説明

重縮合物を含む化粧品または製薬組成物、前記組成物を使用する美容処理方法、前記重縮合物及び調製方法

【課題】皮膜形成性の沈着物に十分な光沢を与える一方、前記光沢を維持することができる新規な重縮合物及び該重縮合物を含有する化粧品または製薬組成物の提供。
【解決手段】重縮合物の全重量に対して10から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含むポリオール;重縮合物の全重量に対して30から80重量%の、6から32の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;重縮合物の全重量に対して0.1から10重量%の、置換されてもよい7から11の炭素原子を含む芳香族モノカルボン酸;重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、少なくとも2のカルボキシル基COOH基を含むポリカルボン酸及び/またはその環状無水物;の反応によって得ることができる重縮合物を、化粧品または製薬学的に許容可能な媒体中に含む化粧品または製薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性アルキドタイプの重縮合物のファミリーの新規なポリマー、並びに化粧品組成物、特に口紅におけるその使用、それらを含む化粧品組成物、及び前記重縮合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン物質(皮膚、唇、外皮付加物)への適用後、沈着皮膜の光沢の特性が所望される非常に多くの化粧品組成物が存在する。それらは例えば口紅、ネイルワニス、または特定のヘアケア製品が挙げられる。
【0003】
そのような結果を得るために、特定の原材料、特にラノリンを、グロスオイルと称されるもの、例えばポリブテン(それは非常に粘性を有する);または数多くの炭素を有する酸若しくは脂肪アルコールのエステル;または特許出願EP1097699に記載されたような芳香酸とヒドロキシル化脂肪化合物の部分的または完全なエステル化から由来するエステルと組み合わせることが可能である。
【0004】
ヒマシ油とイソステアリン酸、次いでコハク酸との数工程の反応によって得られるポリエステルと、ラノリンとを組み合わせることも、特許文献US6342527に記載されているように既知である。
【0005】
沈着皮膜の光沢、並びにその耐久性を改良するために、特にFR2838049において「ネオ」タイプのカルボン酸とポリオールとの縮合から由来するエステルを使用することも提案されている。
【0006】
ヒドロキシル化カルボン酸トリグリセリドのポリエステルと、ポリブチレン、水素化ポリイソブチレン、水素化若しくは非水素化ポリデセン、ビニルピロリドンコポリマー、直鎖状脂肪酸のエステル、ヒドロキシル化エステル、脂肪アルコールまたはC24−C28分枝状脂肪酸のエステル、シリコーンオイル、及び/または植物起源のオイルから選択される低分子量のオイルとを組み合わせた組成物を記載するEP1457201も挙げられる。
【0007】
特許出願EP0792637は、芳香族エステルとポリブテンまたはポリイソブテンタイプのポリマーとを組み合わせた組成物を記載する。特許出願EP0055687は、化粧品的に許容可能なオイルを含む油性相中に、水素結合を形成可能な少なくとも2の基を有するオルガノポリシロキサンを取り込ませることを含む方法を記載する。
【特許文献1】EP1097699
【特許文献2】US6342527
【特許文献3】FR2838049
【特許文献4】EP1457201
【特許文献5】EP0792637
【特許文献6】EP0055687
【特許文献6】US2915488
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えこれらの組成物及び組合せが顕著に光沢を改良したとしても、それらは未だ、経時的な前記光沢の長期耐久性に関して不十分であると考慮される。
【0009】
本発明の目的は、特に皮膜形成性の沈着物に十分な光沢を与える一方、前記光沢の経時的に良好な耐久性を維持することができる新規なポリマーを提案することである;これは口紅の領域での特に有利な応用が見出せる。更に、ケラチン物質、特に唇に経時的に優れた耐久性を有する組成物に更に有利に寄与できるポリマーが求められている。
【0010】
この目的のため本出願人は、必要とされる特性を有するアルキドタイプの新規な重縮合物について探索した。
【0011】
アルキド樹脂は、不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸で、または不飽和オイル、例えばダイズオイル若しくはヒマシ油で一般的に変性されたポリオールとポリカルボン酸との反応の生成物として、ポリエステルの特定のクラスを形成し、それは皮膜形成特性、特に乾燥速度、硬度、及び強度を調節することが可能である。
【0012】
かくして文献US2915488は、ダイズオイルから得られる脂肪酸の一定割合が安息香酸に置換されている変性アルキド樹脂を提案した。これらの新規な樹脂は、アルカリ及び洗剤に対する抵抗性の点で改良された特性を示す;それらを含む皮膜は迅速に乾いて硬い。しかしながら、特に化粧品または局所用といった応用は、これらの樹脂について考慮されていなかった。
【0013】
更に、ダイズオイルに存在する脂肪酸は、"Surface Coatings Science and Technology", 第2版, JOHN WILEY & Sons, 104〜105頁によると、約55%のリノール酸(C18:2)と28%のオレイン酸(C18:1)の2種の不飽和脂肪酸を主に含む。ここで、ある種の不飽和脂肪酸は、酸敗を引き起こし、これらの原材料を含む組成物の貯蔵の問題を導き得る自己酸化をそのうち受けることがあることが既知である。更に、高割合のリノール酸とオレイン酸とを含むUS2915488に記載されたアルキド樹脂は、特に化粧品における使用のための安定性に関して最適ではない。
【0014】
ヒドロパーオキシドの形成を伴う空気中での酸化によるアルキド樹脂の架橋は、皮膜の乾燥速度、及びその後の硬度と外的攻撃因子に対する抵抗性の最終特性において重大な役割を有する。これらのアルキド樹脂の通常の応用分野、特に塗料において、架橋、それ故乾燥の速度は、「ドライヤー」と称される特定の金属塩、例えばヒドロパーオキシドの分解を加速するコバルトのナフテネート及びオクタノエートを添加することにより一般的に加速される;これは特にPrinciples of Polymerization, 第4版, JOHN WILEY & SONS, 737-738頁、及びSurface Coatings Science and Technology, 第2版, JOHN WILEY & SONS, 表2.3及び2.4, 526-530頁に記載されている。しかしながら、これらの金属塩の使用は、毒性という明白な理由のため化粧品においては明らかに所望されない。
【0015】
更に、ほとんどのアルキド樹脂は、化粧品で通常使用される油性媒体、例えば植物オイル、アルカン、脂肪エステル、脂肪アルコール、シリコーンオイル、特にイソドデカン、パーリーム、イソノニルイソノナノエート、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコーン、C12−C15アルキルベンゾエート、及び/またはD5(デカメチルシクロペンタシロキサン)において適切な可溶性を有さない。
【0016】
多くの探索の後、本出願人は驚くべく且つ予期せぬことに、非芳香族モノカルボン酸を含む特定のカルボン酸を高含量で有する特定の重縮合物が、光沢、前記光沢の維持、更には得られる皮膜の長期耐久性の点で改良された特性を導くことができるが、通常の化粧品媒体、特に通常の油性化粧品媒体において取り込ませることができることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
それ故本発明は、
−重縮合物の全重量に対して10から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して30から80重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して0.1から10重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で更に任意に置換された、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、少なくとも2のカルボキシル基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、飽和若しくは不飽和の、または芳香族、直鎖状、分枝状、及び/または環状の少なくとも一つのポリカルボン酸;及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
の反応によって得ることができる少なくとも一つの重縮合物を、化粧品または製薬学的に許容可能な媒体中に含む化粧品または製薬組成物に関する。
【0018】
好ましくは前記組成物は、前記重縮合物が
−10重量%の1から32の炭素原子を含む1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で更に任意に置換された、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して15から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して30から40重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して10から25重量%の、少なくとも2のカルボキシル基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、飽和若しくは不飽和の、または芳香族、直鎖状、分枝状、及び/または環状の少なくとも一つのポリカルボン酸;及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
