説明

重金属含有物の重金属処理方法及び重金属処理剤

【課題】重金属含有物の重金属不溶化処理では、特に有機酸の存在下において、鉛以外の重金属処理剤の溶出、或いは重金属処理剤の使用量増大の問題があった。
【解決手段】重金属含有物に2級アミンのカルボジチオ酸塩、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を混合し、重金属含有物のPアルカリ度を200g−CaCO/kg−重金属含有物以上とすることにより、有機酸等の共存下においても、少量の2級アミンのカルボジチオ酸塩の使用によって特に有害な鉛だけでなく、亜鉛等の他の重金属の溶出を低く抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属含有物中に含まれる有害な重金属の溶出を効果的に抑止する重金属処理方法及び重金属処理剤を提供するものである。
【0002】
アミンのカルボジチオ酸塩は飛灰、土壌、廃水等の重金属の不溶化処理剤として用いられており、例えばアミンのカルボジチオ酸塩であるピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩では重金属処理能が高く、熱及び酸に対して安定で有害ガスの発生がないため、飛灰用の重金属処理剤として広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
一方、重金属の不溶化処理に対し、酸性物質との接触、特に重金属と錯体形成能力を有する有機酸が存在する特別の条件下でも重金属の溶出がないことが求められつつある。その様な条件を想定した試験方法として、酢酸等の脂肪族カルボン酸や硝酸等の共存条件下における重金属の溶出試験が用いられている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
重金属処理剤として用いられているピペラジンカルボジチオ酸塩は耐酸性に優れるために、その様な条件下においても鉛等の有害な重金属の処理能力を有しているが、その様な条件下において亜鉛等の他の重金属の溶出まで抑止したい場合、薬剤の必要量が多くなるという問題があった。
【0005】
亜鉛の規制は地域によって異なり、まだ規制されてない地域もあるが、亜鉛の毒性としては、例えば過剰摂取によって鉄芽球性貧血を発生することが知られている。
【0006】
重金属処理剤の処理能力を向上させる方法として、重金属処理剤に対して1.5重量%以上、特に3〜30重量%のアルカリ成分を用いる方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。しかしそこで開示された改良方法では、有機酸の共存下で亜鉛等の他の重金属まで十分に不溶化することはできなかった。
【0007】
また、アミンのカルボジチオ酸塩とアルカリ金属水酸化物を含有する固体状の重金属処理剤が報告されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、亜鉛等の他の重金属の溶出まで抑止することに関しては記載又は示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3391173号公報
【特許文献2】特開2008−272590号公報
【特許文献3】特開平11−114528号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】廃棄物学会論文誌 Vol.13,No.2,pp.79−88、2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、少量の薬剤で重金属含有物中の重金属の不溶化を可能とし、従来の条件、及び有機酸の存在する特別な条件いずれの場合において、有害な鉛だけでなく亜鉛等の他の重金属も不溶化できる重金属処理方法及び重金属処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、従来の条件(例えば環境庁告示13号試験)、及び有機酸が共存する条件における重金属不溶化の両立について鋭意検討を重ねた結果、アミンのカルボジチオ酸塩として2級アミンのカルボジチオ酸塩を用い、さらにアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を用いて重金属含有物のPアルカリ度を200g−CaCO/kg−重金属含有物以上とすることにより、いずれの条件下でも有害な鉛が十分に不溶化され、さらに亜鉛の溶出も抑止できる重金属処理方法及び重金属処理剤を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
以下に本発明の重金属処理方法及び重金属処理剤について説明する。
【0013】
本発明の重金属処理方法は、重金属含有物に2級アミンのカルボジチオ酸塩、及びアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を混合し、重金属含有物のPアルカリ度を200g−CaCO/kg−重金属含有物以上とすることを特徴とする重金属処理方法である。
【0014】
Pアルカリ度とは、一般的にはフェノールフタレインアルカリ度を意味する。本発明のPアルカリ度は、飛灰等の重金属含有物に対して10〜100000倍量の水を添加したスラリー中に指示薬としてフェノールフタレインを添加し、塩酸又は硫酸を滴下し、上澄み液の色が無色になるまでに要する酸の当量数をCaCO量に換算し、重金属含有物1kg当りで表した値である。本発明のPアルカリ度は、pHメータによってスラリーpH=8.3で安定するまでに要する酸の当量数をCaCO量に換算して簡易的に求めてもよい。
【0015】
また、特定のPアルカリ度以上であるかを確認する方法としては、フェノールフタレインを添加したスラリー中に、特定のPアルカリ度と当量数の酸を添加し、上澄み液の色を確認することで簡単に確認することができる。
【0016】
本発明の重金属処理方法におけるPアルカリ度は200g−CaCO/kg−重金属含有以上であり、200〜500g−CaCO/kg−重金属含有が好ましく、さらに230〜400g−CaCO/kg−重金属含有物、特に300〜400g−CaCO/kg−重金属含有物質とすることが好ましい。Pアルカリ度をそれらの範囲とすることで、より少量の2級アミンのカルボジチオ酸塩を用いて鉛等の重金属の不溶化ができるだけでなく、同時に亜鉛の溶出を抑止することができる。
【0017】
本発明の重金属処理方法では、上記のPアルカリ度の範囲で、なおかつ2級アミンのカルボジチオ酸塩に対して添加するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率を300重量%以上とすることが好ましく、特に500重量%以上5000重量%以下とすることが特に好ましい。
【0018】
本発明の重金属処理方法は、重金属含有物のPアルカリ度を本発明の範囲に制御することが不可欠であり、2級アミンのカルボジチオ酸塩に対して添加するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率を上記の範囲にすることが好ましい。例えば重金属含有物のひとつである飛灰は、通常はアルカリ性であり、なおかつ鉛は両性金属であるためにアルカリ性では溶解し易いため、従来、飛灰処理時にさらに大量のアルカリ成分を混合することはされない。本発明では、その様な飛灰の重金属おいて、従来には用いられなかったアルカリ度に調整することにより、重金属処理剤の使用量低減と、従来固定化されていなかった亜鉛の溶出抑止の両立ができるものである。
【0019】
