説明

重量ランク判定機能付搬送装置

【課題】選別対象物の重量ランクを判定することができ,かつ、選別対象物を移動又は運搬する運搬装置としても使用可能な重量ランク判定機能付搬送装置を提供する。
【解決手段】リフト部2と、このリフト部2に設けられる計量部3と、リフト部2の上下動及び進行方向を操作する操作部4と、リフト部2の走行を可能にする走行部6と、重量ランク判定基準データ13を格納するメモリ部7と、複数の選別対象物18を収容器17に収容したままリフト部2で持ち上げた状態から,収容器17内の選別対象物18を1つ取り出した際の計量部3における計測値の変化量,及び,メモリ部7に格納される重量ランク判定基準データ13に基づいて,収容器17から取り出された1つの選別対象物18の重量ランクを判定する演算処理部8と、この演算処理部において得られた重量ランク判定結果を表示する表示部9とを有する重量ランク判定機能付搬送装置1による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別対象物の重量ランクを判定することができ,かつ、単数又は複数の選別対象物を移動又は運搬するための運搬装置としても使用可能な重量ランク判定機能付搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、収穫された農産物は、重量に基づいて選別され、各等級毎にまとめて梱包するなどして市場に出荷されている。
この場合、生産者は農産物を出荷するにあたり、あらかじめ個々の農産物をその重量に基づいて選別しておく必要があった。
従来公知の重量ランク選別装置は、例えば、複数の選別対象物を容器ごと計量機能を有する選別装置に載せ、作業者が容器から選別対象物を1つずつ取り上げる毎に、その選別対象物の重量ランクが文字表示や音声出力などの手段により作業者に通知されるよう構成されており、選別すべき選別対象物が比較的小さく、複数の選別対象物が収容された収容器を使用者が持ち上げることができる場合は、支障なく選別対象物の選別作業を行うことができた。
しかしながら、個々の選別対象物が、例えば、大根やかぼちゃ、白菜のように大型で重量がある場合は、複数の選別対象物を収容した容器を作業者が持ち上げることは容易ではないので、上述のような従来公知の重量ランク選別装置を用いて選別作業を行うことはできなかった。
【0003】
この場合、選別対象を1つずつ作業者が取り上げて秤で計量して選別を行うか、あるいは、選別対象物を自動搬送する設備を備えた大型の選別装置を用いて、人の手に因らず選別作業をするなどの方法が採用されていた。
前者の場合は、選別作業の作業効率を向上し難いという課題があり、後者の場合は、選別装置が大型であるため設置場所の確保が難しい上、選別装置自体が高価であるため中・小規模の農家は選別装置の導入が難しいという課題があった。
このため、個々の選別対象物が大型で重量があり、それを複数個まとめて人手で持ち上げることが難しい場合に、効率よく選別対象物の選別作業を行うことができ、かつ、装置自体が小型である選別手段(選別装置)の開発が望まれていた。
本願発明と同一の課題を有する先行技術文献は現時点では発見されていないが、関連する分野の先行技術文献としては以下に示すようなものが知られている。
【0004】
特許文献1には「重量ランク選別機」という名称で、1個当たりの重量にバラツキのある被計量物を多数容器に入れて計量機に載せ、1個ずつ取り出して重量ランク毎に選別する重量ランク選別機に関する考案が開示されている。
特許文献1に開示される重量ランク選別機は、量検出器と、ランク指定キーやランク確認キー等を有するキー入力部と、被計量物の重量や選別された重量ランクを表示する表示装置と、そのランクを音声出力する音声出力装置と、上記重量検出された重量信号と予め設定された重量ランク範囲とを比較演算して出力する演算装置と、設定された重量ランク範囲及び検出された被計量物の重量ランクを記憶する記憶装置とを有する減算式計量機において、被計量物の重量検出によりランク表示及び又はランク音声が出力され、その表示等が一旦終了したあと、そのランクの再確認を必要とするとき、ランク確認キーを押すことにより一時的に記憶されたランクを呼び出して上記ランク表示及び又はランク音声が確認できるようにしたことを特徴とするものである。
上述のような特許文献1に開示される考案によれば、バラツキのある被計量物を容器から取り出す際に、作業者は、その被計量物のランクを文字表示又は音声出力により知ることができる。
また、作業者が表示を見て重量選別ランクを確認するとき、ランク確定の瞬間に載台に手が触れる等で重量変化が起こり、確定ランク表示を見逃してしまうか又はランクの音声出力を聞き漏らしてしまったときでも、その被計量物を再びコンテナに入れて取り出し直す必要がなく、ランク確認キーを押すことで一時記憶された確定ランクを再表示及び又は音声の再出力ができるので、作業効率を低下させず確実な重量ランク選別ができる。
【0005】
特許文献2には「ハンドパレットの駆動装置」という名称で、人力で駆動されるハンドパレットの容易な初期駆動を目的とするハンドパレットの駆動装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は本願発明に直接的に関連するものではないが、人力で駆動されるハンドパレットが開示されている。
また、ここでは具体的な文献は提示しないが、特許文献2に開示されるような形態のハンドパレットにおける荷物積載台21に計量器を備えて、搬送する荷物の重量を計測できる「ハンドパレットスケール」も公知の技術として知られている。
特許文献2に開示される発明によれば、重量の大きな荷物を人力で持ち上げて容易に搬送することができる。
また、特許文献2に開示される発明を応用した「ハンドパレットスケール」によれば、特許文献2に開示される発明と同じ効果に加えて、作業者は荷物の搬送時に、その荷物の重量を知ることができる。
【0006】
特許文献3には「フオークリフト用重量測定システム」という名称で、倉庫と事務所が遠く離れている営業倉庫等で不定貫の荷の重量を簡易に測定でき、無線RANとの組み合わせで在庫管理の効率を向上させることを目的としたフオークリフト用重量測定システムに関する考案が開示されている。
特許文献3に開示されるフオークリフト用重量測定システムは、車体部分に立設したマストオークを係止するフオークリフトにおいて,上記マストに配したリフトシリンダのロッドの上部にチェーンホイールを回動自在に装着し,上記リフトブラケットに該チェーンホイールを周回するチェーンの一端を,上記チェーンの張力によって上下動する移動部材に他端を固着し,該移動部材とマストに固定した固定部材との間の上記移動部材の上面にロードセンサを設け、該ロードセンサからの検知信号を重量データに変換する重量変換回路と該重量変換回路にて変換された変換信号を無線により伝送する制御装置及び該変換信号を可視データに変換するディスプレイを上記車体に設けたことを特徴とするものである。
