説明

重量体積測定法

【課題】臨床診断アナライザシステムにおいて自動ピペット採取装置の検量作業を容易にする方法を提供する。
【解決手段】液体の体積を液体の重量測定結果から求める方法であって、ハウジング内にロードセルと校正用各種センサー及び処理ユニットが配置されており、ロードセルは検量用重りを用いて検量して液体サンプルの重量をロードセルにより測定し、空気の温度、圧力、湿度などのセンサーの値をもとに、処理ユニットは液体サンプルの重量に対応した体積を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
臨床および分子化学分野において、たとえば、臨床化学アナライザシステムのような臨床診断アナライザシステムおよび分子臨床診断アナライザシステムにおいて、マイクロリットルおよびたとえナノリットル範囲であっても、非常に小さな液体の体積を、充分正確に測定することが、たとえば、上述のアナライザシステムの統合部分である自動ピペット採取装置の検量のために必要である。この目的のために重量体積測定は、好ましい方法である。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の方法は、多くの手動の取り扱い工程を必要とし、そのため時間を浪費する。重量体積測定を行うために必要な種々の装置は、現代の臨床診断アナライザシステム中の生物学的サンプルの解析を実行するための大抵の必要な操作が、今日高度に自動化され、また非常に少ない手動取り扱いを必要とする臨床診断アナライザシステムのような自動化されたシステムの部分ではないから、特に時間浪費になる。たとえば、従来の重量体積測定の場合では、計量される各液体体積は、特定の計量装置の計量容器中へ、手動でピペット採取しなければならず、重量体積測定用の手法の制御と結果の評価は、計量装置に接続されたコンピュータで行われ、また計量結果を測定される体積に変換するために、アナライザシステムの自動ピペット採取装置の検量を行う前に、適当な温度、空気圧および湿度データを、コンピュータに手動で入力しなければならない。適当な温度、空気圧および湿度データは、アナライザシステムが、置かれる場所に置ける特定の環境条件に応じて比較的広い範囲で変化する。さらに、アナライザシステムの位置および環境は、時折変化するため、適当な温度、空気圧および湿度データが、安定な値を持つということを仮定できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既に存在し、また将来の臨床診断アナライザシステム中の自動ピペット採取装置の検量に要する重量体積測定を行うために必要な手動作業量および時間量を実質的に削減できる重量体積測定を行う装置を提供する。さらに、該方法により診断アナライザの外でロードセルの検量により、取り扱いを容易にできる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態において、装置を用いた臨床診断アナライザにおける液体積の重量体積測定法が開示され、該方法は、
(i)ハウジング(11)と、
該ハウジング(11)中に含まれる次の部品:すなわち
(i−a)状況に応じて温度センサ(21)と、
(i−b)空気圧センサ(31)と、
(i−c)ハウジング(11)内の所定のポイントにおける温度、空気圧および湿度をそれぞれ検出するための湿度センサ(41)と、
(i−d)該センサ(21、31、41)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)を備え、また
(ii)重量体積測定用ロードセル(12)を含み、該ロードセルは、
(ii−a)該ロードセル(12)を用いて重さを測るための液体受け用の計量容器(13)と、気流から該計量容器(13)を遮蔽する風除け(14)と、
(ii−b)該計量容器(13)中に取り込まれる液体の蒸発を避ける蒸発トラップ(15)と、
(ii−c)温度センサ(21)と、
該ロードセル(12)と該センサ(21)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)と備え、
該方法は、
(a)検量用内部重りまたは外部重りを用いた該分析システムの外での該ロードセル(12)の検量と、
(b)該ハウジング(11)中への該ロードセルの導入と、
(c)工程(a)中の該ロードセル(12)の位置決めに対応した該ロードセルの位置決め調節と、
(d)該ロードセルが、分析アナライザの外でハウジング中に導入された場合の、ロードセルを持ったハウジングの分析アナライザ中への随意的導入と、
