説明

重合性液晶組成物およびその用途

【課題】室温付近でコレステリック相を示し、組成により赤〜緑〜青〜紫の広範囲にわたるコレステリック反射帯域の反射色を制御でき、基材上にコレステリック液晶相を呈する塗膜を直接形成し固定化することができる重合性液晶組成物を提供すること。
【解決手段】式(1)の化合物と特定の液晶性化合物とを含有する重合性液晶組成物。


[RはH等;Aは炭素数1〜12のアルキレン等;X及びYは独立して芳香族環又はシクロヘキサン環等;Zは独立して単結合、O、S、COO、OCO、CON(R1)又はN(R1)CO;R1は水素又はメチル;mは0〜3の整数を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性液晶組成物およびその用途に関し、より詳しくは、室温付近で特定の領域の波長の光を反射する重合性液晶組成物、該組成物からなる重合体および該重合体の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステリック液晶分子は、その液晶状態で螺旋構造を有する。そのため、コレステリック液晶を重合させて螺旋構造を固定し、光を照射すると、液晶分子の螺旋の回転方向の向きとピッチの長さに対応した特定の波長領域の円偏光の光を反射する。たとえば、可視光を照射した場合、液晶のピッチの長さに対応した青、緑、黄、赤の波長の光を選択的に反射する。これらの色調は、光の吸収により色を呈する顔料や染料とは異なり、また、見る角度により色調が変わる視角依存性を有する。さらに、コレステリック液晶のピッチの長さは、温度や化合物の種類により制御することができるため、可視光だけではなく、近赤外や紫外領域の光も選択的に反射することができる。
【0003】
こうしたコレステリック液晶の特性を利用して、広い波長域内でさまざまな波長の光を選択的に反射する材料が提供されている。例えば、液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物および装飾品などである。また、液晶表示素子やホログラフィー素子などの光学素子における偏光板、補償板、カラーフィルタなどの光学フィルムなどにも提案されている。既存の材料であるコレステリック液晶顔料については、フレーク状のコレステリック液晶ポリマーや、マイクロカプセル化されたコレステリック液晶が使用されている。これらの用途としては自動車用塗料や化粧料などがある。
【0004】
コレステリック液晶は、通常、ネマチック液晶に光学活性化合物(カイラル剤)を添加することにより調製できる。紫外線領域から可視光領域までの円偏光の光を反射させるためには、コレステリック液晶が非常にピッチの短い螺旋構造を呈する必要がある。そのためには、螺旋誘起力(HTP)が大きな光学活性化合物が求められる。HTPの小さな光学活性化合物を使用すると、その添加量を増やさなければならないため、他の物性、特にコレステリック液晶の出現温度範囲や選択反射波長範囲の調整が難しくなる。また、多くの場合、光学活性化合物は液晶性を示さないため、添加量を多くすると組成物の液晶性が消失し、目的とするコレステリック液晶相を得ることができない。
【0005】
特表平10−509726号公報(特許文献1)および特開平3−72445号公報(特許文献2)には、重合性のメントール誘導体が開示されているが、新たな重合性のメントール誘導体の開発が望まれている。
【0006】
特表2000−505485号公報(特許文献3)には、フレーク状に加工された顔料として、光学活性な基を有するカイラル重合性メソゲン化合物、非カイラル重合性メソゲン化合物および光開始剤などを含む混合物の重合体が記載されている。
【0007】
また、特開平8−24625号公報(特許文献4)には、マイクロカプセル化された液晶材料が記載されている。これは、サーモトロピックなコレステリック液晶性を有するグルタミン酸γ−エステルの共重合体が、エポキシ樹脂とアミンとを構成成分とする膜で覆われた構造を有する。
【0008】
このようなフレーク状またはマイクロカプセル化された液晶材料は、塗料、インク成分または化粧料などの色材として利用されている。しかし、色材として用いるためのフレー
ク状の顔料は、支持体上にコレステリックポリマー層を形成して剥離した後、ポリマー層を粉砕することにより製造されている。マイクロカプセルは、コレステリック液晶材料に樹脂被膜を形成することにより製造されている。さらに、それらを一旦溶剤に分散させ、対象物に塗布して固定化させるといった多段階の工程が必要となる。また、塗装や印刷処理を比較的低温な室温付近で行うためには、色材となるコレステリック材料が、室温付近で安定にコレステリック液晶相を呈することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表平10−509726号公報
【特許文献2】特開平3−72445号公報
【特許文献3】特表2000−505485号公報
【特許文献4】特開平8−24625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第一の課題は、大きなHTPを有する重合性の光学活性化合物を含み、かつ室温付近でコレステリック相を示す重合性液晶組成物を提供することである。第二の課題は、組成物の組成を変えることで、赤〜緑〜青〜紫の広範囲にわたるコレステリック反射帯域の反射色を制御することである。第三の課題は、コレステリック液晶の対象となる基材上に、コレステリック液晶相を呈する塗膜を直接形成し固定化することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の重合性光学活性化合物と特定の液晶性化合物とを含む組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の具体的な構成例を以下に示す。
【0012】
[1]下記式(1)で表される化合物(I)と、下記式(2)〜(9)で表される化合
物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(II)とを含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
【0013】
【化1】

【0014】
式(1)中、Rは水素またはメチルを示し、
Aは炭素数1〜12のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は、−O−
、−S−、−CH=CH−、−CO−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、
XおよびYは、それぞれ独立して芳香族環またはシクロヘキサン環を示し、これらの環において、任意の水素は炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてもよく、
Zは、独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CON(R1)−
または−N(R1)CO−を示し、R1は水素またはメチルを示し、
mは0〜3の整数を示す。
【0015】
【化2】

