説明

重水素化シクロスポリンアナログおよび免疫調節剤としてのそれらの使用

【課題】新規シクロスポリン誘導体を提供すること。
【解決手段】天然に生じる、および他の現在公知であるシクロスポリンおよびシクロスポリン誘導体に勝る、向上した有効性および減少した毒性を有するシクロスポリン誘導体が開示される。本発明のシクロスポリン誘導体は、シクロスポリンA(CsA)分子の以下による化学的および同位体置換により生成される:(1)アミノ酸1の化学的置換および必要に応じて重水素置換;および(2)アミノ酸1、4、9のような、シクロスポリンA分子の代謝の鍵となる部位における重水素置換。最も活性な本発明の誘導体は、化学的および重水素置換の両方を有するものだった。シクロスポリン誘導体を生成する方法、および開示されるシクロスポリン誘導体を用いて毒性の減少した免疫抑制を産生する方法もまた、開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、1997年10月8日に提出された米国仮出願番号第60/061,360号の一部継続である(これはその全体において信頼されそして援用される)。
【背景技術】
【0002】
(イントロダクションおよび背景)
本発明のシクロスポリン誘導体が開示され、これは、天然に生じる、および他の現在公知であるシクロスポリンおよびシクロスポリン誘導体に勝る、向上した有効性および減少した毒性を有する。本発明のシクロスポリン誘導体は、シクロスポリンA(CsA)分子の以下による化学的および同位体置換により生成される:
1.アミノ酸1の化学的置換および必要に応じて重水素置換;および
2.アミノ酸1、4、9のような、シクロスポリンA分子の代謝の鍵となる部位における重水素置換。
本発明の最も活性な誘導体は、化学的および重水素置換の両方を有するものだった。
【0003】
シクロスポリンは、環の1位に新規の9炭素アミノ酸(MeBmt)を含む、中性の疎水性環状ウンデカペプチドのファミリーであり、これらは潜在的免疫抑制性、駆虫性、殺菌性、および慢性抗炎症性を示す。構造的に関連した化合物のこのファミリーの天然に生じるメンバーは、種々の不全菌類(fungi imperfecti)により産生される。シクロスポリンAおよびCが、主な成分である。以下でさらに記述されるシクロスポリンAが、化合物のシクロスポリンファミリーの特に重要なメンバーである。24種の少量の代謝産物、およびオリゴペプチドが同定されてきた:Lawenら、J.Antibiotics 42、1283(1989);Traberら、Helv.Chim.Acta 70、13(1987);Von Wartburg およびTraber Prog.Med.Chem.、25、1(1988)。
【0004】
シクロスポリンAおよびCの単離、ならびにAの構造が、A.Rueggerら、Helv.Chim.Acta 59、1075(1976);M.Dreyfussら、J.Appl.Microbiol.3、125(1976)により報告された。Aのヨウ化誘導体の結晶および分子構造が、T.J.Petcherら、Helv.Chim.Acta 59、1480(1976)により報告された。Cの構造は、R.Traberら、同上、60、1247(1977)により報告された。AおよびCの産生は、E.Harriら、米国特許第4,117,118号(1978、Sandozに対して)により報告された。B、D、Eの単離、特徴付け、および抗真菌活性、ならびにAからDまでの構造が、R.Traberら、Helv.Chim.Acta 60、1568(1977)により報告された。E、F、G、H、Iの単離および構造:eidem、同上、65、1655(1982)。[2−ジューテロ−3−フルオロ−D−Ala]−CsAが、PatchettらによりGB2,206,199A(1988年12月29日発行)において開示される。
【0005】
シクロスポリンは、真菌抽出物のスクリーニングの間に、マウスにおいて抗体産生を抑制することが観察される場合、免疫抑制性であることが発見された。詳細には、その抑制効果は、T−細胞レセプター媒介活性化事象の阻害に関連すると思われる。それは、カルモジュリンおよびシクロフィリン(cyclophilin)(ペプチド性プロピルイソメラーゼ)の不活性化によりT−細胞活性化の間のカルシウム依存性シグナル伝達を中断することにより、これを達成する。それはまた、T−ヘルパー細胞によるリンフォカイン
の産生をインビトロで阻害し、そして胸腺における成熟CD8およびCD4細胞の発育を停止させる。他のインビトロでの性質は、IL−2産生T−リンパ球および細胞毒性T−リンパ球の阻害、活性化T−細胞により放出されたIL−2の阻害、同種抗原および外因性リンフォカインに対する応答における休止T−リンパ球の阻害、IL−1産生の阻害、およびIL−2産生T−リンパ球のマイトジェン活性化の阻害を含む。さらなる証拠は、上記の効果が活性化および成熟段階のT−リンパ球を伴うことを示唆する。
【0006】
T細胞の表面上での、主要組織適合(MHC)分子上の外来の抗原によるTCR(T細胞レセプター)の刺激は、細胞質を通してTCRシグナル伝達経路(正確な伝達の方法は不明)の活性化をもたらし、これは、シグナルが核転写因子、すなわちT−細胞活性化遺伝子の転写を調節する活性化T−細胞の核因子(NF−AT)の活性化をもたらすことを引き起こす。これらの遺伝子は、リフォカインインターロイキン−2(IL−2)のものを含む。メッセージの翻訳に続いてIL−2が分泌される。T−細胞の活性化はまた、細胞表面上のリンフォカインレセプターIL−2Rの出現を含む。IL−2がIL−2Rと結合した後、リンフォカインレセプター(LKR)シグナル伝達経路が活性化される。免疫抑制薬、ラパマイシンはこの経路を阻害する。
【0007】
CsAは、TCR−媒介シグナル伝達経路の強力なインヒビターである。それは、NF−ATのIL−2エンハンサーへの結合を阻害し、従って転写活性化を阻害する。CsAはシクロフィリンに結合し、これは、T−細胞シグナル伝達カスケードにおける鍵酵素であるカルシニュリンに結合する。
【0008】
シクロフィリンは、原核および真核生物体において見いだされ、そして偏在し、そして豊富である。シクロフィリンは、165のアミノ酸残基を持つシングルポリペプチド鎖である。それは、17.8kDの分子量を持つ。17Åの半径を持つ緩やかな球状の分子、シクロフィリンは、8本鎖の逆平行βバレルを有する。バレルの内側で、きつく詰められた核は最も疎水性の側鎖を含む。CsAは多数の疎水性側鎖を有し、これがCsAをシクロフィリンβバレル内に合致させる。シクロフィリンは、ペプチドおよびタンパク質基質のpeGIFdyl−プロリルアミド結合の、シスおよびトランス回転異性体の相互変換を触媒する。シクロフィリンは、ペプチド性プロリルシス−トランスイソメラーゼを持つ構造において同一であり、そしてレチノール結合タンパク質(RBP)のようなリガンドを輸送するタンパク質のスーパーファミリーと構造的類似性を有する。これらのタンパク質は、バレルの核中、リガンドを運ぶ。しかしシクロフィリンは、実際にバレルの外側にリガンド結合部位を持つ。テトラペプチドリガンドは、βバレルの1面と、Thr116−Gly130ループとの間で、タンパク質表面上の長く深い溝に結合する。
【0009】
さらなる性質がまた、CsAの生物学的活性の研究において報告されてきた:J.F.Borelら、Agents Action 6、468(1976)。薬理学:Eidem.Immunology 32、1017(1977);R.Y.Calne、Clin.Exp.Immunol.35、1(1979)。ヒト研究:R.Y.Calneら、Lancet 2、1323(1978);R.L.Powlesら、同上1327;R.L.Powlesら、同上 1、327(1980)。インビトロ活性(ブタT−細胞):D.J.Whiteら、Transplantation 27、55(1979)。ヒトリンパ細胞および骨髄細胞における効果:M.Y.Gordon、J.W.Singer、Nature 279、433(1979)。移植片−対−宿主の疾患におけるCsAの臨床的研究:P.J.Tutschkaら、Blood 61、318(1983)。
【0010】
(シクロスポリンA作用の機構)
シクロスポリンA−シクロフィリンA複合体
CsAは、上記で記載されるように、シクロフィリンβバレルと結合する。13個のCyP A残基が、CsA結合部位を定義する。これらの残基は、Arg55、Phe60、Met61、Gln63、Gly72、Ala101、Asn102、Ala103、Gln111、Phe113、Trp121、Leu122、His126である。最も大きい側鎖の動きは、Arg55に対する1.3A、ならびにPhe60、Gln63、およびTrp121に対する0.7Aまでである。CyP AとCsAとの間に4個の直接の水素結合が存在する。CsAの残基4、5、6、7、8は、溶媒中へ突き出ており、そしてエフェクタータンパク質、カルシニュリンの結合に関与すると考えられる(Pflugl,G.、Kallen,J.、Schirmer,T.、Jansonius,J.N.、Zurini,M.G.M.、およびWalkinshaw,M.D.(1993)Nature 361、91〜94)。
【0011】
CsA−CyP A複合体の機能
CsA−CyP A複合体は、ヘテロ二量体タンパク質セリン/トレオニンホスファターゼまたはカルシニュリンのホスファターゼ活性を阻害する(Liu,J.、Farmer,J.D.、Lane,W.S.、Friedman,J.、Weissman,I.、およびSchreiber,S.L.(1991)Cell 66、807〜15;Swanson,S.K.、Born,T.、Zydowsky,C.D.、Cho,H.、Chang,H.Y.、およびWalsh,C.T.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、3686〜90)。CyP Aは、約10nMの親和性でCsAと結合する。次いで、複合体はカルシニュリンに提示される(Liu,J.、Farmer,J.D.、Lane,W.S.、Friedman,J.、Weissman,I.、およびSchreiber,S.L.(1991)Cell 66、807〜15)。
【0012】
カルシニュリンは、T−細胞の細胞質に見いだされる転写因子NFATを脱ホスホリル化する。脱ホスホリル化は、NFATを核へ転位させ、jun/fos遺伝子と組合せさせ、そして細胞周期の進行の原因であるIL−2遺伝子の転写を活性化させて、免疫応答を導く。CsA−CyP A複合体は、カルシニュリンのホスファターゼ活性および最後に免疫抑制を阻害する。(Etzkorn,F.A.、Chang,Z.、Stolz,L.A.、およびWalch,C.T.(1994)Biochemistry 33、2380〜2388)。CsAまたはCyP A単独のいずれも、免疫学的に重要ではない。それらの複合体のみが重要である(Liu,J.、Farmer,J.D.、Lane,W.S.、Friedman,J.、Weissman,I.、およびSchreiber,S.L.(1991)Cell 66、807〜15)。
【0013】
シクロスポリンの代謝:
シクロスポリンは、肝臓、小腸、および腎臓で、30個より多い代謝産物へ代謝される。13種の代謝産物および2種の第II期代謝産物の構造が同定され、そして少なくとも23種のさらなる代謝産物がHPLCにより単離され、そしてそれらの構造が質量分析により特徴付けされてきた。シクロスポリンの第I期代謝に含まれる反応は、ヒドロキシル化、脱メチル化、ならびにアミノ酸1における酸化および環化である。いくつかの臨床研究および報告は、シクロスポリン代謝産物の血液濃度と、神経−または腎臓毒性との間の関連を示した。インビトロ実験は、代謝産物が明らかにCsAよりも免疫抑制性が少なく、そしてより毒性が高いことを示唆する。
【0014】
CsAが有用であることを見い出された示唆のこれまでに発展してきている列挙により例示されたように、化合物のシクロスポリンファミリーは、拒絶の予防、または器官および骨髄の移植において;ならびに、乾癬、および多数の自己免疫性障害(例えば、1型真性糖尿病、多発性硬化症、自己免疫性ブドウ膜炎、およびリウマチ性関節炎など)の処置
において有用性を見いだしている。さらなる示唆が以下に議論される。
【0015】
当業者により一般に受け入れられるように、インターロイキン−2(IL−2)および他のリンフォカインのリンパ球からの分泌の阻害は、シクロスポリンアナログの固有免疫抑制活性の有用な指標である。シクロスポリンの使用および作用機構の最近の総説については、Wengerら、Cyclosporine:Chemistry,Structure−Activity Relationships and Mode of Action,Progress in Clinical Biochemistry and Medicine、第2巻、176(1986)を参照のこと。
【0016】
シクロスポリンAは、いくつかのN−メチルアミノ酸を含み、そして8−位にD−アラニンを含む環状ペプチドである。シクロスポリンAの構造は以下に与えられる:
【0017】
【化7】

