説明

重縮合物を含む化粧品または製薬組成物、前記組成物を使用する美容処理方法、前記重縮合物、及びその製造方法

【課題】かなりの研究の後、本出願人は、驚くべき且つ予期せぬことに、高含量の芳香酸を含む特定のカルボン酸を有する特定の重縮合物が、得られる皮膜の光沢及び長期永続性の点で改良された特性を導き得ることを発見した。
【解決手段】本発明の一つの主題は、化粧品的にまたは製薬学的に許容可能な媒体中に、
−重縮合物の全重量に対して15から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;−重縮合物の全重量に対して10から55重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状のアルキル基で任意に置換されている、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;−重縮合物の全重量に対して10から25重量%の、少なくとも二つのカルボン酸基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、少なくとも一つの飽和または不飽和の、あるいは芳香族の、直鎖状、分枝状、及び/または環状のポリカルボン酸、及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物、を反応させることによって得られて良い少なくとも一つの重縮合物を含む化粧品または製薬組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性アルキドタイプの重縮合物のファミリーの新規なポリマー、及び化粧品組成物、特にネイルワニスにおけるそれらの使用、それらを含む化粧品組成物、前記重縮合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膜形成性化粧品組成物、特にネイルワニス組成物は、それらの適用と支持体上の良好な永続性を可能にする特定数の特徴を有すべきである。
【0003】
化粧品組成物は特に好ましくは、良好な適用性と良好な被覆力;支持体(爪または毛髪の表面)への良好な接着性;ワニスの場合にひび割れと剥がれを避けるために特定量の可撓性と皮膜の良好な強度;光沢のある均一な皮膜を得る能力を示す。
【0004】
ネイルワニスの分野では、現在使用されている主たる皮膜形成性物質は、「一次樹脂」として既知である皮膜形成性樹脂であり、一般的にそれはニトロセルロースである。ポリビニルブチレートのようなポリビニル樹脂、または別法としてセルロースアセトブチレート若しくはアセトプロピオネートでそれを完全にまたは部分的に置換することも可能である。
【0005】
良好な接着性を与え、かくして良好な永続性を確保するために、各種の性質の二次樹脂も使用でき、それは例えば単独でまたは混合物として、アリールスルホンアミド−ホルムアルデヒド若しくはアリールスルホンアミド−エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキドタイプの樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル−ポリウレタン樹脂、ポリエーテル−ポリウレタン樹脂、並びにビニル及び/またはアクリル樹脂である。
【0006】
これらの二次樹脂は、ニトロセルロースの皮膜形成力を増大し、光沢を改善し、更には皮膜の接着性を改善することが可能である。
【0007】
更に、皮膜の物理的強度を弱めることなく皮膜の可撓性を調節するために、例えばフタレートまたはシトレートといった可塑剤が使用される。
【0008】
皮膜の永続性と剥がれに対する耐性を改善するために、特に変性アルキドタイプの各種の二次樹脂が提案されている。
【0009】
トルエンスルホンアミド−ホルムアルデヒドタイプの樹脂と組み合わせたスクロースベンゾエートの使用を記載する文献FR 2 562 793;またはグリシジルベルサテートエステル変性アルキド樹脂と組み合わせたスクロースベンゾエートの使用を記載する文献JP-61-246 113が特に挙げられる。更に、アルキルアクリレートとメタクリレートのコポリマーと組み合わせたネオペンチルグリコールトリメリテートアジペートポリエステル樹脂の使用を記載するWO 2002/243 676が挙げられる。
【0010】
シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸とヒマシ油脂肪酸とのペンタエリスリトールの縮合、その後のエポキシ樹脂タイプのジオキシラン化合物との反応によって得られる変性ポリエステルの使用を記載するJP-58-023 614;または代わりにシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸とヒマシ油脂肪酸とのジペンタエリスリトールの縮合、その後のエポキシ樹脂タイプのジオキシラン化合物との反応によって得られる変性ポリエステルの使用を記載するJP-54-011 244もまた既知である。
【特許文献1】FR 2 562 793
【特許文献2】JP-61-246 113
【特許文献3】WO 2002/243 676
【特許文献4】JP-58-023 614
【特許文献5】JP-54-011 244
【特許文献6】US 2 915 488
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらの組み合わせは永続性を顕著に改善するが、それらは長期の永続性の観点では未だ不十分であると考慮される。
【0012】
本発明の目的は、特に二次樹脂として使用されてよく、かくして特にネイルワニスにおいて皮膜形成性沈着物の永続性を顕著に改良し、同時にそれに優れた永続性を与える新規なポリマーを提案することである。
【0013】
この目的に対して本出願人は、所望の特性を有するアルキドタイプの新規な重縮合物を探求した。
【0014】
アルキド樹脂は、ポリオールと、オレイン酸のような不飽和脂肪酸で、またはダイズオイル若しくはヒマシ油といった不飽和オイルで一般的に変性されたポリカルボン酸との反応の生成物である特定のクラスのポリエステルを構成し、それは特にそれらの皮膜形成特性、特に乾燥、硬度、強度等の値を改変することが可能である。
【0015】
かくして文献US 2 915 488は、ダイズオイルに起源を有するある種の脂肪酸を、安息香酸で置換している変性アルキド樹脂を提案している。これらの新規な樹脂は、アルカリ剤と界面活性剤に対する耐性の観点で改良された特性を有する;それらを含む皮膜はより迅速に乾燥してより硬い。しかしながら応用、特に化粧品または局所的な応用は、これらの樹脂について考慮されなかった。
【0016】
更に、不飽和脂肪酸は経時的に自己酸化を受け得、それは酸敗現象の原因となり、かくしてそれはこれらの開始材料を含む組成物の貯蔵の問題を導き得ることが既知である。ここで、ダイズオイルに存在する脂肪酸は、"Surface Coatings Science and Technology", 第2版, John Wiley & Sons, 第104及び105頁によれば、約55%のリノール酸(C18:2) と28%のオレイン酸(C18:1)という主に2種の不飽和脂肪酸からなることが既知である。それ故、高割合の不飽和脂肪酸を含むUS 2 915 488に記載の変性樹脂は、未だに化粧品における使用に関して欠点を有している。
【0017】
かなりの研究の後、本出願人は、驚くべき且つ予期せぬことに、高含量の芳香酸を含む特定のカルボン酸を有する特定の重縮合物が、得られる皮膜の光沢及び長期永続性の点で改良された特性を導き得ることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一つの主題は、化粧品的にまたは製薬学的に許容可能な媒体中に、
−重縮合物の全重量に対して15から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から55重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状のアルキル基で任意に置換されている、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から25重量%の、少なくとも二つのカルボン酸基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、少なくとも一つの飽和または不飽和の、あるいは芳香族の、直鎖状、分枝状、及び/または環状のポリカルボン酸、及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
を反応させることによって得られて良い少なくとも一つの重縮合物を含む化粧品または製薬組成物である。
【0019】
本発明の別の主題は、
−重縮合物の全重量に対して15から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和した、直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から55重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状のアルキル基で任意に置換されている、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から25重量%の、少なくとも二つのカルボン酸基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、少なくとも一つの飽和または不飽和の、あるいは芳香族の、直鎖状、分枝状、及び/または環状のポリカルボン酸、及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
