説明

重量計

【課題】製造コストを最小限にしてプラットフォームを補強可能な重量計を提供する。
【解決手段】体重計1は、被験者が載る第1面14bと、第1面14bの反対側にある第2面14cとを有するプラットフォーム14と、第2面14cに接合され、プラットフォーム14を補強するための補強体40と、ロードセルユニット27a,27bと、を備える。補強体40は、第1補強部材41と第2補強部材42とを有する。第1補強部材41は、平板部分43と、平板部分43から各々が同じ方向に突出する複数の第1突出部44とを有する一枚の板材である。第2補強部材42は、平坦な平板部分45と、平板部分45から各々が同じ方向に突出する複数の第2突出部46とを有する一枚の板材である。第1補強部材41と第2補強部材42とは、第1突出部44と第2突出部46とが重なるように、重ね合わされて接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の重量を測定する重量計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、被験者が搭乗した車椅子の重量を測定可能な車椅子用体重計が開示されている。この車椅子用体重計は、基台と、基台に支持されたロードセルと、被験者が搭乗した車椅子が載るプラットフォームとを有する。プラットフォームに荷重が与えられると、その荷重は、プラットフォームを介してロードセルに伝達される。これにより、被験者が搭乗した車椅子の重量が測定されるという具合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−113344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車椅子用体重計では、プラットフォームの強度(曲げ剛性)を充分に確保することが望ましい。しかしながら、プラットフォームを補強することで製造コストの上昇を招くのは好ましくない。
そこで、本発明は、製造コストを最小限にしてプラットフォームを補強可能な重量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る重量計は、被験者が載る第1面と、前記第1面の反対側にある第2面とを有するプラットフォームと、前記第2面に接合され、前記プラットフォームを補強するための補強体と、前記第1面に与えられた荷重を測定するための荷重測定部と、を備え、前記補強体は、第1補強部材と第2補強部材とを有し、前記第1補強部材は、平坦な平板部分と、前記平板部分から各々が同じ方向に突出する複数の第1突出部とを有する一枚の板材であって、前記プラットフォームの前記第2面に接合され、前記第2補強部材は、平坦な平板部分と、前記平板部分から各々が同じ方向に突出する複数の第2突出部とを有する一枚の板材であり、前記第1補強部材と前記第2補強部材とは、前記第1突出部と前記第2突出部とが重なるように、重ね合わされて接合されていることを特徴とする。
【0006】
この重量計では、プラットフォームを補強するための補強体は、第1補強部材と第2補強部材とを有する。第1補強部材は、平板部分と、平板部分から各々が同じ方向に突出する複数の第1突出部とを有する一枚の板材である一方、第2補強部材は、平板部分と、平板部分から各々が同じ方向に突出する複数の第2突出部とを有する一枚の板材である。そのような第1補強部材と第2補強部材とが重ね合わされて接合されることで、一様に平坦な2枚の板材が重ね合わされて接合される態様に比べて、複数の第1突出部と複数の第2突出部を横切る断面の断面二次モーメントが大きくなる。また、各々が平板部分と複数の突出部を有する2つの補強部材でプラットフォームを補強することができるので、例えば多数の角パイプを組み合わせて格子状の補強部材を製造するよりも、部品数は少なくてよい。したがって、この重量計によれば、補強体の曲げ剛性を充分に確保しつつ、部品数を最小限に抑えることができる。すなわち、製造コストを最小限にしてプラットフォームを補強可能な重量計を提供することができる。
【0007】