他に明記されない限り、開示されるシクロスポリンの各アミノ酸は、L−配置である。
【0018】
当該分野における実施であるように、特定のシクロスポリンアナログは、アナログがどのようにシクロスポリンAと異なっているかを区別する省略された表記を使用して名付けられ得る。従って、2−位のトレオニンでシクロスポリンAと異なっているシクロスポリンCは、[Thr]−シクロスポリンまたは[Thr]−CsAとして区別され得る。同様に、シクロスポリンBは[Ala]−CsAであり;シクロスポリンDは[Val]−CsAであり;シクロスポリンEは[Val]11−CsAであり;シクロスポリンFは[3−デスオキシMeBmt]−CsAであり;シクロスポリンGは[NVa]−CsAであり;そしてシクロスポリンHは[D−MeVal]11−CsAである。
【0019】
D−セリンおよびD−トレオニンは、生合成によりシクロスポリンAの8−位に導入され、これは活性化合物をもたらした。R.Traberら、J.Antibiotics
42、591(1989)を参照のこと。D−クロロアラニンもまた、生合成によりシクロスポリンAの8−位に導入された。A.Lawenら、J.Antibiotics
52、1283(1989)を参照のこと。
【0020】
(シクロスポリン治療についてのイントロダクション)
免疫調節の異常性は、全身性紅斑性狼瘡、慢性リウマチ性関節炎、1型真性糖尿病、炎症性腸疾患、胆汁閉鎖肝硬変、ブドウ膜炎、多発硬化症、および他の疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、水疱性天疱瘡、類肉腫症、乾癬、魚鱗癬、およびグレーブス眼症など)を含む、広範な種類の自己免疫および慢性炎症疾患に存在することが示されてきた。これらの状態のそれぞれの下にある病因は非常に異なるものであり得るが、それらは、種々の自己抗体および自己反応性リンパ球の出現を共通して有する。そのような自己反応性は、部分的に、その下で通常の免疫系が作動する恒常性制御の損失のためであり得る。
【0021】
同様に、骨髄または器官移植に続いて、宿主のリンパ球は、外来組織の抗原を認識し、そして移植片拒絶を導く抗体を産生し始める。
【0022】
自己免疫または拒絶プロセスの1つの結末は、炎症性細胞およびそれらが放出するメディエータにより引き起こされる組織破壊である。NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)のような抗炎症剤、およびコルチコステロイドは、主にこれらのメディエータの効果、または分泌をブロックすることにより作用するが、しかし疾患の免疫の基部を改変することは何もしない。他方で、シクロホスファミドのような細胞毒性薬剤は、通常および自己免疫応答の両方が遮断されるような非特異的様式で作用する。実際、そのような非特異的免疫抑制剤で処置される患者は、彼らが彼らの自己免疫疾患に罹患するのと同じくらい感染に罹患するようである。
【0023】
一般に、シクロスポリンAのようなシクロスポリンは、細胞毒性でも骨髄毒性でもない。それは、単球の移動も阻害しないし、顆粒性白血球およびマクロファージの作用も阻害しない。その作用は特異的であり、そして最も確立された免疫応答をそのままに残す。しかしながら、それは、腎臓毒性であり、そして以下の望ましくない副作用を引き起こすことが知られている:
(1)異常肝臓機能;
(2)多毛症;
(3)歯肉肥大;
(4)ふるえ;
(5)神経毒;
(6)知覚過敏;および
(7)胃腸の不快感。
【0024】
多数のシクロスポリンおよびアナログが、特許文献において記載されてきた:
米国特許第4,108,985号(Rueggerらに、1978年8月22日に発行、表題「ジヒドロシクロスポリンC」)は、シクロスポリンCの水素化により生成され得るジヒドロシクロスポリンCを開示している。
【0025】
米国特許第4,117,118号(Harriらに、1978年9月26日に発行、表題「有機化合物」)は、シクロスポリンAおよびB、ならびに発酵によるそれらの生成物を開示している。
【0026】
米国特許第4,210,581号(Rueggerらに、1980年7月1日に発行、表題「有機化合物」)は、シクロスポリンCおよびシクロスポリンCの水素化により生成され得るジヒドロシクロスポリンCを開示している。
【0027】
米国特許第4,220,641号(Traberらに、1980年9月2日に発行、表
題「有機化合物」)は、シクロスポリンD、ジヒドロシクロスポリンD、およびイソシクロスポリンDを開示している。
【0028】
米国特許第4,288,431号(Traberらに、1981年9月8日に発行、表題「シクロスポリン誘導体、それらの生成、およびそれらを含む薬学的組成物」)は、シクロスポリンG、ジヒドロシクロスポリンG、およびイソシクロスポリンGを開示している。
【0029】
米国特許第4,289,851号(Traberらに、1981年9月15日に発行、表題「シクロスポリン誘導体を生成するためのプロセス」)は、シクロスポリンD、ジヒドロシクロスポリンD、およびイソシクロスポリンD、ならびにこれをを生成するためのプロセスを開示している。
【0030】
米国特許第4,384,996号(Bollingerらに、1983年5月24日に発行、表題「新規シクロスポリン」)は、2−位にβ−ビニレン−α−アミノ酸残基を、および/または8−位にβ−ヒドロキシ−α−アミノ酸残基を有するシクロスポリンを開示している。開示されるシクロスポリンは、1−位にMeBmtまたはジヒドロ−MeBmtのいずれかを含んだ。
【0031】
米国特許第4,396,542号(Wengerに、1983年8月2日に発行、表題「シクロスポリンの全合成のための方法、新規シクロスポリン、および新規中間体、ならびにそれらの生成のための方法」)は、シクロスポリンの合成を開示しており、ここで1−位の残基はMeBmt、ジヒドロ−MeBmt、および保護中間体のいずれかである。
【0032】
米国特許第4,639,434号(Wengerらに、1987年1月27日に発行、表題「新規シクロスポリン」)は、1、2、5、および8位に置換された残基を持つシクロスポリンを開示している。
【0033】
米国特許第4,681,754号(Siegelに、1987年7月21日に発行、表題「シクロスポリンの器官毒性の中和(counteracting)」)は、コ−デルゴクリン(co−dergocrine)を含むシクロスポリンの使用法を開示している。
【0034】
米国特許第4,703,033号(Seebachに、1987年10月27日に発行、表題「新規シクロスポリン」)は、1、2、および3位に置換された残基を持つシクロスポリンを開示している。3−位の置換は、ハロゲンを含む。
【0035】
H.KobelおよびR.Traber、Directed Biosynthesis of Cyclosporins、European J.Appln.Microbiol.Biotechnol.、14、237B240(1982)は、発酵によるシクロスポリンA、B、C、D、およびGの生合成を開示している。
【0036】
