説明

重量物の移送装置および移送方法

【課題】汎用性に優れ、重量物の移送に係るコストを低減させることが可能な重量物の移送装置および移送方法を提供することを目的とする。
【解決手段】据付地点まで移送された後に、この据付地点に対して接地される矩形状の板状部(下床版2)を少なくとも含んで構成された重量物1の移送装置50を用いて重量物を移送する。移送装置50は、重量物1の板状部2に巻き回される無端ベルト60と、板状部2の底面と無端ベルト60との間に設けられるそり状板70と、を備え、無端ベルト60は、帯状のベルト本体61と、このベルト本体61の一端と他端とを切り離し自在に連結する連結手段と、を有し、そり状板70の先端部71は、移動時には、重量物1の前端よりも前方に突出して配置するとともに上方に反り返るようにして形成されている。すなわち、板状部がある重量物であれば本装置による移送が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物の移送装置および移送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤掘削により形成された山留め空間内の所定の据付地点までボックスカルバート等の重量物を移送する方法として、例えば特許文献1に記載のような技術が知られている。特許文献1に記載の技術では、据付地点まで敷設されたレール上面に鋼球を敷き詰め、この鋼球上にボックスカルバートを載置し、この状態でボックスカルバートをウインチ等によって横引きして据付地点まで移送している。また、鋼球の代わりにローラをレールに取り付ける場合もある。
また、例えば工場等の施設内や施設の敷地内等のように、工事現場以外でも重量物が移送される場合がある。さらに、移送される重量物の種類に応じて、例えば各種コンベヤや大型の門型クレーン等、様々な種類の移送装置が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2879021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように重量物の移送装置は、移送される重量物の種類に応じて様々な種類のものが用いられるが、これら各種の移送装置は、それぞれの移送装置によって移送される重量物の移送に特化したものである場合が多く、汎用性に乏しい。
また、上述のような移送装置は、例えば工事現場では、荷降ろし場所から据付地点までレールを敷設したり、工場等の施設では、工場内の端から端までコンベヤを張り巡らせたり、クレーンを設置したりするため、比較的規模が大きくなる場合がある。このように規模の大きな移送装置を工事現場や施設に導入するとなると、当然、移送装置の設置に係るコストの上昇を招く場合がある。特に、工事現場では、移送装置の一部がグラウト内や基礎コンクリート(均しコンクリート)内に残置される場合もあるため、残置される移送装置は再利用が不可能となってしまい、施工コストの上昇を招く場合もある。
【0005】
本発明の課題は、汎用性に優れ、重量物の移送に係るコストを低減させることが可能な重量物の移送装置および移送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、据付地点まで移送された後に、この据付地点に対して接地される矩形状の板状部を少なくとも含んで構成された重量物の移送装置において、
前記重量物の板状部に、この重量物の進行方向に沿って巻き回される無端ベルトと、
前記板状部の底面と前記無端ベルトとの間に設けられるそり状板と、を備えており、
前記無端ベルトは、帯状のベルト本体と、このベルト本体の一端と他端とを切り離し自在に連結する連結手段と、を有しており、
前記そり状板の先端部は、移動時には、前記板状部の前端よりも前方に突出して配置されるとともに上方に反り返るようにして形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重量物の移送装置において、前記そり状板の下面は摺動面とされていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の移送装置を用いて重量物を移送する方法であって、
少なくとも二本以上の前記ベルト本体を、一端と他端とを切り離した状態で、かつ少なくとも前記板状部の両端部に位置するようにして敷き延べ、さらに、これらベルト本体の上面に、前記そり状板を、これらベルト本体の長さ方向に沿ってセットしておき、
続いて、これらそり状板の上面に前記重量物を載置し、
