説明

重量測定装置

【課題】使用者に手間をとらせることなく、自動的に設置場所に合わせて装置を正しく接地させる調整を行うことができ、また、自動的に装置自体を水平にする調整を行うことができる重量測定装置を提供する。
【解決手段】被測定対象の重量を測定可能な重量測定手段と、複数の脚部と、を有する重量測定装置であって、複数の脚部が突出する長さを個別に調整可能な調整機構と、複数の脚部の設置面への接地を検知可能な接地検知部と、重量測定装置の傾きを検知可能な傾き検知部と、接地検知部の検知結果及び傾き検知部の検知結果に基づいて、調整機構の動作を制御する制御部と、を有し、制御部は、調整機構の動作を制御した後に、重量測定手段による被測定対象の重量の測定を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定対象の重量を測定する重量測定装置に関し、特に、自動的に設置時のがたつき調整及び傾き調整を行う重量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定対象の重量を測定する重量測定装置が利用されている。例えば、商店では、販売物の重さを測定する重量測定装置、工場では、製品や原料の重量を測定する大型の重量測定装置、及び、家庭や医療機関等では、被測定対象である被測定者の体重のほかに、体脂肪率、体脂肪量等の生体情報も測定することができる種々の生体測定装置が利用されている。このような重量測定装置は、被測定対象が載置面に載った時に、重量の測定が開始されるようになっている。生体測定装置の場合には、被測定対象である被測定者の重量(体重)を測定することに加え、被測定者の足もしくは手から微弱な定電流を流し、電気抵抗(生体インピーダンス)を測定し、体内組織の組成を示す体脂肪率、体脂肪量等の生体情報を測定することができるものもある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−179536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、重量測定装置は、設置場所が平面でない場合、装置の姿勢が不安定となり、正確な重量を測定できないおそれがある。重量測定装置は、一般的に、平面視略矩形の本体と、前記本体の四隅内部に配置された重量測定のためのロードセルと、一端が前記各ロードセルと連結して他端が設置面に接地する脚部と、を備えているものが多い。このような重量測定装置を用いる場合において、本体下面の総ての脚部が設置面に適切に接地していない状態、即ち、いずれかの脚部が設置面に対して浮いた状態で使用すると、その浮いた脚部に連結されているロードセルは、被測定対象の荷重に対応した歪みを生じないため、被測定対象の重量を正確に測定することが困難となる。
【0005】
また、重量測定装置の脚部が設置面に対して接地している場合であっても、設置面が傾斜しているために重量測定装置自体が水平とならない場合は、各ロードセルが被測定対象の荷重に対応した適切な歪みを生じない可能性があり、被測定対象の重量を正確に測定することが困難となる。
【0006】
以上のような問題を生じないように、従来の重量測定装置では、総ての脚部が設置可能であって重量測定装置を水平に保って設置可能な設置面を、使用者自身が選んで設置する必要があり、重量測定装置の設置場所を変更するたびに、前記のような選定が必要とされるため、設置場所の変更に煩雑な手間を伴うこともあった。なお、脚部の浮きや装置の傾きを調整するために、例えば、装置下部に手動によるねじ込み式の脚部を設けることも考えられる。しかしながら、設置場所を変更するたびに使用者がその脚部を手動で調整しなければならないため、使用者の手間を減らすことはできない。
【0007】
そこで本発明は、使用者に手間をとらせることなく、自動的に設置場所に合わせて装置を正しく接地させる調整を行うことができ、また、自動的に装置自体を水平にする調整を行うことができる重量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の重量測定装置は、被測定対象の重量を測定可能な重量測定手段と、複数の脚部と、を有する重量測定装置であって、前記複数の脚部が突出する長さを個別に調整可能な調整機構と、前記複数の脚部の設置面への接地を検知可能な接地検知部と、前記重量測定装置の傾きを検知可能な傾き検知部と、前記接地検知部の検知結果及び前記傾き検知部の検知結果に基づいて、前記調整機構の動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記調整機構の動作を制御した後に、前記重量測定手段による前記被測定対象の重量の測定を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の重量測定装置において、前記制御部は、前記接地検知部の検知結果に基づいて前記調整機構の動作を制御した後に、前記傾き検知部の検知結果に基づいて前記調整機構の動作を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の重量測定装置において、前記重量測定手段は、前記重量測定装置の内部において離間配置された4つのロードセルであり、前記複数の脚部は、前記ロードセルの各々に1つずつ連結されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の重量測定装置において、前記傾き検知部は、2つの1軸傾斜センサからなり、互いに直交して水平方向に沿う2方向上に1つずつ配置されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の重量測定装置において、前記ロードセルは、前記重量測定装置の四隅内部に1つずつ配置され、前記傾き検知部は、2つの1軸傾斜センサからなり、前記ロードセルの配置位置を対角線状に結ぶラインに沿って1つずつ配置されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の重量測定装置において、前記接地検知部は、前記複数の脚部の前記設置面との接触部に設けられるプッシュスイッチであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の重量測定装置において、前記接地検知部は、前記複数の脚部の前記設置面との接触部に設けられる感圧センサであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の重量測定装置において、前記接地検知部は、前記設置面までの距離を測定可能な距離センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、重量測定装置の設置場所を変更する場合に伴う、脚部の接地状態や装置自体の水平確保の調整の負担を使用者にかけることなく、自動的に設置場所に合わせて装置を正しく接地させ、かつ、測定部分を水平にすることができる。