説明

野外用敷物

【課題】本発明の野外用敷物は、敷設から片づけ収納までが、使用者の手や敷物の表面を汚すことなく、簡単、迅速且つクリーンにしかもコンパクトに確実に保持できる事を目的とする。
【解決手段】本発明に係る野外用敷物は、表面と裏面とを画する周縁部および該周縁部内側に重心を有する2次元状シートと、前記表面に固着された結束用具と、を含む野外用敷物であって、前記重心の近傍を持ち上げて一端とし、該一端から前記周縁部方向に前記2次元状シートを束ねて略揃えた該周縁部を他端として、該他端を該一端側に折り曲げて該2次元状シートを重畳し、前記結束用具により該重畳した2次元状シートを結束して収納可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は野外に外出した時に、休息をとるために使用する敷物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
野外にてちょっと休息をとる場合、敷物(シート等)を地面などに敷設し座る事が多い。ハイキングや登山、散歩や釣りなどのアウトドアでは、仲間との食事や休息の一時が楽しみでもある。
【0003】
このため、従来から様々な携帯に便利な敷物(シート等)が考案されてきた。単なる四角形シートの敷物を始め、エアーマットタイプやウレタンを内包した敷物があったが、そのような従来の単なる敷物(シート等)では敷設する場所が汚れていたり濡れていたりすると使用後はシートの裏面(大地等に接する面)が汚れるため、シートは収納する時に、汚れた面が使用者の座る表面(きれいな面)に接触して汚れが転写しないように、奇麗に折り畳む配慮が必要とされた。
【0004】
例えば特許文献1には、「光反射膜を表面に形成した長方形状のビーチマットよりなり、少なくとも対称形状に折り畳み可能に形成するとともにその該折り畳み部分の両側縁に、分離可能なチャック部材を取付け、該チャック部材を利用して上部が開放する袋状に形成可能に構成したことを特徴とする」折り畳み式ビーチマットが開示されている。この考案では、ビーチマットはチャック部材により奇麗に袋状に折り畳めるが、折り畳んだ袋の内面がビーチマットの裏側に相当するので、折角折り畳んで形成した袋内部は汚れていることになる。
【0005】
また、特許文献2には、「マット裏面の一方側縁にバンドが取り付けられていることを特徴とするレジャー用マット」が開示されており、「当該マットを表面が内側となるように前記バンドの取り付けられている側に向かってロール状に丸め、次いで、このロール状に丸めたマットの外側をバンドで巻いて締め付けて固定することで、ロール状のまま」取り扱うことができる。しかし、汚れた裏面をロールの内部から巻き上げるので、奇麗な表面に汚れが転写し、巻きあがったロール表面も汚れた裏面が露出してしまう。
【0006】
このように、従来の敷物(シート等)は、奇麗に折り畳んで、例えばザックの中やザックの外ポケットに敷物を収納しても、汚れた水滴等が垂れてきて、使用者の持ち物や服を汚すもととなっていた。この汚れた水滴をなるべく少なくすべく、完全に水切りしようとシートの端を持ち大きく振り払うと、振り払うべきシート面積が大きいため、シートが波打ち使用者の顔に汚れた水滴が降りかかったり、風に煽られて飛ばされるという事態が発生した。
【0007】
さらには、汚れ物であるため、あるいは取り出し易くするために、ザック等の外側ポケットに入れておくと、風にさらわれたり振動によってポケットから脱落して紛失する事が度々生じた。
【0008】
【特許文献1】実開平1−179525号公報
【特許文献2】特開平7−213337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、敷設から片づけ収納までが、使用者の手や敷物の表面を汚すことなく、簡単、迅速且つクリーンにしかもコンパクトに確実に保持できる野外用敷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る野外用敷物は、表面と裏面とを画する周縁部および該周縁部内側に重心を有する2次元状シートと、前記表面に固着された結束用具と、を含む野外用敷物であって、前記重心の近傍を持ち上げて一端とし、該一端から前記周縁部方向に前記2次元状シートを束ねて略揃えた該周縁部を他端として、該他端を該一端側に折り曲げて該2次元状シートを重畳し、前記結束用具により該重畳した2次元状シートを結束して収納可能である。2次元状シートの形状は特に限定されず、結束用具はいかに詳述するように主として紐やバンドが用いられる。また、2次元状シートの上記重心近傍には、その位置が重心と分かるようにマークを入れておくのが好ましい。
