重水素ランプ
【課題】発生した光を効率よく取り出すことが可能な重水素ランプを提供すること。
【解決手段】この重水素ランプ1は、陰極5、陽極6、及び放電路制限部7を有し、放電によって光を発生させる発光部2と、発光部2を収容する発光筒部3Aと、一端側が発光筒部3Aに連通するように接続されて、発光部2から発生した光を、他端側に設けられた出射窓部4に導く導光筒部3Bと、発光筒部3A及び導光筒部3Bに封入された重水素ガスと、一端側が発光筒部3A内の発光部2に当接し、他端側が導光筒部3B内に挿入されており、内壁面に光を反射する反射面9aが形成された反射筒部9とを備え、反射筒部9の反射面9aの少なくとも一部は、テーパー状に形成されている。
【解決手段】この重水素ランプ1は、陰極5、陽極6、及び放電路制限部7を有し、放電によって光を発生させる発光部2と、発光部2を収容する発光筒部3Aと、一端側が発光筒部3Aに連通するように接続されて、発光部2から発生した光を、他端側に設けられた出射窓部4に導く導光筒部3Bと、発光筒部3A及び導光筒部3Bに封入された重水素ガスと、一端側が発光筒部3A内の発光部2に当接し、他端側が導光筒部3B内に挿入されており、内壁面に光を反射する反射面9aが形成された反射筒部9とを備え、反射筒部9の反射面9aの少なくとも一部は、テーパー状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部で放電によって発生させた光を出射する重水素ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源から効率よく光を放射させるための構造が検討されている。例えば、下記特許文献1に記載の重水素ランプでは、放電容器内に陽極及び陰極を取り巻くように遮蔽囲みを有し、その遮蔽囲みの一部に光反射材を設けたような構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−6737号公報
【特許文献2】特開2008−311068号公報
【特許文献3】特開2010−27268号公報
【特許文献4】実開平5−17918号公報
【特許文献5】特公平4−57066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述した従来の重水素ランプでは、陽極及び陰極を含む放電部と光取り出し窓との間における光の損失が発生しやすく、また、発生した光の集光効率も小さいため、光の照射強度を高めるためには、発生した光をより効率よく取り出すことが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、発生した光を効率よく取り出すことが可能な重水素ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の重水素ランプは、陰極、陽極、及び放電路制限部を有し、放電によって光を発生させる発光部と、発光部を収容する第1の筐体と、一端側が第1の筐体に連通するように接続されて、発光部から発生した光を、他端側に設けられた出射窓部に導く第2の筐体と、第1の筐体及び第2の筐体に封入された重水素ガスと、一端側が第1の筐体内の発光部に当接し、他端側が第2の筐体内に挿入されており、内壁面に光を反射する反射面が形成された筒状部材と、を備え、筒状部材の反射面の少なくとも一部は、テーパー状に形成されている。
【0007】
このような重水素ランプによれば、第1の筐体内の発光部の陰極と陽極との間で生じた放電が放電路制限部によって絞り込まれることによって光が発生し、発光部で発生した光が、第1の筐体に連通する第2の筐体の出射窓部から発光部にかけて挿入された筒状部材の内部に導かれることにより、出射窓部から出射される。ここで、筒状部材の内壁面には反射面が形成されているので、発光部から出射された光が筒状部材の内部の反射面によって反射されつつ第2の筐体の一端側から他端側に導かれる結果、発光部から発せられた光を損失することなく第2の筐体の出射窓部まで導くことができる。併せて、反射面の少なくとも一部はテーパー状に形成されているので、出射窓部の外部の所定位置に光を集光させることができる。その結果、発生した光を効率よく取り出すことができる。
【0008】
筒状部材は、金属材料からなることが好適である。このような筒状部材を備えれば、鏡面度の高い反射面の加工が容易になり、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0009】
また、筒状部材の反射面の一端側および他端側がテーパー状に形成されている、ことも好適である。この場合、所望の位置における光の照射強度をさらに高めることができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0010】
また、筒状部材を第2の筐体の他端側から一端側に付勢する金属材料からなるばね部材と、ばね部材によって付勢された筒状部材が嵌め込まれ、発光部の開口部を囲むように設けられた固定部材と、をさらに備えることも好適である。かかる構成を採れば、発生する紫外光によって劣化することなく、第1の筐体及び第2の筐体に対して筒状部材を安定して固定することができる。さらに、筒状部材が発光部の固定部材に嵌め込まれるので、発光部からの光が確実に筒状部材の内部に導かれることになり、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0011】
さらに、発光部には、筒状部材の端部が挿入される穴部が形成されている、ことも好適である。かかる穴部を備えれば、筒状部材が発光部の内部にさらに接近して配置されるので、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0012】
またさらに、筒状部材の一端側の側面には、反射面に向けて貫通する開口部が形成されている、ことも好適である。こうすれば、発光部で生じたスパッタ物を筒状部材の外部に放出することができ、筒状部材の反射面や出射窓部へのスパッタ物の付着を抑制することができる。その結果、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0013】
また、筒状部材の外壁面は、筒状部材の材料よりも熱放射率が大きい材料からなる、ことも好適である。かかる構成を採れば、筒状部材がより放熱されやすく、出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。さらに、筒状部材の外壁面の略全面に、筒状部材の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されていてもよく、この場合、容易に筒状部材の外壁面の熱放射率を高めることができ、筒状部材がさらに放熱されやすく、出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0014】
また、筒状部材の一端側の熱放射率は、筒状部材の他端側の熱放射率よりも大きい、ことも好適である。かかる構成を採れば、より発光部に近い部分においてスパッタ物を捕捉することができるので、筒状部材における反射面の大部分、及び出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。さらに、筒状部材の一端側の外壁面には、筒状部材の他端側の外壁面の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されていてもよく、この場合、容易に一端側の外壁面の熱放射率を他端側の外壁面の熱放射率よりも大きくすることができ、より発光部に近い部分においてスパッタ物を捕捉することができるので、筒状部材における反射面の大部分、及び出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発生した光を効率よく取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図2】(a)は、図1の反射筒部の断面図、(b)は、図1の反射筒部の端面図である。
【図3】図1の重水素ランプにおける反射筒部の組み込み状態を示す側面図である。
【図4】図1の重水素ランプにおける発光中心からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図6】(a)は、図5の反射筒部の側面図、(b)は、図5の反射筒部の端面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図8】(a)は、図7の反射筒部の側面図、(b)は、図7の反射筒部の端面図、(c)は、図7の反射筒部が収容ケースに固定された状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の変形例に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図10】(a)は、本発明の変形例にかかる反射筒部の側面図、(b)は、(a)の反射筒部の端面図、(c)は、(a)の反射筒部の斜視図である。
【図11】(a)は、本発明の変形例にかかる反射筒部の側面図、(b)は、(a)の反射筒部の端面図、(c)は、(a)の反射筒部の斜視図である。
【図12】本発明の変形例に係る重水素ランプの構成を示す側面図である。
【図13】本発明の変形例に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図14】(a)は、図13の反射筒部の断面図、(b)は、図13の反射筒部の端面図である。
【図15】図13の重水素ランプにおける反射筒部の組み込み状態を示す側面図である。
【図16】本発明の比較例にかかる重水素ランプにおける発光中心からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る重水素ランプの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面は説明用のために作成されたものであり、説明の対象部位を特に強調するように描かれている。そのため、図面における各部材の寸法比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【0019】
