説明

重合性配位錯体およびこのモノマーから得られたポリマー性材料

本発明は、少なくとも1つの金属元素と、少なくとも1つの芳香族環を含む少なくとも1つの芳香族モノマーとの配位錯体に関し、この環は少なくとも1つのエチレン性基、少なくとも1つの水酸化物基−OH基、少なくとも1つのオキシム基およびそれらの塩を含み、この金属元素は金属アルコキシドの形態である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属元素、例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルを含む新規な重合性配位錯体、および、この錯体の重合から得られるポリマー性材料に関する。
これらの配位錯体およびこの錯体の重合によって得られる材料は、金属元素でドープされたポリマー性材料に特異な高範囲の用途分野、例えば、支持された触媒作用、ルミネッセンス材料、磁性材料、イオンインプリント材料として有用である。特に、それらは、慣性閉じ込めによる核融合実験中に使用されるレーザーターゲットの精緻化に有用である。
故に本発明の一般的な分野は、1つまたはいくつかの金属元素でドープされたポリマー性材料の分野である。
【背景技術】
【0002】
このタイプの材料の極めて広範囲の用途分野を考慮して、多くのチームは、こうした材料を精緻化するための方法に関する研究に焦点を当てている。
第1の方策は、ポリマー性材料を金属塩溶液で含浸させることからなっていた。
このように、Rinde et al.の特許文献1には、金属元素の塩を含む水溶液にポリマー性ゲルを注ぐことからなる、金属元素でドープされたポリマー性発泡体を調製する方法が記載されている。次いで、ゲルを、導入された水を除去するために極性を低下させながら一連の溶媒の存在下に置く。使用される各溶媒は、先行する溶媒を可溶化できるべきであり、選択された金属塩によって飽和される。
【0003】
しかし、この方法は、金属塩の結晶化現象が乾燥時に生じ、その後材料中にナノ−またはミクロ−結晶が形成するので、金属元素の分布が原子レベルで完全に均質であることができないという大きな欠点を有する。他方で、含浸がポリマー性ゲルに対して行われるので、金属元素の拡散は、ゲル全体に生じるのではない。
他の著者は、このタイプの方策の別の選択肢を使用した。
このように、Mishra et al.の非特許文献1には、次の工程を含む超微細金属粒子でドープされたポリスチレンマイクロバルーンの調製が記載されている:
【0004】
−超微細金属粒子が分散し、水相およびポリスチレンを含む有機相を含むエマルションを形成する工程;
−上述のエマルションを第2の水相に分散させ、これによって三相性エマルションが得られる工程;
−有機相を除去し、水を含有し、金属粒子がドープしたポリスチレンバルーンを存在させる工程;
−このポリスチレンバルーンを乾燥させる工程。
【0005】
第2の方策は、材料の重合後に材料をドープしないが、金属元素を重合媒体と接触させることによって、特に所望のドーパント金属を保持するモノマーを用いることによって、重合工程から上流で作用させる工程からなっており、金属がモノマー分子の一体部分であるかどうか(この場合、金属モノマーを指す)、または金属が錯化反応手段によってモノマー分子に結合するかどうかに依存していた。
故に、特定の著者らは、研究作業に関して、金属元素を含む、またはチタンのような金属元素でドープできるビニルモノマーの合成に焦点を当てていた。
【0006】
これは、Miele−Pajot et al.の非特許文献2の場合であり、チタンアルコキシド、チタンテトライソプロポキシドと、シス−ブタン−2−エン−1,4−ジオールHO−CH−CH=CH−CH−OHとの反応によって得られるチタン錯体の形成を記載し、この錯体は、次いで、チタンでドープされたポリスチレンフォームを得るために、スチレンおよびジビニルベンゼンを含む重合媒体と接触させる。しかし、この文書に記載される実施形態は次の欠点を有する:
【0007】
−チタン錯体は、水性媒体中および特に重合媒体中で不安定であり、この不安定性は金属−配位子結合の開裂によって表され得る;
−このようにしてチタン錯体は、そのスチレンおよびジビニルベンゼンとの重合中に劣化し、それによって最終ポリマー性材料中のチタンの組み込みが低くなり、ポリマー性材料のチタン質量%は1.5%を超えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,261,937号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Plasma Phys. Control. Fusion 43 (2001) 1723−1732
【非特許文献2】J.Mater.Chem.,1999,9,3027−3033
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、水性媒体中で安定な配位錯体、特にそれらが重合媒体の存在下に置かれた場合に安定である配位錯体が真に必要とされており、結果としてそれにより金属元素がドープされたポリマー性材料を得ることができ、このドーピングレベルは、制御され、適用される錯体の安定性のため、重合媒体中のそれらの導入レベルに直接関連する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
故に、本発明は、第1の目的に従って、少なくとも1つの金属元素と、少なくとも1つの芳香族環を含む少なくとも1つの芳香族モノマーとの配位錯体に関し、この環は、少なくとも1つのエチレン性基、少なくとも1つの水酸化物基−OH、少なくとも1つのオキシム基およびその塩を含み、この金属元素は金属アルコキシドの形態である。
配位錯体とは、従来通り、金属元素を含む多原子構造を意味し、この構造周辺にて少なくとも1つのモノマーに属する基(この場合、−OHおよびオキシム基)が配位結合を通して結合し、この配位結合が、この基に属する電子二重項を金属元素の空の軌道に提供することによって創製されることを意味する。
【0012】
本発明の配位錯体は、次の利点を有する:
−本発明の配位錯体は、水性媒体中において、特に金属元素との錯体形態において安定であり、この安定性は錯化形態のモノマーの金属−配位子結合の安定性による;
−本発明の配位錯体は、それらの重合媒体中での安定性のために、制御されたドーパントレベルを有するポリマー性材料を得るために重合され得る(このドーピングレベルは、非常に高い場合がある);
−本発明の配位錯体は、有機媒体中およびエマルション(例えば、水および1つまたはいくつかの有機溶媒の混合物)中の両方において、場合により他のコモノマーの存在下で重合性である。
【0013】
本発明の錯体の構成に関与する特定のポリマーは、以下の式(I)に適合する:
【化1】

