説明

重合槽温度分布推算装置、及び重合槽温度分布推算プログラム

【課題】 シングルヘリカル翼の気相重合反応槽内の温度分布を推算する。
【解決手段】 離散要素法で攪拌場の所定時間毎の全粒子の位置,速度を算出する手段と、反応槽の微小要素毎に時間毎の粒子速度の平均値を算出し、各微小要素内で時間平均化した粒子速度を算出する手段と、この粒子速度を粒子質量保存式を満足するように微小要素毎に修正する手段と、この修正した粒子速度を気液速度の初期値として用いる手段と、この初期値を気液質量保存式を満足するように微小要素毎に修正する手段と、修正された粒子速度,微小要素毎の粒子の反応熱,粒子と気液間の熱伝達率を用いて粒子エンタルピーを算出し、これに対応する粒子温度を算出する手段と、修正された気液速度,熱伝達率を用いて気液エンタルピーを算出し、これに対応する気液温度を算出する手段と、算出された粒子温度及び気液温度を、所定の時間毎に出力する手段とを備えた重合槽温度分布推算装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングルヘリカル翼の気相重合反応槽について、槽内の温度分布を推算する重合槽温度分布推算装置、及び重合槽温度分布推算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のポリプロピレン製造プロセスは、触媒の高活性化及び高立体規則性化に伴い簡略化され、気相重合反応プロセスが一般に用いられている。従来のスラリー重合と比較すると気相重合反応器は溶媒を使用しないため、溶媒回収系ならびに乾燥系が不要な非常に簡素なプロセスである。
しかしながら、気相状態ゆえに熱容量が低いため、反応量変化に対する温度変化が激しくなる傾向にあり、装置の大型化、高負荷化に伴いこの傾向は顕著となる。
また、重合温度とポリマーの軟化温度との差が広くないため、安定な運転を達成するためには重合槽内の流動挙動及び重合槽内の温度分布を充分把握し、冷却方法を最適化する必要がある。
【0003】
流動挙動については古くから報告されているが、基本的な循環時間(非特許文献1参照)や装置設計に必要な攪拌動力(非特許文献2参照)に関することが多かった。
また、これらの要求に対して、最近では離散要素法(以下、DEMと称する場合がある。)を用いた解析が行われており、層内の詳細な流動挙動が調べられるようになっている(非特許文献3参照)。
【0004】
しかし、非特許文献3は、攪拌反応器内の粒子の流れをDEMを用いてシミュレートした研究を示すものであるが、反応を考慮したものではないため、これによって重合槽内の温度分布を推算することはできなかった。
ここで、ポリオレフィン重合反応における槽内温度挙動については、流動層型反応器においてDEMに反応を考慮した解析が行われている(非特許文献4参照)。
【0005】
【非特許文献1】H.Reichert,F.Vock, E.Kolk and R.Sinn, ‘Mechanical Behaviour of Stirred Beds with andwithout Aeration’, Ger.Chem.Eng.,1,82-88 (1978)
【非特許文献2】B.Cooker andR.M.Nedderman, ‘Mixing in a Helical Ribbon Powder Agitator’, PowderTechnol.,46,263-269(1986)
【非特許文献3】Y. Kaneko, T.Shiojima and M. Horio, ‘Numerical Analysis of Mixing Characteristics in SingleHelical Ribbon Powder Agitators Using DEM Simulation’, Pwder Technol., 108(1)(2000) 55-64
【非特許文献4】Y.kaneko, T.Shiojima and M.Horio,’DEM Simulation of Fluidized Beds for Gas-Phase OlefinPolymerization’,Chem.Eng.Sci.,54(1999) 5809-5821(Included in Chapter 2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献4に記載のポリオレフィン重合反応における槽内温度挙動についてのDEMに反応を考慮した解析は、二次元反応器を対象にしたものであり、かつ、流動層という混合時間が非常に短い装置を対象としている。
一方、本発明で対象としている気相重合反応は、大型攪拌槽の固液気三相系重合反応であり、混合時間が数分のオーダーである。
このため、DEMに直接反応を考慮すると、計算時間が膨大となり、事実上計算ができないという問題があった。
【0007】
ここで、本発明で対象としている攪拌槽は、非常に規則正しい混合挙動を呈する。
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、粉体の速度場はDEMで計算し、これに熱収支をカップリングすることによって、重合槽内の温度分布を計算する手法を開発し、本発明を完成させた。この手法により、計算時間が大幅に短縮され、現実に計算を行うことができるようになった。
すなわち、この手法を用いれば、温度分布を広げないように、効率的な冷却が可能な気相重合反応槽の最適設計に活かすことができ、また、反応器内温度条件、攪拌条件、生産量などの反応条件の最適化を図ることが可能となる。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、気液固三相系で、反応・相変化を伴う複雑な系のシングルヘリカル翼気相重合反応槽について、DEMと連続体モデルをカップリングさせる解析法により槽内の温度分布を推算する重合槽温度分布推算装置、及び重合槽温度分布推算プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の重合槽温度分布推算装置は、気相重合反応槽内の温度分布を推算する重合槽温度分布推算装置であって、離散要素法により、攪拌場における所定の時間毎の全粒子の位置及び速度を算出する粒子速度場算出手段と、気相重合反応槽を所定の単位で分割して得られた微小要素毎に、時間毎の粒子速度の平均値を算出するとともに、各微小要素内で時間平均化した粒子速度を算出する平均化手段と、時間平均化した粒子速度を粒子質量保存式を満足するように、各微小要素毎に修正する粒子速度修正手段と、気液速度の初期値として、修正された粒子速度を用いる気液速度算出手段と、気液速度の初期値を気液質量保存式を満足するように、各微小要素毎に修正する気液速度修正手段と、各微小要素毎の粒子の反応熱、及び粒子と気液間の熱伝達率を算出し、修正された粒子速度,反応熱,熱伝達率を用いて粒子エンタルピー保存式により、粒子エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により粒子エンタルピーに対応する粒子温度を算出する粒子温度分布算出手段と、修正された気液速度,熱伝達率を用いて気液エンタルピー保存式により、気液エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により気液エンタルピーに対応する気液温度を算出する気液温度分布算出手段と、算出された粒子温度及び気液温度を、所定の時間毎に出力する参照情報作成手段とを備えた構成としてある。
【0010】
重合槽温度分布推算装置をこのような構成にすれば、気液固三相系で、反応・相変化を伴う複雑な系の気相重合反応槽について、DEMと連続体モデルをカップリングさせる解析法により、槽内の温度分布を推算することができる。
このため、計算時間を大幅に短縮し、現実に温度分布の計算を行うことが可能となる。
【0011】
また、この際、DEMにより算出した攪拌槽内の粒子速度分布を、攪拌槽を微小要素に分割した各領域に割り振るにあたり、物質収支式を満足させることができるように速度修正を行うことを可能とし、上記温度分布の計算を実現している。
これによって、温度分布を広げないように、効率的な冷却が可能な気相重合反応槽の最適設計に活かすことができ、また、反応器内温度条件、攪拌条件、生産量などの反応条件の最適化を測ることが可能となる。
【0012】
また、本発明の重合槽温度分布推算装置は、気液温度分布算出手段が、気液エンタルピーを用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液比を算出する構成としてある。
また、本発明の重合槽温度分布推算装置は、気液温度分布算出手段が、気液温度を用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液密度を算出する構成としてある。
【0013】
重合槽温度分布推算装置をこのような構成にすれば、気液温度分布算出手段により、気液比、気液密度を算出することができ、気相重合反応槽の最適設計に活かすことが可能となる。
【0014】
また、本発明の重合槽温度分布推算装置は、粒子質量保存式が、