この重水素ランプ1は、重水素ガスを放電させて光を発生させる発光部2が収容された略円筒状の発光筒部(第1の筐体)3Aと、この発光筒部3Aに連通すると共に発光筒部3Aの側壁から発光部2の発生させる光の光軸Xに沿って突出する略円筒状の導光筒部(第2の筐体)3Bとが一体的に接続されたガラス製の密封容器3を備えている。この密封容器3には、重水素ガスが数百Pa程度封入されている。より詳細には、導光筒部3Bは、光軸Xに沿った方向の一端側が発光筒部3Aに一体化されて連通しており、他端側は発光部2から発生した光を外部に出射させる出射窓部4によって封止されている。この出射窓部4の材質は、例えば、MgF2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、石英ガラス、サファイアガラス等である。
【0020】
発光筒部3Aに収容されている発光部2は、陰極5、陽極6、陽極6と陰極5との間に配置された中心部に導電性の高融点金属で作製され放電路を制限するアパーチャーが形成された放電路制限部7、及びこれらを取り囲んで配置する収容ケース8によって構成されている。この収容ケース8の導光筒部3B側の面には、発光部2で発生した光を取り出すための矩形形状の光通過口(開口部)8aが、導光筒部3Bの出射窓部4に対向するように形成されると共に、この光通過口8aを取り囲むように導光筒部3Bの側壁に沿って円形状に延びる壁部からなる固定リング(固定部材)8bが固定されている。このような発光部2は、陰極5と陽極6との間に電圧が印加されると、その間に存在する重水素ガスを電離、放電させて形成したプラズマ状態を放電路制限部7によって絞り込んで高密度のプラズマ状態にすることによって発生した光(紫外光)を、収容ケース8の光通過口8aから光軸Xに沿った方向に向けて出射させる。
【0021】
なお、上記の発光部2は、発光筒部3Aの端面に設けられたステム部に立設されたステムピン(図示せず)によって、発光筒部3A内に保持されている。すなわち、この重水素ランプ1は、光軸Xが発光筒部3Aの管軸に対して交差するサイドオン型の重水素ランプである。
【0022】
このような密封容器3内の出射窓部4と、発光筒部3Aと導光筒部3Bとを接続する部位との間には、略円筒状の反射筒部(筒状部材)9が挿入固定されている。この反射筒部9は、図2に示すように、アルミニウム製の金属ブロック部材が複数組み合わされて、導光筒部3Bの内径よりも小さい外径を有する略円筒状の形状をなしている。
【0023】
この反射筒部9自体の内壁面は、反射筒部9の中心軸線に沿って曲面、又は段階的に傾斜角が変化する多段面である反射面9aとして形成されている。すなわち、この反射面9aは、出射窓部4の外側の所望の面または点に光を集光できるように、反射筒部9の中心軸方向の両端がテーパー状に形成されている。より具体的には、反射筒部9の長手方向の中心部から発光筒部3A側の端部にかけて反射面9aで囲まれる空間の径が徐々に小さくなるように、反射面9aが反射筒部9の中心軸、すなわち、光軸Xに対して傾斜して形成されている。また、反射筒部9の長手方向の中心部から出射窓部4側の端部にかけて反射面9aで囲まれる空間の径が徐々に小さくなるように、反射面9aが反射筒部9の中心軸に対して傾斜して形成されている。ここで、反射面9aは、発光部2の放電路制限部7のアパーチャーの中心に位置する発光中心C0と反射面9aの発光部2側の端部とを結ぶ線Lに比較して、反射面9aの光軸Xに対する傾斜角が小さくなるように設定されている。例えば、線Lの光軸Xに対する傾斜角が10〜30度に対して、発光中心C0側に最も近い段の反射面9aの傾斜角が2〜15度になるように設定される。なお、反射面9aのテーパー状部は、反射筒部9の中心軸方向の両端ではなく、どちらか一方、例えば発光部2側(一端側)のみを前述したようなテーパー状に形成し、出射窓部4側(他端側)は反射面9aを反射筒部9の中心軸に対して平行に形成しても良い。
【0024】
このような反射面9aは、発光部2によって発生した光を正反射可能な鏡面状態に加工されており、例えば、金属ブロック部材を切削加工し、その内壁に、バフ研磨、化学研磨、電解研磨、それらから派生した研磨方法による研磨、又は、それらを複合した研磨方法による研磨を施した後、洗浄処理や不純物ガス成分を除去するための真空処理等を施すことによって形成される。本実施形態においては、反射筒部9は2つの部材を組み合わせて形成されており、このように複数個の金属ブロック部材で反射面9aが形成される場合には、金属ブロック部材ごとの反射面9aの長さと内径との比(アスペクト比)が小さくできるために、加工整形時に平坦度が出しやすくなる結果、反射面9aの鏡面度が高くなる。
【0025】
さらに、反射筒部9の外壁面9bの略全面には、高熱放射率の材料を含む熱放射膜10が形成されている。このような熱放射膜10の材料としては、酸化アルミニウム等の反射筒部9の材料よりも熱放射率の高いものが用いられる。また、熱放射膜10は、例えば熱放射膜10を構成する材料を反射筒部9の外壁面9b上に蒸着や塗布等によって積層することで形成されるが、特に本実施形態のように反射筒部9がアルミニウムからなる場合には、反射筒部9の外壁面9bを酸化処理することで熱放射膜10としての酸化アルミニウムの層を形成しても良い。
【0026】
また、反射筒部9の外壁面9bの長手方向の他端側の周縁部には、その外壁面9bに沿って、段差状の突出部となるように円形状に切り欠かれた切り欠き部11が形成されている。この切り欠き部11は、反射筒部9を密封容器3内で位置決めするために設けられる。
【0027】
このような反射筒部9は、一端側の端部9dが発光部2の収容ケース8に当接するまで、縁部9d側から導光筒部3Bの管軸(光軸X)に沿って挿入されると共に、切り欠き部11にばね部材12が外壁面9bに沿って取り付けられた後に、導光筒部3Bの他端側が出射窓部4によって封止される(図1及び図3)。このとき、反射筒部9は、その外壁面9bが導光筒部3Bの内壁面13と離間した状態で収容ケース8の固定リング8bの内側に嵌め込まれる(図3)。このばね部材12は、金属部材、例えば、耐熱性の高いステンレスやインコネル材からなる、反射筒部9の位置決め用の部材であり、切り欠き部11と出射窓部4との間に配置されて、反射筒部9を、光軸Xに沿って出射窓部4側から発光部2側に付勢することにより、収容ケース8に押し当てる機能を有する。これにより、反射筒部9は、密封容器3内の出射窓部4と発光部2との間において、一端側の端部9dが発光部2の収容ケース8に当接し、かつ、他端側が導光筒部3Bに挿入されて出射窓部4に接近した状態で、位置決めされる。
【0028】
以上説明した重水素ランプ1によれば、発光筒部3A内の発光部2の陰極5と陽極6との間で生じた放電が放電路制限部7によって絞り込まれることによって光が発生し、発光部2で発生した光が、発光筒部3Aに連通する導光筒部3Bの出射窓部4から発光部2にかけて挿入された反射筒部9の内部に導かれることにより、出射窓部4から出射される。ここで、反射筒部9の内壁面には反射面9aが形成されているので、発光部2から出射された光が反射筒部9の内部の反射面9aによって反射されつつ導光筒部3Bの一端側から他端側に導かれる結果、発光部2から発せられた光を損失することなく導光筒部3Bの出射窓部4まで導くことができる。併せて、反射面9aの両端側はテーパー状に形成されているので、出射窓部4の外部の所定位置に光を集光させることができる。さらに、出射窓部4からの光の取り出し効率を向上させ、出射光の総光量及び照射面上での光量を増加させることができる。また、従来の重水素ランプでは出射窓からの光放射パターンが、その出射窓からの距離に応じて変化し、放射光の弱い抜けの部分が生じやすい傾向にあるが、重水素ランプ1ではそのような光照射パターンの抜けの部分の発生を低減することができる。その結果、発生した光を効率よく取り出すことができる。
【0029】
図4は、重水素ランプ1における発光中心C0からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図であり、図17は、重水素ランプ1から反射筒部9を取り除いた重水素ランプ901における発光中心C0からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図である。
【0030】
図17が示すように、光軸Xに対して放射角が大きい光成分LAは重水素ランプ901では全反射することなく密封容器3を透過もしくは吸収されてしまう。これに対して、図4に示すように重水素ランプ1では、このような光成分LAも反射面9aで全反射させることにより前方照射成分として機能させるため照射光量が多くなる。さらに、発光中心C0側の反射面9aがテーパー状にされているために、反射光が発散成分となることなく出射窓部4から所望位置周辺に集光させることができる。
【0031】
また、重水素ランプ901では密封容器3によって反射されるが発散光となってしまう光成分LB,LDに関しても、重水素ランプ1では所望位置周辺に集光することができる。さらに、重水素ランプ1の出射窓部4側の反射面9aがテーパー状にされているために、光軸Xに対して放射角が小さいために重水素ランプ901では出射窓部4から発散する光成分LCを、集光成分として利用できるとともに、光成分LDを所望位置周辺の適切な位置に集光することができる。その結果、反射筒部9の反射面9aを放射光の多くの成分を集光成分として利用可能な構造にすることができる。
【0032】
なお、反射筒部9の反射面9aのテーパー状部分の形状を調整することで、出射窓部4からの出射光を集光ではなく平行光が多い分布や、逆に拡散分布にもすることができる。
【0033】