【0011】
本発明に係る野外用敷物は、前記結束用具は、固着端と開放端を有し、固着端が前記2次元状シートの前記表面に固着された紐であってよい。
【0012】
本発明に係る野外用敷物は、前記結束用具は、固着端と開放端を有し、該固着端が前記2次元状シートの表面の前記重心近傍に固着された紐であってよい。
【0013】
本発明に係る野外用敷物は、前記結束用具は、両端を有し、該両端の略中間部を前記2次元状シートの表面の前記重心近傍に固着された紐と、該紐の両端を遊貫させたロープロックと、から形成され得る。あるいは前記結束用具は、固着端と開放端を有し、該固着端が前記2次元状シートの前記表面に固着された2本の紐と、該2本の紐の開放端を遊貫させたロープロックと、から形成してもよい。
【0014】
本発明に係る野外用敷物において、前記結束用具として用いる紐の一端に、あるいは紐の両端を結んで、結び目を形成するのが好ましい。
【0015】
本発明に係る野外用敷物は、前記2次元状シートの表面の前記重心近傍に摘み部を形成し、前記2次元状シートの表面の前記重心外の位置に前記結束用具を固着して形成してもよい。摘み部として、輪ゴムやワニグチクリップ、紐、紐を用いた輪っか等を用いることができる。
【0016】
本発明に係る野外用敷物は、前記結束用具は、固着端と開放端を有するバンドであり、
該固着端を前記2次元状シートの表面に固着し、該固着端および該開放端近傍にそれぞれ雌雄の係止具を表設して形成してもよい。雌雄の係止具として、マジックテープ(登録商標)やファスナー、フックなどを用いることができる。
【0017】
あるいは、本発明に係る野外用敷物は、前記結束用具は、固着端と開放端を有するバンドであり、該固着端を前記2次元状シートの表面に固着し、該固着端近傍にボタンを、および、該開放端近傍にボタン掛けを、それぞれ設けてもよい。
【0018】
本発明に係る野外用敷物は、前記2次元状シートは2以上の層が積層されて構成され、各層間に空気が密封され、あるいは、クッション層が内挿されてもよい。
【0019】
本発明に係る野外用敷物は、上記記載の重心にワニグチクリップを取り付けてもよい。
【0020】
本発明に係る野外用敷物は、前記2次元状シートもしくは前記結束用具に、ワニグチクリップを取り付けてもよい。
【0021】
本発明に係る野外用敷物は、前記2次元状シートの表面の前記重心近傍を起点として放射状にプリーツ加工を施した事を特徴とし得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の野外用敷物は、円形もしくは多角形などの閉じた周縁部を外形とする2次元状シートと、その重心近傍に紐や輪っか、輪ゴム等の手で摘まむための手掛かり(以下「摘み部」ともいう。)、および紐やバンド等の結束用具を有している敷物である。摘み部は特に外付けしなくても、2次元状シートの重心表面そのものであってもよい。収納時は、この摘み部を摘まみ上げることで、摘み部の位置が起点となり、傘を閉じるように2次元状シートの汚れた裏面同士のみが瞬時に合わさって、周縁部が自然に束ねられて閉じる事になる。そのため、奇麗な2次元状シート表面に裏面の汚れが転写することはなく、手頃な大きさに一旦まとまるので、汚れた水滴の水切りも容易となる。
【0023】
すなわち、通常敷物を収納する場合は、汚れた敷物の裏面が表面と接触しないよう考えながら折り畳み、小さくして片づける方法がとられるため、神経を使う面倒な作業となっていたが、本発明の野外用敷物は、2次元状シートの摘み部を摘まんで持ち上げる事で、汚れた2次元状シートの裏面が裏面同士のみで重なり合い、人が座る奇麗な表面とは接触しないため、容易に奇麗に収納が可能となる。
【0024】
また、上記のような摘み部を摘まみ上げて周縁部が束ねられた状態で2次元状シートを折り曲げて、重畳した2次元状シート全体を結束用具により結束し、輪っかなどで吊り下げて保持できるようにしたので、本野外用敷物は、収納後も水滴が後から垂れにくくなり紛失の危険も少なくなる。本発明の野外用敷物は、敷設から片づけ収納までが、使用者の手や敷物の表面を汚すことなく、簡単且つスピーディにしかもコンパクトに確実に保持することができる。
【0025】
