説明

重量検知装置及びこれを備えた加熱調理器

【課題】非接触式のセンサーを用いて、物体の重量を検出することができる重量検知装置等を提供する。
【解決手段】重量の計測を要する物体6を設置するための本体1と、本体1の底部から下方に突出した突出部7aを有し、本体1の設置時に突出部7aが設置面との接触により本体1の上方に押し込まれた際に本体1に設置された物体6の重量の増加に応じて上方への移動量が増加するように本体1に対して上下方向に移動自在に設けられた計測足7と、計測足7の移動量を非接触で検出する光学式センサー10と、計測足7の移動量に基づいて、本体1に設置された物体6の重量を検知する検知手段4と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、重量検知装置及びこれを備えた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器には、重量検知装置が設けられる。重量検知装置には、重量センサーが設けられる。従来の重量検知装置においては、重量の計測を要する物体の重量が増加すれば、重量センサーにかかる荷重も増加する。この荷重の変化に基づいて、物体の重量が検知される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、加熱調理器を誤って落下させた場合、重量センサーに過剰な荷重がかかる。この場合、重量センサーが故障し得る。
【0004】
これに対し、フォトインタラプタ等の非接触式のセンサーを用いて、検知対象の容器の有無を検出する装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この装置によれば、センサーに過剰な負荷がかかることはない。このため、センサーの故障の発生を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−5020号公報
【特許文献2】特開平9−318343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2記載のものでは、容器の位置を検出することができない。このため、容器の位置に基づいて、物体の重量を検出することができない。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、非接触式のセンサーを用いて、物体の重量を検出することができる重量検知装置及びこれを備えた加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る重量検知装置は、重量の計測を要する物体を設置するための本体と、前記本体の底部から下方に突出した突出部を有し、前記本体の設置時に前記突出部が設置面との接触により前記本体の上方に押し込まれた際に前記本体に設置された物体の重量の増加に応じて上方への移動量が増加するように前記本体に対して上下方向に移動自在に設けられた計測足と、前記計測足の移動量を非接触で検出する光学式センサーと、前記計測足の移動量に基づいて、前記本体に設置された物体の重量を検知する検知手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、非接触式のセンサーを用いて、物体の重量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1における重量検知装置を備えた加熱調理器内部を側方から見た図である。
【図2】図2は図1の要部詳細図である。
【図3】この発明の実施の形態1における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態1における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【図5】この発明の実施の形態1における重量検知装置の特性を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態1における重量検知装置を備えた加熱調理器の利用手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2における図2相当図である。
【図8】この発明の実施の形態2における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【図9】この発明の実施の形態2における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態2における重量検知装置の光学式センサーの設置位置を説明するための図である。
【図11】この発明の実施の形態3における図2相当図である。
【図12】図12は図11の要部平面図である。