これにより、重量測定装置の設置場所を変更しても、煩雑な調整処理を使用者が行うことなく、被測定対象の正確な重量の測定を簡易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る生体測定装置(重量測定装置)の構成を示す分解斜視図である。
【図2】(a)は、第1実施形態に係る生体測定装置(重量測定装置)のステッピングモータ(調整機構)及び脚部の分解斜視図、(b)は、ステッピングモータ及び脚部を組み立てた状態の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る生体測定装置(重量測定装置)の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は接触センサ(接地検知部)が設置面から離間した状態を示す図、(b)は接触センサ(接地検知部)が設置面に接地した状態を示す図である。
【図5】第1実施形態の生体測定装置(重量測定装置)における処理全体の流れを示すフローチャートである。
【図6】がたつき調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】傾き調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】(a)は第2実施形態に係る生体測定装置(重量測定装置)の感圧センサ(接地検知部)が設置面から離間した状態を示す図、(b)は感圧センサ(接地検知部)が設置面に接地した状態を示す図である。
【図9】第2実施形態におけるがたつき調整処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】(a)は第3実施形態に係る生体測定装置(重量測定装置)の距離センサ(接地検知部)が設置面から離間した状態を示す図、(b)は距離センサ(接地検知部)が設置面に接地した状態を示す図である。
【図11】第3実施形態におけるがたつき調整処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る重量測定装置について、被測定対象としての被測定者の体重(重量)を含む生体情報を測定するための生体測定装置に適用した場合を例として、図面を参照しつつ詳しく説明する。以下に説明する実施形態は、重量測定機能を有する生体測定装置に適用した実施形態であるが、本発明はこれ以外の形態、例えば、重量測定機能のみを備える重量測定装置(例えば体重計)や、被測定対象が人体以外の物体である装置にも適用可能であることはいうまでもない。なお、生体情報としては、例えば、体重、脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、血圧、内臓脂肪面積、BMI、肥満度、細胞内液量、細胞外液量などがある。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る生体測定装置(重量測定装置)10の構成を示す分解斜視図、図2(a)は、第1実施形態に係る生体測定装置(重量測定装置)のステッピングモータ(調整機構)70及び脚部80の分解斜視図、図2(b)は、ステッピングモータ70及び脚部80を組み立てた状態の斜視図、図3は、第1実施形態に係る生体測定装置10の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1乃至図3に示すように、生体測定装置10は、カバー部材20と、フレーム部材40と、底板部材45と、電極部材30と、制御部12と、電源部13と、記憶部14と、表示部21と、操作部22と、フットスイッチ23と、ロードセル60(重量測定手段)と、ステッピングモータ70(調整機構)と、脚部80と、接触センサ90(接地検知部)と、第1傾斜センサ51(傾き検知部)及び第2傾斜センサ52(傾き検知部)と、を備える。生体測定装置10は、ロードセル60による体重測定と、電極部材30を用いた生体インピーダンスの測定と、を行って、体重を含む種々の生体情報を表示することができるようになっている。
【0021】
図1に示すように、生体測定装置10は、カバー部材20と、カバー部材20に固定される底板部材45とにより略箱形に形成され、カバー部材20と底板部材45との間には金属製のフレーム部材40が配置される。カバー部材20及び底板部材45は、一例として樹脂(例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体))やガラス等から形成すればよいが、生体測定装置10の強度を高めるために、底板部材45を金属製としてもよい。底板部材45は、後述のステッピングモータ70が挿通可能な挿通孔部46がそれぞれ設けられている。図1においては、挿通孔部46は、円形孔部42に対応する位置に設けられている。
【0022】
フレーム部材40は、カバー部材20や底板部材45の形状に対応した板状部材であり、例えば金属(アルミニウムなど)のように強度の高い材料を成型してなる。フレーム部材40の上面(カバー部材20側の面)の四隅には、後述のロードセル60をそれぞれ収容するための凹部である取付凹部41が形成されている。取付凹部41には、ロードセル60と連結される後述の金属ブリッジ69b、弾性ブリッジ69c、ステッピングモータ70が挿通可能な、孔部としての4つの円形孔部42が設けられている。なお、取付凹部41及び円形孔部42は、体重測定を精度良く行えるようにバランス良く配置できれば、四隅以外の位置に配置してもよい。