式中:
−Rはエチレン性基であり;
−R、R、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、−OH基、アミン基、−CHO基、オキシム基、ヒドラゾン基、カルボキシル基−COOH、ハロゲン原子、トリアルキルシラン基、および、場合によりそれらの塩を表し、基RからRの少なくとも1つは−OH基を表し、基RからRの少なくとも1つがオキシム基を表す。
【0014】
本発明のモノマーの定義についてさらに詳述する前に、次の定義を指定する。
アミン基とは、従来通り、一級アミン基−NH、二級アミン基(すなわち、最初に窒素原子が保持していた水素原子の1つが別の基、例えば、アルキル基で置換されるアミン基)または三級アミン基(すなわち、最初に窒素原子が保持していた2つの水素原子が別の基、例えば、アルキル基で置換されるアミン基)を意味する。
オキシム基とは、従来通り、機能−C=N−OHを含む基、例えば、式−CR’=NOHに適合する基を意味し、式中R’は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアリール基、ペルフルオロアルキルアリール基、アシル基、カルボニル基、トリアルキルシラン基を表す。
【0015】
ヒドラゾン基とは、従来通り、機能−C=N−N−を含む基、例えば、式CR’=N−NR’’R’’’に適合する基を意味し、ここでR’、R’’、および、R’’’は、独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアリール基、ペルフルオロアルキルアリール基、アシル基、カルボニル基、トリアルキルシラン基を表す。
ハロゲン原子とは、本発明によれば、フッ素、塩素、臭素、および、ヨウ素から選択される原子を意味する。
【0016】
アルキル基とは、従来通り、本発明によれば前述のおよび以下において、1〜20個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基、3〜20個の炭素原子を含む環状基を意味する。これらの基から、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、n−ドデカニル、i−ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロヘキシル基を挙げることができる。これらの基は、それらの鎖において、O、S、Seおよび/またはNから選択される1つまたはいくつかの原子を含んでいてもよい。
アリール基とは、従来通り、本発明によれば、前述、および、以下において、6〜20個の炭素原子を有する基を意味する。これらの基から、ベンジル、ナフチル、トリル、ビフェニル基を挙げることができる。
【0017】
アルキルアリール基とは、従来通り、本発明によれば、前述、および、以下において、先に与えられた定義と同じアリール基を意味するが、この基は、少なくとも1つのアルキル鎖で置換され、これは、O、N、Seおよび/またはSの1つまたはいくつかの原子を含んでいてもよい。
ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアリール、ペルフルオロアルキルアリール基とは、水素原子がフッ素原子で完全に置換されている基を意味する(アルキル基、アリール基は、先に与えられた定義と同じ定義に合致する)。例えば、トリフルオロメチル−CF、ペルフルオロエチル、ペルフルオロブチル、ペルフルオロプロピル、ペルフルオロペンチル、ペルフルオロフェニルC−、ペルフルオロ−ビフェニル、ペルフルオロベンジルを挙げることができる。
【0018】
上述のように、モノマーは、少なくとも1つの芳香族環、この芳香族環に位置する、少なくとも1つの−OH基および少なくとも1つのオキシム基を含む。
好ましくは、−OH基およびオキシム基は、同じ芳香族環、例えば、フェニル環上において互いに相対的にオルト位に位置する。
故に、特定モノマーは、次の式(II)に適合する:
【化2】