また、通常の敷物を収納するときの課題として、敷設した地面が濡れていると敷物裏面が濡れてしまい、その水滴が折りたたんだ後流れ出て敷物表面に接して汚してしまったり、敷物の入れ物や使用者の服や鞄を汚す事があるため、十分この水滴を払い落してから折り畳む必要がある。そのため敷物を畳む前に、敷物を大きく広げ、しかも大きくこの敷物を振り払う事が必要であった。それ自体が面倒であり体力的にも負担であるが、その時汚れた水滴が使用者の顔に降りかかり不快な気分になったり、風に煽られてシート自体を紛失する事が山の様な風の強いところでは度々生じた。本発明の野外用敷物では、摘み部を持って持ち上げる事で、2次元状シートは従来よりすでに1/8程度以下に小さく窄まっているので風に対する影響は非常に少なく、紛失しにくくなる。また無理なく水滴を簡単に振り払う事ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】結束用具の紐が2次元状シートの表面に固着された本発明に係る野外用敷物の平面図。
【図2】結束用具の紐が2次元状シートの表面重心近傍に固着された本発明に係る野外用敷物の平面図。
【図3】本発明に係る野外用敷物の収納時の斜視図であり、(a)紐の固着端付近(重心近傍)Aを持ち上げて周縁部方向に2次元状シートを束ねて略揃えた周縁部をBとして、(b)BをA側に折り曲げて2次元状シートを重畳し、(c)紐を、重畳した2次元状シートに1周以上巻きつけて、巻きつけた紐に結び目が引っ掛かってストッパーとなるように輪っかを形成する、収納手順を示す斜視図。
【図4】結束用具を紐とロープロックで構成した本発明に係る野外用敷物の平面図。
【図5】本発明に係る野外用敷物の収納時の斜視図であり、(a)紐の固着端付近(重心近傍)Aを持ち上げて周縁部方向に2次元状シートを束ねて略揃えた周縁部をBとして、(b)BをA側に折り曲げて2次元状シートを重畳し、(c)紐により重畳した2次元状シート10を挟持しながら、ロープロックによりこれを結束させる、収納手順を示す斜視図。
【図6】人の好適な座り位置を示す、本発明に係る野外用敷物の平面図。
【図7】2次元状シートの表面の重心近傍に輪っかを形成し、重心外の位置に結束用具を固着した、本発明に係る野外用敷物の平面図。
【図8】クッション層が内挿された本発明に係る野外用敷物の断面図。
【図9】ワニグチクリップを結束用具に取り付けた星形形状の本発明に係る野外用敷物の平面図。
【図10】2次元状シートの重心近傍に輪っかを、重心外のその近辺にはゴム輪を取り付けた、花形形状の本発明に係る野外用敷物の断面図。
【図11】2次元状シートの重心近傍に輪っかを、周縁部近くにはテープ状の帯を取り付けた、リンゴ型形状の本発明に係る野外用敷物の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1を参照すると、本発明に係る野外用敷物1は、表面11と裏面12とを画する周縁部13、および周縁部13に包囲された重心15を有する2次元状シート10と、表面11に固着された結束用具50と、を含む野外用敷物1であって、重心15の近傍を摘まんで持ち上げて一端とし、当該一端から周縁部13方向に2次元状シート10を束ねて略揃えた周縁部13を他端として、当該他端を当該一端側に折り曲げて2次元状シート10を重畳し、結束用具50により当該重畳した2次元状シート10を結束して収納可能な野外用敷物1である。
【0028】
図1において、結束用具50は、例えば固着端54と開放端56を有し、固着端54が2次元状シート10の表面11に固着された紐52である。図1のように、予め結束用具50の紐52の開放端56付近に結び目58を作っておくのが好ましい。また、図示しないが、2次元状シート10の重心15近傍には、その位置が重心15と分かるようにマークを入れておくなど、目印を付けておくのが好ましい。
【0029】
以下、実施形態を用いて、本発明に係る野外用敷物1を具体的に説明する。
【0030】
実施形態1の野外用敷物1において、結束用具50は図2に示すように、固着端54と開放端56を有し、固着端54が2次元状シート10の表面11の重心15近傍に固着された紐52である。紐52の開放端56付近には、図1のように、予め結束用具50の紐52の開放端56付近に結び目58を作っておくのが好ましい。また、2次元状シート10の表面11の重心15近傍を起点として放射状にプリーツ加工22を施してもよい(図3参照)。
【0031】