また、反射筒部9自体をアルミニウム製の金属ブロック部材等の金属部材で構成することで、鏡面度の高い反射面の加工が容易になるので、発生した光を効果的に集光することができる。さらに、例えば反射筒部9の内部に金属等からなる反射膜を形成した場合と異なり、温度上昇と低下を繰り返す際の、構成材料の膨張係数の違いから発生する反射面9aの剥離または脱落等による性能劣化や異物発生を抑制することができ、長寿命化を実現することができる。加えて、発生する紫外光が透過することなく、また、紫外光によって劣化することもないので、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0034】
さらに、反射筒部9の外壁面9bと、導光筒部3Bの内壁面13とは離間しているので、反射筒部9と導光筒部3Bとの熱膨張率の違いにより、反射筒部9の位置ずれや反射筒部9または導光筒部3Bの破損を防止することができる。
【0035】
また、反射筒部9は、金属部材からなる位置決め部材であるばね部材12によって付勢されて収容ケース8の固定リング8bに嵌め込まれることによって密封容器3内で位置決めされているので、発生する紫外光によって劣化することなく発光部2の放電路制限部7のアパーチャーに対する反射筒部9の位置及び軸合せを容易にし、位置精度を向上させて、出射窓部4からの光の取り出し効率を保つことができる。さらに、ばね部材12により収容ケース8に押圧する構造を採用することで、密封容器3に対して反射筒部9を安定して固定することができると共に、反射筒部9の中心軸方向に沿った熱膨張が発生してもばね部材12によって発光筒部3Aに対する位置ずれを吸収することができる。ここで、重水素ランプの封じの際に導光筒部3Bと放電路制限部7のアパーチャーとの位置や角度の関係をそろえ放射光分布を調整することも考えられるが、この場合は出射窓部4とアパーチャーの奥行き位置が大きく異なるために位置調整が難しい。本実施形態では、反射筒部9を導入することで、導光筒部3Bと反射筒部9との位置関係が安定して決定され、反射筒部9と固定リング8bとを合わせることで反射筒部9とアパーチャーとの位置や角度の関係も合わされる。従って、導光筒部3Bとアパーチャーとの位置関係が精度良く合わされる。
【0036】
さらに、図2に示すように、反射筒部9の外壁面9bの略全面に熱放射膜10が形成されることにより、発光部2に近接する反射筒部9の内面に周辺や封入ガスよりも低温の領域を形成することができ、その領域に発光筒部3Aからのスパッタ物等の異物を捕捉して、異物の出射窓部4への拡散及びそれに伴う光透過率の低下を抑制することができる。
【0037】
また、このような重水素ランプ1を光イオン化源としてガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)といった質量分析装置(MS)に使用することで、高感度化、窓材の汚染抑制、そして、良好な時間応答特性を実現することが可能となる。まず、照射面の光量を飛躍的に増加できることで試料との接触確率を向上でき、従来の光イオン化源と比べ感度を大幅(10倍近く)に向上できる。また、各種MSに適した集光性を実現する事が可能となり、次のような点から測定感度が高められる。すなわち、MSの場合、イオン化室においてイオンを弁別部へ導入する為の電界分布が有効な部分に集中照射可能である。また、GC/MSの場合、イオン化室の数mm程度の開口から光を有効に集中導入可能である。また、LC/MSの場合、イオンを弁別部に導入するアパーチャー近辺に集光しイオン密度を高めることが可能であり、試料の噴出し口から光イオン化源の窓部を遠ざけ窓部の汚染が抑制できると共に、従来より集光性が高められるためイオン化源から遠ざけても感度が劣化しない。つまり、試料の高密度部に高密度の光を当ててイオン化効率を高められて高感度化が実現され、試料の噴出し口から光イオン化源の窓部を遠ざけることで窓部の汚染を抑制することができ、試料の噴出し口に集光することで応答速度を速くすることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図、図6(a)は、図5の反射筒部の側面図、図6(b)は、図5の反射筒部の端面図である。同図に示す重水素ランプ101は、反射筒部109の位置決め構造等が第1実施形態のものと異なる。
【0039】
すなわち、重水素ランプ101に内蔵される反射筒部109には、その外壁面109bの出射窓部4側の端部において、位置決め部材としての金属バンド112が固定されている。この金属バンド112には、バネ性を有する複数の爪部112aが反射筒部109の外周に沿って形成されており、金属バンド112は、その端部が重ね溶接されることにより外壁面109b上に固定されている。このような反射筒部109は、導光筒部3Bの内壁面13に沿って密封容器3内に挿入され、金属バンド112を除く外壁面109bが内壁面13と離間するように固定される。
【0040】
このような構造により、反射筒部109は、金属バンド112の爪部112aのバネ力により、その一端側の端部109dが収容ケース8の固定リング8bに押し当てられ、密封容器3内で光軸Xに沿った方向に位置決めされる。それとともに、反射筒部109は、金属バンド112の爪部112aにより、その外壁面109bと導光筒部3Bの内壁面13とが一定距離を保って離間された状態で光軸Xの垂直な方向にも位置決めされる。また、反射筒109の金属バンド112装着部に、同バンド幅に合わせた溝を形成する事で、導光筒部3Bの内径を大きくする事なく、金属バンド112から導光筒部3Bの内壁面13への距離を大きく取れ、爪部112aの角度を大きくする事が可能となり、爪部112aのバネ力を強める事ができる。
【0041】
このような重水素ランプ101によっても、反射筒部109と導光筒部3Bとの熱膨張率の違いにより、反射筒部109の位置ずれや反射筒部109または導光筒部3Bの破損を防止することができる。また、反射筒部109は、位置決め部材である金属バンド112によって付勢されて収容ケース8の固定リング8bに嵌め込まれることによって密封容器3内で位置決めされているので、発光部2の放電路制限部7のアパーチャーに対する反射筒部9の位置及び軸合せを容易にし、位置精度を向上させて、出射窓部4からの光の取り出し効率を保つことができる。特に、本実施形態では、反射筒部9と導光筒部3Bとの同軸性を安定して維持することができる。
【0042】
また、反射面9aの両端側はテーパー状に形成されているので、出射窓部4の外部の所定位置に光を集光させるようにして出射窓部4から光を効率よく取り出すことができ、出射光の照射面上での光量をアップさせることができる。
【0043】
[第3実施形態]
図7は、本発明の第3実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図、図8(a)は、図7の反射筒部の側面図、図8(b)は、図7の反射筒部の端面図、図8(c)は、図7の反射筒部の斜視図である。同図に示す重水素ランプ201は、反射筒部の発光部側の位置決め構造が第1実施形態のものと異なる。
【0044】
すなわち、重水素ランプ201の反射筒部9の外壁面9bの長手方向の一端側には、反射筒部9の外周に沿って溝部9eが形成されている。また、発光部2の収容ケース8の導光筒部3B側の面には、反射筒部9の溝部9eを嵌め込むことによって反射筒部9の端部を固定するための爪部(固定部材)208bが固定されている。この爪部208bは、収容ケース8の光通過口8aを取り囲むように配置された半円状部208cと、その半円状部208cから伸びるように直線状に形成された反射筒部9を挿入するための開放端部208dとを有している(図8(c))。
【0045】
このような構造により、反射筒部9は、爪部208bの開放端部208dから、その爪部208bの凸部を溝部9eに沿わせるように中心軸に垂直な方向に挿入され、半円状部208cの奥まで差し込まれることによって収容ケース8に対する位置が決定される。なお、半円状部208cの奥まで差し込んだ際、反射筒部9が開放端部208d側に戻り難くする為の係止部を、爪部208bにおける反射筒部9の外周部との近接部に設けても良い。ここで、溝部9eの幅には爪部208bに対して余裕が持たせてあるので、反射筒部9が、ばね部材12によって付勢されて収容ケース8に押し当てられ、密封容器3内で光軸Xに沿った方向に位置決めされる。それとともに、反射筒部9は、爪部208bの半円状部208cに差し込まれることによって、その外壁面9bと導光筒部3Bの内壁面13とが一定距離を保って離間された状態で光軸Xの垂直な方向にも位置決めされる。この際、爪部208bに反射筒部9を収容ケース8側に付勢するためのばね部材を組み込むことで、ばね部材12を省くこともできる。
【0046】
このような重水素ランプ201によっても、反射筒部9と導光筒部3Bとの熱膨張率の違いにより、反射筒部9の位置ずれや反射筒部9または導光筒部3Bの破損を防止することができる。ここで、反射筒部9の長手方向の他端面、つまり出射窓部4との対向面は、出射窓部4と離間しているため、組立作製時や動作時の温度で材質の膨張に差が生じてもガラス材や窓材を破損することもない。
【0047】
また、反射筒部9は、位置決め部材であるばね部材12によって付勢されて収容ケース8に当接すると共に爪部208bに差し込まれることによって密封容器3内で位置決めされている。これにより、発光部2の放電路制限部7のアパーチャーに対する反射筒部9の位置及び軸合せを容易にし、位置精度を向上させて出射窓部4から光を効率よく取り出すことができる。特に、本実施形態でも、反射筒部9と導光筒部3Bとの同軸性を安定して維持することができる。
【0048】
また、反射面9aの両端側はテーパー状に形成されているので、出射窓部4の外部の所定位置に光を集光させるようにして出射窓部4から光をより効率よく取り出すことができ、出射光の照射面上での光量をアップさせることができる。
【0049】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、反射筒部9,109には、金属部材の内壁を研磨加工することにより反射面9a,109aが形成されていたが、反射面を蒸着やスパッタにより成膜してもよい。詳細には、アルミニウム等の金属部材、又はガラス、セラミック等の部材に切削加工や成型加工を施して下地を作製し、その下地に必要に応じて研磨加工を施した後、下地の鏡面にアルミニウム、ロジウム、誘電体多層膜等を蒸着やスパッタすることにより反射面を形成することができる。また、反射筒部9,109は複数の金属ブロック部材から形成されていたが、一体形成されても良い。