また、前記各第1突出部の先端面は、前記第1補強部材の前記平板部分と平行な平面であり、前記各第2突出部の先端面は、前記第2補強部材の前記平板部分と平行な平面であり、前記各第1突出部の先端面と、前記各第2突出部の先端面とは互いに接合され、前記第1補強部材の前記平板部分は、前記プラットフォームの前記第2面に接合され、前記第1補強部材の前記平板部分の面積は、前記各第1突出部の先端面の総面積よりも大きく、前記第2補強部材の前記平板部分の面積は、前記各第2突出部の先端面の総面積よりも大きい態様であってもよい。この態様によれば、平板部分同士が接合される態様に比べて、複数の第1突出部と複数の第2突出部を横切る断面の断面二次モーメントが大きくなるので、曲げ剛性も大きくなるという利点がある。
【0008】
さらに、前記第2補強部材の前記平板部分は、一様に平坦な板材である下板に接合される態様であってもよい。例えば下板が設けられずに、第2補強部材の平板部分が補強体の底面となる態様を想定する。補強体に曲げモーメントが作用すると、補強体の底面(平板部分)に最大の引張応力が作用するが、当該平板部分は、形状が急激に変化する部分を有するので、その部分に応力集中が生じる。より具体的には、平板部分のうち各突出部の周縁に相当する部分に応力集中が生じるので、変形や破損を招くおそれがある。これに対して、上記態様では、第2補強部材の底面に下板が接合されるので、当該下板で最大の引張応力を受けることができる。下板は、一様に平坦な板材であり、形状が急激に変化する部分を有しないので、当該下板に最大の引張応力が作用しても、特定の部位に応力集中が発生することはない。したがって、下板が設けられない態様に比べて、変形や破損を抑制できるという利点がある。
【0009】
また、第1補強部材における前記平板部分に対して垂直な方向から見たときの前記複数の第1突出部の配列は千鳥状であり、前記第2補強部材における前記平板部分に対して垂直な方向から見たときの前記複数の第2突出部の配列は千鳥状である態様であってもよい。この態様によれば、複数の第1突出部の配列がマトリクス状である態様に比べて、第1補強部材の平板部分を横切る断面のうち、その断面二次モーメントが、平坦な一枚の板材を横切る断面の断面二次モーメントと等しくなる断面を少なくすることができる。すなわち、断面二次モーメントが小さい断面を少なくすることができるので、第1補強部材の曲げ剛性を高めることができるという利点がある。第2補強部材についても同様である。
【0010】
さらに、第1補強部材の前記平板部分を横切る何れの方向の何れの断面においても、複数の前記第1突出部が並んでおり、前記第2補強部材の前記平板部分を横切る何れの方向の何れの断面においても、複数の前記第2突出部が並んでいる態様であってもよい。この態様によれば、第1補強部材の平板部分を横切る何れの方向の何れの断面においても、その断面二次モーメントは、平坦な一枚の板材を横切る断面の断面二次モーメントよりも大きくなる。すなわち、断面二次モーメントが小さい断面を皆無にすることができるので、第1補強部材の曲げ剛性を一層高めることができるという利点がある。第2補強部材についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る重量計を示す斜視図である。
【図2】前記重量計の分解斜視図である。
【図3】前記重量計の補強体の分解斜視図である。
【図4】前記補強体を構成する第1補強部材の平面図である。
【図5】前記補強体を構成する第2補強部材の平面図である。
【図6】前記重量計の断面図である。
【図7】本発明の変形例に係る重量計の断面図である。
【図8】本発明の変形例に係る補強体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る体重計1を示す。体重計1は、図2に示すベース2、ベース2に支持された一対の第1ロードセルユニット27aおよび一対の第2ロードセルユニット27b、ベース2の上方に配置されてロードセルユニット27a,27bに支持されたプラットフォーム14、プラットフォーム14に支持された第1のサイドカバー15および第2のサイドカバー16を備える。
【0013】
図2に示すように、体重計1はベース2を備える。ベース2は、鋼製の矩形のフレーム3と、フレーム3の四隅に固定された鋼製のコーナー板4を備える。矩形のフレーム3は、一対の側壁3a,3bと、これらを連結する一対の連結板3c,3dを備える。連結板3c,3dは、側壁3a,3bよりも長尺であり、側壁3a,3bよりも小さい厚さを有する。