(e)計量される液体サンプルの該ロードセル(12)中への導入ならびにロードセル(12)より発生した、該サンプル重量の代表である出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(f)該温度センサ(21)を用いたロードセル(12)の環境の温度測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(g)該空気圧センサ(31)を用いたロードセル(12)の環境の空気圧の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(h)湿度センサ(41)を用いたロードセル(12)の環境湿度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(j)工程(a)から工程(d)により生じた出力信号の該電子処理ユニット(16)中での処理であって、ロードセル(12)を用いて測定された液体サンプルの重量に対応した液体サンプルの体積の計算を含む処理とを含み、
工程(b)は、工程(a)に先行しても、後続してもよい。
【0005】
このようにして、実施形態によると、ロードセルは、診断アナライザの外で検量される。その後、該ロードセルは、ハウジング中に搭載され、またハウジングは、診断アナライザ中に置かれる。さらに、重量測定を、該診断アナライザ内で自動化することが好ましい。ロードセルの検量を、診断アナライザの重量測定による検量の場所の外の場所で行うことができるので、このことが、重量測定に柔軟性を与え、また重量測定によって診断アナライザの検量を制御するまたは開始する人にかかわらず、サービスマンまたは顧客が、ロードセルの検量を行うことができる。
【0006】
好ましい実施形態において、位置決めは、バブルレベルを用いることにより行われる。このようにして、工程(a)における検量に対して、ロードセルは、表面に置かれ、その結果、バブルレベル中のバブルは、バブルレベル窓の中央に置かれる。ロードセルを該ハウジング中に導入し、また該ハウジングを該アナライザ中に置いたのち、位置を再び調節し、その結果、該バブルレベル中のバブルは、中央に伝送する。その後、アナライザの外側でのロードセルの検量に基づいて、アナライザ内で、重量測定を行うことができる。
【0007】
本明細書で使用される“重量”という用語は、検量重量、すなわち所定の重量の重さを言及している。ロードセルの検量とは、検量重量がロードセル上に置かれたとき、該ロードセルにより生じた電気的出力信号によって、該ロードセルが、検量重量の公知の重さにセットされることを意味している。
【0008】
他の実施形態において、臨床診断アナライザにおける液体積の重量体積測定法は、
ハウジング(11)と、
該ハウジング(11)中に含まれる次の部品:すなわち
−重量体積測定用ロードセル(12)と、
−該ロードセル(12)を用いて計量される液体受け用の計量容器(13)と、
−気流から該計量容器(13)を遮蔽する風除け(14)と、
−該計量容器(13)中に取り込まれる液体の蒸発を避ける蒸発トラップ(15)と、
−該ハウジング(11)内の所定のポイントにおける温度、空気圧および湿度をそれぞれ検出するための温度センサ(21)、空気圧センサ(31)および湿度センサ(41)と、
−該ロードセル(12)と該センサ(21、31、41)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)と、
−ロードセルを検量するための重りを含む装置を用い、
該方法は、
(a)該ロードセルへの検量用の該重りの移送と、
(b)該重りを用いた該ロードセル(12)の検量と、
(c)該ロードセル(12)中への計量される液体サンプルの導入ならびにロードセル(12)より発生した、該サンプル重量の代表である出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(d)該温度センサ(21)を用いたロードセル(12)の環境の温度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(e)該空気圧センサ(31)を用いたロードセル(12)の環境の空気圧の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(f)該湿度センサ(41)を用いたロードセル(12)の環境の湿度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(g)工程(a)から工程(d)により生じた出力信号の該電子処理ユニット(16)中での処理であって、ロードセル(12)を用いて測定された液体サンプルの重量に対応した液体サンプルの体積の計算を含む処理とを含み、
全工程が、自動化されていることを特徴とする方法で開示される。
【0009】
本実施形態によると、診断アナライザは、自動的にロードセルを計量でき、続いて、ロードセルの検量に基づいて、アナライザ自身の検量を行う。本明細書で使用される「アナライザの検量」という用語は、ここで記述されるように、重量体積測定を言及している。重りのロードセルへの移送を、取り扱い器が行うことが好ましい。該取り扱い器は、好ましくはロボットアームである。該取り扱い器は、当業者によく知られている。
【0010】
本発明はまた、臨床診断アナライザであって、
(i)ハウジング(11)と
該ハウジング(11)中に含まれる次の部品:すなわち