2次元状シート10を開いて敷物として使用した実施形態1に係る野外用敷物1を収納する場合は、図3(a)のように、紐52の固着端54付近(重心15の近傍)を持ち上げて一端Aとし、当該一端Aから周縁部13方向に2次元状シート10を束ねて略揃えた周縁部13を他端Bとして、図3(b)のように、当該他端Bを当該一端A側に折り曲げて2次元状シート10を重畳する。続いて、紐52を、重畳した2次元状シート10に1周以上巻きつけて、巻きつけた紐52に結び目58が引っ掛かってストッパーとなるように輪っか60を形成するのが好ましい(図3(c))。このように、実施形態1の野外用敷物1は、重畳した2次元状シート10を紐52(結束用具50)により結束して収納することができる。
【0032】
このようにコンパクトになった本発明の野外用敷物1を、摘み部60により例えばザックの横にカラビナなどを介して吊りさげて保持すると、水切りした後でも微量に残っていた水滴は、シート裏面の折り目の中に溜まる事になり、水滴は外に垂れにくくなる。さらに、風や振動によりザックから脱落して紛失する事がなくなる。
【0033】
このように本実施形態1の野外用敷物1は、敷物の2次元状シート10の表面11にこれを持ち上げる際の摘み部として紐52を使用し、同じく紐52を結束用具50として使用する。2次元状シート10は任意の形状でも構わないが、本来の効果を獲得するためには、まず使用者が紐52の固着端54付近を持って、片手で持ち上げられて周縁部13(裾が地面につかない大きさであること(約2m×2m以内)が好ましく、そのため野外用敷物1は、一人〜数人用の小型の敷物とするのが好ましい。
【0034】
2次元状シート10は、生地を紙や綿、ナイロン、アクリルの他、アルミ・塩化ビニール・シリコン・ポリウレタン等にて作成してよく、もしくは、これらを別の生地に貼り付けたり蒸着、あるいはコーティング等して作成してもよい。
【0035】
これらの材料で作成された2次元状シート10の紐52を摘まんで持ち上げる事で、2次元状シート10自体が持ち上がる。この時、実施形態1において紐52の固着端54は2次元状シート10の重心15の近傍に固着されているため、地面に敷く事で汚れた2次元状シート10の裏面12は、自ずと裏面12同士のみで重なり合い、人が座る奇麗な表面11とは接触しないため、野外用敷物1の収納が容易となる。すなわち、本発明の野外用敷物1は、持ち上げるだけで自然と裏面12同士が重なるので、その状態のまま折り畳んで結束することができ、容易に敷物袋等に収納することができる。
【0036】
次に、本発明の他の実施態様として、第2の実施形態に係る野外用敷物1について説明する。
【0037】
本発明の第2の実施形態の野外用敷物1は、図4のようにロープロック70を用いたものである。すなわち、結束用具50は、両端55を有し、両端55の略中間部を2次元状シート10の表面11の重心15近傍に固着された紐52と、紐52の両端55を遊貫させたロープロック70とから構成される。ロープロック70に遊貫された紐52の両端55を結んで結び目68を形成しておくのが好適である。
【0038】
あるいは結束用具50は、固着端と開放端55を有し、当該固着端が2次元状シート10の表面11に固着された2本の紐52と、この2本の紐52の開放端55を遊貫させたロープロック70と、から形成されていてもよい。
【0039】
ロープロック70は、コードロックなどの商品名で主に登山用具等として販売されており、このような市販品をそのまま使用すればよい。使用方法も市販商品の使用法に従うが、上記例では、紐52の両端55を遊貫させた後、その両端55を結んで結び目68を形成して、ロープロック70が紐52の固着部(重心15近傍)から結び目68までを移動できるようにして用いるのが好適である。ロープロック70を移動させると、ロープロック70と結び目68との間に紐52の摘み部60ができ、これをザックに取り付けたカラビナなどに引っ掛けて野外用敷物1を携帯することができる。
【0040】
本実施形態2の野外用敷物1も、上記実施形態1の野外用敷物1と略同様にして図5(a)〜(c)のように収納することができる。すなわち、2次元状シート10を開いた状態で、その表面11の重心15近傍に固着された紐52の付け根部分(重心15の近傍)を摘まんで一端Aとし、当該一端Aから周縁部13方向に2次元状シート10を束ねて略揃えた周縁部13を他端Bとして、当該他端Bを当該一端A側に折り曲げて2次元状シート10を重畳する。続いて、2本の紐52により重畳した他端B側の2次元状シート10を挟持しながら、ロープロック70によりこれを結束させる。このように、実施形態2の野外用敷物1は、重畳した2次元状シート10を結束用具50により結束して収納することができる。
