説明

重粒子線治療のスケジュール管理装置、方法、及びプログラム

【課題】業務スケジュールの変更がなされる場合において、変更の前後の状態を画面で確認できる重粒子線治療のスケジュール管理技術を提供する。
【解決手段】重粒子線治療のスケジュール管理装置10は、患者ID31に複数ある工程の各々の日程を関連付けた第1情報33を登録するデータベース30と、ネットワークNから日程の変更要求aを受信する送受信部11と、変更要求aとともに受信される変更後の第1情報を保持する新情報保持部19と、この新情報保持部19に保持されている前記変更後の第1情報及びデータベース30に登録されている変更前の第1情報33をネットワークNに送信する送受信部11と、ネットワークNから更新要求bが送受信部11で受信されるとデータベース30の登録内容を前記変更後の第1情報に更新するデータ管理部21と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重粒子線治療に関わるスタッフの業務スケジュールを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
重粒子線治療に関する業務は、固定具作成、シミュレーション、CT撮影、リハーサルなどの前準備を経て実際の照射(治療)を行う。さらに、この間に倫理委員会での審査や承認行為などワークフローに関わる業務も含まれる。
そして、医療業務に関わる多くのスタッフは、重粒子線治療の業務スケジュールに係る情報を正確に把握することと、その情報の全体を全員で共有することとが要求されている。
【0003】
このため、重粒子線治療のスケジュール管理装置において、業務スケジュールの管理が行われている。
ところで、従来の重粒子線治療のスケジュール管理装置として、放射線治療に用いるアクセサリを効率的に予約管理する発明が知られている(例えば、特許文献1)。また、放射線治療における業務全般の情報を入力・参照する発明が知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−183504号公報
【特許文献2】特開2008−262428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スケジュール管理装置は、治療工程を立案する最初の段階において、効率的な業務スケジュールを最適化処理により作成する。そして、患者都合や院内の業務進捗の状況にあわせて、治療予定の変更が必要な場合は、業務スケジュールの見直しを適宜行っている。
【0006】
しかし、従来の重粒子線治療のスケジュール管理装置では、複雑な業務スケジュールの変更作業において、変更前の初期状態を正確に記憶していないために、一度変更した日程を元に戻すことが困難であった。
【0007】
つまり従来では、業務スケジュールの内容を初期状態に戻したり、変更前の状態を把握したりしようとする場合、旧情報を予め紙帳票等に出力しておく必要があった。
また、スタッフが、各自の業務スケジュールを確認する際、他のスタッフの業務スケジュールの全てが表示されるため、開示された情報の中から自分に関わる業務を探すのが困難であった。
このように、従来技術においては、業務効率の低下を招くとともに、また紙帳票とつき合わせる情報確認の過程で人為的ミスが発生する懸念があった。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、業務スケジュールの変更がなされる場合において、変更の前後の状態を画面で確認できる重粒子線治療のスケジュール管理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る重粒子線治療のスケジュール管理装置は、患者IDに複数ある工程の各々の日程を関連付けた第1情報を登録するデータベースと、ネットワークから前記日程の変更要求を受信する受信部と、前記変更要求とともに受信される変更後の第1情報を保持する新情報保持部と、前記新情報保持部に保持されている前記変更後の第1情報及び前記データベースに登録されている変更前の第1情報を前記ネットワークに送信する送信部と、前記ネットワークから更新要求が前記受信部で受信されると前記データベースの登録内容を前記変更後の第1情報に更新するデータ管理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、業務スケジュールの変更がなされる場合において、変更の前後の状態を画面で確認できる重粒子線治療のスケジュール管理技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】重粒子線治療における複数の工程を示すフローチャート。
