説明

重合性組成物、遮光性カラーフィルタ、固体撮像素子、液晶表示装置、ウェハレベルレンズ、及び撮像ユニット

【課題】基板への塗布性が良好で均一な膜厚が得られ、パターン成形したときには未露光部における残渣が抑制され、露光・現像でのステップが小さく、パターン形状が良好な重合性組成物を提供する。
【解決手段】(A)チタンブラックと(B)グラフト共重合体と(C)溶媒とを含む分散組成物、(D)重合性化合物、及び(E)オキシム系重合開始剤を含む重合性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタンブラックを含む重合性組成物、これを用いた遮光性カラーフィルタ、該遮光性カラーフィルタを備える固体撮像素子、液晶表示装置、ウェハレベルレンズ、及び撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには着色画素間の光を遮蔽し、コントラストを向上させる等の目的で、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光膜が備えられている。また、固体撮像素子においてもノイズ発生防止、画質の向上等を目的としてブラックマトリックスが設けられている。ブラックマトリクスは、遮光性の黒色色材を分散させた分散組成物と、重合性化合物と、重合開始剤と、その他の成分とを含有して重合性組成物とし、これを用いてフォトリソ法などによりパターン形成することで製造されている。
液晶表示装置用や固体撮像素子用のブラックマトリクスを形成するための組成物としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色色材を含有する感光性樹脂組成物が知られている。
【0003】
液晶表示装置用ブラックマトリクスとしては、コントラストを高め、視認性を向上させるため遮光性の高いブラックマトリクスが要求される。一方、固体撮像素子用ブラックマトリクスとしては、可視域における遮光性に加え、赤外域における遮光性をも備える必要がある。
従来、遮光性のブラックマトリクスとしては、専らカーボンブラックが多用されてきたが、カーボンブラックで遮光性を高めようとすると、カーボンブラックの充填量を高めることが必要となる。このため遮光材であるカーボンブラックの濃度の高い分散組成物、あるいは重合性組成物が遮光層のパターン成形に必要となる。しかしながら高い遮光性を得るためにカーボンブラックの含有量を増やすと、カーボンブラックの分散性が困難になり、またパターン成形性が悪化するといったような問題も発生していた。
さらに、未露光部における現像後の残渣が少なく、また、感光性樹脂組成物を基板に塗布した際の塗布膜の均一性、及び遮光膜周辺部に遮光膜中央部よりも膜厚が薄くなる領域(ステップ)が生じにくく形状がよいことが要求される。
【0004】
液晶表示装置用ブラックマトリクスとしては、主に可視域における遮光性が要求されるのに対し、固体撮像素子用ブラックマトリックスとしては、可視域における遮光性に加え、赤外域における遮光性をも備える必要がある。
また、液晶表示装置用ブラックマトリクスについては微細化が要求されている一方、固体撮像素子用ブラックマトリクス(特に、支持体の受光素子形成面に対し反対側の面(以下、「裏面」ともいう)を遮光するためのブラックマトリックス)については、液晶表示装置用ブラックマトリクスよりも広い面積を均一に遮光する性能が要求されている。
【0005】
さらに、固体撮像素子用遮光膜として上記従来の感光性樹脂組成物を用いて広い面積の遮光膜を形成すると、遮光膜周辺部に遮光膜中央部よりも膜厚が薄くなる領域(ステップ)が生じ、遮光膜周辺部の遮光能が低くなる場合がある。
また、高い遮光性を得るために黒色色材の含有量を増やすと遮光膜周辺部の残渣の発生しやすくなり、感度も低下するという問題を有していた。更に、感度を向上させるため、重合開始剤量を増やすと経時安定性が低下してしまう問題を有していた。
【0006】
近年、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器の携帯端末には、小型で薄型な撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子と、固体撮像素子上に被写体像を形成するためのレンズとを備えている。
【0007】
携帯端末の小型化・薄型化に伴って撮像ユニットの小型化・薄型化が要請されている。また、携帯端末のコストの低下を図るため、製造工程の効率化が望まれている。このような小型かつ多数のレンズを製造する方法としては、基板に複数のレンズを成形した構成であるウエハレベルレンズを製造し、基板を切断して複数のレンズをそれぞれ分離させることでレンズモジュールを量産する方法が知られている。
【0008】
また、複数のレンズが形成された基板と複数の固体撮像素子が形成されたセンサ基板とを一体に組み合わせ、レンズと固体撮像素子をセットとして含むように基板とともにセンサ基板を切断することで撮像ユニットを量産する方法が知られている。
【0009】
従来、ウエハレベルレンズとしては、複数のレンズが成形された基板を重ね合わせて構成された多層のウエハレベルレンズが記載されている(例えば、特許文献1参照)。ウエハレベルレンズは、基板とレンズとが光を透過させる透明な材料で構成され、いずれの部位でも光を透過させ得るものであるため、ウエハレベルレンズをダイシングし撮像素子に搭載して撮像ユニットとした場合に、レンズのレンズ面以外の領域で光の透過や反射が生じると、撮像時にゴーストやフレアといった光学性能上の不具合が生じやすくなることが懸念される。このような不具合の防止の観点から、例えばウエハレベルレンズのレンズ以外の領域には、遮光部材を設ける等の加工が施されている。
【0010】
また、基板上に成形材料を供給し、型によって該基板上にレンズを成形する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
上記したような遮光性の高いブラックマトリクスの品質要求に応えるため、遮光性の高いチタンブラックの有用性が高まり、チタンブラックの分散性を向上させることが種々提案されている(例えば、特許文献3〜9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2005−539276号公報
【特許文献2】国際公開2007/107025号パンフレット
【特許文献3】特開平10−246955号公報
【特許文献4】特開平9−54431号公報
【特許文献5】特開平10−46042号公報
【特許文献6】特開2007−115921号公報
【特許文献7】特開平10−114836号公報
【特許文献8】特開2002−275343号公報
【特許文献9】特開2005−266189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、チタンブラックは比重が大きいため、分散することが難しく、分散しても時間が経つとチタンブラックが沈降してしまうなど、分散性、分散安定性の向上が望まれている。
【0014】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、下記目的を達成することを課題とする。
すなわち、
本発明は、基板への塗布性が良好で均一な膜厚が得られ、パターン成形したときには未露光部における残渣が抑制され、露光・現像でのステップ(ブラックマトリックス中の段差)がなく、パターン形状が良好な重合性組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、遮光性の高い着色パターンを有する遮光性カラーフィルタを提供することを目的とする。また、本発明は、高画質な固体撮像素子、液晶表示装置、及び撮像ユニットを提供することを目的とする。さらに、本発明は、遮光性の高い着色領域を有するウエハレベルレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> (A)チタンブラック、(B)グラフト共重合体、及び、(C)溶媒を含む分散組成物、(D)重合性化合物、及び(E)オキシム系重合開始剤を含む重合性組成物である。
<2> 前記(B)グラフト共重合体が、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である<1>に記載の重合性組成物である。
<3> 前記(B)グラフト共重合体におけるグラフト鎖が、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造の群から選ばれた少なくとも1種である<1>又は<2>に記載の重合性組成物である。
【0016】
<4> 前記(B)グラフト共重合体が、少なくとも下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である<1>から<3>のいずれか1項に記載の重合性組成物である。
【0017】
【化1】

【0018】
式(1)〜式(5)において、X、X、X、X、X、及び、Xはそれぞれ独立に水素原子あるいは1価の有機基を表し、Y、Y、Y、Y、及び、Yはそれぞれ独立に2価の連結基を表し、Z、Z、Z、Z、及び、Zは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは1価の有機基を表し、Rとしては共重合体中に構造の異なるRを混合して用いてもよい。n、m、p、q、及び、rはそれぞれ1から500の整数である。
【0019】
<5> 前記(B)グラフト共重合体が、前記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を、該グラフト共重合体の総質量に対し質量換算で、10%〜90%の範囲で含むグラフト共重合体である<4>に記載の重合性組成物である。
【0020】
<6> 前記(B)グラフト共重合体が、チタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を含有する構造単位をさらに含むグラフト共重合体である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の重合性組成物である。
<7> 前記(B)グラフト共重合体が、さらにカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基のうち少なくとも1種を含有するグラフト共重合体である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の重合性組成物である。
【0021】
<8> 前記オキシム系重合開始剤が、下記化合物群より選ばれる<1>〜<7>のいずれか1つに記載の重合性組成物である。
【化2】