を反応させることによって得られて良い重縮合物である。
【0020】
本発明のまた別の主題は、
−ポリオールと、芳香族及び非芳香族のモノカルボン酸を混合する工程;
−前記モノカルボン酸が完全に消費されるまで、第一に融点に、次いで150から220度の間の温度に、不活性雰囲気下で前記混合物を加熱する工程;
−任意に前記混合物を90から150℃の間の温度に冷却する工程;
−ポリカルボン酸及び/または環状無水物、並びに任意にヒドロキシル若しくはカルボン酸官能基を含むシリコーンを添加する工程;次いで
−220℃以下の温度に再び加熱する工程
を含む、前記重縮合物の調製方法である。
【0021】
本発明に係るアルキドタイプの新規な分枝状重縮合物は、従来品に対して、被覆力及び光沢が改良されているロングラスティングネイルワニス組成物を製剤化することが可能であることが見出された。
【0022】
更にこれらの重縮合物は、ブチルまたはエチルアセテートタイプの溶媒中に非常に可溶性であり、そのことは化粧品分野、特にネイルワニスにおけるその使用を容易にする。
【0023】
本発明に係る重縮合物の別の利点は、それらを廃棄物を生産することなく且つ低コストで、単一の合成工程で用意に調製されて良い点である。
【0024】
別の利点は、各種の成分の化学的性質及び/またはそれらの割合を変更することにより、本発明に係る重縮合物の構造及び/または特性を容易に改変することが可能である点に存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る重縮合物は、有利には分枝状である;これはポリマー鎖が絡み合うことによるネットワークを生成し、かくして特に改良された永続性及び可溶性の点で、所望の特性を得ることを可能にすると解されて良い。特に、直鎖状重縮合物は組成物の永続性における見かけの改良を得ることを可能にせず、鎖が規則的であるデンドリマータイプの重縮合物は最適な可溶性を有さないことが見出されている。
【0026】
本発明に係る重縮合物はアルキドタイプの重縮合物であり、かくして以下に記載される成分から、当業者に既知の方法によって、エステル化/重縮合によって得ることができる。
【0027】
本発明に係る重縮合物の調製に必要な成分の一つは、3から6のヒドロキシル基(ポリオール)、特に3から4のヒドロキシル基を含む化合物である。そのようなポリオールの混合物も明らかに使用されて良い。
【0028】
前記ポリオールは、3から18の炭素原子、特に3から12または4から10の炭素原子と、3から6のヒドロキシル(OH)基を含み、更に鎖中に挿入された一つ以上の酸素原子(エーテル官能基)を含む、特に直鎖状、分枝状、及び/または環状の、飽和または不飽和炭素ベースの、特に炭化水素ベースの化合物であって良い。
【0029】
前記ポリオールは好ましくは、3から18の炭素原子、特に3から12または4から10の炭素原子と、3から6のヒドロキシル(OH)基を含む、直鎖状または分枝状の飽和炭化水素ベースの化合物である。
【0030】
それは単独でまたは混合物として、以下のものから選択されて良い:
−トリオール、例えば1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、またはグリセロール;
−テトラオール、例えばペンタエリスリトール(テトラメチロールメタン)、エリスリトール、ジグリセロール、またはジトリメチロールプロパン;
−ペントール、例えばキシリトール;
−ヘキソール、例えばソルビトール、及びマンニトール;または別法としてジペンタエリスリトール、またはトリグリセロール。
【0031】
好ましくは前記ポリオールは、グリセロール、ペンタエリスリトール、及びソルビトール、並びにそれらの混合物から選択され、好適にはペンタエリスリトールである。
【0032】
前記ポリオール、またはポリオール混合物は好ましくは、最終重縮合物の全重量に対して15から30重量%、特に16から28重量%、好適には18から25重量%を占める。
【0033】
本発明に係る重縮合物の調製のために必要な別の成分は、6から32の炭素原子、特に8から28の炭素原子、好適には10から20または12から18の炭素原子を含む、飽和または不飽和の、直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸である。そのような非芳香族モノカルボン酸の混合物も明らかに使用されて良い。
【0034】
用語「非芳香族モノカルボン酸」は、式RCOOHの化合物を意味し、Rは5から31の炭素原子、特に7から27の炭素原子、好適には9から19の炭素原子、または11から17の炭素原子を含む、飽和または不飽和の、直鎖状、分枝状、及び/または環状の炭化水素ベースの基である。
【0035】
好ましくはR基は飽和している。好適には前記R基は直鎖状または分枝状であり、好ましくはC5−C31を有する。
【0036】
使用されて良い非芳香族モノカルボン酸としては、単独または混合物として、以下のものが挙げられる:
−飽和したモノカルボン酸、例えばカプロン酸、カプリル酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、2−エチルへキサン酸、4,5−ジメチルへキサン酸、2−ヘプチルへキサン酸、3,5,5−トリメチルへキサン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、セロチン酸(ヘキサコサノン酸);シクロペンタンカルボン酸、シクロペンタン酢酸、3−シクロペンチルプロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサン酢酸、または4−シクロへキリル酪酸;
−不飽和だが非芳香族のモノカルボン酸、例えばカプロール酸、ウンデシレン酸、ドデシレン酸、ミリストール酸、ペルミトール酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドン酸、またはエルカ酸。
【0037】
2-エチルへキサン酸、イソオクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、及びそれらの混合物、好適にはイソステアリン酸単独が好ましくは使用されて良い。
【0038】
前記非芳香族モノカルボン酸、または前記酸の混合物は好ましくは、最終重縮合物の全重量に対して5から40重量%、特に8から38重量%、好適には10から35重量%を占める。
【0039】
本発明に係る重縮合物の調製に必要な別の成分は、7から11の炭素原子を含み、1から32の炭素原子、特に2から12または3から8の炭素原子を含む1から3の飽和または不飽和の、直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で任意に置換された、芳香族モノカルボン酸である。
【0040】
そのような芳香族モノカルボン酸の混合物も、明らかに使用されて良い。
【0041】
用語「芳香族モノカルボン酸」は式R’COOHの化合物を意味し、R’は6から10の炭素原子を含む芳香族炭化水素ベースの基、特にベンゼン基およびナフタレン基である。前記R’基はまた、1から32の炭素原子、特に2から12または3から8の炭素原子を含む、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、及びイソオクチルから選択される、1から3の飽和または不飽和の、直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で置換されても良い。
【0042】
使用されて良い芳香族モノカルボン酸としては、単独でまたは混合物として、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、4−tert−ブチル安息香酸、1−メチル−2−ナフトエ酸、及び2−イソプロピル−1−ナフトエ酸が挙げられる。
【0043】
好ましくは、単独または混合物として、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、または1−ナフトエ酸、好適には安息香酸が単独で使用されて良い。
【0044】
前記芳香族モノカルボン酸、または前記酸の混合物は好ましくは、最終重縮合物の全重量に対して10から55重量%、特に20から52重量%、または22から52重量%、好適には25から50重量%を占める。
【0045】
本発明に係る重縮合物の調製に必要な別の成分は、少なくとも2のカルボン酸基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、飽和または不飽和の、あるいは芳香族の、直鎖状、分枝状、及び/または環状ポリカルボン酸;及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物である。そのようなポリカルボン酸及び/または無水物の混合物も、明らかに使用されて良い。
【0046】