【0014】
フレーム3の四隅には、調整可能脚6がそれぞれ取り付けられている。調整可能脚6は、フレーム3にねじ込まれるねじと床面に接する台座を有しており、ねじの回転によって台座とフレーム3との距離が調整可能である。
【0015】
フレーム3の四隅にはロードセルユニット27a,27b(荷重測定部)が配置されている。一対の第1ロードセルユニット27aは第1ロードセルユニット群を構成する。第1ロードセルユニット27aから左右方向に隔てられて一対の第2ロードセルユニット27bが配置される。二つの第2ロードセルユニット27bは第2ロードセルユニット群を構成する。詳細な図示は省略するが、ロードセルユニット27a,27bの各々は、ロードセルと、後述する取付板29から与えられる荷重をロードセルに伝達する荷重伝達部材を備える。ロードセルは、与えられた荷重に応じて変形する起歪体と、起歪体に貼り付けられて起歪体の変形に応じた量の電気信号を出力する1つ以上の歪みゲージを有する。
ロードセルユニット27a,27bはベース2に支持されている。具体的には、ロードセルユニット27a,27bの各々はコーナー板4に取り付けられている。
【0016】
ベース2にはプラットフォーム14が被さる。プラットフォーム14は例えば薄い鋼板から成形される。プラットフォーム14は、体重計1の使用時すなわち重量測定時に床面と平行に配置される平坦な平坦部14aを備える。平坦部14aには、第1ロードセルユニット27aおよび第2ロードセルユニット27bの位置に対応する位置に切欠28が形成される。切欠28上には、折り曲げられた取付板29が配置されている。取付板29は、平坦な上壁と上壁の前後の端壁を備える。取付板29の前後の両方の端壁は平坦部14aに固定されている。取付板29の上壁は、プラットフォーム14の平坦部14aよりも上方にあって、平坦部14aに平行に広がる。
【0017】
プラットフォーム14の平坦部14aは、被験者が搭乗した車椅子または車椅子に搭乗していない被験者が載る第1面14bと、第1面14bと反対側にある第2面14cとを有する。体重計1は、被験者と車椅子の総重量を測定することもできるし、車椅子に搭乗していない被験者の重量を測定することもできる。第2面14cには、プラットフォーム14を補強するための補強体40が接合される。この補強体40の内容については後述する。
【0018】
プラットフォーム14がベース2に被せられる時、第1ロードセルユニット27aおよび第2ロードセルユニット27bの各々は、プラットフォーム14の切欠28内に配置され、プラットフォーム14の各取付板29の上壁は、第1ロードセルユニット27aまたは第2ロードセルユニット27bの上記の荷重伝達部材に覆い被さり、ロードセルユニット27aまたは27bに支持される。従って、補強体40およびプラットフォーム14の荷重並びにプラットフォーム14に与えられた荷重は、ロードセルユニット27a,27bのロードセルに伝達される。ロードセルユニット27a,27bは、プラットフォーム14に与えられた重量、例えば被験者の重量を測定する。
【0019】
プラットフォーム14は、平坦部14aに連なったスロープ14d,14eを備える。スロープ14d,14eの各々は、体重計1の使用時に平坦部14aから前後方向に遠ざかるにつれて床面に近づくように形成されている。すなわち、スロープ14d,14eは、体重計1の使用時に平坦部14aから床面にかけて傾斜するように形成されている。車椅子に搭乗した被験者の重量測定にあたって、被験者は車椅子に搭乗したまま平坦部14aの第1面14b上に上がる。スロープ14d,14eの働きで車椅子はスムースに床面と平坦部14aの第1面14bとの間を移動することができる。車椅子の走行方向が「前後方向」に相当する。
【0020】
プラットフォーム14がベース2に被せられる時、平坦部14aはフレーム3の一対の側壁3a,3bの間の空間に配置される。また、プラットフォーム14のスロープ14d,14eが連結板3c,3dに接触しないように、フレーム3の連結板3c,3dは小さい厚さを持つ。従って、補強体40の荷重およびプラットフォーム14の荷重は、ベース2には直接伝達されることはなく、ロードセルユニット27a,27bを介してベース2に伝達される。
【0021】
このように、プラットフォーム14の平坦部14aは、ベース2のフレーム3の一対の側壁3a,3bの間の空間に配置される。また、平坦部14aに形成された切欠28の内部に荷重測定器としてのロードセルユニット27a,27bが配置される。従って、体重計1の全体の厚さを薄くすることができる。プラットフォーム14の平坦部14aに与えられた荷重は、取付板29を介してロードセルユニット27a,27bに伝達される。
【0022】
金属の薄板製の第1のサイドカバー15および第2のサイドカバー16がプラットフォーム14の平坦部14aの上に取り付けられ、プラットフォーム14に支持されている。第1のサイドカバー15は、第1ロードセルユニット27aを覆う取付板29を覆う。他方、第2のサイドカバー16は、第2ロードセルユニット27bを覆う取付板29を覆う。第1のサイドカバー15と第2のサイドカバー16とは左右方向に間隔をおいている。第1のサイドカバー15および第2のサイドカバー16の間でプラットフォーム14には車椅子の通り道17が区画される。換言すれば、車椅子の通り道17は、プラットフォーム14のうち第1のサイドカバー15と第2のサイドカバー16で覆われていない部分である。
【0023】
一方のサイドカバーすなわち第1のサイドカバー15にはハンドル18が固定されている。他方のサイドカバーすなわち第2のサイドカバー16には3個の車輪19が取り付けられる。車輪19の各々は、プラットフォーム14の平坦部14aに直交する回転軸を有する。車輪19は体重計1の輪郭よりも外側にはみ出す。ハンドル18と車輪19の用途は後述する。
【0024】
図1に示すように、体重計1はコネクターアセンブリ24を備えており、コネクターアセンブリ24には操作ユニット13に接続されたケーブル21が切り離し可能に接続されうる。操作ユニット13には例えば操作パネル22およびディスプレイパネル23が組み込まれている。操作パネル22は、操作ユニット13の表面で露出する操作ボタン(図示せず)を有する。ディスプレイパネル23は、操作ユニット13の表面で露出するスクリーン(図示せず)を有する。操作ボタンの操作に応じて体重計1は重量測定動作を開始する。操作パネル22の内部には重量計算装置(図示せず)が配置されており、重量計算装置はロードセルユニット27a,27bからの信号に基づいて、プラットフォーム14に与えられた重量値を算出する重量測定動作を実行する。ディスプレイパネル23のスクリーンには、例えば重量値が表示される。
【0025】
第1のサイドカバー15には開口25が形成されており、ケーブル21は開口25を通過する。また、コネクターアセンブリ24は開口25によって露出しており、必要に応じて、人がケーブル21をコネクターアセンブリ24から切り離したり接続したりすることが可能である。
【0026】
体重計1を使用しない時、ケーブル21をコネクターアセンブリ24から切り離した状態で、図示しないが、人がハンドル18を掴んで体重計1を直立姿勢に立ち上げることができる。直立姿勢の体重計1は車輪19で床面に支持される。車輪19によって体重計1はスムースに床面上を運搬することができる。この運搬の際に、体重計1を運搬する人はハンドル18を掴んでもよい。
【0027】
図2に示すように、コネクターアセンブリ24は、例えば金属製のホルダー32に取り付けられて支持されている。コネクターアセンブリ24は基板33上の回路に電気的に接続されており、基板33もホルダー32に取り付けられて支持されている。
【0028】
ホルダー32は、ベース2のフレーム3の側壁3aに取り付けられてベース2に支持されている。プラットフォーム14がベース2に被せられる時、ホルダー32がプラットフォーム14上に位置するように、ホルダー32はフレーム3に取り付けられている。ホルダー32がフレーム3に取り付けられているので、基板33およびコネクターアセンブリ24の荷重はフレーム3に支持され、プラットフォーム14には支持されない。ロードセルユニット27a,27bの各々と基板33はケーブル34で接続されている。それらのケーブル34とともに基板33は、第1のサイドカバー15で覆われる。ロードセルユニット27a,27bからの信号は、ケーブル34から基板33上の回路に供給され、さらにコネクターアセンブリ24とケーブル21を経て操作ユニット13に供給される。
【0029】
この体重計1では、ケーブル21に電気的に接続される電気部品であるコネクターアセンブリ24および基板33が、取付部材であるホルダー32に支持されており、ホルダー32はベース2に支持されている。このため、ケーブル21の荷重はプラットフォーム14には伝達されない。従って、ケーブル21に揺れが生じても、プラットフォーム14に与えられる荷重には影響せず、正確な体重測定が可能である。
【0030】
図2に示すように、第1のサイドカバー15の縁には、四つのフック片35が形成されている。同様に、第2のサイドカバー16の縁にも四つのフック片35(不図示)が形成されている。これらのフック片35は、サイドカバーの長手方向にほぼ沿って並べられている。プラットフォーム14には、個々のフック片35に対応して微小な矩形孔36が形成されている。個々のフック片35は対応する矩形孔36に差し込まれる。フック片35および矩形孔36の働きで、サイドカバー15,16は、プラットフォーム14に対して位置決めされる。
【0031】
次に、図3ないし図6を参照しながら、プラットフォーム14を補強するための補強体40の具体的な構成を説明する。図3は、重量計1の分解斜視図である。図3から理解されるように、補強体40は、プラットフォーム14の第2面14cに接合される第1補強部材41と、一様に平坦な板材である下板50に接合される第2補強部材42とを有する。第1補強部材41、第2補強部材42および下板50は、金属材料で構成される。例えば鋼などで構成されてもよい。
【0032】
図4は、第1補強部材41の平面図である。図3および図4に示すように、第1補強部材41は、平坦な平板部分43と、平板部分43から各々が同じ方向に突出する複数の第1突出部44とを有する一枚の板材である。複数の第1突出部44は、一枚の板材にプレス加工を施すことにより作られる。複数の第1突出部44は、互いに同形同大である。各第1突出部44は内部空間を有し、貫通する部分が無い連続的な形状であって、平板部分43と平行な先端面を有する。より具体的には、各第1突出部44は、先端面、および、先端面と平板部分43とを連結する切れ目の無い筒状の側壁を有する。また、図4に示すように、平板部分43に垂直な方向から見たときの各第1突出部44の形状は八角形である。本実施形態では、第1補強部材41の平板部分43の面積は、各第1突出部44の先端面の総面積よりも大きい。
【0033】
図4からも理解されるように、本実施形態では、複数の第1突出部44の並びは千鳥状である。より具体的には以下のとおりである。図4に示すように、複数の第1突出部44は、複数行のグループG(G1〜G5)に分類される。複数行のグループGは、Y方向に沿って並列に配置される。各グループGは、Y方向と直交するX方向に沿って配置された複数の第1突出部44を含む。
【0034】
図4に示すように、X方向に延在する直線L1に各々の中心が位置するようにピッチPaで配置された複数の第1突出部44の集合である第1行目のグループG1と、直線L1と平行な直線L2に各々の中心が位置するようにピッチPaで配置された複数の第1突出部44の集合である第2行目のグループG2とは、X方向にPa/2だけズレて配置される。同様に、第2行目のグループG2と、直線L1と平行な直線L3に各々の中心が位置するようにピッチPaで配置された複数の第1突出部44の集合である第3行目のグループG3とは、X方向にPa/2だけズレて配置される。また、その第3行目のグループG3と、直線L1と平行な直線L4に各々の中心が位置するようにピッチPaで配置された複数の第1突出部44の集合である第4行目のグループG4とは、X方向にPa/2だけズレて配置される。さらに、その第4行目のグループG4と、直線L1と平行な直線L5に各々の中心が位置するようにピッチPaで配置された複数の第1突出部44の集合である第5行目のグループG5とは、X方向にPa/2だけズレて配置される。以上のようにして、グループG1〜G5に属する各第1突出部44は、5行の千鳥状に配置される。
【0035】
また、本実施形態では、第1補強部材41の平板部分43を横切る何れの方向の何れの断面においても、複数の第1突出部44が並んでいる。例えば、第1補強部材41の平板部分43をX方向に横切る何れの断面においても、複数の第1突出部44が並んでいる。さらに詳述すれば以下のとおりである。図4に示すように、各グループGの上側の縁(当該グループGに属する第1突出部44のY方向の負側の縁)は、当該グループGから見て上側(Y方向の負側)に隣り合うグループGの下側の縁(当該グループGに属する第1突出部44のY方向の正側の縁)よりも上側に位置する。一方、各グループGの下側の縁(当該グループGに属する第1突出部44のY方向の正側の縁)は、当該グループGから見て下側(Y方向の正側)に隣り合うグループGの上側の縁よりも下側に位置する。図4に示すように、例えば第2行目のグループG2に着目すると、当該グループG2の上側の縁eu2は、当該グループG2から見て上側に隣り合う第1行目のグループG1の下側の縁ed1よりも上側に位置する一方、当該グループG2の下側の縁ed2は、当該グループG2から見て下側に隣り合う第3行目のグループG3の上側の縁eu3よりも下側に位置する。
【0036】
以上のように、平板部分43をX方向に横切る何れの断面においても複数の第1突出部44が並ぶように、各第1突出部44が配列される。なお、第1補強部材41をY方向に横切る断面や斜め方向に横切る断面についても同様である。要するに、第1補強部材41の平板部分43を横切る何れの方向の何れの断面においても、複数の第1突出部44が並ぶように、各第1突出部44が配列される。
【0037】
図5は、第2補強部材42の平面図である。図3および図5に示すように、第2補強部材42は、平坦な平板部分45と、平板部分45から各々が同じ方向に突出する複数の第2突出部46とを有する一枚の板材である。第2補強部材42の構成は、上述の第1補強部材42の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0038】
第1補強部材41と第2補強部材42とは、第1突出部44と第2突出部46とが重なるように、重ね合わされて接合される。これにより、補強体40が形成される。図6は、重量計1の断面図である。図6に示すように、本実施形態では、各第1突出部44の先端面と各第2突出部46の先端面とが接合される。例えばスポット溶接により、各第1突出部44の先端面と各第2突出部46の先端面とを接合することができる。図4および図5のS1は、第1突出部44と第2突出部46とのスポット溶接位置を示すものである。
なお、本実施形態では、全ての突出部同士が接合されているが、これに限らず、例えば一部の突出部同士が接合される態様であってもよい。要するに、第1補強部材41と第2補強部材42とが重ね合わされて接合されるものであればよい。
【0039】
このようにして形成された補強体40は、プラットフォーム14の第2面14cと下板50との間に配置される。図3からも理解されるように、本実施形態では、第1補強部材41の平板部分43がプラットフォーム14の第2面14cに接合され、第2補強部材42の平板部分45が下板50に接合される。例えばスポット溶接により、第1補強部材41の平板部分43と第2面14cとを接合することができる。図4のS2は、平板部分43と第2面14cとのスポット溶接位置を示すものである。同様に、第2補強部材42の平板部分45と下板50とをスポット溶接で接合することができる。図5のS3は、平板部分45と下板50とのスポット溶接位置を示すものである。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態では、プラットフォーム14を補強するための補強体40は、第1補強部材41と第2補強部材42とを有する。上述したように、第1補強部材41は、平坦な平板部分43と、平板部分43から各々が同じ方向に突出する複数の第1突出部44とを有する一枚の板材である一方、第2補強部材42は、平坦な平板部分45と、平板部分45から各々が同じ方向に突出する複数の第2突出部46とを有する一枚の板材である。そのような第1補強部材41と第2補強部材42とが重ね合わされて接合されることで、一様に平坦な2枚の板材が重ね合わされて接合される態様に比べて、複数の第1突出部44と複数の第2突出部46を横切る断面の断面二次モーメントが大きくなる。また、各々が平板部分と複数の突出部を有する2つの補強部材でプラットフォームを補強することができるので、例えば多数の角パイプを組み合わせて格子状の補強部材を製造するよりも、部品数は少なくてよい。したがって、本実施形態によれば、補強体40の曲げ剛性を充分に確保しつつ、部品数を最小限に抑えることができる。すなわち、製造コストを最小限にしてプラットフォームを補強可能な重量計を提供することができる。
【0041】
また、本実施形態では、上述の下板50が設けられるので、補強体40の変形や破損が抑制されるという利点もある。以下、その内容を具体的に説明する。いま、本実施形態とは異なり、下板50が設けられない態様を想定する。補強体40がプラットフォーム14の第2面14cに接合された状態で、プラットフォーム14の第1面14bに荷重が与えられると、補強体40には曲げモーメントが作用し、補強体40の底面である第2補強部材42の平板部分45には最大の引張応力が作用する。ここで、平板部分45は、形状が急激に変化する部分を有するので、その部分に応力集中が生じる。より具体的には、平板部分45のうち各第2突出部46の周縁に相当する部分に応力集中が生じるので、変形や破損を招くおそれがある。
【0042】
これに対して、本実施形態では、第2補強部材42の平板部分45に下板50が接合されるので、当該下板50で最大の引張応力を受けることができる。上述したように、下板50は、一様に平坦な板材であり、形状が急激に変化する部分を有しないので、当該下板50に最大の引張応力が作用しても、特定の部位に応力集中が発生することはない。したがって、下板50が設けられない態様に比べて、変形や破損を抑制できるという利点がある。ただし、上述の実施形態と異なり、下板50が設けられない態様を採用することも可能である。
【0043】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
【0044】
(1)変形例1
例えば図7に示すように、第1補強部材41の平板部分43と第2補強部材42の平板部分45とが互いに接合されることで、補強体40が形成される態様でもよい。
【0045】
ただし、上述の実施形態では、各第1突出部44の先端面と、各第2突出部46の先端面とが互いに接合され、第1補強部材41の平板部分43の面積は、各第1突出部44の先端面の総面積よりも大きく、第2補強部材42の平板部分45の面積は、各第2突出部46の先端面の総面積よりも大きいので、上述の変形例1(平板部分同士が接合される態様)に比べて、複数の第1突出部44と複数の第2突出部46を横切る断面の断面二次モーメントが大きくなる。これにより、曲げ剛性が大きくなるという利点がある。
【0046】
(2)変形例2
上述の実施形態では、複数の第1突出部44(第2突出部46)の並びは千鳥状であるが、これに限らず、第1突出部44(第2突出部46)の配列の態様は任意である。例えば図8に示すように、複数の第1突出部44の並びがマトリクス状であってもよい。第2突出部46の配列についても同様である。図8の態様では、各グループGに属する各第1突出部44のX方向における位置は同じである。より具体的には、第1行目のグループG1に属する各第1突出部44と第2行目のグループG2に属する各第1突出部44とのX方向における位置は同じであり、第2行目のグループG2に属する各第1突出部44と第3行目のグループG3に属する各第1突出部44とのX方向における位置は同じである。また、第3行目のグループG3に属する各第1突出部44と第4行目のグループG4に属する各第1突出部44とのX方向における位置は同じである。
【0047】
ただし、上述の実施形態では、複数の第1突出部44の並びは千鳥状であるので、図8の態様に比べて、第1補強部材41の平板部分を横切る断面のうち、その断面二次モーメントが、平坦な一枚の板材を横切る断面の断面二次モーメントと等しくなる断面を少なくすることができる。すなわち、断面二次モーメントが小さい断面を少なくすることができるので、第1補強部材41の曲げ剛性を高めることができるという利点がある。さらに、上述の実施形態では、第1補強部材41の平板部分43を横切る何れの方向の何れの断面においても、複数の第1突出部44が並んでいるので、断面二次モーメントが小さい断面を皆無にすることができる。これにより、第1補強部材41の曲げ剛性を一層高めることができるという利点がある。第2補強部材42についても同様である。
【0048】
(3)変形例3
上述の実施形態では、平板部分43の垂直方向から見たときの第1突出部44の形状は八角形であるが、これに限らず、第1突出部44の形状は任意である。例えば平板部分43の垂直方向から見たときの第1突出部44の形状が四角形である態様であってもよいし、円形である態様であってもよい。同様に、第2突出部46の形状も任意である。
【0049】
(4)変形例4
補強部材(第1補強部材41,第2補強部材42)の製造方法は任意である。上述の実施形態では、補強部材は、プレス加工により作られているが、これに限らず、例えばダイキャストにより補強部材を作ることもできる。
【符号の説明】
【0050】
1……体重計(重量計)、2……ベース、13……操作ユニット、14……プラットフォーム、14a……平坦部、14b……第1面、14c……第2面、14d,14e……スロープ、21……ケーブル、24……コネクターアセンブリ、27a,27b……ロードセルユニット(荷重測定部)、40……補強体、41……第1補強部材、42……第2補強部材、43……平板部分、44……第1突出部、45……平板部分、46……第2突出部、50……下板。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者が載る第1面と、前記第1面の反対側にある第2面とを有するプラットフォームと、
前記第2面に接合され、前記プラットフォームを補強するための補強体と、
前記第1面に与えられた荷重を測定するための荷重測定部と、を備え、
前記補強体は、第1補強部材と第2補強部材とを有し、
前記第1補強部材は、平坦な平板部分と、前記平板部分から各々が同じ方向に突出する複数の第1突出部とを有する一枚の板材であって、前記プラットフォームの前記第2面に接合され、
前記第2補強部材は、平坦な平板部分と、前記平板部分から各々が同じ方向に突出する複数の第2突出部とを有する一枚の板材であり、
前記第1補強部材と前記第2補強部材とは、前記第1突出部と前記第2突出部とが重なるように、重ね合わされて接合されている、
ことを特徴とする重量計。
【請求項2】
前記各第1突出部の先端面は、前記第1補強部材の前記平板部分と平行な平面であり、
前記各第2突出部の先端面は、前記第2補強部材の前記平板部分と平行な平面であり、
前記各第1突出部の先端面と、前記各第2突出部の先端面とは互いに接合され、前記第1補強部材の前記平板部分は、前記プラットフォームの前記第2面に接合され、
前記第1補強部材の前記平板部分の面積は、前記各第1突出部の先端面の総面積よりも大きく、
前記第2補強部材の前記平板部分の面積は、前記各第2突出部の先端面の総面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の重量計。
【請求項3】
前記第2補強部材の前記平板部分は、一様に平坦な板材である下板に接合される、
ことを特徴とする請求項2に記載の重量計。
【請求項4】
前記第1補強部材における前記平板部分に対して垂直な方向から見たときの前記複数の第1突出部の配列は千鳥状であり、
前記第2補強部材における前記平板部分に対して垂直な方向から見たときの前記複数の第2突出部の配列は千鳥状である、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の重量計。
【請求項5】
前記第1補強部材の前記平板部分を横切る何れの方向の何れの断面においても、複数の前記第1突出部が並んでおり、
前記第2補強部材の前記平板部分を横切る何れの方向の何れの断面においても、複数の前記第2突出部が並んでいる、
ことを特徴とする請求項4に記載の重量計。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−32207(P2012−32207A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170224(P2010−170224)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)