【0050】
また、上述した実施形態では、反射筒部9,109を発光筒部3A側に設けられた固定用の部材に押し当てることにより固定していたが、レーザ溶接やスポット溶接等により固定用の部材に直接固定しても良い。このとき、反射筒部を直接固定用部材に溶接することが困難な場合は、溶接可能な構造体を反射筒部に嵌合等で固定し、当該構造体と固定部材とを溶接することで固定しても良い。なお、レーザ溶接の場合は、発光筒部3Aのガラス部材越しに溶接を行うことも可能である。
【0051】
図9には、本発明の変形例である重水素ランプ301として、2つの異なる材料からなる金属部材からなる反射筒部309がレーザ溶接やスポット溶接によって発光部2の収容ケース8に固定された構造を示している。詳細には、アルミニウムからなる反射筒部309の一端側の端部309dの外周にステンレスからなる端部リング314を固定し、その端部リング314と収容ケース8の固定リング8bとの接触部分をレーザ溶接やスポット溶接によって溶融し互いに固着する。同図に示す重水素ランプ301では、導光筒部303Bを短くされているが、反射筒部309をそれに合わせて設計することで出射光の分布を平行光や拡散光にもすることができると共に、照射面上での光強度の均一性を高めることもできる。また、同図に示すように、収容ケース8上における固定リング8bの内側に穴部308eを設け、反射筒部309の端部309dの先端を、荷電粒子の流れを阻害しない範囲で放電路制限部7に近くなるように、穴部308e内に挿入してもよい。そうすれば、反射筒部9(反射面9a)が発光部2の内部に接近して配置されるので、出射窓部4からより効率的よく光を取り出すことができる。
【0052】
また、反射筒部309の先端に固定する溶接用の構造体としては、様々な形状のものを採用することができる。
【0053】
例えば、図10に示すように、反射筒部9の端部9dの外周にステンレス製のC型止め輪等の止め輪615を固定し、その止め輪615と収容ケース8の反射筒部固定用部材とを溶接することで反射筒部9を発光部2に対して固定してもよい。
【0054】
さらに、図11に示すように、反射筒部9の端部9dの外周部にステンレス製のシート材715を帯状に巻き付け、その終端部を重ね合わせて溶接することにより固定してもよい。このシート材715の端部9d側には、反射筒部9の中心軸に対して垂直に延びる複数のつば部715aが設けられており、このつば部715aと固定用部材とを溶接することで反射筒部9を固定することができる。また、つば部715を設けないでシート材715と固定用部材との近接部分を溶接することにより反射筒部9を固定してもよい。
【0055】
図12には、本発明の変形例として、ステム403C、発光筒部403A、及び導光筒部403Bが光軸と同軸上に配置された重水素ランプ401を示す。このような重水素ランプ401では、同一の軸方向からの組上げが可能である。詳細には、反射筒部109を、発光部2の固定リング8bに固定し一体化した後に、導光筒部403B及び発光筒部403Aが一体化された密封容器403内に挿入し、ステム403Cで密封容器403を封止して作製することができる。この反射筒部109には、重水素ランプ301の場合と同様に、端部リング314が圧入および固定されており、この端部リング314と固定リング8bとが溶接されることにより、反射筒部109が固定されている。同時に、反射筒部109には、重水素ランプ101の場合と同様に、その外壁面109bの出射窓部4側の端部に金属バンド112が固定されている。この金属バンド112により、導光筒部403Bと反射筒部109との同軸性が高められている。このような固定方法以外に、固定リング8bの高さを高くして反射筒部109の挿入部分と固定リング8bとをネジ加工することによって固定したり、固定リング8bにタップ穴を作製して反射筒部109を挿入後ビス等で固定する方法であってもよい。
【0056】
また、重水素ランプ1,101,201,301,401においては、反射筒部9,109,309の長手方向の発光筒部3A,303A側(一端側)の外壁面9b,109b,309bに、反射面9a,109a,309aに向けて貫通する開口部が形成されていてもよい。
【0057】
例えば、図13〜15に示す重水素ランプ501には、反射筒部9の外壁面9bの一端側の縁部に、その外壁面9bの出射窓部4側(他端側)に向けて、反射筒部9の中心軸に沿って切り欠かれた開口部9cが形成されている。詳細には、開口部9cは反射筒部9の一端側の周縁に沿って等間隔に3箇所形成されており、隣接する開口部9cの間には発光部2の固定リング8bに嵌め込むための突出部9dが3箇所形成されている。また、収容ケース8の固定リング8bには、反射筒部9の開口部9cに対応する位置に開口8cが形成されている。このような構造により、反射筒部9が収容ケース8の固定リング8bに嵌め込まれると、発光筒部3A内に位置する反射筒部9の外壁面9bの端部には、反射面9aに貫通する開口部9cが開口8cを介して発光筒部3Aの内部空間と連通した状態で複数配置されることになる(図15)。
【0058】
このような重水素ランプ501では、発光部2で生じたスパッタ物を反射筒部9の外部に放出することができ、反射筒部9の反射面9aや低温度部の出射窓部4へのスパッタ物の付着を抑制することができる。その結果、長寿命化を図りつつ、出射窓部4における光の透過率を向上させることができる。なお、この開口部9cは発光筒部3A内に位置しているので、発光部2で生じたスパッタ物が発光筒部3A内に放出されて発光筒部3A内に捕捉されやすい。その結果、出射窓部4へのスパッタ物の飛散をさらに抑制することができ、寿命がより長くなる。また、図9に示すような反射筒部309に端部リング314が圧入された構造においても、端部リング314に開口部を形成してもよい。また、図11に示すように反射筒部9にシート材715を巻き付けた構造においても、シート材715の反射筒部9の開口部9cに対応した位置に開口部を形成してもよい。
【0059】
また、図13〜15に示す重水素ランプ501には、反射筒部9の外壁面9bの長手方向の一端側に熱放射膜10が形成されている。そのため、発光部2に近接する反射筒部9の内側に周辺や封入ガスよりも低温の部分を形成することができ、その部分に発光筒部3Aからのスパッタ物等の異物を捕捉して、異物の出射窓部4への拡散及びそれに伴う光透過率の低下を抑制することができる。また、逆に、外壁面9bの他端側に、反射筒部9の素材よりも熱放射率の低い材料を形成してもよい。これにより、相対的に一端側の放熱性が向上し、熱放射膜10と同様の効果が期待できる。また、反射筒部9の一端側を構成する金属ブロック部材の材料を、他端側を構成する金属ブロック部材の材料よりも熱放射率の大きい材料で構成しても良い。
【符号の説明】
【0060】
1,101,201,301,401,501…重水素ランプ、2,202…発光部、3A,303A,403A…発光筒部(第1の筐体)、3B,303B,403B…導光筒部(第2の筐体)、4…出射窓部、5…陰極、6…陽極、7…放電路制限部、8a…光通過口、8b…固定リング(固定部材)、208b…爪部(固定部材)、9,109,309…反射筒部(筒状部材)、9a,109a…反射面、9b,109b…外壁面(側面)、9c…開口部、10…熱放射膜、12,112…ばね部材、308e…穴部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部で放電によって発生させた光を出射する重水素ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源から効率よく光を放射させるための構造が検討されている。例えば、下記特許文献1に記載の重水素ランプでは、放電容器内に陽極及び陰極を取り巻くように遮蔽囲みを有し、その遮蔽囲みの一部に光反射材を設けたような構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−6737号公報
【特許文献2】特開2008−311068号公報
【特許文献3】特開2010−27268号公報
【特許文献4】実開平5−17918号公報
【特許文献5】特公平4−57066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述した従来の重水素ランプでは、陽極及び陰極を含む放電部と光取り出し窓との間における光の損失が発生しやすく、また、発生した光の集光効率も小さいため、光の照射強度を高めるためには、発生した光をより効率よく取り出すことが望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、発生した光を効率よく取り出すことが可能な重水素ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の重水素ランプは、陰極、陽極、及び放電路制限部を有し、放電によって光を発生させる発光部と、発光部を収容する第1の筐体と、一端側が第1の筐体に連通するように接続されて、発光部から発生した光を、他端側に設けられた出射窓部に導く第2の筐体と、第1の筐体及び第2の筐体に封入された重水素ガスと、一端側が第1の筐体内の発光部に当接し、他端側が第2の筐体内に挿入されており、内壁面に光を反射する反射面が形成された筒状部材と、を備え、筒状部材の反射面の少なくとも一部は、テーパー状に形成されている。
【0007】