上述のような特許文献3に開示される考案によれば、荷物の搬送時にその重量を計測して、その重量データを電子データとして保存することができる。
【0007】
特許文献4には「果実の選別方法とその設備」という名称で、果実の選別方法とその設備に関する発明が開示されている。
特許文献4に開示される発明は、本願発明と同一出願人によるものであり、その構成は、減算表示可能な計算台と、農園から来た果実入コンテナを載せて上記計量台上またはそのそばまで送込むコンテナ用コンベアと、上記計算台上から空コンテナを運び出す排出コンベアと、上記計算台付近の作業者が見易い位置に設けた上記計量台の表示盤と、上記作業者の手近に配置した全重量区分それぞれの箱の受台と、上記受台上で果実を満たされた箱を載せて次工程へ送る満箱コンベアとを備え、上記表示盤は、計量台上のコンテナから作業者が果実を一個取出すごとに、その一個の重量区分符号を表示することを特徴とするものである。
上述のような特許文献4に開示される発明の場合、作業者はコンテナから果実を取り出した瞬間、その重量区分を表示盤で直読し、直ちに該当する箱に納めることができるので、選別作業にかかる労力や時間を大幅に節減することができる。
さらに、計量台、作業者のまわりにコンテナ用送込み、排出コンベア、満箱コンベアを集めたことで、人手により持ち上げることができないくらい果実が満載されてコンテナが重たい場合でも、支障なく果実の選別作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実登3027356号公報
【特許文献2】特開2000−118405号公報
【特許文献3】実全平4−88499号公報
【特許文献4】特公平3−33391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示される発明は、複数の選別対象物を収容した容器を人手により持ち上げて軽量機上に載置できることを前提とした技術であり、複数の選別対象物を収容した容器が人手により持ち上げられない場合については何ら想定されていない。このため、特許文献1に開示される発明に、複数の選別対象物を人手に因らず持ち上げるための構成を付加する必要性については、開示はおろか示唆や言及までも全く無い。
【0010】
特許文献2に開示されるハンドパレットは、人手により持ち上げられない荷物を持ち上げて搬送するためのものであり、複数の選別対象物を収容した容器を持ち上げることができるものの、個々の選別対象物の重量ランクを選別する必要性については何ら想定されていない。従って、特許文献2に開示される発明に個々の選別対象物の重量ランクを選別するための構成を付け加えることについては、開示はおろか示唆や言及までも全く無い。
また、特許文献2に開示される発明を応用した「ハンドパレットスケール」の場合,及び,特許文献3に開示される考案の場合は、複数の選別対象物を収容した容器を持ち上げてその重量を計測することはできるものの、個々の選別対象物の重量ランクを選別する必要性については、開示やおろか示唆や言及までも全くない。このため、特許文献2に開示される発明を応用した「ハンドパレットスケール」の場合,及び,特許文献3に開示される考案に、特許文献1に開示される発明を組み合わせことの必要性は見出されていなかった。
【0011】
特許文献4に開示される発明によれば、複数の選別対象物を収容した容器が人手により持ち上げられない場合でも、作業者の周囲に搬送用のコンベアを配設することで選別対象物の搬送が容易になり選別作業を行うことが可能になるが、装置自体が大型であるため、装置を設置するための広いスペースを確保する必要があった。このため、中・小規模の農家では特許文献4に開示されるような果実の選別設備を導入することは難しかった。
さらに、特許文献4に開示される発明の場合、複数の選別対象物を収容した容器の運搬や移動に関する課題は、コンベアを備えることにより既に解決済であるため、特許文献4に開示される技術内容に、特許文献2,3に開示される技術内容を組み合わせる必要性は特になかった。
また、特許文献4に開示される発明の場合、コンベアが配置されている領域にしか荷物を搬送することができないので、設備自体が大型で高価な割にはその汎用性が低かった。
【0012】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、人手により持ち上げることができないような,複数又は単数又は一塊の選別対象物を人手に因ることなく持ち上げることができ、その際に、持ち上げた物品の重量を計測することができ、さらに、その計測値を利用して個々の又は一塊の選別対象物の重量ランクを判定することができ、しかも、小回りの利く搬送装置として重量物の搬送にも用いることができる重量ランク判定機能付搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である重量ランク判定機能付搬送装置は、収容器に収容された複数の選別対象物を,収容器ごと持ち上げるフォーク状のリフト部と、このリフト部に設けられ,リフト部上に載置される複数の選別対象物と,収容器との総重量を計量する計量部と、リフト部の上下動,及び,リフト部の進行方向を操作する操作部と、床面上又は地表面上におけるリフト部の走行を可能にする走行部と、重量ランクを判定するための重量ランク判定基準データを格納するメモリ部と、複数の選別対象物を収容器に収容したままリフト部で持ち上げた状態から,収容器内の選別対象物を1つ取り出した際の計量部における計測値の変化量,及び,メモリ部に格納される重量ランク判定基準データに基づいて, 収容器から取り出された1つの選別対象物の重量ランクを判定する演算処理部と、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を表示する表示部とを有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、リフト部は、収容器に収容された複数の選別対象物を,収容器ごと持ち上げるという作用を有する。また、計量部はリフト部に設けられ,リフト部上に載置される複数の選別対象物と,収容器との総重量を計量するという作用を有する。さらに、操作部は、リフト部の上下動,及び,リフト部の進行方向を操作するという作用を有する。そして、走行部は、床面上又は地表面上におけるリフト部の走行を可能にするという作用を有する。
また、メモリ部は、重量ランクを判定するための重量ランク判定基準データを格納するという作用を有する。さらに、演算処理部は、複数の選別対象物を収容器に収容したままリフト部で持ち上げた状態から,収容器内の選別対象物を1つ取り出した際の計量部における計測値の変化量,及び,メモリ部に格納される重量ランク判定基準データに基づいて, 収容器から取り出された1つの選別対象物の重量ランクを判定するという作用を有する。そして、表示部は、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を目視により確認可能に表示するという作用を有する。