−重量体積測定用ロードセル(12)と、
−該ロードセル(12)を用いて計量される液体受け用の計量容器(13)と、
−気流から該計量容器(13)を遮蔽する風除け(14)と、
−該計量容器(13)中に取り込まれる液体の蒸発を避ける蒸発トラップ(15)と、
−該ハウジング(11)内の所定のポイントにおける温度、空気圧および湿度をそれぞれ検出するための温度センサ(21)、空気圧センサ(31)および湿度センサ(41)と、
−該ロードセル(12)と該センサ(21、31、41)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)と、
−ロードセルを検量するための重りと、
(ii)ロードセルを検量するための重りを、該ロードセルに移送するための取り扱い器を含むシステムに関するものである。重りを1つの位置で掴みまた該重りを第2位置に移送できる取り扱い器は、当業者によく知られている。
【0011】
本出願による装置を用いて得られる主な利点は、そのような装置は、既に存在するまたは将来の診断アナライザ中に組み入れるために構成されている。該装置は、アナライザ装置の組み込み部品であることもできるし、または本発明の方法を実行するためのアナライザ装置中に置くこともできる。このようにして、本発明による装置は、既に存在するまた将来の自動臨床診断アナライザシステム中へ、信頼性のある重量体積測定を実施するために必要な手段を統合することを可能にし、またそれにより、該アナライザ中での重量体積測定による自動ピペット採取装置の信頼できる検量実施するための時間と作業は、実質的に削減される。重量体積測定を実施する従来の方法の上記の手動工程の多くは、自動的に行われ、たとえば、計量容器中への液体のピペット採取は、アナライザの自動ピペット採取装置を用いて行われ、また必要な温度、空気圧および湿度データは、本出願による装置の一部であるセンサによって得られ、またそのようなデータは、本発明による装置の一部でもあるデータ処理用電子ユニットに対して、直接移送されるから、そのようになる。本発明による装置を用いて、臨床診断アナライザシステム中の重量体積測定は、このように、必要な最小の手動作業を用いて自動的に行われる。したがって、ゆっくりと行われる従来の重量体積測定により生じる遅れが、除かれるから、現在の臨床診断アナライザシステムの効率は改良される。さらに、臨床診断アナライザシステム中への本発明による装置の組み込みは、重量体積測定に使用されるデリケートな装置を、外部の撹乱から保護することになり、またしたがって、より信頼性のある測定結果が得られる。
【0012】
ここで、添付図面を参照して、好ましい実施形態の観点から主題の装置を説明する。これらの実施形態は、本発明の理解を助けるために、説明されているが、限定されるものとは、解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明による装置の実施形態の概略上面図を示している。
【図2】図2は、図1によって示した実施形態の長い対称軸に沿った概略断面図を示している。
【図3】図3は、本発明の重量測定の第1実施形態の工程系統図を示している。
【図4】図4は、本発明の重量測定の第2実施形態の工程系統図を示している。
【図5】図5は、ハウジング、ロードセルおよび重りと取り扱い器を持った分析システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明による装置を含む臨床診断アナライザのみならず、本発明による液体積の重量体積測定用装置および方法の好ましい実施形態を以下に記述する。
【実施例】
【0015】
添付図面を参照して、液体積の重量体積測定用装置の好ましい実施形態を、以下に記述する。
【0016】
選択された構造は、各アナライザシステムが、サンプルまたは試薬容器を保持するための少なくとも1つの標準ラックを持っているという事実、このラックは、特定の形状および寸法を持っているという事実および該システムは、そのような少なくとも1つのラックを受け取るための領域を含んでいるという事実に基づく。
【0017】
図1および図2によって示されるように、そのような装置は、臨床診断アナライザシステム中で使用されるサンプルまたは試薬容器を保持するための標準ラックとして、同じ形状と寸法を持つハウジング11を備える。好ましい実施形態において、ハウジング11の寸法は、次の値:長さ=415mm、幅=36mmおよび高さ=90mmを超えない。このように、本発明による装置の構造は、その目的に従来の装置により占められた空間よりもかなり小さいかなり削減された空間中での重量体積測定に必要な全ての部品を収容することを可能にする。
【0018】
図1および図2によって示されるように、次の部品、すなわち、重量体積測定用ロードセル12(計量セルとも呼ばれる)と、ロードセル12で計量される液体を受け取るための計量容器13と、気流から該計量容器13を遮蔽する風除け14と、該計量容器13中に取り込まれる液体の蒸発を避ける蒸発トラップ15と、ハウジング11内の所定のポイントにおける温度、空気圧および湿度をそれぞれ検知するための温度センサ21と、空気圧センサ31と湿度センサ41と、および該ロードセル12と該センサ21、31、41によって送られる電気信号を処理するための電子処理ユニット16がハウジング11中に含まれる。
【0019】
電子処理ユニット16は、たとえば、USB−インターフェース接続、ブルートゥースインターフェース接続およびRS−232インターフェース接続を持っている。
【0020】
図1および図2によって示される装置は、ロードセル12およびセンサ21、31、41を電子処理ユニット16に接続する全ての必要な電気接続を含んでいるが、これらの接続は、図1および図2には示されていない。
【0021】
好ましい実施形態において、ロードセル12は、0〜5gの範囲の重り用の5桁のデジタルロードセルである。そのようなロードセルは、ナノリットルおよびマイクロリットル範囲での重量体積測定用に適している。
【0022】
好ましい実施形態において、温度センサ21は、計量容器13の温度を検知するためのセンサエレメント22と風除け14内の温度を検知するためのセンサエレメント23を含む。
【0023】
好ましい実施形態において、空気圧センサ31は、風除け14内の気圧を検知するためのセンサエレメント32と蒸発トラップ15内の気圧を検知するためのセンサエレメント33を含む。
【0024】
好ましい実施形態において、湿度センサ41は、風除け14内の湿度を検知するためのセンサエレメント42と蒸発トラップ15内の湿度を検知するためのセンサエレメント43を含む。
【0025】
好ましい実施形態において、ハウジング11は、ロードセル12および電子処理ユニット16を操作するために必要な電気エネルギーを供給するための再充電可能な電池17を、さらに含む。
【0026】
本発明による装置の好ましい実施形態は、ハウジング11の片側の外面に付着している同定バーコード・ラベル61を、さらに含んでいる。
【0027】
該装置は、検量重り71も含んでいる。
【0028】
図1および図2により示されている装置の操作は、本質的に次の通りである。
【0029】
この装置は、サンプル用ラックまたは試薬用ラックを受け取るためにそこに設けられた装置と同様の位置にある臨床診断アナライザシステム中に置かれる。取り扱い器(81)で検量重り71を移動しかつそれをロードセル12中に置くことにより、ロードセル12を検量する。検量重り71の公知の重りを、該ロードセル検量用に使用する。その後、液体の体積が、求められるのであるが、ある量の液体を、アナライザの自動ピペット採取装置を用いて、自動的に計量容器13中にピペット採取し、また計量工程が終了後、同じ自動ピペット採取装置によって、液体を、計量容器13から除去する。ロードセル12を用いて得られた計量結果を表示する出力信号のみならず、センサ21、31、41を用いて得られた温度、空気圧および湿度データをそれぞれ表示する電子出力信号が、それぞれ、電子処理ユニット16へと直接転送される。電子処理ユニット16は、上記すべてのパラメータ(温度、空気圧、湿度)を考慮して、測定した計量結果に対応する体積を計算しかつ計算した体積値に対応する出力信号を、臨床診断アナライザシステムの電子データ処理ユニットに、提供する。表示および/または計算された体積値のさらなる処理が、臨床診断アナライザシステム中で使用可能な適当な手段によって行われる。
【0030】
本発明による方法の実施例
本発明による上述の装置を用いて行われた液体体積の重量体積測定方法の例は、次の工程を含む:
(a)該ロードセルへの検量用の重りの移送と、
(b)該重りを用いた該ロードセル(12)の検量と、
(c)該ロードセル12中への計量される液体サンプルの導入ならびにロードセル12より発生した、該サンプル重量を表示する出力信号の該電子処理ユニット16への転送と、
(d)該温度センサ21を用いたロードセル12の環境の温度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット16への転送と、
(e)該空気圧センサ31を用いたロードセル12の環境の空気圧の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット16への転送と、
(f)該湿度センサ41を用いたロードセル12の環境の湿度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット16への転送と、
(g)工程(a)から工程(d)により生じた出力信号の該電子処理ユニット16中での処理であって、ロードセル12を用いて測定された液体サンプルの重量に対応した液体サンプルの体積の計算を含む処理。
【0031】
好ましくは、工程(c)における液体サンプルの導入が、
(a1)自動ピペット採取装置を用いた計量される液体サンプルの臨床診断アナライザ中への吸引と、
(a2)該ピペット採取装置を用いた該サンプルのロードセル12への供給と、
を含む。