このような重水素ランプによれば、第1の筐体内の発光部の陰極と陽極との間で生じた放電が放電路制限部によって絞り込まれることによって光が発生し、発光部で発生した光が、第1の筐体に連通する第2の筐体の出射窓部から発光部にかけて挿入された筒状部材の内部に導かれることにより、出射窓部から出射される。ここで、筒状部材の内壁面には反射面が形成されているので、発光部から出射された光が筒状部材の内部の反射面によって反射されつつ第2の筐体の一端側から他端側に導かれる結果、発光部から発せられた光を損失することなく第2の筐体の出射窓部まで導くことができる。併せて、反射面の少なくとも一部はテーパー状に形成されているので、出射窓部の外部の所定位置に光を集光させることができる。その結果、発生した光を効率よく取り出すことができる。
【0008】
筒状部材は、金属材料からなることが好適である。このような筒状部材を備えれば、鏡面度の高い反射面の加工が容易になり、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0009】
また、筒状部材の反射面の一端側および他端側がテーパー状に形成されている、ことも好適である。この場合、所望の位置における光の照射強度をさらに高めることができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0010】
また、筒状部材を第2の筐体の他端側から一端側に付勢する金属材料からなるばね部材と、ばね部材によって付勢された筒状部材が嵌め込まれ、発光部の開口部を囲むように設けられた固定部材と、をさらに備えることも好適である。かかる構成を採れば、発生する紫外光によって劣化することなく、第1の筐体及び第2の筐体に対して筒状部材を安定して固定することができる。さらに、筒状部材が発光部の固定部材に嵌め込まれるので、発光部からの光が確実に筒状部材の内部に導かれることになり、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0011】
さらに、発光部には、筒状部材の端部が挿入される穴部が形成されている、ことも好適である。かかる穴部を備えれば、筒状部材が発光部の内部にさらに接近して配置されるので、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0012】
またさらに、筒状部材の一端側の側面には、反射面に向けて貫通する開口部が形成されている、ことも好適である。こうすれば、発光部で生じたスパッタ物を筒状部材の外部に放出することができ、筒状部材の反射面や出射窓部へのスパッタ物の付着を抑制することができる。その結果、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0013】
また、筒状部材の外壁面は、筒状部材の材料よりも熱放射率が大きい材料からなる、ことも好適である。かかる構成を採れば、筒状部材がより放熱されやすく、出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。さらに、筒状部材の外壁面の略全面に、筒状部材の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されていてもよく、この場合、容易に筒状部材の外壁面の熱放射率を高めることができ、筒状部材がさらに放熱されやすく、出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0014】
また、筒状部材の一端側の熱放射率は、筒状部材の他端側の熱放射率よりも大きい、ことも好適である。かかる構成を採れば、より発光部に近い部分においてスパッタ物を捕捉することができるので、筒状部材における反射面の大部分、及び出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。さらに、筒状部材の一端側の外壁面には、筒状部材の他端側の外壁面の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されていてもよく、この場合、容易に一端側の外壁面の熱放射率を他端側の外壁面の熱放射率よりも大きくすることができ、より発光部に近い部分においてスパッタ物を捕捉することができるので、筒状部材における反射面の大部分、及び出射窓部におけるスパッタ物の付着をさらに抑制することができ、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発生した光を効率よく取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図2】(a)は、図1の反射筒部の断面図、(b)は、図1の反射筒部の端面図である。
【図3】図1の重水素ランプにおける反射筒部の組み込み状態を示す側面図である。
【図4】図1の重水素ランプにおける発光中心からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図6】(a)は、図5の反射筒部の側面図、(b)は、図5の反射筒部の端面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図8】(a)は、図7の反射筒部の側面図、(b)は、図7の反射筒部の端面図、(c)は、図7の反射筒部が収容ケースに固定された状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の変形例に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図10】(a)は、本発明の変形例にかかる反射筒部の側面図、(b)は、(a)の反射筒部の端面図、(c)は、(a)の反射筒部の斜視図である。
【図11】(a)は、本発明の変形例にかかる反射筒部の側面図、(b)は、(a)の反射筒部の端面図、(c)は、(a)の反射筒部の斜視図である。
【図12】本発明の変形例に係る重水素ランプの構成を示す側面図である。
【図13】本発明の変形例に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【図14】(a)は、図13の反射筒部の断面図、(b)は、図13の反射筒部の端面図である。
【図15】図13の重水素ランプにおける反射筒部の組み込み状態を示す側面図である。
【図16】本発明の比較例にかかる重水素ランプにおける発光中心からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る重水素ランプの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面は説明用のために作成されたものであり、説明の対象部位を特に強調するように描かれている。そのため、図面における各部材の寸法比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
【0018】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図である。
【0019】
この重水素ランプ1は、重水素ガスを放電させて光を発生させる発光部2が収容された略円筒状の発光筒部(第1の筐体)3Aと、この発光筒部3Aに連通すると共に発光筒部3Aの側壁から発光部2の発生させる光の光軸Xに沿って突出する略円筒状の導光筒部(第2の筐体)3Bとが一体的に接続されたガラス製の密封容器3を備えている。この密封容器3には、重水素ガスが数百Pa程度封入されている。より詳細には、導光筒部3Bは、光軸Xに沿った方向の一端側が発光筒部3Aに一体化されて連通しており、他端側は発光部2から発生した光を外部に出射させる出射窓部4によって封止されている。この出射窓部4の材質は、例えば、MgF2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、石英ガラス、サファイアガラス等である。
【0020】
発光筒部3Aに収容されている発光部2は、陰極5、陽極6、陽極6と陰極5との間に配置された中心部に導電性の高融点金属で作製され放電路を制限するアパーチャーが形成された放電路制限部7、及びこれらを取り囲んで配置する収容ケース8によって構成されている。この収容ケース8の導光筒部3B側の面には、発光部2で発生した光を取り出すための矩形形状の光通過口(開口部)8aが、導光筒部3Bの出射窓部4に対向するように形成されると共に、この光通過口8aを取り囲むように導光筒部3Bの側壁に沿って円形状に延びる壁部からなる固定リング(固定部材)8bが固定されている。このような発光部2は、陰極5と陽極6との間に電圧が印加されると、その間に存在する重水素ガスを電離、放電させて形成したプラズマ状態を放電路制限部7によって絞り込んで高密度のプラズマ状態にすることによって発生した光(紫外光)を、収容ケース8の光通過口8aから光軸Xに沿った方向に向けて出射させる。
【0021】
なお、上記の発光部2は、発光筒部3Aの端面に設けられたステム部に立設されたステムピン(図示せず)によって、発光筒部3A内に保持されている。すなわち、この重水素ランプ1は、光軸Xが発光筒部3Aの管軸に対して交差するサイドオン型の重水素ランプである。
【0022】
このような密封容器3内の出射窓部4と、発光筒部3Aと導光筒部3Bとを接続する部位との間には、略円筒状の反射筒部(筒状部材)9が挿入固定されている。この反射筒部9は、図2に示すように、アルミニウム製の金属ブロック部材が複数組み合わされて、導光筒部3Bの内径よりも小さい外径を有する略円筒状の形状をなしている。
【0023】
この反射筒部9自体の内壁面は、反射筒部9の中心軸線に沿って曲面、又は段階的に傾斜角が変化する多段面である反射面9aとして形成されている。すなわち、この反射面9aは、出射窓部4の外側の所望の面または点に光を集光できるように、反射筒部9の中心軸方向の両端がテーパー状に形成されている。より具体的には、反射筒部9の長手方向の中心部から発光筒部3A側の端部にかけて反射面9aで囲まれる空間の径が徐々に小さくなるように、反射面9aが反射筒部9の中心軸、すなわち、光軸Xに対して傾斜して形成されている。また、反射筒部9の長手方向の中心部から出射窓部4側の端部にかけて反射面9aで囲まれる空間の径が徐々に小さくなるように、反射面9aが反射筒部9の中心軸に対して傾斜して形成されている。ここで、反射面9aは、発光部2の放電路制限部7のアパーチャーの中心に位置する発光中心C0と反射面9aの発光部2側の端部とを結ぶ線Lに比較して、反射面9aの光軸Xに対する傾斜角が小さくなるように設定されている。例えば、線Lの光軸Xに対する傾斜角が10〜30度に対して、発光中心C0側に最も近い段の反射面9aの傾斜角が2〜15度になるように設定される。なお、反射面9aのテーパー状部は、反射筒部9の中心軸方向の両端ではなく、どちらか一方、例えば発光部2側(一端側)のみを前述したようなテーパー状に形成し、出射窓部4側(他端側)は反射面9aを反射筒部9の中心軸に対して平行に形成しても良い。