前記ポリカルボン酸は特に、2から20の炭素原子、特に3から18、好適には4から12の炭素原子、または4から10の炭素原子を含む、直鎖状、分枝状、及び/または環状の、飽和または不飽和の、あるいは芳香族のポリカルボン酸から選択されて良い;前記酸は、少なくとも二つのカルボン酸基COOH、好ましくは2から4のCOOH基を含む。
【0047】
好ましくは前記ポリカルボン酸は飽和した直鎖状脂肪族酸であり、2から20の炭素原子、特に3から18の炭素原子、または4から12の炭素原子を含む;または別法として芳香族であり、8から12の炭素原子を含む。それは好ましくは2から4のCOOH基を含む。
【0048】
そのようなポリカルボン酸の前記環状無水物は特に、下式の一つに対応する:
【化1】

[式中、A及びB基は、互いに独立に以下のものである:
−水素原子;
−1から16の炭素原子、特に2から10の炭素原子、または4から8の炭素原子を含む、飽和または不飽和の、直鎖状、分枝状、及び/または環状の脂肪族、または別法として芳香族の炭素ベースの基、特にメチルまたはエチル;
−あるいはAおよびBは一緒になって、全部で5から7、特に6の炭素原子を含む、飽和または不飽和の、あるいは芳香環を形成する]。
【0049】
好ましくはA及びBは水素原子を表し、または全部で6の炭素原子を含む芳香環を共に形成する。
【0050】
使用されて良いポリカルボン酸またはその無水物として、単独または混合物として以下のものが挙げられる:
−ジカルボン酸、例えばデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、シクロプロパンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、スベリン酸、オキサル酸、リンゴ酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、またはマレイン酸;
−トリカルボン酸、例えばシクロヘキサントリカルボン酸、トリメリト酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、または1,3,5−ベンゼントリカルボン酸;
−テトラカルボン酸、例えばブタンテトラカルボン酸、及びピロメリト酸;
−これらの酸の環状無水物、特に無水フタル酸、無水トリメリト酸、無水マレイン酸、及び無水コハク酸。
【0051】
無水フタル酸及び/またはイソフタル酸、好適にはイソフタル酸単独が好ましくは使用されて良い。
【0052】
前記ポリカルボン酸及び/またはそれらの環状無水物は好ましくは、最終重縮合物の全重量に対して10から25重量%、特に11から22重量%、好適には12から20重量%を占める。
【0053】
本発明に係る重縮合物は、ヒドロキシル(OH)及び/またはカルボン酸(COOH)官能基を含むシリコーンを更に含んで良い。
【0054】
それは1から3のヒドロキシル及び/またはカルボン酸官能基を含んでよく、好ましくは二つのヒドロキシル官能基または二つのカルボン酸官能基を含む。
【0055】
これらの官能基は、鎖の末端または鎖中に位置して良いが、有利には鎖の末端に位置して良い。
【0056】
300から20000の間、特に400から10000の間、または800から4000の間の重量平均分子量(Mw)を有するシリコーンが好ましくは使用される。
【0057】
このシリコーンは下式を有して良い:
【化2】

[式中:
−W及びW’は互いに独立に、OHまたはCOOHであり;好ましくはW=W’であり;
−p及びqは互いに独立に、0または1に等しく;
−R及びR’は互いに独立に、1から12の炭素原子、特に2から8の炭素原子を含み、O、S、及びNから選択される、特にOである一つ以上のヘテロ原子を任意に含む(エーテル)、飽和または不飽和の、あるいは芳香族の、直鎖状、分枝状、及び/または環状の炭素ベース、特に炭化水素ベースの二価基であり;R及び/またはR’は、特に下式:−(CH−を有してよく、a=1−12であり、特にメチレン、エチレン、プロピレン、またはフェニレンであり;または別法として下式:−[(CHO]−を有し、x=1、2、または3であり、Z=1−10であり;特にx=2または3であり、z=1−4であり;好適にはx=3でありz=1であり;
−R1からR6は互いに独立に、1から20の炭素原子、特に2から12の炭素原子を含む、直鎖状、分枝状、及び/または環状の、飽和または不飽和の、あるいは芳香族の炭素ベースの基であり;好ましくはR1からR6は不飽和または芳香族であり、アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、及びオクタデシル基、シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基、アリール基、特にフェニルおよびナフチル、アリールアルキル基、特にベンジル及びフェニルエチル、並びにトリル及びキシリル基から選択されてよく;
−m及びnは互いに独立に1から140の間の整数であり、前記シリコーンの重量平均分子量(Mw)が300から20000の間、特に400から10000の間、または800から4000の間であるようなものである]。
【0058】
特にα,ω−ジオールまたはα,ω−ジカルボン酸ポリアルキルシロキサン、特にα,ω−ジオールポリジメチルシロキサン、及びα,ω−ジカルボン酸ポリジメチルシロキサン;α,ω−ジオールまたはα,ω−ジカルボン酸ポリジアリールシロキサン、特にα,ω−ジオールまたはα,ω−ジカルボン酸ポリフェニルシロキサン;シラノール官能基を含むポリアリールシロキサン、例えばポリフェニルシロキサン;シラノール官能基を含むポリアルキルシロキサン、例えばポリジメチルシロキサン;シラノール官能基を含むポリアリール/アルキルシロキサン、例えばポリフェニル/メチルシロキサン、またはポリフェニル/プロピルシロキサンが挙げられる。
【0059】
400から10000の間、または500から5000の間、特に800から4000の間の重量平均分子量(Mw)を有するα,ω−ジオールポリジメチルシロキサンがとりわけ使用されるであろう。
【0060】
存在する場合、前記シリコーンは好ましくは、前記重縮合物の重量に対して0.1から15重量%、特に1から10重量%、または2から8重量%を占めて良い。
【0061】
本発明の一つの好ましい実施態様では、芳香族モノカルボン酸は、非芳香族モノカルボン酸のもの以上のモル量で存在する;特に、芳香族モノカルボン酸のモル数と、非芳香族モノカルボン酸のモル数の間の比は、好ましくは1.2から8の間、特に1.3から7.8の間、更には1.4から7.5の間、好適には1.9から7の間である。
【0062】
これは特に、ネイルワニスタイプの化粧品組成物を製剤化するために一般的に使用される短いエステル(例えばブチルまたはエチルアセテート)中に有利に可溶性であるポリマーを得ることを可能にすることが見出された;更に得られる皮膜は、ネイルワニス製剤での使用のために十分に硬い。
【0063】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は、以下のものの反応によって得られてよい:
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して15から30重量%、特に16から28重量%、好適には18から25重量%の量で存在する、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール;ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセロール、ジトリメチロールプロパン;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、及び/またはトリグリセロールから単独または混合物として選択される少なくとも一つのポリオール;
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して5から40重量%、特に8から38重量%、好適には10から35重量%の量で存在する、カプロン酸、カプリル酸、イソヘプタン酸、4−エチルペンタン酸、2−エチルへキサン酸、4,5−ジメチルへキサン酸、2−ヘプチルへキサン酸、3,5,5−トリメチルへキサン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、セロチン酸(ヘキサコサノン酸);シクロペンタンカルボン酸、シクロペンタン酢酸、3−シクロペンチルプロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサン酢酸、または4−シクロヘキシル酪酸から単独または混合物として選択される少なくとも一つの非芳香族モノカルボン酸;
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して10から55重量%、特に20から52重量%、好適には25から50重量%の量で存在する、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、4−tert−ブチル安息香酸、1−メチル−5−ナフトエ酸、及び2−イソプロピル−1−ナフトエ酸から単独または混合物として選択される少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;並びに