【図13】この発明の実施の形態3における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態3における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【図15】この発明の実施の形態3における重量検知装置の出力を説明するための図である。
【図16】この発明の実施の形態3における重量検知装置の出力を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0013】
実施の形態1
図1はこの発明の実施の形態1における重量検知装置を備えた加熱調理器内部を側方から見た図である。図2は図1の要部詳細図である。
【0014】
まず、図1を用いて、加熱調理器の概要を説明する。図1において、1は加熱調理器本体である。加熱調理器本体1内には、誘導加熱コイル等の加熱手段2が設けられる。加熱手段2の直上には、導電性を有する容器3が設けられる。例えば、加熱調理器が電気炊飯器の場合、導電性を有する容器3は内釜からなる。加熱調理器本体1の底部の一側には、重量検知装置4が設けられる。重量検知装置4の近傍には、制御判定回路基板5が設けられる。
【0015】
なお、各構成部材の大きさの関係が実際の物とは異なる場合もある。さらに、複数の重量検知装置4が設けられる場合もある。例えば、加熱調理器の接地部分の全てに重量検知装置4が設けられる場合もある。
【0016】
このような加熱調理器においては、導電性を有する容器3内に、米、水等の被加熱物6が搭載される。この被加熱物6の重量は、重量検知装置4に検知される。この重量検知装置4の検知結果に基づいて、制御判定回路基板5は、加熱手段2の通電を制御する。
【0017】
次に、図1と図2とを用いて、重量検知装置4を具体的に説明する。重量検知装置4は計測足7、板体8、戻りバネ9、光学式センサー10を備える。
【0018】
計測足7は、突出部7aを備える。突出部7aは、計測足7の上面の両側に設けられる。突出部7aは、加熱調理器本体1の底部から下方に突出するように配置される。
【0019】
板体8は、ガラス繊維を入れて十分な剛性を有する樹脂又は板金等で形成される。板体8は、計測足7を上方から覆うように加熱調理器本体1に固定される。戻りバネ9は、圧縮コイルバネからなる。戻りバネ9は、板体8の上部下面と計測足7の上部上面との間に配置される。戻りバネ9は、計測足7を下方へ押し込むように付勢する。
【0020】
光学式センサー10は、取付部材10a、発光素子10b、受光素子10cを備える。取付部材10aは、板体8の上部下面の一側に取り付けられる。発光素子10bは、計測足7の上面に対して傾斜した光を計測足7の上面に向けて発するように取付部材10aに固定される。受光素子10cは、発光素子10bが発して計測足7の上面で反射した光を受けるように、板体8の上部下面の他側に固定される。受光素子10cは、光の照射位置に応じた電圧を出力する機能を備える。
【0021】
次に、図3と図4とを用いて、計測足7を具体的に説明する。
図3と図4とはこの発明の実施の形態1における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【0022】
図3と図4とに示すように、計測足7は略円筒形である。計測足7の上部は塞がれる。計測足7の側面には、切り欠き部が形成される。この切り欠き部によって、計測足7の側面は分割される。この分割により、突出部7aが形成される。
【0023】
次に、図5を用いて、重量検知装置4の特性を説明する。
図5はこの発明の実施の形態1における重量検知装置の特性を説明するための図である。図5の横軸は被加熱物6の質量(kg)である。図5の縦軸は光学式センサー10の出力電圧(mV)である。
【0024】
まず、使用者が加熱調理器本体1を持ち上げている場合を考える。この場合、加熱調理器本体1は、宙に浮いている。このため、計測足7の突出部7aの端部は、どこにも接触していない。この場合、計測足7の上部は、戻りバネ9の付勢力により下方に押し付けられる。
【0025】
次に、使用者が加熱調理器本体1を静かに設置した場合を考える。この場合、計測足7の突出部7aの端部は、設置面と接触する。このため、計測足7は、戻りバネ9を上方に押し縮めながら加熱調理器本体1に対して上方に移動する。その後、計測足7は、力がつりあう位置で静止する。
【0026】
このとき、受光素子10cは、光の照射位置に対応した値の電圧を出力する。重量検知装置4は、受光素子10cの出力電圧の値を基準値として記憶する。重量検知装置4は、基準値に対応した光の照射位置を計測足7の移動に関する原点として定義する。
【0027】
次に、使用者が導電性を有する容器3に被加熱物6を搭載し、加熱調理器本体1を静かに設置した場合を考える。この場合、計測足7は、被加熱物6の重量に応じて戻りバネ9を上方に押し縮めながら加熱調理器本体1に対して上方に移動する。その後、計測足7は、力がつりあう位置で静止する。その結果、受光素子10cへの光の照射位置が変化する。
【0028】
この変化に応じて、受光素子10cの出力電圧の値が変化する。すなわち、図5に示すように、被加熱物6の重量が増加するほど、光学式センサー10の出力電圧の値が大きくなる。このとき、重量検知装置4は、出力電圧の値に対応した光の照射位置を計測足7の移動量として定義する。重量検知装置4は、このときの移動量から原点までの移動量を差し引いた値を被加熱物6の設置による移動量として算出する。重量検知装置4は、検知手段として、被加熱物6の搭載による移動量と予め記憶している数値列とを比較して、被加熱物6の重量を推定する。
【0029】
次に、戻りバネ9の仕様と光学式センサー10の仕様とを説明する。加熱調理器本体1の接地点を4点とし、4点全てに重量検知装置4を備えている場合を考える。この場合、加熱調理器本体1の質量を6.5kg、被加熱物6の質量の最大値を2.5kgとすると、最大の荷重Pは88.2Nとなる。
【0030】
このとき、各計測足7にかかる荷重は22.05Nとなる。従って、各計測足7の上下方向の最大変位量δを2mm程度とする場合は、戻りバネ9のバネ定数kを22.05N/2mm=11.03N/mmに設定すればよい。
【0031】
単位被加熱物6当たりの質量変化は、約0.5kgである。この場合、各計測足7にかかる荷重の変化は、1.23Nである。上記バネ定数kの戻りバネ9を採用する場合、各計測足7の変位量δTは、1.23/11.03=0.11mm=110μm程度となる。この変位量δTに対応するように、光学式センサー10が選定される。
【0032】
次に、図6を用いて、加熱調理器の利用手順の一例として、電気炊飯器の利用手順を説明する。
図6はこの発明の実施の形態1における重量検知装置を備えた加熱調理器の利用手順を説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、ステップS1で、使用者は、導電性を有する容器3と被加熱物6と含まない状態で電気炊飯器の電源を投入する。その後、ステップS2に進み、使用者は、電気炊飯器の校正ボタンを押す。
【0034】
その後、ステップS3に進み、電気炊飯器は、重量検知装置4の出力値を校正値Aとして記憶する。その後、ステップS4に進み、電気炊飯器は、校正値Aが予め規定していた範囲内であるか否かを判定する。具体的には、校正値Aの閾値は、導電性を有する容器3を含まない状態の本電気炊飯器の重量±10%とする。例えば、導電性を有する容器3を含まない状態の本電気炊飯器の質量が6.5kgの場合、校正値Aは、5.85kg以上7.15kg以下に対応した重量を満たす必要がある。
【0035】
校正値Aが予め規定していた範囲内の場合は、ステップS5に進む。ステップS5では、電気炊飯器は、使用者に校正が完了したことを音もしくは表示で報知する。その後、ステップS6に進み、使用者は、被加熱物6を搭載した導電性を有する容器3を電気炊飯器に設置する。
【0036】
その後、ステップS7に進み、使用者は、電気炊飯器の炊飯開始ボタンを押す。その後、ステップS8に進み、電気炊飯器は、重量検知装置4の出力値を計測値Xとして記憶する。その後、ステップS9に進み、電気炊飯器は、計測値Xに対応した重量から校正値Aに対応した重量と予め設定された導電性を有する容器3の重量Mとを差し引いて被加熱物6の重量Yを算出する。
【0037】
その後、ステップS10に進み、電気炊飯器は、被加熱物6の重量Yが予め規定していた範囲内か否かを判定する。具体的には、被加熱物6の重量Yの閾値は、電気炊飯器がとり得る被加熱物6の重量の上下限の範囲±20%とする。例えば、1〜5合の炊飯を仕様とする電気炊飯器の場合、被加熱物6の重量Yは、0.5〜2.5kgに対応した重量を取り得る。この場合、被加熱物6の重量Yは、0.4kg以上3kg以下に対応した重量である必要がある。
【0038】
被加熱物6の重量Yが予め規定していた範囲内であれば、ステップS11に進む。ステップS11では、電気炊飯器は、使用者に計測が完了したことを音もしくは表示で報知する。その後、ステップS12に進み、電気炊飯器は、被加熱物6の重量Yと予め記憶している被加熱物6の重量Y毎の炊飯制御テーブルに基づいて、特定の炊飯制御を選択する。その後、ステップS13に進み、電気炊飯器は、選択した炊飯制御に基づいて、炊飯動作を開始する。
【0039】
なお、ステップS4で校正値Aが予め規定していた範囲外であれば、ステップS14に進む。ステップS14では、電気炊飯器は、使用者にエラーを報知し、設置方法や重量計測条件を見直して再度重量計測を行うように促し、ステップS2に戻る。
【0040】
また、ステップS10で被加熱物6の重量Yが予め規定していた範囲外であれば、ステップS15に進む。ステップS15では、電気炊飯器は、使用者にエラーを報知し、被加熱物6の設置方法を見直して再度重量計測を行うように促し、ステップ5に戻る。
【0041】
次に、図1を用いて、使用者が誤って加熱調理器本体1を落下させた場合を考える。この場合、計測足7の突出部7aは、接地した際に上方への衝撃力を受ける。このため、計測足7は、衝撃力に応じて戻りバネ9を上方に押し縮めながら加熱調理器本体1に対して上方に移動する。
【0042】
この移動によって、計測足7は、光学式センサー10に近づく。この移動量が大きい場合、計測足7は、取付部材10aに接触する。これにより、計測足7の上方への移動が抑制される。このため、計測足7が発光素子10bや受光素子10cに接触することはない。
【0043】
以上で説明した実施の形態1によれば、光学式センサー10が非接触で検出した計測足7の移動量の検出結果に基づいて、被加熱物6の重量が検知される。具体的には、受光素子10cへの光の照射位置に基づいて計測足7の移動量が検出され、その検出結果に基づいて、被加熱物6の重量が検知される。このため、非接触式のセンサーを用いて、物体の重量を連続的に高精度に検出することができる。また、加熱調理器本体1を誤って落下させても、光学式センサー10の故障の発生を抑制することができる。
【0044】
また、被加熱物6の重量の検知結果に基づいて、加熱条件が制御される。このため、被加熱物6に適した加熱調理を行うことができる。
【0045】
実施の形態2
図7はこの発明の実施の形態2における図2相当図である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図7に示すように、実施の形態2の計測足11は、片持ち梁のように形成される。計測足11の一側は、水平方向の回転軸12により板体8の一側の側面に回転自在に支持される。計測足11の他側には、突出部11aが形成される。突出部11aは、加熱調理器本体1の底部から下方に突出する。計測足11は、突出部11aの上方から戻りバネ9に付勢される。
【0047】
突出部11aの中央には、ストッパ11bが設けられる。ストッパ11bは、突出部11aの外径よりも大きい外径を有する。ストッパ11bは、加熱調理器本体1の底部の直上に配置される。計測足11の上部中央には、ストッパ11cが設けられる。ストッパ11cは、板体8の上部の直下に配置される。
【0048】
図7に示すように、実施の形態2の光学式センサー13は、取付部材13a、発光素子13b、受光素子13cを備える。取付部材13aは、計測足11の回転動作の径方向外側で、計測足11の突出部11aの側面上部に固定される。発光素子13bは、計測足11の回転動作の径方向外側に光を発するように取付部材13aに固定される。受光素子13cは、発光素子13bが発した光を受けるように発光素子13bの対向位置で板体8の他側の側面に固定される。受光素子13cは、光の照射位置に応じた電圧を出力する機能を備える。
【0049】
次に、図8と図9と用いて、計測足11の突出部11aの端部を説明する。
図8と図9とはこの発明の実施の形態2における重量検知装置の計測足の斜視図である。
【0050】
図8と図9とに示すように、計測足11の突出部11aの下端は、所定の局率で形成される。これにより、計測足11の突出部11aと加熱調理器本体1の設置面との接触角度がどのような値であっても、突出部11aと設置面との接触面積が小さくなる。
【0051】
次に、図7を用いて、使用者が加熱調理器本体1を持ち上げている場合を考える。この場合、加熱調理器本体1は、宙に浮いている。このため、計測足11の突出部11aの端部は、どこにも接触していない。この場合、計測足11は、戻りバネ9の付勢力により下方に押し付けられる。このとき、ストッパ11bが加熱調理器本体1の底部上面に接触する。この接触により、計測足11の下方への移動が抑制される。
【0052】
次に、図7を用いて、使用者が誤って加熱調理器本体1を落下させた場合を考える。この場合、計測足11の突出部11aは、接地した際に上方への衝撃力を受ける。このため、計測足11は、衝撃力に応じて戻りバネ9を上方に押し縮めながら回転軸12を中心として加熱調理器本体1に対して上方に回転移動する。このとき、ストッパ11cが板体8の上部下面に接触する。この接触により、計測足11の上方への移動が抑制される。
【0053】
次に、図10を用いて、光学式センサー13の設置位置を説明する。
図10はこの発明の実施の形態2における重量検知装置の光学式センサーの設置位置を説明するための図である。
【0054】
図10に示すように、計測足11の変位量δTと光のスポット移動量δS12との比は、計測足11の突出部11aの回転半径rと回転軸12から受光素子13cまでの距離Dsの比と等しくなる。このため、加熱調理器本体1、被加熱物6の最大重量等の設定を実施の形態1と同様とした場合、距離Dsを回転半径rの2倍にすれば、単位質量の被加熱物6を搭載したときの変位量δT=0.11mmは、光学式センサー13で0.22mmとして計測される。
【0055】
以上で説明した実施の形態2によれば、実施の形態1よりも計測足11の移動量の検出分解能が向上する。このため、被加熱物6の重量の検知精度を向上することができる。
【0056】
実施の形態3
図11はこの発明の実施の形態3における図2相当図である。図12は図11の要部平面図である。図13と図14とはこの発明の実施の形態3における重量検知装置の計測足の斜視図である。なお、実施の形態2と同一又は相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図11〜図14に示すように、実施の形態3の計測足11は、エンコーダ式のものである。より具体的には、計測足11は、射光板11dを備える。射光板11dは、板体8の他側にいくにつれて広がるように形成される。射光板11dには、複数のスリット11eが形成される。複数のスリット11eは、計測足11が回転した際に、回転動作の所定の径方向の並ぶ複数の箇所の貫通状態が変化するように配置される。
【0058】
図11と図12とに示すように、実施の形態3の光学式センサー14は、取付部材15、複数の発光素子16a〜16c、複数の受光素子17a〜17cを備える。取付部材15は、射光板11dを挟み込むように板体8の他側に並んで固定される。複数の発光素子16a〜16cは、上記複数の箇所の各々に向けてそれぞれ光を発するように射光板11dの一側で水平方向に並んで取付部材15に固定される。複数の受光素子17a〜17cは、発光素子16a〜16cの発した各光が複数のスリット11eを介して複数の箇所を通過した場合に、各光をそれぞれ受けるように射光板11dの他側で取付部材15に固定される。各受光素子17a〜17cは、光が照射されているときに、検出信号を出力する機能を備える。
【0059】
次に、図15と図16を用いて、被加熱物6の重量と検出方法を説明する。
図15と図16とはこの発明の実施の形態3における重量検知装置の出力を説明するための図である。
【0060】
図15において、左側の変化は、発光素子16aと受光素子17aとの間のスリット11eの変化を示す。中央の変化は、発光素子16bと受光素子17bとの間のスリット11eの変化を示す。右側の変化は、発光素子16cと受光素子17cとの間のスリット11eの変化を示す。
【0061】
図15の最上段は、加熱調理器本体1を浮かせた場合のスリット11eの組み合わせを示す。上から2〜7番目の段は、被加熱物6の搭載量がそれぞれレベル1〜6の場合のスリット11eの組み合わせを示す。最下段は、被加熱物6の搭載量が最大搭載量以上の場合のスリット11eの組み合わせを示す。
【0062】
図15に示すように、加熱調理器本体1を浮かせた場合は、発光素子16a〜16cが発した光は、射光板11dで反射する。このため、受光素子17a〜17cには、光が照射されない。
【0063】
被加熱物6の搭載量がレベル1の場合は、発光素子16a、16bが発した光は、射光板11dで反射する。このため、受光素子17a、17bには、光が照射されない。これに対し、発光素子16cが発した光は、スリット11eを通過する。このため、受光素子17cには、光が照射される。
【0064】
被加熱物6の搭載量がレベル2の場合は、発光素子16a、16cが発した光は、射光板11dで反射する。このため、受光素子17a、17cには、光が照射されない。これに対し、発光素子16bが発した光は、スリット11eを通過する。このため、受光素子17bには、光が照射される。
【0065】
被加熱物6の搭載量がレベル3の場合は、発光素子16aが発した光は、射光板11dで反射する。このため、受光素子17aには、光が照射されない。これに対し、発光素子16b、16cが発した光は、スリット11eを通過する。このため、受光素子17b、17cには、光が照射される。
【0066】
被加熱物6の搭載量がレベル4の場合は、発光素子16b、16cが発した光は、射光板11dで反射する。このため、受光素子17b、17cには、光が照射されない。これに対し、発光素子16aが発した光は、スリット11eを通過する。このため、受光素子17aには、光が照射される。
【0067】
被加熱物6の搭載量がレベル5の場合は、発光素子16bが発した光は、射光板11dで反射する。このため、受光素子17bには、光が照射されない。これに対し、発光素子16a、16cが発した光は、スリット11eを通過する。このため、受光素子17a、17cには、光が照射される。
【0068】
被加熱物6の搭載量がレベル6の場合は、発光素子16cが発した光は、射光板11dで反射する。このため、受光素子17cには、光が照射されない。これに対し、発光素子16a、16bが発した光は、スリット11eを通過する。このため、受光素子17a、17bには、光が照射される。
【0069】