【0032】
本発明による方法の好ましい実施形態は、次のさらなる工程を含む:
(1)ロードセル12の順化、
(2)ロードセル12の環境の温度、空気圧および湿度の測定値の評価、
(3)液体を用いた蒸発トラップ15の充填、
(4)検量液体を用いた計量容器の充填、
(5)風除け14の内側の温度、空気圧および湿度の測定と評価、
(6)時間間隔当たりの蒸発速度の計算と評価、
(7)条件(温度、空気圧および湿度)が、受け入れられる限度内であれば、測定の開始、
(8)計量容器からまたは中へのピペット採取、
(9)全測定値(重量、温度など)の同時記録、
(10)結果の計算(任意ではあるが、実際の時間で):
体積=(重量)*密度係数
【0033】
本発明によるアナライザシステムの実施例
本発明の装置が使用される診断アナライザシステムの例は、サンプルおよび/または試薬受け取りのための少なくとも1つの標準ラックと少なくとも1つのラックを受け取るための領域を含んでいる。本出願による装置は、アナライザのサンプルおよび/または試薬ラックと同じ形状および寸法を有するハウジングを持っているため、本発明による装置は、アナライザの標準サンプルおよび/または試薬ラックにそうでなければ用いられる場所にあるアナライザ中に設けられるために構成される。さらに、該アナライザは、ロードセル(12)の検量のために、検量重り(71)をロードセル(12)に移送するための取り扱い器を含んでいる。これにより、該装置の完全な自動検量が、可能となる。
【0034】
本発明による装置の好ましい使用の実施例
以下は、本発明による方法および装置の好ましい使用のいくつかの例である。
・任意の反復割合またはいかなる反復割合を用いたピペット採取された体積の使い捨て自由な検査。
・通常の使用領域に用いられる装置を用いてピペット採取された体積の正確さの検査のための自動検量手法の実施。
・ピペット採取パラメータの完全または部分的自動測定。
・異なる液体のピペット採取挙動の研究。
【0035】
本発明の好ましい実施形態を、特定の用語を用いて記述してきたが、そのような記述は、説明目的のためのみであり、また付属の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、変化および変更を行ってもよいことは、理解されるべきである。
【符号の説明】
【0036】
11 ハウジング
12 ロードセル/計量セル
13 計量容器
14 風よけ
15 蒸発トラップ
16 電子処理ユニット
17 電池
21 温度センサ
22 温度センサエレメント
23 温度センサエレメント
31 空気圧センサ
32 空気圧センサエレメント
33 空気圧センサエレメント
41 湿度センサ
42 湿度センサエレメント
43 湿度センサエレメント
51 RS232インターフェース接続
52 USBインターフェース接続
53 ブルートゥースインターフェース接続
61 同定バーコード・ラベル
71 検量重り
81 取り扱い器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置を用いた臨床診断アナライザにおける液体積の重量体積測定法であって、該装置は、
(i)ハウジング(11)と
該ハウジング(11)中に含まれる次の部品:すなわち
(i−a)状況に応じて温度センサ(21)と、
(i−b)空気圧センサ(31)と、
(i−c)ハウジング(11)内の所定のポイントにおける温度、空気圧および湿度をそれぞれ検出するための湿度センサ(41)と、
(i−d)前記センサ(21、31、41)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)を備え、また
(ii)重量体積測定用ロードセル(12)を含み、該ロードセルは、
(ii−a)該ロードセル(12)を用いて重さを測るための液体受け用の計量容器(13)と、気流から該計量容器(13)を遮蔽する風除け(14)と、
(ii−b)前記計量容器(13)中に取り込まれる液体の蒸発を避ける蒸発トラップ(15)と、
(ii−c)温度センサ(21)と、
前記ロードセル(12)と前記センサ(21)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)とを備え、
前記方法は、
(a)検量用内部重りまたは外部重りを用いた前記分析システムの外での前記ロードセル(12)の検量と、
(b)前記ハウジング(11)中への前記ロードセルの導入と、
(c)工程(a)中の前記ロードセルの位置決めに対応した前記ロードセルの位置決め調節と、
(d)前記ロードセルが、アナライザの外でハウジング中に導入された場合の、ロードセルを備えたハウジングの分析アナライザ中への随意的導入と、
(e)計量される液体サンプルの該ロードセル(12)中への導入ならびに該ロードセル(12)より発生した、前記サンプル重量を表示する出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(f)該温度センサ(21)を用いたロードセル(12)の環境の温度測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(g)該空気圧センサ(31)を用いたロードセル(12)の環境の空気圧の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(h)湿度センサ(41)を用いたロードセル(12)の環境湿度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(j)工程(a)から工程(d)により生じた出力信号の該電子処理ユニット(16)中での処理であって、ロードセル(12)を用いて測定された液体サンプルの重量に対応した液体サンプルの体積の計算を含む処理とを含み、
工程(b)は、工程(a)に先行するか、後続するかを特徴とする方法。
【請求項2】
装置を用いた臨床診断アナライザにおける液体積の重量体積測定法であって、該装置は、
ハウジング(11)と、
該ハウジング(11)中に含まれる次の部品:すなわち
−重量体積測定用ロードセル(12)と、
−該ロードセル(12)を用いて計量される液体受け用の計量容器(13)と、
−気流から該計量容器(13)を遮蔽する風除け(14)と、
−該計量容器(13)中に取り込まれる液体の蒸発を避ける蒸発トラップ(15)と、
−該ハウジング(11)内の所定のポイントにおける温度、空気圧および湿度をそれぞれ検出するための温度センサ(21)、空気圧センサ(31)および湿度センサ(41)と、
−該ロードセル(12)と該センサ(21、31、41)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)と、
−ロードセルを検量するための重りを備え、
前記方法は、
(a)前記ロードセルへの検量用の前記重りの移送と、
(b)前記重りを用いた前記ロードセル(12)の検量と、
(c)該ロードセル(12)中への計量される液体サンプルの導入ならびに該ロードセル(12)より発生した、前記サンプル重量を表示する出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(d)該温度センサ(21)を用いたロードセル(12)の環境の温度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(e)該空気圧センサ(31)を用いたロードセル(12)の環境の空気圧の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(f)該湿度センサ(41)を用いたロードセル(12)の環境の湿度の測定ならびにこのセンサにより発生した出力信号の該電子処理ユニット(16)への転送と、
(g)工程(a)から工程(d)により生じた出力信号の該電子処理ユニット(16)中での処理であって、ロードセル(12)を用いて測定された液体サンプルの重量に対応した液体サンプルの体積の計算を含む処理とを含み、
全工程が、自動化されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
前記重りが、取り扱い器(81)で移送されることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
工程(c)における前記液体サンプルの導入が、
(b1)自動ピペット採取装置を用いた計量される液体サンプルの臨床診断アナライザ中への吸引と、
(b2)前記ピペット採取装置を用いた前記サンプルの前記ロードセルへの供給を含むことを特徴とする請求項1〜3記載の方法。
【請求項5】
診断アナライザシステムであって、
(i)ハウジング(11)と、
該ハウジング(11)中に含まれる次の部品:すなわち
−重量体積測定用ロードセル(12)と、
−前記ロードセル(12)を用いて計量される液体受け用の計量容器(13)と、
−気流から前記計量容器(13)を遮蔽する風除け(14)と、
−前記計量容器(13)中に取り込まれる液体の蒸発を避ける蒸発トラップ(15)と、
−前記ハウジング(11)内の所定のポイントにおける温度、空気圧および湿度をそれぞれ検出するための温度センサ(21)、空気圧センサ(31)および湿度センサ(41)と、
−前記ロードセル(12)と前記センサ(21、31、41)によって送られる電気的出力信号を処理するための電子処理ユニット(16)と、
−前記ロードセルを検量するための重りと、
(ii)前記ロードセルを検量するための前記重りを、前記ロードセルに移送するための取り扱い器(81)を含むことを特徴とするシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−78600(P2010−78600A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−215183(P2009−215183)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】