【0016】
式(2)〜(9)中、
4は、独立に水素、CNまたは炭素数1〜12のアルキルを示し、該アルキル中の任意
の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=CH−、−CO−、−COO−または−OC
O−で置き換えられてもよいが、式(2)および(3)におけるR4は−OCO−C(R5)=CH2にはならず、式(8)における2つのR4は同時に−OCO−C(R5)=CH2にはならず、
5は独立に水素またはメチルを示し、
1は、独立に単結合または炭素数1〜12のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意
の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=CH−、−CO−、−COO−または−OC
O−で置き換えられてもよく、
1は、独立に単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CON(R6)−、−N(R6)CO−または−OCOO−を示し、R6は水素またはメチルを示し、
1は、独立に単結合、−COO−または−OCO−を示し、
1、A2およびA3は、それぞれ独立に1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニ
レンを示し、これらの環において、任意の水素は炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてもよい。
【0017】
[2]前記化合物(II)が、前記式(2)〜(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0018】
[3]前記化合物(II)が、前記式(7)〜(9)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0019】
[4]前記化合物(II)が、前記式(2)〜(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、前記式(7)〜(9)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0020】
[5]前記化合物(II)が、前記式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0021】
[6]前記化合物(II)が、下記式(2−1)〜(2−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0022】
【化3】

【0023】
式(2−1)〜(2−4)中、R5は水素またはメチルを示し、R7は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシを示す。
【0024】
[7]前記化合物(II)が、前記式(2−2)で表される化合物を含むことを特徴とする項[6]に記載の重合性液晶組成物。
【0025】
[8]前記化合物(II)が、前記式(2−2)および(2−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする項[6]に記載の重合性液晶組成物。
【0026】
[9]前記化合物(II)が、前記式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0027】
[10]前記化合物(II)が、下記式(3−1)〜(3−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0028】
【化4】

【0029】
式(3−1)〜(3−4)中、R5は水素またはメチルを示し、R7は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシを示し、P1は単結合または炭素数1〜12
のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=
CH−、−CO−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、X1は単結合
、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CON(R6)−、−N(R6)CO−または−OCOO−を示し、R6は水素またはメチルを示し、Z2は−COO−または−OCO−を示す。
【0030】
[11]前記化合物(II)が、下記式(3−2−1)および(3−2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする項[1]
に記載の重合性液晶組成物。
【0031】
【化5】

【0032】
式(3−2−1)および(3−2−2)中、R7は炭素数1〜7のアルキルまたは炭素
数1〜7のアルコキシを示す。
【0033】
[12]前記化合物(II)が、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とを含むことを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0034】
[13]前記式(2)で表される化合物が、前記式(2−2)および(2−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、かつ、前記式(3)で表される化合物が、前記式(3−2)で表される化合物を含むことを特徴とする項[12]に記載の重合性液晶組成物。
【0035】
[14]前記式(3−2)で表される化合物が、前記式(3−2−1)および(3−2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする項[13]に記載の重合性液晶組成物。
【0036】
[15]前記化合物(II)として、下記式(5−1)で表される化合物を含有することを特徴とする項[1]に記載の重合性液晶組成物。
【0037】
【化6】

【0038】
式(5−1)中、R5は独立に水素またはメチルを示し、P1は独立に炭素数2〜8のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、
1は独立に単結合、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−を示し、Z2は−COO−または−OCO−を示す。
【0039】
[16]前記式(1)において、−(X−Z)m−Y−が下記式(i-1)または(i-2)
で表される構造であることを特徴とする項[1]〜[15]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
【0040】
【化7】

【0041】
[17]前記式(1)において、−(X−Z)m−Y−が下記式(ii-1)〜(ii-7)で
表される構造のいずれかであることを特徴とする項[1]〜[15]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
【0042】
【化8】

【0043】
[18]前記式(1)において、−(X−Z)m−Y−が下記式(iii-1)〜(iii-4)
で表される構造のいずれかであることを特徴とする項[1]〜[15]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
【0044】
【化9】