【0024】
このような反射面9aは、発光部2によって発生した光を正反射可能な鏡面状態に加工されており、例えば、金属ブロック部材を切削加工し、その内壁に、バフ研磨、化学研磨、電解研磨、それらから派生した研磨方法による研磨、又は、それらを複合した研磨方法による研磨を施した後、洗浄処理や不純物ガス成分を除去するための真空処理等を施すことによって形成される。本実施形態においては、反射筒部9は2つの部材を組み合わせて形成されており、このように複数個の金属ブロック部材で反射面9aが形成される場合には、金属ブロック部材ごとの反射面9aの長さと内径との比(アスペクト比)が小さくできるために、加工整形時に平坦度が出しやすくなる結果、反射面9aの鏡面度が高くなる。
【0025】
さらに、反射筒部9の外壁面9bの略全面には、高熱放射率の材料を含む熱放射膜10が形成されている。このような熱放射膜10の材料としては、酸化アルミニウム等の反射筒部9の材料よりも熱放射率の高いものが用いられる。また、熱放射膜10は、例えば熱放射膜10を構成する材料を反射筒部9の外壁面9b上に蒸着や塗布等によって積層することで形成されるが、特に本実施形態のように反射筒部9がアルミニウムからなる場合には、反射筒部9の外壁面9bを酸化処理することで熱放射膜10としての酸化アルミニウムの層を形成しても良い。
【0026】
また、反射筒部9の外壁面9bの長手方向の他端側の周縁部には、その外壁面9bに沿って、段差状の突出部となるように円形状に切り欠かれた切り欠き部11が形成されている。この切り欠き部11は、反射筒部9を密封容器3内で位置決めするために設けられる。
【0027】
このような反射筒部9は、一端側の端部9dが発光部2の収容ケース8に当接するまで、縁部9d側から導光筒部3Bの管軸(光軸X)に沿って挿入されると共に、切り欠き部11にばね部材12が外壁面9bに沿って取り付けられた後に、導光筒部3Bの他端側が出射窓部4によって封止される(図1及び図3)。このとき、反射筒部9は、その外壁面9bが導光筒部3Bの内壁面13と離間した状態で収容ケース8の固定リング8bの内側に嵌め込まれる(図3)。このばね部材12は、金属部材、例えば、耐熱性の高いステンレスやインコネル材からなる、反射筒部9の位置決め用の部材であり、切り欠き部11と出射窓部4との間に配置されて、反射筒部9を、光軸Xに沿って出射窓部4側から発光部2側に付勢することにより、収容ケース8に押し当てる機能を有する。これにより、反射筒部9は、密封容器3内の出射窓部4と発光部2との間において、一端側の端部9dが発光部2の収容ケース8に当接し、かつ、他端側が導光筒部3Bに挿入されて出射窓部4に接近した状態で、位置決めされる。
【0028】
以上説明した重水素ランプ1によれば、発光筒部3A内の発光部2の陰極5と陽極6との間で生じた放電が放電路制限部7によって絞り込まれることによって光が発生し、発光部2で発生した光が、発光筒部3Aに連通する導光筒部3Bの出射窓部4から発光部2にかけて挿入された反射筒部9の内部に導かれることにより、出射窓部4から出射される。ここで、反射筒部9の内壁面には反射面9aが形成されているので、発光部2から出射された光が反射筒部9の内部の反射面9aによって反射されつつ導光筒部3Bの一端側から他端側に導かれる結果、発光部2から発せられた光を損失することなく導光筒部3Bの出射窓部4まで導くことができる。併せて、反射面9aの両端側はテーパー状に形成されているので、出射窓部4の外部の所定位置に光を集光させることができる。さらに、出射窓部4からの光の取り出し効率を向上させ、出射光の総光量及び照射面上での光量を増加させることができる。また、従来の重水素ランプでは出射窓からの光放射パターンが、その出射窓からの距離に応じて変化し、放射光の弱い抜けの部分が生じやすい傾向にあるが、重水素ランプ1ではそのような光照射パターンの抜けの部分の発生を低減することができる。その結果、発生した光を効率よく取り出すことができる。
【0029】
図4は、重水素ランプ1における発光中心C0からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図であり、図17は、重水素ランプ1から反射筒部9を取り除いた重水素ランプ901における発光中心C0からの様々な光出射方向の光成分の光路を示す図である。
【0030】
図17が示すように、光軸Xに対して放射角が大きい光成分LAは重水素ランプ901では全反射することなく密封容器3を透過もしくは吸収されてしまう。これに対して、図4に示すように重水素ランプ1では、このような光成分LAも反射面9aで全反射させることにより前方照射成分として機能させるため照射光量が多くなる。さらに、発光中心C0側の反射面9aがテーパー状にされているために、反射光が発散成分となることなく出射窓部4から所望位置周辺に集光させることができる。
【0031】
また、重水素ランプ901では密封容器3によって反射されるが発散光となってしまう光成分LB,LDに関しても、重水素ランプ1では所望位置周辺に集光することができる。さらに、重水素ランプ1の出射窓部4側の反射面9aがテーパー状にされているために、光軸Xに対して放射角が小さいために重水素ランプ901では出射窓部4から発散する光成分LCを、集光成分として利用できるとともに、光成分LDを所望位置周辺の適切な位置に集光することができる。その結果、反射筒部9の反射面9aを放射光の多くの成分を集光成分として利用可能な構造にすることができる。
【0032】
なお、反射筒部9の反射面9aのテーパー状部分の形状を調整することで、出射窓部4からの出射光を集光ではなく平行光が多い分布や、逆に拡散分布にもすることができる。
【0033】
また、反射筒部9自体をアルミニウム製の金属ブロック部材等の金属部材で構成することで、鏡面度の高い反射面の加工が容易になるので、発生した光を効果的に集光することができる。さらに、例えば反射筒部9の内部に金属等からなる反射膜を形成した場合と異なり、温度上昇と低下を繰り返す際の、構成材料の膨張係数の違いから発生する反射面9aの剥離または脱落等による性能劣化や異物発生を抑制することができ、長寿命化を実現することができる。加えて、発生する紫外光が透過することなく、また、紫外光によって劣化することもないので、発生した光をより効率よく取り出すことができる。
【0034】
さらに、反射筒部9の外壁面9bと、導光筒部3Bの内壁面13とは離間しているので、反射筒部9と導光筒部3Bとの熱膨張率の違いにより、反射筒部9の位置ずれや反射筒部9または導光筒部3Bの破損を防止することができる。
【0035】
また、反射筒部9は、金属部材からなる位置決め部材であるばね部材12によって付勢されて収容ケース8の固定リング8bに嵌め込まれることによって密封容器3内で位置決めされているので、発生する紫外光によって劣化することなく発光部2の放電路制限部7のアパーチャーに対する反射筒部9の位置及び軸合せを容易にし、位置精度を向上させて、出射窓部4からの光の取り出し効率を保つことができる。さらに、ばね部材12により収容ケース8に押圧する構造を採用することで、密封容器3に対して反射筒部9を安定して固定することができると共に、反射筒部9の中心軸方向に沿った熱膨張が発生してもばね部材12によって発光筒部3Aに対する位置ずれを吸収することができる。ここで、重水素ランプの封じの際に導光筒部3Bと放電路制限部7のアパーチャーとの位置や角度の関係をそろえ放射光分布を調整することも考えられるが、この場合は出射窓部4とアパーチャーの奥行き位置が大きく異なるために位置調整が難しい。本実施形態では、反射筒部9を導入することで、導光筒部3Bと反射筒部9との位置関係が安定して決定され、反射筒部9と固定リング8bとを合わせることで反射筒部9とアパーチャーとの位置や角度の関係も合わされる。従って、導光筒部3Bとアパーチャーとの位置関係が精度良く合わされる。
【0036】
さらに、図2に示すように、反射筒部9の外壁面9bの略全面に熱放射膜10が形成されることにより、発光部2に近接する反射筒部9の内面に周辺や封入ガスよりも低温の領域を形成することができ、その領域に発光筒部3Aからのスパッタ物等の異物を捕捉して、異物の出射窓部4への拡散及びそれに伴う光透過率の低下を抑制することができる。
【0037】
また、このような重水素ランプ1を光イオン化源としてガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)といった質量分析装置(MS)に使用することで、高感度化、窓材の汚染抑制、そして、良好な時間応答特性を実現することが可能となる。まず、照射面の光量を飛躍的に増加できることで試料との接触確率を向上でき、従来の光イオン化源と比べ感度を大幅(10倍近く)に向上できる。また、各種MSに適した集光性を実現する事が可能となり、次のような点から測定感度が高められる。すなわち、MSの場合、イオン化室においてイオンを弁別部へ導入する為の電界分布が有効な部分に集中照射可能である。また、GC/MSの場合、イオン化室の数mm程度の開口から光を有効に集中導入可能である。また、LC/MSの場合、イオンを弁別部に導入するアパーチャー近辺に集光しイオン密度を高めることが可能であり、試料の噴出し口から光イオン化源の窓部を遠ざけ窓部の汚染が抑制できると共に、従来より集光性が高められるためイオン化源から遠ざけても感度が劣化しない。つまり、試料の高密度部に高密度の光を当ててイオン化効率を高められて高感度化が実現され、試料の噴出し口から光イオン化源の窓部を遠ざけることで窓部の汚染を抑制することができ、試料の噴出し口に集光することで応答速度を速くすることができる。