さらに、請求項1記載の発明は、リフト部、走行部及び操作部を備えることで、人手により持ち上げることのできない重量物を持ち上げて、所望の位置にまで移動・搬送するという作用を有する。
【0014】
請求項2記載の発明である重量ランク判定機能付搬送装置は、請求項1記載の重量ランク判定機能付搬送装置であって、表示部の向き,及び,表示部の鉛直方向における高さは、変更可能であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、表示部の向き,及び,表示部の鉛直方向における高さを変更可能とすることで、作業者の立位置から表示部を見え易くするという作用を有する。
【0015】
請求項3記載の発明である重量ランク判定機能付搬送装置は、請求項1又は請求項2に記載の重量ランク判定機能付搬送装置であって、重量ランク判定機能付搬送装置は、音声出力部を備え、メモリ部は、重量ランク判定基準データに加えて,重量ランク判定結果を音声出力するための音声出力データを格納することを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ作用に加えて、音声出力部、及び、音声出力データを備えることで、作業者に重量ランク判定結果を音声で伝えるという作用を有する。
【0016】
請求項4記載の発明である重量ランク判定機能付搬送装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置であって、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を外部に無線又は有線により出力するためのデータ出力部を備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載される発明の作用と同じ作用に加えて、データ出力部を備えることで、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を無線又は有線により外部に出力するという作用を有する。
【0017】
請求項5記載の発明である重量ランク判定機能付搬送装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置であって、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を印刷出力するための印刷出力部を備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項4のそれぞれに記載される発明の作用と同じ作用に加えて、印刷出力部を備えることで、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を印刷出力するという作用を有する。
【0018】
請求項6記載の発明である重量ランク判定機能付搬送装置は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置であって、リフト部と,走行部と,操作部とに代えて、フォークリフトを備え、計量部は、フォークリフトのフォークに設けられることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項5のそれぞれに記載される発明におけるリフト部,走行部及び操作部に関する機能をフォークリフトにより担うものであり、その作用は、請求項1乃至5に記載の発明と同じである。
また、請求項6記載の発明によれば、より重量の大きい物品の持ち上げ及び搬送を可能にするという作用を有する。
【0019】
請求項7記載の発明である重量ランク判定機能付搬送装置は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置であって、リフト部は、収容器に収容された複数の選別対象物に代えて,単数又は一塊の選別対象物を持ち上げ、演算処理部は、単数又は一塊の選別対象物を持ち上げた際に計量部において計測される計測値,及び,メモリ部に格納される重量ランク判定基準データに基づいて, 単数又は一塊の前記選別対象物の重量ランクを判定することを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項6のそれぞれに記載される発明において、リフト部により持ち上げられる選別対象物が複数個でなく、単数の場合,又は,リフト部により持ち上げられる1塊の物品の集合体を1つの選別対象物として取り扱う場合の重量ランク判定機能付搬送装置を、上記請求項1乃至6に記載される発明と異なる発明として捉えたものであるが、リフト部において持ち上げる選別対象物の数が異なる点、及び、演算処理部において重量ランクを判定する際の手順が異なる点以外は、請求項1乃至請求項6のそれぞれに記載される発明と同じ構成から成るものである。
このため、請求項7記載の発明の作用は、リフト部により持ち上げられる選別対象物が単数,又は,一塊の物品の集合体である点、および、演算処理部において選別対象物の重量ランク判定結果が、計量部において計測される計測値の変化量ではなく,計量部において計測される計測値に基づいて求められる点以外は、請求項1乃至請求項6記載のそれぞれに記載される発明の作用と同じである。
【発明の効果】
【0020】
本願請求項1記載の発明によれば、人手では持ち上げることができないほど重い,複数の選別対象物が収容された容器体を、人手に因らず持ち上げることができるとともに、その際に、リフト部により持ち上げられた複数の選別対象物と収容器の総重量を計量部により計量することができる。
さらに、請求項1記載の発明では、演算処理部及びメモリ部を備えることで、リフト部で持ち上げられた複数の選別対象物から、収容器内の選別対象物を1つ取り出した際に、計量部における計測値の変化量に基づいて、取り出された選別対象物の重量ランクを判定することができる。また、表示部を備えることで、作業者は、その重量ランク判定結果をその場で、目視により確認することができる。
従って、請求項1記載の発明によれば、個々の選別対象物の重量が大きいために、複数の選別対象物が収容された収容器を人手により持ち上げることができない場合でも、人手に因らずそれらを持ち上げてその総重量を計量することができる。そして、リフトにより複数の選別対象物が持ち上げられた状態から、1つの選別対象物を取り上げた際に、減算方式によりその選別対象物の重量ランクを判定して作業者に知らせることができる。
この場合、個々の選別対象物を一つずつ人手により,従来公知の計量機又は重量ランク選別機まで運んで載置する作業を行いながら,個々の選別対象物の重量ランクを判定する場合に比べて、重量ランクの判定作業の作業効率を飛躍的に向上させることができる。