【0045】
[19]前記式(1)において、Aが−CH2CH2CH2CH2−または−CH2CH2−であることを特徴とする項[1]〜[18]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
【0046】
[20]前記式(1)において、Aが−CH2CH2OCH2CH2−または−CH2CH2O−CH2CH2−OCH2CH2−であることを特徴とする項[1]〜[18]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
【0047】
[21]前記式(2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも2種の化合物を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
【0048】
[22]前記式(3−2)で表される化合物をさらに含有することを特徴とする項[21]に記載の重合性液晶組成物。
【0049】
[23]非液晶性の重合性化合物をさらに含有することを特徴とする項[1]〜[22]のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
【0050】
[24]前記非液晶性の重合性化合物が、単官能(メタ)アクリルモノマー、多官能(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする項[23]に記載の重合性液晶組成物。
【0051】
[25]項[1]〜[24]のいずれかに記載の重合性液晶組成物を重合させることによって得られることを特徴とする重合体。
【0052】
[26]コレステリック液晶相を呈することを特徴とする項[25]に記載の重合体。
【0053】
[27]項[25]または[26]に記載の重合体を含有することを特徴とする膜。
【0054】
[28]項[25]または[26]に記載の重合体を含有することを特徴とする色材。
【0055】
[29]液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、項[1]〜[24]のいずれかに記載の液晶組成物の使用。
【0056】
[30]液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、項[25]または[26]に記載の重合体の使用。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、室温付近でコレステリック相を呈し、組成を変えることで、赤〜緑〜青〜紫の広範囲にわたるコレステリック反射帯域の反射色を制御することができるとともに、直接目的物に塗布して塗膜を形成し固定化することが可能である重合性液晶組成物が得られる。したがって、重合物であるコレステリック重合体をフレーク状に粉砕したり、コレステリック液晶をマイクロカプセル化し、それらを溶剤等と再度混合し、塗布するといった多段階の操作を必要としない。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、本発明に係る重合性液晶組成物、該組成物からなる重合体およびその用途について、詳細に説明する。
【0059】
なお、本明細書における「液晶性」の意味は、液晶相を有することだけに限定されず、それ自体は液晶相を有さなくても、他の液晶化合物と混同したときに、液晶組成物の成分として使用できる特性も「液晶性」の意味に含まれる。化学式において、1つの化合物が複数のXを有するとき、任意の2つのXは同一でも異なってもよい。この規則は、Z等の
他の記号にも適用される。
【0060】
[重合性液晶組成物]
本発明に係る重合性液晶組成物は、上記式(1)で表される化合物(I)と、上記式(
2)〜(9)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(II)とを含有する。化合物(I)は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい
。また、化合物(II)も同様に、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
本発明の重合性液晶組成物は、室温付近(10〜40℃程度)で広いコレステリック液晶相域を有し、各構成成分の組成比や組成物を重合する際の温度を変えることで、コレステリック相が反射する光の波長領域を制御することができ、所望の色や目的に応じた波長の光を反射する重合体の形成が可能である。
【0062】
本発明の重合性液晶組成物において、上記化合物(I)および(II)の合計100重量
%に対して、上記化合物(I)は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜3
5重量%、さらに好ましくは15〜30重量%の量で含まれる。化合物(I)の含有量が
前記範囲であることにより、液晶組成物の選択波長域を必要に応じて制御することができる。
【0063】
本発明の重合性液晶組成物は、上記化合物(I)および(II)以外にも、たとえば、他
の重合性化合物、非重合性成分、溶媒などを、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに含有してもよい。また、組成物の特性を最適化するために、本発明の液晶組成物に化合物(I)以外の光学活性化合物を添加してもよい。
【0064】
<化合物(I)>
本発明で用いられる化合物(I)は、上記式(1)に示すように、一方の末端に重合性
基を有し、他方の末端にメントール残基を有することから、高い重合反応性、光学活性および良好な混和性等の特性を示す。
【0065】
上記式(1)において、Aは炭素数1〜12のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は−O−、−S−、−CH=CH−、−CO−、−COO−または−OC
O−で置き換えられてもよい。
【0066】
ここで、「アルキレン中の任意の−CH2−は−O−、−CH=CH−等で置き換えら
れてもよい」の句の意味を一例で示す。−C48−において任意の−CH2−が−O−ま
たは−CH=CH−で置き換えられた基は、たとえば、−C36O−、−CH2−O−(
CH22−、−CH2−O−CH2−O−、−HC=CH−(CH23−、−CH2−CH
=CH−(CH22−、−CH2−CH=CH−CH2−O−等である。このように「任意の」という語は、「区別なく選択された少なくとも1つの」を意味する。なお、化合物の安定性を考慮すれば、酸素と酸素とが隣接した−CH2−O−O−CH2−よりも、酸素と酸素とが隣接しない−CH2−O−CH2−O−の方が好ましい。
【0067】
上記Aとしては、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2OCH2
CH2−または−CH2CH2O−CH2CH2−OCH2CH2−が好ましい。
【0068】
上記式(1)において、XおよびYは、それぞれ独立して芳香族環またはシクロヘキサン環を示し、これらの環において、任意の水素は炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてもよい。このようなXおよびYとしては、たとえば、1,4−シクロへキシレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイルなどが挙げられる。
これらの中では、1,4−フェニレンおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。
【0069】
上記式(1)において、Zは、独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CON(R1)−または−N(R1)CO−を示し(R1は水素またはメチルを示
す。)、これらの中では、単結合、−COO−および−OCO−が好ましい。
【0070】
上記式(1)において、mは0〜3の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0または1を示す。
【0071】
上記式(1)において、−(X−Z)m−Y−で表される部位の好ましい例としては、
(a)m=0の場合、上記式(i-i)または(i-2)で表される構造であることが好ましく

(b)m=1の場合、上記式(ii-1)〜(ii-7)で表される構造のいずれかであることが
好ましく、
(c)m=2の場合、上記式(iii-1)〜(iii-4)で表される構造のいずれかであること
が好ましい。−(X−Z)m−Y−で表される部位が、上記(a)〜(c)であることによ
り、HTPが大きく、他の液晶材料との相溶性に優れた化合物を提供することができる。なお、液晶材料は、液晶化合物および液晶組成物を含む総称である。
【0072】
上記化合物(I)の合成方法の例を以下に説明する。
【0073】
<1> 上記化合物(I)は、たとえば、以下の合成スキームに従って合成することができる。
【0074】
【化10】

【0075】
上記スキームに示すように、まず、アセトキシ安息香酸[a]とL−メントール(またはd−メントール)とをエステル化反応させることによって化合物[c]を合成する。エステル化反応にはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの縮合剤を好適に用いることができる。なお、上記スキーム中のDMAPはN,N−ジメチル−4−アミノピリジンの略語である。次に、アルカリ条件下でアセトキシ基の脱保護を行って化合物[d]を得る。さらに、化合物[d]とブタンジオールアクリレートクロロホルメート[e]とのエステル化反応により化合物[f]を得ることができる。なお、アセトキシ安息香酸[a]の代わりに、一方のヒドロキシ基がアセトキシ基などの保護基で保護された6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸または4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸を用いる
ことができる。また、4-アクリロイルオキシブチルクロロホルメート[e]の代わりに
、エチレングリコールモノアクリレートクロロホルメート、ジエチレングリコールアクリレートクロロホルメートまたはトリエチレングリコールアクリレートクロロホルメートなどを用いることができる。
【0076】
<ii> また、上記化合物(I)は、たとえば、以下の合成スキームに従って合成する
こともできる。
【0077】
【化11】

【0078】
上記スキームに示すように、まず、上記方法<i>の手順で得られた化合物[d]とア
セトキシ安息香酸[a]とをエステル化反応させることによって化合物[g]を合成する。エステル化反応にはジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤を好適に用いることができる。次に、アルカリ条件下でアセトキシ基の脱保護を行って化合物[h]を得る。さらに、化合物[h]と4-アクリロイルオキシクロロホルメート[e]とのエステル化
反応により化合物[i]を得ることができる。なお、アセトキシ安息香酸[a]の代わりに、一方のヒドロキシ基がアセトキシ基などの保護基で保護された6−ヒドロキシ−2−ナフタレン酸または4'−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸を用いることができる
。また、4-アクリロイルオキシクロロホルメート[e]の代わりに、エチレングルコー
ルモノアクリレートクロロホルメート、ジエチレングリコールアクリレートクロロホルメートまたはトリエチレングリコールアクリレートクロロホルメートなどを用いることができる。
【0079】
上記のような方法で合成される化合物(I)の具体例を以下に示す。なお、上記のよう
にして合成された化合物(I)の構造は、たとえば、プロトンNMRスペクトルなどによ
り確認することができる。
【0080】
【化12】