【0038】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図、図6(a)は、図5の反射筒部の側面図、図6(b)は、図5の反射筒部の端面図である。同図に示す重水素ランプ101は、反射筒部109の位置決め構造等が第1実施形態のものと異なる。
【0039】
すなわち、重水素ランプ101に内蔵される反射筒部109には、その外壁面109bの出射窓部4側の端部において、位置決め部材としての金属バンド112が固定されている。この金属バンド112には、バネ性を有する複数の爪部112aが反射筒部109の外周に沿って形成されており、金属バンド112は、その端部が重ね溶接されることにより外壁面109b上に固定されている。このような反射筒部109は、導光筒部3Bの内壁面13に沿って密封容器3内に挿入され、金属バンド112を除く外壁面109bが内壁面13と離間するように固定される。
【0040】
このような構造により、反射筒部109は、金属バンド112の爪部112aのバネ力により、その一端側の端部109dが収容ケース8の固定リング8bに押し当てられ、密封容器3内で光軸Xに沿った方向に位置決めされる。それとともに、反射筒部109は、金属バンド112の爪部112aにより、その外壁面109bと導光筒部3Bの内壁面13とが一定距離を保って離間された状態で光軸Xの垂直な方向にも位置決めされる。また、反射筒109の金属バンド112装着部に、同バンド幅に合わせた溝を形成する事で、導光筒部3Bの内径を大きくする事なく、金属バンド112から導光筒部3Bの内壁面13への距離を大きく取れ、爪部112aの角度を大きくする事が可能となり、爪部112aのバネ力を強める事ができる。
【0041】
このような重水素ランプ101によっても、反射筒部109と導光筒部3Bとの熱膨張率の違いにより、反射筒部109の位置ずれや反射筒部109または導光筒部3Bの破損を防止することができる。また、反射筒部109は、位置決め部材である金属バンド112によって付勢されて収容ケース8の固定リング8bに嵌め込まれることによって密封容器3内で位置決めされているので、発光部2の放電路制限部7のアパーチャーに対する反射筒部9の位置及び軸合せを容易にし、位置精度を向上させて、出射窓部4からの光の取り出し効率を保つことができる。特に、本実施形態では、反射筒部9と導光筒部3Bとの同軸性を安定して維持することができる。
【0042】
また、反射面9aの両端側はテーパー状に形成されているので、出射窓部4の外部の所定位置に光を集光させるようにして出射窓部4から光を効率よく取り出すことができ、出射光の照射面上での光量をアップさせることができる。
【0043】
[第3実施形態]
図7は、本発明の第3実施形態に係る重水素ランプの構成を示す断面図、図8(a)は、図7の反射筒部の側面図、図8(b)は、図7の反射筒部の端面図、図8(c)は、図7の反射筒部の斜視図である。同図に示す重水素ランプ201は、反射筒部の発光部側の位置決め構造が第1実施形態のものと異なる。
【0044】
すなわち、重水素ランプ201の反射筒部9の外壁面9bの長手方向の一端側には、反射筒部9の外周に沿って溝部9eが形成されている。また、発光部2の収容ケース8の導光筒部3B側の面には、反射筒部9の溝部9eを嵌め込むことによって反射筒部9の端部を固定するための爪部(固定部材)208bが固定されている。この爪部208bは、収容ケース8の光通過口8aを取り囲むように配置された半円状部208cと、その半円状部208cから伸びるように直線状に形成された反射筒部9を挿入するための開放端部208dとを有している(図8(c))。
【0045】
このような構造により、反射筒部9は、爪部208bの開放端部208dから、その爪部208bの凸部を溝部9eに沿わせるように中心軸に垂直な方向に挿入され、半円状部208cの奥まで差し込まれることによって収容ケース8に対する位置が決定される。なお、半円状部208cの奥まで差し込んだ際、反射筒部9が開放端部208d側に戻り難くする為の係止部を、爪部208bにおける反射筒部9の外周部との近接部に設けても良い。ここで、溝部9eの幅には爪部208bに対して余裕が持たせてあるので、反射筒部9が、ばね部材12によって付勢されて収容ケース8に押し当てられ、密封容器3内で光軸Xに沿った方向に位置決めされる。それとともに、反射筒部9は、爪部208bの半円状部208cに差し込まれることによって、その外壁面9bと導光筒部3Bの内壁面13とが一定距離を保って離間された状態で光軸Xの垂直な方向にも位置決めされる。この際、爪部208bに反射筒部9を収容ケース8側に付勢するためのばね部材を組み込むことで、ばね部材12を省くこともできる。
【0046】
このような重水素ランプ201によっても、反射筒部9と導光筒部3Bとの熱膨張率の違いにより、反射筒部9の位置ずれや反射筒部9または導光筒部3Bの破損を防止することができる。ここで、反射筒部9の長手方向の他端面、つまり出射窓部4との対向面は、出射窓部4と離間しているため、組立作製時や動作時の温度で材質の膨張に差が生じてもガラス材や窓材を破損することもない。
【0047】
また、反射筒部9は、位置決め部材であるばね部材12によって付勢されて収容ケース8に当接すると共に爪部208bに差し込まれることによって密封容器3内で位置決めされている。これにより、発光部2の放電路制限部7のアパーチャーに対する反射筒部9の位置及び軸合せを容易にし、位置精度を向上させて出射窓部4から光を効率よく取り出すことができる。特に、本実施形態でも、反射筒部9と導光筒部3Bとの同軸性を安定して維持することができる。
【0048】
また、反射面9aの両端側はテーパー状に形成されているので、出射窓部4の外部の所定位置に光を集光させるようにして出射窓部4から光をより効率よく取り出すことができ、出射光の照射面上での光量をアップさせることができる。
【0049】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、反射筒部9,109には、金属部材の内壁を研磨加工することにより反射面9a,109aが形成されていたが、反射面を蒸着やスパッタにより成膜してもよい。詳細には、アルミニウム等の金属部材、又はガラス、セラミック等の部材に切削加工や成型加工を施して下地を作製し、その下地に必要に応じて研磨加工を施した後、下地の鏡面にアルミニウム、ロジウム、誘電体多層膜等を蒸着やスパッタすることにより反射面を形成することができる。また、反射筒部9,109は複数の金属ブロック部材から形成されていたが、一体形成されても良い。
【0050】
また、上述した実施形態では、反射筒部9,109を発光筒部3A側に設けられた固定用の部材に押し当てることにより固定していたが、レーザ溶接やスポット溶接等により固定用の部材に直接固定しても良い。このとき、反射筒部を直接固定用部材に溶接することが困難な場合は、溶接可能な構造体を反射筒部に嵌合等で固定し、当該構造体と固定部材とを溶接することで固定しても良い。なお、レーザ溶接の場合は、発光筒部3Aのガラス部材越しに溶接を行うことも可能である。
【0051】
図9には、本発明の変形例である重水素ランプ301として、2つの異なる材料からなる金属部材からなる反射筒部309がレーザ溶接やスポット溶接によって発光部2の収容ケース8に固定された構造を示している。詳細には、アルミニウムからなる反射筒部309の一端側の端部309dの外周にステンレスからなる端部リング314を固定し、その端部リング314と収容ケース8の固定リング8bとの接触部分をレーザ溶接やスポット溶接によって溶融し互いに固着する。同図に示す重水素ランプ301では、導光筒部303Bを短くされているが、反射筒部309をそれに合わせて設計することで出射光の分布を平行光や拡散光にもすることができると共に、照射面上での光強度の均一性を高めることもできる。また、同図に示すように、収容ケース8上における固定リング8bの内側に穴部308eを設け、反射筒部309の端部309dの先端を、荷電粒子の流れを阻害しない範囲で放電路制限部7に近くなるように、穴部308e内に挿入してもよい。そうすれば、反射筒部9(反射面9a)が発光部2の内部に接近して配置されるので、出射窓部4からより効率的よく光を取り出すことができる。
【0052】
また、反射筒部309の先端に固定する溶接用の構造体としては、様々な形状のものを採用することができる。
【0053】
例えば、図10に示すように、反射筒部9の端部9dの外周にステンレス製のC型止め輪等の止め輪615を固定し、その止め輪615と収容ケース8の反射筒部固定用部材とを溶接することで反射筒部9を発光部2に対して固定してもよい。
【0054】
さらに、図11に示すように、反射筒部9の端部9dの外周部にステンレス製のシート材715を帯状に巻き付け、その終端部を重ね合わせて溶接することにより固定してもよい。このシート材715の端部9d側には、反射筒部9の中心軸に対して垂直に延びる複数のつば部715aが設けられており、このつば部715aと固定用部材とを溶接することで反射筒部9を固定することができる。また、つば部715を設けないでシート材715と固定用部材との近接部分を溶接することにより反射筒部9を固定してもよい。
【0055】
図12には、本発明の変形例として、ステム403C、発光筒部403A、及び導光筒部403Bが光軸と同軸上に配置された重水素ランプ401を示す。このような重水素ランプ401では、同一の軸方向からの組上げが可能である。詳細には、反射筒部109を、発光部2の固定リング8bに固定し一体化した後に、導光筒部403B及び発光筒部403Aが一体化された密封容器403内に挿入し、ステム403Cで密封容器403を封止して作製することができる。この反射筒部109には、重水素ランプ301の場合と同様に、端部リング314が圧入および固定されており、この端部リング314と固定リング8bとが溶接されることにより、反射筒部109が固定されている。同時に、反射筒部109には、重水素ランプ101の場合と同様に、その外壁面109bの出射窓部4側の端部に金属バンド112が固定されている。この金属バンド112により、導光筒部403Bと反射筒部109との同軸性が高められている。このような固定方法以外に、固定リング8bの高さを高くして反射筒部109の挿入部分と固定リング8bとをネジ加工することによって固定したり、固定リング8bにタップ穴を作製して反射筒部109を挿入後ビス等で固定する方法であってもよい。