本発明に従うモノマーは、安価な出発化合物、特に天然化合物、例えば、サリチルアルデヒドから簡単に精緻化され得る。
【0019】
故に、サリチルアルデヒドを出発として、次の簡単な工程によって上述の特定モノマーを製造できる:
−サリチルアルデヒドのフェニル基が保持する水素原子の求電子置換によるハロゲン化工程であって、この工程は、酢酸媒体中でのヨード塩(例えば、ヨウ化塩素)のサリチルアルデヒドにおける作用によるヨード化工程で構成されることができ、これによって5−ヨードサリチルアルデヒドが得られる工程;
−5−ヨードサリチルアルデヒドにおけるヒドロキシルアミンの反応によりオキシム基を形成する工程であって、これによって5−ヨードサリチルアルドキシムが得られる工程;
−白金系触媒(例えば、Pd(PPhであり、Phはフェニル基を示す)の存在下、5−ヨードサリチルアルドキシムとビニルスズ化合物との反応によりエチレン性基を導入するための工程。
【0020】
こうした方法は、次の反応スキームによって要約されてもよい:
【化3】

一般に、芳香族環を含む化合物(例えば、スチレン性誘導体、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、フェノール)から出発して、本発明のモノマーの根本となる基、すなわちこれらの基が、出発化合物中に既に存在しているのではない場合、エチレン性基、ヒドロキシル基および/またはオキシム基の導入は、簡単な合成技術によって当業者がまさに到達できる範囲内である。
【0021】
モノマーは、特にエチレン性基がハロゲン化フェニル基に導入されることが問題である場合に、温和な条件下で行われる場合があり、この導入は、穏やかな加熱(例えば、最大50℃)を伴って、常圧にて行われてもよい。
上述の金属元素は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、例えば、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、ランタニド、アクチニド、ならびに、元素Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、BiまたはPoであってもよい;この金属元素は、金属アルコキシドとして現れてもよい。
【0022】
例として、チタンイソプロポキシド、チタンエトキシド等のチタンアルコキシド、ジルコニウムn−ブトキシド等のジルコニウムアルコキシド、ニオブエトキシド等のニオブアルコキシドを挙げることができる。
上述の配位錯体は、上記で定義されたようなモノマーを、場合により塩の形態で、金属アルコキシドと接触させることによって得られてもよい。
錯体を形成する反応は、窒素またはアルゴンで飽和された周囲雰囲気の存在下、水和されたまたは無水の有機媒体中で行われてもよい。
【0023】
本発明に従う特定の配位錯体は、金属アルコキシドの形態での1つまたはいくつかの金属元素を囲む1つまたはいくつかのモノマー分子を含むクラスターとして現れてもよい。
例として、次の式(III)および(IV)に適合するクラスターを挙げることができる:
【化4】

式中、Mは金属元素、例えば、Ti等を表し、Rはアルキル基、例えば、イソプロピル基、エチル基等を表す;
【化5】

式中、Mは金属元素、例えば、Zr、Nb等を表し、Rはアルキル基、例えば、n−ブチル基、エチル基等を表す。
【0024】
本発明の錯体は、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー性材料を製造するために使用されることを目的とする。
故に、第3の目的に従う本発明は、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー性材料を調製するための方法に関し、この方法は、上記で定義された少なくとも1つの配位錯体を重合する工程を含む。
【0025】
故に本発明の方法は、次の利点を有する:
−金属元素とモノマーとの間の結合が配位結合によって生じるので、多種多様な金属元素をポリマー性材料に導入できる;
−原子スケールにて金属元素を分配できる;
−金属元素を高レベルで組み込むことができ、このレベルは、重合工程中に機能し始める配位錯体の量に依存する。
【0026】
通常、本発明の方法の重合工程は、配位錯体の存在に加えて、場合により重合開始剤および場合によりポロゲン溶媒および1つまたはいくつかのコモノマーの存在下で行われる。
重合モードは、いずれかのタイプ、例えば、熱重合(例えば、50〜150℃での加熱による)、例えば、紫外線放射線の存在下での光化学重合であってもよい。
重合開始剤は、通常、過酸化物、アゾニトリル(例えば、2,2−アゾビスイソブチロ−ニトリル等)、アゾエステル、アゾアミドから選択されるラジカル開始剤であってもよい。
【0027】
開始剤は、種々の量に従って、例えば、機能し始めるモノマーの総質量に基づいて、0〜50質量%の範囲であってもよい量に従って、重合媒体中に導入されてもよい。
ポロゲン溶媒は、極性、非極性溶媒であってもよく、エーテル溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)、ジメチルスルホキシド、フタレート溶媒(例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート)、アルコール性溶媒(例えば、メタノール、エタノール)、芳香族溶媒(例えば、トルエン、フルオロベンゼン)、ケトン溶媒から選択されてもよい。
重合工程は、1つまたはいくつかのコモノマーの存在下で行われてもよく、このコモノマーは、一般に配位錯体の構成に加わるモノマーとは異なる。
【0028】
これらのコモノマーは、スチレン性モノマー、または、アクリレートモノマーから選択されてもよい。
有利なことには、コモノマーは、少なくとも2つのエチレン性基を含み、それによって架橋剤としての役割を果たす。こうして得られた材料は、良好な機械的靭性を有する。
使用されてもよいコモノマーは、次の式(V)のスチレン性モノマーであってもよい:
【化6】