【0081】
【化13】

【0082】
【化14】

【0083】
【化15】

【0084】
【化16】

【0085】
【化17】

【0086】
【化18】

【0087】
【化19】

【0088】
【化20】

【0089】
【化21】

【0090】
【化22】

【0091】
【化23】

【0092】
【化24】

【0093】
【化25】

【0094】
【化26】

【0095】
【化27】

【0096】
【化28】

【0097】
【化29】

【0098】
<化合物(II)>
上記化合物(II)は、上記式(2)〜(9)で表される化合物からなる群より選ばれる
少なくとも1種の化合物である。本発明の重合性液晶組成物が上記化合物(II)を含有することにより、室温付近またはそれよりも高い特定の温度域で、赤、オレンジ、緑、青(紫)の反射色を呈するコレステリック相を発現することができる。また、特定の化合物の組み合わせによっては、組成物中の成分間の相溶性を高め、室温での組成物の結晶化を比較的防ぐことができる。
【0099】
なお、以下においては、上記式(2)〜(9)で表される化合物を、それぞれ「化合物(2)」・・・「化合物(9)」のように称することがある。また、他の式で表される化合物についても同様に簡略化して称することがある。
【0100】
本発明の重合性液晶組成物の態様としては、
・上記化合物(II)として、上記化合物(2)〜(6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する組成物、
・上記化合物(II)として、上記化合物(7)〜(9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する組成物、
・上記化合物(II)として、上記化合物(2)〜(6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、上記化合物(7)〜(9)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有する組成物
が挙げられる。
【0101】
本発明の重合性液晶組成物の好ましい態様としては、
・上記化合物(II)として、上記化合物(2)を含有する組成物、
・上記化合物(II)として、上記化合物(2)および(3)を含有する組成物、
・上記化合物(II)として、上記化合物(2)および(5)を含有する組成物、
・上記化合物(II)として、上記化合物(2)、(3)および(5)を含有する組成物、・上記化合物(II)として、上記化合物(2)、(3)および(7)を含有する組成物
が挙げられる。
【0102】
上記化合物(2)〜(6)からなる群より選ばれる化合物の好ましい例としては、上記化合物(2−1)〜(2−4)、上記化合物(3−1)〜(3−4)、下記化合物(4−1)、下記化合物(5−1)、下記化合物(6−1)が挙げられる。
【0103】
【化30】

【0104】
式(4−1)中、P1およびX1は上記式(4)で定義した通りであり、Z2は−COO
−または−OCO−を示す。
【0105】
【化31】

【0106】
式(5−1)中、R5は独立に水素またはメチルを示し、P1は独立に炭素数2〜8のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、
1は独立に単結合、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−を示し、Z2は−COO−または−OCO−を示す。
【0107】
【化32】

【0108】
式(6−1)中、P1およびX1は上記式(6)で定義した通りである。
【0109】
上記化合物(2−1)〜(2−4)としては、上記化合物(2−2)および/または(2−4)が好ましく用いられ、また、上記式(2−1)〜(2−4)におけるR5が水素
であり、R7が炭素数3〜6のアルキルまたは炭素数3〜6のアルコキシである化合物も
好ましい。また、上記化合物(3−1)〜(3−4)としては、下記化合物(3−1−1)〜(3−4−6)が好ましく、特に下記化合物(3−2−1)および(3−2−2)が好ましい。
【0110】
【化33】

【0111】
【化34】

【0112】
【化35】

【0113】
上記式(3−1−1)〜(3−4−6)中、P1は上記式(3)で定義した通りであり
、R7は炭素数1〜7のアルキルまたは炭素数1〜7のアルコキシを示す。
【0114】
上記化合物(4−1)、(5−1)および(6−1)の好ましい具体例を以下に示す。
【0115】
【化36】

【0116】
【化37】

【0117】
【化38】

【0118】
次に、上記化合物(7)〜(9)からなる群より選ばれる化合物の好ましい例としては、下記式(7−1)で表される化合物、下記式(8−1)で表される化合物、下記式(9−1)で表される化合物が挙げられる。
【0119】
【化39】

【0120】
式(7−1)中、P1は炭素数2〜6のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−
CH2−は−O−で置き換えられてもよく、X1は独立に単結合、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−を示す。
【0121】
【化40】

【0122】
式(8−1)中、P1は炭素数2〜6のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−
CH2−は−O−で置き換えられてもよく、X1は独立に単結合、−O−、−COO−または−OCO−を示し、R4は炭素数2〜6のアルキルまたは炭素数2〜6のアルコキシを
示す。
【0123】
【化41】

【0124】
式(9−1)中、X1は独立に−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−を
示し、nは独立に2〜6の整数を示す。
【0125】
上記化合物(7−1)、(8−2)および(9−1)の好ましい具体例を以下に示す。
【0126】
【化42】

