説明

重量確認装置および検品システム

【課題】コストの増大を抑えつつ、検品作業における作業効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】1以上の商品を含む対象物の存在する箇所に取り付けられ、対象物とともに移動可能な重量確認装置40に、ICタグ41および電子ペーパー43を設ける。商品を出荷する際には、輸送先の計量装置30aにより測定した出荷時の重量情報をサーバ装置10を介して、重量確認装置40に無線で送信する。また、輸送先の計量装置30bにより測定した到着時の重量情報を端末装置20を介して、重量確認装置40に無線で送信する。到着時の重量情報と出荷時の重量情報との差を求めて、電子ペーパー43に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品が管理・輸送される物流システムにおいて、商品を検品する技術に関する。より詳しくは、商品を検品する作業を効率化させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムでは、商品が輸送され、輸送先に到着した際に、正しい商品が到着しているか否かを輸送先においてチェックする作業(検品作業)が行われる。このような検品作業は、例えば、輸送の途中で商品が抜き取られたり、異物が混入したりしていないかをチェックする意味がある。具体的には、作業者は、発注伝票に基づいて輸送元において作成された納品書と、現実に到着した商品とを確認しつつ検品作業を行う。
【0003】
このような検品作業を効率化させる技術が、例えば特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている重量管理システムでは、輸送元においてICタグを商品に添付しておき、このICタグに商品の重量を記憶させておく。輸送先では、ICタグに記憶された商品の重量を読み取るとともに、商品の重量を測定して、これらの値が一致しない場合には、ベル等の音声発生機能を有する装置によって報知する。
【0004】
すなわち、輸送の途中で商品が抜き取られて不足している場合や、異物が混入した場合には、商品の重量が一致しないので、重量管理システムは、作業者に対して音声によりその旨を報知する。したがって、作業者は、異常事態の発生を容易に検出することができ、その場合、特に詳細な検品を行うことにより、検品作業を効率的に行うことができる。
【0005】
なお、特許文献1に記載されている重量管理システムでは、輸送元において、計量した際の商品の重量を印字して、ラベルとして商品に添付する。これにより、作業者はいつでも商品の重量を確認することができる。また、輸送先における計量装置(重量計測手段)に表示される商品の重量と、ラベルに記載されている商品の重量とを見比べることができるようにされている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−289705公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載されている重量管理システムでは、商品の重量についての情報は、作業者が外見上確認できるものとしてはラベルを媒体とするため、書き換えが容易でないという問題があった。すなわち、特許文献1では、輸送先で商品の重量を測定した場合に、測定された商品の重量は、計量した計量装置に表示されるだけで、商品側の表示は何ら変化しない。例えば、到着した商品について重量測定だけをまとめて行い、異常のあった商品について後から検品を行う場合には、異常があった商品であることを後から確認できるように、商品の外見に測定した重量を示しておくのが便利である。このような場合、作業者は、測定した商品の重量を自らラベル等に書き込まなければならない。もちろん、重量を測定する度にラベルを印字することも可能ではあるが、ランニングコストが増大するだけでなく、すべての計量装置に印字装置を設ける必要があるためイニシャルコストも増大する。
【0008】
また、作業者がラベルの書き換えを行った場合、ICタグに記憶されている商品の重量と、ラベルに記載されている商品の重量とが一致しなくなるという問題があった。この場合、後の物流作業において混乱を招く要因となりうる。すなわち、ラベルに表示されている情報は、一旦印字された後は、ICタグに記憶されている情報との関連づけが容易ではないという問題があった。
【0009】
また、輸送元での商品の重量はラベルに表示されており、輸送先で測定した商品の重量は計量装置の表示部に表示される。すなわち、それぞれの重量は、別々の場所に表示されるので、作業者はそれぞれを確認しなければならないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、コストの増大を抑えつつ、検品作業における作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、1以上の商品を含む対象物の存在する箇所に取り付け可能で、前記対象物とともに移動可能な重量確認装置であって、計量装置により測定された前記対象物の重量に関する情報を重量情報として受信する通信手段と、前記通信手段により受信した重量情報を記憶する記憶手段と、表示する情報の書き換えが可能な表示手段と、前記通信手段により新たな重量情報を受信した場合に、前記新たな重量情報を前記表示手段に表示させるとともに、前記新たな重量情報と、前記記憶手段に記憶された重量情報とを比較し、その比較結果に応じて、前記表示手段に表示されている情報を書き換えるように、前記表示手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る重量確認装置であって、前記制御手段は、前記比較結果において、前記新たな重量情報と、前記記憶手段に記憶された重量情報とが不一致であった場合に、その旨および前記対象物の重量差を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係る重量確認装置であって、前記重量差に基づいて、前記対象物の中から検品候補となる商品を選択する商品選択手段をさらに備え、前記制御手段は、前記商品選択手段により選択された検品候補となる商品を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明に係る重量確認装置であって、前記対象物の周囲温度を測定する温度センサと、前記温度センサにより測定された周囲温度に応じて温度履歴情報を生成する情報生成手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記情報生成手段により生成された前記温度履歴情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る重量確認装置であって、前記制御手段は、前記情報生成手段により生成された前記温度履歴情報に示される周囲温度が、前記対象物を構成する商品について予め設定されている温度範囲内にない場合に、その旨を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、納品される商品を検品する検品システムであって、1以上の商品を含む対象物の存在する箇所に取り付け可能で、前記対象物とともに移動可能な重量確認装置と、前記対象物の重量を測定するとともに、前記重量確認装置との間で無線による情報の送受信が可能な計量装置とを備え、前記計量装置により測定された前記対象物の重量に関する情報を重量情報として受信する通信手段と、前記通信手段により受信した重量情報を記憶する記憶手段と、表示する情報の書き換えが可能な表示手段と、前記通信手段により新たな重量情報を受信した場合に、前記新たな重量情報を前記表示手段に表示させるとともに、前記新たな重量情報と、前記記憶手段に記憶された重量情報とを比較し、その比較結果に応じて、前記表示手段に表示されている情報を書き換えるように、前記表示手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る検品システムであって、前記対象物の配送先に関する配送先情報と、前記対象物を構成する商品に関する商品情報とを取得して、前記重量確認装置に送信するサーバ装置をさらに備え、前記制御手段は、前記配送先情報を表示する第1画面と、前記商品情報を表示する第2画面とを表示するように前記表示手段を制御することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明は、請求項6または7の発明に係る検品システムであって、前記対象物を受領したことを示す受領情報と、新たに対象物となる商品を示す発注情報とを取得して、前記重量確認装置に送信する端末装置をさらに備え、前記制御手段は、前記受領情報を表示する第3画面と、前記発注情報を表示する第4画面とを表示するように前記表示手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし8に記載の発明では、1以上の商品を含む対象物の存在する箇所に取り付け可能で、対象物とともに移動可能な重量確認装置が、通信手段により新たな重量情報を受信した場合に、新たな重量情報を表示手段に表示させるとともに、新たな重量情報と、記憶手段に記憶された重量情報とを比較し、その比較結果に応じて、表示手段に表示されている情報を書き換えるように、表示手段を制御することにより、計量装置によって測定が行われるたびに重量情報が更新されるので、表示手段に表示されている情報を見るだけで、作業者は、いつでも対象物の最新の重量を容易に確認することができる。また、対象物の重量変化の有無を確認することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明では、比較結果において、新たな重量情報と、記憶手段に記憶された重量情報とが不一致であった場合に、その旨および対象物の重量差を表示手段に表示させることにより、作業者は、どの程度の不一致が生じているか確認できる。
【0021】
請求項3に記載の発明では、重量差に基づいて、対象物の中から検品候補となる商品を選択し、選択された検品候補となる商品を表示手段に表示させることにより、不足している商品をすばやく特定することができるので、検品作業における作業者の負担が軽減される。
【0022】
請求項4に記載の発明では、生成された温度履歴情報を表示手段に表示させることにより、対象物の保管温度および輸送温度を確認することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明では、生成された温度履歴情報に示される周囲温度が、対象物を構成する商品について予め設定されている温度範囲内にない場合に、その旨を表示手段に表示させることにより、作業者は各商品について設定された温度範囲を知らなくても、当該温度範囲内で保管、輸送されなかった対象物を容易に検出することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、対象物の配送先に関する配送先情報と、対象物を構成する商品に関する商品情報とを取得して、配送先情報を表示する第1画面と、商品情報を表示する第2画面とを表示するように表示手段を制御することにより、配送先ラベルや納品伝票を別途作成する必要がない。また、これらの情報が対象物とともに移動するので紛失することもない。
【0025】
請求項8に記載の発明では、対象物を受領したことを示す受領情報と、新たに対象物となる商品を示す発注情報とを取得して、受領情報を表示する第3画面と、発注情報を表示する第4画面とを表示するように表示手段を制御することにより、受領書や発注書を別途作成する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係る検品システム1の構成を示す図である。検品システム1は、検品の対象となる対象物の輸送元における構成と、これらの輸送先における構成とに大別される。検品システム1は、輸送元における構成として、サーバ装置10および計量装置30aを備えており、また、輸送先における構成として、計量装置30bおよび端末装置20を備えている。そして、対象物の存在する箇所に取り付けられ、輸送元から輸送先に対象物とともに輸送される構成として重量確認装置40を備えている。
【0028】
なお、「対象物」とは、複数の商品(場合によっては輸送用のコンテナやパレット等を含む)から構成される物体の総称であって、通常、同じ輸送先に輸送される商品グループをいう。また、重量確認装置40は、図1において、1つだけ図示しているが、実際には複数の重量確認装置40が存在しており、それらはサーバ装置10および端末装置20によって個別に識別可能とされている。また、輸送元および輸送先は複数箇所存在していてもよく、サーバ装置10、端末装置20、および計量装置30a,30bの数は、図1に示すように、それぞれ1つに限られない。
【0029】
図2は、サーバ装置10または端末装置20の構成を示す図である。サーバ装置10および端末装置20は、一般的なパーソナルコンピュータと同様の構成および機能を有する装置であって、図2に示すように、同様の構成を有している。
【0030】
サーバ装置10および端末装置20は、CPU11、RAM12、ROM13、固定ディスク14、ディスプレイ15、操作部16、読取装置17、およびアンテナ18を備え、図2に示すように各構成が互いにバス配線により接続されている。
【0031】
サーバ装置10および端末装置20は、オペレータによる操作部16の操作や、読取装置17による記録媒体91からの情報読み取り、あるいはアンテナ18によるデータ通信等によって様々な情報を取得することができる。例えば、サーバ装置10は、対象物の輸送先(配送先)を示す配送先情報や、対象物に含まれる商品の品名、個数、および価格等といった通常の納品伝票に示される情報である商品情報などを取得する。一方、端末装置20は、対象物を受領したことを示す受領情報や、新たに対象物となる商品を示す発注情報などを取得する。なお、本実施の形態における検品システム1では、商品情報に、商品ごとの単品重量や管理温度などの他に輸送元に関する情報なども含まれている。
【0032】
図1に示すように、サーバ装置10は、計量装置30aと信号の送受信が可能なケーブルで接続されている。同様に、端末装置20は、計量装置30bと信号の送受信が可能なケーブルで接続されている。これによりサーバ装置10および端末装置20は、それぞれ計量装置30a,30bとの間でデータ通信が可能とされており、特に、計量装置30a,30bから後述する重量情報を受信する。
【0033】
CPU11は、各種データに基づいて演算等を行い、他の構成を制御する制御信号の生成等を行う。
【0034】
CPU11のワーキングエリアとなるRAM12、読み取り専用のROM13、および固定ディスク14は、いずれも情報を記憶するための記憶装置としての機能を有する。特に、固定ディスク14は、検品システム1の動作を実現するためのプログラム140を記憶する。
【0035】
ディスプレイ15は、例えば液晶ディスプレイなどが該当し、各種情報を画面に表示する。これにより、オペレータは、ディスプレイ15に表示される情報に応じて、状況を的確に判断することができ、例えば、適切に検品システム1に対して指示を与えることができる。
【0036】
操作部16は、キーボード16aおよびマウス16bから構成され、オペレータが検品システム1に指示を入力する際に操作される。なお、操作部16としては、キーボード16aおよびマウス16bに限られるものではなく、各種ボタンやジョイスティック、あるいはタッチパネルなどの装置が操作部16として用いられてもよい。
【0037】
読取装置17は、可搬性の記録媒体91(例えば、CD−ROMなど)に記憶されている情報を読み取る装置である。
【0038】
さらに、サーバ装置10および端末装置20は、アンテナ18を介して、重量確認装置40との間で無線データ通信が可能とされている。なお、通信可能距離が比較的短い無線データ通信を用いる場合には、アンテナ18は重量確認装置40の近傍に設置されていることが好ましい。本実施の形態における検品システム1では、アンテナ18は、計量装置30aおよび計量装置30bの近傍に設置される。検品システム1では、計量装置30aまたは計量装置30bによって対象物の重量の測定が行われている間、重量確認装置40は、計量装置30a,30bの近傍に存在している。したがって、計量装置30aおよび計量装置30bの近傍にアンテナ18を設置しておくことにより、良好にデータ通信を行うことができる。ただし、アンテナ18は1つに限られるものではなく、店舗内に複数設置することも可能である。
【0039】
計量装置30a,30bは、それぞれほぼ同様の機能および構成を有する装置である。計量装置30a,30bは、一般的な秤としての機能を備えており、対象物の重量を測定して重量情報を生成する。
【0040】
さらに、計量装置30aは、生成した重量情報をサーバ装置10に送信する。同様に、計量装置30bは、生成した重量情報を端末装置20に送信する。そして、サーバ装置10または端末装置20に送信された重量情報は、アンテナ18を介して、重量確認装置40に無線により送信される。すなわち、計量装置30a,30bは、サーバ装置10または端末装置20を介して、無線データ通信により重量情報を重量確認装置40に送信する。なお、計量装置30a,30bが、それぞれ重量確認装置40との間で直接無線によるデータ通信を行うように構成されていてもよい。
【0041】
図3は、重量確認装置40の構成を示す図である。重量確認装置40は、ICタグ41、操作ボタン42、電子ペーパー43、LEDランプ44、および温度センサ45を備える。
【0042】
ICタグ41は、データを演算して処理するCPU410、データを記憶する記憶装置411、および無線データ通信を行う通信部412を備えている。ICタグ41としては小型で薄手の構造が適しており、本実施の形態における検品システム1では非接触ICカード用LSIを用いる。
【0043】
CPU410は、操作ボタン42が受け付けた作業者の入力や、通信部412が受信する重量情報などのデータに応じて、重量確認装置40の各構成を制御する。例えば、CPU410は、電子ペーパー43を制御して必要な情報を表示させたり、LEDランプ44の点灯・消灯状態を制御する。また、CPU410は、必要に応じて各種データを生成する機能を有しており、例えば、温度センサ45から得られる測定結果に基づいて、温度履歴情報を生成する。
【0044】
通信部412は、サーバ装置10や端末装置20から送信される情報を受信し、受信した情報を記憶装置411に転送する。また、CPU410の制御に基づいて、記憶装置411に記憶されている情報をサーバ装置10や端末装置20に送信する機能をも有する。
【0045】
作業者によって操作される操作ボタン42は、作業者が重量確認装置40に対する指示を入力するために使用される。なお、操作ボタン42は、作業者の操作が電気信号として入力できればどのような構造のものであってもよい。したがって、操作ボタン42は、実際の押しボタンのような押圧感知式に限られるものではなく、静電気感知式など種々の方式を採用することができる。
【0046】
電子ペーパー43は、比較的薄いフィルム状の部材で構成され、重量情報や商品情報などの文字情報を表示する。電子ペーパー43は、CPU410によって制御され、着色された帯電粒子を、電圧を印加することによって移動させて、表示している情報を書き換えることが可能である。
【0047】
LEDランプ44は、CPU410からの制御信号により、点灯状態と消灯状態とを切り換えることが可能とされている。LEDランプ44は、作業者によって、その状態が容易に視認できるものが好ましい。
【0048】
温度センサ45は、重量確認装置40が取り付けられている箇所の温度を所定のタイミングで測定し、測定結果をICタグ41のCPU410に伝達する。なお、温度センサ45が温度を測定するタイミングはCPU410によって制御される。
【0049】
図4は、重量確認装置40の取り付け例を示す図である。重量確認装置40は、パレット50上に積載された商品90(対象物)の外装に取り付けられてもよいし、対象物を収納した状態で輸送するコンテナ51の外面に取り付けられてもよい。また、透明なケースに収納された状態で取り付けられていてもよい。すなわち、対象物の存在する箇所に取り付けられ、対象物とともに移動することが可能であれば、どのような態様で取り付けられていてもよい。ただし、作業者が容易に確認することができる位置に取り付けられることが好ましい。
【0050】
以上が、本実施の形態における検品システム1の機能および構成の説明である。次に、検品システム1を用いて、作業者が検品作業を行う例について、商品が出荷されるときから順次説明する。
【0051】
物流センター等の輸送元においては、輸送先ごとに出荷(輸送)する1以上の商品90が集められ、例えばコンテナ51に収納される。この場合、出荷する商品90とコンテナ51とが対象物となり、当該コンテナ51には図4に示すように重量確認装置40が取り付けられる。なお、出荷する商品90は、輸送元に保管されている商品から受注情報などに従ってピッキングされて集められる。
【0052】
ピッキングが終了すると、作業者は、出荷する商品90を収納したコンテナ51を計量装置30aに載せる。これにより、計量装置30aが対象物の重量(以下、「出荷重量」と称する)を測定し、測定した出荷重量に基づいて、出荷時の重量情報を生成して、サーバ装置10に送信する。
【0053】
計量装置30aから出荷時の重量情報を受信したサーバ装置10は、受注情報に基づいて、当該商品90を輸送する輸送先(すなわち注文元に相当する)を示す情報(配送先情報)と、出荷する商品90に関する情報(商品情報)とを生成する。さらに、サーバ装置10は、生成した配送先情報および商品情報を、計量装置30aから受信した出荷時の重量情報とともに、コンテナ51に取り付けられている重量確認装置40に送信する。これらの情報は、アンテナ18を介して、無線データ通信により、重量確認装置40のICタグ41に送信される。これにより、重量確認装置40は、通信部412を介して、出荷時の重量情報と、配送先情報と、商品情報とを受信する。
【0054】
図5は、重量確認装置40が出荷時の重量情報を受信した時に、電子ペーパー43に表示される画面の例である。図5に示すように、電子ペーパー43の第1表示領域E1には、商品情報が第2画面として表示される。したがって、作業者は、自らがピッキングした商品90と、第1表示領域E1に表示されている商品とを比較することによって、ピッキング作業に誤りがないことを確認することができる。また、電子ペーパー43の第2表示領域E2には、出荷時の重量情報に基づいて、出荷重量が表示される。なお、第2画面に表示されている情報は、いわゆる出荷伝票等に記載される内容であるが、表示されるのは商品情報のうちのすべての情報である必要はない。例えば、本実施の形態における検品システム1では、商品情報として各商品90の重量や管理されるべき温度範囲などの情報が含まれるが、図5に示す例ではこれらの情報は第2画面として表示されない。
【0055】
第2画面に表示されている商品(出荷指示されている商品)と、コンテナ51に収納されている商品(ピッキングした商品)とが一致すると、作業者は操作ボタン42を操作して、出荷する商品90に誤りがないことを検品システム1に入力する。作業者によるこの入力を検出すると、重量確認装置40のCPU410は、第2画面を表示するよう電子ペーパーを制御する。これにより、電子ペーパー43の表示が出荷時の表示に書き換えられ、第2画面が配送先情報が表示される第1画面に切り替えられる。なお、このとき、重量確認装置40は、作業者から当該入力があった旨をサーバ装置10に送信してもよい。これにより、サーバ装置10は、出荷準備が整ったことを知得することができる。
【0056】
図6は、出荷時において、重量確認装置40の電子ペーパー43に表示される画面の例を示す図である。図6に示すように、電子ペーパー43の第1表示領域E1には、配送先情報が第1画面として表示されている。
【0057】
第1画面として電子ペーパー43に表示される配送先情報は、受注情報に基づいて生成されるため、同じく受注情報に基づいて生成される商品情報との関連づけが正確になされている。したがって、例えば、作業者が配送先をラベルに書き込んで、別途添付する場合などに比べて、輸送時の誤りの発生を抑制することができる。
【0058】
対象物(商品90とコンテナ51)を輸送先に出荷する際には、サーバ装置10から重量確認装置40に対して、信号が送信され、この信号に基づいて、重量確認装置40のCPU410が温度センサ45による温度測定を開始する。なお、出荷作業を行う作業者が操作ボタン42を操作して、温度測定を開始させるようにしてもよい。
【0059】
温度測定は、CPU410から必要に応じて温度センサ45に信号が送られることによって行われる。また、CPU410は、温度センサ45から送られる測定結果に基づいて、温度履歴情報を作成して、記憶装置411に記憶させる。これにより、輸送中の対象物の周辺温度が記録される。
【0060】
コンテナ51が輸送先に到着すると、作業者は検品作業を開始する。検品作業を行う作業者は、まず重量確認装置40の電子ペーパー43の表示画面を目視することにより、到着したコンテナ51が当該輸送先に輸送されるべきものであるか否かを確認する。このとき、電子ペーパー43の第1表示領域E1には、配送先情報が第1画面として表示されている。したがって、図6に示す例では、作業者は、到着した輸送先が「店舗A」であるか否かを確認することで、コンテナ51が誤った輸送先に到着していないかどうかを容易に確認することができる。
【0061】
次に、作業者は、商品90を収納したままの状態で、コンテナ51を計量装置30bに載せる。これにより、計量装置30bが対象物の重量の測定を行い、測定した検品重量に基づいて、到着時の重量情報を生成して、端末装置20に送信する。
【0062】
対象物の重量の測定と並行して、作業者は、重量確認装置40の操作ボタン42を操作して、対象物の輸送が終了したことを重量確認装置40に入力する。この入力を受け付けた重量確認装置40は、電子ペーパー43の表示を商品情報を表示する第2画面に書き換える(図5参照)。
【0063】
このように、輸送先において商品情報を表示する電子ペーパー43は、納品伝票としての機能する。したがって、作業者は、どのような商品90が納品されたかを容易に確認することができ、別途納品伝票を作成する必要がない。また、重量確認装置40は対象物(商品90)の存在する箇所に取り付けられ、対象物とともに移動するため、商品90と納品伝票との関連づけが容易である。すなわち、納品伝票の取り違いや、紛失等を予防することができる。
【0064】
さらに、重量確認装置40は商品情報を端末装置20に送信する。具体的には、重量確認装置40のCPU410が、記憶装置411に記憶されている商品情報を、通信部412を介して端末装置20に送信する。
【0065】
これにより、端末装置20は、当該商品情報を解析することによって、商品情報に示される商品90が到着したことを検知することができる。例えば、端末装置20は、前回の発注情報と受信した商品情報とを比較することにより出荷された商品90(到着した商品90)に誤りがないか確認することができる。なお、未だ作業者による検品作業は終了していないので、これらの商品90が誤りなく到着しているか否かは、この時点ではまだ判明していない。
【0066】
また、端末装置20は、計量装置30bから受信した到着時の重量情報を、コンテナ51に取り付けられている重量確認装置40に送信する。重量情報は、アンテナ18を介して、無線データ通信により、重量確認装置40のICタグ41に送信される。これにより、重量確認装置40は、通信部412を介して、新たに到着時の重量情報を受信する。
【0067】
重量確認装置40のCPU410は、端末装置20から到着時の重量情報を受信すると、新たに受信した到着時の重量情報を表示するように電子ペーパー43を制御する。
【0068】
また、CPU410は、記憶装置411に記憶されている出荷時の重量情報(出荷重量)と、受信した到着時の重量情報(検品重量)との重量差(以下、「増減重量」と略する)を求めて、結果を表示するように電子ペーパー43を制御する。
【0069】
さらに、増減重量が負数である場合(検品重量が不足している場合)、CPU410は、増減重量に基づいて、商品情報に示される各商品90を検索し、対象物の中から検品候補となる商品90を欠品予測商品として選択する。そして、欠品予測商品を表示するように電子ペーパー43を制御する。すなわち、本実施の形態における検品システム1は、不足重量と、商品情報に示される各商品90の重量とに基づいて、パターンマッチング処理を行うことにより、紛失した商品90を予測して、重量確認装置40の電子ペーパー43に表示する。なお、増減重量に基づいて欠品予測商品を選択する手法は、これに限られるものではない。例えば、破損して内容物が漏れやすい商品が含まれている場合には、これらの商品を優先的に選択するなど、商品の特性に基づいて判断するようにしてもよい。
【0070】
図7は、電子ペーパー43に検品重量、増減重量および欠品予測商品が表示される例を示す図である。図7に示すように、電子ペーパー43の第2表示領域E2は、到着時の重量情報を受信したことにより、検品重量が表示された状態に書き換えられている。
【0071】
このように、新たに重量情報を受信した場合に、新たに受信した重量情報に応じて電子ペーパー43の表示が書き換えられるので、作業者自身が表示(例えばラベル表示)を書き換える必要がなく作業負担が軽減される。
【0072】
また、重量確認装置40は、対象物(商品90)の存在する箇所に取り付けられているため、商品90の存在する場所で、電子ペーパー43に表示されている内容を確認することができる。すなわち、作業者は、計量装置30bの表示内容と、対象物に表示されている内容(例えばラベル)とを見比べることなく、出荷重量と検品重量とを比較できる。
【0073】
また、対象物の重量を測定する都度ラベルを印刷することもないので、ランニングコストが抑えられるとともに、印刷装置が不要であることからイニシャルコストも抑えられる。
【0074】
また、図7に示すように、電子ペーパー43の第3表示領域E3には、増減重量が数値で表示される。これにより、作業者は、輸送中における対象物(主に商品90)の増減の有無を確認することができるだけでなく、どの程度の増減があったかについても容易に確認することができる。したがって、従来の商品管理システムのように増減の有無を検出するだけの場合に比べて、作業者はより柔軟に対応することができる。
【0075】
さらに、本実施の形態における検品システム1では、電子ペーパー43の第3表示領域E3に、欠品予測商品が商品名で表示される。これにより、作業者は、不足している可能性の高い商品をすばやく検品することができるので、検品作業における作業者の負担が軽減される。なお、紛失したと予測される商品90を複数選択して表示してもよい。その場合、優先順位をつけて順次表示するのが好ましい。
【0076】
なお、本実施の形態における検品システム1では、増減重量が「0」でない場合(記憶されている出荷時の重量情報と、新たに測定された到着時の重量情報とが不一致である場合)、CPU410がLEDランプ44を点灯状態となるように制御する。
【0077】
このように、出荷時の重量情報と到着時の重量情報とが不一致の場合に、LEDランプ44が点灯することにより、作業者は、対象物の重量に増減があったことを、より容易に確認することができ、見落としを予防することができる。したがって、作業者が電子ペーパー43に表示される文字情報(言語)を理解できない、例えば外国人であったとしても、異常(不一致)が生じていることを認知することができる。すなわち、従来の装置のようにブザー等の音声による報知と同様の効果を得ることができる。なお、音声を使用する場合、作業者以外の者にとっては騒音となるが、本実施の形態における検品システム1では、騒音が発生することはない。
【0078】
増減重量が「0」でない場合、作業者は、原因を特定するための作業を別途行う。すなわち、検品重量が出荷重量に満たない場合(増減重量が負数の場合)、作業者は、検品により不足商品を特定して輸送元に追加で輸送するように要求する。一方、検品重量が出荷重量より多い場合(増減重量が正数の場合)、異物が混入している疑いがあるため、作業者は、この異物を検出して適切な処置を行う。例えば、異物の混入による品質変化等の問題がなければ当該異物を取り除いた上で商品90を受け取るが、衛生上の問題等がある場合には商品90の受け取りを拒否する。
【0079】
検品作業において重量に関する異常が発見された場合、これ以降の検品作業(異常となっている原因の特定)は、重量を測定する処理とは別途行うことが好ましい。特に、複数の対象物が到着する場合などにおいて、重量の測定作業を順次行ってから、それ以外の検品作業を行うことが好ましい。
【0080】
しかし、従来の装置では、対象物における重量の不一致を検出しても、この検出結果が次の対象物の重量測定を行うことにより失われてしまうため、作業者が別途ラベルに記入するなど独自に記録しておく必要があった。
【0081】
本実施の形態における重量確認装置40は、増減重量を表示する電子ペーパー43を備えているため、重量が不一致である旨を作業者が手作業で記録する必要がない。
【0082】
また、重量確認装置40は、対象物の存在する箇所に取り付けられ、対象物とともに移動するため、重量測定を行う場所から対象物を移動させた後に検品する場合にも容易に増減重量を確認することができる。
【0083】
なお、重量が異常となっている原因を特定した場合、例えば端末装置20を操作して、作業者の処置に関する情報を検品システム1に入力するようにしてもよい。この場合、入力された情報を重量確認装置40に送信し、記憶装置411に記憶させてもよい。重量確認装置40は後に輸送元に戻されるが、輸送元においてサーバ装置10が記憶装置411に記憶されている情報を解析することによって、輸送先における処置を確認することができる。
【0084】
対象物の重量に変化がない場合(増減重量が「0」の場合)、作業者は、操作ボタン42を操作して、検品作業における重量確認が終了した旨を入力する。この入力がされると、CPU410は、記憶装置411に記憶されている温度履歴情報を表示するように電子ペーパー43を制御する。
【0085】
図8は、電子ペーパー43に温度履歴が表示される例を示す図である。重量確認が終了したことによって、図8に示すように、電子ペーパー43の第1表示領域E1には、出荷から到着までの温度履歴(周辺温度の推移)が表示される。例えば、物流システムにおいて取り扱われる商品90には、生鮮食料品のように所定の温度以下で管理されていなければならない商品が含まれている場合がある。このような場合、輸送中の温度管理が充分であったかどうかは、到着した商品90を見ただけでは単純に判断できない。しかし、本実施の形態における検品システム1は、前述のように、温度履歴情報(グラフ)が表示されるので、作業者は、商品90に対する温度管理の状況が適切であったか否かを確認することができる。
【0086】
また、重量確認装置40のCPU410は商品情報に含まれる各商品90の管理温度に関する情報を参照しつつ、温度履歴情報と比較して、温度管理状況が適切であったか否かを判定する。さらに、図8で示すように、その判定結果を表示ことにより、作業者は、各商品90の管理温度を調べることなく、温度管理状況の適否を確認することができる。
【0087】
温度履歴情報および温度管理状況の適否を確認した作業者は、対象物に対する温度管理が不適切であった場合、到着した商品90の受け取りを拒否する。一方、温度管理が適切であった場合、操作ボタン42を操作して、検品作業が終了したことを検品システム1に入力する。この入力を受け付けると、重量確認装置40のCPU410は、検品作業が無事に終了したことを示す情報を端末装置20に送信する。
【0088】
重量確認装置40から検品作業が終了したことを示す情報を受信した端末装置20は、商品情報に示される商品90を受領したことを示す情報(受領情報)を生成して、重量確認装置40に送信する。
【0089】
図9は、電子ペーパー43に受領情報が表示される例を示す図である。このように検品システム1では、検品作業が終了すると、電子ペーパー43の第1表示領域E1に、受領情報が第3画面として表示される。これにより、作業者は出荷した商品90が輸送先に受領されたことを容易に確認することができる。なお、図9に示す例では、受領情報として、「受領済み」のメッセージとともに、受領した商品名、個数、店舗名、検品作業を行った作業者名、検品日時が表示されるが、受領情報として表示される情報はこれに限られるものではない。
【0090】
電子ペーパー43に受領情報が表示されると、作業者はその内容を確認した上で、商品90を陳列棚等に移すために、コンテナ51を計量装置30bから降ろす。この動作を計量装置30bが検出して、端末装置20に信号を送信する。
【0091】
これにより、端末装置20が次回注文する商品90に関する情報(発注情報)を生成して、重量確認装置40に送信する。端末装置20から発注情報を受信した重量確認装置40は、CPU410により、当該発注情報を記憶装置411に記憶させる。なお、発注情報を重量確認装置40に送信する処理は、作業者が別途端末装置20を操作することにより行われてもよい。また、受領情報を重量確認装置40に送信する際に、同時に発注情報を送信するようにしてもよい。
【0092】
計量装置30bから降ろされたコンテナ51は、重量確認装置40とともに回収されて輸送元に返送される。このとき電子ペーパー43には第3画面が表示されており、重量確認装置40は受領伝票として機能することとなる。したがって、作業者は受領伝票を別途作成する必要がないので、検品作業における作業者の負担が軽減される。
【0093】
重量確認装置40(およびコンテナ51)を回収する作業者は、重量確認装置40の電子ペーパー43に受領情報(第3画面)が表示されていることを確認することにより、検品作業が無事終了していることを確認する。なお、検品作業中になんらかの異常が発見された場合、輸送先における処置の内容を端末装置20から重量確認装置40に送信しておき、電子ペーパー43に表示させてもよい。
【0094】
重量確認装置40を輸送元に持ち帰った作業者は、操作ボタン42を操作する。重量確認装置40のCPU410がこの操作を検出すると、まず、電子ペーパー43の表示を、発注情報が表示される第4画面に書き換える。
【0095】
図10は、電子ペーパー43に発注情報が表示される例を示す図である。図10に示すように、輸送先が発注した商品90に関する情報(次回、新たに対象物となる商品を示す情報)が電子ペーパー43に表示されることにより、輸送元において電子ペーパー43は受注伝票として機能する。したがって、輸送先において発注伝票を別途作成する必要がないので、作業者の負担が軽減される。
【0096】
さらに、重量確認装置40は、重量確認装置40が輸送元に返却されたことを示す情報と、記憶装置411に記憶されている受領情報および発注情報とをサーバ装置10に送信する。
【0097】
重量確認装置40から重量確認装置40が輸送元に返却されたことを示す情報を受信したサーバ装置10は、当該重量確認装置40を再使用可能な重量確認装置40として登録し、対象物(商品90)との関連づけを解除する。これにより、当該重量確認装置40は、新たな対象物に取り付けられるまで、待機状態となる。
【0098】
また、サーバ装置10が受領情報を受信することにより、サーバ装置10は、当該重量確認装置40が取り付けられている対象物の輸送が無事終了したと判断して、その旨を固定ディスク14に輸送履歴として記憶する。
【0099】
一方、重量確認装置40から受領情報が正しく受信できない場合は、対象物の輸送に何らかの異常が発生したと判断し、例えばディスプレイ15にエラーメッセージを表示して、作業者に通知するとともに、その旨を固定ディスク14に輸送履歴として記憶する。このとき、重量確認装置40から輸送先における処置に関する情報が送信されている場合には、その内容をディスプレイ15に表示してもよい。
【0100】
さらに、サーバ装置10が発注情報を受信することにより、サーバ装置10は次回に輸送する対象物(商品90)を固定ディスク14に記憶する(いわゆる受注処理に相当する)。なお、サーバ装置10は、固定ディスク14に記憶された当該発注情報に基づいて、次回出荷する商品90のピッキング作業を指示する。
【0101】
以上のように、本実施の形態における重量確認装置40は、表示される情報を書き換え可能な電子ペーパー43を備えており、通信部412により到着時の重量情報(新たな重量情報)を受信した場合に、この到着時の重量情報を電子ペーパー43に表示させることによって、計量装置30bによって測定が行われるたびに表示される重量情報が更新されるので、作業者は、いつでも対象物の最新の重量を容易に確認することができる。
【0102】
また、重量確認装置40のCPU410が、到着時の重量情報と、出荷時の重量情報(記憶装置411に記憶された重量情報)とを比較し、その比較結果に応じて、電子ペーパー43に表示されている情報を書き換えるように、電子ペーパー43を制御することにより、作業者は電子ペーパー43の表示を確認するだけで、対象物の重量変化の有無を確認することができる。
【0103】
また、重量確認装置40は、1以上の商品を含む対象物の存在する箇所に取り付けられ、対象物とともに移動可能である。したがって、作業者は、検品作業に必要な情報(検品重量や増減重量等の情報)を、商品90の存在している箇所において確認することができる。また、これらの情報と商品90との関連づけを正確に実現できる。
【0104】
また、新たな重量情報と記憶装置411に記憶されている重量情報との比較結果において、それらが不一致であった場合(増減重量が「0」でない場合)に、その旨および増減重量の値(対象物の重量差)を電子ペーパー43に表示させることにより、作業者は不一致の程度を知ることができる。
【0105】
また、CPU410が増減重量(重量差)に基づいて、対象物の中から検品候補となる商品90を選択し、選択した検品候補となる商品90を電子ペーパー43に表示させることにより、不足している商品をすばやく特定することができるので、検品作業における作業者の負担が軽減される。
【0106】
また、生成された温度履歴情報を電子ペーパー43に表示させることにより、対象物の保管温度および輸送温度を確認することができる。
【0107】
また、生成された温度履歴情報に示される周囲温度が、対象物を構成する商品について予め設定されている温度範囲内にない場合に、その旨を電子ペーパー43に表示させることにより、設定された温度範囲内で保管、輸送されなかった対象物を容易に検出することができる。
【0108】
また、対象物の配送先に関する配送先情報と、対象物を構成する商品90に関する商品情報とを取得して、配送先情報を表示する第1画面と、商品情報を表示する第2画面とを表示するように電子ペーパー43を制御することにより、配送ラベルや納品伝票を別途作成する必要がない。また、これらの情報が対象物とともに移動するので紛失することもない。
【0109】
また、対象物を受領したことを示す受領情報と、新たに対象物となる商品90を示す発注情報とを取得して、受領情報を表示する第3画面と、発注情報を表示する第4画面とを表示するように電子ペーパー43を制御することにより、受領書や発注書を別途作成する必要がない。
【0110】
さらに、本実施の形態における検品システム1では、物流システムにおいて紙媒体でやり取りされている情報(出荷伝票、納品伝票、受領書、発注書、受注伝票等)を電子ペーパー43に表示される情報よって代用する。電子ペーパー43はリサイクル可能であるので、紙媒体を廃止することにより資源の節約となり、ランニングコストを抑えることができる。
【0111】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0112】
対象物に含まれる商品が温度管理の不要な商品ばかりで構成されている場合には、上記実施の形態において説明した温度管理にかかる作業等は省略されてもよい。
【0113】
また、検品作業を行う手順や方法は上記実施の形態に示すものに限られるものではない。例えば、受領情報を重量確認装置40に送信すると同時に、発注情報も重量確認装置40に送信するようにしてもよい。あるいは、計量装置30bにコンテナ51が載置されることにより、第1画面が第2画面に切り替わるようにしてもよい。
【0114】
また、上記実施の形態では、第1ないし第4画面は、第1表示領域E1における表示が切り替わることによって電子ペーパー43に表示されるように説明したが、表示する手法はこれに限られるものではない。例えば、電子ペーパー43の表示領域をさらに細分化して、これらの画面を同時に表示するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明に係る検品システムの構成を示す図である。
【図2】サーバ装置(端末装置)の構成を示す図である。
【図3】重量確認装置の構成を示す図である。
【図4】重量確認装置の取り付け例を示す図である。
【図5】重量確認装置が出荷時の重量情報を受信した時に、電子ペーパーに表示される画面の例を示す図である。
【図6】出荷時において、重量確認装置の電子ペーパーに表示される画面の例を示す図である。
【図7】電子ペーパーに検品重量、増減重量および欠品予測商品が表示される例を示す図である。
【図8】電子ペーパーに温度履歴が表示される例を示す図である。
【図9】電子ペーパーに受領情報が表示される例を示す図である。
【図10】電子ペーパーに発注情報が表示される例を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
1 検品システム
10 サーバ装置
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 固定ディスク
15 ディスプレイ
16 操作部
18 アンテナ
20 端末装置
30a,30b 計量装置
40 重量確認装置
41 ICタグ
410 CPU
411 記憶装置
412 通信部
42 操作ボタン
43 電子ペーパー
44 LEDランプ
45 温度センサ
50 パレット
51 コンテナ
90 商品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の商品を含む対象物の存在する箇所に取り付け可能で、前記対象物とともに移動可能な重量確認装置であって、
計量装置により測定された前記対象物の重量に関する情報を重量情報として受信する通信手段と、
前記通信手段により受信した重量情報を記憶する記憶手段と、
表示する情報の書き換えが可能な表示手段と、
前記通信手段により新たな重量情報を受信した場合に、前記新たな重量情報を前記表示手段に表示させるとともに、前記新たな重量情報と、前記記憶手段に記憶された重量情報とを比較し、その比較結果に応じて、前記表示手段に表示されている情報を書き換えるように、前記表示手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする重量確認装置。
【請求項2】
請求項1に記載の重量確認装置であって、
前記制御手段は、前記比較結果において、前記新たな重量情報と、前記記憶手段に記憶された重量情報とが不一致であった場合に、その旨および前記対象物の重量差を前記表示手段に表示させることを特徴とする重量確認装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の重量確認装置であって、
前記重量差に基づいて、前記対象物の中から検品候補となる商品を選択する商品選択手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記商品選択手段により選択された検品候補となる商品を前記表示手段に表示させることを特徴とする重量確認装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の重量確認装置であって、
前記対象物の周囲温度を測定する温度センサと、
前記温度センサにより測定された周囲温度に応じて温度履歴情報を生成する情報生成手段と、
をさらに備え、
前記制御手段は、前記情報生成手段により生成された前記温度履歴情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする重量確認装置。
【請求項5】
請求項4に記載の重量確認装置であって、
前記制御手段は、前記情報生成手段により生成された前記温度履歴情報に示される周囲温度が、前記対象物を構成する商品について予め設定されている温度範囲内にない場合に、その旨を前記表示手段に表示させることを特徴とする重量確認装置。
【請求項6】
納品される商品を検品する検品システムであって、
1以上の商品を含む対象物の存在する箇所に取り付け可能で、前記対象物とともに移動可能な重量確認装置と、
前記対象物の重量を測定するとともに、前記重量確認装置との間で無線による情報の送受信が可能な計量装置と、
を備え、
前記計量装置により測定された前記対象物の重量に関する情報を重量情報として受信する通信手段と、
前記通信手段により受信した重量情報を記憶する記憶手段と、
表示する情報の書き換えが可能な表示手段と、
前記通信手段により新たな重量情報を受信した場合に、前記新たな重量情報を前記表示手段に表示させるとともに、前記新たな重量情報と、前記記憶手段に記憶された重量情報とを比較し、その比較結果に応じて、前記表示手段に表示されている情報を書き換えるように、前記表示手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする検品システム。
【請求項7】
請求項6に記載の検品システムであって、
前記対象物の配送先に関する配送先情報と、前記対象物を構成する商品に関する商品情報とを取得して、前記重量確認装置に送信するサーバ装置をさらに備え、
前記制御手段は、前記配送先情報を表示する第1画面と、前記商品情報を表示する第2画面とを表示するように前記表示手段を制御することを特徴とする検品システム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の検品システムであって、
前記対象物を受領したことを示す受領情報と、新たに対象物となる商品を示す発注情報とを取得して、前記重量確認装置に送信する端末装置をさらに備え、
前記制御手段は、前記受領情報を表示する第3画面と、前記発注情報を表示する第4画面とを表示するように前記表示手段を制御することを特徴とする検品システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−71411(P2006−71411A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254067(P2004−254067)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】