式中、(6−n)R基は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリール、−O−アルキル基は、場合によりペルフッ素化され、nは1から3の範囲の整数であり、nは好ましくは2に等しい。
【0029】
特に好適なコモノマーは、ジビニルベンゼン、特に1,4−ジビニルベンゼンであってもよい。
使用されてもよいコモノマーはまた、次の式(VI)のアクリレート化合物であってもよい:
【化7】

式中、Rはアルキル基を表し、RはHまたはアルキル基を表し、nは1から3の範囲の整数である。
【0030】
特に、このタイプの好適なコモノマーは、次の式のトリメチロールプロパントリアクリレート(頭文字TMPTAとして既知)であってもよい:
【化8】

通常、重合工程は、40〜100℃の範囲の温度にて行われる。
【0031】
本発明の特定実施形態によれば、重合工程は、次の式の配位錯体のジビニルベンゼンとの共重合で構成される:
【化9】

iPrは、イソプロピルまたはさらにはトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTAの頭文字として既知)を意味する。
【0032】
重合工程後、三次元ネットワークに対応するゲルが得られ、この構造は、溶媒で含浸される。ゲルが一旦合成されたら、乾燥したドープポリマー性材料を得るために乾燥させるべきである。
故に、この方法は、有利なことには、得られたゲルを乾燥する工程を含み、この工程は、有利なことには、COを用いる超臨界乾燥工程である。こうするために、COを用いるこの超臨界乾燥工程は、溶媒交換工程に進んでもよく、この工程は、ゲルの孔に存在する溶媒をCOと混和性の溶媒と置き換えることからなる。COを用いるこの超臨界乾燥工程に関して、特に発泡体の物理的一体性を保存することができる。
【0033】
本発明の方法により、金属元素でドープされたポリマー性材料が得られ、これが高パーセンテージの金属元素(20質量%よりも高い場合がある)を有し、材料内の金属元素の分子スケールでの分布を有する。
故に、本発明は、上記で定義されるような方法によって得ることができる少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー性材料に関し、この材料は通常、発泡体として現れる。
【0034】
これらの材料は、3〜250.10−3g.cm−3の範囲の比重および880m/gまでの範囲であってもよい比表面積によって特徴付けることができる。
これらの材料は、金属元素でドープされた材料の適用を必要とする多くの分野、特に慣性閉じ込めによる核融合実験に使用されるレーザーターゲットの元素の精緻化に使用できる。
それらはまた、触媒として、ルミネッセンス材料として、または、磁性材料として使用され得る。
特に、それらはレーザーターゲット元素として使用され得る。
【0035】
最後に、それらは、イオンインプリントに関する材料として使用され得る。こうするために、本発明の方法を用いて得られたドープされた材料は、この材料中の錯化金属元素の一部を除去することを目的とした酸処理に供されてもよい。こうした空の部位は、最初に導入されていた特定金属元素の特定インプリントを形成する。この処理から、材料は、この金属元素を含む流体と接触した場合に「プリントされた」金属元素を選択的に捕捉できるいわゆる「イオンインプリント」となる。故に、このタイプの材料は、特に核燃料廃液の再処理中における金属の選択的抽出、例えば、ランタニドの分離、または、さらには生物学的流体の徐染に使用され得る。
ここで限定としてではなく、例示として与えられる次の実施例を参照して、本発明を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施例1
【0037】
本実施例は、次の式(II)のモノマーの調製を例示する:
【化10】