【0023】
カバー部材20の上面は、被測定者が載る(立つ)ための平坦な載置部20aが構成されている。載置部20aには、被測定者の足の裏面が接触し、金属板から形成される電極部材30、即ち、通電電極31L、31R及び測定電極32L、32Rが互いに離間して配置されている。なお、カバー部材20には、電極部材30(31L、31R、32L、32R)を嵌め込むことができる凹部(図に示さず)が形成され、通電電極31L、31R及び測定電極32L、32Rと載置部20aとが面一となるように構成されている。
【0024】
電極部材30は、被測定者の生体情報としての生体インピーダンスの測定のために用いられる。通電電極31L、31Rは、接触する被測定者の体の部位(例えば爪先付近の足裏)から被測定者の体内に、生体インピーダンス測定用の電流を供給するための電極である。また、測定電極32L、32Rは、接触する被測定者の体の部位(例えば踵付近の足裏)における、被測定者の体内を流れる前記電流の電圧を取得・測定するための電極である。制御部12は、このような電流及び電圧の各値に基づいて、被測定者の生体インピーダンスを算出・測定することができるようになっている。
【0025】
表示部21及び操作部22は、カバー部材20の載置部20aに設けられている。また、複数のスイッチからなるフットスイッチ23が、カバー部材20の側面に配置されている。表示部21としては、例えば、液晶を用いたものを採用でき、生体情報、入力画面、入力結果等を表示可能な表示手段として機能する。操作部22としては、例えば、ボタン式、タッチセンサ式、ダイヤル式などを用いることができる。生体測定装置10の使用者(被測定者)は、操作部22及びフットスイッチ23を操作することにより、例えば、自己のデータ(例えば、身長、性別、年齢)を入力し、特定のユーザーの入力情報として記憶部14に記憶させることができる。
【0026】
電源部13は、制御部12及び他の部材に対して、電池又は外部から電力を供給する。記憶部14は、例えば、RAM(Random Access Memory)により構成され、操作部22及びフットスイッチ23から入力された情報や、各処理に必要な情報、及び、各処理の結果などを記憶する。
【0027】
図3に示すように、制御部12は、電源部13、記憶部14、表示部21、操作部22、フットスイッチ23、電極部材30(31L、31R、32L、32R)、ロードセル60、第1傾斜センサ51、第2傾斜センサ52、ステッピングモータ70、及び接触センサ90と、電気的に接続されている。制御部12は、使用者による操作部22やフットスイッチ23の操作に基づいて、各部の動作を制御できるようになっている。なお、制御部12と第1傾斜センサ51の間、制御部12と第2傾斜センサ52の間、制御部12と接触センサ90の間、及び、制御部12とロードセル60との間、のそれぞれには、それぞれA/D(アナログ/デジタル)コンバータ(図に示さず)が設置されている。
【0028】
制御部12は、使用者が入力した情報や、体重(重量)、生体情報その他の測定結果を、表示部21に表示させることができる。また、制御部12は、重量測定処理において、通電電極31L、31Rを用いて被測定者に対して交流電流を供給し、測定電極32L、32Rを用いて被測定者の左右の足裏間の電圧を測定することができる。
【0029】
ロードセル60は、被測定対象の重量を測定する重量測定手段として機能する。ロードセル60(60a、60b、60c、60d)は、4箇所の取付凹部41内にそれぞれ1つずつ配置される。このロードセル60は、荷重により変形する金属部材からなる起歪体61と、起歪体61の歪み部分である起歪部に貼られて起歪部の変形(伸縮)に応じて抵抗値が変化する歪みゲージ63と、を備える。起歪体61の固定端部は、スペーサ69aを介在させて、ねじ67aによって、フレーム部材40の取付凹部41に固定される。一方、起歪体61の可動端部は、金属ブジッジ69b、弾性ブリッジ69c、スペーサ69dをこの順番に介在させて、ねじ67bによって、ステッピングモータ70に固定される。なお、金属ブリッジ69bは、起歪体61の可動端部との間でスペーサとして機能し得る凸部69b1を有し、凸部69b1は、ねじ67bが挿通する貫通孔の周囲に形成される。弾性ブリッジ69cは、生体測定装置10が設置されたときの緩衝部材として機能し、例えばゴム製として設けることができる。後述の様に、ステッピングモータ70には、脚部80が結合され、少なくとも脚部80は、底板部材45の貫通孔部46を介して、底板部材45の外部に突出し、設置面に接地する構成である。これにより、ロードセル60は、撓みばりを構成する。
【0030】
被測定者がカバー部材20の載置部20aに載ると、脚部80は、被測定者の体重(重量)に対応する荷重を、設置面から受け、その荷重は、ステッピングモータ70を介して、ロードセル60の可動端部に伝達され、起歪体61の起歪部が変形し、その変形に応じて歪みゲージ63が伸縮する。制御部12は、載置部20aに被測定者が載っていないときのロードセル60の抵抗値(いわゆるゼロ点)と、荷重が掛かったときの抵抗値と、の差に起因する電圧の変化分に基づいて、被測定者の体重を算出する。
【0031】