被加熱物6の搭載量が最大搭載量以上の場合は、発光素子16a〜16cが発した光は、スリット11eを通過する。このため、受光素子17a〜17cには、光が照射される。
【0070】
このように、被加熱物6の搭載量のレベルにより、各受光素子17a〜17cへの光の照射状態が変化する。このとき、光学式センサー14は、図16に示すように、各受光素子17a〜17cの検出信号が2値判定のHighレベルにあるのかLowレベルにあるのかを判定する。この判定の結果の組み合わせに基づいて、光学式センサー14の移動量を検出する。この移動量に基づいて、重量検知装置4は、被加熱物6の搭載量のレベルを判定する。
【0071】
以上で説明した実施の形態3によれば、各受光素子17a〜17cへの光の照射状態の組み合わせに基づいて、被加熱物6の搭載量のレベルが判定される。すなわち、簡単な判定で、被加熱物6の搭載量を検知することができる。このため、重量検知装置4を安価に製作することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 加熱調理器本体
2 加熱手段
3 導電性を有する容器
4 重量検知装置
5 制御判定回路基板
6 被加熱物
7 計測足
7a 突出部
8 板体
9 戻りバネ
10 光学式センサー
10a 取付部材
10b 発光素子
10c 受光素子
11 計測足
11a 突出部
11b ストッパ
11c ストッパ
11d 射光板
11e スリット
12 回転軸
13 光学式センサー
13a 取付部材
13b 発光素子
13c 受光素子
14 光学式センサー
15 取付部材
16a〜16c 発光素子
17a〜17c 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量の計測を要する物体を設置するための本体と、
前記本体の底部から下方に突出した突出部を有し、前記本体の設置時に前記突出部が設置面との接触により前記本体の上方に押し込まれた際に前記本体に設置された物体の重量の増加に応じて上方への移動量が増加するように前記本体に対して上下方向に移動自在に設けられた計測足と、
前記計測足の移動量を非接触で検出する光学式センサーと、
前記計測足の移動量に基づいて、前記本体に設置された物体の重量を検知する検知手段と、
を備えた重量検知装置。
【請求項2】
前記計測足を下方へ付勢するバネ、
を備え、
前記光学式センサーは、
前記計測足の上面に対して傾斜した光を前記計測足の上面に向けて発するように前記計測足の上方で前記本体に固定された発光体と、
前記発光体が発して前記計測足の上面で反射した光を受けるように前記計測足の上方で前記本体に固定された受光体と、
を有し、
前記受光体への光の照射位置に基づいて、前記計測足の移動量を検出する請求項1記載の重量検知装置。
【請求項3】
前記計測足を下方へ付勢するバネ、
を備え、
前記計測足は、一側が前記本体に回転自在に支持されるとともに他側に前記突出部を有し、
前記光学式センサーは、
前記計測足の回転動作の径方向外側に光を発するように前記突出部の側面に固定された発光体と、
前記発光体が発した光を受けるように前記発光体の対向位置に固定された受光体と、
を有し、
前記受光体への光の照射位置に基づいて、前記計測足の移動量を検出する請求項1記載の重量検知装置。
【請求項4】
前記計測足を下方へ付勢するバネと、
複数のスリットを有した射光板と、
を備え、
前記計測足は、一側が前記本体に回転自在に支持されるとともに他側に前記突出部を有し、前記本体に設置された物体の重量に応じて前記一側を中心として回転した際に、回転動作の所定の径方向の並ぶ複数の箇所の貫通状態が変化するように前記複数のスリットを配置した状態で前記射光板を固定し、
前記光学式センサーは、
前記複数の箇所の各々に向けてそれぞれ光を発するように前記射光板の一側で前記本体に固定された複数の発光体と、
前記複数の発光体の発した各光が前記複数のスリットを介して前記複数の箇所を通過した場合に、前記各光をそれぞれ受けるように前記射光板の他側で前記本体に固定された複数の受光体と、
を有し、
前記複数の受光体への光の照射状態の組み合わせに基づいて、前記計測足の移動量を検出する請求項1記載の重量検知装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の重量検知装置を有し、前記本体に設置された物体の重量の検知結果に基づいて、加熱条件を制御する加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−202936(P2012−202936A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70158(P2011−70158)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】