r:半径位置 θ:周方向位置 z:鉛直位置 ρs:粒子密度
us:半径方向粒子速度 vs:周方向粒子速度 ws:鉛直方向粒子速度
であり、
気液質量保存式が、

ρ:気液密度 u:半径方向気液速度 v:周方向気液速度 w:鉛直方向気液速度
であり、
粒子エンタルピー保存式が、

Hs:粒子エンタルピー ψ:単位体積当りの粒子質量 Q:反応熱 h:熱伝達率 As:単位体積当りの粒子界面積 Ts:粒子温度 T:気液温度
であり、
気液エンタルピー保存式が、

H:気液エンタルピー
である構成としてある。
【0015】
重合槽温度分布推算装置をこのような構成にすれば、粒子質量保存式、気液質量保存式、粒子エンタルピー保存式、気液エンタルピー保存式として、具体的には上記のような各式を用いることができ、適切な計算を行うことが可能となる。
【0016】
また、本発明の重合槽温度分布推算装置は、気相重合反応槽が、シングルヘリカル翼を備えたものである構成としてある。
重合槽温度分布推算装置をこのような構成にすれば、気相重合反応槽として、特にシングルヘリカル翼を備えたものについての重合時の温度分布を好適に推算することが可能となる。
【0017】
また、本発明の重合槽温度分布推算プログラムは、重合槽温度分布推算装置に、気相重合反応槽内の温度分布を推算させるための重合槽温度分布推算プログラムであって、重合槽温度分布推算装置を、離散要素法により、攪拌場における所定の時間毎の全粒子の位置及び速度を算出する粒子速度場算出手段、気相重合反応槽を所定の単位で分割して得られた微小要素毎に、時間毎の粒子速度の平均値を算出するとともに、各微小要素内で時間平均化した粒子速度を算出する平均化手段、時間平均化した粒子速度を粒子質量保存式を満足するように、各微小要素毎に修正する粒子速度修正手段、気液速度の初期値として、修正された粒子速度を用いる気液速度算出手段、気液速度の初期値を気液質量保存式を満足するように、各微小要素毎に修正する気液速度修正手段、各微小要素毎の粒子の反応熱、及び粒子と気液間の熱伝達率を算出し、修正された粒子速度,反応熱,熱伝達率を用いて粒子エンタルピー保存式により、粒子エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により粒子エンタルピーに対応する粒子温度を算出する粒子温度分布算出手段、修正された気液速度,熱伝達率を用いて気液エンタルピー保存式により、気液エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により気液エンタルピーに対応する気液温度を算出する気液温度分布算出手段、算出された粒子温度及び気液温度を、所定の時間毎に出力する参照情報作成手段として機能させる構成としてある。
【0018】
また、本発明の重合槽温度分布推算プログラムは、気液温度分布算出手段に、気液エンタルピーを用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液比を算出させる構成としてある。
また、本発明の重合槽温度分布推算プログラムは、気液温度分布算出手段に、気液温度を用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液密度を算出させる構成としてある。
【0019】
また、本発明の重合槽温度分布推算プログラムは、粒子質量保存式が、

r:半径位置 θ:周方向位置 z:鉛直位置 ρs:粒子密度
us:半径方向粒子速度 vs:周方向粒子速度 ws:鉛直方向粒子速度
であり、
気液質量保存式が、

ρ:気液密度 u:半径方向気液速度 v:周方向気液速度 w:鉛直方向気液速度
であり、
粒子エンタルピー保存式が、

Hs:粒子エンタルピー ψ:単位体積当りの粒子質量 Q:反応熱 h:熱伝達率 As:単位体積当りの粒子界面積 Ts:粒子温度 T:気液温度
であり、
気液エンタルピー保存式が、

H:気液エンタルピー
である構成としてある。
【0020】
重合槽温度分布推算プログラムをこのような構成にすれば、重合槽温度分布推算装置に、気液固三相系で、反応・相変化を伴う複雑な系の気相重合反応槽について、DEMと連続体モデルをカップリングさせる解析法により槽内の温度分布等を適切に推算させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、気液固三相系で、反応・相変化を伴う複雑な系のシングルヘリカル翼気相重合反応槽について、DEMと連続体モデルをカップリングさせる解析法により槽内の温度分布を推算することで、計算時間を大幅に短縮し、現実的に温度分布の計算を行うことができる。
このため、温度分布を広げないように、効率的な冷却が可能な気相重合反応槽の最適設計に活かすことができ、また、反応器内温度条件、攪拌条件、生産量などの反応条件の最適化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る重合槽温度分布推算装置の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の実施形態に示す本発明の重合槽温度分布推算装置は、プログラムに制御されたコンピュータにより動作するようになっている。コンピュータのCPUは、プログラムにもとづいてコンピュータの各構成要素に指令を送り、重合槽温度分布推算装置の動作に必要となる所定の処理、例えば、粒子速度計算処理、微小要素毎の粒子速度の空間・時間平均化処理、粒子速度の修正計算処理、気液速度の修正計算処理、粒子エンタルピー計算処理、気液エンタルピー計算処理、エンタルピーからの温度等計算処理などを行わせる。このように、本発明の重合槽温度分布推算装置における各処理,動作は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段により実現できるものである。
【0023】
プログラムは予めROM,RAM等の記録媒体に格納され、コンピュータに実装された記録媒体から当該コンピュータにプログラムを読み込ませて実行されるが、例えば通信回線を介してコンピュータに読み込ませることもできる。
また、プログラムを格納する記録媒体は、例えば半導体メモリ,磁気ディスク,光ディスク、その他任意のコンピュータで読取り可能な任意の記録手段により構成できる。
【0024】
まず、本発明の一実施形態の構成について、図1を参照して説明する。同図は、本実施形態の重合槽温度分布推算装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の重合槽温度分布推算装置100は、攪拌場粒子速度場算出手段101,温度分布算出用データ入力・設定手段102,各微小要素への平均化手段103,粒子速度修正手段104,気液速度算出手段105,気液速度修正手段106,粒子温度分布算出手段107,気液温度分布算出手段108,エンタルピー変化情報記憶手段109,参照情報作成手段110,参照情報記憶手段111を有している。
【0025】
攪拌場粒子速度場算出手段101は、離散要素法(DEM)による攪拌場の粒子速度場を算出する手段であり、同図に示すように、データ入力・設定手段101a,全粒子速度場算出手段101b,全粒子速度場記憶手段101cを備えている。
データ入力・設定手段101aは、計算対象となる各種データを重合槽温度分布推算装置100に入力して、DEMによる計算式に設定する手段である。
この計算対象となるデータとしては、槽形状,攪拌翼形状,攪拌回転数などからなる攪拌槽データ、粒子径,粒子性状(摩擦係数他),粒子個数などからなる粒子データ、計算回数,計算時間刻み幅などからなる計算データ等を挙げることができる。
【0026】
全粒子速度場算出手段101bは、上記の攪拌槽データ,粒子データ,計算データを基に、DEMを用いて各粒子の位置・速度を時間毎に算出する。具体的な計算方法については、DEMの既存の方法(非特許文献3参照)に従うため、省略する。
全粒子速度場記憶手段101cは、DEMによって算出された時間毎の全粒子の位置・速度を記憶する。すなわち、DEM計算結果のアウトプットデータとしての粒子位置及び粒子速度を時間毎の全粒子のデータについて記録する。
【0027】
温度分布算出用データ入力・設定手段102は、温度分布算出用の各種データを重合槽温度分布推算装置100に入力して、各微小要素への平均化手段103における微小要素内粒子の空間平均化手段103aに受け渡す手段である。
この温度分布算出用のデータとしては、攪拌槽形状,微小要素形状などの物性値,微小要素分割数等を挙げることができる。
【0028】
各微小要素への平均化手段103は、DEM計算結果のアウトプットデータを、攪拌槽を分割した微小要素に割り当て、各要素毎に時間毎の粒子速度の平均値を算出する。なお、微小要素とは、円筒座標メッシュ等を示し、本実施形態では円筒座標を15×40×35に離散化したメッシュを微小要素としている。
【0029】
ここで、以降に示す方程式は、コントロールヴォリューム法を用い、円筒座標系にて離散化した。なお、エンタルピー保存式としては、計算の安定性を考え、風上差分を用いた。非定常項についてはSETS法を採用し、ポリマー中のモノマー濃度については、各メッシュ・各時間ステップ毎にニュートン・ラプソン法で算出した。また、メッシュ毎に全粒子の速度を平均化し、最終的には粒子速度の時間平均値をとるが、このように平均化した粒子速度は質量保存則を完全には満足しないため、満足するように質量保存式からr方向、もしくはz方向速度を算出した。すなわち、通常メッシュではr方向速度を質量保存式から求め、反応器外壁に接するメッシュでは、r方向速度が境界条件から0になるので、z方向速度を求めた。
【0030】
微小要素内粒子の空間平均化手段103aは、DEM計算結果のアウトプットデータと、温度分布算出用データ入力・設定手段102から入力した温度分布算出用データを用いて、粒子速度初期データ(1)を算出する。この粒子速度初期データ(1)としては、各時間毎の各微小要素内で平均化した粒子速度、及び各時間毎の各微小要素内の粒子個数を含むものとすることができる。
時間平均化手段103bは、粒子速度初期データ(1)に基づいて、要素毎の時間平均値を算出する。すなわち、時間平均化手段103bは、粒子速度初期データ(1)を用いて、粒子速度初期データ(2)を算出する。この粒子速度初期データ(2)としては、各微小要素内で時間平均化した粒子速度、及び各微小要素内の時間平均化した粒子個数を含むものとすることができる。
【0031】
粒子速度修正手段104は、粒子速度初期データ(2)を、次の粒子質量保存式を満足するように、各微小要素毎に修正する。

この粒子質量保存式において、粒子速度データにつき、微小要素が側壁に接しない場合、r,θ,z,ρs,vs,wsを粒子質量保存式に入力して、usを修正値として新たに算出する。また、微小要素が側壁に接する場合、r,θ,z,ρs,us,vsを粒子質量保存式に入力して、wsを修正値として新たに算出する。
【0032】
気液速度算出手段105は、気液速度初期データとして、粒子速度データを用いる。すなわち、気液速度初期データを、u=us,v=vs,w=wsとする。
ここで、気液流(連続体)の速度場は、DEMにガス流れを考慮した解析を金子らが実施した結果(Y.Kaneko, K.Sakakura and T.Shiojima,
Symposium on Fluidization(2003))、ガス流はほとんど粒子と同じ流れを示すことが確認された。
このことから今回の解析では、重合槽内部の液・ガス流は、基本的に粒子と同じ速度分布を持つと仮定し、DEMから得られた粉体の速度分布を利用することにした。
【0033】
この仮定を用いることで、エンタルピーとリンクする運動量バランス式を解くことが不要となり、反応・相変化を考慮した温度分布の推算が可能となった。
ただし、境界からの冷却液の流入、液からガスへの相変化により、気液流は質量保存式を満足しない。このため、気液流も粒子の場合と同様な修正を行った。このとき、粒子の速度補正は計算開始時一度行えばよいが、気液流の速度補正は気液バランスが時間と共に変わるため、時間ステップ毎に行う必要がある。
なお、速度補正は質量保存式を用いて行うが、一次の微分項のみの離散化なので、補正する速度が波状分布になることから、メッシュはスタッガード格子を用いた。
【0034】
気液速度修正手段106は、気液速度初期データを、次の気液質量保存式を満足するように、各微小要素毎に修正する。

この気液質量保存式において、気液速度データにつき、微小要素が側壁に接しない場合、r,θ,z,ρ,v,wを気液質量保存式に入力して、uを修正値として新たに算出する。また、微小要素が側壁に接する場合、r,θ,z,ρ,u,vを気液質量保存式に入力して、wを修正値として新たに算出する。
【0035】
粒子温度分布算出手段107は、粒子温度分布を算出する手段であり、図1に示すように、反応熱算出手段107a,熱伝達率算出手段107b,粒子エンタルピー分布算出手段107cを備えている。
反応熱算出手段107aは、任意の反応速度式を解き、各微小要素毎の粒子の反応熱Qを算出する。
【0036】
この反応速度式としては、例えば

を用いることができ、反応熱は、次の式により算出することができる。

rsは単位体積当りの反応速度で、ポリプロピレン粒子に含まれるモノマー濃度を考慮した速度モデル式とした。モノマー濃度算出の詳細については省くが、単位体積当りの反応速度rsを上記の式で表現し、粒子に含まれるモノマー濃度(M)をFlory-Huggins式とGunn-Yamadaの式(Gunn,R.D.and
T.Yamada, ‘AIChE J.,17, 134(1971))から推定した。
【0037】
熱伝達率算出手段107bは、任意のモデル式から粒子〜気液間の熱伝達率hを算出する。
このモデル式としては、例えば国井らの式

を使用することができる(Kunii & Levenspiel, ‘Fluidization
Engineering(Butterworth 1991))。
【0038】
粒子エンタルピー分布算出手段107cは、修正された粒子速度データ,反応熱Q,熱伝達率h、及び次に示す粒子エンタルピー保存式を用いて、粒子のエンタルピーHsを算出する。

なお、φは、単位体積当りの粒子質量を示し、次の式で表現される。

熱伝導項については、影響が少ないため省略した。
【0039】
次に、使用する物質に応じた任意のモデル式を用いて、エンタルピーHsから温度Tsを算出する。
使用する物質がポリプロピレンの場合、このモデル式として、例えばHs=Cpsを用いることができる。
【0040】
気液温度分布算出手段108は、気液温度分布を算出する手段であり、図1に示すように、気液エンタルピー分布算出手段108a,気液比算出手段108b,気液密度算出手段108cを備えている。
気液エンタルピー分布算出手段108aは、修正された気液速度データ、熱伝達率h、及び次に示す気液エンタルピー保存式を用いて、気液のエンタルピーHを算出する。

【0041】
次に、使用する物質に応じた任意のモデル式を用いて、エンタルピーHから温度Tを算出する。
使用する物質がプロピレンの場合、このモデル式として、例えば次の換算式を用いることができる。
T=1.500H−3.750 (H<48.5)
T=69.00 (48.5≦H≦99.8)
T=1.763H−106.9474 (H>99.8)
【0042】
気液比算出手段108bは、気液エンタルピーデータHと、使用する物質に応じた任意のモデル式から気液比を算出する。
このモデル式としては、気相比率をαg、液相比率をαlとすると、例えば温度が沸点の場合は次のようなものとすることができ、気液比はエンタルピーにより決定される。

【0043】
気液密度算出手段108cは、気液温度データTと、使用する物質に応じた任意のモデル式から気液密度を算出する。
使用する物質がプロピレンの場合、モデル式としては、例えば次の式を用いることができる。
ρl(液体密度)=−0.006012T^2−1.4839T+553.26
ρg(気体密度)=5.609410^−3T^2−1.5436T+152.92
ρ(気液密度)=αg×ρg+(1−αg)×αl
(^はべき乗)
【0044】
エンタルピー変化情報記憶手段109は、粒子温度分布算出手段107により算出された粒子エンタルピーデータHs、及び気液温度分布算出手段108により算出された気液エンタルピーデータHを記憶し、時間を進めた次の計算において使用可能とする。
【0045】
参照情報作成手段110は、粒子速度修正手段104,気液速度修正手段106,粒子温度分布算出手段107,気液温度分布算出手段108により算出されたデータを用いて、各種データの分布を表示して参照可能とするための情報を作成して、参照情報記憶手段111に記憶させる。
この参照情報作成手段110は、図1に示すように、温度分布参照情報作成手段110a,速度分布参照情報作成手段110b,気液比分布参照情報作成手段110cを備えている。
【0046】
温度分布参照情報作成手段110aは、粒子温度データTsを用いて、最終アウトプットデータ(粒子温度分布)を出力する。また、気液温度データTを用いて、最終アウトプットデータ(気液温度分布)を出力する。
速度分布参照情報作成手段110bは、粒子速度データを用いて、最終アウトプットデータ(粒子速度分布)を出力する。また、気液速度データを用いて、最終アウトプットデータ(気液速度分布)を出力する。
気液分布参照情報作成手段110cは、気液比を用いて、最終アウトプットデータ(気液比分布)を出力する。
参照情報記憶手段111は、参照情報作成手段110から出力された各種計算データを記憶し、必要に応じて取り出し可能に保管する。
【0047】
以下に上記式で使用した記号の説明を示す。
<使用記号>
As:単位体積当りの粒子界面積 [m2/m3]
C*:活性点数濃度 [mol/kg]
H:エンタルピー [kcal/kg]
H0:沸点エンタルピー [kcal/kg]
ΔH:蒸発潜熱 [kcal/kg]
ΔHr:反応熱 [kcal/kg]
M:ポリマー中のモノマー濃度 [mol/m3]
Nup:粒子ヌッセルト数 [-]
R:ガス定数 [J/K/mol]
Rep:粒子レイノルズ数 [-]
T:温度 [℃]
ds:粒子直径 [m]
h :熱伝達率 [kcal/m/s/℃]
n :単位体積当りの粒子個数 [個/m3]
s:単位体積当りの反応速度 [kg/m3/s]
u:r方向速度 [m/s]
v:θ方向速度 [m/s]
w:z方向速度 [m/s]
α:質量存在率 [wt/wt]
ρ:密度 [kg/m3]
ψ:単位体積当りの粒子質量 [kg/m3]
<添字>
0:初期値
g:ガス
l:液
s:粒子
【0048】
次に、本実施形態の重合槽温度分布推算装置における処理手順について、図2を参照して説明する。
同図は、本実施形態の重合槽温度分布推算装置における処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
以下の処理での計算は、解析対象の攪拌槽を微小要素に分割した各要素について行う。分割数は精度的に多い方が望ましいが、計算時間の関係から10000〜100000が現実的である。また、粒子速度以外はそれぞれ微小時間Δt毎に計算を進め、Δt進めても全体の温度がほとんど変化しなくなれば計算を終了する。Δtとしては0.001〜0.05sec程度が適当である。
【0050】
まず、重合槽温度分布推算装置100における攪拌場粒子速度場算出手段101が、データ入力・設定手段101aにより攪拌槽形状,攪拌回転数,粒子形状,粒子個数等のデータを読み込み(ステップ10)、時間刻み幅等と共にDEMの計算条件として設定する(ステップ11)。
そして、全粒子速度場算出手段101bにより、粒子速度等を計算して、これを全粒子速度場記憶手段101cに記憶させる(ステップ12)。
【0051】
また、温度分布算出用データ入力・設定手段102は、攪拌槽形状、物性値、微小要素分割数等のデータを読み込み(ステップ13)、時間刻み幅等と共に、以降で行われる温度分布の計算条件として設定する(ステップ14)。
次に、各微小要素への平均化手段103は、上述したように、微小要素内粒子の空間平均化手段103a及び時間平均化手段103bにより微小要素毎の粒子速度の空間・時間の平均化を行う(ステップ15)。
【0052】
そして、粒子速度修正手段104が、粒子速度の修正計算を行い(ステップ16)、気液速度算出手段105が、気液速度として粒子速度を設定し(ステップ17)、気液速度修正手段106が、気液速度の修正計算を行う(ステップ18)。
次に、粒子温度分布算出手段107が、粒子エンタルピーを計算するとともに(ステップ19)、気液温度分布算出手段108が、気液エンタルピーを計算し(ステップ20)、粒子温度分布算出手段107及び気液温度分布算出手段108が、上述したように、エンタルピーから温度等を計算して(ステップ21)、時間毎に計算結果をアウトプットとして出力する(ステップ22)。
重合槽温度分布推算装置100は、温度変化が微小になるまで、ステップ18〜ステップ23までの処理を繰り返し(ステップ23のNo)、温度変化が微小になると、処理を終了する(ステップ23のYes)。なお、この場合の微小な温度変化とは、例えば、全ての微小要素の温度変化の合計値が、0.01〜0.1℃程度となる変化とすることができる。
【0053】
次に、本実施形態の重合槽温度分布推算装置100によるシミュレーションの結果について、図3及び図4を参照して説明する。
まず、図3は、本実施形態の重合槽温度分布推算装置による商業用大型重合槽内の実測温度と計算値との比較を示す図である。
同図は、商業用大型重合槽に、本実施形態の重合槽温度分布推算装置によるシミュレーションを適用した例を示している。
図3によれば、計算結果は精度よく、実測値をトレースできている。このことから本実施形態の重合槽温度分布推算装置100による計算方法が妥当であるといえる。
【0054】
図4は、本実施形態の重合槽温度分布推算装置による計算結果を示す図である。同図には、(a)生産速度が小さい場合で、冷却液のサイドフィード無し、(b)生産速度が大きい場合で、冷却液のサイドフィード無し、(c)生産速度が大きい場合で、冷却液のサイドフィード有り、のそれぞれのケースについてのシミュレーション結果が示されている。
(a)と(b)とから、生産速度を上げた場合の反応槽内の温度分布の変化を把握することができる。同図の場合、生産速度をアップすることで、槽内の温度分布分散σは5.0[℃]から8.9[℃]まで上昇している。
すなわち生産速度を上げると、温度分布が広がることが示されている。
【0055】
また、(b)と(c)とから、生産速度が同一で、冷却液をサイドフィードした場合の反応槽内の温度分布の変化を把握することができる。
同図の場合、冷却液をサイドフィードすることで、槽内の温度分布分散σは8.9[℃]から4.4[℃]まで低減している。
このように、本実施形態の重合槽温度分布推算装置100によれば、攪拌重合槽の温度分布が予想でき、発生するホットスポットを消滅あるいは低下させる方法を見出すことが可能となる。
このため、攪拌重合槽の設計に際し、有用なツールとして使用することが可能となる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の重合槽温度分布推算装置によれば、気液固三相系で、反応・相変化を伴う複雑な系のシングルヘリカル翼気相重合反応槽について、DEMと連続体モデルをカップリングさせる解析法により槽内の温度分布を推算することで、計算時間を大幅に短縮し、現実的に計算を行うことが可能となる。
また、効率的な冷却が可能な気相重合反応槽の最適設計に活かすことができ、反応器内温度条件、攪拌条件、生産量などの反応条件の最適化を測ることも可能となる。
【0057】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態により算出される温度分布や速度分布、気液比分布が計算可能であれば、ブロック図に示した機能の切り分け単位を変えるなど適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、攪拌機を備えた気相重合反応槽における固液気の三相系重合反応についての温度分布や速度分布、気液比分布のシミュレーションを行うことにより、反応器の設計や、重合反応条件の設定等を行う場合に好適に利用ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態の重合槽温度分布推算装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の重合槽温度分布推算装置における処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態の重合槽温度分布推算装置による商業用大型重合槽内の実測温度と計算値との比較を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態の重合槽温度分布推算装置による計算結果を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
100 重合槽温度分布推算装置
101 攪拌場粒子速度場算出手段
101a データ入力・設定手段
101b 全粒子速度場算出手段
101c 全粒子速度場記憶手段
102 温度分布算出用データ入力・設定手段
103 各微小要素への平均化手段
103a 微小要素内粒子の空間平均化手段
103b 時間平均化手段
104 粒子速度修正手段
105 気液速度算出手段
106 気液速度修正手段
107 粒子温度分布算出手段
107a 反応熱算出手段
107b 熱伝達率算出手段
107c 粒子エンタルピー分布算出手段
108 気液温度分布算出手段
108a 気液エンタルピー分布算出手段
108b 気液比算出手段
108c 気液密度算出手段
109 エンタルピー変化情報記憶手段
110 参照情報作成手段
110a 温度分布参照情報作成手段
110b 速度分布参照情報作成手段
110c 気液比分布参照情報作成手段
111 参照情報記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相重合反応槽内の温度分布を推算する重合槽温度分布推算装置であって、
離散要素法により、攪拌場における所定の時間毎の全粒子の位置及び速度を算出する粒子速度場算出手段と、
前記気相重合反応槽を所定の単位で分割して得られた微小要素毎に、時間毎の粒子速度の平均値を算出するとともに、前記各微小要素内で時間平均化した粒子速度を算出する平均化手段と、
前記時間平均化した粒子速度を粒子質量保存式を満足するように、前記各微小要素毎に修正する粒子速度修正手段と、
気液速度の初期値として、前記修正された粒子速度を用いる気液速度算出手段と、
前記気液速度の初期値を気液質量保存式を満足するように、前記各微小要素毎に修正する気液速度修正手段と、
前記各微小要素毎の粒子の反応熱、及び粒子と気液間の熱伝達率を算出し、前記修正された粒子速度,前記反応熱,前記熱伝達率を用いて粒子エンタルピー保存式により、粒子エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により前記粒子エンタルピーに対応する粒子温度を算出する粒子温度分布算出手段と、
前記修正された気液速度,前記熱伝達率を用いて気液エンタルピー保存式により、気液エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により前記気液エンタルピーに対応する気液温度を算出する気液温度分布算出手段と、
算出された前記粒子温度及び前記気液温度を、所定の時間毎に出力する参照情報作成手段と、を備えた
ことを特徴とする重合槽温度分布推算装置。
【請求項2】
前記気液温度分布算出手段が、前記気液エンタルピーを用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液比を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の重合槽温度分布推算装置。
【請求項3】
前記気液温度分布算出手段が、前記気液温度を用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液密度を算出する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の重合槽温度分布推算装置。
【請求項4】
前記粒子質量保存式が、

r:半径位置 θ:周方向位置 z:鉛直位置 ρs:粒子密度
us:半径方向粒子速度 vs:周方向粒子速度 ws:鉛直方向粒子速度
であり、
前記気液質量保存式が、

ρ:気液密度 u:半径方向気液速度 v:周方向気液速度 w:鉛直方向気液速度
であり、
前記粒子エンタルピー保存式が、

Hs:粒子エンタルピー ψ:単位体積当りの粒子質量 Q:反応熱 h:熱伝達率 As:単位体積当りの粒子界面積 Ts:粒子温度 T:気液温度
であり、
前記気液エンタルピー保存式が、

H:気液エンタルピー
である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重合槽温度分布推算装置。
【請求項5】
前記気相重合反応槽が、シングルヘリカル翼を備えたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重合槽温度分布推算装置。
【請求項6】
重合槽温度分布推算装置に、気相重合反応槽内の温度分布を推算させるための重合槽温度分布推算プログラムであって、
前記重合槽温度分布推算装置を、
離散要素法により、攪拌場における所定の時間毎の全粒子の位置及び速度を算出する粒子速度場算出手段、
前記気相重合反応槽を所定の単位で分割して得られた微小要素毎に、時間毎の粒子速度の平均値を算出するとともに、前記各微小要素内で時間平均化した粒子速度を算出する平均化手段、
前記時間平均化した粒子速度を粒子質量保存式を満足するように、前記各微小要素毎に修正する粒子速度修正手段、
気液速度の初期値として、前記修正された粒子速度を用いる気液速度算出手段、
前記気液速度の初期値を気液質量保存式を満足するように、前記各微小要素毎に修正する気液速度修正手段、
前記各微小要素毎の粒子の反応熱、及び粒子と気液間の熱伝達率を算出し、前記修正された粒子速度,前記反応熱,前記熱伝達率を用いて粒子エンタルピー保存式により、粒子エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により前記粒子エンタルピーに対応する粒子温度を算出する粒子温度分布算出手段、
前記修正された気液速度,前記熱伝達率を用いて気液エンタルピー保存式により、気液エンタルピーを算出し、使用する物質に応じた任意の換算式により前記気液エンタルピーに対応する気液温度を算出する気液温度分布算出手段、
算出された前記粒子温度及び前記気液温度を、所定の時間毎に出力する参照情報作成手段
として機能させるための重合槽温度分布推算プログラム。
【請求項7】
前記気液温度分布算出手段に、前記気液エンタルピーを用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液比を算出させる
ことを実行させるための請求項6記載の重合槽温度分布推算プログラム。
【請求項8】
前記気液温度分布算出手段に、前記気液温度を用いて、使用する物質に応じた任意の換算式により気液密度を算出させる
ことを実行させるための請求項6又は7記載の重合槽温度分布推算プログラム。
【請求項9】
前記粒子質量保存式が、

r:半径位置 θ:周方向位置 z:鉛直位置 ρs:粒子密度
us:半径方向粒子速度 vs:周方向粒子速度 ws:鉛直方向粒子速度
であり、
前記気液質量保存式が、

ρ:気液密度 u:半径方向気液速度 v:周方向気液速度 w:鉛直方向気液速度
であり、
前記粒子エンタルピー保存式が、

Hs:粒子エンタルピー ψ:単位体積当りの粒子質量 Q:反応熱 h:熱伝達率 As:単位体積当りの粒子界面積 Ts:粒子温度 T:気液温度
であり、
前記気液エンタルピー保存式が、

H:気液エンタルピー
である
ことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の重合槽温度分布推算プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−91971(P2007−91971A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286109(P2005−286109)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【出願人】(505130112)株式会社プライムポリマー (180)
【Fターム(参考)】