本発明の重金属処理方法では、2級アミンのカルボジチオ酸塩、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の添加方法は特に限定はなく、例えば事前に混合して添加、同時添加、どちらかを先に添加、さらには時間差をつけて添加する方法等を挙げることができる。
【0020】
本発明では事前に2級アミンのカルボジチオ酸塩、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を混合し、重金属処理剤として使用することもできる。事前に2級アミンのカルボジチオ酸塩、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を添加する場合、2級アミンのカルボジチオ酸塩に対して添加するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率を300重量%以上とすることが好ましく、特に500重量%以上5000重量%以下とすることが特に好ましい。
【0021】
本発明で用いる2級アミンのカルボジチオ酸塩の種類は特に限定はなく、例えばピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩、ピペラジン−N−カルボジチオ酸塩、ピロリジン−N−カルボジチオ酸塩、ピペリジン−N−カルボジチオ酸塩等環状の2級アミンのカルボジチオ酸塩;ジブチルアミン−N−カルボジチオ酸塩、ジプロピルアミン−N−カルボジチオ酸塩、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸塩、ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸塩等の鎖状の2級アミンのカルボジチオ酸塩等が挙げられ、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸塩、ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸塩等が好ましく、特にピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩が好ましい。これらの2級アミンのカルボジチオ酸塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、鉄等の遷移金属塩の無水物、水和物、水溶液、スラリー等を挙げることができ、取扱い、コストの点でアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の無水物、水和物、水溶液が好ましく、中でもナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩が特に好ましい。
【0022】
具体的な2級アミンのカルボジチオ酸塩としては、例えばピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム・6水和物、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム・2水和物、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カルシウム等のピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩;ピペラジン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ピペラジン−N−カルボジチオ酸カリウム、ピペラジン−N−カルボジチオ酸カルシウム等のピペラジン−N−カルボジチオ酸塩;ピロリジン−N−カルボジチオ酸塩ナトリウム、ピロリジン−N−カルボジチオ酸カリウム、ピロリジン−N−カルボジチオ酸カルシウム等のピロリジン−N−カルボジチオ酸塩;ピペリジン−N−カルボジチオ酸塩ナトリウム、ピペリジン−N−カルボジチオ酸塩カリウム、ピペリジン−N−カルボジチオ酸塩カルシウム等のピペリジン−N−カルボジチオ酸塩;ジブチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ジブチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム、ジブチルアミン−N−カルボジチオ酸カルシウム等のジブチルアミン−N−カルボジチオ酸塩;ジプロピルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ジプロピルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム、ジプロピルアミン−N−カルボジチオ酸カルシウム等のジプロピルアミン−N−カルボジチオ酸塩;ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カルシウム、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム・3水和物等のジエチルアミン−N−カルボジチオ酸塩;ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム、ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸カルシウム等のジメチルアミン−N−カルボジチオ酸塩;等が挙げられ、取扱い、コストの点でピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム・6水和物、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム・2水和物、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カルシウム等のピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩;ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カルシウム、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム・3水和物等のジエチルアミン−N−カルボジチオ酸塩;ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム、ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム、ジメチルアミン−N−カルボジチオ酸カルシウム等のジメチルアミン−N−カルボジチオ酸塩等が好ましく、特にピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム・6水和物、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム・2水和物、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カルシウム等のピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩等が好ましい。
【0023】
2級アミンのカルボジチオ酸塩以外のアミンのカルボジチオ酸塩では本発明の効果を得ることができない。その原因は定かではないが、2級アミンのカルボジチオ酸塩と他のアミンのカルボジチオ酸塩では、アルカリ性物質の共存下における重金属との反応性(選択性)が異なるためではないかと考えられる。
【0024】
