説明

重量物反転装置

【課題】重量の大きい物(ワーク)を安全に180度反転させることを目的とした重量物反転装置を提供する。
【解決手段】基台の中央部に支持されている回転軸4を回転中心として水平状態と当該水平状態から180度未満の回転角度の間でそれぞれ回転する2枚の反転板2,3と、各反転板に取り付けられていて、基端側がそれぞれ前記回転軸に回転自在に取付けられていると共に、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレート5,6を備え、直線駆動機構のロッド11,12の先端側をカムプレートの曲面状の下側外周面に当接させつつ、当該ロッドをシリンダーから出没させてカムプレートを前記回転軸を中心として回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、重量の大きい物(ワーク)を安全に180度反転させることを目的とした重量物反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重量の大きい物(以下「ワーク」と言うことがある)を180度反転させる装置に関しては、本願出願人が、2枚の反転板を使用してワークを180度反転できるようにした重量物回転装置を提案している(特許文献1)。
【0003】
また、反転板を90度以上回転し、重量物がずれるおそれのある角度の際は、2枚の反転板で挾着固定することにより、反転時における重量物のずれ又は不安定な状態を未然に防止する重量物反転装置を提案している(特許文献2)。
【特許文献1】特開平5−330619号公報
【特許文献2】特開2000−226113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2の装置は、それぞれ実用化され、効力をあげているが、装置を小型化し、しかも、180度の反転移動をスムーズに効率よく行なう上で、改善すべき余地があった。
【0005】
そこで、この発明は、基台の中央部に支持されている回転軸を回転中心として、水平状態と、当該水平状態から180度未満の回転角度の間でそれぞれ回転する2枚の反転板と、各反転板に取り付けられていて、基端側がそれぞれ前記回転軸に回転自在に取付けられていると共に、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレートを備え、直線駆動機構のロッドの先端側を前記カムプレートの曲面状の下側外周面に当接させつつ、当該ロッドをシリンダーから出没させて前記カムプレートを回転軸を中心として回転させる重量物反転装置を小型化し、短時間で反転動作を行なえるようにすることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、この発明は以下に説明する重量物反転装置を提案するものである。
【0007】
本発明の重量物反転装置は、基台20の中央部に支持されている回転軸4を回転中心として、水平状態と、当該水平状態から180度未満の回転角度の間でそれぞれ回転する2枚の反転板2、3と、当該反転板2、3にそれぞれ取り付けられていて、基端側がそれぞれ前記回転軸4に回転自在に取付けられていると共に、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレート5、6とを備えている。
【0008】
そして、シリンダー9、10と当該シリンダー9、10から出没するロッド11、12とからなり、前記回転軸4を挟んで互いに対向するように前記基台20の径方向外側端側にそれぞれ取り付けられている一対の直線駆動機構13、14を備えている。直線駆動機構13、14は、移動動作を行なう部材、ここではロッド11、12が、直線的な運動(ここでは直線的な前進運動、後退運動)を行なうものである。
【0009】
この一対の直線駆動機構13、14は、それぞれ、ロッド11、12がシリンダー9、10内に没入しているときに、反転板2、3が水平状態に位置している状態の前記カムプレート5、6の径方向外側端側の下側外周面にロッド11、12の先端側が当接し、ロッド11、12の先端側を前記カムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面に当接させつつシリンダー9、10からロッド11、12を出没させることにより、前記カムプレート5、6に取り付けられている反転板2、3を水平状態と、当該水平状態から90度以上、180度未満の間で回転させるように、前記カムプレート5、6を前記回転軸4を中心として回転させるものである。
【0010】
更に、本発明の重量物反転装置は、先端側が反転板2、3の径方向外側端側にそれぞれ取り付けられていると共に、基端側が前記基台の径方向外側端側にそれぞれ取り付けられている反転板復帰用駆動機構を備えている。
【0011】
かかる構造の重量物反転装置であって、本発明の重量物反転装置における前記の一対の直線駆動機構13、14は、そのロッド11、12がシリンダー9、10から出没運動する方向が、斜め下方向から前記回転軸4の方向に向かうようになっている。
【0012】
本発明の重量物反転装置によれば、カムプレート5、6に取り付けられている反転板2、3を水平状態と、当該水平状態から90度以上、180度未満の間で回転させるべく、カムプレート5、6を、基台20の中央部に支持されている回転軸4を中心として回転させるように、ロッド11、12の先端側をカムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面に当接させつつシリンダー9、10からロッド11、12を出没させる一対の直線駆動機構13、14は、前記回転軸4を挟んで互いに対向するように前記基台20の径方向外側端側にそれぞれ取り付けられていると共に、そのロッド11、12がシリンダー9、10から出没運動する方向が、斜め下方向から前記回転軸4の方向に向かうようになっている。
【0013】
本発明のように、基台の中央部に支持されている回転軸を回転中心として、水平状態と、当該水平状態から180度未満の回転角度の間でそれぞれ回転する2枚の反転板を用いている重量物反転装置の場合、各反転板に取り付けられていて、基端側が回転軸に回転自在に取付けられていると共に、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレートの当該曲面状の下側外周面に先端側を当接させつつロッドがシリンダーから出没することにより、反転板に取り付けられているカムプレートを回転軸を中心として水平状態と、当該水平状態から90度以上、180度未満の間で回転させる直線駆動機構を、前記回転軸と同一の水平面に配置し、ロッドがシリンダーから出没運動する方向が、水平方向から回転軸の方向に向かうようにすることが従来は行なわれていた。
【0014】
しかし、このような重量物反転装置の場合、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレートを大型にし、当該曲面の曲率半径を大きくすることが必要であった。
【0015】
そして、これに応じて、ロッドがシリンダーから出没するストロークを大きくすることも必要になっていた。
【0016】
このため、直線駆動機構を、回転軸と同一の水平面に配置し、ロッドがシリンダーから出没運動する方向が、水平方向から回転軸の方向に向かうようにする従来の重量物反転装置では構造が大型化し、反転動作にも所要の長い時間を要せざるを得なかった。
【0017】
しかし、本願発明の重量物反転装置では、直線駆動機構のロッドがシリンダーから出没運動する方向が、斜め下方向から回転軸の方向に向かうようになっているので、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレートを小型にし、当該曲面の曲率半径を従来よりも小さくすることが可能になった。そして、これに応じて、ロッドがシリンダーから出没するストロークを小さくすることも可能になった。
【0018】
これにより、重量物反転装置を小型化し、反転板2、3に支持されているワークをスムーズに、短時間で180度反転移動させることができる。
【0019】
前述した本発明の重量物反転装置において、反転板2、3が前記回転軸4を通る鉛直線を挟む所定の角度範囲回動する間、前記ロッド11、12の先端側が当接する前記カムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面は、インボリュートカーブに形成されていることが望ましい。
【0020】
本発明の重量物反転装置においては、水平状態に置かれている一方の反転板(供給側の反転板)の上に180度反転移動させるワークを置き、当該供給側の反転板を、回転軸(4)を通る鉛直線から供給側の反転板が配備されている側に向かって所定の角度範囲の位置に至るまで回転軸の周囲に回転させる。
【0021】
一方、このとき、他方の反転板(受取り側の反転板)を、前記供給側の反転板とは反対方向に回転させ、回転軸4を通る鉛直線から所定の角度範囲の位置になるまで回転してきている供給側の反転板との間でワークを挟む。
【0022】
この後、供給側の反転板と、受取り側の反転板とでワークを挟持している状態で、受取り側の反転板が、回転軸4を通る鉛直線から受取り側の反転板が配備されている側に向かって所定の角度範囲の位置になるまで、回転軸の周囲に回転させる。
【0023】
そして、受取り側の反転板の上に、ワークが支持されている状態で、受取り側の反転板を水平状態になるまで、回転軸の周囲に回転させる。
【0024】
このようにして、ワークの180度反転移動を行なう。
【0025】
ここで、供給側の反転板と、受取り側の反転板との間にワークを挟持している状態で回転軸の周囲に回転する、回転軸4を通る鉛直線から供給側の反転板が配備されている側に向かって所定の角度範囲から、回転軸4を通る鉛直線から受取り側の反転板が配備されている側に向かって所定の角度範囲の間は、重量の大きいワークを安定的に挟持して回転させるために、供給側の反転板と、受取り側の反転板とを同期して回転させることが望ましい。
【0026】
本発明の重量物反転装置においては、反転板2、3が前記回転軸4を通る鉛直線を挟む所定の角度範囲回動する間、前記ロッド11、12の先端側が当接する前記カムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面は、インボリュートカーブに形成されている。この反転板2、3が前記回転軸4を通る鉛直線を挟む所定の角度範囲回動する範囲を、前述した、回転軸4を通る鉛直線から供給側の反転板が配備されている側に向かって所定の角度範囲から、回転軸4を通る鉛直線から受取り側の反転板が配備されている側に向かって所定の角度範囲の間に対応するようにしておくことによって、この回転運動の間、供給側の反転板と、受取り側の反転板とをスムーズに同期して回転させることができる。これにより、供給側の反転板と、受取り側の反転板との間にワークを挟持している状態で回転軸の周囲に回転する間、重量の大きいワークを安定的に挟持して回転させることができる。
【0027】
前記の一対の直線駆動機構13、14としては、油圧シリンダー、等の流体圧シリンダーや、電動シリンダー、等の電動直線駆動機構を使用することができる。なお、統一した制御の面から、自動制御機能を備えた油圧機構を採用することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、基台の中央部に支持されている回転軸を回転中心として、水平状態と、当該水平状態から180度未満の回転角度の間でそれぞれ回転する2枚の反転板と、各反転板に取り付けられていて、基端側がそれぞれ前記回転軸に回転自在に取付けられていると共に、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレートを備え、直線駆動機構のロッドの先端側を前記カムプレートの曲面状の下側外周面に当接させつつ、当該ロッドをシリンダーから出没させて前記カムプレートを回転軸を中心として回転させる重量物反転装置を小型化し、180度の反転移動をスムーズに、短時間で、効率よく行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0030】
本発明の重量物反転装置1は、基台20の中央部に支持されている回転軸4を回転中心として、水平状態と、当該水平状態から180度未満の回転角度の間でそれぞれ回転する反転板2、3を備えている。
【0031】
反転板2、3にはそれぞれカムプレート5、6が取り付けられている。
【0032】
カムプレート5、6は、図1図示のように、基端側がそれぞれ回転軸4に回転自在に取付けられていると共に、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されている。
【0033】
この重量物反転装置1には、回転軸4を挟んで互いに対向するように基台20の径方向外側端側(図1図示の例では、基台20の左右両側)に一対の直線駆動機構13、14が配備されている。
【0034】
図示の実施形態では、直線駆動機構13、14は、いずれも、シリンダー9、10とシリンダー9、10から出没するロッド11、12を備えている。
【0035】
ロッド11、12の先端には、ローラー、カムフォロワ等の回転手段が配備されており、ロッド11、12の先端は、図1図示のように、ロッド11、12がシリンダー9、10内に没入しているときに、反転板2、3が水平状態に位置している状態のカムプレート5、6の径方向外側端側の下側外周面に当接できるようになっている。
【0036】
直線駆動機構13、14によって、カムプレート5、6が回転軸4を中心として矢印30、31方向、矢印32、33方向に回転できるようになっている。
【0037】
すなわち、直線駆動機構13、14のロッド11、12の先端側がカムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面に当接しつつ、シリンダー9、10からロッド11、12が出没することにより、カムプレート5、6に取り付けられている反転板2、3が、図1図示の水平状態と、当該水平状態から90度以上、180度未満の間で回転できるように、カムプレート5、6は、直線駆動機構13、14によって、回転軸4を中心として矢印30、31方向、矢印32、33方向に回転するようになっている。
【0038】
本発明の重量物反転装置1では、直線駆動機構13、14のロッド11、12がシリンダー9、10から出没運動する方向は、図1図示のように、斜め下方向から回転軸4の方向に向かうものになっている。
【0039】
また、カムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面の中で、図1において符号5a、6aで示されている範囲は、インボリュートカーブに形成されている。
【0040】
この図1において符号5a、6aで示されている範囲は、後述する反転動作における、図3(d)から、図4(b)までの工程の間に、ロッド11、12の先端が当接するカムプレート5、6の下側外周面にあたるものである。
【0041】
また、本発明の重量物反転装置1には、反転板復帰用駆動機構が配備されている。
【0042】
この反転板復帰用駆動機構は、先端側が反転板2、3の径方向外側端側に取り付けられているリンク辺15、チェーン16と、チェーン16の基端側に配備されていてチェーン16を巻き取る巻取機構8とから構成されている。
【0043】
なお、図示の実施形態では、図2図示のように、リンク辺15の基端側は、回転軸4の廻りに回転自在に取り付けられている中間回転部材7の径方向外側端側に回転可能に取り付けられ、チェーン16の先端側も、中間回転部材7の径方向外側端側に取り付けられている。
【0044】
後述する図4(c)図示の反転動作完了の状態から、巻取機構8を作動させてチェーン16の巻取りを開始することにより、反転板3を図2中、矢印34方向に回転させ、図2の一点破線図示の状態、そして、図1図示の状態へと復帰させることができる。
【0045】
なお、詳述していないが、反転板2にも同様の反転板復帰用駆動機構を設けることができる。
【0046】
以下、図3、図4を用いて、本発明の重量物反転装置1によるワークの180度反転移動動作について説明する。
【0047】
ワーク40を水平状態にある供給側の反転板3の上に置く(図3(a))。
【0048】
ロッド12の先端側がカムプレート6の径方向外側端側の下側外周面に当接している状態で、直線駆動機構14のロッド12をシリンダー10から突出させる。
【0049】
これによって、供給側の反転板3は上側にワーク40を支持している状態で、図3(b)、(c)のように、矢印32方向に回動する。
【0050】
この際、受取り側の反転板2も、ロッド11の先端側がカムプレート5の径方向外側端側の下側外周面に当接している状態で、直線駆動機構13のロッド11がシリンダー9から突出することにより、図3(b)、(c)のように、矢印30方向に回動する。
【0051】
供給側の反転板3はその上に支持しているワーク40が斜め下側方向に向かって落下することを未然に防止するため、図3(c)の回転角度状態で回転動作を中止し、一方、受取り側の反転板2は、引き続き、矢印30方向に回動する(図3(d))。
【0052】
次いで、受取り側の反転板2の上側面に配備されている厚み調整機構が反転板2の上側面から矢印35方向に突出し、ワーク40を受取り側の反転板2と、供給側の反転板3との間で安定して挟持するように調整を行なう(図3(e))。
【0053】
次に、直線駆動機構14のロッド12をシリンダー10から突出させる動作と、直線駆動機構13のロッド11をシリンダー9内に没入させる動作とを同期させて開始し、ワーク40を、受取り側の反転板2と、供給側の反転板3との間で挟持している状態で、受取り側の反転板2と、供給側の反転板3とを同期して、矢印31、32方向に回転させる。図3(f)、図4(a)は、この回転動作によって、反転板2、反転板3が鉛直方向になった状態を示すものである。
【0054】
引き続き、図4(b)の状態になるまで、ワーク40を、受取り側の反転板2と、供給側の反転板3との間で挟持している状態で、受取り側の反転板2と、供給側の反転板3とを同期して、矢印31、32方向に回転させる。
【0055】
受取り側の反転板2の傾斜角度が図4(b)図示の状態にまでなると、ワーク40が斜め下側方向に向かって落下するおそれがなくなるので、以降、供給側の反転板3を矢印32方向に強制的に回転させる動作を行なわなくても、引き続き、直線駆動機構13のロッド11をシリンダー9内に没入させる動作を進行させることにより、受取り側の反転板2は上側にワーク40を支持したまま矢印31方向に回転し、これにつれて、供給側の反転板3も回転し、図4(c)図示のように、反転動作が完了した状態になる。
【0056】
ここで、供給側の反転板3は、巻取機8でチェーン16を巻き取ることにより、図4(d)図示のように起ちあがる。また、カムプレート6の径方向外側端側の下側外周面にロッド12の先端側が当接するようになったならば、巻取機8によるチェーン16を巻き取ることによって反転板3が矢印33方向に回動する速度にあわせて、直線駆動機構14のロッド12をシリンダー10内に没入させる(図4e)。
【0057】
こうして、供給側の反転板3が図3(a)図示の状態に復帰したならば、受取り側の反転板2の上側面に配備されている厚み調整機構を矢印36方向に移動させて反転板2の上側面内に戻し、ワーク40が受取り側の反転板2の上に置かれた状態にする(図4(f))。
【0058】
図示の実施形態では、カムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面の中で、図3(d)から、図4(b)までの工程の間にロッド11、12の先端が当接するカムプレート5、6の下側外周面(図1において符号5a、6aで示されている範囲)は、インボリュートカーブに形成されている。すなわち、反転板2、3が回転軸4を通る鉛直線を挟む所定の角度範囲(図示の実施形態では、回転軸4を通る鉛直線を挟む60度の角度範囲)回動する間、ロッド11、12の先端側が当接するカムプレート5、6の曲面状に形成されている下側外周面は、インボリュートカーブに形成されている。
【0059】
反転板2、3が回転軸4を通る鉛直線を挟む所定の角度範囲回動する範囲を、回転軸4を通る鉛直線から供給側の反転板3が配備されている側(図中、右側)に向かって所定の角度範囲(図示の実施形態では30度の角度範囲)から、回転軸4を通る鉛直線から受取り側の反転板2が配備されている側(図中、左側)に向かって所定の角度範囲(図示の実施形態では30度の角度範囲)の間に対応するようにしておくことによって、図3(d)から、図4(b)までの回転運動の間、ロッド11、12の先端が当接するカムプレート5、6の下側外周面は図1において符号5a、6aで示されているインボリュートカーブに形成されている面になっている。
【0060】
これによって、供給側の反転板3と、受取り側の反転板2との同期した回転をスムーズに行なうことができる。
【0061】
これにより、供給側の反転板3と、受取り側の反転板2との間にワーク40を挟持している状態で回転軸4の周囲に回転する間、重量の大きいワークを安定的に挟持して回転させることができる。
【0062】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の重量物反転装置の一部を省略した正面図。
【図2】この発明の重量物反転装置における反転板復帰用駆動機構の動作を説明する正面図。
【図3】この発明の重量物反転装置によるワークの180度反転動作における起動から反転開始までの動作を説明する正面図であって、(a)は供給側の反転板(図中、右側の反転板)の上にワークが置かれた状態、(b)、(c)は両側の反転板がそれぞれ回動している状態、(d)は供給側の反転板(図中、右側の反転板)が停止し、受取り側の反転板(図中、左側の反転板)のみが回動継続している状態、(e)はワークを供給側の反転板と、受取り側の反転板との間に挟持する厚さ調整が行なわれている状態、(f)は反転動作が開始された状態を説明する図。
【図4】この発明の重量物反転装置によるワークの180度反転動作における反転開始から反転完了までの動作を説明する正面図であって、(a)は反転動作が開始された状態で、図3(f)の状態に対応する図、(b)は反転動作進行中の状態、(c)は反転動作完了時の状態、(d)、(e)は供給側の反転板(図中、右側の反転板)の復帰動作が進行している状態、(f)は供給側の反転板(図中、右側の反転板)が復帰すると共に、受取側の反転板(図中、左側の反転板)における厚さ調整動作が解除され、反転作業が完了した状態を説明する図。
【符号の説明】
【0064】
1 重量物反転装置
2、3 反転板
4 回転軸
5、6 カムプレート
8 巻取機構
9、10 シリンダー
11、12 ロッド
13、14 直線駆動機構
20 基台
40 ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台(20)の中央部に支持されている回転軸(4)を回転中心として、水平状態と、当該水平状態から180度未満の回転角度の間でそれぞれ回転する反転板(2)、(3)と、
当該反転板(2)、(3)にそれぞれ取り付けられていて、基端側がそれぞれ前記回転軸(4)に回転自在に取付けられていると共に、基端側から径方向外側端に向かう下側外周面が曲面状に形成されているカムプレート(5)、(6)と、
シリンダー(9)、(10)と当該シリンダー(9)、(10)から出没するロッド(11)、(12)とからなり、前記回転軸(4)を挟んで互いに対向するように前記基台の径方向外側端側にそれぞれ取り付けられている一対の直線駆動機構であって、ロッド(11)、(12)がシリンダー(9)、(10)内に没入しているときに、反転板(2)、(3)が水平状態に位置している状態の前記カムプレート(5)、(6)の径方向外側端側の下側外周面にロッド(11)、(12)の先端側が当接し、ロッド(11)、(12)の先端側を前記カムプレート(5)、(6)の曲面状に形成されている下側外周面に当接させつつシリンダー(9)、(10)からロッド(11)、(12)を出没させることにより、前記カムプレート(5)、(6)に取り付けられている反転板(2)、(3)を水平状態と、当該水平状態から90度以上、180度未満の間で回転させるように、前記カムプレート(5)、(6)を前記回転軸(4)を中心として回転させる一対の直線駆動機構(13)、(14)と、
先端側が反転板(2)、(3)の径方向外側端側にそれぞれ取り付けられていると共に、基端側が前記基台の径方向外側端側にそれぞれ取り付けられている反転板復帰用駆動機構と
を備えてなり、
前記一対の直線駆動機構(13)、(14)のロッド(11)、(12)がシリンダー(9)、(10)から出没運動する方向が、斜め下方向から前記回転軸(4)の方向に向かうものである
ことを特徴とする重量物反転装置。
【請求項2】
反転板(2)、(3)が前記回転軸(4)を通る鉛直線を挟む所定の角度範囲回動する間、前記ロッド(11)、(12)の先端側が当接する前記カムプレート(5)、(6)の曲面状に形成されている下側外周面は、インボリュートカーブに形成されていることを特徴とする請求項1記載の重量物反転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−24399(P2008−24399A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197376(P2006−197376)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000109794)デンソン株式会社 (3)