ステッピングモータ70は、脚部80が底板部材45から突出する長さを個別に調整可能な調整機構として機能する。図1に示すように、ステッピングモータ70は、ロードセル60の起歪体61の可動端部に、金属ブジッジ69b、弾性ブリッジ69c、スペーサ69dを介在して、それぞれ固定される。ステッピングモータ70は、底板部材45の挿通孔部46に挿通可能な部位を形成するなどして、底板部材45と接触しないように設けられている(図2(b)参照)。また、ステッピングモータ70は、制御部12に接続されており、制御部12の制御のもと、それぞれ独立して動作可能である。ステッピングモータ70は、パルス電力に同期して動作する同期モータである。1パルスあたりの回転子の回転角度(ステップ角)が予め決められており、回転させる角度に対応するパルス電力を供給することにより、所望の角度だけ回転子を回転させることができる。ステッピングモータ70は、内部の回転子(図に示さず)が外枠とは独立して回転されることが好ましい。図2(a)に示すように、サーボモータ70は、脚部80の雌ネジ部82と連結するために、連結部82a、82b(後述)に対応する連結片72a、72bを有する。なお、脚部80の調整機構としては、本実施形態のステッピングモータに限られず、例えばサーボモータその他のモータ機構を用いることもできる。
【0032】
脚部80は、ステッピングモータ70の回転子(図に示さず)に結合されている。より具体的には、図2(a)に示すように、脚部80は、軸部の外周に溝が形成された雄ネジ部81と、雄ネジ部81の溝に螺合可能な溝が内面に形成された雌ネジ部82と、からなる。雄ネジ部81は、その頂部81aがステッピングモータ70の回転子に固定され、ステッピングモータ70の動作に応じてその回転子と共に回転可能になっている。
【0033】
図2(a)に示すように、雌ネジ部82には、サーボモータ70の連結片72a、72bに対応して、連結部82a、82bを有する。本実施形態では、図2(b)に示すように、棒状の連結片72a、72bが、筒状の連結部82a、82bにそれぞれ挿入されることで、サーボモータ70と雌ネジ部82とが連結されるようになっているが、いずれを棒状とし筒状とするかは特に限定されず、互いに連結可能な構成であれば形状は特に限定されない。
【0034】
図2(b)のように組み立てられた状態で、サーボモータ70が所定パルス電力の共有を受けると、サーボモータ70は所定角度だけ回転子を回転させ、この回転子に連動して雄ネジ部81が回転する。雄ネジ部81aが連結部82に対して所定角度だけ回転すると、雌ネジ部82は、雄ネジ部81の所定角度の回転に応じ、浅く連結したり深く連結したりするように連結状態が変わる。このとき、連結片72a、72bと連結部82a、82bとが連結しているため、雌ネジ部82は、回転することはなく、図2(b)の矢印A方向又は矢印B方向に変位する。これにより、脚部80の軸方向の長さを変化させることが可能となっている。なお、雌ネジ部82の矢印A方向又は矢印B方向へ所定距離だけ変位させるときのサーボモータ70の回転子の回転角度と、この角度に対応するパルス電力との関係は、予め記憶部14にデータとして記憶されており、制御部12は、このデータに基づいて、サーボモータ70の駆動を制御する。
【0035】
接触センサ90は、脚部80の設置面Sへの接地を検知可能な接地検知部として機能する。図2(b)及び図4に示すように、接触センサ90(接地検知部)は、脚部80、より具体的には雌ネジ部82の底面(設置面Sと接地する面)において、プッシュスイッチの構成でそれぞれ設けられている。図4(a)は、接触センサ90が設置面Sから離間した状態を示す図、図4(b)は、接触センサ90が設置面Sに接地した状態を示す図である。
【0036】
接触センサ90は、脚部80(特に雌ネジ部82)内に設けた弾性部材に支持され、弾性部材の弾性力によって矢印A方向に付勢されている。これにより、外力を加えていない状態では、接触センサ90は脚部80(特に雌ネジ部82)から外方へ所定量突出する。これに対して、接触センサ90にかかる弾性力に抗して、矢印B方向に外力を加えると、前記弾性部材が圧縮され、突出量は減少する。
【0037】
生体測定装置10を設置することにより接触センサ90が設置面Sに接地して、さらに、接触センサ90の突出量が所定量だけ減少した場合には、接触センサ90は、設置面Sに接地したことを示す検知信号を制御部12に対して出力するようになっている。
【0038】
第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52は、生体測定装置10の傾きを検知可能な傾き検知部として機能する。第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52は、カバー部材20の裏面(フレーム部材40側の面)であって、後述の所定の配置位置に固定されている。第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52のように2基の傾斜センサを用いる場合は、それぞれ1軸の傾斜センサ(加速度センサ)であればよい。
第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52の配置位置は、一例として、4つのロードセル60(60a、60b、60c、60d)の配置位置を対角線状に結ぶラインに沿うようにする。この場合、図1に示すように、第1傾斜センサ51は、ロードセル60aとロードセル60bとを結ぶA−B線に沿って配置され、第2傾斜センサ52は、ロードセル60cとロードセル60dとを結ぶC−D線に沿って配置する。
また、第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52は、互いに直交して水平方向に沿う2方向(X軸方向及びY軸方向)上にそれぞれ1つずつ配置すればよい。
さらに、第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52は、生体測定装置10の略正方形の載置部20aの対角線上にそれぞれ1つずつ配置すればよい。
このように、2基の傾斜センサ、即ち、第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52を配置すれば、生体測定装置10の傾斜を検知することが可能となる。
【0039】
なお、このような1軸の傾斜センサに限らず、2軸や3軸の傾斜センサを用いてもよく、その場合は、1基で構成してもよいことは言うまでもない。また、傾斜センサの設置位置は、生体測定装置10の傾斜を正しく検知できる位置であれば特に限定されるものではない。また、傾斜センサとしては、加速度センサに限られず、デジタル信号を出力可能な水平器などを用いることもできる。