【図2】本発明に係る重粒子線治療のスケジュール管理装置の実施形態を示すブロック図。
【図3】患者情報と、患者IDに重粒子線治療の各々の工程の日程を関連付けた第1情報とを示すテーブル。
【図4】スタッフ情報と、重粒子線治療の工程の各々に担当するスタッフIDを関連付けた第2情報とを示すテーブル。
【図5】モニタに表示されるスケジュール画面。
【図6】モニタに表示されるスケジュール画面。
【図7】モニタの表示画面における、(A)全ての工程を示すスケジュール表示フォーム、(B)特定のスタッフIDに紐付けられる工程を選択的に表示したスケジュール表示フォーム。
【図8】モニタの表示画面における、(A)スケジュール表示フォーム、(B)特定の工程における詳細情報を示すテキスト表示フォーム。
【図9】重粒子線治療のスケジュール管理装置において日程の変更を行う場合の実施形態を示すフローチャート。
【図10】重粒子線治療のスケジュール管理装置において日程の閲覧を行う場合の実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように複数の工程を経て重粒子線治療は実施される。
まず、外来した患者に対し、担当医がガンの進行状況や性質を問診し、重粒子線治療に適しているか否かについて適格性が検討される(S11)。そして他日、複数の専門医により、重粒子線の照射方針が検討される(S12)。
【0013】
次に、他日、患者を来院させ、患者が一定の姿勢を保ち病巣に対して正確に重粒子線を照射するための個別の固定具を作成する(S13)。そして他日、作成した固定具を用いて、照射方針で検討された方向からCT撮影を実施する(S14)。
次に、CT撮影による影像結果をもとに標的となる患部をコンピュータ上に入力し、線量分布の作成等の治療計画がなされる(S15)。
【0014】
そして他日、治療時の患者の体位、重粒子線照射の方向・回数・間隔などのプロトコルの作成、使用するリッジフィルター、患者コリメータ、ボーラスなどの照射野形成用具の選択を行う治療検討会を行う(S16)。
次に、他日、リハーサル室において患者が本番の重粒子線照射と同じ体位をとり、本番時における不都合の有無を確認する治療リハーサルを行う(S17)。
【0015】
なお、上述した(S12)〜(S17)の流れに並行して、患者及びその親族に対して、重粒子線治療についての詳しい説明を行い、インフォームドコンセントの場において、同意書に署名、捺印が行われる(S22)。さらに、院内外の専門家による会議における倫理審査において、当該患者に対する重粒子線照射の許可/中止について判断される(S23)。
【0016】
この倫理審査において、中止の判断がなされれば重粒子線照射は中止され(S18:No)、許可の判断がなされれば重粒子線照射を行うことができる(S18:Yes)。
重粒子線照射は、場合によって日をおいて何回かに分けて実行され、治療リハーサルで定めた姿勢をとる患者に対し、作成されたプロトコルに従い重粒子線を患部に照射する(S19)。
そして、患者退院後、外来によりCT撮影やMRI撮影等によって病巣や全身の状態を観察し効果判定が行われ(S20)、その結果が委員会に報告される(S21)。
【0017】
図2に示すように重粒子線治療のスケジュール管理装置10(以下、単に「管理装置10」という)は、スタッフが操作する端末40とともに通信ネットワークNに接続されている。
【0018】
管理装置10は、患者IDに複数ある工程の各々の日程を関連付けた第1情報(図3参照)を登録するデータベース30と、ネットワークNから日程の変更要求aを受信する受信部(送受信部11)と、変更要求aとともに受信される変更後の第1情報(図示略)を保持する新情報保持部19と、この新情報保持部19に保持されている前記変更後の第1情報及びデータベース30に登録されている変更前の第1情報(符号33)をネットワークNに送信する送信部(送受信部11)と、ネットワークNから更新要求bが受信部(送受信部11)で受信されるとデータベース30の登録内容を前記変更後の第1情報に更新するデータ管理部21と、を備えている。
【0019】