【0041】
図6は野外用敷物1を広げて敷設し、2次元状シート10上に人5が腰掛けている状態を模式的に図示したものである。2次元状シート10の略中央に腰かけ、結束用具50は邪魔にならないように股の間に置くのが好適である。立ち上がる際は、この結束用具50の紐52を持ちながら立ち上がると、風の強い状況でも、結束用具50が指に引掛かって持ち易いので、従来のように風に煽られて敷物を紛失することが少なくなる。また結束用具50を持ちながら立ち上がる事で、本発明の野外用敷物1は図5(a)のように自然と2次元状シート10が束ねられて折り畳み前の状態に変化するので、スピーディに片付け易くなる。
【0042】
さらに、本発明の第3の実施形態に係る野外用敷物1について説明する。
【0043】
第3の実施形態に係る野外用敷物1は、図7に示すように、前記2次元状シート10の表面11の重心15近傍に摘み部60を形成し、2次元状シート10の表面11の重心15外の位置に結束用具50を固着した野外用敷物1である。図7において摘み部60は、紐の両端を重心15近傍に固着させた輪っかであるが、摘み部60は輪ゴムやワニグチクリップ、単なる紐など、手で摘まむための手掛かりとなるものであれば、その材料、形状等は特に限定されない。
【0044】
結束用具50は、固着端82と開放端84を有するバンド80であり、固着端82を2次元状シート10の表面11に固着し、固着端82および開放端84近傍にそれぞれ雌雄の係止具86を表設した。雌雄の係止具86としては、マジックテープ(登録商標)や、ファスナー、フック、ボタンなどを用いることができる。
【0045】
上記実施形態と同様に、摘み部60(重心15の近傍)を摘まんで持ち上げ、周縁部13方向に2次元状シート10を束ね、周縁部13側を摘み部60側に折り曲げて2次元状シート10を重畳し、バンド80により重畳した2次元状シート10を結束して、上記マジックテープ(登録商標)等の雌雄の係止具86を係止することにより、野外用敷物1を収納することができる。
【0046】
あるいは雌雄の係止具86がボタンである場合には、結束用具50は、固着端82と開放端84を有するバンド80であり、固着端82を2次元状シート10の表面11に固着し、固着端82近傍にボタンを、および、開放端84近傍にボタン掛けを、それぞれ設けた、野外用敷物1であってもよい。収納方法は上記例と同様である。
【0047】
結束用具50の固着位置は、2次元状シート10の重心近傍部に形成した摘み部60の近辺でもよいし、2次元状シート10の周縁部13側でもその中間付近でもよい。2次元状シート10の大きさによって、折り畳む回数や折り畳んだ後の収納状態を考慮して、もっとも結束しやすい位置に固着すればよい。
【0048】
以上、本発明に係る野外用敷物1について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。通常の場合、野外用敷物1において2次元状シート10は点対称な図形が望ましく、その中心(重心15)に紐52や摘み部60のように手で摘まむための手掛かり(摘み部)を取り付けた形状が望ましい。できるだけ重心15から周縁部13までが等距離の形状であると、結束完了後とても奇麗に纏まりコンパクトにもなるため、理想的には野外用敷物1は真円の2次元状シート10の重心に上記摘み部がある形となる。しかし、デザインを優先させる場合は2次元状シート10は、花型のシート(図10)やリンゴや蝶型のシート(図11)、星型のシート(図9)でもよく、そのような形状であっても本発明の野外用敷物1としての効果を十分得ることができる。またそれぞれの2次元状シート10の形に合わせて、リンゴや蝶などのデザインを2次元状シート10にプリントして趣味性を高めることができる。
【0049】
2次元状シート10の生地は、一般的に上記のような紙や綿、ナイロン、アクリル、テフロン(登録商標)等に限らず、柔軟な略2次元形状のものであれば特に限定されない。防水性能があることが望ましいが、防寒用として2次元状シート10にアルミを貼り付けたり、蒸着してもよく、これにより濡れた岩の上やちょっとした雪の上でも使用可能となる。あるいは滑り止めとして2次元状シート10をシリコンや塩化ビニールで作ったり、それらの樹脂を2次元状シート10の表裏12に吹き付け・コーティング加工してもよい。そのように加工することにより、ゴルフ場でのギャラリーとして観戦する場合に、斜面の草地の上にちょっと腰かける事が可能となる。
【0050】
また、2次元状シート10の生地に折り目を付けるプリーツ加工22を施しておくと、本2次元状シート10を図3(a)の様に持ち上げた時、傘をたたんだ時と同じ様に、生地の折り目に従って簡単に奇麗に纏まり易くなり、最終的に結束完了(図3(c))したときの状態がよりコンパクトに奇麗になる。
【0051】
本発明に係る野外用敷物1を持ち上げるための摘み部や、結束するための用具(結束用具50)については以下の代用品が容易に推察できる。摘み部については、紐52の他、2次元状シート10の生地を突起状に加工した物やゴム片やゴム輪、さらにはテープ状の帯を圧着または縫合したものが考えられる。また結束用具50については、上記紐52の他に、傘を閉じてまとめる時に使用する上記マジックテープ(登録商標)86やボタンやファスナー、フックなどが付いたバンドの他、ゴム輪などが代用できる。
【0052】
以下に図面にしたがって、さまざまな実施例について説明する。
【実施例1】
【0053】
図9は上記実施形態1または2の変形例で、2次元状シート10の重心15近傍にゴム輪92を固着し、その先端にワニグチクリップ90を取り付けた野外用敷物1を表す。図8では、ワニグチクリップ90とゴム輪92間にばね状のコード94を中継させている。本実施例1の野外用敷物1は、上記実施形態と同様に2次元状シート10を折り畳んで、ゴム輪92により結束させることができる。
【0054】
このように、野外用敷物1の摘み部もしくは結束用具50にワニグチクリップ90を取り付ける事で、カラビナを通せる輪がザック等に無くても、ザックまたはその他の物に野外用敷物1を吊り下げて携帯できるようになる。上述のどの形態の野外用敷物1にも、このワニグチタイプのクリップ90は取り付けてもよい。このワニグチクリップ90をつける事によって、ザックにカラビナを取り付ける場所がなくても、ザックのどこにでも気軽に取り付けられるようになるため、紛失の危険はより低くなる。
【実施例2】
【0055】
図10は実施形態3の野外用敷物1の変形例で、摘み及び吊り下げの機能は、2次元状シート10の重心15近傍に固着した摘み部60が担い、収納して折り曲げた後の結束は、同じく重心15近辺に取り付けたゴム輪92が行うタイプを示した。結束する機能(ここではゴム輪92)は重心15近辺にあっても、2次元状シート10の周縁部13付近にあってもその効果は変わらない。勿論ここでゴム輪92はマジックテープ(登録商標)付きのテープ、バンド等に代替しても効果は変わらない。
【0056】
2次元状シート10の重心15に固着した摘み部60は、上記実施形態で述べたように紐52を輪状にして2次元状シート10に取り付けても、ゴム輪92を取り付けてもよく、摘み部として機能するのであればその材料等は限定されない。野外用敷物1は、上記実施例1と同様に、2次元状シート10を折り畳んで、重心15外に取り付けたゴム輪92により結束させることができる。
【実施例3】
【0057】
図11は同じく実施形態3の野外用敷物1の変形例で、摘みと吊り下げの機能は、2次元状シート10の重心15近傍に固着した摘み部60が担い、折り曲げ重畳した後の結束は、2次元状シート10の周縁部13近くのバンド80が行うタイプを示した。
【0058】
バンド80は、雌雄の係止具86として、傘の帯の様に結束するための上記マジックテープ(登録商標)(図7参照)や、特に図示しないが、ボタンやフック、ファスナー等を使用する。本実施例では、2次元状シート10の形状をリンゴ型に似せた物であるため、バンド80はリベット止めにして回転自由とし、リンゴの花梗に似せる工夫も可能である。またこの2次元状シート10の形状を蝶に見立てるべく、バンド80を2本設置し蝶の触覚の様に似せる工夫もできる。
【0059】
また、2次元状シート10の生地は、通常のナイロンや綿だけでなく、保温性を増すために生地をウレタン自体で作成したり、アルミを蒸着コーティングしたりしてもよい。また草の上や傾斜地に敷設してもシートおよび使用者が滑らないように塩化ビニールやシリコンで生地を作成したりコーティングしたりしてもよい。
【実施例4】
【0060】