<9> 分散組成物の粘度が39mPa・s以下である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の重合性組成物である。
【0022】
<10> 基板上に、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の重合性組成物を用いてなる着色パターンを有する遮光性カラーフィルタである。
<11> <10>に記載の遮光性カラーフィルタを備えた固体撮像素子である。
<12> <10>に記載の遮光性カラーフィルタを備えた液晶表示装置である。
<13> 複数のレンズが一体に成形された基板と、該基板の前記レンズのレンズ面を除く領域に設けられた前記<10>に記載の遮光性カラーフィルタと、を備えたウエハレベルレンズである。
<14> <13>に記載のウエハレベルレンズを備えた撮像ユニットである。
【0023】
本発明における分散組成物は、分散剤として、(B)グラフト共重合体、好ましくは、水素原子を除く原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体を含有するために、グラフト鎖が立体反発基として機能することにより、良好な分散性を発揮してチタンブラックを均一に分散することができ、室温で長期間保存した場合にも、グラフト鎖と溶媒とが相互作用を行うことにより、チタンブラックの沈降を長期間に亘り抑制することができる。
また、通常グラフト共重合体を分散剤として用いた重合性組成物によりパターン形成する場合には、現像性が低下し、残渣が発生しやすい傾向があるが、本発明の分散組成物では、適度な長さのグラフト鎖を有する重合体を用いているために、現像液に対する溶解性の低下に起因すると推定される残渣の発生が低減される。
【0024】
特に、本発明の好ましい態様である式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体を重合性組成物に用いた場合には、グラフト鎖の親水性が向上し、それによりグラフト共重合体の現像性が向上し、分散性向上と現像での残渣低減の両立化が達成されたものと推定される。
また、本発明のグラフト共重合体を用いたことにより、本発明の分散組成物を用いた重合性組成物を塗布すると塗布面が均一になることがわかった。これは本発明のグラフト共重合体のグラフト鎖と溶媒とが良好な相互作用を行うためと推定される。
さらに、特に、本発明の特定構造のグラフト共重合体とオキシム系開始剤とを合わせて用いることにより、ステップがなく、パターン形状が良好になることがわかった。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基板への塗布性が良好で均一な膜厚が得られ、パターン成形したときには未露光部における残渣が抑制され、露光・現像でのステップがなくパターン形状が良好な重合性組成物を提供することができる。また、
本発明によれば、遮光性の高い着色パターン(例えばブラックマトリクス)を有するカラーフィルタを提供することができる。また、
本発明によれば、高画質な固体撮像素子、液晶表示装置、及び撮像ユニットを提供することができる。また、
本発明によれば、遮光性の高い着色領域を有するウエハレベルレンズを提供することができる。
【0026】
なお、本発明において「遮光性カラーフィルタ」とは、チタンブラック分散組成物、重合性化合物、及び、光重合開始剤を少なくとも含む感光性の重合性組成物を露光し、現像して得られた遮光性パターンをいう。本発明における「遮光性カラーフィルタ」の色は、黒、灰色等の無彩色であってもよいし、有彩色の色味が混ざった黒色、灰色等であってもよい。
本発明における「遮光性カラーフィルタ」は、本願の特定成分であるチタンブラックを含む黒色色材、特定多官能モノマーやその他の重合性化合物、重合開始剤及び溶剤を少なくとも含む感光性の重合性組成物を露光し、現像して得られるものであり、遮光膜又は遮光性フィルタと言い換えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】ブラックマトリックス中にステップが生じた様子を示す模式図である。
【図2】ウエハレベルレンズの構成の一例を示す平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】ウエハレベルレンズの他の構成例を示す断面図である。
【図5】撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において本発明を詳しく説明する。
本発明の重合性組成物は、(A)チタンブラックと(B)グラフト共重合体と(C)溶媒とを含有する分散組成物、(D)重合性化合物、及び(E)オキシム系重合開始剤を含む重合性組成物である。以下、本発明の重合性組成物に含まれる各成分について説明する。
【0029】
<(A)チタンブラック>
本発明のチタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子である。好ましくは低酸化チタンや酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に表されるような撥水性物質での処理も可能である。
【0030】
チタンブラックの製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
チタンブラックの粒子の粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、平均1次粒子径3nm以上2000nm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは平均1次粒子径10nm以上500nm以下の範囲であり、更に好ましくは、10nm以上100nm以下の範囲である。
【0032】
チタンブラックの比表面積は、特に限定がないが、かかるチタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5m/g以上150m/g以下程度、特に20m/g以上100m/g以下であることが好ましい。
【0033】
チタンブラックの市販品の例としては例えば、三菱マテリアル(株)製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、赤穂化成(株)製ティラック(Tilack)Dなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
また、本発明の分散組成物には、チタンブラックに加えて、必要に応じて体質顔料を添加してもよい。このような体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ白、グロス白、チタンホワイト、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。これらの体質顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。体質顔料の使用量は、チタンブラック100質量部に対して、通常、0〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜40質量部である。本発明において、前記チタンブラック及び体質顔料は、場合により、それらの表面をポリマーで改質して使用することができる。
【0035】
本発明の分散組成物中に添加するチタンブラックの含有量は、分散組成物中のチタンブラックの含有量が20質量%以上94質量%以下となるように調整される。分散組成物中のチタンブラックの含有量は、より好ましくは、40質量%以上92質量%以下の範囲であり、更に好ましくは40質量%以上80質量%以下の範囲である。
チタンブラックの含有量が前記範囲内であると、本発明の重合性組成物の硬化性が良好となり、かつ均一な膜を形成することができる。また、チタンブラックを高濃度に含有することから、充分な遮光性が得られ、チタンブラックを含有する重合性組成物を遮光性カラーフィルタの形成に好適に用いることができる。
【0036】
また、本発明の分散組成物には遮光用顔料として、チタンブラック以外のものを混合して使用してもよい。
このような混合可能な遮光用顔料としては、可視光領域に吸光度を有するものであれば特に限定はされず、上記した体質顔料、カーボンブラック、C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80、C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42、C.I.Pigment Brown 25,28、C.I.Pigment Black 1,7等の有機顔料等を挙げることができる。
チタンブラック以外の遮光用顔料を混合する例として、チタンブラックとカーボンブラックを6:1で混合した物、チタンブラックと酸化チタンを3:1で混合した物などが挙げられる。
混合するチタンブラック以外の遮光用顔料は、チタンブラック100質量部に対して、0.01〜99.99質量部の範囲で用いることができる。好ましくは、20〜70質量部の範囲である。
【0037】
<(B)グラフト共重合体>
本発明の分散組成物には、グラフト共重合体(以下、「特定樹脂」ともいう)を含むものである。本発明のグラフト共重合体は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有することが好ましく、この場合のグラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。分散組成物において、この特定樹脂は、チタンブラックに分散性を付与する分散樹脂であり、優れた分散性と、グラフト鎖による溶媒との親和性を有するために、チタンブラックの分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。また、重合性組成物としたとき、グラフト鎖による重合性化合物もしくはその他の併用可能な樹脂などとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
【0038】
また、この特定樹脂に、さらに、カルボン酸基などのアルカリ可溶性の部分構造を導入することで、アルカリ現像によるパターン形成のために現像性を付与する樹脂としての機能をも付与することができる。従って、本発明の分散組成物におけるグラフト共重合体に、アルカリ可溶性の部分構造を導入することで、本発明の重合性組成物は、チタンブラックの分散に不可欠の分散樹脂自体がアルカリ可溶性を有することになり、このような重合性組成物は、露光部の遮光性に優れ、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上されるため好ましい。
【0039】
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方グラフト鎖が長すぎるとチタンブラックへの吸着力が低下して分散性は低下してしまう。このため、本発明で使用される(B)グラフト共重合体としては、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が40から10000であることが好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が50から2000であることがより好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が60から500であることがさらに好ましい。
【0040】
グラフト鎖のポリマー構造としては、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエーテルなどを用いることができるが、グラフト部位と溶媒との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリエーテルを有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル、ポリエーテルを有することがより好ましい。
【0041】
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、ポリマー主鎖部と反応可能な置換基を有し、且つ本発明の要件を満たしていれば、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
【0042】
特定樹脂の合成に好適に用いられる市販マクロモノマーとしては、AA−6(東亜合成社製)、AA−10(東亜合成社製)、AB−6(東亜合成社製)、AS−6(東亜合成社製)、AN−6(東亜合成社製)、AW−6(東亜合成社製)、AA−714(東亜合成社製)、AY−707(東亜合成社製)、AY−714(東亜合成社製)、AK−5(東亜合成社製)、AK−30(東亜合成社製)、AK−32(東亜合成社製)、ブレンマーPP−100(日油社製)、ブレンマーPP−500(日油社製)、ブレンマーPP−800(日油社製)、ブレンマーPP−1000(日油社製)、ブレンマー55−PET−800(日油社製)、ブレンマーPME−4000(日油社製)、ブレンマーPSE−400(日油社製)、ブレンマーPSE−1300(日油社製)、ブレンマー43PAPE−600B(日油社製)、などが挙げられる。この中でも、好ましくは、AA−6(東亜合成社製)、AA−10(東亜合成社製)、AB−6(東亜合成社製)、AS−6(東亜合成社製)、AN−6(東亜合成社製)、ブレンマーPME−4000(日油社製)などが挙げられる。
【0043】
本発明に使用される特定樹脂は、グラフト部位としては、少なくとも下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましい。
【0044】
【化3】

【0045】
前記式(1)〜式(5)において、X、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(5)において、Y、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−20)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(5)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
【0046】
【化4】

【0047】
前記式(1)〜式(5)において、Z、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基であり、1価の有機基は、特に構造は限定されないが、具体的には、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、あるいはヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、あるいはヘテロアリールチオエーテル基、アミノ基などが挙げられる。この中でも、特に分散性向上のために立体反発効果を有することが好ましい観点から、Z、Z、及びZは、炭素数5〜24のアルコキシ基が好ましく、その中でも、特にアルキル部位が炭素数5〜24の分岐構造であるアルコキシ基あるいはアルキル部位が炭素数5〜24の環状構造であるアルコキシ基が好ましい。またZは、炭素数5〜24のアルキル部位を有するアルキルカルボニルオキシ基が好ましく、その中でも、特に炭素数5〜24の分岐アルキルを有するアルキルカルボニルオキシ基あるいは炭素数5〜24の環状アルキルを有するアルキルカルボニルオキシ基が好ましい。また、Zは、合成上の点から水素原子が好ましい。
前記式(1)〜式(5)において、n、m、p、q、及びrは、それぞれ1〜500の整数である。
【0048】
本発明に使用される特定樹脂において、式(1)〜式(5)で表される構造単位は、質量換算で、特定樹脂の総質量に対し10%〜90%の範囲で含むことが好ましく、30%〜70%の範囲で含むことがより好ましい。この範囲内であるとチタンブラックの分散性が高く、レジストにした際の現像性が良好である。また、本発明に使用される特定樹脂としては、2種以上の構造が異なるグラフト共重合体の組み合わせであってもよい。
【0049】
式(5)中、Rは、水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、アルキル基である。また、特定樹脂中に構造の異なるRが2種以上存在していてもよい。例えば、式(5)により表される構造単位中に複数のRが存在する場合、複数のRは同じでも異なっていてもよく、或いは、特定樹脂中の式(5)により表される構造単位は同じでも、異なっていてもよい。
【0050】
本発明の特定樹脂として、グラフト部位以外にチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。その中で、例えば、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、反応性を有する構造単位などが挙げられる。
【0051】
前記酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などがあり、特に好ましいものは、チタンブラックへの吸着力が良好で、且つ分散性が高いカルボン酸基である。これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような酸基を導入することで、特定樹脂のアルカリ現像性を向上させるという利点をも有する。
本発明の特定樹脂に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、0.1モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
【0052】
前記塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で且つ分散性が高い第3級アミノ基である。これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができ。本発明の特定樹脂に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、0.01モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01モル%以上30モル%以下である。
【0053】
前記配位性基、反応性を有する基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物残基、酸塩化物残基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で分散性が高いアセチルアセトキシ基である。これらを1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の特定樹脂に好適に使用されるこれら共重合成分の含有量は、0.5モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
【0054】
グラフト部位以外にチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基の構造としては、上記のグラフト部位以外にチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、特に限定はされないが、下記一般式(i)〜(iii)のいずれかで表される単量体から得られる繰り返し単位の少なくとも1種を有することが好ましい。
【0055】
【化5】