【0040】
予め、記憶部14は、各傾斜センサの、重力加速度と傾斜角度との関係からなる計算式(特性)が記憶されている。第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52は、重力加速度により検出している信号を、制御部12に送信する。制御部12は、第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52の前記信号に基づいて、前記計算式を用い、重力加速度から斜度(傾斜角度)を算出することができるようになっている。
また、制御部12は、前記斜度に基づいて、生体測定装置10を水平にするための補正量を算出することができるようになっている。補正量は、4つの脚部80のそれぞれの調整の要否、各脚部80の伸縮量、及び、前記伸縮量に対応するステッピングモータ70の回転角度、等を要素として算出されるものである。
【0041】
次に、生体測定装置10における全体の処理の流れについて、図5を参照して説明する。図5は、生体測定装置10における処理全体の流れを示すフローチャートである。起動スイッチをオンにして装置を起動すると(ステップS1)、制御部12は、がたつき調整処理を行う(ステップS2)。がたつき調整処理とは、接触センサ90の検知結果に基づいて、ステッピングモータ70を適宜動作させ、総ての脚部80が接地した状態となるように調整することである。つづいて、制御部12は、傾き調整処理を行う(ステップS3)。傾き調整処理とは、第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52の検知結果に基づいて、斜度を算出し、生体測定装置10の傾斜を修正するために最適なステッピングモータ70の動作を決定し、ステッピングモータ70を動作させることによって、それぞれの脚部80の伸縮を調整することである。以上の2つの調整処理の後、被測定者の重量測定処理(ステップS4)を行い、制御部12は、測定結果表示処理として、測定結果(体重)を表示部21に表示させる(ステップS5)。なお、図5では省略したが、本発明を本実施形態のように生体測定装置として構成する場合は、ステップS4において、被測定者の生体インピーダンスも測定し、種々の生体情報(例えば体脂肪率)を演算して、ステップS5において、体重と共にその生体情報を表示するようにすればよい。
【0042】
がたつき調整処理及び傾き調整処理の終了後、少なくとも体重を測定している間は、制御部12は、ステッピングモータ70の動作を停止して脚部80の伸縮状態を維持する。脚部80の調整状態は、測定終了後に解除してもよいが、測定終了後もステッピングモータ70をロックし続けることによって、次回の測定まで脚部80の調整状態を維持してもよい。この場合、ステッピングモータ70のロックは、使用者の操作により、又は、制御部12が自動的に行う。
【0043】
さらに、次回の測定時において、起動スイッチをオンする際(ステップS1)、がたつき調整処理及び/又は傾き調整処理を省略して前回の調整状態を維持するか否かを被測定者に選択させるルーチンを設けてもよい。被測定者が、前回の調整状態を維持する方を選択した場合は、がたつき調整処理(ステップS2)及び/又は傾き調整処理(ステップS3)を省略して重量測定処理(ステップS4)に入るため、設置場所が前回の測定時と同じ場合に被測定者の待ち時間を減らすことができる。
【0044】
さらに以下、各処理について、図6乃至図11を参照して説明する。図6は、図5のがたつき調整処理(ステップS2)の流れを示すフローチャートである。制御部12は、総ての接触センサ90がオンかオフかを確認する(ステップS201)。この確認は、各接触センサ90からの検知信号の有無によって行う。接触センサ90がオンの時(検知信号が有る時)は、設置面Sに対して接触センサ90が接地している状態である。一方、接触センサ90がオフの時(検知信号が無い時)は、設置面Sに対して接触センサ90が接地していない状態である。総ての接触センサ90がオンの時(設置面Sに接地している)には(ステップS202でYes)、がたつき調整処理を終了し、ステップS3へ移行する。
【0045】
これに対して、1以上の接触センサ90がオフの時(設置面Sに接地していない)には(ステップS202でNo)、制御部12は、検知信号の有無により、接触センサ90がオフの脚部80を特定する(ステップS203)。制御部12は、特定された脚部80に対応するステッピングモータ70に対して、予め設定されている調整量に対応するパルス電力(以下、「駆動信号」という。)を出力して、ステッピングモータ70を駆動させる(ステップS204)。このステッピングモータ70は、制御部12から受けた駆動信号に対応した量だけ回転子を回転させるので、ステッピングモータ70の回転子と結合している脚部80の雄ネジ部81も同時に回転する。これにより脚部80の雌ネジ部82と雄ネジ部81との螺合部分が回転し、脚部80が延出して軸方向の長さを変化させることができる。その後、制御部12は、再度、総ての接触センサ90がオンかオフか、を確認する(ステップS201)。このように、総ての接触センサ90がオンになっていること、即ち、総ての脚部80が設置面Sに接地していることを確認するまで、上述のステップS201〜S204を繰り返す。
【0046】
図7は、図5の傾き調整処理(ステップS3)の流れを示すフローチャートである。制御部12は、第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52の出力信号を取得し(ステップS301)、これらのセンサが配置された2つの検知方向の斜度(傾斜角度)を算出する(ステップS302)。例えば、図1においては、第1傾斜センサ51の出力信号を取得して、その検知方向であるA−B線方向の傾斜角度を算出する。同様に、第2傾斜センサ52の出力信号を取得して、その検知方向であるC−D線方向の傾斜角度を算出する。
【0047】
制御部12は、算出された斜度に基づいて、生体測定装置10が傾いているか否かを判断する(ステップS303)。具体的には、制御部12は、第1傾斜センサ51が配置された方向(第1傾斜センサ方向)の斜度がゼロであり、かつ、第2傾斜センサ52が配置された方向(第2傾斜センサ方向)の斜度がゼロであるときは、傾いていないと判断し、傾き調整処理を終了する(ステップS303でNo)。それ以外の場合は斜度がゼロで無いため、傾いていると判断し、傾き調整処理を実行する(ステップS303でYes)。
【0048】
傾いていると判断したときは(ステップS303でYes)、制御部12は、第1傾斜センサ51及び第2傾斜センサ52が配置された2つの検知方向の斜度を比較する(ステップS304)。第1傾斜センサ51が配置された方向(第1傾斜センサ方向)の斜度の方が、第2傾斜センサ52が配置された方向(第2傾斜センサ方向)の斜度よりも小さい場合(ステップS305でYes)、制御部12は、第1傾斜センサ方向において調整すべき脚部80を特定する(ステップS306)。例えば、図1においては、第1傾斜センサ方向であるA−B線方向の脚部(ロードセル60aに連結されている脚部及びロードセル60bに連結されている脚部)において、ロードセル60aに連結されている脚部側が低く、ロードセル60bに連結されている脚部側が高い場合は、制御部12は、ロードセル60aに連結されている脚部を、調整すべき脚部として特定する。
【0049】
次に、制御部12は、第1傾斜センサ方向が水平になるように、脚部80の調整量を算出し(ステップS307)、算出した調整量に対応する駆動信号を、調整対象の脚部に係るステッピングモータ70へ出力し、このステッピングモータ70を駆動させる(ステップS308)。ステッピングモータ70は、制御部12から受けた駆動信号に対応した量だけ回転子を回転させ、これと結合している脚部80の雄ネジ部81が回転する。これにより雌ネジ部82が変位して脚部80が延出し、第1傾斜センサ方向が水平となる。
【0050】
制御部12は、第2傾斜センサ方向において調整すべき脚部80を特定する(ステップS309)。例えば、図1においては、第2傾斜センサ方向であるC−D線方向の脚部(ロードセル60cに連結されている脚部及びロードセル60dに連結されている脚部)において、ロードセル60cに連結されている脚部側が低く、ロードセル60dに連結されている脚部側が高い場合は、制御部12は、ロードセル60cに連結されている脚部を、調整すべき脚部として特定する。つづいて、制御部12は、第2傾斜センサ方向が水平になるように、脚部80の調整量を算出し(ステップS310)、算出した調整量に対応する駆動信号を、調整対象の脚部に係るステッピングモータ70へ出力し、このステッピングモータ70を駆動させる(ステップS311)。これにより、第2傾斜センサ方向も水平となり、生体測定装置10全体の水平状態が実現される。そして、傾き調整処理(ステップS2)を終了して、ステップS4へ移行する。
【0051】
第2傾斜センサ方向の斜度の方が、第1傾斜センサ方向の斜度よりも小さい場合(ステップS305でNo)、制御部12は、第2傾斜センサ方向において調整すべき脚部80を特定する(ステップS312)。制御部12は、第2傾斜センサ方向が水平になるように、脚部80の調整量を算出し(ステップS313)、算出した調整量に対応する駆動信号を、調整対象の脚部に係るステッピングモータ70へ出力し、このステッピングモータ70を駆動させる(ステップS314)。これにより、第2傾斜センサ方向が水平となる。制御部12は、第1傾斜センサ方向において調整すべき脚部80を特定する(ステップS315)。制御部12は、第1傾斜センサ方向が水平になるように、脚部80の調整量を算出し(ステップS316)、算出した調整量に対応する駆動信号を、調整対象の脚部に係るステッピングモータ70へ出力し、このステッピングモータ70を駆動させる(ステップS317)。これにより、第1傾斜センサ方向も水平となり、生体測定装置10全体の水平状態が実現される。そして、傾き調整処理(ステップS3)を終了して、ステップS4へ移行する。
【0052】
次に、重量測定処理(図5のステップS4)について説明する。制御部12は、上記のような調整機構であるステッピングモータ70の動作を制御した後に、重量測定手段であるロードセル60による被測定者の体重(重量)の測定を制御する。すなわち、被測定者が、載置部20aに載ると、起歪体61の起歪部が変形し、その変形に応じて歪みゲージ63が伸縮する。制御部12は、記憶部14にあらかじめ保存された算出プログラムに従って、載置部20aに被測定者が載っていないときのロードセル60の抵抗値(いわゆるゼロ点)と、荷重が掛かったときの抵抗値と、の差から被測定者の体重を算出する。また、制御部12は、記憶部14にあらかじめ保存されたプログラムに従って、通電電極31L、31Rから被測定者の体内に供給した電流と、測定電極32L、32Rにおいて取得・測定する、被測定者の体内を流れる前記電流の電圧と、に基づいて、被測定者の生体インピーダンスを算出・測定する。さらに、制御部12は、記憶部14にあらかじめ保存されたプログラムに従って、他の種々の生体情報(例えば、脂肪率、内臓脂肪レベル、体水分量、筋肉量、基礎代謝量、骨量、除脂肪量、体細胞量、血圧、内臓脂肪面積、BMI、肥満度、細胞内液量、細胞外液量)を算出するようにしてもよい。
【0053】
次に、測定結果表示処理(図5のステップS5)について説明する。重量測定処理(図5のステップS4)が終了すると、制御部12は、測定結果を表示部21に表示する(ステップS5)。
【0054】
以上のように構成されたことから、上記実施形態によれば、次の効果を奏する。
(1)生体測定装置(重量測定装置)の設置場所が変わっても、がたつき調整処理及び傾き調整処理を、起動スイッチがオンされた後に自動的に行うため、設置場所を変更する場合に伴う、支持脚の接地状態や装置自体の水平確保の調整の負担を使用者にかけない。
