説明

重要物管理システム

【課題】手間をかけることなく重要物管理装置の貨幣類の在高データを重要物管理装置および出納機の両方で管理することができる重要物管理システムの提供。
【解決手段】重要物管理装置11が、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する管理装置使用者特定手段と、管理装置使用者特定手段の特定結果に基づいて保管手段21に対する被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御する制御手段と、保管手段21内に保管される貨幣類の保管手段在高データを記憶する管理装置記憶手段とを有し、出納機が保管手段在高データを記憶する出納機記憶手段を有し、管理装置記憶手段の保管手段在高データと出納機記憶手段の保管手段在高データとを連携させて一致させる在高データ連携手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要物を保管する重要物管理装置と、重要物としての貨幣類を処理する出納機とを有する重要物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等においては、建屋に専用の金庫室を設け、この金庫室に重要物を保管するのが一般的であり、その中には、金庫室を移動可能な金庫函体で覆う技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、専用の金庫室を建屋に構築するには、高額な設置コストが必要となってしまう。また、金庫室は密室状態となるため、セキュリティ上、専用の監視カメラシステムが必要であり、管理コストも増大してしまう。
【0004】
このため、本出願人は、低コストで重要物を管理できる重要物管理装置の提供を目的として先の出願を行っている(特願2010−113268号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭61−30116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、重要物管理装置において、貨幣および小切手・証券類等の金券からなる貨幣類の取り出しおよび投入により変動する在高データを、それ自体は勿論、出納機でも管理しようとした場合、貨幣類の取り出しおよび投入の度に、重要物管理装置および出納機の両方で在高データを手直ししなければならず、手間がかかってしまうことになる。
【0007】
したがって、本発明は、手間をかけることなく重要物管理装置の貨幣類の在高データを重要物管理装置および出納機の両方で管理することができる重要物管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有してフロア上に設置される重要物管理装置と、該重要物管理装置に通信可能に接続されるとともに前記被管理物のうちの貨幣類を取り扱う出納機とを有する重要物管理システムであって、前記重要物管理装置は、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する管理装置使用者特定手段と、該管理装置使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御する制御手段と、前記保管手段内に保管される前記貨幣類の保管手段在高データを記憶する管理装置記憶手段と、を有し、前記出納機は、前記保管手段在高データを記憶する出納機記憶手段を有し、前記重要物管理装置および前記出納機には、前記管理装置記憶手段の前記保管手段在高データと前記出納機記憶手段の前記保管手段在高データとを連携させて一致させる在高データ連携手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記重要物管理装置は、前記保管手段に対する前記貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されるとともに前記管理装置記憶手段の前記保管手段在高データを前記金額データに基づいて更新する管理装置入力手段と、前記更新後の前記保管手段在高データまたは前記保管手段在高データの前記更新前後の差分データを送信データとして前記出納機に送信する管理装置送信手段と、を有し、前記出納機は、前記送信データを受信する出納機受信手段と、前記送信データに基づいて前記出納機記憶手段の前記保管手段在高データを更新する出納機更新手段と、を有し、これら管理装置入力手段、管理装置送信手段、出納機受信手段および出納機更新手段が、前記在高データ連携手段を構成することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記出納機は、前記保管手段に対する前記貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されるとともに前記出納機記憶手段の前記保管手段在高データを前記金額データに基づいて更新する出納機入力手段と、前記更新後の前記保管手段在高データまたは前記保管手段在高データの前記更新前後の差分データを送信データとして前記重要物管理装置に送信する出納機送信手段と、を有し、前記重要物管理装置は、前記送信データを受信する管理装置受信手段と、前記送信データに基づいて前記管理装置記憶手段の前記保管手段在高データを更新する管理装置更新手段と、を有し、これら出納機入力手段、出納機送信手段、管理装置受信手段および管理装置更新手段が、前記在高データ連携手段を構成することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記出納機は、入力された識別情報に基づいて使用者を特定する出納機使用者特定手段を有し、前記出納機入力手段には前記金額データが管理種別毎に入力され、前記出納機送信手段は、前記識別情報に関連付けて前記管理種別毎の金額データを前記送信データとして前記重要物管理装置に送信することになり、前記重要物管理装置は、前記管理装置使用者特定手段が入力された識別情報に基づいて使用者を特定すると、前記送信データから当該使用者の識別情報に関連付けられた前記管理種別毎の金額データを表示する表示手段と、該表示手段に表示された管理種別の中から管理種別が選択入力される選択入力手段と、を有し、前記制御手段は、前記選択入力手段に入力された管理種別に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて前記重要物管理装置が構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、重要物管理装置および出納機に設けられた在高データ連携手段が、重要物管理装置に設けられた管理装置記憶手段の保管手段在高データと、出納機に設けられた出納機記憶手段の保管手段在高データとを連携させて一致させるため、重要物管理装置および出納機のいずれか一方で保管手段在高データを手直しすれば、他方は自動的に一致した保管手段在高データとなる。したがって、手間をかけることなく重要物管理装置の貨幣類の在高データを重要物管理装置および出納機の両方で管理することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、管理装置入力手段は、保管手段に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されると、管理装置記憶手段の保管手段在高データをこの金額データに基づいて更新する。そして、管理装置送信手段が、更新後の保管手段在高データまたは保管手段在高データの更新前後の差分データを送信データとして出納機に送信することになり、出納機は、出納機受信手段がこの送信データを受信する。すると、出納機更新手段がこの送信データに基づいて出納機記憶手段の保管手段在高データを更新する。このように、重要物管理装置側で貨幣類の取り出しおよび投入の金額データを入力すれば、管理装置記憶手段の保管手段在高データと出納機記憶手段の保管手段在高データとが更新されるため、手間をかけることなく重要物管理装置の貨幣類の在高データを重要物管理装置および出納機の両方で管理することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、出納機入力手段は、保管手段に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されると、出納機記憶手段の保管手段在高データをこの金額データに基づいて更新する。そして、出納機送信手段が、更新後の保管手段在高データまたは保管手段在高データの更新前後の差分データを送信データとして重要物管理装置に送信することになり、重要物管理装置は、管理装置受信手段がこの送信データを受信する。すると、管理装置更新手段がこの送信データに基づいて管理装置記憶手段の保管手段在高データを更新する。このように、出納機側で貨幣類の取り出しおよび投入の金額データを入力すれば、出納機記憶手段の保管手段在高データと管理装置記憶手段の保管手段在高データとが更新されるため、手間をかけることなく重要物管理装置の貨幣類の在高データを重要物管理装置および出納機の両方で管理することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、出納機入力手段は、金額データが管理種別毎に入力されると、出納機記憶手段の保管手段在高データをこの金額データに基づいて更新する。そして、出納機送信手段が、この管理種別毎の金額データを、更新後の保管手段在高データまたは保管手段在高データの更新前後の差分データとともに、使用者を特定する識別情報に関連付けて送信データとして重要物管理装置に送信することになり、重要物管理装置は、管理装置受信手段がこの送信データを受信する。すると、重要物管理装置では、管理装置更新手段がこの送信データに基づいて管理装置記憶手段の保管手段在高データを更新するとともに、管理装置使用者特定手段が入力された識別情報に基づいて使用者を特定すると、表示手段が、送信データから当該使用者の識別情報に関連付けられた管理種別毎の金額データを表示する。そして、選択入力手段に表示手段に表示された管理種別の中から管理種別が選択入力されると、制御手段が、この選択入力手段に入力された管理種別に基づいて保管手段に対する被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御する。よって、複数の管理種別の金額データがある場合に、使用者は、表示手段の表示にしたがって管理種別を選択入力して、制御手段で被管理物の取り出しおよび投入が可に制御された保管手段に対して被管理物である貨幣類の取り出しあるいは投入を行い、次の管理種別を選択入力して、制御手段で被管理物の取り出しおよび投入が可に制御された保管手段に対して被管理物である貨幣類の取り出しあるいは投入を行うといった作業を繰り返すことで、出納機に入力された複数の管理種別の貨幣類を重要物管理装置にて一度に処理することができる。つまり、出納機への入力と重要物管理装置での貨幣類の取り出しあるいは投入とを管理種別毎に繰り返す必要がなくなる。したがって、重要物管理装置での貨幣類の取り出しあるいは投入作業の作業性が大幅に向上する。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、管理種別毎の保管手段が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管手段が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管手段を装備することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の各実施形態に係る重要物管理システムの設置状態を示す平面図である。
【図2】本発明の各実施形態に係る重要物管理システムの重要物管理装置を示す正面図である。
【図3】本発明の各実施形態に係る重要物管理システムの重要物管理装置および被管理物等を示すブロック図である。
【図4】本発明の各実施形態に係る重要物管理システムの出納機を示す斜視図である。
【図5】本発明の各実施形態に係る重要物管理システムの出納機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態に係る重要物管理システムを図面を参照して以下に説明する。
第1実施形態に係る重要物管理システム1は、図1に示すように、金融機関等の店舗の建屋2の例えば執務室3のフロア4上に別途設置されるオープン型の重要物管理装置11と、同じく執務室3のフロア4上に別途設置される出納機15とを有している。これら重要物管理装置11と出納機15とは通信ケーブル16を介して互いに通信可能に接続されている。なお、設置の形態はこれに限られるものではなく、例えば、重要物管理装置11と出納機15とを建屋2の別の部屋に設置する等の変更も可能である。
【0020】
建屋2の例えば顧客対応室5のフロア6上には、テラーが使用する窓口機17および顧客が使用するATM19が別途設置されており、出納機15は、各窓口機17に通信ケーブル18を介して通信可能に接続されており、各ATM19にも通信ケーブル20を介して通信可能に接続されている。
【0021】
重要物管理装置11は、図2に示すように、コンポーネント化された複数個の耐火構造の保管体(保管手段)21が選択的に組み合わせられて一体に構成されてなる組立体22を備えている。保管体21は、図3に示す被管理物23の保管を行うもので、管理種別毎に設けられている。保管体21は、大小異なる二つの大きさのものがあり、大きいものには、縦長および横長の二種類がある。
【0022】
具体的に、組立体22は、図2に示すように、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての図3に示す通帳収納袋23(a)を収納する保管部24(A)が上下に二段設けられた小の保管体21(A)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての大束収納袋23(b)、小束収納袋23(c)、棒金収納袋23(d)および紙幣収納袋23(o)を収納する保管部24(B)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(B)と、前面側に引き出される引き出し式であって被管理物23としての硬貨収納袋23(e)を収納する保管部24(C)が上下に二段設けられた横長の大の保管体21(C)とを有している。
【0023】
通帳収納袋23(a)には、一つに複数冊の通帳が収納可能であり、複数の保管部24(A)には、それぞれに複数の通帳収納袋23(a)が収納可能となっている。また、大束収納袋23(b)には、一つに複数個の大束紙幣が収納可能であり、小束収納袋23(c)には、一つに複数束の小束紙幣が収納可能であり、棒金収納袋23(d)には、一つに複数本の棒金硬貨が収納可能であり、紙幣収納袋23(o)には、一つに複数枚のバラ紙幣が収納可能となっている。複数の保管部24(B)には、これらが適宜組み合わせられて複数収納されるようになっている。硬貨収納袋23(e)には、一つに複数枚のバラ硬貨が収納可能であり、複数の保管部24(C)には、それぞれに複数の硬貨収納袋23(e)が収納可能となっている。
【0024】
また、組立体22は、個々に対応する被管理物23としての鍵23(f)を保持する保管部24(D)が前面側に複数設けられた小の保管体21(D)と、前面側に引き出される引き出し式であって個々に対応する被管理物23としてのIDカード23(g)を収納する保管部24(E)が複数設けられた小の保管体21(E)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式であって、図示略の鍵を保持する鍵保持部が複数設けられた被管理物23としての鍵管理機23(h)を収納する保管部24(F)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(F)とを有している。
【0025】
また、組立体22は、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(H)が上下に二段設けられた小の保管体21(H)を有している。保管部24(H)には、被管理物23としての図3に示す金券収納袋23(i)が収納可能となっている。金券収納袋23(i)には、一つに複数枚の小切手・証券類等の金券が収納可能であり、保管部24(H)には、複数の金券収納袋23(i)が収納可能となっている。
【0026】
また、組立体22は、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(G)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(G)と、前面側に引かれて揺動する両側扉式の保管部24(I)が一カ所のみ設けられた小の保管体21(I)と、前面側に引かれて揺動する扉式および前面側に引き出される引き出し式の二種類の保管部24(J)が組み合わされた小の保管体21(J)と、前面側に引かれて揺動する片側扉式の保管部24(K)が一カ所のみ設けられた縦長の大の保管体21(K)と、前面側に引き出される引き出し式の保管部24(L)が上下に二段設けられた縦長の大の保管体21(L)とを有している。
【0027】
ここで、小の保管体21は、正面視正方形をなしており、大の保管体21は、小の保管体21と奥行きは同じであるものの、その一つが、小の保管体21を複数、具体的には二つ組み合わせたものと正面視が同じ大きさとなっている。よって、大の縦長の保管体21に対して同じ高さ範囲に二つの小の保管体21を上下に配置するとこれらの高さが一致することになり、大の横長の保管体21に対して同じ幅範囲に二つの小の保管体21を左右に配置するとこれらの幅が一致することになる。保管体21は、少なくとも大小異なる二つの大きさのものがあれば良く、例えば、大小異なる三つ以上の大きさのものがあっても良い。大小異なる三つの大きさの保管体21がある場合、大の保管体21を小の保管体21の三つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたり、大の保管体21を小の保管体21の四つを並べた大きさとし、中の保管体21を小の保管体21の二つを並べた大きさとしたりすることができる。
【0028】
各保管部24には、それぞれを閉状態でロックする電磁式の図3に示すロック機構27が設けられており、このロック機構27は、ロック解除信号が入力されると保管部24を開放可能にロックを解除する一方、ロック信号が入力されると保管部24を閉状態でロックする。また、各保管部24には、それぞれの開閉状態を検出する開閉検知センサ28が設けられている。
【0029】
また、各被管理物23には、それぞれを識別するための識別情報が記憶されたICタグ29が貼付されており、各保管部24には、それぞれ、各保管部24内にあるICタグ29のみから識別情報を読み出すICタグリーダ30が設けられている。つまり、このICタグリーダ30は、被管理物23に設けられたICタグ29の識別情報の読み出しの有無により、保管体21の各保管部24の個々の被管理物23の保管の有無の判定および被管理物23の特定を行う。
【0030】
具体的に、通帳収納袋23(a)にはICタグ29(a)が貼付されており、通帳収納袋23(a)を保管する保管体21(A)の各保管部24(A)には、それぞれロック機構27(A)、開閉検知センサ28(A)およびICタグリーダ30(A)が設けられている。同様に、大束紙幣を収納する大束収納袋23(b)にはICタグ29(b)が、小束紙幣を収納する小束収納袋23(c)にはICタグ29(c)が、棒金硬貨を収納する棒金収納袋23(d)にはICタグ29(d)が、バラ紙幣を収納する紙幣収納袋23(o)にはICタグ29(o)が、それぞれ貼付されており、これらを保管する各保管部24(B)には、それぞれロック機構27(B)、開閉検知センサ28(B)およびICタグリーダ30(B)が設けられている。同様に、硬貨収納袋23(e)にはICタグ29(e)が貼付されており、硬貨収納袋23(e)を保管する各保管部24(C)には、それぞれロック機構27(C)、開閉検知センサ28(C)およびICタグリーダ30(C)が設けられている。
【0031】
鍵23(f)にはICタグ29(f)が貼付されており、鍵23(f)を保管する各保管部24(D)には、それぞれ鍵23(f)を装着状態である閉状態でロックするロック機構27(D)、装着状態である閉状態にあるか取り外し可能な開状態にあるかを検知する開閉検知センサ28(D)およびICタグリーダ30(D)が設けられている。
【0032】
IDカード23(g)にはICタグ29(g)が貼付されており、IDカード23(g)を保管する各保管部24(E)には、それぞれロック機構27(E)、開閉検知センサ28(E)およびICタグリーダ30(E)が設けられている。鍵管理機23(h)にはICタグ29(h)が貼付されており、鍵管理機23(h)を保管する保管部24(F)には、ロック機構27(F)、開閉検知センサ28(F)およびICタグリーダ30(F)が設けられている。
【0033】
金券収納袋23(i)には、ICタグ29(i)が貼付されており、金券収納袋23(i)を保管する保管部24(H)には、ロック機構27(H)、開閉検知センサ28(H)およびICタグリーダ30(H)が設けられている。
【0034】
同様にして、保管体21(G)の保管部24(G)には、それぞれロック機構27(G)、開閉検知センサ28(G)およびICタグリーダ30(G)が設けられ、保管部24(G)に保管される被管理物23(j)には、ICタグ29(j)が貼付されている。保管体21(I)の保管部24(I)には、それぞれロック機構27(I)、開閉検知センサ28(I)およびICタグリーダ30(I)が設けられ、保管部24(I)に保管される被管理物23(k)には、ICタグ29(k)が貼付されている。保管体21(J)の保管部24(J)には、それぞれロック機構27(J)、開閉検知センサ28(J)およびICタグリーダ30(J)が設けられ、保管部24(J)に保管される被管理物23(l)には、ICタグ29(l)が貼付されている。保管体21(K)の保管部24(K)には、それぞれロック機構27(K)、開閉検知センサ28(K)およびICタグリーダ30(K)が設けられ、保管部24(K)に保管される被管理物23(m)には、ICタグ29(m)が貼付されている。保管体21(L)の保管部24(L)には、それぞれロック機構27(L)、開閉検知センサ28(L)およびICタグリーダ30(L)が設けられ、保管部24(L)に保管される被管理物23(n)には、ICタグ29(n)が貼付されている。
【0035】
また、重要物管理装置11は、前面側に、使用者により操作入力が行われる操作部(管理装置使用者特定手段,管理装置入力手段,在高データ連携手段)35および使用者に表示を行う液晶画面等からなる表示部(表示手段)36を有し、重要物管理装置11を制御する制御部(管理装置使用者特定手段,制御手段,管理装置入力手段,在高データ連携手段)37と、制御プログラム等を記憶するROM38と、重要物管理装置11の各保管部24内に保管される貨幣類の在高データ(保管手段在高データ)等を記憶するRAM(管理装置記憶手段)39とを内蔵する図2に示す一つの制御ユニット40を有している。この制御ユニット40は、操作部35、表示部36、制御部37、ROM38およびRAM39を一体に有してコンポーネント化されており、小の保管体21と正面視で同じ大きさをなしている。そして、重要物管理装置11は、この一つの制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるようになっている。操作部35は、キーボード41およびカードリーダ42を有している。また、制御ユニット40は、上記した通信ケーブル16を介して出納機15との間でデータを送受信する送受信部(管理装置送信手段,在高データ連携手段)43を有している。
【0036】
また、重要物管理装置11は、小の保管体21と同じ大きさにコンポーネント化されたフリー空間形成体45を有している。ここで、重要物管理装置11は、上記した制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて全体として正面視が矩形状をなすことになり、その際に、制御ユニット40も保管体21も配置されない部分を埋めるようにフリー空間形成体45が配置される。フリー空間形成体45は枠状をなしており、内側が空間となっている。フリー空間形成体45が配置されたスペースには、これと交換する形で、後に保管体21を追加可能となっている。
【0037】
そして、制御ユニット40と、複数個の保管体21およびフリー空間形成体45の適宜のものとが、前面を揃えた状態で、隣り合うもの同士が図示略の連結具で連結されることで、正面視矩形状をなす組立体22が組み上がることになる。
【0038】
具体的に、図2に示す組立体22には、通帳収納袋23(a)を収納する小の保管体21(A)が正面から見て左側の上側に上下二段に設けられており、その下側に縦長の大の保管体21(L)が一つ設けられている。また、これら保管体21(A)および保管体21(L)の右隣に、縦長の大の保管体21(K)が上下二段に設けられ、これらの右隣に、上側から順に、制御ユニット40、フリー空間形成体45、小の保管体21(H)、小の保管体21(G)が設けられている。また、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、小の保管体21(J)、小の保管体21(I)が設けられ、これらの右隣に、上側から順に、小の保管体21(D)、小の保管体21(E)、横長の大の保管体21(B)、横長の大の保管体21(C)が設けられている。小の保管体21(D)、小の保管体21(E)の右隣であって、横長の大の保管体21(B)の上側に、縦長の大の保管体21(F)が設けられている。
【0039】
さらに、この組立体22の後側には、各保管体21と制御ユニット40とを通信可能に接続する通信ケーブル等を配索するための図1に示す配索スペース形成カバー47が図示略の連結具で一体的に取り付けられており、これら組立体22および配索スペース形成カバー47で重要物管理装置11が構成されている。なお、高さおよび横幅の異なる配索スペース形成カバー47が複数種類準備されることになり、いずれかの配索スペース形成カバー47と正面視の大きさが合うように、制御ユニット40と、複数個の保管体21とを組み合わせ、必要によりフリー空間形成体45をも組み合わせる。例えば、図2に示す、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21六つ分の幅を有する組立体22の背面を覆う、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する図1に示す配索スペース形成カバー47の他に、例えば、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の五つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の四つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21の四つ分の高さおよび小の保管体21の三つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47、小の保管体21の三つ分の高さおよび小の保管体21の六つ分の幅を有する配索スペース形成カバー47等を、必要に応じて準備する。
【0040】
上記のようにして組み立てられた重要物管理装置11が配索スペース形成カバー47を壁に近接させて例えば執務室3のフロア4上に設置されることになり、これにより、重要物管理装置11の制御ユニット40の前面および複数個の保管体21の前面が執務室3の室内側に向いて設置されることになる。なお、重要物管理装置11は必要により下部に転動ロック付きのキャスタ48が取り付けられることになり、フロア4上での移設が可能になっている。
【0041】
図1に示す出納機15は、被管理物23のうちの紙幣、硬貨および金券等の貨幣類を取り扱うもので、金融機関等の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機15は、例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。
【0042】
図4に示すように、出納機15は、紙幣についての入出金処理等を行う紙幣処理装置55と、紙幣の特に新券についての出金処理等を行う新券処理装置56と、硬貨についての入出金処理等を行う硬貨処理装置57とが左右に並設されて構成されている。
【0043】
紙幣処理装置55は、その前面側の上部に、機外からバラ紙幣が投入されるとともに機内から出金用のバラ紙幣が繰り出されるバラ紙幣入出金口60が設けられている。バラ紙幣入出金口60の下側には、入金処理で受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト口61が設けられている。バラ紙幣入出金口60よりも上側には、機内でバラ紙幣を所定枚数集積して結束してなる小束紙幣を機外に取り出し可能とする束出金口62が設けられている。
【0044】
新券処理装置56には、その前面側の上部に、機内から出金用の新券のバラ紙幣が繰り出される新券出金口65が設けられている。
【0045】
硬貨処理装置57は、その前面側の上部に、機外からバラ硬貨が投入されるバラ硬貨入金口68が設けられている。バラ硬貨入金口68の下側には、入金処理で受け付け不可と判定された入金リジェクト硬貨が機内から繰り出される入金リジェクト口69が設けられている。入金リジェクト口69の下側には、機内から出金用のバラ硬貨が繰り出されるバラ硬貨出金口70が設けられている。前面側の上部には、機内でバラ硬貨を所定枚数集積して包装してなる棒金硬貨を機外に取り出し可能とする棒金出金口71が設けられている。
【0046】
出納機15は、硬貨処理装置57の上部に、使用者により操作入力が行われる操作部75と、使用者に表示を行う液晶画面等からなる表示部76とを有しており、操作部75は、キーボード81およびカードリーダ82を有している。出納機15は、図5に示すように、出納機15を制御する制御部(出納機更新手段,在高データ連携手段)77と、制御プログラム等を記憶するROM78と、出納機15内の在高データ等を記憶するRAM(出納機記憶手段)79と、上記した通信ケーブル16を介して重要物管理装置11との間でデータを送受信する送受信部(出納機受信手段,在高データ連携手段)80を有している。送受信部80は、通信ケーブル18を介して店舗内のすべての窓口機17との間でデータを送受信可能となっており、通信ケーブル20を介して店舗内のすべてのATM19との間でデータを送受信可能となっている。
【0047】
出納機15のRAM79には、出納機15内の在高データを記憶する出納機在高記憶領域85と、重要物管理装置11の各保管部24内に保管される貨幣類の在高データ(保管手段在高データ)を記憶する管理装置在高記憶領域86と、店舗内すべての窓口機17のそれぞれの貨幣類の在高データを記憶する窓口機在高記憶領域87と、店舗内すべてのATM19のそれぞれの貨幣類の在高データを記憶するATM在高記憶領域88と、重要物管理装置11、窓口機17およびATM19のいずれにも装填されずに手元管理される貨幣類の在高データを記憶する手元管理在高記憶領域89とを有している。
【0048】
つまり、出納機15の制御部77は、出金および入金で変動する出納機15内の貨幣類の在高データを出納機在高記憶領域85に記憶するとともに、重要物管理装置11から送信され送受信部80で受信した重要物管理装置11内の貨幣類の在高データを管理装置在高記憶領域86に記憶し、各窓口機17から送信され送受信部80で受信した各窓口機17内の貨幣類の在高データを窓口機在高記憶領域87に記憶し、各ATM19から送信され送受信部80で受信した各ATM19内の貨幣類の在高データをATM在高記憶領域88に記憶し、出納機15から出金および入金される際に操作部75に入力される手元管理の貨幣類の在高データを手元管理在高記憶領域89に記憶する。これにより、出納機15は、店舗内のすべての貨幣類の在高データを一元管理するようになっている。
【0049】
重要物管理装置11においては、入出処理の実行に当たって、使用者が操作部35に使用者識別情報を入力することになる。この使用者識別情報の入力は、キーボード41への使用者ID番号の入力や、カードリーダ42への使用者IDカードの走査によって行われる。使用者識別情報が入力されると、制御部37は、RAM39と照らし合わせてこの入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されているか否かを判断する。制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていなければ、入力された使用者識別情報が適正でない旨を表示部36に表示させる。
【0050】
制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていれば、使用者がこの使用者識別情報を有する使用者であることを特定することになり、この特定された使用者識別情報に関連付けてRAM39に記憶されている取り出しおよび投入可能な被管理物23の管理種別を読み出し、これら管理種別の中から、使用者に取り出しあるいは投入する被管理物23の管理種別の選択入力を促す表示を表示部36に表示させる。ここで、この使用者識別情報に関連してRAM39に記憶された取り出しおよび投入可能な被管理物23の管理種別は、例えば使用者識別情報が一般職員である場合と管理職員である場合とで異なる。
【0051】
上記の表示にしたがって、使用者が、取り出しあるいは投入する被管理物23の管理種別の選択入力を操作部35に入力する種別情報選択入力操作を行うと、制御部37は、管理種別が貨幣類であるか否かを判定する。管理種別が貨幣類である場合には、取り出しであるか投入であるかの入出識別と金額データの入力を促す表示を表示部36に表示させて、入出識別および金額データの入力を待つ。操作部35のキーボード41に入出識別および金額データの入力が行われると、制御部37は、RAM39に記憶されている、それまでの在高データと、操作部35に今回入力された貨幣類の入出識別および金額データとに基づいて、保管体21(B),21(C),21(H)内に保管される貨幣類、つまり重要物管理装置11内に保管される貨幣類の在高データを計算し、この計算値をRAM39に新たな在高データとして更新記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。つまり、操作部35に保管体21(B),21(C),21(H)に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されると、制御部37は、この金額データに基づいて、RAM39の在高データを更新するとともに、更新後の在高データを送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。ここで、重要物管理装置11内に保管される貨幣類の在高データの計算値がマイナスとなる場合、つまり在高を超える取り出し金額が入力された場合には、表示部36にアラーム表示および再入力の誘導ガイダンス表示を表示させる。なお、貨幣類の取り出しの金額データに、使用者識別情報毎に上限値を設定し、上限値以上が入力されたら表示部36にアラームを表示させるようにしても良い。
【0052】
具体的に、管理種別が貨幣類の大束紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、RAM39に記憶されている大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された大束紙幣の金額データを減算した値を、新たな大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM39に記憶されている大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された大束紙幣の金額データを加算した値を、新たな大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。
【0053】
また、管理種別が貨幣類の小束紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、RAM39に記憶されている小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された小束紙幣の金額データを減算した値を、新たな小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM39に記憶されている小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された小束紙幣の金額データを加算した値を、新たな小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。
【0054】
また、管理種別が貨幣類の棒金硬貨であって入出識別が取り出しである場合には、RAM39に記憶されている棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された棒金硬貨の金額データを減算した値を、新たな棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM39に記憶されている棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された棒金硬貨の金額データを加算した値を、新たな棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに、送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。
【0055】
また、管理種別が貨幣類のバラ紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、RAM39に記憶されているバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力されたバラ紙幣の金額データを減算した値を、新たなバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM39に記憶されているバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力されたバラ紙幣の金額データを加算した値を、新たなバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。
【0056】
また、管理種別が貨幣類のバラ硬貨であって入出識別が取り出しである場合には、RAM39に記憶されているバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力されたバラ硬貨の金額データを減算した値を、新たなバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM39に記憶されているバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力されたバラ硬貨の金額データを加算した値を、新たなバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。
【0057】
また、管理種別が金券であって入出識別が取り出しである場合には、RAM39に記憶されている金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された金券の金額データを減算した値を、新たな金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM39に記憶されている金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された金券の金額データを加算した値を、新たな金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとしてRAM39に記憶するとともに送受信部43から出納機15の送受信部80に送信データとして送信する。
【0058】
出納機15においては、上記した新たな大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データからなる送信データを送受信部80で受信すると、制御部77が、RAM79の管理装置在高記憶領域86の大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データを受信したものに置き換えて更新する。同様に、新たな小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データからなる送信データを送受信部80で受信すると、制御部77は、RAM79の管理装置在高記憶領域86の小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データを受信したものに置き換えて更新する。同様に、新たな棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データからなる送信データを送受信部80で受信すると、制御部77は、RAM79の管理装置在高記憶領域86の棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データを受信したものに置き換えて更新する。同様に、新たなバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データからなる送信データを送受信部80で受信すると、制御部77は、RAM79の管理装置在高記憶領域86のバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データを受信したものに置き換えて更新する。同様に、新たなバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データからなる送信データを送受信部80で受信すると、制御部77は、RAM79の管理装置在高記憶領域86のバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データを受信したものに置き換えて更新する。同様に、新たな金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データからなる送信データを送受信部80で受信すると、制御部77は、RAM79の管理装置在高記憶領域86の金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データを受信したものに置き換えて更新する。
【0059】
このように、重要物管理装置11において、操作部35に入力された貨幣類の取り出しおよび投入の金額データに基づいて制御部37がRAM39の在高データを更新するとともに、送受信部43が更新後の在高データを送信データとして出納機15に送信すると、出納機15において、送受信部80が受信した送信データに基づいて制御部77がRAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている重要物管理装置11の在高データを更新する。これにより、RAM39に記憶される重要物管理装置11の在高データと、RAM79に記憶される重要物管理装置11の在高データとを連携させて一致させる。つまり、重要物管理装置11の操作部35、制御部37および送受信部43と、出納機15の送受信部80および制御部77とが、RAM39,79に記憶される重要物管理装置11の在高データを連携させて一致させる。
【0060】
また、出納機15は、出納機15自体の出金データおよび入金データに基づいてRAM79の出納機在高記憶領域85に記憶されている出納機15内の在高データを更新することは勿論、窓口機17の出金データおよび入金データからなる送信データに基づいてRAM79の窓口機在高記憶領域87に記憶されている各窓口機17内の在高データを更新することで、各窓口機17に記憶される各窓口機17の在高データと、RAM79の窓口機在高記憶領域87に記憶される各窓口機17の在高データとを連携させて一致させる。同様に、ATM19の出金データおよび入金データからなる送信データに基づいてRAM79のATM在高記憶領域88に記憶されている各ATM19の在高データを更新することで、各ATM19に記憶される各ATM19の在高データと、RAM79のATM在高記憶領域88に記憶される各ATM19の在高データとを連携させて一致させる。
【0061】
なお、上記のように重要物管理装置11の制御部37が、更新後の在高データを送信データとして出納機15に送信する以外にも、更新前後の差分データを送信データとして出納機15に送信するようにしても良い。この場合、出納機15の制御部77は、RAM79の管理装置在高記憶領域86の在高データに対し、取り出しの場合は差分データを減算して新たな在高データとし、投入の場合は差分データを加算して新たな在高データとすることになる。
【0062】
上記した種別情報選択入力操作において使用者が操作部35に選択入力した管理種別が、通帳、鍵、IDカードおよび鍵管理機等の貨幣類以外である場合に、重要物管理装置11の制御部37は、入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21の保管部24に対し被管理物23の取り出しおよび投入を許可することになる。また、選択入力した管理種別が貨幣類である場合には、上記入出識別および金額データの入力が行われたことを条件に、入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21の保管部24に対し被管理物23の取り出しおよび投入を許可することになる。すると、制御部37は、被管理物23の取り出しおよび投入を許可した保管部24に対しそのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除する。
【0063】
以上により、制御部37は、操作部35に入力された使用者の特定結果である使用者識別情報に基づいて保管体21の保管部24に対する被管理物23の取り出しおよび投入の可否を制御する。なお、この入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21が保管部24を複数有している場合には、それぞれのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除することになる。
【0064】
ロックが解除された保管体21の保管部24に対して、使用者がこれを開放して、被管理物23の取り出しおよび投入の少なくともいずれか一方を行い、これを閉じる。すると、この保管部24に設けられた開閉検知センサ28がこの保管部24が閉状態になったことを検知することになり、これにより、制御部37は、この保管部24に設けられたロック機構27にロック信号を出力して保管体21の保管部24をロックする。なお、ロックが解除された保管体21が保管部24を複数有している場合には、すべての保管部24が閉状態になったことを各開閉検知センサ28で検出すると、すべての保管部24のロック機構27にロック信号を出力してこれらをロックすることになる。今回の入出処理にてロックを解除した保管体21をすべてロックすると、今回の入出処理を終了する。
【0065】
なお、貨幣類の取り出しおよび投入に伴うRAM39の在高データの更新記憶のタイミングおよび出納機15への送信のタイミングは、上記では、操作部35に入出識別および金額データの入力が行われた時点としたが、この入力後に対応する保管部24が開状態になった後に閉状態になったことを開閉検知センサ28で検出した時点、つまり貨幣類が取り出されたと判断した時点としても良い。また、送信データを受信した出納機15のRAM79における保管体21の在高データの更新のタイミングは、上記では送信データを受信した時点としたが、送信データを受信して一時記憶しておき、予め設定された時刻に更新を行うようにしても良い。加えて、送信データを重要物管理装置11に一時記憶しておき、出納機15側からの要求で重要物管理装置11から出納機15に送信するようにしても良い。
【0066】
重要物管理装置11において、上記のようにして保管体21の保管部24の開閉が行われると、制御部37は、開閉が行われた保管部24に対してICタグリーダ30でICタグ29から識別情報を読み取り、この識別情報に基づく保管部24内の被管理物23の残存状況を日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶する。制御部37は、この残存状況と、RAM39に記憶されている今回の開閉の直前の保管部24内の被管理物23の残存状況とから、保管体21の被管理物23の保管の有無である、開閉された保管部24の被管理物23の装置外への取り出しおよび装置への投入の判定を行い、判定結果を表示部36に表示させる。つまり、制御部37は、いずれの識別情報を有する被管理物23が取り出されたか、あるいは投入されたかを判定し、日時情報および使用者識別情報とともにRAM39に記憶するとともに、被管理物23の識別情報と、取り出されたか、投入されたかの区別とを表示部36に表示させる。なお、このとき、制御部37は、保管体21のいずれかに、対応する管理種別とは異なる管理種別の被管理物23が保管されている場合には、保管体21に異種の被管理物23が保管されている旨をこの保管体21の識別情報とともに表示部36に表示させ、アラームを発生させる。
【0067】
なお、取り出されたり投入されたりするものが、大束紙幣である場合、保管部24(B)から大束収納袋23(b)が取り出されたり投入されたりすることなく、大束収納袋23(b)から大束紙幣だけが取り出されたり、大束収納袋23(b)に大束紙幣だけが追加で投入されたりする場合もある。同様に、取り出されたり投入されたりするものが、小束紙幣である場合、保管部24(B)から小束収納袋23(c)が取り出されたり投入されたりすることなく、小束収納袋23(c)から小束紙幣だけが取り出されたり、小束収納袋23(c)に小束紙幣だけが追加で投入されたりする場合もある。同様に、取り出されたり投入されたりするものが、棒金硬貨である場合、保管部24(B)から棒金収納袋23(d)が取り出されたり投入されたりすることなく、棒金収納袋23(d)から棒金硬貨だけが取り出されたり、棒金収納袋23(d)に棒金だけが追加で投入されたりする場合もある。同様に、取り出されたり投入されたりするものが、バラ紙幣である場合、保管部24(B)から紙幣収納袋23(o)が取り出されたり投入されたりすることなく、紙幣収納袋23(o)からバラ紙幣だけが取り出されたり、紙幣収納袋23(o)にバラ紙幣だけが追加で投入されたりする場合もある。
【0068】
制御部37は、RAM39に記憶された上記の情報を、任意のタイミングでの操作部35への入出管理の操作入力により、日時情報別に表示部36に表示させるようになっている。
【0069】
例えば、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、保管体21(あるいは管理種別)の指定操作入力が行われると、指定された保管体21(あるいは管理種別)について、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりいずれの識別情報の被管理物23が保管されていて、いずれの識別情報の被管理物23が取り出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の各識別情報毎の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0070】
また、制御部37は、操作部35へ任意のタイミングで別途照会操作入力が行われて、被管理物23の識別情報の指定操作入力が行われると、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果、つまりこの被管理物23が保管されているか取り出されているかを表示部36に表示させる。あるいは、その時点でICタグリーダ30でICタグ29を読み込んで、被管理物23の保管の有無を判定して、その判定結果を表示部36に表示させる。
【0071】
また、操作部35への操作入力で、ダイヤグラム作成プログラムの実行が指定されると、制御部37は、操作部35への操作入力に基づいて、被管理物23の保管状況を時系列で示すダイヤグラムを各保管体21毎に作成することになり、このダイヤグラムをRAM39に記憶する。
【0072】
そして、制御部37は、所定の時間間隔で、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況と、それまでICタグリーダ30でICタグ29から読み取った識別情報に基づいてRAM39に記憶されている、その時点での被管理物23の各識別情報毎の保管の有無である保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合に、その旨を、表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。これにより、保管状況の相違解消を促すことになる。
【0073】
つまり、例えば、ダイヤグラム上、営業開始前の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から取り出されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)から取り出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に投入されていなければならない場合に、この所定の時刻までに鍵管理機23(h)が保管体21(F)の保管部24(F)に投入されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。同様にして、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に投入されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべての鍵23(f)が保管体21(D)の保管部24(D)に投入されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、ダイヤグラム上、営業終了後の所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に投入されていなければならない場合に、この所定の時刻までにすべてのIDカード23(g)が保管体21(E)の保管部24(E)に投入されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。また、営業開始前の所定の時刻までに本店に配送されるべき被管理物23が保管体21の保管部24から取り出されていなければならない場合に、この所定の時刻までにこの被管理物23が保管体21の保管部24から取り出されていないという不一致があれば、その旨を表示部36に表示するとともに管理者の携帯電話51および管理PC52にメールで送信する。
【0074】
重要物管理装置11の制御部37は、RAM39に更新記憶されることになる上記の計算結果である重要物管理装置11内の貨幣類の在高データを、任意のタイミングでの操作部35への在高管理の操作入力により、表示部36に表示させるようになっている。この表示データは、表示時点での在高データであり、具体的には、大束紙幣が各金種何束ずつあるのかを示す在高データと、小束紙幣が各金種何束ずつあるのかを示す在高データと、棒金硬貨が各金種何本ずつあるのかを示す在高データと、バラ紙幣が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、バラ硬貨が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、金券が各種何枚ずつあるのかを示す在高データと、重要物管理装置11内全体のトータルの貨幣類の在高データとからなっている。
【0075】
また、出納機15の制御部77は、RAM79の出納機在高記憶領域85に記憶されている出納機15内の貨幣類の在高データ、管理装置在高記憶領域86に記憶されている重要物管理装置11内の貨幣類の在高データ、窓口機在高記憶領域87に記憶されている各窓口機17内の貨幣類の在高データ、ATM在高記憶領域88に記憶されている各ATM19内の貨幣類の在高データ、手元管理在高記憶領域89に記憶されている手元管理の在高データ、およびこれらのトータルを、任意のタイミングでの操作部75への在高管理の操作入力により、選択的に表示部76に表示させるようになっている。
【0076】
つまり、表示部76に表示される重要物管理装置11についての表示データは、表示時点での在高データであり、大束紙幣が各金種何束ずつあるのかを示す在高データと、小束紙幣が各金種何束ずつあるのかを示す在高データと、棒金硬貨が各金種何本ずつあるのかを示す在高データと、バラ紙幣が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、バラ硬貨が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、金券が各種何枚ずつあるのかを示す在高データと、重要物管理装置11内全体のトータルの在高データとからなっている。
【0077】
また、表示部76に表示される各窓口機17についての表示データは、各窓口機17それぞれの表示時点での在高データであり、小束紙幣が各金種何束ずつあるのかを示す在高データと、棒金硬貨が各金種何本ずつあるのかを示す在高データと、バラ紙幣が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、バラ硬貨が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、金券が各種何枚ずつあるのかを示す在高データと、これらのトータルの在高データとからなっている。
【0078】
また、表示部76に表示される各ATM19についての表示データは、各ATM19それぞれの表示時点での在高データであり、バラ紙幣が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、バラ硬貨が各金種何枚ずつあるのかを示す在高データと、これらのトータルの在高データとからなっている。
【0079】
以上に述べた第1実施形態の重要物管理システム1によれば、重要物管理装置11に設けられた操作部35、制御部37および送受信部43と、出納機15に設けられた送受信部80および制御部77とが、重要物管理装置11のRAM39に記憶される重要物管理装置11の在高データと、出納機15のRAM79に記憶される重要物管理装置11の在高データとを連携させて一致させるため、重要物管理装置11および出納機15のいずれか一方で重要物管理装置11の貨幣類の在高データを手直しすれば、他方は自動的に一致した重要物管理装置11の貨幣類の在高データとなる。したがって、手間をかけることなく重要物管理装置11の貨幣類の在高データを重要物管理装置11および出納機15の両方で管理することができる。
【0080】
具体的に、重要物管理装置11において、操作部35に、保管体21(B)内の大束紙幣、小束紙幣、棒金硬貨およびバラ紙幣と、保管体21(C)内のバラ硬貨と、保管体21(H)内の金券とに対する取り出しおよび投入の金額データが入力されると、制御部37は、RAM39に記憶されている保管体21(B),21(C),21(H)の在高データをこの金額データに基づいて更新する。そして、制御部37は、送受信部43を介して、更新後の保管体21(B),21(C),21(H)の在高データ(保管体21(B),21(C),21(H)の在高データの更新前後の差分データでも可)を送信データとして出納機15に送信することになり、出納機15は、送受信部80がこの送信データを受信する。すると、出納機15は、制御部77がこの送信データに基づいてRAM79に記憶されている保管体21(B),21(C),21(H)の在高データを更新する。このように、重要物管理装置11側で貨幣類の取り出しおよび投入の金額データを入力すれば、RAM39に記憶される保管体21(B),21(C),21(H)の在高データとRAM79に記憶される保管体21(B),21(C),21(H)の在高データとが更新されるため、手間をかけることなく重要物管理装置11の貨幣類の在高データを重要物管理装置11および出納機15の両方で管理することができる。
【0081】
また、被管理物23が貨幣類である場合に保管体21(B),21(C),21(H)に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが操作部35により入力されると、この入力された貨幣類の金額データに基づいて保管体21(B),21(C),21(H)内に保管される貨幣類の在高データを制御部37が計算し記憶する。そして、必要により、この計算結果を表示部36に表示する。したがって、貨幣類の在高管理を容易に行うことができる。
【0082】
また、重要物管理装置11は、操作部35に使用者識別情報が入力されると、制御部37は、使用者を特定し、この特定結果に基づいて保管体21に対する被管理物23の取り出しおよび投入の可否を制御する。一方で、ICタグリーダ30が、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定すると、制御部37は、この判定結果を表示部36に表示する。そして、重要物管理装置11は、上記した保管体21を管理種別毎に有してフロア4上に設置されることにより、金庫室の代わりに重要物を管理することができるため、専用の金庫室を建屋2に構築する場合と比べて、コストを大幅に低減することができる。また、フロア4に設置されることから、衆人監視環境への設置や、設置先の部屋を監視する監視カメラシステムでの共用監視が可能となり、専用の監視カメラシステムを不要とすることができる。よって、この点からもコストを低減することができる。
【0083】
また、管理種別毎の保管体21が、それぞれコンポーネント化されており、複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、顧客毎に異なる要望に応じた管理種別の保管体21を装備することが容易にできる。しかも、管理種別の保管体21を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0084】
また、大きい保管体21の一つと、小さい保管体21を複数組み合わせたものとが同じ大きさとなるため、大きさの異なる保管体21を容易に装備することができる。よって、上記のように、大きな鍵管理機23(h)を大きな保管体21に、小さい通帳収納袋23(a)を小型の保管体21に保管する等、顧客の要望に応じて効率良く被管理物23を保管することができる。
【0085】
また、操作部35、表示部36および制御部37を含む制御ユニット40が、コンポーネント化されており、この制御ユニット40に複数個の保管体21が選択的に組み合わせられて構成されるため、制御ユニット40をも容易に装備することができる。しかも、制御ユニット40を重要物管理装置11内において顧客が要望する任意の位置に設置することができる。
【0086】
また、保管体21が耐火構造であるため、火災があっても被管理物23を保管することができる。
【0087】
また、制御部37が、ダイヤグラムによる被管理物23の保管状況とICタグリーダ30の判定による被管理物23の保管状況との一致を判断する判断処理を行い、両保管状況に相違がある場合にその旨を表示部36に表示するため、被管理物23の取り出しおよび投入のタイミングの異常発生を表示部36を見た人に認識させることができる。つまり、被管理物23は、その用途および目的によって保管/使用の時間帯がそれぞれ異なるものがあるが、このような場合でも、ダイヤグラムと相違して現在保管されているべき被管理物23が取り出されていないか、逆に現在使用されているべき被管理物23が保管されたままになっていないかを、ほぼリアルタイムに認識でき、その対象となる被管理物23も容易に特定できる。
【0088】
また、判断処理にて両保管状況に相違がある場合に、制御部37が、携帯電話51および管理PC52を介してその旨を管理者に報知するため、被管理物23の取り出しおよび投入のタイミングの異常発生を管理者に認識させることができる。したがって、管理者は速やかに担当者へ是正の処置を行わせることができる。
【0089】
また、制御部37が、保管体21に設けられたICタグリーダ30による、被管理物23に設けられたICタグ29の読み出しの有無により、保管体21の被管理物23の保管の有無を判定するため、保管体21の被管理物23の保管の有無を正確に管理することができる。しかも、所定の管理種別の保管体21に、所定とは異なる管理種別の被管理物23が保管されていないか等をも判定できる。
【0090】
本発明の第2実施形態に係る重要物管理システムを、第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。第2実施形態に係る重要物管理システム1は、第1実施形態に対し制御内容が主に相違している。
【0091】
つまり、第2実施形態において、重要物管理装置11の入出処理の実行に当たっては、まず、使用者が、出納機15において操作部(出納機入力手段,出納機使用者特定手段,在高データ連携手段)75に使用者識別情報を入力することになる。この使用者識別情報の入力は、キーボード81への使用者ID番号の入力や、カードリーダ82への使用者IDカードの走査によって行われる。使用者識別情報が入力されると、制御部(出納機入力手段)77が、RAM79と照らし合わせてこの入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM79に記憶されているか否かを判断する。制御部77は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM79に記憶されていなければ、入力された使用者識別情報が適正でない旨を表示部76に表示させる。
【0092】
制御部77は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM79に記憶されていれば、使用者がこの使用者識別情報を有する使用者であることを特定することになり、この特定された使用者識別情報に関連付けてRAM79に記憶されている、重要物管理装置11において取り出しおよび投入可能な被管理物23の管理種別を読み出し、これら管理種別の中から、使用者に取り出しあるいは投入する被管理物23の管理種別の選択入力を促す表示を表示部76に表示させる。ここで、この使用者識別情報に関連してRAM79に記憶された取り出し可能な被管理物23の管理種別は、例えば使用者識別情報が一般職員である場合と管理職員である場合とで異なる。
【0093】
上記の表示にしたがって、使用者が、取り出しあるいは投入する被管理物23の管理種別の選択入力を操作部75に入力する種別情報選択入力操作を行うと、制御部77は、管理種別が貨幣類であるか否かを判定する。管理種別が、貨幣類である場合には、取り出しであるか投入であるかの入出識別と金額データの入力を促す表示を表示部76に表示させて、入出識別および金額データの入力を待つ。操作部75のキーボード81に入出識別および金額データの入力が行われると、制御部77は、RAM79に記憶されている、それまでの在高データと、操作部75に今回入力された貨幣類の入出識別および金額データとに基づいて、保管体21(B),21(C),21(H)内に保管される貨幣類、つまり重要物管理装置11内に保管される貨幣類の在高データを計算し、この計算値をRAM79の管理装置在高記憶領域86に新たな在高データとして更新記憶するとともに送受信部(出納機送信手段)80から重要物管理装置11の送受信部(管理装置受信手段)43に送信データとして送信する。つまり、操作部75に保管体21(B),21(C),21(H)に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されると、制御部77は、この金額データに基づいて、RAM79の在高データを更新するとともに、更新後の在高データを、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に送信データとして送信する。
【0094】
具体的に、管理種別が貨幣類の大束紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された大束紙幣の金額データを減算した値を、新たな大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、大束紙幣を示す管理種別、取り出しを示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された大束紙幣の金額データを加算した値を、新たな大束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、大束紙幣を示す管理種別、投入を示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。
【0095】
また、管理種別が貨幣類の小束紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された小束紙幣の金額データを減算した値を、新たな小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、小束紙幣を示す管理種別、取り出しを示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された小束紙幣の金額データを加算した値を、新たな小束紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、小束紙幣を示す管理種別、投入を示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。
【0096】
また、管理種別が貨幣類の棒金硬貨であって入出識別が取り出しである場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された棒金硬貨の金額データを減算した値を、新たな棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、棒金硬貨を示す管理種別、取り出しを示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された棒金硬貨の金額データを加算した値を、新たな棒金硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、棒金硬貨を示す管理種別、投入を示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。
【0097】
また、管理種別が貨幣類のバラ紙幣であって入出識別が取り出しである場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されているバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力されたバラ紙幣の金額データを減算した値を、新たなバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、バラ紙幣を示す管理種別、取り出しを示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されているバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力されたバラ紙幣の金額データを加算した値を、新たなバラ紙幣の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、バラ紙幣を示す管理種別、投入を示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。
【0098】
また、管理種別が貨幣類のバラ硬貨であって入出識別が取り出しである場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されているバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力されたバラ硬貨の金額データを減算した値を、新たなバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、バラ硬貨を示す管理種別、取り出しを示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されているバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力されたバラ硬貨の金額データを加算した値を、新たなバラ硬貨の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、バラ硬貨を示す管理種別、投入を示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。
【0099】
また、管理種別が金券であって入出識別が取り出しである場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれから、入力された金券の金額データを減算した値を、新たな金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、金券を示す管理種別、取り出しを示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。また、入出識別が投入である場合には、RAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データのそれぞれに、入力された金券の金額データを加算した値を、新たな金券の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして管理装置在高記憶領域86に更新記憶するとともに、送受信部80から重要物管理装置11の送受信部43に、使用者識別情報、金券を示す管理種別、投入を示す入出識別および入力された金額データと関連づけて、送信データとして送信する。
【0100】
以上により、出納機15は、操作部75に入力された使用者識別情報に基づいて制御部77が使用者を特定することになり、操作部75には金額データが管理種別毎に入力され、送受信部80は、使用者識別情報に関連付けて管理種別毎の金額データを送信データとして重要物管理装置11に送信することになる。
【0101】
上記した大束紙幣の在高データ、重要物管理装置11全体の在高データ、使用者識別情報、大束紙幣を示す管理種別、入出識別および入力された金額データからなる送信データを送受信部43で受信すると、重要物管理装置11の制御部(管理装置更新手段)37は、この送信データを仮のデータとしてRAM39に一時記憶させる。同様に、小束紙幣の在高データ、重要物管理装置11全体の在高データ、使用者識別情報、小束紙幣を示す管理種別、入出識別および入力された金額データからなる送信データを送受信部43で受信すると、重要物管理装置11の制御部37は、この送信データを仮のデータとしてRAM39に一時記憶させる。同様に、棒金硬貨の在高データ、重要物管理装置11全体の在高データ、使用者識別情報、棒金硬貨を示す管理種別、入出識別および入力された金額データからなる送信データを送受信部43で受信すると、重要物管理装置11の制御部37は、この送信データを仮のデータとしてRAM39に一時記憶させる。同様に、バラ紙幣の在高データ、重要物管理装置11全体の在高データ、使用者識別情報、バラ紙幣を示す管理種別、入出識別および入力された金額データからなる送信データを送受信部43で受信すると、重要物管理装置11の制御部37は、この送信データを仮のデータとしてRAM39に一時記憶させる。同様に、バラ硬貨の在高データ、重要物管理装置11全体の在高データ、使用者識別情報、バラ硬貨を示す管理種別、入出識別および入力された金額データからなる送信データを送受信部43で受信すると、重要物管理装置11の制御部37は、この送信データを仮のデータとしてRAM39に一時記憶させる。同様に、金券の在高データ、重要物管理装置11全体の在高データ、使用者識別情報、金券を示す管理種別、入出識別および入力された金額データからなる送信データを送受信部43で受信すると、重要物管理装置11の制御部37は、この送信データを仮のデータとしてRAM39に一時記憶させる。重要物管理装置11全体の在高データの仮のデータは、管理種別に関わらず共通であり、送信データを受信すると順次更新されるようになっている。
【0102】
重要物管理装置11においては、第1実施形態と同様、入出処理に当たって、使用者が操作部(選択入力手段)35に使用者識別情報を入力することになる。制御部37は、入力された使用者識別情報と一致する使用者識別情報がRAM39に記憶されていれば、使用者がこの使用者識別情報を有する使用者であることを特定することになり、この特定された使用者識別情報を有してRAM39に一時記憶されている、出納機15からの送信データである被管理物23の管理種別および金額データを含む仮データを読み出して表示部36に表示させるとともに、使用者にこれらの情報の中から取り出す被管理物23の管理種別の選択入力を促す表示を表示部36に表示させる。つまり、同じ使用者識別情報を有してRAM39に一時記憶されている仮データに、異なる管理種別が複数ある場合、これらを選択できるようにそれぞれの金額データとともに表示部36に表示させる。なお、大束紙幣、小束紙幣、棒金硬貨およびバラ紙幣は、同じ保管体21(B)に収納されているため、同時に選択可能であり、これとは別の保管体21(C)に収納されているバラ硬貨と、保管体21(H)に収納されている金券とについては、別々に選択可能になっている。
【0103】
上記の表示にしたがって、使用者が、取り出す被管理物23の管理種別の選択入力を操作部35に入力する種別情報選択入力操作を行うと、制御部37は、入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21の保管部24に対し被管理物23の取り出しおよび投入を許可することになり、被管理物23の取り出しおよび投入を許可した保管部24に対しそのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除する。
【0104】
ロックが解除された保管体21の保管部24に対して、使用者がこれを開放して、表示部36に表示された金額データおよび入出識別にしたがって、被管理物23の取り出しおよび投入の少なくともいずれか一方を行い、これを閉じる。すると、この保管部24に設けられた開閉検知センサ28がこの保管部24が閉状態になったことを検知することになり、これにより、制御部37は、この保管部24に設けられたロック機構27にロック信号を出力して保管体21の保管部24をロックする。なお、ロックが解除された保管体21が保管部24を複数有している場合には、すべての保管部24が閉状態になったことを各開閉検知センサ28で検出すると、すべての保管部24のロック機構27にロック信号を出力してこれらをロックすることになる。
【0105】
このようにして、表示部36に表示された管理種別の選択入力と、入力された管理種別を持った被管理物23の取り出しおよび投入の少なくともいずれか一方との組み合わせの作業が、表示部36に表示されたものすべてについて順次行われることになる。その際に、使用者は表示された管理種別と金額データとに基づいて取り出しあるいは投入を行う。なお、制御部37は、保管場所である保管部24が開状態から閉状態になったことが検出された管理種別、つまり取り出しあるいは投入が行われた管理種別については、表示部36の選択項目から消去する。よって、表示部36からすべての管理種別が消去されると、入出処理が完了したと使用者は判断する。
【0106】
以上により、重要物管理装置11は、操作部35に入力された使用者識別情報に基づいて制御部37が使用者を特定すると、表示部36が、出納機15の送信データから当該使用者識別情報に関連付けられた管理種別毎の金額データを表示することになり、操作部35に、表示部36に表示された管理種別の中から管理種別が選択入力される。そして、制御部37は、操作部35に入力された管理種別に基づいて保管体21の保管部24に対する被管理物23の取り出しおよび投入の可否を制御する。なお、この入力された管理種別の被管理物23を収納している保管体21が保管部24を複数有している場合には、それぞれのロック機構27にロック解除信号を出力してロックを解除することになる。
【0107】
上記において、制御部37は、保管体21の開閉検知センサ28が保管部24が開状態になった後に閉状態になったことを検知すると、RAM39に一時記憶されていた仮のデータを、管理種別毎の在高データおよび重要物管理装置11全体の在高データとして置き換えて重要物管理装置11のRAM39に更新記憶する。
【0108】
例えば、保管体21(B)の開閉検知センサ28(B)が保管部24(B)が開状態になった後に閉状態になったことを検知すると、RAM39に一時記憶されていた仮の大束紙幣の在高データがあれば、これをRAM39の大束紙幣の正規の在高データに置き換えて正規の在高データを更新するとともに、仮の大束紙幣の在高データを消去する。同様に、RAM39に一時記憶されていた仮の小束紙幣の在高データがあれば、これをRAM39の小束紙幣の正規の在高データに置き換えて正規の在高データを更新し、仮の小束紙幣の在高データを消去する。同様に、RAM39に一時記憶されていた仮の棒金硬貨の在高データがあれば、これをRAM39の棒金硬貨の正規の在高データに置き換えて正規の在高データを更新し、仮の棒金硬貨の在高データを消去する。同様に、RAM39に一時記憶されていた仮のバラ紙幣の在高データがあれば、これをRAM39のバラ紙幣の正規の在高データに置き換えて正規の在高データを更新し、仮のバラ紙幣の在高データを消去する。