さらなるシクロスポリンアナログは、米国特許第4,798,823号(発行Witzel、表題、修飾された「C−9アミノ酸」を持つ新規シクロスポリンアナログ)において開示され、これは1−位に硫黄含有アミノ酸を持つシクロスポリンアナログを開示している。
【特許文献1】米国特許第4,117,118号
【特許文献2】英国特許2,206,199号
【特許文献3】米国特許第4,108,985号
【特許文献4】米国特許第4,117,118号
【特許文献5】米国特許第4,210,581号
【特許文献6】米国特許第4,220,641号
【特許文献7】米国特許第4,288,431号
【特許文献8】米国特許第4,289,851号
【特許文献9】米国特許第4,384,996号
【特許文献10】米国特許第4,396,542号
【特許文献11】米国特許第4,639,434号
【特許文献12】米国特許第4,681,754号
【特許文献13】米国特許第4,703,033号
【特許文献14】米国特許第4,798,823号
【非特許文献1】Lawenら、J.Antibiotics 42、1283(1989)
【非特許文献2】Traberら、Helv.Chim.Acta 70、13(1987)
【非特許文献3】Von Wartburg およびTraber Prog.Med.Chem.、25、1(1988)。
【非特許文献4】A.Rueggerら、Helv.Chim.Acta 59、1075(1976)
【非特許文献5】M.Dreyfussら、J.Appl.Microbiol.3、125(1976)
【非特許文献6】T.J.Petcherら、Helv.Chim.Acta 59、1480(1976)
【非特許文献7】R.Traberら、Helv.Chim.Acta 60、1247(1977)
【非特許文献8】R.Traberら、Helv.Chim.Acta 60、1568(1977)
【非特許文献9】Eidem、Helv.Chim.Acta 65、1655(1982)
【非特許文献10】J.F.Borelら、Agents Action 6、468(1976)
【非特許文献11】Eidem.Immunology 32、1017(1977)
【非特許文献12】R.Y.Calne、Clin.Exp.Immunol.35、1(1979)。
【非特許文献13】R.Y.Calneら、Lancet 2、1323(1978)
【非特許文献14】R.L.Powlesら、Lancet 2、1327
【非特許文献15】R.L.Powlesら、Lancet 1、327(1980)。
【非特許文献16】D.J.Whiteら、Transplantation 27、55(1979)。
【非特許文献17】M.Y.Gordon、J.W.Singer、Nature 279、433(1979)。
【非特許文献18】P.J.Tutschkaら、Blood 61、318(1983)。
【非特許文献19】Pflugl,G.、Kallen,J.、Schirmer,T.、Jansonius,J.N.、Zurini,M.G.M.、およびWalkinshaw,M.D.(1993)Nature 361、91〜94
【非特許文献20】Liu,J.、Farmer,J.D.、Lane,W.S.、Friedman,J.、Weissman,I.、およびSchreiber,S.L.(1991)Cell 66、807〜15
【非特許文献21】Swanson,S.K.、Born,T.、Zydowsky,C.D.、Cho,H.、Chang,H.Y.、およびWalsh,C.T.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、3686〜90
【非特許文献22】Liu,J.、Farmer,J.D.、Lane,W.S.、Friedman,J.、Weissman,I.、およびSchreiber,S.L.(1991)Cell 66、807〜15
【非特許文献23】Etzkorn,F.A.、Chang,Z.、Stolz,L.A.、およびWalch,C.T.(1994)Biochemistry 33、2380〜2388
【非特許文献24】Liu,J.、Farmer,J.D.、Lane,W.S.、Friedman,J.、Weissman,I.、およびSchreiber,S.L.(1991)Cell 66、807〜15
【非特許文献25】Wengerら、Cyclosporine:Chemistry,Structure−Activity Relationships and Mode of Action,Progress in Clinical Biochemistry and Medicine、第2巻、176(1986)
【非特許文献26】R.Traberら、J.Antibiotics 42、591(1989)
【非特許文献27】A.Lawenら、J.Antibiotics 52、1283(1989)
【非特許文献28】H.KobelおよびR.Traber、Directed Biosynthesis of Cyclosporins、European J.Appln.Microbiol.Biotechnol.、14、237B240(1982)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
(発明の要旨)
本発明は、シクロスポリンAおよび関連シクロスポリンの、化学的置換および重水素化アナログに関する。
【0038】
本発明の目的は、効力を向上した、ならびに薬物動態学的および薬力学的パラメーターを変更した、新規シクロスポリンアナログを提供することである。本発明の別の目的は、免疫調節障害および疾患の、予防、制御、および処置を含む、それらのケアのためのシクロスポリンアナログを提供することである。本発明のさらなる目的は、1種以上の本発明の活性免疫抑制剤を、処置を必要としている患者に投与するための薬学的組成物を提供することである。本発明のなおさらなる目的は、そのような処置を必要としている哺乳動物種に、十分な量の1種以上の新規免疫抑制剤を投与することによる、移植片拒絶、自己免疫および慢性炎症疾患を制御する方法を提供することである。最後に、本発明の活性化合物を調製するためのプロセスを提供することは、本発明の目的である。
【0039】
シクロスポリン分子の置換および重水素化は、変化した物理化学的および薬物動態学的性質をもたらし、これらは、移植拒絶、宿主対移植片疾患、移植片対宿主疾患、無形成性貧血、巣状および分節性糸球体硬化症、重症筋無力症、乾癬性関節炎、再発性多発性軟骨炎、および潰瘍性大腸炎の処置におけるその有用性を向上する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明は、以下を提供する:
1.シクロスポリンA誘導体、もしくはその薬学的に受容可能な塩:ここで、1、3、
および9、またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミノ酸位置における、1個以上の水素原子は重水素原子で置換されており、そしてここで該シクロスポリンA誘導体は必要に応じて、アミノ酸9位において化学的に置換される。
【0041】
2.式(I)によって表されるシクロスポリンA誘導体、もしくはその薬学的に受容可能な塩:
【0042】
【化8】

ここで:
Rは:
(i)重水素;
(ii)1〜16個の炭素原子の飽和または不飽和の直鎖または分岐脂肪族炭素鎖であって、そして必要に応じて、1個以上の、重水素原子、あるいは該炭素鎖のエステル、ケトン、またはアルコールを含み、そして必要に応じて、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アミド、芳香族、および複素環式から選択される置換基を1個以上含む;
(iii)1個以上の重水素原子を含む芳香族または複素環式基;または
(iv)メチル基、であり;そして
X、Y、およびZは水素または重水素であるが、ただしRがメチル、エチル、フェニル、または−CHOHである場合、X、Y、およびZのうち少なくとも1個は重水素であり;そしてここでR’はOHまたはアセテートまたは他のエステルであるか、あるいはOであって、そしてアミノ酸1の二重結合に隣接する炭素と一緒に複素環式環を形成する。
【0043】
3.式(II)によって表されるシクロスポリンA誘導体、もしくはその薬学的に受容可能な塩:
【0044】
【化9】

ここで:
Rは:
(i)重水素;
(ii)1〜16個の炭素原子の飽和または不飽和の直鎖または分岐脂肪族炭素鎖であって、そして必要に応じて、1個以上の重水素原子を含み、そして必要に応じて、ハロゲン、ニトロ、アミノ、アミド、芳香族、および複素環式から選択される置換基を1個以上含む;または
(iii)1個以上の重水素原子を含む芳香族または複素環式基、であり;
X、Y、およびZは水素または重水素であり;そして
R’はOHまたはアセテートまたは他のエステルであるか、あるいはOであって、そしてアミノ酸1の二重結合に隣接する炭素と一緒に複素環式環を形成し、ただし、Rが重水素原子を含まない場合は、X、Y、およびZのうちの少なくとも1個は重水素である。
【0045】
4.項3に記載のシクロスポリンA誘導体、もしくはその薬学的に受容可能な塩:
ここで、Rは:
(i)重水素;または
(ii)1〜16個の炭素原子の飽和または不飽和の直鎖または分岐脂肪族炭素鎖であって、そして必要に応じて、1個以上の重水素原子を含み、そして必要に応じて、ハロゲン、ニトロ、アミノ、あるいはアミドから選択される置換基を1個以上含む;
X、Y、およびZは水素または重水素であり;そして
R’はOHまたはアセテートであり、ただし、Rが重水素原子を含まない場合は、X、Y、およびZのうちの少なくとも1個は重水素である。
【0046】
5.項4に記載のシクロスポリンA誘導体:ここで、Rが、−D、CD、−CH=CD−CD、−CH=CH−CD、−CD=CD−CD、−CD=CH−CD=CD−CD、−CH=CH−CH=CD−CD、−CH=CH−CH=CD、−CD=CH−CD=CD、−CH=CD、または−CD=CDであり;
X、Y、およびZは、水素であり;そして
R’は、OHである。
【0047】
6.式(III)を有する、項5に記載のシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的
に受容可能な塩:
【0048】
【化10】

7.式(IV)を有する、項5に記載のシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩:
【0049】
【化11】

8.式(V)によって表されるシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩:
【0050】
【化12】

ここで:
Rは、水素、必要に応じてニトロ、アミノ、およびアミドから選択される置換基を1個以上含む、2〜16個の炭素原子の不飽和の直鎖または分岐脂肪族炭素鎖であり;そして
R’は、OHであるか、あるいはOであって、そしてアミノ酸1の二重結合に隣接する炭素と一緒に複素環式環を形成する。
【0051】
9.式(VI)を有する、項8に記載のシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩:
【0052】
【化13】

10.式(VII)を有する、項8に記載のシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩:
【0053】
【化14】

11.項2に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物。
【0054】
12.項3〜7のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物。
【0055】
13.項8〜10のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物。
【0056】
14.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項2に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0057】
15.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項3〜7のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0058】
16.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項8〜10のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0059】
17.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項2に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0060】
18.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項3〜7のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0061】
19.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項8〜10に記載のシクロスポリンA誘導
体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0062】
20.以下からなる群から選択されるシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩:
【0063】
【化15】

【0064】
【化16】

【0065】
【化17】

【0066】
【化18】

【0067】
【化19】

21.項20に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0068】
22.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項20に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0069】
23.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法のための薬学的組成物であって、該薬学的組成物は、項20に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【0070】
24.以下の式(VIII)の化合物:
【0071】
【化20】

(ここで、Rは−CDであり、そしてR’は−OCOCHまたは−Hである)。
【0072】
25.式(I)のシクロスポリンA誘導体を調製するための方法であって:
【0073】
【化21】

ここで、Rは、H、D、−CD、−CH=CH−CD、−CH=CD、−CD=CD、−CH=CH、または−CH=CHCHであり、X、Y、およびZは水素であり、そしてR’はアセテートであり、
該方法は、式(2):
【0074】
【化22】

のアルデヒドを式(3):
RCH=PPh
(ここで、Rは、上記で定義した通りである)のウィティッヒ試薬を用いて、必要に応じて水酸化ナトリウムの存在下で、縮合する工程を包含する、方法。
【0075】
26.式(I)の化合物を調製する方法であって:
【0076】
【化23】

ここで、Rは、H、D、−CD、−CH=CH−CD、−CH=CD、−CD=CD、−CH=CH、または−CH=CHCHであり、X、Y、およびZは水素であり、そしてR’は−OHであり、
該方法は、式(I)の化合物(ここでR’はアセテートである)を炭酸カリウムで処理する工程を包含する、方法。
【0077】
27.式(I)の化合物を調製する方法であって:
【0078】
【化24】

ここで、Rは、Dまたは−CDであり、そしてR’は−OHであり、
該方法は、式(4):
【0079】
【化25】

のアルデヒドを以下の式:
RCD=PPh
(ここで、Rは、上記で定義した通りである)のウィティッヒ試薬を用いて縮合し、続いて炭酸カリウムで処理する工程を包含する、方法。
【0080】
28.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法であって、該方法は、項2に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0081】
29.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法であって、該方法は、項3〜7のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0082】
30.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法であって、該方法は、項8〜10のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0083】
31.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法であって、該方法は、項2に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0084】
32.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法であって、該方法は、項3〜7のいずれかに記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0085】
33.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法であって、該方法は、項8〜10に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、方法。
【0086】
34.被験体において免疫抑制を提供するのに使用される方法であって、該方法は、項20に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0087】
35.被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用される方法であって、該方法は、項20に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なキャリアを被験体に投与する工程を包含する、方法。
【0088】
36. 式(II)によって表されるシクロスポリンA誘導体、もしくはその薬学的に受容可能な塩であって:
【0089】
【化26】

ここで:
Rは:
(i)重水素;
(ii)1〜16個の炭素原子の飽和または不飽和の、置換または無置換の直鎖または分岐の脂肪族炭素鎖;あるいは
(iii)1個以上の重水素原子を含む芳香族または複素環式基であり;
X、Y、およびZは水素または重水素であり;そして
R’は、OHまたはアセトキシもしくは他のエステルであるか、あるいはOであって、そしてアミノ酸1の二重結合に隣接する炭素と一緒に複素環式環を形成し、但し
(a)Rが重水素原子を含まない場合、X、Y、およびZの少なくとも1個は、重水素であり、かつ/またはRは、不飽和の、直鎖または分岐の脂肪族炭素鎖であり、そして
(b)XまたはYの一方が重水素であり、かつZ、およびXまたはYの他方が水素である場合、Rがメチルではない、シクロスポリンA誘導体。
【0090】
37. 項36に記載のシクロスポリンA誘導体、もしくはその薬学的に受容可能な塩であって:
ここで:
Rは:
(i)重水素;または
(ii)飽和または不飽和の、置換または無置換の直鎖または分岐の脂肪族炭素鎖であり;
X、Y、およびZは水素または重水素であり;そして
R’はOHまたはアセトキシであり、ただし、
(a)Rが重水素原子を含まない場合は、X、Y、およびZのうちの少なくとも1個は重水素であり、かつ/またはRは、不飽和の、直鎖もしくは分岐の、2〜3個の炭素の脂肪族炭素鎖であり、そして
(b)XまたはYの一方が重水素であり、かつZ、およびXまたはYの他方が水素である場合、Rはメチルではない、シクロスポリンA誘導体。
【0091】
38. 以下からなる群から選択される、項36に記載のシクロスポリンA誘導体:
【0092】
【化27】

39. 以下:
【0093】
【化28】

である、項38に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0094】
40. Rが、不飽和の、直鎖または分岐の、2〜3個の炭素の脂肪族炭素鎖であり;

X、Y、およびZが、独立して水素または重水素であり;そして
R’が、−OHまたはアセトキシである、項36に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0095】
41. X、Y、およびZが、水素である、項40に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0096】
42. Rが、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、2〜3個の炭素の脂肪族炭素鎖であって、1個以上の重水素原子を含有し;
X、Y、およびZが、独立して水素または重水素であり;そして
R’が、−OHまたはアセトキシである、項36に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0097】
43. X、Y、およびZが、水素である、項42に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0098】
44. 項36に記載のシクロスポリンA誘導体であって、ここで X、Y、およびZは、独立して水素または重水素であり、
Rが、−D、−CD、−CH=CD−CD、−CD=CD−CD、−CH=CH−CH=CD−CD、−CD=CH−CD=CD−CD、−CH=CH−CH=CD、−CD=CH−CD=CD、−CH=CD、−CD=CD、−CH=CH、−CH=CH−CD、−CH=CH−CH、−CH=CH−CH=CH−CH、および−CH=CH−CH=CHからなる群から選択されるメンバーであり;そして
R’が、OHまたはアセトキシである、シクロスポリンA誘導体。
【0099】
45. X、Y、およびZが、水素である、項44に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0100】
46. 下式:
【0101】
【化29】

を有する、項44に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0102】
47. 下式:
【0103】
【化30】

を有する、項44に記載のシクロスポリンA誘導体。
【0104】
48. 医薬として使用するための、項36〜47のいずれか1項に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩。
【0105】
49. 被験体において免疫抑制を提供するのに使用するための、項36〜47のいずれか1項に記載のシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩。
【0106】
50. 被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのに使用するための、項36〜47のいずれか1項に記載のシクロスポリンA誘導体、またはその薬学的に受容可能な塩。
【0107】
51. 被験体において免疫抑制を提供するための医薬の製造における、項36〜47のいずれか1項に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【0108】
52. 被験体において自己免疫性疾患を予防または改善するのための医薬の製造における、項36〜47のいずれか1項に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩の使用。
【0109】
53. 免疫抑制を提供するかまたは自己免疫性疾患を処置するための薬学的組成物で
あって、項36〜47のいずれか1項に記載のシクロスポリンA誘導体またはその薬学的に受容可能な塩、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【0110】
54. 以下の構造:
【0111】
【化31】

を有するシクロスポリンA誘導体を製造するための方法であって、
ここで、
Rは、不飽和の、直鎖または分岐の、2〜3個の炭素の脂肪族炭素鎖であり、
該方法は、以下の工程:
(a)シクロスポリンAのβ−アルコールを保護し、それにより中間体アセチルシクロスポリンAを形成する工程;
(b)該アセチルシクロスポリンAを酸化して、中間体アセチルシクロスポリンAアルデヒドを生成する工程;
(c)該中間体アセチルシクロスポリンAアルデヒドを、構造式:
RCH=PPh
を有し、式中Rが上記で定義したとおりであるリンイリドを用いて、ウィッティッヒ反応で処理して、アセチルシクロスポリンA誘導体を生成する工程;および
(d)該アセチルシクロスポリンA誘導体を、塩基を用いて加水分解する工程、
を包含する、方法。
【0112】
55. 前記酸化する工程が、オゾン、過マンガン酸カリウム、および四酸化オスミウムからなる群から選択される酸化剤を用いて行われる、項54に記載の方法。
【0113】
56. 前記酸化剤が、四酸化オスミウムである、項55に記載の方法。
【0114】
57. 以下の構造:
【0115】
【化32】

を有するシクロスポリンA誘導体を製造するための方法であって、
ここで、
Rは、飽和または不飽和の、直鎖または分岐の、2〜3個の炭素の脂肪族炭素鎖であって、該炭素鎖は、1つ以上の重水素原子で置換されており、
該方法は、以下の工程:
(a)シクロスポリンAのβ−アルコールを保護して、それにより中間体アセチルシクロスポリンAを形成する工程;
(b)該アセチルシクロスポリンAを酸化して、中間体アセチルシクロスポリンAアルデヒドを生成する工程;
(c)該中間体アセチルシクロスポリンAアルデヒドを、構造式:
RCH=PPh
を有し、式中Rが上記で定義したとおりであるリンイリドを用いて、ウィッティッヒ反応で処理して、アセチルシクロスポリンA誘導体を生成する工程;および
(d)該アセチルシクロスポリンA誘導体を、塩基を用いて加水分解する工程、
を包含する、方法。
【0116】
58. 前記酸化する工程が、オゾン、過マンガン酸カリウム、および四酸化オスミウムからなる群から選択される酸化剤を用いて行われる、項57に記載の方法。
【0117】
59. 前記酸化剤が、四酸化オスミウムである、項58に記載の方法。
【0118】
60. 以下の構造:
【0119】
【化33】

を有するシクロスポリンA誘導体を製造するための方法であって、
ここで、
Rが、−D、−CD、−CH=CD−CD、−CD=CD−CD、−CH=CH−CH=CD−CD、−CD=CH−CD=CD−CD、−CH=CH−CH=CD、−CD=CH−CD=CD、−CH=CD、−CD=CD、−CH=CH、−CH=CH−CD、−CH=CH−CH、−CH=CH−CH=CH−CH、および−CH=CH−CH=CHからなる群から選択されるメンバーであり、
該方法は、以下の工程:
(a)シクロスポリンAのβ−アルコールを保護して、それにより中間体アセチルシクロスポリンAを形成する工程;
(b)該アセチルシクロスポリンAを酸化して、中間体アセチルシクロスポリンAアルデヒドを生成する工程;
(c)該中間体アセチルシクロスポリンAアルデヒドを、構造式:
RCH=PPh
を有し、式中Rが上記で定義したとおりであるリンイリドを用いて、ウィッティッヒ反応で処理して、アセチルシクロスポリンA誘導体を生成する工程;および
(d)該アセチルシクロスポリンA誘導体を、塩基を用いて加水分解する工程、
を包含する、方法。
【0120】
61. 前記酸化する工程が、オゾン、過マンガン酸カリウム、および四酸化オスミウムからなる群から選択される酸化剤を用いて行われる、項60に記載の方法。
【0121】
62. 前記酸化剤が、四酸化オスミウムである、項61に記載の方法。
【0122】
本発明の実施態様はCsA誘導体を含み、ここでアミノ酸1、3、および9の位置の1個以上の水素原子は重水素原子で置換されており、そしてここでシクロスポリンA誘導体は必要に応じて、アミノ酸9位において化学的に置換されている。本発明のさらなる特定の実施態様は、式Iにより表されるCsA誘導体である:
【0123】
【化34】

ここで、Rは(i)重水素であるか、または(ii)2〜16個の炭素原子の飽和または不飽和の直鎖または分岐脂肪族鎖であって、そして重水素原子、あるいは炭素鎖のエステル、ケトン、またはアルコールを1個以上含み、そして必要に応じて、ハロゲン、ニトロ
、アミノ、アミド、芳香族、および複素環式から選択される置換基を1個以上含むか、または(iii)Rは、必要に応じて重水素原子を含む芳香族または複素環式基であるか、または(iv)Rはメチル基であり、そしてX、Y、およびZは水素または重水素であるが、ただしX、Y、およびZのうち少なくとも1個は重水素であり、そしてR’はOHまたはエステルであるか、あるいはOであって、そしてアミノ酸1の二重結合に隣接する炭素と一緒に五員環のような複素環式環を形成し、ここでヘテロ原子は酸素である。本発明の他の特定の実施態様は、式IのCsA誘導体を含み、ここでRは、1個以上の重水素を含む、2〜3個の炭素原子の飽和または不飽和の炭素鎖である。さらなる特定の実施態様は、以下の式5gおよび5eのものを含む:
【0124】
【化35】

(発明の詳細な説明)
普通の水素の重水素置換、およびプロチオ(protio)代謝産物に対する重水素化基質は、生体系において著しい変化を生成し得る。同位体で変更された薬物は、広範に逸脱した薬理学的効果を示した。Pettersenらは、重水素化5,6−ベンジリデン−dl−L−アスコルビン酸(Zilascorb)による抗ガン効果の増加を見いだした[Anticancer Res.12、33(1992)]。
【0125】
シクロスポリンのメチル基における重水素置換は、重水素置換されていないC−H結合の酸化速度と比較して、より遅いC−D結合の酸化速度をもたらす。同位体効果は、脱メチル化代謝産物の形成を減少させるように作用し、そしてそれにより薬物の薬理学的パラメーターを変更する。酸化、代謝、および排出のより遅い速度は、より大きなおよびより持続した生物学的活性をもたらす。重水素化は、薬物の効能を増加するために、薬物の毒性を減少するために、薬理学的活性部分の排出を減少するために、および分子の安定性を改善するために、シクロスポリン分子の種々の部位を標的とする。
【0126】
(同位体置換:)
安定な同位体(例えば、重水素、13C、15N、18O)は、非放射性同位体であり、これらはそれぞれの原子の通常の豊富な同位体よりも1個余計に中性子を含む。重水素化化合物は、非重水素化親化合物の作用機構および代謝経路の評価により、化合物のイン
ビボでの代謝結果を調査するための、薬学的調査において使用されてきた(Blakeら、J.Pharm.Sci.64、3、367〜391、1975)。そのような代謝研究は、患者に投与されるインビボ活性化合物、または親化合物から生成される代謝産物が毒性であるかまたは発ガン性であるかを実証するためのいずれかのため、安全で、効果的な、治療薬物の設計において重要である(Fosterら、Advances in Drug Research 第14巻、2〜36頁、Academic press、London、1985)。
【0127】
重原子の組み込み、特に水素の重水素置換は、薬物の薬物動態を変更し得る同位体効果を起こし得る。この効果は通常、標識が分子の代謝的に不活性な位置におかれる場合には、ほんのわずかである。
【0128】
薬物の安定な同位体標識化は、pKaおよび液体溶解性のようなその物理化学的性質を変更し得る。これらの変化は、身体を通るその経過にそった異なる工程において薬物の結末に影響し得る。吸収、分配、代謝、または排泄が変更され得る。吸収および分配は、主に分子の大きさおよび基質の脂肪親和性に依存してプロセスされる。これらの効果および変更は、同位体置換がリガンド−レセプター相互作用に含まれる範囲に影響を及ぼす場合、薬物分子の薬力学的応答に影響を及ぼし得る。
【0129】
薬物代謝は、重水素原子との化学結合の切断がプロセスにおける律速段階である場合、大きな同位体効果を起こし得る。安定な同位体−標識化分子の物理的性質のいくつかは未標識化分子のものと異なっていながら、1つの重要な例外をのぞいて化学的および生物学的性質は同じである:重い同位体の増加した質量のため、重い同位体および別の原子を含む任意の結合が、軽い同位体とその原子との間の同じ結合よりも強くなる。この結合の切断が律速段階である任意の反応において、重い同位体を持つ分子に対しては「力学的同位体効果」のため、反応はよりゆっくりと進行する。C−D結合の切断を含む反応は、C−H結合の切断を含む同様な反応よりも700%までゆっくりになり得る。C−D結合が代謝産物を導く工程のいずれにも含まれない場合、薬物の挙動を変更し得るどのような効果も存在し得ない。重水素が薬物の代謝に含まれる部位に置かれる場合、同位体効果は、C−D結合の切断が律速段階である場合にのみ観測される。脂肪族C−H結合の切断が生じる(通常は、混合機能オキシダーゼにより触媒される酸化による)ときはいつでも、重水素による水素の置換が観測可能な同位体効果を導くことを示す証拠が存在する。代謝の部位における重水素の組み込みが、その速度を、重水素により置換されていない炭素原子におけるアタックにより生成される別の代謝産物が主要な経路になる点まで遅くすることを理解することがまた重要であり、プロセスは「代謝スイッチ」と呼ばれる。芳香族系を含む化合物の最も重要な代謝経路の1つが、3または4位の炭素置換基であるフェノール性基を導くヒドロキシル化であることがまた観測される。この経路はC−H結合の切断を含むが、この結合の切断が大抵は律速段階に含まれないため、しばしば同位体効果を伴わない。立体中心における水素の重水素による置換は、薬物の活性に、より大きな効果を誘導する。
【0130】
(シクロスポリン誘導体の合成:)
本発明の化合物の調製のための出発物質は、シクロスポリンAである。本発明の化合物を調製するためのプロセスは、図3のスキームIにおいて示されるように例示される。式Iを持つ他の化合物が、以下に示される合成において適切な反応物および薬剤を置換することにより合成され得ることが、以下に描写される合成経路を総覧することで、当業者に容易に明らかになる。
【0131】
重水素化シクロスポリンアナログを作製するためのプロセスにおける第一の工程は、鍵となる中間体3および6の調製である。これは、アミノ酸1の二重結合の酸化によりなし
遂げられ得る。シクロスポリンの、無水酢酸および過剰のジメチルアミノピリジンでの処理は、ヒドロキシル保護アセチルシクロスポリン2を提供した。次いで、2をオゾン、またはKMnO/NaIOで処理することにより、二重結合の切断がなし遂げられ得たが、OsO/NaIOが、アルデヒド生成物3への変換のために選択される試薬であることが見いだされた。反応は一般に、よりきれいで、所望の物質を生成し、そして高収率で進行することが見いだされた。この反応の欠点は、OsOが高価で非常に毒性であり、それゆえ、その使用が制限されることである。しかし、触媒量で存在するOsOとともにHOを使用することにより、結果はより経済的になし遂げられ得る。アルカリ溶液中のt−ブチルヒドロキシドおよびN−メチルモルホリン−N−オキシドが、このプロセスにおいてHと置き換えられ得る。アルデヒド化合物3はさらに、種々の重水素化アルキル、またはアリールトリフェニルホスホニウム誘導体(ウィッティッヒ試薬)で処理され、そしてアルカリ溶液による加水分解が最終誘導体(5a〜h)を提供した。本発明者らはまた、図4のスキームIIにおいて示されるような種々の化合物を得るための一般的手順を開発した。
【0132】
このアプローチにおいて、アルデヒド誘導体3は、標準的な手順を使用して調製されたウィッティッヒ試薬で処理された。穏やかな酸加水分解で得られる生成物は、鍵となる中間体、アルデヒド生成物6を提供した。これはさらに、第二の重水素化アルキル、またはアリールトリフェニルホスホニウムハロゲン化物試薬を用いて、必要とされる生成物を与えられる穏やかな酸加水分解で処理される。この方法は、ジエン系の拡張にわたる制御を提供する。このアプローチを使用することにより、オレフィン性二重結合が段階的に導入され得る。
【0133】
重水素化化合物5a〜hを調製するための第三のアプローチは、先に記載された重水素化されていないシクロスポリンアナログを、重水、重水素化酢酸のような重水素化溶媒中、酸または塩基触媒の存在下加熱することによるものである。
【0134】
本発明の好適なシクロスポリンは、式IIのもののような、アミノ酸1に重水素および化学的置換の両方を含むものである:
【0135】
【化36】

ここでXは、
【0136】
【化37】

【実施例】
【0137】
実施例1.
室温で、撹拌したシクロスポリン1(1.01g、0.84mmol)の無水酢酸(20mL)溶液に、DMAP(150mg、1.23mmol、1.5当量)を加えた。一晩撹拌した後、混合物をEtOAc(50ml)および水(25ml)の間で分配した。次いで、分離したEtOAc層を水(50mL)およびブライン(50mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、そして溶媒を減圧除去して、粗生成物をガラス状の固体として得た。シリカのショートカラムでのフラッシュクロマトグラフィー(2% MeOH/DCM)による精製およびベンゼンからの凍結乾燥で、2を綿毛状の無色固体として得た(1.044g、0.84mmol、定量);
【0138】
【数1】

実施例2
ジオキサンおよび水(5mL)の1:1混合液中の化合物2(289mg、0.23mmol)の溶液に、最初にメタ過ヨウ素酸ナトリウム(100mg、0.47mmol、2当量)を、次に四酸化オスミウムの溶液(5mL;250mLの溶媒中0.5gのOsO
)を加えた。2段階の後処理、フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(石油エーテル中40%のアセトン)、およびベンゼンからの凍結乾燥で、化合物3を綿毛状の無色固体として得た(226mg、0.18mmol、80%);
【0139】
【数2】

