説明

重合抑制剤および即時型黒化防止用皮膚外用剤

【課題】 長波長紫外線(UVA)が照射されることによって起こる生体内ジヒドロキシインドール化合物の重合抑制作用が高く、長波長紫外線による皮膚の黒化を有効に防止することのできる重合抑制剤およびそれを配合した即時型黒化防止用皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 α−リポ酸、α−リポイルアミノ酸のようなα−リポ酸誘導体またはその薬理学的に許容できる塩からなるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線によるメラニンモノマーの黒褐色メラニン化を防止する重合抑制剤およびその重合抑制剤を配合した即時型黒化防止用皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線による皮膚の黒化のメカニズムは、紫外線照射後に表皮基底層に存在するメラノサイト内において酵素チロシナーゼの活性が高まることにより、アミノ酸の一種であるチロシンから新規のメラニンが生成され、周囲のケラチノサイトがメラニンを受け取ることによると説明されてきた。この過程にはチロシナーゼ蛋白の新規生合成と基質チロシンからのメラニン合成と周囲のケラチノサイトによるメラニンの受け取りという過程が関与しているため、皮膚が黒く見えるまでには数日程度かかる。このような紫外線による皮膚黒化を防止する方法としては、紫外線を吸収あるいは散乱する紫外線遮蔽剤の他に、チロシナーゼの活性や合成を抑制するいわゆる美白剤と称されるコウジ酸やアルブチン等が用いられてきた。
【0003】
これに対し、レジャーや海水浴で過度に太陽光線を浴びた場合には1日以内という短い時間で皮膚の黒化が起こる場合があるが、上記の皮膚黒化の作用機序では説明がつかないため、異なる作用機序が存在していると考えられていた。近年、この比較的短時間で生じる皮膚黒化のメカニズム解析が進み、表皮基底層に存在している無色透明な化合物ジヒドロキシインドールカルボン酸やその関連化合物等のメラニンモノマーが、紫外線A波にあたることによってメラニンになることが、短時間に生じる皮膚黒化のメカニズムの一つであることが明らかになった。このような皮膚黒化を抑制する化合物としては、ビタミンCおよびその誘導体が知られている(例えば特許文献1)。
【0004】
一方、α−リポ酸やその誘導体については、チロシナーゼ活性抑制効果やエラスターゼ活性阻害効果を有し、美白剤や抗老化剤として用いられることが知られている(例えば特許文献2〜4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−252718号公報
【特許文献2】特開昭63−8315号公報
【特許文献3】特開2003−286168号公報
【特許文献4】特開昭63−44123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
メラニンモノマーが紫外線を受けてメラニンになることで生じる皮膚黒化を抑制する化合物は、処方系中での安定性の点で問題があるものが多く、また、インビトロあるいはインビボの効果も未だ不十分であった。
本発明はこのような従来の問題点を解決するためになされたもので、長波長紫外線(UVA)が照射されることによって起こる生体内ジヒドロキシインドール化合物の重合抑制作用が高く、長波長紫外線による皮膚の黒化を有効に防止することのできる重合抑制剤およびそれを配合した即時型黒化防止用皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、長波長紫外線(UVA)が照射されることによって起こる生体内ジヒドロキシインドール化合物の重合を抑制する重合抑制剤であって、α−リポ酸、その誘導体またはその薬理学的に許容できる塩からなることを特徴とする重合抑制剤、およびこの重合抑制剤を配合したことを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤である。
ここで、前記α−リポ酸誘導体は、α−リポ酸とアミノ酸が結合したα−リポイルアミノ酸であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の重合抑制剤は、長波長紫外線(UVA)が照射されることによって起こる生体内ジヒドロキシインドール化合物の重合抑制作用が高く、長波長紫外線による皮膚の黒化を有効に防止することができる。
また本発明の即時型黒化防止用皮膚外用剤は、上記重合抑制剤を用いて長波長紫外線による皮膚の黒化を有効に防止することのできるものであり、その製法も通常の方法によって製造することができ、安全性の高い皮膚外用剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明で用いられるα−リポ酸は、別名チオクト酸または6,8−ジチオオクタン酸と称されるもので、次式(1)で表されるものである。
【0010】
【化1】

【0011】
リポ酸は、その溶解性に関してエタノールやベンゼンには容易に溶けるが水には難溶性であり、また光に対して不安定である。従来よりリポ酸は、生理学的には種々のα−ケト酸の酸化的脱炭酸に補酵素として働き、とくにチアミン(ビタミンB1)と密接な関連を有することが知られている。
【0012】
本発明で用いられるα−リポ酸の誘導体としては、α―リポイルアミノ酸、リポ酸のアルキルエステル、アルケニルエステル、アミド、ジヒドロリポ酸、ジヒドロリポアミドなどが挙げられ、そのうち特にα−リポイルアミノ酸が好ましい。
【0013】
ここで、α−リポイルアミノ酸は、次式(2)で表されるものであり、本化合物はα−リポ酸とアミノ酸がアミド結合した構造を有している。本発明において、アミノ酸とは同一分子内にカルボキシル基とアミノ基を有する、いわゆるα−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸、δ−アミノ酸、ε−アミノ酸、並びにアミノメチルシクロヘキサンカルボン酸およびアントラニル酸、並びに同一分子内にスルホン酸基とアミノ基を有するアミノエタンスルホン酸(タウリン)をいう。α−アミノ酸としては、たとえばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファンなどが挙げられ、β−アミノ酸としてはβ−アラニンが挙げられ、γ−アミノ酸としてはγ−アミノ−n−酪酸(GABA)やカルニチンが挙げられ、δ−アミノ酸としては5−アミノレブリン酸や5−アミノ吉草酸、ε−アミノ酸としては6−アミノヘキサン酸が挙げられる。これらアミノ酸のうち、6−アミノヘキサン酸、フェニルアラニン、アントラニル酸、アスパラギン酸、システインが好ましいが、特に6−アミノヘキサン酸、フェニルアラニンが好ましい。
【0014】
【化2】


(式中のAはアミド結合したアミノ酸残基を示す。)
【0015】
本化合物の薬理学的に許容できる塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩およびカルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられるが、これら以外の塩であっても薬理学的に許容できる塩であればいずれのものであっても本発明の目的のため適宜に用いることができる。
【0016】
さらに、これらの1水和物、2水和物、1/2水和物、1/3水和物、1/4水和物、2/3水和物、3/2水和物、6/5水和物も本化合物に含まれる。
【0017】
α−リポイルアミノ酸の合成法としては、アミノ酸の酸性基のカルボン酸を保護基としてエステル化し、α−リポ酸と脱水縮合剤で酸アミドとし、最後にケン化するのが一般的である。
【0018】
本発明の皮膚外用剤に含有されるα−リポイルアミノ酸は自体公知の方法により製造することができるが、混合酸無水物法(MA法)により合成すると目的化合物のα−リポイルアミノ酸を効率的かつ高収率で得ることができる。すなわち、本化合物は、次の合成法により、またはこれに準じて適宜合成することができる。
【0019】
α−リポ酸を有機溶媒(たとえばクロロホルム、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなど)に溶かし、これに3級アミン(トリエチルアミン、トリブチルアミンやN−メチルモルホリン(NMM)など)の存在下−15℃〜−5℃でハロゲン化炭酸エステル(クロル炭酸エチル、クロル炭酸ブチルなど)、イソブチルオキシカルボニルクロリド、塩化ジエチルアセチルまたは塩化トリメチルアセチルなどの混合酸無水物化試薬を反応させてα−リポ酸の混合酸無水物とする。反応時間は1〜2分から数10分程度である。さらにアミノ酸を塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムやトリエチルアミン、トリブチルアミンなどの3級アミン)存在下でアルコール、水またはそれらの混液などの溶媒に溶かしたものを加えて反応させた後、適当な溶媒、たとえば水またはアルコールから再結晶させると、高収率で本化合物のα−リポイルアミノ酸を得る。
【0020】
本発明でいう紫外線(UV)は、蛍光ランプやソーラーシミュレーター、モノクロメーター等の290〜400nmの連続または単波長紫外線である。好ましくは320〜400nmのUVA領域の紫外線である。
【0021】
本発明でいうジヒドロキシインドール化合物としては、DHICA(5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸)やその塩、DHI(5,6−ジヒドロキシインドール)、6H5MICA(6−ヒドロキシ−5−メトキシインドール−2−カルボン酸)、5H6MICA(5−ヒドロキシ−6−メトキシインドール−2−カルボン酸)等が挙げられる。このうち特に、DHICA(5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸)やその塩が好ましい。
【0022】
本発明の紫外線によるジヒドロキシインドール化合物の重合(黒褐色メラニン化)に対する重合抑制剤は、美白剤としての応用の他に、紫外線、特にUVAの関与する皮膚症状、例えば即時型黒化の改善や防止に応用が可能である。
【0023】
さらに本発明によれば、上記重合抑制剤を配合した即時型黒化防止用皮膚外用剤が提供される。
【0024】
本発明の即時型黒化防止用皮膚外用剤におけるα−リポ酸類の配合量は、外用剤全量中、0.001〜50.0質量%、好ましくは0.01〜10.0質量%である。0.001質量%未満であると、本発明でいう効果が十分に発揮されず、50.0質量%を超えると製剤化が難しいので好ましくない。また、10.0質量%以上配合してもさほど大きな効果の向上はみられない。
【0025】
また、本発明の皮膚外用剤には、上記必須成分以外に、下記に示されるような化粧品、医薬部外品、医薬品において通常用いられる各種成分や添加剤の中から必要に応じて適宜配合することができる。
【0026】
即ち、任意添加成分として、グリセリン、ワセリン、尿素、ヒアルロン酸、ヘパリン等の保湿剤、PABA誘導体(パラアミノ安息香酸、エスカロール507等)、桂皮酸誘導体(ネオヘリオパン、パルソールMCX、サンガードB等)、サリチル酸誘導体(オクチルサリチレート等)、ベンゾフェノン誘導体(ASL−24、ASL−24S等)、ジベンゾイルメタン誘導体(パルソールA、パルソールDAM等)、複素環誘導体(チヌビン系等)、酸化チタン等の紫外線吸収剤・散乱剤、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、乳酸、リンゴ酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、サリチル酸、イオウ、カフェイン、タンニン等の皮脂抑制剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン等の殺菌・消毒剤、塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸、グアイアズレン、アズレン、アラントイン、ヒノキチオール、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸等の抗炎症剤、ビタミンA、ビタミンB群(B1,B2,B6,B12,B15)、葉酸、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン、ビタミンD群(D2,D3)、ビタミンE、ユビキノン類、ビタミンK(K1,K2,K3,K4)等のビタミン類、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、リジン、グリシン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、アルギニン、ピロリドンカルボン酸、タウリン、チオタウリン、グルタチオン等のアミノ酸及びその誘導体、レチノール、酢酸トコフェロール、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、胎盤抽出液等の美白剤、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル等の抗酸化剤、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、石炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム等の収斂剤、グルコース、フルクトース、マルトース、ショ糖、トレハロース、エリスリトール、マルトース、キシリトール、ラクチトール等の糖類、甘草、カミツレ、マロニエ、ユキノシタ、芍薬、カリン、オウゴン、オウバク、オウレン、ジュウヤク、イチョウ葉等の各種植物エキスなどの他、油性成分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材等を適宜配合することができる。
【0027】
本発明の即時型黒化防止用皮膚外用剤は、例えば基礎化粧料、薬用化粧料、外用医薬基剤などの、化粧料,医薬品,医薬部外品として有用である。また軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等、従来皮膚外用剤に用いるものであればいずれでもよく、剤型は特に問わない。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例および比較例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。配合量はすべて質量%である。
【0029】
(1)各薬剤を有効成分とする紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制効果の測定法
本発明による薬剤を有効成分とする紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制作用は、次に示すような紫外線によるDHICAの黒褐色メラニン化に対する抑制効果で評価した。
DHICAの0.8mg/mlを水に溶解し、マイクロプレートウェルに100μl分注する。各濃度に調整した本発明の試料およびアスコルビン酸やその誘導体を100μl添加してFL−20BLB蛍光ランプを用いて長波長紫外線を30分照射し、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定して、黒褐色メラニン化の程度を評価し、化合物の抑制効果を評価した。評価基準は以下の通りである。その結果を表1に示した。
【0030】
【表1】

【0031】
(2)UVAによる皮膚黒化に対する抑制効果を調べる実使用試験
本発明に係わる外用剤の外皮適用による効果を、UVAによる皮膚色の黒化の程度に対する改善度合から評価するため、実使用試験を行った。試験には健常な40名の男女パネルの腕を用いた。腕に任意の2部位を設け被験部位とした。パネルを10名ずつ4群に分け、表2に示す組成(質量%)の乳液のうち、どちらか一方の部位に試料を、他方の部位に対照を適量塗布した。1日3回、21日間塗布した。被験部位に紫外線を紫外線シミュレーター(Solar Light Company社製の紫外線シミュレーターにSchott WG335(2mm厚)のフィルターを装着しUVBをカットした。)を用いて照射した。用いた装置のUVA照射量は20J/cm2で夏の晴天下1日のUVA量はおおよそ100J/cm2なので、夏の晴天下1日に浴びるUVA量の約1/5量に相当する。照射後、適量を3回/日で21日間毎日塗布する。
【0032】
有効性は、21日後における、試料と対照の目視による5段階での優劣評価をもとに評価した。試料のほうが対照より黒化の改善度合が非常に高いパネルを2、やや高いパネルを1、同じパネルを0、やや低いパネルを-1、低いパネルを-2とそれぞれスコア化した。各試料におけるパネル10名のスコアの平均値をその試料の黒化改善度合とした。
【0033】
(黒化改善度合の評価基準)
◎:2.0〜1.5
○:1.5〜1.0
△:1.0〜0.5
×:0.5〜−2.0
【0034】
試料としては、本発明品として、α―リポ酸配合乳液、また比較品として5%ビタミンC配合乳液、5%アスコルビン酸−2−O−α−グルコシド(AA−2G)配合乳液および水置換乳液を用いた。その結果を下記表2に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
上記表2から明らかなように、α−リポ酸を配合した本発明品の試料は、比較品の試料よりもUVAによる皮膚の黒化に対して優れた抑制効果を示した。
次に、本発明による即時型黒化防止用皮膚外用剤の処方例を示す。
【0037】
実施例1 バニシングクリーム
ステアリン酸 6.0 質量%
ソルビタンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノステアリン酸エステル 1.5
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
プロピレングリコール 10.0
α−リポ酸 1.0
防腐剤・酸化防止剤 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら、30℃まで冷却する。
【0038】
実施例2 中性クリーム
ステアリルアルコール 7.0 質量%
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 2.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 3.5
スクワラン 5.0
2−オクチルドデシルアルコール 6.0
ポリオキシエチレン(25モル)
セチルアルコールエーテル 3.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
プロピレングリコール 5.0
α−リポイルβ−アラニン 10.0
香料 適量
防腐剤・酸化防止剤 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水に、プロピレングリコールを加え加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よくかきまぜながら、30℃まで冷却する。
【0039】
実施例3 コールドクリーム
固型パラフィン 5.0 質量%
蜜ロウ 10.0
ワセリン 15.0
流動パラフィン 41.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノラウリン酸エステル 2.0
4−メトキシ−4´−t−ブチルジベンゾイルメタン 3.5
石鹸粉末 0.1
硼砂 0.2
α−リポイルメチオニン 0.1
イオン交換水 残余
香料 適量
防腐剤・酸化防止剤 適量
(製法)
イオン交換水に石鹸粉末および硼砂を加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相をかきまぜながら徐々に加え反応を行う。反応終了後、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0040】
実施例4 乳液
ポリオキシエチレン(20モル)
ポリオキシプロピレン(2モル)セチルアルコール 1.0 質量%
オクチル−p−メトキシシンナメート 3.5
シリコーンKF96(20cs)(信越化学社製) 2.0
流動パラフィン(中粘度) 3.0
プロピレングリコール 5.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
グリセリン 2.0
エタノール 15.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
KOH 適量
防腐剤 適量
α−リポイルバリン 10.0
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水とエタノールにプロピレングリコール以下の水溶性成分を溶解して、70℃に保つ(水相)。他の油性成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一乳化し、乳化後、よくかきまぜながら、30℃まで冷却する。
【0041】
実施例5 乳液
ポリオキシエチレン(20モル)
ポリオキシプロピレン(2モル)セチルアルコール 1.0 質量%
シリコーンKF96(20cs)(信越化学社製) 2.0
流動パラフィン(中粘度) 3.0
プロピレングリコール 5.0
4−メトキシ−4´−t−ブチルジベンゾイルメタン 3.5
グリセリン 2.0
エタノール 15.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
KOH 適量
防腐剤 適量
α−リポイルγ-アミノ−n−酪酸 7.0
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水とエタノールにプロピレングリコール以下の水溶性成分を溶解して、70℃に保つ(水相)。他の油性成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後、よくかきまぜながら、30℃まで冷却する。
【0042】
実施例6 乳液
ポリオキシエチレン(20モル)
ポリオキシプロピレン(2モル)セチルアルコール 1.0 質量%
シリコーンKF96(20cs)(信越化学社製) 2.0
流動パラフィン(中粘度) 3.0
プロピレングリコール 5.0
グリセリン 2.0
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン 3.5
エタノール 15.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
KOH 適量
防腐剤 適量
α−リポイル−6−アミノヘキサン酸 7.0
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水とエタノールにプロピレングリコール以下の水溶性成分を溶解して、70℃に保つ(水相)。他の油性成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後、よくかきまぜながら、30℃まで冷却する。
【0043】
実施例7 乳液
ポリオキシエチレン(20モル)
ポリオキシプロピレン(2モル)セチルアルコール 1.0 質量%
シリコーンKF96(20cs)(信越化学社製) 2.0
流動パラフィン(中粘度) 3.0
プロピレングリコール 5.0
グリセリン 2.0
エタノール 15.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
ヒドロキシプロピルセルロース 0.1
KOH 適量
防腐剤 適量
α−リポアミド 3.0
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコール以下の水溶性成分を溶解して、70℃に保つ(水相)。他の油性成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え、予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化し、乳化後、よくかきまぜながら、30℃まで冷却する。
【0044】
実施例8 乳液
ステアリン酸 1.5 質量%
セチルアルコール 0.5
蜜ロウ 2.0
ポリオキシエチレン(20モル)
モノオレイン酸エステル 1.0
グリセリンモノステアリン酸エステル 1.0
エタノール 10.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
プロピレングリコール 5.0
α−リポイルグリシン 1.0
イオン交換水 残余
香料 適量
防腐剤・酸化防止剤 適量
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱溶解して70℃に保つ(水相)。エタノールに香料を加えて溶解する(アルコール相)。他の油性成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化する。これをかきまぜながらアルコール相を加える。その後かきまぜながら30℃まで冷却する。
【0045】
実施例9 乳液
マイクロクリスタリンワックス 1.0 質量%
蜜ロウ 2.0
ラノリン 2.0
流動パラフィン 20.0
スクワラン 10.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0
ポリオキシエチレン(20モル)
ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
プロピレングリコール 7.0
ジヒドロリポ酸 2.0
オクチル−p−メトキシシンナメート 3.5
イオン交換水 残余
香料 適量
防腐剤・酸化防止剤 適量
(製法)
イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱溶解して70℃に保つ(油相)。油相をかきまぜながら、この油相に水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化する。乳化後よくかきまぜながら30℃まで冷却する。
【0046】
実施例10 ゼリー
95%エタノール 10.0 質量%
ジプロピレングリコール 15.0
ポリオキシエチレン(15モル)
オレイルアルコールエーテル 2.0
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
アスコルビン酸ジステアレート 0.5
カルボキシビニルポリマー 1.0
(商品名:カーボポール941)
苛性カリ 0.15
L−アルギニン 0.1
α−リポ酸メチルエステル 2.0
香料 適量
防腐剤 適量
イオン交換水 残余
(製法)
イオン交換水にカーボポール941を均一に溶解し、一方、95%エタノールにα−リポイルメチオニン、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレン(15モル)オレイルアルコールエーテル、その他の成分を溶解し、水相に添加する。次いで苛性カリ、L−アルギニンで中和させ、増粘する。
【0047】
実施例11 ピールオフ型パック
(アルコール相)
95%エタノール 10.0 質量%
ポリオキシエチレン(15モル)
オレイルアルコールエーテル 2.0
4−メトキシ−4´−t−ブチルジベンゾイルメタン 3.5
α−リポイルタウリン 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
(水相)
亜硫酸水素ナトリウム 0.03
ポリビニルアルコール 12.0
グリセリン 3.0
ポリエチレングリコール1500 1.0
イオン交換水 残余
(製法)
80℃にて水相を調製し、50℃に冷却する。次いで室温で調製したアルコール相を添加後均一に混合し、放冷する。
【0048】
実施例12 粉末入りパック
(アルコール相)
95%エタノール 2.0 質量%
α−リポイルグルタミン酸 7.0
防腐剤 適量
香料 適量
色剤 適量
アスコルビン酸ジオレート 1.0
(水相)
プロピレングリコール 7.0
亜鉛華 25.0
カオリン 20.0
イオン交換水 残余
(製法)
室温にて水相を均一に調製する。次いで室温にて調製したアルコール相を添加し、均一に混合する。
【0049】
実施例13 乳化型ファンデーション(クリームタイプ)
(処方)
(粉体部)
二酸化チタン 10.3 質量%
セリサイト 5.4
カオリン 3.0
黄色酸化鉄 0.8
ベンガラ 0.3
黒色酸化鉄 0.2
(油相)
デカメチルシクロペンタシロキサン 11.5
流動パラフィン 4.5
ポリオキシエチレン変性ジメチルポリシロキサン 4.0
(水相)
イオン交換水 残余
1,3−ブチレングルコール 3.0
α−リポイルフェニルアラニン 2.0
ソルビタンセスキオレイン酸エステル 3.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
水相を加熱撹拌後、十分に混合粉砕した粉体部を添加してホモミキサー処理する。更に加熱混合した油相を加えてホモミキサー処理した後、撹拌しながら香料を添加して室温まで冷却する。
【0050】
実施例14 固形ファンデーション
(処方)
タルク 43.1 質量%
カオリン 15.0
セリサイト 10.0
亜鉛華 7.0
二酸化チタン 3.8
黄色酸化鉄 2.9
黒色酸化鉄 0.2
α−リポイルスレオニン 0.1
スクワラン 8.0
イソステアリン酸 4.0
モノオレイン酸POEソルビタン 3.0
オクタン酸イソセチル 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
(製法)
タルク〜α−リポイルスレオニンの抽出物の粉末成分をブレンダーで十分混合し、これにスクワラン〜オクタン酸イソセチルの油性成分、防腐剤、香料を加え良く混練した後、容器に充填、成型する。
【0051】
実施例1〜14で得られた皮膚外用剤はいずれも上記UVAによる皮膚黒化に対する抑制効果を調べる実使用試験で行ったのと同じ試験において、皮膚黒化に対して優れた抑制効果(◎)が認められた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長波長紫外線(UVA)が照射されることによって起こる生体内ジヒドロキシインドール化合物の重合を抑制する重合抑制剤であって、α−リポ酸、その誘導体またはその薬理学的に許容できる塩からなることを特徴とする重合抑制剤。
【請求項2】
前記α−リポ酸誘導体が、α−リポ酸とアミノ酸が結合したα−リポイルアミノ酸であることを特徴とする請求項1に記載の重合抑制剤。
【請求項3】
請求項1記載の重合抑制剤を配合したことを特徴とする即時型黒化防止用皮膚外用剤。


【公開番号】特開2006−22066(P2006−22066A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202941(P2004−202941)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【出願人】(000199175)千寿製薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】