つまり、請求項1記載の発明によれば、個々の選別対象物を一つずつ人手により従来公知の計量機又は重量ランク選別機まで運ぶ作業を省略することができるので、選別作業にかかる時間を短くすることができる。
また、この場合、作業者が選別対象物に触れる機会を確実に減らすことができるので、選別対象物が傷んだり、汚損したりするリスクを小さくすることができる。特に、選別対象物が農産物や水産物等のように,人手が触れることで傷みが生じやすいものである場合には、選別対象物の品質の低下を好適に抑えることができる。
また、請求項1記載の発明は、選別対象物の重量ランク判定装置としてだけ使用されるものではなく、重量物の搬送装置としても使用することができる。
しかも、請求項1記載の発明は、従来公知の重量物の搬送装置である、ハンドパレットスケールや、フォークリフトと同程度の大きさであるため、装置自体の占有面積が小さく、必要に応じて自由に装置を移動させることができるので便利である。
また、請求項1記載の発明は、従来公知の重量物の搬送装置の一部を改良するだけで、重量ランク判定装置としての機能を付加することができるので、請求項1記載の発明の製造コストを廉価にすることができる。
よって、請求項1記載の発明によれば、重量ランク判定装置としても、重量物の移動・搬送装置としても使用することができる汎用性の高い装置を提供することができる。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、作業者がリフト部の前方側に立っても、リフト部の左右側面側のどちらに立っても、表示部を作業者の立位置から見易い向き及び高さに変えることができる。
これにより、選別対象物の選別作業の作業性を向上することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ効果に加えて、作業者に、リフト部上から取り上げられた選別対象物の重量ランク判定結果を音声により知らせることができる。この場合、作業者は選別対象物の重量ランク判定結果を、表示部を見なくとも知ることができるので、選別対象物の選別作業を一層効率的に行うことができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載される発明の効果と同じ効果に加えて、選別対象物の選別結果に関する電子データを外部に出力することができるので、製品(選別対象物)の出荷状況や在庫管理が容易になる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4のそれぞれに記載される発明の効果と同じ効果に加えて、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を印刷出力することにより、選別作業記録の作成にかかる手間を省くことができる。
また、例えば、それぞれの選別対象物に対して個別に重量ランク判定結果を印刷出力できるように構成し、例えば,粘着貼付可能なラベル用紙に重量ランク判定結果を印刷した場合には、それぞれの選別対象物の重量ランク判定結果をそれぞれの選別対象物に貼付しておくことができる。この場合、選別作業が完了した選別対象物の重量ランクが不明になるのを防止することができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5に記載の発明と同じ効果に加えて、フォークリフトの一部を改良するだけで、請求項5記載の発明を製品として提供することができる。
この結果、より重量の重たい選別対象物群を持ち上げるとともに、それらを移動・搬送できる重量ランク判定機能付搬送装置を提供することができる。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、選別対象物が人手で持ち上げることができないほど重い単数の物品である場合、又は、選別対象物が人手で持ち上げることができないほど重い一塊の物品の集合体である場合に、その選別対象物を人手に因らず持ち上げて、その重量を計測して、その選別対象物の重量ランクを判定することができる。
また、請求項7記載の発明は、人手で持ち上げることができないほど重い単数の物品や、人手で持ち上げることができないほど重い一塊の物品を所望の位置に移動又は搬送するための搬送装置としても使用することができる。
さらに、請求項7記載の発明は、リフト機能を有する移動又は搬送装置の一部を改良するだけで容易に製造することができるので、その製造コストを廉価にすることができる。
なお、請求項7記載の発明において、請求項2乃至請求項6記載の発明を引用する場合は、上述のような効果に加えて、請求項2乃至請求項6に記載される発明の効果を併せた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置の概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置のシステム構成図である。
【図3】本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置により選別対象物の重量ランクを判定する手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置の使用状態を示す概念図である。
【図5】本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置を用いて単一の又は一塊の選別対象物の重量ランクを選別する際の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施の形態に重量ランク判定機能付搬送装置について図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
まず、図1,2を参照しながら本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置の概要について説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置の概念図であり、図2は本発明の実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置のシステム構成図である。
ここでは本発明に係る重量ランク判定機能付搬送装置の一例として、先に述べた従来公知の「ハンドパレットスケール」を改良して本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1とする場合について図1,2を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、従来公知のハンドパレットスケール19の基部20に、伸縮自在の支持部10を設け、この支持部10の先端に、筐体21を設けて、この筐体21の内部に、図2に示すような、演算処理部8,メモリ部7を収容するとともに、筐体21の表面に、表示部9及び入力設定部12を備えるものである。なお、筐体21は、支持部10の基部20に接続されない側の端部において、支持部10の中心軸を基軸に回動可能に取り付けられている。