このモノマーは、次の合成スキームに従って製造される:
【化11】

AcOHは酢酸を意味し、MeCNはアセトニトリルを意味し、Phはフェニルを意味し、Buはn−ブチルを意味する。
【0038】
故に、第1の工程は、サリチルアルデヒドから5−ヨードサリチルアルデヒドを製造することからなる。
冷却器を備えた500mLの2つ口フラスコに、撹拌しながら、160mLの氷酢酸および10.4mL(100mmol)のサリチルアルデヒドを入れる。最小量の酢酸中に溶解した10g(1.1当量、110mmol)の一塩化ヨウ素溶液を次いで混合物に添加する。反応はT=40℃で撹拌しながら72時間維持する。次いで、溶媒を蒸発させる。残渣を100mLのジクロロメタン中にとり、チオ硫酸ナトリウムで飽和した水溶液100mL、塩化ナトリウムNaClで飽和した溶液100mL、および蒸留水150mLで洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、蒸発させ、残渣を最小量のジクロロメタンから24時間再結晶化させる。
【0039】
得られた生成物の特徴は次の通りである:
外観:黄色粉末
収率:50%
融点:104℃。
NMR H (溶媒:CDCl) δ:6.80(lH,d,j=10Hz);7.72(lH,dd,j=2.5Hz/l0Hz);7.84(lH,d,j=2.5Hz);9.82(lH,s);10.70(lH,s)
13C NMR (溶媒:CDCl) δ:80.81;120.60;122.96;142.26;145.69;161.60;195.82
【0040】
第2の工程は、予め調製された5−ヨードサリチル−アルデヒドから5−ヨードサリチルアルドキシムを製造することからなる。
こうするために、35mmol(3.5当量、2.40g)のヒドロキシルアミン塩酸塩を、50mLのアセトニトリル中、4gのKCO(35mmol、3.5当量)および5−ヨードサリチルアルデヒド(10mmol、2.50g)の溶液に添加する。混合物を一晩撹拌しながら70℃に加熱する。
【0041】
反応終了時、過剰のKCOをろ過によって除去し、ろ液を蒸発させる。残渣を250mLの水にとり、次いでpHが4になるまで塩酸を優しく導入する。次いで、溶液をジクロロメタンで抽出する。有機相をMgSOで乾燥し、ろ過し、次いで溶媒を蒸発させる。次いで固体をシリカ上でろ過(溶離液:ヘプタン/EtO 75/25)することによって精製し、次いでろ液を蒸発させる。
得られた生成物の特徴は次の通りである:
外観:白色粉末
収率:95%
融点:134℃
H NMR (溶媒:CDCl) δ:6.80(lH,d,j=8Hz);7.48(lH,d,j=2Hz);7.55(1H,dd,j=2Hz/8Hz);7.60(H,s);8.16(lH,s);9.85(lH,s)
13C NMR (溶媒:CDCl) δ:80.1;117.8;118.2;138.2;139.1;151.2;156.2
【0042】
第3の工程は、最終的に、予め調製された5−ヨードサリチルアルドキシムから5−ビニルサリチルアルドキシムを製造することからなる。
こうするために、3.94g(15mmol)の5−ヨード−サリチルアルドキシム、30mLの無水トルエン、879mg(5mol%)のPd(PPhおよび6,60mLのビニルスズCH=CHSnBu(Buはn−ブチルを意味する)を、連続的に撹拌しながら、この順で、グリニャール条件下で乾燥された100mLのフラスコに導入し、アルゴンでパージする。混合物を脱気し、アルゴンでパージし、70℃に加熱しながら72時間強く撹拌する。
【0043】
反応終了時、溶液をセライト(溶媒EtOを用いる)上でろ過し、形成した沈殿をろ過により除去し、溶媒を蒸発させ、残渣をフラッシュカラム(溶離液:400mLのヘプタン、500mLのヘプタン/EtO混合物95:5、および、ヘプタン/EtO混合物90:10)を通して精製する。
得られた生成物の特徴は次の通りである:
外観:白色結晶
収率:51%
融点:107℃
H NMR (溶媒:CDCl) δ:5.16(lH,d,j=14Hz);5.60(lH,d,j=22.5Hz);6.64(1H,dd,j=13Hz/22.5Hz);6.96(lH,d,j=8Hz);7.21(lH,d,j=2Hz); 7.39 (lH, dd, j=8Hz/2Hz);7.59(lH,s);8.24(lH,s);9.95(1H,s)
13C NMR (溶媒:CDCl) δ:111.78;115.77;116.51;128.29;128.55;129.30;135.04;152.53;156.42
【0044】
実施例2
この実施例は、実施例1に従って調製されたモノマー2分子とアルコキシドの形態のチタン(チタンイソプロポキシド)とによって形成された錯体:次の式で表される5−ビニルサリチル−アルドキシマトチタンイソプロポキシドの調製に関する:
【化12】

iPrはイソプロピルを意味する。
1.25g(7.5mmol)の5−ビニル−サリチル−アルドキシム、8mLの無水トルエン、および、3.25g(1.5当量;11.25mmol)のチタンイソプロポキシドを15mLの1つ口フラスコに導入する。混合物をアルゴンでパージし、激しく撹拌しながら50℃で3時間加熱する。反応終了時、溶媒を蒸発させる。いずれかの微量の残留トルエンを除去するために、赤色残渣を5mLのジエチルエーテル中に希釈し、再び蒸発させる。
【0045】
得られた生成物の特徴は、次の通りである:
外観:オレンジ色固体
収率:93%
融点:128.8℃
H NMR (溶媒:トルエン D8): δ 0.99(l2H,m);1.52(36H,m);4.60(2H,sept);4.95(2H,sept.);5.04(2H,sept.);5.18(2H,sept.);5.40(2H,d,j=22Hz);6.50(2H,dd,j=12.5Hz/22Hz);6.80(2H,d,j=12.5Hz);6.98(2H,d,j=8Hz);7.01(2H,d,j=2Hz);7.20(2H,dd,j=8Hz/2Hz);8.15(20H,s)
13C NMR (溶媒:トルエン D8): δ 24.60;78.15;109.98;117.86;119.86;127.93;129.34;135.62;136.64;152.93;170.12
元素分析:質量%Ti:15.8±0.7%(15.3%(理論値))
高解像度質量分析(HRMS):939.3462(939.3456(理論値));誤差+0.6ppm
【0046】
実施例3
この実施例は、実施例1に従って調製されたモノマー2分子と、アルコキシド形態のチタン(チタンエトキシド)とによって形成された錯体:次の式で表される5−ビニルサリチル−アルドキシマトチタンエトキシドの調製に関する:
【化13】