【0127】
【化43】

【0128】
【化44】

【0129】
上記化合物(II)は、公知の方法により合成することができる。また、市販品を用いてもよい。
【0130】
本発明の重合性液晶組成物における上記化合物(II)の好ましい組み合わせの例としては、
・上記化合物(2−2)および上記化合物(2−4)の組み合わせ、
・上記化合物(2−2)および上記化合物(3−2)の組み合わせ、
・上記化合物(2−4)および上記化合物(3−2)の組み合わせ、
・上記化合物(2−2)および上記化合物(5−1)の組み合わせ、
・上記化合物(2−2)および上記化合物(7−1)の組み合わせ、
・上記化合物(3−2)および上記化合物(5−1)の組み合わせ、
などが挙げられる。なお、上記組み合わせを構成する各化合物は、1種単独でもよく、あるいは2種以上でもよい。
【0131】
なお、上記化合物(I)を含まないが特定の上記化合物(II)を2種以上含む下記液晶
組成物は、後述する有用性を有するので、上記化合物(I)と化合物(II)とを含有する
重合性液晶組成物と同様に使用することができる。
・少なくとも2種の上記化合物(2−2)を含有する組成物、
・少なくとも2種の上記化合物(2−2)と少なくとも1種の上記化合物(3−2)とを含有する組成物。
【0132】
このような液晶組成物は、室温付近から60℃、好ましくは80℃付近以上までの範囲で液晶相を有する。
【0133】
このような液晶組成物は、室温で重合する、空気中でも重合する、重合しやすい、液晶相の温度範囲が広い、化学的に安定である、無色である、有機溶剤、特にPGMEAなどの安全性の高い溶剤に溶けやすい、他の重合性化合物との相溶性がよいなどの特性において複数の特性を充足する。特にインキとして使用する時に安全性の高い溶剤への溶解性に優れている点が挙げられる。また、室温放置した場合にも再結晶化が起こりにくいなどの点が挙げられる。さらに、この重合性液晶化合物を原料として用いて得られる重合体は、光学異方性を有する、支持基板から剥離しにくい、充分な硬度を有する、無色透明である、耐熱性が大きい、耐候性が大きい、光弾性が小さい、などの特性において複数の特性を充足する。この液晶組成物はインキ成分などに、その重合体は、例えば、液晶表示素子の構成要素である位相差板、偏光素子、反射防止膜、選択反射膜、輝度向上フィルムおよび視野角補償膜などに利用することができる。
【0134】
<他の重合性化合物>
本発明の重合性液晶組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の重合性化合物を含有してもよい。他の重合性化合物は、液晶性であっても非液晶性であってもよい。
【0135】
液晶性を有する他の重合性化合物としては、公知の重合性液晶化合物を使用することができる。前記液晶性を有する他の重合性化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0136】
本発明の組成物における上記液晶性を有する他の重合性化合物の含有量は、必須成分の合計100重量%に対して、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは2〜15重量%である。液晶性を有する他の重合性化合物の含有量が前記範囲内であることにより、コレステリック相の出現温度を室温以上にも調整することができる。
【0137】
非液晶性の他の重合性化合物としては、バインダとして塗料に用いられる系を使用することができる。このようなバインダとしては、モノマー剤、ポリマーバインダおよびそれらの混合物などがある。
【0138】
上記モノマー剤は、重合可能な基(以下「架橋可能な基」ともいう。)を有する化合物である。架橋可能な基としては、例えば、アクリル、メタクリル、αハロゲン化アクリル、ビニル、ビニルエーテル、オキシラン、オキセタン、シアネートおよびイソシアネート基などが挙げられる。これらの中では、アクリル、メタクリル、ビニルエーテル基が好ましい。また、上記モノマー剤は、1個の架橋可能な基を有する化合物であっても、複数の架橋可能な基を有する化合物であってもよい。
【0139】
1個の架橋可能な基を有するモノマー剤としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル、スチレン、アクリルニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、β―ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、アジニディニルメタクリレートなどが挙げれる。
【0140】
2個の架橋可能な基を有するモノマー剤としては、たとえば、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラプロピレングリコールのアクリレート、ジビニルエーテルもしくはジメタクリレートなどが挙げられる。
【0141】
3個の架橋可能な基を有するモノマー剤としては、たとえば、トリメチロールプロパン、1〜20のエチレンオキシド構成単位を有するエトキシル化トリメチロールプロパン、1〜20のプロピレンオキシド構成単位を有するプロポキシル化トリメチロールプロパンおよびエチレンオキシド構成単位とプロピレンオキシド構成単位との合計が1〜20であるエトキシ化・プロポキシ化トリメチロールプロパンのトリアクリレート、トリビニルエーテルもしくはトリメタクリレート;グリセリンエポキシトリアクリレートなど、1〜20のエチレンオキシド構成単位を有するエトキシル化グリセリン、1〜20のプロピレンオキシド構成単位を有するプロポキシル化グリセリンのトリアクリレート、トリビニルエーテルもしくはトリアクリレートなどが挙げられる。
【0142】
4個の架橋可能な基を有するモノマー剤としては、たとえば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1〜20のエチレンオキシド構成単位を有するエトキシル化ビス−テトラメチロールプロパン、1〜20のプロピレンオキシド構成単位を有するプロポキシル化ビス−トリメチロールプロパンおよびエチレンオキシド構成単位とプロピレンオキシド構成単位との合計が1〜20であるエトキシ化・プロポキシ化ビストリメチロールプロパンのトリアクリレート、トリビニルエーテルもしくはトリメタクリレートなどが挙げられる。
【0143】
5個の架橋可能な基を有するモノマー剤としては、たとえば、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、1〜20のエチレンオキシド構成単位を有するエトキシル化ジぺンタエリスリトールペンタア クリレート、1〜20のプロピレンオキシド構成単位を有す
るプロポキシル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびエチレンオキシド構成単位とプロピレンオキシド構成単位との合計が1〜20であるエトキシ化・プロポキシ化ジペンタエリスリトールのペンタアクリレート、ペンタビニルエーテルもしくはペンタトリメタクリレートなどが挙げられる。
【0144】
上記ポリマーバインダとしては、(メタ)アクリルオリゴマー、ウレタンアクリレート
オリゴマー、エポキシオリゴマーなどが挙げられる。
【0145】
上記非液晶性の他の重合性化合物としては、単官能(メタ)アクリレートモノマー、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリルオリゴマーがより好ましい。
【0146】
上記非液晶性の他の重合性化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物において、非液晶性の他の重合性化合物の含有量は、重合性液晶化合物の構造やそれらの組成比などによって変わるが、必須成分の合計100重量%に対して、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。非液晶性のその他の重合性化合物の含有量が前記範囲であることにより、組成物の液晶相が相分離せずに保たれる。
【0147】
<非重合性成分>
本発明の重合性液晶組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、非重合性成分を配合してもよい。非重合性成分は、液晶性であっても非液晶性であってもよく、たとえば、非重合性の液晶化合物、体質顔料、着色剤、分散剤、重合開始剤、増感剤、重合防止剤、酸素阻害剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、接着助剤、密着促進剤、保存安定剤、消泡剤、凝集防止剤などが挙げられる。
【0148】
非重合性の液晶化合物としては、たとえば、液晶性化合物のデータベースであるリクリスト(LiqCryst, LCI Publisher GmbH, Hamburg, Germany)等に記載されている。非重合性の液晶化合物は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0149】
塗料などに一般的に添加される体質顔料としては、たとえば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化チタン、マイカ、セリサイト、タルクなどが挙げられる。これらの体質顔料は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0150】
着色剤としては、一般的に樹脂に添加される有機顔料が挙げられ、より具体的には、溶性アゾ、不溶性アゾ、ポリアゾ、フタロシアニン、アンスラキノン、チオインジゴ、ペリレン、ペリノン、ジオキサジン、キナクリドン、イソインドリノン、キノフタロン、ジケトピロロピロール、アンスラキノン、ペリノン、キノフタロン、アゾ、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中では、溶性アゾ、不溶性アゾ、ポリアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、ジオキサジン、キナクリドン、カーボンブラックが好ましい。
【0151】
分散剤としては、慣用されている低分子または高分子の分散剤を用いることができる。例えば、低分子の分散剤としてはステアリン酸など挙げられ、高分子の分散剤としては、スルホネート基、ホスフェート基、ホスホネート基またはカルボキシル基を含有するポリウレタン、カルボキシ基含有ビニルクロリドポリマー、ポリイミンポリエステルおよびポリエーテルアクリレートなどが挙げられる。
【0152】
本発明の重合性液晶組成物を光ラジカル重合する際に、慣用の光重合開始剤を含有してもよい。これらの開始剤の最大吸収波長は、紫外、近紫外または可視光域であり、室温での組成物への照射によって、あるいは照射と同時に加熱を行うことによって重合体を製造してもよい。
【0153】
光重合開始剤としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製品の2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(イルガキュア651)、1-ヒドロキシ-シク
ロヘキシル-フェニル-ケトン(イルガキュア184)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(ダロキュア1173)、イルガキュア500、イルガキュア100
0、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オ
ン(イルガキュア295)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン(イルガキュア907)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(イルガキュア369)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェ
ニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(イルガキュア379)、イルガキュア1800、イルガキュア1850、ダロキュア4265、ダロキュア1116、イルガキュア784、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキ
サイド(イルガキュア819)、イルガキュア784、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェ
ニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)] (イルガキュアOXE01)、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(0-アセチルオキシム) (イ
ルガキュアOXE02)、2-ヒロドキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン(イルガキュア127)、イルガキュ
ア754などが挙げられる。
【0154】
光重合開始剤としては、その他にも、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4'−ビ
スジメチルアミノベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アゾイソブチルニトリル、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサンソン、メチルフェニルグリオキシレート、3,3',4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、p−ジメ
チルアミノ安息香酸エチル、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物、2,2−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、アセトフエノンジメチルケタール、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0155】
上記重合開始剤は、ラジカル重合可能なエチレン不飽和結合を有する化合物の合計量100重量部に対して0.01〜10重量部の範囲の量で用いられることが好ましい。
【0156】
本発明の組成物は、上記重合開始剤とともに増感剤を含有してもよい。増感剤としては、例えば、3−位および/または7−位に置換基を有するクマリン類、フラボン類、ジベンザルアセトン類、ジベンザルシクロヘキサン類、カルコン類、キサンテン類、チオキサンテン類、ポルヒリン類、アクリジン類などが挙げられる。
【0157】
本発明の組成物は、対象基材への塗布性を向上させるために、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などの界面活性剤を含有してもよい。具体的には、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチ
レングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;
エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、フロラードFC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、サーフロンSC−101、サーフロンSC−102、サーフロンSC−103、サーフロンSC−104、サーフロンSC−105、サーフロンSC−106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤;
オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系もしくはメタクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.57、ポリフローNo.95(共栄社化学(株)製)などが挙げられる。これらの界面活性剤は、重合体に対して5重量部以下となる量で用いられる。
【0158】
本発明の重合性液晶組成物は、塗布対象となる基材への密着性を向上させるために、密着促進剤を含有してもよい。密着促進剤としては、たとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0159】
酸化防止剤としては、例えば、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)等が挙げられる。
【0160】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3−t−ブチルー5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類などが挙げられる。
【0161】
凝集防止剤としては、たとえば、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0162】
<有機溶媒>
本発明の組成物は、組成物を希釈するため、あるいは塗布性を向上させるために、有機溶媒を含有してもよい。有機溶媒としては、直鎖もしくは分岐鎖のエステル、特に酢酸エステル、環状エーテル、環状エステル、アルコール、ラクトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ケトン、アミド、N−アルキルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。上記有機溶媒は、1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0163】
〔重合体〕
本発明の重合体は、上述した本発明の液晶組成物を重合させることによって得られ、重合により組成物のコレステリック液晶相(螺旋構造)が固定化され、所望の色や目的に応じた波長の光を反射する。組成物の重合反応は、加熱による熱重合でもよく、光照射による光重合でもよく、両者を組み合わせた方法で行ってもよい。
【0164】
光重合に用いられる好ましい光の種類は、紫外線、可視光線、赤外線などであり、電子
線、X線などの電磁波を用いてもよい。通常は、紫外線または可視光線が用いられる。波長の範囲は好ましくは150〜500nm、より好ましくは250〜450nm、特に好ましくは300〜400nmである。光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが挙げられ、超高圧水銀ランプが好ましい。
【0165】
光源からの光はそのまま組成物に照射してもよく、フィルターによって選択した特定の波長(または特定の波長領域)を組成物に照射してもよい。照射エネルギー密度は好ましくは2〜5000mJ/cm2、より好ましくは10〜3000mJ/cm2、特に好ましくは100〜2000mJ/cm2の範囲である。照度は好ましくは0.1〜5000m
W/cm2、より好ましくは1〜2000mW/cm2の範囲である。
【0166】
本発明の重合体は、本発明の重合性液晶組成物を対象となる基材の表面に直接塗布した後、重合することにより得ることができる。そのため、コレステリック重合体をフレーク状に粉砕したり、コレステリック液晶をマイクロカプセル化し、それらを溶媒等と再度混合して対象物に塗布するといった多段階の操作を行う必要がない。重合体の形状は、特に限定されず、膜状(フィルム状)であっても、板状などであってもよく、また、重合体は成形されてもよい。
【0167】
また、本発明の組成物は、構成成分の組み合わせや組成比あるいは組成物の硬化温度を変更することにより、コレステリック相が反射する光の波長領域を赤〜緑〜青〜紫の広範囲に制御することができる。したがって、硬化時の温度条件を厳密に制御することなく、所望の色や目的に応じた波長の光を反射する重合体を得ることができる。
【0168】
〔用途〕
本発明の重合性液晶組成物の用途としては、たとえば、化粧料、印刷用インク、UV硬化型印刷用インクなどが挙げれる。
【0169】
本発明の重合体の用途としては、フィルム、化粧料、色材一般、たとえば、液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インクなどが挙げられる。また、化粧品(例えば、口紅、リップクリーム、リップグロス、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、頬紅、液状ファンデーション,ネイルカラー)、偽造防止用印刷物、装飾品、玩具、あるいは、液晶表示素子やホログラフィー素子などの光学素子における偏光板、補償板、カラーフィルターなどの光学フィルムに使用することもできる。
【実施例】
【0170】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0171】
<合成例1>
下記化合物(1−1)を下記に示す方法で合成した。
【0172】
【化45】