の反応によって得ることができ(これらの条件は累積的である)、非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比は0.08から0.70の間である場合を条件として、上述の重縮合物を含む。
【0019】
好ましくは前記組成物は、前記重縮合物が10重量%の1から32の炭素原子を含む1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で更に任意に置換された、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸を含み、非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比は0.08から0.70の間である場合を条件として、上述の重縮合物を含む。
【0020】
本発明の別の主題は、
−重縮合物の全重量に対して10から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して45から80重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和した直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して0.1から10重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で更に任意に置換された、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、少なくとも2のカルボキシル基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、飽和若しくは不飽和の、または芳香族、直鎖状、分枝状、及び/または環状の少なくとも一つのポリカルボン酸;及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
の反応によって得ることができる重縮合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
特に前記組成物は、良好な適用特性及び良好な被覆力;爪、毛髪、睫毛、皮膚、または唇等の基体への良好な接着;特にワニスまたは口紅の場合のひび割れを防止するための皮膜の可撓性と十分な強度;並びに優れたレベルの長期持続する光沢を有する。
【0022】
快適性及び滑り性もまた非常に満足なものである。
【0023】
これらの重縮合物は、溶媒または油性化粧品媒体、特にオイル、脂肪アルコール、及び/または脂肪エステルに容易に取り込ませることができ、化粧品分野、特に口紅またはファンデーションにおけるそれらの使用を容易にする。
【0024】
本発明に係る重縮合物は、単一の合成工程で、廃棄物を生産することなく、更に低コストで容易に調製できる。
【0025】
更に、各種の成分の化学的性質及び/またはそれらの割合を変更することにより、本発明に係る重縮合物の構造及び/または特性を容易に改変することができる。
【0026】
本発明に係る重縮合物は有利には分枝状である;恐らくこれは、ポリマー鎖のもつれによってネットワークを生成することを可能にし、それ故、特に改良された耐久性と改良された光沢、並びに可溶性の点で必要な特性を得ることが可能である。直鎖状重縮合物は、組成物の耐久性の点で著しい改良を提供するものではなく、規則的な鎖を有するデンドリマータイプの重縮合物は、最適な可溶性を示すものではないことが実際に見出された。
【0027】
本発明に係る重縮合物は、アルキドタイプの重縮合物であり、それ故当業者に既知の方法によって、以下に記載される成分のエステル化/重縮合によって得ることができる。
【0028】
本発明に係る重縮合物の調製のために必要な成分の一つは、3から6のヒドロキシル基、特に3から4のヒドロキシル基を含む化合物(ポリオール)である。もちろん前記ポリオールの混合物を使用することも可能である。
【0029】
前記ポリオールは特に炭素化合物であり、特に3から18の炭素原子、特に3から12、または4から10の炭素原子と、3から6のヒドロキシル基(OH)を含む、直鎖状、分枝状、及び/または環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素化合物であることができ、鎖中に挿入された一つ以上の酸素原子を更に含むことができる(エーテル官能基)。
【0030】
前記ポリオールは好ましくは、3から18の炭素原子、特に3から12、または4から10の炭素原子と、3から6のヒドロキシル基(OH)を含む飽和、直鎖状、または分枝状炭化水素化合物である。
【0031】
それは単独または混合物として以下のものから選択できる:
−トリオール、例えば1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール;
−テトラオール、例えばペンタエリスリトール(テトラメチロールメタン)、エリスリトール、ジグリセロール、またはジトリメチロールプロパン;
−ペントール、例えばキシリトール;
−ヘキソール、例えばソルビトール及びマンニトール;またはジペンタエリスチロールまたはトリグリセロール。
【0032】
好ましくは前記ポリオールは、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトール、及びそれらの混合物から選択される;とりわけそれはペンタエリスリトールである。
【0033】
前記ポリオールまたはポリオール混合物は、最終重縮合物の全重量の10から30重量%、特に12から25重量%、とりわけ14から22重量%を好ましくは占める。
【0034】
本発明に係る重縮合物の調製のために必要な別の成分は、6から32の炭素原子、特に8から28の炭素原子、好ましくは10から24、または12から20の炭素原子を含む、飽和若しくは不飽和の、直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸である。もちろん前記非芳香族モノカルボン酸の混合物を使用することも可能である。
【0035】
非芳香族モノカルボン酸によって、式RCOOHの化合物を意味し、ここでRは5から31の炭素原子、特に7から27の炭素原子、好ましくは9から23の炭素原子、または11から19の炭素原子を含む飽和若しくは不飽和の、直鎖状、分枝状、及び/または環状の炭化水素基である。
【0036】
好ましくはR基は飽和のものである。より好ましくは前記R基は直鎖状または分枝状であり、好ましくはC−C31、またはC11−C21を有する。
【0037】
本発明の特定の実施態様では、非芳香族モノカルボン酸は、25℃以上、特に28℃以上、または30℃以上の融点を示す;これはそのような酸が特に大量に使用された場合、第一に良好な光沢と前記光沢の耐久性を得ることができるためであり、第二に考慮される組成物中に通常存在するワックスの量を低減することができることが見出されたためである。
【0038】
使用できる非芳香族モノカルボン酸として、単独または混合物として以下のものが挙げられる:
−飽和モノカルボン酸、例えばカプロン酸、カプリル酸、イソヘプタン酸、4-エチルペンタン酸、2-エチルへキサン酸、4,5-ジメチルへキサン酸、2-ヘプチルヘプタン酸、3,5,5-トリメチルへキサン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、セロチン酸(ヘキサコサン酸);シクロペンタカルボン酸、シクロペンタ酢酸、3-シクロペンチル-プロパン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、4-シクロヘキシル酪酸;
−不飽和だが非芳香族のモノカルボン酸、例えばカプロール酸、オブツシリン酸、ウンデシレン酸、ドデシレン酸、リンデリン酸、ミリストレン酸、フィセテリン酸、ツズー酸、パルミトレン酸、オレイン酸、ペトロセリン酸、バセン酸、エライジン酸、ゴンド酸、ガドレン酸、エルカ酸、セトレン酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸。
【0039】
25℃以上の融点を有する非芳香族モノカルボン酸としては、単独または混合物として以下のものが挙げられる:
−飽和モノカルボン酸として、デカン酸(カプリン酸)、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、セロチン酸(ヘキサコサン酸);
−不飽和だが非芳香族のモノカルボン酸として、ペトロセリン酸、バセン酸、エライジン酸、ゴンド酸、ガドレン酸、エルカ酸、ネルボン酸。
【0040】
好ましくは、2-エチルへキサン酸、イソオクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソヘプタン酸、イソノナン酸、ノナン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、及びそれらの混合物、より好ましくはイソステアリン酸単独、またはステアリン酸単独を使用することができる。
【0041】
前記非芳香族モノカルボン酸、または前記酸の混合物は、好ましくは最終重縮合物の全重量の30から80重量%、特に40から75重量%、または45から70重量%、好適には50から65重量%を占める。
【0042】
本発明に係る重縮合物の調製に必要とされる別の成分は、1から32の炭素原子、特に2から12、または3から8の炭素原子を含む、1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で更に任意に置換された、7から11の炭素原子を含む芳香族モノカルボン酸である。
【0043】
もちろん前記芳香族モノカルボン酸の混合物を使用することも可能である。
【0044】
芳香族モノカルボン酸によって、式R’COOHの化合物を意味し、ここでR’は6から10の炭素原子を含む芳香族炭化水素、特に安息香酸及びナフトエ酸基である。前記R’基は更に、1から32の炭素原子、特に2から12、または3から8の炭素原子を含む、1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で置換することができ、その置換基は特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、またはイソオクチルから選択できる。
【0045】
使用できる芳香族モノカルボン酸としては、単独でまたは混合物として、安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、4-tert-ブチル-安息香酸、1-メチル-2-ナフトエ酸、2-イソプロピル-1-ナフトエ酸が挙げられる。
【0046】
好ましくは、安息香酸、4-tert-ブチル-安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、1-ナフトエ酸を単独または混合物として使用でき、好適には安息香酸単独を使用する。
【0047】
前記芳香族モノカルボン酸、または前記酸の混合物は、好ましくは最終重縮合物の全重量の0.1から10重量%、特に0.5から9.95重量%、好適には1から9.5重量%、更には1.5から8重量%を占める。
【0048】
本発明に係る重縮合物の調製に必要な別の成分は、少なくとも2のカルボキシル基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、飽和若しくは不飽和の、または芳香族、直鎖状、分枝状、及び/または環状のポリカルボン酸;及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物である。もちろん前記ポリカルボン酸及び/または無水物の混合物を使用することも可能である。
【0049】
前記ポリカルボン酸は、2から50、特に2から40の炭素原子、特に3から36、または3から18、好適には4から12、または4から10の炭素原子を含む直鎖状、分枝状、及び/または環状の、飽和若しくは不飽和の、または芳香族のポリカルボン酸から特に選択できる;前記酸は少なくとも二つのカルボキシル基COOH、好ましくは2から4のCOOH基を有する。
【0050】
好ましくは前記ポリカルボン酸は、飽和した直鎖状の脂肪族であり、2から36の炭素原子、特に3から18の炭素原子、または4から12の炭素原子を有する;またはそれは芳香族であり、8から12の炭素原子を有する。それは好ましくは2から4のCOOH基を有する。
【0051】
そのようなポリカルボン酸の前記環状無水物は、特に下式の一つに相当することができる:
【化1】

[式中、A及びB基は、互いに独立に、以下のものである:
−水素原子;
−飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の脂肪族、あるいは別法として芳香族炭素基;1から16の炭素原子、特に2から10の炭素原子、または4から8の炭素原子を含む、特にメチル又はエチル;
−または別法として、A及びBは共に一緒になって全部で5から7、特に6の炭素原子を有し、飽和若しくは不飽和の、または芳香族の環を形成する]。
【0052】
好ましくはA及びBは水素原子を表し、または共に全部で6の炭素原子を有する芳香環を形成する。
【0053】
使用できるポリカルボン酸またはその無水物としては、単独でまたは混合物として以下のものが挙げられる:
−ジカルボン酸、例えばデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、シクロプロパンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-2,3-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、スベリン酸、オキサル酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、脂肪酸(特にC36のもの)のダイマー、例えばUniqema社によりPripol 1006、1009、1013、及び1017の名称で市販されている製品;
−トリカルボン酸、例えばシクロヘキサントリカルボン酸、トリメリト酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸;
−テトラカルボン酸、例えばブタンテトラカルボン酸、及びプロメリト酸;
−これらの酸の環状無水物、特に無水フタル酸、無水トリメリト酸、無水マレイン酸、及び無水コハク酸。
【0054】
好ましくは、アジピン酸、フタル酸、及び/またはイソフタル酸を使用することができ、好適にはイソフタル酸単独を使用できる。
【0055】
前記ポリカルボン酸及び/またはその環状無水物は、好ましくは最終重縮合物の全重量の5から40重量%、特に10から30重量%、好適には14から25重量%を占める。
【0056】
本発明に係る重縮合物は、ヒドロキシル(OH)及び/またはカルボキシル(COOH)官能基を有するシリコーンを更に含むことができる。
【0057】
それは1から3のヒドロキシル及び/またはカルボキシル官能基を含むことができ、好ましくは二つのヒドロキシル官能基、または別法として二つのカルボキシル官能基を有する。
【0058】
これらの官能基は、鎖の末端または鎖の内部に位置することができるが、有利には鎖の末端に位置する。
【0059】
300から20000、特に400から10000、または800から4000の間の重量平均分子量(Mw)を有するシリコーンを使用することが好ましい。
【0060】
このシリコーンは下式を有するものであることができる:
【化2】

[式中、
−W及びW’は互いに独立に、OHまたはCOOHであり;好ましくはW=W’である;
−p及びqは互いに独立に、0または1に等しい;
−R及びR’は互いに独立に、炭素、特に炭化水素、二価基、飽和若しくは不飽和、または芳香族、直鎖状、分枝状、および/または環状であり;1から12の炭素原子、特に2から8の炭素原子を含み、O、S、及びNから選択される、特にOである(エーテル)である一つ以上のヘテロ原子を更に任意に有する;
特にR及び/またはR’は、式−(CH−を有し、a=1〜12であり、特にメチレン、エチレン、プロピレン、フェニレンであることができる;
または別法として式−[(CHO]−を有し、x=1,2または3であり、z=1〜10であり;特にx=2または3であり、z=1〜4であり;特にx=3でz=1であることができる
−R1からR6は互いに独立に、直鎖状、分枝状、及び/または環状の、飽和若しくは不飽和若しくは芳香族の炭素基であり;1から20の炭素原子、特に2から12の炭素原子を含み;好ましくはR1からR6は飽和または別法として芳香族であり、特にアルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、及びオクタデシル基、シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基、アリール基、特にフェニル及びナフチル、アラルキル基、特にベンジル及びフェニルエチル、並びにトリル及びキシリル基から選択することができる
−m及びnは互いに独立に、1から140の間の整数であり、前記シリコーンの重量平均分子量(Mw)が300から20000の間、特に400から10000の間、または800から4000の間となるようなものである]。
【0061】
α,ω-ジオールまたはα,ω-ジカルボン酸ポリアルキルシロキサン、特にα,ω-ポリジメチルシロキサン、及びα,ω-ジカルボン酸ポリジメチルシロキサン;α,ω-ジオールまたはα,ω-ジカルボン酸ポリアリールシロキサン、特にα,ω-ジオールまたはα,ω-ジカルボン酸ポリフェニルシロキサン;ポリフェニルシロキサンのようなシラノール官能基を有するポリアリールシロキサン;ポリジメチルシロキサンのようなシラノール官能基を有するポリアルキルシロキサン;ポリフェニル/メチルシロキサンまたはポリフェニル/プロピルシロキサンのようなシラノール官能基を有するポリアリール/アルキルシロキサンが特に挙げられる。
【0062】
とりわけ、400から10000の間、または500から5000の間、特に800から4000の間の重量平均分子量(Mw)のα,ω-ジオールポリジメチルシロキサンが使用されるであろう。
【0063】
存在する場合、前記シリコーンは、好ましくは重縮合物の重量の0.1から15重量%、特に1から10重量%、または2から8重量%を占めることができる。
【0064】
本発明の好ましい実施態様では、芳香族モノカルボン酸は、非芳香族モノカルボン酸のモル量以下のモル量で存在する;特に、非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比は、好ましくは0.08から0.70の間、特に0.10から0.60の間、特に0.12から0.40の間である。
【0065】
これは特に、口紅またはファンデーションのような化粧品組成物の製剤化のために一般的に使用される油性媒体中に有利に可溶性であるポリマーを得ることを可能にし;得られる皮膜はこのタイプのファンデーションにおける使用に適した弾性及び可撓性を有する一方で、所望の光沢及び光沢の耐久性も得られることが見出された。
【0066】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は、
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して10から30重量%、特に12から25重量%、好適には14から22重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール;ペンタエリスリトール、エリスリトール、ジグリセロール、ジトリメチロールプロパン;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、及び/またはトリグリセロールから選択される少なくとも一つのポリオール;
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して30から80重量%、特に40から75重量%、好適には45から70重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、カプロン酸、カプリル酸、イソヘプタン酸、4-エチルペンタン酸、2-エチルへキサン酸、4,5-ジメチルへキサン酸、2-ヘプチルヘプタン酸、3,5,5-トリメチルへキサン酸、オクタン酸、イソオクタン酸、ノナン酸、デカン酸、イソノナン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、セロチン酸(ヘキサコサン酸);シクロペンタンカルボン酸、シクロペンタン酢酸、3-シクロペンチルプロピオン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキシル酢酸、4-シクロヘキシル酪酸から選択される少なくとも一つの非芳香族モノカルボン酸;
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して0.1から10重量%、特に1から9.5重量%、または1.5から8重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、安息香酸、o-トルイン酸、m-トルイン酸、p-トルイン酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、4-tert-ブチル-安息香酸、1-メチル-2-ナフトエ酸、2-イソプロピル-1-ナフトエ酸から選択される少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;並びに
−好ましくは最終重縮合物の全重量に対して5から40重量%、特に10から30重量%、好適には14から25重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、デカンジオン酸、ドデカンジオン酸、シクロプロパンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-2,3-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、セバシン酸、オキサル酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸;シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリト酸、1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸;ブタンテトラカルボン酸、ピロメリト酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、無水マレイン酸、及び無水コハク酸から選択される少なくとも一つのポリカルボン酸
の反応によって得ることができる。
【0067】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は、
−最終重縮合物の全重量に対して10から30重量%、特に12から25重量%、好適には14から22重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つのポリオール;
−最終重縮合物の全重量に対して30から80重量%、特に40から75重量%、好適には45から70重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、2-エチルへキサン酸、イソオクタン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つの非芳香族モノカルボン酸;
−最終重縮合物の全重量に対して0.1から10重量%、特に1から9.5重量%、または1.5から8重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、安息香酸、o-トルイン酸、m-トルイン酸、1-ナフトエ酸から選択され、好適には安息香酸単独である少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;並びに
−最終重縮合物の全重量に対して5から40重量%、特に10から30重量%、好適には14から25重量%の量で存在する、単独でまたは混合物として、無水フタル酸、及びイソフタル酸から選択される、好適にはイソフタル酸単独である少なくとも一つのポリカルボン酸
の反応によって得ることができる。
【0068】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は以下のものを有する:
−1以上、特に2から30の間、好適には2.5から15の間の、重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmg単位で表される酸価;
−40以上、特に40から120の間、好適には45から80の間の、重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmg単位で表されるヒドロキシル価。
【0069】
これらの酸価及びヒドロキシル価は、通常の分析方法によって当業者に容易に測定できる。
【0070】
好ましくは本発明に係る重縮合物は、1500から300000の間、または2000から200000の間、特に3000から100000の間の重量平均分子量(Mw)を示す。
【0071】
この平均分子量は、考慮されるポリマーの可溶性に依存して、ゲル浸透クロマトグラフィーまたは光散乱によって測定できる。
【0072】
好ましくは、本発明に係る重縮合物は、20から4000mPa.sの間、特に30から3500mPa.sの間、または40から3000mPa.sの間、好適には50から2500mPa.sの間の110℃で測定した粘度を有する。この粘度は、実施例の前に記載された態様で測定される。
【0073】
更に前記重縮合物は、通常使用される油性化粧品媒体、特に植物オイル、アルカン、脂肪エステル、脂肪アルコール、シリコーンオイル、とりわけイソドデカン、パーリーム、イソノニルイソノナノエート、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコーン、C12−C15アルカンベンゾエート、及び/またはD5(デカメチルシクロペンタシロキサン)において有利には可溶性である。
【0074】
可溶性によって、イソドデカン、パーリーム、イソノニルイソノナノエート、オクチルドデカノール、及びC12−C15アルカンベンゾエートから選択される少なくとも一つの溶媒において、70℃で少なくとも50重量%の割合で、前記ポリマーが透明な溶液を形成することを意味する。
【0075】
本発明に係る重縮合物は、当業者によって通常使用されるエステル化/重縮合の方法によって調製できる。説明のため、一般的調製方法は以下の工程を含む:
−ポリオールと芳香族及び非芳香族モノカルボン酸とを混合する工程;
−前記混合物を不活性環境下で、最初に融点まで(一般的に100−130℃)、次いで150から220℃の間の温度で、モノカルボン酸が完全に消費されるまで(酸価が1以下となるまで)、好ましくは水が形成される間それを蒸留しながら加熱する工程;
−任意に前記混合物を90から150℃の間の温度に冷却する工程;
−ポリカルボン酸及び/または環状無水物と、任意にヒドロキシルまたはカルボキシル官能基を有するシリコーンとを、一度にまたは連続的に添加する工程;次いで
−220℃以下、特に170から220℃の間の温度に、好ましくは形成される水を除去し続けながら、酸価、粘度、ヒドロキシル価、及び可溶性に関する必要とされる特徴が得られるまで再び加熱する工程。
【0076】
従来のエステル化触媒、例えばスルホン酸タイプのもの(特に1から10%の重量濃度で)またはチタネートタイプのもの(特に5から100ppmの間の重量濃度で)を添加することが可能である。
【0077】
更に、キシレンのような不活性溶媒中で、及び/または水の除去を容易にするために減圧下で、完全にまたは部分的に反応を実施することも可能である。
【0078】
有利には、触媒及び溶媒を使用しない。
【0079】
前記調製方法は、長期的な加熱に関連する分解を制限するために、モノマーの全重量に対して特に0.01から1重量%の濃度で、反応混合物に少なくとも一つの抗酸化剤の添加の工程を更に含むことができる。
【0080】
抗酸化剤は第一級タイプまたは第二級タイプのものであることができ、フェノール系酸化防止剤、第二級芳香族アミン、有機リン化合物、硫黄化合物、ラクトン、アクリル化ビスフェノール;並びにこれらの混合物から選択できる。
【0081】
特に好ましい抗酸化剤としては、BHT、BHA、TBHQ、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-ベンゼン、オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシシンナメート、テトラキス-メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロkシフェニル)プロピオネート、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,2-メチル-ビス-(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2-メチレン-ビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4-ブチリデン-ビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、特にCIBA社によりIRGANOX 1010の名称で市販されているもの;オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、特にCIBA社によりIRGANOX 1076の名称で市販されているもの;1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)トリオン、特にMayzo of Norcross, Ga社によりBNX 3114の名称で市販されているもの;ジ(ステアリル)ペンタエリスリトールジホスフェート、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィト、特にCIBA社によりIRGAFOS 168の名称で市販されているもの;ジラウリルチオジプロピオネート、特にCIBA社によりIRGANOX PS800の名称で市販されているもの;ビス(2,4-ジ-tert-ブチル)ペンタエリスリトールジホスフィト、特にCIBA社によりIRGAFOS 126の名称で市販されているもの;ビス(2,4-ビス)[2-フェニルプロパン-2-イル]フェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、トリフェニルホスフィト、(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、特にGE Specialty Chemicals社によりULTRANOX 626の名称で市販されているもの;トリス(ノニルフェニル)ホスフィト、特にCIBA社によりIRGAFOS TNPPの名称で市販されているもの;N,N-フェキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)とトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートとの1:1混合物、特にCIBA社によりIrganox B 1171の名称で市販されているもの;テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィト、特にCIBA社によりIRGAFOS P-EPQの名称で市販されているもの;ジステアリルチオジプロピオネート、特にCIBA社によりIRGANOX PS802の名称で市販されているもの;2,4-ビス(オクチルチオメチル)o-クレゾール、特にCIBA社によりIRGANOX 1520の名称で市販されているもの;4,6-ビス(ドデシルチオメチル)o-クレゾール、特にCIBA社によりIRGANOX 1726の名称で市販されているものが挙げられる。
【0082】
本発明に係る重縮合物は、生理学的に、特に化粧品または製薬学的に許容可能な媒体、即ち顔または身体の皮膚のような皮膚組織、並びに毛髪、睫毛、眉毛、及び爪のようなケラチン物質と適合可能な媒体を更に含む組成物、特に化粧品または製薬組成物において非常に有利に使用できる。
【0083】
組成物中の重縮合物の量は、もちろん組成物のタイプ及び必要とされる特性に依存し、最終化粧品または製薬組成物の量に対して、一般的に0.1から70重量%の間、好ましくは1から50重量%の間、特に10から45重量%の間、または20から40重量%の間、最も好ましくは25から35重量%の間の非常に広範囲で変化できる。
【0084】
次いで前記組成物は、考慮される応用に依存して、このタイプの組成物で通常のものである成分を含むことができる。
【0085】
本発明に係る組成物は、本発明に係るポリマーの溶媒であることができ、鉱物、動物、植物、または合成起源のオイル及び/または溶媒、炭素含有、炭化水素含有、フッ素化、及び/またはシリコン化の、揮発性または不揮発性のものから選択される少なくとも一つの化合物を、単独でまたは均一で安定な混合物を形成し、企図される使用に適合可能であることを条件に混合物として含むことができる、油性液体相を有利には含むことができる。
【0086】
「揮発性」によって、本発明の意味では、ケラチン物質または唇と接触した際に、室温(25℃)且つ大気圧(1気圧)で1時間未満で蒸発するであろういずれかの化合物を意味する。特にこの揮発性化合物は、室温且つ大気圧で0ではない蒸気圧、特に0.13Paから40000Pa(10−3から300mmHg)の範囲、特に1.3Paから13000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、とりわけ1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。逆に「不揮発性」により、室温且つ大気圧で、少なくとも一時間ケラチン物質または唇に維持され、特に10−3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する化合物を意味する。
【0087】
好ましくは、本発明に係る組成物の生理学的に許容可能な媒体は、油性液体相中に、単独でまたは混合物として、以下のものから選択できる少なくとも一つのオイル及び/または溶媒を含むことができる。
1/モノカルボン酸と、モノアルコール及びポリアルコールとのエステル;有利には前記エステルはC12−C15アルキルベンゾエートであり、下式R’−COO−R’に対応する、式中、
R’は1から40の炭素原子、好ましくは7から19の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を表し、それは任意に一つ以上のエチレン性二重結合を有し、任意に置換され、その炭化水素鎖はN及びOから選択される一つ以上のヘテロ原子、及び/または一つ以上のカルボニル官能基によって中断されることができる;及び
R’は1から40の炭素原子、好ましくは3から30の炭素原子、より好ましくは3から20の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基を表し、それは任意に一つ以上のエチレン性二重結合を有し、任意に置換され、その炭化水素鎖はN及びOから選択される一つ以上のヘテロ原子、及び/または一つ以上のカルボニル官能基によって中断されることができる。
【0088】
「任意に置換される」によって、R’及び/またはR’は、例えばO及び/またはNから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む基、例えばアミノ、アミン、アルコキシ、ヒドロキシルから選択される一つ以上の置換基を有することができることを意味する。
【0089】
R’基の例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オレオステアリン酸、アラキドン酸、エルカ酸、及びこれらの混合物から選択される脂肪酸、好ましくは高級脂肪酸から由来するものである。好ましくはR’は、4から14の炭素原子、好ましくは8から10の炭素原子を有する不飽和分枝状アルキル基であり、R’は、5から15の炭素原子、好ましくは9から11の炭素原子を有する不飽和分枝状アルキル基である。
【0090】
特に好ましくは、その炭化水素鎖中に、N及びOから選択される一つ以上のヘテロ原子、及び/または一つ以上のカルボニル官能基を任意に取り込んだC−C48エステル;とりわけパーセリンオイル(セトステアリルオクタノエート)、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチル-2-ヘキシルパルミテート、オクチル-2-ドデシルステアレート、オクチル-2-ドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート、C12からC15アルコールのベンゾエート、へキリルラウレート、ジイソプロピルアジペート;アルコールまたはポリアルコール、例えば脂肪アルコールのヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート、またはリシノレート、例えばプロピレングリコールジオクタノエート、並びにN-ラウロイルイソプロピルサルコシネート(特にAjinomoto社製のEldew-205SL);ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、ジ−イソステアリルマレート;及びペンタエリスリトールのエステル;C−C16分枝状エステル、特にイソヘキシルネオペンタノエートが挙げられる。
【0091】
2/脂肪酸とグリセロールとのエステルを含む、高含量のトリグリセリドを有する炭化水素植物オイルであって、脂肪酸はCからC24まで変化する鎖の長さを有し、直鎖状、分枝状、飽和、若しくは不飽和であることができるもの;これらのオイルは特に麦芽オイル、トウモロコシオイル、ヒマワリオイル、シェアオイル、ヒマシ油、スイートアーモンドオイル、マカダミアオイル、アンズオイル、ダイズオイル、アブラナオイル、綿実油、アルファルファオイル、ケシ実オイル、オクラオイル、ゴマオイル、ククルビットオイル、アボカドオイル、ヘーゼルナッツオイル、グレープシードオイル、またはクロフサスグリオイル、マツヨイグサオイル、アワオイル、オオムギオイル、キノアオイル、オリーブオイル、ライムギオイル、ベニバナオイル、ククイノキオイル、トケイソウオイル、ジャコウバラオイル、ホホバオイル、パームオイル、キャロフィラムオイル;カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearinerie Dubois社により市販されているもの、またはDynamit Nobel社により"Myglyol(登録商標)810、812、及び818"の名称で市販されているものである。
【0092】
3/C−C32、特にC12−C26アルコール、特にモノアルコール、例えばオレイルアルコール、リノールアルコール、リノレンアルコール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール、及びオクチルドデカノール;
【0093】
4/炭化水素オイル、直鎖状または分枝状の、揮発性または不揮発性の、合成または鉱物起源のものであって、5から100の炭素原子を有する炭化水素オイル、特にワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばパーリーム、スクアラン、パーヒドロスクアレン、並びにこれらの混合物から選択できる。
【0094】
とりわけ直鎖状、分枝状、及び/または環状のC−C48アルカン、好ましくはC−C16分枝状アルカン、例えば石油起源のC−C16イソアルカン(イソパラフィンとも称する);特にデカン、ヘプタン、ドデカン、シクロヘキサン;並びにイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカンが挙げられる。
【0095】
5/揮発性または不揮発性シリコーンオイル。
【0096】
揮発性シリコーンオイルとして、揮発性直鎖状または環状シリコーンオイル、特に8センチストローク未満の粘度を有するもの、特に2から10のケイ素原子を有するものが挙げられ、これらのシリコーンは任意に1から22の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を含む;とりわけオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルヘキシルジメチルシロキサン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
本発明によって使用できる不揮発性シリコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、2から24の炭素原子を有するシリコーン鎖にペンダント状及び/または末端のアルキルまたはアルコキシ基を有するポリジメチルシロキサン、フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートであることができる。
【0098】
好ましくは、本発明に係る組成物の生理学的に許容可能な媒体は、単独でまたは混合物として、イソドデカン、パーリーム、イソノニルイソノナノエート、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコーン、C12−C15アルキルベンゾエート、及び/またはD5(デカメチルシクロペンタシロキサン)から選択される少なくとも一つのオイル及び/または溶媒を油性液相中に含む。
【0099】
油性液相は更に、単独でまたは混合物として、以下のものから選択できる更なるオイル及び/または溶媒を含むことができる:
−フッ素化オイル、例えばパーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルカン、例えばパーフルオロデカリン、パーフルオロダマンタン、パーフルオロアルキルホスフェートのモノエステル、ジエステル、及びトリエステル、並びにフッ素化エステルオイル;
−動物起源のオイル;
−CからC40、特にC10−C40エーテル;室温で液体であるプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールのモノn-ブチルエーテル;
−C−C32脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びそれらの混合物;
−エステル及び/またはアミドから選択され、6から30の炭素原子、特に8から28の炭素原子、好ましくは10から24の炭素原子と、O及びNから選択される4のヘテロ原子を有する二官能性オイル;アミド及びエステル官能基は好ましくは鎖中に存在する;
−室温(25℃)で液体であるケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、アセトン;
−室温で液体であるアルデヒド、例えばベンズアルデヒド、アセトアルデヒド。
【0100】
油性液相は、組成物の1から90重量%、組成物の全重量の5から75重量%、特に10から60重量%、または25から55重量%を占めることができる。
【0101】
本発明に係る組成物は、特に以下のものから選択できる増粘剤を有利には含むことができる:
−シリカ、特に疎水性シリカ、例えば文献EP-A-898960に記載されているもの、例えばDegussa社により"AEROSIL(登録商標)R812"の名称で、Cabot社により"CAB-O-SIL(登録商標)TS-530、TS-610、TS-720"の名称で、Degussa社により"AEROSIL(登録商標)R972、R974"の名称で市販されているもの;
−クレー、例えばモンモリロナイト、変性クレー、例えばベントン、例えばステアルアルコニウムヘクトライト、ステアルアルコニウムベントナイト;
−ポリサッカリドアルキルエーテル(特に1から24の炭素原子、好ましくは1から10、とりわけ1から6、特に1から3)、例えば文献EP-A-898958に記載されたもの。
【0102】
本発明に係る組成物中の増粘剤の量は、組成物の全重量に対して0.05から40重量%、好ましくは0.5から20重量%、より好ましくは1から15重量%の範囲であることができる。
【0103】
本発明に係る組成物はまた、植物、動物、鉱物、または合成起源の、更にはシリコン化された少なくとも一つのワックスを含むことができる。
【0104】
特に単独でまたは混合物として、炭化水素ワックス、例えばビーズワックス;カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリキュリーワックス、モクロウ、コルク繊維若しくはサトウキビから由来するワックス;パラフィンワックス、リグナイトワックス;マイクロクリスタリンワックス;ラノリンワックス;モンタンワックス;オゾケライト;ポリエチレンワックス;フィッシャートロプシュ合成によって得られるワックス;水素化オイル、脂肪エステル、及び25℃で固体であるグリセリドが挙げられる。更にシリコーンワックスを使用することができ、例えばポリメチルシロキサンのアルキル、アルコキシル、及び/またはエステルが挙げられる。
【0105】
本発明に係る組成物中のワックスの量は、組成物の全重量に対して0.1から70重量%、好ましくは1から40重量%、より好ましくは5から30重量%の範囲であることができる。
【0106】
本発明に係る組成物はまた、粉体化合物、例えば顔料、フィラー、真珠光沢剤、及びフレーク、及び/または脂溶性若しくは水溶性着色剤から選択される一つ以上の着色剤を含むことができる。
【0107】
着色剤、特に粉体着色剤は、組成物の全重量に対して0.01から50重量%、好ましくは0.1から40重量%、または1から30重量%の含量で組成物中に存在できる。
【0108】
顔料によって、いずれかの形状の、白色または着色された、鉱物または有機の、生理学的媒体中に不溶性の、組成物を着色することを企図した粒子を意味する。
【0109】
真珠光沢剤によって、いずれかの形状の、特に特定の軟体動物の殻で生産される、または別法として合成される虹色粒子を意味する。
【0110】
顔料は白色または着色された、鉱物及び/または有機の、干渉性または非干渉性のものであることができる。鉱物顔料として、任意に表面処理された二酸化チタン、ジルコニウムまたはセリウムの酸化物、並びに鉄またはクロムの酸化物、マンガンバイオレット、ウルトラマリン、水和クロム、及びフェリックブルーが挙げられる。有機顔料として、カーボンブラック、D&C顔料、及びカルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、アルミニウムに基づくレーキが挙げられる。
【0111】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えばチタン若しくはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ、着色真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたマイカチタン、特にフェリックブルー若しくは酸化クロムで被覆されたマイカチタン、上述のタイプの有機顔料で被覆されたマイカチタン、並びにオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選択できる。
【0112】
フィラーは鉱物または有機の、ラメラ状または球状のものであることができる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン(登録商標)及びポリエチレンのポリマー、ポリ-β-アラニン及びポリエチレンのポリマー、テフロン(登録商標)、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマーのパウダー、中空ミクロスフェア、例えばExpancel(Nobel Industrie)、ポリトラップ(Dow Corning)、及びシリコーン樹脂ミクロスフェア(例えばToshiba社製のTospearls)、沈降炭酸カルシウム、炭酸及び炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(MAPRECOS社製のSILICA BEADS)、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8から22の炭素原子、好ましくは12から18の炭素原子を有する有機カルボン酸から由来する金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウムが挙げられる。
【0113】
脂溶性着色剤は、例えばスーダンレッド、DC赤色17号、DC緑色6号、β-カロチン、ダイズオイル、スーダンブラウン、DC黄色11号、DC紫色2号、DC橙色5号、キノリンイエローである。それらは組成物の重量の0.01から20%、好ましくは0.1から6%を占めることができる。
【0114】
水溶性着色剤は、例えばビートルートジュース及びメチレンブルーであり、組成物の全重量の0.01から6%を占めることができる。
【0115】
前記組成物は、化粧品組成物で一般的に使用される他の成分を更に含むことができる。前記成分は、抗酸化剤、香料、香油、防腐剤、化粧品活性剤、水和剤、ビタミン、セラミド、サンフィルター、界面活性剤、拡散剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、中和剤、安定剤、ポリマー、特に脂溶性皮膜形成性ポリマー、及びこれらの混合物から選択できる。
【0116】
もちろん当業者は、いずれかの前記更なる化合物、及び/またはそれらの量を選択するのに注意を払い、本発明に係る使用のための組成物の有利な特性が、考慮される添加によって負に影響されない、または実質的に負に影響されないようにするであろう。
【0117】
本発明に係る組成物は、化粧品または製薬組成物で許容可能で通常のいずれかの形態で存在できる。
【0118】
それ故それらは、懸濁物、ベシクルに基づく特に水中におけるオイルの分散物;任意に増粘またはゲル化された有機または油性溶液;水中油型、油中水型、または複相エマルション;ゲルまたはムース;油性または乳化ゲル;ベシクル、特に脂質ベシクルの分散物;二相または複相ローション;スプレー;ローション、クリーム、軟膏、ソフトペースト、膏薬、注入またはキャスト固形物、特にスティックまたは皿中のもの、または圧縮固形物の形態で存在できる。
【0119】
当業者は、一方で使用される成分の性質、特に基体における可溶性を、他方で組成物について企図される応用を考慮して、その知見に基づいて適切な生薬形態、並びに調製方法を選択できるであろう。
【0120】
本発明に係る組成物は、当該技術分野の従来品に対して改良された光沢及び光沢の耐久性を示すので、それらは毛髪、皮膚、睫毛、眉毛、爪、唇、頭皮のようなケラチン物質のケアまたはメイクアップ、特に唇、睫毛、及び/または顔のメイクアップのために使用できる。
【0121】
それ故それらは、身体または顔の皮膚、唇、睫毛、眉毛、毛髪、頭皮、または爪のケア及び/またはメイクアップ製品;日焼け製品または自己日焼け製品;特に毛髪の着色、コンディショニング、及び/またはケアのためのヘアケア製品の形態で存在できる;それらは有利には、マスカラ、口紅、リップグロス、ブラッシャー、アイシャドウ、ファンデーションの形態で存在する。
【0122】
更に本発明は、特に身体または顔の皮膚、唇、爪、毛髪、及び/または睫毛のケラチン物質に上述の化粧品組成物を適用することを含む、前記物質の美容処理方法に関する。
【0123】
本発明に係るこの方法は、本発明に係る口紅またはリップグロスの組成物の適用による、唇のケアまたはメイクアップを特に提供する。
【0124】
本発明は以下の実施例においてより詳細に説明される。
【0125】
粘度の測定方法
ポリマーの80℃または110℃での粘度を、BROOKFIELD CAP 1000+タイプのコーン−プレート粘度系によって測定する。
【0126】
適切なコーン−プレートは、当業者の知見にも基づいて当業者により決定されるが、特に以下のものである:
−50から500mPa.s:コーン02が使用できる;
−500から1000mPa.s:コーン03;
−1000から4000mPa.s:コーン05;
−4000から10000mPa.s:コーン06。
【0127】
実施例1:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート/PDMSの合成
機械的スターラー、アルゴン注入パイプ、及び蒸留システムを備えた反応器に、32gの安息香酸、504gのイソステアリン酸、及び136gのペンタエリスリトールをチャージし、穏やかなアルゴン流の下で110−130℃に徐々に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を徐々に180℃に上昇し、この温度を約2時間維持する。温度を更に220℃に上昇し、1以下の酸化が得られるまでこのレベルで維持し、これは約9時間かかる。100から130℃の間の温度に冷却後、144gのイソフタル酸と80gのシリコーンα,ω-ジオール(Shin-Etsu社製のX22-160AS)を添加し、約15時間かけて再び220℃まで徐々に加熱する。
【0128】
750gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート/PDMS重縮合物がオイルの形態で得られる。
【0129】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−パーリーム中で25℃で50重量%で可溶性;
−酸価=12.8;
−ヒドロキシル価=42;
−Mw=11700;
−η80℃=798mPa.s;
−η110℃=190mPa.s;
−非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比:0.15。
【0130】
実施例2:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレートの合成
機械的スターラー、アルゴン注入パイプ、及び蒸留システムを備えた反応器に、20gの安息香酸、280gのイソステアリン酸、及び100gのペンタエリスリトールをチャージし、穏やかなアルゴン流の下で110−130℃に徐々に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を徐々に180℃に上昇し、この温度を約2時間維持する。温度を更に220℃に上昇し、1以下の酸化が得られるまでこのレベルで維持し、これは約11時間かかる。100から130℃の間の温度に冷却後、100gのイソフタル酸を添加し、約11時間かけて再び220℃まで徐々に加熱する。
【0131】
405gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート重縮合物が非常に粘性のオイルの形態で得られる。
【0132】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−パーリーム中で25℃で50重量%で可溶性;
−酸価=3.7;
−ヒドロキシル価=72;
−Mw=59400;
−η110℃=1510mPa.s;
−非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比:0.16。
【0133】
実施例3:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレートの合成
機械的スターラー、アルゴン注入パイプ、及び蒸留システムを備えた反応器に、35gの安息香酸、270gのイソステアリン酸、及び80gのペンタエリスリトールをチャージし、穏やかなアルゴン流の下で110−130℃に徐々に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を徐々に180℃に上昇し、この温度を約2時間維持する。温度を更に220℃に上昇し、1以下の酸化が得られるまでこのレベルで維持し、これは約11時間かかる。100から130℃の間の温度に冷却後、65gのイソフタル酸を添加し、約5時間かけて再び220℃まで徐々に加熱する。
【0134】
380gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート重縮合物がオイルの形態で得られる。
【0135】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−パーリーム中で25℃で50重量%で可溶性;
−酸価=5.5;
−ヒドロキシル価=103;
−Mw=7200;
−η80℃=700mPa.s;
−非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比:0.30。
【0136】
実施例4:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート/PDMSの合成
機械的スターラー、アルゴン注入パイプ、及び蒸留システムを備えた反応器に、14gの安息香酸、255gのイソステアリン酸、及び75gのペンタエリスリトールをチャージし、穏やかなアルゴン流の下で110−130℃に徐々に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を徐々に180℃に上昇し、この温度を約2時間維持する。温度を更に220℃に上昇し、1以下の酸化が得られるまでこのレベルで維持し、これは約7時間かかる。100から130℃の間の温度に冷却後、65gのイソフタル酸と38gのシリコーンα,ω-ジカルボキシ(Goldschmidt社製のTegomer C-Si 2342)を添加し、約15時間かけて再び220℃まで徐々に加熱する。
【0137】
375gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート/PDMS重縮合物が粘性オイルの形態で得られる。
【0138】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−パーリーム中で25℃で50重量%で可溶性;
−酸価=5.5;
−ヒドロキシル価=110;
−η80℃=1332mPa.s;
−非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比:0.12。
【0139】
実施例5:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート/PDMSの合成
機械的スターラー、アルゴン注入パイプ、及び蒸留システムを備えた反応器に、16gの安息香酸、252gのイソステアリン酸、及び68gのペンタエリスリトールをチャージし、穏やかなアルゴン流の下で110−130℃に徐々に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を徐々に180℃に上昇し、この温度を約2時間維持する。温度を更に220℃に上昇し、1以下の酸化が得られるまでこのレベルで維持し、これは約9時間かかる。100から130℃の間の温度に冷却後、40gのイソフタル酸と40gのシリコーンα,ω-ジオール(Shin-Etsu社製のX22-160AS)を添加し、約7時間かけて再び220℃まで徐々に加熱する。
【0140】
345gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/イソステアレート/PDMS重縮合物がオイルの形態で得られる。
【0141】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−パーリーム中で25℃で50重量%で可溶性;
−酸価=2.5;
−ヒドロキシル価=63;
−Mw=3600;
−η80℃=125mPa.s;
−非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比:0.15。
【0142】
実施例6:ペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/ステアレートの合成
機械的スターラー、アルゴン注入パイプ、及び蒸留システムを備えた反応器に、10gの安息香酸、370gのステアリン酸、及び95gのペンタエリスリトールをチャージし、穏やかなアルゴン流の下で110−130℃に徐々に加熱し、均一な溶液を得る。次いで温度を徐々に180℃に上昇し、この温度を約2時間維持する。温度を更に220℃に上昇し、1以下の酸化が得られるまでこのレベルで維持し、これは約11時間かかる。100から130℃の間の温度に冷却後、90gのイソフタル酸を添加し、約11時間かけて再び220℃まで徐々に加熱する。
【0143】
430gのペンタエリスリチルベンゾエート/イソフタレート/ステアレート重縮合物が非常に粘性のオイルの形態で得られる。
【0144】
前記重縮合物は以下の特徴を有する:
−パーリーム中で70℃で50重量%で可溶性;
−酸価=10.8;
−Mw=8800;
−η80℃=360mPa.s。
【0145】
実施例7
以下の重縮合物の調製を、上記の実施例と同様な態様で実施する(%は重量ベース):
【0146】
【表1】

【0147】
実施例8
以下の組成を有するグロスを調製した:
−実施例1の重縮合物 29g
−ポリブテン 34g
−イソノニルイソノナノエート 4g
−オクチルドデカノール 10g
−シリカ(Aerosil R972) 5g
−トリデシルトリメリテート 100gとする残部
【0148】
唇への適用後、光沢のある皮膜が得られ、それは少なくとも2時間光沢を維持する。
【0149】
実施例9
以下の組成を有するグロスを調製した:
−実施例2の重縮合物 28g
−ポリブテン 34g
−イソノニルイソノナノエート 4g
−オクチルドデカノール 10g
−シリカ(Aerosil R972) 5g
−トリデシルトリメリテート 100gとする残部
【0150】
唇への適用後、光沢のある皮膜が得られ、それは少なくとも2時間光沢を維持する。
【0151】
以下の組成を有する口紅を調製した:
−実施例2の重縮合物 30g
−ポリエチレンワックス 11g
−顔料とフィター 7g
−パーリーム(水素化イソパラフィン) 100gとする残部
【0152】
唇への適用後、着色された光沢のある皮膜が得られ、それは少なくとも2時間光沢を維持する。
【0153】
以下の組成を有する口紅を調製した:
−実施例6の重縮合物 10g
−ポリエチレンワックス 11g
−顔料とフィター 7g
−パーリーム(水素化イソパラフィン) 100gとする残部
【0154】
唇への適用後、着色された光沢のある皮膜が得られ、それは少なくとも2時間光沢を維持する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−重縮合物の全重量に対して10から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して30から80重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して0.1から10重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で更に任意に置換された、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、少なくとも2のカルボキシル基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、飽和若しくは不飽和の、または芳香族、直鎖状、分枝状、及び/または環状の少なくとも一つのポリカルボン酸;及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
の反応によって得ることができる少なくとも一つの重縮合物を、化粧品または製薬学的に許容可能な媒体中に含む化粧品または製薬組成物。
【請求項2】
前記ポリオールが、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非芳香族モノカルボン酸が、2-エチルへキサン酸、イソオクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソヘプタン酸、イソノナン酸、ノナン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記芳香族モノカルボン酸が、単独または混合物として、安息香酸、4-tert-ブチル安息香酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、1-ナフトエ酸から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリカルボン酸またはその無水物が、アジピン酸、無水フタル酸、及び/またはイソフタル酸から選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記重縮合物が、ヒドロキシル(OH)及び/またはカルボキシル(COOH)官能基を有する少なくとも一つのシリコーンを更に有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーンが、重縮合物の全重量の0.1から15重量%を占めることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
非芳香族モノカルボン酸のモル数に対する芳香族モノカルボン酸のモル数の比が0.08から0.70の間であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記重縮合物が、以下の特徴:
−1以上の、重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmg単位で表される酸価;及び/または
−40以上の、重縮合物のg当たりの水酸化カリウムのmg単位で表されるヒドロキシル価;及び/または
−1500から300000の間の重量平均分子量(Mw);及び/または
−20から4000mPa.sの間、特に30から3500mPa.sの間の、110℃で測定した粘度;及び/または
−イソドデカン、パーリーム、イソノニルイソノナノエート、オクチルドデカノール、及びC12−C15アルカンベンゾエートから選択される少なくとも一つの溶媒において、70℃で少なくとも50重量%の割合での可溶性
の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記重縮合物が、最終化粧品または製薬組成物の重量に対して0.1から70重量%の間の量で存在することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
身体または顔の皮膚、唇、睫毛、眉毛、毛髪、頭皮、または爪のケア及び/またはメイクアップ製品;日焼け製品または自己日焼け製品;特に毛髪の着色、コンディショニング、及び/またはケアのためのヘアケア製品の形態で存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
特に身体または顔の皮膚、唇、爪、毛髪、及び/または睫毛のケラチン物質に請求項1から11のいずれか一項に記載の化粧品組成物を適用することを含む、前記物質の美容処理方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の化粧品組成物の適用を含む、唇のケアまたはメイクアップのための美容方法。
【請求項14】
−重縮合物の全重量に対して10から30重量%の、3から6のヒドロキシル基を含む少なくとも一つのポリオール;
−重縮合物の全重量に対して45から80重量%の、6から32の炭素原子を含む少なくとも一つの飽和した直鎖状、分枝状、及び/または環状の非芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して0.1から10重量%の、1から32の炭素原子を含む1から3の飽和若しくは不飽和の直鎖状、分枝状、及び/または環状アルキル基で更に任意に置換された、7から11の炭素原子を含む少なくとも一つの芳香族モノカルボン酸;
−重縮合物の全重量に対して5から40重量%の、少なくとも2のカルボキシル基COOH、特に2から4のCOOH基を含む、飽和若しくは不飽和の、または芳香族、直鎖状、分枝状、及び/または環状の少なくとも一つのポリカルボン酸;及び/またはそのようなポリカルボン酸の環状無水物
の反応によって得ることができる重縮合物。
【請求項15】
−ポリオールと芳香族及び非芳香族モノカルボン酸とを混合する工程;
−前記混合物を不活性環境下で、最初に融点まで(一般的に100−130℃)、次いで150から220℃の間の温度で、モノカルボン酸が完全に消費されるまで加熱する工程;
−任意に前記混合物を90から150℃の間の温度に冷却する工程;
−ポリカルボン酸及び/または環状無水物と、任意にヒドロキシルまたはカルボキシル官能基を有するシリコーンとを添加する工程;次いで
−220℃以下の間の温度に再び加熱する工程
を含む、請求項14に記載の重縮合物の調製方法。

【公開番号】特開2008−7504(P2008−7504A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−164385(P2007−164385)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】