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して10から25重量%、特に11から22重量%、好適には12から20重量%の量で存在する、デカンジオン酸、ドデカンジオン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、スベリン酸、オキサル酸、リンゴ酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、またはマレイン酸;シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリト酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸;ブタンテトラカルボン酸;ピロメリト酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、無水マレイン酸、及び無水コハク酸から単独または混合物として選択される少なくとも一つのポリカルボン酸またはその無水物。
【0064】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は、以下のものの反応によって得られてよい:
−最終重縮合物の全重量に対して15から30重量%、特に16から28重量%、好適には18から25重量%の量で存在する、グリセロール、ペンタエリスリトール、及びソルビトール、並びにそれらの混合物から単独または混合物として選択される、好適にはペンタエリスリトール単独である少なくとも一つのポリオール;
−最終重縮合物の全重量に対して5から40重量%、特に8から38重量%、好適には10から35重量%の量で存在する、2−エチルへキサン酸、イソオクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、及びイソステアリン酸、並びにそれらの混合物から単独または混合物として選択される、好適にはイソステアリン酸単独である少なくとも一つの非芳香族モノカルボン酸;
−最終重縮合物の全重量に対して10から55重量%、特に20から52重量%、好適には25から50重量%の量で存在する、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、及び1−ナフトエ酸、並びにぞれらの混合物から単独または混合物として選択される、好適には安息香酸単独である少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;並びに
−最終重縮合物の全重量に対して10から25重量%、特に11から22重量%、好適には12から20重量%の量で存在する、無水フタル酸及びイソフタル酸から単独でまたは混合物として選択される、好適にはイソフタル酸単独である少なくとも一つのポリカルボン酸またはその無水物。
【0065】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は、以下のものを有する:
−重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmgの単位で表して8以上、特に8から40の間、好適には10から30の間の酸価;及び/または
−重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmgの単位で表して30以上、特に30から100の間、好適には40から90の間のヒドロキシル価。
【0066】
これらの酸価及びヒドロキシル価は、通常の分析方法により当業者に容易に測定されて良い。
【0067】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は、110℃で測定して、75から6000mPa.sの間、特に80から5500mPa.sの間、または90から5000mPa.sの間、好適には200から4800mPa.sの間の粘度を有する。これらの粘度は、実施例の前に記載された態様で測定される。
【0068】
しかしながら前記重縮合物は、全部で3から8の炭素原子を含む短いエステル、特にC1−C6カルボン酸アセテート、特にブチルアセテート及び/またはエチルアセテート中で有利に可溶性である。
【0069】
用語「可溶性」は、前記ポリマーが、25℃で少なくとも50重量%の割合で、ブチルアセテートまたはエチルアセテート中で透明な溶液を形成することを意味する;好ましくは、本発明に係るポリマーは、ブチルアセテートまたはエチルアセテート中で少なくとも70重量%の割合で可溶性である。
【0070】
好ましくは、25℃で70重量%の濃度で、ブチルアセテートまたはエチルアセテート中の本発明に係るポリマーの溶液は、100から1500mPa.sの間、特に120から900mPa.sの間の粘度を有する。この測定方法は、実施例の前に記載されている。
【0071】
本発明に係る重縮合物は、当業者により通常使用されるエステル化/重縮合反応を介して調製されて良い。説明のために、一般的な調製方法は以下の工程を含む:
−ポリオールと、芳香族及び非芳香族モノカルボン酸とを混合する工程;
−前記モノカルボン酸が完全に消費されるまで(酸価が1以下になった場合に達成される)、好ましくは形成される水を次第に蒸留しながら、最初に融点に(一般的に100−130℃)、次いで150から220℃の間の温度に、不活性雰囲気下で前記混合物を加熱する工程;次いで
−任意に前記混合物を90から150℃の間の温度に冷却する工程;
−ポリカルボン酸及び/または環状無水物、任意にヒドロキシルまたはカルボン酸官能基を含むシリコーンを、単一部分でまたは連続的に添加する工程;並びに次いで
−酸価、粘度、ヒドロキシル価、及び可溶性に関する必要な特徴が得られるまで、220度以下、特に170から220℃の間の温度に再び加熱し、同時に形成された水を除去し続ける工程。
【0072】
例えばスルホン酸タイプ(特に1から10%の間の重量濃度で)またはチタネートタイプ(特に5から100ppmの間の重量濃度で)の従来のエステル化触媒を添加することが可能である。
【0073】
水を除去することを容易にするために、キシレンのような不活性溶媒及び/または減圧下で、完全にまたは部分的に前記反応を実施することも可能である。
【0074】
有利には、触媒も溶媒も使用しない。
【0075】
前記調製方法は、長期的な加熱に関連して起こり得る分解を制限するために、モノマーの全重量に対して特に0.01から1%の間の重量濃度で、反応媒体に対して少なくとも一つの抗酸化剤を添加する工程を含んでも良い。
【0076】
抗酸化剤は第一級タイプまたは第二級タイプを有してよく、フェノール系抗酸化剤、芳香族第二級アミン、有機リン化合物、硫黄化合物、ラクトン、及びアクリルビスフェノール;並びにこれらの混合物から選択されて良い。
【0077】
特に好ましい抗酸化剤としては、特にBHT、BHA、TBHQ、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、オクタデシル3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシシンナメート、メタンテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,2−メチルビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート)、特にIrganox 1010の名称でCibaによって市販される製品;オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、特にIrganox 1076の名称でCibaによって市販される製品;1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、特にMayzo of Norcross社によりBNX 3114の名称で市販されている製品;ジ(ステアリル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、特にCiba社によりIrgafos 168の名称で市販されている製品;ジラウリルチオジプロピオネート、特にCiba社によりIrganox PS800の名称で市販されている製品;ビス(2,4−ジ−tert−ブチル)ペンタエリスリトールジホスファイト、特にCiba社によりIrgafos 126の名称で市販されている製品;ビス(2,4−ビス)[2−フェニルプロパン−2−イル]フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリフェニルホスファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、特にGE Specialty Chemica
ls社によりUltranox 626の名称で市販されている製品;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、特にCiba社によりIrgafos TNPPの名称で市販されている製品;N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナアミドとトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファートとの1:1混合物、特にCiba社によりIrganox B1171の名称で市販されている製品;テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、特にCiba社によりIrgafos P-EPQの名称で市販されている製品;ジステアリルチオジプロピオネート、特にCiba社によりIrganox PS802の名称で市販されている製品;2,4−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、特にCiba社によりIrganox 1520の名称で市販されている製品;4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、特にCiba社によりIrganox 1726の名称で市販されている製品。
【0078】
本発明に係る重縮合物は、組成物、特に化粧品または製薬組成物中で非常に有利に使用されて良く、それは更に生理学的に許容可能な、特に化粧品または製薬学的に許容可能な媒体、即ち例えば顔若しくは身体の皮膚といった皮膚組織、及び毛髪、睫毛、眉毛、及び爪のようなケラチン物質と適合可能な媒体を含む。
【0079】
前記組成物中に存在する重縮合物の量は、組成物のタイプ及び所望の特性に明白に依存し、最終化粧品または製薬組成物の重量に対して、一般的に0.1から70重量%の間、好ましくは2から50重量%の間、特に3から35重量%の間、または5から20重量%の間、好適には6から18重量%の間の非常に広範囲内で変化して良い。
【0080】
前記組成物は次いで、企図される応用にしたがって、このタイプの組成物で一般的である成分を含んで良い。
【0081】
本発明に係る組成物は、水、アルコール、ポリオール、ケトン、エステル、エーテル、アルカン、アルデヒド、炭素ベースのオイル、シリコーンオイル、及びフルオロシリコンオイル、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも一つの化合物を含んでも良い、本発明に係るポリマーのための溶媒媒体、好ましくは有機溶媒または有機溶媒の混合物を含む有機溶媒媒体を有利に含んで良い。
【0082】
好ましくは、本発明に係る組成物の生理学的に許容可能な媒体は、以下のものから選択される少なくとも一つの有機溶媒を含んで良い:
−室温(25℃)で液体であるケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサン、またはアセトン;
−室温で液体であるアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、2−ブトキシエタノール、またはシクロヘキサノール;
−室温で液体であるプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル;
−環状エーテル、例えばγ−ブチロラクトン;
−短鎖エステル(全部で3から8の炭素原子を含む)、例えばエチルアセテート、メチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、イソペンチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、またはブチルアセテート;
−室温で液体であるエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル、またはジクロロジエチルエーテル;
−室温で液体である特にC5−C12のアルカン、例えばデカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、またはシクロヘキサン;
−室温で液体であるアルデヒド、例えばベンズアルデヒド、またはアセトアルデヒド;
−並びにこれらの混合物。
【0083】
好ましくは前記溶媒は、3から8の炭素原子を含む短鎖エステル、例えばエチルアセテート、メチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、イソペンチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、またはブチルアセテート;室温で液体であるアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、2−ブトキシエタノール、またはシクロヘキサノール;並びにそれらの混合物から選択される。
有機溶媒媒体は、単独でまたは混合物として、組成物の全重量に対して10から95重量%、好ましくは15から80重量%、好適には20から60重量%を占めても良い。
【0084】
本発明に係る組成物は更に、炭素ベース、炭化水素ベース、フルオロ、及び/またはシリコーンオイル、鉱物、動物、植物、または合成起源のオイルを、単独または混合物として含んでもよく、但しそれらは均一で安定な混合物を形成し、企図される使用と適合的である。本発明に係る組成物中に存在して良いオイルとしては、単独または混合物として、炭化水素ベースのオイル、例えば流動パラフィンまたは流動ワセリン;パーヒドロスクアレン;アララオイル;スィートアーモンドオイル、ビューティーリーフオイル、パームオイル、ヒマシ油、アボカドオイル、ホホバオイル、オリーブオイル、または穀物芽オイル;リノール酸、オレイン酸、ラウリン酸、またはステアリン酸エステル;アルコール、たとえばオレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、またはオクチルドデカノールが挙げられる。更に、シリコーンオイル、例えば任意にフェニル化されたPDMS、例えばフェニルトリメチコーンが挙げられる。揮発性オイル、例えばシクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン、シクロヘキサジメチルシロキサン、メチルヘキシルジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、またはイソパラフィンが挙げられる。
【0085】
前記オイルは、単独または混合物として、組成物の全重量に対して0.01から20重量%、好ましくは0.05から10重量%、好適には0.1から8重量%を占めて良い。
【0086】
本発明に係る組成物は、有利には皮膜形成性ポリマーを含んで良い。
【0087】
本発明によれば、用語「皮膜形成性ポリマー」は、それ自体によって、または皮膜形成助剤の存在下で、支持体、特にケラチン物質に接着する連続皮膜を形成可能であるポリマーを意味する。
【0088】
本発明の組成物で使用されて良い皮膜形成性ポリマーとしては、フリーラジカルタイプの、または重縮合タイプの合成ポリマー、及び天然起源のポリマー、並びにそれらの混合物が挙げられる。それらは特に、セルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、及びエチルセルロース、または別法として、ポリウレタン、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリビニルブチラール、アルキド樹脂、アルデヒド縮合生成物から由来する樹脂、例えばアリールスルホアミド−ホルムアルデヒド樹脂、例えばトルエンスルホアミド−ホルムアルデヒド樹脂、アリールスルホアミド−エポキシ樹脂、またはエチルトシルアミド樹脂から選択されて良い。
【0089】
皮膜形成性ポリマーは、組成物の全重量に対して1から70重量%、好ましくは2から60重量%、好適には5から45重量%の範囲の含量で、本発明に係る組成物中に存在して良い。
【0090】
前記組成物の皮膜形成特性を改良するために、特にネイルワニスの場合に、皮膜形成助剤をそこに添加しても良い。
【0091】
そのような皮膜形成助剤は、所望の機能を実現可能であると当業者に既知のいずれかの化合物から選択してよく、可塑剤及び合着剤から特に選択されて良い。特に単独または混合物として、以下のもののような一般的な可塑剤及び合着剤があげられる:
−グリコール及びその誘導体、例えばジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、またはジエチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、またはエチレングリコールヘキシルエーテル;
−ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールコポリマー、及びそれらの混合物、特に例えば500から15000の範囲の分子量を有する高分子量のポリプロピレングリコール;
−グリコールエステル;
−プロピレングリコール誘導体、特にプロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールブチルエーテル;
−酸エステル、特にカルボン酸エステル、例えばクエン酸、フタル酸、アジピン酸、炭酸、酒石酸、リン酸、及びセバシン酸エステル;式R11COOHのモノカルボン酸と式HOR12OHのジオールとの反応から由来するエステル、式中R11とR12は同一または異なってよく、好ましくは3から15の炭素原子を含み、任意にN、O、またはSのような一つ以上のヘテロ原子を含む、直鎖状、分枝状、または環状の、飽和または不飽和の炭化水素ベースの鎖を表す;
−オキシエチレン化誘導体、例えばオキシエチレン化オイル、特に植物オイル、例えばヒマシ油;
−ジメチコーンコポリオール、特にプロピルポリオキシプロピレン基を含むもの;並びに
−それらの混合物。
【0092】
前記組成物は増粘剤を含んでもよく、それは特に以下のものから選択されて良い:
−シリカ、特に疎水性シリカ、たとえば文献EP-A-898 960に記載され、例えばDegussa社によりAerosil(登録商標)R812の名称で、Cabot社によりCab-O-Sil(登録商標)TS-530、Cab-O-Sil(登録商標)TS-610、Cab-O-Sil(登録商標)TS-720の名称で、Degussa社によりAerosil(登録商標)R972、及びAerosil(登録商標)R974の名称で市販されているもの;
−クレー、例えばモンモリロナイト、変性クレー、例えばベントン、例えばステアラルコニウムヘクトライト、及びステアラルコニウムベントナイト;
−ポリサッカリドアルキルエーテル(特にアルキル基が1から24、好ましくは1から10、好適には1から6、とりわけ1から3の炭素原子を含むもの)、例えば文献EP-A-898 958に記載されたもの。
【0093】
本発明に係る組成物中の増粘剤の量は、組成物の全重量に対して0.01から15重量%、好ましくは0.1から12重量%、好適には0.5から10重量%の範囲であって良い。
【0094】
本発明に係る組成物は更に、本発明に係る重縮合物と皮膜形成性ポリマーに加えて二次樹脂を含んでもよく、それらはアリールスルホアミド−ホルムアルデヒド若しくはアリールスルホアミド−エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキドタイプの樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル−ポリウレタン樹脂、ポリエーテル−ポリウレタン樹脂、並びにビニル及び/またはアクリル樹脂から単独または混合物として選択されて良い。この付加的な二次樹脂は、組成物の全重量に対して1から20重量%、好ましくは2から15重量%、好適には3から10重量%の割合で存在して良い。
【0095】
本発明に係る組成物は更に、植物、動物、鉱物、若しくは合成の、またはシリコーンの起源の少なくとも一つのワックスを含んでも良い。特に、単独または混合物として、炭化水素ベースのワックス、例えばビーズワックス;カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリキュリーワックス、モクロウ、コルク繊維ワックス、またはサトウキビワックス;パラフィンワックス、リグナイトワックス;マイクロクリスタリンワックス;ラノリンワックス;モンタンワックス;オゾケライト;ポリエチレンワックス;フィッシャー−トロプシュ合成によって得られるワックス;水素化オイル、25℃で固体である脂肪エステル及びグリセリドを含んでも良い。シリコーンワックスが使用されてもよく、アルキル若しくはアルコキシポリメチルシロキサン、及び/またはポリメチルシロキサンエステルが挙げられる。
【0096】
本発明に係る組成物中のワックスの量は、組成物の全重量に対して0.01から15重量%、好ましくは0.1から10重量%、好適には0.5から15重量%の範囲であって良い。
【0097】
本発明に係る組成物はまた、水溶性色素、及び粉体染料、例えば顔料、フィラー、真珠光沢剤、及びフレーク、及び/または脂溶性若しくは水溶性色素から選択される一つ以上の染料を含んでも良い。
【0098】
特に粉体である染料は、組成物の重量に対して0.01から50重量%、好ましくは0.1から40重量%、または1から30重量%の範囲の含量で組成物中に存在して良い。
【0099】
用語「顔料」は、生理学的な媒体中で不溶性であり、組成物を着色することを企図する、いずれかの形態の白色または着色の鉱物または有機粒子を意味するように解されるべきである。
【0100】
用語「真珠光沢剤」は、特に特定の軟体動物によってその殻中に生産された、または合成された、いずれかの形態の虹色粒子を意味するように解されるべきである。
【0101】
顔料は、白色または着色の、鉱物及び/または有機の、干渉または非干渉顔料であって良い。鉱物顔料としては、任意に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム、若しくは酸化セリウム、更には酸化亜鉛、酸化鉄、若しくは酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水和クロム、及びフェリックブルーが挙げられる。有機顔料としては、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びコチニールカルミンに、またはバリウム、ストロンチウム、カルシウム、若しくはアルミニウムに基づくレーキが挙げられる。
【0102】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えばチタン若しくはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたチタンマイカ、特にフェリックブルー若しくは酸化クロムで被覆されたチタンマイカ、上述のタイプの有機顔料で被覆されたチタンマイカ、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択されて良い。
【0103】
フィラーは鉱物または有機の、ラメラ状または球状のものであって良い。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン(登録商標)パウダー、ポリ−β−アラニンパウダー、及びポリエチレンパウダー、テフロン(登録商標)、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマーパウダー、中空ミクロスフェア、例えばExpancel (Nobel Industrie)、Polytrap (Dow Corning)、及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えばToshiba社製のTospearls)、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社製のSilica Beads)、ガラス若しくはセラミックマイクロカプセル、及び8から22の炭素原子、好ましくは12から18の炭素原子を含む有機カルボン酸から由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、マグネシウム、若しくはリチウム、ラウリン酸亜鉛、またはミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0104】
脂溶性染料は、例えばスーダンレッド、DC Red 17、DC Green 6、β−カロチン、ダイズオイル、スーダンブラウン、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、またはキノリンイエローである;それらは組成物の重量の0.01から20%、好適には0.1から6%を占めて良い。
【0105】
水溶性色素は、例えばビートルートジュース、またはメチレンブルーであり、組成物の全重量の0.01から6%を占めて良い。
【0106】
前記組成物は、化粧品組成物で一般的に使用される他の成分を含んでも良い。そのような成分は、抗酸化剤、香料、精油、防腐剤、化粧品活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、サンスクリーン剤、界面活性剤、拡散剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、中和剤、及び安定剤、並びにそれらの混合物から選択されて良い。
【0107】
言うまでもなく、当業者はこの若しくはこれらの付加的な化合物及び/またはその量を選択するのに注意を払い、本発明に係る使用のための組成物の有利な特性が、考慮される添加によって負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【0108】
本発明に係る組成物は、化粧品または製薬組成物について許容され一般的であるいずれかの形態で存在して良い。
【0109】
かくしてそれらは、懸濁物、分散物、特にベシクルによって水中油型のもの;任意に増粘またはゲル化された有機若しくは油性溶液;水中油型、油中水型、若しくは多相エマルション;ゲル若しくはムース;油性若しくは乳化ゲル;ベシクル、特に液体ベシクルの分散物;二相若しくは多相ローション;スプレー;ローション、クリーム、軟膏、ソフトペースト、化粧クリーム、キャスト若しくはモールド固形、特にスティック若しくはディッシュの形態のもの、または圧縮した固形の形態で存在して良い。
【0110】
好ましくは本発明に係る組成物は、有機溶液の形態で存在する。
【0111】
当業者は、第一に使用される成分の性質、特に支持体中での可溶性、第二に組成物の企図される使用を考慮して、その一般的な知見に基づいて、適切な生薬形態、及びその調製方法を選択できる。
【0112】
本発明に係る化粧品組成物は、身体若しくは顔の皮膚、唇、睫毛、眉毛、毛髪、頭皮、または爪のためのケア及び/またはメイクアップ製品;抗日光または自己日焼け製品;ヘアケア製品の形態で存在して良い。
【0113】
本発明に係る組成物は、毛髪、皮膚、睫毛、眉毛、爪、唇、または頭皮、とりわけ爪のようなケラチン物質をケアまたはメイクアップするために使用されて良い。
【0114】
特に、本発明に係るポリマーは、ネイルメイクアップの分野で特に有利な応用が見出される。本発明の組成物は有利には、上述の皮膜形成性ポリマーから選択されて良い一次樹脂と組み合わせて、二次樹脂として本発明に係る重縮合物を特に含むネイルワニスの形態である。
【0115】
好ましくは、本発明に係る化粧品組成物、特にネイルワニスは、以下のものを含む:
−化粧品組成物の重量に対して0.1から50重量%、好ましくは2から35重量%の間、特に5から20重量%の間、好適には6から18重量%の間の、単独または混合物としての本発明に係る重縮合物;
−化粧品組成物の全重量に対して1から70重量%、好ましくは2から60重量%、好適には5から45重量%の、セルロースベースのポリマー、例えばニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、またはエチルセルロース;ポリウレタン、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリビニルブチラール、アルキド樹脂、アルデヒドの縮合の生成物から由来する樹脂、例えばアリールスルホアミド−ホルムアルデヒド樹脂、例えばトルエンスルホアミド−ホルムアルデヒド樹脂、アリールスルホアミド−エポキシ樹脂、またはエチルトシルアミド樹脂天然起源のポリマー;並びにそれらの混合物から特に選択される皮膜形成性ポリマー;
−化粧品組成物の全重量に対して10から95重量%、好ましくは15から80重量%、好適には20から60重量%の、室温で液体であるケトン;室温で液体であるアルコール;室温で液体であるプロピレングリコールエーテル;環状エーテル;短鎖エステル(全部で3から8の炭素原子を含む);室温で液体であるエーテル;室温で液体であるアルカン;室温で液体であるアルデヒド;並びにそれらの混合物から特に選択される有機溶媒;
−組成物の重量に対して0.01から50重量%、好ましくは0.1から40重量%、または1から30重量%の含量で組成物中に任意に存在して良い少なくとも一つの染料。
【0116】
本発明の主題はまた、ケラチン物質、特に身体若しくは顔の皮膚、爪、毛髪、及び/または睫毛のための、上述の化粧品組成物の前記物質に対する適用を含む美容処理方法である。
【0117】
本発明のこの方法は、本発明に係るネイルワニス組成物を適用することにより、爪をメイクアップすることが特に可能である。
【0118】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
【実施例】
【0119】
粘度の測定方法
a/前記ポリマーの110℃の粘度を、Brookfield CAP 1000+タイプのコーンプレート粘度計を使用して測定する。
【0120】
適切なコーンプレートは、特に以下のように、当業者によりその知見に基づいて決定される:
−50から500mPa.sの間;02コーンを使用して良い;
−500から1000mPa.sの間;03コーンを使用して良い;
−1000から4000mPa.sの間;05コーンを使用して良い;
−4000から10000mPa.sの間;06コーンを使用して良い。
【0121】
b/ブチルアセテート中で70%のポリマーの溶液の25℃での粘度を、S62針を使用する30rpmで、Brookfield DV-I粘度計を使用して測定する。
【0122】
実施例1:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレートの合成
227.5gの安息香酸、72.8gのイソステアリン酸、及び118.3gのペンタエリストリトールを、機械的スターラー、アルゴン注入口、及び蒸留システムを備えた反応器に配置し、次いで混合物を穏やかなアルゴン流下で110−130℃に次第に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を次第に180℃に上昇し、約2時間維持する。温度を再び220℃に上昇し、約18時間掛けて1以下の酸価が得られるまで維持する。混合物を100から130℃の間の温度に冷却し、次いで91gのイソフタル酸を導入し、混合物を約11時間掛けて220℃に次第に加熱する。
【0123】
かくして、430gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート重縮合物を、室温で固体である増粘オイルの形態で得る。
【0124】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−酸価=12.7;
−ヒドロキシル価=49;
−η110℃=25.4ポアズ(即ち2540mPa.s);
−芳香族モノカルボン酸のモル数と非芳香族モノカルボン酸のモル数との比:7.28
【0125】
上記得られた420gの重縮合物を採取し、100−120℃に加熱し、180gのブチルアセテートを攪拌しながらゆっくりと導入し、次いでNo.2の焼結漏斗を通じて熱いまま濾過によって、前記混合物を浄化する。
【0126】
室温に冷却後、ブチルアセテート中に70%の600gの重縮合物の溶液を、約800センチポアズ(mPa.s)の25℃での粘度を有する淡黄色の粘性の液体の形態で得る。
【0127】
実施例2:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/ラウレート/PDMSの合成
150gの安息香酸、165gのラウリン酸、及び110gのペンタエリストリトールを、機械的スターラー、アルゴン注入口、及び蒸留システムを備えた反応器に配置し、次いで混合物を穏やかなアルゴン流下で110−130℃に次第に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を次第に180℃に上昇し、約2時間維持する。温度を再び220℃に上昇し、約15時間掛けて1以下の酸価が得られるまで維持する。混合物を100から130℃の間の温度に冷却し、次いで90gのイソフタル酸と50gのα,ω−ジオールシリコンであるShin-Etsu社製のX22-160ASを導入し、混合物を約11時間掛けて220℃に次第に加熱する。
【0128】
かくして、510gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/ラウレート/PDMS重縮合物を、室温で固体である増粘オイルの形態で得る。
【0129】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−酸価=28.7;
−ヒドロキシル価=859;
−η110℃=2.1ポアズ(即ち210mPa.s);
−芳香族モノカルボン酸のモル数と非芳香族モノカルボン酸のモル数との比:1.49
【0130】
上記得られた500gの重縮合物を採取し、70℃に加熱し、215gのエチルアセテートを攪拌しながらゆっくりと導入し、次いでNo.2の焼結漏斗を通じて熱いまま濾過によって、前記混合物を浄化する。室温に冷却後、エチルアセテート中に70%の705gの重縮合物の溶液を、約165センチポアズ(mPa.s)の25℃での粘度を有する淡黄色の粘性の液体の形態で得る。
【0131】
実施例3:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/ラウレートの合成
165gの安息香酸、160gのラウリン酸、及び120gのペンタエリストリトールを、機械的スターラー、アルゴン注入口、及び蒸留システムを備えた反応器に配置し、次いで混合物を穏やかなアルゴン流下で110−130℃に次第に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を次第に180℃に上昇し、約2時間維持する。温度を再び220℃に上昇し、約15時間掛けて1以下の酸価が得られるまで維持する。混合物を100から130℃の間の温度に冷却し、次いで100gのイソフタル酸を導入し、混合物を約12時間掛けて220℃に次第に加熱する。
【0132】
かくして、510gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/ラウレート重縮合物を、室温で固体である増粘オイルの形態で得る。
【0133】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−酸価=20.4;
−ヒドロキシル価=66;
−η110℃=4.7ポアズ(即ち470mPa.s);
−芳香族モノカルボン酸のモル数と非芳香族モノカルボン酸のモル数との比:1.69
【0134】
上記得られた500gの重縮合物を採取し、70℃に加熱し、215gのエチルアセテートを攪拌しながらゆっくりと導入し、次いでNo.2の焼結漏斗を通じて熱いまま濾過によって、前記混合物を浄化する。室温に冷却後、エチルアセテート中に70%の700gの重縮合物の溶液を、約310センチポアズ(mPa.s)の25℃での粘度を有する淡黄色の粘性の液体の形態で得る。
【0135】
実施例4:ペンタエリスリチルベンゾエート/フタレート/ラウレートの合成
185gの安息香酸、174gのラウリン酸、及び114.6gのペンタエリストリトールを、機械的スターラー、アルゴン注入口、及び蒸留システムを備えた反応器に配置し、次いで混合物を穏やかなアルゴン流下で110−130℃に次第に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を次第に180℃に上昇し、約2時間維持する。温度を再び220℃に上昇し、約18時間掛けて1以下の酸価が得られるまで維持する。混合物を100から130℃の間の温度に冷却し、次いで80gのフタル酸を導入し、混合物を約8時間掛けて220℃に次第に加熱する。15gのペンタエリスリトールを添加し、混合物を8時間220℃で維持する。
【0136】
かくして、512gのペンタエリスリチルベンゾエート/フタレート/ラウレート重縮合物を、室温で固体である増粘オイルの形態で得る。
【0137】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−酸価=13.0;
−ヒドロキシル価=60;
−η110℃=0.9ポアズ(即ち90mPa.s);
−芳香族モノカルボン酸のモル数と非芳香族モノカルボン酸のモル数との比:1.74
【0138】
実施例5
チェリーレッドの着色のネイルワニスを、以下の組成を使用して調製した:
−イソプロパノール中に30%のニトロセルロース 14g
−エチルアセテート中に70%のアルキド樹脂Beckosol ODE-230-70E 5.2g
−ブチルアセテート中に70%の実施例1のポリマーの溶液 10.8g
−イソプロパノール 3.6g
−エチルアセテート 23g
−ブチルアセテート 33.5g
−トリブチルアセチルシトレート 3.4g
−N−エチル−o,p−トルエンスルホアミド 3.4g
−クエン酸 0.05g
−変性ヘクトライト 1.3g
−顔料(レーキ) 1.3g
【0139】
前記ネイルワニスは適用が容易で、外的攻撃に非常に耐性である非常に光沢のある皮膜を形成する。
【0140】
実施例6
チェリーレッドの着色のネイルワニスを、以下の組成を使用して調製した:
−イソプロパノール中に30%のニトロセルロース 14g
−エチルアセテート中に70%のアルキド樹脂Beckosol ODE-230-70E 5.2g
−エチルアセテート中に70%の実施例2のポリマーの溶液 11.2g
−イソプロパノール 3.6g
−エチルアセテート 19.5g
−ブチルアセテート 36.5g
−トリブチルアセチルシトレート 3.4g
−N−エチル−o,p−トルエンスルホアミド 3.4g
−クエン酸 0.05g
−変性ヘクトライト 1.3g
−顔料(レーキ) 1.3g
【0141】
前記ネイルワニスは適用が容易で、外的攻撃に非常に耐性である非常に光沢のある皮膜を形成する。
【0142】
実施例7
着色のネイルワニスを、以下の組成(重量%)を使用して調製した:
−イソプロパノール中に30%のニトロセルロース 14g
−ブチルアセテート中に70%の実施例1のポリマーの溶液 17g
−イソプロパノール 3.6g
−エチルアセテート 23g
−ブチルアセテート 100%とする残部
−トリブチルアセチルシトレート 3.2g
−N−エチル−o,p−トルエンスルホアミド 3.6g
−クエン酸 0.05g
−変性ヘクトライト 1.3g
−顔料(レーキ) 1.3g
【0143】
前記ネイルワニスは適用が容易で、外的攻撃に非常に耐性である非常に光沢のある皮膜を形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的にまたは製薬学的に許容可能な媒体中に、
−重縮合物の全重量に対して15から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から55重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状のアルキル基で任意に置換されている、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から25重量%の、少なくとも二つのカルボン酸基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、少なくとも一つの飽和または不飽和の、あるいは芳香族の、直鎖状、分枝状、及び/または環状のポリカルボン酸、及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
を反応させることによって得られて良い少なくとも一つの重縮合物を含む化粧品または製薬組成物。
【請求項2】
前記ポリオールが、グリセロール、ペンタエリスリトール、及びソルビトール、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非芳香族モノカルボン酸が、2−エチルへキサン酸、イソオクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、及びイソステアリン酸、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記芳香族モノカルボン酸が、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、及び1−ナフトエ酸から単独または混合物として選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリカルボン酸またはその無水物が、無水フタル酸及び/またはイソフタル酸から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記重縮合物が、ヒドロキシル(OH)及び/またはカルボン酸(COOH)官能基を含む少なくとも一つのシリコーンを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーンが、400から10000の間の重量平均分子量(Mw)を有するα,ω−ジオールポリジメチルシロキサンから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリコーンが、重縮合物の全重量に対して0.1から15重量%を占める、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
前記重縮合物が、以下の特徴:
−重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmgの単位で表して8から40の間の酸価;及び/または
−重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmgの単位で表して30から100の間のヒドロキシル価;
−110℃で測定して、75から6000mPa.sの間の粘度;
−25℃で少なくとも50重量%の割合でのブチルアセテートまたはエチルアセテートにおける可溶性;
−25℃で70重量%の濃度で100から1500mPa.sの間のブチルアセテートまたはエチルアセテート中のポリマーの溶液の粘度
の少なくとも一つを有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記重縮合物が、最終化粧品または製薬組成物の重量に対して0.1から70重量%の間の量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
身体若しくは顔の皮膚、唇、睫毛、眉毛、毛髪、頭皮、または爪のためのケア及び/またはメイクアップ製品;抗日光または自己日焼け製品;ヘアケア製品の形態で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ネイルワニスの形態で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質、特に身体若しくは顔の皮膚、爪、毛髪、及び/または睫毛のための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化粧品組成物の前記物質に対する適用を含む美容処理方法。
【請求項14】
−重縮合物の全重量に対して15から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和した、直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から55重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和または不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状のアルキル基で任意に置換されている、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から25重量%の、少なくとも二つのカルボン酸基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、少なくとも一つの飽和または不飽和の、あるいは芳香族の、直鎖状、分枝状、及び/または環状のポリカルボン酸、及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
を反応させることによって得られて良い重縮合物。
【請求項15】
−ポリオールと、芳香族及び非芳香族のモノカルボン酸を混合する工程;
−前記モノカルボン酸が完全に消費されるまで、第一に融点に、次いで150から220度の間の温度に、不活性雰囲気下で前記混合物を加熱する工程;
−任意に前記混合物を90から150℃の間の温度に冷却する工程;
−ポリカルボン酸及び/または環状無水物、並びに任意にヒドロキシル若しくはカルボン酸官能基を含むシリコーンを添加する工程;次いで
−220℃以下の温度に再び加熱する工程
を含む、請求項14に記載の重縮合物の調製方法。

【公開番号】特開2007−277239(P2007−277239A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−97695(P2007−97695)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】