【0173】
(第1段階)
6−アセトキシ−2−ナフタレンカルボン酸(4.6g)、L−メントール(3.2g)、DCC(5.0g)、DMAP(0.24g)および塩化メチレン(50mL)を混合し、室温で1時間攪拌した。析出した結晶を濾別除去し、濾液に水(50mL)を加え、塩化メチレン溶媒を分液した。その後、塩酸水、飽和炭酸水素ナトリウムおよび水を順次用いて十分に洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=10/1(V/V))によって精製して黄褐色固形物(4.4g)を得た。
【0174】
(第2段階)
得られた固形物にメタノール(20mL)を加えた後、室温で30%アンモニア水(2mL)を滴下した。室温で2時間撹拌した後、6N塩酸(30mL)を加えて反応液を中和し、酢酸エチル(200mL)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去した。
【0175】
(第3段階)
得られた残留物にTHF(30mL)、トリエチルアミン(3mL)および4-アクリ
ロイルオキシブチルクロロホルメート(0.5g)を混合し、室温で8時間攪拌した。反応終了後、THFを一部留去し、酢酸エチル(100mL)および水(50mL)を加え、酢酸エチル層を分液した。この酢酸エチル層を、塩酸水、飽和炭酸水素ナトリウムおよび水を順次用いて十分に洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この有機層から減圧下で溶剤を除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:トルエン/酢酸エチル=10/1(V/V))によって精製し、目的の黄褐色固形物(3.5g)を得た。得られた化合物(1−1)のNMR分析値を以下に示す。
【0176】
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm);0.81−0.95(m,9H)、1.11−1.60(m,5H)、1.77(m,2H)、1.86(m,4H)、1.97(m,1H)、2.15(m,1H)、4.23(t,2H)、4.32(t,2H)、5.00(m,1H)、5.83(dd,2H)、6.14(dd,2H)、6.41(dd,2H)、7.38(d,1H)、7.70(d,1H)、7.84(d,1H)、7.98(d,1H)、8.08(d,1H)、8.60(s,1H)。
【0177】
<合成例2>
合成例1において、6−アセトキシ−2−ナフタレンカルボン酸の代わりに4'−アセ
トキシビフェニル−4−カルボン酸を用いたこと以外は、合成例1と同様な操作を行い、下記式(1−2)で表される化合物(2.5g)を得た。得られた化合物(1−2)のNMR分析値を以下に示す。
【0178】
【化46】

【0179】
1H−NMR(CDCl3):δ(ppm);0.81−0.95(m,9H)、1.1
1−1.60(m,5H)、1.77(m,2H)、1.86(m,4H)、1.97(m,1H)、2.15(m,1H)、4.23(t,2H)、4.32(t,2H)、5.00(m,1H)、5.83(dd,2H)、6.14(dd,2H)、6.41(dd,2H)、7.27(d,2H)、7.61(d,2H)、7.63(d,2H)、8.0(d,2H)。
【0180】
[実施例1]
表1に示す組成からなる組成物を調製した。得られた組成物は、室温(23℃)および40℃において赤色の選択反射を呈した。
【0181】
また、この組成物1gと重合開始剤としてイルガキュアー651(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.01gとを混合し、これをトルエンに溶解させた後、硝子基板上に塗布した。塗布後、120℃に設定したオーブン中で3分間熱処理して溶媒を除去し、塗膜を形成した。次いで、この塗膜に、高圧水銀灯(70mW/cm2)によって
紫外線を30秒間照射した。照射後、この組成物は重合し、重合体を含有する膜を形成しており、重合前の組成物を硝子基板に塗布した時と同じ赤色の選択反射を示した。
【0182】
[実施例2〜23]
表1〜4に示す組成からなる組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様に室温(23℃)および40℃における反射色を調べた。結果を表1〜4に示す。
【0183】
【表1】

【0184】
【表2】

【0185】
【表3】

【0186】
【表4】

【0187】
[実施例24]
表5に示す組成からなる組成物を調製し、その相転移温度を以下のようにして測定した。
【0188】
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、3℃/分の速度で昇温し、液晶相が別の液晶相に転移する温度を測定した。Cは結晶、Nはネマチック相、Iは等方性液体を意味する。NI点は、ネマチック相の上限温度またはネマチック相から等方性液体への転移温度である。「C室温N49I」は、室温で結晶からネマチック相に転移し、49℃でネマチック相から等方性液体へ転移したことを示す。
【0189】
得られた組成物は、室温で結晶からネマチック相に転移し、49℃でネマチック相から等方性液体へ転移した。
【0190】
[実施例25〜28]
表5に示す組成からなる組成物を調製したこと以外は、実施例24と同様に相転移温度を調べた。結果を表5に示す。
【0191】
【表5】

【0192】
[実施例29〜32]
表6に示す組成からなる組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様に室温(21℃)における反射色を調べた。結果を表6に示す。

【0193】
【表6】

【0194】
なお、上記表1〜6における化合物(2−1−1)、(2−1−2)、(2−2−1)、(2−2−2)、(2−2−3)、(2−4−1)、(2−4−2)、(3−2−1−1)、(3−2−1−2)、(3−2−2−1)、(3−2−2−2)、(3−2−2−3)、(5−1−3)、(5−1−5)および(7−1−3)は下記に示す化合物である。
【0195】
【化47】