328mg(2mmol)の5−ビニルサリチルアルドキシム、2mLの無水トルエンおよび0.629mL(1.5当量;3mmol)のチタンエトキシドを5mLの1つ口フラスコに導入する。混合物をアルゴンでパージし、室温で3時間撹拌する。反応終了時、溶媒を蒸発させる。いずれかの微量の残留トルエンを除去するために、赤色残渣を5mLのジエチルエーテル中に希釈し、再び蒸発させる。
【0047】
得られた生成物の特徴は次の通りである:
外観:オレンジ色固体
収率:75%
H NMR (溶媒:トルエン D8): δ 0.84(6H,m);1.26(6H,m);1.57(12H,m);4.15(4H,quad.);4.55(8H,m);4.85(4H,quad.);4.95(4H,d);5.40(2H,d,j=22Hz);6.50(2H,dd,j=12.5Hz/22Hz);6.80(2H,d,j=12.5Hz);6.98(2H,d,j=8Hz);7.01(2H,d,j=2Hz);7.20(2H,dd,j=8Hz/2Hz);8.15(20H,s)
13C NMR (溶媒:トルエン D8): δ 18.45;71.56;104.91;115.80;119.71;126.39;128.03;135.48;136.64;157.57;162.06
【0048】
実施例4
この実施例は、実施例1に従って調製されたモノマー2分子と、アルコキシド形態のジルコニウム(ジルコニウムn−ブトキシド)とを用いて形成された錯体:次の式で表される5−ビニルサリチルアルドキシマトジルコニウムn−ブトキシドの調製に関する:
【化14】

nBuはn−ブチルを意味する。
2mLの無水n−ブタノール中に溶解した164mg(1mmol)の5−ビニルサリチルアルドキシム、および、n−ブタノール中の80質量%でのジルコニウムn−ブトキシド溶液0.5mLを、アルゴンでパージされた5mLの1つ口フラスコに導入する。混合物をアルゴンでパージし、室温で2時間完全に撹拌する。
【0049】
反応終了時、得られた黄色沈殿物をろ過により単離し、2×10mLのn−ブタノールですすぐ。
得られた生成物の特徴は次の通りである:
外観:黄色固体
収率:41%
H NMR (溶媒:DMSO D6): δ 0.86(l2H,t);1.35(l6H,m);3.37(4H,t);5.11(2H,d);5.62(2H,d);6.63(2H,dd);6.85(2H,d);7.34(2H,dd);7.58(2H,d);8.32(2H,s);10.22(lH,s);11.38(lH,s)
13C NMR (溶媒 DMSO D6): δ 19.47;24.26;40.30;66.00;117.42;121.89;123.90;131.29;133.77;134.33;141.54;152.87;161.47
【0050】
実施例5
この実施例は、実施例1に従うモノマー2分子とアルコキシドの形態のニオブ(ニオブエトキシド)とを用いて形成された錯体:次の式で表される5−ビニルサリチルアルドキシマトニオブ(V)エトキシドの調製に関する:
【化15】