続いて、前記ベルト本体の一端と他端とを、前記連結手段によって連結して環状化し、
その後、前記重量物を、移動手段によって進行方向に沿って移動させて据付地点まで移送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無端ベルトを重量物の板状部に、この重量物の進行方向に沿って巻き回すことから、この重量物を例えば移動手段で移動させることによって、重量物が無端ベルト上を移動するとともに、無端ベルトが、重量物の進行方向に沿って回転することになる。これによって、重量物を、この重量物の進行方向に沿って回転する無端ベルト上を移動させながら、重量物の据付地点まで確実に移送させることができる。
そして、重量物の板状部の底面と無端ベルトとの間に設けられたそり状板の先端部に無端ベルトを当接させながら、この無端ベルトを回転させることにより、この無端ベルトを、先端部の反り返り面に沿って摺動させることができる。つまり、このそり状板によって無端ベルトの回転をガイドすることができる。これによって、回転する無端ベルトが、そり状板の先端部自体に引っ掛かるようなことや、重量物の板状部の前端に引っ掛かるようなことを防ぐことができ、さらに、無端ベルトが板状部の下にあるそりに誘導されるため、重量物の移送をスムーズに行うことができる。さらに、板状部と無端ベルトとを直に接触させないことから、無端ベルトの劣化を抑制できるとともに、重量物を移送する際の方向性を確保できる。
また、ベルト本体の一端と他端とを連結手段によって連結することで無端ベルトを重量物の板状部に装着させることができ、連結手段による連結を解除し、ベルト本体の一端と他端とを切り離すことによって無端ベルトを重量物の板状部から取り外すことができるので、無端ベルトの装着・取り外しを容易に行うことができる。
すなわち、据付地点まで移送された後に、この据付地点に対して接地される矩形状の板状部を少なくとも含んで構成された重量物であれば移送が可能であり、移送装置の装着・取り外しも容易に行うことができるので、汎用性にも優れる。
さらに、従来とは異なり、工事現場や施設等に大規模な移送装置を設置する必要が無くなるので、その分のコストを低減させることができる。特に、工事現場では、移送装置自体を板状部から取り外して撤去できることから、移送装置の再利用が可能となるとともに、板状部の下方に残置される残置物を極力減らすことができるので、施工コストの上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】重量物の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の移送装置によって重量物を移送する状態の概略を示す正面図である。
【図3】同、断面図である。
【図4】図3に示すA部分の拡大図である。
【図5】図3に示すそり状板の先端部を取り外した状態を示す部分拡大図である。
【図6】重量物を既設の重量物側にスライドさせる状態の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1において符号1は、重量物を示す。本実施の形態の重量物1はボックスカルバートであり、下床版2と、上床版3と、これら下床版2と上床版3の両端部間に設けられる側壁4,4とを備えており、角筒状に形成されている。
なお、前記下床版2は、この重量物1が据付地点まで移送された後に、この据付地点に対して接地される矩形状の板状部とされている。また、この板状部である下床版2には、この下床版2を厚さ方向に貫通するグラウトホール2a…が形成されている。このグラウトホール2a…は、重量物1を接地させた後に、必要に応じて下床版2の下面と前記据付地点との間の空隙にグラウト材を充填するために使用される。
【0012】
重量物1は、輸送車両等によって搬入され、実際に据え付ける地点から離れた場所で荷降ろしされる。この荷降ろし地点から据付地点までは、重量物1が埋設される山留め空間5が掘削されている。
山留め空間5の幅は、重量物1の幅(両側壁4,4間の長さ)よりも若干長く設定されている。したがって、山留め空間5の山留め壁6と重量物1の側壁4との間には若干の隙間が設定されている。
ここで、山留め空間5の山留め壁6と重量物1の側壁4との間の若干の隙間とは、前記重量物1が、山留め空間5のカーブを曲がりきれる程度の余裕を持たせた隙間、あるいは、後述する無端ベルト60を取り外す際に必要な隙間とされている。
また、山留め空間5の底面には基礎コンクリート7が凹凸を極力無くし、平滑に施工されている。