【0056】
また、重水素ランプ1,101,201,301,401においては、反射筒部9,109,309の長手方向の発光筒部3A,303A側(一端側)の外壁面9b,109b,309bに、反射面9a,109a,309aに向けて貫通する開口部が形成されていてもよい。
【0057】
例えば、図13〜15に示す重水素ランプ501には、反射筒部9の外壁面9bの一端側の縁部に、その外壁面9bの出射窓部4側(他端側)に向けて、反射筒部9の中心軸に沿って切り欠かれた開口部9cが形成されている。詳細には、開口部9cは反射筒部9の一端側の周縁に沿って等間隔に3箇所形成されており、隣接する開口部9cの間には発光部2の固定リング8bに嵌め込むための突出部9dが3箇所形成されている。また、収容ケース8の固定リング8bには、反射筒部9の開口部9cに対応する位置に開口8cが形成されている。このような構造により、反射筒部9が収容ケース8の固定リング8bに嵌め込まれると、発光筒部3A内に位置する反射筒部9の外壁面9bの端部には、反射面9aに貫通する開口部9cが開口8cを介して発光筒部3Aの内部空間と連通した状態で複数配置されることになる(図15)。
【0058】
このような重水素ランプ501では、発光部2で生じたスパッタ物を反射筒部9の外部に放出することができ、反射筒部9の反射面9aや低温度部の出射窓部4へのスパッタ物の付着を抑制することができる。その結果、長寿命化を図りつつ、出射窓部4における光の透過率を向上させることができる。なお、この開口部9cは発光筒部3A内に位置しているので、発光部2で生じたスパッタ物が発光筒部3A内に放出されて発光筒部3A内に捕捉されやすい。その結果、出射窓部4へのスパッタ物の飛散をさらに抑制することができ、寿命がより長くなる。また、図9に示すような反射筒部309に端部リング314が圧入された構造においても、端部リング314に開口部を形成してもよい。また、図11に示すように反射筒部9にシート材715を巻き付けた構造においても、シート材715の反射筒部9の開口部9cに対応した位置に開口部を形成してもよい。
【0059】
また、図13〜15に示す重水素ランプ501には、反射筒部9の外壁面9bの長手方向の一端側に熱放射膜10が形成されている。そのため、発光部2に近接する反射筒部9の内側に周辺や封入ガスよりも低温の部分を形成することができ、その部分に発光筒部3Aからのスパッタ物等の異物を捕捉して、異物の出射窓部4への拡散及びそれに伴う光透過率の低下を抑制することができる。また、逆に、外壁面9bの他端側に、反射筒部9の素材よりも熱放射率の低い材料を形成してもよい。これにより、相対的に一端側の放熱性が向上し、熱放射膜10と同様の効果が期待できる。また、反射筒部9の一端側を構成する金属ブロック部材の材料を、他端側を構成する金属ブロック部材の材料よりも熱放射率の大きい材料で構成しても良い。
【符号の説明】
【0060】
1,101,201,301,401,501…重水素ランプ、2,202…発光部、3A,303A,403A…発光筒部(第1の筐体)、3B,303B,403B…導光筒部(第2の筐体)、4…出射窓部、5…陰極、6…陽極、7…放電路制限部、8a…光通過口、8b…固定リング(固定部材)、208b…爪部(固定部材)、9,109,309…反射筒部(筒状部材)、9a,109a…反射面、9b,109b…外壁面(側面)、9c…開口部、10…熱放射膜、12,112…ばね部材、308e…穴部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極、陽極、及び放電路制限部を有し、放電によって光を発生させる発光部と、
前記発光部を収容する第1の筐体と、
一端側が前記第1の筐体に連通するように接続されて、前記発光部から発生した前記光を、他端側に設けられた出射窓部に導く第2の筐体と、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体に封入された重水素ガスと、
一端側が前記第1の筐体内の前記発光部に当接し、他端側が前記第2の筐体内に挿入されており、内壁面に前記光を反射する反射面が形成された筒状部材と、
を備え、
前記筒状部材の前記反射面の少なくとも一部は、テーパー状に形成されている、
ことを特徴とする重水素ランプ。
【請求項2】
前記筒状部材は、金属材料からなる、
ことを特徴とする請求項1記載の重水素ランプ。
【請求項3】
前記筒状部材の前記反射面の前記一端側および前記他端側がテーパー状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の重水素ランプ。
【請求項4】
前記筒状部材を前記第2の筐体の前記他端側から前記一端側に付勢する金属材料からなるばね部材と、
前記ばね部材によって付勢された前記筒状部材が嵌め込まれ、前記発光部の開口部を囲むように設けられた固定部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項5】
前記発光部には、前記筒状部材の端部が挿入される穴部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項6】
前記筒状部材の前記一端側の側面には、前記反射面に向けて貫通する開口部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項7】
前記筒状部材の外壁面は、前記筒状部材の材料よりも熱放射率が大きい材料からなる、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項8】
前記筒状部材の外壁面の略全面には、前記筒状部材の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されている、
ことを特徴とする請求項7記載の重水素ランプ。
【請求項9】
前記筒状部材の前記一端側の熱放射率は、前記筒状部材の他端側の熱放射率よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項10】
前記筒状部材の前記一端側の外壁面には、前記筒状部材の前記他端側の外壁面の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されている、
ことを特徴とする請求項9記載の重水素ランプ。
【請求項1】
陰極、陽極、及び放電路制限部を有し、放電によって光を発生させる発光部と、
前記発光部を収容する第1の筐体と、
一端側が前記第1の筐体に連通するように接続されて、前記発光部から発生した前記光を、他端側に設けられた出射窓部に導く第2の筐体と、
前記第1の筐体及び前記第2の筐体に封入された重水素ガスと、
一端側が前記第1の筐体内の前記発光部に当接し、他端側が前記第2の筐体内に挿入されており、内壁面に前記光を反射する反射面が形成された筒状部材と、
を備え、
前記筒状部材の前記反射面の少なくとも一部は、テーパー状に形成されている、
ことを特徴とする重水素ランプ。
【請求項2】
前記筒状部材は、金属材料からなる、
ことを特徴とする請求項1記載の重水素ランプ。
【請求項3】
前記筒状部材の前記反射面の前記一端側および前記他端側がテーパー状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の重水素ランプ。
【請求項4】
前記筒状部材を前記第2の筐体の前記他端側から前記一端側に付勢する金属材料からなるばね部材と、
前記ばね部材によって付勢された前記筒状部材が嵌め込まれ、前記発光部の開口部を囲むように設けられた固定部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項5】
前記発光部には、前記筒状部材の端部が挿入される穴部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項6】
前記筒状部材の前記一端側の側面には、前記反射面に向けて貫通する開口部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項7】
前記筒状部材の外壁面は、前記筒状部材の材料よりも熱放射率が大きい材料からなる、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項8】
前記筒状部材の外壁面の略全面には、前記筒状部材の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されている、
ことを特徴とする請求項7記載の重水素ランプ。
【請求項9】
前記筒状部材の前記一端側の熱放射率は、前記筒状部材の他端側の熱放射率よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の重水素ランプ。
【請求項10】
前記筒状部材の前記一端側の外壁面には、前記筒状部材の前記他端側の外壁面の材料よりも熱放射率の大きい材料を含む熱放射膜が形成されている、
ことを特徴とする請求項9記載の重水素ランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−79584(P2012−79584A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224852(P2010−224852)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】
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