【0056】
上記式(i)〜(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、より好ましくは水素原子、又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子又はメチル基である。R、及びRは、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
【0057】
Lは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル基(−CO−)との組合せ等が挙げられる。
【0058】
前記2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0059】
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0060】
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
【0061】
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lはオキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としてはポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
【0062】
上記式(i)〜(iii)中、Zは、グラフト部位以外にチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸であることがより好ましい。また、Yは、メチン基又は窒素原子を表す。
【0063】
上記式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0064】
本発明においては、上記一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。
また、上記一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Zがカルボン酸である化合物が好ましい。
【0065】
式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸の反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物との反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
【0066】
特定樹脂中における酸性基を有する単量体などのチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基の含有量は、チタンブラックとの相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、特定樹脂に対して0.05から90質量%が好ましく、1.0から80質量%がより好ましく、10から70質量%が更に好ましい。
【0067】
さらに、本発明に係るチタンブラックの分散組成物に含まれる特定樹脂は、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記グラフト部位を有する構造単位及びチタンブラックと相互作用を形成しうる官能基に加えて、さらに種々の機能を有する他の構造単位、例えば、分散物に用いられる分散媒との親和性を有する官能基、などを有する構造単位を共重合成分として含むことができる。
【0068】
本発明に係る特定樹脂に共重合可能な共重合成分としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0069】
具体的には、例えば、アルキルアクリレート(該アルキル基の炭素原子数は1〜20のものが好ましい)等のアクリル酸エステル類、(具体的には、例えば、ベンジルアクリレート、4−ビフェニルアクリレート、ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、4−t−ブチルフェニルアクリレート、4−クロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、4−シアノベンジルアクリレート、シアノメチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソボロニルアクリレート、イソプロピルアクリレート、メチルアクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、オクチルアクリレート、フェネチルアクリレート、フェニルアクリレート、プロピルアクリレート、トリルアクリレート、アミルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパギルアクリレートなど)、
【0070】
アルキルメタクリレート(該アルキル基の炭素原子は1〜20のものが好ましい)等のメタクリル酸エステル類(例えば、ベンジルメタクリレート、4−ビフェニルメタクリレート、ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、4−クロロフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、4−シアノフェニルメタクリレート、シアノメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、メチルメタクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、ネオペンチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、プロピルメタクリレート、トリルメタクリレート、アミルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパギルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ジメチルアミノメタクリレートなど、
【0071】
スチレン、アルキルスチレン等のスチレン類(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロへキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えばメトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲンスチレン(例えばクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンなど)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0072】
これらラジカル重合性化合物のうち、好適に使用されるのは、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、スチレン類であり、特に好適に使用されるのは、ベンジルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、4−t−ブチルフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、4−シアノフェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、メチルメタクリレート、3,5−ジメチルアダマンチルメタクリレート、2−ナフチルメタクリレート、ネオペンチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、
【0073】
アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、モルホリルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ナフチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−アリルアクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、2−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジイソプロピルアクリルアミド、N、N−ジ−t−ブチルアクリルアミド、N、N−ジシクロヘキシルアクリルアミド、N、N−フェニルアクリルアミド、N、N−ジヒドロキシエチルアクリルアミド、N、N−ジアリルアクリルアミド、
【0074】
メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、モルホリルメタクリルアミド、ピペリジルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ナフチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−アリルメタクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、2−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N、N−ジイソプロピルメタクリルアミド、N、N−ジ−t−ブチルメタクリルアミド、N、N−ジシクロヘキシルメタクリルアミド、N、N−フェニルメタクリルアミド、N、N−ジヒドロキシエチルメタクリルアミド、N、N−ジアリルメタクリルアミド、
【0075】
スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、シクロへキシルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレンである。
【0076】
ラジカル重合性化合物は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。特定樹脂中、これら共重合成分の好適に使用される含有量は、0モル%以上90モル%以下であり、特に好ましくは、0モル%以上60モル%以下である。含有量が前記の範囲において十分なパターン形成が得られる。
【0077】
本発明の特定樹脂を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合してもよい。
【0078】
このような特定樹脂の具体例としては、以下の例示化合物1〜16、及び例示化合物20〜71が挙げられる。なお、各構成単位の添数字(wt%)は質量基準である。
【0079】
【化6】

【0080】
【化7】

【0081】
【化8】

【0082】
【化9】

【0083】
【化10】

【0084】
【化11】

【0085】
【化12】

【0086】
【化13】

【0087】
【化14】

【0088】
【化15】

【0089】
【化16】

【0090】
【化17】

【0091】
【化18】

【0092】
【化19】

【0093】
【化20】

【0094】
【化21】

【0095】
【化22】

【0096】
【化23】

【0097】
【化24】

【0098】
【化25】

【0099】
【化26】

【0100】
【化27】

【0101】
【化28】

【0102】
【化29】

【0103】
【化30】

【0104】
【化31】

【0105】
【化32】

【0106】
【化33】

【0107】
【化34】

【0108】
【化35】

【0109】
【化36】

【0110】
【化37】

【0111】
【化38】

【0112】
上記特定樹脂の酸価は、5.0mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲、更に好ましくは15mgKOH/g以上100mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。酸価が200mgKOH/g以下であれば現像時におけるパターン剥離が抑えられ、また、5.0mgKOH/g以上あればアルカリ現像性がよい。
【0113】
本発明において、特定樹脂の酸価は、例えば、特定樹脂中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、特定樹脂を構成する酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
【0114】
本発明における特定樹脂の重量平均分子量は、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、10,000以上300,000以下であることが好ましく、15,000以上200,000以下であることがより好ましく、20,000以上100,000以下であることが更に好ましく、25,000以上50,000以下であることが特に好ましい。なお、特定樹脂の重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができる。
【0115】
本発明の分散組成物の全固形分中に対する特定樹脂の含有量は、分散性、分散安定性の観点から、0.1〜50質量%の範囲が好ましく、5〜40質量%の範囲がより好ましく、10〜30質量%の範囲がさらに好ましい。
【0116】
−その他の樹脂−
本発明の分散組成物には、チタンブラックの分散性を調整する目的で、上記特定樹脂以外に樹脂(以下、「その他の樹脂」と称する場合がある)が含有されていてもよい。
本発明に用いることができるその他の樹脂としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
その他の樹脂は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0117】
その他の樹脂は、チタンブラック及び所望により併用する顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、その他の樹脂は顔料表面を改質することで、分散樹脂の吸着を促進させる効果を有する。
【0118】
その他の樹脂の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(ブロック共重合体)、4400、4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファィンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
これらのその他の樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0119】
<(C)溶媒>
本発明の分散組成物は、溶媒として、種々の有機溶剤を用いてもよい。
ここで使用する溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。
これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶剤に対する固形分の濃度は、2〜60質量%であることが好ましい。
【0120】
<重合性組成物>
本発明の分散組成物は、(D)重合性化合物、及び(E)重合開始剤などを含有して、重合性組成物として用いられる。以下に重合性組成物の詳細を述べる。
【0121】
<(D)重合性化合物>
本発明における(D)重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいは不飽和カルボン酸アミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいは不飽和カルボン酸アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物;更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルあるいは不飽和カルボン酸アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0122】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等がある。
【0123】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0124】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
【0125】
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0126】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0127】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(V)で表され、水酸基を有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
下記式(V)中、R、及びRは、それぞれ、H又はCHを示す。
【0128】
【化39】

【0129】
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた重合性組成物を得ることができる。
【0130】
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られたたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号公報、特公平1−40337号公報、特公平1−40336号公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に記載されている光硬化性モノマー及びオリゴマーも使用することができる。
【0131】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、重合性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。
感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
また、重合性組成物に含有される他の成分(例えば、重合開始剤、チタンブラック等の遮光材(顔料、染料)等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の他の成分の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板などの硬質表面との密着性を向上させる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
【0132】
重合性組成物の全固形分中、(D)重合性化合物の含有量は、5質量%〜90質量%の範囲であることが好ましく、10質量%〜85質量%の範囲であることがより好ましく、20質量%〜80質量%の範囲であることが更に好ましい。
この範囲内であると、色相を薄めることなく、密着感度及び現像性が共に良好で好ましい。
【0133】
<(E)重合開始剤>
本発明に用いられる(E)重合開始剤は、光により分解し、(D)重合性化合物の重合を開始、促進する化合物であり、波長300nm以上500nm以下の領域に吸収を有するものであることが好ましい。また、重合開始剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0134】
(E)重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。
【0135】
有機ハロゲン化化合物の具体例としては、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭55−32070号公報、特開昭60−239736号公報、特開昭61−169835号公報、特開昭61−169837号公報、特開昭62−58241号公報、特開昭62−212401号公報、特開昭63−70243号公報、特開昭63−298339号公報、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
【0136】
s−トリアジン化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0137】
オキシジアゾール化合物の例としては、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾールなどが挙げられる。
【0138】
カルボニル化合物の例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチルー(4’−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルホリノブチロフェノン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体等を挙げることができる。
【0139】
ケタール化合物の例としては、ベンジルメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルエチルアセタールなどを挙げることができる。
【0140】
ベンゾイン化合物の例としてはmベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチルo−ベンゾイルベンゾエートなどを挙げることができる。
【0141】
アクリジン化合物の例としては、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタンなどを挙げることができる。
【0142】
有機過酸化化合物としては、例えば、トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−オキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシオクタノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
【0143】
アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を挙げることができる。
【0144】
クマリン化合物としては、例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等を挙げることができる。
【0145】
アジド化合物の例としては、米国特許第2848328号明細書、米国特許第2852379号明細書ならびに米国特許第2940853号明細書に記載の有機アジド化合物、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−エチルシクロヘキサノン(BAC−E)等が挙げられる。
【0146】
メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号公報、特開昭63−41484号公報、特開平2−249号公報、特開平2−4705号公報、特開平5−83588号公報記載の種々のチタノセン化合物、例えば、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル−1−イル、特開平1−304453号公報、特開平1−152109号公報記載の鉄−アレーン錯体等が挙げられる。
【0147】
ビイミダゾール系化合物としては、例えば、ヘキサアリールビイミダゾール化合物(ロフィンダイマー系化合物)等が好ましい。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル))4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0148】
有機ホウ酸塩化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特開200116539号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体あるいは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0149】
ジスルホン化合物の例としては、特開昭61−166544号公報、特開2002−328465号公報等に記載される化合物等が挙げられる。
【0150】
本発明における(E)重合開始剤としては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム化合物が用いられる。
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979)1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報記載の化合物等が挙げられる。
【0151】
本発明に用いられるオキシム化合物としては、感度、経時安定性の観点から、下記式(a)で表される化合物がより好ましい。
【0152】
【化40】

【0153】
式(a)中、R、及びXは、各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。nは0〜5の整数である。Xが複数存在する場合は、複数のXは同じでも、異なっていてもよい。
【0154】
式(a)のRで表される一価の置換基の例としては、以下に示す一価の非金属原子団であることが好ましい。
式(a)のRで表される一価の非金属原子団の例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基、置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基、置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
【0155】
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0156】
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。
【0157】
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2以上10以下のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
【0158】
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2以上10以下のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0159】
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルフィニル基が好ましく、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0160】
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルフィニル基が好ましく、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0161】
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基、パーフルオロアルキルスルホニル基等が挙げられる。
【0162】
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0163】
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2以上20以下のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0164】
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2以上20以下のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0165】
置換基を有してもよいアリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0166】
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2以上50以下のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられる。
【0167】
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等が挙げられる。
【0168】
置換基を有してもよいアルキルチオカルボニル基としては、例えば、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、トリフルオロメチルチオカルボニル基等が挙げられる。
【0169】
置換基を有してもよいアリールチオカルボニル基としては、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、4−メトキシフェニルチオカルボニル基等が挙げられる。
【0170】
置換基を有してもよいジアルキルアミノカルボニル基としては、ジメチルアミノカルボニル基、ジメエルアミノカルボニル基、ジプロピルアミノカルボニル基、ジブチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0171】
置換基を有してもよいジアルキルアミノチオカルボニル基としては、ジメチルアミノチオカルボニル基、ジプロピルアミノチオカルボニル基、ジブチルアミノチオカルボニル基等が挙げられる。
【0172】
中でも、高感度化の点から、式(a)のRとしてはアシル基がより好ましく、具体的には、アセチル基、エチロイル基、プロピオイル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0173】
式(a)のAで表される二価の有機基としては、置換基を有してもよい炭素数1以上12以下のアルキレン、置換基を有してもよいシクロヘキシレン、置換基を有してもよいアルキニレンが挙げられる。
これらの基に導入しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
中でも、式(a)のAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0174】
式(a)のArで表されるアリール基としては、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。
具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。中でも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0175】
上記フェニル基が置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0176】
式(a)においては、前記Arと隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。
【0177】
【化41】

【0178】
式(a)のXで表される一価の置換基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいホスフィノイル基、置換基を有してもよい複素環基、ハロゲン基等が挙げられる。
【0179】
置換基を有してもよいアルキル基としては、炭素数1以上30以下のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、3−ニトロフェナシル基等が挙げられる。
【0180】
置換基を有してもよいアリール基としては、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−、及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−、及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等がある。
【0181】
置換基を有してもよいアルケニル基としては、炭素数2以上10以下のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基等が挙げられる。
【0182】
置換基を有してもよいアルキニル基としては、炭素数2以上10以下のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0183】
置換基を有してもよいアルコキシ基としては、炭素数1以上30以下のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、エトキシカルボニルメチル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ基、アミノカルボニルメチルオキシ基、N,N−ジブチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−エチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−オクチルアミノカルボニルメチルオキシ基、N−メチル−N−ベンジルアミノカルボニルメチルオキシ基、ベンジルオキシ基、シアノメチルオキシ基等が挙げられる。
【0184】
置換基を有してもよいアリールオキシ基としては、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、2−クロロフェニルオキシ基、2−メチルフェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、2−ブトキシフェニルオキシ基、3−クロロフェニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシ基、3−シアノフェニルオキシ基、3−ニトロフェニルオキシ基、4−フルオロフェニルオキシ基、4−シアノフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシ基等がある。
【0185】
置換基を有してもよいアルキルチオキシ基としては、炭素数1以上30以下のチオアルコキシ基が好ましく、例えば、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、プロピルチオキシ基、イソプロピルチオキシ基、ブチルチオキシ基、イソブチルチオキシ基、sec−ブチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基、ペンチルチオキシ基、イソペンチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、ヘプチルチオキシ基、オクチルチオキシ基、2−エチルヘキシルチオキシ基、デシルチオキシ基、ドデシルチオキシ基、オクタデシルチオキシ基、ベンジルチオキシ基等が挙げられる。
【0186】
置換基を有してもよいアリールチオキシ基としては、炭素数6以上30以下のアリールチオキシ基が好ましく、例えば、フェニルチオキシ基、1−ナフチルチオキシ基、2−ナフチルチオキシ基、2−クロロフェニルチオキシ基、2−メチルフェニルチオキシ基、2−メトキシフェニルチオキシ基、2−ブトキシフェニルチオキシ基、3−クロロフェニルチオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルチオキシ基、3−シアノフェニルチオキシ基、3−ニトロフェニルチオキシ基、4−フルオロフェニルチオキシ基、4−シアノフェニルチオキシ基、4−メトキシフェニルチオキシ基、4−ジメチルアミノフェニルチオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルチオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルチオキシ基等がある。
【0187】
置換基を有してもよいアシルオキシ基としては、炭素数2以上20以下のアシルオキシ基が好ましく、例えば、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1−ナフチルカルボニルオキシ基、2−ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0188】
置換基を有してもよいアルキルスルファニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルファニル基が好ましく、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、プロピルスルファニル基、イソプロピルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、シクロヘキシルスルファニル基、オクチルスルファニル基、2−エチルヘキシルスルファニル基、デカノイルスルファニル基、ドデカノイルスルファニル基、オクタデカノイルスルファニル基、シアノメチルスルファニル基、メトキシメチルスルファニル基等が挙げられる。
【0189】
置換基を有してもよいアリールスルファニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルファニル基が好ましく、例えば、フェニルスルファニル基、1−ナフチルスルファニル基、2−ナフチルスルファニル基、2−クロロフェニルスルファニル基、2−メチルフェニルスルファニル基、2−メトキシフェニルスルファニル基、2−ブトキシフェニルスルファニル基、3−クロロフェニルスルファニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルファニル基、3−シアノフェニルスルファニル基、3−ニトロフェニルスルファニル基、4−フルオロフェニルスルファニル基、4−シアノフェニルスルファニル基、4−メトキシフェニルスルファニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルファニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルファニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルファニル基等が挙げられる。
【0190】
置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルフィニル基が好ましく、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、デカノイルスルフィニル基、ドデカノイルスルフィニル基、オクタデカノイルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メトキシメチルスルフィニル基等が挙げられる。
【0191】
置換基を有してもよいアリールスルフィニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルフィニル基が好ましく、例えば、フェニルスルフィニル基、1−ナフチルスルフィニル基、2−ナフチルスルフィニル基、2−クロロフェニルスルフィニル基、2−メチルフェニルスルフィニル基、2−メトキシフェニルスルフィニル基、2−ブトキシフェニルスルフィニル基、3−クロロフェニルスルフィニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3−シアノフェニルスルフィニル基、3−ニトロフェニルスルフィニル基、4−フルオロフェニルスルフィニル基、4−シアノフェニルスルフィニル基、4−メトキシフェニルスルフィニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
【0192】
置換基を有してもよいアルキルスルホニル基としては、炭素数1以上20以下のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基等が挙げられる。
【0193】
置換基を有してもよいアリールスルホニル基としては、炭素数6以上30以下のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0194】
置換基を有してもよいアシル基としては、炭素数2以上20以下のアシル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基等が挙げられる。
【0195】
置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2以上20以下のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0196】
置換基を有してもよいカルバモイル基としては、総炭素数1以上30以下のカルバモイル基が好ましく、例えば、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基、N−シクロヘキシルカルバモイル基、N−オクチルカルバモイル基、N−デシルカルバモイル基、N−オクタデシルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−2−メチルフェニルカルバモイル基、N−2−クロロフェニルカルバモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N−3−クロロフェニルカルバモイル基、N−3−ニトロフェニルカルバモイル基、N−3−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メトキシフェニルカルバモイル基、N−4−シアノフェニルカルバモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N−メチル−N−フェニルカルバモイル基、N、N−ジメチルカルバモイル基、N、N−ジブチルカルバモイル基、N、N−ジフェニルカルバモイル基等が挙げられる。
【0197】
置換基を有してもよいスルファモイル基としては、総炭素数0以上30以下のスルファモイル基が好ましく、例えば、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N、N−ジアルキルスルファモイル基、N、N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N−プロピルスルファモイル基、N−ブチルスルファモイル基、N−ヘキシルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基、N−オクチルスルファモイル基、N−2−エチルヘキシルスルファモイル基、N−デシルスルファモイル基、N−オクタデシルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基、N−2−メチルフェニルスルファモイル基、N−2−クロロフェニルスルファモイル基、N−2−メトキシフェニルスルファモイル基、N−2−イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N−3−クロロフェニルスルファモイル基、N−3−ニトロフェニルスルファモイル基、N−3−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−メトキシフェニルスルファモイル基、N−4−シアノフェニルスルファモイル基、N−4−ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N−4−メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−4−フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N−メチル−N−フェニルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N,N−ジブチルスルファモイル基、N,N−ジフェニルスルファモイル基等が挙げられる。
【0198】
置換基を有してもよいアミノ基としては、総炭素数0以上50以下のアミノ基が好ましく、例えば、−NH2、N−アルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N−アシルアミノ基、N−スルホニルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、N、N−ジスルホニルアミノ基等が挙げられる。より具体的には、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−tert―ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−シクロヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−2−エチルヘキシルアミノ基、N−デシルアミノ基、N−オクタデシルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−2−メチルフェニルアミノ基、N−2−クロロフェニルアミノ基、N−2−メトキシフェニルアミノ基、N−2−イソプロポキシフェニルアミノ基、N−2−(2−エチルヘキシル)フェニルアミノ基、N−3−クロロフェニルアミノ基、N−3−ニトロフェニルアミノ基、N−3−シアノフェニルアミノ基、N−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メトキシフェニルアミノ基、N−4−シアノフェニルアミノ基、N−4−トリフルオロメチルフェニルアミノ基、N−4−メチルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−フェニルスルファニルフェニルアミノ基、N−4−ジメチルアミノフェニルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N、N−ジメチルアミノ基、N、N−ジエチルアミノ基、N、N−ジブチルアミノ基、N、N−ジフェニルアミノ基、N、N−ジアセチルアミノ基、N、N−ジベンゾイルアミノ基、N、N−(ジブチルカルボニル)アミノ基、N、N−(ジメチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジエチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジブチルスルホニル)アミノ基、N、N−(ジフェニルスルホニル)アミノ基、モルホリノ基、3,5−ジメチルモルホリノ基、カルバゾール基等が挙げられる。
【0199】
置換基を有してもよいホスフィノイル基としては、総炭素数2以上50以下のホスフィノイル基が好ましく、例えば、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられる。
【0200】
置換基を有してもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、芳香族あるいは脂肪族の複素環が好ましい。例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基等がある。
【0201】
ハロゲン基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等がある。
【0202】
更に、前述した置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアシルオキシ基、置換基を有してもよいアルキルスルファニル基、置換基を有してもよいアリールスルファニル基、置換基を有してもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有してもよいアリールスルフィニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基、置換基を有してもよいアシル基、置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいカルバモイル基、置換基を有してもよいスルファモイル基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよい複素環基は、更に他の置換基で置換されていてもよい。
【0203】
そのような置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p−トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0204】
これらの中でも、式(a)のXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、式(a)におけるnは0〜5の整数を表すが、0〜2の整数が好ましい。
【0205】
以下、式(a)で表されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0206】
【化42】

【0207】
【化43】

【0208】
【化44】

【0209】
【化45】

【0210】
【化46】

【0211】
【化47】

【0212】
【化48】

【0213】
【化49】

【0214】
【化50】

【0215】
【化51】

【0216】
【化52】

【0217】
【化53】

【0218】
【化54】

【0219】
式(a)で表されるオキシム化合物は、光により分解し、光重合性化合物の重合を開始、促進する光重合開始剤としての機能を有する。特に、該オキシム化合物は365nmや405nmの光源に優れた感度を有する。
【0220】
オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104,143号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号の各公報に記載のヨードニウム塩などが挙げられる。
【0221】
本発明に好適に用いることのできるヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩であり、安定性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基等の電子供与性基で2つ以上置換されていることが好ましい。
【0222】
本発明に好適に用いられるスルホニウム塩としては、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩が挙げられ、安定性及び感度の観点から、好ましくは電子吸引性基で置換されているものである。電子吸引性基としては、ハメット値が0より大きいことが好ましい。好ましい電子吸引性基の例としては、ハロゲン原子、カルボン酸などが挙げられる。
また、その他の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩の1つの置換基がクマリン構造又はアントアキノン構造を有し、300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。別の好ましいスルホニウム塩としては、トリアリールスルホニウム塩が、アリロキシ基、アリールチオ基を置換基に有する300nm以上に吸収を有するスルホニウム塩が挙げられる。
【0223】
また、オニウム塩化合物の例としては、J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello
et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
【0224】
アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
【0225】
本発明の重合性組成物に用いられる(E)重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン系化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、メタロセン化合物、オキシム系化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0226】
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン系化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン系化合物、フォスフィンオキサイド系化合物、オキシム系化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物であり、トリハロメチルトリアジン系化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム系化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましい。
【0227】
特に、本発明の重合性組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細な画素をシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、オキシム系化合物が特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細な画素を形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細着色パターンを形成するには(E)重合開始剤としては、オキシム系化合物を用いるのが最も好ましい。
【0228】
本発明の重合性組成物に含有される(E)重合開始剤の含有量は、重合性組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは1質量%以上20質量%以下である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0229】
本発明の重合性組成物の全固形分中に対するチタンブラックの含有量は、必要な遮光性の発現、現像性の付与等の観点から、0.1〜60質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲がより好ましく、5〜30質量%の範囲がさらに好ましい。
【0230】
本発明の重合性組成物は、更に、必要に応じて、以下に詳述する任意成分を更に含有してもよい。以下、重合性組成物が含有しうる任意成分について説明する。
[増感剤]
本発明の重合性組成物は、ラジカル開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有していてもよい。
本発明に用いることができる増感剤としては、前記した(E)重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
【0231】
増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
即ち、例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
【0232】
本発明に用いうる増感剤として、より好ましい例としては、下記一般式(e−1)〜(e−4)で表される化合物が挙げられる。
【0233】
【化55】

【0234】
式(e−1)中、Aは硫黄原子又はNR50を表し、R50はアルキル基又はアリール基を表し、Lは隣接するA及び隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51及びR52はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、R51及びR52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子又は硫黄原子を表す。
【0235】
【化56】

【0236】
式(e−2)中、Ar及びArはそれぞれ独立に、アリール基を表し、−L−による結合を介して連結している。ここで−L−は−O−又は−S−を表す。また、Wは式(e−1)に示したものと同義である。
【0237】
【化57】

【0238】
式(e−3)中、Aは硫黄原子又はNR59を表し、Lは隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57及びR58はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基又はアリール基を表す。
【0239】
【化58】

【0240】
式(e−4)中、A及びAはそれぞれ独立に、−S−又は−NR62を表し、R62は置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基を表し、Lは、隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、Lは、隣接するA及び炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60及びR61はそれぞれ独立に、一価の非金属原子団を表し、又は互いに結合して脂肪族性又は芳香族性の環を形成することができる。
【0241】
重合性組成物中における増感剤の含有量は、深部への光吸収効率と開始剤の分解効率の観点から、固形分換算で、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
増感剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0242】
また、重合性組成物に含有しうる好ましい増感剤としては、上記増感剤の他、下記一般式(II)で表される化合物、及び、一般式(III)で表される化合物から選択される少な
くとも一種が挙げられる。
これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0243】
【化59】

【0244】
一般式(II)中、R11及びR12は、各々独立に一価の置換基を表し、R13、R14、R15及びR16は、各々独立に水素原子又は一価の置換基を表す。nは0〜5の整数を表し、n’は0〜5の整数を表し、n及びn’が両方とも0となることはない。nが2以上である場合、複数存在するR11はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。n’が2以上である場合、複数存在するR12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、一般式(II)において二重結合による異性体については、どちらかに限定されるものではない
【0245】
一般式(II)で表される化合物としては、波長365nmにおけるモル吸光係数εが500mol−1・L・cm−1以上であることが好ましく、波長365nmにおけるεが3000mol−1・L・cm−1以上であることがより好ましく、波長365nmにおけるεが20000mol−1・L・cm−1以上であることが最も好ましい。各波長でのモル吸光係数εの値が上記範囲であると、光吸収効率の観点から感度向上効果が高く好ましい。
【0246】
一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本明細書においては、化学式は簡略構造式により記載することもあり、特に元素や置換基の明示がない実線等は、炭化水素基を表す。
【0247】
【化60】

【0248】
【化61】

【0249】
一般式(III)中、Aは置換基を有してもよい芳香族環又はヘテロ環を表し、Xは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R23)−を表し、Yは酸素原子、硫黄原子、又は−N(R23)−を表す。R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表し、A、R21、R22、及びR23は、それぞれ互いに結合して、脂肪族性又は芳香族性の環を形成してもよい。
【0250】
一般式(III)において、R21、R22、及びR23は、それぞれ独立に、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。R21、R22、及びR23が一価の非金属原子を表す場合、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルケニル基、置換若しくは非置換の芳香族複素環残基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、ヒドロキシル基、又は、ハロゲン原子であることが好ましい。
【0251】
一般式(III)で表される化合物は、光重合開始剤の分解効率向上の観点から、Yは酸素原子、又は−N(R23)−が好ましい。R23は、水素原子又は一価の非金属原子団を表す。更に、Yは−N(R23)−であることが最も好ましい。
【0252】
以下、一般式(III)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、酸性核と塩基性核を結ぶ2重結合による異性体については明らかでなく、本発明はどちらかの異性体に限定されるものでもない。
【0253】
【化62】

【0254】
[共増感剤]
本発明の重合性組成物は、更に共増感剤を含有することも好ましい。
本発明において共増感剤は、(E)重合開始剤や増感剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは、酸素による(D)重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
【0255】
このような共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
【0256】
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
【0257】
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)等が挙げられる。
【0258】
これら共増感剤の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の観点から、重合性組成物の全固形分の質量に対し、0.1質量%以上30質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上25質量%以下の範囲がより好ましく、1.5質量%以上20質量%以下の範囲が更に好ましい。
【0259】
[重合禁止剤]
本発明においては、重合性組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な重合を阻止するために、重合禁止剤を添加することが好ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物、N−オキシド化合物類、ピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、ジアゾニウム化合物類、及びカチオン染料類、スルフィド基含有化合物類、ニトロ基含有化合物類、FeCl3、CuCl2等の遷移金属化合物類が挙げられる。
【0260】
さらに好ましい態様としては、以下の通りである。
フェノール系水酸基含有化合物が、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t
−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノール樹脂類、及びクレゾール樹脂類からなる群より選択される化合物であるのが好ましい。
【0261】
N−オキシド化合物類が、5,5−ジメチル−1−ピロリンN−オキシド、4−メチル
モルホリンN−オキシド、ピリジンN−オキシド、4−ニトロピリジンN−オキシド、3−ヒドロキシピリジンN−オキシド、ピコリン酸N−オキシド、ニコチン酸N−オキシド、及びイソニコチン酸N−オキシドからなる群より選択される化合物であるのが好ましい。
【0262】
ピペリジン1−オキシル フリーラジカル化合物類が、ピペリジン1−オキシルフリー
ラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−オ
キソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロ
キシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−アセト
アミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−マレ
イミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、及び4−
ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルから
なる群より選択される化合物であるのが好ましい。
【0263】
ピロリジン1−オキシルフリーラジカル化合物類が3−カルボキシプロキシルフリーラジカル(3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン1−オキシルフリーラ
ジカル)であるのが好ましい。
【0264】
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類が、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩からなる化合物群から選択される化合物であるのが好ましい。
【0265】
ジアゾニウム化合物類が、4−ジアゾフェニルジメチルアミンの硫酸水素塩、4−ジアゾジフェニルアミンのテトラフルオロホウ酸塩、及び3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンのヘキサフルオロリン酸塩からなる群より選択される化合物であるのが好ましい。
【0266】
カチオン染料類が、クリスタルバイオレット、メチルバイオレット、エチルバイオレット及びビクトリアピュアブルーBOHからなる群より選択される化合物であるのが好ましい。
【0267】
本発明に使用しうる好適な重合禁止剤を以下に例示するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なおフェノール系重合禁止剤としては、下記例示化合物(P−1)〜(P−24)が挙げられる。
【0268】
【化63】

【0269】
【化64】

【0270】
【化65】

【0271】
【化66】

【0272】
アミン系重合禁止剤としては、下記例示化合物(N−1)〜(N−7)が挙げられる。
【0273】
【化67】

【0274】
硫黄系重合禁止剤としては、下記例示化合物(S−1)〜(S−5)が挙げられる。
【0275】
【化68】

【0276】
フォスファイト系重合禁止剤としては、下記例示化合物(R−1)〜(R−5)が挙げられる。
【0277】
【化69】

【0278】
さらに、以下に示す各化合物もまた、好適な重合禁止剤として使用しうる。
【0279】
【化70】

【0280】
上記例示化合物のなかでも、好ましくは、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)のフェノール系水酸基含有化合物、ピペリジン1−オキシル フリーラジカル化合物類若しくは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、及び4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルのピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物、若しくはN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン化合物であり、より好ましくは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、4−マレイミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカル、及び4−ホスホノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルフリーラジカルのピペリジン1−オキシルフリーラジカル化合物、若しくはN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン化合物であり、更に好ましくは、−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第一セリウム塩及びN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩のN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン化合物である。
【0281】
重合禁止剤の好ましい添加量としては、(E)重合開始剤100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下であることが好ましく、さらに0.01質量部以上8質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下の範囲にあることが最も好ましい。
上記範囲とすることで、非画像部における硬化反応抑制及び画像部における硬化反応促進が充分おこなわれ、画像形成性及び感度が良好となる。
【0282】
[バインダーポリマー]
重合性組成物においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更にバインダーポリマーを使用することができる。バインダーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とするために、水あるいは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭54−92723号公報公報、特開昭59−53836号公報、特開昭59−71048号公報に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独あるいは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独あるいは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
【0283】
本発明において、バインダーポリマーとして、共重合体を用いる場合、共重合させる化合物として、先にあげたモノマー以外の他のモノマーを用いることもできる。他のモノマーの例としては、下記(1)〜(12)の化合物が挙げられる。
【0284】
(1)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、ビニルアクリレート、2−フェニルビニルアクリレート、1−プロペニルアクリレート、アリルアクリレート、2−アリロキシエチルアクリレート、プロパルギルアクリレート等のアルキルアクリレート。
【0285】
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、ビニルメタクリレート、2−フェニルビニルメタクリレート、1−プロペニルメタクリレート、アリルメタクリレート、2−アリロキシエチルメタクリレート、プロパルギルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、ビニルアクリルアミド、ビニルメタクリルアミド、N,N−ジアリルアクリルアミド、N,N−ジアリルメタクリルアミド、アリルアクリルアミド、アリルメタクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
【0286】
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
【0287】
(10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)α位にヘテロ原子が結合したメタクリル酸系モノマー。例えば、特開2002−309057号、特開2002−311569号等の各公報に記載の化合物を挙げる事ができる。
【0288】
これらの中で、側鎖にアリル基やビニルエステル基とカルボキシル基を有する(メタ)アクリル樹脂及び特開2000−187322号公報、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂や、特開2001−242612号公報に記載されている側鎖にアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂が膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
【0289】
また、特公平7−12004号公報、特公平7−120041号公報、特公平7−120042号公報、特公平8−12424号公報、特開昭63−287944号公報、特開昭63−287947号公報、特開平1−271741号公報等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーや、特開2002−107918号公報に記載される酸基と二重結合を側鎖に有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463号公報等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0290】
本発明の重合性組成物で使用しうるバインダーポリマーの重量平均分子量としては、好ましくは5、000以上であり、更に好ましくは1万以上30万以下の範囲であり、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2、000以上25万以下の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1以上10以下の範囲である。
これらのバインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0291】
本発明で用いうるバインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
本発明の重合性組成物において用いうるバインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0292】
重合性組成物の全固形分中、バインダーポリマーの含有量は、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、4質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0293】
[密着向上剤]
本発明の重合性組成物においては、基板などの硬質表面との密着性を向上させるために、密着向上剤を添加することができる。密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
【0294】
シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビスアリルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、フェニルトリメトキシシラン、N−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(アクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
【0295】
中でも、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。
【0296】
密着向上剤の添加量は、重合性組成物の全固形分中0.5質量%以上30質量%以下が好ましく、0.7質量%以上20質量%以下がより好ましい。
【0297】
[その他の添加剤]
更に、重合性組成物に対しては、硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、結合剤を使用した場合、重合性化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
【0298】
なお、本発明の重合性組成物は、チタンブラック分散時の分散性が高く、未露光部における残渣が抑制され、基板に塗布時の塗布性が良好なため、遮光性カラーフィルタの形成に好適に用いることができる。
【0299】
<遮光性カラーフィルタ>
本発明の着色パターンを有する遮光性カラーフィルタは、前述の本発明の重合性組成物を用いて形成されたものである。本発明の重合性組成物を用いて形成された着色パターン(例えばブラックマトリックス)は、残渣が抑制され、平坦性が高く、ステップがなく、形状の良化ができる。
【0300】
本発明においてステップとは、重合性組成物を塗布、露光、現像して形成した一辺200μm程度以上の着色パターン(例えばブラックマトリックス)中に観察される段差のことをいう。着色パターン(例えばブラックマトリックス)を膜面上方から光学顕微鏡で観察すると、ステップが着色パターン(例えばブラックマトリックス)のパターンエッジとほぼ相似形の線として観察される場合がある。
【0301】
図1は、ブラックマトリックス10中にステップが生じた様子を模式的に表した図である。実線は遮光性カラーフィルタのパターンエッジ1を表し、破線はステップ2を表す。
ブラックマトリックスの膜厚は、ステップより外側の領域(図1中、パターンエッジ1とステップ2とにより挟まれた領域)では、ステップより内側の領域(図1中、ステップ2で囲まれた領域)よりも薄くなっている。即ち、ステップより外側の領域(以下、「ステップ領域」ともいう)では遮光能が低いため、固体撮像素子用のブラックマトリックスとして用いた際にノイズの原因となる等、固体撮像素子の性能に悪影響を及ぼす。
なお本発明の重合性組成物を用いてブラックマトリックスを形成した際、ブラックマトリックス周辺部に中央部よりも膜厚が薄くなる領域(ステップ領域)を生じる現象を抑制でき、周辺部における遮光能の低下を抑制できる。
【0302】
着色パターン(例えばブラックマトリックス)の膜厚としては特に限定はないが、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、乾燥後の膜厚で、0.2μm以上50μm以下が好ましく、0.5μm以上30μm以下がより好ましく、0.7μm以上20μm以下が更に好ましい。
着色パターン(例えばブラックマトリックス)のサイズ(一辺の長さ)としては、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、0.001mm以上5mm以下が好ましく、0.05mm以上4mm以下がより好ましく、0.1mm以上3.5mm以下が更に好ましい。
【0303】
<遮光性カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明の遮光性カラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明の遮光性カラーフィルタは、基板上に、本発明の重合性組成物を用いてなる着色パターン(例えばブラックマトリックス)を有することを特徴とする。
以下、本発明の着色パターン(例えばブラックマトリックス)を有する遮光性カラーフィルタについて、その製造方法を通じて詳述する。
【0304】
本発明の遮光性カラーフィルタの製造方法は、基板上に、本発明の重合性組成物を塗布して重合性組成物層を形成する工程(以下、適宜「重合性組成物層形成工程」と略称する。)と、前記重合性組成物層をマスクを介して露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の前記重合性組成物層を現像して着色パターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含むことを特徴とする。
【0305】
具体的には、本発明の重合性組成物を、直接又は他の層を介して基板上に塗布して、重合性組成物層を形成し(重合性組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、画素からなるパターン状皮膜を形成し、本発明の遮光性カラーフィルタを製造することができる。
以下、本発明の遮光性カラーフィルタの製造方法における各工程について説明する。
【0306】
[重合性組成物層形成工程]
重合性組成物層形成工程では、基板上に、本発明の重合性組成物を塗布して重合性組成物層を形成する。
【0307】
前記基板としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等や、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)等が挙げられる。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止あるいは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0308】
基板上への本発明の重合性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
【0309】
固体撮像素子用のブラックマトリックスを有するカラーフィルタを製造する際には、重合性組成物の塗布膜厚としては、解像度と現像性の観点から、0.35μm以上1.5μm以下が好ましく、0.40μm以上1.0μm以下がより好ましい。
【0310】
基板上に塗布された重合性組成物は、通常、70℃以上110℃以下で2分以上4分以下程度の条件下で乾燥され、重合性組成物層が形成される。
【0311】
〔露光工程〕
露光工程では、前記重合性組成物層形成工程において形成された重合性組成物層をマスクを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、高圧水銀灯がより好まれる。照射強度は5mJ/cm以上1500mJ/cm以下が好ましく10mJ/cm以上1000mJ/cm以下がより好ましく、10mJ/cm以上800mJ/cm以下が最も好ましい。
【0312】
〔現像工程〕
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、固体撮像素子用のブラックマトリクスを有する遮光性カラーフィルタを作製する場合には、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃以上30℃以下であり、現像時間は20秒以上90秒以下である。
【0313】
前記アルカリ性の水溶液としては、例えば、無機系現像液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、有機アルカリ現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。アルカリ性水溶液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
【0314】
なお、本発明の遮光性カラーフィルタの製造方法においては、上述した、重合性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターン(例えばブラックマトリックス)を加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0315】
本発明の遮光性カラーフィルタは、本発明の重合性組成物を用いているため、形成された着色パターン(例えばブラックマトリックス)が支持体基板との高い密着性を示し、硬化した組成物は耐現像性に優れるため、露光感度に優れ、露光部の基板との密着性が良好であり、かつ、所望の断面形状を与える高解像度のパターンを形成することができる。
従って、液晶表示装置やCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等に好適である。すなわち、本発明のブラックマトリクスを備えた遮光性カラーフィルタは、固体撮像素子に適用されることが好ましい。
本発明の遮光性カラーフィルタは、例えば、CCDを構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるブラックマトリックスとして用いることができる。
【0316】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、既述の本発明の遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス)と必要により他の色(3色あるいは4色)の画素からなるパターン状皮膜とを有するカラーフィルタを備えて構成される。
本発明の固体撮像素子は、周辺部における遮光能の低下が抑制された本発明の遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス)が備えられているため、ノイズを低減でき、色再現性を向上させることができる。
本発明の固体撮像素子は、本発明の遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス)を備えた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はなく、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる受光素子を有し、基板の受光素子形成面の反対側の面に本発明の遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス)が備えられた構成等が挙げられる。
【0317】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置の1つは、少なくとも1つが光透過性の1対の基板の間にカラーフィルタ、液晶層及び液晶駆動手段(単純マトリックス駆動方式、及びアクティブマトリックス駆動方式を含む)を少なくとも備えたもので、カラーフィルタとして、前記のごとき複数の画素群を有し、前記画素群を構成する各画素が、互いに本発明の重合性組成物により作成された遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス;以下同様)により離画されているカラーフィルタを用いるものである。前記遮光性カラーフィルタは、平坦性が高いため、この遮光性カラーフィルタを備える液晶表示装置は、カラーフィルタと基板との間にセルギャップムラが発生せず、色ムラ等の表示不良が発生することがない。
【0318】
また、本発明の液晶表示装置の別の態様のものは、少なくとも1つが光透過性の1対の基板の間に、カラーフィルタ、液晶層及び液晶駆動手段を少なくとも備え、前記液晶駆動手段がアクティブ素子(例えばTFT)を有し、かつ各アクティブ素子の間に本発明の重合性組成物により作成された遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス)を有する。
【0319】
<ウエハレベルレンズ>
本発明のウエハレベルレンズは、既述の本発明の遮光性カラーフィルタ(例えばブラックマトリックス)を有するカラーフィルタを設けて構成されている。図2は、ウエハレベルレンズの構成の一例を示す平面図であり、図3は図2のA−A線断面図である。
【0320】
ウエハレベルレンズは、基板1と、該基板1に配列された複数のレンズ10とを備えている。複数のレンズ10は、基板1に対して1次元又は2次元に配列されている。この構成例では、図2のように、複数のレンズ10が、基板1に対して2次元配列されている構成を例に説明する。レンズ10は、基板1と同じ材料から構成され、該基板1に成形されたものである。
【0321】
図3に示すように、レンズ10は、凹状のレンズ面10aと、該レンズ面10aの周囲にレンズ縁部10bとを有する。ここで、レンズ面10aは、レンズ10に入射した光を所望の方向に集光又は発散させる光学的特性を有し、この光学的特性を考慮して曲率や表面形状が設計されている部位の面をいうものとする。この例では、レンズ縁部10bの基板1に対する高さがレンズ面10aの中央よりも高くなるように構成されている。なお、レンズ10の形状は、特に限定されず、例えば、レンズ面10aが凸状に突出した、所謂、凸状レンズとしてもよく、又は非球面のレンズとしてもよい。
【0322】
ここでは、基板1の一方の面に複数のレンズ10が設けられた構成を例示しているが、基板1の両方の面に複数のレンズ10が設けられた構成としてもよい。基板1の両方の面に複数のレンズ10が設ける場合には、一方の面の各レンズの光軸が、他方の面の各レンズの光軸と一致するように成形される。
【0323】
図3では、ウエハレベルレンズは、複数のレンズ10が成形された基板1を1層有する構成としたが、2層以上の基板を積層させた構成としてもよい。
【0324】
ウエハレベルレンズは、レンズ10のレンズ縁部10bの表面と、レンズ10同士の間の基板1の表面とを覆うように遮光層14が設けられている。遮光層14は、基板1において、前記レンズのレンズ面10aを除く領域にパターニングされたものである。ウエハレベルレンズが基板を1層以上有する構成では、少なくとも1層の基板の表面に遮光層14が備えられる。遮光層14は黒色レジスト層で構成されている。黒色レジスト層は、光反射率が金属層などに比べて低いため、光反射に伴うゴーストやフレア等の不都合を低減できる。黒色レジスト層は、黒色レジスト組成物を含んでいる。
【0325】
図4は、ウエハレベルレンズの他の構成例を示す断面図である。
この例では、基板1の一方の面に図3と同様の形状のレンズ10が成形され、他方の面に凸状のレンズ20が成形されている。また、他方の面には、他のウェハレンズアレイに重ね合わせる際に距離を確保するためのスペーサが形成されている。スペーサ12は、平面視において格子状の部材であって、基板1の他方の面に接合される。この例では、ウエハレベルレンズにスペーサを接合した後、ダイシングによって、基板1にレンズ10及びレンズ20が1個ずつ備えられた構成となるように分離したものである。スペーサ12は、基板1の一部として該基板1に一体に成形されたものとしてもよい。
【0326】
図5は、撮像ユニットの構成の一例を示す断面図である。
撮像ユニットは、ウエハレベルレンズをダイシングしてレンズごとに分離したレンズモジュールと、撮像素子(ここでは、固体撮像素子)Dと、固体撮像素子Dが設けられたセンサ基板Wとを備える。この例では、3つのレンズモジュールLM1,LM2,LM3を光の入射側(図5の上側)からのこの順に積層した構成としている。
【0327】
レンズモジュールLM1は、基板1Aの上側の面に凸状のレンズ10Aが成形され、下側の面に凹状のレンズ面を有するレンズ20Aが成形されている。基板1Aの上側の面には、レンズ10Aのレンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。レンズ20Aには、レンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。
【0328】
レンズモジュールLM2は、基板1Bの上側の面に凹状のレンズ10Bが成形され、下側の面に凸状のレンズ面を有するレンズ20Bが成形されている。このレンズモジュールLM2は図4に示す構成と基本的に同じである。基板1Aの上側の面には、レンズ10Aのレンズ面を除く領域、つまり、レンズ縁部及び基板表面の領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。この例では基板1Bの下側の面に遮光層14を設けていないが、レンズ20Bのレンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14を設けてもよい。
【0329】
レンズモジュールLM3は、基板1Cの上側の面に非球面形状のレンズ10Cが成形され、下側の面に非球面形状のレンズ面を有するレンズ20Cが成形されている。レンズ10C及びレンズ20Cには、レンズ面を除く領域にパターニングされた遮光層14が設けられている。
【0330】
前記レンズモジュールにおいて、遮光層14は、本発明の分散組成物又は重合性組成物を用いて形成されたものである。
なお、レンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cは、いずれも光軸に対して回転対称となる形状で設けられている。レンズモジュールLM1,LM2,LM3は、全てのレンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cの光軸が一致するように、スペーサ12を介して接合されている。
【0331】
レンズモジュールLM1,LM2,LM3は、スペーサ12を介してセンサ基板Wに接合される。レンズモジュールLM1,LM2,LM3のレンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cは、センサ基板Wに設けられた固体撮像素子Dに被写体像を結像させる。
【0332】
センサ基板Wは、例えばシリコンなどの半導体材料で形成されたウェハを平面視略矩形状に切り出して成形されている。固体撮像素子Dは、センサ基板Wの略中央部に設けられている。固体撮像素子Dは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサである。固体撮像素子Dは、チップ化された後で、配線等が形成された半導体基板上にボンディングした構成とすることができる。又は、固体撮像素子Dは、センサ基板Wに対して周知の成膜工程、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、不純物添加工程等を行い、該センサ基板Wに電極、絶縁膜、配線等を形成して構成されてもよい。
【0333】
レンズモジュールLM3のスペーサ12とセンサ基板Wとは、例えば接着剤などを用いて接合される。各スペーサ12は、レンズモジュールLM1,LM2,LM3のレンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cが固体撮像素子D上で被写体像を結像させるように設計されている。また、各スペーサ12は、レンズ10A,10B,10C,20A,20B,20Cが、重なり合うレンズモジュールLM1,LM2,LM3同士、又は、レンズモジュールLM3とセンサ基板Wとが互いに接触しないように、それぞれの間に所定の距離を隔てる厚みで形成されている。
【0334】
スペーサ12は、レンズモジュールLM1,LM2,LM3同士を、又は、レンズモジュールLM3とセンサ基板Wとの間隔を所定の距離を隔てた位置関係で保持できる範囲で、その形状は特に限定されず適宜変形することができる。例えば、スペーサ12は、基板1A,1B,1Cの4隅にそれぞれ設けられる柱状の部材であってもよい。また、スペーサ12は、固体撮像素子Dの周囲を取り囲むような枠状の部材であってもよい。固体撮像素子Dを枠状のスペーサ12によって取り囲むことで外部から隔絶すれば、固体撮像素子Dにレンズを透過する光以外の光が入射しないように遮光することができる。また、固体撮像素子Dを外部から密封することで、固体撮像素子Dに塵埃が付着することを防止できる。
【0335】
図5に示すように、基板1A,1B,1Cを複数重ね合わせた構成とする場合には、光入射側に最も近い最上部の基板における表面には、遮光層14のかわりに反射層を設けてもよい。反射層は、光に対して透過率が0.01%以下と小さく、かつ、反射率が(4%)以上と高い反射材料を含む。反射材料としては、クロム(Cr)などの金属又は金属材料を用いることが好ましい。
【0336】
以上のように構成された撮像ユニットは、携帯端末等に内蔵される図示しない回路基板にリフロー実装される。回路基板には、撮像ユニットが実装される位置に予めペースト状の半田が適宜印刷されており、そこに撮像ユニットが載せられ、この撮像ユニットを含む回路基板に赤外線の照射や熱風の吹付けといった加熱処理が施され、撮像ユニットが回路基板に溶着される。
【実施例】
【0337】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
【0338】
<特定樹脂1の合成>
500mL三口フラスコに、ε-カプロラクトン 600.0g、2-エチル-1-ヘキサノール 22.8gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド 0.1gを加え、100℃に加熱した。8時間後、ガスクロマトグラフィーにて、原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6-ジt-ブチル−4−メチルフェノール 0.1gを添加した後、2-メタクリロイロキシエチルイソシアネート 27.2gを添加した。5時間後、H-NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、固体状の前駆体M1〔下記構造〕を200g得た。M1であることは、H-NMR、IR、質量分析により確認した。
【0339】
【化71】

【0340】
前駆体M1 80.0g、メタクリル酸 20.0g、ドデシルメルカプタン 2.3g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 233.3gを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製の「V−65」)を0.2g加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行った。2時間後、さらにV−65を0.2g加え、3時加熱攪拌の後、特定樹脂1の30%溶液を得た。
【0341】
<特定樹脂2〜13及び比較樹脂1〜3の合成>
特定樹脂1の構成要素を変更して、特定樹脂1の合成方法と同様の合成法により、下記に記載の特定樹脂2〜13、及び比較樹脂1〜3を合成した。下記表1にこれら樹脂の組成比、水素原子を除いたグラフト鎖の原子数、重量平均分子量を示す。
【0342】
【化72】

【0343】
【化73】

【0344】
【化74】

【0345】
【化75】

【0346】
【化76】

【0347】
【化77】

【0348】
【表1】

【0349】
(実施例1)
<チタンブラック分散物の調製>
下記組成1を二本ロールにて高粘度分散処理を施し、分散物を得た。なお、高粘度分散処理の前にニーダーで30分混練した。
〜組成1〜
・平均一次粒径75nmのチタンブラック ・・・39部
(三菱マテリアルズ(株)製13M−C)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・60部
【0350】
得られた分散物に、下記組成2を添加し、3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を、0.3mm径のジルコニアビーズを用いて、分散機(商品名:ディスパーマット、GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して、チタンブラック分散液A(以下、「TB分散液A」と表記する。)を得た。
【0351】
〜組成2〜
・特定樹脂1のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30質量%溶液
・・・30部
【0352】
下記組成A中の成分を攪拌機で混合して、重合性組成物Aを調製した。
(組成A)
・ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体 ・・・3.0部
(組成比:ベンジルメタクリレート/アクリル酸共重合体=80/20(質量%)、重量平均分子量:25000;バインダーポリマー)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合性化合物)・・・2.0部
・エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート ・・・1.0部
(重合性化合物)
・前記TB分散液A ・・・26.0部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)・・・10部
・エチル−3−エトキシプロピオネート(溶剤) ・・・8部
・重合開始剤:下記表2に記載の化合物 ・・・0.8部
・4−メトキシフェノール(重合禁止剤) ・・・0.01部
【0353】
<固体撮像素子用ブラックマトリックスを有するカラーフィルタの作製>
上記の重合性組成物Aをレジスト溶液として、この塗布膜の乾燥膜厚が0.7μmになるように、下塗り層付シリコンウエハの下塗り層上にスピーンコーター塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。
次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して365nmの波長でパターンが2μm四方のIslandパターンマスクを通して1000mJ/cmの露光量で露光した。
【0354】
その後、照射された塗布膜が形成されているシリコンウエハ基板をスピン・シャワー現像機(DW−30型、(株)ケミトロニクス製)の水平回転テーブル上に載置し、CD−2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を用いて23℃で60秒間パドル現像を行なった。
次いで塗布膜が形成されているシリコンウエハを真空チャック方式で前記水平回転テーブルに固定し、回転装置によって該シリコンウエハ基板を回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行ない、その後スプレー乾燥し、ブラックマトリックスを有するウエハを形成した。
【0355】
(実施例2〜実施例14,17〜18、参考例15〜16、及び比較例1〜比較例6)
実施例1の分散組成物の調製において、特定樹脂1を表2に示す特定樹脂、あるいは比較樹脂に代え、また重合性組成物の重合開始剤を表2に示す重合開始剤に代える以外は、実施例1と同様に操作を行った。
【0356】
【表2】

【0357】
前記表2に記載の重合開始剤は、以下の通りである。
【化78】

【0358】
【化79】

【0359】
【化80】

【0360】
【化81】

【0361】
【化82】

【0362】
【化83】

【0363】
〔評価〕
上記のようにして得られた分散組成物、及び重合性組成物を用いて、以下の評価を行った。その結果をまとめて表2に示した。
【0364】
−分散組成物の粘度−
また、分散組成物の粘度(30℃)をE型回転粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。分散組成物の粘度が小さいほど分散性が高いことを示している。
【0365】
−保存安定性(経時安定性)評価−
各重合性組成物を室温で1ケ月保存した後、チタンブラックの沈降の度合いを下記判定基準に従って評価した。保存安定性を示す数値は、可視光吸光度計(varian製cary-5)により、PGMEAで1000倍に希釈した重合性組成物の吸光度変化率から算出したものである。
−判定基準−
○:0%以上2%未満のチタンブラックの沈降が観測された
△:2%以上5%未満のチタンブラックの沈降が観測された
×:5%以上のチタンブラックの沈降が観測された
【0366】
−残渣の評価−
上記した露光工程で光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無をSEMで観察し、残渣を評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された。
【0367】
−塗布時の均一塗布性の評価−
各重合性組成物の塗布時の均一塗布性について、下記の方法で評価した。即ち、各重合性組成物をスピンコータ−で、乾燥後の膜厚が1μmになるように塗布し、光学顕微鏡で観察し、均一塗布性を評価した。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
○:全く塗布ムラが確認されなかった。
△:多少の塗布ムラが確認された。
×:多くの塗布ムラが確認された。
【0368】
−ステップの評価−
得られたブラックマトリクス(重合性組成物により形成されたパターン)を光学顕微鏡(倍率100倍)で撮影し、ステップ領域の幅を測定した。図1に示すように、ブラックマトリクス(ブラックマトリクスを有するカラーフィルタ)10において、重合性組成物により形成されたパターンの端部であるパターンエッジ1と、ステップ領域(ブラックマトリクス周辺部における中央部よりも膜厚の薄くなる領域)との境界線2との間の距離を測定した。この距離を形成されたパターンの1辺の長さで除して、表2には%で表示した。
【0369】
表2から明らかなように、特定構造のグラフト共重合体を含む本発明の分散組成物を固体撮像素子用ブラックマトリックスに用いた実施例1〜18では、分散組成物の粘度が小さく、チタンブラックの分散性が良好であることがわかる。これに対し本発明の特定構造のグラフト共重合体を用いていない比較例では、分散組成物の粘度が高く、チタンブラックの分散性が不良である。また、本発明の分散組成物を用いた重合性組成物は、良好な保存安定性を示し、また基板に塗布した際の均一塗布性が良好で、未露光部における残渣が抑制され、露光・現像した際のステップ幅が小さく、形状がよいことがわかった。
【0370】
また、実施例1〜14は、重合開始剤としてオキシム系化合物を用いることによって、さらにステップ幅が小さく、パターン形状が優れていることが分かる。
【0371】
(実施例19〜32、比較例7〜12)
<液晶表示装置用ブラックマトリックスの作製>
次に、固体撮像素子用に用いた重合性組成物をそのまま用いて、液晶表示装置用ブラックマトリックスを有するカラーフィルタを作製し、評価を行った。
即ち、固体撮像素子用カラーフィルタの作製で用いたものと同一の重合性組成物を用いて、250mm×350mmのガラス基板に下記条件でスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させ、真空乾燥とプリベーク(100℃、80秒)を施して重合性組成物塗膜を形成した。その後、全面に1000mJ/cmの露光(照度は20mW/cm)をし、アルカリ現像液(商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の1%水溶液にて露光済みの塗布膜を覆い、60秒間静止した。その後、純水をシャワー状に散布して現像液を洗い流した。以上のように、露光処理及び現像処理を施した塗布膜を220℃のオーブンで1時間加熱処理(ポストベーク)を施し、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成した。
【0372】
(スリット塗布条件)
・塗布ヘッド先端の開口部の間隙: 50μm
・塗布速度: 100mm/秒
・基板と塗布ヘッドとのクリヤランス: 150μm
・乾燥膜厚 1.75μm
・塗布温度: 23℃
【0373】
〔評価〕
上記のようにして得られた塗布基板、及び重合性組成物を用いて、以下の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0374】
−塗布時の均一塗布性の評価−
上記重合性組成物をスリット塗布した後、10分間そのままの状態で待機させた後、さらにガラス基板に塗布し、ホットプレートで、90℃、60秒間プリベークした後、塗布面のスジ状のムラをナトリウム光源を用いて目視にてカウントし、以下の基準で評価した。
(塗布基板の面状評価の基準)
○:塗布面にスジ状のムラが全くないもの
△:スジ状のムラが1〜5本観察されたもの
×:スジ状のムラが6本以上、あるいは異物のいずれかが観察されたもの
【0375】
−残渣の評価−
上記した露光工程で光が照射されなかった領域(未露光部)の残渣の有無をSEMで観察し、残渣を評価した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
○:未露光部には、残渣がまったく確認されなかった
△:未露光部に、残渣がわずかに確認されたが、実用上問題のない程度であった
×:未露光部に、残渣が著しく確認された。
【0376】
−ステップの評価−
得られたブラックマトリクス(重合性組成物により形成されたパターン)を光学顕微鏡(倍率10倍)で撮影し、ステップ領域の幅を測定した。図1に示すように、ブラックマトリクス(ブラックマトリクスを有するカラーフィルタ)10において、重合性組成物により形成されたパターンの端部であるパターンエッジ1と、ステップ領域(ブラックマトリクス周辺部における中央部よりも膜厚の薄くなる領域)との境界線2との間の距離を測定した。この距離を形成されたパターンの1辺の長さで除して、表3には%で表示した。
【0377】
【表3】

【0378】
上記表3から明らかなように、液晶表示装置用のブラックマトリックスを有するカラーフィルタとして、本発明の重合性組成物は、基板に塗布した際の均一塗布性が良好で、未露光部における残渣が抑制され、露光・現像した際のステップ幅が小さく形状がよいことがわかった。
【0379】
(実施例33)
<固体撮像素子の作製>
−有彩色着色重合性組成物の調製−
下記顔料40部、分散剤としてDisperbyk−161(ビックケミー(BYK)社製、30%溶液)50部、及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル110部からなる混合液を、ビーズミルにより15時間混合・分散して、顔料分散液(P1)を調製した。
〜RGB各色着色画素形成用の有彩色顔料〜
・赤色(R)用顔料
C.I.ピグメント・レッド254
・緑色(G)用顔料
C.I.ピグメント・グリーン36とC.I.ピグメント・イエロー219との30/70〔質量比〕混合物
・青色(B)用顔料
C.I.ピグメント・ブルー15:6とC.I.ピグメント・バイオレット23との30/70〔質量比〕混合物
【0380】
前記分散処理した顔料分散液(P1)を用いて下記組成比となるよう撹拌混合し、重合性組成物の塗布液R−1,G−1,B−1を調製した。
<組成>
・着色剤(顔料分散液(P1)) 350部
・重合開始剤(オキシム系光重合開始剤) 30部
(CGI−124、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・TO−1382 25部
(重合性化合物 東亜合成化学(株)製 カルボキシル基含有5官能アクリレート)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30部
・溶剤(PGMEA) 200部
・基板密着剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン) 1部
【0381】
−固体撮像素子用カラーフィルタの作製−
前記実施例1で作製したブラックマトリックスを有する遮光性フィルタのウエハ上に、前記赤色(R)用の塗布液R−1を用いて、1.6×1.6μmの赤色(R)の着色パターンを形成した。さらに、同様にして緑色(G)用の塗布液G−1を用いて1.6×1.6μmの緑色(G)の着色パターンを、及び青色(B)用の塗布液B−1を用いて青色(B)の着色パターンを、順次形成して固体撮像素子用のカラーフィルタを作製した。
【0382】
−評価−
フルカラーのカラーフィルタを固体撮像素子に組み込んだところ、該固体撮像素子は、ブラックマトリックスの遮光性が高く、高解像度で色分離性に優れることが確認された。
【0383】
(実施例34)
<液晶表示装置の作製>
−有彩色着色重合性組成物の調製−
前記分散処理した顔料分散液(P1)を用いて下記組成比となるよう撹拌混合し、重合性組成物の塗布液R−2を調製した。
<組成>
・着色剤(顔料分散液(P1)) ・・・200部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・19.20部
(PGMEA:溶剤)
・乳酸エチル ・・・36.67部
・樹脂 ・・・33.51部
(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(=60/22/18[モル比])の40%PGMEA溶液)
・エチレン性不飽和二重結合含有化合物 ・・・12.20部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) ・・・0.0061部
・フッ素系界面活性剤 ・・・0.83部
(F−475、大日本インキ化学工業(株)製)
・光重合開始剤(トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤)・・・0.586部
【0384】
前記した固体撮像素子用カラーフィルタの作製のために用いた有彩色顔料を用い、調製した塗布液R−2と同様に、緑色(G)用の塗布液G−2、及び青色(B)用の塗布液B−2を調製した。
【0385】
−液晶表示装置用カラーフィルタの作製−
実施例1で作製した遮光性フィルタをブラックマトリックスとし、該ブラックマトリックス上に、前記赤色(R)用の塗布液R−2を用いて、実施例1に記載の方法と同じ要領で80×80μmの赤色(R)の着色パターンを形成した。さらに、同様にして緑色(G)用の塗布液G−2を用いて緑色(G)の有彩色着色パターンを、及び青色(B)用の塗布液B−2を用いて青色(B)の有彩色着色パターンを順次形成して液晶表示装置用のブラックマトリクスを有するカラーフィルタを作製した。
【0386】
−評価−
フルカラーのカラーフィルタにITO透明電極、配向膜等の加工を施し、液晶表示装置を設けた。本発明の重合性組成物は塗布面が均一性が良好で、液晶表示装置は表示ムラもなく、画質は良好であった。
【0387】
(実施例35)
<ウエハレベルレンズの作製>
実施例1で作製した重合性組成物を用い、これをレンズを設けたシリコンウエハ上に塗布することにより、遮光層が設けられたウエハレベルレンズを作製した。
【0388】
作製されたウエハレベルレンズを切断し、これにレンズモジュールを作製した後に撮像素子及びセンサ基板を取り付け、撮像ユニットを作製した。
本発明のウエハレベルレンズは、遮光層の部分の塗布面の均一性が高く、遮光性が高く、この撮像ユニットを際の画質は良好であった。
【符号の説明】
【0389】
1: パターンエッジ
2: ステップ
10: ブラックマトリックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)チタンブラックと(B)グラフト共重合体と(C)溶媒とを含む分散組成物、(D)重合性化合物、及び(E)オキシム系重合開始剤を含む重合性組成物。
【請求項2】
前記(B)グラフト共重合体は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
前記(B)グラフト共重合体におけるグラフト鎖が、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の重合性組成物。
【請求項4】
前記(B)グラフト共重合体が、少なくとも下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むグラフト共重合体である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【化1】


〔式(1)〜式(5)中、X、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表し、Y、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、Z、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、水素原子又は1価の有機基を表し、共重合体中に構造の異なるRが存在していてもよい。n、m、p、q、及びrは、それぞれ1〜500の整数を表す。〕
【請求項5】
前記(B)グラフト共重合体が、前記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を、該グラフト共重合体の総質量に対し質量換算で、10%〜90%の範囲で含むグラフト共重合体である請求項4に記載の重合性組成物。
【請求項6】
前記(B)グラフト共重合体が、チタンブラックと相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位をさらに含むグラフト共重合体である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記(B)グラフト共重合体が、さらにカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基のうち少なくとも1種を有するグラフト共重合体である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項8】
前記オキシム系重合開始剤が、下記化合物群より選ばれる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【化2】

【請求項9】
分散組成物の粘度が39mPa・s以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の重合性組成物。
【請求項10】
基板上に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の重合性組成物を用いて形成された着色パターンを有する遮光性カラーフィルタ。
【請求項11】
請求項10に記載の遮光性カラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【請求項12】
請求項10に記載の遮光性カラーフィルタを備えた液晶表示装置。
【請求項13】
複数のレンズが一体に成形された基板と、該基板の前記レンズのレンズ面を除く領域に設けられた請求項10に記載の遮光性カラーフィルタと、を備えたウエハレベルレンズ。
【請求項14】
請求項13に記載のウエハレベルレンズを備えた撮像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−76086(P2013−76086A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−286026(P2012−286026)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2009−227996(P2009−227996)の分割
【原出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】