【0196】
【化48】

【0197】
【化49】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物(I)と、下記式(2)〜(9)で表される化合物から
なる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(II)とを含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
【化1】

[式(1)中、Rは水素またはメチルを示し、
Aは炭素数1〜12のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は、−O−
、−S−、−CH=CH−、−CO−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、
XおよびYは、それぞれ独立して芳香族環またはシクロヘキサン環を示し、これらの環において、任意の水素は炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてもよく、
Zは、独立して単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CON(R1)−
または−N(R1)CO−を示し、R1は水素またはメチルを示し、
mは0〜3の整数を示す。]
【化2】

[式(2)〜(9)中、
4は、独立に水素、CNまたは炭素数1〜12のアルキルを示し、該アルキル中の任意
の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=CH−、−CO−、−COO−または−OC
O−で置き換えられてもよいが、式(2)および(3)におけるR4は−OCO−C(R5)=CH2にはならず、式(8)における2つのR4は同時に−OCO−C(R5)=CH2にはならず、
5は独立に水素またはメチルを示し、
1は、独立に単結合または炭素数1〜12のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意
の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=CH−、−CO−、−COO−または−OC
O−で置き換えられてもよく、
1は、独立に単結合、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CON(R6)−、−N(R6)CO−または−OCOO−を示し、R6は水素またはメチルを示し、
1は、独立に単結合、−COO−または−OCO−を示し、
1、A2およびA3は、それぞれ独立に1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニ
レンを示し、これらの環において、任意の水素は炭素数1〜3のアルキルで置き換えられてもよい。]
【請求項2】
前記化合物(II)が、前記式(2)〜(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項3】
前記化合物(II)が、前記式(7)〜(9)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項4】
前記化合物(II)が、前記式(2)〜(6)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、前記式(7)〜(9)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項5】
前記化合物(II)が、前記式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項6】
前記化合物(II)が、下記式(2−1)〜(2−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化3】

[式(2−1)〜(2−4)中、R5は水素またはメチルを示し、R7は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシを示す。]
【請求項7】
前記化合物(II)が、前記式(2−2)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の重合性液晶組成物。
【請求項8】
前記化合物(II)が、前記式(2−2)および(2−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の重合性液晶組成物。
【請求項9】
前記化合物(II)が、前記式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項10】
前記化合物(II)が、下記式(3−1)〜(3−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化4】

[式(3−1)〜(3−4)中、R5は水素またはメチルを示し、R7は炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数1〜12のアルコキシを示し、P1は単結合または炭素数1〜12
のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は、−O−、−S−、−CH=
CH−、−CO−、−COO−または−OCO−で置き換えられてもよく、X1は単結合
、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CON(R6)−、−N(R6)CO−または−OCOO−を示し、R6は水素またはメチルを示し、Z2は−COO−または−OCO−を示す。]
【請求項11】
前記化合物(II)が、下記式(3−2−1)および(3−2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする請求項9に記載の重合性液晶組成物。
【化5】

[式(3−2−1)および(3−2−1)中、R7は炭素数1〜7のアルキルまたは炭素
数1〜7のアルコキシを示す。]
【請求項12】
前記化合物(II)が、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とを含むことを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項13】
前記式(2)で表される化合物が、請求項6に記載の式(2−2)および(2−4)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、かつ、前記式(3)で表される化合物が、請求項10に記載の式(3−2)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項12に記載の重合性液晶組成物。
【請求項14】
前記式(3−2)で表される化合物が、請求項10に記載の式(3−2−1)および(3−2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項13に記載の重合性液晶組成物。
【請求項15】
前記化合物(II)として、下記式(5−1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化6】

[式(5−1)中、R5は独立に水素またはメチルを示し、P1は独立に炭素数2〜8のアルキレンを示し、該アルキレン中の任意の−CH2−は−O−で置き換えられてもよく、
1は独立に単結合、−O−、−COO−、−OCO−または−OCOO−を示し、Z2は−COO−または−OCO−を示す。]
【請求項16】
前記式(1)において、−(X−Z)m−Y−が下記式(i-1)または(i-2)で表され
る構造であることを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化7】

【請求項17】
前記式(1)において、−(X−Z)m−Y−が下記式(ii-1)〜(ii-7)で表される
構造のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化8】

【請求項18】
前記式(1)において、−(X−Z)m−Y−が下記式(iii-1)〜(iii-4)で表され
る構造のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【化9】

【請求項19】
前記式(1)において、Aが−CH2CH2CH2CH2−または−CH2CH2−であることを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項20】
前記式(1)において、Aが−CH2CH2OCH2CH2−または−CH2CH2O−CH2CH2−OCH2CH2−であることを特徴とする請求項1に記載の重合性液晶組成物。
【請求項21】
請求項6に記載の式(2−2)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも2種の化合物を含有することを特徴とする重合性液晶組成物。
【請求項22】
請求項10に記載の式(3−2)で表される化合物をさらに含有することを特徴とする請求項21に記載の重合性液晶組成物。
【請求項23】
非液晶性の重合性化合物をさらに含有することを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の重合性液晶組成物。
【請求項24】
前記非液晶性の重合性化合物が、単官能(メタ)アクリルモノマー、多官能(メタ)アクリルモノマーおよび(メタ)アクリルオリゴマーからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項23に記載の重合性液晶組成物。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の重合性液晶組成物を重合させることによって得られることを特徴とする重合体。
【請求項26】
コレステリック液晶相を呈することを特徴とする請求項25に記載の重合体。
【請求項27】
請求項25または26に記載の重合体を含有することを特徴とする膜。
【請求項28】
請求項25または26に記載の重合体を含有することを特徴とする色材。
【請求項29】
液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、請求項1〜24のいずれかに記載の液晶組成物の使用。
【請求項30】
液晶顔料、塗料、噴霧インク、印刷インク、化粧品、偽造防止用印刷物、装飾品および光学フィルムから選ばれる用途への、請求項25または26に記載の重合体の使用。

【公開番号】特開2009−242780(P2009−242780A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36459(P2009−36459)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】