(2)また、傾き調整処理によって、生体測定装置(重量測定装置)を自動的に水平にすることができるため、各ロードセルが被測定対象の荷重に対応した適切な歪みを生じ、被測定対象の重量の正確な測定を期することが出来る。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る生体測定装置は、第1実施形態に係る生体測定装置の接触センサ90に代え、感圧センサ100(接地検知部)を用いる構成である。その他の構成は第1実施形態に係る生体測定装置と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0056】
第2実施形態に係る生体測定装置の接地検知部として感圧センサ100を用いる例を、図8を参照して説明する。図8(a)は、感圧センサ100が設置面Sから離間した状態を示す図、図8(b)は感圧センサ100が設置面Sに接地した状態を示す図である。
【0057】
図8に示すように、感圧センサ100は、4つの脚部80(図1参照)のそれぞれの雌ネジ部82の下面に設けられている。感圧センサ100は、加えられる圧力の大きさに応じて抵抗値を変化させ、抵抗値の変化によって圧力の大きさを感知することができるセンサである。感圧センサ100を脚部80の裏側(即ち、雌ネジ部82の下面)に取り付けられた状態で、生体測定装置が設置面Sに設置されると、感圧センサ100は、生体測定装置自体の重量によって設置面Sに対して押し付けられて圧力を受け、抵抗値が変化する。従って、制御部12は、それぞれの感圧センサ100に対して所定電流を供給し、それぞれの感圧センサ100の抵抗値に対応する電圧を取得して、これが、所定閾値以上の値であるかを判断することにより、生体測定装置ががたつきなく設置されているか否かを判断することが可能となる。所定閾値は、総ての脚部を適切に接地されている状態で生体測定装置が設置されていると判断するに相応しい電圧の任意の値として設定しておき、予め記憶部14に保存しておく。
【0058】
感圧センサ100は、脚部80の設置面Sへの接地を検知可能な接地検知部として機能する。図9は、第2実施形態におけるがたつき調整処理(図5のステップS2)の流れを示すフローチャートである。制御部12は、総ての感圧センサ100に対して所定電流を供給し、各感圧センサ100の抵抗値に対応する電圧を取得する(ステップS221)。いずれの電圧も所定閾値以上である場合は(ステップS222でYes)、感圧センサ100は設置面Sに接地しているものとしてがたつき調整処理を終了し、ステップS3へ移行する。
【0059】
これに対して、1以上の感圧センサ100の電圧が所定閾値未満である場合には(ステップS222でNO)、制御部12は、所定閾値未満の電圧を出力している感圧センサ100に係る脚部80を特定する(ステップS223)。制御部12は、特定された脚部80に対応するステッピングモータ70に対して、予め設定されている調整量に対応する駆動信号を出力して、ステッピングモータ70を駆動させる(ステップS224)。このステッピングモータ70は、制御部12から受けた駆動信号に対応した量だけ回転子を回転させるので、ステッピングモータ70の回転子と結合している脚部80の雄ネジ部81も同時に回転する。これにより雌ネジ部82を変位させて脚部80の軸方向の長さを変化させることができる。その後、制御部12は、再度、総ての感圧センサ100について電圧を取得する(ステップS221)。このように、総ての感圧センサ100が、所定閾値以上の電圧を出力していることを確認するまで、上述のステップS221〜S224を繰り返す。その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る生体測定装置は、第1実施形態に係る生体測定装置の接触センサ90に代え、距離センサ110(接地検知部)を用いる構成である。その他の構成は第1実施形態に係る生体測定装置と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0061】
第3実施形態に係る生体測定装置の接地検知部として距離センサ110を用いる例を、図10を参照して説明する。図10(a)は、距離センサ110が設置面Sから距離Lだけ離間した状態を示す図、図10(b)は距離センサ110が設置面Sに接地した状態を示す図である。
【0062】
距離センサ110は、脚部80の設置面Sへの接地を検知可能な接地検知部として機能する。図10に示すように、距離センサ110は、一例として、4つの脚部80(図1参照)のそれぞれの雌ネジ部82の下面に設けることができるが、距離センサ110は、生体測定装置10の設置面Sまでの距離を測定可能な位置に設ければ良く、雌ネジ部82の下面以外にも、例えば、底板部材45下面のいずれかの部位に設置してもよい。
【0063】
距離センサ110は、例えば、設置面Sに対して赤外光を出射し、設置面Sからの反射光がもどってくるまでの時間によって、設置面Sまでの距離Lを測定できるように構成されている。なお、距離センサ110としては、赤外光を出射するもののほか、設置面Sまでの距離を測定できる手段であればよく、例えば、超音波、その他の音波、可視光線、レーザ光、その他の光線を出射するものでもよい。距離センサ110は、距離Lに関する測定データを制御部12へ出力する。制御部12は、距離センサ110から出力される測定データに基づいて、生体測定装置ががたつきなく設置されているか否かを判断することが可能となる。
【0064】
図11は、第3実施形態におけるがたつき調整処理(図5のステップS2)の流れを示すフローチャートである。制御部12は、総ての距離センサ110からの出力信号、すなわち設置面Sまでの距離Lに関する測定データを取得する(ステップS231)。距離センサ110からのいずれの出力信号も距離L=0を示すものである場合、即ち距離センサ110が設置面Sに設置している場合は(ステップS232でYes)、生体測定装置はがたつきなく設置されているものとしてがたつき調整処理を終了し、ステップS3へ移行する。
【0065】
これに対して、1以上の距離センサ110からの出力信号が、距離L=0を示すものでない場合、即ち、距離センサ110が設置面Sに接地していない場合は(ステップS232でNo)、制御部12は、距離L=0を示していない出力信号を出力している距離センサ110に係る脚部80を特定する(ステップS233)。制御部12は、特定された脚部80に対応するステッピングモータ70に対して、予め設定されている調整量に対応する駆動信号を出力して、ステッピングモータ70を駆動させる(ステップS234)。このステッピングモータ70は、制御部12から受けた駆動信号に対応した量だけ回転子を回転させるので、ステッピングモータ70の回転子と結合している脚部80の雄ネジ部81も同時に回転する。これにより雌ネジ部82を変位させて脚部80の軸方向の長さを変化させることができる。その後、制御部12は、再度、総ての距離センサ110について出力信号を取得する(ステップS231)。このように、総ての距離センサ110の接地を確認するまで上述のステップS231〜S234を繰り返す。その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0066】
上記の各実施形態においては、脚部自体が伸縮可能に構成される例を説明したが、脚部の底板部材からの突出量を調整可能な構成とすれば、脚部自体が伸縮する構成としなくてもよい。また、脚部の個数は、重量測定手段であるロードセルの個数に対応させて、増減変更可能である。また、接地検知部として、第1実施形態では接触センサ、第2実施形態では感圧センサ、第3実施形態では距離センサを用いる構成を説明したが、接地の検知により正確を期すために、これらのうちの2以上を適宜組み合わせて構成しても良いことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、実施例として、生体測定装置を記載したが、生体測定装置の他に、体重測定装置、人間以外の軽い物体や、重い物体の重量を測定する為の重量測定装置に有用である。
【0068】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0069】
10 生体測定装置(重量測定装置)
12 制御部
13 電源部
14 記憶部
20 カバー部材
20a 載置部
21 表示部
22 操作部
23 フットスイッチ
30 電極部材
31L 通電電極
32L 測定電極
31R 通電電極
32R 測定電極
40 フレーム部材
41 取付凹部
42 円形孔部
45 底板部材
46 挿通孔部
51 第1傾斜センサ(傾き検知部)
52 第2傾斜センサ(傾き検知部)
60(60a、60b、60c、60d) ロードセル(重量測定手段)
61 起歪体
63 歪みゲージ
67a、67b ねじ
69a、69d スペーサ
69b 金属ブリッジ
69b1 凸部
69c 弾性ブリッジ
70 ステッピングモータ(調整機構)
72a、72b 連結片
80 脚部
81 雄ネジ部
81a 頂部
82 雌ネジ部
82a、82b 連結部
90 接触センサ(接地検知部)
91 本体部
92 接触凸部
100 感圧センサ(接地検知部)
110 距離センサ(接地検知部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象の重量を測定可能な重量測定手段と、複数の脚部と、を有する重量測定装置であって、
前記複数の脚部が突出する長さを個別に調整可能な調整機構と、
前記複数の脚部の設置面への接地を検知可能な接地検知部と、
前記重量測定装置の傾きを検知可能な傾き検知部と、
前記接地検知部の検知結果及び前記傾き検知部の検知結果に基づいて、前記調整機構の動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記調整機構の動作を制御した後に、前記重量測定手段による前記被測定対象の重量の測定を制御すること
を特徴とする重量測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記接地検知部の検知結果に基づいて前記調整機構の動作を制御した後に、前記傾き検知部の検知結果に基づいて前記調整機構の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の重量測定装置。
【請求項3】
前記重量測定手段は、前記重量測定装置の内部において離間配置された4つのロードセルであり、前記複数の脚部は、前記ロードセルの各々に1つずつ連結されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の重量測定装置。
【請求項4】
前記傾き検知部は、2つの1軸傾斜センサからなり、互いに直交して水平方向に沿う2方向上に1つずつ配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1に記載の重量測定装置。
【請求項5】
前記ロードセルは、前記重量測定装置の四隅内部に1つずつ配置され、前記傾き検知部は、2つの1軸傾斜センサからなり、前記ロードセルの配置位置を対角線状に結ぶラインに沿って1つずつ配置されることを特徴とする請求項3に記載の重量測定装置。
【請求項6】
前記接地検知部は、前記複数の脚部の前記設置面との接触部に設けられるプッシュスイッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち、いずれか1に記載の重量測定装置。
【請求項7】
前記接地検知部は、前記複数の脚部の前記設置面との接触部に設けられる感圧センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のうち、いずれか1に記載の重量測定装置。
【請求項8】
前記接地検知部は、前記設置面までの距離を測定可能な距離センサであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうち、いずれか1に記載の重量測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate