説明

重量物搬送システム及び重量物搬送方法

【課題】 トレーラーへの重量物の積み替えを不要とする、効率的且つコスト面で有利な重量物搬送システム及び重量物搬送方法を提供する。
【解決手段】 トラクター8に接続されるシャーシ9上の前方部にコンテナ10が搭載されており、その後方部には重量物搬送装置11が設置されている。コンテナ10内に格納されている鋼板コイル12のパレット13と重量物搬送装置11の走行体との間をワイヤ等で接続し、鋼板コイル12を重量物搬送装置11の方向に引出す。接続ワイヤを調整し走行体の牽引、繰出を繰り返すことによって、鋼板コイル12がコンテナ10のいずれの位置にあっても重量物搬送装置11上に引出すことができる。重量物搬送装置11上に引出された鋼板コイル12は、末端ユーザーが保有するクレーン14等を使用して荷降しされ、鋼板コイル12の搬入が完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は重量物搬送システム及び重量物搬送方法に関し、特にシャーシ上に搭載されたコンテナから格納された重量物を搬出したり、又は、コンテナに重量物を搬入したりする場合の重量物搬送システム及び重量物搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、鋼板コイル等の重量物はコンテナに格納し、これをトレーラーや列車等に搭載して移送されるのが一般的である。
【0003】
これによって、鋼板コイル等の品質が保たれ、輸送の安全性が高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の重量物は最終的にその利用者である末端ユーザーまで届けられ、使用される。
【0005】
しかし、末端ユーザーは、鋼板コイル等を搭載する20フィートコンテナ(総重量最大30.48トン)を取り扱う設備を持たないのが一般的である。そのため、コンテナ船で輸入されてきたコンテナは港のコンテナヤードに陸揚げされた後、一旦物流専門業者に持ち込まれる。そして、格納されている重量物をコンテナから荷降しして、これを一般貨物用の貨物用トレーラーに積み替えて末端ユーザーまで移送し、そこで、末端ユーザーに搬入することになる。
【0006】
このような搬送の仕方では、コンテナから引出してトレーラーに積み替える際に雨濡れ等の損傷が重量物に発生する可能性がある。又、積み替えに要する時間やコスト面から好ましい方法とは言えない。
【0007】
又、この問題は、重量物を工場から出荷してコンテナで移送する場合にも、トレーラーへ積み替えが必要であるため同様に生じる。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、トレーラーへの重量物の積み替えを不要とする、効率的且つコスト面で有利な重量物搬送システム及び重量物搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の重量物搬送システムは、重量物搬送システムであって、トラクターで牽引されるシャーシと、シャーシの上の一部に搭載され、内部に重量物を格納できるコンテナと、シャーシの上の他の一部に搭載され、重量物を前記コンテナから搬出したり、又は、コンテナへ搬入したりすることができる重量物搬送装置とを備えたものである。
【0010】
このように構成すると、シャーシの上で重量物がコンテナの外に搬出され、又は、コンテナ内に搬入される。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、重量物搬送装置の高さは、コンテナの床面高さに整列し、重量物は重量物搬送装置の上に引出されるものである。
【0012】
このように構成すると、重量物の引出しがスムーズになると共に、引出しのための余計なスペースを不要とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、重量物搬送装置は、コンテナの長手方向に平行な方向に牽引及び繰出の往復運動をする走行体を含むものである。
【0014】
このように構成すると、重量物の引出し長さに応じて走行体の往復運動が繰り返される。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、重量物搬送装置における重量物の牽引に要する力は、重量物を直接牽引するのに要する力より小さいものである。
【0016】
このように構成すると、重量物搬送装置に必要な駆動力を小さくできる。
【0017】
請求項5記載の発明は、重量物搬送方法であって、トラクターに接続されるシャーシ上に重量物を格納したコンテナと重量物搬送装置とを搭載する工程と、シャーシをトラクターで所望の場所へ移送する工程と、移送されたシャーシ上で、重量物搬送装置を用いて重量物をコンテナから搬出する工程と、搬出された重量物を荷降しする工程とを備えたものである。
【0018】
このように構成すると、重量物はトラクターで受け渡し場所まで直接移送される。
【0019】
請求項6記載の発明は、重量物搬送方法であって、トラクターに接続されるシャーシ上にコンテナと重量物搬送装置とを搭載する工程と、重量物搬送装置に重量物を荷降しする工程と、シャーシ上で、重量物搬送装置を用いて重量物を前記コンテナへ搬入する工程と、シャーシをトラクターで所望の場所へ移送する工程とを備えたものである。
【0020】
このように構成すると、重量物はシャーシの上でコンテナに搬入される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、シャーシの上で重量物がコンテナの外に搬出され、又は、コンテナ内に搬入されるので、重量物の受け渡しが効率的になり重量物の搬送コストが低減する。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、重量物の引出しがスムーズになると共に、引出しのための余計なスペースを不要とするので、シャーシの上のスペースを有効に活用することができる。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、重量物の引出し長さに応じて走行体の往復運動が繰り返されるので、重量物がコンテナのいずれの位置に格納されていても引出しが可能となる。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、重量物搬送装置に必要な駆動力を小さくできるので、重量物搬送装置がコンパクトになる。
【0025】
請求項5記載の発明は、重量物はトラクターで受け渡し場所まで直接移送されるので、途中での重量物の積み替え等が不要となり、コスト面及び安全面で有利となる。
【0026】
請求項6記載の発明は、重量物はシャーシの上でコンテナに搬入されるので、途中での重量物の積み替え等が不要となり、コスト面及び安全面で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の第1の実施の形態による重量物搬送システムの概略構成を示した図である。
【図2】図1で示した重量物搬送装置の搬送機構を模式的に表した平面図である。
【図3】図1で示した重量物搬送装置の概略構造を示した平面図である。
【図4】図3におけるIV−IVラインの断面図である。
【図5】図1で示した重量物搬送システムにおけるトラクターの移送状態を示した概略図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による重量物搬送システムにおけるトラクターの移送状態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1はこの発明の第1の実施の形態による重量物搬送システムの概略構成を示した図である。
【0029】
図を参照して、トラクター8に接続されるシャーシ9(トレーラーの一部を構成する)上の前方部にコンテナ10が搭載されており、その後方部には重量物搬送装置11が設置されている。重量物搬送装置11は平坦形状であり、その高さはシャーシ9上に設置した場合、コンテナ10の床面と略整列状態となるように設定されている。
【0030】
重量物搬送装置11の詳細及び動作原理については後述するが、水平方向に重量物を牽引できる機能を有するものである。
【0031】
まず、コンテナ10と重量物搬送装置11とが一体的にトラクター8によって末端ユーザーまで移送されると、支持ポール6を地面7に接地させてシャーシ9を停止状態にする。
【0032】
次に、コンテナ10内に格納されている鋼板コイル12のパレット13と重量物搬送装置11の走行体(図示せず、後述する)との間にワイヤ等で接続し、重量物搬送装置11の走行体を牽引方向に移動させることによって、鋼板コイル12を重量物搬送装置11の方向に引出す(牽引する)。鋼板コイル12を走行体の一度のストロークではコンテナ10から引出せない場合は、接続ワイヤを調整し走行体の牽引、繰出を繰り返すことによって、鋼板コイル12がコンテナ10のいずれの位置にあっても重量物搬送装置11上に引出すことができる。
【0033】
重量物搬送装置11上に引出された鋼板コイル12は、末端ユーザーが保有するクレーン14等を使用して吊り上げて所望の場所に移動させることで鋼板コイル12の搬入が完了する。
【0034】
このようにコンテナ10と重量物搬送装置11とは一体的にトラクター8によって移送されるため、重量物の積み替えが必要なく末端ユーザーにおいて直接荷降しができるので、コスト面及び安全面において有利な重量物搬送システムとなる。
【0035】
図2は図1で示した重量物搬送装置の搬送機構を模式的に表した図であって、その(1)は重量物を走行体で牽引する場合を示し、その(2)は牽引開始位置まで走行体を繰出す場合を示している。
【0036】
図を参照して、搬送機構15は、フレーム体40の長手方向(図において左右方向)に移動自在の走行体18に取り付けられている第1動滑車20と、キャプスタン形式の回転ドラム38とを中心として構成されている。尚、走行体18は、重量物にワイヤ等を接続して走行体18を移動させることによって重量物を牽引するものである。
【0037】
ところで、回転ドラム38を中心として、図において走行体18左側(牽引方向)から回転ドラム38までのワイヤ26を第1ワイヤ部分27として表し、走行体18の右側(繰出方向)から回転ドラム38までのワイヤ26を第1ワイヤ部分27として表すが、第1ワイヤ部分27と第2ワイヤ部分28とは回転ドラム38を介して1本のワイヤ26として一体的に繋がっているものである。
【0038】
その一端が走行体18の一方端に固定されている第1ワイヤ部分27は、フレーム体40に固定されている第1定滑車30に係合した後走行体18に取り付けられている第1動滑車20に係合する。更に、第1動滑車20に係合した第1ワイヤ部分27は、フレーム体40に固定されている第2定滑車31に係合した後フレーム体40に固定されている回転ドラム38に接続される。
【0039】
一方、第1ワイヤ部分27が所定数量巻回された後に回転ドラム38から延びる第2ワイヤ部分28は、フレーム体40に固定されている第3定滑車32及び第4定滑車33に係合した後、バランスユニット23に取付けられている第2動滑車21に係合する。第2動滑車21に係合した第2ワイヤ部分28は、フレーム体40に固定されている第5定滑車34及び第6定滑車35に係合した後、走行体18の他方端に接続される。尚、バランスユニット23とフレーム体40との間には、伸縮自在で図において左側(第2ワイヤ部分28の巻き取り時に生じる移動方向に対して反対方向)に付勢されているスプリングバランサー24が接続されている。
【0040】
次にこの搬送機構15における動作について説明する。
【0041】
まず、図1の(1)を参照して、重量物を引出す牽引時の動作について説明する。
【0042】
走行体18を図において左方向側に移動させようとする時には、回転ドラム38を図において矢印のように時計方向回りに回転させる。すると、第1ワイヤ部分27は回転ドラム38によって巻き取られ、走行体18の一方端に固定されている端部までの距離が徐々に短くなる。この結果、第1動滑車20は反時計方向回りに回転しながら図において左側に移動する。結果として、走行体18は左方向に移動することになる。
【0043】
一方、第2ワイヤ部分28は回転ドラム38で巻き取られた(牽引した)分だけ繰り出されることになる。すなわち、回転ドラム38を介しての第1ワイヤ部分27の長さの変化と第2ワイヤ部分28の長さの変化とは、ワイヤ26が延びない剛体とすると同一となる。
【0044】
具体的には、第2ワイヤ部分28が繰り出されて位置P1から位置P2へ距離Lだけ移動した時を想定する。この場合、第1ワイヤ部分27も距離Lだけ巻き取られたことになる。第1ワイヤ部分27は、3本のワイヤとして走行体18に係合する形になるので、走行体18はL/3の距離だけ牽引方向に移動する。この時走行体18に接続されている第2ワイヤ部分28もL/3の距離だけ牽引方向に移動する。そのため、第2ワイヤ部分28は2L/3の長さだけ余ることになる。これを放置すると回転ドラム38に対して第2ワイヤ部分28が緩むことになり、第1ワイヤ部分27の巻取りが十分にできない状態になる。
【0045】
そこで、この第2ワイヤ部分28の余剰分を吸収するために、ワイヤ長さ調整手段としてバランスユニット23が設けられている。スプリングバランサー24はバランスユニット23によって図において左側に付勢しているため、第2ワイヤ部分28に余剰分が生じるとこれに係合している第2動滑車21と共に左側にバランスユニット23が移動し、第2ワイヤ部分28の弛みを直ちに吸収する。この時、第2動滑車21の移動距離によってその倍の距離の分だけ第2ワイヤ部分28の弛みが吸収される。そうすると、上記の2L/3の長さを吸収するためにバランスユニット23は、L/3だけ左側に移動することになる。この移動距離は走行体18の移動距離と同一となることから、走行体18とバランスユニット23とを移動の始点、終点を併せて並列的に配置すれば、これらは同一速度で並列的に移動することになる。
【0046】
このように走行体18における第1ワイヤ部分27の移動距離と第2ワイヤ部分28移動距離とが一致するので、回転ドラム38におけるワイヤ26の緩みが生じず走行体18はスムーズに左方向に移動する。この場合、走行体18を左側に移動させるために働く第1ワイヤ部分27は、その一方端が第1動滑車20及び第1定滑車30を介して走行体18に固定され、その他方端が回転ドラム38に巻き取られることから、第1ワイヤ部分27に生じる力は走行体18を直接左側に移動する場合に要する力のほぼ3分の1となる。このようにして、小さな力によって走行体18を左側方向に安定的に移動させることが可能となる。
【0047】
次に、図1の(2)を参照して、重量物を引出すために準備する繰出時の動作について説明する。
【0048】
走行体18を図において右方向側に移動させようとする時には、回転ドラム38を図において矢印のように反時計方向回りに回転させる。すると、第2ワイヤ部分28は回転ドラム38によって巻き取られ、走行体18の他方端に固定されている端部までの距離が徐々に短くなる。この結果、走行体18は図において右側(繰出方向)に移動することになる。
【0049】
一方、第1ワイヤ部分27は回転ドラム38で巻き取られた(繰出した)分だけ繰り出されることになる。すなわち、回転ドラム38を介しての第2ワイヤ部分28の長さの変化と第1ワイヤ部分27の長さの変化とはワイヤ26が延びない剛体とすると同一となる。
【0050】
具体的には、第2ワイヤ部分28が巻き取られて位置P1から位置P2へ距離Lだけ移動した時を想定する。この場合、第1ワイヤ部分27も距離Lだけ繰出されたことになる。第1ワイヤ部分27は、3本のワイヤとして走行体18に係合する形になるので、走行体18はL/3の距離だけ繰出方向に移動する。そうすると、この時走行体18に接続されている第2ワイヤ部分28はL/3の距離だけしか牽引方向に移動しない。これでは、回転ドラム38が第2ワイヤ部分28を2L/3の長さだけ多く巻き取ることになり、回転ドラム38の巻取りのバランスが崩れてしまう。これを放置すると走行体18は繰出方向に移動できないことになる。
【0051】
そこで、この第2ワイヤ部分28の巻き取りのアンバランスを調整するためにバランスユニット23が設けられている。バランスユニット23にはスプリングバランサー24が伸縮自在に接続されているだけなので、第2ワイヤ部分28の巻き取り速度に応じてバランスユニット23は図において右側に移動する。この場合、第2ワイヤ部分28の巻き取り距離が2L/3だけ余分であるので、バランスユニット23は、L/3だけ右側に移動することになる。この移動距離は走行体18の移動距離と同一となることから、走行体18とバランスユニット23とを移動の始点、終点を併せて並列的に配置すれば、これらは同一速度で並列的に移動することになる。
【0052】
このように回転ドラム38の前後における第1ワイヤ部分27の移動距離と第2ワイヤ部分28の移動距離とがバランスユニット23の働きによって一致するので、回転ドラム38におけるワイヤ26の巻取りが阻害されず走行体18はスムーズに右方向に移動する。この場合、走行体18を右側に移動させるために働く第2ワイヤ部分28に対して負荷が掛かっていないため、回転ドラム38の回転速度を上げることによって繰出時に要する時間を短縮することができる。
【0053】
図3は図1で示した重量物搬送装置の概略構造を示した平面図であり、図4は図3におけるIV−IVラインの断面図である。
【0054】
これらの図を参照して、重量物搬送装置11は、I型鋼等を井桁状に組み合わせたフレーム体40に、図において横方向(長手方向)に移動自在となる走行体18を設置したものを中心として構成されている。尚、図において記載されている符号は図1で示されたものと同一またはそれらに対応したものである。
【0055】
走行体18は、所定間隔に平行に配置された第1フレーム44a及び第1フレーム44bの間を長手方向に移動自在に設置されている。走行体18に長手方向に並列に配置され、その中央に長穴47が形成された第2フレーム45にバランスユニット23が係合し、長手方向に移動自在に設置されている。バランスユニット23には第2動滑車21が取付けられ、走行体18の他方端に接続された第2ワイヤ部分28が係合する。また、バランスユニット23にはワイヤ46が接続され、その端部はフレーム体40に取付けられたスプリングバランサー24に接続されている。これによって、バランスユニット23は図において左方向に常時付勢されることになる。
【0056】
一方、走行体18の一方端に接続された第1ワイヤ部分27は第1定滑車30に係合した後、走行体18の第1動滑車20に係合する。そして第2定滑車31a,31bに係合した後、フレーム体40に取付けられた回転ドラム38に巻回される。また、回転ドラム38に巻回される第2ワイヤ部分28は第3定滑車32a及び第4定滑車33に係合した後、バランスユニット23の第2動滑車21に係合する。そして第2ワイヤ部分28は第5定滑車34に係合した後、走行体18に接続する。
【0057】
尚、図において矢印のA方向は走行体18の牽引方向を示し、矢印のB方向は走行体18の繰出方向を示している。そして、図のように走行体18の移動の始点及び終点と、バランスユニット23の移動の始点及び終点とが対応する位置となるように、これらは並列に設置されている。また上述のようにこれらのストロークは同一長さとなるため、フレーム体40の長手方向を最大限に利用した走行体18の動作が可能となるため、牽引、繰出を繰り返すような重量物の搬出距離が長いような時でも効率的な搬送が可能となる。
【0058】
図5は図1で示した重量物搬送システムにおけるトラクターの移送状態を示した概略図である。
【0059】
図を参照して、トラクター8は支持ポール6を収容した状態でシャーシ9を牽引して地面7上を走行している。シャーシ9上の前方部分にコンテナ10が搭載され、重量物搬送装置11はコンテナ10から距離Lだけ離れた状態でその後方部分に搭載されている。この距離Lはコンテナ10の開閉扉57の開閉に要するスペースを考慮したものである。
【0060】
この状態でトラクター8が所望の場所まで走行すると、支持ポール6を接地させて停止状態にする。そして、開閉扉57を開けた後、重量物搬送装置11をコンテナ10に接するように移動させると、図1に示した状態になる。
【0061】
鋼板コイル12の荷降しが上述のようにして終了すると、重量物搬送装置11を図に示す位置に移動させて開閉扉57を閉める。そして、支持ポール6を収容してトラクター8をシャーシ9と共に走行させれば良い。
【0062】
図6はこの発明の第2の実施の形態による重量物搬送システムにおけるトラクターの移送状態を示した概略図であり、図5の実施の形態に対応した図である。
【0063】
図を参照して、基本的には図5の実施の形態と同様であるので、相違点を中心に説明する。
【0064】
まず、この実施の形態では、コンテナ10がその開閉扉57を前方に位置させた状態でシャーシ9の上の後方部分に搭載されている点が大きく相違する。そして、これに伴い、重量物搬送装置11はコンテナ10から距離Lだけ離れてシャーシ10の前方部分に搭載されている。
【0065】
鋼板コイル12を搬出する際には、開閉扉57を開けて重量物搬送装置11をコンテナ10に接するように移動させる。この状態で、先の実施の形態と同様に重量物搬送装置11を用いて鋼板コイル12をコンテナ10から重量物搬送装置11上に引出す。その後は先の実施の形態と同様に鋼板コイル12を荷降しした後、重量物搬送装置11を元に位置に戻し、トラクター8をシャーシ9と共に走行させれば良い。この実施の形態にあっても、先の実施の形態による重量物搬送システムと同様の効果を奏する。
【0066】
尚、上記の各実施の形態では重量物の搬出作業に言及したが、搬入作業についても重量物搬送装置11を同様に使用することができる。この場合、重量物搬送装置11を逆方向に設置し、重量物搬送装置11上に積載された鋼板コイル12のパレット13を走行体18に取付けられた接続棒等でコンテナ10内に押し込むように走行体18を作動させれば良い。これによって、シャーシ9上において重量物搬送装置11のみで搬入作業が可能となり、効率的な搬入作業となる。
【0067】
尚、上記の各実施の形態では、重量物搬送装置11を牽引時に要する力を軽減する構成としているが、必ずしもその構成でない重量物搬送装置を用いても良い。また、牽引時と繰出時とで同一の軽減力で作動するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0068】
3…重量物搬送システム
8…トラクター
9…シャーシ
10…コンテナ
11…重量物搬送装置
12…鋼板コイル
15…搬送機構
18…走行体
40…フレーム体
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物搬送システムであって、
トラクターで牽引されるシャーシと、
前記シャーシの上の一部に搭載され、内部に重量物を格納できるコンテナと、
前記シャーシの上の他の一部に搭載され、前記重量物を前記コンテナから搬出したり、又は、前記コンテナに搬入することができる重量物搬送装置とを備えた、重量物搬送システム。
【請求項2】
前記重量物搬送装置の高さは、前記コンテナの床面高さに整列し、
前記重量物は前記重量物搬送装置の上に引出される、請求項1記載の重量物搬送システム。
【請求項3】
前記重量物搬送装置は、前記コンテナの長手方向に平行な方向に牽引及び繰出の往復運動をする走行体を含む、請求項1又は請求項2記載の重量物搬送システム。
【請求項4】
前記重量物搬送装置における前記重量物の牽引に要する力は、前記重量物を直接牽引するのに要する力より小さい、請求項3記載の重量物搬送システム。
【請求項5】
重量物搬送方法であって、
トラクターに接続されるシャーシ上に重量物を格納したコンテナと重量物搬送装置とを搭載する工程と、
前記シャーシを前記トラクターで所望の場所へ移送する工程と、
前記移送された前記シャーシ上で、前記重量物搬送装置を用いて前記重量物を前記コンテナから搬出する工程と、
前記搬出された前記重量物を荷降しする工程とを備えた、重量物搬送方法。
【請求項6】
重量物搬送方法であって、
トラクターに接続されるシャーシ上にコンテナと重量物搬送装置とを搭載する工程と、
前記重量物搬送装置に重量物を荷降しする工程と、
前記シャーシ上で、前記重量物搬送装置を用いて前記重量物を前記コンテナへ搬入する工程と、
前記シャーシを前記トラクターで所望の場所へ移送する工程とを備えた、重量物搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−168355(P2011−168355A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−32007(P2010−32007)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(501404804)住友金属物流株式会社 (13)
【Fターム(参考)】