さらに、管理装置10は、認証部12と、アクセス権限監視部13と、表示制御部14と、情報選択部15と、スケジュール表示フォーム格納部16と、テキスト表示管理部17と、を備えている、
そして、データベース30は、患者情報31と、スタッフ情報32と、患者日程情報33(第1情報)と、スタッフ担当情報34(第2情報)と、を登録している。
【0020】
そして、データベース30では、図3に示すように、患者氏名等に患者IDを関連付けた患者情報31と、重粒子線治療の各々の工程の日程を示す第1情報の集合体である患者日程情報33と、がテーブルデータとして管理されている。
さらに、図4に示すように、スタッフ氏名等にスタッフID(SF−1〜SF−m)を関連付けたスタッフ情報32と、重粒子線治療の各々の工程(第1工程〜第n工程;図1参照)を示す第2情報の集合体であるスタッフ担当情報32と、がテーブルデータとして管理されている。
【0021】
図2に示すように、端末40は、管理装置10から送信されるスケジュール画面等(図5〜図8)を表示するモニタ41と、この表示情報に対してスタッフによる各種要求(変更要求a,更新要求b,閲覧要求c,選択要求d,テキスト情報要求e)を入力する入力部42と、これら各種要求をネットワークNに送信するとともに管理装置10からの応答を受信する通信部43と、これらモニタ41,入力部42及び通信部43に出力又は入力されるデータを処理する出入力処理部44と、を備えている。
そして、端末40は、ネットワークNを経由して管理装置10にログインをする場合に、スタッフID及びパスワードの入力を求める。
【0022】
管理装置10において認証部12は、端末40から送信されるスタッフID及びパスワードが予め登録されているスタッフ情報32に一致していることを確認してログインを試みるスタッフの識別及びなりすましの防止を行う。
アクセス権限監視部13は、スケジュール画面(図5〜図8)の閲覧要求cのみの許可か、開示されている情報の変更要求aも許可されているかといった、ログインしたスタッフの権限を監視する。
【0023】
表示制御部14は、データベース30、新情報保持部19、又は旧情報保持部20に含まれる第1情報を、変更前のものと変更後のものとが互いに区別できるように表示する。
つまり、表示制御部14は、端末40からの要求(変更要求a,更新要求b,閲覧要求c,選択要求d,テキスト情報要求e)に応じて、新情報保持部19、旧情報保持部20及び/又はデータベースから第1情報(図3)を引き出して、それぞれの出所毎に識別できるように格納部16にあるスケジュール表示フォームに、割り付ける。
そして、スケジュール表示フォームにこれら第1情報が貼り付けられたウェブページのデータが送受信部11から送信されて、端末40のモニタ41にスケジュール画像(図5)として表示される。
【0024】
図5に示すようにスケジュール画像は、患者の見出し項目が縦方向に配列され、さらに横方向に各々の工程(第1工程、…第n工程)を識別するマークが、日程の時間軸に沿って割り付けられている。なお、このスケジュール画像を縦方向又は横方向にスクロールすることで、隠れて表示されていない患者や他の工程の日程を閲覧することができる。
【0025】
また、このスケジュール画像は、日程の変更操作が行われた場合、符号48で示される変更後の日程に対し、変更前の日程を符号47のように識別可能に表示する。さらに、他の工程や、その他の患者の工程の変更を行った場合も同様に、変更前と変更後の日程が識別可能となるように表示する。
【0026】
また、複数の工程の日程変更を行うのに伴って、ある工程の変更後の日程が、他の工程の変更前の日程に重複することも考えられるが、そのような場合は、図6に示すように、他のウィンドウを表示して変更前と変更後の日程が識別可能となるようにする。
そして、登録ボタン45を選択操作することで、変更後の第1情報が、データベース30に登録される患者日程情報33として更新される。
【0027】
これは、一つの工程の日程変更を行うだけでも、連鎖的に他の工程の日程変更も強いられ、重粒子線治療のスケジュール全体の見直しを迫られることが頻繁に起きることに対応するものである。また、一つの工程の日程変更をした後で、他の工程との関係から、変更した日程を再変更することも頻繁に起きることにも対応するものである。
工程の変更を行うスタッフは、個々の工程の日程設定のバランスに配慮する必要があり、スケジュール全体の変更が確定してから管理装置10のデータベース30の登録内容を更新することで、合理的にスケジュール管理を行うことができる。
【0028】
図9のフローチャートに基づいて重粒子線治療のスケジュールにおける日程変更を行う場合の動作について説明する(適宜、図2参照)。
患者IDに複数ある工程の各々の日程を関連付けた患者日程情報33(第1情報)がデータベース30に登録されている。そして、ある患者のある工程に日程の変更が発生した場合、スタッフによる入力部43の操作が行われることにより端末40から変更要求aが送信される(S31)。
【0029】
なお、変更要求aが送信されるにあたって、ログインするのに必要なスタッフIDとパスワードが送信される。そして、データベース30に蓄積されているスタッフ情報32(スタッフID)と照合されて当該スタッフの認証と変更権限の有無が確認される(S32:Yes,S33:Yes)。これらが、確認されない場合は、スケジュールの変更操作を行うことができない(S32:No,S33:No)。
【0030】
そして、管理装置10がネットワークNから変更要求aを受信すると、データベース30に蓄積されている患者日程情報33(第1情報)が、格納部16のスケジュール表示フォームに割り付けられる。このようにして作成されたスケジュール画面のデータが送受信部11から送信されて、端末40のモニタ41に画面表示される(S34)。
【0031】
スタッフは、このスケジュール画面を参照しつつ、入力部42から日程の変更を行う。この変更後の日程(第1情報)のデータは、逐一、端末40からネットワークNに送信される(S35:No)。そして、この変更後の第1情報は、新情報として管理装置10で受信され、新情報保持部19に保持される(S36)。
【0032】
そして、管理装置10は、この新情報保持部19で保持されている変更後の第1情報及びデータベース30に登録されている旧情報(変更前の第1情報)を、格納部16のスケジュール表示フォームに割り付けてネットワークNに送信する(S37)。
このように日程変更が入力される度に、変更後の第1情報(新情報)と変更前の第1情報(旧情報)が互いに区別できるように表示されたスケジュール画面(図5)が、モニタ41に新しく画面表示される(S34,S35:No)。
【0033】
スケジュール全体における日程変更の作業が終了し(S35:Yes)、スケジュール画面上の登録ボタン45(図5)が操作されると、端末40から更新要求bが送信される(S38)。
管理装置10は、ネットワークNから更新要求bを受信すると、データベースに登録されている変更前の第1情報(旧情報)は、旧情報保持部20に転送されて保持される(S39)。そして、データベース30の登録内容が変更後の第1情報(新情報)に更新される(S40)。
【0034】
さらに、新情報保持部19に保持されていた変更後の第1情報(新情報)は、削除される。なお、フローチャートに反映されていないが、変更後の第1情報(新情報)に更新されたデータベース30の登録内容を、スケジュール画面に反映させて端末40のモニタ41に確認表示させてもよい。
【0035】
このように、実施形態においては、複数にわたる工程の日程変更を、変更前と変更後の状態を確認しながらスケジュール全体を調整することができる。これにより、スケジュール管理の業務効率の向上と人間の間違いリスクの低減を達成する。
以上、重粒子線治療における工程の日程変更をするときの実施形態について述べた。
【0036】
(第2実施形態)
次に、再び図2を参照して、重粒子線治療のスケジュールの閲覧を行う場合について説明を行う。
管理装置10は、更新要求bが受信されると前記変更前の第1情報を保持する旧情報保持部20を、さらに備えている。
そして、送受信部11が、ネットワークNから日程の閲覧要求cを受信すると、データベース30に登録されている変更後の第1情報(新情報)及び旧情報保持部20に保持されている変更前の第1情報(旧情報)をネットワークNに送信する。
【0037】
これにより、変更要求aがなされて、新情報が次から次へとデータベース30に登録される度に、それまでデータベース30に登録されていた旧情報は、旧情報保持部20に転送されて保持される。
そしてスタッフが、端末40のモニタ41に表示させてスケジュール画像(図5)を閲覧する場合、変更後の第1情報(新情報)以外に、変更前の第1情報(旧情報)も表示されるので、当該工程に日程変更があったことを認識することができる。
【0038】
さらに、管理装置10は、スタッフIDが付随する閲覧要求cの履歴情報を蓄積する閲覧履歴蓄積部18を備えている。
そして、送信部(送受信部11)は、この履歴情報に基づいて、旧情報保持部20に保持されている複数の変更前の第1情報の中から前記スタッフIDに紐付けられるものを選択的に送信する。
【0039】
つまり、工程の日程変更は、日をまたいで複数回にわたり行われる場合がある。すると、変更前の第1情報(旧情報)に該当するデータが複数にわたり旧情報保持部20に保持されていることになる。
このような場合、変更前の第1情報(旧情報)としてどのデータをスケジュール画面に割り当てるかは、スタッフIDに係る閲覧履歴情報に基づいて行われる。
多くの場合、スタッフの前回閲覧時にデータベース30に登録されていた患者日程情報33を、変更前の第1情報(旧情報)として認識することがスケジュール管理において合理的であるといえる。
【0040】
さらに、管理装置10は、ネットワークNから選択要求dを受信すると、この選択要求dに付随するスタッフIDに紐付けられる前記工程の情報を選択する情報選択部15を備えている。
そして、情報選択部14は、この選択要求dを受信すると、情報選択部15が選択した前記工程の情報のみをスケジュール表示フォームに割り付ける。このようにして作成されたスケジュール画面のデータが送受信部11からネットワークNに送信される。
【0041】
つまり、図7(A)に示される全ての工程の日程情報が示されるスケジュール画面において、選択ボタン46を操作すると端末40から選択要求dが送信され、図7(B)に示すように、当該スタッフIDが担当する工程の日程情報のみが選択的に表示される。
このように、管理装置10は、端末40を操作するスタッフにとって重要な情報を選択的にスケジュール画面に表示させることができ、業務効率の向上と人間の間違いのリスク低減を達成する。
【0042】
さらに、管理装置10は、ネットワークNからテキスト情報要求eを受信すると、データベース30及び旧情報保持部20のうち少なくともいずれかに含まれるテキスト情報をネットワークNに送信させるテキスト表示管理部17を備えている。
【0043】
つまり、図8(A)に示される全ての工程の日程情報が示されるスケジュール画面において、いずれかの患者のいずれか一つの工程(マーク)を特定する操作をすることにより、端末40からテキスト情報要求eが送信され、図8(B)に示すように、当該工程の詳細な情報が表示される。
ここで表示される工程の詳細な情報とは、旧情報保持部20に保持されているこれまでの変更情報の履歴の他に、データベース30に登録されている患者情報31等やその他の有益な情報が該当する。
【0044】
また、図8に示されるテキスト情報フォームに開示される情報は、特定された工程に関するものに限定されるのではなく、関連する工程、又は全体の工程についての情報が開示されるようにしてもよい。
これにより、管理装置10は、特定の工程に関連した多くの情報を網羅的にスケジュール画面に表示させることができ、業務効率の向上と人間の間違いのリスク低減を達成する。
【0045】
図10のフローチャートに基づいて重粒子線治療のスケジュールにおける日程の閲覧を行う場合の動作について説明する(適宜、図2参照)。
患者IDに複数ある工程の各々の日程を関連付けた患者日程情報33(第1情報)及び複数ある工程の各々に担当するスタッフIDを関連付けたスタッフ担当情報34(第2情報)がデータベース30に登録されている。
スタッフが重粒子線治療のスケジュール画面を閲覧しようとして、入力部43を操作することにより、端末40から閲覧要求cが送信される(S51)。
【0046】
なお、閲覧要求cが送信されるにあたって、ログインするのに必要なスタッフIDとパスワードが送信される。そして、データベース30に蓄積されているスタッフ情報32(スタッフID)と照合されて当該スタッフの認証が行われる(S52:Yes)。この認証が許可されない場合は、スケジュール画面を閲覧することができない(S52:No)。
【0047】
管理装置10が、ネットワークNから閲覧要求cを受信すると、この閲覧要求cに付随するスタッフIDに関して閲覧履歴蓄積部18を参照する(S53)。そして、前回の閲覧時を基準にしてそれ以降に保持されかつ当該スタッフIDに紐付けられる変更前の第1情報(旧情報)が旧情報保持部20に有る場合(S54:Yes)、前回閲覧の基準時以降で最も古い第1情報を選択して旧情報保持部20から取得する(S55)。
【0048】
そして、管理装置10は、取得した旧情報とともに、データベース30に登録されている変更後の第1情報(新情報)を、スケジュール表示フォームに割り付けて端末40に送信する(S56)。
一方、旧情報保持部20において、前回の閲覧時を基準にしてそれ以降に保持されかつ当該スタッフIDに紐付けられる変更前の第1情報(旧情報)が無い場合(S54:No)、管理装置10は、データベース30に登録されている変更後の第1情報(新情報)のみを、スケジュール表示フォームに割り付けて端末40に送信する(S56)。
【0049】
端末40のモニタ41に、スケジュール画面が表示された状態で(S57)、選択ボタン46(図7(A))を操作すると、端末40からネットワークNに選択要求dが送信されて、これを管理装置10で受信する(S58:Yes)。
情報選択部15は、データベース30に登録されているスタッフ担当情報34(第2情報)の中から、受信した選択要求dに付随するスタッフIDに紐付けられる第2情報を選択し、さらに関連付けられる第1情報を選択する(S59)。
そして、このようにして選択された情報を、スケジュール表示フォームに割り付けて端末40に送信する(S56)。
すると、図7(B)に示されるように、端末40を操作しているスタッフが担当する工程のみの情報がスケジュール画面に表示される(S57)。
【0050】
次に、図8(A)に示すように、スケジュール画面に表示されているいずれの患者のいずれかの工程(マーク)を選択して、より詳細な情報を求めた場合(S58:No)、端末40からネットワークNにテキスト情報要求eが送信されて、これを管理装置10で受信する(S60:Yes)。
【0051】
そして、テキスト表示管理部17は、データベース30及び旧情報保持部20のうち少なくともいずれかに含まれるテキスト情報を取得し(S61)、これをテキスト表示フォームに割り付けて端末40に送信する(S56)。
すると、図8(B)に示されるように、テキストによる詳細で多くの情報が画面表示される(S57)。
【0052】
このテキスト情報要求は、他に表示される工程に対しても繰り返して行うことができる(S60:No,S62:No)。そして、スケジュール画面の閲覧を終了する場合は(S62:Yes)、旧情報保持部20に保持されている旧情報を削除して終了する(S63)。
なお、この旧情報保持部20に保持されている旧情報を削除するタイミングに関しては、所定の保持期間が経過した時点としてもよいし、その他のスタッフ全員が旧情報を確認した時点としてもよい。
【0053】
本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、共通する技術思想の範囲内において、適宜変形して実施することができる。
例えば、重粒子線治療のスケジュール管理装置は、コンピュータによって各機能部を実現させることも可能であり、このコンピュータを重粒子線治療のスケジュール管理プログラムにより動作させることも可能である。
【0054】
またスケジュール画面は、ウェブページとして管理装置10において作成され、端末40はブラウザ機能によりこのウェブページを閲覧するものとした。しかし、端末40にプログラムをインストールして、上述した表示制御部14、情報選択部15、スケジュール表示フォーム格納部16、テキスト表示管理部17の機能を、端末40に担わせることもできる。
【符号の説明】
【0055】
10…スケジュール管理装置(管理装置)、11…送受信部、12…認証部、13…アクセス権限監視部、14…表示制御部、15…情報選択部、16…スケジュール表示フォーム格納部、17…テキスト表示管理部、18…閲覧履歴蓄積部、19…新情報保持部、20…旧情報保持部、21…データ管理部、30…データベース、31…患者情報(患者ID)、32…スタッフ情報(スタッフID)、33…患者日程情報(第1情報)、34…スタッフ担当情報(第2情報)、40…端末、41…モニタ、42…入力部、43…通信部、44…出入力処理部、45…登録ボタン、46…選択ボタン、a…変更要求、b…更新要求、c…閲覧要求、d…選択要求、e…テキスト情報要求、N…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者IDに複数ある工程の各々の日程を関連付けた第1情報を登録するデータベースと、
ネットワークから前記日程の変更要求を受信する受信部と、
前記変更要求とともに受信される変更後の第1情報を保持する新情報保持部と、
前記新情報保持部に保持されている前記変更後の第1情報及び前記データベースに登録されている変更前の第1情報を前記ネットワークに送信する送信部と、
前記ネットワークから更新要求が前記受信部で受信されると前記データベースの登録内容を前記変更後の第1情報に更新するデータ管理部と、を備えることを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重粒子線治療のスケジュール管理装置において、
前記更新要求が受信されると前記変更前の第1情報を保持する旧情報保持部を備え、
前記受信部は、前記ネットワークから前記日程の閲覧要求を受信し、
前記送信部は、前記閲覧要求が受信されると前記データベースに登録されている前記変更後の第1情報及び前記旧情報保持部に保持されている前記変更前の第1情報を前記ネットワークに送信することを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の重粒子線治療のスケジュール管理装置において、
スタッフIDが付随する前記閲覧要求の履歴情報を蓄積する蓄積部を備え、
前記送信部は、前記履歴情報に基づいて、前記旧情報保持部に保持されている複数の前記変更前の第1情報の中から前記スタッフIDに紐付けられるものを選択的に送信することを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の重粒子線治療のスケジュール管理装置において、
前記データベースは、前記複数ある工程の各々に担当するスタッフIDを関連付けた第2情報をさらに登録し、
前記ネットワークから受信した選択要求に付随するスタッフIDに紐付けられる前記工程の情報を選択する情報選択部を備えることを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の重粒子線治療のスケジュール管理装置において、
前記ネットワークからテキスト情報要求を受信すると、前記データベース及び前記旧情報保持部のうち少なくともいずれかに含まれるテキスト情報を前記ネットワークに送信させるテキスト表示管理部を備えることを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の重粒子線治療のスケジュール管理装置において、
前記データベース、前記新情報保持部、又は前記旧情報保持部に含まれる前記第1情報は、前記変更前のものと前記変更後のものとがスケジュール表示フォームにおいて互いに区別可能に表示されるように、前記送信部から前記ネットワークに送信されることを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理装置。
【請求項7】
患者IDに複数ある工程の各々の日程を関連付けた第1情報をデータベースに登録するステップと、
ネットワークから前記日程の変更要求を受信するステップと、
前記変更要求とともに受信される変更後の第1情報を新情報として保持するステップと、
前記新情報として保持されている前記変更後の第1情報及び前記データベースに登録されている変更前の第1情報を前記ネットワークに送信するステップと、
前記ネットワークから更新要求が受信されると前記データベースの登録内容を前記変更後の第1情報に更新するステップと、を含むことを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
患者IDに複数ある工程の各々の日程を関連付けた第1情報をデータベースに登録する手段、
ネットワークから前記日程の変更要求を受信する手段、
前記変更要求とともに受信される変更後の第1情報を新情報として保持する手段、
前記新情報として保持されている前記変更後の第1情報及び前記データベースに登録されている変更前の第1情報を前記ネットワークに送信する手段、
前記ネットワークから更新要求が受信されると前記データベースの登録内容を前記変更後の第1情報に更新する手段、として機能させることを特徴とする重粒子線治療のスケジュール管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−8889(P2012−8889A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145619(P2010−145619)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】