【0013】
前記重量物1を、荷降ろし地点から据付地点まで移送するため、図2〜図4に示すような移送装置50が用いられる。
この移送装置50は、無端ベルト60と、そり状板70と、を備えており、前記重量物1に対しては、この重量物1の下床版2の両端部に一つずつ装着されている。
【0014】
前記無端ベルト60は、前記下床版2に、重量物1の進行方向に沿って巻き回されている。重量物1の進行方向とは、前記山留め空間5の掘削方向に相当する。
また、この無端ベルト60は、帯状のベルト本体61と、このベルト本体61の一端と他端とを切り離し自在に連結する連結手段と、を有する。
【0015】
前記ベルト本体61は、例えば図4に示すように、複数枚の合成ゴム板62…を、上下層の隣接端部が千鳥位置となるように上下二層に積層して形成されている。なお、図示はしないが、合成ゴム板62の内側面に、超高分子量ポリエチレンやフッ素樹脂等の低摩擦材を積層状に貼り付けることによってベルト本体61の耐衝撃性や耐摩耗性等を高めている。
なお、本実施の形態のベルト本体61は以上のような構成としたが、これに限られるものではない。例えば合成ゴム板62を上下三層以上に積層したものでも良いし、合成ゴム板62を使用しないその他の形態のものでも良い。
【0016】
前記連結手段は、図示はしないが、前記ベルト本体61の一端と他端とを切り離し自在に連結し得るものであれば良い。ただし、前記重量物1の荷重がかかっても外れない程度の強度が確保されているものとする。
【0017】
前記そり状板70は、図3に示すように、前記下床版2の底面と前記無端ベルト60との間に設けられるものであり、前記下床版2の前後方向に沿って長尺な板状体とされている。また、その先端部71が、前記重量物1の前端よりも前方に突出して配置されるとともに、上方に反り返るようにして形成されている。
このそり状板70の先端部71は、前記無端ベルト60のベルト本体61に当接する部分であり、このそり状板70の先端部71に、無端ベルト60のベルト本体61を当接させながら、このベルト本体61を回転させることにより、このベルト本体61を、先端部71の反り返り面に沿って摺動させることができる。つまり、このそり状板70の先端部71によってベルト本体61の回転をガイドすることができる。これによって、回転する無端ベルト60のベルト本体61が、そり状板70の先端部71自体に引っ掛かるようなことや、前記重量物1の下床版2の前端に引っ掛かるようなことを防ぎ、スムーズにそり状板70の下に取り込むことができる。
【0018】
また、このそり状板70は、図示しない位置決め手段を介して、前記下床版2の底面に位置決めされて取り付けられている。そり状板70は、この位置決め手段によって前記下床版2の前後方向に沿うように、かつ重量物1の移送中にずれないように、前記下床版2に取り付けられることになる。
【0019】
さらに、このそり状板70の下面は摺動面72とされている。具体的には、このそり状板70の下面にはステンレス板等が取り付けられており、このステンレス板等の下面が前記摺動面72とされている。
この摺動面72は、前記無端ベルト60のベルト本体61に当接する面であり、回転するベルト本体61が、そり状板70の下面に引っ掛からないように、ベルト本体61を円滑に回転させることができる。
なお、摺動面72としては、前記ステンレス板以外にもトタン板等を使用することができる。
【0020】
なお、前記ベルト本体61は、ある程度の可撓性があることが好ましい。すなわち、可撓性が小さすぎると、このベルト本体61を下床版2に巻くことは難しくなる。逆に可撓性が大きすぎると、回転するベルト本体61が、前記下床版2の上面や前端、後端に接触することになる。このように回転するベルト本体61が接触すると、ベルト本体61が捻れてしまったりして、ベルト本体61自体が劣化することがあるため、移送装置50の再利用を考慮すれば、ベルト本体61の剛性はある程度あることが好ましい。
【0021】
また、前記そり状板70の先端部71は、このそり状板70の本体に対して着脱自在に構成されている。そり状板70の本体に対する先端部71の取付位置は、図5に示すように、前記下床版2の前端付近とされており、先端部71を取り外した後のそり状板70の本体は、下床版2の前端よりも必要以上に突出しないように設定されている。
なお、そり状板70の本体に対する先端部71の取付強度は、重量物1の移送中に、この先端部71にベルト本体61が接触しても外れない程度に設定されている。
このように先端部71が、そり状板70の本体に対して着脱自在に構成されているので、先端部71を取り外した後に、ベルト本体61が持つ可撓性を利用して、このベルト本体61を下床版2の前端に近づけることができる。これによって、移送装置50が取り付けられる重量物1を、この重量物1の進行方向前方に設置されている重量物(後述する既設の重量物1a)に対して極力近づけられるように移送することができる。すなわち、重量物1と既設重量物1aとの隙間を、ベルト本体61の厚みよりも若干大きい程度の細い隙間とすることができる。
したがって、前記先端部71は、重量物1の移動時には、前記下床版2の前端よりも前方に突出して配置されており、重量物1が据付地点付近まで移送された後には取り外されることになる。
【0022】
そして、前記重量物1は、以上のような構成の移送装置50によって、前記基礎コンクリート7上を走行させて、山留め空間5内を据付地点まで移送される。
なお、重量物1の移送は、この重量物1を進行方向に沿って移動させる移動手段が用いられる。この移動手段としては、図示はしないが、例えばウインチ等の牽引型のものや、重機等の推進用機械が挙げられる。
【0023】
次に、重量物1の移送方法と、移送した重量物1を据付地点に据え付ける方法とについて説明する。
なお、本実施の形態の重量物1は、山留め空間5に設置される複数の重量物のうち、二番目以降に設置される重量物とする。したがって、この重量物1よりも先に施工が行われた重量物があり、本実施の形態においては便宜上、既設の重量物1aと称する。
【0024】
まず、前記山留め空間5の荷降ろし地点の基礎コンクリート7上に、二本の前記ベルト本体61,61を、一端と他端とを切り離した状態で敷き延べておく。
これら二本のベルト本体61,61は、図2に示すように、前記下床版2に装着させた時に、この下床版2に形成されたグラウトホール2aの位置とは、ずれた位置に敷き延べられるものとする。
【0025】
続いて、これらベルト本体61,61の上面に前記そり状板70をそれぞれセットし、その上に、クレーン等によって吊り降ろされた前記重量物1を載せるようにする。そして、前記ベルト本体61,61の一端と他端とを、前記連結手段によって連結して環状化する。これによって、前記下床版2に対する移送装置50,50の装着が完了する。装着が完了したら、前記推進用機械等によって重量物1を移動させ、前記山留め空間5内の据付地点まで移送する。
なお、図3に示すように、このように重量物1を前記推進用機械等で移動させることによって、この重量物1は前記無端ベルト60,60上を移動することになり、この無端ベルト60,60は、前記重量物1の進行方向に沿って回転することになる。
以上のようにして、移送装置50,50を重量物1に装着して、この重量物1を据付地点付近まで移送することができる。
【0026】
このように据付地点付近まで移送された重量物1と、既設の重量物1aとの間には、前記ベルト本体61を取り外せる空間、および前記そり状板70の先端部71を撤去できる空間を確保しておくようにする。
既設の重量物1aとの間に空間を確保したら、この空間を利用して、前記そり状板70の先端部71を取り外す。先端部71を取り外したら、このベルト本体61が持つ可撓性を利用して、このベルト本体61を下床版2の前端に近づける。
そして、ベルト本体61を下床版2の前端に近づけた状態を維持したまま、前記重量物1を、さらに前記既設の重量物1aに近づけるように移動させる。この時、重量物1と既設重量物1aとの隙間は、前記ベルト本体61の厚みよりも若干大きい程度の細い隙間となっている。
その後、ジャッキ等(図示せず)によって重量物1を持ち上げ、前記連結手段による連結を解除してから、前記ベルト本体61を撤去する。さらに、前記そり状板70の本体も撤去する。
【0027】
前記ジャッキ等には、前記重量物1を持ち上げた状態のまま、この重量物1の位置を微調整することが可能な微調整機能が併設されており、前記ベルト本体61およびそり状板70を撤去した後は、図6に示すように、この微調整機能を駆使して重量物1を前記既設の重量物1a側に移動させて据付地点に据え付ける。
重量物1を据付地点に据え付けたら、前記ジャッキ等を、重量物1周囲の空間を利用して撤去する。
その後、必要に応じてグラウトホール2aからグラウト材を注入し、グラウト材の固化に伴って前記下床版2と基礎コンクリート7とを密着させる。なお、本実施の形態においては、前記グラウトホール2aからグラウト材を注入するものとしたが、ドライモルタルを予め敷設しておき、その上から前記重量物1を直接据え付ける場合もある。
【0028】
なお、本実施の形態の重量物1はボックスカルバートであるとしたが、これに限られるものではなく、前記下床版2と同様に、重量物が据付地点まで移送された後に、この据付地点に対して接地される矩形状の板状部を少なくとも含んで構成されたものであれば適宜対応可能である。例えば、アーチカルバートや、逆T型擁壁、L型擁壁、三面水路などのU型構造物等でも良い。
また、重量物の種類によっては据付地点が、工事現場である場合もあるし、施設内である場合もあり、重量物を移送可能なスペースさえあれば場所は特に限定されない。
【0029】
本実施の形態によれば、前記移送装置50,50によって、前記重量物1を、この重量物1の進行方向に沿って回転する無端ベルト60,60上を移動させながら、重量物1の据付地点まで確実に移送させることができる。
そして、前記そり状板70によって、回転する無端ベルト60が、そり状板70の先端部71自体に引っ掛かるようなことや、前記重量物1の下床版2の前端に引っ掛かるようなことを防ぐことができ、さらに、無端ベルト60がそり状板70の下に誘導されるため、前記重量物1の移送をスムーズに行うことができる。さらに、前記下床版2と無端ベルト60とを直に接触させないことから、前記無端ベルト60の劣化を抑制できるとともに、前記重量物1を移送する際の方向性を確保できる。
また、前記ベルト本体61の一端と他端とを連結手段によって連結することで無端ベルト60を重量物1の下床版2に装着させることができ、連結手段による連結を解除し、前記ベルト本体61の一端と他端とを切り離すことによって無端ベルト60を重量物1の下床版2から取り外すことができるので、前記無端ベルト60の装着・取り外しを容易に行うことができる。
すなわち、据付地点まで移送された後に、この据付地点に対して接地される矩形状の板状部を少なくとも含んで構成された本実施の形態に記載のような重量物1であれば移送が可能であり、移送装置50,50の装着・取り外しも容易に行うことができるので、汎用性にも優れる。
さらに、従来とは異なり、工事現場や施設等に大規模な移送装置を設置する必要が無くなるので、その分のコストを低減させることができる。特に、工事現場では、移送装置50自体を下床版2から取り外して撤去できることから、移送装置50の再利用が可能となるとともに、下床版2の下方に残置される残置物を極力減らすことができるので、施工コストの上昇を抑制することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 重量物
1a 既設の重量物
2 下床版(板状部)
2a グラウトホール
3 上床版
4 側壁
5 山留め空間
6 山留め壁
7 基礎コンクリート
50 移送装置
60 無端ベルト
61 ベルト本体
62 合成ゴム板
70 そり状板
71 先端部
72 摺動面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
据付地点まで移送された後に、この据付地点に対して接地される矩形状の板状部を少なくとも含んで構成された重量物の移送装置において、
前記重量物の板状部に、この重量物の進行方向に沿って巻き回される無端ベルトと、
前記板状部の底面と前記無端ベルトとの間に設けられるそり状板と、を備えており、
前記無端ベルトは、帯状のベルト本体と、このベルト本体の一端と他端とを切り離し自在に連結する連結手段と、を有しており、
前記そり状板の先端部は、移動時には、前記板状部の前端よりも前方に突出して配置されるとともに上方に反り返るようにして形成されていることを特徴とする重量物の移送装置。
【請求項2】
前記そり状板の下面は摺動面とされていることを特徴とする請求項1に記載の重量物の移送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の移送装置を用いて重量物を移送する方法であって、
少なくとも二本以上の前記ベルト本体を、一端と他端とを切り離した状態で、かつ少なくとも前記板状部の両端部に位置するようにして敷き延べ、さらに、これらベルト本体の上面に、前記そり状板を、これらベルト本体の長さ方向に沿ってセットしておき、
続いて、これらそり状板の上面に前記重量物を載置し、
続いて、前記ベルト本体の一端と他端とを、前記連結手段によって連結して環状化し、
その後、前記重量物を、移動手段によって進行方向に沿って移動させて据付地点まで移送することを特徴とする重量物の移送方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate