説明

重合性組成物

本発明は、少なくとも2つの特定のベンゾオキサジンを含有する重合性組成物、および重合性組成物から得られる硬化生成物に関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの特定のベンゾオキサジンを組み込むことによる、重合性組成物の重合速度の増加に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの特定のベンゾオキサジンを含む重合性組成物、および重合性組成物から得られる硬化生成物に関する。より詳細には、本発明は、少なくとも1つの特定のベンゾオキサジンを組み込むことによる、重合性組成物の重合速度の増加に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾオキサジンは、一般に、高ガラス転移温度、良好な電気的特性(例えば誘電率)、ならびに低可燃性を有していることが、文献において報告されてきた。
【0003】
通常、ベンゾオキサジンは比較的高温で硬化する。ベンゾオキサジンの重合温度を下げるために、フェノール(特開2000−178332号)、カルボン酸(特開2001−213957号、米国特許第6,376,080号)、アミン(特開2000−86863号)、イミダゾール(特開2000−178332号)、ならびにホスフィン(特開2003−82099号)のような、種々の触媒が報告されている。米国特許第6,225,440号は、ベンゾオキサジンの重合に高活性な触媒として、ルイス酸、例えばPCl、TiCl、AlClを開示する。
【0004】
しかしながら、実際の適用において、このような強酸は最終の重合結果とその実用特性に否定的に寄与する。例えば、硬化物質の耐薬品性および物理的性質の悪化が現れ得る。さらに、例えばPCl、TiCl、AlClなどのルイス酸は、水分に対して極めて敏感であり、揮発性、有毒および腐食性不純物の生成を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−178332号公報
【特許文献2】特開2001−213957号公報
【特許文献3】米国特許第6,376,080号明細書
【特許文献4】特開2000−86863号公報
【特許文献5】特開2000−178332号公報
【特許文献6】特開2003−82099号公報
【特許文献7】米国特許第6,225,440号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その技術状況にも関わらず、比較的低温で短時間に環境に優しい方法で、有毒および/または腐食性化合物を使用せずに硬化させることができる、ベンゾオキサジンに基づく重合性組成物を作ることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、本発明の発明者らは、2つの異なるベンゾオキサジンを含む重合性組成物が、比較的低温で短時間に環境に優しい方法で、いかなる追加の触媒も用いることなく硬化できることを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、
(a)式(I):
【化1】

[式中、qは1〜4の整数であり、Zは、直接結合(qが2の場合)、水素(qが1の場合)、アルキル(qが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(qが2の場合)、スルホキシド(qが2の場合)、およびスルホン(qが2の場合)からなる群から選択され、Yはヒドロキシル基および窒素含有複素環からなる群から選択され、Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られてよい、1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で表される、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物A、
および、
(b)ベンゾオキサジン化合物Aと異なる、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物B(これは、化合物Bは式(I)に合致せず、異なる分子構造を有していることを意味する)、
を含む、重合性組成物を提供する。
【0009】
重合性組成物は、コーティング、接着剤、シーラントおよび例えばプリプレグおよびトウプレグのような強化材料の調製用母材として特に適しており、および/または射出成形または押し出し成形に使用できる。
【0010】
したがって、本発明の他の目的は、本発明の重合性組成物および本発明の重合性組成物の硬化反応生成物、特に繊維の束または層を含有する硬化反応生成物を含有する、接着剤、シーラントまたはコーティングを提供することである。さらに、このような物質の製造方法を提供する。
【0011】
本発明の他の目的においては、式(I)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物を、硬化性組成物用の硬化剤として使用する。さらに、250℃以下の温度で硬化性組成物の重合速度を増加させる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】異なるベンゾオキサジンの重合に対する時間−変換の相関を示す図である。
【図2】共重合または単独重合における時間−変換の相関を示す図である。
【図3】DSCダイアグラムを示す図である。
【図4】DSCダイアグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の重合性組成物は、少なくとも2つの異なるベンゾオキサジン化合物AおよびBを含んでなる。
【0014】
少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aは、式(I):
【化2】

[式中、qは1〜4の整数であり、Zは、直接結合(qが2の場合)、水素(qが1の場合)、アルキル(qが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(qが2の場合)、スルホキシド(qが2の場合)、およびスルホン(qが2の場合)からなる群から選択され、Yはヒドロキシル基および窒素含有複素環からなる群から選択され、Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られてよい、1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で表される。
【0015】
「によって遮られる」の用語は、本発明において使用される場合、2価のアルキレン基の炭素原子が、−−S−−(硫黄)、−−O−−(酸素)、および−−NH−−(窒素)からなる群から選択されるヘテロ原子により置き換えられた(そのため、前記炭素原子は前記アルキレン基の末端原子でない)、2価のアルキレン基であるRを意味する。
【0016】
本発明の特定の態様において、Rは水素、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびiso−ブチルからなる群から選択される。特に好ましい態様において、Rは水素またはメチルから選択される。
【0017】
2価のアルキレン基Rとしては、飽和または不飽和の、置換または非置換の2価のアルキレン基が挙げられる。
【0018】
本発明の好ましい態様において、アルキレン基Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られず、2〜約8個の炭素原子を含有する。好ましいRは、直鎖で2価のアルキレン基、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンから選択され得る。
【0019】
本発明の特定の態様において、Rは、1〜4個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を含有する直鎖で2価のアルキレン基である。
【0020】
本発明の他の好ましい態様において、2価のアルキレン基Rは酸素によって遮られる。特に好ましいRは、少なくとも1個の酸素原子によって遮られた直鎖で2価のアルキレン基である。より好ましいRは、1個の酸素ヘテロ原子によって遮られた直鎖で2価のアルキレン基であり、このアルキレン基が3〜6個の炭素原子を含む。
【0021】
2価のアルキレン基Rが1個より多くのヘテロ原子(例えば酸素)によって遮られる場合、2個のヘテロ原子間の最も短い原子鎖が、少なくとも2個の連続した炭素原子を含有するのが好ましい。
【0022】
2価のアルキレン基Rが1個以上のヘテロ原子(例えば酸素)によって遮られる式(I)で表されるベンゾオキサジン化合物Aは、このベンゾオキサジン化合物が改良された水溶性を示し、したがって、水性用途に使用することができるため、有利である。
【0023】
Yがヒドロキシル基である場合、式(I)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aは、ヒドロキシル官能基を有する残基を有する。したがって、これらの種類のベンゾオキサジン化合物は、本発明においてヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン化合物と名付ける。
【0024】
ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン化合物の具体例を以下に挙げる。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【0025】
式(I)で表されるヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン化合物は、一般的に、例えば日本国特許出願の特開2002−302486号公報、第11頁、第66行〜100行に開示する方法のような、いずれの方法によっても調製することができる。前記方法は、フェノール性化合物の、アルデヒド、例えばホルムアルデヒドおよび脂肪族アミノアルコールとの反応に依存する。反応時間は、反応物濃度、反応性および温度によって、数分から数時間までさまざまである。また、式(II)で表されるヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンの調製方法は、KiskanおよびYagciによって、Polymer 46(2005)、第11690−11697頁、およびKiskan、YagciおよびIshidaによって、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry(2008)、第46巻、第414−420頁に開示されている。
【0026】
適当なフェノール性化合物の例としては、置換または非置換、モノまたはビスフェノール性化合物、例えば、フェノール、4−メチル−フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびチオジフェノールが挙げられる。
【0027】
適当な脂肪族アミノアルコールの例としては、2−アミノエチルアルコール、3−アミノ−1−プロパノール、アミノ−2−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、4−アミノ−2−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、7−アミノ−1−ヘプタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、および2−(2−アミノエトキシ)エタノール(これらは全てSigma−Aldrich社より市販されている)、および、2−アミノ−1,3−プロパンジオール(Tokyo Chemical Industry社より市販されている)が挙げられる。
【0028】
式(I)で表されるヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン化合物を調製するために、上記の合成に関わらず、出発反応物の性質に応じて別の合成が使用できる。
【0029】
好適な別の例として、式(I)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aは、残基Yとして窒素含有複素環を有する。
【0030】
「窒素含有複素環」の用語は、本発明において、3〜8個の環原子、好ましくは5〜6個の環原子を有し、少なくとも1個の窒素ヘテロ原子と少なくとも2個の炭素原子を含有する、単環式の環状構造に関して使用する。前記、窒素含有複素環としては、飽和または不飽和の、置換または非置換の環系が挙げられ、さらに、他のヘテロ原子(例えば硫黄および酸素)を含んでいてもよい。窒素含有複素環は、残基Rを介してベンゾオキサジン部分に結合する、一方、Rは、形式的には炭素または窒素の環原子に共有結合している水素原子を置き換えることによって、いずれの炭素またはいずれの窒素の環原子とも結合できる。
【0031】
本発明の好適な窒素含有複素環は、5員環の複素環、例えば、イミダゾール、イミダゾリドン、テトラゾール、オキサゾールピロール、ピロリン、ピロリジン、およびピラゾール、または6員環の複素環、例えば、ピペリジン、ピペリドン、ピペラジン、ピリジン、ジアジンおよびモルホリンから選択してよい。
【0032】
特に好ましくは、窒素含有複素環は、好ましくは5個または6個の環原子を含んでなる芳香族および/または非置換の複素環である。特に、窒素含有複素環は、好ましくは少なくとも2個の窒素ヘテロ原子を含む。
【0033】
Yが窒素含有複素環である場合、式(I)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aは、複素環残基を有する。したがって、これらの種類のベンゾオキサジン化合物は、本発明において、複素環官能性ベンゾオキサジン化合物と名付ける。
【0034】
式(I)における最も好適な複素環残基Yは、置換または非置換イミダゾールであり、このイミダゾールは残基Rを介してベンゾオキサジン部分に結合する、一方、Rは、いずれの炭素原子またはイミダゾールの1個の窒素原子に結合できる。
【0035】
前記、式(I)で表されるイミダゾール官能性ベンゾオキサジン化合物は、本発明の重合性組成物の特に好ましい成分である。
【0036】
したがって、複素環官能性ベンゾオキサジン化合物の具体例は式(III):
【化12】

[式中、q、Z、RおよびRは、上記で定義されたものであり、RおよびRは、独立して水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択される]
で表される。
【0037】
本発明の特定の態様において、RおよびRは、独立して水素、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびiso−ブチルからなる群から選択される。本発明の特に好ましい態様において、RおよびRは、独立して水素およびメチルからなる群から選択される。
【0038】
式(III)の代表的な複素環官能性ベンゾオキサジン化合物としては、次の構造が挙げられる。
【化13】

【化14】

[式中、q、Z、R、R、RおよびRは、上記で定義されたものである]
【0039】
本発明の特に好ましい態様において、構造(B-X)に示すように、Rはイミダゾール複素環の1個の窒素原子に結合する。
【0040】
一般的に前述した、式(III)で表される複素環官能性ベンゾオキサジン化合物の具体例を以下に挙げる。
【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【0041】
式(III)で表される前記の複素環官能性ベンゾオキサジン化合物は、通常、少なくとも1つのフェノール性化合物と、アルデヒド、例えばホルムアルデヒドおよび少なくとも1つのアミノアルキルイミダゾール化合物とを反応させて調製してよい。
【0042】
適当なフェノール性化合物の例としては、置換または非置換、モノまたはビスフェノール性化合物、例えば、フェノール、4−メチル−フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよびチオジフェノールが挙げられる。
【0043】
本発明のためには、アルデヒドとしてホルムアルデヒドを用いるのが特に望ましい。
【0044】
全てのホルムアルデヒドはホルマリンとして供され得るが、ホルマリンは高価であり、後で除去しなければならない不必要な量の水を系に導入するため、好ましくない方法である。しかしながら、式(II)で表されるベンゾオキサジンの調製において、パラホルムアルデヒドに加えてホルマリンを用いることは有利である。パラホルムアルデヒドは、ホルマリンよりも格段に安価であるため好ましい。しかしながら、固体パラホルムアルデヒドは、大半の有機溶媒に不溶性である。このため、反応は固体−液体界面で起こらざるをえず、したがって、反応速度が著しく限定される。ホルマリンをパラホルムアルデヒドと併用することで、パラホルムアルデヒドを溶解するのに十分な水およびメタノールが与えられる。または、単に水を用いてもよい。したがって、ホルムアルデヒドの乾燥重量に基づいて、パラホルムアルデヒド/ホルマリン比を少なくとも1:1、好ましくは約8:1の割合、およびそれ以上で用いることが有利である。しかしながら、前述した遅い反応速度という欠点を考慮すると、ホルムアルデヒドは水を含有しない形、例えば、パラホルムアルデヒド、トリオキサンまたはポリオキシメチレンのみで用いることができ、パラホルムアルデヒドが最も好ましい。
【0045】
本発明の代表的なアミノアルキルイミダゾール化合物としては、一般構造(IV)の化合物が挙げられる。
【化22】

[式中、R6`は、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られ得る1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、RおよびRは、上記で定義されたものである]
【0046】
「によって遮られる」の用語は、本発明において使用される場合、2価のアルキレン基の炭素原子が、−−S−−(硫黄)、−−O−−(酸素)、および−−NH−−(窒素)からなる群から選択されるヘテロ原子により置き換えられた(そのため、前記炭素原子は前記アルキレン基の末端原子ではない)、2価のアルキレン基R6`を意味する。
【0047】
2価のアルキレン基R6`は、飽和または不飽和の、置換または非置換2価のアルキレン基を含む。
【0048】
本発明の好ましい態様において、アルキレン基R6`は、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られず、2〜約8個の炭素原子を含有する。好ましいR6`は、直鎖で2価のアルキレン基、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよびヘキシレンから選択できる。
【0049】
本発明の特定の態様において、R6`は、1〜4個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を含有する、直鎖で2価のアルキレン基である。
【0050】
本発明の他の好ましい態様において、2価のアルキレン基R6`は酸素によって遮られる。特に好ましくは、R6`は、少なくとも1個の酸素原子によって遮られた直鎖で2価のアルキレン基である。より好ましくは、R6`は、1個の酸素ヘテロ原子によって遮られた直鎖で2価のアルキレン基であり、前記アルキレン基が3〜6個の炭素原子を含有する。
【0051】
2価のアルキレン基R6`が1個より多くのヘテロ原子(例えば酸素)によって遮られる場合、2個のヘテロ原子間の最も短い原子鎖が、少なくとも2個の連続した炭素原子を含有するのが好ましい。
【0052】
式(IV)の代表的なアミノアルキルイミダゾール化合物としては、次の構造が挙げられる。
【化23】

【化24】

[式中、R6`およびRは、上記で定義されたものである]
【0053】
本発明の特に好ましい態様において、式(V)に示すように、R6`はイミダゾール複素環の1個の窒素原子に結合する。
【0054】
式(V)の1−アミノアルキルイミダゾール化合物も同様に、市販品として入手できる、一般的に知られた化合物である。
【0055】
市販の1−アミノアルキルイミダゾール化合物の例は、Lupragen(登録商標)APIの商標名でBASF SEより市販されている1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ChemPacificより市販されている3−イミダゾール−1−イル−2−メチル−プロピルアミン、3B Scientific Corporationより市販されている2−メチル−1H−イミダゾール−1−プロパンアミン、Ambinter、ParisCollectionより市販されている3−イミダゾール−1−イル−2−ヒドロキシ−プロピルアミン、Ambinter、Parisより市販されている1−(4−アミノブチル)イミダゾール、ChemBridge Corp.より市販されている2−エチル−1H−イミダゾール−1−プロパンアミンである。
【0056】
しかしながら、所望であれば、市販のものを用いる代わりに、Houben-Weyl、Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry]、E 16d巻、755頁以下参照、Georg-Thieme-verlag Stuttgart、1992、に記載された方法に従って、1−アミノアルキルイミダゾール化合物を調製することができる。
【0057】
式(VI)の2−アミノアルキルイミダゾールも同様に、一般的に知られた化合物である。これらは、例えば、Tetrahedron 2005、第61巻、第11148−11155頁に記載された合成方法に従って調製できる。
【0058】
本発明のいくつかの好ましい態様において、本発明の重合性組成物は、異なるヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン化合物Aの混合物、または、異なる複素環官能性ベンゾオキサジン化合物Aの混合物を含有してもよい。さらに、特定の態様において、少なくとも1つのヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンと少なくとも1つの複素環官能性ベンゾオキサジンの混合物を本発明に用いることができる。
【0059】
本発明の好ましい態様において、ベンゾオキサジン化合物Bは、式(I)のベンゾオキサジン化合物と異なる。
【0060】
本発明の特に好ましい態様において、ベンゾオキサジン化合物Aと異なる少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bは、次の式(II)および/または式(IIa)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジンを含んでなることができる。
【化25】

【化26】

[式中、mは1〜4の整数であり、Xは、直接結合(mが2の場合)、水素(mが1の場合)、アルキル(mが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(mが2の場合)、スルホキシド(mが2の場合)、およびスルホン(mが2の場合)からなる群から選択され、Rは水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択され、かつ、Rは、いずれのヒドロキシル基またはいずれの窒素含有複素環も含有せず、Kは、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルイソプロパン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、およびジフェニルケトンからなる群から選択され、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、または、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基であり、R4`はRとして定義される]
【0061】
上記に定義したように、「窒素含有複素環」の用語は、本発明において、3〜8個の環原子、好ましくは5〜6個の環原子を有し、少なくとも1個の窒素ヘテロ原子と少なくとも2個の炭素原子を含有する、単環式環状構造に関して使用する。前記、窒素含有複素環としては、飽和または不飽和の、置換または非置換の環系が挙げられ、さらに、他のヘテロ原子(例えば硫黄および酸素)を含んでいてもよい。
【0062】
本発明の好ましい態様において、Rおよび/またはR4`は水素である。
【0063】
式(II)の中で、より具体的には、本発明の少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bは、次の構造(B-XIX)に包含され得る。
【化27】

[式中、Xは、直接結合、CH、C(CH、C=O、O、S、S=OおよびO=S=Oから選択され、RおよびRは同一または異なり、Rは上記で定義されたものであり、RはRとして定義され、Rは同一または異なり、上記で定義されたものである]
【0064】
構造(B-XIX)の代表的なベンゾオキサジンとしては、以下が挙げられる。
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

[式中、R、RおよびRは、上記で定義されたものである]
【0065】
式(II)および/または式(IIa)に包含されないが、本発明のさらなるベンゾオキサジン化合物Bは、次の構造である。
【化32】

【化33】

【化34】

[式中、R、RおよびRは、上記で定義されたものであり、RはRとして定義される]
【0066】
一般的に前述したベンゾオキサジンの具体例を以下に挙げる。
【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【0067】
式(II)および/または式(IIa)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bは、多官能性ベンゾオキサジンと単官能性ベンゾオキサジンの組み合わせを含有してもよく、あるいは、1つ以上の多官能性ベンゾオキサジンまたは1つ以上の単官能性ベンゾオキサジンの組み合わせであってよい。
【0068】
単官能性ベンゾオキサジンの例は、次の構造(B-XXXV)に包含され得る。
【化43】

[式中、RおよびRは、上記で定義されたものである]
【0069】
例えば、単官能性ベンゾオキサジンは一般構造(B-XXXVI)に包含され得る。
【化44】

[式中、この場合は、RIは、アルキル、アルケニル(それぞれ任意に置換され、または、1個以上のO、N、S、C=O、COO、およびNHC=Oによって遮られる)およびアリールから選択され、jは0〜4の整数であり、RII、RIII、RIV、RVおよびRVIはそれぞれ、いずれのヒドロキシル基またはいずれの窒素含有複素環をも含有せず、RII、RIII、RIV、RVおよびRVIは、独立して水素、アルキル、アルケニル(それぞれ任意に置換され、または、1個以上のS、C=Oによって遮られる)およびアリールから選択される]
【0070】
このような単官能性ベンゾオキサジンの具体例は:
【化45】

[式中、RIは上記で定義されたものである]
または、
【化46】

である。
【0071】
本発明の特に好ましい態様において、ベンゾオキサジン化合物Aと異なる少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bは、「脂肪族ベンゾオキサジン」、すなわちベンゾオキサジン残基の窒素原子に結合する脂肪族残基を有するベンゾオキサジン、例えば上記の式(B-XXVII)の化合物である。しかしながら、他の好ましい態様においては、「芳香族ベンゾオキサジン」、すなわちベンゾオキサジン残基の窒素原子に結合する芳香族残基を有するベンゾオキサジン、例えば式(B-XXIX)または(B-XXX)の化合物を用いるのが好ましくあり得る。いくつかの他の好ましい態様において、前述したベンゾオキサジンの混合物が有利に使用される。
【0072】
さらに、本発明におけるいくつかの他の好ましい態様において、本発明の重合性組成物は、式(II)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジンと式(IIa)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジンとの混合物を含有してよい。
【0073】
ベンゾオキサジンは、現在、Huntsman Advanced Materials、Georgia-Pacific Resins, Inc.、およびShikoku Chemicals Corporation、千葉、日本など数箇所から市販されている。
【0074】
しかしながら、所望であれば、市販のものを用いる代わりに、一般的に、フェノール性化合物(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSまたはチオジフェノール)と、アルデヒドおよびアルキルまたはアリールアミンとを反応させて本発明のベンゾオキサジンを調製してもよい。米国特許第5,543,516号(これにより参照によって本明細書中に明示的に組み込まれるものとする)は、ベンゾオキサジンの生成方法を記載し、その反応時間は、反応物濃度、反応性および温度によって、数分から数時間まで変化し得る。一般的に、米国特許第4,607,091号(Schreiber)、第5,021,484号(Schreiber)、第5,200,452号(Schreiber)および第5,443,911号(Schreiber)を参照のこと。
【0075】
本発明のさらに好ましい態様において、重合性組成物は、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aと少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bを、99.9:0.1〜0.1:99.9、好ましくは50:50〜1:99のモル比で含んでなる。
【0076】
ベンゾオキサジン化合物Aとベンゾオキサジン化合物Bの特に好ましい割合は、2:98、3:97、4:96、5:95、6:94、7:93、8:92、9:91、10:90、15:85、20:80、25:75、30:70、35:65、40:60および45:65である。
【0077】
本発明の特定の態様において、重合性組成物は、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aを、重合性組成物の総量に基づいて約5〜約95重量パーセント、好ましくは約20〜約80重量パーセント、より好ましくは約40〜60重量パーセントの量で含有する。
【0078】
本発明のさらなる態様において、重合性組成物は、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bを、重合性組成物の総量に基づいて約5〜約95重量パーセント、好ましくは約20〜約80重量パーセント、より好ましくは約40〜60重量パーセントの量で含有する。
【0079】
好適には、重合性組成物中の全てのベンゾオキサジン化合物の総量は、重合性組成物の総量に基づいて、約10〜約100重量パーセント、好ましくは約20〜約99重量パーセント、より好ましくは約30〜95重量パーセントの範囲である。
【0080】
本発明の1つの態様において、本発明の重合性組成物は、エポキシ樹脂の添加が必要でなくても、1つ以上のエポキシ樹脂すなわちエポキシ含有化合物をさらに含有してよい。好ましくは用いるエポキシ樹脂の量は、60重量パーセント、より好ましくは40重量パーセント、最も好ましくは10重量パーセントを超えない。特に好適には、本来エポキシ樹脂を含有しない重合性組成物である。
【0081】
重合性組成物に使用するための市販のエポキシ含有化合物を以下に説明する。
【0082】
使用されるエポキシ含有化合物は、多官能性エポキシ含有化合物、例えば、C−C28アルキル−、ポリ−フェノールグリシジルエーテル;ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン(またはビスフェノールF、例えばNippon Kayuku(日本)から市販されているRE−303−SまたはRE−404−S)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルジメチルメタン(またはビスフェノールA)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびトリ(4−ヒドロキシフェニル)メタンのポリグリシジルエーテル;遷移金属錯体のポリグリシジルエーテル;前記ジフェノールの塩素化および臭素化生成物;ノボラックのポリグリシジルエーテル;芳香族ヒドロカルボン酸とジハロアルカンまたはジハロゲンジアルキルエーテルの塩をエステル化して得られるジフェノールのエーテルをエステル化して得られる、ジフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールと、少なくとも2個のハロゲン原子を含有する長鎖ハロゲンパラフィンとを縮合して得られる、ポリフェノールのポリグリシジルエーテル;フェノールノボラックエポキシ;クレゾールノボラックエポキシ;およびそれらの組み合わせを含んでよい。
【0083】
市販のエポキシ含有化合物のうち本発明で使用するのに適当なものは、例えばEPON 825、EPON 826、EPON 828、EPON 1001、EPON 1007およびEPON 1009の商標名で市販されているフェノール性化合物のポリグリシジル誘導体、例えば、Huntsman社製のAraldite CY179といった脂環式のエポキシ含有化合物、または、商標名EPI−REZ 3510、EPI−REZ 3515、EPI−REZ 3520、EPI−REZ 3522、EPI−REZ 3540またはEPI−REZ 3546(Hexion社製)、DER 331、DER 332、DER 383、DER 354、およびDER 542(Dow Chemical Co.製)、GY285(Huntsman, Inc.製)およびBREN−S(Nippon Kayaku社製、日本)といった水性分散体である。他の適当なエポキシ含有化合物としては、ポリオール等から調製されたポリエポキシドおよびフェノール−ホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジル誘導体が挙げられ、後者は、DEN 431、DEN 438、およびDEN 439(Dow Chemical Company製)、および水性分散体ARALDITE PZ 323(Huntsman社製)の商標名で市販されている。
【0084】
クレゾール類似体も、例えば、ECN 1273、ECN 1280、ECN 1285、およびECN 1299または水性分散体ARALDITE ECN 1400(Huntsman, Inc製)のように市販されている。SU-8およびEPI−REZ 5003は、Hexion社より市販されているビスフェノールA型のエポキシノボラックである。エポキシまたはフェノキシ官能基修飾(例えば、HELOXY商標のエポキシ修飾体67、71、84、および505)は、粘着性、柔軟性および強靭性を改良する。
【0085】
もちろん、異なるエポキシ樹脂(エポキシ含有化合物)の組み合わせをここで用いるのも望ましい。
【0086】
エポキシ含有化合物は、重合性組成物中で、硬化性組成物の総重量に基づいて、好ましくは0〜60、より好ましくは5〜50、最も好ましくは6〜10重量パーセントの量で使用できる。
【0087】
ベンゾオキサジンに基づく原料およびエポキシに基づく原料の他のさらなる硬化性原料は、例えばフェノール樹脂、マレインイミド樹脂、オキサゾリン、イソシアネートなどである。
【0088】
所望であれば、反応性希釈剤、例えばスチレンオキシド、ブチルグリシジルエーテル、2,2,4−トリメチルペンチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、合成で高度に分枝し主に三級の脂肪族モノカルボン酸のクレシルグリシジルエーテルまたはグリシジルエステル、オキサゾリン基を含有する化合物を、粘度を減らすために、重合性組成物に添加してもよい。
【0089】
本発明の重合性組成物が含有できる他の添加剤は、強化剤、可塑剤、増量剤、マイクロスフェア、充填剤および補強剤であり、例えばコールタール、ビチューメン、織物繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、ホウ素繊維、炭素繊維、鉱物ケイ酸塩、マイカ、粉末石英、水和アルミニウム酸化物、ベントナイト、珪灰石、カオリン、シリカ、エアロゲルまたは金属粉末、例えばアルミニウム粉末または鉄粉、ならびに顔料および染料、例えば、カーボンブラック、酸化物顔料および二酸化チタン、難燃剤、チキソトロピー剤、流れ制御剤、例えば、シリコーン、ワックスおよびステアレートであり、それらは一部、離型剤としても用いることができ、接着促進剤、酸化防止剤および光安定剤であって、それらの多くの粒径と分布は、本発明の重合性組成物の物理的性質と性能を変化させるために制御され得る。
【0090】
使用する際には、充填剤を所望のレオロジー特性を与えるのに十分な量で用いる。充填剤は、約50重量パーセント以下、例えば約5〜約32重量パーセント、例えば、約10〜約25重量パーセントの量で使用してよい。
【0091】
充填剤は、無機のもの、例えばシリカであってよい。例えば、シリカ充填剤はシリカのナノ粒子であり得る。
【0092】
本発明の好ましい態様において、重合性組成物は、20℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃の温度および/または1〜100atmの間、好ましくは1〜5atmの間、より好ましくは大気圧の圧力で硬化する。
【0093】
本発明の重合性組成物は、特定の用途のために追加触媒の使用が所望される場合に、その有利な特徴を失うことなく、追加触媒で補強することもできる。
【0094】
これについてルイス酸、ならびに他の既知のカチオン性開始剤、例えば、金属ハロゲン化物、有機金属誘導体;金属ポルフィリン化合物、例えば、アルミニウムフタロシアニンクロリド、無水物、メチルトシラート、メチルトリフラート、およびトリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid);およびオキシハライドを、本発明の重合性組成物に添加することができる。
【0095】
しかしながら、前記触媒は、揮発性、有毒および腐食性の不純物の生成を引きおこし得ることを考慮すると、重合性組成物は前述の追加触媒を含まないのが好ましい。
【0096】
上で述べたように、本発明の重合性組成物は、特にコーティング、接着剤、シーラントおよび強化材料の製造用母材、例えばプリプレグおよびトウプレグとして好適であり、および/または、射出成形または押し出し成形に用いることができる。
【0097】
したがって、本発明の重合性組成物を含んでなる接着剤、シーラントまたはコーティングを提供することは、本発明の別の目的である。
【0098】
本発明は、また、重合性組成物の硬化反応生成物、特に、重合性組成物を注入した繊維の束または層を含有する硬化反応生成物と、このような物質の製造方法を提供する。
【0099】
これについて、本発明は、プリプレグまたはトウプレグの製造方法に関する。このような方法の1つは、(a)繊維の層または束を供給する工程(b)本発明の重合性組成物を供給する工程(c)この重合性組成物と繊維の層または束を接合しプリプレグまたはトウプレグ組立部品を形成する工程、および、(d)任意に、プリプレグまたはトウプレグ組立部品から過剰の重合性組成物を除去し、得られたプリプレグまたはトウプレグ組立部品に、繊維の層または束に重合性組成物を注入し硬化反応生成物としてプリプレグまたはトウプレグ組立部品を形成するのに十分な高温および圧力条件を施す工程を含む。
【0100】
プリプレグまたはトウプレグの別のこのような製造方法は、(a)繊維の層または束を供給する工程(b)本発明の重合性組成物を液状で供給する工程(c)この重合性組成物に繊維の層または束を通し、繊維の層または束に該重合性組成物を注入する工程、および、(d)過剰の該重合性組成物を、プリプレグまたはトウプレグ組立部品から除去し、得られたプリプレグまたはトウプレグ組立部品に、繊維の層または束に重合性組成物を注入し硬化反応生成物としてプリプレグまたはトウプレグ組立部品を形成するのに十分な高温および圧力条件を施す工程を含む。
【0101】
通常、繊維の層または束は、一方向性繊維、織り繊維、短繊維、不織繊維、または長い不連続繊維から構成してよい。
【0102】
選ばれる繊維は、炭素、ガラス、アラミド、ホウ素、ポリアルキレン、石英、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリp−フェニレンベンゾビスオアキサゾール、炭化ケイ素、フェノールホルムアルデヒド、フタレートおよびナフテノエートから選択してよい。
【0103】
炭素は、ポリアクリロニトリル、ピッチおよびアクリルから選択され、ガラスは、Sガラス、S2ガラス、Eガラス、Rガラス、Aガラス、ARガラス、Cガラス、Dガラス、ECRガラス、ガラス繊維、ステープルガラス、Tガラスおよび酸化ジルコニウムガラスから選択される。
【0104】
本発明の重合性組成物(ならびにこれらから製造されるプリプレグおよびトウプレグ)は、航空宇宙用および工業用最終用途の複合部品の製造および組み立て、複合材料と金属部品の結合、サンドイッチ構造用のコアおよびコア−フィルおよび複合材料表面仕上げにおいて特に有用である。
【0105】
本発明の重合性組成物は、エレクトロニクス産業用のコーティング、シーラントまたは接着剤としても有用である。本発明の重合性組成物の適用に適した基材は、金属(例えば、鋼鉄、アルミニウム、チタニウム、マグネシウム、真ちゅう、ステンレス鋼、HDGスチールおよびEGスチールのような亜鉛めっき鋼)、ケイ酸塩(例えばガラスおよび石英)、金属酸化物、コンクリート、木材、電子チップ材(例えば、半導体チップ材)またはポリマー(例えばポリイミドフィルムおよびポリカーボネート)である。
【0106】
驚くべきことに、本発明の発明者は、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aを本発明の重合性組成物に添加することにより、250℃以下の温度で本発明の重合性組成物の重合速度が増大し得ることを見出した。
【0107】
これについて、本発明は、式(I):
【化47】

[式中、qは1〜4の整数であり、Zは、直接結合(qが2の場合)、水素(qが1の場合)、アルキル(qが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(qが2の場合)、スルホキシド(qが2の場合)、およびスルホン(qが2の場合)からなる群から選択され、Yはヒドロキシル基、および窒素含有複素環からなる群から選択され、Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られてよい、1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物の、硬化性組成物用の硬化剤としての使用に関する。
【0108】
本発明は、また、250℃以下の温度で重合性組成物の重合速度を増加させる方法に関する。この方法は、
(a)式(I):
【化48】

[式中、qは1〜4の整数であり、Zは、直接結合(qが2の場合)、水素(qが1の場合)、アルキル(qが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(qが2の場合)、スルホキシド(qが2の場合)、およびスルホン(qが2の場合)からなる群から選択され、Yはヒドロキシル基および窒素含有複素環からなる群から選択され、Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られてよい、1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物を、硬化性組成物に添加する工程、
(b)硬化性組成物に、硬化性組成物を硬化するのに適した条件を施す工程、
を含む。
【0109】
「重合速度」の用語は、本発明において使用される場合、重合の開始後、初めの4時間で得られる、重合変換における各単位時間あたりの(%/時)変化量の平均値を意味する。重合速度は、例えばGC−分析、NMR分光法またはIR分光法などの既知の方法を用いて、当業者により容易に測定できる。
【0110】
本発明の好ましい態様において、重合速度は、20℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃の温度および/または1〜100atmの間、好ましくは1〜5atmの間、より好ましくは大気圧未満の圧力で測定される。
【0111】
硬化性組成物という用語は、本発明において使用される場合、好ましくは、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物B含んでなる組成物を意味する。
【0112】
本発明の特に好ましい態様において、硬化性組成物は少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bを、硬化性組成物の総量に基づいて約5〜約100重量パーセント、好ましくは約20〜約99重量パーセント、より好ましくは約40〜約95重量パーセントの量で含んでなる。
【0113】
好適には、本発明の硬化性組成物は、20℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃の温度および/または1〜100atmの間、好ましくは1〜5atmの間、より好ましくは大気圧未満の圧力で硬化する。
【0114】
比較の反応条件において、式(I)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物を本発明の硬化性組成物に添加することで、硬化性組成物の重合速度は著しく増大した。特に、硬化性組成物は、式(I)で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物を硬化剤として用いることにより、比較的に低温で、短時間に、環境に優しい方法で硬化できる。
【0115】
本発明の硬化性組成物の高い反応性のために、重合工程に用いる熱エネルギーの量を減少できる。さらに、重合工程に用いる追加の触媒、例えば強酸および/またはルイス酸の量も減少できる。したがって、前記触媒の分解、ならびに、有毒および/または腐食性の副生成物の発生を引き起こすことなく、重合工程を行うことができる。
【実施例】
【0116】
以下の実施例により、発明をさらに説明する。
【0117】
〔A.官能性ベンゾオキサジンの合成〕
〔A.1 ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンの合成〕
前述のように、式(I)で表されるヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン(Y=OH)は、例えば、日本国特許出願の特開2002−302486(A)号公報、第11頁、第66〜100行に開示されている方法のような、いずれの方法によっても調製することができる。その方法は、フェノール性化合物の、アルデヒド、例えばホルムアルデヒドおよび脂肪族アミノアルコールとの反応に依存する。反応時間は、反応物濃度、反応性および温度によって、数分から数時間まで様々であり得る。また、式(I)で表されるヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンの調製方法は、KiskanおよびYagciによって、Polymer 46 (2005)、第11690頁−11697頁、およびKiskan、YagciおよびIshidaによって、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry (2008)、第46巻、第414−420頁に開示されている。
【0118】
#Box-1、#Box-2、およびRef-Boxは、前記のいずれかの方法により、モノエタノールアミンおよびホルムアルデヒドと4−メチル−フェノール(#Box-1)とを、モノエタノールアミンおよびホルムアルデヒドとビスフェノールA(#Box-2)、2−(2−アミノエトキシ)エタノールとを、ならびに、メチルアミンおよびホルムアルデヒドと4−メチル−フェノール(Ref-Box)とを反応させて調製することができる。
【化49】

【化50】

【化51】

【0119】
〔A.2 複素環官能性ベンゾオキサジンの合成〕
〔A.2.1 #Box-4の合成〕
【化52】

【0120】
撹拌装置、冷却器、電気式温度計、滴下漏斗および窒素ガス注入口を備えた500mlの三口丸底フラスコに、50.07gの、N−(3−アミノプロピル)−イミダゾール(0.4モル、1.0当量)の酢酸エチル(140ml)溶液を、64.93gのホルムアルデヒド(37%水溶液、2.0当量)の酢酸エチル(50ml)溶液に、5.0〜12.7℃で40分かけて滴下した。窒素ガス雰囲気下で、37.64gの、フェノール(0.4モル、1.0当量)の酢酸エチル(120ml)溶液を、反応混合物に、7.8〜9.8℃で、10分かけて滴下した。次いで、反応混合物を加熱し、攪拌しながら還流条件下で5.5時間維持した。
【0121】
上記反応により得られたわずかに濁った溶液を、NaClおよびNaOHの溶液で数回、および、10%エタノール水溶液で数回洗浄した。次いで、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。残りの溶媒は、減圧下で除去した。
【0122】
28.5%の理論収量に相当する、27.8gの生成物が得られた。
【0123】
〔B 硬化実験〕
〔B.1 ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンの硬化〕
5.0g量の#Box-1(0.026モル)を、10分割(各500mg)し、分割部をそれぞれ試験管に入れた。得られた10本の試験管に、アルゴン注入口を接続し、試験管を油浴中、150℃で加熱した。時々、試験管を1本ずつ油浴から取り出し、#Box-1の変換を測定するために、それぞれの分割部をGCにより分析した。
【0124】
同じ手順を経て、異なるパラ−メチル置換された非ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン(R=Me(Ref-Box)、n−Pr、−(CH−OMe)、参考例)の変換を、150℃で測定した。
【0125】
時間−変換の相関結果を、表1に示し、図1に図示した。
【表1】

【0126】
表1に示され、図1に図示されるように、ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンである#Box-1は、最も早い重合速度を示した。1時間の時点で、Ref-Boxでは69%のみであったのに対し#Box-1の約90%が消費された。
【0127】
〔B.2 ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンを含有する重合性組成物の硬化〕
#Box-1(2.51g、0.013モル)とRef-Box(2.12g、0.013モル)の1:1混合物を、10分割し、分割部をそれぞれ試験管に入れた。得られた10本の試験管に、アルゴン注入口を接続し、試験管を湯浴中、120℃で加熱した。時々、試験管を1本ずつ湯浴から取り出し、#Box-1およびRef-Boxの変換を測定するために、それぞれの分割部をGCにより分析した。
【0128】
同じ手順を経て、Ref-Box(参考例)の単独重合における変換を、120℃で測定した。
【0129】
時間−変換の相関結果を、表2に示し、図2に図示した。
【表2】

【0130】
図2および表2は、ヒドロキシル官能化された#Box-1の添加が、Ref-Boxの共重合速度の大幅な加速をもたらすことを示している。結果として、両方のベンゾオキサジンを、120℃でカチオン性触媒なしに(比較的速い重合速度で)重合することができた。
【0131】
〔B.3 ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジンおよび二官能性のベンゾオキサジンを含有する重合性組成物の硬化〕
【化53】

【化54】

【0132】
#Box-1(50mg、1.4810−4モル)とBox-XXVII(57.2mg、2.9610−4モル)の1:2混合物を、アルミニウムポットに入れた。このポットをTMA装置にセットし、150℃で加熱した。硬化反応中のストレージモジュラス(E’)の増加を、150℃で、TMA(熱機械分析)により追跡した。得られた時間−E’の相関は、変曲点を示した。変曲が見られた時間を、「ゲル化点(Tgel)」と定義した。異なるゲル化点を表3に示す。
【0133】
〔参考例〕
同じ手順を経て、Ref-Box(50mg、1.4810−4モル)とBox-XXVII(48.3mg、2.9610−4モル)の1:2混合物の硬化反応を、150℃で、TMA(熱機械分析)により追跡した。時間−E’の相関結果は変曲点を示した。変曲が見られた時間を、「ゲル化点(Tgel)」と定義した。
【0134】
【表3】

【0135】
表3は、ヒドロキシル官能性#Box-1の添加が、二官能性ベンゾオキサジンBox-XXVIIの重合速度の大幅な加速をもたらすことを示している。
【0136】
〔B.4 二官能性ベンゾオキサジンの硬化〕
#Box-2(100mg、2.5110−4モル)をアルミニウムポットに入れた。このポットをTMA装置にセットし、150℃で加熱した。硬化反応中のストレージモジュラス(E’)の増加を、150℃で、TMA(熱機械分析)により追跡した。時間−E’の相関結果は変曲点を示した。変曲が見られた時間を、「ゲル化点(Tgel)」と定義した。異なるゲル化点を表4に示す。
【0137】
同じ手順を経て、Box-XXVII(100mg、2.9510−4モル)の硬化反応を、150℃で、TMA(熱機械分析)により追跡した。時間−E’の相関結果は変曲点を示した。変曲が見られた時間を、「ゲル化点(Tgel)」と定義した。
【0138】
【表4】

【0139】
表4に示されるように、ヒドロキシル官能性ベンゾオキサジン#Box-2の重合速度は、脂肪族ベンゾオキサジンBox-XXVIIの重合速度よりずっと速い。
【0140】
〔B.5 複素環官能性ベンゾオキサジンを含有する重合性組成物の硬化〕
〔B.5.1〕
次の実施例に記載する重合性組成物は、次のベンゾオキサジン(Box-XXXI)を含有する。
【化55】

【0141】
95.0gの前記ベンゾオキサジンBox-XXXIに、5.0gのイミダゾール官能性ベンゾオキサジン#Box-4を添加した。混合物を、真空(<1mbar)、105〜115℃の温度で、15〜30分間攪拌した。このようにして調製した重合性組成物を、室温で、密封容器で保管した。
【0142】
重合性組成物の硬化反応を、次の条件を用いて、DSC(示差走査熱量測定)により追跡した。
雰囲気 窒素気流
加熱速度 10℃/分
冷却速度 10℃/分
温度範囲 50〜300℃
サンプル量 6〜7mg
サンプル容器 5穴のアルミニウム容器
【0143】
〔参考例〕
ベンゾオキサジンBox-XXXIの硬化反応(単独重合)を、上記と同条件を用いて、DSC(示差走査熱量測定)により追跡した。
【0144】
図3に、以下のDSCダイアグラムを示す。
実線:95重量パーセントのBox-XXXIと、5重量パーセントの#-Box-4(発明)を含有する重合性組成物
点線:100重量パーセントのBox-XXXI(参考例)を含有する組成物
【0145】
図3のDSCダイアグラムは、イミダゾール官能性ベンゾオキサジン#Box-4を添加することにより、ベンゾオキサジンに基づく重合性組成物の硬化温度を著しく下げることができることを明らかに示している。
【0146】
〔B.5.2〕
次の実施例に記載する重合性組成物は、次のベンゾオキサジン(Box-XXVII)を含有する。
【化56】

【0147】
97.5gの前記ベンゾオキサジンBox-XXVIIに、2.5gのイミダゾール官能性ベンゾオキサジン#Box-4を添加した。混合物を、真空(<1mbar)、105〜115℃の温度で、15〜30分間攪拌した。このようにして調製した重合性組成物を、室温で、密封容器で保管した。
【0148】
重合性組成物の硬化反応を、次の条件を用いて、DSC(示差走査熱量測定)により追跡した。
雰囲気 窒素気流
加熱速度 10℃/分
冷却速度 10℃/分
温度範囲 50〜300℃
サンプル量 6〜7mg
サンプル容器 5穴のアルミニウム容器
【0149】
〔参考例〕
ベンゾオキサジンBox-XXVIIの硬化反応(単独重合)を、上記と同条件を用いて、DSC(示差走査熱量測定)により追跡した。
【0150】
図4に、以下のDSCダイアグラムを示す。
実線:97.5重量パーセントのBox-XXVIIと2.5重量パーセントの#-Box-4(発明)を含有する重合性組成物
点線:100重量パーセントのBox-XXVII(参考例)を含有する組成物
【0151】
図4のDSCダイアグラムは、イミダゾール官能性ベンゾオキサジン#Box-4を添加することにより、ベンゾオキサジンに基づく重合性組成物の硬化温度を著しく下げることができることを明らかに示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I):
【化1】

[式中、qは1〜4の整数であり、Zは直接結合(qが2の場合)、水素(qが1の場合)、アルキル(qが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(qが2の場合)、スルホキシド(qが2の場合)、およびスルホン(qが2の場合)からなる群から選択され、Yはヒドロキシル基および窒素含有複素環からなる群から選択され、Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られてよい、1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物A、
および、
(b)式(I)に合致しない少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物B、
を含んでなる重合性組成物。
【請求項2】
が1〜4個の炭素原子を含有する直鎖で2価のアルキレン基である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項3】
が少なくとも1個の酸素原子によって遮られた直鎖で2価のアルキレン基である請求項1に記載の重合性組成物。
【請求項4】
Yがヒドロキシル基である請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項5】
Yがイミダゾール、イミダゾリドン、テトラゾール、オキサゾール、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピペリジン、ピペリドン ピペラジン、ピリジン、ジアジンおよびモルホリンからなる群から選択される窒素含有複素環である請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項6】
ベンゾオキサジン化合物Bが、式(II):
【化2】

または、
式(IIa):
【化3】

[式中、mは1〜4の整数であり、Xは、直接結合(mが2の場合)、水素(mが1の場合)、アルキル(mが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(mが2の場合)、スルホキシド(mが2の場合)、およびスルホン(mが2の場合)からなる群から選択され、Rは水素、アルキル、アルケニルおよびアリールから選択され、かつ、Rは、ヒドロキシル基または窒素含有複素環を含有せず、Kは、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルイソプロパン、ジフェニルスルフィド、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホン、およびジフェニルケトンからなる群から選択され、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、または、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基であり、R4`はRとして定義される]
で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項7】
前記重合性組成物が、少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Aおよび少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物Bを、99.9:0.1〜0.1:99.9、好ましくは50:50〜1:99のモル比で含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項8】
重合性組成物中の全てのベンゾオキサジン化合物の総量が、重合性組成物の総量に基づいて約10〜約100重量パーセントの範囲である、請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項9】
該重合性組成物が少なくとも1つのエポキシ成分を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項10】
該重合性組成物が、20℃〜250℃、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは120℃〜180℃の温度で硬化する、請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の重合性組成物の硬化反応生成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の硬化前に重合性組成物を注入した繊維の層または束を含有する請求項11に記載の硬化反応生成物。
【請求項13】
(a)繊維の層または束を供給する工程、
(b)請求項1〜10のいずれかに記載の重合性組成物を供給する工程、
(c)重合性組成物と繊維の層または束を接合してプリプレグまたはトウプレグ組立部品を形成する工程、
および、
(d)任意に、プリプレグまたはトウプレグ組立部品から過剰の重合性組成物を除去する工程、
を含み、
得られたプリプレグまたはトウプレグ組立部品に、繊維の層または束に重合性組成物を注入し硬化反応生成物を形成するのに十分な高温および圧力条件を施す、請求項12に記載の硬化反応生成物の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の重合性組成物を含む、接着剤、シーラントまたはコーティング組成物。
【請求項15】
式(I):
【化4】

[式中、qは1〜4の整数であり、Zは、直接結合(qが2の場合)、水素(qが1の場合)、アルキル(qが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(qが2の場合)、スルホキシド(qが2の場合)、およびスルホン(qが2の場合)からなる群から選択され、Yはヒドロキシル基および窒素含有複素環からなる群から選択され、Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られてよい、1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物の、硬化性組成物用の硬化剤としての使用。
【請求項16】
(a)式(I):
【化5】

[式中、qは1〜4の整数であり、Zは、直接結合(qが2の場合)、水素(qが1の場合)、アルキル(qが1の場合)、アルキレン(qが2〜4の場合)、カルボニル(qが2の場合)、酸素(qが2の場合)、チオール(qが1の場合)、硫黄(qが2の場合)、スルホキシド(qが2の場合)、およびスルホン(qが2の場合)からなる群から選択され、Yはヒドロキシル基および窒素含有複素環からなる群から選択され、Rは、酸素、窒素および硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子によって遮られてよい、1〜15個の炭素原子を含有する直鎖または分枝の2価のアルキレン基であり、Rは水素、ハロゲン、アルキル、アルケニルから選択されるか、Rはベンゾオキサジン構造からナフトオキサジン残基を作る2価の残基である]
で表される少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物を、硬化性組成物に添加する工程、
(b)硬化性組成物に、硬化性組成物を硬化するのに適した条件を施す工程、
を含み、250℃以下の温度で硬化性組成物の重合速度を増加させる方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2011−530570(P2011−530570A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522512(P2011−522512)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060448
【国際公開番号】WO2010/018198
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】