また、図2に示すメモリ部7内に格納されるデータ等の入力設定作業を本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1において直接行う必要がない場合には、必ずしも入力設定部12を設ける必要はない。
この場合、例えば、演算処理部8に記憶媒体を接続可能に構成しておき、外部のパーソナルコンピュータ等により予め入力設定された重量ランク判定基準データが、着脱可能な記憶媒体を介して重量ランク判定機能付搬送装置1に提供されるよう構成してもよい。
【0030】
また、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1を構成するハンドパレットスケール19は、図示しない複数の選別対象物を,やはり図示しない収容器に収容されたまま持ち上げる、例えば、2本のフォーク状のリフト部2が基部20から突設され、このリフト部2から見て基部20の背面に当たる位置に、リフト部2の鉛直方向への上下動,及び,リフト部2の進行方向を操作するための操作部4が設けられている。
また、ハンドパレットスケール19は、床面上又は地表面上におけるリフト部2の走行を可能にするための、例えば、リフト部2の床面又は地表面に面する側に配されるローラ5bや、リフト部2から見て基部20の背面に当たる位置に配される車輪5aからなる走行部6を備えている。つまり、ハンドパレットスケール19は、2つのローラ5bと1つの車輪5aとにより三輪走行するよう構成されている。なお、図1には示されていないが、リフト部2の下面側(床面又は地表面側)には、操作部4の操作に連動して作動し,リフト部2を鉛直方向に上下動させるための押し上げ構造が設けられている。
さらに、ハンドパレットスケール19は、リフト部2下の押し上げ構造を作動させるためのジャッキ機構4cを備えており、このジャッキ機構4cは、ジャッキ機構4cに接続される軸4bを介して設けられるハンドル4aにより操作されて作動する。また、ハンドル4aはリフト部2を走行させる際の進行方向を変更するためのハンドルとしても用いられる。
そして、リフト部2は、図1に示すように、その内部に荷重(力)を電気信号に変換する荷重変換器である、例えば、ロードセル等を備えて、リフト部2上に載置される物品の荷重を計測できるよう構成されている。なお、本実施の形態においては、リフト部2に設けられてリフト部2上に載置される物品の荷重を計測するための構成を総称して計量部3と呼ぶことにする。また、この計量部3により得られた計測データは、支持部10の端部に設けられる演算処理部8に有線又は無線により送信される仕組みになっている。
【0031】
なお、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1では、リフト部2、走行部6、操作部4及び計量部3を、従来公知の技術であるハンドパレットスケール19で担っているが、このようなハンドパレットスケール19を用いることなく同等の機能を有する部品を組み合わせて本発明に係る重量ランク判定機能付搬送装置1を構成してもよい。
また、本発明に係る重量ランク判定機能付搬送装置1における、リフト部2、走行部6、操作部4として、従来公知のフォークリフトを用いてもよい。この場合、フォークリフトのフォーク部に計量部3を設けてフォーク部上に載置される物品の荷重を計測できるよう構成するとよい。この場合、より重量の大きい選別対象物18の集合体や物品の持ち上げることができ、それらの移動や搬送を行うことができる。
【0032】
本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1において選別対象物の重量ランクが判定される手順の一例について図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置により選別対象物の重量ランクを判定する手順を示すフローチャートである。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2,3に示すように、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1を用いて選別対象物18の重量ランクを選別するには、まず、重量ランク判定機能付搬送装置1を選別対象物18のある場所まで移動させる(ステップS0)。
この後、収容器17内に収容される複数の選別対象物18を、リフト部2で収容器17ごと持ち上げて(ステップS1)、計量部3において収容器17と選別対象物18の総重量を計測し(ステップS2)、この計測データを演算処理部8に無線又は有線により送信する。そして、ステップS2において計測された計測データは、演算処理部8において、減算方式により選別対象物18の重量を算出する際の基準値(ゼロ値)として設定される(ステップS3)。
【0033】
そして、この状態から、図示しない作業者により、リフト部2上の収容器17から選別対象物18が1つ取り上げられると(ステップS4)、計量部3における計測データに基づいて,演算処理部8において基準値(ゼロ値)からの重量の減少量が算出され、この重量の減少分が,作業者により取り上げられた選別対象物18の重量として認識される(ステップS5)。
他方、演算処理部8に接続されるメモリ部7には、選別対象物18の重量ランクを判定するための重量ランク判定基準データ13が格納されているので、先のステップS5において得られた1つの選別対象物18の重量データと、重量ランク判定基準データ13とが演算処理部8において比較されて(ステップS6)、先のステップS3において作業者が取り上げた選別対象物18の重量ランクが判定さる(ステップS7)。
そして、ステップS7で得られた重量ランク判定結果は、表示部9に文字又は記号又は語句等を用いて表示され(ステップS8)、作業者は、表示部9の表示を目視することで、先のステップS3において自らがリフト部2上の収容器17から取り上げた選別対象物18の重量ランクを知ることができる。なお、この時、表示部9に選別対象物18の重量ランク判定結果と併せて、その選別対象物18の重量を併せて表示してもよい。
そして、上述のステップS1からステップS8における工程のうちの、ステップS4からステップS8までの工程を繰り返すことにより、リフト部2により持ち上げられている収容器17内に収容される複数の選別対象物18の重量ランクを順次判定することができる。
なお、ここでは、図3におけるステップS2において計測される重量の計測データを基準値として設定し,減算方式により、個々の選別対象物18の重量を算出する場合を例に挙げて説明しているが、これ以外にも、収容器17から選別対象物18を1つ取り上げる毎に計量部3によりリフト部2上に載置される物品の総重量を計測し、演算処理部8において、選別対象物18を1つ取り上げる前の重量から,選別対象物18を1つ取り上げた後の重量を減算処理して選別対象物18の重量を求めてもよい。