本発明で用いる2級アミンのカルボジチオ酸塩の使用量は重金属含有物の状態、重金属の含有量や形態により異なり、重金属含有物に対しては0.1〜30重量%が好ましく、さらに0.30〜10重量%、特に0.5〜5重量%の少量であることが好ましい。
【0025】
本発明において重金属含有物に添加するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の種類は、Pアルカリ度を200g−CaCO/kg−重金属含有物以上とできるものであれば、特に限定はなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の無水物、水和物、水溶液、スラリー;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物の無水物、水和物、水溶液、スラリー等が挙げられる。中でも、安価で入手しやすく、保存安定性、取り扱いが容易である水酸化ナトリウムの水溶液、水酸化カルシウムの無水物、水和物、スラリー等が好ましく、さらに処理後の重金属含有物を埋立処分する場合を考慮した場合、埋立処分場からの浸出水pHが急激に上昇するのを抑制する点で水酸化カルシウムが好ましい。
【0026】
本発明において重金属含有物に添加するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の使用量は重金属含有物の状態や酸性度、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の種類等によって異なり、重金属含有物に対しては0.1〜100重量%が好ましく、さらに0.1〜50重量%、特に0.1〜30重量が好ましい。
【0027】
本発明の重金属処理方法では、2級アミンのカルボジチオ酸塩、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物以外に、混合効率を上げるために水を併用することが好ましい。使用する水の量は重金属含有物の性状や使用する2級アミンのカルボジチオ酸塩及びアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の量により異なり、一概に決定することが困難であり、一般的に重金属含有物に対して1〜50重量%程度の範囲で使用することができる。
【0028】
本発明の重金属処理方法では、本発明の効果を妨げない範囲で他の薬剤を添加してもよい。他の薬剤としては、例えば、無機系重金属処理剤、他のpH調整剤等が例示できる。
【0029】
本発明の重金属処理方法における重金属含有物と、2級アミンのカルボジチオ酸塩、及びアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の混合方法としては、スクリューニーダータイプの混練機、攪拌タイプ或いは振動式のミキサー等の装置により、温度0〜80℃で、5秒〜30分間行うことが好ましく、温度10〜65℃、15秒〜10分間行うことが特に好ましい。
【0030】
本発明における重金属含有物は重金属を含有する物質であれば特に限定されるものではなく、例えば、飛灰、汚泥、土壌、廃水等が例示できる。
【0031】
これら重金属含有物中の有害な重金属としては鉛、カドミウム、亜鉛、銅、水銀等が例示できる。
【0032】
本発明の重金属処理剤は、2級アミンのカルボジチオ酸塩とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を含む重金属処理剤であって、2級アミンのカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率が300重量%以上5000重量%以下であり、さらに好ましくは600重量%以上4500重量%以下、特に好ましくは3000重量%を超え4000重量%以下であり、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率が300重量%未満の場合、有機酸が共存する場合の亜鉛の溶出が多く、5000重量%を超えても同様の効果しか得られず経済的でない。アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率を前記範囲とすることにより、従来の条件、及び有機酸の存在する特別な条件いずれの場合において、有害な鉛だけでなく亜鉛等の他の重金属も不溶化できるという効果を奏するものである。
【0033】
本発明で用いる2級アミンのカルボジチオ酸塩、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物としては、前記2級アミンのカルボジチオ酸塩、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を用いることができる。
【0034】
本発明の重金属処理剤は、従来の条件及び有機酸の存在する特別な条件いずれの場合において、有害な鉛だけでなく亜鉛等の他の重金属を不溶化することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明は、重金属含有物の重金属不溶化処理において、従来の条件(例えば環境庁告示13号試験)、及び有機酸共存下の条件いずれにおいも、少量の2級アミンのカルボジチオ酸塩の使用によって鉛だけでなく亜鉛等のその他の重金属の溶出を低く抑えることができる重金属処理方法及び重金属処理剤である。
【実施例】
【0036】
以下発明を実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
合成例1(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液の合成)
ピペラジン56gを純水194gに40℃で溶解させた後、窒素気流中で攪拌しながら二硫化炭素98gと48%水酸化カリウム152gを滴下した。滴下終了後、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液が得られた。
【0038】
得られた水溶液中のピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム濃度をヨード滴定により求めた結果、40重量%であった。
【0039】
合成例2(ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム水溶液の合成)
ジエチルアミン86gを純水185gに40℃で溶解させた後、窒素気流中で攪拌しながら二硫化炭素90gと48.5%水酸化カリウム139gを滴下した。滴下終了後、ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム水溶液が得られた。
【0040】
得られた水溶液中のジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム濃度をヨード滴定により求めた結果、40重量%であった。
【0041】
合成例3(ジエチレントリアミン−N1,N2,N3−トリスカルボジチオ酸カリウムの合成)
ジエチレントリアミン47gを純水181gに40℃で溶解させた後、窒素気流中で攪拌しながら二硫化炭素104gと48.5%水酸化カリウム168gを滴下した。滴下終了後、ジエチレントリアミン−N1,N2,N3−トリスカルボジチオ酸カリウム水溶液が得られた。
【0042】
得られた水溶液中のジエチレントリアミン−N1,N2,N3−トリスカルボジチオ酸カリウム濃度をヨード滴定により求めた結果、40重量%であった。
【0043】
合成例4(エチレンジアミン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液の合成)
エチレンジアミン42gを純水178gに40℃で溶解させた後、窒素気流中で攪拌しながら二硫化炭素107gと48.5%水酸化カリウム173gを滴下した。滴下終了後、エチレンジアミン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液が得られた。
【0044】
得られた水溶液中のエチレンジアミン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム濃度をヨード滴定により求めた結果、40重量%であった。
【0045】
合成例5(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム・2水和物の合成)
ピペラジン68gを純水124gに40℃で溶解させた後、窒素気流中で攪拌しながら二硫化炭素121gと48.5%水酸化カリウム187gを滴下した。滴下終了後、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウムが析出したスラリー溶液が得られた。
【0046】
析出したピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウムを濾別し、真空乾燥機で付着水分を除去、乾燥した。
【0047】
得られたピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウムは熱分析の結果、2水和物であった。
【0048】
合成例6(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム・6水和物の合成)
ピペラジン61gを純水212gに40℃で溶解させた後、窒素気流中で攪拌しながら二硫化炭素107gと48.5%水酸化ナトリウム120gを滴下した。滴下終了後、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウムが析出したスラリー溶液が得られた。
【0049】
析出したピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウムを濾別し、真空乾燥機で付着水分を除去、乾燥した。
【0050】
得られたピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウムは熱分析の結果、6水和物であった。
【0051】
実施例1
飛灰A(Pb=1000ppm、Cd=44ppm、Zn=6300ppm)100重量部に、水酸化カルシウム無水物を10重量部(飛灰に対する固形分量は10重量%)、合成例1で得た40重量%ピペラジン−N,N‘−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液2重量部(飛灰に対する固形分量は0.8重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:1250%)、水30重量部を添加し、混練した(処理物)。処理物0.05gに水を500g添加したスラリーにフェノールフタレイン0.01gを添加し、0.2mol/L塩酸を滴下し、上澄み液が無色で安定となるのに要した酸消費量から処理物中のPアルカリ度(g−CaCO/kg−飛灰)を求めた。
【0052】
処理物50gに純水500gを添加し、6時間振とうした(環境庁告示13号試験準拠)。別途、処理物50gに酢酸1.6重量%水溶液1000gを添加し、18時間振とうした。それぞれの振とう試験で得られた溶出液中の重金属濃度を表1に示す。
【0053】
処理物のPアルカリ度は270g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0054】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸の存在下においても亜鉛の溶出は100ppm以下の低いレベルに抑えられていた。
【0055】
実施例2
飛灰Aを飛灰B(Pb=1900ppm、Cd=120ppm、Zn=12600ppm)とし、水酸化カルシウム無水物を8重量部(飛灰に対する固形分量は8重量%)、40重量%ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液3重量部(飛灰に対する固形分量は1.2重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:667%)とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0056】
処理物のPアルカリ度は230g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0057】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、飛灰中の亜鉛含有量が高いにも拘らず、有機酸の存在下における亜鉛の溶出はさらに低い値に抑えられた。
【0058】
実施例3
飛灰Aを飛灰C(Pb=4200ppm、Cd=170ppm、Zn=17800ppm)とし、水酸化カルシウム無水物を18重量部(飛灰に対する固形分量は18重量%)、40重量%ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液2重量部(飛灰に対する固形分量は0.8重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:2250%)とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0059】
処理物のPアルカリ度は232g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0060】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、飛灰中の亜鉛含有量が高いにも拘らず、有機酸の存在下における亜鉛の溶出はさらに低い値に抑えられた。
【0061】
実施例4
飛灰Aを飛灰D(Pb=2000ppm、Cd=120ppm、Zn=8600ppm)とし、水酸化カルシウム無水物を24重量部(飛灰に対する固形分量は24重量%)、40重量%ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液1.5重量部(飛灰に対する固形分量は0.6重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:4000%)混とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0062】
処理物のPアルカリ度は311g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0063】
飛灰Aと同程度の重金属を含有する灰に対し、水酸化カルシウムの使用量を増大することにより、さらに少量のピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウムの使用量において鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸による亜鉛の溶出濃度も1ppm未満まで抑制された。
【0064】
実施例5