Etはエチルを意味する。
1.5mLの無水エタノール中に溶解した164mg(1mmol)の5−ビニルサリチル−アルドキシムを、アルゴンでパージされた5mLの1ツ口フラスコに導入する。
混合物を脱気し、次いで160mgのNb(OEt)を導入する。混合物をアルゴンでパージし、室温で一晩完全に撹拌する。
【0051】
反応終了時、溶媒を蒸発させる。次いで残留した赤色固体を不活性雰囲気(N)下に維持する。
外観:赤色固体
収率:43%
H NMR (溶媒:DMSO D6): δ 1.05(6H,t);3.43(4H,m);5.09(2H,d);5.64(2H,d);6.65(2H,dd);6.86(2H,d);7.37(2H,dd);7.57(2H,d);8.31(2H,s);10.20(lH,s);11.35(lH,s)
13C NMR (溶媒:DMSO D6): δ 19.16;56.74;112.37;117.02;119.07;126.32;128.74;129.60;136.55;147.72;156.27
【0052】
実施例6
この実施例は、実施例1に従って調製された錯体を、ポロゲン溶媒:ジブチルフタレート(DBP)の存在下でジビニルベンゼンと共重合することによって得られるポリマー性材料の調製を例示する。
モノマー混合物は、2つの次の方法に従って調製される:
【0053】
方法A
撹拌器を備え、アルゴンでパージされた25mLのピルボックス(pill-box)に、実施例2に従って調製された錯体およびジビニルベンゼンを含む混合物1g、10mLのジブチルフタレート、100mgのアゾイソブチロニトリルおよび100mgの界面活性剤SPAN80を導入する。混合物を撹拌下におき、アルゴンによる脱気に10分間供する。
【0054】
方法B
2つの親原材料溶液を、2つの25mLのピルボックス中にて調製する:
−第1は、1gのジビニルベンゼン、10mLのジブチルフタレート、100mgのアゾイソブチロニトリルおよび100mgの界面活性剤SPAN80からなる;
−第2は、実施例2に従って調製された錯体1g、10mLのジブチルフタレート、100mgのアゾイソブチロニトリルおよび100mgの界面活性剤SPAN80からなる。
【0055】
両方の溶液から得たサンプルを、所望のドープされたモノマー濃度に従って、撹拌器を備えた4mLのピルボックスにて合わせる。それにより得られた希釈された子の溶液を均質化し、3〜5分間アルゴンでの脱気に供する。
方法Bに従って調製されたモノマーの溶液を、予めアルゴンでパージされた一連のポリプロピレン(またはシリコーン)型に導入する。全体を80℃のオーブンに一晩置く。次いでそれによって得られたポリマーゲルを型から取り出し、15mLのエタノールを含有する25mLのピルボックス中に入れる。ピルボックスのエタノールは、1週間のうち48時間毎に新しくする。この方法は以降「バルク重合法」と呼ぶ。
【0056】
水相内に多数の有機相ビーズを形成するために、方法Aに従って予め調製されたモノマーの溶液を、88%のポリビニルアルコール溶液300mLを含有し、45℃に予熱された1L容器に50g/Lにてシリンジにより滴下する。次いで、容器を水平に置き、水浴(ロータリーエバポレータを備える)にて85℃で3時間わずかに回転させる。それによって得られたポリマービーズを回復させ、15mLの蒸留水を含有する25mLのピルボックスに入れ、次いで2×15mLの蒸留水および1×15mLのエタノールですすぐ。ビーズを、エタノール中で維持し、溶媒は1週間のうち48時間毎に新しくする。この方法は、以降、「エマルションポリマー法」と指定される。
【0057】
これらの2つの重合方法によってそれによって得られたゲルは、次いで超臨界二酸化炭素で乾燥され、コポリマー発泡体を得る。
異なる試験を異なる比(実施例2/DVBの錯体)、すなわち50%、66%、75%および100%の錯体質量比で行い、これによって次の質量パーセンテージのチタン元素が得られる:7.65%、10.1%、11.47%および15.3%、予め調製された溶液のモノマーの総質量に基づくチタン質量パーセンテージに対応する先行するパーセンテージ(以下、初期のチタン質量%という)。
【0058】
異なる上述の比に関して得られた発泡体は、次の測定に供された:
−発泡体中のチタン質量パーセンテージの測定(この測定は、ミクロ分析によって行われる);
−バルク重合法によって得られた発泡体に関してBET法による比表面積の測定。
【0059】
結果を、以下の表にグループ分けする。
【表1】

得られた発泡体中の極めて高いチタン含有量ならびに非常に大きな比表面積値がこの表からわかる。
【0060】
実施例7
この実施例は、ポロゲン溶媒:ジブチルフタレート(DBP)の存在下、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いた実施例2に従って調製された錯体の共重合によって得られたポリマー性材料の調製を例示する。
モノマーの混合物は、次の方法に従って調製される。
撹拌器を備え、アルゴンでパージされた25mLのピルボックスに、実施例2に従う錯体およびトリメチロールプロパントリアクリレートを含む混合物1g、10mLのDBP、100mg(10質量%)の界面活性剤(SPAN80)および100mg(10質量%)のAIBNを導入する。混合物を撹拌し、アルゴンでの脱気に10分間供する。
【0061】
上記で調製されたモノマーの混合物を、以下で説明するように水性連続相中の懸濁重合法に従って重合する。
連続相の調製:磁性撹拌器を備えた5Lのガラス瓶に、2Lの蒸留水を導入する。次いで105gのポリビニルアルコール(85%加水分解物)を完全に撹拌しながら添加する。混合物は、溶液が完全に透明になるまで撹拌しながら60℃に加熱する。
【0062】
重合:400mLの連続相をサンプリングし、すり合わせを備えた2Lの円筒状ガラス容器(瓶)に導入する。溶液を45℃に予熱する。次いで、1mLの重合混合物(方法Aに従って調製される)を0.6×25cm寸法の針を備えたシリンジに導入する。モノマー相を滴下し、針を連続相内に入れ、水相中に分散した有機相のビーズを形成する。次いで、容器をモーター駆動軸に対して水平に固定する(例えば、ロータリーエバポレータのカニューレ)。これを、85℃の水浴中で3時間置き、徐々に回転させる。重合の終わりに、水浴を取り除き、媒体が45℃以下に冷却するまで回転を維持する。ゲルのビーズをサンプリングし、20mLの蒸留水で3回洗浄する。次いで、それらを20mLの無水エタノールを含有する25mLのピルボックス中に1週間維持し、このエタノール溶液をこの期間中に3回新しくする。次いで、ゲルを回収し、有機エアロゲルのビーズを得るために超臨界COで乾燥させる。
【0063】
異なる試験を異なる比(実施例2/TMPTAの錯体)、すなわち錯体質量比が25%、75%で行ったが、それによって次のそれぞれのチタン元素質量パーセンテージが得られる:6.5%および19.5%(すなわち、それぞれ原子%単位で、1.1および3.8原子%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの金属元素と、少なくとも1つの芳香族環を含む少なくとも1つの芳香族モノマーとの配位錯体であって、この環が少なくとも1つのエチレン性基、少なくとも1つの水酸化物基−OH、少なくとも1つのオキシム基およびそれらの塩を含み、この金属元素が金属アルコキシドの形態である、錯体。
【請求項2】
前記モノマーが次の式(I)に適合する、請求項1に記載の錯体:
【化1】

式中:
−Rはエチレン性基である;
−R、R、R、RおよびRは、互いに独立に、水素原子、−OH基、アミン基、−CHO基、オキシム基、ヒドラゾン基、カルボキシル基−COOH、ハロゲン原子、トリアルキルシラン基、および、それらの任意の塩を表す、ただしRからRの少なくとも1つは、−OH基を表し、RからRの少なくとも1つはオキシム基を表す。
【請求項3】
前記モノマーが、同じ芳香族環において互いに相対的にオルト位置にある、少なくとも1つの−OH基、および、少なくとも1つのオキシム基を含む、請求項1または2に記載の錯体。
【請求項4】
前記モノマーが、次の式(II)に適合する、先行する請求項のいずれか一項に記載の錯体:
【化2】

【請求項5】
前記金属元素が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド金属、アクチニド金属、元素Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Tl、Pb、Bi、または、Poから選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の錯体。
【請求項6】
前記金属元素がチタンである、先行する請求項のいずれか一項に記載の錯体。
【請求項7】
次の式(III)および(IV)の1つに適合する、先行する請求項のいずれか一項に記載の錯体:
【化3】

Mは金属元素を表し、Rはアルキル基を表す;
【化4】

Mは金属元素を表し、Rはアルキル基を表す。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つの配位錯体を重合するための工程を含む、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー性材料を調製するための方法。
【請求項9】
前記重合工程が、1つまたはいくつかのコモノマーの存在下で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コモノマーが、スチレン性モノマーおよびアクリレートモノマーから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コモノマーが、少なくとも2つのエチレン性基を含む、請求項9または10の記載の方法。
【請求項12】
前記コモノマーが、次の式(V)または(VI)の1つを適合する、請求項10または11に記載の方法:
【化5】

式中、(6−n)R基は、それぞれ同一または異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、−O−アリール基、−O−アルキル基、アシル基、アルキルアリール基、ハロゲン原子を表し、このアルキル、アリール、アルキルアリール、−O−アリール、−O−アルキル基は、場合によりペルフッ素化され、Rはアルキル基を表し、RはHまたはアルキル基を表し、nは1から3の範囲の整数である。
【請求項13】
前記コモノマーがジビニルベンゼンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コモノマーがトリメチロールプロパントリアクリレートである、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
重合工程後、COでの超臨界乾燥工程を含む、請求項8から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記重合工程が、次の式の配位錯体と、ジビニルベンゼンまたはトリメチロールプロパントリアクリレートとの共重合で構成される、請求項8から15のいずれか一項に記載の方法:
【化6】

【請求項17】
請求項8から16のいずれか一項に記載の方法によって得られることができる、少なくとも1つの金属元素でドープされたポリマー性材料。
【請求項18】
触媒、ルミネッセンス材料、磁性材料またはイオンインプリントに関する材料としての、請求項17に記載の材料の使用。
【請求項19】
レーザーターゲット元素としての請求項17に記載の材料の使用。

【公表番号】特表2013−511488(P2013−511488A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539321(P2012−539321)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067689
【国際公開番号】WO2011/061229
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(510097644)コミッサリア ア ロンネルジー アトミック エ オ ゾンネルジー ザルテルナティーフ (33)
【Fターム(参考)】