【0034】
図4は本発明の実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置の使用状態を示す概念図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4には、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1の使用状態を示す例として、収容器17であるかご車に、選別対象物18である大根を多数載置したものを重量ランク判定機能付搬送装置1のリフト部2により持ち上げた状態を示している。
従来、大根は畑から収穫した後、その表面に付着している土や汚れを水で洗い流し、大根の表面に付いた水分を乾かしてからそれぞれの重量に基づいて選別し、梱包して市場に出荷される。
市場に供給される大根のサイズは様々であるが、大きいものは1kgを超えるものもあり、このような重量のある野菜を多数収容した収容器17を人手で持ち上げて移動させることは困難である。
従って、大根の選別作業は、大型の自動選別装置を用いて人手に因らず完全に自動化して行うか、あるいは、図4に示すような収容器17であるかご車から1本ずつ作業者が取り上げて、従来公知の重量ランク選別装置までその大根を運んで重量ランクを選別する必要があった。
【0035】
前者の場合は、選別作業に人手を要しないので作業効率が高まるものの、高価な据置き型で大型の選別装置(例えば、特許文献4を参照)が必要であり、このような装置を設置するための広いスペースも確保する必要があることから、中・小規模の農家は選別装置を導入することが困難であった。
後者の場合、大掛かりな装置は必要ないものの、特許文献1に開示されるような装置を利用することもできないので、1本の大根を選別するために、収容器17であるかご車から重量ランク選別装置まで大根を運んでその重量ランクを選別し、その後、重量ランク選別装置から重量ランク選別済の大根を取り上げて、別の収容器17に移したり,あるいは,箱詰めする必要があった。
この場合、特許文献1に開示される装置を用いて選別作業を行う場合と比較して、収容器17であるかご車から選別対象物18である大根を取り上げて重量ランク選別装置まで運ぶという作業が余分に必要であり、選別対象物18の選別作業の作業効率を向上することが難しかった。
このような事情に鑑み、発明者らは鋭意研究の結果、重量ランク選別装置自体に重量物を持ち上げる機能を付加することで、従来、特許文献1に開示されるような装置を使用することができなかった選別対象物18に対しても、多数の選別対象物18を収容した収容器17から,選別対象物18を1つずつ取り上げるだけでその選別対象物18の重量ランクを判定可能にすることに成功した。
また、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1によれば、上述のような効果を有することにより、作業者が選別対象物18に触れる機会を確実に減らすことができるので、選別対象物18が傷んだり、汚損したりするリスクを小さくすることができるという効果も有する。特に、選別対象物18が、例えば、農産物や水産物等のように,人手が触れることで傷みが生じ易いものである場合には、選別対象物18の品質の低下を好適に抑えることができる。
【0036】
加えて、図4に示すように、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、大根の重量ランク判定装置としてだけでなく、大根を満載した収容器17であるかご車の移動・搬送装置としても使用することができる。
つまり、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、重量ランク選別装置でありながら、従来技術(特に、特許文献1や特許文献4に開示される技術)のように据置きタイプのものではなく、重量ランク選別装置自体が走行機能を有して移動することができるので、通常の物品の運搬・移動装置としても支障なく使用することができる汎用性の高いものである。
また、上述のような本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、従来公知のハンドパレットスケール19や、フォークリフトをそのまま利用しつつ、図2に示すような、演算処理部8,表示部9,メモリ部7及びそれに格納される重量ランク判定基準データ13を追加するだけで容易に製造できるので、重量ランク判定機能付搬送装置1の製造にかかるコストを大幅に抑えることができる。
この結果、汎用性の高い本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1を、廉価に提供することができる。
【0037】
ここで、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1の他の機能について説明する。
図1に示すように、また、先にも述べたように、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1では、表示部9を備える筐体21は、リフト部2が突設される基部20に伸縮性を有する支持部10を介して取付けられている。
なお、図1では、直径の異なる筒体をその伸長方向に連結して、リフト部2上面に対する表示部9の鉛直方向における高さを調整可能に構成しているが、これ以外の機構により表示部9の鉛直方向高さを調整可能にしてもよい。この場合、図4に示すように、重量ランク判定機能付搬送装置1のリフト部2に選別対象物18を満載した収容器17を載置した場合でも、作業者から見易い高さに表示部9の高さを調整することができる。
また、実施例1に係る重量ランク判定機能付搬送装置1においては、図1に示すように表示部9の向きを変更可能にしてもよい。この場合、作業者の立位置から見易いように表示部9の向きを変更することができる。
従って、表示部9の鉛直方向における高さ,及び,表示部9の向きを変更可能に構成しておくことで、選別対象物18の選別作業時に、作業者による表示部9の視認性が向上し、選別作業の作業効率を高めることができる。
あるいは、特に図示しないが、重量ランク判定機能付搬送装置1を構成するハンドパレットスケール19と別体に又は着脱可能に、メモリ部7、演算処理部8、表示部9を備えた筐体21を設けて、作業者の立位置から見易い場所に筐体21を取り付け可能に構成してもよい。この場合も、作業者の立位置から見易い高さや向きを保った状態で表示部9を設置することができる。
なお、メモリ部7、演算処理部8は、必ずしも筐体21に設ける必要はなく、例えば、ハンドパレットスケール19の基部20内や、それ以外の作業に邪魔にならない場所に内蔵してもよい。