実施例4に係る野外用敷物1において、2次元状シート10は2以上の層が積層されて構成され、各層間に空気を密封させ、あるいは、クッション層を内挿させる。例えば図8に示す野外用敷物1は、2次元状シート10は表面11と裏面12の2層から構成され、当該2層間にクッション層14が挿入されている。クッション層14としては、スポンジやウレタンなどを各層間に内包させればよい。
【0061】
表面11と裏面12の2層があることで、表面11の層にはデザインに凝った感触のよい材質を、裏面12の層には耐摩耗性や防水性のある材質を選定する事も可能となる。また表面11と裏面12の間の空間には、保温性を上げるべく、スポンジやウレタンなどを内包する他にも、エアーマットの様に空気を閉じ込める機密性のある構造としてもよい。その場合エアーを出し入れするための吸入口が追加で必要となる。
【0062】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る野外用敷物は、登山やピクニック、散歩時の携帯用の敷物、あるいはお花
見や海水浴時に用いるやや大きめの敷物等に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0064】
1 :野外用敷物
5 :人体
10:2次元状シート
11:表面
12:裏面
13:周縁部
14:クッション層
15:重心
22:プリーツ加工
50:結束用具
52:紐
54:固着端
55:両端
56:開放端
58、68:結び目
60:摘み部
70:ロープロック
80:バンド
82:固着端
84:開放端
86:雌雄の係止具
90:ワニグチクリップ
92:ゴム輪
94:ワニグチクリップを取り付けるコード



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面とを画する周縁部および該周縁部に包囲された重心を有する2次元状シートと、
前記表面に固着された結束用具と、
を含む野外用敷物であって、
前記重心の近傍を持ち上げて一端とし、該一端から前記周縁部方向に前記2次元状シートを束ねて略揃えた該周縁部を他端として、該他端を該一端側に折り曲げて該2次元状シートを重畳し、前記結束用具により該重畳した2次元状シートを結束して収納可能な野外用敷物。
【請求項2】
前記結束用具は、固着端と開放端を有し、該固着端が前記2次元状シートの前記表面に固着された紐である請求項1に記載の野外用敷物。
【請求項3】
前記結束用具は、固着端と開放端を有し、該固着端が前記2次元状シートの前記表面の前記重心近傍に固着された紐である請求項1に記載の野外用敷物。
【請求項4】
前記結束用具は、
両端を有し、該両端の略中間部を前記2次元状シートの表面の前記重心近傍に固着された紐と、
該紐の両端を遊貫させたロープロックと、
から形成される請求項1に記載の野外用敷物。
【請求項5】
前記結束用具は、
固着端と開放端を有し、該固着端が前記2次元状シートの前記表面に固着された2本の紐と、
該2本の紐の開放端を遊貫させたロープロックと、
から形成される請求項1に記載の野外用敷物。
【請求項6】
前記2次元状シートの表面の前記重心近傍に摘み部を形成し、
前記2次元状シートの表面の前記重心外の位置に前記結束用具を固着した、
請求項1に記載の野外用敷物。
【請求項7】
前記結束用具は、固着端と開放端を有するバンドであり、
該固着端を前記2次元状シートの表面に固着し、
該固着端および該開放端近傍にそれぞれ雌雄の係止具を表設した、
請求項1に記載の野外用敷物。
【請求項8】
前記2次元状シートは2以上の層が積層されて構成され、各層間に空気が密封され、あるいは、クッション層が内挿された請求項1乃至7に記載の野外用敷物。
【請求項9】
前記2次元状シートもしくは前記結束用具に、ワニグチクリップを取り付けた請求項1乃至8に記載の野外用敷物。
【請求項10】
前記2次元状シートの表面の前記重心近傍を起点として放射状にプリーツ加工を施した事を特徴とする請求項1乃至9に記載の野外用敷物。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−111147(P2013−111147A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258529(P2011−258529)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【特許番号】特許第5155437号(P5155437)
【特許公報発行日】平成25年3月6日(2013.3.6)
【出願人】(391021949)
【Fターム(参考)】