飛灰Aを飛灰E(Pb=1800ppm、Cd=150ppm、Zn=13400ppm)とし、水酸化カルシウム無水物を13重量部(飛灰に対する固形分量は13重量%)、40重量%ピペラジン−N,N‘−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液3重量部(飛灰に対する固形分量は1.2重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:1083%)とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0065】
処理物のPアルカリ度は313g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0066】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸による亜鉛の溶出濃度も1ppm未満まで抑制された。
【0067】
実施例6
水酸化カルシウム無水物10重量部を48重量%水酸化ナトリウム22重量部(飛灰に対する固形分量は10.6重量%)とした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0068】
処理物のPアルカリ度は282g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0069】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸の存在下においても亜鉛の溶出は100ppm以下の低いレベルに抑えられていた。
【0070】
実施例7
40重量%ピペラジン−N,N‘−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液をジメチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム(和光純薬工業(株)製)の40重量%水溶液とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0071】
処理物のPアルカリ度は254g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0072】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸の存在下においても亜鉛の溶出は100ppm以下の低いレベルに抑えられていた。
【0073】
実施例8
40重量%ピペラジン−N,N‘−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液を合成例2の40重量%ジエチルアミン−N−カルボジチオ酸カリウム水溶液とした以外は実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
【0074】
処理物のPアルカリ度は266g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0075】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸の存在下においても亜鉛の溶出は100ppm以下の低いレベルに抑えられていた。
【0076】
比較例1
水酸化カルシウムを添加しない以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0077】
処理物のPアルカリ度は188g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0078】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たすものの、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を用いなかったことから処理物のPアルカリ度が188g−CaCO/kg−重金属含有物と低く、有機酸による多量の亜鉛の溶出が確認された。
【0079】
比較例2
添加する水酸化カルシウムを0.5重量部(飛灰に対する固形分量は0.5重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:63%)とした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0080】
処理物のPアルカリ度は190g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0081】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たすものの、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の量が少なく処理物のPアルカリ度が190g−CaCO/kg−重金属含有物と低く、有機酸による多量の亜鉛の溶出が確認された。
【0082】
比較例3
添加する水酸化カルシウムを2重量部(飛灰に対する固形分量は2重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:250%)とした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0083】
処理物のPアルカリ度は196g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0084】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たすものの、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の量が少なく処理物のPアルカリ度が196g−CaCO/kg−重金属含有物と低く、有機酸による多量の亜鉛の溶出が確認された。
【0085】
比較例4
ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウムを合成例3の40重量%ジエチレントリアミン−N1,N2,N3−トリスカルボジチオ酸カリウム水溶液とした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0086】
処理物のPアルカリ度は273g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0087】
1級アミンのカルボジチオ酸塩を用い、2級アミンのカルボジチオ酸塩を用いなかったことから、鉛の溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を超える量の溶出が確認された。
【0088】
比較例5
ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウムを合成例4の40重量%エチレンジアミン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム水溶液とした以外は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1に示す。
【0089】
処理物のPアルカリ度は267g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0090】
1級アミンのカルボジチオ酸塩を用い、2級アミンのカルボジチオ酸塩を用いなかったことから、鉛の溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を超える量の溶出が確認された。
【0091】
【表1】

【0092】
実施例9
飛灰A100重量部に対し、重金属処理剤(配合比:ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム・2水和物(合成例5にて合成)8重量%、水酸化カリウム92重量%)(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:1150重量%)を12重量部、水30重量部を添加し、混練した(処理物)。処理物0.5gに水を500g添加したスラリーにフェノールフタレイン0.01gを添加し、1mol/L塩酸を滴下し、上澄み液が無色で安定となるのに要した酸消費量から処理物中のPアルカリ度(g−CaCO/kg−飛灰)を求めた。
【0093】
処理物50gに純水500gを添加し、6時間振とうした(環境庁告示13号試験準拠)。別途、処理物50gに酢酸1.6重量%水溶液1000gを添加し、18時間振とうした。それぞれの振とう試験で得られた溶出液中の重金属濃度を表2に示す。
【0094】
処理物のPアルカリ度は271g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0095】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸の存在下においても亜鉛の溶出は100ppm以下の低いレベルに抑えられていた。
【0096】
実施例10
重金属処理剤中の成分であるピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム・2水和物をピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム・6水和物(合成例6にて合成)とし、配合比をピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸ナトリウム・6水和物9重量%、水酸化カリウム91重量%(ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率:1011重量%)とした以外は実施例9と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0097】
処理物のPアルカリ度は271g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0098】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸の存在下においても亜鉛の溶出は100ppm以下の低いレベルに抑えられていた。
【0099】
実施例11
重金属処理剤中の成分であるピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸カリウム・2水和物をジエチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム・3水和物(和光純薬工業(株)製)とし、配合比をジエチルアミン−N−カルボジチオ酸ナトリウム・3水和物10重量%、水酸化カリウム90重量%とした以外は実施例9と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0100】
処理物のPアルカリ度は270g−CaCO/kg−飛灰であった。
【0101】
鉛、カドミウムの溶出濃度はいずれの条件下においても溶出基準値(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令に基づく溶出基準値)を満たし、なおかつ、有機酸の存在下においても亜鉛の溶出は100ppm以下の低いレベルに抑えられていた。
【0102】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、従来の条件(例えば環境庁告示13号試験)、及び有機酸の存在する条件のいずれの場合においても、特に有害な鉛だけでなく亜鉛等の他の重金属の溶出も抑止できる重金属処理方法及び重金属処理剤である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属含有物に2級アミンのカルボジチオ酸塩、及びアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を混合し、重金属含有物のPアルカリ度を200g−CaCO/kg−重金属含有物以上とすることを特徴とする重金属含有物の重金属処理方法。
【請求項2】
2級アミンのカルボジチオ酸塩が、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の重金属処理方法。
【請求項3】
2級アミンのカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率が300重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重金属処理方法。
【請求項4】
2級アミンのカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率が300重量%以上5000重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重金属処理方法。
【請求項5】
2級アミンのカルボジチオ酸塩がピペラジン−N,N’−ビスナトリウム塩及び/又はピペラジン−N,N’−ビスカリウム塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重金属処理方法。
【請求項6】
アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物が水酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の重金属処理方法。
【請求項7】
重金属含有物が飛灰、汚泥、土壌であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の重金属処理方法。
【請求項8】
重金属含有物中の重金属が鉛、カドミウム、亜鉛、銅、水銀であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の重金属処理方法。
【請求項9】
2級アミンのカルボジチオ酸塩とアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物を含む重金属処理剤であって、2級アミンのカルボジチオ酸塩に対するアルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物の比率が300重量%以上5000重量%以下であることを特徴とする重金属処理剤。
【請求項10】
2級アミンのカルボジチオ酸塩が、ピペラジン−N,N’−ビスカルボジチオ酸塩であることを特徴とする請求項9に記載の重金属処理剤。
【請求項11】
2級アミンのカルボジチオ酸塩がピペラジン−N,N’−ビスナトリウム塩及び/又はピペラジン−N,N’−ビスカリウム塩であることを特徴とする請求項9又は10に記載の重金属処理剤。
【請求項12】
アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ土類金属水酸化物が水酸化カルシウムであることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の重金属処理剤。

【公開番号】特開2013−27857(P2013−27857A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181620(P2011−181620)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】