説明

重合第一アミンを主成分とする膜イオン交換クロマトグラフィー用媒体、当該媒体を含有する吸着装置並びにこれを用いたクロマトグラフィー方法及び精製方法

【課題】蛋白質不純物を強く結合し、生物試料からの宿主細胞蛋白質の除去に優れた抗体及び不純物を含む生物試料の精製方法の提供。
【解決手段】抗体及び不純物を含む生物試料の精製方法であって、該生物試料をアフィニティークロマトグラフィーに付すことによって該生物試料を精製し;その後、多孔質基材と該多孔質基材の表面上にある多孔質皮膜とを有する多孔質被覆媒体を備える陰イオン交換媒体に該生物試料を充填することによって該生物試料をさらに精製し、ここで、該皮膜は、1種以上の架橋重合第一アミン又はその共重合体を含むものとし;そして、このさらに精製された試料を集めることを含む方法により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年8月14日に出願された米国仮出願第60/964,653号及び2008年3月25日に出願された米国仮出願第61/070,708号について優先権を主張する。これらの出願の開示は、参照により本明細書に含めるものとする。
【0002】
本発明は、重合第一アミンを主成分とする陰イオン交換クロマトグラフィー、該媒体を含む陰イオン交換吸着剤及び当該吸着剤を含むクロマトグラフィー方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
吸収とは、吸収性材料本体への浸透によって物質を取り込むことをいう。吸着とは、バルク相からの分子が吸着性媒体の表面に移動することをいう。吸着とは、吸着と吸収の両方を包含する一般的な用語である。同様に、吸着剤としてここに示される吸着性材料又は吸着装置とは、吸着するか若しくは吸収するかのいずれかの材料若しくは装置又は吸着しかつ吸収する材料若しくは装置をいう。この媒体は、特にカートリッジを通した流れに使用される多孔質膜吸着剤として適用でき、特に分離型外部ハウジングのないカートリッジに適用できる。
【0004】
強力なイオン交換体、例えば、第四アンモニウムイオンを主成分とするものは、負に荷電した大きな不純物、例えば、エンドトキシン、ウイルス、核酸、及び生体液、特に人工生物学的薬物の溶液のような流体に存在する宿主細胞蛋白質(HCP)を捕捉するための仕上げ媒体として後処理プロセスに使用される。従来から、陰イオン交換体は、ビード方式で、例えばGEヘルスケア・バイオサイエンシズABから入手できるQ Sepharose(商標)として売り出され、かつ、使用されてきた。しかしながら、ビードを基礎とする系の処理能力の限界により、不純物を効率的に捕捉するためには大容量のカラムが必要である。
【0005】
ビードを基礎とするクロマトグラフィーでは、吸着のために利用できる表面積の大部分がビードに対して内部にある。従って、物質移動速度が細孔拡散によって典型的に制御されるため、この分離方法は本質的に遅い。この拡散抵抗を最小にし、そしてそれに伴って動的結合能力を最大にするために、さらに小さな直径のビーズを使用することができる。しかしながら、小さな直径のビーズを使用すると、カラムの圧力降下の増大という犠牲を払うことになる。そのため、分取クロマトグラフィー分離の最適化は、効率/動的容量(小さなビーズが好都合である)とカラムの圧力降下(大きなビーズが好都合である)との妥協を伴うことが多い。
【0006】
これに対して、膜を基礎とするクロマトグラフィー系(膜吸着剤とも呼ばれる)は、リガンドが対流性の膜孔に直接結合しており、それによって物質移行に及ぼす内部細孔拡散の影響が排除される。さらに、狭い膜細孔寸法分布を効果的な流れ分配器と共に有する微細孔膜基材を使用すると、軸方向分散を最小にし、かつ、全ての活性部位を均一に利用することができるようになる。従って、膜吸着剤媒体の物質移動速度は、標準的なビードを基礎とするクロマトグラフィー媒体の物質移動速度よりも大きさが一桁大きいため、高効率分離と高流量分離の両方を可能にすることができる。単一の膜又は集積膜であっても、ビードを基礎とする媒体を充填したカラムと比較すると非常に薄いので、クロマトグラフィー床に沿って圧力降下の減少が見出され、それにより流量と生産性の増加が可能になる。必要な結合容量は十分な内部表面積の膜を使用することによって達成され、それによって直径対高さ比(d/h)が非常に大きい装置構成が生み出される。
【0007】
適切に設計された膜吸着剤は、標準的な分離用のビーズを基礎とする樹脂よりも10〜100倍良好なクロマトグラフィー効率を有する。従って、膜吸着剤について同レベルの分離を達成するために、10倍低い吸着床の高さを利用することができる。ビードを基礎とする系についての10〜30cmの吸着床高さと比較して、膜吸着剤については1〜5mmの吸着床長さが標準的である。大容量膜吸着剤に必要とされる極端なカラム縦横比のため、装置設計が不可欠である。膜吸着剤について固有の性能優位性を維持するにあたっては、利用できる膜体積を効率的かつ効果的に利用するために適切な入口及び出口分配器が必要である。膜吸着剤技術は、この用途に最適である。しかしながら、近年の商業用膜吸着剤は、結合強度が低いこと、ウイルス、エンドトキシン及び核酸を除去することが困難であることを含め、様々な欠点を有する。
【0008】
膜吸着剤とは、非常に多孔質の連続媒体であって、ある溶液がその細孔を通って流れるときに該溶液のいくつかの成分を除去(吸着及び/又は吸収)することができるものである。膜吸着剤の特性及び要求される用途において申し分なく機能するその能力は、当該媒体の多孔質構造(骨格)だけでなく、溶液にさらされる表面の性質にもよる。典型的には、当該多孔質媒体は、まず、水に溶解せず又は水では膨張せず、かつ、許容できる機械的性質を有する重合体から形成される。当該多孔質媒体は、好ましくは、当該技術分野において周知の相分離方法によって作られた多孔質膜シートである。例えば、Zeman LJ, Zydney AL, Microfiltration and Ultrafiltration:Principles and Applications, New York:Marcel Dekker,1996 を参照されたい。また、中空繊維及び管膜も条件に合った骨格である。必要な吸着性を付与するために形成された多孔質構造の外部表面又は表面及び内部細孔表面を改質するには、通常、別個の処理工程が必要である。当該膜構造はたいてい疎水性重合体から形成されるので、表面改質工程の別の目的は、これらの表面を親水性又は可湿性にすることでもある。
【0009】
膜の外部表面又は表面及び内部細孔表面を改質するための多数の方法が存在する。当業者は、吸着、プラズマ酸化、in−situフリーラジカル重合、グラフト及び被覆を伴う代表的な方法を容易に認識するであろう。これらの方法の大部分は、膜表面上での単層様構造の形成をもたらすところ、これは、大体の場合、親水性にするという目標を達成するものではあるが、それでも許容できる吸着性、例えば、高い吸着容量を付与することはできない。この容量は、媒体の所定の体積により保持できる吸着質の量(重量)と定義される。吸着が全て膜表面で起こる限り、当該容量は、膜表面積によって制限されるであろう。これらの性質により、微小孔膜は、クロマトグラフィービーズと比較して表面積が小さい。表面積を増加させる一方法は細孔寸法を減少させることであるが、これは、流量のかなりの損失に至ることは明らかである。例えば、0.65μmポリエチレン膜(インテグリス・コーポレーション、米国マサチューセッツ州ビルリカ)上における蛋白質の最大の(単層)吸着量は、表面相互作用のタイプにかかわらず、約20mg/mLである。これは、例えば、典型的な容量が約80mg/mLのアガロースクロマトグラフィービーズよりも有意に少ない。
【0010】
吸着を促進させる表面相互作用のタイプは、所定の膜吸着剤物質を使用する特定の用途によって決まる。現在、モノクローナル抗体(MAB)の溶液からウイルス、核酸、エンドトキシン及び宿主細胞蛋白質(HCP)を除去する高容量の高親和性吸着質に対する要望がある。これらの不純物は、MABよりも低い等電点を有する傾向があるが、これは、所定のpHでは、これらの不純物が負に荷電している一方で、MABが正に荷電していることを意味する。陰イオン交換体、すなわち、正電荷を保持しかつ陰イオンを引き寄せる媒体は、これらの不純物を除去するために必要である。第一アミン、第二アミン及び第三アミン並びに第四アミン塩を含め、多数の化学的部分が水溶液中で正電荷を保持する。これらのアミンは11よりも低いpHでは正に荷電しているが、アンモニウム塩は、全てのpHで正電荷を有するため、これらの基は、一般に、それぞれ弱陰イオン交換体及び強陰イオン交換体と呼ばれている。
【0011】
陰イオン交換膜は、様々な不純物及び異物を引き付けかつ保持する複数の正電荷結合部位を有する。除去できる可能性のある不純物の量は、当該膜におけるこれらの結合部位の濃度の関数であり、リガンドの化学的性質(並びにこれらのリガンドの濃度)は、様々な不純物に対する結合の強さに寄与する。高い結合強さは、不純物、例えば宿主細胞蛋白質の除去を増進させるための重要な属性である。結合の強さ(SB)は、結合した不純物を溶離させるのに必要な溶液のイオン強度と関連がある。膜吸着剤のSB(伝導率の単位mS/cmで測定される)は、次のとおりに決定される。まず、少量の吸着質溶液を膜吸着剤に通過させ、そうして当該吸着質を当該膜吸着剤に結合させる。次に、この膜吸着剤を塩化ナトリウムのような無機塩の増加勾配で溶離させる。吸着質を溶離させるのに必要な溶離溶液の最小伝導率を記録し、これを当該膜吸着剤のSBと定義する。吸着剤の結合の強さを増大させることによって、負に荷電した不純物を膜吸着剤に不可逆的に結合させ、それにより除去効率を有意に上昇させることができる。これは、弱く結合した宿主細胞蛋白質群を抗体流れから除去するのに特に重要である。
【0012】
従来の貫流型陰イオン交換体は、一般的に、負に荷電した不純物を引き寄せて結合させる一方で、正に荷電した産物分子を反発させることに寄与する第四アンモニウムリガンドを含有していた。従来の知識では、電荷相互作用によって強力に不純物を結合させるためには、強力なイオン交換体、すなわち全てのpH値で正電荷を有するものが必要であることが必要とされていた。本発明は別の方法を実証する。本発明者は、重合第一アミン、好ましくは重合体骨格に第一アミンが共有結合した脂肪族重合体、より好ましくは重合体骨格に第一アミンが少なくとも1個の脂肪族基、好ましくはメチレン基により共有結合した脂肪族重合体は、負に荷電した不純物を格別に強く結合させるので、膜吸着剤の表面上に吸着性のヒドロゲルを創り出すのに好ましい材料であることを見いだした。
【0013】
モノクローナル抗体は、治療薬及び診断用薬としての重要性を高めることに寄与する。候補mABのためのハイブリドーマライブラリーをスクリーニングする方法は、時間を浪費するし、労力も要する。好適なmABを発現するハイブリドーマ培養細胞株を確立させたら、さらなる性質決定のために十分なmABを生産するための精製方法を開発しなければならない。古典的な精製方法は、蛋白質A又は蛋白質Gアフィニティークロマトグラフィーを使用することを伴う。精製された抗体を脱塩し、そして透析を使用して生理的緩衝液に交換する。この全方法は、通常、完了するのに数日間要するし、複数のmABを平行して評価すべき場合には特に負担が多くなり得る。
【0014】
米国特許第6,090,288号には、ペプチドと核酸の分離用のアミノ基含有クロマトグラフィー媒体の製造法が教示されている。当該文献には、強力な陰イオン交換リガンドと比較して弱いものから蛋白質を溶離するには、イオン強度が一層高いことを要することが開示されている。この開示された分離媒体の重要な構造的特徴は、「アミノ窒素から2又は3原子離れた間隔で、ヒドロキシル基又は第一、第二若しくは第三アミノ基が存在する」というものである。この点について、例えば、本出願人は、純粋なポリアリルアミン重合体の緩く架橋した被膜には、蛋白質の結合の強さをさらに高めるためにいかなる追加の基も必要ないことを示す。
【0015】
米国特許第5,304,638号には、複数のポリアミン基を保持する水不溶性マトリックスを含む蛋白質分離媒体を使用することが教示されている。実施例の一つで、ポリアリルアミン表面改質アガロースクロマトグラフィーゲルを製造することが実証されている。しかしながら、当該米国特許第5,304,638号の発明者は、第二及び第三アミンに対して第一アミンを使用する重要さを認識できていない。被膜厚さを制御して吸着を最適化させること又は安定性のために当該被膜を架橋させることについて何の努力もなされていないし又は記載されていない。当該発明者は、窒素原子対間における炭素原子の好ましい数が3を超えないことを強調している。当該発明者は、ポリアミン基及びpHに基づいて算出され、かつ、少なくとも1.5の好ましい値を有する経験的関数Qを導入している。ポリアリルアミンでは、最も近い窒素原子間には5個の炭素原子があり、また、これについての該関数Qは0.1に近いであろう。
【0016】
米国特許第5,547,576号には、固定化ポリアミン皮膜を有し、かつ、水溶液からウイルスを除去するために使用できる多孔質膜を製造することが教示されている。この皮膜の製造は、まず当該膜の表面上に所定の基をグラフトさせ、次いで当該基とポリアミン化合物とを反応させることを伴う。グラフト改変法は、もともと複雑であるため実用的でない場合が多い:これらは、所定の基がグラフトする特定の基材に反応しやすいので、製造環境において実行するには費用がかかり得る。また、この方法は、米国特許第5,304,638号について議論された構造的欠陥という欠点もある。
【0017】
これら3つの米国特許第6,090,288号、同5,304,638号及び同5,547,576号の全ては、ポリアミン皮膜の厚さ又は当該皮膜内での重合体架橋度について制御することの重要さを認識できていない。これらの米国特許は、全て、アミン含有化合物と、表面に共有的に固定化された反応性基とをグラフト又は直接反応のいずれかにより化学反応させることに依存している。このような手順の結果、単層型アミン含有皮膜に本質的に限定される。これらの膜の吸着容量を高くすることは、アガロースクロマトグラフィービーズの場合と同様に、その表面積を増大させることでしか達成できない。本発明は、膜表面上に、弱く架橋した重合体層の比較的厚い層を作ることによって高い吸着容量が達成できることを教示するが、これは、従来技術において教示された全てのものとは根本的に異なる手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第6090288号明細書
【特許文献2】米国特許第5304638号明細書
【特許文献3】米国特許第5547576号明細書
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Zeman LJ, Zydney AL, Microfiltration and Ultrafiltration:Principles and Applications, New York:Marcel Dekker,1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、不純物の強力な結合を与えかつ従来技術の欠点を有しない所定の媒体及び当該媒体を含む貫流陰イオン交換体を提供することが望ましいであろう。このような交換体は、例えば、陽イオン交換カラムで実施される1回以上の随意のポリッシング工程に続くアフィニティークロマトグラフィーカラムの下流に置かれたときに、クロマトグラフィースキームを使用して細胞培養液からモノクローナル抗体を精製するのに有用である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の要約
従来技術の問題点は、媒体及び当該媒体を含む陰イオン交換体のような装置であって、該媒体がポリアリルアミンのような重合体で被覆された表面を有する膜であるものを提供する本発明によって克服された。驚くべきことに、得られた膜は、蛋白質不純物の結合がさらに強く、しかも、トリメチルアンモニウムリガンドを含めて第四アンモニウム塩を主成分とする従来のリガンドよりも、生物試料からの宿主細胞蛋白質の除去に優れるものである。
【0022】
微小孔膜の吸着容量を有意に増加させるための方法を説明する。単層形式の膜の表面を改質する代わりに、外部及び内部細孔表面全体を弱く架橋したヒドロゲルで被覆する。このヒドロゲルの湿潤(膨潤)厚さは約50〜100nmであるが、これは数層の蛋白質分子を収容するのに十分なものである。つまり、微少孔膜の吸着容量は、約20mg/mLから80−100mg/mLまで高められる。吸着を促進させる相互作用のタイプは、所定の膜吸着剤物質を使用する具体的な用途によって決まる。現在、モノクローナル抗体(MAB)溶液のような生物試料からウイルス、核酸、エンドトキシン及び宿主細胞蛋白質(HCP)を除去する高容量で高親和性の吸着剤に対する要望がある。第一、第二及び第三アミン並びに第四アンモニウム塩を含め、多数の化学的部分が水溶液中で正電荷を持つ。当該アミンは11よりも低いpHで正に荷電している一方で、アンモニウム塩は全てのpHで正電荷を持つので、これらの基は、それぞれ弱陰イオン交換体及び強陰イオン交換体と呼ばれている。本発明者は、重合第一アミン、好ましくは重合体骨格に第一アミンが共有結合した脂肪族重合体、より好ましくは重合体骨格に第一アミンが少なくとも1個の脂肪族基、好ましくはメチレン基により共有結合した脂肪族重合体が、負に荷電した不純物を格別強く結合させるため、膜吸着剤の表面上に吸着性のヒドロゲルを創り出すための好ましい材料であることを発見した。
【0023】
また、クロマトグラフィー方法及びモノクローナル抗体の精製方法であって、陰イオン交換吸着剤をアフィニティーカラム(例えば蛋白質A又は蛋白質Gアフィニティーカラム)及び随意に陽イオン交換カラムのような1種以上のポリッシング装置又はただの陽イオン交換カラムの下流に設置する前記方法も説明する。説明する陰イオン交換吸着剤中の媒体の性質を考慮すると、試料の伝導率を低下させるためには、陽イオン交換体プール(又は陽イオン交換体が使用されないアフィニティーカラム交換プール)をほとんど又は全く希釈しないことが必要である。というのは、この吸着剤媒体は、さらに高いイオン強度で機能できるからである。吸着剤は、15mS/cmに近い伝導率及び比較的高いpHであっても、生物試料中の宿主細胞蛋白質及び他の負に荷電した不純物をかなり強く結合させる働きをする。
【0024】
先に議論したように、比較的高い装置透過率は、ビーズを主体とした吸着剤が拡散流れであるのに対して、当該膜吸着剤が対流流れであるため、結合容量を犠牲にすることなく達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】0.5%PEG−DGEで架橋されたPAHから調製された1mm膜吸着剤カラムの水分流動及びBSA容量のグラフ図である。
【図1B】PEG−DGEで架橋された9重量%のPAHから調製された1mm膜吸着剤カラムの水分流動及びBSA容量のグラフ図である。
【図2】加速貯蔵期間試験における、遊離塩基の形態及びスルファミン酸イオンの形態にある膜吸着剤のBSA容量についてのグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
特定の実施形態の詳細な説明
本発明は、多孔質自己支持型基材上に多孔質重合体皮膜が形成された多孔質のクロマトグラフィー用媒体又は収着媒体、当該媒体を備える陰イオン交換体、当該吸着剤を含む精製スキーム及び精製方法に関する。当該媒体は、既存の下流の精製方法に統合する態様で、モノクローナル抗体のような人工生物学的薬物から低レベルの不純物を強力に除去するのに特に適している。典型的な不純物としては、DNA、エンドトキシン、HCP及びウイルスが挙げられる。この媒体は、高い塩濃度及び高い伝導率(高い親和性)でよく機能し、このような条件下であってもウイルスを効果的に除去する。装置透過率を犠牲にすることなく高い結合容量が達成される。事実、ここで説明する方法によって生じる皮膜特性に応じて、約5mg/mLを超える、又は約25mg/mLを超える、又は約35−40mg/mLを超える核酸結合容量が達成できる。陰イオン交換吸着剤の量は、比較できるビーズ系方法よりもずっと少ない。というのは、吸着剤媒体に装填される試料を大量に希釈することはもはや必要ではないからである。
【0027】
多孔質基材は、当該基材の幾何学的構造又は物理的構造と関連のある2つの表面を有する。所定のシートは、頂部表面及び底部表面を有するか、又は第一表面及び第二表面を有するであろう。これらは、一般に、「面」と呼ばれている。使用時に、流体は、一方の面(表面)から基材を通って他方の面(表面)に流れる。中空繊維及び管膜については、内部表面及び外部表面が存在する。流れは、内部から外部に又はデザイン及び用途によっては外部から内部に進む。
【0028】
2つの表面間の厚みの様相は多孔質である。この多孔質領域は、細孔と関連のある表面積を有する。用語「表面」若しくは「表面積」又は同様の用法に関する混乱を避けるために、本発明者は、幾何学的表面を外部表面若しくは表面又は面という。細孔に関連する表面積を内部表面積又は多孔質表面積という。
【0029】
多孔質材料は、空間である細孔と、当該材料の物理的具体化物を構成する固体マトリックス又は骨格とを有する。例えば、不織ウェブでは、ランダムに配向された繊維がマトリックスを構成し、当該ウェブにその形態を与える。重合体微小孔膜では、相分離重合体がマトリックスを与える。ここで、本発明者は、皮膜について又は媒体の表面を被覆することについて議論する。本発明者によれば、これは、内部表面及び外部表面を、細孔を完全には塞がないように被覆すること、すなわち、対流のための構造をかなりの部分保持するように被覆することを意味する。特に、内部表面積について、被覆する又は覆うとは、かなりの割合の細孔を開放したままにして被覆すること又は覆うことを意味する。
【0030】
吸収とは、物質を吸収性材料の本体に浸透によって取り込むことをいう。吸着とは、バルク相からの分子が吸着性媒体の表面に移動することをいう。吸着とは、吸着と吸収の両方を包含する一般的な用語である。同様に、吸着剤としてここに示される吸着性材料又は吸着装置とは、吸収と吸着の両方を行う材料又は装置をいう。
【0031】
多孔質基材は、吸着性ヒドロゲルのための支持用骨格として作用する。この基材は、取り扱いやすく、丈夫でかつ一体型の装置に製造しやすいものであるべきである。細孔構造によって、均一な流速分布、高い流量及び高い表面積が得られる。当該基材は、繊維、シート、例えば、織物、不織布、マット、フェルト又は膜であることができる。好ましくは、基材は、織物若しくは不織布又は膜から形成されたシートである。
【0032】
繊維は、任意の長さ、直径のものであってよく、かつ、中空又は中実であってもよい。これらのものは、1個の基材として互いに結合されるものではなく(ただし、これらのものは、皮膜の適用後に単一構造に成形されてもよい)、個々に分離した構成要素である。これらは、不定の長さの糸又はモノフィラメントのような連続長の形態にあることができるし、或いは、不織布又は織物のような繊維性材料を細断することによって作られたさらに短い個々の繊維、連続長繊維を個々の断片に切断することによって作られたさらに短い個々の繊維、結晶成長方法によって形成されたさらに短い個々の繊維などに形成できる。
【0033】
不織布は、別個の繊維束から繊維又はフィラメントを互いに熱により又は化学的に絡ませることによって直接作られた平坦な多孔質シートである。典型的には、不織布製造業者により、1〜500ミクロンの平均孔径(MFP)等級を有する媒体が供給されている。不織布について、その多孔質構造は絡まり合った繊維であり、また、孔とは、繊維間にある入り組んだ空間をいう。孔は、フェルト生地についての意味と同様である。好ましい不織布は、米国マサチューセッツ州ローウェルのFreudenberg Nonwovens NAによるものであり、FO2463型である。
【0034】
織物は、縦糸繊維と横糸繊維とを規則的なパターンで又は互いにある所定の角度の織り方で織編することによって製造される。典型的には、横糸は、縦糸の角度に対して約90度の角度である。一般的に用いられている他の角度としては、30、45、60及び75度が挙げられるが、これらに限定されない。繊維の団結性は、製織方法によって生じた繊維を機械的に絡み合わせることによって維持される。ドレープ(生地が複雑な表面に適合する能力)、表面の滑らかさ及び生地の安定性は、主として、織り方、例えば平織、綾織、サテン、バスケット織り、レノなどによって制御される。この場合には、基材の孔は、繊維間の空間であり、入り組んだ性質は少ない。
【0035】
また、この基材は、ガラス、プラスチック、セラミック及び金属を含めた様々な材料からも形成できる。
【0036】
硼珪酸ガラスが好適なガラスの一例である。このものは、繊維又はガラスマットとして形成できる。
【0037】
慣用されているシリケート化学物質又は希少化学物質、例えば、イットリウム、ジルコニア、チタンなど及びそれらのブレンドを主成分とする様々なセラミックが使用できる。これらのものは、繊維、マット、フェルト、モノリス又は膜に成形できる。
【0038】
金属、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、鉄又は他の磁性金属及び磁性合金、パラジウム、タングステン、白金などを、繊維、焼結シート及び構造体、例えば、焼結ステンレス鋼又はニッケルフィルター、編みスクリーン及び不織布マット、生地及びステンレス鋼ウールのようなフェルトを含めて様々な形態に作ることができるかもしれない。
【0039】
好ましい基材は、合成又は天然重合体材料から作られる。熱可塑性物質がこの用途のために有用な部類の重合体である。熱可塑性物質としては、ポリオレフィン、例えば、超高分子量ポリエチレンを含めたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン被覆繊維、PVDF、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど、ポリアミド、アクリレート、例えば、ポリメタクリル酸メチル、スチレン重合体及び上記の2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の合成材料としては、セルロース、エポキシ、ウレタンなどが挙げられる。
【0040】
好適な基材としては、微細孔ろ過膜、すなわち約0.1〜約10μmの細孔寸法を有するものが挙げられる。基材材料は親水性でも疎水性でもよい。親水性基材材料の例としては、多糖類及びポリアミド、並びに表面処理親水性多孔質膜、例えば、Durapore(商標)(ミリポア・コーポレーション、米国マサチューセッツ州ビルリカ)が挙げられるが、これらに限定されない。疎水性材料の例としては、ポリオレフィン、ポリ弗化ビニリデン、ポリテトラフルオルエチレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート及びポリメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。多孔質構造は、当業者に知られている任意の方法、例えば、液相転位、温度誘導相分離、エアキャスティング、トラック・エッチング、延伸、焼結、レーザー穴あけなどによって基材材料から創り出される。本発明の普遍的な性質のため、多孔質構造を創り出すために利用できる事実上あらゆる方法が、膜吸着剤についての支持骨格を作るのに好適である。超高分子量ポリエチレンから作られた基材材料は、機械的性質と、化学的安定性と、腐食安定性と、ガンマ安定性との組合せのため有用であることが分かった。
【0041】
皮膜重合体は、吸着性ヒドロゲルを形成し、不純物を引き付けかつ保持することに関与する化学基(結合性基)を有する。或いは、皮膜重合体は、結合性基を導入するように容易に変性できる化学基を有する。この皮膜は、生体分子に対して透過性があるので、蛋白質及び他の不純物は、当該皮膜の奥底に捕捉され、吸着容量を増加させることができる。好ましい皮膜重合体は、重合第一アミンである。好適な重合第一アミンの例としては、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリブチルアミン、ポリリシン、これらの共重合体及びこれらと他の重合体との共重合体並びにそれぞれプロトン化された形態が挙げられる。ポリアリルアミン(及び/又はそのプロトン化された形態、例えばポリアリルアミン塩酸塩(PAH))から作られた皮膜が特に有用であることが分かった。PAAは、多数の分子量、通常1,000〜150,000で市販されており(日東紡績株式会社)、これらの全てが膜吸着剤を作製するために使用できる。PAA及びPAHは、容易に水に溶解できる。PAAの水溶液のpHは、約10〜12であり、PAHのpHは3〜5である。PAA及びPAHは区別なく使用できるが、ただし、最終溶液のpHを監視し、適宜、プロトン化されていないアミノ基を架橋剤との反応に利用できるようにこの値を10に調整しなければならない。
【0042】
当該皮膜は、通常、被覆基材の全体積の少なくとも約3%、好ましくは当該基材の全体積の約5%〜約10%を占める。所定の実施形態では、当該皮膜は、当該基材を実質的に均一な厚さで覆う。乾燥皮膜の好適な厚さは、約10nm〜約50nmの範囲にある。
【0043】
架橋剤は重合体と反応して当該重合体を水に不溶し、それにより支持骨格の表面上に保持される。好適な架橋剤は、二官能性又は多官能性分子であって、皮膜重合体と反応し、かつ、選択された溶媒(好ましくは水である)に可溶のものである。様々な化学的部分が、第一アミン、最も顕著にはエポキシド、クロルアルカン、ブロムアルカン及びヨードアルカン、カルボン酸無水物及びハロゲン化物、アルデヒド、α,β−不飽和エステル、ニトリル、アミド及びケトンと反応する。好ましい架橋剤は、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEG−DGE)である。このものは、容易に水に溶解し、速くて効率的な架橋を与え、親水性、中性、非毒性であり、しかも容易に入手できる。被覆溶液に使用される架橋剤の量は、重合体及び架橋剤上にある反応性基のモル比に基づく。好ましいモル比は、約10〜約1,000、より好ましくは約20〜約200、最も好ましくは約30〜約100の範囲にある。架橋剤が多いと、ヒドロゲルの膨張能力が妨げられるため吸着容量が低下する一方で、架橋剤が少ないと、架橋が不完全、すなわちいくらかの重合体分子が完全に溶解したままになる可能性がある。
【0044】
界面活性剤を使用して当該重合体溶液を支持構造の表面全体に均一に広げるのを促進させることができる。好ましい界面活性剤は、非イオン性であり、水溶性であり、アルカリに安定である。フルオロ界面活性剤は、水の表面張力を著しく低下させることができる。これらの界面活性剤は、商品名Zonylの下にイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーによって販売されており、特に好適なものは、例えば、Zonyl FSN及びZonyl FSHである。条件を満たす別の界面活性剤は、商品名Triton Xの下にザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが販売するオクチルフェノールエトキシレートである。当業者であれば、他の界面活性剤も使用できることが分かるであろう。被覆溶液に使用される界面活性剤の濃度とは、通常、脱濡れ(dewetting)を防ぐために溶液の表面張力を低下させるのに必要な最小量である。脱濡れとは、最初に塗り広げた後に表面上の液体が自発的に玉状になることと定義される。脱濡れは、膜吸着剤の形成の間には非常に望ましくない事象である。というのは、これによって皮膜が不均質になって基材が露出し、そのため非湿潤性の生成物が生じ、吸着容量が減少する場合があるからである。界面活性剤の必要量は、溶液の液滴と、多孔質骨格と同一の材料から作られた平面とが生み出す接触角を測定することによって都合よく決定できる。動的に前進する及び後退する接触角が特に有益であり、これらは、それぞれ、液体が溶液の液滴に添加されたとき又は当該液滴から抜き取られたときに測定される。脱濡れ(dewetting)は、当該溶液が0°の後退接触角を獲得するように処方されれば、回避できる。
【0045】
随意に、疎水性表面上に容易に吸着する親水性重合体を少量展着助剤として溶液に添加してもよい。ポリビニルアルコールが好ましい重合体であり、全溶液容量の約0.05重量%〜約5重量%の範囲の濃度で使用できる。
【0046】
疎水性微少孔膜の場合のように、支持多孔質構造が重合体の溶液では容易に湿潤できない場合には、湿潤助剤を当該溶液に添加することができる。この湿潤助剤は、架橋反応に悪影響を及ぼさない、皮膜重合体溶液と相溶性のある任意の有機溶媒であることができる。典型的には、当該溶媒は、低級脂肪族アルコールの1種であるが、ただし、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及び他の水混和性溶媒も同様に使用できる。有機溶媒の添加量は、被覆溶液による多孔質基材の瞬時の湿潤性を達成するのに必要な最小量である。代表的な湿潤助剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールが挙げられる。
【0047】
この被覆方法は、被覆溶液によるウェブの湿潤を改善させることができる。この被覆溶液は、当該ウェブを均一に飽和させ、そして疎水性の箇所や領域を残さないように制御された態様でウェブの中に導入できる。これは、加えられる押出圧力によって溶液をウェブに入れるために、ウェブを押圧するスロットを介して又はウェブの至近距離で当該溶液を押し出すことによって行うことができる。当業者であれば、均一な被膜を生じさせるのに必要な圧力条件、速度及びスロット形状を決定できるであろう。
【0048】
被覆基材を形成させるために好ましい方法は、(1)溶液を調製し;(2)この溶液を膜に塗布し;当該基材の外部表面から余剰の液体を除去し;(3)当該膜を乾燥させ;(4)当該膜を硬化させ;(5)当該膜をすすぎ、そして乾燥させ;(6)完成した膜を随意にアニールし;及び(7)当該膜を随意に酸処理する工程を含む。より具体的に言えば、好適な重合体及び架橋剤を含有する溶液を調製する。これら2成分の濃度は、付着した膜の厚さと膨張の程度を決め、これは同様に以下に示すような膜を介した流動とその吸着容量を決める。重合体と架橋剤を好適な溶媒、好ましくは水に溶解させる。この溶液は、湿潤助剤、展着助剤及びpH調整剤といった他の成分を含有してもよい。疎水性基材を使用する場合には、この溶液の表面張力は、当該基材を湿らす程度に低くなければならないであろう。重合体の水溶液は、通常疎水性微小孔膜を湿らせないので、この溶液に有機溶媒(湿潤助剤)を添加しなければならないであろう。疎水性膜の表面上において被覆物を均一に広げるのを促進させるために、当該溶液に界面活性剤を添加してもよい。最後に、架橋剤の化学的性質によっては、架橋反応をもたらすためにpHを上昇させることが必要となるかもしれない。この溶液の成分と典型的な濃度範囲を表1に掲げる。
【0049】
【表1】

【0050】
被覆溶液は、基材を溶液中に浸漬し、基材を溶液から取り出し、そして、例えば一対のニップロールを使用して基材の両面から機械的に過剰の溶液を除去する(ニップオフ)ことによって、基材上に塗布される。その後、細孔が溶液で満たされた多孔質基材を乾燥させる。乾燥は、室温での蒸発によって実施したり、又は熱を加えることによって促進したりすることができる(約40〜110℃の温度範囲)。被覆された基材を乾燥させた後に、このものを数時間から数日にわたって保持することで、架橋剤は重合体と完全に反応できる。熱を加えることによって架橋を促進させてもよい。その後、当該基材を多量の溶媒ですすぎ、そして再度乾燥させる。追加の随意処理工程としては、高温(60〜120℃)で乾燥膜吸着剤をアニールして流動性を調整すること及び当該吸着剤を0.1M〜1Mの濃度の強力な非酸化性一塩基酸で処理して皮膜中に存在するアミノ基をプロトン化させることが挙げられる。
【0051】
重合体がPAAの場合には、当該重合体中にある本質的に全てのアミノ基を、対応するアンモニウム塩に膜の熱処理後に変換させることが、当該物質の粘稠性を確保するのに役立つであろう。良好な水湿潤性が重要である。この基材は非常に疎水性であり、また親水性皮膜は非常に弱く架橋し、しかもマトリックスには共有結合していないので、PAAゲルがいくらか横方向に収縮することにより膜が水和できなくなる原因となるであろう。一方、PAAの本質的に全てのアミノ基が対応するアンモニアに変換される場合には、乾燥皮膜の体積が増加すること、対イオンによる水の保持が増すこと、及び荷電重合体の水に対する親和性が強くなることは、膜をさらに可湿性にすることに役立つであろう。この目的のために、強力な非毒性非酸化性酸、好ましくはPAAのイオン架橋を避けるための一塩基酸であるものを使用してPAAをプロトン化させるべきである。好適な酸としては、塩酸、臭化水素酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸、トリクロル酢酸及びトリフルオル酢酸が挙げられる。塩化物は、試料蛋白質溶液中に既に存在するので任意の対イオンであることができるものの、連続方法について塩酸及び/又はその塩を使用するのは現実的ではないかもしれない。というのは、鋼が腐食するし、労働安全上の問題を伴うからである。例えば、より好適な酸は、スルファミン酸(H2N−SO2OH)であり、PAA用のプロトン化剤として好ましい。
【0052】
PAAをプロトン化させるための好適な方法は、プロトン化酸の0.1〜0.5M溶液、好ましくはスルファミン酸水溶液(又は湿潤性に乏しい膜に完全に浸透させるための水/アルコール混合物)に膜を浸漬し、次いですすぎ及び乾燥させることである。得られた膜は、スルファミン酸対イオンを保持するが、これは、0.5M水酸化ナトリウム、続いて0.5M塩化ナトリウムのような単純な状態調整プロトコールを使用することによって容易に変換できる。
【0053】
このような酸処理によって膜の貯蔵安定性が改善し、また結合の強さもかなり高くなる。任意の特定の理論に限定されるべきではないが、本発明者は、PAAが完全にプロトン化された(酸処理された)状態で乾燥すると、当該PAAは、BSAを良好にカプセル化することができ、それによってさらに高いイオン強度が達成されるまで当該BSAを放出しない、さらに広範囲の「開いた」形態をとると考える。酸処理膜のさらなる利点は、ろ過生成物のために認められる殺菌手順である電離放射線照射、例えばγ線照射に対する安定性が大きいことである。
【0054】
3つの重要なパラメーターは、膜吸着剤製品の成功を決める。これらは、吸着容量、流量及び結合の強さである。結合の強さは、膜吸着剤の表面上に存在する基の化学的性質によって決まる広い範囲にあるが、容量及び流量は、通常、収着層を形成させるために採用される手順及び重合体と架橋剤の量とにかなり影響を受けやすい。支持骨格と、精製効率(吸着床の高さによって決まる)と、膜吸着剤の化学的性質との所定の組み合わせについて、流量が多いと吸着容量が少なくなり、流量が少ないと吸着容量が多くなり得ることが観察される場合が多い。
【0055】
図1A及び1Bは、本発明に従って製造された膜吸着剤については典型的な傾向が観察されたことを示す。これらのグラフから、流量と容量とのトレードオフは自明である。PAHと架橋剤の両方が膜吸着剤のこれらの臨界的な特性に直接影響を及ぼすことが分かる。適用時に十分に機能するためには、好適な膜吸着剤が高い流量と高い容量の両方を保有してなければならない。膜吸着剤の流量は、一般に、クロマトグラフィー単位CV/分/bar(ここで、CVはカラム容量である)で表すことができる。所定のカラム容量の流量は、カラムの高さに依存することは自明であるが、これは、通常効率的な分離のために最適化される。陰イオン交換膜吸着剤の場合には、効率的なカラム高さは、負に荷電したウイルス、例えばMMVの99.99%の除去(LRV4.0)を達成するのに要する最小の高さにより定義できる。このカラム高さは、本発明においては膜収着剤に対して約0.5mmであることが分かった。ウイルスクリアランスをさらに確保するために、この高さの2倍(1mm)のカラムが本発明を通してごく普通に使用される。このようなカラム高さを有する望ましい膜吸着剤の流量は、少なくとも29CV/分/bar以上、より好ましくは36.25CV/分/bar以上であろう。流量と容量との正確な組み合わせを達成することは非常に困難である。本発明者は、日常的な実験又は濃度の最適化をはるかに超えて膜吸着剤の顕著な特性を達成しなければならなかった。例えば、架橋剤は、高い吸着容量のために非常に有益であることが分かった非常に柔軟な重合分子として賢明に選択した。PAA(15,000)の中間分子量を使用すると、流れと容量とのバランスを達成することができた。pHを調整するために使用した無機塩基は、さらに高いPAA濃度を使用して高い容量を達成することができるような非塩析類のものである。界面活性剤の選択は、非イオン性の腐食安定化合物に対する必要性を認識することによって決定したのに対し、界面活性剤の必要量は、別個の検討で見いだした。対照的に、係属出願US2005/0211615号に従って製造されたPAA膜吸着剤は、1mmカラムについてわずか7.25CV/分/barの流量を有すると同時に、BSA容量はわずか約61mg/mLに過ぎない。
【0056】
本発明の別の重要な側面は、吸着剤膜を硬化させ、すすぎ、そして乾燥させた後に使用される処理後手順である。本発明者は、重合第一アミンを基材とする膜吸着剤を酸で処理すると、その結合の強さ、湿潤性及び電離放射線に対する安定性が有意に増大する。
【0057】
本発明者によってなされた非常に驚くべき発見は、酸処理によって膜吸着剤の結合強さが約54−58mS/cmから78−82mS/cmまで有意に増加するというものであった。PAAを完全にプロトン化された(酸処理された)状態で乾燥させると、当該PAAがBSAを良好にカプセル化させることができ、それによってさらに高いイオン強度になるまで放出させない、より広範囲の「開いた」形態をとると仮定できよう。この利点は、意図されずかつ驚くべきものであったが、通常、さらに高いSBが微量の不純物の良好な除去につながるので、なおさら有益である。
【0058】
架橋PAA膜吸着剤の透過率は、高温「硬化」方法によって改善した。軽く架橋したPAAゲルは、かなりの量の水を吸収する能力があり、その容量の大幅な増加をもたらす。この効果は、低い透過率を生じさせ得る。当該ゲルのこの特性は、結合強さとゲルの容量とを損なうことなく、当該ゲルが許容できるレベルまで膨潤を誘導するような範囲にまで当該ゲルを水和させることによって減少するように思われる。事実、この硬化方法は、製品について適宜膜の透過率を調整することができる。好適な硬化温度は、約25〜120℃、より好ましくは約85〜100℃であり、約6〜72時間にわたる。
【0059】
γ線照射は、ろ過生成物のために広く認められている殺菌手順である。γ線滅菌特性は、膜吸着剤の望ましい特性である。本発明者は、酸処理された膜吸着剤が電離放射線照射に対してさらに大きい安定性を有するという驚くべき利点を見いだした。図2は、膜吸着剤試料(酸で処理されていない対照)及びスルファミン酸アンモニウムに変換されたもののBSA容量を示している。これらの試料の全てに、γ線殺菌条件をシミュレートするために25kGyの電子ビームを照射した。酸処理試料が非酸処理よりもそれらの特定を非常に良好に維持することは明らかである。
【0060】
このようにして形成された陰イオン交換吸着剤は、Mab精製クロマトグラフィースキームに置かれるときに特に有用である。例えば、モノクローナル抗体を含む細胞培養液は、アフィニティークロマトグラフィー、例えば蛋白質A又は蛋白質Gアフィニティークロマトグラフィーを使用し、次いで1個以上の陽イオン交換カラムを使用して精製できる。次いで、最後の陽イオン交換カラムからのアウトプットを、宿主細胞蛋白質、ウイルス、核酸、エンドトキシン及び他の不純物を好適な条件下で媒体に結合させることによって流体中のこれらの不純物の残留濃度を有意に減少させるために当該陰イオン交換カラムを通して流すことができると共に、有用な精製物を当該交換体を通して流すことができる。
【0061】
重要なことに、当該陰イオン交換吸着剤を使用して陽イオン交換プール(陽イオン交換カラムからのアウトプット)を精製すると、塩濃度を減少(及び伝導率を低下)させて宿主細胞蛋白質を効果的に結合させることができるために従来必要であった陽イオン交換プールのかなりの希釈を行うことなく達成できる。実際には、本発明の吸着剤は、塩濃度及び伝導率が高くても非常に高い結合容量を有し(例えば、200mmのNaClで>60g/LのBSA結合)、また、典型的な陽イオン交換プール条件下で従来の吸着剤よりも非常に大量の充填率を可能にする(例えば、0.05kg/Lに対して3kg/L)。以下の例7を参照されたい。当該吸着剤の高い塩濃度での高い容量のため陽イオン交換プールの希釈率を低減することができること又は希釈しないようにすることができることはかなりの利益である。
【0062】
また、当該吸着剤は、比較的高い塩濃度及び比較的高いpHでかなりのウイルスの除去も示す(7.6のpH並びに100mm及び150mmの塩濃度であっても許容できるウイルス除去をもたらす)。
【0063】
また、当業者であれば、いくらかの用途について、1個以上の陽イオン交換カラムによって実施される下流のポリッシングが必要とならない場合があること、及び本発明の陰イオン交換吸着剤を、中間に中間陽イオン交換カラムを設置することなくアフィニティーカラムの下流に設置できることも分かるであろう。同様に、いくつかの用途については、本発明の陰イオン交換吸着剤を、陽イオン交換カラムの下流に、これの前に捕捉(アフィニティー)カラムを置く必要なしに設置できる。
【0064】
例示のために次の実施例を記載するが、これは本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0065】
例1(疎水性UPE上のPAA)
20重量%イソプロパノール、9重量%PAH(分子量15,000)、3重量%水酸化リチウム一水和物、2重量%トリトンX−100、0.5重量%PEG−DGE(分子量526)及び0.2重量%ポリビニルアルコール(分子量30,000、加水分解率98%)を含有する水溶液を調製した。細孔寸法等級が0.65μmである疎水性UPE膜をこの溶液で完全に湿らせ、そして過剰の液体を除去した。この膜を室温で24時間乾燥させ、多量の水及びメタノールですすぎ、そして再度乾燥させた。この膜を水で直ちに湿らせると、約25%の重量含浸量を有する。8層Millex(商標)型シリンジ装置を、3.5cm2の表面積及び1mmのカラム高さを有するこの膜から製造した。この装置は、62.35CV/分/barの流速、90mg/mLのBSA容量及び54mS/cmの結合強さを有する。
【0066】
比較例1(疎水性UPE上のPAA−GTMAC)
例1からの改質膜をpH13の50重量%塩化グリシジルトリメチルアンモニウム(GTMAC)中に24時間にわたり浸漬することによってさらに改質し、水ですすぎ、そして乾燥させた。8層Millex(商標)型シリンジ装置は、3.5cm2の表面積を有するこの膜から製造した。この装置は、10.15CV/分/barの流速、80mg/mLのBSA容量及び19mS/cmの結合強さを有する。
【0067】
比較例2(スルファミン酸処理)
例1からの改質膜をスルファミンの0.5M水溶液中に10分間浸漬させることによってさらに改質させ、脱イオン水ですすぎ、そして乾燥させた。8層Millex(商標)型シリンジ装置は、3.5cm2の表面積を有するこの膜から製造した。この装置は、62.35CV/分/barの流速、80mg/mLのBSA容量及び80mS/cmの結合強さを有する。
【0068】
比較例3
11.6重量%PAH(分子量75,000)、18.6重量%の1.0N水酸化ナトリウム溶液、11.6%塩化ナトリウム及びエピクロルヒドリン変成ポリエチレンアミンの17%水溶液23.2%を含有する水溶液を調製した。細孔寸法等級が0.65μmである疎水性UPE膜をメタノールで予め湿らせ、当該溶液と約5分間直接接触させた。この湿った膜をポリエチレンフィルムバッグ内に置き、このバックを85℃のオーブン内に7分間置いたが、架橋反応を開始させるために当該膜が乾燥してしまわないように注意した。次いで、この湿った膜を当該バックから取り出し、室温で乾燥させた。次いで、この乾燥膜を100℃のオーブン内に4時間置いて架橋反応を完了させた。次いで、この膜を水、メタノール及び塩酸(1.0N)で徹底的に洗浄し、室温で乾燥させた。この膜は水では湿らなかった。8層Millex(商標)型シリンジ装置は、3.5cm2の表面積を有するこの膜から製造した。この装置は、7.25CV/分/barの流速、61mg/mLのBSA容量及び81mS/cmの結合強さを有する。
【0069】
例2(親水性UPE上のPAA)
10重量%PAA(分子量15,000)及び0.5重量%PEG−DGE(分子量526)を含有する水溶液を調製した。0.65μmの細孔寸法等級を有する親水性UPE膜をこの溶液で完全に湿らせ、そして過剰の液体を除去した。この膜を室温で24時間にわたり乾燥させ、多量の水ですすぎ、そして再度乾燥させた。当該8層装置は、62.35CV/分/barの流速、80mg/mLのBSA容量及び49mS/cmの結合強さを有する。
【0070】
例3(親水性UPE上のポリビニルアミン)
20重量%イソプロパノール、7重量%ポリビニルアミン(Lupamin 9095、BASFコーポレーション、米国ニュージャージー州マウントオリーブ)及び0.5重量%PEG−DGE(分子量526)を含有する水溶液を調製した。0.65μmの細孔寸法等級を有する親水性UPE膜をこの溶液で完全に湿らせ、そして過剰の液体を除去した。この膜を室温で24時間乾燥させ、多量の水及びメタノールですすぎ、そして再度乾燥させた。3.5cm2の表面積を有するこの膜から8層装置を製造した。この装置は、44.95CV/分/barの流速、87mg/mLのBSA容量及び32mS/cmの結合強さを有する。
【0071】
例4(疎水性UPE上のポリリシン)
20重量%イソプロパノール、4重量%ポリリシンヒドロブロミド(分子量30,000〜50,000)、4重量%水酸化リチウム一水和物、1重量%トリトンX−100、0.25重量%PEG−DGE(分子量526)及び0.1重量%ポリビニルアルコール(分子量30,000、加水分解率98%)を含有する水溶液を調製した。0.65μmの細孔寸法等級を有する疎水性UPE膜をこの溶液で完全に湿らせ、そして過剰の液体を除去した。この膜を室温で24時間乾燥させ、多量の水及びメタノールですすぎ、そして再度乾燥させた。この膜は水では湿らず、約9%の重量含浸量を有していた。8層装置は、3.5cm2の表面積を有するこの膜から製造した。この装置は、102.95CV/分/barの流速、34mg/mLのBSA容量及び32mS/cmの結合強さを有していた。
【0072】
例5(活性化セファロースビーズ上のPAA)
アガロースクロマトグラフィービーズをPAAで改質させた。2gのエポキシセファロース6B(GEヘルスケア)を8mLのMilli−Q水に縣濁し、これにPAA(分子量3,000)の10%溶液10mLを添加した。pHを水酸化ナトリウムで11に調整した。このビーズを24時間にわたり穏やかに振とうし、水で注意深くすすぎ、冷蔵庫内に湿った状態で保存してから使用した。クロマトグラフィーカラムに改質ビーズを詰め(カラム高さ5.5cm、カラム容量1.88mL)、そして試験した。このものは、BSA容量が20.6mg/mLであり、SBが83mS/cmであった。
【0073】
比較例4(活性化セファロースビーズ上のPAA−GTMAC)
例5からのPAA改質アガロースビーズを、当該ビーズとGTMACの2%溶液(pH11)とを一晩反応させることによってさらに改質させた。ビーズを水で注意深くすすぎ、冷蔵庫内に湿った状態で保存してから使用した。クロマトグラフィーカラムに改質ビーズを詰め込み(カラム高さ4.7cm、カラム容量1.61mL)、そして試験した。このものは、BSA容量が87.3mg/mL、SBが25.4mS/cmであった。
【0074】
例6
例1からの固定化PAAを有する膜を8層シリンジ装置でシールし、ウイルス保持について試験した。以下の表2のデータは、MMV及びMuLV保持に及ぼす塩濃度増加の影響を示している。この表に示すように、Pall Mustang膜(結合の強さ20mS/cm)についてのMMVデータは、LRVが伝導率の増大と共に低下するのに対し、本発明の膜(すなわち、高い結合強さ)については、高い塩濃度であっても完全な除去が観察される。
【0075】
さらに、HCP除去は、表3に示すように、PAA膜関して、第四アンモニウム塩化学物質(比較例1に従って製造されたPAA−GTMAC)と比較してかなり良好であった。表3のデータについて、対照は、GEアマーシャム社が販売する、所定の媒体結合強さ(すなわち、およそ30mS/cm)を有するCapto Qビーズであった。これらのLRVは、モノクローナル抗体が官能化膜に非特異的に結合するため、有意な物質損失なしに得られたことに留意すべきである(すなわち、陰イオン交換特性により膜表面から当該物質が効果的に反発する)。
【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
【表4】

【0079】
例7
0.65μmのUPE膜に試験被覆装置で9%のPAA及び0.5%のPEGDGEを被覆した。この膜を抽出し、熱対流オーブン内において85℃で10分間乾燥させた。一方の試料を85℃で12時間放置し、他方の試料を室温で保存した。次いで、この膜を5%イソプロピルアルコール中5%のスルファミン酸で処理して皮膜を安定化させた。次いで、当該膜の透過率を流量試験器を使用して測定した。この試験では、500mLの水が減圧下(27.0”Hg)で膜試料(断面積9.6平方cm)を通過するのに要する時間を測定する。表1に載せた膜のロットを製造して硬化工程の結果として透過率が改善することを実証した。表4に示すように、「非硬化」膜は、「硬化」膜よりも有意に高い流動時間(さらに低い透過率を示す)を有する。
【0080】
表5から分かるように、硬化工程を使用して膜の透過率と容量を望み通りに制御することができる。この膜は、全て、60−75mSのBSA結合強さを有していた。
【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
例8
0.65μmのUPE膜ロールに試験被覆器で9%のPAA及び0.35%のPEGDGEを被覆した。当該膜を水及びメタノールで抽出し、120℃で熱風衝突ドライヤーで乾燥させた。次いで、これらのロールを以下の表に示すような様々な温度及び時間での硬化に付した。次いで、これらの膜を5%イソプロピルアルコール中5%のスルファミン酸で処理して当該皮膜を安定化させた。当該膜の透過率を、先の例で説明したとおりに流量試験器を使用して測定した。
【0084】
以下の表に示すように、およそ50秒の流動時間は、当該膜を12時間以上にわたって90℃よりも高い温度にまで加熱することによって得ることができる。さらに低い透過率(およそ100秒のさらに長い流動時間)を有する膜が望まし場合には、この温度は、85℃よりも低い温度及びさらに短い時間(10時間)に限定できる。
【0085】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体及び不純物を含む生物試料の精製方法であって、該生物試料をアフィニティークロマトグラフィーに付すことによって該生物試料を精製し;その後、多孔質基材と該多孔質基材の表面上にある多孔質皮膜とを有する多孔質被覆媒体を備える陰イオン交換媒体に該生物試料を充填することによって該生物試料をさらに精製し、ここで、該皮膜は、1種以上の架橋重合第一アミン又はその共重合体を含むものとし;そして、このさらに精製された試料を集めることを含む、前記方法。
【請求項2】
抗体及び不純物を含む生物試料の精製方法であって、該生物試料を陽イオン交換クロマトグラフィーに付すことによって該生物試料を精製し;その後、多孔質基材と該多孔質基材の表面上にある多孔質皮膜とを有する多孔質被覆媒体を備える陰イオン交換媒体に該生物試料を充填することによって該生物試料をさらに精製し、ここで、該皮膜は、1種以上の架橋重合第一アミン又はその共重合体を含むものとし;そして、このさらに精製された試料を集めることを含む、前記方法。
【請求項3】
前記アフィニティークロマトグラフィー工程後であって、前記陰イオン交換媒体に前記生物試料を充填する前に陽イオン交換を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物試料が細胞培養液である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記さらに精製された試料を前記陰イオン交換体の貫流で集める、請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−18171(P2012−18171A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173342(P2011−173342)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【分割の表示】特願2008−209029(P2008−209029)の分割
【原出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】