また、選別対象物18の重量ランク判定結果を表示部9を用いて作業者に知らせる場合には、表示部9に選別対象物18の重量ランクを示す、例えば、「S」、「M」、「L」、「LL」、「規格外」などの文字や記号や語句等が表示され、作業者はこの文字や記号や語句等を見て自らが取り上げた選別対象物18の重量ランクの判定結果を知ることができる。
【0038】
さらに、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、図1,2に示すように、表示部9に加えて、音声出力部11、及び、メモリ部7に音声出力部11から出力するための音声出力データ14を備えていてもよい。
なお、音声出力データ14とは、選別対象物18の重量ランクを示す、例えば、「S」、「M」、「L」、「LL」、「規格外」などの文字や記号や語句等が読み上げられてなる音声データである。
上述のような、音声出力部11や音声出力データ14を備えた重量ランク判定機能付搬送装置1によれば、重量ランク判定結果を、音声出力部11から音声出力することができるので、作業者は表示部9を目視することなしに自らが取り上げた選別対象物18の重量ランク判定結果を知ることができる。
この場合、選別対象物18の選別作業時に、作業者が選別対象物18の重量ランク判定結果を知るために表示部9を目視する行為を省くことができるので、選別対象物18の選別作業を一層効率的に行うことができる。
なお、図1,2では、表示部9を備える筐体21に音声出力部11を設けた場合を例に挙げて説明しているが、音声出力部11の取り付け位置については上述の位置に限定する必要は特になく、作業者が音声を聞き取れるのであれば、重量ランク判定機能付搬送装置1のどこに音声出力部11を設けても構わない。
【0039】
加えて、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、図2に示すように、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を外部に無線又は有線により出力するためのデータ出力部を備えてもよい。
なお、演算処理部において得られた重量ランク判定結果がリアルタイムで外部に出力されるよう構成してもよいし、演算処理部において得られた重量ランク判定結果データを、一時的にメモリ部7に格納しておき、後で、全ての又は所望の重量ランク判定結果データをまとめて外部に出力できるよう構成してもよい。
この場合、重量ランク判定結果と併せて、演算処理部8において求められた選別対象物18の重量も外部に出力可能としてもよい。
この場合、外部に出力された重量ランク判定結果を用いることで、製品(選別対象物)の出荷状況や在庫管理、あるいは、判定結果の確認作業等を容易にすることができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、特に図示しないが、演算処理部において得られた重量ランク判定結果を、その都度,又は,まとめて印刷出力するための印刷出力部を備えてもよい。
この場合、重量ランク判定結果を、その都度,又は,まとめて重量ランク判定機能付搬送装置1から印刷することができるので、選別作業記録の作成にかかる手間を省くことができる。
また、例えば、それぞれの選別対象物18の重量ランク判定結果を、重量ランク判定結果が出力される度毎に印刷されるようにし、その際に印刷用紙として,例えば,粘着貼付可能なラベル用紙を用い、それぞれの選別対象物18に対して重量ランク判定結果が印刷されたシール状のラベルを貼付け可能に構成してもよい。この場合、選別作業が完了した選別対象物18に直接、重量ランク判定結果を表示しておくことができるので、後になって、その選別対象物18の重量ランクが不明になるのを防止することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1の構成をそのまま用いて下記のような用途に使用することもできる。
これまでは、例えば、大根のように、個々の選別対象物18が外形も重量も大きく収容器17に複数の選別対象物18を収容した際に,その収容器17を人手で持ち上げることが難しい場合に、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1を用いながら選別作業を行うケースについて述べてきた。これに対して、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、単一の又は一塊の選別対象物18が人手で持ち上げられない場合に,その単一の又は一塊の選別対象物18の重量ランクを選別するための装置としても用いることも可能である。
【0042】
図5は本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置を用いて単一の又は一塊の選別対象物の重量ランクを選別する際の手順を示すフローチャートである。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図5に示すように、人手で持ち上げることが困難な単一の又は一塊の選別対象物18の重量ランクを選別するには、まず、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1を選別しようとする単一の又は一塊の選別対象物18があるところまで移動してから(ステップS11)、目的とする単一の又は一塊の選別対象物18をリフト部2により持ち上げる(ステップS12)とともに、計量部3により目的とする単一の又は一塊の選別対象物18の重量を計測して計測データを得る(ステップS13)。
次いで、演算処理部8において、この計測データとメモリ部7に格納される重量ランク判定基準データ13と比較して(ステップS14)、その単一の又は一塊の選別対象物18の重量ランクを判定する(ステップS15)。
最後に、先のステップS15で得られた重量ランク判定結果を作業者に対して出力すればよい(ステップS16)。
なお、重量ランク判定結果の出力方法としては、先に述べたように、表示部9に文字や記号や語句等により表示しても良いし、音声出力部11を用いて音声により出力しても良い。
この場合、演算処理部8は、計量部3において測定された重量の減算処理を行う必要がないので、メモリ部7に格納される重量ランク判定基準データ13と、計量部3により測定された計測データとを比較して、目的とする単数又は一塊の選別対象物18の重量ランクの判定のみを行うことになる。
また、重量ランクを選別すべき選別対象物18が複数ある場合には、上記ステップS11からステップS16までの工程を繰り返せばよい。
なお、図3に示すような複数の選別対象物18の重量ランクを選別する場合と、図5に示すような単数又は一塊の選別対象物18の重量ランクを選別する場合とを、1台の重量ランク判定機能付搬送装置1で兼ねる場合には、重量ランク判定機能付搬送装置1にモード切替スイッチを設けておくとよい。
【0043】
このように、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1によれば、人手による持ち上げが困難な単一の又は一塊の選別対象物の重量ランクを判定して出力することができる。
なお、本願明細書では選別対象物18が大根である場合を例に挙げて説明したが、選別対象物18が大根である必要は特になく、南瓜、西瓜等のウリ類や、白菜等大型で重量の大きい農産物の選別作業に特に適している。また、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1は、農産物のみならず、水産物や水産加工品、工業製品、小包や荷物、廃棄物等の重量ランク選別にも支障なく使用することができる。
また、選別対象物18は必ずしも単数である必要はなく、複数個の物品が組み合わされてなる一塊の物品でもよい。
【0044】
なお、特に図示しないが、図2に示す演算処理部8、メモリ部7、表示部9、音声出力部11、入力設定部12、データ出力部15及び印刷出力部16を作動させるための電力供給源である、例えば、電池やバッテリーは重量ランク判定機能付搬送装置1の内部に内蔵していてもよいし、必要に応じて重量ランク判定機能付搬送装置1の外部から電力を取り込めるように、重量ランク判定機能付搬送装置1にコンセントや電力取り込み部等を備えても良い。
また、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1をハンドパレットスケール19でなく図示しないフォークリフトを用いて構成した場合には、その駆動源であるエンジンを利用して、演算処理部8、メモリ部7、表示部9、音声出力部11、入力設定部12、データ出力部15及び印刷出力部16を作動させるための電力を取得できるよう構成してもよいし、上述のように電池やバッテリーを備えてもよい。また、本実施の形態に係る重量ランク判定機能付搬送装置1を、既存のフォークリフトを用いて構成した場合も、外部から電力を取り込めるようにコンセントや電力取り込み部等を備えてもよい。
なお、本実施の形態においては、収容器17の一例として、図2に示すような容器状のものや、図4に示すようなかご車状のものを用いる場合を例に挙げて説明しているが、収容器17はこれらの形態に限定される必要はなく、リフト部2の出し入れが可能に構成され,単数又は複数の選別対象物18を一時に持ち上げられるよう構成されるものであればどのような形態でもよい。より具体的には、収容器17は、例えば、荷物を搬送する際に用いるパレットでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、選別対象物の重量ランクを判定することができ,かつ、単数又は複数の選別対象物を移動又は運搬するための運搬装置としても使用可能な重量ランク判定機能付搬送装置であり、農業、水産業、運輸・流通、廃棄物処理、製造業に関する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…重量ランク判定機能付搬送装置 2…リフト部 3…計量部 4…操作部 4a…ハンドル 4b…軸 4c…ジャッキ機構 5a…車輪 5b…ローラ 6…走行部 7…メモリ部 8…演算処理部 9…表示部 10…支持部 11…音声出力部 12…入力設定部 13…重量ランク判定基準データ 14…音声出力データ 15…データ出力部 16…印刷出力部 17…収容器 18…選別対象物 19…ハンドパレットスケール 20…基部 21…筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容器に収容された複数の選別対象物を,前記収容器ごと持ち上げるフォーク状のリフト部と、
このリフト部に設けられ,前記リフト部上に載置される複数の前記選別対象物と,前記収容器との総重量を計量する計量部と、
前記リフト部の上下動,及び,前記リフト部の進行方向を操作する操作部と、
床面上又は地表面上における前記リフト部の走行を可能にする走行部と、
重量ランクを判定するための重量ランク判定基準データを格納するメモリ部と、
複数の前記選別対象物を前記収容器に収容したまま前記リフト部で持ち上げた状態から,前記収容器内の前記選別対象物を1つ取り出した際の前記計量部における計測値の変化量,及び,前記メモリ部に格納される前記重量ランク判定基準データに基づいて, 前記収容器から取り出された1つの前記選別対象物の重量ランクを判定する演算処理部と、
前記演算処理部において得られた重量ランク判定結果を表示する表示部とを有することを特徴とする重量ランク判定機能付搬送装置。
【請求項2】
前記表示部の向き,及び,前記表示部の鉛直方向における高さは、変更可能であることを特徴とする請求項1記載の重量ランク判定機能付搬送装置。
【請求項3】
前記重量ランク判定機能付搬送装置は、音声出力部を備え、
前記メモリ部は、前記重量ランク判定基準データに加えて,前記重量ランク判定結果を音声出力するための音声出力データを格納することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の重量ランク判定機能付搬送装置。
【請求項4】
前記演算処理部において得られた前記重量ランク判定結果を外部に無線又は有線により出力するためのデータ出力部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置。
【請求項5】
前記演算処理部において得られた前記重量ランク判定結果を印刷出力するための印刷出力部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置。
【請求項6】
前記リフト部と,前記走行部と,前記操作部とに代えて、フォークリフトを備え、
前記計量部は、前記フォークリフトのフォークに設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置。
【請求項7】
前記リフト部は、前記収容器に収容された複数の前記選別対象物に代えて,単数又は一塊の選別対象物を持ち上げ、
前記演算処理部は、単数又は一塊の前記選別対象物を持ち上げた際に前記計量部において計測される計測値,及び,前記メモリ部に格納される前記重量ランク判定基準データに基づいて, 単数又は一塊の前記選別対象物の重量ランクを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の重量ランク判定機能付搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−40887(P2013−40887A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179344(P2011−179344)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000154772)株式会社宝計機製作所 (10)
【Fターム(参考)】