実施例3
方法A:0℃で、化合物3(315mg、0.26mmol)のTHF(5mL)溶液に、d−エチルトリフェニルホスホニウムヨージドから調製した重水素−リンイリド(2.67mmol、約10当量)の溶液を加えた。後処理後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中、30%〜60%のアセトン)およびHPLC(水中60%〜65%のMeCN)による精製、次いでベンゼンからの凍結乾燥で、化合物4を綿毛状の無色固体として得た(153mg、0.12mmol、47%)。
方法B:Ar下−78℃で、撹拌した化合物3(287mg、0.23mmol)のTHF(5mL)溶液に、リンイリドの溶液(Ar下室温で、d−エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(480mg、1.13mmol、約5当量)のTHF(10mL)懸濁液に、ヘキサメチルジシリルアミドナトリウム(1.0M;2.25mL、2.25mmol、約10当量)を加えることにより形成した)を注意深く加えた。室温まで徐々に暖めながら2時間撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却し、そして10%AcOH/THF(10mL)を加えることによりクエンチした。反応混合物を減圧濃縮し、そして水(20mL)およびEtOAc(20mL)の間で分配した。水層をさらにEtOAc(20mL)で抽出し、そして合わせた有機抽出物を、次いで1NのHCl(20mL)および水(20mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、そして溶媒を減圧除去して粗生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(石油エーテル中40%のアセトン)、およびベンゼンからの凍結乾燥で、化合物4dを綿毛状の無色固体として得た(84mg、67μmol、29%);
【0140】
【数3】

実施例4
室温で、MeOH(5mL)および水(2.5mL)中の4d(84mg、67μmol)の攪拌溶液に、炭酸カリウム(99mg、0.72mmol、約10当量)を加えた。一晩撹拌した後、MeOHを減圧除去し、そして水性残渣をEtOAc(10mL)および5%クエン酸溶液(10mL)の間で分配した。次いで、EtOAc層を水(10mL)およびブライン(10mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、そして溶媒を減圧除去して粗生成物を得た。HPLC精製(水中60%〜65%のMeCN)およびベンゼンからの凍結乾燥で、化合物5dを綿毛状の無色固体として得た(59mg、49μmol、70%);
【0141】
【数4】

実施例5
ベンゼン(3mL)中の化合物3(49mg、39.8μmol)および重水素化d
アリルトリフェニルホスホニウムブロミド(311mg、812μmol、約20当量)の室温で激しく撹拌した混合物に、1NのNaOH(3mL)を加えた。撹拌を室温で5日間続け、その後2層を分離し、ベンゼン層を水(5mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、そして溶媒を減圧除去して粗生成物を得た。HPLC精製(水中20%〜60%のMeCN)およびベンゼンからの凍結乾燥で、化合物4gを綿毛状の無色固体として得た(23mg、18.3μmol、47%);
【0142】
【数5】

実施例6
ベンゼン(3mL)中の化合物3(56mg、45.5μmol)および重水素化d−クロチルトリフェニルホスホニウムブロミド(360mg、907μmol、約20当量)の室温で激しく撹拌した混合物に、1NのNaOH(3mL)を加えた。撹拌を室温で5日間続け、その後2層を分離し、ベンゼン層を水(5mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、そして溶媒を減圧除去して粗生成物を得た。HPLC精製(水中20%〜60%のMeCN)およびベンゼンからの凍結乾燥で、化合物4eを綿毛状の無色固体として得た(23mg、18.1μmol、40%);
【0143】
【数6】

実施例7
MeOH(5mL)および水(1mL)中の化合物4g(20mg、15.9μmol)の室温で撹拌した溶液に、炭酸カリウム(30mg、217μmol)を加えた。一晩撹拌した後、反応混合物をEtOAc(10mL)および5%水性クエン酸(10mL)の間で分配した。水層をさらにEtOAc(5mL)で抽出し、次いで、合わせた有機層を5%クエン酸(10mL)およびブライン(10mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、そして溶媒を減圧除去して粗生成物を得た。HPLC精製(65%のMeCN)およびベンゼンからの凍結乾燥で、化合物5gを綿毛状の無色固体として得た(10mg、8.2μmol、52%);
【0144】
【数7】

実施例8
メタノール(5mL)および水(1mL)中の4e(18mg、14.2μmol)の室温で撹拌した溶液に、炭酸カリウム(35mg、254μmol)を加えた。一晩撹拌した後、反応混合物をEtOAc(10mL)および5%水性クエン酸(10mL)の間で分配した。水層をさらにEtOAc(5mL)で抽出し、次いで、合わせた有機層を5%クエン酸(10mL)およびブライン(10mL)で洗い、乾燥し(MgSO)、そして溶媒を減圧除去して粗生成物を得た。HPLC精製(65%のMeCN)およびベンゼンからの凍結乾燥で、化合物5eを綿毛状の無色固体として得た(10mg、8.1μmol、57%);
【0145】
【数8】

実施例9
重水素化シクロスポリンアナログについて、以下に記載されるように免疫抑制活性を試験した。化合物5eおよび化合物5gは、親シクロスポリンよりも強力であった。カルシニュリン活性を、Frumanら(A Proc Natl Acad Sci USA、1992)により先に記載された方法の改変したものを使用してアッセイした。オカダ酸、ホスファターゼ1型および2型インヒビターの存在下、32P−標識19アミノ酸ペプチド基質を脱ホスホリル化する全血溶解物の能力についてそれらを評価した。バックグラウンドのホスファターゼ2C活性(CsAおよびオカダ酸耐活性)を測定し、そして各サンプルから減算した。このときアッセイを、過剰に加えられたCsAの存在下および非存在下で行った。残りのホスファターゼ活性を、カルシニュリン活性として解釈した。カルシニュリンアッセイの結果は、図5に表される。結果は、平均±平均の標準誤差として示される。結果を、CsA誘導体濃度(ug/L)対カルシニュリン阻害の割合としてプロットする。アッセイされた化合物の構造は、以下を含む:
【0146】
【化38】

実施例10
混合リンパ球反応(MLR)アッセイを、シクロスポリンおよび化合物5eおよび化合物5gで行った。結果は図6に表され、そして4つの実験の平均としてプロットされ、これはシクロスポリンまたは誘導体の濃度対阻害割合を示す。
【0147】
MLRアッセイは、CsA誘導体を生物学的(免疫抑制)活性で同定するのに、および親CsA分子の免疫抑制活性と比較してこの活性を定量するために有用である。
【0148】
この目的に有用なリンパ球増殖アッセイ手順の例は、以下の通りである:
1. 2個の個体から血液を採取し(各20ml)、そしてFicoll−Paque(Pharmacia Biotech)を使用してリンパ球を単離する。
2. 2%酢酸(v/v)の1:10希釈で、リンパ球を計数する。
3. DMEM/20%FCS(v/v)中1×10細胞/mlで、10mlの各リンパ球集団(A+B)を調製する。
4. 96ウェルの滅菌組織培養プレート、平底(Sarstedt、cat#83.1835)をセットアップする。各ウェルに以下を加える:
5. 1ウェルのリンパ球集団Aあたり100μlに等分する。
6. 1ウェルのリンパ球集団Bあたり100μlに等分する。
7. 0、2.5、5、10、25、50、および100μg/LでDMEM中補助物なしで3つ作った薬物(CSAおよびCSA誘導体)を、1ウェルあたり20μlに等分する。
8. 増殖における薬物の効果を測定するために、プレートを、5%CO雰囲気下37
℃で5日間インキュベートする。
9. 6日目に、メチル−H−チミジン(Amersham Life Science、cat#TRK 120)のDMEM中補助物なしの1:50希釈物を3.2ml調製する。1ウェルあたり30μlを加え、そして5%CO雰囲気下37℃で18時間インキュベートする。
10. 7日目に、Cell−Harvestor(Skatron、cat#11019)を使用して、細胞をガラスマイクロファイバーフィルターGF/A(Whatman、cat#1820024)上に採取する。細胞を1.0mlの減菌蒸留水で3回洗う。注:全ての手順を生物学的フローフード(biological flow hood)中滅菌技術を使用して行う。
11. フィルターを、シンチレーションバイアルに置き、そして1.5mlのSciniSafe Plus 50%シンチレーション液体(Fisher、cat#SX−25−5)を加える。
12. β線カウンター(Micromedic System Inc.、TAURUS Automatic Liquid Scintilation Counter)を使用して、リンパ球に組み込まれた放射活性の量を1.0分間測定する。
13. 各薬物について平均および標準偏差を計算し、そして結果を以下のように表す:
【0149】
【数9】

MLRアッセイは、生物学的に活性なCSA代謝産物および親CSA分子に結合する本発明の抗体を選択するのに利用され得る。抗体はまた、生物学的に不活性な代謝産物に対する反応性について選択され得る。
【0150】
カルシニュリンアッセイおよび混合リンパ球反応アッセイの結果から、アミノ酸1位で化学的に置換された、および重水素化されたシクロスポリンが顕著な免疫抑制活性を保持し得ることが見いだされた。誘導体5eおよび5gの場合、CsAよりも明らかに大きい免疫抑制活性が得られた。
【0151】
実施例11
調製された本発明の他のシクロスポリン誘導体は、以下を含む:
【0152】
【化39】

【0153】
【化40】

【0154】
【化41】

【0155】
【化42】

【0156】
【化43】

【0157】
【化44】

【0158】
【化45】

(薬物組成物処方物および免疫抑制の顕現化)
開示されるシクロスポリン誘導体の、物理化学的、薬力学的、毒物学的、および薬物動態学的性質の決定は、標準的な化学的および生物学的アッセイを使用して、ならびに化学および薬理学/毒物学分野で公知の数学モデル化法の使用を通して成され得る。治療的有用性および投薬レジメンは、そのような技術の結果から、および適切な薬物動態および/または薬力学モデルの使用を通して推定され得る。
【0159】
本発明の化合物は、ニートで、または薬学的キャリアとともに、それらを必要としている温血動物へ投与され得る。薬学的キャリアは、固体または液体であり得る。
【0160】
本発明はまた、活性成分としての開示されるシクロスポリンの投与を含む、免疫調節異常を罹患している患者を処置する方法に関する。
【0161】
免疫不整(immunoirregularity)により引き起こされるこれらの状態および疾患の処置のために、重水素化シクロスポリンは、経口、局所的、非経口、吸入スプレーにより、または従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、およびビヒクルを含む投薬単位処方物で直腸から、投与され得る。本明細書中で使用されるとおり、用語非経口は、皮下注射、静脈、筋肉内、胸骨内(intrasternal)注射または注入法を含む。
【0162】
活性生物を含む薬学的組成物は、例えば、錠剤、トローチ、飴剤、水性もしくは油性懸濁液、分散可能な粉末もしくは顆粒、エマルジョン、硬もしくは軟カプセル、またはシロップ剤もしくはエリキシル剤として、経口使用に適した形態にあるものであり得る。経口使用を意図する組成物は、薬学的組成物の製造について当該分野で公知である任意の方法に従い調製され得、そしてそのような組成物は、薬学的に洗練された、そして口に合う調製物を提供するために、甘味料、香味料、着色料、および保存料からなる群より選択される1種以上の薬剤を含み得る。活性成分を非毒性の薬学的に受容可能な賦形剤との混合物中に含む錠剤がまた、公知の方法により製造され得る。使用される賦形剤は、例えば(1)炭酸カルシウム、乳糖、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウムのような不活性な希釈剤;(2)コーンスターチ、またはアルギニン酸のような顆粒化および崩壊剤;(3)デンプン、ゼラチン、またはアカシアのような結合剤、および(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクのような潤滑剤であり得る。錠剤は未コーティングであり得るか、またはそれらは、胃腸管での分解および吸収を遅らせ、そしてそれにより長時間にわたる持続した作用を提供するために、公知の方法によりコーティングされ得る。例えば、モノステアリン酸グリセリル、またはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質が用いられ得る。錠剤はまた、制御された放出のための浸透性治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;第4,160,452号;および第4,265,874号において記載される技術によりコーティングされ得る。
【0163】
いくつかの場合において、経口使用のための処方物は硬ゼラチンカプセルの形態にあるものであり得、ここで活性成分は、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンのような不活性固体希釈剤と混合されている。それらはまた、軟ゼラチンカプセルの形態にあるものであり得、ここで活性成分は、水、または例えば落花生油、液体パラフィン、またはオリーブ油のような油媒体と混合されている。
【0164】
水性懸濁液は通常、活性物質を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中で含む。そのような賦形剤は、以下のものであり得る:
(1)カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、およびアカシアゴムのような、懸濁剤;
(2)以下のものであり得る懸濁剤または湿潤剤:
(a)レシチンのような天然に生じるリン脂質、
(b)例えばポリオキシエチレンステアレートのような、アルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、
(c)例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールのような、エチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、
(d)ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような、エチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、または
(e)例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような、エチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物。
【0165】
水性懸濁液はまた、1種以上の保存料(例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル);1種以上の着色料;1種以上の香味料;および1種以上の甘味料(例えば、ショ糖、アスパルテーム、またはサッカリン)を含み得る。
【0166】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナッツ油)に、または液体パラフィンのような鉱物油に懸濁することにより処方され得る。油性懸濁液は、濃化剤(例えば蜜鑞、硬パラフィン、またはセチルアルコール)を含み得る。甘味料および香味料は、口に合う経口調製物を提供するために加えられ得る。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤を加えることにより、保存され得る。
【0167】
分散可能な粉末および顆粒は、水性懸濁液の調製に適している。それらは、活性成分を、分散剤もしくは湿潤剤、懸濁剤、および1種以上の保存剤との混合物として提供する。適した分散剤または湿潤剤、および懸濁剤は、上記ですでに記述されたものにより例示される。さらなる賦形剤、例えば上記で記載される甘味料、香味料、および着色料もまた、存在し得る。
【0168】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油エマルジョンの形態にあるものであり得る。油相は、オリーブ油または落花生油のような植物油、または液体パラフィンのような鉱物油、あるいはそれらの混合物であり得る。適した乳化剤は以下のものであり得る:(1)アカシアゴムおよびトラガカントゴムのような天然に生じるゴム、(2)ダイズおよびレシチンのような天然に生じるリン脂質、(3)脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、(4)上述の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)。エマルジョンはまた、甘味料および香味料を含み得る。
【0169】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味料(例えば、グリセロール、プロピレングリコ
ール、ソルビトール、アスパルテーム、またはショ糖)とともに処方され得る。そのような処方物はまた、粘滑剤、保存剤、ならびに香味料および着色料を含み得る。
【0170】
薬学的組成物は、滅菌の注入可能な水性または油質懸濁液の形態にあるものであり得る。この懸濁液は、上記で記載された適した分散もしくは湿潤剤、および懸濁剤を使用して、公知の方法に従って処方され得る。滅菌の注入可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌の注入可能な溶液または懸濁液(例えば1,3−ブタンジオールの溶液として)であり得る。受容可能なビヒクルおよび溶媒のなかで、用いられ得るのは、水、リンゲル液、および等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として習慣的に用いられる。この目的のために、合成モノ−またはジグリセリドを含む任意の調合不揮発性油が用いられ得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注入可能物の調製における使用を見いだしている。
【0171】
開示されるシクロスポリンはまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらの組成物は、薬物を適した非刺激性の賦形剤(これは通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、そしてそれ故に直腸内で融けて薬物を放出する)と混合することにより調製され得る。そのような物質は、ココアバターおよびポリエチレングリコールである。
【0172】
局所的使用のために、開示されるシクロスポリンを含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、または懸濁液などが、用いられる。
【0173】
約0.05mg〜約50mg/体重kg/日の程度の投薬レベルが、上記で示される状態の処置において有用である(約2.5mg〜約2.5g/患者/日)。
【0174】
単一の投薬形態を生成するためにキャリア物質と合わせられ得る活性成分の量は、処置される宿主、および投与の特定の形態に依存して変化する。例えば、ヒトの経口投与を予定する処方物は、2.5mg〜2.5gの合成された活性剤を、全組成物の約5〜約95%変化し得る、適切なそして簡便な量のキャリア物質とともに含み得る。投薬単位形態は一般に、約5mg〜約500mgの活性成分を含む。
【0175】
しかしながら、任意の特定の患者のための特定の投薬レベルが、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、身体全体の健康、性別、規定食、投与の時間、投与の経路、排出速度、薬物の組合せ、および治療を受けている特定の疾患の重篤度を含む種々の因子に依存する。
【0176】
本明細書中で列挙される全ての参考文献は、参考として援用される。コンフリクトする場合、出願の文章が調節される。開示される化合物および方法の修飾および変更は当業者に明らかである。そのような修飾および変更は、本開示および本明細書に添付される特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1は、アミノ酸3位に重水素化部位を示す、シクロスポリンAの構造である。
【図2】図2は、アミノ酸9位に重水素化部位を示す、シクロスポリンAの構造である。
【図3】図3は、シクロスポリン誘導体の合成のスキームIである。
【図4】図4は、シクロスポリン誘導体の合成のスキームIIである。
【図5】図5は、実施例9のカルシニュリンアッセイの結果のグラフである。
【図6】図6は、実施例10の混合リンパ球反応アッセイの結果のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された化合物であって、ただし、以下の式で示される化合物を除く、化合物、またはその薬学的に受容可能な塩。
【化2】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−222724(P2008−222724A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−138789(P2008−138789)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【分割の表示】特願2007−17196(P2007−17196)の分割
【原出願日】平成10年10月8日(1998.10.8)
【出願人】(500132720)アイソテクニカ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】