【0109】
また、例えば、保管体21(C)の開閉検知センサ28(C)が保管部24(C)が開状態になった後に閉状態になったことを検知すると、RAM39に一時記憶されていた仮のバラ硬貨の在高データを、正規のバラ硬貨の在高データとして置き換えてRAM39に更新記憶し、仮のバラ硬貨の在高データを消去する。
【0110】
また、例えば、保管体21(H)の開閉検知センサ28(H)が保管部24(H)が開状態になった後に閉状態になったことを検知すると、RAM39に一時記憶されていた仮の金券の在高データを、正規の金券の在高データとして置き換えてRAM39に記憶し、仮の金券の在高データを消去する。
【0111】
また、仮のデータの中の重要物管理装置11全体の在高データを、正規の重要物管理装置11全体の在高データとして置き換えてRAM39に記憶し、仮の重要物管理装置11全体の在高データを消去する。
【0112】
以上のように、重要物管理装置11の制御部37は、出納機15からの送信データに基づいてRAM39に記憶されている貨幣類の在高データを更新する。
【0113】
このようにして、第2実施形態では、出納機15において、操作部75への入力に基づいて制御部77がRAM79の管理装置在高記憶領域86に記憶されている重要物管理装置11の在高データを更新するとともに更新後の在高データを送受信部80から送信データとして送信すると、重要物管理装置11において、送受信部43が送信データを受信して制御部37がRAM39に記憶されている重要物管理装置11の在高データを更新する。これにより、RAM39に記憶される重要物管理装置11の在高データと、RAM79に記憶される重要物管理装置11の在高データとを連携させて一致させる。つまり、出納機15の操作部75、制御部77および送受信部80と、重要物管理装置11の送受信部43および制御部37とが、RAM39,79に記憶される重要物管理装置11の在高データを連携させて一致させる。
【0114】
なお、出納機15のRAM79に記憶されている保管体21の在高データの更新のタイミングを、上記のように操作部75への入力時点とするのではなく、重要物管理装置11のRAM39に記憶されている在高データの更新のタイミングとしても良い。つまり、重要物管理装置11のRAM39に記憶されている在高データを更新する際に、重要物管理装置11から出納機15にも同じ更新データを送信して、この更新データに基づいてRAM79に記憶されている保管体21の在高データを更新するようにしても良い。
【0115】
以上に述べた第2実施形態の重要物管理システムによれば、出納機15の操作部75に、重要物管理装置11の保管体21に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されると、出納機15の制御部77は、RAM79に記憶されている保管体21の在高データをこの金額データに基づいて更新する。そして、出納機15の送受信部80が、更新後の在高データを送信データとして重要物管理装置11に送信することになり、重要物管理装置11は、送受信部43がこの送信データを受信する。すると、重要物管理装置11の制御部37がこの送信データに基づいて重要物管理装置11のRAM39に記憶されている保管体21の在高データを更新する。このように、出納機15側で保管体21に対する貨幣類の取り出しおよび投入の金額データを入力すれば、出納機15のRAM79に記憶される保管体21の在高データと、重要物管理装置11のRAM39に記憶される保管体21の在高データとが更新されるため、手間をかけることなく重要物管理装置11の貨幣類の在高データを重要物管理装置11および出納機15の両方で管理することができる。
【0116】
また、出納機15側で入力が行えるため、出納機15において、他の入力と操作入力方法や操作画面を共通に構成可能であり、操作性が向上する。加えて、重要物管理装置11側の表示部や操作部をなくすことも可能になり、このように構成すればコストを低減することができる。
【0117】
また、出納機15の操作部75に金額データが管理種別毎に入力されると、出納機15の制御部77は、出納機15のRAM79に記憶されている保管体21の在高データをこの金額データに基づいて更新する。そして、出納機15の送受信部80が、この管理種別毎の金額データを、更新後の保管体21の在高データとともに、使用者を特定する使用者識別情報に関連付けて送信データとして重要物管理装置11に送信することになり、重要物管理装置11は、その送受信部43がこの送信データを受信する。すると、重要物管理装置11では、制御部37がこの送信データに基づいてRAM39に記憶されている保管体21の在高データを更新するとともに、操作部35が入力された識別情報に基づいて使用者を特定すると、表示部36が、送信データから当該使用者の識別情報に関連付けられた管理種別毎の金額データを表示する。そして、表示部36に表示された管理種別の中から管理種別が操作部35に選択入力されると、制御部37が、この操作部35に入力された管理種別に基づいて保管体21に対する被管理物23の取り出しおよび投入の可否を制御する。よって、複数の管理種別の金額データがある場合に、使用者は、表示部36の表示にしたがって管理種別を選択入力して、制御部37で被管理物23の取り出しおよび投入が可に制御された保管体21に対して被管理物23である貨幣類の取り出しあるいは投入を行い、次の管理種別を選択入力して、制御部37で被管理物23の取り出しおよび投入が可に制御された保管体21に対して被管理物23である貨幣類の取り出しあるいは投入を行うといった作業を繰り返すことで、出納機15に入力された複数の管理種別の貨幣類を重要物管理装置11にて一度に処理することができる。つまり、出納機15への入力と重要物管理装置11での貨幣類の取り出しあるいは投入とを管理種別毎に繰り返す必要がなくなる。したがって、重要物管理装置11での貨幣類の取り出しあるいは投入作業の作業性が大幅に向上する。
【0118】
なお、以上のように出納機15の制御部77が、更新後の在高データを送信データとして重要物管理装置11に送信する以外にも、更新前後の差分データを送信データとして重要物管理装置11に送信するようにしても良く、この場合、重要物管理装置11の制御部37は、RAM39に記憶されている在高データに対し、取り出しの場合は差分データを減算して仮の在高データとし、投入の場合は差分データを加算して仮の在高データとすることになる。
【符号の説明】
【0119】
4 フロア
11 重要物管理装置
21 保管体(保管手段)
23 被管理物
35 操作部(管理装置使用者特定手段,管理装置入力手段,在高データ連携手段,選択入力手段)
36 表示部(表示手段)
37 制御部(管理装置使用者特定手段,制御手段,管理装置入力手段,在高データ連携手段,管理装置更新手段)
39 RAM(管理装置記憶手段)
43 送受信部(管理装置送信手段,在高データ連携手段,管理装置受信手段)
75 操作部(出納機入力手段,出納機使用者特定手段,在高データ連携手段)
77 制御部(出納機更新手段,在高データ連携手段,出納機入力手段)
79 RAM(出納機記憶手段)
80 送受信部(出納機受信手段,在高データ連携手段,出納機送信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被管理物の保管を行う保管手段を管理種別毎に有してフロア上に設置される重要物管理装置と、
該重要物管理装置に通信可能に接続されるとともに前記被管理物のうちの貨幣類を取り扱う出納機とを有する重要物管理システムであって、
前記重要物管理装置は、
入力された識別情報に基づいて使用者を特定する管理装置使用者特定手段と、
該管理装置使用者特定手段の特定結果に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御する制御手段と、
前記保管手段内に保管される前記貨幣類の保管手段在高データを記憶する管理装置記憶手段と、を有し、
前記出納機は、
前記保管手段在高データを記憶する出納機記憶手段を有し、
前記重要物管理装置および前記出納機には、前記管理装置記憶手段の前記保管手段在高データと前記出納機記憶手段の前記保管手段在高データとを連携させて一致させる在高データ連携手段が設けられていることを特徴とする重要物管理システム。
【請求項2】
前記重要物管理装置は、
前記保管手段に対する前記貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されるとともに前記管理装置記憶手段の前記保管手段在高データを前記金額データに基づいて更新する管理装置入力手段と、
前記更新後の前記保管手段在高データまたは前記保管手段在高データの前記更新前後の差分データを送信データとして前記出納機に送信する管理装置送信手段と、を有し、
前記出納機は、
前記送信データを受信する出納機受信手段と、
前記送信データに基づいて前記出納機記憶手段の前記保管手段在高データを更新する出納機更新手段と、を有し、
これら管理装置入力手段、管理装置送信手段、出納機受信手段および出納機更新手段が、前記在高データ連携手段を構成することを特徴とする請求項1記載の重要物管理システム。
【請求項3】
前記出納機は、
前記保管手段に対する前記貨幣類の取り出しおよび投入の金額データが入力されるとともに前記出納機記憶手段の前記保管手段在高データを前記金額データに基づいて更新する出納機入力手段と、
前記更新後の前記保管手段在高データまたは前記保管手段在高データの前記更新前後の差分データを送信データとして前記重要物管理装置に送信する出納機送信手段と、を有し、
前記重要物管理装置は、
前記送信データを受信する管理装置受信手段と、
前記送信データに基づいて前記管理装置記憶手段の前記保管手段在高データを更新する管理装置更新手段と、を有し、
これら出納機入力手段、出納機送信手段、管理装置受信手段および管理装置更新手段が、前記在高データ連携手段を構成することを特徴とする請求項1記載の重要物管理システム。
【請求項4】
前記出納機は、
入力された識別情報に基づいて使用者を特定する出納機使用者特定手段を有し、
前記出納機入力手段には前記金額データが管理種別毎に入力され、
前記出納機送信手段は、前記識別情報に関連付けて前記管理種別毎の金額データを前記送信データとして前記重要物管理装置に送信することになり、
前記重要物管理装置は、
前記管理装置使用者特定手段が入力された識別情報に基づいて使用者を特定すると、前記送信データから当該使用者の識別情報に関連付けられた前記管理種別毎の金額データを表示する表示手段と、
該表示手段に表示された管理種別の中から管理種別が選択入力される選択入力手段と、を有し、
前記制御手段は、前記選択入力手段に入力された管理種別に基づいて前記保管手段に対する前記被管理物の取り出しおよび投入の可否を制御することを特徴とする請求項3記載の重要物管理システム。
【請求項5】
管理種別毎の前記保管手段は、それぞれコンポーネント化されており、複数個の前記保管手段が選択的に組み合わせられて前記重要物管理装置が構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の重要物管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−97611(P2013−97611A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240504(P2011−240504)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】