立して、単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、M11、及びM12が各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0050】
更に、一般式(II)のR11及びR12がアクリル基又はメタクリル基であるのが好ましい。具体的には、一般式(III)
【0051】
【化18】

【0052】
(式中、S及びSは各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X及びXは各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z及びZは各々独立して−COO−又は−OCO−を表し、A、A及びAは各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基又はアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(III−1)から式(III−8)で表される化合物が特に好ましい。
【0053】
【化19】

【0054】
(式中、Sは一般式(III)におけるSと同じ意味を表し、Sは一般式(III)におけるSと同じ意味を表す。)上記式(III−1)から式(III−8)において、S及びSが各々独立して炭素原子数3から6のアルキレン基である化合物がさらに好ましい。
【0055】
また、一般式(IV)
【0056】
【化20】

【0057】
(式中、S及びSは各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X及びXは各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Zは−COO−又は−OCO−を表し、A、A及びA10は各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基又はアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(IV−1)から式(IV−8)で表される化合物が特に好ましい。
【0058】
【化21】

【0059】
(式中、Sは一般式(IV)におけるSと同じ意味を表し、Sは一般式(IV)におけるSと同じ意味を表す。)上記式(IV−1)から式(IV−8)において、耐熱性及び耐久性の観点から、式(IV−2)、式(IV−5)、式(IV−6)、式(IV−7)及び式(IV−8)で表される化合物が好ましく、式(IV−2)で表される化合物がさらに好ましく、S及びSが各々独立して炭素原子数3から6のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0060】
この他、好ましい2官能重合性化合物としては下記一般式(V−1)から式(V−5)で表される化合物が挙げられる。
【0061】
【化22】

【0062】
(式中、S及びSは各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基を表す。)上記式(V−1)から式(V−5)において、式(V−2)、式(V−3)及び式(V−5)で表される化合物が好ましく、S及びSが各々独立して炭素原子数3から6のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
【0063】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、当該組成物の液晶性を損なわない程度に、液晶性を示さない重合性化合物を添加することも可能である。具体的には、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識される化合物であれば特に制限なく使用可能である。
【0064】
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物に添加する光重合開始剤の濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜5質量%であることがさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド等が使用可能である。
【0065】
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%であることが好ましく、0.02〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
【0066】
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物をフィルム類、光学素子類、機能性顔料類、医薬品類、化粧品類、コーティング剤類、合成樹脂類等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
【0067】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマーは種々の用途に利用できる。例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、配向させずに重合することにより得られるポリマーは、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、配向させた後に重合することにより得られるポリマーは、光学異方性を有しており有用である。このような光学異方体は、例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板又はSiOを斜方蒸着した配向膜を有する基板に担持させるか、基板間に挟持させた後、当該重合性液晶組成物を重合することによって製造することができる。
【0068】
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン性溶媒等を使用することができるが、例えば炭化水素系溶媒としてはトルエン又はヘキサンを、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては塩化メチレンを、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトキシ−2−エトキシエタン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール又はイソプロパノールを、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン又はN−メチルピロリジノン類を、エステル系溶媒としては酢酸エチル又はセロソルブを、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加する事も有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶材料を重合することにより得られるポリマーと基板との密着性を向上させるために有効である。
【0069】
上記以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
【0070】
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させる際、迅速に重合が進行することが望ましいため、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良く、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性を有していなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm〜2W/cmが好ましい。強度が0.1mW/cm以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
【0071】
重合によって得られた当該光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲であることが好ましい。
【0072】
このような方法によって製造される当該光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1) 式(I−1)で表される化合物の製造
【0074】
【化23】

【0075】
1Lの4つ口フラスコに、3−ブテン−1−オール 31.9g(0.44モル)、トリフェニルホスフィン 107.3g(0.41モル)、4−ヨードフェノール 75.0g(0.34モル)を秤量し、テトラヒドロフラン 300mLに溶解させた。氷冷しながら、アゾジカルボン酸ジイソプロピル 82.7g(0.41モル)を反応液の温度が25℃を超えないよう滴下した。室温で10時間撹拌した後、水10mLを加えた。溶媒を留去した後、トルエン 70mL、ヘキサン 350mLを加え、メタノール 350mL、水 70mLの混合溶媒で分液処理した。有機層をさらにメタノール 300mL、水 100mLの混合溶媒で洗浄し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(1:3)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、淡黄色オイル状の式(A−1)で表される化合物103.4gを得た。
【0076】
1Lの4つ口フラスコに、式(A−1)表される化合物100.0g(0.37モル)、ヨウ化銅(I)1.4g(7.3ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 300mL、トリメチルアミン 100mLを加え、フラスコ内を窒素置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)4.2g(3.7ミリモル)を加えた。トリメチルシリルアセチレン 43.0g(0.44モル)を室温で滴下した。滴下終了後、12時間室温で撹拌した。ジクロロメタン 300mL、ヘキサン 300mLを加え、水 500mLで2回分液処理した。ジクロロメタン/ヘキサン(1:1)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製し、褐色オイル状の式(A−2)で表される化合物102.6gを得た。
【0077】
1Lの4つ口フラスコに、式(A−2)で表される化合物89.2g(0.37モル)をとり、ジクロロメタン 47mL及びメタノール 312mLに溶解させた。炭酸カリウム 8.9g(65ミリモル)を加え、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し、ジクロロメタン/ヘキサン(1:1)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、褐色オイル状の式(A−3)で表される化合物54.0gを得た。
【0078】
1Lの4つ口フラスコに4−ブロモ−2−メトキシフェノール 120.0g(0.59モル)、ピリジン 51.4g(0.65モル)を加え、ジクロロメタン 320mLに溶解させた。氷冷しながら、無水酢酸 66.4g(0.65モル)を加えた。室温で12時間撹拌した。10%塩酸 300mLで中和した後、水 300mLで3回洗浄した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、無色オイル状の式(A−4)で表される化合物145gを得た。
【0079】
500mLの4つ口フラスコに式(A−4)で表される化合物58.2g(0.24モル)、ヨウ化銅(I)0.9g(4.7ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 174mL、トリエチルアミン 58mLを加えた。フラスコ内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.7g(2.3ミリモル)を加えた。89℃で加熱しながら、式(A−3)で表される化合物45.0g(0.26モル)をN,N−ジメチルホルムアミド 45mLに溶解した溶液を滴下した。91℃で6時間撹拌した。ジクロロメタン 250mL、水 250mLを加え、分液処理した。さらに、水 250mLで2回洗浄した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。トルエン/ヘキサンにより再結晶を3回行い、淡黄色固体状の式(A−5)で表される化合物40.0gを得た。
【0080】
温度計を備えた500mLのフラスコに式(A−5)で表される化合物38.0g(0.11モル)、テトラヒドロフラン 190mLを加えた。25%アンモニア水溶液 38mLを加え、室温で16時間撹拌した。酢酸エチル 190mLを加え希釈した後、10%塩酸 190mL及び水 190mLを加え中和し、分液処理した。有機層を水 300mL、食塩水 300mLで順次洗浄し、溶媒を留去することにより淡黄色固体状の式(A−6)で表される化合物29.2gを得た。
【0081】
200mLの4つ口フラスコに、式(A−6)で表される化合物14.0g(0.048モル)、式(A−7)で表される化合物13.1g(0.052モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 0.3g(0.0025モル)をとり、ジクロロメタン 66mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイロプロピルカルボジイミド 7.2g(0.057モル)を反応温度が15度を超えないよう滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−1)で表される化合物 20.0gを得た。
式(I−1)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 2.21(quin,2H),2.56(q,2H),3.83(s,3H),4.04(t,2H),4.16(t,2H),4.39(t,2H),5.12(d,1H),5.18(d,1H),5.84〜5.97(m,2H),6.14(dd,1H),6.43(d,1H),6.88(d,2H),6.98(d,2H),7.10〜7.16(m,3H),7.47(d,2H),8.15(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 28.5,33.6,56.0,61.2,64.6,67.3,87.6,89.2,114.3,114.6,115.2,115.4,117.2,121.7,122.1,123.1,124.3,128.3,131.0,132.5,133.1,134.2,140.1,151.2,159.0,163.1,164.2,166.1ppm.
LRMS(EI)m/z 526
(実施例2) 式(I−2)で表される化合物の製造
【0082】
【化24】

【0083】
200mLの4つ口フラスコに式(A−6)で表される化合物6.6g(0.022モル)、式(B−1)で表される化合物7.2g(0.025モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 0.1g(0.0012モル)をとり、ジクロロメタン 36mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイロプロピルカルボジイミド 3.4g(0.027モル)を反応温度が15度を超えないよう滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−2)で表される化合物 11.1gを得た。
式(I−2)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.42〜1.59(m,4H),1.73(quin,2H),1.84(quin,2H),2.56(q,2H),3.83(s,3H),4.02〜4.06(m,4H),4.18(t,2H),5.12(d,1H),5.18(d,1H),5.82(d,1H),5.86〜5.96(m,1H),6.12(dd,1H),6.41(d,1H),6.88(d,2H),6.97(d,2H),7.09〜7.16(m,3H),7.47(d,2H),8.15(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 25.7,25.7,28.6,29.0,33.6,56.0,64.5,67.3,68.1,87.7,89.2,114.2,114.6,115.2,115.4,117.2,121.3,122.1,123.1,124.2,128.6,130.6,132.4,133.1,134.2,140.2,151.2,159.0,163.4,164.3,166.3ppm.
LRMS(EI)m/z 568
(実施例3) 式(I−3)で表される化合物の製造
【0084】
【化25】

【0085】
2Lセパラブルフラスコに4−ヨードフェノール 100.0g(0.45モル)、4−ペンテン−1−オール 50.9g(0.59モル)、トリフェニルホスフィン 143.2g(0.55モル)を秤量し、テトラヒドロフラン 400mLに溶解させた。氷冷しながら、アゾジカルボン酸ジイソプロピル 110.4g(0.55モル)を反応液の温度が25℃を超えないよう滴下した。室温で10時間撹拌した後、水10mLを加えた。溶媒を留去した後、トルエン 70mL、ヘキサン 350mLを加え、メタノール 350mL、水 70mLの混合溶媒で分液処理した。有機層をさらにメタノール 300mL、水 100mLの混合溶媒で洗浄し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(1:3)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、淡黄色オイル状の式(C−1)で表される化合物138.2gを得た。
【0086】
1Lの4つ口フラスコに、式(C−1)で表される化合物131.1g(0.46モル)、ヨウ化銅(I)1.7g(8.9ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 393mL、トリメチルアミン 131mLを加え、フラスコ内を窒素置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)5.3g(4.6ミリモル)を加えた。トリメチルシリルアセチレン 58.1g(0.59モル)を室温で滴下した。滴下終了後、20時間室温で撹拌した。ヘキサン 800mLを加え、水 500mLで4回分液処理した。ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製し、褐色オイル状の式(C−2)で表される化合物112.0gを得た。
【0087】
1Lの4つ口フラスコに、式(C−2)で表される化合物112.0g(0.43モル)をとり、ジクロロメタン 56mL及びメタノール 392mLに溶解させた。炭酸カリウム 11.2g(81ミリモル)を加え、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し、ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、褐色オイル状の式(C−3)で表される化合物69.8gを得た。
【0088】
2Lセパラブルフラスコに式(A−4)で表される化合物71.3g(0.29モル)、ヨウ化銅(I)1.1g(5.8ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 214mL、トリエチルアミン 71mLを加えた。フラスコ内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.4g(2.9ミリモル)を加えた。86℃で加熱しながら、式(C−3)で表される化合物65.0g(0.35モル)をN,N−ジメチルホルムアミド 65mLに溶解した溶液を滴下した。100℃で6時間撹拌した。トルエン 150mL、ヘキサン 350mL、水 500mLを加え、分液処理した。さらに、水 500mLで2回洗浄した。トルエン/ヘキサン(1:2)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。トルエン/ヘキサンにより再結晶を3回行い、淡黄色固体状の式(C−4)で表される化合物34.8gを得た。
【0089】
温度計を備えた500mLのフラスコに式(C−4)で表される化合物34.8g(0.099モル)、テトラヒドロフラン 174mLを加えた。25%アンモニア水溶液 35mLを加え、室温で16時間撹拌した。酢酸エチル 174mLを加え希釈した後、10%塩酸 174mLを加え中和し、分液処理した。有機層を水 300mL、食塩水 300mLで順次洗浄し、溶媒を留去した。トルエン/ヘキサンにより再結晶を行い、淡黄色固体状の式(C−5)で表される化合物28.2gを得た。
【0090】
200mLの4つ口フラスコに、式(C−5)で表される化合物13.0g(0.042モル)、式(A−7)で表される化合物11.6g(0.046モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 0.3g(0.0025モル)をとり、ジクロロメタン 58mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイロプロピルカルボジイミド 6.4g(0.051モル)を反応温度が15度を超えないよう滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(2:1)混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−3)で表される化合物 19.0gを得た。
式(I−3)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.90(quin,2H),2.18〜2.28(m,4H),3.83(s,3H),3.99(t,2H),4.16(t,2H),4.39(t,2H),5.01(d,1H),5.07(d,1H),5.81〜5.91(m,2H),6.14(dd,1H),6.43(d,1H),6.88(d,2H),6.98(d,2H),7.10〜7.16(m,3H),7.47(d,2H),8.15(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 28.3,28.5,30.1,56.0,61.2,64.6,67..2,87.6,89.2,114.3,114.6,115.0,115.3,115.4,121.7,122.1,123.1,124.3,128.3,131.0,132.5,133.0,137.7,140.1,151.2,159.2,163.1,164.2,166.2ppm.
LRMS(EI)m/z 540
(実施例4) 式(I−4)で表される化合物の製造
【0091】
【化26】

【0092】
200mLの4つ口フラスコに式(C−5)で表される化合物14.0g(0.045モル)、式(B−1)で表される化合物14.6g(0.050モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 0.3g(0.0025モル)をとり、ジクロロメタン 73mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイロプロピルカルボジイミド 6.9g(0.055モル)を反応温度が15度を超えないよう滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(2:1)混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−4)で表される化合物 23.4gを得た。
式(I−4)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.45〜1.57(m,4H),1.73(quin,2H),1.82(quin,2H),1.90(quin,2H),2.25(q,2H),3.83(s,3H),3.99(t,2H),4.05(t,2H),4.18(t,2H),5.01(d,1H),5.07(d,1H),5.81〜5.91(m,2H),6.12(dd,1H),6.41(d,1H),6.88(d,2H),6.97(d,2H),7.09〜7.16(m,3H),7.46(d,2H),8.15(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 25.7,25.7,28.3,28.5,29.0,30.1,56.0,64.5,67.2,68.1,87.6,89.2,114.2,114.5,115.0,115.3,115.4,121.3,122.1,123.1,124.3,128.6,130.6,132.4,133.0,137.7,140.1,151.2,159.2,163.4,164.3,166.3ppm.
LRMS(EI)m/z 582
(実施例5) 式(I−5)で表される化合物の製造
【0093】
【化27】

【0094】
実施例1において、3−ブテン−1−オールをtrans−クロチルアルコールに変更し、式(A−7)で表される化合物を式(B−1)で表される化合物に変更した以外は同様の方法により、式(I−5)で表される化合物を得た。
式(I−5)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.45〜1.57(m,4H),1.73(quin,2H),1.82(d,3H),1.90(quin,2H),3.83(s,3H),4.05(t,2H),4.18(t,2H),4.61(t,2H),5.81〜5.91(m,3H),6.12(dd,1H),6.41(d,1H),6.88(d,2H),6.97(d,2H),7.09〜7.16(m,3H),7.46(d,2H),8.15(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 17.0,25.7,25.7,28.3,28.5,56.0,64.5,67.2,75.0,87.6,89.2,114.2,115.0,115.3,115.4,121.3,122.1,123.1,124.3,124.5,128.6,130.1,130.6,132.4,133.0,140.1,151.2,159.2,163.4,164.3,166.3ppm.
LRMS(EI)m/z 568
(実施例6) 式(I−6)で表される化合物の製造
【0095】
【化28】

【0096】
4つ口フラスコに、4−ペンテン−1−オール 27.1g(0.32モル)、4−ブロモ−2−フルオロフェノール 50.0g(0.26モル)、トリフェニルホスフィン 89.3g(0.34モル)を加え、テトラヒドロフラン 250mLに溶解させた。氷冷しながら、アゾジカルボン酸ジイソプロピル 68.9g(0.34モル)を反応液の温度が25℃を超えないよう滴下した。室温で10時間撹拌した後、水10mLを加えた。溶媒を留去した後、トルエン 70mL、ヘキサン 350mLを加え、メタノール 350mL、水 70mLの混合溶媒で分液処理した。有機層をさらにメタノール 300mL、水 100mLの混合溶媒で洗浄し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(1:3)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、淡黄色オイル状の式(F−1)で表される化合物67.9gを得た。
【0097】
4つ口フラスコに、式(F−1)で表される化合物67.9g(0.26モル)、ヨウ化銅(I)1.0g(5.3ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 204mL、トリメチルアミン 68mLを加え、フラスコ内を窒素置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)3.0g(2.6ミリモル)を加えた。反応容器を加熱し、トリメチルシリルアセチレン 33.5g(0.34モル)を90℃で滴下した。滴下終了後、90℃で8時間撹拌した。放冷し、ヘキサン 300mLを加え、水 500mLで4回分液処理した。ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製し、褐色オイル状の式(F−2)で表される化合物61.6gを得た。
【0098】
4つ口フラスコに、式(F−2)で表される化合物61.6g(0.22モル)をとり、ジクロロメタン 31mL及びメタノール 216mLに溶解させた。炭酸カリウム 6.2g(45ミリモル)を加え、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し、ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、褐色オイル状の式(F−3)で表される化合物42.8gを得た。
【0099】
4つ口フラスコに式(A−4)で表される化合物39.6g(0.16モル)、ヨウ化銅(I)0.62g(3.3ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 120mL、トリエチルアミン 40mLを加えた。フラスコ内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.9g(1.6ミリモル)を加えた。86℃で加熱しながら、式(F−3)で表される化合物42.8g(0.21モル)をN,N−ジメチルホルムアミド 43mLに溶解した溶液を滴下した。100℃で8時間撹拌した。トルエン 150mL、ヘキサン 350mL、水 500mLを加え、分液処理した。さらに、水 500mLで2回洗浄した。トルエン/ヘキサン(1:2)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。トルエン/ヘキサンにより再結晶を3回行い、淡黄色固体状の式(F−4)で表される化合物29.8gを得た。
【0100】
フラスコに式(F−4)で表される化合物29.8g(0.081モル)、テトラヒドロフラン 150mLを加えた。25%アンモニア水溶液 30mLを加え、室温で16時間撹拌した。酢酸エチル 150mLを加え希釈した後、10%塩酸 150mLを加え中和し、分液処理した。有機層を水 300mL、食塩水 300mLで順次洗浄し、溶媒を留去した。トルエン/ヘキサンにより再結晶を行い、淡黄色固体状の式(F−5)で表される化合物24.0gを得た。
【0101】
4つ口フラスコに3−クロロ−1−プロパノール 73.0g(0.77モル)、炭酸カリウム 71.0g(0.51モル)、フェルラ酸 50.0g(0.26モル)を加え、エタノール 150mLに懸濁させた。90℃で10時間攪拌した後、水酸化ナトリウム 20.6g(0.52モル)を水100mLに溶解させた水溶液を加え、さらに2時間90℃で攪拌した。10%塩酸で中和し、エタノールを留去した。固体を濾過し、水で3回分散洗浄することにより、白色固体状の式(F−6)で表される化合物59.0gを得た。
【0102】
ディーンスタークトラップを備えた4つ口フラスコに、式(F−6)で表される化合物59.0g(0.23モル)、3−クロロプロピオン酸 38.1g(0.35モル)を加え、トルエン 177mLに懸濁させた。硫酸 3.0g(0.031モル)を加え、110℃で8時間加熱還流させた。酢酸エチル 177mL及び水 354mLを加え、分液処理した。有機層を水 354mLで2回洗浄し、溶媒を留去することにより、淡黄色固体状の式(F−7)で表される化合物72.2gを得た。
【0103】
4つ口フラスコに式(F−7)で表される化合物72.2g(0.21モル)、トリエチルアミン 32.0g(0.32モル)を加え、ジクロロメタン 361mLに懸濁させた。40℃に加熱し10時間攪拌した。酢酸エチル 361mL及び10%塩酸 361mLを加え、分液処理した。水 361mLで2回洗浄した後、溶媒を留去した。アセトン/ヘキサンにより再結晶を行い淡黄色固体状の式(F−8)で表される化合物55.9gを得た。
【0104】
4つ口フラスコに、式(F−5)で表される化合物24.0g(0.074モル)、式(F−8)で表される化合物24.8g(0.081モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 0.45g(3.7ミリモル)をとり、ジクロロメタン 124mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイロプロピルカルボジイミド 11.1g(0.088モル)を反応温度が15度を超えないよう滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(2:1)混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−6)で表される化合物 38.4gを得た。
式(I−6)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)1.75(quin,2H),1.96(td,2H),1.99(quin,2H),3.73(s,6H),3.94(m,4H),4.15(t,2H),4.97(dd,1H),5.03(dd,1H),5.70(m,1H),5.80(dd,1H),6.05(dd,1H),6.39(d,1H),6.43(dd,1H),6.61(d,1H),6.70(s,1H),6.71(d,1H),6.75(s,1H),6.92(d,1H),6.94(d,1H),6.99(d,1H),7.06(dd,1H),7.12(dd,1H),7.64(d,1H)ppm.
13C NMR(CDCl)29.8,30.3,30.3,56.0,56.3,63.1,68.8,72.4,91.9,91.0,112.4,115.1,114.5,115.4,115.5,116.9,118.1,119.1,119.7,120.1,122.0,124.8,127.5,128.3,128.6,130.3,138.0,138.4,143.6,145.5,145.6,147.4,147.6,154.5,162.0,165.0ppm.
LRMS(EI)m/z 614
(実施例7) 式(I−7)で表される化合物の製造
【0105】
【化29】

【0106】
4つ口フラスコに3−ブテン−1−オール 21.3g(0.30モル)、4−ブロモ−2−メトキシフェノール 50.0g(0.25モル)、トリフェニルホスフィン 83.9g(0.32モル)を加え、テトラヒドロフラン 250mLに溶解させた。氷冷しながら、アゾジカルボン酸ジイソプロピル 64.7g(0.32モル)を反応液の温度が25℃を超えないよう滴下した。室温で10時間撹拌した後、水10mLを加えた。溶媒を留去した後、トルエン 70mL、ヘキサン 350mLを加え、メタノール 350mL、水 70mLの混合溶媒で分液処理した。有機層をさらにメタノール 300mL、水 100mLの混合溶媒で洗浄し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(1:3)を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、淡黄色オイル状の式(G−1)で表される化合物63.3gを得た。
【0107】
4つ口フラスコに、式(G−1)で表される化合物63.3g(0.25モル)、ヨウ化銅(I)0.9g(4.7ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 189mL、トリメチルアミン 63mLを加え、フラスコ内を窒素置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.8g(2.4ミリモル)を加えた。反応容器を加熱し、トリメチルシリルアセチレン 31.4g(0.32モル)を90℃で滴下した。滴下終了後、90℃で8時間撹拌した。放冷し、ヘキサン 300mLを加え、水 500mLで4回分液処理した。ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製し、褐色オイル状の式(G−2)で表される化合物57.4gを得た。
【0108】
4つ口フラスコに、式(G−2)で表される化合物57.4g(0.21モル)をとり、ジクロロメタン 29mL及びメタノール 201mLに溶解させた。炭酸カリウム 5.7g(41ミリモル)を加え、室温で12時間撹拌した。溶媒を留去し、ヘキサンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、褐色オイル状の式(G−3)で表される化合物39.3gを得た。
【0109】
4つ口フラスコに、1−ブロモ−2−フルオロ−4−ヨードベンゼン 53.1g(0.18モル)、ヨウ化銅(I)0.7g(3.7ミリモル)、式(G−3)で表される化合物39.3g(0.19モル)、N,N−ジメチルホルムアミド 159mL、トリメチルアミン 53mLを加え、フラスコ内を窒素置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)2.0g(1.7ミリモル)を加え、90℃で5時間撹拌した。放冷し、ヘキサン 300mLを加え、水 500mLで4回分液処理した。トルエン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製し、淡黄色固体状の式(G−4)で表される化合物46.2gを得た。
【0110】
4つ口フラスコに式(G−4)で表される化合物46.2g(0.12モル)、4−ヒドロキシフェニルホウ酸 18.7g(0.14モル)、炭酸カリウム 25.5g(0.19モル)を加え、エタノール 138mL及び水 46mLに溶解させた。フラスコ内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.4g(1.2ミリモル)、を加え6時間加熱還流させた。酢酸エチル 276mL及び5%塩酸 276mLを加え、分液処理した。続いて水 300mL及び食塩水 300mLで洗浄した。ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製したのち、トルエン/ヘキサンを用いて再結晶を行い、淡黄色固体状の式(G−5)で表される化合物42.0gを得た。
【0111】
4つ口フラスコに式(G−5)で表される化合物42.0g(0.11モル)、アクリル酸3−クロロプロピル 19.3g(0.14モル)、炭酸カリウム 22.4g(0.16モル)を加え、N,N−ジメチルホルムアミド 126mLに懸濁させた。90℃で7時間加熱攪拌した後、ジクロロメタン 252mL及び水 252mLを加え分液処理した。続いて水 252mLで2回、食塩水 252mLで1回洗浄した後、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/アルミナ)により精製した後、ジクロロメタン/ヘキサンを用いて再結晶を行い、白色結晶状の目的物である式(I−7)で表される化合物 47.6gを得た。
式(I−7)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)1.99(quin,2H),2.38(q,2H),3.73(s,3H),3.94(t,2H),3.98(t,2H),4.15(t,2H),4.97(dd,1H),5.03(dd,1H),5.70(m,1H),5.80(dd,1H),6.05(dd,1H),6.43(dd,1H),6.62(d,1H),6.83(dd,2H),6.86(d,1H),6.91(dd,1H),7.23(d,1H),7.29(dd,1H),7.37(dd,2H),7.42(dd,1H)ppm.
13C NMR(CDCl)30.3,33.8,56.3,63.1,68.5,72.3,91.0,91.0,114.7,114.8,114.9,115.1,118.3,119.6,122.8,123.3,125.0,128.0.128.0,128.2,128.2,128.6,128.6,130.3,137.3,144.1,147.3,157.7,160.6,165.0ppm.
LRMS(EI)m/z 500
(実施例8) 式(I−16)で表される化合物の製造
【0112】
【化30】

【0113】
実施例5において、4−ヨードフェノールを4−ブロモ−2−メトキシフェノールに、式(A−4)で表される化合物を式(H−4)で表される化合物に、式(B−1)で表される化合物を式(H−7)で表される化合物に各々置き換えることにより、式(I−16)で表される化合物を得た。
式(I−16)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)1.43〜1.76(m,8H),2.05(d,3H),3.83(s,3H),3.97(t,2H),4.16(t,2H),4.68(d,2H),5.59(d,1H),5.67〜5.69(m,2H),6.05(dd,1H),6.27(dd,1H),6.88(d,1H),7.02(d,1H),7.24〜7.31(m,3H),7.39(s,1H),7.43(m,2H),7.88〜7.93(m,2H),8.32(d,1H),8.64(s,1H)ppm.
13C NMR(CDCl)17.6,25.6,25.8,29.0,29.6,56.1,65.3,68.7,70.0,93.3,93.3,108.2,110.3,110.9,116.0,117.8,119.7,121.1,122.8,125.6,125.9,126.3,126.4,127.1,128.2,128.2,128.3,129.4,130.1,130.9,131.3,137.3,141.0,147.6,149.4,158.0,159.0,165.2,166.5ppm.
LRMS(EI)m/z 636
(実施例9) 式(I−21)で表される化合物の製造
【0114】
【化31】

【0115】
3つ口フラスコに4−ヒドロキシベンジルアルコール 10.0g(0.08モル)、アクリル酸3−クロロプロピル 18.0g(0.12モル)、炭酸カリウム 16.7g(0.12モル)を加え、N,N−ジメチルホルムアミド 50mLに懸濁させた。90℃で7時間加熱攪拌した後、ジクロロメタン 100mL及び水 100mLを加え分液処理した。続いて水 100mLで2回、食塩水 100mLで1回洗浄した後、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサンを用いて再結晶を行い、式(J−1)で表される化合物 17.6gを得た。
【0116】
3つ口フラスコに式(J−1)で表される化合物 17.6g(0.07モル)、式(A−6)で表される化合物 21.9g(0.07モル)、トリフェニルホスフィン 23.4g(0.09モル)を加え、テトラヒドロフラン 70mLに溶解させた。氷冷しながら、アゾジカルボン酸ジイソプロピル 18.1g(0.09モル)を反応温度が15度を超えないよう徐々に滴下した。滴下後、室温で5時間撹拌した後、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製したのち、ジクロロメタン/ヘキサンを用いて再結晶を行い、目的の式(I−21)で表される化合物29.0gを得た。
式(I−21)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)2.11(quin,2H),2.38(q,2H),3.83(s,3H),3.98(t,2H),4.20(t,2H),4.29(t,2H),5.02(m,2H),5.16(s,2H),5.59(dd,1H),5.82(m,1H),6.05(dd,1H),6.27(dd,1H),6.84〜7.04(m,8H),7.45〜7.48(m,3H)ppm.
13C NMR(CDCl)28.4,34.2,56.1,61.6,64.9,68.5,71.1,89.7,93.3,110.3,110.9,114.0,114.0,114.3,114.6,114.6,116.0,116.4,125.6,128.2,128.3,128.9,128.9,131.3,132.9,132.9,134.3,149.4,149.5,158.3,159.1,166.5ppm.
LRMS(EI)m/z 512
(実施例10) 式(I−22)で表される化合物の製造
【0117】
【化32】

【0118】
3つ口フラスコに4−ブロモ−2−メトキシアニリン 10.0g(0.049モル)、二炭酸ジ−tert−ブチル 13.0g(0.060モル)をとり、テトラヒドロフランに溶解させた。40℃で5時間反応させた後、溶媒を留去し式(K−1)で表される化合物14.7gを得た。
【0119】
3つ口フラスコに、式(K−1)で表される化合物14.7g(0.049モル)、ヨウ化銅(I)0.19g(1.0ミリモル)、化合物(F−3)10.0g(0.049モル)、N,N−ジメチルホルムアミド 58mL、トリメチルアミン 19mLを加え、フラスコ内を窒素置換した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.57g(0.49ミリモル)を加え、90℃で5時間撹拌した。放冷し、トルエン200mLを加え、水 200mLで2回分液処理した。トルエン/酢酸エチル混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製し、式(K−2)で表される化合物 12.5gを得た。
【0120】
3つ口フラスコに式(K−2)で表される化合物 12.5g(0.034モル)をとり、酢酸エチルに溶解させた。3M塩酸を滴下し、室温で5時間反応させた後、水及び食塩水で洗浄した。ジクロロメタン/酢酸エチル混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、式(K−3)で表される化合物10.0gを得た。
【0121】
4つ口フラスコに、式(K−3)で表される化合物10.0g(0.031モル)、式(B−1)で表される化合物9.1g(0.031モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 0.4g(3.2ミリモル)をとり、ジクロロメタン 40mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイロプロピルカルボジイミド 4.7g(0.037モル)を反応温度が15度を超えないよう滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン(2:1)混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−22)で表される化合物 16.7gを得た。
式(I−22)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.43(m,4H),1.62〜1.85(m,6H),2.18(q,2H),3.83(s,3H),3.97(t,2H),4.06(m,4H),5.02〜5.07(m,2H),5.59(dd,1H),5.82(m,1H),6.05(dd,1H),6.27(dd,1H),6.93(d,1H),7.06〜7.17(m,5H),7.54(s,H),7.66(d,1H),7.92(s,2H),9.15(s,1H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 25.6,25.8,28.9,29.0,29.6,30.2,55.8,65.3,68.7,68.8,93.3,93.3,114.5,114.5,115.6,115.8,115.9,118.2,119.3,119.9,122.2,123.2,123.9,125.8,128.1,128.1,128.2,128.5,131.3,136.5,147.5,151.8,152.3,162.8,164.7,166.5ppm.
LRMS(EI)m/z 599
(実施例11) 式(I−23)で表される化合物の製造
【0122】
【化33】

【0123】
4つ口フラスコに4−ブロモ−2−クロロフェノール 50.0g(0.24モル)、ピリジン 21.1g(0.27モル)を加え、ジクロロメタン 150mLに溶解させた。氷冷しながら、無水酢酸 27.3g(0.27モル)を加えた。室温で12時間撹拌した。10%塩酸 150mLで中和した後、水 150mLで3回洗浄した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、無色オイル状の式(L−1)で表される化合物59.9gを得た。
【0124】
4つ口フラスコに式(L−1)で表される化合物15.0g(0.060モル)、ヨウ化銅(I)0.2g(1.1ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 45mL、トリエチルアミン 15mLを加えた。フラスコ内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.7g(0.6ミリモル)を加えた。90℃で加熱しながら、式(G−3)で表される化合物13.3g(0.066モル)をN,N−ジメチルホルムアミド 13mLに溶解した溶液を滴下した。91℃で6時間撹拌した。ジクロロメタン 250mL、水 250mLを加え、分液処理した。さらに、水 250mLで2回洗浄した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。トルエン/ヘキサンにより再結晶を3回行い、淡黄色固体状の式(L−2)で表される化合物15.6gを得た。
【0125】
温度計を備えたフラスコに式(L−2)で表される化合物15.6g(0.042モル)、テトラヒドロフラン 47mLを加えた。25%アンモニア水溶液 47mLを加え、室温で16時間撹拌した。酢酸エチル 94mLを加え希釈した後、10%塩酸 94mL及び水 94mLを加え中和し、分液処理した。有機層を水 200mL、食塩水 200mLで順次洗浄し、溶媒を留去することにより淡黄色固体状の式(L−3)で表される化合物13.3gを得た。
【0126】
4つ口フラスコに、式(L−3)で表される化合物13.3g(0.040モル)、式(L−4)で表される化合物11.9g(0.040モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン 0.5g(4.1ミリモル)をとり、ジクロロメタン 48mLに懸濁させた。氷冷しながらN,N’−ジイロプロピルカルボジイミド 6.1g(0.048モル)を反応温度が15度を超えないよう滴下した。滴下終了後、室温で16時間撹拌した。析出物を濾過により除去し、溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−23)で表される化合物 20.5gを得た。
式(I−23)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.43〜1.79(m,8H),2.27(quin,1H),2.38(q,2H),2.79(quin,1H),3.37(t,2H),3.83(s,3H),3.97(m,4H),5.02〜5.07(m,2H),5.59(dd,1H),5.82(m,1H),6.05(dd,1H),6.27(dd,1H),6.84(d,1H),7.04(d,1H),7.25(d,2H),7.45(s,1H),7.56(d,2H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 25.6,25.8,25.9,25.9,29.0,30.3,31.5,31.5,34.2,42.9,56.1,65.3,68.8,70.2,81.7,89.7,93.3,110.4,110.5,115.3,116.4,119.5,121.2,121.2,125.2,128.2,131.3,132.7,132.7,134.3,149.5,150.3,151.0,166.5,176.9ppm.
LRMS(EI)m/z 609
(実施例12) 式(I−24)で表される化合物の製造
【0127】
【化34】

【0128】
4つ口フラスコに酢酸4−ビニルフェニル 10.0g(0.062モル)、5−ブロモ−2−ヨードアニソール 19.4g、炭酸カリウム 12.9g(0.093モル)をとり、N,N−ジメチルホルムアミド 50mLに懸濁させた。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、酢酸パラジウム 0.14g(0.62ミリモル)を加え、130℃で2時間加熱した。室温まで放冷した後、トルエン100mLで希釈し、水100mLで3回分液処理した。溶媒を留去し得られた固体をジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、式(M−1)で表されるシス−トランス混合物 15.1gを得た。
【0129】
オートクレーブ中で式(M−1)で表されるシス−トランス混合物 15.1g(0.043モル)をテトラヒドロフラン 60mLに溶解させた。5%パラジウム炭素 0.76gを加え、5気圧水素ガス雰囲気で5時間撹拌した。パラジウム炭素をろ過し、溶媒を留去することにより式(M−2)で表される化合物 14.7gを得た。
【0130】
4つ口フラスコに式(M−2)で表される化合物 14.7g(0.042モル)、式(C−3)で表される化合物 7.8g(0.042モル)、ヨウ化銅(I)0.16g(0.84ミリモル)をとり、トリエチルアミン 15mL及びN,N−ジメチルホルムアミド 44mLに懸濁させた。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.49g(0.42ミリモル)を加え、80℃で8時間加熱撹拌した。トルエン100mLで希釈した後、水100mLで3回分液処理した。溶媒を留去した後、ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し式(M−3)で表される化合物 9.5gを得た。
【0131】
フラスコに式(M−3)で表される化合物 9.5g(0.021モル)をとり、テトラヒドロフラン 19mL及びトルエン19mLに溶解させた。28%アンモニア水 10mLを加え、室温で24時間撹拌した。5%塩酸を加え酸性にした後、有機層を水100mLで2回、食塩水で1回分液処理した。無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、溶媒を留去し式(M−4)で表される化合物 8.5gを得た。
【0132】
4つ口フラスコに式(M−4)で表される化合物 8.5g(0.021モル)、炭酸カリウム4.4g(0.032モル)、3−クロロプロピルアクリレート 4.7g(0.032モル)をとり、N,N−ジメチルホルムアミド 34mLに懸濁させた。90℃で5時間加熱撹拌した後、ジクロロメタン 100mLで希釈し、水 100mLで3回、食塩水 100mLで1回分液処理した。溶媒を留去した後ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。ジクロロメタン/ヘキサンにより再結晶を行い目的物である式(I−24)で表される化合物 9.4gを得た。
式(I−24)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.85(quin,2H),2.11〜2.18(m,4H),2.82(m,4H),4.06(t,2H),4.20〜4.29(m,4H),5.02〜5.07(m,2H),5.59(dd,1H),5.82(m,1H),6.05(dd,1H),6.27(dd,1H),6.94〜6.95(m,4H),7.18〜7.25(m,4H),7.48〜7.54(m,4H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 28.4,28.9,30.2,37.4,37.4,61.6,64.9,68.8,89.7,89.7,114.0,114.0,114.3,114.3,114.3,115.8,119.9,128.2,129.4,129.4,129.8,129.8,131.3,132.2,132.2,132.9,132.9,133.7,136.5,141.8,156.6,159.1,166.5ppm.
LRMS(EI)m/z 524
(実施例13) 式(I−25)で表される化合物の製造
【0133】
【化35】

【0134】
フラスコに4−ヨードフェノール 10g(0.045モル)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム 1.1g(4.4ミリモル)をとり、ジクロロメタン 40mLに溶解させた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピラン 4.5g(0.053モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、水 50mL、食塩水 50mLで順次分液処理した。溶媒を留去することにより、式(N−1)で表される化合物 13.5gを得た。
【0135】
4つ口フラスコに式(N−1)で表される化合物 13.5g(0.044モル)、4−ペンチン−1−オール 5.6g(0.066モル)、ヨウ化銅(I)0.17g(0.89ミリモル)をとり、トリエチルアミン 14mL及びN,N−ジメチルホルムアミド 42mLに懸濁させた。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.51g(0.44ミリモル)を加え、90℃で8時間加熱撹拌した。トルエン80mLで希釈した後、水 80mL及び食塩水 80mLで洗浄し、溶媒を留去することにより式(N−2)で表される化合物 8.0gを得た。
【0136】
オートクレーブに式(N−2)で表される化合物 8.0g(0.031モル)をとり、テトラヒドロフラン 80mLに溶解させた。5%パラジウム炭素 0.4gを加え、5気圧水素ガス雰囲気で5時間撹拌した。5%パラジウム炭素をろ過した後、溶媒を留去することにより式(N−3)で表される化合物 8.2gを得た。
【0137】
式(N−3)で表される化合物 8.2g(0.031モル)をジクロロメタン 41mLに溶解させた。ピリジン 0.24g(3.0ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物 9.6g(0.034モル)を滴下した。室温で8時間撹拌した後、5%塩酸 40mL、水 40mL、飽和重曹水 40mLで洗浄し、溶媒を留去した。得られた固形物を減圧蒸留することにより式(N−4)で表される化合物 7.4gを得た。
【0138】
フラスコに式(N−4)で表される化合物 7.4g(0.019モル)をとり、トルエン 37mLに溶解させた。カリウムtert−ブトキシド 4.3g(0.038モル)を加え、8時間撹拌した。水 100mLで2回、食塩水 100mLで1回洗浄し、溶媒を留去することにより式(N−5)で表される化合物 4.5gを得た。
【0139】
フラスコに式(N−5)で表される化合物 4.5g(0.018モル)をとり、ジクロロメタン 18mL及びメタノール 18mLに溶解させた。10%塩酸 9mLを加え室温で5時間撹拌した。ジクロロメタン 50mLで希釈した後、水 50mLで2回、食塩水 50mLで1回洗浄し溶媒を留去した。ジクロロメタン/ヘキサン混合溶媒を用いて再結晶することにより式(N−6)で表される化合物 2.9gを得た。
【0140】
フラスコに式(N−6)で表される化合物 2.9g(0.018モル)をとり、ジクロロメタン 15mLに溶解させた。ピリジン 0.14g(1.8ミリモル)を加えた。氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物 6.1g(0.022モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、ジクロロメタン 50mLで希釈し5%塩酸 50mL、食塩水 50mLで3回分液処理した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し式(N−7)で表される化合物 5.3gを得た。
【0141】
4つ口フラスコに式(N−7)で表される化合物 5.3g(0.018モル)、ヨウ化銅(I)0.07g(0.37ミリモル)、トリメチルシリルアセチレン 2.7g(0.027モル)をとり、トリエチルアミン 10mL、N,N−ジメチルホルムアミド 30mLに懸濁させた。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)0.21g(0.18ミリモル)を加え、80℃で5時間加熱撹拌した。トルエン 50mLで希釈した後、水 50mLで2回、食塩水 50mLで分液処理した。溶媒を留去した後、ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し式(N−8)で表される化合物 3.1gを得た。
【0142】
フラスコに式(N−8)で表される化合物 3.1g(0.013モル)をとり、ジクロロメタン 9mL及びメタノール 9mLに溶解させた。炭酸カリウム 2.7g(0.020モル)を加え室温で6時間撹拌した。析出物をろ過し水 30mLで分液処理した。溶媒を留去した後、減圧蒸留することにより式(N−9)で表される化合物 1.5gを得た。
【0143】
4つ口フラスコに4−ヨード−2,6−ジメトキシフェノール 10.0g(0.036モル)、ピリジン 3.4g(0.043モル)をとりジクロロメタン 50mLに溶解させた。氷冷しながら、無水酢酸 4.4g(0.043モル)を加えた。室温で8時間撹拌した。10%塩酸 50mLで中和した後、水 50mLで3回洗浄した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、式(N−10)で表される化合物11.5gを得た。
【0144】
4つ口フラスコに式(N−10)で表される化合物2.8g(8.7ミリモル)、ヨウ化銅(I)0.03g(0.16ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド 17mL、トリエチルアミン 6mLを加えた。フラスコ内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.10g(0.087ミリモル)を加えた。90℃で加熱しながら、式(N−9)で表される化合物1.5g(8.8ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド 2mLに溶解した溶液を滴下した。91℃で6時間撹拌した。ジクロロメタン 25mL、水 25mLを加え、分液処理した。さらに、水 25mLで2回洗浄した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、アルミナ)により精製した。トルエン/ヘキサンにより再結晶を2回行い、式(N−11)で表される化合物2.5gを得た。
【0145】
温度計を備えたフラスコに式(N−11)で表される化合物2.5g(6.9ミリモル)、テトラヒドロフラン 10mLを加えた。25%アンモニア水溶液 3mLを加え、室温で6時間撹拌した。酢酸エチル 50mLを加え希釈した後、10%塩酸 20mL及び水 20mLを加え酸性にし、分液処理した。有機層を水 50mL、食塩水 50mLで順次洗浄し、溶媒を留去することにより式(N−12)で表される化合物2.1gを得た。
【0146】
4つ口フラスコに式(N−12)で表される化合物2.1g(6.5ミリモル)、炭酸セシウム 2.5g(7.7ミリモル)、6−クロロヘキシルアクリレート 1.5g(7.9ミリモル)をとり、ジメチルスルホキシド 10mLに懸濁させた。80℃で7時間加熱撹拌した後、ジクロロメタン 30mLで希釈し水 30mLで3回分液処理した。ジクロロメタンを用いてカラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行った後、ジクロロメタン/メタノール混合溶媒を用いて再結晶を行うことにより目的物である式(I−25)で表される化合物 2.5gを得た。
式(I−25)で表される化合物の物性値
H NMR(CDCl)δ 1.43〜1.46(m,6H),1.62(quin,2H),1.76(quin,2H),2.18(q,2H),2.62(t,2H),3.97(t,2H),4.06(t,2H),5.02〜5.07(m,2H),5.59(dd,1H),5.82(m,1H),6.05(dd,1H),6.27(dd,1H),6.95(d,2H),7.25(d,2H),7.48〜7.54(m,4H)ppm.
13C NMR(CDCl)δ 25.6,25.8,29.0,29.6,31.1,33.5,35.8,65.3,68.7,89.7,89.7,114.0,114.0,114.3,115.8,120.0,128.2,130.2,130.2,131.3,132.4,132.4,132.9,132.9,136.5,141.7,159.1,166.5ppm.
LRMS(EI)m/z 476
(実施例14〜26、比較例1〜2)
実施例1から実施例13に記載の本願発明の式(I−1)から式(I−7)、式(I−16)及び式(I−21)から式(I−25)で表される化合物並びに、特開2000−17003号公報(特許文献1)記載の重合遅延性を有する非液晶性の比較化合物1及び米国特許第6514578号明細書(特許文献3)記載の本願発明化合物と類似のトラン構造を有する比較化合物2の物性値を下記表1に記載した。
【0147】
【化36】

【0148】
【表1】

【0149】
本願発明の式(I−1)から式(I−4)で表される化合物はいずれも生産工程上容易に取り扱い可能な温度域において充分なネマチック液晶相を示すことがわかる。
【0150】
当該化合物の保存安定性を評価するために、化合物VI(40%)、化合物VII(30%)及び化合物VIII(30%)からなる母体液晶に対して当該化合物を20%から80%まで10%刻みで添加した組成物を各々調製した。調製した組成物を25℃で15時間放置した後、結晶の析出が起こらない当該化合物の最大添加濃度を下記表1に記載した。本願発明の式(I−1)から式(I−7)、式(I−16)及び式(I−21)から式(I−25)で表される化合物はいずれも比較化合物1及び比較化合物2と比較して結晶の析出の起こらない最大添加濃度が同等以上であり、高い保存安定性を示すことがわかる。
【0151】
【化37】

【0152】
実施例1から実施例13に記載の本願発明の式(I−1)から式(I−7)、式(I−16)及び式(I−21)から式(I−25)で表される化合物と比較化合物1及び比較化合物2を含む重合性液晶組成物を下記表2のように調製した。
【0153】
【表2】

【0154】


【0155】
本願発明の式(I−1)から(I−4)で表される化合物を含む実施例14から実施例17はいずれも生産工程上容易に取り扱い可能な温度域において充分なネマチック液晶相を示すことがわかる。
【0156】
【表3】

【0157】
(実施例27〜39、比較例3〜4)
次に、本願組成物である実施例14から実施例26並びに比較組成物である比較例1及び比較例2のそれぞれの重合性液晶組成物に、光重合開始剤イルガキュア907(チバスペシャリティーケミカル社製)を5.0%、重量平均分子量600の流動パラフィン(関東化学社製)を0.1%、FTX−730LS(ネオス社製)を0.05%、重合禁止剤4−メトキシフェノールを0.1%添加した重合性液晶組成物を調製し、該重合性液晶組成物を25%含有するプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を調製した。これをポリイミド付きガラスにスピンコート(1200回転/分、15秒)し、80℃で2分間乾燥した。このようにして形成した重合性液晶組成物層に、23μmの間隔をもってマスク(エドモンドオプティクス社製 1951USAFテストターゲット、ポジティブパターン)を設置し、その上からUV照射(20mW/cm、5秒間)してマスク露光を行った(図1参照)。UV照射後、ガラス板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに30秒浸漬し未硬化部を除去した。得られたガラス板を自然乾燥させ溶媒を蒸発させることによりパ実施例27から実施例39及び比較例3及び比較例4のパターン化フィルムを得た。
【0158】
得られたパターン化フィルムのパターン解像度、ヘイズ値及び外観の評価を行い、結果を表6に示した。パターン解像度はレーザー顕微鏡(キーエンス社製 VK−9510)を用いて測定し、マスクパターンに対応したパターンが完全に再現されている最も解像度の高いグループ番号/ライン番号を記載した。なお、このパターンは下記表5のように空間周波数(本/mm)が規定されている。
【0159】
【表4】

【0160】


【0161】
ヘイズ値は下記式
ヘイズ(%)=Td/Tt×100
(式中、Tdは拡散透過率、Ttは全光線透過率を表す。)で表され、測定にはヘイズ測定装置(日本電色工業株式会社製NHD2000)を用い、基板上5カ所についての測定を行い、その平均をとった。また、目視によってフィルム上にムラ等が無く全体に均一であれば○、ムラが見られる場合は×とした。
【0162】
本願発明の式(I−1)から式(I−7)、式(I−16)及び式(I−21)から式(I−25)で表される化合物を含有する実施例14から実施例26から得られたパターン化フィルム実施例27からパターン化フィルム実施例39においては、いずれもヘイズ値が小さく、またムラの発生も無く均一なフィルムが得られた。一方、比較化合物2を含有する組成物比較例2から得られたパターン化フィルム比較例4では、外観は良好であったが、本願発明の化合物を含有する場合と比較しヘイズがやや大きい値となった。比較化合物1を含有する比較例1から得られたパターン化フィルム比較例3では、ヘイズが高く、白いスジ状のムラが生じた。また、本願発明の化合物を含有する実施例14から実施例26より得られたパターン化フィルム実施例27からパターン化フィルム実施例39においては、パターン解像度はいずれも高く、テストパターンにおけるグループ6までの全てのパターンが完全に再現された。一方、比較化合物2を含有する比較例2より得られたパターン化フィルム比較例4においては、パターン解像度は低く、テストパターンにおけるグループ4までのパターンは再現されたが、グループ5以上は全体にぼんやりとした状態であり、完全に再現されなかった。比較化合物1を含有する比較例1より得られたパターン化フィルム比較例3においては、グループ5/ライン1までがかろうじてパターン形状が認識可能であるにとどまった。
【0163】
【表5】

【0164】
※外観:○ 良好、× ムラ有り
このように、本願発明の化合物はいずれも高い屈折率異方性を有し、比較化合物1及び同程度に高い屈折率異方性を有する比較化合物2と比較して保存安定性が同等以上であり、充分に広い液晶相温度範囲を有することがわかる。また、本願発明の化合物を使用してパターン化フィルムを作製することにより、従来技術と比較しパターン解像度が高く、ヘイズ・ムラの少ないフィルムが得られることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】この図は、USAF1951分解能テストパターン(ポジティブパターン)で規定される形状で、黒い領域が遮光される部分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

(式中、Pは下記の式(P−1)から式(P−15)で表される反応性基
【化2】

から選ばれる置換基を表し、S及びSは各々独立して、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表し、X及びXは各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表し(式中、Y及びYは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)、n1及びn2は各々独立して0、1、2、3又は4を表し、A及びAは各々独立して1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、これらの基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1から7のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基又は炭素原子数1から7のアルカノイル基によって置換されていても良く、これらのアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は1個以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子により置き換えられても良く、A及び/又はAが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z及びZは各々独立して−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CHCH−、−CHCF−、−CFCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−CH=CF−、−CF=CH−、−CY=CY−、−C≡C−又は単結合を表し(式中、Y及びYは各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)、Z及び/又はZが複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、m1及びm2は各々独立して0、1又は2を表し、lは0又は1を表し、A及びAは各々独立して1個の−CH=又は隣接していない2個の−CH=が−N=に置き換えられても良い1,4−フェニレン基を表し、該1,4−フェニレン基中の一つ又は複数の水素原子は各々独立して、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基又は炭素原子数1から8のアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基で置換されていても良いが、該アルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基は、フッ素原子又は塩素原子により更に置換されても良く、Rは水素原子又は炭素原子数1から12のアルキル基を表すが、該アルキル基は無置換であっても良く、フッ素原子、塩素原子、シアノ基により置換されても良く、また該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−によって置き換えられても良い。)で表される重合性化合物。
【請求項2】
一般式(I)において、lが1を表す請求項1記載の重合性化合物。
【請求項3】
一般式(I)において、X及びXが各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−又は単結合を表す請求項1又は2に記載の重合性化合物。
【請求項4】
一般式(I)において、Z及びZが各々独立して−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−又は単結合を表す請求項1から3の何れか一項に記載の重合性化合物。
【請求項5】
一般式(I)において、A及びAが各々独立して無置換であるか或いはフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1から4のアルキル基又は炭素原子数1から4のアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基、無置換であるか或いはフッ素原子又は塩素原子によって置換されたナフタレン−2,6−ジイル基、又は1個の−CH−若しくは隣接していない2個の−CH−が−O−に置き換えられても良い無置換の1,4−シクロヘキシレン基を表す請求項1から4の何れか一項に記載の重合性化合物。
【請求項6】
一般式(I)において、A及びAが1,4−フェニレン基を表し、該二つの1,4−フェニレン基中の少なくとも一つの水素原子が炭素原子数1から8のアルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基により置換されており、該アルキル基、アルコキシ基又はアルカノイル基はフッ素原子又は塩素原子により置換されても良い、請求項1から5の何れか一項に記載の重合性化合物。
【請求項7】
一般式(I)において、A及びAが1,4−フェニレン基を表し、該二つの1,4−フェニレン基中の少なくとも一つの水素原子が炭素原子数1から8のアルコキシ基を表し、少なくとも一つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基又はニトロ基により置換されている請求項6記載の重合性化合物。
【請求項8】
一般式(I)において、−A−≡−A−が下記の式(A23−1)から式(A23−20)
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

(式中、Lは各々独立して、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又はニトロ基を表す。)で表される請求項6記載の重合性化合物。
【請求項9】
請求項1から8の何れか一項に記載の重合性化合物を含有する重合性液晶組成物。
【請求項10】
請求項9記載の重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマー。
【請求項11】
請求項10記載のポリマーを使用したフィルム、光学素子、機能性顔料、医薬品、化粧品、コーティング剤又は合成樹脂。

【図1】
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【公開番号】特開2013−14538(P2013−14538A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148220(P2011−148220)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】